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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2026-03-05
(45)【発行日】2026-03-13
(54)【発明の名称】電動工具
(51)【国際特許分類】
   B25F 5/00 20060101AFI20260306BHJP
   B25F 5/02 20060101ALI20260306BHJP
   B24B 23/02 20060101ALI20260306BHJP
【FI】
B25F5/00 A
B25F5/02
B24B23/02
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2022032895
(22)【出願日】2022-03-03
(65)【公開番号】P2023128517
(43)【公開日】2023-09-14
【審査請求日】2024-12-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000137292
【氏名又は名称】株式会社マキタ
(74)【代理人】
【識別番号】100078721
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 喜樹
(74)【代理人】
【識別番号】100121142
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 恭一
(72)【発明者】
【氏名】沼田 文年
【審査官】山内 康明
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-037037(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0090504(US,A1)
【文献】特開2017-226063(JP,A)
【文献】中国実用新案第218984310(CN,U)
【文献】独国特許出願公開第102013203806(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25F 5/00
B25F 5/02
B24B 23/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
出力軸を前方に向けて配置されるモータと、前記モータの冷却用のファンとを収容して前後方向に延びる本体ハウジングと、
前記本体ハウジングの前側に連結されるヘッドハウジングと、
前記ヘッドハウジングに収容されて軸線を上下方向に向けて配置され、先端工具が着脱可能なスピンドルと、
前記ヘッドハウジングに収容され、前記スピンドルの回転を任意にロック可能なロック機構と、を含んでなり、
前記ヘッドハウジングが、前記スピンドル及び前記ロック機構が収容される収容部と、前記本体ハウジングに連結される連結部とから形成される電動工具であって、
前記ロック機構は、前記スピンドルの軸線と前記連結部との間で且つ前記ヘッドハウジングの左右方向の中央領域に配置されて前記収容部の左右幅が前記連結部の左右幅よりも小さく形成され、前記連結部の前面における前記収容部の左右の少なくとも一方側に、前記ファンの回転により生じるモータの冷却風を排出する排気口が形成されていることを特徴とする電動工具。
【請求項2】
前記排気口は、前記収容部を挟んだ左右両側に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の電動工具。
【請求項3】
前記排気口は、前記連結部の前面における前記収容部の上下の少なくとも一方側にも形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の電動工具。
【請求項4】
前記出力軸の軸線から前記収容部の上端までの上下方向の距離は、前記出力軸の軸線から前記連結部の上端までの上下方向の距離の半分以下であることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の電動工具。
【請求項5】
前記収容部と前記連結部とは、単一部材に一体形成されていることを特徴とする請求項1乃至の何れかに記載の電動工具。
【請求項6】
前記収容部は、金属製であり、表面が樹脂で覆われていることを特徴とする請求項1乃至の何れかに記載の電動工具。
【請求項7】
