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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2026-03-03
(45)【発行日】2026-03-11
(54)【発明の名称】積層体とその製造方法及び発泡体
(51)【国際特許分類】
   B32B 5/24 20060101AFI20260304BHJP
【FI】
B32B5/24 101
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021160775
(22)【出願日】2021-09-30
(65)【公開番号】P2023050591
(43)【公開日】2023-04-11
【審査請求日】2024-05-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000119232
【氏名又は名称】株式会社イノアックコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 陽祐
【審査官】川俣 郁子
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-104603(JP,A)
【文献】特表2014-531336(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0004864(US,A1)
【文献】特開2019-064263(JP,A)
【文献】特表2020-514461(JP,A)
【文献】特開平06-087180(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B1/00-43/00
D04H1/00-18/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材と、前記基材に積層、接着された無機繊維層とを有する積層体において、
前記基材は、20℃の粘度が00mPa・s以下である非反応性シリコーンである親水性付与剤が配合されたポリウレタン発泡体原料から形成されたポリウレタン発泡体であり、
前記基材と前記無機繊維層が液状ポリイソシアネートである接着剤で接着されていることを特徴とする積層体。
【請求項2】
前記親水性付与剤はポリエーテルシロキサンであることを特徴とする請求項1に記載の積層体。
【請求項3】
前記無機繊維層はガラス繊維層であることを特徴とする請求項1または2に記載の積層体。
【請求項4】
基材と、前記基材に積層、接着された無機繊維層とを有する積層体の製造方法において、
前記基材は、20℃の粘度が00mPa・s以下である非反応性シリコーンである親水性付与剤が配合されたポリウレタン発泡体原料から形成されたポリウレタン発泡体であり、
前記無機繊維層に液状ポリイソシアネートである接着剤を含浸または塗布し、
前記接着剤が含浸または塗布された無機繊維層を前記基材に積層して成形前積層体を形成し、
前記成形前積層体を加熱プレスして前記接着剤を硬化させることを特徴とする積層体の製造方法。
【請求項5】
前記親水性付与剤はポリエーテルシロキサンであることを特徴とする請求項4に記載の積層体の製造方法。
【請求項6】
前記無機繊維層はガラス繊維層であることを特徴とする請求項4または5に記載の積層体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基材と無機繊維層が積層、接着された積層体とその製造方法及び発泡体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、基材に無機繊維層が積層、接着された積層体は、種々の製品に使用されている。例えば、車両の天井内装材には、基材に無機繊維層が積層、接着された積層体に裏面材と表面材が積層、接着された天井材が用いられている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2002-46545号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、積層体には、基材と無機繊維層の接着性を高め、剥離強度を向上させることが求められている。
本発明は前記の点に鑑みなされたものであり、基材と無機繊維層の接着性を高め、剥離強度を向上させた積層体とその製造方法及び積層体の基材として好適な発泡体の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の発明の態様は、基材と、前記基材に積層、接着された無機繊維層とを有する積層体において、前記基材は、親水性付与剤が配合された発泡体原料から形成された発泡体であり、前記基材と前記無機繊維層が接着剤で接着されていることを特徴とする。
