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7813255定温輸送容器、および定温輸送容器アッセンブリ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2026-02-03
(45)【発行日】2026-02-12
(54)【発明の名称】定温輸送容器、および定温輸送容器アッセンブリ
(51)【国際特許分類】
   B65D 81/38 20060101AFI20260204BHJP
   B65D 81/18 20060101ALI20260204BHJP
   B65D 71/00 20060101ALI20260204BHJP
   F28D 20/02 20060101ALI20260204BHJP
   F25D 3/00 20060101ALI20260204BHJP
【FI】
B65D81/38 L
B65D81/18 B
B65D81/18 F
B65D71/00 200
F28D20/02 E
F25D3/00 D
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2022580562
(86)(22)【出願日】2022-01-31
(86)【国際出願番号】 JP2022003534
(87)【国際公開番号】W WO2022172796
(87)【国際公開日】2022-08-18
【審査請求日】2024-11-25
(31)【優先権主張番号】P 2021020098
(32)【優先日】2021-02-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2021020099
(32)【優先日】2021-02-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000941
【氏名又は名称】株式会社カネカ
(73)【特許権者】
【識別番号】591244878
【氏名又は名称】玉井化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】廣瀬 文信
(72)【発明者】
【氏名】楢原 理沙
(72)【発明者】
【氏名】関谷 由佳
(72)【発明者】
【氏名】坂井 正忠
【審査官】佐藤 正宗
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-163079(JP,A)
【文献】特開2019-131278(JP,A)
【文献】特開2015-9838(JP,A)
【文献】特開2014-185827(JP,A)
【文献】特開2000-159271(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 81/38
B65D 81/18
B65D 71/00
F28D 20/02
F25D 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
断熱容器と蓄熱材とを備える定温輸送容器であって、
前記断熱容器は、内部に荷室が形成された矩形箱形状であり、
前記断熱容器は、側面部と、上面部と、下面部と、を有し、
前記断熱容器の外側において、前記側面部、および前記下面部からなる群より選択される少なくとも一面に、前記蓄熱材を収容するための収容部を備える、定温輸送容器。
【請求項2】
前記断熱容器は、前記側面部、上面部および下面部からなる群より選択される少なくとも一面にて、他の断熱容器と連結可能となるように、嵌合凹凸部が形成されている、請求項1に記載の定温輸送容器。
【請求項3】
前記収容部は、前記断熱容器が他の断熱容器と連結したときに、当該連結部分に配置され、
前記他の断熱容器が前記収容部に収納される蓄熱材を覆う断熱部となるように構成されている、請求項2に記載の定温輸送容器。
【請求項4】
前記収容部には、融解温度領域が異なる、複数の蓄熱材が収容される、請求項1~3のいずれか1項に記載の定温輸送容器。
【請求項5】
前記収容部は、1つの蓄熱材または複数の蓄熱材の集合体における前記荷室側の形状と嵌合する凹部を有する、請求項1~4の何れか1項に記載の定温輸送容器。
【請求項6】
前記収容部が設けられた前記断熱容器の少なくとも外側の面と面一となるように、前記凹部と嵌合し、
前記1つの蓄熱材、前記複数の蓄熱材、および断熱材からなる群より選択される少なくとも1つの部材で構成された第1嵌め込み部を備えた、請求項5に記載の定温輸送容器。
【請求項7】
さらに、前記断熱容器の内部の荷室に、蓄熱材を備える、請求項1~6のいずれか1項に記載の定温輸送容器。
【請求項8】
前記収容部は、前記側面部に形成され、
前記収容部に嵌合して嵌め込まれる、第2嵌め込み部を備え、
前記第2嵌め込み部には、切り欠き部が形成されている、請求項1に記載の定温輸送容器。
【請求項9】
前記断熱容器は、前記側面部としての4つの側壁面パネルと、前記上面部としての天面パネルと、前記下面部としての底面パネルと、を備えた、組立型の容器である、請求項8に記載の定温輸送容器。
【請求項10】
前記収容部は、1面の側壁面パネルにつき、複数の収容部が設けられている、請求項9に記載の定温輸送容器。
【請求項11】
前記第2嵌め込み部には、前記収容部に嵌合するための嵌合凸部が設けられており、
前記収容部には、前記嵌合凸部と嵌合する嵌合凹部が設けられている、請求項8~10の何れか1項に記載の定温輸送容器。
【請求項12】
前記第2嵌め込み部は、その内部に前記蓄熱材を搭載する搭載部を備えている、請求項8~11の何れか1項に記載の定温輸送容器。
【請求項13】
請求項1~7のいずれか1項に記載の定温輸送容器と、当該定温輸送容器を積載するパレットと、を備え、前記定温輸送容器が複数篏合連結している、定温輸送容器アッセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、定温輸送容器、および定温輸送容器アッセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
医薬品、医療機器、細胞、検体、臓器、化学物質または食品等の物品を保冷または保温した状態で輸送または保管する方法としては、次のような方法があげられる。すなわち、断熱性を有する容器内に、予め凍結または凝固させた、蓄冷材または蓄熱材を配置して保温搬送容器とし、当該蓄冷材または蓄熱材の融解潜熱または凝固潜熱を利用して、保温搬送容器内に収容した物品を温度保持した状態で、輸送または保管する方法である。また、当該方法では、予め融解させた蓄冷材または蓄熱材も使用され得る。前述の保温の対象となる物品(以下、「温度保持物品」と称する場合がある。)を、所定の温度(以下、「管理温度」と称する場合がある。)範囲内に長時間維持するためには、所定の温度範囲内に融解温度を有する蓄冷材または蓄熱材、および、断熱性を有する容器、を備えた定温輸送容器を用いることが好ましいとされている。通常、定温輸送容器に温度保持物品をパッキングした定温輸送パッケージとして、温度保持物品が輸送される。
【0003】
例えば、特許文献1には、4つの側壁面パネル、底面パネル、および天面パネルの互いの嵌合により組み立て可能な定温輸送容器が開示されている。また、特許文献2には、側壁面パネルの側方から蓄熱材を挿入可能な定温輸送容器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開2014/125878号
【文献】欧州特許第2699481号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1および2に記載の定温輸送容器は、断熱容器への蓄熱材のパッキングの簡便性という点で改善の余地が残されている。
【0006】
本発明の一態様は、簡便に断熱容器への蓄熱材をパッキングできる定温輸送容器を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る定温輸送容器は、断熱容器と蓄熱材とを備える定温輸送容器であって、前記断熱容器は、内部に荷室が形成された矩形箱形状であり、前記断熱容器は、側面部と、上面部と、下面部と、を有し、前記断熱容器の外側において、前記側面部、および前記下面部からなる群より選択される少なくとも一面に、前記蓄熱材を収容するための収容部を備えることを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様によれば、簡便に断熱容器への蓄熱材をパッキングできる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】101は、本発明の実施形態1に係る定温輸送容器の概略構成を示す斜視図であり、102および103は、本発明の実施形態1に係る定温輸送容器の概略構成を示す平面図であり、104は、変形例1の定温輸送容器の概略構成を示す平面図である。
図2】201~209は、本発明の実施形態1に係る定温輸送容器の収容部に収容される収納材の一例を示す側面図である。
図3】本発明の実施形態1に係る定温輸送容器の側面部、上面部、下面図それぞれの収容部における収納材の収容状態を説明するための断面図である。
図4】蓄熱材の端面が下面部の内側の面に対して内側に配された場合に、温度保持物品を水平に載置することが可能な定温輸送容器の構成例を示す断面図である。
図5】蓄熱材の端面が下面部の内側の面に対して外側に配された場合に、温度保持物品を水平に載置することが可能な定温輸送容器の構成例を示す断面図である。
図6】601および602は、本発明の実施形態1に係る定温輸送容器の変形例2および3の構成を示す斜視図である。
図7】恒温槽内に、凝固状態の蓄冷材組成物を設置した後、当該恒温槽の温度を極低温から一定の昇温速度で温度上昇させた場合の、蓄冷材組成物の温度を時間に対してプロットしたグラフである。
図8】本発明の実施形態1に係る定温輸送容器アセンブリの構成例を模式的に示した図である。
図9】本発明の実施形態1に係る定温輸送容器アセンブリの定温輸送容器同士の嵌合構造の一例を示し、901は平面図であり、902は斜視図である。
図10】1001~1003は、本発明の実施形態1に係る定温輸送容器アセンブリに適用可能な定温輸送容器の2個構成単位の具体例を示す断面図である。
図11】1101~1103は、本発明の実施形態1に係る定温輸送容器アセンブリに適用可能な定温輸送容器の4個構成単位の具体例を示す断面図である。
図12】4個×4段の定温輸送容器が積載された定温輸送容器アセンブリの一例を示す断面図である。
図13】4個×4段の定温輸送容器が積載された定温輸送容器アセンブリの一例を示す断面図である。
図14】4個×4段の定温輸送容器が積載された定温輸送容器アセンブリの一例を示す断面図である。
図15】本発明の実施形態2に係る定温輸送容器の概略構成を示す斜視図である。
図16】1601および1602は、本発明の実施形態2に係る定温輸送容器に備えられる側壁面パネルの構成の一例を示す断面図である。
図17】本発明の実施形態2に係る定温輸送容器の変形例1の概略構成を示す平面図である。
図18】凝固・融解状態の異なる2種以上の蓄熱材及び/又は蓄冷材を用いた場合の定温輸送容器の側壁面パネルの構成を示す図である。
図19】本発明の実施形態3に係る定温輸送容器の概略構成を示す斜視図である。
図20】本発明の実施形態4に係る定温輸送容器の概略構成を示す斜視図である。
