(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2026-02-27
(45)【発行日】2026-03-09
(54)【発明の名称】組成物、建築・道路用資材組成物、アスファルト合材組成物、硬化性組成物、及び硬化遅延方法
(51)【国際特許分類】
C08L 71/02 20060101AFI20260302BHJP
C08K 5/09 20060101ALI20260302BHJP
E01C 3/02 20060101ALI20260302BHJP
E01C 5/12 20060101ALI20260302BHJP
【FI】
C08L71/02
C08K5/09
E01C3/02
E01C5/12
(21)【出願番号】P 2025060589
(22)【出願日】2025-04-01
【審査請求日】2025-04-17
【審判番号】
【審判請求日】2025-11-06
【早期審理対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522450831
【氏名又は名称】築野グループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】築野 卓夫
(72)【発明者】
【氏名】山本 弥
(72)【発明者】
【氏名】氏田 夢斗
【合議体】
【審判長】▲吉▼澤 英一
【審判官】越本 秀幸
【審判官】藤井 勲
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-143046号公報(JP,A)
【文献】特開2022-78549(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 71/02
C08L 95/00
C08K 5/09
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸成分及びポリエーテルポリオールを含む組成物であって、
前記酸成分が、2以上の脂肪酸を含む脂肪酸混合物であり、
前記ポリエーテルポリオールの数平均分子量が、200以上であり、
前記酸成分が酸成分全体に対してガスクロマトグラフィーの面積比率で40面積%以上の炭素数18の脂肪酸を含み、
前記ポリエーテルポリオールの含有量が、前記酸成分に対して0.01重量%以上20重量%未満である、
組成物。
【請求項2】
前記ポリエーテルポリオールが硬化遅延剤である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
骨材、アルカリ性添加剤、及び請求項1に記載の組成物を含む、建築・道路用資材組成物。
【請求項4】
請求項3に記載の建築・道路用資材組成物にさらに水を添加してなる、硬化性組成物。
【請求項5】
アスファルト、アルカリ性添加剤、及び請求項1に記載の組成物を含む、アスファルト合材組成物。
【請求項6】
請求項5に記載のアスファルト合材組成物にさらに水を添加してなる、硬化性組成物。
【請求項7】
請求項3に記載の建築・道路用資材組成物又は請求項5に記載のアスファルト合材組成物の加水前の硬化を遅延する、硬化遅延方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組成物、建築・道路用資材組成物、アスファルト合材組成物、硬化性組成物、及び硬化遅延方法に関する。
【背景技術】
【0002】
道路舗装等に使用されるアスファルト合材は、砕石、砂、石粉、及びアスファルトを所定の割合で配合した混合材料として知られており、アスファルト混合物と言われることもある。近年、施工現場において常温状態で施工可能な常温施工型アスファルト合材が使用されており、このような常温施工型アスファルト合材としては種々知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
前記常温施工型アスファルト合材には、固化材として脂肪酸とアルカリ成分が添加されており、硬化促進剤としての水を添加することで、前記脂肪酸とアルカリ成分が鹸化反応を起こすことにより硬化し、これにより高い強度を発現することが可能となるものである。このような常温施工型アスファルト合材は、通常、水等の硬化促進剤が存在しない限り前記鹸化反応は開始しないため硬化しない。しかしながら、アスファルト合材の保存中に合材中に含有する水分や空気中の水分と鹸化反応が進み硬化してしまう場合があった(以下、「自然硬化」ともいう)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
常温施工型アスファルト合材の自然硬化を防ぐことができ、かつ、実際に施工する際に加水後速やかに硬化して十分な強度を発現できるアスファルト合材が必要とされている。
