(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2026-02-09
(45)【発行日】2026-02-18
(54)【発明の名称】カット装置、カット判断方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
B26D 5/00 20060101AFI20260210BHJP
B26D 7/20 20060101ALI20260210BHJP
B26D 7/22 20060101ALI20260210BHJP
【FI】
B26D5/00 Z
B26D7/20
B26D5/00 F
B26D7/22 A
(21)【出願番号】P 2024181483
(22)【出願日】2024-10-17
【審査請求日】2025-01-21
(31)【優先権主張番号】P 2024000038
(32)【優先日】2024-01-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中川 到
【審査官】飯田 義久
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-136612(JP,A)
【文献】特開2020-116689(JP,A)
【文献】特開2017-109251(JP,A)
【文献】特開2005-219159(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B26D 5/00
B26D 7/20
B26D 7/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート導電部を
部分的な領域に有し、カット対象物が載置されるシートと、
前記カット対象物をカットするためのカッター刃と、
前記シート導電部に電気的に接続可能な本体導電部を
部分的な領域に有し、前記シートが載置される載置台と、
前記本体導電部に生じる電圧を検知する電圧検知部と、
前記本体導電部に重なる位置で前記カッター刃にカット動作を行わせ、前記カット動作中に前記電圧検知部により検知された電圧に基づいて、前記カッター刃が前記カット対象物をカット可能か否かを判断する制御部と、
を備えることを特徴とするカット装置。
【請求項2】
前記カッター刃は、接地され、
前記本体導電部は、電源電圧が印加され、
前記制御部は、
前記カット動作中に前記電圧検知部により検知された電圧が接地電位である場合に、前記カッター刃が前記カット対象物をカット可能と判断し、
前記カット動作中に前記電圧検知部により検知された電圧が前記電源電圧である場合に、前記カッター刃が前記カット対象物をカット可能でないと判断する、
ことを特徴とする請求項1に記載のカット装置。
【請求項3】
前記制御部は、ユーザにより入力設定されたカット形状の少なくとも一部が前記本体導電部に重なる場合には、ユーザが意図する形状とは異なる形状にカットしてしまう可能性があることを報知する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のカット装置。
【請求項4】
前記シート導電部は、前記シートが前記載置台に正しく配置されたときに前記シート導電部が前記本体導電部に重なるサイズ又は形状に形成されている、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のカット装置。
【請求項5】
シート導電部を
部分的な領域に有し、カット対象物が載置されるシートと、
前記カット対象物をカットするためのカッター刃と、
前記シート導電部に電気的に接続可能な本体導電部を
部分的な領域に有し、前記シートが載置される載置台と、
前記本体導電部に生じる電圧を検知する電圧検知部と、
を備えたカット装置が実行するカット判断方法であって、
前記本体導電部に重なる位置で前記カッター刃にカット動作を行わせ、前記カット動作中に前記電圧検知部により検知された電圧に基づいて、前記カッター刃が前記カット対象物をカット可能か否かを判断する制御処理、
を含むことを特徴とするカット判断方法。
【請求項6】
シート導電部を
部分的な領域に有し、カット対象物が載置されるシートと、
前記カット対象物をカットするためのカッター刃と、
前記シート導電部に電気的に接続可能な本体導電部を
部分的な領域に有し、前記シートが載置される載置台と、
前記本体導電部に生じる電圧を検知する電圧検知部と、
を備えたカット装置のコンピュータを、
前記本体導電部に重なる位置で前記カッター刃にカット動作を行わせ、前記カット動作中に前記電圧検知部により検知された電圧に基づいて、前記カッター刃が前記カット対象物をカット可能か否かを判断する制御手段、