サイドハンドルの取付部が、前記ヘッドハウジングより後方に設けられていることを特徴とする請求項1乃至の何れかに記載の電動工具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、モータを動力源とするグラインダ等の電動工具に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばグラインダは、モータ駆動で回転するスピンドルを有し、ハウジングから下方へ突出させたスピンドルの先端に、円盤状砥石等の先端工具を装着している。よって、スピンドルと共に回転する先端工具で研磨作業等が可能となっている。
このようなグラインダでは、先端工具を着脱する際にはスピンドルの回転をロックする必要がある。例えば特許文献1には、モータを収容する本体ハウジングの前部に、スピンドル及びベベルギヤを収容するギヤハウジング(ヘッドハウジング)が設けられ、ギヤハウジングにシャフトロック(ロック機構)が設けられている。このシャフトロックは、ギヤハウジングへ押し込み操作すると、シャフトロックの先端が、スピンドルと一体のベベルギヤに設けた凹部と係合し、スピンドルの回転をロックするものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-199627号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1のシャフトロックは、ギヤハウジングの右側寄りに配置されている。よって、スピンドル及びベベルギヤを収容する収容部の左右幅が広くなり、本体ハウジングとの連結部と左右幅が略同じとなる。よって、本体ハウジングにモータ冷却用のファンを設けた場合、ギヤハウジングに開口させるモータ冷却風の排気口を収容部の上下にしか配置できない。このため、排気口の開口面積を確保してモータの冷却効率を高めることが難しくなっていた。
【0005】
そこで、本開示は、ヘッドハウジングにスピンドルのロック機構を設けても排気口の開口面積を広く確保でき、高い冷却効率が得られる電動工具を提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本開示は、電動工具であって、出力軸を前方へ向けて配置されるモータと、モータの冷却用のファンとを収容して前後方向に延びる本体ハウジングと、
本体ハウジングの前側に連結されるヘッドハウジングと、
ヘッドハウジングに収容されて軸線を上下方向に向けて配置され、先端工具が着脱可能なスピンドルと、
ヘッドハウジングに収容され、スピンドルの回転を任意にロック可能なロック機構と、を含んでなり、
ヘッドハウジングが、スピンドル及びロック機構が収容される収容部と、前記本体ハウジングに連結される連結部とから形成される。
そして、ロック機構は、スピンドルの軸線と連結部との間で且つヘッドハウジングの左右方向の中央領域に配置されて収容部の左右幅が連結部の左右幅よりも小さく形成され、連結部の前面における収容部の左右の少なくとも一方側に、ファンの回転により生じるモータの冷却風を排出する排気口が形成されていることを特徴とする。
なお、本開示において、「左右方向の中央領域」とは、左右方向の厳密な中央部を含むと共に、中央部から左右何れかへずれる誤差がある場合も含む趣旨である。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、ヘッドハウジングにスピンドルのロック機構を設けても排気口の開口面積を広く確保でき、高い冷却効率を得ることができる。また、収容部がコンパクトとなるため、比較的狭い場所でも作業が可能となると共に、作業時の視認性も良好となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】グラインダの斜視図である。
図2】グラインダの平面図である。
図3図2のA-A線部分の拡大断面図である(ロック部材は非係合位置)。
図4図2のB-B線拡大断面図である。
図5図3のC-C線断面図である。
図6】ギヤハウジング及びロック機構の分解斜視図である。
図7】ロック部材が係合位置となる図3に相当する拡大断面図である。
図8図7のD-D線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示の一実施形態において、排気口は、収容部を挟んだ左右両側に形成されていてもよい。
この構成によれば、排気口をバランスよく配置して開口面積を広く確保でき、冷却効率を高めることができる。
本開示の一実施形態において、排気口は、連結部の前面における収容部の上下の少なくとも一方側にも形成されていてもよい。
この構成によれば、排気口の開口面積をより広く確保できる。
本開示の一実施形態において、スピンドルは、軸線を上下方向に向けて配置されており、ロック機構は、スピンドルの軸線と連結部との間に配置されていてもよい。
