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7814146ポリウレタンフォーム成形体とその製造方法及びポリオール組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2026-02-05
(45)【発行日】2026-02-16
(54)【発明の名称】ポリウレタンフォーム成形体とその製造方法及びポリオール組成物
(51)【国際特許分類】
   C08G 18/28 20060101AFI20260206BHJP
   C08G 18/00 20060101ALI20260206BHJP
   C08G 18/08 20060101ALI20260206BHJP
   C08L 75/04 20060101ALI20260206BHJP
   C08K 3/013 20180101ALI20260206BHJP
   C08G 101/00 20060101ALN20260206BHJP
【FI】
C08G18/28 015
C08G18/00 K
C08G18/08 038
C08L75/04
C08K3/013
C08G101:00
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021194011
(22)【出願日】2021-11-30
(65)【公開番号】P2023080585
(43)【公開日】2023-06-09
【審査請求日】2024-05-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000119232
【氏名又は名称】株式会社イノアックコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】眞杉 誠
【審査官】大塚 龍平
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-211040(JP,A)
【文献】特開2010-168565(JP,A)
【文献】特開2023-016623(JP,A)
【文献】特表2020-533440(JP,A)
【文献】特開2012-051986(JP,A)
【文献】特開2021-105077(JP,A)
【文献】特開2021-165389(JP,A)
【文献】特開平08-048741(JP,A)
【文献】特開2010-248350(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 18/00
C08K 3/00
C08L 75/00
C08G 101/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリオール、触媒、発泡剤、熱伝導性フィラー、モノオール、ポリイソシアネートを含むポリウレタンフォーム原料から得られるポリウレタンフォーム成形体であって、
前記ポリウレタンフォーム原料に分散剤を含み、
前記モノオールの数平均分子量が600~1000であるポリウレタンフォーム成形体。
【請求項2】
ポリオール、触媒、発泡剤、熱伝導性フィラー、モノオール、ポリイソシアネートを含むポリウレタンフォーム原料を撹拌して発泡させるポリウレタンフォーム成形体の製造方法であって、
前記ポリウレタンフォーム原料に分散剤を含み、
前記モノオールの数平均分子量が600~1000であるポリウレタンフォーム成形体の製造方法。
【請求項3】
ポリオール、触媒、発泡剤、熱伝導性フィラー、モノオールを含むポリオール組成物であって、
前記ポリオール組成物に分散剤を含み、
前記モノオールの数平均分子量が600~1000であるポリウレタンフォーム成形体製造用ポリオール組成物。
【請求項4】
ポリオール、触媒、発泡剤、熱伝導性フィラー、モノオール、ポリイソシアネートを含むポリウレタンフォーム原料から得られるポリウレタンフォーム成形体であって、
密度が200kg/m~600kg/mであり、
前記モノオールの数平均分子量が200~3000であり、
前記熱伝導性フィラーは、平均粒子径が30μm以上400μm以下である大粒子径の熱伝導性フィラーと、平均粒子径が3μm以上30μm未満である小粒子径の熱伝導性フィラーとを含み、
前記小粒子径の熱伝導性フィラーは、金属シリコンを含み、
前記熱伝導性フィラー全量中、前記大粒子径の熱伝導性フィラーの重量比率が70~90%である、ポリウレタンフォーム成形体。