【0006】
第2の発明の態様は、第1の発明の態様において、前記親水性付与剤はポリエーテルシロキサンであることを特徴とする。
【0007】
第3の発明の態様は、第1または第2の発明の態様において、前記発泡体はポリウレタン発泡体であり、前記無機繊維層はガラス繊維層であることを特徴とする。
【0008】
第4の発明の態様は、基材と、前記基材に積層、接着された無機繊維層とを有する積層体の製造方法において、前記基材は、親水性付与剤が配合された発泡体原料から形成された発泡体であり、前記無機繊維層に接着剤を含浸または塗布し、前記接着剤が含浸または塗布された無機繊維層を前記基材に積層して成形前積層体を形成し、前記成形前積層体を加熱プレスして前記接着剤を硬化させることを特徴とする。
【0009】
第5の発明の態様は、第4の発明の態様において、前記親水性付与剤はポリエーテルシロキサンであることを特徴とする。
【0010】
第6の発明の態様は、第4または第5の発明の態様において、前記発泡体はポリウレタン発泡体であり、前記無機繊維層はガラス繊維層であることを特徴とする。
【0011】
第7の発明の態様は、親水性付与剤が配合された発泡体原料から形成された発泡体である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、基材と無機繊維層の接着性を高め、剥離強度を向上させた積層体が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態に係る積層体の断面図である。
図2】積層前の成形前積層体の構成を示す断面図である。
図3】加熱プレスの際を示す断面図である。
図4】実施例と比較例の配合及び物性等を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1に示す積層体10は、車両の内装材用の天井材等として使用されるものであり、基材11の両面に無機繊維層21、25と裏面材31及び表面材35が積層、接着されている。
【0015】
基材11は、親水性付与剤が配合された発泡体原料から形成された発泡体である。
【0016】
親水性付与剤は、発泡体に親水性を付与することのできる成分であれば特に限定されない。好ましくは、非反応性の親水性付与剤である。非反応性の親水性付与剤としては、非反応性シリコーンが挙げられる。非反応性シリコーンは、反応性基を有していないものであればよく、ポリエーテル変性、アラルキル変性、長鎖アルキル変性等の変性非反応性シリコーンでもよい。親水性付与剤として使用される非反応性シリコーンは、20℃の粘度(JIS K 7117-2:1999/ISO 3219:1993)が200mPa・s以下、好ましくは100mPa・s以下、さらには50mPa・s以下が好ましく、特に25mPa・s以下が好ましく、最も好ましくは5~25mPa・sであり、例えば、ポリエーテルシロキサン(20℃の粘度:10~200mPa・s)が挙げられる。なお、後記するようにポリウレタン発泡体原料に含まれるシリコーン系整泡剤は、一般に20℃の粘度(JIS K 7117-2:1999/ISO 3219:1993)が300~850mPa・sであり、シリコーン系整泡剤よりも、親水性付与剤として使用される非反応性シリコーンは、粘度が低いものである。
【0017】
基材11を構成する発泡体に親水性が付与されることにより、基材11と無機繊維層21、25との接着性を高め、剥離強度を向上させることができる。
【0018】
発泡体としては、ポリウレタン発泡体、ポリエチレン発泡体、ポリプロピレン発泡体、塩化ビニル発泡体、ポリスチレン発泡体等を挙げることができる。特に、断熱性、吸音性、衝撃吸収性の点から、ポリウレタン発泡体が好ましい。
ポリウレタン発泡体は、半硬質ポリウレタン発泡体、軟質ポリウレタン発泡体の何れでもよい。ポリウレタン発泡体は、70~220℃程度の加熱プレスによって賦形することができ、車両用内装材としての天井材に用いられる積層体10の基材11として好適なものである。
以下、基材11を構成する発泡体がポリウレタン発泡体の場合について説明する。
【0019】
ポリウレタン発泡体は、ポリウレタン発泡体原料から形成される。
親水性付与剤が配合されたポリウレタン発泡体原料は、ポリオール、触媒、発泡剤、その他の助剤、及びポリイソシアネートを含み、さらには前記親水性付与剤が配合されている。
【0020】
ポリオールは、一つの分子内に水酸基を二つ以上持つ化合物の総称であり、官能基数を2以上有するアルコール(多価アルコール)、又は、これらを開始剤としてエチレンオキサイドやプロピレオキサイドを付加重合して製造されるものである。
