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7813874ポリプロピレン系樹脂発泡粒子、ポリプロピレン系樹脂発泡成形体およびポリプロピレン系樹脂発泡粒子の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2026-02-04
(45)【発行日】2026-02-13
(54)【発明の名称】ポリプロピレン系樹脂発泡粒子、ポリプロピレン系樹脂発泡成形体およびポリプロピレン系樹脂発泡粒子の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08J 9/18 20060101AFI20260205BHJP
【FI】
C08J9/18 CES
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2024512517
(86)(22)【出願日】2023-03-28
(86)【国際出願番号】 JP2023012378
(87)【国際公開番号】W WO2023190441
(87)【国際公開日】2023-10-05
【審査請求日】2025-11-28
(31)【優先権主張番号】P 2022053911
(32)【優先日】2022-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000000941
【氏名又は名称】株式会社カネカ
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】松田 安叶
(72)【発明者】
【氏名】木口 太郎
【審査官】芦原 ゆりか
(56)【参考文献】
【文献】特開平5-202221(JP,A)
【文献】特開2014-173012(JP,A)
【文献】国際公開第2016/098698(WO,A1)
【文献】特開2000-154270(JP,A)
【文献】特開2000-198872(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08J 9/00-9/42
B29C 44/00-44/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロピレン系ランダム共重合体とプロピレン系ブロック共重合体とを含有する基材樹脂を含むポリプロピレン系樹脂粒子を、発泡温度を163.5℃以下、かつ発泡圧力を2.80MPa以下の条件で除圧発泡させる発泡工程を有し、前記基材樹脂はプロピレン系ランダム共重合体およびプロピレン系ブロック共重合体の合計量を100重量%としたとき、前記プロピレン系ランダム共重合体を73重量%~95重量%含み、前記プロピレン系ブロック共重合体を5重量%~27重量%含む、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子の製造方法。
【請求項2】
下記式(1)を満たす、請求項1に記載のポリプロピレン系樹脂発泡粒子の製造方法:
Y<-0.07X+3.6・・・(1);
ここで、
前記Xは、前記基材樹脂における、プロピレン系ランダム共重合体およびプロピレン系ブロック共重合体の合計量を100重量%としたときの、前記プロピレン系ブロック共重合体の含有比率(重量%)であり、
前記Yは、前記発泡工程における発泡圧力(MPa)である。
【請求項3】
前記発泡温度が150℃以上である、請求項1または2に記載のポリプロピレン系樹脂発泡粒子の製造方法。
【請求項4】
プロピレン系ランダム共重合体とプロピレン系ブロック共重合体とを含有する基材樹脂を含み、
ピーク強度比I720/I810が0.45~0.67であり、
収縮率が20%以下である、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子:
ここで、前記ピーク強度比I720/I810は、赤外分光分析で得られるスペクトルにおいて得られる波長810cm-1のピークの強度であるI810に対する、波長720cm-1のピークの強度であるI720の比であり、
前記収縮率(%)は、下記式(2)で求められる値である;
前記収縮率(%)=(BD-VBD)×100/VBD・・・(2)
式(2)中、
前記BDは、温度が23℃であり、かつ圧力が0.1MPaである領域下で測定して得られるポリプロピレン系樹脂発泡粒子の嵩密度であり、
前記VBDは、温度が23℃であり、かつ圧力が-0.09MPaである領域下で測定して得られるポリプロピレン系樹脂発泡粒子の嵩密度である。
【請求項5】
前記基材樹脂は、プロピレン系ランダム共重合体およびプロピレン系ブロック共重合体の合計量を100重量%としたとき、前記プロピレン系ランダム共重合体を73重量%~95重量%含み、前記プロピレン系ブロック共重合体を5重量%~27重量%含む、請求項4に記載のポリプロピレン系樹脂発泡粒子。
【請求項6】
前記プロピレン系ブロック共重合体の融点が160℃以上180℃以下である、請求項4に記載のポリプロピレン系樹脂発泡粒子。
【請求項7】
前記プロピレン系ブロック共重合体は、リサイクル樹脂である、請求項4に記載のポリプロピレン系樹脂発泡粒子。
【請求項8】
前記プロピレン系ランダム共重合体は、全構造単位100モル%中、プロピレン単位を50モル%以上含み、かつ、前記プロピレン系ブロック共重合体は、全構造単位100モル%中、プロピレン単位を50モル%以上含む、請求項4に記載のポリプロピレン系樹脂発泡粒子。
【請求項9】
前記プロピレン系ランダム共重合体は、プロピレン単位とエチレン単位とを含むプロピレン/エチレンランダム共重合体を含む、請求項4に記載のポリプロピレン系樹脂発泡粒子。
【請求項10】
前記プロピレン系ランダム共重合体の230℃におけるメルトフローレートは3g/10分~30g/10分である、請求項4に記載のポリプロピレン系樹脂発泡粒子。
【請求項11】
前記プロピレン系ブロック共重合体の融点と前記プロピレン系ランダム共重合体の融点との差が、30℃以下である、請求項4に記載のポリプロピレン系樹脂発泡粒子。
【請求項12】
前記プロピレン系ブロック共重合体の230℃におけるメルトフローレートは3g/10分~30g/10分である、請求項4に記載のポリプロピレン系樹脂発泡粒子。
【請求項13】
DSC比が10.0%~50.0%である、請求項4に記載のポリプロピレン系樹脂発泡粒子。
【請求項14】
発泡倍率が15倍~50倍である、請求項4に記載のポリプロピレン系樹脂発泡粒子。
【請求項15】
請求項4~14のいずれか1項に記載のポリプロピレン系樹脂発泡粒子を発泡成形してなるポリプロピレン系樹脂発泡成形体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はポリプロピレン系樹脂発泡粒子、ポリプロピレン系樹脂発泡成形体およびポリプロピレン系樹脂発泡粒子の製造方法に関する。
に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリプロピレン系樹脂発泡成形体は、自動車内装部材、自動車バンパー用芯材をはじめ、断熱材、緩衝包装材、通い箱など様々な用途に用いられている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-173012号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述のような従来技術は、生産性の観点からは、十分なものでなく、さらなる改善の余地があった。
【0005】
本発明の一実施形態は、前記問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、ポリプロピレン系樹脂発泡成形体の生産性に優れるポリプロピレン系樹脂発泡粒子、および当該ポリプロピレン系樹脂発泡粒子を成形してなるポリプロピレン系樹脂発泡成形体、を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、前記課題を解決するため鋭意検討した結果、本発明を完成させるに至った。
【0007】
すなわち、本発明の一実施形態に係るポリプロピレン系樹脂発泡粒子は、以下の構成を含む。
プロピレン系ランダム共重合体とプロピレン系ブロック共重合体とを含有する基材樹脂を含み、前記ブロック共重合体の含有比率をX(%)、製造時の発泡圧力をY(MPa)とすると、前記XおよびYは下記式(1)を満たす、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子:Y<-0.07X+3.6・・・(1)。
【0008】
また、本発明の別の一実施形態に係るポリプロピレン系樹脂発泡粒子は、以下の構成を含む。
プロピレン系ランダム共重合体とプロピレン系ブロック共重合体とを含有する基材樹脂を含み、ピーク強度比I720/I810が0.45~0.67であり、収縮率が20%以下である、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子:
ここで、前記ピーク強度比I720/I810は、赤外分光分析で得られるスペクトルにおいて得られる波長810cm-1のピークの強度であるI810に対する、波長720cm-1のピークの強度であるI720の比であり、
前記収縮率(%)は、下記式(2)で求められる値である;
前記収縮率(%)=(BD-VBD)×100/VBD・・・(2)
式(2)中、前記BDは、温度が23℃であり、かつ圧力が0.1MPaである領域下で測定して得られるポリプロピレン系樹脂発泡粒子の嵩密度であり、前記VBDは、温度が23℃であり、かつ圧力が-0.09MPaである領域下で測定して得られるポリプロピレン系樹脂発泡粒子の嵩密度である。
【0009】
また、本発明の一実施形態に係るポリプロピレン系樹脂発泡粒子の製造方法は、以下の構成を含む。