【請求項5】
ポリオール、触媒、発泡剤、熱伝導性フィラー、モノオール、ポリイソシアネートを含むポリウレタンフォーム原料を撹拌して発泡させるポリウレタンフォーム成形体の製造方法であって、
前記ポリウレタンフォーム成形体の密度が200kg/m~600kg/mであり、
前記モノオールの数平均分子量が200~3000であり、
前記熱伝導性フィラーは、平均粒子径が30μm以上400μm以下である大粒子径の熱伝導性フィラーと、平均粒子径が3μm以上30μm未満である小粒子径の熱伝導性フィラーとを含み、
前記小粒子径の熱伝導性フィラーは、金属シリコンを含み、
前記熱伝導性フィラー全量中、前記大粒子径の熱伝導性フィラーの重量比率が70~90%である、ポリウレタンフォーム成形体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリウレタンフォーム成形体とその製造方法及びポリオール組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、OA機器や電気製品、その他の種々の機器や装置等には制振材や防音材としてポリウレタンフォームが使用されている。例えば、PCのハードディスクドライブや電気自動車の電気モータなどには、筐体の内部や外面にポリウレタンフォームを配置して制振や防音性を高めることが行われる。また、機器や装置等の中には、作動時の発熱で高温になることがあるため、ポリウレタンフォームには、外部への放熱性の観点から、良好な熱伝導性が求められる。
【0003】
ポリウレタンフォームに熱伝導性を付与する方法として、ポリウレタンフォーム原料に黒鉛などの熱伝導性フィラーを配合することが行われている。しかし、熱伝導性を高めるため、ポリウレタンフォーム原料に熱伝導性フィラーを大量に配合すると、ポリウレタンフォーム原料中のイソシアネートの比率が低下して均一に撹拌混合が難しくなって、撹拌不良に起因する成形不良などの外観品質不良が発生するようになる。
【0004】
また、熱伝導性粒子の表面にバインダーにより接着された磁性粒子を含む発泡ウレタン樹脂原料を、発泡型のキャビティに投入(注入)し、キャビティ内の磁束密度が略均一になるように磁場をかけながら発泡成形してポリウレタンフォームを製造する方法がある(特許文献1)。
しかし、磁場をかけながら発泡成形する方法は、磁場を発生させる装置などにコストが嵩む問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第5829279号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、前記の点に鑑みなされたものであり、ポリウレタンフォーム原料の撹拌不良に起因する外観品質不良を生じることなく、良好な熱伝導性を有するポリウレタンフォーム成形体を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1態様は、ポリオール、ポリイソシアネート、触媒、発泡剤、熱伝導性フィラー、モノオールを含むポリウレタンフォーム原料から得られるポリウレタンフォーム成形体である。
【0008】
第2態様は、第1態様において、前記ポリウレタンフォーム原料に分散剤を含むことを特徴とする。
【0009】
第3態様は、ポリオール、ポリイソシアネート、触媒、発泡剤、熱伝導性フィラー、モノオールを含むポリウレタンフォーム原料を撹拌して発泡させるポリウレタンフォーム成形体の製造方法である。
【0010】
第4態様は、第3態様において、前記ポリウレタンフォーム原料に分散剤を含むことを特徴とする。
【0011】
第5態様は、ポリオール、触媒、発泡剤、熱伝導性フィラー、モノオールを含むポリオール組成物である。
【0012】
第6態様は、ポリオール、触媒、発泡剤、熱伝導性フィラー、モノオールを含むポリオール組成物を撹拌し、さらにポリイソシアネートと混合して発泡させるポリウレタンフォーム成形体の製造方法である。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、熱伝導性フィラーを含むポリウレタンフォーム原料にモノオールを含むことにより、ポリウレタンフォーム原料の撹拌不良を防ぎ、外観及び熱伝導性が良好なポリウレタンフォーム成形体が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施例及び比較例におけるポリウレタンフォームの配合と物性測定結果を示す表である。