図21】2101は、本発明の実施形態5に係る定温輸送容器の概略構成を示す斜視図であり、2102は、本発明の実施形態5に係る温輸送容器の側壁面パネルの構成を示す断面図である。
図22】本発明の実施形態6に係る定温輸送容器の概略構成を示す斜視図である。
図23】本発明の実施形態7に係る定温輸送容器の概略構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
〔本発明の一実施形態の技術的思想〕
特許文献1または2に記載の定温輸送容器は、壁面パネルそれぞれに蓄熱材を搭載した後、当該壁面パネルを組み立てることによって製造される。すなわち、特許文献1または2に記載の定温輸送容器は、壁面パネルのみを組み立てた断熱容器の状態では蓄熱材を搭載できない構成となっている。それゆえ、断熱容器の状態で蓄熱材をパッキングすることは困難である。
【0011】
本願発明者は、断熱容器への蓄熱材のパッキングの簡易化を課題として、鋭意検討した。その結果、定温輸送容器の断熱容器の外壁面側から使用者が蓄熱材をパッキングできる構成であれば、断熱容器への蓄熱材のパッキングの時間および手間が大幅に軽減されることを着想し、本実施形態の定温輸送容器に至った。
【0012】
ここで、定温輸送容器は、(1)側方に複数連結する、あるいは高さ方向に複数積載したアセンブリの形態、または、(2)複数連結および積載されない単体の形態で使用され得る。上述した「断熱容器への蓄熱材のパッキングの簡易化」という課題は、上記(1)および(2)の両方の形態に対して起こり得る課題である。
【0013】
以下、種々の実施形態について説明するが、実施形態1に係る定温輸送容器は、主に(1)アセンブリの形態で使用するのに適した構成であり、実施形態2~7に係る定温輸送容器は、主に(2)単体の形態で使用するのに適した構成である。
【0014】
〔実施形態1〕
上記(1)アセンブリの形態での使用において、特許文献1および2に開示された定温輸送容器は、各側面部および下面部に対する蓄熱材のパッキング作業性の点で改善の余地がある。
【0015】
実施形態1に係る定温輸送容器および定温輸送容器アセンブリによれば、簡便に定温輸送パッケージをパッキングできるという効果に加え、定温輸送容器のアセンブリの形態での使用に際し、各側面部および下面部に対する蓄熱材のパッキング作業性を改善できるという効果も奏する。
【0016】
(定温輸送容器10の構成)
以下、本発明の一実施形態について、詳細に説明する。図1の101は、本実施形態に係る定温輸送容器10の概略構成を示す斜視図であり、図1の102および103は、定温輸送容器10の概略構成を示す平面図である。
【0017】
図1の101~103に示されるように、本実施形態に係る定温輸送容器10は、断熱容器Xと、収納材T(嵌め込み部材)と、を備えている。断熱容器Xは、内部に荷室Aが形成された、平面視で矩形形状の、発泡プラスチック製の容器本体を備えている。当該容器本体は、短辺側面部11および13と、長辺側面部12および14と、上面部15と、下面部16と、を有している。また、収納材Tは、蓄熱材Pである。なお、本明細書では、断熱容器Xの容器本体において、短辺側面部11および13、長辺側面部12および14、上面部15、並びに下面部16それぞれに対して、荷室A側を内側とし、荷室Aと反対側を外側とする。
【0018】
本実施形態に係る定温輸送容器10は、前記容器本体の外側において、短辺側面部11および13と、長辺側面部12および14と、下面部16とからなる群より選択される少なくとも一面に収納材Tを収容するための収容部を備えている。より具体的には、短辺側面部11および13それぞれの外側において、収納材Tを収容するための収容部11aおよび13aが設けられている。また、長辺側面部12および14それぞれの外側において、収納材Tを収容するための収容部12aおよび14aが設けられている。さらに、定温輸送容器10は、前記容器本体の外側において、上面部15に収納材Tを収容するための収容部15aをさらに備える構成となっている。
【0019】
なお、図示されていないが、下面部16の外側においても、収納材Tを収容するための収容部が設けられている。当該収容部は、収容部11a~15aと同様の構成であるので、説明を省略する。また、上面部15に設けられた収容部15aについても、収容部11a~14aと同様であるので、以降の説明を省略する。
【0020】
図1の102および103に示されるように、収容部11a~14aは、1つの蓄熱材Pである収納材Tにおける荷室A側の形状と嵌合する凹部11b~14bを有する。より具体的には、凹部11b~14bはそれぞれ、外側から収納材Tが挿入されるように、外側開口を有する。そして、凹部11b~14bはそれぞれ、この外側開口から内側へ向かって、収納材Tにおける荷室A側の形状と嵌合する形状となっている。収容部11a~14aそれぞれにおいて、収納材Tは、短辺側面部11および13と長辺側面部12および14との少なくとも外側の面と面一になるように嵌合している。
【0021】
また、凹部11b~14bそれぞれの内側には、内側開口11c~14cが形成されている。内側開口11c~14cはそれぞれ、凹部11b~14bそれぞれと荷室Aとを連通する開口である。内側開口11c~14cそれぞれの開口寸法は、凹部11b~14それぞれの前記外側開口の寸法よりも小さくなっている。このような構成によって、凹部11b~14bそれぞれに対して、外側から挿入される収納材Tは、内側開口11c~14cそれぞれから内側への移動が係止される。このように内側開口11c~14cが設けられているので、収容部11a~14aに収容された収納材T、つまり蓄熱材Pが荷室A内において露出した構成となる。それゆえ、荷室A内の温度保持性が向上する。
【0022】
次に、荷室Aに温度保持物品が収容された定温輸送容器10の組立方法について、説明する。当該方法では、まず、断熱容器Xを準備する。断熱容器Xは、公知の方法によって製造されたものであればよく、例えば特開2019-131278号公報に記載のように予め箱状に製造されたもの(以下、一体型と称することもある)であってもよいし、特開2019-163079号公報に記載のように壁面パネルを組み立てて製造されたもの(以下、組立型と称することもある)であってもよい。特開2019-163079号公報を引用すると、断熱容器Xの短辺側面部11、13、長辺側面部12、14、上面部15、および下面部16を構成する壁面パネルを用意し、用意した壁面パネルを組み立て、断熱容器Xを製造する。そして、断熱容器Xの外側から、収容部11a~15a、および下面部16の収容部に収納材Tを嵌合することによって、定温輸送容器10が完成する。温度保持物品は断熱容器Xが開口状態のときに予め収容してもよいし、収納材Tを設置後に収納してもよい。
【0023】
このように、定温輸送容器10の構成によれば、断熱容器Xの容器本体の外側において、短辺側面部11および13と、長辺側面部12および14と、下面部16とからなる群より選択される少なくとも一面に、収納材Tを収容するための収容部(収容部11a~14a)が設けられている。このため、断熱容器Xの外側から収納材Tを挿入可能となる。
【0024】
ここで、特許文献1または2に記載の定温輸送容器は、壁面パネルそれぞれに蓄熱材を搭載した後、当該壁面パネルを組み立てることによって製造される。すなわち、特許文献1または2に記載の定温輸送容器は、壁面パネルのみを組み立てた断熱容器の状態では蓄熱材を搭載できない構成となっている。それゆえ、特許文献1または2に記載の定温輸送容器では、壁面パネルそれぞれに蓄熱材を搭載した後でないと、定温輸送容器アセンブリを構築することができない。したがって、定温輸送容器アセンブリの形態での使用において、特許文献1および2に開示された定温輸送容器は、各側面部および下面部に対する蓄熱材のパッキング作業性の点で改善の余地がある。
【0025】
本実施形態に係る定温輸送容器10の構成によれば、断熱容器Xの外側から収納材Tを挿入できる。このため、断熱容器Xの壁面の収容部に収納材Tを搭載した後、当該断熱容器X同士を連結することによって、定温輸送容器アセンブリを構築できる。特許文献1または2に記載の定温輸送容器のように、壁面パネルそれぞれに蓄熱材を搭載する必要がない。それゆえ、本実施形態に係る定温輸送容器10によれば、断熱容器Xに対する収納材Tのパッキング作業性を改善できる。また、定温輸送容器アセンブリの形態での使用に際し、個々の定温輸送容器10に対し断熱容器Xを事前に用意し、定温輸送容器アセンブリの構築時に収納材Tをパッキングできるので、定温輸送容器アセンブリの構築時の作業を軽減できる。すなわち、本実施形態に係る定温輸送容器10によれば、簡便に定温輸送パッケージをパッキングできる。
【0026】
本実施形態に係る定温輸送容器10は、断熱容器Xが一体型であっても組立型であっても、上述した効果を奏する。定温輸送容器アセンブリの構築容易性の観点では、断熱容器Xは、一体型であることが好ましい。また、断熱容器Xのサイズは、特に限定されないが、定温輸送容器アセンブリの構築容易性の観点では、使用者が手で運ぶことが容易な手持ちサイズであることが好ましい。
【0027】
また、図1の104は、定温輸送容器10の変形例1の概略構成を示す平面図である。変形例1としての定温輸送容器10Aは、断熱容器Xの内部の荷室Aに、さらに収納材T0を備える点が図1の101~103に示す構成と異なる。収納材T0は、蓄熱材P0である。蓄熱材P0は蓄熱材Pと同じであってもよいし、異なっていてもよい。蓄熱材P0が蓄熱材Pと異なる場合は、断熱容器Xにおける蓄熱材PおよびP0の間に介在する部分を介して、蓄熱材Pが蓄熱材P0の温度を間接的に制御することが可能である。このような構成であっても、定温輸送容器アセンブリの形態での使用に際し、断熱容器Xに対する収納材Tのパッキング作業性を改善できる。
【0028】
定温輸送容器10の複数の前記収容部に収容される収納材Tは、全てが蓄熱材Pである必要がなく、少なくとも1つの前記収容部が蓄熱材Pであればよい。図2の201~207は、定温輸送容器10の前記収容部に収容される収納材Tの一例を示す側面図である。なお、図2の201~207に示す収納材は、図1の101~102に示す定温輸送容器10の収容部に収容されることを想定している。
【0029】
図2の201に示されるように、収納材T1は、前記収容部の前記凹部(例えば凹部11b等)に嵌合する断熱材I1であってもよい。収納材T1は、例えば定温輸送容器アセンブリ100の形態で使用するに際し、隣接する2つの断熱容器Xについて、互いに対向する収容部によってできた隙間を埋める隙間埋材として機能する。
【0030】
また、図2の202に示されるように、収納材T2は、断熱材I1と異なる形状の断熱材I2であってもよい。断熱材I2は、前記収容部の前記凹部(例えば凹部11b等)および前記内側開口(例えば内側開口11c等)の両方に嵌合する形状を有している。断熱材I2は、内側に前記内側開口に嵌合する凸部を有している。断熱材I2は、荷室Aを構成する壁部の面一になるように、前記収容部に嵌合する。
【0031】
また、図1の101~103に示された構成では、収納材Tは、単一種類の蓄熱材Pであった。しかし、図2の203に示されるように、収納材T3は、融解温度領域が異なる2つの蓄熱材P1およびP2が積層した集合体であってもよい。この場合、当該集合体が収容される収容部は、当該集合体における荷室A側の形状と嵌合する凹部を有する。すなわち、当該集合体は、前記収容部の前記凹部(例えば凹部11b等)に嵌合する形状となっている。
