(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2026-02-25
(45)【発行日】2026-03-05
(54)【発明の名称】油入柱上変圧器
(51)【国際特許分類】
H01F 27/40 20060101AFI20260226BHJP
H01F 27/00 20060101ALI20260226BHJP
H01F 27/06 20060101ALI20260226BHJP
【FI】
H01F27/40
H01F27/00 Z
H01F27/06
(21)【出願番号】P 2023063426
(22)【出願日】2023-04-10
【審査請求日】2025-02-03
(73)【特許権者】
【識別番号】502129933
【氏名又は名称】株式会社日立産機システム
(74)【代理人】
【識別番号】110001689
【氏名又は名称】青稜弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】砂原 幸佑
(72)【発明者】
【氏名】安東 邦彦
(72)【発明者】
【氏名】傳刀 駿之介
【審査官】右田 勝則
(56)【参考文献】
【文献】特開昭61-190910(JP,A)
【文献】特開2022-096704(JP,A)
【文献】特開2020-188093(JP,A)
【文献】特開平01-222417(JP,A)
【文献】特開平07-302701(JP,A)
【文献】実開平07-032927(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 27/40
H01F 27/00
H01F 27/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄心と前記鉄心に巻き回された巻線を有する変圧器中身と、前記変圧器中身を収容する容器を有する油入変圧器であって、
前記変圧器中身の上方に取り付けた上締金具と、前記容器の内壁に設けた、中身固定座を接続する中身吊金具を備え、
変圧器中身上部の前記中身吊金具にアレスタ取付構造を備え、
前記アレスタ取付構造は、前記中身吊金具の中身取付座との取付部と前記中身吊金具の上締金具取付部との取付部との間に配置されている油入柱上変圧器。
【請求項2】
請求項1において、
前記アレスタ取付構造は、前記中身吊金具が上方向に延伸した中身取付座との取付部の下にあるアレスタ固定穴である油入柱上変圧器。
【請求項3】
請求項2において、
前記アレスタ固定穴にアレスタが水平方向に取り付けられている油入柱上変圧器。
【請求項4】
請求項3において、
前記アレスタ取付構造に、アレスタ取付位置が調整可能となるようにスペーサを介してアレスタが取り付けられている油入柱上変圧器。
【請求項5】
請求項4において、
前記中身吊金具は両端に中身取付座との取付部を備え、
取付部と上締金具との間に各々前記アレスタ取付構造を備え、
前記アレスタ取付構造に取り付けられたアレスタの間にある碍盤台と一定距離が維持されている油入柱上変圧器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アレスタを内蔵した油入柱上変圧器に関する。
【背景技術】
【0002】
配電線で電圧を変えて電力を供給する柱上変圧器などの配電用変圧器は主に、鉄心と鉄心に巻き回された巻線を有する変圧器中身、変圧器中身を収容する外箱により構成されている。
【0003】
配電用変圧器の一部では、雷害防止対策として変圧器内部にアレスタ(避雷器)を有する種類があり、このような変圧器ではタンク内変圧器中身上部の油中またはガスの空間にアレスタを取り付ける必要がある。
【0004】
変圧器中身(鉄心、1次コイル、2次コイル、上下締金具)をタンクに取り付ける中身取付金具に対して、アレスタが取り付けられたアレスタ取付金具を取り付ける構造となっている。
【0005】
例えば特許文献1には、絶縁体として空気より絶縁耐力の高い不活性ガスを封入したガス絶縁変圧器において、封入ガス中に変圧器コイルの線路側端に接続されたギャップレス・アレスタを内蔵した変圧器の発明が開示されている。
【0006】