図2】実施例及び比較例における20℃の原料粘度を示すグラフである。
図3】実施例及び比較例における熱伝導性を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明のポリウレタンフォーム成形体について、実施形態を説明する。本発明のポリウレタンフォーム成形体は、ポリオール組成物とポリイソシアネートを含むポリウレタンフォーム原料から得られる。
ポリオール組成物は、ポリオール、触媒、発泡剤、熱伝導性フィラー、モノオールを含む。
【0016】
ポリオールとしては、ポリウレタンフォーム用のポリオールを使用することができ、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルエステルポリオール等の何れでもよく、それらの一種類あるいは複数種類を使用してもよい。
【0017】
ポリエーテルポリオールとしては、例えば、官能基数を2以上有するアルコール(多価アルコール)、又は、これらを開始剤としてエチレンオキサイドやプロピレオキサイドを付加重合して製造されるものや、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、ソルビトール、シュークロース等の多価アルコールにエチレンオキサイド(EO)、プロピレンオキサイド(PO)等のアルキレンオキサイドを付加したポリエーテルポリオールを挙げることができる。
【0018】
ポリエステルポリオールとしては、例えば、マロン酸、コハク酸、アジピン酸等の脂肪族カルボン酸やフタル酸等の芳香族カルボン酸と、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール等の脂肪族グリコール等とから重縮合して得られたポリエステルポリオールを挙げることできる。
また、ポリエーテルエステルポリオールとしては、前記ポリエーテルポリオールと多塩基酸を反応させてポリエステル化したもの、あるいは1分子内にポリエーテルとポリエステルの両セグメントを有するものを挙げることができる。
【0019】
ポリオールについては、水酸基価(OHV)が10~280mgKOH/g、平均官能基数が2~5、数平均分子量が800~10000(より好適には2000~7000)であるポリオールを単独または複数含まれることが好ましい。水酸基価(OHV)の下限値は、より好ましくは20mgKOH/g以上、さらに好ましくは30mgKOH/g以上であり、水酸基価(OHV)の上限値は、より好ましくは200mgKOH/g以下、さらに好ましくは150mgKOH/g以下である。平均官能基数の上限値は、4.5以下がより好ましく、4以下がさらに好ましい。
【0020】
触媒としては、ポリウレタンフォーム用として公知のものを用いることができる。例えば、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、ジエタノールアミン、ジメチルアミノモルフォリン、N-エチルモルホリン、テトラメチルグアニジン等のアミン触媒や、スタナスオクトエートやジブチルチンジラウレート等のスズ触媒やフェニル水銀プロピオン酸塩あるいはオクテン酸鉛等の金属触媒(有機金属触媒とも称される。)を挙げることができる。触媒の量は、ポリオール80重量部に対して0.2~2.5重量部程度が好ましく、触媒の量の下限値は、より好ましくは0.3重量部以上、さらに好ましくは0.4重量部以上であり、触媒の量の上限値は、より好ましくは2.0重量部以下、さらに好ましくは1.5重量部以下である。
【0021】
発泡剤としては、原材料の混合の観点で水が入っていることが好ましい。発泡剤(水)の量は、発泡剤(水)の量は、成形される成型体の所望の密度や熱伝導性率にもよるが、ポリオール80重量部に対して0.5~2.0重量部が好ましい。成型体が比較的高密度・高熱伝導性の場合には、発泡剤(水)の量の下限値は、より好ましくは0.6重量部以上、さらに好ましくは0.7重量部以上であり、成型体が比較的低密度の場合には、発泡剤(水)の量の上限値は、より好ましくは1.8重量部以下、さらに1.5重量部以下に設定することもできる。
発泡剤(水)の量が0.5重量部未満の場合には原材料の混合、反応性が悪くなり成形不良が起きる。一方、2.0重量部を超えると発泡ガスが増大して成形物の内部にクラックが生じ、熱伝導性が低下するようになる。
