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  • -ガラス粉体 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2026-02-09
(45)【発行日】2026-02-18
(54)【発明の名称】ガラス粉体
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/25 20060101AFI20260210BHJP
   A61Q 1/12 20060101ALI20260210BHJP
   C03C 3/087 20060101ALI20260210BHJP
   C03C 12/00 20060101ALI20260210BHJP
【FI】
A61K8/25
A61Q1/12
C03C3/087
C03C12/00
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2024576967
(86)(22)【出願日】2024-09-10
(86)【国際出願番号】 JP2024032362
(87)【国際公開番号】W WO2025057938
(87)【国際公開日】2025-03-20
【審査請求日】2024-12-27
(31)【優先権主張番号】P 2023149887
(32)【優先日】2023-09-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000004008
【氏名又は名称】日本板硝子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004314
【氏名又は名称】弁理士法人青藍国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】堀口 治子
(72)【発明者】
【氏名】三上 伸路
【審査官】和瀬田 芳正
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-112283(JP,A)
【文献】特表2019-502631(JP,A)
【文献】特開2003-246643(JP,A)
【文献】米国特許第06000241(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0233484(US,A1)
【文献】国際公開第2023/166547(WO,A1)
【文献】特開2016-175819(JP,A)
【文献】特開平11-314937(JP,A)
【文献】特開2005-146058(JP,A)
【文献】国際公開第2023/171228(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C03C 12/00-12/02
A61K 8/00- 8/99
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
D50が1μm以上15μm以下であり、
D50/2が8%以上であり、
高さ5mmの円柱のプレス成形体に成形して測定した硬度Aが1.5以上20以下である、
ガラス粉体を含む、
化粧料。
ただし、D50は、レーザ回折・散乱法で測定した粒度分布において粒径が小さい側からの体積累計が50%となる粒径であり、D50/2は、前記粒度分布において粒径が小さい側から前記D50の1/2の粒径に達するまでの体積累計の比率であり、前記プレス成形体は、内部に円柱の空隙を有する金型を用いて前記内部に充填した前記ガラス粉体を前記円柱の高さ方向に沿って4MPaの圧力を印加して得られたものであり、前記硬度Aは、日本産業規格(JIS)K 6253-2012に規定されたタイプAデュロメータを用いて測定した硬度である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラス粉体に関する。本発明は、より具体的には、例えば化粧料における使用に適したガラス粉体に関する。
【背景技術】
【0002】
化粧料には、滑り性の向上、光散乱効果の付与等のために、粉体が配合されることがある。粉体は、ファンデーションに代表されるメイクアップ化粧料に多用されている。有機粉体としては、シリコーン、セルロース、ナイロン等が使用されている。無機粉体としては、シリカ、ガラス等が使用されている。特許文献1には、化粧料として、平均粒径3~30μmの球状粉体が配合された透明固形組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-213145号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ガラス粉体等の無機粉体は、有機粉体とは異なり、廃棄後にマイクロプラスチックを発生させない。しかし、無機粉体は、乾燥感やかさつきを肌に与えることがある。また、無機粉体は、プレストパウダー型の化粧料の成形性を阻害することもある。そこで、本発明は、化粧料における使用に適したガラス粉体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、その第1の側面から、
