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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2026-02-06
(45)【発行日】2026-02-17
(54)【発明の名称】グアンファシン製剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/16 20060101AFI20260209BHJP
   A61K 47/12 20060101ALI20260209BHJP
   A61K 47/18 20170101ALI20260209BHJP
   A61K 47/22 20060101ALI20260209BHJP
   A61K 47/38 20060101ALI20260209BHJP
   A61K 47/32 20060101ALI20260209BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20260209BHJP
   A61P 25/18 20060101ALI20260209BHJP
【FI】
A61K31/16
A61K47/12
A61K47/18
A61K47/22
A61K47/38
A61K47/32
A61K9/20
A61P25/18
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021142148
(22)【出願日】2021-09-01
(65)【公開番号】P2023035359
(43)【公開日】2023-03-13
【審査請求日】2024-06-24
(73)【特許権者】
【識別番号】591040753
【氏名又は名称】東和薬品株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】林田 一希
(72)【発明者】
【氏名】三宅 克紀
【審査官】榎本 佳予子
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第102579381(CN,A)
【文献】特表2009-502951(JP,A)
【文献】特表2009-502957(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0158261(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/00-33/44
A61P 1/00-43/00
A61K 47/00-47/69
A61K 9/00- 9/72
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
グアンファシンまたはその薬学的に許容される塩、有機酸およびメタクリル酸コポリマーを含む、薬学的組成物であり、
前記有機酸が、コハク酸、グルタミン酸およびアスコルビン酸からなる群より選択される少なくとも1種である、薬学的組成物。
【請求項2】
前記有機酸の含有量が、2~10重量%である、請求項1に記載の薬学的組成物。
【請求項3】
さらに、カルボキシメチルエチルセルロースおよびヒプロメロース酢酸エステルコハク酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種の腸溶性基剤を含む、請求項1または2に記載の薬学的組成物。
【請求項4】
前記腸溶性基剤の含有量が、5~35重量%である、請求項3に記載の薬学的組成物。
【請求項5】
記メタクリル酸コポリマーの含有量が25重量%未満である、請求項1~4のいずれかに記載の薬学的組成物。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載の薬学的組成物を含む、錠剤。
【請求項7】
グアンファシンまたはその薬学的に許容される塩およびメタクリル酸コポリマーを含む薬学的組成物の製造方法であって、
コハク酸、グルタミン酸およびアスコルビン酸からなる群より選択される少なくとも1種の有機酸を添加する工程を含む、製造方法。
【請求項8】
グアンファシンまたはその薬学的に許容される塩およびメタクリル酸コポリマーを含む薬学的組成物において、当該グアンファシンの類縁物質の発生を低減する方法であって、