【0022】
熱伝導性フィラーとしては、膨張黒鉛、膨張化黒鉛、アルミナ、酸化マグネシウム、ケイ素(金属シリコン)、窒化ホウ素等を挙げることができる。ここで、膨張化黒鉛は、例えば、鱗片状黒鉛などの黒鉛を硫酸などで化学処理して得た膨張性黒鉛を、熱処理して膨張させた後、微細化することにより得ることができる。
熱伝導性フィラーの配合量は、成形される成型体の所望の密度や熱伝導性率にもよるが、ポリオール80重量部に対し35~150重量部が好ましい。成型体が比較的低密度の場合には、熱伝導性フィラーの配合量の下限値は、より好ましくは50重量部以上、さらに80重量部以上に設定することもできる。成型体が比較的高密度・高熱伝導性の場合には、熱伝導性フィラーの配合量の上限値は、より好ましくは140重量部以下、さらに好ましくは130重量部以下に設定できる。
熱伝導性フィラーの配合量が少なすぎると、ポリウレタンフォーム成形体の熱伝導性が低くなり、逆に多すぎるとポリウレタンフォームの発泡性が悪くなる。
【0023】
また、熱伝導性フィラーは、平均粒子径が30μm以上~400μm以下である大粒子径の熱伝導性フィラーと、平均粒子径が3μm以上~30μm未満である小粒子径の熱伝導性フィラーの併用が好ましい。
大粒子径の熱伝導性フィラーは、次の(1)に示す平均粒子径(D50)を有するもの、または(2)の粒度分布を有するものがさらに好ましい。
(1)平均粒子径(D50)による好ましい範囲
平均粒子径(D50)は30μm以上が好ましく、40μm以上がより好ましく、90μm以上が更に好ましく、150μm以上が更に好ましい。他方、上限は400μm以下が好ましく、300μm未満がより好ましい。
(2)篩による好ましい範囲
粒子の分級を「JIS K0069 化学製品のふるい分け試験方法」に準拠して測定する。粒子径範囲の大きい順にふるい残分を求めた後、ふるい残分を積算して、各ふるい目開き対応する積算百分率を求める。
平均粒子径(D50)に対応するものとして、積算分布50重量%に対応するふるい目開き(積算分布50wt%粒子径)を平均粒子径として扱う。平均粒子径に相当する積算分布50wt%粒子径は、以下の範囲が好ましい。
複数の目開きのふるいのうち、小側のふるい目開きは、積算分布50wt%以上に対応する粒子径(目開き)が、45μm以上が好ましく、90μm以上がより好ましく、180μm以上がさらに好ましい。
一方、複数の目開きのふるいのうち、大側のふるい目開きは、積算分布50wt%未満に対応する粒子径(目開き)が、500μm以下が好ましく、355μm以下がより好ましく、300μmがさらに好ましい。
大粒子径の熱伝導性フィラーと小粒子径の熱伝導性フィラーを併用することにより、ポリウレタンフォーム内の熱伝導性フィラーの状態が、大粒子径の熱伝導性フィラー間に小粒子径の熱伝導性フィラーが充填された密な配置状態となって、熱伝導性フィラー間で熱が伝わり易くなり、ポリウレタンフォーム成形体の熱伝導性を高めることができる。
【0024】
熱伝導性フィラー全量中の大粒子径の熱伝導性フィラー比率(重量比率)は、30~90%が好ましく、50~90%がより好ましく、70~90%がさらに好ましい。この範囲の比率とすることにより大粒子径の熱伝導性フィラーと小粒子径の熱伝導性フィラーが密に配置され、熱伝導性を高くすることができる。
【0025】
モノオールは、水酸基を1つ有する化合物(1価のアルコール)である。本発明におけるモノオールとしては、第一級アルコール、第二級アルコール、第三級アルコールの何れでもよく、また、直鎖状、分岐状のいずれでもよい。好ましくは、第一級アルコールかつ直鎖状のものである。モノオールは一種類に限られず、二種類以上を使用してもよい。
モノオールは分子量が大きすぎるとポリウレタンフォーム原料の粘度低下効果が得られず、小さすぎると成形品が脆くなるため、数平均分子量が200~3000が好ましく、より好ましくは300~2500、さらに好ましくは400~2000である。モノオールの配合量は、少なすぎると効果が得られず、多すぎると成形品が脆くなるため、ポリオール80重量部に対して5~25重量部が好ましく、10~22重量部がより好ましく、15~20重量部がさらに好ましい。
【0026】
ポリオール組成物に添加される好ましい助剤として分散剤が挙げられる。