【0006】
従って、本発明においては、アスファルト合材等に添加することで、当該アスファルト合材等の自然硬化を抑制し、かつ、加水後には速やかに鹸化反応が進行して硬化することができる組成物、当該組成物を含む建築・道路用資材組成物、アスファルト合材組成物、及び硬化性組成物を提供することを課題とする。また、本発明は、硬化遅延方法を提供することも課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、鋭意検討を行った結果、以下の組成とすることで優れた効果を発現することを新たに見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、酸成分及びポリエーテルポリオールを含む組成物であって、
前記酸成分が酸成分全体に対してガスクロマトグラフィーの面積比率で40面積%以上の炭素数18の脂肪酸を含み、
前記ポリエーテルポリオールの含有量が、前記酸成分(100重量%)に対して20重量%未満である、組成物に関する。
【0009】
上記酸成分が、2以上の脂肪酸を含む脂肪酸混合物であることが好ましい。
【0010】
前記ポリエーテルポリオールが、硬化遅延剤であることが好ましい。
【0011】
また、本発明は、骨材、アルカリ性添加剤、及び前記組成物を含む建築・道路用資材組成物、並びにアスファルト、アルカリ性添加剤、及び前記組成物を含むアスファルト合材組成物に関する。
【0012】
さらに、本発明は、前記建築・道路用資材組成物又はアスファルト合材組成物に水を添加してなる硬化性組成物に関する。
【0013】
さらに、本発明は、前記建築・道路用資材組成物又は前記アスファルト合材組成物の加水前の硬化を遅延する、硬化遅延方法に関する。
【発明の効果】
【0014】
本発明の組成物は、脂肪酸が特定量の炭素数18の脂肪酸を含み、かつ、特定量のポリエーテルポリオールを含むことで、建築・道路用資材組成物又はアスファルト合材組成物の加水前の硬化を遅延することができ、加水後は速やかに硬化を開始することができるものである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
1.組成物
本発明の組成物(以下、「本組成物」ともいう)は、酸成分及びポリエーテルポリオールを含み、
前記酸成分が、酸成分全体に対してガスクロマトグラフィーの面積比率で40面積%以上の炭素数18の脂肪酸を含み、
前記ポリエーテルポリオールの含有量が、前記酸成分(100重量%)に対して20重量%未満である、組成物に関する。以下、本発明の組成物に含まれる各成分について説明する。
【0016】
<酸成分>
酸成分としては、ガスクロマトグラフィー分析において、酸成分全体を100面積%としたときに、炭素数18の脂肪酸の含有量が40面積%以上であるものであればよく、それ以外の酸成分については特に限定されないが、炭素数18の脂肪酸を40面積%以上含み、炭素数18の脂肪酸以外の脂肪酸(「その他の脂肪酸」ともいう。)を含む脂肪酸混合物であることが好ましい。また、炭素数18の脂肪酸を複数種含むことも好ましい。炭素数18未満の脂肪酸は、鹸化反応後水溶性が高くなるため好ましくなく、炭素数19以上の脂肪酸は常温で固体となるため好ましくない。従って、炭素数18未満の脂肪酸や、炭素数19以上の脂肪酸を含む場合、その含有量は、60面積%未満である。ガスクロマトグラフィー分析は、実施例に記載の方法により行うことができる。
【0017】
炭素数18の脂肪酸としては、飽和脂肪酸又は不飽和脂肪酸のいずれであってもよく、直鎖脂肪酸でも分岐脂肪酸のいずれであってもよく、その混合物であってもよい。具体的には、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、イソオレイン酸、リノール酸、リノレン酸、リシノレイン酸、16-メチルへプタデカン酸、15-メチルへプタデカン酸等を挙げることができる。
【0018】
上記その他の脂肪酸としては、飽和脂肪酸又は不飽和脂肪酸のいずれであってもよく、直鎖脂肪酸又は分岐脂肪酸のいずれであってもよく、その混合物であってもよい。
【0019】
上記飽和脂肪酸としては、例えば、炭素数1~17、19~30の直鎖飽和脂肪酸又は分岐飽和脂肪酸が挙げられる。直鎖飽和脂肪酸としては、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、カプリル酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ベヘン酸、セロチン酸、メリシン酸等が挙げられる。分岐飽和脂肪酸としては、イソ酪酸、イソ吉草酸、ピバル酸等が挙げられる。
