(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2026-02-03
(45)【発行日】2026-02-12
(54)【発明の名称】金属酸化物膜形成用組成物
(51)【国際特許分類】
H10P 14/692 20260101AFI20260204BHJP
H10P 50/20 20260101ALI20260204BHJP
【FI】
H01L21/316 S
H01L21/302 105A
(21)【出願番号】P 2022101072
(22)【出願日】2022-06-23
【審査請求日】2025-03-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000220239
【氏名又は名称】東京応化工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【氏名又は名称】林 一好
(72)【発明者】
【氏名】野田 国宏
(72)【発明者】
【氏名】山内 賢一
(72)【発明者】
【氏名】高橋 道仁
(72)【発明者】
【氏名】原口 咲栄子
【審査官】長谷川 直也
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-102604(JP,A)
【文献】特表2014-532289(JP,A)
【文献】国際公開第2021/131299(WO,A1)
【文献】特開2017-173537(JP,A)
【文献】国際公開第2021/220919(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/316
H01L 21/3065
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属酸化物ナノクラスター(A)と、溶剤(S)と、を含有し、
前記金属酸化物ナノクラスター
(A)のサイズが、5nm以下であり、
前記
金属酸化物ナノクラスター(A)の表面にキャッピング剤(B)が結合しており、
前記キャッピング剤(B)が、下記式(b1):
R
1-(CH
2)
n-CO-O-R
2・・・(b1)
(式(b1)中、R
1は、カルボキシ基、ホスホノ基、又はホスフェート基であり、R
2は、飽和脂肪族炭化水素基であり、nは2以上の整数である。)
で表される1種以上の化合物を含む、金属酸化物膜形成用組成物。
【請求項2】
前記金属酸化物ナノクラスター(A)に含まれる金属が、亜鉛、イットリウム、ハフニウム、ジルコニウム、ランタン、セリウム、ネオジム、ガドリニウム、ホルミウム、ルテチウム、タンタル、チタン、ケイ素、アルミニウム、アンチモン、錫、インジウム、タングステン、銅、バナジウム、クロム、ニオブ、モリブデン、ルテニウム、ロジウム、レニウム、イリジウム、ゲルマニウム、ガリウム、タリウム、及びマグネシウムからなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1に記載の金属酸化物膜形成用組成物。
【請求項3】
前記金属がジルコニウムである、請求項2に記載の金属酸化物膜形成用組成物。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の金属酸化物膜形成用組成物からなる塗膜を形成することと、
前記塗膜を加熱することと、
を含む、金属酸化物膜の製造方法。
【請求項5】
前記
塗膜の加熱温度が400℃以上である請求項4に記載の製造方法。
【請求項6】
前記金属酸化物膜がメタルハードマスクである請求項4に記載の製造方法。
【請求項7】
エッチングマスクを備えるエッチング対象物をエッチングするエッチング方法であって、
エッチング対象物上に形成された、請求項1又は2に記載の金属酸化物膜形成用組成物からなる塗膜を加熱して、エッチングマスクを形成することを含む、方法。
【請求項8】
前記金属酸化物
膜形成用組成物に含まれる前記金属酸化物ナノクラスターが、酸化ジルコニウムからなる、請求項7に記載のエッチング方法。
【請求項9】
前記エッチング対象物のエッチング対象箇所の材質が、窒化ケイ素、酸化ケイ素、シリコンオキシカーバイド、シリコンカーバイド、ケイ素、窒化ガリウム、ポリシリコン、ダイヤモンドライクカーボン、銅、ルテニウム、タングステン、又はコバルトである、請求項7に記載のエッチング方法。
【請求項10】
エッチャントとして、CHF
3、CF
4、SF
6、CHF
3、CH
3F、Cl
2、BCl
3、HBr、O
2、N
2、HBr、Ar、及びHeからなる群より選択される1種以上が使用される、請求項7に記載のエッチング方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属酸化物膜形成用組成物、当該金属酸化物膜形成用組成物を用いた金属酸化物膜の製造方法、及びエッチング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、半導体デバイス製造等におけるエッチング加工では、フォトレジストや電子線レジスト等のレジスト材料を用いて、フォトリソグラフィー技術によって形成された、パターン化されたレジスト膜がエッチングマスクとして使用されている。