コハク酸、グルタミン酸およびアスコルビン酸からなる群より選択される少なくとも1種の有機酸を含ませることを特徴とする、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グアンファシンまたはその薬学的に許容される塩を含む薬学的組成物、および当該薬学的組成物を含む錠剤に関する。本発明はまた、前記薬学的組成物の製造方法、および前記薬学的組成物の安定化方法に関する。
【背景技術】
【0002】
グアンファシンまたはその薬学的に許容される塩は、一般に、選択的α2Aアドレナリン受容体作動薬として知られており、注意欠陥・多動性障害の治療等において有用である。
【0003】
グアンファシンまたはその薬学的に許容される塩を含む製剤は、これまでに複数開発されている。
【0004】
例えば、特許文献1には、0.75から2重量%の塩酸グアンファシンを含む1日1回投与用の経口投与用製剤であって、ポリ(メタクリル酸、アクリル酸エチル)を25から45重量%含み、グアンファシンとして1~4mgの用量を含み、総重量は340mgまでであり、錠剤の形状であることを特徴とする、経口投与用製剤等が開示されている。
【0005】
また。特許文献2には、(a)pH依存性の溶解性を有している、少なくとも1つの薬学的に活性な特定の薬剤;(b)少なくとも1つの非-pH-依存性の特定の徐放性薬剤;(c)5.5を超えるpHにおいて、錠剤からの少なくとも1つの薬学的に活性な前記薬剤の放出速度を増加する少なくとも1つの特定のpH依存性薬剤;および(d)少なくとも1つの特定の有機酸の混合物を含む、骨髄増殖性血液疾患を処置するための薬学的組成物等が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特許第5726401号公報
【文献】特許第4340840号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1および2に記載されたようなグアンファシンまたはその薬学的に許容される塩を含む製剤においては、その安定性に関して改善の余地があった。
【0008】
そこで、本発明の一態様は、グアンファシンまたはその薬学的に許容される塩を含む、安定性が改善された新規の薬学的組成物、および当該薬学的組成物を含む錠剤を実現することを目的とする。また、本発明の一態様は、グアンファシンまたはその薬学的に許容される塩を含む薬学的組成物の製造方法、および当該薬学的組成物の安定化方法を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、グアンファシンまたはその薬学的に許容される塩を含む薬学的組成物において、特定の有機酸を含ませることにより、グアンファシンまたはその薬学的に許容される塩の安定性が改善されることを初めて見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明の一態様は、以下の構成を包含する。
<1>グアンファシンまたはその薬学的に許容される塩、および有機酸を含む、薬学的組成物であり、
前記有機酸が、コハク酸、マレイン酸、安息香酸、グルタミン酸、アスパラギン酸およびアスコルビン酸からなる群より選択される少なくとも1種である、薬学的組成物。
<2>前記有機酸の含有量が、2~10重量%である、<1>に記載の薬学的組成物。
<3>さらに、カルボキシメチルエチルセルロースおよびヒプロメロース酢酸エステルコハク酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種の腸溶性基剤を含む、<1>または<2>に記載の薬学的組成物。
<4>前記腸溶性基剤の含有量が、5~35重量%である、<3>に記載の薬学的組成物。
<5>メタクリル酸コポリマーを含み、前記メタクリル酸コポリマーの含有量が25重量%未満である、<1>~<4>のいずれかに記載の薬学的組成物。
<6><1>~<5>のいずれかに記載の薬学的組成物を含む、錠剤。
<7>グアンファシンまたはその薬学的に許容される塩を含む薬学的組成物の製造方法であって、
コハク酸、マレイン酸、安息香酸、グルタミン酸、アスパラギン酸およびアスコルビン酸からなる群より選択される少なくとも1種の有機酸を添加する工程を含む、製造方法。
<8>グアンファシンまたはその薬学的に許容される塩を含む薬学的組成物の安定化方法であって、
