(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2026-02-20
(45)【発行日】2026-03-03
(54)【発明の名称】光硬化性樹脂組成物および積層体
(51)【国際特許分類】
C08F 290/06 20060101AFI20260224BHJP
B32B 27/30 20060101ALI20260224BHJP
【FI】
C08F290/06
B32B27/30 A
(21)【出願番号】P 2021113100
(22)【出願日】2021-07-07
【審査請求日】2024-06-25
(73)【特許権者】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(73)【特許権者】
【識別番号】000192844
【氏名又は名称】神東塗料株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100186060
【氏名又は名称】吉澤 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】100075557
【氏名又は名称】西教 圭一郎
(72)【発明者】
【氏名】黄 俊超
(72)【発明者】
【氏名】井上 智博
【審査官】佐藤 貴浩
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-184371(JP,A)
【文献】特開2020-019870(JP,A)
【文献】特開2002-005887(JP,A)
【文献】特開2022-085047(JP,A)
【文献】特開2020-200437(JP,A)
【文献】特開平06-192467(JP,A)
【文献】特開2019-156952(JP,A)
【文献】特開2018-178020(JP,A)
【文献】特開2018-089578(JP,A)
【文献】特開2004-051677(JP,A)
【文献】国際公開第2019/167461(WO,A1)
【文献】特開2018-165363(JP,A)
【文献】特開2009-209256(JP,A)
【文献】国際公開第2008/099666(WO,A1)
【文献】特開2022-067910(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F 290/06
B32B 27/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)重量平均分子量(Mw)が600~4000、二重結合濃度が0.8~6.5meq/gであるオリゴマーと、
(B)橋かけ環炭化水素基を有するジ(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーと、
(C)下記式(1)で表されるポリエチレングリコールジアクリレートと、を含み、
(A)成分100質量部に対する(B)成分の質量が150~450質量部で
あり、
(B)成分100質量部に対する(C)成分の質量が5~80質量部であることを特徴とする光硬化性樹脂組成物。
【化1】
(式中、nは6~12の整数である。)
【請求項2】
(A)成分、(B)成分および(C)成分の合計100質量部に対して、アミン系またはチオール系の酸素阻害抑制剤を10質量部以下含むことを特徴とする請求項
1記載の光硬化性樹脂組成物。
【請求項3】
基材と、前記基材の表面に形成された被膜と、を含み、
前記被膜は、請求項1
または2に記載の光硬化性樹脂組成物によって形成されていることを特徴とする積層体。
【請求項4】
前記被膜の厚さが100~200μmであることを特徴とする請求項
3に記載の積層体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光硬化性樹脂組成物および積層体に関する。
【背景技術】
【0002】
物品の表面の装飾および保護のために、被膜を形成する。この被膜の材料としては、紫外線等の光によって硬化する光硬化性樹脂組成物が広く用いられている。
【0003】