良好にエッチング加工を行うためには、同じ種類のエッチャントに対するエッチングレートとして、エッチングマスクのエッチングレートが、エッチング対象物のエッチングレートよりもかなり低いことが望まれる。
【0003】
しかし、上記のレジスト材料を用いて形成されたレジスト膜をエッチングマスクとして用いる場合、エッチャントと、エッチング対象物の組み合わせによっては、エッチング対象物のエッチングレートと、エッチングマスクのエッチングレートとが大差ない場合がある。
このような場合、一般的に種々のエッチャントに対して低いエッチングレートを示す、ハードマスクと称されるエッチングマスクが使用されることが多い。ハードマスクとしては、例えば、酸化ジルコニウムナノ粒子等の金属酸化物ナノ粒子を含む金属酸化物膜からなるハードマスクが公知である(特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
金属酸化物ナノ粒子を含む従来の金属酸化物膜は、金属酸化物ナノ粒子を含む組成物からなる塗膜を加熱して形成される。しかし、本発明者らが検討したところ、従来の金属酸化物膜のエッチングレートは必ずしも十分に低くなく、よりエッチングレートの低い金属酸化物膜を形成する方法が求められている。
【0006】
本発明は、このような従来の実情に鑑みてなされたものであり、エッチングレートの低い金属酸化物膜を与える金属酸化物膜形成用組成物、これを用いた金属酸化物膜の製造方法、及びエッチング方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意研究を重ねた。その結果、金属酸化物ナノクラスター(A)と、溶剤(S)と、を含有する金属酸化物膜形成用組成物において、特定の構造のカルボン酸エステル化合物を含むキャッピング剤(B)を金属酸化物ナノクラスター(A)の表面に結合させ、金属酸化物ナノクラスター(A)のサイズを5nm以下とすることにより上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。具体的には、本発明は以下のものを提供する。
【0008】
本発明の第1の態様は、金属酸化物ナノクラスター(A)と、溶剤(S)と、を含有し、
金属酸化物ナノクラスター(A)のサイズが、5nm以下であり、
金属酸化物ナノクラスター(A)の表面にキャッピング剤(B)が結合しており、
キャッピング剤(B)が、下記式(b1):
R1-(CH2)n-CO-O-R2・・・(b1)
(式(b1)中、R1は、カルボキシ基、ホスホノ基、又はホスフェート基であり、R2は、飽和脂肪族炭化水素基であり、nは2以上の整数である。)
で表される1種以上の化合物を含む、金属酸化物膜形成用組成物である。
【0009】
本発明の第2の態様は、
第1の態様にかかる金属酸化物膜形成用組成物からなる塗膜を形成することと、
塗膜を加熱することと、
を含む、
金属酸化物膜の製造方法である。
【0010】
本発明の第3の態様は、エッチングマスクを備えるエッチング対象物をエッチングするエッチング方法であって、
エッチング対象物上に形成された、第1の態様にかかる金属酸化物膜形成用組成物からなる塗膜を加熱して、エッチングマスクを形成することを含む、方法である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、エッチングレートの低い金属酸化物膜を与える金属酸化物膜形成用組成物、これを用いた金属酸化物膜の製造方法、及びエッチング方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<金属酸化物膜形成用組成物>
金属酸化物膜形成用組成物は、金属酸化物ナノクラスター(A)と、溶剤(S)と、を含有する。金属酸化物ナノクラスター(A)のサイズは、5nm以下である。金属酸化物ナノクラスター(A)の表面には、キャッピング剤(B)が結合している。
キャッピング剤(B)は、後述する式(b1)で表されるカルボン酸エステル化合物を含む。
上記の金属酸化物膜形成用組成物からなる塗膜を加熱して形成される金属酸化物膜は、種々のエッチャントに関して、種々の材質からなるエッチング対象物に対するエッチングレートよりも十分に低いエッチングレートを示す。
このため、上記の金属酸化物膜形成用組成物からなる塗膜を加熱して形成される金属酸化物膜は、エッチングマスクとして好適に使用される。
【0013】
以下、金属酸化物膜形成用組成物に含まれうる、必須、又は任意の成分について説明する。
【0014】
[金属酸化物ナノクラスター(A)]
本明細書において、金属酸化物ナノクラスターとは、金属酸化物の集合体であって、金属酸化物から形成される複数の面から構成される集合体をいう。金属酸化物ナノクラスター(A)の表面には、後述するキャッピング剤(B)が結合している。なお、金属酸化物ナノクラスター(A)は金属酸化物からなり、キャッピング剤(B)は、金属酸化物ナノクラスターを構成する成分に包含されない。
【0015】