分散剤としては、ウレタン系分散剤、ポリエチレンイミン系分散剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル系分散剤、ポリオキシエチレングリコールジエステル系分散剤、ソルビタン脂肪族エステル系分散剤等を挙げることができる。分散剤は、単独で又は2種以上を使用してもよい。分散剤を配合する場合、分散剤の配合量は、ポリオール80重量部に対して1~6重量部が好ましく、1~4重量部がより好ましい。
分散剤をモノオールとともにポリオール組成物に配合することにより、熱伝導性フィラーの配合によるポリウレタンフォーム原料の粘度上昇をより効果的に抑え、ポリウレタンフォーム原料の撹拌、混合不良をいっそう生じ難くできると共に、熱伝導性フィラーが均一に分散されるため、成形品の熱伝導性が良好なものとなる。
【0027】
ポリオール組成物には、その他の助剤を加えてもよい。その他の助剤としては、整泡剤、破泡剤、着色剤、難燃剤等を上げることができる。
整泡剤としては、ポリウレタンフォーム用として公知のものを使用することができる。例えば、シリコーン系整泡剤、フッ素系整泡剤および公知の界面活性剤を挙げることができる。
【0028】
破泡剤としては、炭化水素系、エステル系、シリコーン系を挙げることができ、それらの二種類以上を使用してもよい。
炭化水素系の破泡剤としては、ポリブテン等のオイル類を挙げることができる。エステル系の破泡剤としては、ダイマー酸ジエステル等を挙げることができる。シリコーン系の破泡剤としては、シクロペンタシロキサン等を挙げることができる。
【0029】
着色剤としては、カーボン顔料等、ポリウレタンフォームの用途等に応じたものを使用できる。
難燃剤としては、リン系、ポリリン酸アンモニウム等の粉体難燃剤や、リン酸エステル系難燃剤等の液体難燃剤があり、何れか一方あるいは両方の併用であってもよい。
【0030】
ポリイソシアネートとしては、イソシアネート基を2以上有する脂肪族系または芳香族系ポリイソシアネート、それらの混合物、およびそれらを変性して得られる変性ポリイソシアネートを使用することができる。脂肪族系ポリイソシアネートとしては、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキサメタンジイソシアネート等を挙げることができ、芳香族ポリイソシアネートとしては、トルエンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ナフタレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ポリメリックMDI(クルードMDI)等を挙げることができる。なお、その他プレポリマーも使用することができる。
【0031】
イソシアネートインデックス(INDEX)は75~120が好ましい。イソシアネートインデックスは、[(ポリウレタンフォーム原料中のイソシアネート当量/ポリウレタンフォーム原料中の活性水素の当量)×100]で計算される。
【0032】
本発明のポリウレタンフォーム成形体は、成形される成型体の所望の熱伝導性率にもよるが、密度(JIS K 7222)が、200~600kg/m程度が好ましく設定される。高い熱伝導性を得る場合には、密度が、400~600kg/m程度が好ましく、低い密度でも比較的高い熱伝導性を得る場合には、密度が200~400kg/m程度が好ましい。
また、本発明のポリウレタンフォーム成形体は、熱伝導率(熱線法を用いて熱伝導率を測定する京都電子工業社製測定器 QTM500を使用し測定)が0.10W/m・K以上が好ましく、0.20W/m・K以上がより好ましく、0.30W/m・K以上がさらに好ましい。
【0033】
ポリウレタンフォーム成形体の製造は、前記ポリウレタンフォーム組成物を撹拌し、さらにポリイソシアネートを加えたポリウレタンフォーム原料を混合攪拌して金型に投入(注入)し、金型内で発泡させた後に金型を開け、成形体を取り出すモールド発泡成形法で行う。金型のキャビティは、ポリウレタンフォーム成形体の用途に応じた製品形状となっている。
【実施例
【0034】
モールド発泡成形法で各実施例及び各比較例のポリウレタンフォーム成形体を製造した。具体的には、以下の原料を用い、図1に示す配合のポリオール組成物(A液)とポリイソシアネート(B液)とからなるポリウレタンフォーム原料を攪拌混合して、下型のキャビティ(150×400×10mm)に投入し、上型を被せて閉型し、8分後に金型を開けてポリウレタンフォーム成形体を得た。金型は60℃に加熱して用いた。