コハク酸、マレイン酸、安息香酸、グルタミン酸、アスパラギン酸およびアスコルビン酸からなる群より選択される少なくとも1種の有機酸を含ませることを特徴とする、方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明の一態様によれば、グアンファシンまたはその薬学的に許容される塩を含む、安定性が改善された新規の薬学的組成物、および当該薬学的組成物を含む錠剤を提供することができる。また、本発明の一態様によれば、グアンファシンまたはその薬学的に許容される塩を含む薬学的組成物の製造方法、および当該薬学的組成物の安定化方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】腸溶性基剤を用いた安定性試験の結果(総類縁)を示す図である。
図2】有機酸を用いた安定性試験の結果(総類縁)を示す図である。
図3】腸溶性基剤を用いた安定性試験の結果(2,6-ジクロロフェニル酢酸)を示す図である。
図4】有機酸を用いた安定性試験の結果(2,6-ジクロロフェニル酢酸)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施の一形態について、以下に詳細に説明する。なお、本明細書において特記しない限り、数値範囲を表す「A~B」は、「A以上、B以下」を意味する。
【0013】
〔1.本発明の概要〕
本発明の一実施形態に係る薬学的組成物(以下、「本薬学的組成物」と称する。)は、グアンファシンまたはその薬学的に許容される塩、および有機酸を含む、薬学的組成物であり、前記有機酸が、コハク酸、マレイン酸、安息香酸、グルタミン酸、アスパラギン酸およびアスコルビン酸からなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とする。
【0014】
また、本発明の一実施形態に係る錠剤(以下、「本錠剤」と称する。)は、本薬学的組成物を含むことを特徴とする。
【0015】
さらに、本発明の一実施形態に係るグアンファシンまたはその薬学的に許容される塩を含む薬学的組成物の製造方法(以下、「本製造方法」と称する。)は、グアンファシンまたはその薬学的に許容される塩を含む薬学的組成物の製造方法であって、コハク酸、マレイン酸、安息香酸、グルタミン酸、アスパラギン酸およびアスコルビン酸からなる群より選択される少なくとも1種の有機酸を添加する工程を含むことを特徴とする。
【0016】
加えて、本発明の一実施形態に係るグアンファシンまたはその薬学的に許容される塩を含む薬学的組成物の安定化方法(以下、「本安定化方法」と称する。)は、グアンファシンまたはその薬学的に許容される塩を含む薬学的組成物の安定化方法であって、コハク酸、マレイン酸、安息香酸、グルタミン酸、アスパラギン酸およびアスコルビン酸からなる群より選択される少なくとも1種の有機酸を含ませることを特徴とする。
【0017】
本発明者らは、グアンファシンまたはその薬学的に許容される塩を含む薬学的組成物に関して、安定性の観点から詳細に検討を行った結果、以下の知見を得ることに成功した。
【0018】
グアンファシンまたはその薬学的に許容される塩を含む薬学的組成物において、特定の有機酸(例えば、コハク酸、マレイン酸、安息香酸、グルタミン酸、アスパラギン酸およびアスコルビン酸)を含ませることにより、グアンファシンまたはその薬学的に許容される塩の安定性が改善される。
【0019】
これまで、有機酸がグアンファシンまたはその薬学的に許容される塩を含む薬学的組成物の安定化に寄与し得ることは、知られていなかった。このような中、本発明者らが、薬学的組成物に含まれ得る多くの成分のうち有機酸に着目し、特定の有機酸を選択して含ませることで、グアンファシンまたはその薬学的に許容される塩を含む薬学的組成物の安定性の向上を達成できたことは、驚くべきことである。
【0020】
このように、本薬学的組成物は、上記の知見に基づく有利な効果を奏することから、極めて有用な新規のグアンファシンまたはその薬学的に許容される塩を含む薬学的組成物、および当該薬学的組成物を含む錠剤を提供することができる。また、本発明の一態様において、グアンファシンまたはその薬学的に許容される塩を含む薬学的組成物の製造方法、および当該薬学的組成物の安定化方法を提供することができる。
【0021】
〔2.薬学的組成物〕
(グアンファシンまたはその薬学的に許容される塩)
本薬学的組成物は、有効成分として、結晶またはアモルファスのグアンファシンまたはその薬学的に許容される塩を含む。グアンファシンまたはその薬学的に許容される塩の一例として、グアンファシン塩酸塩が挙げられる。グアンファシン塩酸塩は、下記の式(1)で表される化合物であり、一般に、N-アミジノ-2-(2,6-ジクロロフェニル)アセトアミドモノハイドロクロライドと呼ばれる。