金属酸化物ナノクラスター(A)に対するX線回折測定により、上記の面に相当する回折ピークが検出される。金属酸化物ナノクラスター(A)は、結晶、微結晶、又は非晶質を含んでもよい。金属酸化物ナノクラスター(A)に含まれる成分に応じて、金属酸化物ナノクラスター(A)のX線回折パターンには、金属原子の面(結晶面)に起因するピーク、ブロードな盛り上がり、又はブロードなハローパターンが検出される。ある試料のX線回折パターンにピークのみならず、ブロードな盛り上がりやブロードなハローパターンさえも検出されない場合、その試料には、金属酸化物ナノクラスター(A)が含まれないと、本明細書では判断するものとする。
【0016】
金属酸化物ナノクラスター(A)のサイズは、5nm以下であり、好ましくは4nm以下であり、より好ましくは3nm以下である。金属酸化物ナノクラスターのサイズの下限は、特に限定されず、例えば、0.5nm以上でもよく、1nm以上でもよく、2nm以上でもよい。このようなサイズの金属酸化物ナノクラスター(A)を用いることにより、種々のエッチャントに対して低いエッチングレートを示す金属酸化物膜を形成できる。
本明細書において、金属酸化物ナノクラスター(A)のサイズとは、X線散乱強度分布測定により検出されたスペクトルにおける散乱ピークの半値幅からHalder-Wagner法で算出された値をいう。
【0017】
金属酸化物ナノクラスター(A)に含まれる金属酸化物を構成する金属元素としては、特に限定されない。なお、しばしば、半金属元素として、金属元素と区別されることがある、ホウ素、ケイ素、ゲルマニウム、ヒ素、アンチモン、及びテルルについても、本出願では金属元素であるとする。
金属元素としては、例えば、亜鉛、イットリウム、ハフニウム、ジルコニウム、ランタン、セリウム、ネオジム、ガドリニウム、ホルミウム、ルテチウム、タンタル、チタン、ケイ素、アルミニウム、アンチモン、錫、インジウム、タングステン、銅、バナジウム、クロム、ニオブ、モリブデン、ルテニウム、ロジウム、レニウム、イリジウム、ゲルマニウム、ガリウム、タリウム、及びマグネシウムが挙げられる。これらの中では、金属酸化物膜形成用組成物が製膜性に優れること、種々のエッチャントに対して低いエッチングレートを示す金属酸化物膜を形成しやすいこと、金属酸化物ナノクラスター(A)の安定性等の観点から、ハフニウム、ジルコニウム、及びチタンが好ましい。
金属酸化物ナノクラスター(A)は、1種の金属酸化物を含んでいてもよく、2種以上の金属酸化物を含んでいてもよい。
【0018】
金属酸化物膜形成用組成物における金属酸化物ナノクラスター(A)の含有量は特に限定されない。
好ましくは、金属酸化物ナノクラスター(A)は、金属酸化物膜形成用組成物の固形分濃度が、0.5質量%以上5質量%以下であるような量用いられる。本明細書において、金属酸化物膜形成用組成物の質量に対する、溶剤(S)以外の金属酸化物形成用組成物の成分の質量の合計の比率を、「固形分濃度」と定義する。
上記の範囲の固形分濃度の、金属酸化物膜形成用組成物を用いることにより、金属酸化物の充填率が高く、種々のエッチャントに対するエッチングレートが低い、金属酸化物膜を形成できる。
【0019】
[キャッピング剤(B)]
金属酸化物膜形成性組成物において、金属酸化物ナノクラスター(A)の表面に、キャッピング剤(B)が結合している。キャッピング剤(B)は、金属酸化物ナノクラスター(A)の表面の一部を被覆するように金属酸化物ナノクラスター(A)に結合してもよく、金属酸化物ナノクラスター(A)の表面の全部を被覆するように金属酸化物ナノクラスター(A)に結合してもよい。
金属酸化物ナノクラスター(A)の表面にキャッピング剤(B)が結合していることにより、金属酸化物ナノクラスター(A)が、金属酸化物膜形成用組成物中で均一、且つ安定して分散する。
【0020】
キャッピング剤(B)は、下記式(b1)で表される1種以上の化合物を含む。
R1-(CH2)n-CO-O-R2・・・(b1)
(式(b1)中、R1は、カルボキシ基、ホスホノ基、又はホスフェート基であり、R2は、飽和脂肪族炭化水素基であり、nは2以上の整数である。)
式(b1)で表される化合物は、その構造に起因して熱分解しやすい。
このため、式(b1)で表される化合物がキャッピング剤(B)として結合した金属酸化物ナノクラスター(A)を含む金属酸化物膜形成用組成物からなる塗膜を加熱すると、キャッピング剤(B)が良好に熱分解することで、金属酸化物ナノクラスター(A)が密に充填された金属酸化物膜が形成されると考えられる。金属酸化物ナノクラスター(A)が密に充填された金属酸化物膜は、種々のエッチャントに対して低いエッチングレートを示す。
【0021】
式(b1)中、R1は、カルボキシ基、ホスホノ基、又はホスフェート基である。式(b1)で表される化合物は、カルボキシ基、ホスホノ基、又はホスフェート基と、金属酸化物ナノクラスター(A)の表面との相互作用によって、金属酸化物ナノクラスター(A)の表面に結合する。
【0022】
式(b1)中、R2は、飽和脂肪族炭化水素基である。R2が、不飽和脂肪族炭化水素基である場合、加熱により金属酸化物膜を形成する際に、不飽和結合同士の反応が生じることにより、キャッピング剤(B)の良好な分解が阻害されると思われる。キャッピング剤(B)が良好に熱分解されない場合、金属酸化物膜における金属酸化物ナノクラスター(A)の充填率が低下し、種々のエッチャントに対する金属酸化物膜のエッチングレートが高まる。
【0023】