【0032】
また、図2の204に示されるように、収納材T4は、蓄熱材P3および断熱材I3が積層した集合体であってもよい。収納材T3と同様に、当該集合体は、前記収容部の前記凹部(例えば凹部11b等)に嵌合する形状となっている。また、断熱性の観点から、収納材T4は、内側に蓄熱材P3が配された構成であることが好ましい。
【0033】
また、図2の205に示されるように、収納材T5は、蓄熱材P4およびP5と断熱材I4とが積層した集合体であってもよい。収納材T4等と同様に、当該集合体は、前記収容部の前記凹部(例えば凹部11b等)に嵌合する形状となっている。蓄熱材P4およびP5は、互いに融解温度領域が異なる。また、断熱性の観点から、収納材T5は、内側に蓄熱材P4およびP5が配された構成であることが好ましい。
【0034】
また、図2の206に示されるように、収納材T6は、蓄熱材P6および断熱材I5の集合体であってもよい。断熱性の観点から、収納材T6は、内側に蓄熱材P6が配された構成であることが好ましい。また、収納材T6は、前記収容部の前記凹部(例えば凹部11b等)および前記内側開口(例えば内側開口11c等)の両方に嵌合する形状を有している。この場合、前記収容部は、収納材T6における荷室A側の形状、すなわち蓄熱材P6の荷室A側の形状と嵌合する凹部を有する。具体的には、蓄熱材P6は、内側に前記内側開口に嵌合する凸部を有している。収納材T6は、荷室Aを構成する壁部と面一になるように、前記収容部に嵌合する。
【0035】
また、図2の207に示されるように、収納材T7は、蓄熱材P7および断熱材I6の集合体であってもよい。蓄熱材P7は、前記内側開口(例えば内側開口11c等)に嵌合する平板形状を有している。断熱材I6は、前記収容部の前記凹部(例えば凹部11b等)に嵌合する平板形状を有している。蓄熱材P7は、蓄熱成分又は蓄冷成分(液体)をプラスチック製容器に封入したものである。それゆえ、搭載されたときの収納材T7の姿勢に応じて、蓄熱材P8は変形しない。
【0036】
また、図2の208に示されるように、収納材T8は、蓄熱材P8および断熱材I6の集合体であってもよい。蓄熱材P8は、前記内側開口(例えば内側開口11c等)内に収まる袋の形態の蓄熱材である。蓄熱材P8は、蓄熱成分又は蓄冷成分(液体)をフィルム製の袋等に封入したものである。それゆえ、搭載されたときの収納材T8の姿勢に応じて、蓄熱材P8は変形する。
【0037】
また、図2の209に示されるように、収納材T9は、蓄熱材P9であってもよい。蓄熱材P9は、前記収容部の前記凹部(例えば凹部11b等)および前記内側開口(例えば内側開口11c等)の両方に嵌合する形状を有している。蓄熱材P9は、内側に前記内側開口に嵌合する凸部を有している。蓄熱材P9は、荷室Aを構成する壁部と面一になるように、前記収容部に嵌合する。
【0038】
(収容部11a~16aにおける収納材Tの収容状態について)
上述のように、収納材は、収容部11a~16aにて、荷室Aを構成する壁部(短辺側面部11および13、長辺側面部12および14、上面部15、下面部16)の外側の面と面一となるように嵌合する。しかし収納材は、収容部11a~16aそれぞれと、必ずしも嵌合する必要はない。図3は、側面部、上面部、下面図それぞれの収容部における収納材の収容状態を説明するための断面図である。なお、以下の説明では、収納材として、図2の207に示された収納材T7を例にして説明する。しかし、以下の説明に基づく収納材の収容状態は、収納材T7に対してのみ当てはまるものではないことはいうまでもない。また、図3では、短辺側面部11および13、長辺側面部12および14を総称して、側面部17とし、当該側面部17の収容部、凹部、内側開口を、収容部17a、凹部17b、内側開口17cとする。
【0039】
収納材T7における外側に配された断熱材I6は、凹部15b、16b、または17bに嵌合する形状である。そして、断熱材I6は、搭載されたときの収納材T7の姿勢に応じて変形しない。また、断熱材I6は、好ましくは、荷室Aを構成する壁部(上面部15、下面部16、側面部17)の外側の面と面一となるように嵌合する。
【0040】
また、収納材T7における内側に配された蓄熱材P7は、収容部15aまたは17aにおいて、内側開口15cまたは17cに収容されている部分があればよい。すなわち、荷室A内の温度保持物品が損傷しなければ、蓄熱材P7は、その内側の端面が、上面部15または側面部17の内側の面に対して、内側に位置してもよいし、外側に位置してもよい。さらに、蓄熱材P7は、内側開口15cまたは17cを構成する壁部に対して、接触していてもよいし、離間していてもよい。好ましくは、蓄熱材P7は、上面部15または側面部17の内側の面に対して、面一になっている。
【0041】
また、収容部15aまたは17aにおいては、収納材T7の代わりに図2の208に示す収納材T8が収容されていてもよい。すなわち、内側の蓄熱材は、蓄熱成分又は蓄冷成分(液体)をフィルム製の袋等に封入した蓄熱材P8であってもよい。
【0042】
一方、収容部16aにおいて、蓄熱材P7は、その内側の端面が、下面部16の内側の面に対して面一になっていることが好ましい。蓄熱材P7の内側の端面が下面部16の内側の面に対して面一になっていない場合、下面部16の内側の面に隆起または窪みが生じることになる。このため、荷室Aに温度保持物品を載置する際、温度保持物品を水平に載置することができなくなるおそれがある。
【0043】
なお、定温輸送容器が温度保持物品を水平に載置することができる構造であれば、蓄熱材P7の端面は、下面部16の内側の面に対して面一になっていなくてもよい。図4は、蓄熱材P7の端面が下面部16の内側の面に対して内側に配された場合に、温度保持物品を水平に載置することが可能な定温輸送容器の構成例を示す断面図である。
【0044】
図4に示されるように、収容部15a、16a、および17aにおいて、蓄熱材P7は、その内側の端面が、上面部15、下面部16、および側面部17の内側の面に対して、内側に位置するように収容されている。それゆえ、上面部15、下面部16、および側面部17の内側の面に隆起が生じている。
【0045】
ここで、図4に示す定温輸送容器は、荷室A内部に、物品保持具18を備えている。物品保持具18は、物品保持具本体18aと、支持部18bと、を備えている。物品保持具本体18aは、温度保持物品を収容する空間を構成する。支持部18bは、荷室A内で物品保持具本体18aを支持する。支持部18bは、側面部17と離間するように配置され、上下方向に向かって伸長しており、上面部15および下面部16に当接する。支持部18bにより、物品保持具本体18aは、上面部15、下面部16、および側面部17の内側の面と離間するように支持される。それゆえ、温度保持物品を水平に載置することが可能である。なお、物品保持具18により、例えば、収納材T7の嵌合が外れ、収納材T7の一部が内側に飛び出しても、当該収納材T7から温度保持物品を保護することができる。
【0046】
図5は、蓄熱材P7の端面が下面部16の内側の面に対して外側に配された場合に、温度保持物品を水平に載置することが可能な定温輸送容器の構成例を示す断面図である。
【0047】
図5に示されるように、収容部15a、および16aにおいて、蓄熱材P7は、その内側の端面が、上面部15、および下面部16の内側の面に対して、外側に位置するように収容されている。また、4つの側面部17の収容部17aのうち、少なくとも1つの収容部17aには、図2の208に示す収納材T8が収容され、その他の収容部17aには、収納材T7が収容されている。側面部17の収容部17aにおいて、蓄熱材P7またはP8は、その内側の端面が、側面部17の内側の面に対して、外側に位置するように収容されている。それゆえ、上面部15、下面部16、および側面部17の内側の面に窪みが生じている。
【0048】
ここで、図5に示す定温輸送容器は、荷室A内部に、壁具19aおよび19bを備えている。壁具19aは、少なくとも内側開口16cを覆う平板である。また、壁具19bは、収納材T8が収容された収容部17aの少なくとも内側開口17cを覆う平板である。
【0049】
壁具19aにより、下面部16の内側の面がフラットになる。それゆえ、温度保持物品を水平に載置することが可能である。
【0050】
なお、側面部17に設けられた壁具19bは、必要に応じて設けられていればよい。例えば、図5に示すように、収納材T8に対して壁具19bが設けられている場合、変形可能な蓄熱材P8が内側に飛び出すのを防止することができる。
【0051】
図6の601および602は、本実施形態に係る定温輸送容器10の変形例2および3の構成を示す斜視図である。変形例2および3の定温輸送容器10Bおよび10Cは、各収容部に収容される収納材の種類が異なる点が図1の101~103に示す構成と異なる。
【0052】
図6の601に示されるように、変形例2の定温輸送容器10Bにおいて、短辺側面部11の収容部11aには、蓄熱材Pである収納材Tが収容されている。また、長辺側面部12の収容部12aおよび上面部15の収容部15aの両方には、同一種の収納材が収容されており、例えば図2の201に示す収納材T1(断熱材I1)が収納されている。収容部12aおよび15aに収容される収納材は、同一種であれば、特に限定されず、例えば、図2の201~209に示す収納材T2~T9が収容され得る。
【0053】
図6の602に示されるように、変形例3の定温輸送容器10Cにおいて、短辺側面部11の収容部11a、長辺側面部12の収容部12aおよび上面部15の収容部15aには、それぞれ、異なる種類の収納材が収容されている。例えば、短辺側面部11の収容部11aには、図2の203に示す収納材T3が収容されている。また、長辺側面部12の収容部12aには、図2の204に示す収納材T4が収納されている。さらに、上面部15の収容部15aには、図2の201に示す収納材T1(断熱材I1)が収納されている。収容部11a、12aおよび15aに収容される収納材は、互いに異なる種類であれば、特に限定されず、例えば、図2の201~209に示す収納材T2~T9が適宜組み合わされて収容され得る。
【0054】
(断熱容器Xの素材)
ここで、断熱容器Xの素材としては、断熱性を有するものであれば特に限定されず、公知の発泡プラスチックや真空断熱材が好適に用いられる。発泡プラスチックとしては、具体的には、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン、あるいはポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂等を発泡させたものが用いられる。発泡プラスチックを使用した場合、発泡プラスチック粒子を型内成形することで予め容器の形状にすることも可能であるし、板状の発泡プラスチックボードを切り貼りや組み立てにより容器の形状にすることも可能である。特にパレット上に多数個搭載してアセンブリにすることを考えると、板状の発泡プラスチックボードを使用するよりも、発泡プラスチック粒子を型内成形した容器を使用するほうが、ハンドリングがよい。さらに断熱性に優れる点で、輻射伝熱抑制剤を含有するものが好ましい。例えば、輻射伝熱抑制剤として作用し得るカーボンを含有する、カーボン含有ビーズ発泡成形体が挙げられる。ここでカーボンとは、グラファイト、グラフェン、活性炭、コークス、カーボンブラックなどがあげられる。コスト及び断熱性向上効果のバランスからグラファイト、カーボンブラックが好ましく、グラファイトがより好ましい。また、真空断熱材としては、例えば、芯材にシリカ粉やグラスウール、ガラス繊維等を用いたものが挙げられる。