として機能させることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カット装置、カット判断方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、カット対象物をカットするカット装置が知られている。例えば、カッター刃を有し、まずカッター刃がカット対象物としてのシート状の媒体を突き刺して貫通させたのち、その貫通部分からカットを開始する媒体切断装置が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、媒体の厚みが厚い場合や媒体の硬さが硬い場合には、カッター刃が媒体を充分に突き刺すことができないところ、上記従来の媒体切断装置は、カッター刃が媒体を充分に突き刺せているか否かを判断できず、カッター刃が媒体を充分に突き刺せていないにもかかわらず切断動作を最後まで実行してしまい無駄な時間を消費してしまうおそれがあった。
【0005】
本発明の課題は、カットデータに合わせたカットを行う前に、カッター刃がカット対象物を充分に突き刺した状態でカット可能か否かを判断できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題の解決のために、本発明のカット装置は、シート導電部を部分的な領域に有し、カット対象物が載置されるシートと、前記カット対象物をカットするためのカッター刃と、前記シート導電部に電気的に接続可能な本体導電部を部分的な領域に有し、前記シートが載置される載置台と、前記本体導電部に生じる電圧を検知する電圧検知部と、前記本体導電部に重なる位置で前記カッター刃にカット動作を行わせ、前記カット動作中に前記電圧検知部により検知された電圧に基づいて、前記カッター刃が前記カット対象物をカット可能か否かを判断する制御部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、カットデータに合わせたカットを行う前に、カッター刃がカット対象物を充分に突き刺した状態でカット可能か否かを判断できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施の形態のカット装置及びPCを示すブロック図である。
【
図2】カット装置の機能構成を示すブロック図である。
【
図3】紙が貼り付けられたシートが載置された載置台を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。ただし、本発明の範囲は、図示例に限定されるものではない。
【0010】
まず、
図1~
図4を参照して、本実施の形態の装置構成を説明する。
図1に示すように、カット装置10は、カット対象物としての矩形などの平面状の媒体を、ユーザの意図した平面形状にカット(カッティング)する装置である。媒体の厚みが厚い場合や媒体の硬さが硬い場合には、カッター刃が媒体を充分に突き刺すことができないおそれがある。カット装置10は、事前確認のため、カッター刃が媒体を突き刺す(貫通させる)ことを試行して、充分に突き刺せているか否かを判断する。カット装置10は、充分に突き刺せている場合に、上記ユーザの意図した平面形状に媒体をカットしてカット生成品を生成する。これにより、カッター刃が媒体を充分に突き刺せていないにもかかわらずカット動作を最後まで実行してしまい無駄な時間を消費してしまうことを防ぐ。本実施の形態において、媒体として、A4などの用紙である紙60(
図3)を用いる例を説明するが、これに限定されるものではない。媒体としては、樹脂などのシート、シール、皮など、カッター刃でカット可能な他の媒体でもよい。
【0011】
カット装置10は、情報処理装置としてのPC(Personal Computer)50と無線通信により通信接続されて使用される。PC50は、デスクトップPCである。PC50は、制御部、操作部、表示部、無線通信部など(いずれも図示略)を備える。PC50の制御部は、操作部を介するユーザからの操作入力に基づき、カット装置10でユーザの意図するカット生成品の平面形状、位置などを示すカットデータの生成、編集の処理を行う。PC50は、他にも、カット装置10に関する操作情報の入力受付や、カット装置10に関する表示情報の表示などを行う。
【0012】
カット装置10に通信接続される情報処理装置は、PC50に限定されるものではない。カット装置10に通信接続される情報処理装置は、スマートフォン、タブレットPCなど、他の情報処理装置としてもよい。また、カット装置10とPC50との無線通信の通信方式は、Bluetooth(登録商標)であるものとする。ただし、無線通信の通信方式は、Bluetoothに限定されるものではなく、Wi-Fi(登録商標)など、他の通信方式としてもよい。また、カット装置10とPC50との通信接続は、無線通信に限定されるものではなく、有線通信としてもよい。有線通信は、例えば、通信ケーブルを介するUSB(Universal Serial Bus)の有線通信である。
【0013】
ついで、