R2としての飽和脂肪族炭化水素基の構造は、鎖状であっても、環状であっても、鎖状構造と環状構造との組み合わせであってもよい。鎖状の飽和脂肪族炭化水素基は、直鎖状でも、分岐鎖状でもよい。
R2としての飽和脂肪族炭化水素基の炭素原子数は、特に限定されない。R2としての飽和脂肪族炭化水素基の炭素原子数は、1以上10以下が好ましく、1以上6以下がより好ましく、1以上4以下がさらに好ましい。
R2としての飽和脂肪族炭化水素基の具体例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、n-ノニル基、及びn-デシル基が挙げられる。
【0024】
式(b1)中、nは、2以上の整数である。nの上限は特に限定されない。nは、好ましくは2以上10以下の整数であり、より好ましくは2以上6以下の整数であり、さらに好ましくは2以上4以下の整数であり、特に好ましくは2、又は3である。
【0025】
式(b1)で表される化合物の好ましい具体例としては、
コハク酸モノメチルエステル、
コハク酸モノエチルエステル、
コハク酸モノ-n-プロピルエステル、
コハク酸モノイソプロピルエステル、
コハク酸モノ-n-ブチルエステル、
コハク酸モノ-tert-ブチルエステル、
アジピン酸モノメチルエステル、
アジピン酸モノエチルエステル、
アジピン酸モノ-n-プロピルエステル、
アジピン酸モノイソプロピルエステル、
アジピン酸モノ-n-ブチルエステル、
アジピン酸モノ-tert-ブチルエステル、
グルタル酸モノメチルエステル、
グルタル酸モノエチルエステル、
グルタル酸モノ-n-プロピルエステル、
グルタル酸モノイソプロピルエステル、
グルタル酸モノ-n-ブチルエステル、及び
グルタル酸モノ-tert-ブチルエステル等のカルボン酸エステル類;
2-(メトキシカルボニル)エチルホスホン酸、
2-(エトキシカルボニル)エチルホスホン酸、
2-(n-プロピルオキシカルボニル)エチルホスホン酸、
2-(イソプロピルオキシカルボニル)エチルホスホン酸、
2-(n-ブチルオキシカルボニル)エチルホスホン酸、
2-(tert-ブチルオキシカルボニル)エチルホスホン酸、
3-(メトキシカルボニル)プロピルホスホン酸、
3-(エトキシカルボニル)プロピルホスホン酸、
3-(n-プロピルオキシカルボニル)プロピルホスホン酸、
3-(イソプロピルオキシカルボニル)プロピルホスホン酸、
3-(n-ブチルオキシカルボニル)プロピルホスホン酸、
3-(tert-ブチルオキシカルボニル)プロピルホスホン酸、
4-(メトキシカルボニル)ブチルホスホン酸、
4-(エトキシカルボニル)ブチルホスホン酸、
4-(n-プロピルオキシカルボニル)ブチルホスホン酸、
4-(イソプロピルオキシカルボニル)ブチルホスホン酸、
4-(n-ブチルオキシカルボニル)ブチルホスホン酸、及び
4-(tert-ブチルオキシカルボニル)ブチルホスホン酸等のアルキルホスホン酸類;
2-(メトキシカルボニル)エチルホスフェート、
2-(エトキシカルボニル)エチルホスフェート、
2-(n-プロピルオキシカルボニル)エチルホスフェート、
2-(イソプロピルオキシカルボニル)エチルホスフェート、
2-(n-ブチルオキシカルボニル)エチルホスフェート、
2-(tert-ブチルオキシカルボニル)エチルホスフェート、
3-(メトキシカルボニル)プロピルホスフェート、
3-(エトキシカルボニル)プロピルホスフェート、
3-(n-プロピルオキシカルボニル)プロピルホスフェート、
3-(イソプロピルオキシカルボニル)プロピルホスフェート、
3-(n-ブチルオキシカルボニル)プロピルホスフェート、
3-(tert-ブチルオキシカルボニル)プロピルホスフェート、
4-(メトキシカルボニル)ブチルホスフェート、
4-(エトキシカルボニル)ブチルホスフェート、
4-(n-プロピルオキシカルボニル)ブチルホスフェート、
4-(イソプロピルオキシカルボニル)ブチルホスフェート、
4-(n-ブチルオキシカルボニル)ブチルホスフェート、及び
4-(tert-ブチルオキシカルボニル)ブチルホスフェート等のリン酸エステル類が挙げられる。
【0026】
これらの中では、
コハク酸モノメチルエステル、
コハク酸モノエチルエステル、
コハク酸モノ-n-プロピルエステル、
コハク酸モノイソプロピルエステル、
コハク酸モノ-n-ブチルエステル、
コハク酸モノ-tert-ブチルエステル、
アジピン酸モノメチルエステル、
アジピン酸モノエチルエステル、
アジピン酸モノ-n-プロピルエステル、
アジピン酸モノイソプロピルエステル、
アジピン酸モノ-n-ブチルエステル、
アジピン酸モノ-tert-ブチルエステル、
グルタル酸モノメチルエステル、
グルタル酸モノエチルエステル、
グルタル酸モノ-n-プロピルエステル、
グルタル酸モノイソプロピルエステル、
グルタル酸モノ-n-ブチルエステル、及び
グルタル酸モノ-tert-ブチルエステル等のカルボン酸エステル類が好ましい。
【0027】
キャッピング剤(B)の全質量に対する、式(b1)で表される化合物の質量の比率は、所望する効果が損なわれない限り特に限定されない。
キャッピング剤(B)の全質量に対する、式(b1)で表される化合物の質量の比率は、50質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましく、80質量%以上がさらに好ましく、90質量%以上が特に好ましく、100質量%が最も好ましい。