プロピレン系ランダム共重合体とプロピレン系ブロック共重合体とを含有する基材樹脂を含むポリプロピレン系樹脂粒子を、発泡温度を163.5℃以下、かつ発泡圧力を2.80MPa以下の条件で除圧発泡させる発泡工程を有し、前記基材樹脂はプロピレン系ランダム共重合体およびプロピレン系ブロック共重合体の合計量を100重量%としたとき、前記プロピレン系ランダム共重合体を73重量%~95重量%含み、前記プロピレン系ブロック共重合体を5重量%~27重量%含む、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子の製造方法。
【0010】
また、本発明の別の一実施形態に係るポリプロピレン系樹脂発泡粒子の製造方法は、以下の構成を含む。
プロピレン系ランダム共重合体とプロピレン系ブロック共重合体とを含有する基材樹脂を含むポリプロピレン系樹脂粒子を、発泡温度を163.5℃以下、かつ発泡圧力を2.80MPa以下の条件で除圧発泡させる発泡工程を有する、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子の製造方法。
【発明の効果】
【0011】
本発明の一態様によれば、ポリプロピレン系樹脂発泡成形体の生産性に優れるポリプロピレン系樹脂発泡粒子、および当該ポリプロピレン系樹脂発泡粒子を成形してなるポリプロピレン系樹脂発泡成形体、を提供することができる、という効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の一実施形態について以下に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明は、以下に説明する各構成に限定されるものではなく、請求の範囲に示した範囲で種々の変更が可能である。また、異なる実施形態または実施例にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせて得られる実施形態または実施例についても、本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。なお、本明細書中に記載された学術文献および特許文献の全てが、本明細書中において参考文献として援用される。また、本明細書において特記しない限り、数値範囲を表す「A~B」は、「A以上(Aを含みかつAより大きい)B以下(Bを含みかつBより小さい)」を意図する。
【0013】
本明細書において、重合体、共重合体または樹脂に含まれる、X単量体に由来する構成単位を「X単位」と称する場合がある。
【0014】
本明細書において特記しない限り、構成単位として、X単位と、X単位と、・・・およびX単位(nは2以上の整数)とを含む共重合体を、「X/X/・・・/X共重合体」とも称する。X/X/・・・/X共重合体としては、明示されている場合を除き、重合様式は特に限定されず、ランダム共重合体であってもよく、交互共重合体であってもよく、ブロック共重合体であってもよく、グラフト共重合体であってもよい。
【0015】
〔1.本発明の一実施形態の技術的思想〕
ポリプロピレン系樹脂発泡成形体の原料としては、一般的にプロピレン系ランダム共重合体が使用され得る。一方で、ポリプロピレン系樹脂発泡成形体の原料として、プロピレン系ブロック共重合体を使用する場合も有る。例えば、ポリプロピレン系樹脂発泡成形体の耐衝撃性を高める場合、または環境負荷を低減する観点からリサイクル樹脂を使用する場合である。
【0016】
ポリプロピレン系樹脂のリサイクル樹脂としては、プロピレン系ランダム共重合体と比較して、プロピレン系ブロック共重合体の流通量が非常に多い。
【0017】
上述したような動機から、本発明者らは、プロピレン系ランダム共重合体とプロピレン系ブロック共重合体とを組み合わせて使用し、ポリプロピレン系樹脂発泡成形体の原料であるポリプロピレン系樹脂発泡粒子を提供することについて、鋭意検討を行った。
【0018】
鋭意検討の過程で、本発明者らは、プロピレン系ランダム共重合体とプロピレン系ブロック共重合体とを組み合わせて使用してポリプロピレン系樹脂発泡粒子を製造し、得られたポリプロピレン系樹脂発泡粒子を使用してポリプロピレン系樹脂発泡成形体を製造する場合、ポリプロピレン系樹脂発泡成形体の生産性が不良となる場合がある、という新規知見を独自に得た。例えば、金型を用いたポリプロピレン系樹脂発泡成形体の製造では、得られたポリプロピレン系樹脂発泡成形体を金型から取出す前に、金型から取出したのちのポリプロピレン系樹脂発泡成形体の膨れを低減するために、冷却する場合がある。かかる冷却時間が、ポリプロピレン系樹脂発泡成形体の生産性に大きく寄与する。上述した「ポリプロピレン系樹脂発泡成形体の生産性が不良となる場合」とは、ポリプロピレン系樹脂発泡成形体の冷却時間が長くなる場合のことを意図する。
【0019】
そこで、本発明者らは、プロピレン系ランダム共重合体とプロピレン系ブロック共重合体とを組み合わせて使用する場合であっても、ポリプロピレン系樹脂発泡成形体の生産性に優れるポリプロピレン系樹脂発泡粒子を提供すべく、さらに鋭意検討を行った。
【0020】
その結果、本発明者らは、以下の新規知見を独自に見出し、本発明を完成させるに至った:プロピレン系ランダム共重合体とプロピレン系ブロック共重合体とを特定の比率で使用し、得られるポリプロピレン系樹脂発泡粒子の収縮率が特定の範囲内となるようにポリプロピレン系樹脂粒子を発泡させることにより、驚くべきことに、ポリプロピレン系樹脂発泡成形体の生産性に優れるポリプロピレン系樹脂発泡粒子を提供できること。
【0021】
〔1.ポリプロピレン系樹脂発泡粒子〕
本発明の一実施形態に係るポリプロピレン系樹脂発泡粒子は、プロピレン系ランダム共重合体とプロピレン系ブロック共重合体とを含有する基材樹脂を含み、前記ブロック共重合体の含有比率をX(%)、製造時の発泡圧力をY(MPa)とすると、前記XおよびYは下記式(1)を満たす。
【0022】
Y<-0.07X+3.6・・・(1)。
【0023】
本発明の別の実施形態に係るポリプロピレン系樹脂発泡粒子は、プロピレン系ランダム共重合体とプロピレン系ブロック共重合体とを含有する基材樹脂を含み、ピーク強度比I720/I810が0.45~0.67であり、収縮率が20%以下である。ここで、前記ピーク強度比I720/I810は、赤外分光分析で得られるスペクトルにおいて得られる波長810cm-1のピークの強度であるI810に対する、波長720cm-1のピークの強度であるI720の比である。前記収縮率(%)は、下記式(2)で求められる値である;
収縮率(%)=(BD-VBD)×100/VBD・・・(2)。
式(2)中、BDは、温度が23℃であり、かつ圧力が0.1MPaである領域下で測定して得られるポリプロピレン系樹脂発泡粒子の嵩密度である。前記式(2)中、VBDは、温度が23℃であり、かつ圧力が-0.09MPaである領域下で測定して得られるポリプロピレン系樹脂発泡粒子の嵩密度である。
【0024】
本明細書において、「ポリプロピレン系樹脂発泡粒子」を「発泡粒子」と称する場合があり、「本発明の一実施形態に係るポリプロピレン系樹脂発泡粒子」を「本発泡粒子」と称する場合があり、「ポリプロピレン系樹脂発泡成形体」を「発泡成形体」と称する場合がある。
【0025】
本発泡粒子は、上述の構成を有するため、発泡成形体の生産性に優れるという利点を有する。例えば、本発泡粒子は、当該発泡粒子を用いて、金型を使用して型内発泡成形する場合、金型内の発泡成形体の冷却時間を短くすることができる、という利点を有する。本発泡粒子は、上述の構成を有するため、強度に優れる発泡成形体を提供できる、という利点も有する。
【0026】
<成分>
(基材樹脂)
前記基材樹脂は、樹脂成分として、少なくともプロピレン系ランダム共重合体とプロピレン系ブロック共重合体と、を含む。基材樹脂は、樹脂成分以外に、任意で発泡核剤等の添加剤を含み得る。基材樹脂は、本発泡粒子を実質的に構成している成分であるともいえる。それ故、基材樹脂に含まれる各成分の種類および量は、本発泡粒子が含む各成分の種類および量ともいえる。
【0027】
プロピレン系ランダム共重合体およびプロピレン系ブロック共重合体は、いずれもポリプロピレン系樹脂である。
【0028】
本明細書において、「ポリプロピレン系樹脂」とは、樹脂を構成している全構成単位100モル%中、プロピレン単位を50モル%以上含む樹脂を意図する。
【0029】
(プロピレン系ランダム共重合体)
プロピレン系ランダム共重合体は、少なくとも、プロピレン単位と、プロピレン単位外の構成単位とを含む。本明細書において、ポリプロピレン系樹脂に含まれる「プロピレン単位以外の構造単位」を「コモノマー単位」と称する場合もある。換言すれば、プロピレン系ランダム共重合体は、少なくとも、プロピレン単位とコモノマー単位と、を含む。
【0030】
コモノマーとしては、エチレン、1-ブテン、イソブテン、1-ペンテン、3-メチル-1-ブテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、3,4-ジメチル-1-ブテン、1-ヘプテン、3-メチル-1-ヘキセン、1-オクテンおよび1-デセンなどの炭素数2または4~12のα-オレフィンが挙げられる。
【0031】
発泡粒子を型内発泡成形するときの成形温度を低くできる観点から、プロピレン系ランダム共重合体が含むコモノマー単位は、エチレン単位であることが好ましい。換言すれば、プロピレン系ランダム共重合体は、プロピレン単位とエチレン単位とを含むプロピレン/エチレンランダム共重合体であることが好ましい。
【0032】