【0055】
さらに、断熱容器Xは、2種類以上の発泡プラスチックの組合せにより、構成されていてもよい。当該組合せとして、具体的には、ポリエチレンを発泡させた発泡体とポリスチレンを発泡させた発泡体との組合せ等が挙げられる。
【0056】
さらに、断熱容器Xは、発泡プラスチックと真空断熱材との組合せにより構成されていてもよい。その場合には、発泡プラスチックからなる断熱容器Xの外面又は内面を真空断熱材で覆う、あるいは、断熱容器Xを構成する壁の内部に真空断熱材を埋設させることにより、断熱性能の高い輸送容器が得られる。
【0057】
(蓄熱材について)
本実施形態にて使用される蓄熱材P、P0~P9(以下、単に蓄熱材と称する場合もある)について、説明する。ここでいう、蓄熱材は、蓄熱材そのものに加え、蓄冷材を包含するものである。すなわち、本実施形態にて使用される収納材は、蓄熱材および蓄冷材の少なくとも一方を備えている。蓄熱材又は蓄冷材とは、蓄熱成分又は蓄冷成分をプラスチック製容器やフィルム製の袋等に封入したものである。なお、蓄熱材として、蓄熱成分又は蓄冷成分をフィルム製の袋等に封入したものを使用した場合、当該蓄熱材は、収納材の姿勢に応じて変形する。それゆえ、この場合、当該蓄熱材は、最も内側に配される。例えば、図2の205に示す収納材T5に対して当該蓄熱材を適用する場合、蓄熱材P4に対して当該蓄熱材を適用できないが、蓄熱材P5に対して当該蓄熱材を適用し得る。
【0058】
蓄熱成分又は蓄冷成分を充填する容器又は袋の素材としては、特に限定されず、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ナイロン又はポリエステル等が挙げられ、これらの素材のうち1種類を単独で使用してもよく、耐熱性やバリアー性を高めるため、これらの素材のうち2種類以上を組み合わせて多層構造としたものを使用することもできる。また、この容器又は袋の形状としては、特に限定されないが、熱交換率を高める観点から、表面積を大きく確保できる形状が好ましい。
【0059】
また、蓄熱材は、潜熱型の蓄熱材および蓄冷材の少なくとも一方であることが好ましい。潜熱型の蓄熱材又は蓄冷材とは、蓄熱成分又は蓄冷成分の相転移に伴う熱エネルギーを利用するものであって、蓄熱成分又は蓄冷成分の相状態が、凝固状態(固体)から溶融状態(液体)に相転移する際に吸収する熱エネルギー、又は溶融状態(液体)から凝固状態(固体)に相転移する際に放出する熱エネルギーを利用するものである。
【0060】
蓄熱成分又は蓄冷成分の凝固・融解温度とは、その相状態が凝固状態(固体)から溶融状態(液体)に、もしくは溶融状態(液体)から凝固状態(固体)に変化する温度である。本明細書において蓄冷材組成物の「融解温度」とは、「固体状の蓄冷材組成物が融解して液化する際に、当該蓄冷材組成物が呈する温度」のことを意図する。上記「融解温度」について、より具体的に、図7を用いて説明する。図7は、恒温槽内に、凝固状態の蓄冷材組成物を設置した後、当該恒温槽の温度を極低温から一定の昇温速度で温度上昇させた場合の、蓄冷材組成物の温度を時間に対してプロットしたグラフである。図2に示すように、一定速度で上昇していく恒温槽の温度と比較して、蓄冷材組成物の温度は、次の(1)~(3)の順で変化する:(1)一定速度で上昇する;(2)温度Tにおいて蓄冷材組成物の潜熱によりほとんど変化しなくなり、温度Tから温度Tまで、定温を保持する;(3)温度Tを境に、上昇を再開する。本明細書において、温度Tを「融解開始温度」と称し、温度Tを「融解終了温度」と称する。温度Tと温度Tとの中点の温度Tを、本明細書において「融解温度」と定義する。
【0061】
相状態とは、一般的に物質の固体、液体、気体の3つの相状態を表すが、本実施形態では、このうち固体と液体の相状態を利用する。蓄熱成分又は蓄冷成分の相状態とは、50重量%以上の相状態を指し、例えば、蓄熱成分の80重量%が固体状態で20重量%が液体状態である相状態は固体(凝固状態)である。
【0062】
本実施形態に使用される潜熱型の蓄熱成分又は蓄冷成分を構成する組成物としては、特に限定されず、例えば、国際公開2014/125878号、国際公開2019/151074号、国際公開2016/068256号、国際公開2019/172260号、国際公開2018/180506号等に開示された組成物を用いることができる。
【0063】
本実施形態に係る定温輸送容器には、1種からなる蓄熱材及び/又は蓄冷材(蓄熱材及び蓄冷材の一方又は両方)を収納配置してもよい。冬場のように外気温度が管理温度より低い場合、収納配置する蓄熱材及び/又は蓄冷材の凝固・融解温度より高い温度にて調温し、融解状態にあるものを配置する。この場合、外気温度により蓄熱材及び/又は蓄冷材が冷却されて温度低下し、融解状態(液体)から凝固状態(固体)へと相転移するために熱エネルギーを放出することで、温度保持物品が外気に曝されることを抑制でき、所定の温度範囲内に維持できる。
【0064】
一方、夏場のように外気温度が管理温度より高い場合、収納配置する蓄熱材及び/又は蓄冷材の凝固・融解温度より低い温度にて調温し、凝固状態にあるものを配置する。この場合、外気温度により、蓄熱材及び/又は蓄冷材が加熱されて温度上昇し、凝固状態(固体)から融解状態(液体)へと相転移するために熱エネルギーを吸収することで、温度保持物品が外気に曝されることを抑制でき、所定の温度範囲内に維持できる。
【0065】
これら1種からなる蓄熱材及び/又は蓄冷材を用いた場合、定温輸送容器を構成する断熱材を介し、外気との温度差に起因する温度上昇及び低下による影響を単一の蓄熱材及び/又は蓄冷材成分が有する潜熱エネルギーの放出/吸収作用にて抑制でき、所定の温度範囲内にある程度の時間維持することができる。しかしながら、外部環境温度に対し蓄熱材及び/又は蓄冷材を事前に指定の温度に調整する必要があって煩雑さを伴い、長時間の温度保持のためには使用する蓄熱材及び蓄冷材の数量/重量が増加する傾向にある。
【0066】
また、本実施形態においては、融解温度領域が異なる複数の蓄熱材を用いてもよい。本実施形態に係る定温輸送容器には、例えば図2の203に示されるように、収納材T3に対して凝固・融解状態の異なる2種以上の蓄熱材及び/又は蓄冷材を収納配置することができる。例えば、第1の蓄熱材又は蓄冷材(a)と、第2の蓄熱材又は蓄冷材(b)とを用いて、外気温度に関係なく一年を通して同じ調温条件とする場合には、次の蓄熱材P1およびP2の組合せが例示される。温度保持物品に近い蓄熱材P2には、凝固・融解温度が管理温度近傍で、かつ融解状態にある第1の蓄熱材又は蓄冷材(a)を収納し、その第1の蓄熱材又は蓄冷材(a)の外周部にある蓄熱材P1には、凝固・融解温度が0℃以下で、かつ凝固状態にある第2の蓄熱材又は蓄冷材(b)を収納してなる組合せが例示される。
【0067】
また、第1の蓄熱材又は蓄冷材(a)と、第2の蓄熱材又は蓄冷材(b)とを用いた場合、第1の蓄熱材又は蓄冷材(a)を管理温度よりも高い温度にて融解状態となるよう調温し、第2の蓄熱材又は蓄冷材(b)を第2の蓄熱材又は蓄冷材(b)の融解温度以下の温度で凝固凍結させてもよい。この場合、温度保持物品に近い蓄熱材P2には、第1の蓄熱材又は蓄冷材(a)を収容し、蓄熱材P1には、第2の蓄熱材又は蓄冷材(b)を収容する。そして、第1の蓄熱材又は蓄冷材(a)の外側に配置された第2の蓄熱材又は蓄冷材(b)は、温度保持物品の温度を所望の温度範囲に維持するための外気温に対する熱緩衝材として機能する。
【0068】
これら凝固・融解状態の異なる2種以上の蓄熱材及び/又は蓄冷材を用いた場合、容器を構成する断熱材を介し、外気との温度差に起因する温度上昇及び低下による影響を温度保持物品に隣接配置した第1の蓄熱材又は蓄冷材(a)の外側に配置した第2の蓄熱材又は蓄冷材(b)を用い熱緩衝材として作用させることで抑制でき、第1の蓄熱材又は蓄冷材(a)と第2の蓄熱材又は蓄冷材(b)との温度相互作用により、融解状態にある第1の蓄熱材又は蓄冷材(a)が冷却されて温度低下し、融解状態(液体)から凝固状態(固体)へ相転移するために熱エネルギーを放出することで、温度保持物品をその温度より高い温度とより低い温度の両方から保護することができ、結果、蓄熱材又は蓄冷材の使用量を低減でき、より長い時間温度保持物品を所定の温度範囲内に維持できる。
【0069】
(定温輸送容器アセンブリの構成)
図8は、本実施形態に係る定温輸送容器アセンブリの構成例を模式的に示した図である。なお、図8では、図面の簡潔性のため、収納材および収納部を省略している。定温輸送容器アセンブリ100Aは、比較的少量(1段程度)の定温輸送容器10がパレット20上に積載された構成である。また、定温輸送容器アセンブリ100Bは、中量の定温輸送容器10がパレット20上に積載された構成である。また、定温輸送容器アセンブリ100Cは、多量の定温輸送容器10がパレット20上に積載された構成である。本実施形態によれば、定温輸送容器10には凹凸嵌合部が設けられているので、隣接する定温輸送容器10同士を嵌合することで定温輸送容器10の積載量を適宜設定可能であり、かつ、定温輸送容器10を安定に保持できる定温輸送容器アセンブリを実現できる。なお、定温輸送容器10の積載量が中量または多量である定温輸送容器アセンブリ100Bまたは100Cに対しては、定温輸送容器10の積載物を覆うカバー30が設けられていてもよい。カバー30を設けることにより、次の効果を奏する。(a)嵌合された定温輸送容器10同士の固定を強化できる。(b)嵌合された定温輸送容器10同士の密着性を高め、定温輸送容器10同士の隙間を減じることができる(c)嵌合された定温輸送容器10同士の隙間から漏れる冷気や熱気を保持できる。(d)定温輸送容器10への外部からの直接損傷を回避できる。
【0070】
ここで、一般的に、1つの大型の定温輸送容器を用いて温度保持物品を定温輸送する場合、定温輸送容器の一部に損傷が生じると、当該定温輸送容器に収容された温度保持物品は全て温度保持できなくなるというリスクがある。本実施形態に係る定温輸送容器アセンブリ100A~100Cによれば、定温輸送容器アセンブリ100A~100Cの一部に損傷が生じても、損傷した定温輸送容器10に収容された温度保持物品だけが温度保持できなくなり、損傷していない定温輸送容器10に収容された温度保持物品は、温度保持可能である。このように、定温輸送容器アセンブリ100A~100Cによれば、損傷した定温輸送容器10のみに対して温度保持物品が温度保持不能の被害を受けるだけで済む。このため、定温輸送にかかるリスクを低減できる。
【0071】
(定温輸送容器同士の嵌合について)
なお、図8に示す構成では、定温輸送容器10同士の嵌合構造について省略している。定温輸送容器10同士の嵌合構造は、公知の嵌合構造であれば、特に限定されない。定温輸送容器10同士の嵌合構造として、例えば、特開2019-131278号公報に開示された嵌合構造が挙げられる。図9は、定温輸送容器10同士の嵌合構造の一例を示し、図9の901は平面図であり、図9の902は斜視図である。定温輸送容器10同士の嵌合構造は、図9に示す構成に限定されない。なお、図9では、図面の簡潔性のため、収納材および収納部を省略している。