【0022】
【化1】
【0023】
本明細書において、「薬学的に許容される塩」とは、医学的に、過度の毒性、刺激、アレルギー反応等がなく、ヒトまたはその他の哺乳動物の組織と接触させて使用するのに適した塩を意味する。
【0024】
グアンファシンの薬学的に許容される塩は、当該技術分野において周知であり、任意のものが使用可能である。グアンファシンの薬学的に許容される塩としては、例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、硝酸塩、硫酸塩、リン酸塩等の無機酸塩;酢酸塩、シュウ酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、クエン酸塩、安息香酸塩、メタンスルホン酸塩等の有機酸塩;リジン、グリシン、フェニルアラニン、アスパラギン酸、グルタミン酸等の付加塩等が挙げられる。グアンファシンの薬学的に許容される塩は、好ましくは、グアンファシン塩酸塩である。
【0025】
本薬学的組成物におけるグアンファシンまたはその薬学的に許容される塩の含有量は、薬学的組成物の質量を基準として、例えば、2~10重量%であり、好ましくは、3~9重量%である。
【0026】
(有機酸)
本薬学的組成物は、コハク酸、マレイン酸、安息香酸、グルタミン酸、アスパラギン酸およびアスコルビン酸からなる群より選択される少なくとも1種の有機酸(以下、単に「有機酸」と称する場合がある。)を含む。本薬学的組成物が上記の有機酸を含むことにより、グアンファシンまたはその薬学的に許容される塩の安定性が改善されるとの効果を奏する。
【0027】
本薬学的組成物における有機酸の含有量は、薬学的組成物の質量を基準として、好ましくは、0.5~50重量%であり、より好ましくは、1~30重量%であり、さらに好ましくは、2~10重量%である。
【0028】
(腸溶性基剤)
本発明の一実施形態において、本薬学的組成物は、腸溶性基剤を含んでいてもよい。本薬学的組成物が腸溶性基剤を含むことにより、本薬学的組成物を腸溶性製剤の材料として利用できる。
【0029】
腸溶性基剤としては、特に限定されないが、例えば、カルボキシメチルエチルセルロース、ヒプロメロース酢酸エステルコハク酸エステル、メタクリル酸コポリマー等が挙げられる。腸溶性基剤は、上記1種を含んでいてもよいし、2種以上を含んでいてもよい。
【0030】
本薬学的組成物における腸溶性基剤の含有量は、薬学的組成物の質量を基準として、好ましくは、1~50重量%であり、より好ましくは、3~40重量%であり、さらに好ましくは、5~35重量%である。
【0031】
腸溶性基剤がカルボキシメチルエチルセルロースおよび/またはヒプロメロース酢酸エステルコハク酸エステルを含む場合、本薬学的組成物におけるこれらの腸溶性基剤の含有量は、薬学的組成物の質量を基準として、好ましくは、1~30重量%であり、より好ましくは、3~20重量%であり、さらに好ましくは、5~15重量%である。
【0032】
また、腸溶性基剤がメタクリル酸コポリマーを含む場合、本薬学的組成物におけるメタクリル酸コポリマーの含有量は、薬学的組成物の質量を基準として、好ましくは、25重量%未満であり、より好ましくは、22重量%以下であり、さらに好ましくは、20重量%以下である。但し、これに限定されることなく、本薬学的組成物におけるメタクリル酸コポリマーの含有量は、薬学的組成物の質量を基準として、例えば、45重量%超であってもよい。
【0033】
(その他の成分)
本薬学的組成物は、上記以外の成分として、賦形剤、結合剤、滑沢剤、崩壊剤、界面活性剤、可塑剤、着色剤等を含んでいてもよい。
【0034】
賦形剤としては、特に限定されないが、例えば、D-マンニトール、乳糖(例えば、乳糖水和物)、白糖、コーンスターチ(トウモロコシデンプン)、リン酸カルシウム、ソルビット、結晶セルロース、軽質無水ケイ酸等が挙げられる。好ましくは、結晶セルロース、乳糖(例えば、乳糖水和物)が用いられる。
【0035】