【0020】
前記不飽和脂肪酸としては、例えば、炭素数3~17、19~30の直鎖不飽和脂肪酸又は分岐不飽和脂肪酸が挙げられる。直鎖不飽和脂肪酸としては、例えば、アクリル酸、クロトン酸、ヘプテン酸、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、トリアコンテン酸等が挙げられる。分岐不飽和脂肪酸としては、例えば、メタクリル酸、及びイソミリストレイン酸等が挙げられる。
【0021】
脂肪酸混合物に含まれるその他の脂肪酸としては、炭素数15~17、19~20の脂肪酸が好ましく、炭素数16~17の脂肪酸がより好ましい。
【0022】
炭素数18の脂肪酸の含有量(複数種含む場合はその合計含有量)は、酸成分全体(100面積%)に対してガスクロマトグラフィーの面積比率で40面積%以上であり、45面積%以上が好ましく、50面積%以上がより好ましく、60面積%以上がさらに好ましく、70面積%以上がよりさらに好ましく、80面積%以上で特に好ましい。また、含有量の上限値は、特に限定されるものではなく、100面積%(即ち、酸成分が炭素数18の脂肪酸のみ含む)であってもよく、95面積%であってもよく、90面積%であってもよい。
【0023】
炭素数18の脂肪酸をガスクロマトグラフィーの面積比率で40面積%以上含む脂肪酸混合物としては、市販されている製品を用いることもできる。市販品としては、例えば、築野オレオケミカルズ(株)製のTFAシリーズ、花王(株)製のルナックシリーズ等を挙げることができる。より具体的には、SINAR-OL(商品名、SINARMAS CEPSA社製)、TFA-125(商品名、築野オレオケミカルズ(株)製)、TFA-80MS(商品名、築野オレオケミカルズ(株)製)、TFA-145WF(築野オレオケミカルズ(株)製)、Evap Oleo O-185(Evyap社製)、NAS-125(築野オレオケミカルズ(株)製)、TFA-IS4(築野オレオケミカルズ(株)製)等を挙げることができる。
【0024】
<ポリエーテルポリオール>
本発明の組成物は、ポリエーテルポリオールを含む。ポリエーテルポリオールとしては、アルキレンオキシ基を有するポリオキシアルキレンポリオールが好ましい。具体的には、エチレンオキサイド(EO)変性トリメチロールプロパン、プロピレンオキサイド(PO)変性トリメチロールプロパン、テトラヒドロフラン変性トリメチロールプロパン、EO変性グリセリン、PO変性グリセリン、テトラヒドロフラン変性グリセリン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリエチレングリコール-プロピレングリコール共重合体等が挙げられる。また、共重合体の場合は、ブロック共重合体であってもランダム共重合体であってもよい。
【0025】
ポリエチレングリコール-プロピレングリコール共重合体のオキシエチレン(EO)単位とオキシプロピレン(PO)単位の割合は、モル比(EO/PO)で、100/0~0/100であってもよく、100/0~5/95であってもよく、100/0~10/90であってもよく、100/0~30/70であってもよく、100/0~60/40であってもよい。
【0026】
前記ポリエーテルポリオールの数平均分子量としては、特に限定されないが、200以上10000以下であってもよく、400以上6000以下であってもよい。
【0027】
ポリエーテルポリオールとしては、市販されている製品を用いることもできる。市販品としては、例えば、青木油脂工業(株)製のブラウノンPEG-600(商品名、ポリエチレングリコール)、ブラウノンP-106(商品名、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール(EO/PO=60/40))、三洋化成工業(株)製のサンニックスPP-200(商品名、ポリプロピレングリコール)、サンニックスTP-400(商品名、トリメチロールプロパン系ポリエーテルポリオール)、ニューポールPE-61(商品名、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール(EO/PO=12.5/87.5))、ニューポールPE-71(商品名、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール(EO/PO=9.1/90.9))、ニューポールPE-75(商品名、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール(EO/PO=42.9/57.1))、等を挙げることができる。
【0028】