【0072】
図9の901および902に示されるように、複数の定温輸送容器10は、互いに嵌合連結する構造となっている。すなわち、定温輸送容器10は、本体である断熱容器Xの側面部、上面部、および下面部からなる群より選択される少なくとも一面にて、他の定温輸送容器10の断熱容器と連結可能となるように、凹凸嵌合部が形成されている。
【0073】
図9の901および902に示されるように、定温輸送容器10は、断熱容器Xの側面部にて他の定温輸送容器10の断熱容器Xと連結可能となるように、前記凹凸嵌合部として、凸条10aおよび凸条10aに嵌合する凹溝10bが形成されている。凸条10aおよび凹溝10bは、水平方向において、互いに対向する断熱容器Xの側面部に設けられている。
【0074】
また、定温輸送容器10は、断熱容器Xの上面部または下面部にて他の定温輸送容器10の断熱容器Xと連結可能となるように、前記凹凸嵌合部として、凸条10cおよび凸条10cに嵌合する凹溝(不図示)が形成されている。
【0075】
このように複数の定温輸送容器10が互いに嵌合連結する構造となっているので、安定した定温輸送容器アセンブリを構成することができる。
【0076】
以下、本実施形態に係る定温輸送容器アセンブリの具体的な構成について、より詳述する。図10の1001~1003は、本実施形態に係る定温輸送容器アセンブリに適用可能な定温輸送容器の2個構成単位の構成例を示す断面図である。図10の1001~1003は、定温輸送容器アセンブリを鉛直方向に切断した縦断面を示す。なお、本実施形態に係る定温輸送容器アセンブリにおける定温輸送容器の2個構成単位は、図10の1001~1003に示す構成に限定されない。
【0077】
図10の1001に示されるように、本実施形態に係る定温輸送容器アセンブリは、定温輸送容器10Dおよび10Eからなる構成単位を含んでいてもよい。定温輸送容器10Dでは、短辺側面部13の収容部13a、上面部15の収容部15a、および下面部16の収容部16aに、収納材T4が収容されている。収納材T4は、蓄熱材P3および断熱材I3の集合体であり、内側に蓄熱材P3が配され、外側に断熱材I3が配されている。また、定温輸送容器10Eでは、短辺側面部11の収容部11a、上面部15の収容部15a、および下面部16の収容部16aに、収納材T4が収容されている。
【0078】
定温輸送容器10Dおよび10Eにおける互いに隣り合う2面において、定温輸送容器10Dの短辺側面部11の収容部11aには、収納材T3が収容されている。一方、定温輸送容器10Eの短辺側面部13の収容部13aには収納材T3が収容されている。収納材T3は、蓄熱材P1およびP2の集合体である。収容部11aおよび13aにおいて、収納材T3は、内側に蓄熱材P2が、外側に蓄熱材P1が配された構成である。
【0079】
図10の1001に示す定温輸送容器アセンブリは、定温輸送容器10Dの荷室と定温輸送容器10Eの荷室とを仕切る隔壁部分に、2種類の蓄熱材P1およびP2によって構成される収納材が収容されている構成であるといえる。そして、当該収納材は、定温輸送容器10Dおよび10Eそれぞれの内側に配された2つの蓄熱材P2によって、蓄熱材P1が挟持された構成であるといえる。好ましい様態としては、蓄熱材P2およびP3の融解温度は同じである。他の好ましい様態としては、蓄熱材P2の図7における(2)の定温状態に保持する時間を延長できるように、蓄熱材P1の融解温度は、蓄熱材P2の融解温度以下である。
【0080】
また、図10の1002に示されるように、本実施形態に係る定温輸送容器アセンブリは、定温輸送容器10Fおよび10Gからなる構成単位を含んでいてもよい。定温輸送容器10Fでは、短辺側面部13の収容部13a、および下面部16の収容部16aには収納材T2が収容されている。また、上面部15の収容部15aには収納材T4(断熱材I3および蓄熱材P3)が収容されている。収納材T2は、断熱材I2から構成されている。収容部13aおよび16aそれぞれにおいて、断熱材I2は、外側の部分が凹部13bおよび16bと嵌合し、内側に内側開口13cおよび16cに嵌合する凸部を有している。定温輸送容器10Gでは、短辺側面部11の収容部11a、および下面部16の収容部16aに、収納材T2が収容されている。また、上面部15の収容部15aには収納材T4が収容されている。
【0081】
定温輸送容器10Fおよび10Gにおける互いに隣り合う2面において、定温輸送容器10Fの短辺側面部11の収容部11aおよび定温輸送容器10Gの短辺側面部13の収容部13aの両方には、収納材T7が収容されている。収納材T7は、蓄熱材P7から構成されている。定温輸送容器10Fの収容部11aおよび定温輸送容器10Gの収容部13aそれぞれにおいて、蓄熱材P7は、外側の部分が凹部11bおよび13bと嵌合し、内側に内側開口11cおよび13cと嵌合する凸部を有している。図10の1002に示す定温輸送容器アセンブリは、定温輸送容器10Fの荷室と定温輸送容器10Gの荷室とを仕切る隔壁部分に、蓄熱材P7によって構成される収納材が収容されている構成であるといえる。好ましい様態としては、蓄熱材P3およびP7の融解温度は同じである。また、図10の1002に示す構成は、収納材T2を備えている。それゆえ、荷室の内側にて露出する収納材の一部を断熱材I2としている。図10の1002に示す構成は、蓄熱材の使用量を減らすことによって、蓄熱材Pの図7における(2)の定温状態に保持する時間を長く、あるいは短く制御する構成例であるといえる。
【0082】
また、図10の1003に示されるように、本実施形態に係る定温輸送容器アセンブリは、定温輸送容器10Hおよび10Iからなる構成単位を含んでいてもよい。定温輸送容器10Hおよび10Iは、収容部11a’、13a’、15a’、および16a’の構成が図10の1001に示す定温輸送容器10Dおよび10Eと異なる。定温輸送容器10Hの収容部11a’、13a’、15a’、および16a’は、凹部11b、13b、15b、および16bと荷室とを仕切る隔壁11d、13d、15d、および16dを有している。定温輸送容器10Iの収容部11a’、13a’、15a’、および16a’も同様である。すなわち、本実施形態に係る定温輸送容器においては、蓄熱材を収容する収容部と荷室とが連通していなくてもよいし、複数の連通孔が隔壁11d、13d、15d、および16d中に存在してもよい。隔壁11d、13d、15d、および16dは、収容される蓄熱材の潜熱が荷室に伝わる程度の厚さであればよい。隔壁11d、13d、15d、および16dが断熱層として存在することによって、蓄熱材P2、P3の図7における(2)の定温状態に保持する時間を延長できる。
【0083】
図11の1101~1103は、本実施形態に係る定温輸送容器アセンブリに適用可能な定温輸送容器の4個構成単位の構成例を示す断面図である。当該4個構成単位は、水平方向に2個連結した定温輸送容器が2段積載されたものとなっている。なお、図11の1101~1103は、定温輸送容器アセンブリを鉛直方向に切断した縦断面を示す。なお、本実施形態に係る定温輸送容器アセンブリにおける定温輸送容器の4個構成単位は、図11の1101~1103に示す構成に限定されない。
【0084】
図11の1101に示す定温輸送容器アセンブリは、4つの定温輸送容器10Jを構成単位とする。定温輸送容器10Jは、短辺側面部11の収容部11a、短辺側面部13の収容部13a、上面部15の収容部15a、および下面部16の収容部16aに、蓄熱材Pである収納材Tが収容されている。
【0085】
図11の1102に示す定温輸送容器アセンブリは、4つの定温輸送容器10Kを構成単位とする。定温輸送容器10Kでは、短辺側面部11の収容部11a、短辺側面部13の収容部13a、上面部15の収容部15a、および下面部16の収容部16aに、収納材T4が収容されている。
【0086】
図11の1103に示す定温輸送容器アセンブリは、2つの定温輸送容器10Lおよび2つの定温輸送容器10Mを構成単位とする。当該構成単位において、2つの定温輸送容器10Lが水平方向に連結している。また、2つの定温輸送容器10Mが水平方向に連結している。そして、鉛直方向において、定温輸送容器10Mの連結体の上段に、定温輸送容器10Lの連結体が連結している。
【0087】
定温輸送容器10Lでは、短辺側面部11の収容部11a、短辺側面部13の収容部13a、および上面部15の収容部15aに、収納材T4が収容されている。また、定温輸送容器10Mでは、短辺側面部11の収容部11a、短辺側面部13の収容部13a、および下面部16の収容部16aに、収納材T4が収容されている。
【0088】
定温輸送容器10Lおよび10Mにおける上下方向に互いに隣り合う2面によって形成された収容部には、単一の収納材T10が収納されている。この収納材T10は、2つの蓄熱材P10によって断熱材I10が挟持された構成となっている。上下方向に互いに隣り合う定温輸送容器10Lおよび10Mにおいて、定温輸送容器10Lの下面部16の収容部16aおよび定温輸送容器10Mの上面部15の収容部15aは連通し、1つの空間を構成する。当該1つの空間に、収納材T10が収容されている。
【0089】
そして、このような構成とすることによって、定温輸送容器10Lおよび10Mの連結部分に対して1つの収納材T10を使用するだけで済み、部品点数を削減できる。さらに、収納材T10自体が、上下方向での定温輸送容器10Lおよび10Mの嵌合を補助することもできる。
【0090】
次に、図12図14を参照して、多量の定温輸送容器が積載された定温輸送容器アセンブリの構成例として、4個×4段の定温輸送容器が積載された定温輸送容器アセンブリについて説明する。図12図14は、定温輸送容器アセンブリを鉛直方向に切断した縦断面を示す。
【0091】
図12に示す定温輸送容器アセンブリ100Dでは、4個×4段の定温輸送容器は、収容部に収納材T(蓄熱材P)が収容されている第1壁部と、収容部に収納材T1(断熱材I1)が収容されている第2壁部と、を有する。4個×4段の定温輸送容器において、互いに隣接した2つの壁部には前記第1壁部が割り当てられている。一方、4個×4段の定温輸送容器において、隣接する壁部がない壁部には、前記第2壁部が割り当てられている。前記第2壁部が割り当てられた壁部は、定温輸送容器アセンブリ100Dにおける外部に露出した壁部であるといえる。
【0092】
図12に示す定温輸送容器アセンブリ100Dにおいて、例えば、互いに隣接する短辺側面部11Bおよび短辺側面部13Aには、収納材Tが収容された前記第1壁部が割り当てられている。また、例えば、外部に露出した、短辺側面部11A、上面部15A、および下面部16Bには、収納材T1が収容された前記第2壁部が割り当てられている。
【0093】
図13に示す定温輸送容器アセンブリ100Eは、図12に示す定温輸送容器アセンブリ100Dと同様に、前記第1壁部と前記第2壁部とを有する。しかし、定温輸送容器アセンブリ100Eは、4個×4段の定温輸送容器における前記第1壁部および前記第2壁部の位置関係が定温輸送容器アセンブリ100Dと異なる。
【0094】