D50が1μm以上15μm以下であり、
D50/2が8%以上である、ガラス粉体、を提供する。
ただし、D50は、レーザ回折・散乱法で測定した粒度分布において粒径が小さい側からの体積累計が50%となる粒径であり、D50/2は、前記粒度分布において粒径が小さい側から前記D50の1/2の粒径に達するまでの体積累計の比率である。
【0006】
本発明は、その第2の側面から、
高さ5mmの円柱のプレス成形体に成形して測定した硬度Aが1.5以上である、ガラス粉体、を提供する。
ただし、前記プレス成形体は、内部に円柱の空隙を有する金型を用いて前記内部に充填した前記ガラス粉体を前記円柱の高さ方向に沿って4MPaの圧力を印加して得られたものであり、前記硬度Aは、日本産業規格(JIS)K 6253-2012に規定されたタイプAデュロメータを用いて測定した硬度である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、化粧料における使用に適したガラス粉体が提供される。本発明は、少なくとも好ましい実施形態において、下記のi)及びii)から選ばれる少なくとも1つの効果を奏しうる。
i)肌にしっとり感を与えやすい。
ii)プレストパウダー型の化粧料の成形性を阻害しにくい。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一例によるガラス粉体を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態を説明するが、以下の説明は、本発明を特定の実施形態に制限する趣旨ではない。本明細書において、「主成分」とは、質量基準で含有率が最大となる成分を意味する。「球状」とは、粒体の最長の径R1に対する径R1に直交する径R2の比R2/R1が、0.8以上である形状を意味する。「真球状」とは、粒体の最長の径R1に対する径R1に直交する径R2の比R2/R1が、0.9以上である形状を意味する。「球状」及び「真球状」に該当するかの判断は、SEMを用いた観察による観察像に基づいて定めることができる。ガラス粉体が所定の「ガラス粒体により実質的に構成される」とは、個数基準でガラス粉体を構成するガラス粒体の90%以上、さらに95%以上が所定のガラス粒体に該当することを意味する。ただし、個数基準の比率は、任意に選択した50個の粒体を対象として定めることができる。以下に記載する数値の上限及び下限は、個別に記載しないが、任意に組み合わせた範囲とすることができる。
【0010】
(粒度分布)
本実施形態のガラス粉体のD50は、1μm以上、2μm以上、3μm以上、さらに4μm以上であってもよい。D50が小さ過ぎると、化粧料へのガラス粉体の分散性が低下することがある。D50は、15μm以下、13μm以下、11μm以下、さらに10.5μm以下であってもよい。D50が大き過ぎると、肌への良好な触感を維持できないことがある。D50/2は、8%以上、10%以上、12%以上、14%以上、さらに16%以上であってもよく、場合によっては18%以上であってもよい。D50/2は、相対的に粒径が小さな粒体の比率を示す指標である。D50/2の上限は、特に制限されないが、40%以下、35%以下、さらに30%以下であってもよい。
【0011】
D50/2が小さ過ぎないガラス粉体は、肌にしっとり感を与えやすい。これは、相対的に大きい粒子の間に小さい粒子が十分に介在した状態で肌に接するためと考えられる。ガラス粉体は、有機粉体と比較して相対的に硬く、しっとり感を与える上では本来的には不利である。粒度分布の制御によってしっとり感を付与しうることは、例えば無機粉体の表面改質を不要としうる点において、量産上、有用である。
【0012】
D50/2が小さ過ぎないガラス粉体は、化粧料の成形性を阻害しにくく、この点においても優れている。化粧料の成形性への影響の程度は、ガラス粉体自体の成形性により評価できる。ガラス粉体の成形性は、ガラス粉体のプレス成形体の硬度により評価することができる。
【0013】
ガラス粉体のD10の下限は、特に制限されないが、0.3μm以上、0.7μm以上、さらに1μm以上であってもよい。D10の上限は、同じく制限されるわけではないが、8μm以下、5μm以下、さらに3μm以下であってもよい。ガラス粉体のD90の下限は、特に制限されないが、1μm以上、5μm以上、さらに7μm以上であってもよい。D90の上限は、同じく制限されるわけではないが、50μm以下、40μm以下、さらに25μm以下であってもよい。なお、D10及びD90は、それぞれ、D50の「50%」を「10%」又は「90%」に読み替えて定めることができる。