図2を参照して、カット装置10の内部の機能構成を説明する。カット装置10は、制御部としてのMPU(Micro Processor Unit)11と、操作部12と、記憶部13と、インジケータ部14と、有線通信部15と、無線通信部16と、カット部17と、原点位置検出部18と、給紙部19と、給紙検出部20と、電源部21と、電圧検知部22と、載置台(台座部)31と、シート32と、を備える。MPU11、操作部12、記憶部13、インジケータ部14、有線通信部15、無線通信部16、カット部17、原点位置検出部18、給紙部19、給紙検出部20、電圧検知部22は、バス23を介して接続されている。
【0014】
カット部17は、X軸モータ171と、Z軸モータ172と、キャリッジ173と、カッター刃174と、刃回転モータ175と、を有する。給紙部19は、Y軸モータ191を有する。電源部21は、抵抗211を有する。載置台31は、本体導電部としての導電部312を有する。シート32は、シート導電部としての導電部322を有する。
【0015】
MPU11は、カット装置10の各部を制御する。MPU11は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)を有する。CPUは、記憶部13に記憶された各種プログラムのうち指定されたプログラムを読み出してRAMに展開し、展開されたプログラムとの協働で各種処理を実行する。RAMは、揮発性の半導体メモリであり、各種データ及びプログラムを一時的に格納するワークエリアが形成される。操作部12は、各種ボタンを有し、ユーザからの各ボタンへの押下入力を受け付け、その操作情報をMPU11に出力する。操作部12の各種ボタンは、紙60の位置を移動するポジションキー、カットの一時停止ボタン、紙60のセットボタン、紙60の取り出しボタンなどである。
【0016】
記憶部13は、フラッシュメモリなどの情報の読み出し及び書き込みが可能な記憶部である。記憶部13は、カットデータなどの各種データや各種プログラムを記憶する。特に、記憶部13は、後述するカット処理を実行するためのカットプログラムP1を記憶している。インジケータ部14は、LED(Light Emitting Diode)などの発光部を有し、カット装置10の各種状態を点灯/消灯により示す。インジケータ部14は、例えば、電源オン/オフを示す電源ランプを有する。インジケータ部14は、MPU11の指示に従い、発光部の発光をオン/オフする。
【0017】
有線通信部15は、USBなどの通信規格の有線通信のインタフェースである。MPU11は、有線通信部15及び通信ケーブルを介して、PC50などの外部機器と情報の送受信を行う。無線通信部16は、アンテナ、変復調回路、信号処理回路などを有し、PC50などの外部機器とのBluetoothの無線通信のインタフェースである。MPU11は、無線通信部16を介して、PC50などの外部機器と情報の送受信を行う。
【0018】
カット部17は、MPU11の指示に従い、X軸モータ171、Z軸モータ172の駆動により、キャリッジ173に搭載されたカッター刃174をX軸方向及びZ軸方向に移動する。カット部17は、カッター刃174の移動により、載置台31に載置(セット)されたシート32に貼り付けられた紙60をカット(貫通)又はユーザの意図する平面形状にカットする。ここで、
図3を参照して、載置台31に載置されたシート32に貼り付けられた紙60と、X軸、Y軸及びZ軸を説明する。
【0019】
シート32は、カッター刃174で載置台31を傷つけないこと、紙60を正常な位置に載置することなどの目的で用いられる。載置台31は、紙60が貼り付けられたシート32が載置される。X軸は、載置台31(シート32、紙60)を搬送する場合の主走査方向にとられている。Y軸は、X軸に直交し、載置台31(シート32、紙60)の搬送方向(給紙方向、副走査方向)にとられている。Z軸は、XY平面に直交し、カッター刃174を紙60に対して上下する方向にとられている。
【0020】
X軸モータ171は、MPU11の指示に従い、キャリッジ173をX軸方向に駆動するモータである。Z軸モータ172は、MPU11の指示に従い、カッター刃174をZ軸方向に駆動するモータである。キャリッジ173は、カッター刃174を搭載するX軸方向の可動部である。カッター刃174は、先端に例えば斜め形状の刃先を有する紙60のカット用の金属などの導電体製の刃物である。刃回転モータ175は、カッター刃174の軸方向を中心にカッター刃174を回転駆動するモータである。
【0021】
原点位置検出部18は、MPU11の指示に従い、カッター刃174がX軸方向の原点位置にあるか否かを検出する光学センサなどの位置検出部である。原点位置検出部18は、カッター刃174が原点位置にあるか否かの検出結果をMPU11に出力する。MPU11は、カッター刃174が原点位置にあるか否かの検出結果を用いて、カット部17のカッター刃174のX軸方向の位置を制御する。
【0022】