まず、4個×4段の定温輸送容器において、水平方向に互いに隣接する2つの壁部には、前記第1壁部が割り当てられている。また、4個×4段の定温輸送容器において、隣接する壁部がない壁部には、前記第2壁部が割り当てられている。また、4個×4段の定温輸送容器において、鉛直方向に互いに隣接する2つの壁部それぞれには、前記第1壁部および前記第2壁部が割り当てられている。当該鉛直方向に互いに隣接する2つの壁部において、上側の壁部に対して前記第2壁部が割り当てられ、下側の壁部に対して前記第1壁部が割り当てられている。
【0095】
図13に示す定温輸送容器アセンブリ100Eにおいて、例えば、水平方向に互いに隣接する短辺側面部11Dおよび短辺側面部13Cには、収納材Tが収容された前記第1壁部が割り当てられている。また、例えば、外部に露出した、短辺側面部11C、上面部15C、および下面部16Dには、収納材T1が収容された第2壁部が割り当てられている。また、例えば、鉛直方向に互いに隣接する下面部16Cおよび上面部15Dそれぞれには、前記第1壁部および前記第2壁部が割り当てられている。そして、下面部16Cおよび上面部15Dのうち、上側に配された下面部16Cには、前記第2壁部が割り当てられ、下側に配された上面部15Dには、前記第1壁部が割り当てられている。図13に示す定温輸送容器アセンブリにおいて、定温輸送容器10Pの下面部16Cの収容部16aは、断熱容器X1が他の断熱容器X2と連結したときに、連結部分Bに配置されている。そして、収容部16aは、他の断熱容器X2の上面部15Dの収容部15aに収容される収納材T(蓄熱材P)を覆う断熱部となるように構成されている。より具体的には、定温輸送容器10Pの下面部16Cの収容部16aは、収納材T1(断熱材I1)が収容された構成である。当該構成では、断熱材I1が他の断熱容器X2の上面部15Dの収容部15aに収容される収納材T(蓄熱材P)を覆う。なお、図13に示す構成は、蓄熱材Pの図7における(2)の定温状態に保持する時間が、図12に示す構成よりも短くてもよい場合に適用し得る。一般的に蓄熱材Pの重量は断熱材Iの重量よりも大きい。それゆえ、図13に示す構成は、図12に示す構成よりも、定温輸送容器の重量を減じることができる。
【0096】
図14に示す定温輸送容器アセンブリ100Fは、2つの荷室区域YおよびZが割り当てられた構成である。4個×4段の定温輸送容器において、上側2段の部分が荷室区域Yに相当し、下側2段の部分が荷室区域Zに相当する。荷室区域Yに属する定温輸送容器には、蓄熱材P2である収納材T8が収容されている。一方、荷室区域Zに属する定温輸送容器には、蓄熱材P1である収納材T9が収納されている。蓄熱材P1およびP2は、互いに融解温度領域が異なる。なお、定温輸送容器の輸送手段(例えば航空便)にて、定温輸送容器単位で費用が加算される場合、図14に示す構成は、単位容積当たりに2種類の温度保持物品を輸送できるので、費用を削減できる。
【0097】
図14に示す定温輸送容器アセンブリ100Fでは、4個×4段の定温輸送容器は、収容部に収納材T1(断熱材I1)が収容されている第2壁部と、収容部に収納材T8(蓄熱材P2)が収容されている第3壁部と、容部に収納材T9(蓄熱材P1)が収容されている第4壁部とを有する。4個×4段の定温輸送容器において、隣接する壁部がない壁部には、前記第2壁部が割り当てられている。
【0098】
また、荷室区域Yと荷室区域Zとの境界を挟んで互いに隣接する2つの壁部それぞれには、前記第2壁部および前記第4壁部が割り当てられている。そして、荷室区域Yと荷室区域Zとの境界を挟んで互いに隣接する2つの壁部において、荷室区域Y側に属する壁部には、前記第2壁部が割り当てられ、荷室区域Z側に属する壁部には、前記第4壁部が割り当てられている。
【0099】
また、荷室区域Yに属する4個×2段の定温輸送容器において、互いに隣接する2つの壁部には、前記第3壁部が割り当てられている。また、荷室区域Zに属する4個×2段の定温輸送容器において、互いに隣接する2つの壁部には、前記第4壁部が割り当てられている。
【0100】
図14に示す定温輸送容器アセンブリ100Fにおいて、例えば、外部に露出した、短辺側面部11E、上面部15E、および下面部16Gには、収納材T1が収容された第2壁部が割り当てられている。また、例えば、荷室区域Yに属する4個×2段の定温輸送容器において、互いに隣接する2つの短辺側面部11Fおよび短辺側面部13Eには、収納材T8が収容された第3壁部が割り当てられている。また、例えば、荷室区域Zに属する4個×2段の定温輸送容器において、互いに隣接する2つの短辺側面部11Gおよび短辺側面部13Fには、収納材T9が収容された第4壁部が割り当てられている。
【0101】
さらに、例えば、荷室区域Yと荷室区域Zとの境界を挟んで互いに隣接する上面部15Hおよび下面部16Hそれぞれには、前記第2壁部および前記第4壁部が割り当てられている。そして、上面部15Hおよび下面部16Hにおいて、荷室区域Y側に属する下面部16Hには、前記第2壁部が割り当てられ、荷室区域Z側に属する上面部15Hには、前記第4壁部が割り当てられている。
【0102】
なお、上記の説明では、定温輸送容器アセンブリを鉛直方向に切断した縦断面における構成について説明した。しかし、本実施形態に係る定温輸送容器アセンブリは、水平方向に切断した横断面において図10~14と同様となる構成であってもよい。
【0103】
〔実施形態2~7の技術思想〕
従来、輸送対象物である温度保持物品を定温輸送パッケージにパッキングする場合、温度保持物品は、パッキング直前まで定温庫で保管されている。また、蓄熱材は、事前に調温された状態となっている。それゆえ、定温輸送パッケージのパッキング方法は、温度保持物品および蓄熱材をパッキング作業場へ持ち込み、当該パッキング作業場にて定温輸送パッケージを組み立てるという方法を採用している。このようなパッキング方法に対して、特許文献1および2に記載の定温輸送容器を用いた場合、定温輸送容器内への温度保持物品の搭載作業から、蓄熱材をパッキングし、外装材によって定温輸送容器を包装し定温輸送パッケージを完成するまでに、作業手順が多くなる。その結果、定温輸送パッケージのパッキングに時間および手間がかかる。
【0104】
本願発明者は、定温輸送パッケージのパッキングの簡易化を課題として、鋭意検討した。その結果、定温輸送容器の容器本体の外壁面側から使用者が蓄熱材をパッキングできる構成であれば、定温輸送パッケージのパッキングの時間および手間が大幅に軽減されることを着想し、本実施形態の定温輸送容器に至った。
【0105】
〔実施形態2〕
以下、本発明の一実施形態について、詳細に説明する。図15は、本実施形態に係る定温輸送容器10-1の概略構成を示す斜視図である。
【0106】
本実施形態に係る定温輸送容器10-1は、温度保持物品を定温輸送可能な組立型の構成である。図15に示されるように、定温輸送容器10-1は、断熱容器X-1と、蓄熱材Pと、を備えている。断熱容器X-1は、矩形箱形状であり、4つの側壁面パネル11-1と、天面パネル12-1と、底面パネル13-1と、嵌め込み部14-1と、を備えている。
【0107】
側壁面パネル11-1は、上記短辺側面部または上記長辺側面部を構成する。また、天面パネル12-1は、上記上面部を構成する。また、底面パネル13-1は、上記下面部を構成する。なお、定温輸送容器10-1の断熱容器X-1は、4つの側壁面パネル11-1と、天面パネル12-1と、底面パネル13-1と、を備えた、組立型の容器に限定されない。断熱容器X-1は、上記短辺側面部、上記長辺側面部、上面部、および下面部がパネルによって構成されていない、一体型の容器であってもよい。ただし、上記(2)単体の形態で使用する観点では、断熱容器X-1は、パネル同士を分離可能であり省スペース化が可能な組立型であることが好ましい。また、断熱容器X-1のサイズは、特に限定されないが、上記(2)単体の形態で使用する観点では、手持ちサイズよりも使用者が手で運びにくい大型サイズであることが好ましい。
【0108】
天面パネル12-1および底面パネル13-1は、4つの側壁面パネル11-1と分離可能な矩形状板材により構成されている。また、4つの側壁面パネル11-1はそれぞれ、矩形状板材により構成されている。側壁面パネル11-1を構成する矩形状板材は、互いに分離可能となっている。ここで、側壁面パネル11-1、天面パネル12-1、および底面パネル13-1に対して、定温輸送容器10-1の荷室側を内側とし、当該内側と反対側を外側とする。さらに、定温輸送容器10-1において、天面パネル12-1側を上側とし、底面パネル13-1側を下側とする。
【0109】
4つの側壁面パネル11-1と、天面パネル12-1および底面パネル13-1とは、公知の連結手段によって、連結している。例えば、凹凸構造によって、側壁面パネル11-1と、天面パネル12-1および底面パネル13-1とは連結している。この場合、4つの側壁面パネル11-1それぞれの上端部と、当該上端部に対する天面パネル12-1の対向部分と、の間には、凹凸嵌合構造が形成されている。また、4つの側壁面パネル11-1それぞれの下端部は、底面パネル13-1と嵌合する構造になっている。
【0110】
また、4つの側壁面パネル11-1同士は、公知の連結手段によって、連結している。例えば、凹凸構造によって、4つの側壁面パネル11-1同士は連結している。この場合、4つの側壁面パネル11-1を構成する矩形状板材において、互いに隣接する矩形状板材の対向部分には凹凸嵌合構造が形成されている。
【0111】
図15に示されるように、定温輸送容器10-1では、4つの側壁面パネル11-1のうち1つは、蓄熱材Pを収容するための収容部11-1aを有している。収容部11-1aは、上下方向に伸びる凹部である。なお、本実施形態に係る定温輸送容器10-1では、収容部11-1aが設けられた側壁面パネル11-1の数は1つに限定されない。4つの側壁面パネル11-1のうち少なくとも1つが収容部11-1aを有していればよい。また、定温輸送容器10-1では、側壁面パネル11-1の1面に対して、1つ以上の収容部11-1aが設けられている。なお、定温輸送容器10-1は、1つの側壁面パネル11-1に対して1つの収容部11-1aが設けられた構成であってもよい。ただし、バランス良く蓄熱材Pを配置する観点から、好ましくは側壁面パネル11-1の1面に対して、複数の収容部11-1aが設けられている。
【0112】
収容部11-1aには、3つの蓄熱材Pが収容される。これら3つの蓄熱材Pは互いに連結した構成であってもよいし、互いに分離した構成であってもよい。収容部11-1aは、側壁面パネル11-1の外側の面、すなわち外壁面に設けられている。収容部11-1aは、外側に開放した開口を有する。この開口を介して、使用者は、断熱容器X-1の外側から、収容部11-1aへ蓄熱材Pを収納できる。
【0113】
嵌め込み部14-1は、収容部11-1aにおける外側に開放した前記開口を閉塞する部材である。図15に示された構成では、上下方向に並ぶ2つの嵌め込み部14-1によって、収容部11-1aが閉塞されている。各嵌め込み部14-1は、収容部11-1aに嵌合して嵌め込まれる。そして、各嵌め込み部14-1は、側壁面パネル11-1の外壁面と面一になるように、収容部11-1aと嵌合して嵌め込まれる。このように嵌め込み部14-1が収容部11-1aに嵌め込まれるので、収容部11-1a内への外気の流入を防止できる。
【0114】