【0014】
D10に対するD90の比D90/D10は、粒度分布の広がりを示す指標である。D90/D10は、特に限定されないが、4以上、5以上、さらに6以上であってもよい。D90/D10は、特に限定されないが、50以下、30以下、15以下、12以下、さらに10以下、場合によっては9以下であってもよい。適切な範囲のD90/D10、特に4以上20以下、5以上10以下、さらに5以上9以下のD90/D10は、化粧料の成形性への影響の程度を緩和する上で適切である。
【0015】
(プレス成形体の硬度)
本実施形態のガラス粉体のプレス成形体の硬度Aは、1.5以上、2以上、さらに2.2以上、場合によっては2.5以上、特に3以上であってもよい。ガラス粉体のプレス成形体の高い硬度は、ガラス粉体を含む化粧料の成形性への影響の緩和の指標となる。ガラス粉体のプレス成形体の硬度Aの上限は、特に限定されないが、例えば20以下、さらに10以下である。ただし、硬度Aは、タイプAデュロメータを用いて測定した硬度に基づく。アスカーゴム硬度計F型を用いて測定した硬度Fに基づいて記述すると、本実施形態のガラス粉体のプレス成形体の硬度(硬度F)は、60以上、70以上、80以上、90以上、さらに95以上であってもよい。試験体であるプレス成形体の作製法及び硬度A及びFの評価法の詳細は、実施例の欄において記述する。プレス成形体の硬度が高いガラス粉体は、相対的に大きい粒子の間に相対的に小さい粒子が十分に介在していると想定される。
【0016】
(ガラス粉体の組成)
ガラス粉体の組成は、特に限定されず、酸化物、例えば酸化珪素を主成分とする各種の組成であってよい。酸化珪素を主成分とするガラス組成は、ソーダ石灰ガラス、ホウケイ酸ガラス、アルミノ珪酸ガラス等と呼ばれている各種の組成であってもよい。ガラス組成は、INCI(International Nomenclature of Cosmetic Ingredients)名により表示して、ホウケイ酸(Al/Ca/銅/Na)、ホウケイ酸(Ca/Al)、ホウケイ酸(Ca/Na)及びホウケイ酸(Ca/チタン)からなる群より選択される少なくとも1つに該当する組成であってもよい。ガラス組成は、INCI名により表示して、ホウケイ酸(Ca/Al)、ホウケイ酸(Ca/Na)及びホウケイ酸(Ca/チタン)からなる群より選択される少なくとも1つに該当する組成であってもよい。ガラス組成は、INCI名により表示して、ホウケイ酸(Ca/Al)及びホウケイ酸(Ca/Na)からなる群より選択される少なくとも1つに該当する組成であってもよい。INCI名において「ホウケイ酸」を含む上記の各組成名において、酸化ホウ素の含有率は、質量基準で0~13%であってもよい。つまり、酸化ホウ素を含まないガラス組成であっても、INCI名では「ホウケイ酸」を含む組成に該当しうる。ガラス粉体の組成は、通常のソーダ石灰ガラスよりも酸化カルシウムの含有率が高いもの、具体的には酸化カルシウムの含有率が質量基準で16%以上、さらに18%以上、であってもよい。ガラス粉体の組成は、通常のソーダ石灰ガラスよりも酸化アルミニウムの含有率が高いもの、具体的には酸化アルミニウムの含有率が質量基準で5%以上、さらに8%以上、であってもよい。ガラス粉体の組成は、通常のソーダ石灰ガラスよりも酸化ナトリウムの含有率が低いもの、具体的には酸化アルミニウムの含有率が質量基準で10%以下、さらに7%以下、であってもよい。また、軟化点がソーダ石灰ガラスよりも高いガラス組成、具体的には、軟化点が780℃以上、800℃以上、さらに830℃以上のガラス組成は、本実施形態のガラス粉体に適している。軟化点は、ガラスの粘度が107.6dPa・sとなる温度である。
【0017】
(ガラス粉体を構成する粒子の形状等)
ガラス粉体を構成する粒子の形状は、特に限定されないが、球状であってもよく、真球状であってもよい。ガラス粉体は、球状のガラス粒体により実質的に構成されていてもよい。ガラス粉体は、真球状のガラス粒体により実質的に構成されていてもよい。ただし、本実施形態のガラス粉体は、各種の形状を有し得る。また、ガラス粉体は、中実のガラス粒体により実質的に構成されていてもよい。中実のガラス粒体は、中空のガラス粒体よりも十分なしっとり感を与える上では適している。
【0018】
(ガラス粉体の製造方法)
本実施形態において、ガラス粉体は、例えば、原料ガラス粉体を粉砕することを含む製造方法によって得ることができる。粉砕のステップは、特に限定されず、例えば公知の各種ミルを使用して実施できる。原料ガラス粉体にも特に制限はなく、ペレット状、フレーク状、球状等の各種形状を有する原料粉体を使用することができる。