給紙部19は、MPU11の指示に従い、Y軸モータ191の駆動により、紙60が貼り付けられたシート32が載置された載置台31をY軸方向に搬送する搬送部である。給紙検出部20は、MPU11の指示に従い、紙60が貼り付けられたシート32が載置された載置台31が給紙部19の給紙口に給紙(セット)されたか否かを検出する光学センサなどの検出部である。給紙検出部20は、紙60のセットの検出結果をMPU11に出力する。
【0023】
電源部21は、外部電源から供給された電源電力を調整してカット装置10の各部に供給する。電源部21は、GND(接地電位、0[V])の出力端子がカッター刃174に電気的に接続されている。また、
図4に示すように、電源部21は、プルアップ用の抵抗211を介して、所定の電源電圧の出力端子が導電部312、電圧検知部22の入力端子に電気的に接続されている。電圧検知部22は、MPU11の指示に従い、載置台31の導電部312の電圧を検知する電圧センサである。電圧検知部22は、電圧の検知結果をMPU11に出力する。
図4に示すように、載置台31は、載置台本体311と、導電部312と、を有する。
【0024】
図3に示すように、紙60は、平面上に、カットエリア61と、判定エリア62と、を有する。カットエリア61は、カットによりカット生成品を生成するための領域である。判定エリア62は、カットエリア61をカットする前にカット可能か否かを判定するためのカット領域であり、カット生成品に不要な領域である。
図4に示すように、載置台本体311は、載置台31の本体部であり、例えば、平面が矩形の形状を有し、絶縁性の素材からなる。導電部312は、載置台本体311上の判定エリア62に対応する上面位置に配置された導電体である。つまり、判定エリア62は、載置台31に対して紙60が正しい位置に配置された場合に、導電部312に重なる位置として設定されている。なお、導電部312は、例えば、前記載置台31の長手方向における両端のうちの一方の端に偏った位置に設けられている。また、導電部312の面積は、前記載置台本体311の面積よりも小さい。
【0025】
シート32は、シート本体321と、導電部322と、を有する。シート本体321は、シート32の本体部であり、例えば、平面の矩形の形状を有する。シート本体321は、載置台31に載置されるため、載置台本体311の平面形状内に収まる形状を有する。シート本体321は、紙60のカット時にカッター刃174が傷つかないような柔らかい絶縁性の素材からなり、紙60を貼り付けるための粘着剤が上面に塗られている。
【0026】
導電部322は、導電部312に重なる(対向する)位置に配置され、Z軸方向に貫通された導電体である。導電部322は、シート32が載置台31に正常な位置に載置された状態で、導電部312に電気的に接続される。導電部322は、紙60のカット時にカッター刃174が傷つかないような柔らかい導電性ゴムなどの導電性物質からなる。つまり、判定エリア62は、載置台31及びシート32に対して紙60が正しい位置に配置された場合に、導電部322を介して導電部312に重なる位置として設定されている。なお、導電部322は、例えば、シート32の長手方向における両端のうちの一方の端に偏った位置に設けられている。また、導電部322の面積は、シート本体321の面積よりも小さい。
【0027】
ここで、シート32が載置台31に正常な位置に載置された状態で、導電部322にカッター刃174が接触されると、電圧検知部22は、導電部312のGNDを検知する。同様な状態で、導電部322にカッター刃174が接触されないと、電圧検知部22は、導電部312の電源電圧を検知する。
【0028】
つぎに、
図5を参照して、カット装置10で実行されるカット処理を説明する。あらかじめ、カット装置10とPC50とは、無線通信により通信接続されている。PC50は、カットする平面形状(カット形状)や位置などのユーザによる操作入力に応じて、紙60をユーザの意図する平面形状や位置にカットするためのカットデータを生成し、カット装置10に送信しているものとする。カット装置10のMPU11は、無線通信部16を介して、カットする平面形状や位置などからなるカットデータをPC50から受信し、受信したカットデータを記憶部13に記憶している。
【0029】
また、ユーザは、カット対象の紙60をシート32の所定位置に貼り付ける。紙60がシート32の正常な位置にある場合に、判定エリア62は、導電部322に重なる(対向する)位置に配置されている。そして、ユーザは、紙60が貼り付けられたシート32を載置台31の所定位置に載置する。シート32が載置台31の正常な位置にある場合に、判定エリア62は、導電部312に重なる(対向する)位置に配置されている。
【0030】
そして、ユーザは、給紙部19に紙60が貼り付けられたシート32が載置された載置台31を給紙部19の給紙口にセットする。ユーザは、PC50の操作部を介してカット開始指示を入力する。PC50は、当該入力されたカット開始指示をカット装置10に送信する。カット装置10において、無線通信部16を介して、実行指示の情報をPC50から受信したことをトリガとして、MPU11は、記憶部13に記憶されたカットプログラムP1に従い、カット処理を実行する。