プロピレン系ランダム共重合体はプロピレン/エチレンランダム共重合体に限定されない。プロピレン/エチレンランダム共重合体以外のプロピレン系ランダム共重合体としては、例えば、プロピレン/1-ブテンランダム共重合体、プロピレン/エチレン/1-ブテンランダム共重合体、プロピレン/塩素化ビニルランダム共重合体、プロピレン/無水マレイン酸ランダム共重合体、などが挙げられる。
【0033】
プロピレン系ランダム共重合体は、プロピレン/エチレンランダム共重合体と、プロピレン/エチレンランダム共重合体以外のプロピレン系ランダム共重合体1種以上との組み合わせであってもよい。
【0034】
プロピレン系ランダム共重合体の融点としては、特に限定されないが、130℃以上が好ましく、130℃~160℃がより好ましく、135℃~155℃がより好ましく、140℃~150℃がさらに好ましい。プロピレン系ランダム共重合体の融点が、(i)130℃以上である場合、本発泡粒子から得られる発泡成形体は優れた耐熱性を有し、(ii)160℃以下である場合、本発泡粒子の製造において発泡粒子の発泡倍率を高めることが容易になる、という利点を有する。
【0035】
本明細書において、プロピレン系ランダム共重合体および後述のプロピレン系ブロック共重合体の融点は、示差走査熱量計法(以降、「DSC法」と称する)により測定して求められる値である。具体的な操作手順は、後述する実施例に記載の通りである。示差走査熱量計としては、例えば、セイコーインスツルメンツ(株)製、DSC7020型を用いることができる。
【0036】
プロピレン系ランダム共重合体のメルトフローレート(MFR)は、特に限定されない。本明細書において、「プロピレン系ランダム共重合体のMFR」は、プロピレン系ランダム共重合体の230℃におけるMFRを意図する。プロピレン系ランダム共重合体のMFRは、3g/10分~30g/10分が好ましく、4g/10分~20g/10分がより好ましく、5g/10分~18g/10分がさらに好ましい。プロピレン系ランダム共重合体の230℃におけるMFRが上記範囲であれば、比較的大きな発泡倍率を有する発泡粒子が得られ易いという利点を有する。さらに、この場合、本発泡成形体の表面美麗性が優れ、発泡成形体の収縮率が小さくなる、という利点も有する。
【0037】
本明細書において、プロピレン系ランダム共重合体および後述のプロピレン系ブロック共重合体の230℃におけるMFRは、JIS-K7210記載のメルトマスフローレイト(以下、MFR)測定器を用い、以下の条件で測定して求められる値である:オリフィスが2.0959±0.005mmφ、オリフィス長さが8.000±0.025mm、荷重が2160g、かつ温度が230±0.2℃。
【0038】
プロピレン系ランダム共重合体は、公知の方法で得たものを使用してもよく、リサイクル樹脂を用いても良い。発泡成形体の品質が安定することから非リサイクル樹脂を使用するのが好ましい。
【0039】
(プロピレン系ブロック共重合体)
プロピレン系ブロック共重合体は、少なくとも、プロピレン単位とコモノマー単位と、を含む。
【0040】
プロピレン系ブロック共重合体が含むコモノマー単位としては特に限定されない。コモノマーの具体例については、前記(プロピレン系ランダム共重合体)の項で説明したものと同じであるため、当該記載を援用し、ここでは説明を省略する。
【0041】
入手容易性の観点から、プロピレン系ブロック共重合体が含むコモノマー単位は、エチレン単位であることが好ましい。換言すれば、プロピレン系ブロック共重合体は、プロピレン単位とエチレン単位とを含むプロピレン/エチレンブロック共重合体であることが好ましい。また、プロピレン系ブロック共重合体は、少なくともエチレンブロックを含む共重合体(例えば、プロピレン/エチレンブロック共重合体)であることが好ましい。前記プロピレン系ブロック共重合体としては、ポリプロピレン系樹脂の技術分野で、プロピレン系ブロック共重合体と見做されている物質を含む。例えば、前記プロピレン/エチレンブロック共重合体は、マトリクスとしてホモポリプロピレンを、ドメインとしてエチレン/プロピレン弾性共重合体に覆われたポリエチレン層を含むものであり、インパクトコポリマーと称されることもある。
【0042】
プロピレン系ブロック共重合体はプロピレン/エチレンブロック共重合体に限定されない。プロピレン/エチレンブロック共重合体以外のプロピレン系ブロック共重合体としては、例えば、プロピレン/1-ブテンブロック共重合体、プロピレン/エチレン/1-ブテンブロック共重合体、プロピレン/塩素化ビニルブロック共重合体、プロピレン/無水マレイン酸ブロック共重合体、などが挙げられる。
【0043】
プロピレン系ブロック共重合体は、プロピレン/エチレンブロック共重合体と、プロピレン/エチレンブロック共重合体以外のプロピレン系ブロック共重合体1種以上との組み合わせであってもよい。
【0044】
プロピレン系ブロック共重合体の融点としては、特に限定されないが、160℃以上が好ましく、162℃以上がより好ましく、165℃以上がさらに好ましい。プロピレン系ブロック共重合体の融点の上限値は、特に限定されないが、例えば180℃以下が好ましく、175℃以下がより好ましく、170℃以下がさらに好ましい。プロピレン系ブロック共重合体の融点が、(i)160℃以上である場合、耐熱性に優れるとの効果を有し、(ii)180℃以下である場合、成形加工性に優れるとの効果を有する。
【0045】
本発明の一実施形態において、プロピレン系ブロック共重合体の融点とプロピレン系ランダム共重合体の融点との差(すなわち、プロピレン系ブロック共重合体の融点からプロピレン系ランダム共重合体の融点を引いて得られる値(℃))は、特に限定されないが、30℃以下であることが好ましく、21℃以下であることがより好ましい。当該構成によると、型内成形時の最低成形圧力が、基材樹脂としてプロピレン系ランダム共重合体のみを用いて得られた発泡粒子と同等であり得るという利点を有する。
【0046】
プロピレン系ブロック共重合体のMFRは、特に限定されない。本明細書において、「プロピレン系ブロック共重合体のMFR」は、プロピレン系ブロック共重合体の230℃におけるMFRを意図する。プロピレン系ブロック共重合体のMFRは、3g/10分~30g/10分が好ましく、4g/10分~20g/10分がより好ましく、5g/10分~18g/10分がさらに好ましい。プロピレン系ブロック共重合体の230℃におけるMFRが上記範囲であと、比較的大きな発泡倍率を有する発泡粒子が得られ易く、本発泡成形体の表面美麗性が優れる利点を有する。
【0047】
プロピレン系ブロック共重合体は、公知の方法で得たものを使用してもよいが、リサイクル樹脂であることが好ましい。上述した通り、ポリプロピレン系樹脂のリサイクル樹脂として、プロピレン系ブロック共重合体の流通量は、プロピレン系ランダム共重合体の流通量より多い。プロピレン系ブロック共重合体のリサイクル樹脂は、比較的に容易に入手できる。プロピレン系ブロック共重合体の全てまたは一部分としてリサイクル樹脂を使用する場合、環境汚染を低減させるだけでなく、プラスチックごみの発生量、および、製造に用いるプラスチック量を大きく低減できる。そのため、プロピレン系ブロック共重合体の全てまたは一部分としてリサイクル樹脂を使用する実施形態は、持続可能な開発目標(SDGs)の達成に貢献できる、という利点を有する。
【0048】
本明細書において、「リサイクル樹脂」とは、一度以上、樹脂製品の形態(例えば、発泡粒子、発泡成形体、フィルム、食品トレーや袋、ボトル等の包装容器、衣装ケースやクリアファイル等の雑貨等)を経た後、溶融などの手段によって、再度樹脂(または樹脂粒子)の形態となった樹脂のことを意図する。
【0049】
プロピレン系ブロック共重合体は、リサイクル樹脂と非リサイクル樹脂(一度も樹脂製品の形態を経たことが無い樹脂)との混合物であってもよい。環境負荷を低減する観点から、プロピレン系ブロック共重合体100重量%中のリサイクル樹脂の割合は、50%以上が好ましく、70%以上がより好ましく、80%以上がさらに好ましく、100%である(すなわち、リサイクル樹脂のみから構成される)ことが特に好ましい。
【0050】
前記基材樹脂は、プロピレン系ランダム共重合体およびプロピレン系ブロック共重合体の合計量を100重量%としたとき、(a)プロピレン系ランダム共重合体を73重量%~95重量%含み、プロピレン系ブロック共重合体を5重量%~27重量%含むことが好ましく、(b)プロピレン系ランダム共重合体を74重量%~95重量%含み、プロピレン系ブロック共重合体を5重量%~26重量%含むことがより好ましく、(c)プロピレン系ランダム共重合体を75重量%~93重量%含み、プロピレン系ブロック共重合体を7重量%~25重量%含むことがさらにより好ましい。基材樹脂に含まれるプロピレン系ランダム共重合体およびプロピレン系ブロック共重合体の含有量が上述した範囲内である場合、発泡粒子はポリプロピレン系樹脂発泡成形体の生産性により優れる、という利点を有する。
【0051】
(その他の樹脂等)
基材樹脂は、本発明の一実施形態に係る効果を損なわない範囲で、樹脂成分として、プロピレン系ランダム共重合体およびプロピレン系ブロック共重合体以外の樹脂(その他の樹脂等、と称する場合がある。)をさらに含んでいてもよい。前記その他の樹脂等としては、(a)プロピレン系ランダム共重合体およびプロピレン系ブロック共重合体以外のポリプロピレン系樹脂、(b)高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、直鎖状超低密度ポリエチレン、エチレン/酢酸ビニル共重合体、エチレン/アクリル酸共重合体、およびエチレン/メタアクリル酸共重合体などのエチレン系樹脂、(c)ポリスチレン、スチレン/無水マレイン酸共重合体、およびスチレン/エチレン共重合体などのスチレン系樹脂、(d)プロピレン-α-オレフィン系ワックスなどのポリオレフィン系ワックス、並びに(e)エチレン/プロピレンゴム、エチレン/ブテンゴム、エチレン/ヘキセンゴム、エチレン/オクテンゴムなどのオレフィン系ゴム、などが挙げられる。本発泡粒子におけるその他の樹脂の含有量は、基材樹脂100重量部に対して、10重量部以下であることが好ましく、5重量部以下であることがより好ましい。