【0019】
粒度を調整するための粉砕の条件は、粉砕の手法によって相異するが、例えばボールミルについて述べると、よく知られているように、粉砕時間、回転数、ボール充填率、ボール径等である。粉砕後、例えば篩やフィルタを用いることにより、所定径を超える又は所定径未満のガラス粉体を除去してもよい。粒度分布の調整自体は公知の技術を適用して実施することができる。
【0020】
ガラス粉体の製造方法は、粉砕によって得たガラス粉体を球状化することをさらに含んでいてもよい。球状化のステップは、例えばガラス粉体を加熱して実施できる。加熱温度は、ガラス粉体の組成、粒度分布等を考慮して定めることができる。加熱温度が高過ぎると、粒径が小さいガラス粉体が発泡することがある。また、適度に低い加熱温度は、ガラス粉体を構成する相対的に小さい粒体の比率を維持することに適している。本発明者の検討によると、製造効率の向上に好ましい従来適用されてきた加熱温度は、D50/2で示しうる相対的に小さい粒体の比率を低下させる。
【0021】
(化粧料)
本実施形態のガラス粉体を配合する化粧料としては、特に制限されないが、例えば、ファンデーション、フェイスパウダー等のメイクアップ化粧料が適している。化粧料の形状にも特段の制限はないが、本実施形態のガラス粉体は、固形の化粧料への配合が適している。
【0022】
化粧料における本実施形態のガラス粉体の含有率は、質量基準で、例えば0.1%以上、5%以上、さらに10%以上であってもよい。この含有率の上限は、特に制限されないが、90%以下、さらに50%以下であってもよい。
【0023】
以上のとおり、本実施形態は、以下の技術を提供する。
【0024】
第1の技術は、
D50が1μm以上15μm以下であり、
D50/2が8%以上である、ガラス粉体、である。
ただし、D50は、レーザ回折・散乱法で測定した粒度分布において粒径が小さい側からの体積累計が50%となる粒径であり、D50/2は、前記粒度分布において粒径が小さい側から前記D50の1/2の粒径に達するまでの体積累計の比率である。
【0025】
第2の技術は、
高さ5mmの円柱のプレス成形体に成形して測定した硬度Aが1.5以上である、第1の技術に記載のガラス粉体、である。
ただし、前記プレス成形体は、内部に円柱の空隙を有する金型を用いて前記内部に充填した前記ガラス粉体を前記円柱の高さ方向に沿って4MPaの圧力を印加して得られたものであり、前記硬度Aは、日本産業規格(JIS)K 6253-2012に規定されたタイプAデュロメータを用いて測定した硬度である。
【0026】
第3の技術は、
高さ5mmの円柱のプレス成形体に成形して測定した硬度Aが1.5以上である、ガラス粉体、である。
ただし、前記プレス成形体は、内部に円柱の空隙を有する金型を用いて前記内部に充填した前記ガラス粉体を前記円柱の高さ方向に沿って4MPaの圧力を印加して得られたものであり、前記硬度Aは、日本産業規格(JIS)K 6253-2012に規定されたタイプAデュロメータを用いて測定した硬度である。
【0027】
第4の技術は、
球状のガラス粒体により実質的に構成される、第1の技術から第3の技術のいずれか1つに記載のガラス粉体、である。
ただし、球状とは、走査型電子顕微鏡を用いて観察した粒体の観察像において最長の径R1に対する前記径R1に直交する径R2の比R2/R1が0.8以上である形状である。
【0028】
第5の技術は、
D10に対するD90の比D90/D10が4.0以上である、第1の技術から第4の技術のいずれか1つに記載のガラス粉体、である。
ただし、D10は、レーザ回折・散乱法で測定した粒度分布において粒径が小さい側からの体積累計が10%となる粒径であり、D90は、前記粒度分布において粒径が小さい側から体積累計が90%となる粒径である。
【0029】
第6の技術は、
軟化点が780℃以上であるガラス組成を有する、第1の技術から第5の技術のいずれか1つに記載のガラス粉体、である。
【0030】
第7の技術は、
高さ5mmの円柱のプレス成形体に成形して測定した硬度Fが60以上である、第1の技術に記載のガラス粉体、である。
ただし、前記プレス成形体は、内部に円柱の空隙を有する金型を用いて前記内部に充填した前記ガラス粉体を前記円柱の高さ方向に沿って4MPaの圧力を印加して得られたものであり、前記硬度Fは、アスカーゴム硬度計F型を用いて測定した硬度である。
【0031】
第8の技術は、
第1の技術から第7の技術のいずれか1つに記載のガラス粉体を含む化粧料、である。
【0032】
なお、本実施形態は、以下の第9の技術も提供する。
第9の技術は、
高さ5mmの円柱のプレス成形体に成形して測定した硬度Fが60以上である、ガラス粉体、である。