前記ポリエーテルポリオールの含有量は、前記酸成分全体を100重量%として、20重量%未満であり、10重量%以下が好ましく、5重量%以下がより好ましく、1重量%以下がさらに好ましい。ポリエーテルポリオールの含有量が20重量%を超えると、加水後に十分に硬化しないため、最終的に得られた硬化物の強度が低下する場合がある。ポリエーテルポリオールの含有量を前記範囲にすることで、十分な硬化遅延効果が得られ、かつ、加水後の硬化は速やかに行うことができるという、非常に優れた効果を奏する。また、下限値は特に限定されないものの、硬化遅延効果の観点から、0.01重量%以上であることが好ましい。
【0029】
本発明の組成物は、硬化遅延剤、熱安定剤等に用いることができ、さらに具体的には、建築・道路用資材組成物やアスファルト合材組成物に硬化遅延剤として添加することができる。本発明の組成物は、建築・道路用資材組成物やアスファルト合材組成物の自然硬化(加水前の硬化)を遅延することができ、加水後の硬化は速やかに行うことができるという、非常に優れた効果を奏する。また、耐熱性・熱安定性が向上するため、高温のアスファルトと混合するときの脂肪酸成分の揮発ロスが低減されることや、熱による酸化劣化も抑制され、アスファルト合材としての品質の安定化に寄与する。
【0030】
2.建築・道路用資材組成物
本発明の建築・道路用資材組成物は、骨材、アルカリ性添加剤、及び本組成物を含む。
【0031】
骨材としては、特に限定されず、砕石、砂、石粉等を適宜用いることができ、密粒度や開粒度等、いずれの粒度範囲の骨材を制限なく用いることができる。
【0032】
骨材の添加量は、建築・道路用資材組成物中、20~95重量%が好ましく、30~80重量%がより好ましい。
【0033】
前記アルカリ性添加剤としては、硬化促進剤(例えば、水)の作用により、アルカリ成分となる化合物であればよく特に限定されず、鹸化反応において、通常用いられる水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等を用いることも可能である。また、環境的な観点より、一般的な土木材料として使用されるセメントの中でも、硬化促進剤の作用によって前記のアルカリ成分よりも低い水素イオン濃度(より中性に近いpH領域で作用する)を呈する普通セメント(普通ポルトランドセメント)が好ましく用いられる。普通ポルトランドセメントとしては、例えば、ケイ酸三カルシウム(3CaO・SiO2)、ケイ酸二カルシウム(2CaO・SiO2)、カルシウムアルミネート(3CaO・Al2O3)、カルシウムアルミノフェライト(4CaO・Al2O3・Fe2O3)、硫酸カルシウム(CaSO4・2H2O)等を主成分とするものを用いることができる。当該普通セメントは、水等の硬化促進剤の作用によってアルカリ性(水酸化ナトリウムや水酸化カリウムに比べて低い水素イオン濃度)を呈するため、アルカリ性添加剤として機能する。また、その他のアルカリ性添加剤の例としては、ナトリウムイオン(Na+)、カリウムイオン(K+)、マグネシウムイオン(Mg2+)、カルシウムイオン(Ca2+)等の金属イオンを含む水溶液、水を添加することで前記のイオンに分解する金属塩を含む粉末、炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)、炭酸水素カリウム(KHCO3)等が使用できる。
【0034】
アルカリ性添加剤の添加量は、建築・道路用資材組成物中、5~40重量%が好ましく、10~35重量%がより好ましい。
【0035】
本組成物の添加量は、建築・道路用資材組成物中、40重量%未満が好ましく、35重量%以下がより好ましい。この範囲で添加することで、建築・道路用資材組成物の品質に影響を与えることなく、より優れた硬化遅延効果を発現することができるため、好ましい。本組成物の添加量の下限値は特に限定されないが、5重量%が好ましく、10重量%がより好ましい。
【0036】
本発明の建築・道路用資材組成物には、前記以外にも、離型剤、減水剤、補強材、硬化促進剤、遅延剤、防水剤、分散剤、比重添加剤、脆化防止剤等を添加することができる。
【0037】
3.アスファルト合材組成物
本発明のアスファルト合材組成物は、アスファルト、アルカリ性添加剤、及び本組成物を含む。
【0038】
アスファルトとしては、特に限定されるものでなく、公知のものを使用することができる。アスファルトとして、例えば、石油アスファルト(ストレートアスファルト、ブローンアスファルト、改質アスファルト(ポリマー改質アスファルト、セミブローンアスファルト、硬質アスファルト))、天然アスファルト等が挙げられる。アスファルトとして、例えば、ENEOS社製のストレートアスファルト60/80等の市販品を使用することができる。