【0052】
(添加剤)
基材樹脂は、上述したプロピレン系ランダム共重合体およびプロピレン系ブロック共重合体の他に、さらに任意で添加剤を含んでいてもよい。添加剤としては、着色剤、吸水性物質、発泡核剤、帯電防止剤、難燃剤、酸化防止剤、光安定剤、結晶核剤、導電剤、滑剤等が挙げられる。このような添加剤は、ポリプロピレン系樹脂粒子の製造において、後述するブレンド物もしくはポリプロピレン系樹脂組成物へ直接添加してもよい。
【0053】
<物性>
以下、本発泡粒子の物性について説明する。
【0054】
(ピーク強度比)
本発泡粒子は、ピーク強度比I720/I810が、0.45~0.67であることが好ましい。ピーク強度比I720/I810は、赤外分光分析で得られるスペクトルにおいて、波長720cm-1のピークの強度を「I720」とし、波長810cm-1のピークの強度を「I810」としたとき、I810に対するI720の比である。赤外分光分析は、後述する実施例に記載の方法により測定することができる。波長720cm-1のピークは主にエチレンブロックに由来するピークであり得、波長810cm-1のピークは主にプロピレンに由来するピークであり得る。発泡粒子における波長720nm-1のピークが大きいほど、発泡粒子はエチレンブロックを多く含むことを意図する。
【0055】
したがって、赤外分光分析で得られるピーク強度比I720/I810は、発泡粒子に含まれる基材樹脂に含まれるプロピレンとエチレンブロックとの比率を比較的正確に反映し得る。具体的に、好ましい態様としてプロピレン系ブロック共重合体がエチレンブロックを含む場合、ピーク強度比I720/I810の値が大きいほど、プロピレン系ランダム共重合体およびプロピレン系ブロック共重合体の合計量中のプロピレン系ブロック共重合体の量が多いことを意図する。一実施形態において、基材樹脂の製造に使用するプロピレン系ブロック共重合体のピーク強度比を予め測定しておくことにより、基材樹脂に含まれるプロピレン系プロピレン系ランダム共重合体とプロピレン系ブロック共重合体との比率を求めることができる。
【0056】
前記ピーク強度比は、0.45~0.67であり、0.45~0.65が好ましく、0.47~0.63がより好ましく、0.49~0.61がさらに好ましく、0.50~0.60がよりさらに好ましい。当該構成によると、発泡粒子はポリプロピレン系樹脂発泡成形体の生産性により優れる、という利点を有する。
【0057】
前記ピーク強度比は、本発泡粒子に含まれる各ブロック共重合体の含有量によって制御することができる。
【0058】
(収縮率)
本発泡粒子における、収縮率は下記式(2)で求められる。
収縮率=(BD-VBD)×100/VBD・・・(2)
式(2)中、BDは23℃、0.1MPa(絶対圧)におけるポリプロピレン系樹脂発泡粒子の嵩密度である。換言すれば、BDは標準大気圧下におけるポリプロピレン系樹脂発泡粒子の嵩密度であるとも言える。VBDは23℃、-0.09MPa(ゲージ圧)以下におけるポリプロピレン系樹脂発泡粒子の嵩密度である。換言すれば、VBDは減圧下におけるポリプロピレン系樹脂発泡粒子の嵩密度であると言える。
【0059】
前記収縮率は、20%以下であり、18%以下が好ましく、16%以下がより好ましい。収縮率の下限は特に限定されないが、例えば0%以上であってもよい。収縮率が上述した範囲内である場合、発泡粒子はポリプロピレン系樹脂発泡成形体の生産性により優れる、という利点を有する。
【0060】
前記収縮率は、発泡粒子の製造時の条件(例えば、発泡温度および発泡圧力)を調節することによって制御することができる。
【0061】
(発泡粒子のDSC比)
本発泡粒子は、後述の示差走査熱量測定で得られるDSC曲線において融解ピークを少なくとも2つ有することが好ましい。当該融解ピークのうち、高温側の融解ピークから求められる融解熱量を「高温側融解熱量」とし、低温側の融解ピークから求められる融解熱量を「低温側融解熱量」とする。また、融解ピークが3つ以上である場合には、最も高温の融解ピークから求められる融解熱量を「高温側融解熱量」し、それ以外の融解ピークから求められる融解熱量を「低温側融解熱量」とする。
【0062】
本発泡粒子のDSC比は、特に限定されないが、10.0%~50.0%であることが好ましく、15.0%~40.0%であることがより好ましく、18.0%~30.0%であることがさらに好ましい。発泡粒子のDSC比が10.0%以上である場合、発泡粒子は十分な強度を有する発泡成形体を提供できるという利点を有する。一方、発泡粒子のDSC比が50.0%以下である場合、発泡粒子を比較的低い温度(成形温度)で成形して発泡成形体を提供できるという利点を有する。
【0063】
本明細書において、DSC比とは、本発泡粒子のDSC曲線から算出される、全融解熱量に対する高温側融解熱量の割合、を意図する。本明細書において、DSC曲線は、示差走査熱量計(例えば日立ハイテクサイエンス社製DSC7020型)を用いて得られる。より具体的には、実施例に記載の方法により測定することができる。
【0064】
本発泡粒子のDSC比は、発泡粒子に含まれる融点の高い結晶量の目安となる値でもある。すなわち、DSC比が10.0%~50.0%であることは、発泡粒子が融点の高い結晶を比較的多く含むことを示す。また、発泡粒子のDSC比は、樹脂粒子を発泡させる際、および発泡粒子を膨脹させる際の、樹脂粒子および発泡粒子の粘弾性に大きく関与する。すなわち、発泡粒子のDSC比が10.0%~50.0%である場合、樹脂粒子を発泡する際、および発泡粒子を成形する際に、樹脂粒子および発泡粒子が、それぞれ、優れた発泡性および膨脹性を発揮できる。その結果、発泡粒子は、低い成形圧力で内部融着性に優れるとともに圧縮強度等の機械的強度に優れた発泡成形体を得ることができるという利点を有する。
【0065】
本発泡粒子において、DSC比を所定の範囲に制御する方法としては、本発泡粒子の製造時の条件(特に、発泡温度、発泡圧力、保持時間、および分散液を放出する領域(空間)の温度等)を調整する方法等が挙げられる。調整が容易である点から、DSC比を所定の範囲に制御する方法としては、発泡温度、発泡圧力および/または保持時間を調整する方法が好ましい。
【0066】
例えば、発泡温度を高くするとDSC比は小さくなる傾向があり、逆に発泡温度を低くするとDSC比は大きくなる傾向がある。これは発泡温度によって、融解していない結晶の量が変化するためである。また発泡圧力を高くするとDSC比は小さくなる傾向があり、逆に発泡圧力を低くするとDSC比は大きくなる傾向がある。これは発泡圧力によって、可塑化の度合いが変化し、それによって融解していない結晶の量が変化するためである。また、保持時間を長くするほどDSC比は大きくなる傾向がある。これは保持時間によって、融解していない結晶の成長量が変化するためである。
【0067】
(発泡粒子の発泡倍率)
本発泡粒子は、発泡倍率が15倍~50倍であることが好ましく、18倍~40倍であることがより好ましく、20倍~25倍であることがさらに好ましい。発泡粒子の発泡倍率が(i)15倍以上であれば、軽量な発泡成形体を、生産効率よく得ることができ、(ii)50倍以下であれば、得られる発泡成形体の強度が不足する虞がない。前記発泡倍率は、後述する実施例に記載の方法により測定することができる。
【0068】
(最低成形圧力)
本発泡粒子は、当該発泡粒子を使用して、低い成形圧力で融着率に優れる(例えば、融着率が80%以上である)発泡成形体を得ることができるという利点を有する。換言すれば、本発泡粒子は、基材樹脂としてプロピレン系ランダム共重合体のみを用いて得られた発泡粒子と同等の成形圧力で、融着率に優れる発泡成形体を提供できるという利点を有する。
【0069】
本明細書において、発泡粒子を用いた発泡成形体の製造において、優れた融着率を有する(例えば80%以上の融着率を有する)発泡成形体を提供し得る成形圧力のうち、最低値を「最低成形圧力」とも称する。最低成形圧力は、後述する実施例に記載の方法によって測定することができる。本発泡粒子は、最低成形圧力が低いという利点も有する。換言すれば、本発泡粒子の最低成形圧力は、基材樹脂としてプロピレン系ランダム共重合体のみを用いて得られた発泡粒子と同等であり得る。
【0070】
本発泡粒子の最低成形圧力としては、特に限定されないが、例えば0.30MPa以下であることが好ましく、0.28MPa以下であることがより好ましく、0.26MPa以下であることがさらに好ましい。最低成形圧力の下限は特に限定されないが、例えば0.15MPa以上であってもよい。最低成形圧力が上述した範囲内である場合、経済的に小さな負担で、発泡成形体を提供できる、という利点を有する。
【0071】
〔2.ポリプロピレン系樹脂発泡粒子の製造方法〕
本発明の一実施形態に係るポリプロピレン系樹脂発泡粒子の製造方法は、プロピレン系ランダム共重合体とプロピレン系ブロック共重合体とを含有する基材樹脂を含むポリプロピレン系樹脂粒子を、発泡温度を163.5℃以下、かつ発泡圧力を2.80MPa以下の条件で除圧発泡させる発泡工程を有する。
【0072】
本発明の別の一実施形態に係るポリプロピレン系樹脂発泡粒子の製造方法は、プロピレン系ランダム共重合体とプロピレン系ブロック共重合体とを含有する基材樹脂を含むポリプロピレン系樹脂粒子を、発泡温度を163.5℃以下、かつ発泡圧力を2.80MPa以下の条件で除圧発泡させる発泡工程を有し、前記基材樹脂はプロピレン系ランダム共重合体およびプロピレン系ブロック共重合体の合計量を100重量%としたとき、前記プロピレン系ランダム共重合体を73重量%~95重量%含み、前記プロピレン系ブロック共重合体を5重量%~27重量%含む