【0035】
・ポリオール:ポリエーテルポリオール、分子量5000、水酸基価34mgKOH/g、官能基数3、品番;サンニックスFA-703、三洋化成工業株式会社
・触媒:品番;DABCO 33LSI、EVONIK社
・整泡剤:シリコーン整泡剤、品番;B8738LF2、EVONIK社
・発泡剤:水
・熱伝導性フィラー:膨張黒鉛、平均粒子径(D50)300μm、品番;SYZR502FP、三洋貿易株式会社
・熱伝導性フィラー:金属シリコン、平均粒子径20μm、品番;#200、キンセイマテック株式会社
・モノオール:ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブチルエーテル、分子量600~1000、水酸基価42mgKOH/g、品番;ニューポール50HB-400、三洋化成工業株式会社
・分散剤1:不飽和ポリアミノアマイドと低分子量ポリエステル酸の塩、品番;ANTI-TERRA-U100、ビックケミージャパン株式会社
・分散剤2:酸性コポリマーのアルキルアンモニウム塩、品番;BYK-W969、ビックケミージャパン株式会社
・分散剤3:高分子共重合体のアルキルアンモニウム塩、品番;BYK-9076、ビックケミージャパン株式会社
・ポリイソシアネート:クルードMDI、NCO%=31.5%、品番;M5S、BASF INOACポリウレタン株式会社
【0036】
各実施例及び各比較例について、ポリウレタンフォーム原料の20℃、30℃、40℃の粘度(mPa・s)を、B型粘度計(TVB-15、東機産業社製)に基づいて測定した。
また、各実施例及び各比較例について、ポリウレタンフォーム原料の撹拌性判断と、ポリウレタンフォーム成形体の密度(kg/m)及び熱伝導率(W/m・K)を測定した。
【0037】
撹拌性は、ポリウレタンフォーム原料を、ラボミキサーによって8秒間撹拌した後に金型に投入して得られたポリウレタンフォーム成形体の外観について目視で観察し、外観及び内部のいずれも問題ない場合に撹拌不良「無」とし、撹拌ムラにより未反応の部位がある等外観に不良が存在する場合に攪拌不良「有」とした。また、使用したラボミキサーの回転羽根は、直径80mm、回転数は2000rpmである。
密度(kg/m)は、JIS K 7222に基づいて測定した。
熱伝導率(W/m・K)は、熱線法を用いて熱伝導率を測定する測定器(QTM500、京都電子工業社製)を使用して測定を行った。
熱伝導性は、その材料の密度のばらつきを考慮して、同程度の密度で比較・評価することが好ましい。そこで、得られた密度及び熱伝導率を用いて[熱伝導率/密度]からなる単位密度当たりの熱伝導率[(W/m・K)/(kg/m)]を算出して、熱伝導性として評価した。
各実施例に対する熱伝導性の評価は、比較対象となる比較例と比べて熱伝導性の値が高い場合を「〇」、同程度の場合を「△」、低い場合を「×」とした。
なお、材料の密度が200~300kg/m程度においては、単位密度当たりの熱伝導率が0.35[(W/m・K)/(kg/m)]以上が好ましく、0.4[(W/m・K)/(kg/m)]以上がより好ましい。材料の密度が400~600kg/m程度においては、単位密度当たりの熱伝導率が0.5[(W/m・K)/(kg/m)]以上が好ましく、0.55[(W/m・K)/(kg/m)]以上がより好ましく、0.6[(W/m・K)/(kg/m)]以上がさらに好ましい。
【0038】
実施例1-4及び比較例1は、ポリオール成形体の密度が480kg/m付近になるように発泡剤(水)の配合量を調整した例である。
・実施例1
実施例1は、ポリオール80重量部、触媒0.50重量部、整泡剤0.20重量部、発泡剤(水)0.75重量部、膨張黒鉛100重量部、金属シリコン25重量部、モノオール20重量部、分散剤1-3を0重量部、イソシアネートインデックス100とした例である。図1における「固形分割合(%)」は、ポリウレタンフォーム原料(A液+B液)における熱伝導性フィラー(膨張黒鉛+金属シリコン)の含有量%である。また、図1における「A(100)/B」は、A液100gに対して必要なB液の量である。
【0039】
実施例1は、粘度が20℃で24000mPa・s、30℃で11000mPa・s、40℃で8200mPa・s、撹拌不良「無」、密度470kg/m、熱伝導率0.24W/m・K、熱伝導性0.51、熱伝導性評価が比較例1と同等で「△」である。実施例1は、モノオールが配合されているため、粘度が低く、撹拌不良が無かった。