例えば、特許文献1には、不飽和二重結合を有する活性エネルギー線重合性化合物と、紫外線吸収剤と、光重合性開始剤と、を含む活性エネルギー線硬化型組成物が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
光硬化性樹脂組成物は、膜厚を1~20μmとして基材表面に塗布するのが一般的である。100μm以上の膜厚で組成物を塗布することも可能ではあるが、実際の応用がほとんどない。これは、膜厚が100μm以上となると、トレードオフの関係にある被膜の硬度と密着性(低カール性)との両立が困難となるからである。また、屋外で使用される場合には、被膜に耐候性も求められる。光硬化性樹脂組成物による被膜は太陽光などの照射によって黄変するおそれがあり、膜厚が薄いと黄変が目立ちにくいが、膜厚が厚いと被膜の色が目立つようになる。表面意匠の深みや透明感などが求められる物品では、厚膜を形成するが、上記のような課題によって、光硬化性樹脂組成物を使用することが難しく、焼き付け処理が必要となるため、コストが高く、環境にも負担となる。
【0006】
本開示の光硬化性樹脂組成物は、このような課題に鑑みてなされ、その目的の1つは、被膜の硬度と密着性とを両立でき、耐候性に優れた被膜を実現できる光硬化性樹脂組成物および当該被膜を含む積層体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の光硬化性樹脂組成物は、
(A)重量平均分子量(Mw)が600~4000、二重結合濃度が0.8~6.5meq/gであるオリゴマーと、
(B)橋かけ環炭化水素基を有するジ(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーと、
を含む。
【0008】
本開示の積層体は、
基材と、前記基材の表面に形成された被膜と、を含み、
前記被膜は、上記の光硬化性樹脂組成物によって形成されている。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本開示の第2実施形態の積層体を説明するための概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(第1実施形態)
第1実施形態の光硬化性樹脂組成物は、(A)重量平均分子量(Mw)が600~4000、二重結合濃度が0.8~6.5meq/gであるオリゴマーと、(B)橋かけ環炭化水素基を有するジ(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーと、を含む。以下、(B)成分を反応性希釈剤とも称する。(B)成分のような反応性希釈剤を用いることによって、光硬化性樹脂組成物から得られる被膜を厚くしても、その硬度と密着性とを両立することができる。さらに、本実施形態の光硬化性樹脂組成物を用いた被膜は、膜厚が100μm以上であっても、黄変が少なく、耐候性に優れる。
【0011】
(A)成分のオリゴマーは、重量平均分子量(Mw)が600~4000、二重結合濃度が0.8~6.5meq/gである。ここで、重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィーによって測定されるポリスチレン換算の値である。(A)成分のオリゴマーの二重結合濃度は、理論重量平均分子量と官能基数によって求めることができる。
【0012】
(A)成分のオリゴマーの例としては、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、アクリルアクリレート、エポキシアクレートなどが挙げられる。これらの中でも、カール性および耐候性の観点から、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレートおよびアクリルアクリレートが好ましい。(A)成分のオリゴマーは既知のものであってもよく、市販されているものであってもよい。
【0013】
(B)成分の橋かけ環炭化水素基を有するジ(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーの例としては、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、イソボルニルジ(メタ)アクリレート、およびアダマンチルジ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。(B)成分のモノマーは、既知のものであってもよく、市販されているものであってもよい。