【0031】
まず、MPU11は、カット開始指示をPC50から受信完了(入力)する(ステップS11)。そして、MPU11は、カットデータとしてカット形状の少なくとも一部がカットエリア61から食み出して判定エリア62内にあるか否かを判定する(ステップS12)。つまり、判定エリア62では、後述するように、ステップS13において事前確認のためのカットがユーザの意図したカット形状とは無関係に実行されるので、MPU11は、事前確認のためのカットで紙60に傷をつけてしまうことによりカット生成品がユーザの意図した形状のカット生成品にならない可能性があるか否かを判定する。カット生成品に事前確認のためのカットで傷をつけてしまう場合には、ユーザが意図とする形状とは異なる形状へのカットになってしまう可能性が高く、結果として、紙60を無駄にしてしまう可能性が高い。
【0032】
カットデータとしてカット形状の少なくとも一部が判定エリア62内にある場合(ステップS12;YES)、MPU11は、カット形状の少なくとも一部が判定エリア62内にある旨のメッセージデータを生成してPC50に送信する(ステップS13)。カット形状の少なくとも一部が判定エリア62内にある旨のメッセージデータは、カッター刃174が紙60をユーザが意図とする形状とは異なる形状にカットしてしまう可能性があり、結果として、紙60を無駄にしてしまう可能性があることを意味する。そして、カット処理は、終了する。ステップS13に対応して、PC50の制御部は、メッセージデータを受信して表示部に表示する。
【0033】
カットデータとしてカット形状が判定エリア62内にない場合(ステップS12;NO)、MPU11は、カット部17、給紙部19などを駆動して、紙60を搬送しカッター刃174を判定エリア62に対応する位置(すなわち、導電部312に重なる位置)に移動してカット動作する。つまり、事前確認のためのカットを実行する(ステップS14)。ステップS14において、さらに、MPU11は、電圧検知部22により導電部312の電圧を検知する。
【0034】
そして、MPU11は、ステップS14で検知された電圧がロー(GND)であるか否かを判定する(ステップS15)。電圧がローである場合(ステップS15;YES)、紙60の判定エリア62がカッター刃174により貫通し、正常にカットされたことを意味する。このため、MPU11は、カット可能状態に設定する(ステップS16)。
【0035】
そして、MPU11は、カット部17、給紙部19などを駆動して、紙60を搬送しカッター刃174をカットエリア61に対応する位置に移動し、記憶部13のカットデータに基づいて、紙60をカット動作する(ステップS17)。ステップS17により、カット生成品が生成される。そして、カット処理は、終了する。
【0036】
ステップS14で検知された電圧がハイ(電源電圧)である場合(ステップS15;NO)、紙60の判定エリア62がカッター刃174により正常にカットされていない。このため、MPU11は、カット不可状態に設定する(ステップS18)。MPU11は、カット不可状態である旨のメッセージデータを生成し、無線通信部16を介して当該メッセージデータをPC50に送信する(ステップS19)。そして、カット処理は、終了する。ステップS13に対応して、PC50の制御部は、メッセージデータを受信して表示部に表示する。
【0037】
以上、本実施の形態によれば、カット装置10は、シート32と、カッター刃174と、載置台31と、電圧検知部22と、MPU11と、を備える。シート32は、紙60を載置し、導電部322を有する。カッター刃174は、紙60をカットする。載置台31は、導電部322に電気的に接続可能な導電部312を有し、シート32が載置される。電圧検知部22は、導電部312に生じる電圧を検知する。MPU11は、導電部312に重なる位置(判定エリア62)でカッター刃174にカット動作を行わせ、カット動作中に電圧検知部22により検知された電圧に基づいて、カッター刃174が紙60をカット可能か否かを判断する。
【0038】
このため、カットデータに合わせたカットを行う前に、カッター刃174が紙60を充分に突き刺した状態でカット可能か否かを判断できる。これにより、カッター刃174が紙60を充分に突き刺せていないにもかかわらず、カットデータに合わせたカット動作を最後まで実行してしまい無駄な時間を消費してしまうことを防ぐことができる。さらに、カッター刃174が充分に突き刺せていないままカットされて無駄になる紙60の発生を防ぐことができる。
【0039】