【0039】
アスファルトの含有量は、アスファルト合材組成物中、3~20重量%が好ましく、5~10重量%がより好ましい。
【0040】
本組成物の添加量は、アスファルト合材組成物中、60重量%以下が好ましく、50重量%以下がより好ましく、40重量%以下がさらに好ましい。この範囲で添加することで、アスファルト合材組成物の品質に影響を与えることなく、より優れた硬化遅延効果を発現することができる。本組成物の添加量の下限値は特に限定されないが、5重量%が好ましく、10重量%がより好ましい。
【0041】
アルカリ性添加剤としては、前記建築・道路用資材組成物で挙げたものを好適に採用することができる。
【0042】
前記アルカリ性添加剤の含有量は、例えば、アスファルト合材組成物に含まれる脂肪酸(100重量%)に対して、10~300重量%が好ましく、15~50重量%がより好ましい。
【0043】
前記アスファルト合材組成物には、前記以外にも、バインダー、粘度低下剤、界面活性剤、改質剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等を添加することができる。
【0044】
前記アスファルト合材組成物には、前記骨材をさらに添加してもよい。骨材は任意の割合で配合することができる。
【0045】
本発明のアスファルト合材組成物は、硬化促進剤としての水を添加することで、混合物中に含まれる脂肪酸とアルカリ成分が鹸化反応により硬化し、これにより高い強度を発現することが可能となる。
【0046】
4.硬化性組成物
本発明は、前記建築・道路用資材組成物又はアスファルト合材組成物に水を添加してなる硬化性組成物に関する。
【0047】
本発明の硬化性組成物は、脂肪酸が特定量の炭素数18の脂肪酸を含み、かつ、特定量のポリエーテルポリオールを含む本組成物を含むため、加水前の硬化を遅延することができ、加水後は速やかに硬化を開始することができるものである。
【0048】
5.硬化遅延方法
本発明の硬化遅延方法は、前記組成物を含む建築・道路用資材組成物又はアスファルト合材組成物の加水前の硬化を遅延する。
【0049】
本発明の組成物を含むことで、建築・道路用資材組成物やアスファルト合材組成物の自然硬化(加水前の硬化)を遅延することができる。
【実施例】
【0050】
以下、実施例及び比較例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例によって限定されるものではない。
【0051】
(脂肪酸)
本発明の組成物の製造に用いた脂肪酸は下記の通りである。
・SINAR-OL(商品名、SINARMAS CEPSA社製)
・TFA-125(商品名、築野オレオケミカルズ(株)製)
・TFA-80MS(商品名、築野オレオケミカルズ(株)製)
・TFA-IS4(商品名、築野オレオケミカルズ(株)製)
【0052】
前記脂肪酸の組成は、ISO規格12966-1:2014に準拠し下記方法により分析した。結果を下記表1に示す。
【0053】
(脂肪酸の分析方法)
[ガスクロマトグラフィー(GC)測定]
ガスクロマトグラフィー分析の前処理として、混合脂肪酸を下記方法によりメチル化を行った。
・メチル化方法:混合脂肪酸0.1mLに、メチル化試薬である三ふっ化ほう素メタノール錯体メタノール溶液(富士フイルム和光純薬(株)製)5mLを加え、100℃のサンドバスで30分加熱した。これに飽和食塩水50mLとヘキサン3mLを加えて撹拌し、上層のヘキサン溶液を抜き出して、これをメチル化した混合脂肪酸とした。前記処理を行った混合脂肪酸中のメチル化した脂肪酸のガスクロマトグラフは、以下の条件で測定した。
・分析装置:(株)島津製作所製 GC2014
・分析カラム:Sigma-Aldrich(株)製キャピラリーカラム「SP-2560」 長さ×内径=100m×0.25mm
・昇温条件:180℃で45分保持した後、10℃/分で220℃まで昇温し16分保持。
・検出器:水素炎イオン化検出器(FID)
・注入試料:1.0μL(ヘキサン溶液)
【0054】
【0055】
(実施例1)
脂肪酸(商品名:SINAR-OL、SINARMAS CEPSA社製)100gにポリオキシアルキレングリコール(ブラウノンPEG-600、ポリエチレングリコール、数平均分子量:600、青木油脂工業(株)製)5gを混合し、組成物を得た。
【0056】
(実施例2~21、比較例1~7)
脂肪酸、ポリオキシアルキレングリコールの種類及び添加量を表2に記載の通り変更した以外は実施例1と同様にして組成物を得た。なお、表2中、「-」は該当する成分を使用しなかったことを示す(以降の表も同様)。
【0057】