(造粒工程)
本製造方法は、プロピレン系ランダム共重合体とプロピレン系ブロック共重合体とを含有する基材樹脂を含むポリプロピレン系樹脂粒子を製造する工程(造粒工程)をさらに含んでいてもよい。本明細書において、「ポリプロピレン系樹脂粒子」を「樹脂粒子」と称する場合がある。
【0073】
樹脂粒子を製造する方法としては、押出機を用いる方法が挙げられる。具体的には、例えば、以下の(1)~(5)の方法によって、樹脂粒子を作製することができる:(1)ブロック共重合体、ランダム共重合体、並びに必要に応じて、その他の樹脂および添加剤からなる群より選択される1つ以上をブレンドしてブレンド物を作製する;(2)当該ブレンド物を押出機に投入し、当該ブレンド物を溶融混練して、ポリプロピレン系樹脂組成物を調製する;(3)当該ポリプロピレン系樹脂組成物を押出機が備えるダイより押出す;(4)押出されたポリプロピレン系樹脂組成物を水中に通す等により冷却することによって固化する;(5)その後、固化されたポリプロピレン系樹脂組成物をカッターにて、円柱状、楕円状、球状、立方体状、直方体状、中空円筒状、多角柱状等のような所望の形状に細断する。あるいは、(3)にて、溶融混練されたポリプロピレン系樹脂組成物を押出機が備えるダイより直接水中に押出し、押出直後にポリプロピレン系樹脂組成物を粒子形状に裁断し、冷却し、固化しても良い。このように、ブレンド物を溶融混練することにより、より均一な樹脂粒子を得ることができる。
【0074】
以上のようにして得られる樹脂粒子の一粒あたりの重量としては、0.2mg/粒~10.0mg/粒が好ましく、0.5mg/粒~6.0mg/粒がより好ましい。樹脂粒子の一粒あたりの重量が(A)0.2mg/粒以上である場合、樹脂粒子のハンドリング性が向上する傾向があり、また、得られる発泡粒子を成形してなる発泡成形体の収縮率が小さくなる傾向がある。(B)10.0mg/粒以下である場合、型内発泡成形工程において金型充填性が向上する傾向がある。
【0075】
(分散工程)
本製造方法は、発泡工程の前に、プロピレン系ランダム共重合体およびプロピレン系ブロック共重合体を含有する基材樹脂と、水系分散媒と、発泡剤と、必要に応じて分散剤および/または分散助剤とを容器中に分散させる分散工程をさらに含んでいてもよい。分散工程は、水系分散媒中に基材樹脂と発泡剤と、必要に応じて分散剤および/または分散助剤とが分散している分散液を調製する工程ともいえる。分散工程における基材樹脂は、上述した造粒工程で得られた樹脂粒子であってもよい。
【0076】
容器としては特に限定されないが、後述する発泡温度および発泡圧力に耐えられる容器であることが好ましい。容器としては、例えば、耐圧容器であることが好ましく、オートクレーブ型の耐圧容器であることがより好ましい。容器は、容器内に、撹拌機を備えていてもよい。
【0077】
水系分散媒としては、樹脂粒子、発泡剤等を均一に分散できるものであればよく、特に限定されない。
【0078】
水系分散媒としては、例えば、(a)メタノール、エタノール、エチレングリコールおよびグリセリンなどを水に添加して得られた分散媒、(b)超純水、純水、水道水および工業用水などの水、並びに、(c)塩化ナトリウムまたは硫酸ナトリウムなどの塩を含む溶液(水溶液)、などが挙げられる。
【0079】
発泡粒子の安定した生産が可能な点から、水系分散媒としては、RO水(逆浸透膜法により精製された水)、蒸留水、脱イオン水(イオン交換樹脂により精製された水)等の純水および超純水等を用いることが好ましい。
【0080】
発泡剤としては、(a)(a-1)窒素、二酸化炭素、空気(酸素、窒素、二酸化炭素の混合物)等の無機ガス、および(a-2)水、などの無機系発泡剤;並びに(b)(b-1)プロパン、ノルマルブタン、イソブタン、ノルマルペンタン、イソペンタン、ネオペンタン等の炭素数3~5の飽和炭化水素、(b-2)ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、およびメチルエチルエーテル等のエーテル、(b-3)モノクロルメタン、クロロエタン、ハイドロフルオロオレフィン等のハロゲン化炭化水素、などの有機系発泡剤;等が挙げられる。
【0081】
発泡剤としては、上述した無機系発泡剤および有機系発泡剤からなる群より選ばれる少なくとも1種類以上を用いることができる。2種類以上の発泡剤を混合して使用する場合、目的に応じて、混合比率を適宜調整してもよい。環境負荷および発泡力の観点から、発泡剤としては上述した中でも無機系発泡剤が好ましい。また、適度に可塑化効果が高く、本発泡粒子の製造における発泡粒子の発泡性を向上させやすい点から、無機系発泡剤の中でも二酸化炭素が好ましい。
【0082】
上述した水系分散媒および発泡剤について、各々、1種類を単独で使用してもよく、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
【0083】
本発泡粒子の製造方法では、分散剤(例えば、第三リン酸カルシウム、カオリンおよびタルクなどの無機物)および分散助剤(例えば、アルカンスルホン酸ナトリウムおよびドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどのアニオン界面活性剤)を使用することが好ましい。当該構成によると、樹脂粒子同士の合着(ブロッキングと称する場合がある。)を低減でき、容器内での分散液の安定性を高めることができる。その結果、安定的に発泡粒子を製造できるという利点を有する。
【0084】
(発泡工程)
発泡工程の具体的な態様は特に限定されない。発泡工程は、例えば、(a)容器内温度を一定温度まで昇温し、かつ容器内圧力を一定圧力まで昇圧して、樹脂粒子を除圧発泡させる昇温-昇圧工程と、
(b)容器内温度および圧力を一定温度かつ一定圧力で保持する保持工程と、
(c)容器の一端を解放し、容器内の分散液を、発泡圧力(すなわち、容器内圧力)よりも低圧の領域(空間)に放出する放出工程と、を含んでいてもよい。
【0085】
(昇温-昇圧工程および保持工程)
昇温-昇圧工程は、分散工程後に実施されることが好ましく、保持工程は、昇温-昇圧工程後に実施されることが好ましい。
【0086】
前記発泡温度は、163.5℃以下であり、163.3℃以下が好ましく、163.2℃以下がさらに好ましい。前記発泡温度の下限は、樹脂粒子を除圧発泡させることが可能であれば特に限定されないが、例えば150℃以上であってもよい。
【0087】
また、前記発泡圧力は、2.80MPa以下であり、2.75MPa以下が好ましく、2.70MPa以下がより好ましく、2.60MPa以下がさらに好ましい。前記発泡圧力の下限は、樹脂粒子を除圧発泡させることが可能であれば特に限定されないが、例えば1.5MPa以上であってもよい。
【0088】
本発明者は、鋭意検討の過程において、収縮率の低い発泡粒子を得るためには、プロピレン系ブロック共重合体の量に依存して、発泡圧力を適切に設定することが好ましいという新規知見を独自に得た。具体的に、本発明者は、収縮率の低い発泡粒子を得るためには、プロピレン系ブロック共重合体の量が多いほど、発泡圧力を低く設定することが好ましいという新規知見を独自に得た。より具体的には、ポリプロピレン系樹脂粒子中のプロピレン系ランダム共重合体およびプロピレン系ブロック共重合体の合計量100重量%中におけるブロック共重合体の含有比率をX(重量%)とするとき、発泡粒子製造時の発泡圧力Y(MPa)が以下の式(1)を満たすことが好ましいという新規知見を独自に得た:
Y<-0.07X+3.6・・・(1)。
前記式(1)を満たすことが好ましい理由としては定かではないが、プロピレン系ランダム共重合体と比較してプロピレン系ブロック共重合体がより柔らかく、より伸びやすい性質を有するためではないかと推測される。なお、本発明の一実施形態は、かかる推測になんら限定されるものではない。
【0089】
前記XおよびYは、下記式(3)を満たすことがより好ましく、下記式(4)を満たすことがさらに好ましく、下記式(5)を満たすことが特に好ましい:
Y<-0.07X+3.55・・・(3)
Y<-0.07X+3.5・・・(4)
Y<-0.07X+3.45・・・(5)。
【0090】
保持工程において、容器内の分散液を発泡温度および発泡圧力付近で保持する時間(保持時間)は、特に限定されない。保持時間は、10分間~60分間が好ましく、12分間~55分間がより好ましく、15分間~50分間がさらに好ましい。保持時間が10分間以上である場合、樹脂粒子から発泡粒子への発泡過程において、樹脂粒子中の融解していない結晶(ポリプロピレン系樹脂の結晶)の量を十分量とすることができる。その結果、連続気泡率の低い発泡粒子を得ることができ、かつ得られる発泡粒子の収縮を低減できる。一方、保持時間が60分間以下である場合、樹脂粒子から発泡粒子への発泡過程において、樹脂粒子中の融解していない結晶の量が過剰とならない。そのため、得られる発泡粒子は、比較的低い温度(成形温度)で成形して発泡成形体を提供できる。
【0091】
(放出工程)
放出工程は、(a)保持工程を実施しない場合には昇温-昇圧工程後、(b)保持工程後を実施する場合には保持工程後、に実施されることが好ましい。放出工程により、樹脂粒子を発泡させることができ、結果として発泡粒子が得られる。
【0092】
放出工程において、「発泡圧力よりも低圧の領域」は、「発泡圧力よりも低い圧力下の領域」または「発泡圧力よりも低い圧力下の空間」を意図し、「発泡圧力よりも低圧の雰囲気下」ともいえる。発泡圧力よりも低圧の領域は、発泡圧力よりも低圧であれば特に限定されず、例えば、大気圧下の領域であってもよい。
【0093】