ポリオールとしては、ポリウレタン発泡体用のポリオールを使用することができ、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルエステルポリオール等の何れでもよく、それらの一種類あるいは複数種類を使用してもよい。
【0021】
ポリエーテルポリオールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、ソルビトール、シュークロース等の多価アルコールにエチレンオキサイド(EO)、プロピレンオキサイド(PO)等のアルキレンオキサイドを付加したポリエーテルポリオールを挙げることができる。
【0022】
ポリエステルポリオールとしては、マロン酸、コハク酸、アジピン酸等の脂肪族カルボン酸やフタル酸等の芳香族カルボン酸と、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール等の脂肪族グリコール等とから重縮合して得られたポリエステルポリオールを挙げることできる。
また、ポリエーテルエステルポリオールとしては、ポリエーテルポリオールと多塩基酸を反応させてポリエステル化したもの、あるいは1分子内にポリエーテルとポリエステルの両セグメントを有するものを挙げることができる。
【0023】
ポリオールについては、水酸基価(OHV)が10~700mgKOH/g、官能基数が2~4、分子量が200~10000(より好適には200~7000)であるポリオールを単独または複数用いることが好ましい。
【0024】
触媒としては、ポリウレタン発泡体用として公知のものを用いることができる。例えば、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、ジエタノールアミン、ジメチルアミノモルフォリン、N-エチルモルホリン、テトラメチルグアニジン等のアミン触媒や、スタナスオクトエートやジブチルチンジラウレート等のスズ触媒やフェニル水銀プロピオン酸塩あるいはオクテン酸鉛等の金属触媒(有機金属触媒とも称される。)を挙げることができる。
【0025】
発泡剤としては、水が好ましい。発泡剤(水)の量は、ポリオール100重量部に対して3~9重量部が好ましい。
【0026】
その他の助剤としては、架橋剤、整泡剤、難燃剤等を挙げることができる。
架橋剤としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1-4ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール等を挙げることができる。
【0027】
整泡剤としては、ポリウレタンフォーム用として公知のものを使用することができる。例えば、シリコーン系整泡剤、フッ素系整泡剤および公知の界面活性剤を挙げることができる。なお、シリコーン系整泡剤の20℃の粘度(JIS K 7117-2:1999/ISO 3219:1993)は300~850mPa・s以上のものがよく用いられている。
【0028】
難燃剤としては、ポリ塩化ビニル、クロロプレンゴム、塩素化ポリエチレンなどのハロゲン化ポリマー、リン酸エステルやハロゲン化リン酸エステル化合物、あるいはメラミン樹脂やウレア樹脂などの有機系難燃剤、酸化アンチモンや水酸化アルミニウムなどの無機系難燃剤等を挙げることができる。
【0029】
ポリイソシアネートとしては、イソシアネート基を2以上有する脂肪族系または芳香族系ポリイソシアネート、それらの混合物、およびそれらを変性して得られる変性ポリイソシアネートを使用することができる。脂肪族系ポリイソシアネートとしては、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキサメタンジイソシアネート等を挙げることができ、芳香族ポリイソシアネートとしては、トルエンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ナフタレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ポリメリックMDI(クルードMDI)等を挙げることができる。なお、その他プレポリマーも使用することができる。
【0030】
イソシアネートインデックス(INDEX)は75~140が好ましい。イソシアネートインデックスは、[(ポリウレタン発泡体原料中のイソシアネート当量/ポリウレタン発泡体原料中の活性水素の当量)×100]で計算される。
【0031】
ポリウレタン発泡体原料における前記親水性付与剤の配合量は、ポリオール100重量部に対して0.1~15重量部、好ましくは1.0~12重量部、より好ましくは3.0~12重量部である。
【0032】