表2におけるポリエーテルポリオールの略称は、以下の通りである。
・PEG600:ブラウノンPEG-600(商品名)ポリエチレングリコール、数平均分子量:600、青木油脂工業(株)製
・PP-200:サンニックスPP-200(商品名)、ポリプロピレングリコール、数平均分子量:200、三洋化成工業(株)製
・TP-400:サンニックスTP-400(商品名)、トリメチロールプロパン系ポリエーテルポリオール、数平均分子量:400、三洋化成工業(株)製
・PE-61:ニューポールPE-61(商品名)、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール(EO/PO(モル比)=12.5/87.5)、数平均分子量:2000、三洋化成工業(株)製
・PE-71:ニューポールPE-71(商品名)、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール(EO/PO(モル比)=9.1/90.9)、数平均分子量:2200、三洋化成工業(株)製
・PE-75:ニューポールPE-75(商品名)、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール(EO/PO(モル比)=42.9/57.1)、数平均分子量:3500、三洋化成工業(株)製)
・P-106:ブラウノンP-106(商品名)、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール(EO/PO(モル比)=60/40)、数平均分子量:2500、青木油脂工業(株)製
【0058】
<評価>
実施例及び比較例で得られた組成物を用いて下記の評価を行った。
【0059】
(自然硬化時間)
ガラスカップ容器に、セメント(商品名:普通ポルトランドセメント、家庭化学工業(株)製)を入れ、当該セメント100重量部に対して調製直後の組成物を100重量部混合し、静置した。静置後30分毎に、容器を30秒間逆さにしても落下しなくなった時点を硬化終了とし、自然硬化時間とした。以下の表2に評価結果を示す。なお、表2中、ポリエーテルポリオールの項目における「-」は、ポリエーテルポリオールを使用していないことを示し、自然硬化時間の項目における「-」は測定していないことを示す(以降の表も同様)。
【0060】
【0061】
前記表2より、ポリエーテルポリオールを添加することで、加水前の自然硬化までの時間が長くなることが分かった。また、比較例1、実施例4、7、9、13、16の結果より、ポリエーテルポリオールの濃度が低い場合であっても硬化遅延効果を奏することが分かった。さらに、ポリエーテルポリオールの濃度が高くなるほど、自然硬化時間が長くなることが分かった。また、実施例19、20、21より、種々の脂肪酸に対して効果を奏することが分かった。
【0062】
(耐熱性・熱安定性の評価)
実施例、比較例の組成物をガラスカップにX1g秤量し、当該組成物を160℃の乾燥機内(空気雰囲気下)に24時間入れた後、再度重量を測定した(X2g)。以下の式により、蒸発率を計算した。蒸発率が小さいほど、耐熱性・熱安定性が高いことを表す。
蒸発率(%)=(X1-X2)/X1×100
【0063】
【0064】
表3より、ポリエーテルポリオールを添加した実施例5、14、17は、ポリエーテルポリオールを添加していない比較例1と比較して、耐熱性・熱安定性が向上していることが分かった。
【0065】
(実施例22)
ガラスカップ容器に、ストレートアスファルト(60/80、ENEOS社製、表中の「StAS」)に脂肪酸(商品名:SINAR-OL、SINARMAS CEPSA社製)を重量比で2:1になるように混合し、当該混合物に、ポリエーテルポリオールとしてサンニックスTP-400(トリメチロールプロパン系ポリエーテルポリオール、数平均分子量:400、三洋化成工業(株)製)を添加し、さらにセメント(商品名:普通ポルトランドセメント、家庭化学工業(株)製)を混合し、アスファルト合材組成物を得た。ポリエーテルポリオールは、脂肪酸(100重量%)に対して1重量%となる量を添加し、セメントは、脂肪酸(100重量%)に対して25重量%となる量で添加した。また、本組成物の添加量(即ち、脂肪酸とポリエーテルポリオールの合計添加量)は、アスファルト合材組成物中、31重量%であった。
【0066】
(実施例23~29、比較例8)
ポリオキシアルキレングリコールの種類及び添加量を表4に記載の通り変更した以外は実施例22と同様にしてアスファルト合材組成物を得た。
【0067】
<評価>
実施例及び比較例で得られた組成物を用いて下記の評価を行った。
【0068】
(自然硬化時間の測定)