また、各嵌め込み部14-1には、切り欠き部14-1aが設けられている。切り欠き部14-1aは、嵌め込み部14-1の外側の面に設けられている。切り欠き部14-1aは、使用者が嵌め込み部14-1を移動させる際に指を引っ掛ける取っ手として機能する。それゆえ、切り欠き部14-1aの寸法は、使用者の指を引っ掛けることが可能な寸法であればよい。このように切り欠き部14-1aが設けられているので、収容部11-1aに対し、使用者は、嵌め込み部14-1を取り付ける、あるいは取り外すことが容易になる。
【0115】
そして、切り欠き部14-1aは、収容部11-1aに貫通しない。切り欠き部14-1aは、外側に開放し、かつ水平方向に延びた凹溝として形成されている。すなわち、切り欠き部14-1aは、収容部11-1aにおける蓄熱材Pの収容空間と外部とを連通しない。このため、収容部11-1a内の蓄熱材Pの潜熱が嵌め込み部14-1を介して外部へ漏れない。
【0116】
また、収容部11-1aと荷室Aとは、蓄熱材Pにより荷室A内の温度保持物品を定温に保持可能であれば、連通していても連通していなくてもよい。好ましくは、収容部11-1aと荷室Aとは、連通している。
【0117】
なお、図15以降の定温輸送容器を示す斜視図には、3つの収容部11-1aのうち1つに対して、蓄熱材Pおよび嵌め込み部14-1が設けられていることが示されている。これら図面では、残り2つの収容部11-1aに対して設けられた蓄熱材Pおよび嵌め込み部14-1については、省略している。
【0118】
収容部11-1aは、蓄熱材Pを収納可能であれば、図15に示す構成に限定されない。また、収容部11-1aの数や寸法は、定温輸送容器10-1の断熱容器X-1の構造、蓄熱材Pの構成に応じて適宜設定することができる。
【0119】
また、定温輸送容器10-1は、天面パネル12-1に対して、蓄熱材P、蓄熱材Pを収容するための収容部12-1a、および収容部12-1aに嵌合して嵌め込まれる嵌め込み部(不図示)が設けられた構成であってもよい。この構成は、側壁面パネル11-1に加え、天面パネル12-1に対して蓄熱材Pをパッキングする場合に有効である。
【0120】
次に、定温輸送容器10-1を用いた定温輸送パッケージのパッキング方法について、説明する。例えば、当該パッキング方法は、次の(1)~(4)の手順によって実施される。
【0121】
(1)4つの側壁面パネル11-1、天面パネル12-1、底面パネル13-1、および温度保持物品を準備し、内部に温度保持物品が搭載された断熱容器X-1を組み立てる。(2)組み立てた断熱容器X-1における側壁面パネル11-1の収容部11-1a(必要に応じて天面パネル12-1の収容部12-1a)に対して、外側から蓄熱材Pを収容する。(3)蓄熱材Pが収容された収容部11-1aに対して、嵌め込み部14-1を嵌合して嵌め込む。(4)嵌め込み部14-1を嵌め込んだ断熱容器X-1に対して外装材を包装する。(1)~(4)の手順により定温輸送容器10-1の定温輸送パッケージが完成する。
【0122】
このように、定温輸送容器10-1を用いた定温輸送パッケージのパッキング方法では、断熱容器X-1の外壁面から蓄熱材Pを搭載することができる。それゆえ、側壁面パネル11-1に対する蓄熱材Pのパッキングが簡易化される。したがって、定温輸送容器10-1の構成によれば、定温輸送パッケージのパッキングの時間および手間が大幅に軽減される。
【0123】
さらに、当該パッキング方法では、断熱容器X-1内に温度保持物品を搭載する作業のみを事前に実施しておき、定温輸送パッケージのパッキング当日に、側壁面パネル11-1に対して蓄熱材Pをパッキングする作業のみを行うことが可能である。それゆえ、定温輸送パッケージのパッキング当日に行う作業の手間を軽減できる。なお、断熱容器X-1内に温度保持物品を搭載する作業は、定温輸送パッケージのパッキングの前日に実施してもよい。
【0124】
図16の1601は、側壁面パネル11-1の構成の一例を示す断面図である。図16の1601に示す構成では、蓄熱材Pは、荷室A側へ向かって突出する凸部Paを有する構造であってもよい。そして、収容部11-1aは、荷室Aと連通する穴部11-1bを有している。この穴部11-1bは、蓄熱材Pにおける荷室A側の形状と嵌合する構造となっている。より具体的には、穴部11-1bは、蓄熱材Pの凸部Paと嵌合する形状を有する。穴部11-1bと凸部Paとの嵌合により、蓄熱材Pは、収容部11-1a内にて移動しにくくなり、位置が固定される。収容部11-1aに収容された蓄熱材Pからの冷気は、穴部11-1bを介して、荷室Aへ流入する。なお、図16の1602に示されるように、蓄熱材Pは、凸部Paを有さない直方体形状であってもよい。
【0125】
また、図17は、定温輸送容器10-1の変形例1の概略構成を示す平面図である。変形例1としての定温輸送容器10’-1は、断熱容器X’-1の内部の荷室Aに、さらに蓄熱材P0を備える点が図15に示す構成と異なる。このような構成であっても、定温輸送パッケージのパッキングの時間および手間が大幅に軽減される。
【0126】
また、嵌め込み部14-1の素材は、実施形態1にて説明した断熱容器Xの素材を適用することができる。
【0127】
また、本実施形態においては、融解温度領域が異なる複数の蓄熱材を用いてもよい。本実施形態に係る定温輸送容器10-1、10’-1には、凝固・融解状態の異なる2種以上の蓄熱材及び/又は蓄冷材を収納配置することができる。
【0128】
凝固・融解状態の異なる2種以上の蓄熱材及び/又は蓄冷材を用いた場合の構成を図18に示す。図18に示す構成に基づいて具体例を示すと、融解温度が5℃あるいは20℃近傍に調整された蓄熱材または蓄冷材が蓄熱材P1に対応し、融解温度が0℃に調整された蓄熱材または蓄冷材が蓄熱材P2に対応する。
【0129】
蓄熱材及び/又は蓄冷材の汎用性の観点から、好ましくは、蓄熱材Pは、複数の蓄熱材及び/又は蓄冷材が連結した連結体である。これにより、蓄熱材Pは、パッキング時の作業性を改善されるとともに、寸法が異なる複数の定温輸送容器それぞれに対応するように構成することができる。その結果、蓄熱材Pの汎用性が高まる。
【0130】
〔実施形態3〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0131】
図19は、本実施形態に係る定温輸送容器10-1Aの概略構成を示す斜視図である。図19に示されるように、本実施形態に係る定温輸送容器10-1Aは、嵌め込み部15-1の構成が前記実施形態2と異なる。
【0132】
定温輸送容器10-1Aは、1つの嵌め込み部15-1によって収容部11-1aが閉塞された構成となっている。また、切り欠き部15-1aは、水平方向に並んだ2つのドット状の凹部からなるセットが、上下方向に2セット並んだ構成となっている。各ドット状の凹部の寸法は、使用者の指が挿入されるように設定されている。
【0133】
本実施形態に係る定温輸送容器10-1Aであっても、定温輸送パッケージのパッキングの時間および手間を大幅に軽減できる。
【0134】
〔実施形態4〕
本発明のさらに他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0135】
図20は、本実施形態に係る定温輸送容器10-1Bの概略構成を示す斜視図である。図20に示されるように、本実施形態に係る定温輸送容器10-1Bは、嵌め込み部16-1Aの構成が前記実施形態2と異なる。
【0136】
定温輸送容器10-1Bは、1つの嵌め込み部16-1Aによって収容部11-1aが閉塞された構成となっている。嵌め込み部16-1Aには、上下方向に並ぶ2つの切り欠き部16-1aおよび16-1bが形成されている。切り欠き部16-1aは、嵌め込み部16-1Aの外側の表面から荷室A側へ向かって凹み、途中で下方に凹む凹溝である。また、切り欠き部16-1bは、嵌め込み部16-1Aの外側の表面から荷室A側へ向かって凹み、途中で上方に凹む凹溝である。切り欠き部16-1aおよび16-1bに両手を挿入することによって、使用者は、嵌め込み部16-1Aを両手で掴みやすくなる。
【0137】
本実施形態に係る定温輸送容器10-1Bであっても、定温輸送パッケージのパッキングの時間および手間を大幅に軽減できる。
【0138】
〔実施形態5〕
本発明のさらに他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0139】
図21の2101は、本実施形態に係る定温輸送容器10-1Cの概略構成を示す斜視図である。図21の2102は、定温輸送容器10-1Cの側壁面パネル11-1の構成を示す断面図である。図21の2101および2102に示されるように、本実施形態に係る定温輸送容器10-1Cは、嵌め込み部16-1Bの構成が前記実施形態2と異なる。さらに、嵌め込み部16-1Bは、収容部11-1aとの嵌合構造が実施形態4における嵌め込み部16-1Aと異なる。
【0140】
嵌め込み部16-1Bは、荷室A側の面に、収容部11-1aに嵌合するための2つの嵌合凸部16-1cが設けられている。嵌合凸部16-1cは、上下方向に伸びる凸条である。そして、収容部11-1aには、穴部11-1bに対して荷室Aと反対側に凹部11-1cが設けられている。凹部11-1cには、蓄熱材Pが配置される。凹部11-1cに配置された状態では、蓄熱材Pは、収容部11-1aの側壁と離間している。2つの嵌合凸部16-1cは、収容部11-1aの側壁と蓄熱材Pとの離間部分に対応して配置される。そして、収容部11-1aの側壁と蓄熱材Pとにより形成された凹部11-1dは、嵌合凸部16-1cと嵌合する。このような嵌合によって、嵌め込み部16-1Bは、収容部11-1aをより強固に閉塞する。それゆえ、収容部11-1a(蓄熱材Pの収容空間)への外気の流入を防止できる。なお、図21に示す構成では、嵌合凸部16-1cと嵌合する凹部は、収容部11-1aの側壁と蓄熱材Pとにより形成されていた。しかし、当該嵌合凹部は、嵌合凸部16-1cと嵌合できる構造であれば、収容部11-1aに対してどのような形態で形成されていてもよい。例えば、収容部11-1aにおける嵌合凸部16-1cと当接する位置に、上記嵌合凹部として凹溝が形成された構成であってもよい。当該構成では、蓄熱材Pと独立して(蓄熱材Pが収容部11-1aに収容されていない状態であっても)、嵌合凸部16-1cは上記凹溝と嵌合する。
【0141】
〔実施形態6〕
本発明のさらに他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0142】
図22は、本実施形態に係る定温輸送容器10-1Dの概略構成を示す斜視図である。図22に示されるように、本実施形態に係る定温輸送容器10-1Dは、嵌め込み部17-1は、その内部に蓄熱材Pを搭載する凹溝17-1c(搭載部)を備えた点が前記実施形態2と異なる。
【0143】
嵌め込み部17-1は、切り欠き部17-1aおよび17-1bと、凹溝17-1cと、2つの係止部17-1dと、を有する。
【0144】
切り欠き部17-1aおよび17-1bは、上下方向に並んで形成されている。切り欠き部17-1aは、嵌め込み部17-1の外側の表面から荷室A側へ向かって凹み、途中で下方に凹む凹溝である。また、切り欠き部17-1bは、嵌め込み部17-1の外側の表面から荷室A側へ向かって凹み、途中で上方に凹む凹溝である。切り欠き部17-1aおよび17-1bに両手を挿入することによって、使用者は、嵌め込み部17-1を両手で掴みやすくなる。