また、カッター刃174は、接地される。導電部312は、電源電圧が印加される。MPU11は、検知された電圧がGNDである場合に、カッター刃174が紙60をカット可能と判断する。MPU11は、検知された電圧が電源電圧である場合に、カッター刃174が紙60をカット可能でないと判断する。このため、ユーザが、カッター刃174が紙60をカット可能であることと、カッター刃174が紙60をカット可能でないこととを、容易かつ正確に判断できる。なお、カッター刃174に電源電圧が印加され、導電部312が接地される構成としてもよい。例えば、
図4の抵抗211は、一端が電圧検知部22及び導電部312に電気的に接続され、他端が電源部21のGNDの出力端子に電気的に接続されてもよい。この構成で、カッター刃174は、電源部21の電源電圧に出力端子に電気的に接続される。ただし、当該構成では、電源電圧が印加されたカッター刃174が剥き出しになる。このため、外部の物体(ユーザの指など)がカッター刃174に接触された場合に当該物体に電流が流れるおそれがある。よって、カッター刃174が接地され、導電部312に電源電圧が印加される構成が好ましい。
【0040】
また、MPU11は、カットデータとしてカット形状の少なくとも一部が紙60における導電部322の位置に対応する判定エリア62にある場合に、カッター刃174が紙60をユーザが意図とする形状とは異なる形状にカットしてしまう可能性があり、結果として、紙60を無駄にしてしまう可能性があることをPC50のメッセージ表示により報知して、カット処理を終了する。このため、判定エリア62におけるカット動作により、紙60を無駄にしてしまうことを事前に防ぎつつ、ユーザが必要な措置をとるように導くことができる。ここでの措置は、例えば、カットデータの変更などである。
【0041】
また、MPU11は、カッター刃174が紙60をカット可能でないと判断する場合に、カッター刃174が紙60をカット可能でないことをPC50のメッセージ表示により報知する。このため、ユーザはカッター刃174が紙60をカット可能でない旨を認識でき、カッター刃174が紙60をカット可能とするための必要な措置をユーザがとるように導くことができる。ここでの措置は、例えば、紙60の変更としてカッター刃174を貫通させることが可能な厚みのカット対象物への変更や、カッター刃174の交換、載置台31に対してのシート32や紙60の載置状態の調整である。
【0042】
以上の説明では、本発明に係るプログラムのコンピュータ読み取り可能な媒体としてフラッシュメモリなどの記憶部13を使用した例を開示したが、この例に限定されない。その他のコンピュータ読み取り可能な媒体として、ROM(Read Only Memory)、CD-ROMなどの可搬型記録媒体を適用することが可能である。また、本発明に係るプログラムのデータを通信回線を介して提供する媒体として、キャリアウエーブ(搬送波)も本発明に適用される。
【0043】
なお、上記実施の形態における記述は、本発明に係るカット装置、カット判断方法及びプログラムの一例であり、これに限定されるものではない。
【0044】
例えば、上記実施の形態では、カット装置10のMPU11がメッセージデータを生成してPC50に送信して表示させる構成であったが、これに限定されるものではない。例えば、カット装置10がメッセージを表示可能なLCD(Liquid Crystal Display)などの表示部を備える構成としてもよい。当該構成において、MPU11は、メッセージデータを生成して自機の表示部に表示する。
【0045】
また、判定エリアには、ユーザがカットデータを設定できない構成としてもよい。例えば、PC50の制御部が、ユーザからの操作部を介する操作入力に基づいてカットデータを生成するカットデータ生成処理を実行するものとする。カットデータ生成処理において、制御部は、操作入力に基づくカットデータとしてカット形状の少なくとも一部が判定エリアに入るか否かを判別する。カット形状の少なくとも一部が判定エリアに入る場合に、制御部は、警告メッセージを表示部に表示する。警告メッセージは、例えば、カット形状の少なくとも一部が判定エリアに入り、ユーザが意図とする形状とは異なる形状にカット生成品をカットしてしまう可能性があり、紙を無駄にしてしまう可能性がある旨を警告するメッセージである。このとき、制御部は、例えば、操作部を介してユーザから修正したカットデータ作成のための操作入力を受け付ける。あるいは、制御部は、操作入力に基づくカットデータとしてカット形状の少なくとも一部が判定エリアに入る場合に、当該カットデータを設定せず処理を終了する構成としてもよい。つまり、当該構成は、カット形状の少なくとも一部が判定エリアに入るカットデータの作成を禁止するものである。
【0046】
本発明の実施の形態を説明したが、本発明の範囲は、上述の実施の形態に限定するものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲とその均等の範囲を含む。
【符号の説明】
【0047】
10 カット装置、11 MPU、174 カッター刃、22 電圧検知部、31 載置台、32 シート、312,322 導電部、60 紙