結合剤としては、特に限定されないが、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(「ヒプロメロース」とも称する。)、ポビドン、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、N-ビニルピロリドンと酢酸ビニルとの共重合体、またはこれらの重合体の組み合わせ、アルファー化デンプン、ゼラチン、カンテン、アラビアゴム等が挙げられる。好ましくは、ヒプロメロースが用いられる。ヒプロメロースの粘度範囲は80~140000mPa・sのものが好適に用いられ、例えば、ヒプロメロース2208(Methocel(商標)K4MPremiumCR、粘度:2500~5000mPa・s)等が挙げられる。
【0036】
滑沢剤としては、特に限定されないが、例えば、タルク、カオリン、二酸化チタン等の不活性物質、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸、軽質無水ケイ酸、細かく粉砕した二酸化ケイ素、フマル酸ステアリルナトリウム、グリセリン脂肪酸エステル等が挙げられる。好ましくは、グリセリン脂肪酸エステルが用いられる。
【0037】
崩壊剤としては、特に限定されないが、例えば、クロスポビドン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、デンプングリコール酸ナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、カルメロース、カルメロースカルシウム、バレイショデンプン等が挙げられる。好ましくは、クロスポビドンが用いられる。
【0038】
着色剤としては、特に限定されないが、例えば、黄色を呈する着色剤(例えば、黄色三二酸化鉄、黄酸化鉄、食用黄色4号アルミニウムレーキ、ベンガラ等)、赤色を呈する着色剤(例えば、三二酸化鉄、食用赤色2号、食用赤色3号、食用赤色102号等)、黒色を呈する着色剤(例えば、黒酸化鉄、カーボンブラック、薬用炭等)、青色を呈する着色剤(例えば、青色2号アルミニウムレーキ等)、カラメル等が挙げられる。好ましくは、黄色三二酸化鉄、青色2号アルミニウムレーキが用いられる。
【0039】
前記各添加剤の含有率は、特に限定されることなく、従来公知の技術に基づいて、適宜設定され得る。
【0040】
〔3.錠剤〕
本発明の一実施形態において、〔2.薬学的組成物〕に記載の薬学的組成物を含む、錠剤を提供する。
【0041】
本錠剤は、グアンファシンまたはその薬学的に許容される塩と共に、上記した特定の有機酸含む。したがって、本錠剤は、グアンファシンまたはその薬学的に許容される塩の安定性が改善されるという効果を奏する。
【0042】
本錠剤の直径は、特に限定されないが、取扱い性の観点から、例えば、5.0~16mmであり、好ましくは、5.5~13mmであり、より好ましくは、5.8~11mmである。
【0043】
本錠剤の厚さは、特に限定されないが、例えば、2.0~6.0mmであり、好ましくは、2.5~5.5mmであり、より好ましくは、3.0~5.0mmである。
【0044】
本発明の一実施形態において、本錠剤は、例えば、1mg、2mg、3mg、または4mgの、グアンファシンまたはその薬学的に許容される塩を含む。
【0045】
本錠剤に含まれる各種成分の含有量は、〔2.薬学的組成物〕に記載の薬学的組成物に含まれる各種成分の含有量が援用される。但し、「薬学的組成物の質量を基準として」なる記載は、「錠剤の質量を基準として」と読み替えるものとする。
【0046】
本錠剤の形状は、特に限定されることなく、例えば、円形、楕円形、球形、棒状型、ドーナツ型の形状等であり得る。
【0047】
また、錠剤は、必要に応じて、さらにコーティングされていてもよい。錠剤は、必要に応じて、PTP包装、ビン充填、アルミ包装等により包装されていてもよい。
【0048】
PTP包装の素材としては、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリスチレン又はポリカーボネート等の樹脂や、アルミニウム等の金属が挙げられる。これらの素材は、一種類で用いても、複数種類を組み合わせて用いてもよい。組み合わせの例としては、例えば、ポリ塩化ビニルとポリ塩化ビニリデンとを積層することや、ポリ塩化ビニルとポリクロロトリフルオロエチレンとを積層すること等が挙げられる。上記の樹脂を公知の方法で成形した樹脂シートの、成形したポケットに錠剤を入れ、アルミニウム箔を用いて蓋をすることで、包装することができる。
【0049】