なお、ポリウレタン発泡体の製造は、ポリウレタン発泡体原料を撹拌、混合して発泡させることにより行うことができる。
ポリウレタン発泡体の密度(JIS K7222:2005/ISO 845:1988)は、15~50kg/mが好ましく、20~40kg/mがより好ましく、さらに20~35kg/mが好ましい。
【0033】
無機繊維層21、25は、積層体10の剛性を高めるためのものであり、炭素繊維、ガラス繊維、ロックウール、金属繊維などの層が挙げられる。特にガラス繊維は、安価で剛性が高く、好ましいものである。無機繊維層21、25がガラス繊維層の場合、ガラス繊維のチョップ(ロービングガラスをカットしたもの)を堆積して層状としたもの、あるいはガラス繊維マット、ガラス繊維クロス等を使用することができる。
【0034】
裏面材31は、積層体10の裏面保護や、積層体10に対する作業時の裏面滑り性を向上させる部材であり、不織布やプラスチックシート等が、適宜使用される。
表面材35は、積層体10の装飾性向上等を目的とする部材であり、ポリエステル不織布等の不織布、織布(ニット表布)、ポリエステル繊維等のファブリック、TPO(ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー)やPVC(ポリ塩化ビニル)等のプラスチックシート等が、適宜使用される。
【0035】
基材11と無機繊維層21、25と裏面材31及び表面材35は、無機繊維層21、25に含浸または塗布された接着剤(バインダー)によって接着されている。
接着剤としては、安価で、かつ、基材である発泡体と良好な接着性が得られる液状ポリイソシアネートが好適である。
【0036】
接着剤としての液状ポリイソシアネートは、湿分硬化型、すなわち、熱及び触媒の存在下で水(空気中の湿分の場合もある)との反応により反応硬化し、その硬化によって接着剤として機能する。
【0037】
液状ポリイソシアネートの例として、芳香族系のTDI(トルエンジイソシアネート)、ポリメリックMDI(4,4’ジフェニルメタンジイソシアネート)、NDI(1,5-ナフタレンジイソシアネート)、TODI(トリジンジイソシアネート)、PPDI(パラフェニレンジイソシアネート)、XDI(キシリレンジイソシアネート)、TMXDI(テトラメチルキシレンジイソシアネート)及びそれらの変成体等が挙げられる。好ましくは、ポリメリックMDI、ウレタン変成、アロファネート変性、ビューレット変性、カルボイミド/ウレトニミン変性等種々の変性がなされた変性TDI、変性MDI等や、それらの混合物の使用が適している。
【0038】
積層体10の製造について図2を用いて説明する。親水性付与剤が配合された発泡体原料から形成された発泡体で構成された基材11と、無機繊維層21、25と、裏面材31及び表面材35を用意する。
基材11の厚みは、積層体10の用途等に応じて適宜決定されるが、例として3~10mmを挙げる。
無機繊維層21、25の目付量は、積層体10の用途や無機繊維層21、25の材質等に応じて決定されるが、無機繊維層21、25がガラス繊維の場合の一例として60~150kg/mを挙げる。
【0039】
無機繊維層21、25には接着剤27、29を含浸または塗布して付着させ、一方、基材11には接着剤27、29に対する反応促進剤13、15を必要に応じて塗布し、基材11の両面に無機繊維層21、25を積層して図3に示す成形前積層体10Aを形成する。
なお、接着剤27、29は、無機繊維層21、25と基材11の両方に含浸あるいは塗布してもよい。
【0040】
無機繊維層21、25に対する接着剤27、29の含浸は、無機繊維層21、25を液状の接着剤27、29が収容された接着剤槽に漬けたり、無機繊維層21、25にスプレー接着剤27、29を吹き付けたりすること等によって行うことができる。また、無機繊維層21、25に対する接着剤27、29の塗布は、無機繊維層21、25の表面に刷毛やスプレー等を用いて行ったり、ロールコータ等の塗布装置を使用したりして行うことができる。接着剤27、29の含浸量や塗布量は、無機繊維層21の厚み、目付量等によって異なるが、一例として10~40g/mを挙げる。
【0041】
反応促進剤13、15は、接着剤27、29と接触して接着剤の反応を促進させるものであり、接着剤27、29が液状ポリイソシアネートの場合、アミン触媒水溶液を挙げる。反応促進剤13、15は、基材11の両面に、スプレー等によって塗布される。反応促進剤13、15の塗布量は適宜の量とされ、例として20~70g/mを挙げる。
【0042】