【0028】
上記の通り、キャッピング剤(B)は、式(b1)で表される化合物とともに、その他の化合物を含んでいてもよい。式(b1)で表される化合物とともに用いることができるキャッピング剤(B)としては、アルコキシシラン、フェノール、アルコール、カルボン酸、及びカルボン酸ハライドからなる群から選択される少なくとも1種が挙げられる。
【0029】
キャッピング剤(B)の具体例としては、n-プロピルトリメトキシシラン、n-プロピルトリエトキシシラン、n-オクチルトリメトキシシラン、n-オクチルトリエトキシシラン、n-ドデシルトリメトキシシラン、n-ドデシルトリエトキシシラン、n-ヘキサデシルトリメトキシシラン、n-ヘキサデシルトリエトキシシラン、n-オクタデシルトリメトキシシラン、n-オクタデシルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェネチルフェニルトリメトキシシラン、フェネチルエチルトリエトキシシラン、3-{2-メトキシ[ポリ(エチレンオキシ)]}プロピルトリメトキシシラン、3-{2-メトキシ[ポリ(エチレンオキシ)]}プロピルトリエトキシシラン、3-{2-メトキシ[トリ(エチレンオキシ)]}プロピルトリメトキシシラン、3-{2-メトキシ[トリ(エチレンオキシ)]}プロピルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシラン、ビニルトリエトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、1-ヘキセニルトリメトキシシラン、1-ヘキセニルトリエトキシシラン、1-オクテニルトリメトキシシラン、1-オクテニルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3-アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3-アクリロイルプロピルトリエトキシシラン、3-メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、3-イソシアナトプロピルトリメトキシシラン、3-イソシアナトプロピルトリエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、及び3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等のアルコキシシラン;エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、n-ヘプタノール、n-ヘキサノール、n-オクタノール、オレイルアルコール、n-ドデシルアルコール、n-オクタデカノール、ベンジルアルコール、フェノール、及びトリエチレングリコールモノメチルエーテル等のフェノール類又はアルコール類;オクタン酸、酢酸、プロピオン酸、2-[2-(メトキシエトキシ)エトキシ]酢酸、オレイン酸、ラウリン酸、ステアリン酸、安息香酸、2-アクリロイルオキシエチルコハク酸、2-アクリロイルオキシエチルフタル酸等の酸類;及びこれらの酸類の酸クロライド等の、これらの酸類の酸ハライド類が挙げられ、好ましくは、フェノール類、アルコール類、又は酸類として挙げた化合物である。
【0030】
金属酸化物ナノクラスター(A)の表面にキャッピング剤(B)を結合させる方法は、金属酸化物ナノクラスー(A)と、キャッピング剤(B)とを接触させることができる方法であれば特に限定さない。
例えば、粉末状の金属酸化物ナノクラスター(A)に、キャッピング剤(B)やキャッピング剤(B)の溶液を、滴下したり噴霧したりしたのち、両者を均一に混合してもよい。
また、キャッピング剤(B)に該当しない有機溶媒中で、金属酸化物ナノクラスター(A)が分散した状態で、金属酸化物ナノクラスター(A)とキャッピング剤(B)とを混合してもよい。
【0031】
キャッピング剤(B)の量は、所望する効果が損なわれない限り特に限定されない。キャッピング剤(B)の量は、金属酸化物ナノクラスター(A)の質量に対して、10質量%以上300質量%以下が好ましく、40質量%以上200質量%以下がより好ましい。
上記の範囲のキャッピング剤(B)を用いることにより、キャッピング剤(B)の使用による所望する効果を得つつ、種々のエッチャントに対して低いエッチングレートを示す金属酸化物膜を形成できる。
【0032】
[溶剤(S)]
金属酸化物膜形成性用組成物は、塗布性や粘度の調整の目的で、溶剤を含有する。溶剤としては、典型的には有機溶剤が用いられる。有機溶剤の種類は、金属酸化物膜形成用組成物に含まれる成分を均一に溶解又は分散させることができれば、特に限定されない。
【0033】