この構成によれば、ロック機構を左右方向の中央領域に設けても収容部の上端高さを低く抑えることができ、作業時の視認性の確保に繋がる。
本開示の一実施形態において、モータは、出力軸を前後方向に向けて配置されており、出力軸の軸線から収容部の上端までの上下方向の距離は、出力軸の軸線から連結部の上端までの上下方向の距離の半分以下であってもよい。
この構成によれば、収容部の上端高さがより低く抑えられ、視認性の一層の向上が期待できる。
【0010】
本開示の一実施形態において、収容部と連結部とは、単一部材に一体形成されていてもよい。
この構成によれば、構造が簡素化して部品点数が削減される。
本開示の一実施形態において、収容部は、金属製であり、表面が樹脂で覆われていてもよい。
この構成によれば、収容部の剛性を確保しつつ、作業者の手が収容部に直接触れることがなくなる。よって、ロック機構を操作する際の使用感が良好となる。
本開示の一実施形態において、サイドハンドルの取付部が、ヘッドハウジングより後方に設けられていてもよい。
この構成によれば、収容部にサイドハンドルの取付部を設ける必要がなくなり、収容部の一層のコンパクト化が達成可能となる。また、サイドハンドルが収容部よりも後方寄りに位置するため、サイドハンドルの位置による作業の制約が緩和され、狭い場所での作業性も向上する。
【実施例
【0011】
以下、本開示の実施例を図面に基づいて説明する。
図1は、電動工具の一例であるグラインダを示す斜視図である。図2は、グラインダの平面図である。図3は、図2のA-A線部分の拡大断面図である。
グラインダ1は、本体ハウジング1aとして、アウタハウジング2とインナハウジング3とを備えている。アウタハウジング2及びインナハウジング3は、樹脂製である。本体ハウジング1aの前側には、金属製のギヤハウジング4が連結されている。ギヤハウジング4は、本開示のヘッドハウジングの一例である。ギヤハウジング4の下部には、ベアリングリテーナ5が組み付けられて、ベアリングリテーナ5から下向きにスピンドル6が突出している。
アウタハウジング2は、前後方向に延びる筒状を有し、後部には細径のグリップ部7が形成されている。グリップ部7には、スイッチレバー8が設けられている。グリップ部7の後端には、電源コード9が接続されている。アウタハウジング2の太径部分の左右の側面には、複数の吸気口10,10・・が形成されている。アウタハウジング2の前端には、左右にハンドル取付部11,11が設けられている。ハンドル取付部11は、アウタハウジング2の前端から左右外側へ張り出した後、前方へ突出する板状となっている。ハンドル取付部11に、サイドハンドル13がねじ込み結合されるネジ穴12(図2及び図6)が形成されている。
【0012】
インナハウジング3は、内部にモータ15を収容している。モータ15は、出力軸16が前後方向となる向きで保持されている。インナハウジング3の外周には、筒状ラバー17が外装されている。アウタハウジング2は、筒状ラバー17を介してインナハウジング3を保持している。筒状ラバー17には、ハンドル取付部11,11がネジ止めされる金属製の固定リング18が外装されている。
インナハウジング3とギヤハウジング4との間には、仕切板19が設けられている。出力軸16は、仕切板19を貫通してギヤハウジング4内に突出している。仕切板19には、出力軸16を支持する軸受20が設けられている。仕切板19の後方で出力軸16には、ファン21が設けられている。
【0013】
ギヤハウジング4は、連結部25とギヤ収容部26とを一体に備えている。連結部25は、正面視が四角形状で、各角部が仕切板19と共にインナハウジング3へ前方から4本のネジ22,22・・によってネジ止めされている。
ギヤ収容部26は、連結部25の上下及び左右方向の中央部から前方へ突設されている。ギヤ収容部26は、下面を開口する平面視四角形状である。ギヤ収容部26の左右幅は、連結部25の左右幅よりも小さく形成されている。
連結部25の前面におけるギヤ収容部26の左右には、図4にも示すように、円弧状の横排気口27,27・・が、それぞれ複数ずつ左右対称に形成されている。連結部25の前面におけるギヤ収容部26の上方には、左右方向に延びる長円状の複数の上排気口28,28が形成されている。連結部25の前面におけるギヤ収容部26の下方には、円弧状の複数の下排気口29,29が形成されている。すなわち、各排気口27,28,29は、正面視でギヤ収容部26の根元を囲む格好で配置されている。
【0014】
出力軸16は、連結部25を貫通してギヤ収容部26内に突出している。ギヤ収容部26内で出力軸16の先端には、第1ベベルギヤ30が固定されている。