【0014】
望ましい被膜の硬度と密着性と耐候性とを実現できるという観点から、(A)成分の100質量部に対する(B)成分の質量は150~700質量部であることが好ましい。
【0015】
本実施形態の光硬化性樹脂組成物は、さらに(C)成分のジ(メタ)アクリル酸ポリアルキレングリコールモノマーを含んでいてもよい。(C)成分は、(B)成分と同様に反応性希釈剤とも称する。(C)成分は、酸素による被膜の硬化阻害を低減する効果を有しており、(C)成分を含有させることで、硬化性を向上することができる。(C)成分のジ(メタ)アクリル酸ポリアルキレングリコールモノマーは既知のものであってもよく、市販されているものであってもよい。カール性の観点から、(C)成分のジ(メタ)アクリル酸ポリアルキレングリコールモノマーは、下記式(1)で表されるポリエチレングリコールジアクリレートであることが好ましい。
【化1】
式中、nは6~12の整数で
ある。
【0016】
被膜の硬度、密着性および耐候性をさらに向上させるという観点から、(A)成分100質量部に対する(B)成分の質量が150~450質量部であり、かつ(B)成分100質量部に対する(C)成分の質量が5~80質量部であることが好ましい。より好ましくは、(B)成分100質量部に対する(C)成分の質量が5~60質量部であり、特に好ましくは、(B)成分100質量部に対する(C)成分の質量が5~40質量部である。
【0017】
本実施形態の光硬化性樹脂組成物は、さらに(D)成分の光重合開始剤を含んでいてもよい。(D)成分の光重合開始剤としては光ラジカル重合開始剤が好ましく、被膜の耐候性をより向上させるという観点から、分子内水素引き抜き型光ラジカル重合開始剤であることがより好ましい。分子内水素引き抜き型光ラジカル重合開始剤の例としては、Omnirad754(IGM RESINS社製)、Omnirad MBF(IGM RESINS社製)などが挙げられる。(D)成分の光重合開始剤の質量は、耐候性および硬化性の観点から、(A)成分のオリゴマーおよび(B)成分の反応性希釈剤の合計100質量部に対して、1~10質量部であることが好ましく、3~7質量部であることがより好ましい。
【0018】
(D)成分の光重合開始剤の質量は、(C)成分を含有する場合、(A)成分のオリゴマー、(B)成分の反応性希釈剤および(C)成分のジ(メタ)アクリル酸ポリアルキレングリコールモノマーの合計100質量部に対して、1~10質量部であることが好ましく、3~7質量部であることがより好ましい。
【0019】
本実施形態の光硬化性樹脂組成物は、その使用目的に応じて、上述した(A)、(B)、(C)および(D)成分の他にも、種々の添加剤を含むことができる。そのような添加剤の例としては、表面調整剤、酸素阻害抑制剤、充填剤、可塑剤、光安定化剤、酸化防止剤、紫外線防止剤等を含有することができる。ここで、本実施形態の光硬化性樹脂組成物は、酸素阻害抑制剤を添加しなくても、もしくは少量のみの添加で、酸素を含む空気雰囲気で硬化可能である。
【0020】
酸素阻害抑制剤は、例えば、アミン系またはチオール系のものを用いることができる。アミン系またはチオール系の酸素阻害抑制剤を用いる場合、耐候性の観点から、(A)成分、(B)成分および(C)成分の合計100質量部に対して、10質量部以下含むことが好ましい。
【0021】
本実施形態の光硬化性樹脂組成物は、シンナー等の有機溶剤で希釈する溶剤型樹脂組成物および有機溶剤で希釈しない無溶剤型樹脂組成物のいずれであってもよい。揮発性有機化合物(VOC)が残留しないため人体への影響が少なく、環境対応性に優れる等の理由から、無溶剤型樹脂組成物であることが好ましい。無溶剤型樹脂組成物は、反応性希釈剤である(B)成分の含有量、または(B)成分および(C)成分の含有量を制御することによって、有機溶剤を添加しなくても適切な粘度に調整することができる。
【0022】
(第2実施形態)
図1に示すように、第2実施形態の積層体10は、基材12と、基材の表面に形成された被膜14と、を含む。