溶剤(S)として使用し得る有機溶剤の好適な例としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコール-n-プロピルエーテル、エチレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ-n-プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ-n-プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ-n-プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等の他のエーテル類;メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、2-ヘプタノン、3-ヘプタノン等のケトン類;2-ヒドロキシプロピオン酸メチル、2-ヒドロキシプロピオン酸エチル等の乳酸アルキルエステル類;2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオン酸エチル、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-メトキシプロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸メチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2-ヒドロキシ-3-メチル部炭酸メチル、3-メチル-3-メトキシブチルアセテート、3-メチル-3-メトキシブチルプロピオネート、酢酸エチル、酢酸n-プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n-ブチル、酢酸イソブチル、蟻酸n-ペンチル、酢酸イソペンチル、プロピオン酸n-ブチル、酪酸エチル、酪酸n-プロピル、酪酸イソプロピル、酪酸n-ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸n-プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2-オキソブタン酸エチル等の他のエステル類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;N-メチルピロリドン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド等のアミド類等が挙げられる。これらの有機溶剤は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0034】
金属酸化物膜形成用組成物に含まれる溶剤(S)の量は、所望する効果が損なわれない限り特に限定されない。形成される金属酸化物膜が種々のエッチャントに対して低いエッチングレートを示すことから、例えば、溶剤(S)は、金属酸化物膜形成用組成物の固形分濃度が、0.5質量%以上5質量%以下であるように使用されるのが好ましい。
【0035】
[その他の成分]
金属酸化物膜形成用組成物には、必要に応じて、界面活性剤、分散剤、熱重合禁止剤、消泡剤、シランカップリング剤、着色剤(顔料、染料)、無機フィラー、有機フィラー、架橋剤、酸発生剤等の添加剤を含有させることができる。いずれの添加剤も、従来公知のものを用いることができる。界面活性剤としては、アニオン系、カチオン系、ノニオン系等の化合物が挙げられる。熱重合禁止剤としては、ヒドロキノン、ヒドロキノンモノエチルエーテル等が挙げられる。消泡剤としては、シリコーン系、フッ素系化合物等が挙げられる。
【0036】
金属酸化物膜形成用組成物の製造方法は、その表面にキャッピング剤(B)が結合した金属酸化物ナノクラスター(A)と、溶剤(S)とを、均一に混合できる方法であれば特に限定されない。具体的には、金属酸化物膜形成用組成物は、例えば、後述の実施例に示す方法に従って製造することができる。
【0037】
<金属酸化物膜の製造方法>
以上説明した金属酸化物膜形成用組成物からなる塗膜を加熱することにより、金属酸化物膜が形成される。
つまり、前述の金属酸化物膜形成用組成物からなる塗膜を形成することと、
塗膜を加熱して、金属酸化物膜を形成することと、を含む方法により金属酸化物膜が製造される。
なお、金属酸化物膜の膜厚は、所望する効果が損なわれない限り特に限定されない。種々のエッチャントに対して低いエッチングレートを示す金属酸化物膜を形成しやすい点で、金属酸化物膜の膜厚は、5nm以上200nm以下が好ましく、10nm以上150nm以下がより好ましく、20nm以上100nm以下がさらに好ましい。
金属酸化物膜の膜厚は、金属酸化物膜形成用組成物からなる塗膜の膜厚を調整することにより調整できる。例えば、塗膜の膜厚は、金属酸化物膜形成用組成物の固形分濃度や、粘度を調整することにより調整できる。
上記の範囲内の膜厚の金属酸化物膜は、金属酸化物の充填率が高く、種々のエッチャントに対するエッチングレートが低い。
【0038】
塗膜は、例えば、各種基板上に金属酸化物膜形成用組成物を塗布することにより、形成することができる。塗布方法としては、ロールコータ、リバースコーター、バーコーター等の接触転写型塗布装置や、スピンナー(回転式塗布装置、スピンコーター)、ディップコーター、スプレーコーター、スリットコーター、カーテンフローコーター等の非接触型塗布装置を用いる方法が挙げられる。また、金属酸化物膜形成用組成物の粘度を適切な範囲に調整したうえで、インクジェット法、スクリーン印刷法等の印刷法によって金属酸化物膜形成用組成物の塗布を行って、所望の形状にパターニングされた塗膜を形成してもよい。