錠剤が収容されたPTP包装は、更にアルミピローによって包装されていてもよい。このアルミピローには、更に乾燥剤が収容されていてもよい。乾燥剤としては、例えば、塩化カルシウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、シリカゲル又はゼオライト等が挙げられる。
【0050】
〔4.製造方法〕
本発明の一実施形態において、グアンファシンまたはその薬学的に許容される塩を含む薬学的組成物の製造方法であって、コハク酸、マレイン酸、安息香酸、グルタミン酸、アスパラギン酸およびアスコルビン酸からなる群より選択される少なくとも1種の有機酸を添加する工程を含む、製造方法を提供する。
【0051】
本製造方法において、各構成要素(例えば、「グアンファシンまたはその薬学的に許容される塩」「有機酸」)の説明は、〔2.薬学的組成物〕に記載したものが援用される。
【0052】
本製造方法において、有機酸の添加は、例えば、実施例に記載されたように他の成分と同時に添加・混合する態様で行ってもよいし、有機酸以外の成分を最初に調製しておき、そこに有機酸を添加する態様で行ってもよい。好ましくは、実施例に記載の方法により行われる。
【0053】
本製造方法における有機酸の添加以外の工程は、薬学的組成物の分野において使用される任意の方法を用いて行うことができる。
【0054】
また、本製造方法で得られた薬学的組成物を、例えば、直接打錠することにより、本錠剤を得ることができる。
【0055】
本製造方法における打錠圧力は、処方や錠剤形状により適切に調整できるが、例えば、4~16kNの範囲であることが好ましい。また、錠剤硬度も目的により適切に調整できるが、例えば、20~200Nの範囲であることが好ましい。
【0056】
〔5.安定化方法〕
本発明の一実施形態において、グアンファシンまたはその薬学的に許容される塩を含む薬学的組成物の安定化方法であって、コハク酸、マレイン酸、安息香酸、グルタミン酸、アスパラギン酸およびアスコルビン酸からなる群より選択される少なくとも1種の有機酸を含ませることを特徴とする、方法を提供する。
【0057】
本安定化方法は、上述の通り、グアンファシンまたはその薬学的に許容される塩を含む薬学的組成物を安定化することができる。したがって、本安定化方法は、安定なグアンファシンまたはその薬学的に許容される塩を含む製剤を設計するうえで、極めて有用である。
【0058】
本安定化方法において、各構成要素(例えば、「グアンファシンまたはその薬学的に許容される塩」「有機酸」)の説明は、〔2.薬学的組成物〕に記載したものが援用される。
【0059】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【実施例
【0060】
本発明の一実施例について以下に説明する。
【0061】
〔測定および評価方法〕
実施例および比較例における評価を、以下の方法で行った。
【0062】
(安定性試験)
実施例および比較例で製造した薬学的組成物または錠剤の安定性を評価した。
【0063】
具体的には、上記薬学的組成物を入れた試験管、または錠剤を入れたポリエチレン瓶を、40℃75%RHで4週間、開放条件で放置した後、薬学的組成物または錠剤を取り出し、類縁物質(総類縁、2,6-ジクロロフェニル酢酸)の量を測定した。
【0064】
各実験例につき、薬学的組成物または錠剤を一定量の抽出溶媒(70%メタノール)にて抽出し、メンブレンフィルターで濾過して、試料溶液とした。
【0065】
上記試料溶液を、下記の条件でHPLCに付し、各試料溶液中のグアンファシンおよび類縁物質のピーク面積を1として、類縁物質の生成比率を算出した。
【0066】
<HPLC測定条件>
・測定波長:UV検出器(測定波長230nm)
・カラム:内径4.6mm、長さ25cmのステンレス管に5μmの液体クロマトグラフィー用オクタデシルシリル化シリカゲルを充填する。
・カラム温度:40℃
・移動相A:リン酸二水素カルシウムを水に溶かした液に、トリエチルアミンを加え、リン酸でpHを調整した溶液
・移動相B:メタノール/テトラヒドロフラン混液
・流量:1.2mL/min
・送液:移動相Aおよび移動相Bの混合比を変えて、濃度勾配を制御。
【0067】
〔実施例1〕
原薬(グアンファシン塩酸塩)を4mgと、腸溶性基剤である乾燥メタクリル酸コポリマーLDとを表1に記載の比率で加えて混合し、薬学的組成物を得た。
【0068】
〔実施例2〕
腸溶性基剤をヒプロメロース酢酸エステルコハク酸エステルとしたこと以外は実施例1と同様にして、薬学的組成物を得た。
【0069】
〔実施例3〕