実施例22~29、比較例8で得られたアスファルト合材組成物を容器に入れ、ガラス棒を突き刺した状態で静置した。静置後12時間ごとにガラス棒を持ち上げて、30秒間容器がずり落ちてこなくなった時点を自然硬化時間とした。結果を表4に示す。
【0069】
【0070】
(実施例30)
容器に、ストレートアスファルト(60/80、ENEOS社製、表中の「StAS」)に脂肪酸(商品名:SINAR-OL、SINARMAS CEPSA社製)を重量比で2:1となるように混合し、当該混合物に、ポリエーテルポリオールとしてサンニックスTP-400(トリメチロールプロパン系ポリエーテルポリオール、数平均分子量:400、三洋化成工業(株)製)を添加し、さらにセメント(商品名:普通ポルトランドセメント、家庭化学工業(株)製)を混合し、アスファルト合材組成物を得た。ポリエーテルポリオールは、脂肪酸(100重量%)に対して1重量%となる量を添加し、セメントは、脂肪酸(100重量%)に対して25重量%となる量で添加した。また、本組成物の添加量(即ち、脂肪酸とポリエーテルポリオールの合計添加量)は、アスファルト合材組成物中、31重量%であった。
【0071】
(実施例31~33、比較例9)
ポリオキシアルキレングリコールの種類及び濃度を表5に記載の通り変更した以外は実施例30と同様にしてアスファルト合材組成物を得た。
【0072】
<評価>
実施例及び比較例で得られた組成物を用いて下記の評価を行った。
【0073】
(加水後の針入度と硬化時間)
実施例30~33、比較例9で得られたアスファルト合材組成物に、水をセメント100重量部に対して20重量部となる量を入れて、混合し、静置後、硬化するまでの時間を測定した(加水後の硬化時間)。また、硬化後24時間後に、針入度を測定した。針入度は、日本工業規格(JIS k 2207:2006 石油アスファルト)に従って、25℃における標準針の貫入量を1/10mmの単位で表示するものである。結果を表5に示す。
【0074】
【0075】
表5から明らかなように、ポリエーテルポリオールを添加した実施例30~33と、ポリエーテルポリオールの添加が無い比較例9とで、加水後の硬化時間は同じであった。また、針入度も同程度あった。即ち、ポリエーテルポリオールの添加は、加水後の硬化時間に影響を与えず、アスファルト合材組成物としてのハンドリング性には影響がなかった。また最終的に得られたアスファルトとしての硬さにも影響はなかった。
【0076】
(実施例34)
脂肪酸(商品名:SINAR-OL、SINARMAS CEPSA社製)100gにポリオキシアルキレングリコール(ニューポールPE-61、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール(EO/PO(モル比)=12.5/87.5)、数平均分子量:2000、三洋化成工業(株)製)1gを混合し、組成物を得た。
ガラスカップ容器に、セメント(商品名:普通ポルトランドセメント、家庭化学工業(株)製)を入れ、当該セメント100重量部に対して骨材(商品名:珪砂7号、トーヨーマテラン(株)製)を100重量部入れ、当該セメント100重量部に対して上記調製直後の組成物を100重量部入れて混合して、建築・道路用資材組成物を得た。
【0077】
(実施例35、比較例10)
ポリオキシアルキレングリコールの種類及び添加量を表6に記載の通り変更した以外は実施例34と同様にして建築・道路用資材組成物を得た。
【0078】
<評価>
実施例及び比較例で得られた組成物を用いて下記の評価を行った。
【0079】
(自然硬化時間)
上記調製直後の建築・道路用資材組成物を静置し、静置後30分毎に、容器を30秒間逆さにしても落下しなくなった時点を硬化終了とし、自然硬化時間とした。結果を表6に示す。
【0080】
【0081】
表6から明らかなように、ポリエーテルポリオールを添加することで、建築・道路用資材組成物の加水前の自然硬化までの時間が長くなることが分かった。
【要約】
【課題】本発明においては、アスファルト合材等に添加することで、当該アスファルト合材の加水前の自然硬化を抑制し、かつ、加水後には速やかに鹸化反応が進行して硬化することができる組成物、当該組成物を含む建築・道路用資材組成物、アスファルト合材組成物、及び硬化性組成物を提供することを課題とする。また、本発明は、硬化遅延方法を提供することも課題とする。
【解決手段】本発明は、酸成分及びポリエーテルポリオールを含む組成物であって、前記酸成分が酸成分全体に対してガスクロマトグラフィーの面積比率で40面積%以上の炭素数18の脂肪酸を含み、前記ポリエーテルポリオールの含有量が、前記酸成分に対して20重量%未満である、組成物に関する。
【選択図】 なし