【0023】
基材12を構成する材料の種類は特に限定されず、例えば、プラスチック、金属、金属以外の無機材料、紙、木材、革等が挙げられる。
【0024】
被膜14は、上述した第1実施形態の光硬化性樹脂組成物によって形成されている。被膜14は、幅広い膜厚の範囲(例えば20~200μm)で、望ましい硬度及び密着性を有し、耐候性に優れている。被膜14の膜厚は、基材の種類や積層体の用途等の目的に応じて適宜設定することができる。被膜14の厚さが100~200μmと比較的厚くなっても硬度、密着性、耐候性を低下させることなく維持または向上できる。
【0025】
被膜14の基材12上への形成は、光硬化性樹脂組成物を基材12に塗布して硬化させることによって行うことができる。基材12への光硬化性樹脂組成物の塗布方法としては、例えば、手塗り塗装、スプレー塗装、ディップコーター、ロールコーター、スピンコーター、フローコーター、静電塗装及びインクジェット等が挙げられる。塗布した光硬化性樹脂組成物の硬化は、紫外線を照射することによって行うことができる。硬化に必要な紫外線の照射は、公知の方法や硬化条件を適宜採用することによって行うことができる。
【0026】
被膜14の表面上に、さらにトップコート層を形成してもよい。これにより、積層体10の意匠性を維持しつつ、その表面に様々な機能を付与することができる。特にトップコート層として紫外線硬化性のトップコート層を使用する場合、光硬化工程のみで、トップコート層も被膜12も硬化させることができるので、低コストで積層体10を生産することが可能となる。
【0027】
積層体10は、その被膜14の厚さの範囲が広いことから、幅広い用途で好適に用いることができる。例えば、積層体10の用途としては、化粧板、床板、サッシなどが挙げられる。また、積層体10を製造するにあたって、被膜を光硬化させればよく、焼き付け不要のため、低コスト化および環境負担の軽減が可能となり、熱に弱い基材12でも、その表面において深みおよび透明感のある意匠表現ができる。
【0028】
以下、本発明を実施例によってさらに詳細に説明するが、これらの実施例は本発明を何ら限定するものではない。
【実施例】
【0029】
下記表1および下記表2に示す処方に従い、各実施例および各比較例の光硬化性樹脂組成物を調製した。各実施例および各比較例の光硬化性樹脂組成物は、有機溶剤で希釈しない無溶剤型樹脂組成物とした。表中の数値は、質量部を示す。
【表1】
【表2】
*1 トリシクロデカンジメタノールジアクリレート:商品名:A-DCP、新中村化学工業株式会社製.
*2 上記一般式(1)中、n=9であるポリエチレングリコールジアクリレート(Mn=400):商品名:NKエステルA-400、新中村化学工業株式会社製.
*3 1,6-ヘキサンジオールジアクリレート(HDDA):商品名:ビスコート#230、大阪有機化学工業株式会社製.
*4 分子内水素引き抜き型光ラジカル重合開始剤:商品名:Omnirad754、IGM RESINS社製.
*5 アミン変性ポリエーテルアクリレート:商品名:EBECRYL80、ダイセル・オルネクス社製
【0030】
表1および表2中のオリゴマー(A-1)~(A-7)の詳細を下記表3に示す。
【表3】
【0031】
以下、光硬化性樹脂組成物の調製方法について説明する。
(実施例1)
オリゴマー(A-1)を100質量部、モノマーBを450質量部ガラスビーカーに秤量し、撹拌機で5分間混合、撹拌する。均一になった混合物に重合開始剤を38.5質量部(オリゴマー(A-1)とモノマーBの合計100質量部に対して7質量部)加え、撹拌機で5分間混合、撹拌し、光硬化性樹脂組成物(実施例1)を得た。
【0032】
(実施例2)
オリゴマー(A-1)を100質量部、モノマーBを190質量部、モノマーCを10質量部ガラスビーカーに秤量し、撹拌機で5分間混合、撹拌する。均一になった混合物に重合開始剤を21質量部(オリゴマー(A-1)とモノマーB、モノマーCの合計100質量部に対して7質量部)加え、撹拌機で5分間混合、撹拌し、光硬化性樹脂組成物(実施例2)を得た。
【0033】
(実施例3~8)