形成される金属酸化物膜をエッチング用のメタルハードマスクとして使用する場合、エッチング対象物の表面にパターニングされた塗膜が形成される。
【0039】
基板の材質は特に限定されない。基板の金属酸化物膜が形成される面の材質の好適な例としては、金属、金属炭化物、金属酸化物、金属窒化物、及び金属酸窒化物が挙げられる。上記の金属としては、ケイ素、チタン、タングステン、ハフニウム、ジルコニウム、クロム、ゲルマニウム、銅、アルミニウム、インジウム、ガリウム、ヒ素、パラジウム、鉄、タンタル、イリジウム、モリブデン、及びこれらの合金等が挙げられる。
また、基板表面は凹凸形状を有していてもよい。凹凸形状はパターン化された有機系材料であってもよい。
金属酸化物膜が、エッチング用のメタルハードマスクとして使用される場合、エッチング対象物のエッチング対象箇所の材質が、窒化ケイ素、酸化ケイ素、シリコンオキシカーバイド、シリコンカーバイド、ケイ素、ポリシリコン、ダイヤモンドライクカーボン、銅、ルテニウム、タングステン、又はコバルトであるのが好ましい。これらの中では、窒化ケイ素、酸化ケイ素、シリコンオキシカーバイド、シリコンカーバイド、ケイ素、ポリシリコン、及びダイヤモンドライクカーボン、が好ましい。
【0040】
次いで、必要に応じて、溶剤等の揮発成分を除去して塗膜を乾燥させる。乾燥方法は特に限定されず、例えば、ホットプレートにて80℃以上140℃以下、好ましくは90℃以上130℃以下の温度にて60秒以上150秒以下の範囲内の時間乾燥する方法が挙げられる。ホットプレートによる加熱の前に、真空乾燥装置(VCD)を用いて室温にて減圧乾燥を行ってもよい。
【0041】
このようにして塗膜を形成した後、塗膜を加熱する。加熱を行う際の温度は特に限定されない。加熱温度は、400℃以上が好ましく、420℃以上がより好ましく、430℃以上がさらにより好ましい。上限は適宜設定すればよく、例えば、600℃以下でよく、好ましくは550℃以下である。加熱時間は、典型的には、30秒以上150秒以下が好ましく、60秒以上120秒がより好ましい。加熱工程は、単一の加熱温度下で行うものであってもよいし、加熱温度の異なる複数段階からなるものであってもよい。
【0042】
以上のように形成される金属酸化物膜は、例えば、エッチング用のメタルハードマスクとして好適に利用される。
【0043】
<エッチング方法>
エッチング方法は、エッチングマスクを備えるエッチング対象物をエッチングするエッチング方法である。
具体的には、エッチング方法は、エッチング対象物上に形成された、前述の金属酸化物膜形成用組成物からなる塗膜を加熱して、エッチングマスクを形成することを含む。
種々のエッチャントに対するエッチングレートの低さの点で、金属酸化物形成用組成物に含まれる金属酸化物ナノクラスター(A)が、酸化ジルコニウムからなるのが好ましい。
【0044】
エッチング方法は特に限定されず、エッチング対象物におけるエッチング対処箇所の材質に応じて、公知のエッチング方法から適宜選択される。エッチング方法としては、ウェットエッチングでも、ドライエッチングでもよく、ドライエッチングが好ましい。
ドライエッチングを行う場合、エッチャントとして、CHF3、CF4、SF6、CHF3、CH3F、Cl2、BCl3、HBr、O2、N2、HBr、Ar、及びHeからなる群より選択される1種以上が使用されるのが好ましい。これらのエッチャントの中では、CHF3、CF4、SF6、CHF3、CH3F、Cl2、及びBCl3からなる群より選択される1種以上が好ましい。
【0045】
エッチングマスクのエッチングレートと、エッチング対象物のエッチングレートとの差が大きいことから、以上説明した、エッチング対象物の材質と、エッチャントとの組み合わせとしては、窒化ケイ素と、CHF3、CF4、CH3F、又はSF6とO2との混合気体との組み合わせ、酸化ケイ素と、CHF3、CF4、CH3F、又はSF6とO2との混合気体との組み合わせ、及びポリシリコンと、BCl3、Cl2、又はHBrとの組み合わせが好ましい。
【実施例】
【0046】
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明する。本発明はこれらの実施例に限定されない。
【0047】
[金属酸化物膜形成性組成物の調製]
以下の各分散液の調製は、特開2018-193481号公報の段落[0223]の記載を参照して行った。
【0048】
〔実施例1~3、及び比較例1~3〕
実施例、及び比較例において、キャッピング剤として、以下のB1~B6を用いた。
B1:コハク酸モノ-tert-ブチルエステル
B2:アジピン酸モノエチルエステル
B3:グルタル酸モノエチルエステル
B4:2-アクリロイルオキシエチルコハク酸
B5:ラウリン酸
B6:マロン酸モノエチルエステル
【0049】
・酸化ジルコニウムナノクラスター分散液の調製