具体的には変圧器中身の上締金具の短辺側に中身取付金具(鉄心6とタップ切替器7の間に配置された図中U字断面の金具)を取り付け、その中身取付金具に対してアレスタ取付金具を取り付けることで、アレスタのタンク内蔵を実現している。
【0007】
特許文献2には、絶縁油、SF6ガス等の絶縁体が封入されたタンク内の変圧器巻線の上部の端子台にL形に曲げた共通取付金具を設け、共通取付金具に架線からスイッチを通して導かれた高圧側リードに接続された三相の避雷器を一括固定した変圧器の発明が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開昭61-190910号公報
【文献】特開平1-222417号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1のガス絶縁柱上変圧器は短辺側の中身取付金具にアレスタ用取付金具が取り付けされているため、作業性は向上するが、絶縁方式を油絶縁に変更した場合には製造コストが上昇する。
【0010】
特許文献1のアレスタはガス絶縁柱上変圧器の中身取付金具の中身をタンクに固定するための固定用ボルト取付位置よりも上部に取り付けられている。
【0011】
ガス絶縁柱上変圧器では絶縁体としてタンク内に不活性ガスを封入しているため、タンク内であればどこにアレスタを設置してもアレスタを不活性ガスで覆うことができる。しかしながら、油入変圧器のアレスタは油中配置となるため、油面から一定深さとなる油量が必要とされる。アレスタ用取付金具を中身取付金具から上に伸びる向きに取り付けるとアレスタ位置が高くなり絶縁油の必要量が増加してしまう。
【0012】
このように、特許文献1のガス絶縁柱上変圧器の発明を絶縁油を用いた油入変圧器に適用すると製造コストが高いという課題がある。
【0013】
本発明の目的は、製造コスト低減が可能なアレスタ内蔵の油入柱上変圧器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的は鉄心と前記鉄心に巻き回された巻線を有する変圧器中身と、前記変圧器中身を収容する容器を有する油入変圧器であって、前記変圧器中身の上方に取り付けた上締金具と、前記容器の内壁に設けた、中身固定座を接続する中身吊金具を備え、変圧器中身上部の前記中身吊金具にアレスタ取付構造を備え、前記アレスタ取付構造は、前記中身吊金具の中身取付座との取付部と前記中身吊金具の上締金具取付部との取付部との間に配置されている油入柱上変圧器により達成される。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、製造コスト低減可能な油入柱上変圧器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図2a】本発明が対象とする変圧器中身上部の平面の概略図である。
【
図2b】本発明が対象とする変圧器中身上部の正面の概略図である。
【
図3a】本発明が対象とする変圧器中身上部へスペーサを追加した平面の概略図である。
【
図3b】本発明が対象とする変圧器中身上部へスペーサを追加した正面の概略図である。
【
図4】本発明が対象とする上締金具の三面図である。
【
図5】本発明が対象とする中身吊金具の三面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。なお、実施の形態を説明するための各図において、同一の構成要素にはなるべく同一の名称、符号を付して、その繰り返しの説明を省略する。
【実施例1】
【0018】
本発明が対象とする変圧器の概略図を
図1に示す。
図1に示す通り、本発明が対象とする変圧器は、タンク11とカバー10から成る容器を有し、前記容器内には鉄心13と鉄心13に巻き回された巻線から成る変圧器中身12を収納している。
【0019】
尚、前記容器は、密閉されていることが望ましい。また、タンク11とカバー10が一体となっている場合も合わせて外箱と呼ぶ場合もある。また、以下に示す実施例における変圧器は、前記外箱内に前記変圧器本体の絶縁及び冷却用の液体である絶縁油を有する油入変圧器を代表として説明する。
【0020】