放出工程において、発泡圧力よりも低圧の領域に分散液を放出するとき、分散液の流量調整、得られる発泡粒子の発泡倍率のバラツキ低減等の目的で、直径1mm~5mmの開口オリフィスを通して分散液を放出することもできる。また、発泡性を向上させる目的で、前記低圧の領域(空間)を飽和水蒸気で満たしても良い。
【0094】
なお、このように、樹脂粒子から発泡粒子を製造する工程を「一段発泡工程」と呼び、得られた発泡粒子を「一段発泡粒子」と呼ぶ。
【0095】
(2段発泡工程)
発泡倍率の高い発泡粒子を得る為に、1段発泡工程で得られた1段発泡粒子を再度発泡させてもよい。1段発泡粒子の発泡倍率を高める工程を「2段発泡工程」と呼び、2段発泡工程によって得られたポリオレフィン系樹脂発泡粒子を「2段発泡粒子」と呼ぶ。2段発泡工程の具体的な方法は特に限定されず、公知の方法を採用できる。
【0096】
〔3.ポリプロピレン系樹脂発泡成形体〕
本発明の一実施形態に係るポリプロピレン系樹脂発泡成形体は、〔1.ポリプロピレン系樹脂発泡粒子〕の項に記載のポリプロピレン系樹脂発泡粒子を発泡成形してなる発泡成形体である。本発明の一実施形態に係るポリプロピレン系樹脂発泡成形体は、〔2.ポリプロピレン系樹脂発泡粒子の製造方法〕の項に記載の製造方法により得られるポリプロピレン系樹脂発泡粒子を発泡成形してなる発泡成形体であってもよい。本発明の一実施形態に係るポリプロピレン系樹脂発泡成形体は、〔1.ポリプロピレン系樹脂発泡粒子〕の項に記載のポリプロピレン系樹脂発泡粒子、または〔2.ポリプロピレン系樹脂発泡粒子の製造方法〕の項に記載の製造方法により得られるポリプロピレン系樹脂発泡粒子、を含むともいえる。
【0097】
本明細書において、「本発明の一実施形態に係るポリプロピレン系樹脂発泡成形体」を「本発泡成形体」と称する場合がある。
【0098】
本発泡成形体は、上述の構成を有するために、生産性に優れ、かつ強度に優れる、という利点を有する。
【0099】
(生産性)
本明細書において、本発泡成形体の生産性は、本発泡粒子の成形を開始してから、成形完了までの時間(秒)(成形サイクル)で評価する。なお、後述する実施例に記載されている通り、成形開始時点は金型内に本発泡粒子を充填した時点とした。また、成形完了時点は成形体を冷却(水冷)し、プランク金型の表面に取付けた面圧計で0.01MPaまで面圧が低下したタイミングで型開し、離型が完了した時点とした。成形サイクルが短いほど、発泡成形体が生産性に優れることを意図する。
【0100】
(表面美麗性)
本明細書において、本発泡成形体の表面美麗性は、発泡成形体表面における発泡粒子間の隙間(以下「粒間」と称する場合がある。)の程度、および発泡成形体表面のしわによって評価する。発泡成形体表面に存在する粒間の大きさが小さいほど、また、その数が少ないほど、発泡成形体が表面美麗性に優れることを意図する。また、発泡成形体表面に存在するしわが少ないほど、発泡成形体が表面美麗性に優れることを意図する。
【0101】
(静的圧縮強度)
本発泡成形体は、強度に優れるという利点も有する。本明細書において、発泡成形体の強度は、静的圧縮強度によって評価する。発泡成形体の静的圧縮強度の測定方法については、後の実施例にて詳説する。
【0102】
本発泡成形体の静的圧縮強度は、0.212MPa以上であることが好ましく、0.217MPa以上であることがより好ましく、0.229MPa以上であることがさらに好ましい。静的圧縮強度の上限は特に限定されないが、例えば0.300MPa以下であってもよい。当該構成によると、自動車内装部材、自動車バンパー用芯材をはじめ、断熱材、緩衝包装材、通い箱などの用途に用いられた際の使用に耐え得るという利点を有する。
【0103】
本発明の一実施形態は、以下の構成を含んでもよい。
【0104】
〔1〕プロピレン系ランダム共重合体とプロピレン系ブロック共重合体とを含有する基材樹脂を含むポリプロピレン系樹脂粒子を、発泡温度を163.5℃以下、かつ発泡圧力を2.80MPa以下の条件で除圧発泡させる発泡工程を有し、前記基材樹脂はプロピレン系ランダム共重合体およびプロピレン系ブロック共重合体の合計量を100重量%としたとき、前記プロピレン系ランダム共重合体を73重量%~95重量%含み、前記プロピレン系ブロック共重合体を5重量%~27重量%含む、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子の製造方法。
【0105】
〔2〕下記式(1)を満たす、〔1〕に記載のポリプロピレン系樹脂発泡粒子の製造方法:
Y<-0.07X+3.6・・・(1);
ここで、前記Xは、前記基材樹脂における、プロピレン系ランダム共重合体およびプロピレン系ブロック共重合体の合計量を100重量%としたときの、前記プロピレン系ブロック共重合体の含有比率(重量%)であり、前記Yは、前記発泡工程における発泡圧力(MPa)である。
【0106】
〔3〕前記発泡工程が、二段発泡工程である、〔1〕または〔2〕に記載のポリプロピレン系樹脂発泡粒子の製造方法。
【0107】
〔4〕前記発泡温度が150℃以上である、〔1〕~〔3〕のいずれか1つに記載のポリプロピレン系樹脂発泡粒子の製造方法。
【0108】
〔5〕前記発泡圧力は、1.5MPa以上である、〔1〕~〔4〕のいずれか1つに記載のポリプロピレン系発泡粒子の製造方法。
【0109】
〔6〕前記プロピレン系ブロック共重合体の融点が160℃以上180℃以下である、〔1〕~〔5〕のいずれか1つに記載のポリプロピレン系発泡粒子の製造方法。
【0110】
〔7〕前記プロピレン系ブロック共重合体は、リサイクル樹脂である、〔1〕~〔6〕のいずれか1つに記載のポリプロピレン系発泡粒子の製造方法。
【0111】
〔8〕前記プロピレン系ランダム共重合体は、全構造単位100モル%中、プロピレン単位を50モル%以上含み、かつ、前記プロピレン系ブロック共重合体は、全構造単位100モル%中、プロピレン単位を50モル%以上含む、〔1〕~〔7〕のいずれか1つに記載のポリプロピレン系発泡粒子の製造方法。
【0112】
〔9〕前記プロピレン系ランダム共重合体は、プロピレン単位とエチレン単位とを含むプロピレン/エチレンランダム共重合体を含む、〔1〕~〔8〕のいずれか1つに記載のポリプロピレン系発泡粒子の製造方法。
【0113】
〔10〕前記プロピレン系ランダム共重合体の230℃におけるメルトフローレートは3g/10分~30g/10分である、〔1〕~〔9〕のいずれか1つに記載のポリプロピレン系発泡粒子の製造方法。
【0114】
〔11〕前記プロピレン系ブロック共重合体の融点と前記プロピレン系ランダム共重合体の融点との差が、30℃以下である、〔1〕~〔10〕のいずれか1つに記載のポリプロピレン系発泡粒子の製造方法。
【0115】
〔12〕前記プロピレン系ブロック共重合体の230℃におけるメルトフローレートは3g/10分~30g/10分である、〔1〕~〔11〕のいずれか1つに記載のポリプロピレン系発泡粒子の製造方法。
【0116】
〔13〕前記ポリプロピレン系樹脂発泡粒子のDSC比が10.0%~50.0%である、〔1〕~〔12〕のいずれか1つに記載のポリプロピレン系樹脂発泡粒子の製造方法。
【0117】
〔14〕前記ポリプロピレン系樹脂発泡粒子の発泡倍率が15倍~50倍である、〔1〕~〔13〕のいずれか1つに記載のポリプロピレン系樹脂発泡粒子の製造方法。
【0118】
〔15〕〔1〕~〔14〕のいずれか1つに記載のポリプロピレン系樹脂発泡粒子の製造方法で得られたポリプロピレン系樹脂発泡粒子を0.30MPa以下の成形圧力で成形する工程を有する、ポリプロピレン系樹脂発泡成形体の製造方法。
【0119】
〔16〕プロピレン系ランダム共重合体とプロピレン系ブロック共重合体とを含有する基材樹脂を含み、ピーク強度比I720/I810が0.45~0.67であり、収縮率が20%以下である、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子:
ここで、前記ピーク強度比I720/I810は、赤外分光分析で得られるスペクトルにおいて得られる波長810cm-1のピークの強度であるI810に対する、波長720cm-1のピークの強度であるI720の比であり、
前記収縮率(%)は、下記式(2)で求められる値である;
前記収縮率(%)=(BD-VBD)×100/VBD・・・(2)
式(2)中、前記BDは、温度が23℃であり、かつ圧力が0.1MPaである領域下で測定して得られるポリプロピレン系樹脂発泡粒子の嵩密度であり、前記VBDは、温度が23℃であり、かつ圧力が-0.09MPaである領域下で測定して得られるポリプロピレン系樹脂発泡粒子の嵩密度である。
【0120】
〔17〕前記基材樹脂は、プロピレン系ランダム共重合体およびプロピレン系ブロック共重合体の合計量を100重量%としたとき、前記プロピレン系ランダム共重合体を73重量%~95重量%含み、前記プロピレン系ブロック共重合体を5重量%~27重量%含む、〔16〕に記載のポリプロピレン系樹脂発泡粒子。
【0121】
〔18〕前記プロピレン系ブロック共重合体の融点が160℃以上180℃以下である、〔16〕または〔17〕のいずれか1つに記載のポリプロピレン系樹脂発泡粒子。
【0122】
〔19〕前記プロピレン系ブロック共重合体は、リサイクル樹脂である、〔16〕~〔18〕のいずれか1つに記載のポリプロピレン系樹脂発泡粒子。
【0123】
〔20〕前記プロピレン系ランダム共重合体は、全構造単位100モル%中、プロピレン単位を50モル%以上含み、かつ、前記プロピレン系ブロック共重合体は、全構造単位100モル%中、プロピレン単位を50モル%以上含む、〔16〕~〔19〕のいずれか1つに記載のポリプロピレン系樹脂発泡粒子。
【0124】
〔21〕前記プロピレン系ランダム共重合体は、プロピレン単位とエチレン単位とを含むプロピレン/エチレンランダム共重合体を含む、〔16〕~〔20〕のいずれか1つに記載のポリプロピレン系樹脂発泡粒子。