腸溶性基剤をカルボキシメチルエチルセルロースとしたこと以外は実施例1と同様にして、薬学的組成物を得た。
【0070】
〔実施例4〕
原薬(グアンファシン塩酸塩)4mgに、有機酸であるコハク酸を加えて混合して、薬学的組成物を得た。
【0071】
〔実施例5〕
有機酸をグルタミン酸としたこと以外は実施例4と同様にして、薬学的組成物を得た。
【0072】
〔実施例6〕
有機酸をアスコルビン酸としたこと以外は実施例4と同様にして、薬学的組成物を得た。
【0073】
〔比較例1〕
原薬以外の成分を添加しなかったこと以外は実施例1と同様にして、薬学的組成物を得た。
【0074】
〔比較例2〕
腸溶性基剤をヒプロメロースフタル酸エステルとしたこと以外は実施例1と同様にして、薬学的組成物を得た。
【0075】
〔比較例3〕
有機酸をフマル酸としたこと以外は実施例4と同様にして、薬学的組成物を得た。
【0076】
〔比較例4〕
有機酸をクエン酸水和物としたこと以外は実施例4と同様にして、薬学的組成物を得た。
【0077】
なお、実施例1~6、比較例1~4の各成分(腸溶性基剤および有機酸)の分量については、表1を参照のこと。
【0078】
【表1】
【0079】
〔結果-1〕
上記実施例および比較例で製造したグアンファシン塩酸塩を原薬とした薬学的組成物について、安定性試験を行った結果を図1~4および表1に示す。なお、図1~4および表1中、「Initial」は、製造直後の薬学的組成物を用いた試験結果であり、「40℃、75%RH open4W」は、前記開放条件で放置した薬学的組成物を用いた試験結果である。
【0080】
図1、3および表1では、腸溶性基剤を混合した場合の薬学的組成物の安定性を評価した。類縁物質(総類縁、2,6-ジクロロフェニル酢酸)は、原薬であるグアンファシン塩酸塩の分解産物であり、グアンファシン塩酸塩の分解に伴いその割合が増加する。図1、3および表1より、腸溶性基剤として、乾燥メタクリル酸コポリマーLD、ヒプロメロース酢酸エステルコハク酸エステル、カルボキシメチルエチルセルロースを用いた場合、類縁物質の発生が抑制されることが見出された。すなわち、これらの物質は、原薬であるグアンファシン塩酸塩の安定化に寄与することが示された。
【0081】
図2、4および表1では、有機酸を混合した場合の薬学的組成物の安定性を評価した。図2、4および表1より、有機酸として、コハク酸、グルタミン酸、アスコルビン酸を用いた場合、類縁物質の発生が抑制されることが見出された。すなわち、これらの物質は、原薬であるグアンファシン塩酸塩の安定化に寄与することが示された。
【0082】
〔実施例7〕
表2に記載した各成分を、表2に記載の成分量にて混合した後、打錠圧力8kNで直打を行い、直径7.0mmの錠剤を得た。なお、表2中、各成分量の単位は「mg」である。
【0083】
〔実施例8~10、比較例5〕
表2に記載した各成分を、表2に記載の成分量にて混合した後、打錠圧力12kNで直打を行い、直径7.8mmの錠剤を得た。なお、表2中、各成分量の単位は「mg」である。
【0084】
【表2】
【0085】
〔結果-2〕
上記実施例7~10および比較例5で製造したグアンファシン塩酸塩(平均粒度(D50):6μm)を原薬とした錠剤について、安定性試験を行った結果を表3に示す。なお、表3中、「Initial」は製造直後の錠剤の試験結果であり、「6D」、「9D」はそれぞれ6日後、9日後の試験結果を示す。また、「N.D.」は2,6-ジクロロフェニル酢酸が検出されなかったことを示す。
【0086】
【表3】
【0087】
表3より、上記薬学的組成物に関する実施例で使用した腸溶性基剤および有機酸を用いた場合、類縁物質である2,6-ジクロロフェニル酢酸の発生が抑制されることが見出された。すなわち、上記薬学的組成物に関する実施例で使用した腸溶性基剤および有機酸は、錠剤においても同様に、安定化に寄与することが示された。
【0088】
〔処方例1〕
表4に記載した各成分を、表4に記載の成分量にて混合した後、打錠圧力12kNで直打を行い、直径7.8mmの錠剤を得る。なお、表4中の各成分の割合は、小数点第二位を四捨五入した値である。
【0089】
【表4】
【産業上の利用可能性】
【0090】
本発明は、グアンファシンまたはその薬学的に許容される塩を含む薬学的組成物の安定性が向上しているため、グアンファシンまたはその薬学的に許容される塩を含む新規の薬学的組成物として、好適に利用することができる。
図1
図2
図3
図4