各成分の含有量を表1のように変更すること以外は、実施例2と同様にして光硬化性樹脂組成物(実施例3~8)を得た。
【0034】
(実施例9)
オリゴマー(A-1)を100質量部、モノマーBを300質量部、モノマーCを100質量部、酸素阻害抑制剤を50質量部(オリゴマー(A-1)とモノマーB、モノマーCの合計100質量部に対して10質量部)ガラスビーカーに秤量し、撹拌機で5分間混合、撹拌する。均一になった混合物に重合開始剤を35質量部(オリゴマー(A-1)とモノマーB、モノマーCの合計100質量部に対して7質量部)加え、撹拌機で5分間混合、撹拌し、光硬化性樹脂組成物(実施例9)を得た。
【0035】
(比較例1)
オリゴマー(A-1)を100質量部、モノマーCを150質量部ガラスビーカーに秤量し、撹拌機で5分間混合、撹拌する。均一になった混合物に重合開始剤を17.5質量部(オリゴマー(A-1)とモノマーCの合計100質量部に対して7質量部)加え、撹拌機で5分間混合、撹拌し、光硬化性樹脂組成物(比較例1)を得た。
【0036】
(比較例2)
オリゴマー(A-1)を100質量部、モノマーCを150質量部、HDDAを300質量部ガラスビーカーに秤量し、撹拌機で5分間混合、撹拌する。均一になった混合物に重合開始剤を38.5質量部(オリゴマー(A-1)とモノマーC、HDDAの合計100質量部に対して7質量部)加え、撹拌機で5分間混合、撹拌し、光硬化性樹脂組成物(比較例2)を得た。
【0037】
(実施例10~13および比較例3,4)
(A)成分を表2のA-2~A-7に変更すること以外は、実施例5と同様にして光硬化性樹脂組成物(実施例10~13および比較例3,4)を得た。
【0038】
(実施例14)
(B)成分として、1,3-アダマンタンジオールジアクリレート(Daken Chemical社製)を用いること以外は、実施例2と同様にして光硬化性樹脂組成物(実施例14)を得た。
【0039】
(実施例15)
(C)成分として、上記一般式(1)中、n=14であるポリエチレングリコールジアクリレート(Mn=600)(商品名:NKエステルA-600、新中村化学工業株式会社製)を用いること以外は、実施例2と同様にして光硬化性樹脂組成物(実施例15)を得た。
【0040】
各実施例および各比較例の光硬化性樹脂組成物を用いて、メタクリル樹脂基材(アクリライト,厚さ2mm,白色,三菱ケミカル株式会社製)上にアプリケーターによって厚さ100μmになるよう塗工した。その後、空気存在下で紫外線照射装置(メタルハライドランプ着装,アイグラフィックス株式会社製)を用いて、波長365nmの積算光量1000mJ/cm2で紫外線照射し、光硬化させた。実施例および比較例のすべてにおいて、硬化した被膜が得られた。得られた被膜の硬度および耐候性を以下の方法に従って評価した。
【0041】
(引っかき硬度)
被膜の硬度は、引っかき硬度(鉛筆法)によって評価した。JIS K5600-5-4に準拠し、750±10g荷重の下、被膜の引っかき硬度を測定した。測定した引っかき硬度を下記の基準で評価した。評価結果を表5に示す。
優良:引っかき硬度がHB以上
良好:引っかき硬度が2B以上HBより小さい
不良:引っかき硬度が2Bより小さい
【0042】
(色差)
被膜の耐候性は、色差によって評価した。JIS B 7753に規定するサンシャインカーボンアーク灯式の耐候性試験機を用いて、下記表4に規定する条件(旧JIS K 5400)で光照射を行った。照射時間は200時間とした。JIS K 5600-4-6に準じて、CR-400色彩色差計(コニカミノルタジャパン株式会社製)を用いて、照射開始前と照射終了後の色座標測定を行い、色差ΔEを求めた。色差ΔEを下記の基準で評価した。評価結果を表5に示す。
優良:ΔE≦3.0
良好:3.0<ΔE≦5.0
不良:5.0<ΔE
【表4】
【0043】
さらに、実施例および比較例の被膜の密着性を以下の方法に従って評価した。
【0044】
(カール性)