【0040】
・実施例2
実施例2は、実施例1の配合に分散剤1を3.0重量部配合した以外、実施例1と同様である。
実施例2は、粘度が20℃で20000mPa・s、30℃で9300mPa・s、40℃で4900Pa・s、撹拌不良「無」、密度500kg/m、熱伝導率0.33W/m・K、熱伝導性0.66、熱伝導性評価が比較例1よりも高い「〇」である。
実施例2は、実施例1と同様に撹拌不良が無く、さらにモノオールと共に分散剤1が配合されていることにより、実施例1よりも粘度が低く、熱伝導性が高くなった。
【0041】
・実施例3
実施例3は、実施例1の配合に分散剤2を3.0重量部配合した以外、実施例1と同様である。
実施例3は、粘度が20℃で23000mPa・s、30℃で9100mPa・s、40℃で8700Pa・s、撹拌不良「無」、密度490kg/m、熱伝導率0.30W/m・K、熱伝導性0.61、熱伝導性評価が比較例1よりも高い「〇」である。
実施例3は、実施例1と同様に撹拌不良が無く、さらにモノオールと共に分散剤2が配合されていることにより、実施例1よりも粘度が低く、熱伝導性が高くなった。
【0042】
・実施例4
実施例4は、実施例1の配合に分散剤3を3.0重量部配合した以外、実施例1と同様である。
実施例4は、粘度が20℃で18000mPa・s、30℃で8700mPa・s、40℃で5700Pa・s、撹拌不良「無」、密度490kg/m、熱伝導率0.31W/m・K、熱伝導性0.63、熱伝導性評価が比較例1よりも高い「〇」である。
実施例4は、実施例1と同様に撹拌不良が無く、さらにモノオールと共に分散剤3が配合されていることにより、実施例1よりも粘度が低く、熱伝導性が高くなった。
【0043】
・比較例1
比較例1は、実施例1-4の比較元となる比較例であり、ポリオールを100重量部とし、モノオール及び分散剤1-3の配合量を0重量部とし、他は実施例1-4と同様にした例である。
比較例1は、粘度が20℃で42000mPa・s、30℃で17000mPa・s、40℃で11000mPa・s、撹拌不良「有」、密度470kg/m、熱伝導率0.24W/m・K、熱伝導性0.51である。
比較例1は、モノオールが配合されていないため、実施例1-4よりも粘度が高く、撹拌不良が発生した。
また、比較例1は、分散剤1-3が配合されてないため、実施例2-4よりも熱伝導性が低くなった。
【0044】
実施例5及び比較例2は、ポリオール成形体の密度が240kg/m付近になるように発泡剤(水)の配合量を調整した例である。
・実施例5
実施例5は、実施例2における発泡剤(水)の配合量を1.70重量部に増量し、分散剤1の配合量を1.5重量部に減量し、他は実施例2と同様にした例である。
実施例5は、粘度が20℃で21000mPa・s、30℃で1300mPa・s、40℃で7400Pa・s、撹拌不良「無」、密度240kg/m、熱伝導率0.10W/m・K、熱伝導性0.42、熱伝導性評価が比較元の比較例2よりも高い「〇」である。
実施例5は、モノオールが配合されているため、粘度が低く、撹拌不良が無かった。また、分散剤も配合されているため、比較例2よりも熱伝導性が高くなった。
【0045】
・比較例2
比較例2は、実施例5の比較元となる比較例であり、ポリオールを100重量部とし、モノオール及び分散剤1-3の配合量を0重量部とし、他は実施例5と同様にした例である。
比較例2は、粘度が20℃で41000mPa・s、30℃で27000mPa・s、40℃で13000mPa・s、撹拌不良「有」、密度240kg/m、熱伝導率0.08W/m・K、熱伝導性0.33である。
比較例2は、モノオールが配合されていないため、実施例5よりも粘度が高く、撹拌不良が発生した。
また、比較例2は、分散剤1-3が配合されてないため、実施例2よりも熱伝導性が低くなった。
【0046】
実施例1-4及びその比較元である比較例1と、実施例5及びその比較元である比較例2について、ポリウレタンフォーム原料の粘度の測定結果を図2に示し、また、熱伝導性の結果を図3に示す。
【0047】
このように、本発明によれば、ポリウレタンフォーム原料の撹拌不良を防ぎ、外観品質及び熱伝導性が良好なポリウレタンフォーム成形体が得られる。
なお、本発明は、実施例に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
図1
図2
図3