成形前積層体10Aを、プレス型41、45で加熱プレスし、基材11、無機繊維層21、25及び裏面材31と表面材35を、接着剤27、29により接着して一体化し、積層体10を形成する。加熱プレス時、成形前積層体10Aが圧縮されることにより、接着剤27、29は、無機繊維層21、25と基材13との積層面(界面)及び、無機繊維層21、25と裏面材31と表面材35との積層面(界面)に滲出し、反応硬化してそれらを接着する。
【0043】
加熱プレスの方法としては、コールドプレス法とホットプレス法があり、何れでもよい。
コールドプレス法は、成形前積層体10を所定温度に加熱した後、常温のプレス型で加圧する方法である。
ホットプレス法は、常温の成形前積層体10を、所定温度に加熱したプレス型で加圧する方法である。
加熱温度は、接着剤の反応硬化を可能とする温度であり、例として70~220℃を挙げる。
【0044】
プレス型41、45の型面形状は、平面に限られず、積層体10の用途等に応じた形状、例えば凹凸形状や曲面形状等にされるのが好ましい。
【0045】
また、積層体10の製造は、連続成形によって行ってもよい。例えば、基材11と無機繊維層21、25を連続的に供給し、その供給途中で基材11に反応促進剤13、15を塗布し、一方無機繊維層21、25には接着剤27、29を含浸または塗布し、その後に基材11の両面に無機繊維層21、25を積層し、さらに無機繊維層21、25には裏面材31と表面材35を積層して、それらを加熱プレスして接着剤27、29を反応硬化させ、積層体10を連続的に形成してもよい。
【実施例
【0046】
以下の原料を用いて図4の実施例、比較例の配合からなるポリウレタン発泡体原料を作製し、ポリウレタン発泡体原料を混合して270mm角の箱中で箱のふたがない状態で、上部がオープンに発泡することによりポリウレタン発泡体を形成した。上部、下部及び側面を裁断して、コア部を250×250×厚み8mmのサイズに整えて基材11を形成した。
【0047】
・ポリエーテルポリオール1:分子量2000、官能基数2、品番;D2000、三井化学株式会社製
・ポリエーテルポリオール2:分子量400、官能基数3、品番;GP400、三洋化成工業株式会社製
・樹脂化触媒:アミン触媒、品番;DABCO 33LSI、エボニックジャパン株式会社製
・泡化触媒:アミン触媒、品番;DABCO BL-11、エボニックジャパン株式会社製
・架橋剤:グリセリン
・整泡剤:シリコーン系整泡剤、品番;SRX280A(20℃粘度650mPa・s)、東レ・ダウコーニング株式会社製
・発泡剤:水
・親水性付与剤:ポリエーテルシロキサン(20℃の粘度:10~25mPa・s)、品番;HPH2、エボニックジャパン株式会社製
・ポリイソシアネート:ポリメリックMDI、NCO%;31.5%、粘度55mPa・s
【0048】
図4におけるポリウレタン発泡体中の親水性付与剤比率は、ポリイソシアネートを含むポリウレタン発泡体原料の全重量に対する親水性付与剤の重量の比率である。
【0049】
基材の両面に反応促進剤をスプレーで塗布し、接着剤を塗布した無機繊維層を基材11の両面に積層し、さらに一方の無機繊維層には裏面材を積層し、また他方の無機繊維層には表面材を積層して成形前積層体を形成した。
【0050】
反応促進剤は、濃度4%のアミン触媒水を用い、基材の両面にスプレー塗布した。塗布量はそれぞれ片面に32g/mであった。
無機繊維層は、ガラスマット、目付80g/m、品番;GM80-1430、日本電気硝子社製を用いた。
接着剤は、ポリメリックMDI、NCO%;31.5%、粘度200mPa・sを用い、無機繊維層21、25の基材11側の面にそれぞれ塗布量16g/mでスプレー塗布した。
裏面材は、ポリエチレンテレフタレート繊維とポリプロピレン繊維とからなる不織布、目付45g/m、品番;BCP1220-1500、キラックス社製を用いた。
表面材は、ポリエチレンテレフタレート繊維からなるニードルパンチ不織布、目付160g/m、品番;2RG145YR416L、ダイニック社製を用いた。
【0051】
成形前積層体を、プレス型で挟み、加熱プレスした。プレス型の型面は平面であり、加熱はプレス型を110℃に加熱し、プレス圧力5MPaで30秒間、加圧圧縮した。その際、積層前積層体を、加熱プレス前の厚み10.5mmから9.5mm(圧縮量1mm)にした。
【0052】
なお、親水性付与剤を配合していないポリウレタン発泡体原料から形成されたポリウレタン発泡体を基材とする比較例1乃至7のうち、比較例2については接着剤を無機繊維層と基材の両面に塗布し、比較例3についてはポリウレタン発泡体(基材)に親水性付与剤を後塗布し、比較例4については接着剤に親水性付与剤を10wt%添加して用い、比較例5については反応性促進剤に親水性付与剤を10wt%添加して用いた。
【0053】
各実施例及び各比較例について、ポリウレタン発泡体からなる基材の密度及びセル径と、積層体の剥離強度を測定した。測定結果は図4に示す。