特開2018-193481号公報の段落[0223]の記載に基づき、ジルコニウム(IV)イソプロポキシドイソプロパノール(Zr(OCH(CH3)2)4(HOCH(CH3)2)を原料ジルコニウム化合物として用いて、原料ジルコニウム化合物と水とをモル比3:1で反応させて、ZrO2のスラリーを形成し、室温まで冷却して得たZrO2のスラリーを遠心分離しウェットケーキAを得た。ウェットケーキAの重量の1.4倍のキャッピング剤をウェットケーキAに加えて撹拌した。キャッピング剤としては、表1に記載の種類の化合物を用いた。再沈殿後、遠心分離によりウェットケーキBを得た。ウェットケーキBを一晩減圧乾燥し、粉末を得た。得られた乾燥粉末に対して、固形分濃度10質量%になるように、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(以下、「PGMEA」という。)を加えて再分散した後、濾過し、酸化ジルコニウムナノクラスター分散液を得た。
得られた酸化ジルコニウムナノクラスターのサイズ(結晶子サイズ)は、2.5nmであった。酸化ジルコニウムナノクラスターのサイズは、後述の方法により確認した。
【0050】
・金属酸化物ナノクラスターのサイズの測定
酸化ジルコニウムナノクラスター分散液、酸化チタンナノクラスター分散液、及び酸化ハフニウムナノクラスター分散液を試料として用いて、X線回折装置(SmartLab、株式会社リガク製)により、XRD測定を行った。得られた結果を付属ソフトウェアのPDXLで解析し、Halder-Wagner法にて金属酸化物ナノクラスターのサイズ(結晶子サイズ)を求めた。
【0051】
上記の方法により得られた各実施例、及び各比較例の金属酸化物膜形成用組成物を用いて、金属酸化物膜を形成し、以下の方法に従って、エッチング選択比、金属酸化物膜の膜厚、金属酸化物膜中の金属酸化物の充填率を測定した。これらの測定結果を、表1に記す。
【0052】
(エッチング選択比測定方法)
窒化ケイ素基板上に、各実施例、及び各比較例の金属酸化物膜形成用組成物を、スピンコーターを用いて塗布した。基板上に塗布された金属酸化物膜形成用組成物を、100℃で2分間べークして塗膜を形成した。形成された塗膜を、450℃で90秒間焼成して金属酸化物膜を形成した。
形成された金属酸化物膜の膜厚を、回転補償子型高速分光エリプソメーター(Woollam M-2000、ジェー・エー・ウーラム・ジャパン株式会社製)を用いて、以下の条件で測定した。測定結果を表1に記す。
測定角度:65°、70°、75°
Fittingモデル:B-Spline
【0053】
得られた金属酸化物膜に対して、以下の条件でドライエッチングを行った。ドライエッチング前後の金属酸化物膜の膜厚を、回転補償子型高速分光エリプソメーター(Woollam M-2000、ジェー・エー・ウーラム・ジャパン株式会社製)を用いて、上記の方法で測定した。エッチング時間と、エッチング前後の金属酸化物膜の厚さの変化とから、単位時間当たりの膜厚減少量である、金属酸化物膜のエッチングレートを算出した。
また、窒化ケイ素基板に対して、上記と条件によりドライエッチングを行い、エッチング時間と、エッチング前後の窒化ケイ素の厚さの変化とから、窒化ケイ素のエッチングレートを算出した。
【0054】
エッチング装置:RIE-200NL-101iPH(SAMCO社製)
エッチャント:CHF3
流量:70sccm
圧力:5Pa
時間:1分
【0055】
上記の方法により算出された、金属酸化物膜のエッチングレート、及び窒化ケイ素のエッチングレートから、下記式によりエッチング選択比を求めた。各実施例、及び各比較例について、エッチング選択比を表1に示す。エッチング選択比が高いほど、金属酸化物膜のエッチングレートが低い。
エッチング選択比=窒化ケイ素のエッチングレート/金属酸化物膜のエッチングレート
【0056】
【0057】
実施例によれば、その表面にキャッピング剤(B)が結合しており、サイズが5nm以下である金属酸化物ナノクラスター(A)を含み、前述の式(b1)で表される化合物に該当するB1~B3をキャッピング剤(B)として含む金属酸化物膜形成用組成物を用いると、エッチングレートの低い金属酸化物膜を形成できることがわかる。
他方、その表面にキャッピング剤(B)が結合しており、サイズが5nm以下である金属酸化物ナノクラスター(A)を含んでいるが、前述の式(b1)で表される化合物に該当しないB4~B6をキャッピング剤(B)として含む金属酸化物膜形成用組成物を用いると、エッチングレートが高い金属酸化物膜が形成されることが分かる。
【0058】
〔比較例4〕
ジルコニウム(IV)イソプロポキシドイソプロパノール(Zr(OCH(CH3)2)4(HOCH(CH3)2)を原料ジルコニウム化合物として用いて、原料ジルコニウム化合物と水とをモル比1.2:1で反応させることの他は、実施例1の方法と同様にして、キャッピング剤としては、B1:コハク酸モノ-tert-ブチルエステルを用い、酸化ジルコニウムナノクラスター分散液を得た。得られた分散液の固形分濃度は10質量%であった。得られた酸化ジルコニウムナノクラスターのサイズは、10nmであった。
得られた分散液を用いて、前述の方法で、成膜を試みたが、目視でわかる程度のムラが確認され、均一な膜を得ることができなかった。塗布により形成したハードマスク層(金属酸化物膜)のムラは、エッチングの際、ハードマスク層よりも下の層に転写されてしまうおそれがある。このため、ドライエッチングの評価を行わなかった。