被膜の密着性は、カール性によって評価した。各実施例および各比較例の光硬化性樹脂組成物を、隠ぺい率測定紙(TP技研株式会社製)にアプリケーターを用いて膜厚約100μmになるよう塗工し、メタルハライドランプにて波長365nmの積算光量1000mJ/cm2で紫外線照射し、光硬化させた。硬化させた被膜を7cm×7cmサイズで切り取って得た試験片を35℃設定の恒温器内で1時間静置し、取り出し後1時間以上室温で静置した。次いで、平らな面に被膜を上にして置いた試験片の四隅の浮き上った高さ(上記平らな面から試験片までの高さ)をそれぞれ測定し、四隅の測定値の算術平均値を求めた。平均値が小さいほど変形が少なく、密着性に優れることを示す。平均値を下記の基準で評価した。評価結果を表5に示す。
優良:平均値が14mm以下
良好:平均値が14mmより大きく16mm以下
不良:平均値が16mmより大きい
【0045】
【0046】
各実施例および各比較例の評価結果について説明する。なお、硬度、密着性および耐候性のうち1つ以上不良となった場合は、実用が困難または従来よりも特性が劣化したもの(比較例)であり、硬度、密着性および耐候性のいずれも良好以上であれば、実用可能であり、特性が向上したもの(実施例)である。
【0047】
・実施例1~9
(A)成分と(B)成分を含み、(C)成分を含まない実施例1の組成物は、硬度が優良、密着性が良好、耐候性が優良であり、各評価で良好以上であった。(A)成分、(B)成分および(C)成分を含み、(B)成分100質量部に対する(C)成分の質量が5,18,33質量部である実施例2~5は、硬度、密着性、耐候性の全てが優良であった。(A)成分、(B)成分および(C)成分を含み、(B)成分100質量部に対する(C)成分の質量が54質量部である実施例6,7は、実施例2~5には劣るものの、硬度が良好、密着性が優良、耐候性が優良であり、各評価で良好以上であった。(A)成分、(B)成分および(C)成分を含み、(B)成分100質量部に対する(C)成分の質量が75質量部である実施例8は、実施例1~7には劣るものの、硬度が良好、密着性が優良、耐候性が良好であり、各評価で良好以上であった。実施例5に、さらに酸素阻害抑制剤を加えた実施例9は、実施例5には劣るものの、硬度が良好、密着性が優良、耐候性が良好であり、各評価で良好以上であった。
【0048】
・比較例1,2
(A)成分と(C)成分を含み、(B)成分を含まない比較例1は、密着性が優良であったが、硬度が不良、耐候性が不良となった。(A)成分と(C)成分を含み、(B)成分を含まず、さらにHDDAを含む比較例2は、密着性が良好、耐候性が良好であったが、硬度が不良となった。
【0049】
・実施例10~13
(A)成分として、重量平均分子量(Mw)が600~4000、二重結合濃度が0.8~6.5meq/gであるオリゴマー(A-2)~(A-5)をそれぞれ使用した実施例10~13では、硬度が全て優良、耐候性が全て優良、密着性は実施例12が優良で実施例10,11,13が良好であり、各評価で良好以上であった。
【0050】
・比較例3,4
(A)成分として、重量平均分子量(Mw)が5000であり(>4000)、二重結合濃度が0.4meq/g(<0.8meq/g)であるオリゴマー(A-6)を使用した比較例3は、密着性が優良、耐候性が優良であったが、硬度が不良となった。(A)成分として、二重結合濃度が7.5meq/g(>6.5meq/g)であるオリゴマー(A-7)を使用した比較例4は、硬度が優良、耐候性が優良であったが、密着性が不良となった。
【0051】
・実施例14,15
(B)成分として、実施例2のトリシクロデカンジメタノールジアクリレートから1,3-アダマンタンジオールジアクリレートに変更した実施例14は、実施例2と同様に、硬度、密着性、耐候性の全てが優良であった。(C)成分として、実施例2のポリエチレングリコールジアクリレート(一般式(1)中、n=9であり、Mn=400)からポリエチレングリコールジアクリレート(一般式(1)中、n=14であり、Mn=600)に変更した実施例15は、実施例2と同様に、硬度、密着性、耐候性の全てが優良であった。
【0052】
本開示に係る構成は、以上説明してきた実施形態にのみ限定されるものではなく、幾多の変形又は変更が可能である。例えば、各構成要素は論理的に矛盾しないように変更、入れ替え可能である。断面図に付したハッチングは、ハッチングを付した対象の材質を限定するものではない。
【符号の説明】
【0053】
10 積層体
12 基材
14 被膜