【0125】
〔22〕前記プロピレン系ランダム共重合体の230℃におけるメルトフローレートは3g/10分~30g/10分である、〔16〕~〔21〕のいずれか1つに記載のポリプロピレン系樹脂発泡粒子。
【0126】
〔23〕前記プロピレン系ブロック共重合体の融点と前記プロピレン系ランダム共重合体の融点との差が、30℃以下である、〔16〕~〔22〕のいずれか1つに記載のポリプロピレン系樹脂発泡粒子。
【0127】
〔24〕前記プロピレン系ブロック共重合体の230℃におけるメルトフローレートは3g/10分~30g/10分である、〔16〕~〔23〕のいずれか1つに記載のポリプロピレン系樹脂発泡粒子。
【0128】
〔25〕DSC比が10.0%~50.0%である、〔16〕~〔24〕のいずれか1つに記載のポリプロピレン系樹脂発泡粒子。
【0129】
〔26〕発泡倍率が15倍~50倍である、〔16〕~〔25〕のいずれか1つに記載のポリプロピレン系樹脂発泡粒子。
【0130】
〔27〕前記ポリプロピレン系樹脂発泡粒子を成形する場合、融着率が80%以上のポリプロピレン系樹脂発泡成形体を提供するために必要な最低成形圧力が、0.30MPa以下である、〔16〕~〔26〕のいずれか1つに記載のポリプロピレン系樹脂発泡粒子。
【0131】
〔28〕〔16〕~〔27〕のいずれか1つに記載のポリプロピレン系樹脂発泡粒子を発泡成形してなるポリプロピレン系樹脂発泡成形体。
【0132】
〔29〕静的圧縮強度が0.212MPa以上である、〔28〕に記載のプロピレン系樹脂発泡成形体。
【0133】
また、本発明の別の実施形態は、以下の構成を含むものである。
【0134】
〔1〕プロピレン系ランダム共重合体とプロピレン系ブロック共重合体とを含有する基材樹脂を含み、ピーク強度比I720/I810が0.45~0.65であり、収縮率が20%以下である、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子:
ここで、前記ピーク強度比I720/I810は、赤外分光分析で得られるスペクトルにおいて得られる波長810cm-1のピークの強度であるI810に対する、波長720cm-1のピークの強度であるI720の比であり、
前記収縮率(%)は、下記式(1)で求められる値である;
前記収縮率(%)=(BD-VBD)×100/VBD・・・(1)
式(1)中、前記BDは、温度が23℃であり、かつ圧力が0.1MPaである領域下で測定して得られるポリプロピレン系樹脂発泡粒子の嵩密度であり、前記VBDは、温度が23℃であり、かつ圧力が-0.09MPaである領域下で測定して得られるポリプロピレン系樹脂発泡粒子の嵩密度である。
【0135】
〔2〕前記基材樹脂は、プロピレン系ランダム共重合体およびプロピレン系ブロック共重合体の合計量を100重量%としたとき、前記プロピレン系ランダム共重合体を75重量%~95重量%含み、前記プロピレン系ブロック共重合体を5重量%~25重量%含む、〔1〕に記載のポリプロピレン系樹脂発泡粒子。
【0136】
〔3〕前記プロピレン系ブロック共重合体の融点が160℃以上である、〔1〕または〔2〕に記載のポリプロピレン系樹脂発泡粒子。
【0137】
〔4〕前記プロピレン系ブロック共重合体は、リサイクル樹脂である、〔1〕~〔3〕のいずれか1つに記載のポリプロピレン系樹脂発泡粒子。
【0138】
〔5〕〔1〕~〔4〕のいずれか1つに記載のポリプロピレン系樹脂発泡粒子を発泡成形してなるポリプロピレン系樹脂発泡成形体。
【0139】
〔6〕プロピレン系ランダム共重合体とプロピレン系ブロック共重合体とを含有する基材樹脂を含むポリプロピレン系樹脂粒子を、発泡温度を163.5℃以下、かつ発泡圧力を2.80MPa以下の条件で除圧発泡させる発泡工程を有する、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子の製造方法。
【実施例
【0140】
以下、実施例および比較例をあげて、本発明の一実施形態をさらに具体的に説明する。本発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。
【0141】
〔材料〕
実施例および比較例において、以下の材料を使用したが、特に精製等は行わなかった。
【0142】
<ポリプロピレン系樹脂>
・プロピレン/エチレンブロック共重合体1[MFR=12g/10min、融点166℃、リサイクル樹脂であり、カーボンブラックを5重量%含む]
・プロピレン/エチレンブロック共重合体2[プライムポリマー社製J715M、MFR=9g/10min、融点165℃、リサイクル樹脂である]
・プロピレン/エチレンブロック共重合体3[MFR=29g/10min、融点165℃、リサイクル樹脂である]
・プロピレン/エチレンランダム共重合体[MFR=7g/10min、融点145℃、非リサイクル樹脂である]
<樹脂粒子添加剤>
・タルク[林化成(株)製、タルカンパウダーPK-S]
・グリセリン[ライオン(株)製、精製グリセリンD]
〔測定方法〕
実施例および比較例において実施した評価方法に関して、以下に説明する。
【0143】
<ポリプロピレン系樹脂の融点測定>
ポリプロピレン系樹脂粒子の融点の測定は、示差走査熱量計((株)日立ハイテクサイエンス社製、DSC7020)を用いて行なった。具体的な測定方法は以下の通りである:(1)測定するサンプル5~6mgを、を10℃/分の昇温速度で40℃から220℃まで昇温して融解させた;(2)その後、10℃/分の降温速度で220℃から40℃まで降温して結晶化させた;(3)さらに、10℃/分の昇温速度で40℃から220℃まで昇温した。2回目の昇温時(すなわち(3)のとき)に得られるDSC曲線のピーク(融解ピーク)の温度を、ポリプロピレン系樹脂粒子の融点とした。
【0144】
<ポリプロピレン系樹脂のMFR測定>
ポリプロピレン系樹脂に対して、JIS K7210記載のメルトマスフローレイト(以下、MFR)測定器を用い、以下の条件でMFRを測定した:オリフィスが2.0959±0.005mmφ、オリフィス長さが8.000±0.025mm、荷重が2160g、かつ温度が230±0.2℃。
【0145】
<ポリプロピレン系樹脂発泡粒子のDSC比の測定>
DSC比の測定は、示差走査熱量計((株)日立ハイテクサイエンス社製、DSC7020)を用いて行なった。具体的には、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子5~6mgを10℃/分の昇温速度で40℃から220℃まで昇温する際に得られる、1回目昇温時のDSC曲線の低温側の融解ピーク面積をQとし、高温側の融解ピーク面積をQとし、下記式より求めた。
DSC比(%)=Q/(Q+Q)×100
なお、厳密には、低温側の融解ピークと、低温側の融解ピークと高温側の融解ピークとの間の極大点からの融解開始ベースラインへの接線とで囲まれる面積をQとし、高温側の融解ピークと、低温側の融解ピークと高温側の融解ピークとの間の極大点からの融解終了ベースラインへの接線とで囲まれる熱量である高温側の融解ピーク熱量をQとした。
【0146】
<ポリプロピレン系樹脂発泡粒子の赤外分光分析>
ポリプロピレン系樹脂発泡粒子の赤外分光分析により、プロピレンおよびブロックエチレンに由来するピーク強度の比を求めた。測定は全反射測定法(Attenuated Total Reflection法:以下、ATR法という)で行った。ポリプロピレン系樹脂発泡粒子を金属板に挟んで押しつぶした後に、ATR測定装置((株)パーキンエルマージャパン製、Spectrum Two)のクリスタルに圧着させた状態で、分解能を4cm-1、積算回数を16回として測定し、スペクトルを得た。この際、1376cm-1のピーク強度が0.15Aとなるように圧着時の加圧を調整した。次に、得られたスペクトルから、波長810cm-1のピーク強度(I810)と、波長720cm-1のピーク強度(I720)を読み取り、[(I720)/(I810)]よりピーク強度比を算出した。なお、本実施例において、波長810cm-1のピーク強度は、プロピレンのCHに由来するピーク強度であり、波長720cm-1のピーク強度は、エチレン連鎖由来のピーク強度であった。なお、測定は任意のポリプロピレン系樹脂発泡粒子5粒で行い、その相加平均値を用いた。また、比較例3は後述するように発泡粒子が得られなかったため、樹脂粒子を用いて同様に測定を行った。測定条件が同じであれば、試料として発泡粒子を使用した場合と樹脂粒子を使用した場合との間で、ピーク強度の比の測定結果の差はほとんど生じないと予想される。
【0147】
<ポリプロピレン系樹脂発泡粒子の発泡倍率の測定>
ポリプロピレン系樹脂発泡粒子3g以上、10g以下程度を取り、60℃で6時間乾燥した後、23℃、湿度50%の室内で状態調節し、重量w(g)を測定後、エタノールの入ったメスシリンダー中に沈め、メスシリンダーの水位上昇分(水没法)にて体積v(cm)を測定し、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子の真比重ρ=w/vを算出し、さらに、発泡前のポリプロピレン系樹脂粒子の密度ρとの比(ρ/ρ)として算出した。なお、以下に示す実施例および比較例においては、発泡前のポリプロピレン系樹脂粒子(ポリプロピレン系樹脂粒子)の密度ρは、いずれも0.9g/cmであった。
【0148】
<ポリプロピレン系樹脂発泡粒子の収縮率測定>
ポリプロピレン系樹脂発泡粒子の収縮率は以下の方法により、嵩密度(以下、BD)および減圧下でのポリプロピレン系樹脂発泡粒子の嵩密度(以下、VBD)から算出した。測定するポリプロピレン系樹脂発泡粒子の重量をWとし、23℃において大気圧(標準大気圧0.1MPa)下で、メスシリンダーを用いて体積Vを求めた。下記式に従って、23℃、0.1MPa(標準大気圧下)におけるポリプロピレン系樹脂発泡粒子の嵩密度BDを求めた。