ただし、前記プレス成形体は、内部に円柱の空隙を有する金型を用いて前記内部に充填した前記ガラス粉体を前記円柱の高さ方向に沿って4MPaの圧力を印加して得られたものであり、前記硬度Fは、アスカーゴム硬度計F型を用いて測定した硬度である。
【実施例
【0033】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。まず、特定の評価方法について説明する。
【0034】
(粒度分布)
レーザ回折・散乱法を用いてガラス粉体の粒度分布を測定した。測定には、粒子径分布測定装置(マイクロトラック社製「MT3300EXII」)を使用した。粒径が小さい側からの体積累計で10%、50%及び90%となる粒径を、それぞれD10、D50及びD90として測定した。また、粒径が小さい側からD50の半分の粒径までの粒子の体積累計による比率をD50/2として得た。さらに、D90/D10を算出した。
【0035】
(官能評価)
ガラス粉体の少量を指に取り、手の甲に塗布して、粉体の触感と乾燥感とを評価した。触感は、しっとり/さらさらのいずれに該当するか、で評価した。乾燥感は、G:乾燥しない、F:やや乾燥感あり、NG:乾燥感あり、の3段階で評価した。
【0036】
(プレス成形体の形状維持性及び硬度)
・プレス成形体の成形
金型を用いてガラス粉体を圧縮成形して円柱状のプレス成形体を得た。プレス成形体の高さは、底面が直径58mmの円形、高さが5mmである円柱状であった。圧縮成形は、円柱の高さ方向に沿って4MPaの圧力を印加して実施した。
・形状維持性
プレス成形体の底面の中心から10mmの範囲の円形領域に10kPaの圧力を印加して、プレス成形体の形状の変化を観察した。結果は、G:崩れにくい、NG:崩れやすいの2段階で評価した。
・硬度
JISK 6253-2012に規定されたタイプAデュロメータ及び高分子計器株式会社製アスカーゴム硬度計F型を用いてプレス成形体の底面の硬度A及びFを測定した。なお、測定時間は1秒、すなわちプレス成形体にデュロメータ等を接触させてから1秒以内の指示値を硬度とした。
【0037】
(実施例1)
ホウケイ酸(Ca/Al)に該当するガラス組成を有するガラス粒子をボールミルで粉砕し、ガラス粉体を得た。用いたホウケイ酸(Ca/Al)のガラス組成を表1に示す。ただし、このガラス組成は、ホウケイ酸(Ca/Na)及びホウケイ酸(Ca/チタン)にも該当するため、ホウケイ酸(Ca/Al)を加えた3種のいずれとしても表記できる。また、このガラス組成の軟化点は876℃であった。ボールミルの粉砕条件は、ガラス粉体のD50が6μmとなるように調整した。粉砕後のガラス粉体は球状には該当しない形状を有していた。次に、火炎式の球状化装置(大陽日酸株式会社「CERAMELT」)を用いて、得られたガラス粉体を球状化した。球状化装置のバーナー燃焼温度は、2000~2400℃の範囲に調整した。ガラス粉体は、原料フィーダを用いて10kg/hの速度で供給した。供給したガラス粉体は、加熱されて球状化された。球状化したガラス粒体はサイクロンを用いて回収した。一方、数100nm以下の微粉はバグフィルターで回収し、ガラス粒体から分別した。
【0038】
【表1】
【0039】
(実施例2)
粉砕条件を変更したこと、具体的にはボールミルに投入するボールのサイズを大きくしたこと、を除いては、実施例1と同様にして、ガラス粒体を得た。
【0040】
(比較例1)
球状化条件を変更したことを除いては、実施例2と同様にして、ガラス粒体を得た球状化装置のバーナー燃焼温度は、2400~2700℃の範囲に調整した。
【0041】
(比較例2)
市販のソーダ石灰ガラスのガラス粒子を用いたこと、粉砕条件を変更したこと、具体的にはボールのサイズを実施例2よりさらに大きくしたこと、を除いて、実施例1と同様にして、ガラス粒体を得た。なお、用いたソーダ石灰ガラスの軟化点は、730℃程度である。
【0042】
(比較例3、4)
比較例3では球状シリカ(AGCエスアイテック株式会社「L-51」)を、比較例4では球状シリコーン(信越化学工業株式会社「KSP-100」)を、ガラス粒体に代えて、それぞれ用い、測定を実施した。
【0043】
測定結果を表2にまとめて示す。
【0044】
【表2】
【0045】
なお、比較例3,4では、硬度測定の際、プレス成形体が割れたため、硬度の測定値は得られなかった。また、SEMを用いて観察したところ、実施例1,2から得たガラス粉体は、真球状かつ中実の粒体により実質的に構成されていた。比較例1,2から得たガラス粉体も、真球状であった。同様に実施例1のガラス粉体のSEM写真を図1に示す。
【0046】
次に、実施例1,比較例1,3から得た粉体を用い、ファンデーションを作成し、評価した。評価方法は上述したとおりとした。ファンデーションの処方と評価結果を表3に示す。
【0047】
【表3】
図1