図1は本発明が対象とする変圧器の概略図である。上締金具14と下締金具15に挟まれた鉄心と鉄心に巻き回された巻線を有する変圧器中身12がタンク11に収められている。
【0021】
上締金具14は中身吊金具16に金具固定用ボルトナット24で上締金具14に固定されている。中身吊金具16はU字構造であり水平の長辺部とその両端に変圧器中身12とは反対方向へ折り曲げられた垂直の短辺部からなる構造となっている。
【0022】
長辺部の中央付近には碍盤台28が設置され、短辺部の変圧器中身12に近い側にアレスタ17が碍盤台28に向かってボルトで固定されており、アレスタの上方に中身吊金具16をタンク11に固定するための金具固定用ボルト25が配置されている。
【0023】
本実施例ではボルトによるタンク11へ固定する例を説明しているが、必ずしもボルトである必要はなく、タンク11から内部へ突出した受け手に中身吊金具16を垂下するための中身固定座を設けても良い。
【0024】
アレスタ17は絶縁のため絶縁油でおおわれている必要があり、この例では30で示す破線の位置まで絶縁油が入っていれば十分である。
【0025】
図2aは本発明が対象とする変圧器中身上部の平面の概略図である。上締金具14に中身吊金具16が取り付けられ、中身吊金具16の中央部に碍盤台28が設置されている。中身吊金具16の左右両端にはアレスタ17が水平に固定されており碍盤台28とアレスタ17の先端が予め定められた距離となるよう設置されている。
【0026】
本実施例ではアレスタ17から突出したボルトをナットで固定する方法を説明しているが、取付方法はアレスタ17の仕様に依存するため中身吊金具はアレスタ17の取り付け仕様を満たすアレスタ取付構造を備えている必要がある。
【0027】
図2bは本発明が対象とする変圧器中身上部の正面の概略図である。アレスタ17は中身吊金具16の垂直に折り曲げられた両端の変圧器中身12に近い部分に固定されており、その上部に金具固定用ボルト25が設置されている。アレスタ17は絶縁油に覆われている必要があるため、できるだけ変圧器中身12に近い部分に設置することにより必要な絶縁油の量を減らすことができる。
【0028】
図4は本発明が対象とする上締金具の三面図である。碍盤台固定穴29、固定バンド用穴18、中身吊金具固定穴21が設けられている。
【0029】
図5は本発明が対象とする中身吊金具の三面図である。碍盤台固定穴29、中身吊金具固定穴21が長辺部に設けられ、アレスタ取付穴22、中身固定用穴23が短辺部に設けられている。
【実施例2】
【0030】
図3a,
図3bを用いて実施例2を説明する。
図3aは本発明が対象とする変圧器中身上部へスペーサ27を追加した平面の概略図である。
図2aとの違いはアレスタ17の上締金具14短辺部への取り付け部にスペーサ27が加えられている。アレスタ17は碍盤台28と定められた距離に設置する必要がある。
【0031】
大容量の変圧器ではタンク11の直径も大きくなるため、スペーサ27を入れることによりアレスタ17と碍盤台28の距離が適切な距離になるよう調整することが必要となる。このためアレスタ17と中身吊金具の間にスペーサ27配置してアレスタ17と碍盤台28の距離を調整する。スペーサ27は座金やナットなどを用いてもよい。
【0032】
また、碍盤台28は正確にタンクの中央に設置されていない場合もあるため、アレスタ17と碍盤台との距離は各々のアレスタ取付部毎に調整できるようにすることが望ましい。
【0033】
図3bは本発明が対象とする変圧器中身上部へスペーサ27を追加した正面の概略図である。スペーサ27を追加した場合にも変圧器中身12をタンク11内に固定するための金具固定用ボルト25よりも低い位置にアレスタ17を設置できるため、絶縁油の量を減らすことができる。
【符号の説明】
【0034】
10 カバー、11 タンク、12 変圧器中身、13 鉄心、14 上締金具、15 下締金具、16 中身吊金具、17 アレスタ、18 固定バンド用穴、19 中身固定座、21 中身吊金具固定穴、22 アレスタ取付穴、23 中身固定用穴、24 金具固定用ボルトナット、25 金具固定用ボルト、26 タップ切換台、27 スペーサ、28 碍盤台、29 碍盤台固定穴、30 絶縁油