密度は、基材を100×50×厚み10mmにカットした試験サンプルについて、重量と正確な寸法を測定し、基材の密度を算出した。
セル径は、基材の表面のセルについて、マイクロスコープで50倍に拡大してランダムに10ヵ所計測し、その平均値を算出した。
剥離強度は、平面サイズ150×25mmにカットした試験サンプルを用い、基材から無機繊維層と表面材を端から80mm剥がし、剥がした基材側と無機繊維層側(無機繊維層+表面材)をそれぞれ引張試験機に取り付け、速度200mm/minで剥がし、その際の平均荷重を剥離強度とした。使用した引張試験機は、品番;オートグラフAG―IS 1KN、島津製作所社製である。
また、剥離強度については、親水性付与剤がポリウレタン発泡体原料に配合されていない比較例1の剥離強度を100%とし、比較例1の剥離強度に対する各実施例及び各比較例の剥離強度の比率を算出して「剥離強度変化率」とした。
【0054】
実施例1~4は、ポリウレタン発泡体原料に配合さている親水性付与剤の量を、ポリオール(ポリエーテルポリオール1+ポリエーテルポリオール2)100重量部に対して1~12重量部の範囲で変化させた例である。
実施例1~4は、剥離強度が1.16~1.42N、比較例1に対する剥離強度変化率が103~126%であり、ポリウレタン発泡体原料に親水性付与剤が配合されていない比較例1よりも剥離強度が増大した。
【0055】
比較例1は、ポリウレタン発泡体原料に親水性付与剤が配合されていない点を除き、実施例1~4と同様の配合のポリウレタン発泡体原料を用いて同様に形成した例である。
比較例1の剥離強度は1.13Nであり、実施例1~4の剥離強度1.16~1.42Nも低く、剥離強度が低いものである。
【0056】
比較例2は、比較例1と同様にポリウレタン発泡体原料に親水性付与剤を配合しないで、接着剤を無機繊維層と基材の両面に塗布した例である。比較例2の剥離強度は1.74Nであり、無機繊維層のみに接着剤を塗布した比較例1に対して剥離強度変化率が154%に上昇した。
【0057】
比較例3は、ポリウレタン発泡体原料に親水性付与剤を配合しないで、ポリウレタン発泡体(基材)の両表面に親水性付与剤を後塗布し、その後、基材の両面に反応促進剤をスプレーで塗布し、その他は、実施例と同様に成形した例である。親水性付与剤の塗布方法はスプレーで直接塗布し、塗布量は基材の片面に16g/mずつ、両面で32g/m塗布した。比較例3の剥離強度は0.15Nであり、比較例1に対して剥離強度変化率が13%に低下し、剥離強度の低下が大きかった。
【0058】
比較例4は、ポリウレタン発泡体原料に親水性付与剤を配合しないで、接着剤に親水性付与剤を10wt%添加して後塗布した例である。親水性付与剤分の塗布量を算出すると、無機繊維層21、25の基材11側の面にそれぞれ1.6g/m、合計3.2g/m2である。比較例4の剥離強度は0.93Nであり、比較例1に対して剥離強度変化率が82%に低下した。
【0059】
比較例5は、ポリウレタン発泡体原料に親水性付与剤を配合しないで、反応促進剤に親水性付与剤を10wt%添加して後塗布した例である。親水性付与剤分の塗布量を算出すると、基材の片面に3.2g/m、両面では6.4g/mである。比較例5の剥離強度は0.35Nであり、比較例1に対して剥離強度変化率が31%に低下した。
【0060】
比較例6は、ポリウレタン発泡体原料に親水性付与剤及びシリコーン系整泡剤の何れも配合しない例である。ポリウレタン発泡体のセルは粗いものとなった。比較例6の剥離強度は0.94Nであり、比較例1に対して剥離強度変化率が83%に低下した。
【0061】
比較例7は、ポリウレタン発泡体原料に親水性付与剤を配合しないで、シリコーン系整泡剤の配合量を、実施例1~4及び比較例1~6の配合量2重量部に対して倍の4重量部に増量した例である。ポリウレタン発泡体のセルは非常に細かいものとなった。比較例7の剥離強度は1.07Nであり、整泡剤が0重量部の比較例6と殆ど変わらない剥離強度であり、比較例1に対する剥離強度変化率は95%であった。
比較例6および比較例7の結果に示されるように、シリコーン系整泡剤は親水性付与剤の代わりになるものではなく、シリコーン系整泡剤の配合量を増加させても、ポリウレタン発泡体原料に親水性付与剤が配合された実施例1~4よりも低い剥離強度しか得られない。
【0062】
このように、本発明によれば、基材と無機繊維層の接着性を高め、剥離強度を向上させた積層体が得られる。
なお、本発明は実施例に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
【符号の説明】
【0063】
10 積層体
11 基材
21、25 無機繊維層
31 裏面材
35 表面材
図1
図2
図3
図4