【0145】
凹溝17-1cは、内側に開放した凹溝であり、上下方向に伸びている。凹溝17-1cは、3つの蓄熱材Pを収容可能であり、蓄熱材Pが上下方向にスライド可能に構成されている。
【0146】
2つの係止部17-1dは、凹溝17-1cの側壁の内側の端部から、凹溝17-1cの幅が狭くなるように突出した凸条である。2つの係止部17-1dはそれぞれ、上下方向に伸びた凸条である。凹溝17-1cに蓄熱材Pが収容された状態で、係止部17-1dは、蓄熱材Pの内側の面と当接する。係止部17-1dは、凹溝17-1cに収容された蓄熱材Pに対して、収容部11-1a側への移動を係止する機能を有する。凹溝17-1cおよび係止部17-1dによって、蓄熱材Pは、嵌め込み部17-1に対して一体的に移動可能に搭載されることになる。また、2つの係止部17-1dは、凹溝17-1c内の空間と収容部11-1a内の空間を連通する開口を構成する。
【0147】
また、本実施形態に係る定温輸送容器10-1Dを用いた定温輸送パッケージのパッキング方法は、側壁面パネル11-1の収容部11-1aに対する外側からの蓄熱材Pの収容手順が前記実施形態2と異なる。より具体的には、上述した実施形態2に係る定温輸送容器10-1を用いた定温輸送パッケージのパッキング方法の(2)および(3)の手順が異なる。
【0148】
定温輸送容器10-1Dを用いた定温輸送パッケージのパッキング方法では、側壁面パネル11-1の収容部11-1aに対する外側からの蓄熱材Pを収容するに際し、以下の(i)および(ii)の手順を行う。(i)嵌め込み部17-1の凹溝17-1c内に3つの蓄熱材Pを挿入することによって、嵌め込み部17-1に蓄熱材Pを搭載する。(ii)定温輸送容器10-1Dにおける側壁面パネル11-1の収容部11-1a(必要に応じて天面パネル12-1の収容部12-1a)に対して、外側から、蓄熱材Pが搭載された嵌め込み部17-1を嵌合して嵌め込む。
【0149】
定温輸送容器10-1Dを用いた定温輸送パッケージのパッキング方法では、嵌め込み部17-1に対して一体化した状態で蓄熱材Pを収容部11-1aに嵌め込む。すなわち、収容部11-1aに蓄熱材P単体を収容するのではなく、予め蓄熱材Pを嵌め込み部17-1に搭載した状態にして収容部11-1aに嵌め込む。それゆえ、収容部11-1aに蓄熱材P単体を収容した場合と比較して、嵌め込み部17-1を収容部11-1aに嵌め込むに際し、蓄熱材Pが嵌め込み部17-1側に倒れ掛かることにより嵌め込み部17-1を収容部11-1aに嵌め込みにくくなるといった不便を解消できる。
【0150】
〔実施形態7〕
本発明のさらに他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0151】
図23は、本実施形態に係る定温輸送容器10-1Eの概略構成を示す斜視図である。図23に示されるように、本実施形態に係る定温輸送容器10-1Eは、収容部11-1aが水平方向に伸びる凹部である点が前記実施形態2と異なる。
【0152】
図23に示されるように、収容部11-1aは、上下方向において、3つ並んで配置されている。各収容部11-1aには、蓄熱材Pが水平方向に並んで複数収容されている。
【0153】
嵌め込み部18-1は、収容部11-1aにおける外側に開放した開口を閉塞する部材である。このため、嵌め込み部18-1は、水平方向に伸長した直方体となっている。
【0154】
嵌め込み部18-1には、切り欠き部18-1aが設けられている。切り欠き部18-1aは、嵌め込み部18-1の外側の面に設けられている。切り欠き部18-1aは、使用者が嵌め込み部18-1を移動させる際に指を引っ掛ける取っ手として機能する。
【0155】
本実施形態に係る定温輸送容器10-1Eであっても、定温輸送パッケージのパッキングの時間および手間を大幅に軽減できる。
【0156】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【0157】
〔まとめ〕
本発明の態様1に係る定温輸送容器10は、断熱容器Xと蓄熱材Pとを備える定温輸送容器10であって、前記断熱容器Xは、内部に荷室Aが形成された矩形箱形状であり、前記断熱容器Xは、側面部(短辺側面部11、13、長辺側面部12、14)と、上面部15と、下面部16と、を有し、前記断熱容器Xの外側において、前記側面部、および前記下面部16からなる群より選択される少なくとも一面に、前記蓄熱材Pを収容するための収容部11a~14a、16aを備える構成である。また、本発明の態様1に係る定温輸送容器10-1は、断熱容器X-1と蓄熱材Pとを備える定温輸送容器10-1であって、前記断熱容器X-1は、内部に荷室Aが形成された矩形箱形状であり、前記断熱容器X-1は、側面部(側壁面パネル11-1)と、上面部15(天面パネル12-1)と、下面部(底面パネル13-1)と、を有し、前記断熱容器X-1の外側において、前記側面部、および前記下面部からなる群より選択される少なくとも一面に、前記蓄熱材Pを収容するための収容部11-1aを備える構成でもある。
【0158】
本発明の態様2に係る定温輸送容器10は、態様1において、前記断熱容器Xは、前記側面部、上面部15および下面部16からなる群より選択される少なくとも一面にて、他の断熱容器Xと連結可能となるように、嵌合凹凸部(凸条10a、凹溝10b、凸条10c)が形成されている構成である。
【0159】
本発明の態様3に係る定温輸送容器10は、態様2において、前記収容部16aは、前記断熱容器X1が他の断熱容器X2と連結したときに、当該連結部分Bに配置され、前記他の断熱容器X2が前記収容部15aに収納される蓄熱材Pを覆う断熱部となるように構成されている構成である。
【0160】
本発明の態様4に係る定温輸送容器10は、態様1~3の何れかにおいて、前記収容部11a~16aには、融解温度領域が異なる、複数の蓄熱材P1、P2が収容される構成である。
【0161】
本発明の態様5に係る定温輸送容器10は、態様1~4の何れかにおいて、前記収容部11aは、1つの蓄熱材Pまたは複数の蓄熱材P1およびP2の集合体における前記荷室A側の形状と嵌合する凹部11bを有する構成である。
【0162】
本発明の態様6に係る定温輸送容器10は、態様5において、前記収容部11aが設けられた前記断熱容器Xの少なくとも外側の面と面一となるように、前記凹部11bと嵌合し、前記1つの蓄熱材P、前記複数の蓄熱材P1およびP2、および断熱材I1からなる群より選択される少なくとも1つの部材で構成された第1嵌め込み部(収納材T、収納材T1~T7)を備えた構成である。
【0163】
本発明の態様7に係る定温輸送容器10は、態様1~6の何れかにおいて、さらに、前記断熱容器Xの内部の荷室Aに、蓄熱材(収納材T0)を備える構成である。
【0164】
本発明の態様8に係る定温輸送容器10-1は、態様1において、前記収容部11-1aは、前記側面部(側壁面パネル11-1)に形成され、前記収容部11-1aに嵌合して嵌め込まれる、第2嵌め込み部(嵌め込み部14-1)と、を備え、前記第2嵌め込み部には、切り欠き部14-1aが形成されている構成である。
【0165】
本発明の態様9に係る定温輸送容器10-1は、態様8において、前記断熱容器X-1は、前記側面部としての4つの側壁面パネル11-1と、前記上面部としての天面パネル12-1と、前記下面部としての底面パネル13-1と、を備えた、組立型の容器である構成である。
【0166】
本発明の態様10に係る定温輸送容器10-1は、態様9において、前記収容部11-1aは、1面の側壁面パネル11-1につき、複数の収容部11-1aが設けられている構成である。
【0167】
本発明の態様11に係る定温輸送容器10-1Cは、態様8~10の何れかにおいて、前記第2嵌め込み部(嵌め込み部16-1B)には、前記収容部11-1aに嵌合するための嵌合凸部16-1cが設けられており、前記収容部11-1aには、前記嵌合凸部16-1cと嵌合する嵌合凹部(収容部11-1aの側壁と蓄熱材Pとにより形成された凹部11-1d)が設けられている構成である。
【0168】
本発明の態様12に係る定温輸送容器10-1Dは、態様8~11の何れかにおいて、前記第2嵌め込み部(嵌め込み部17-1)は、その内部に前記蓄熱材Pを搭載する搭載部(凹溝17-1c)を備えている構成である。
【0169】
本発明の態様13に係る定温輸送容器アセンブリ100は、態様1~7の何れかの定温輸送容器10と、当該定温輸送容器10を積載するパレット20と、を備え、前記定温輸送容器10が複数篏合連結している構成である。
【0170】
〔別の構成〕
本発明の態様14に係る定温輸送容器10は、態様1~7の何れかにおいて、前記断熱容器Xの外側において、前記上面部15に前記収容部15aをさらに備える構成である。
【0171】
本発明の態様15に係る定温輸送容器10-1は、温度保持物品を定温輸送可能な組立式の定温輸送容器10-1であって、4つの側壁面パネル11-1と、天面パネル12-1と、底面パネル13-1と、を備え、前記4つの側壁面パネル11-1の少なくとも1つは、外壁面に設けられた、蓄熱材Pを収容するための収容部11-1aと、前記収容部11-1aに嵌合して嵌め込まれる、嵌め込み部14-1と、を備え、前記嵌め込み部14-1には、切り欠き部14-1aが形成されている構成である。
【0172】
本発明の態様16に係る定温輸送容器10-1は、態様8~12の何れかまたは態様15において、前記収容部12-1aおよび前記第2嵌め込み部は、前記天面パネル12-1に設けられている構成である。
【0173】
本発明の態様17に係る定温輸送容器10-1は、態様8~12の何れかまたは態様15若しくは16において、前記切り欠き部14-1aは、前記収容部11-1aに貫通していない構成である。
【符号の説明】
【0174】
10、10A~10M 定温輸送容器
10a、10c 凸条(凹凸嵌合部)
10b 凹溝(凹凸嵌合部)
11、11A~11G 短辺側面部(側面部)
11a 収容部
11b 凹部
12 長辺側面部(側面部)
12a 収容部
12b 凹部
13、13A、13C、13E、13F 短辺側面部(側面部)
13a 収容部
13b 凹部
14 長辺側面部(側面部)
14a 収容部
14b 凹部
15、15A、15C、15D、15E、15H 上面部
15a 収容部
16、16B、16C、16D、16G、16H 下面部
16a 収容部
20 パレット
100、100A~100F 定温輸送容器アセンブリ
A 荷室
I1~I6 断熱材
P、P0~P9 蓄熱材
T1~T10 収納材(第1嵌め込み部)
X、X1、X2 断熱容器
10-1、10’-1、10-1A 定温輸送容器
10-1B、10-1C、10-1D 定温輸送容器
11-1 側壁面パネル
11-1a、12-1a 収容部
11-1b 穴部
12-1 天面パネル
13-1 底面パネル
14-1、15-1、16-1A 嵌め込み部(第2嵌め込み部)
16-1B、17-1 嵌め込み部(第2嵌め込み部)
14-1a、15-1a、16-1a 切り欠き部
16-1b、17-1a、17-1b 切り欠き部
16-1c 嵌合凸部
17-1c 凹溝(搭載部)
X-1、X’-1 断熱容器

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23