BD(g/L)=W÷V
再度、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子を測り取り、その重量をWとし、目盛りのある耐圧容器に入れて、真空ポンプなどにより耐圧容器内を減圧した。-0.09MPa(ゲージ圧)以下の減圧状態下になったことを圧力計にて確認した後、バイブレーターを用いて耐圧容器を発泡粒子上部の目盛りの変化がなくなるまで振動させた後、耐圧容器内のポリプロピレン系樹脂発泡粒子上部の目盛りを読み、それを体積Vとした。なお、減圧時は、発泡粒子同士が押し合って体積変化が阻害される場合があるため、耐圧容器を横にするなどして発泡粒子に体積変化が阻害されないようにし、徐々に減圧した。下記式に従って、23℃、-0.09MPa(ゲージ圧)以下の減圧下におけるポリプロピレン系樹脂発泡粒子の嵩密度VBDを求めた。
VBD(g/L)=W÷V
また、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子の収縮率は下記式より求めた。
【0149】
(BD-VBD)÷VBD×100。
【0150】
<ポリプロピレン系樹脂型内発泡成形体の最低成形圧力>
後述する[ポリプロピレン系樹脂型内発泡成形体の作製]における本加熱工程の設定蒸気圧力を、0.20~0.32MPa(ゲージ圧)の範囲内で、0.01MPaずつ変更して成形を行って、各評価対象の発泡成形体を得た。得られた発泡成形体について、表面にナイフで約5mmの深さのクラックを入れ、クラックに沿って型内発泡成形体を割り、破断面を観察し、破断面の全粒子数に対する破壊粒子数の割合を求め、成形体融着率を評価した。融着率が80%以上に達する最低の蒸気圧力を、最低成形圧力とした。
【0151】
<ポリプロピレン系樹脂型内発泡成形体の成形サイクル>
ポリプロピレン系樹脂型内発泡成形体の製造方法における成形サイクルを、成形開始から成形体を離型する成形終了までとした。ポリプロピレン系樹脂発泡粒子の金型内への充填を開始した時点を成形開始とし、蒸気を金型内に送りこむことで加熱し、次に成形体を水冷し、プランク金型の表面に取付けた面圧計で0.01MPaまで面圧が低下したタイミングで型開し、離型が完了した時点を、成形終了とし、蒸気の加熱圧は上記の<ポリプロピレン系樹脂型内発泡成形体の最低成形圧力>にて求めた最低成形圧力として評価した。生産性の評価基準は下記の通りである。
◎(非常に優れる):成形サイクルが180秒以内。
○(優れる):成形サイクルが180秒より長く210秒以内。
×(劣る):成形サイクルが210秒以上。
【0152】
<ポリプロピレン系樹脂型内発泡成形体の表面美麗性>
得られたポリプロピレン系樹脂型内発泡成形体の縦350mm×横450mm面を目視で観察し、以下の基準により表面美麗性を判断した。表面性の評価指標の1つである粒間(ポリプロピレン系樹脂発泡粒子同士の間の隙間)については、成形体中央部表面50mm四方に存在する個数を目視で数えて判定した。
◎(表面外観が美麗):しわが無く、かつ粒間が0~1個である。
○(表面外観が良好):しわが無く、かつ粒間が2~3個である。
△(表面外観が合格):しわが見られるか、または粒間が4~5個である。
×(表面外観が不合格):しわが見られるか、または粒間が6個以上である。
【0153】
<ポリプロピレン系樹脂型内発泡成形体の静的圧縮強度測定>
ポリプロピレン系樹脂型内発泡成形体から縦50mm×横50mm×厚み25mmのテストピースを切り出し、引張圧縮試験機(ミネベアミツミ(株)製、TGシリーズ)を用いて、10mm/minの速度でテストピースを圧縮した際の50%圧縮時の圧縮応力を測定した。なお、50%圧縮時の圧縮応力は、型内発泡成形体の剛性の尺度である。
【0154】
以下に実施例および比較例における、ポリプロピレン系樹脂粒子、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子およびポリプロピレン系樹脂型内発泡成形体の製造方法を説明する。
【0155】
(実施例1)
[ポリプロピレン系樹脂粒子の製造方法]
エチレン/プロピレンランダム共重合体を89.75重量部、エチレン/プロピレンブロック共重合体を10重量部、グリセリンを0.2重量部、タルクを0.05重量部となるように計量し、ブレンダーを用いてドライブレンドした。ドライブレンドした混合物を、二軸押出機(東芝機械(株)製、TEM26-SX)を用いて、樹脂温度220℃にて溶融混練し、押出されたストランドを長さ2mの水槽で水冷後、切断して、ポリプロピレン系樹脂粒子(1.2mg/粒)を製造した。
【0156】
[ポリプロピレン系樹脂発泡粒子の作製]
容量10Lの耐圧オートクレーブ中に、上述のようにして得られたポリプロピレン系樹脂粒子100重量部(2.4kg)、水200重量部、難水溶性無機化合物としてのカオリン(BASF社製、ASP170)0.3重量部、界面活性剤としてのドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(花王(株)製、ネオペレックス G-15)0.06重量部仕込んだ後、攪拌下、発泡剤として二酸化炭素を4重量部添加した。オートクレーブ内容物を昇温し、発泡温度158.2℃まで加熱し、10分間保持した後、二酸化炭素を追加圧入してオートクレーブ内圧を発泡圧力2.60MPaまで昇圧した。前記発泡温度、発泡圧力で20分間保持した後、オートクレーブ下部のバルブを開き、直径3.6mmの開口オリフィスを通して、大気圧下に放出して発泡倍率24倍のポリプロピレン系樹脂発泡粒子を得た。この際、放出中は容器内の圧力が低下しないように、二酸化炭素を圧入して圧力を保持した。
【0157】
[ポリプロピレン系樹脂型内発泡成形体の作製]
得られたポリプロピレン系樹脂発泡粒子を75℃で乾燥させた。乾燥後のポリプロピレン系樹脂発泡粒子を耐圧容器内に投入し、加圧空気を含浸させ、あらかじめ0.20MPa(絶対圧)の発泡粒子内圧になるように調整したポリプロピレン系樹脂発泡粒子を、縦370mm×横320mm×厚み50mmの金型内に充填した。その後、金型チャンバー内を所定の圧力の水蒸気にて加熱し、発泡粒子同士を融着させた。金型内および成形体表面を水冷した後、成形体を取り出して、ポリプロピレン系樹脂型内発泡成形体を得た。この操作を水蒸気の圧力を0.20MPa(ゲージ圧)から0.32MPaまで0.01MPaずつ変化させて行い、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子同士が十分に融着するのに必要な最低圧力を求め成形下限圧力とした。得られた型内発泡成形体は、23℃で2時間静置し、次に75℃で13時間養生した。
【0158】
(実施例2~7、比較例1~3、参考例1)
[ポリプロピレン系樹脂粒子の作製]において、樹脂処方を表1に示すように変更し、[ポリプロピレン系樹脂発泡粒子の作製]において、発泡条件を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様の操作により、ポリプロピレン系樹脂粒子、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子、ポリプロピレン系樹脂型内発泡成形体を作製した。なお比較例3については発泡工程を実施しなかった。実施例の結果に基づくと、エチレン/プロピレンブロック共重合体の含有量が樹脂成分100重量部中10重量部の場合、好適な品質の発泡粒子を得るための発泡温度として158℃を選択しており、20重量部の場合164℃を選択している。そのため、エチレン/プロピレンブロック共重合体を含有量が樹脂成分100重量部中30重量部含む比較例3の場合、好適な品質の発泡粒子を得るための発泡温度は、実施例で使用した耐圧オートクレーブで昇温できる温度上限を超えると予想されたためである。樹脂の処方条件、発泡条件、得られたポリプロピレン系樹脂発泡粒子およびポリプロピレン系樹脂型内発泡成形体の評価結果を表1に示す。
【0159】
【表1】
赤外分光分析で求められるピーク強度比が0.45以上である場合はプロピレン系ブロック共重合体を十分に含んでいるため、プロピレン系ブロック共重合体としてリサイクルポリプロピレン系樹脂を使用した場合、リサイクル性が向上する。一方で、表1から、ピーク強度比が0.7である場合は成形加工温度が高温となり発泡粒子が得られない、または生産性が悪くなることがわかる。また、参考例1とほぼ同じ発泡圧力である2.90MPaとして発泡した比較例1は成形サイクルが長くなり、生産性が悪くなることに加えて、発泡成形体の静的圧縮強度が大きく低下することがわかる。さらに、発泡温度を163.7℃とした比較例2も、同様に成形サイクルが長くなり、発泡成形体の静的圧縮強度が大きく低下した。
【0160】
一方、実施例1~7のようにポリプロピレン系樹脂発泡粒子の収縮率が20%以下となるように発泡条件を調整すると、成形サイクルは参考例1よりは長くなるものの、十分に短くすることが可能であり、静的圧縮強度の低下も抑制傾向となる。また、エチレン/プロピレンブロック共重合体を含むポリプロピレン系樹脂発泡粒子はエチレン/プロピレンランダム共重合体のみからなるポリプロピレン系樹脂発泡粒子と同じ成形圧力で型内成形が可能であり、かつ得られる発泡成形体が表面美麗性に優れる。
【産業上の利用可能性】
【0161】
本発明の一実施形態によると、型内成形時の成形時間が短いため、生産性が改善されたポリプロピレン系樹脂発泡粒子を提供することができる。そのため、本発明の一実施形態は、自動車内装部材、自動車バンパー用芯材をはじめ、断熱材、緩衝包装材、通い箱など様々な用途に利用可能である。