ベアリングリテーナ5は、上端の平面視がギヤ収容部26と同形状となる筒状で、ギヤ収容部26の下部に下方からネジ止めされている。ギヤ収容部26には、上方からフロントカバー31が被せられている。フロントカバー31は、ギヤ収容部26の上面と、ギヤ収容部26の前面及び左右の側面とを覆う樹脂製で、ギヤ収容部26とベアリングリテーナ5との間に挟持固定されている。
ここで、図3に示すように、出力軸16の軸線A1から、フロントカバー31を含むギヤ収容部26の上端までの上下方向の距離D1は、軸線A1から連結部25の上端までの上下方向の距離D2の半分よりも小さくなっている。よって、フロントカバー31を含むギヤ収容部26は、上下及び左右ともに連結部25よりも小さいサイズとなっている。
【0015】
スピンドル6は、ギヤ収容部26とベアリングリテーナ5とに跨がって上下方向に配置されている。スピンドル6の上端は、ギヤ収容部26に保持された軸受32に支持されている。スピンドル6の中間部は、ベアリングリテーナ5に保持された軸受33に支持されている。軸受33の上側でスピンドル6には、第2ベベルギヤ34が固定されている。第2ベベルギヤ34は、第1ベベルギヤ30と噛合している。第2ベベルギヤ34における外周の歯部を除く上面は、中心へ向かうに従って徐々に高くなる円錐面35となっている。この円錐面35には、図5及び図6に示すように、3箇所に凹部36,36・・が形成されている。各凹部36は、スピンドル6を中心とする径方向外側へ放射状に延びている。各凹部36は、第2ベベルギヤ34の周方向に等間隔で配置されている。
スピンドル6の下端は、ベアリングリテーナ5を貫通して下方へ突出している。スピンドル6の下端には、ネジ部37が設けられている。ネジ部37の上側には、インナフランジ38が外装されている。インナフランジ38の下方でネジ部37には、アウタフランジ39が螺合している。インナフランジ38とアウタフランジ39との間に先端工具(例えば円盤状砥石)40を挟持してアウタフランジ39を緊締することで、先端工具40はスピンドル6に固定される。ベアリングリテーナ5には、先端工具40の後側の上面及び周面を覆うホイールカバー41が取り付けられている。
【0016】
ギヤ収容部26及びフロントカバー31には、スピンドル6の回転を任意に規制可能なロック機構45が設けられている。ロック機構45は、ロック部材46と、コイルバネ47と、操作ボタン48とを備えている。
ロック部材46は、2本の係合ピン49,49と結合部50とを備えている。係合ピン49,49は、正面視でスピンドル6の軸線A2を中心とした左右対称にそれぞれ配置されて上下方向に延びる軸体である。結合部50は、左右方向に延びる棒体で、左右両端に係合ピン49の上端が圧入結合されている。よって、ロック部材46は、正面視が逆U字状となる。
ギヤ収容部26の上面でスピンドル6の軸線A2よりも後方には、受台51が突出形成されている。受台51は、上面が前後及び左右方向で規定される平面で、軸受32を跨いで左右方向に延びる平面視矩形状となっている。この受台51に、左右一対の貫通孔52,52が上下方向に貫通形成されている。各貫通孔52の下部は、上部よりも大径の大径孔53となってギヤ収容部26の内部に開口している。
受台51の後方には、左右一対の受け板54,54が設けられている。各受け板54は、ギヤ収容部26の上面で前後方向に沿って立設されて上方に延びている。各受け板54の上端には、半円状の切欠き55がそれぞれ形成されている。
【0017】
左右の係合ピン49,49は、貫通孔52,52を貫通してギヤ収容部26内に突出している。係合ピン49,49は、平面視で、第2ベベルギヤ34の凹部36,36・・の径方向外側端部と同心円上に位置している。各係合ピン49の下端は、第2ベベルギヤ34の円錐面35の形状に合わせて斜めにカットされている。各係合ピン49の下部には、大径孔53内に位置するOリング56がそれぞれ外装されている。
結合部50の下面と受台51の上面との左右方向の中央には、上下方向に開口が対向する有底孔57,57がそれぞれ形成されている。コイルバネ47は、上下の有底孔57,57にそれぞれ端部を挿入して上下方向に支持されて、ロック部材46を上方へ付勢している。
フロントカバー31の後部で左右方向の中央には、上方へ膨出する枠部60が形成されている。枠部60は、平面視が左右方向に延びる矩形状で、受台51と枠部60との間に、結合部50が上下移動可能な空間を形成している。枠部60には、左右と後部とを除いて空間を開放させる操作窓61が形成されている。
【0018】
操作ボタン48は、枠部60の下側に配置されている。操作ボタン48は、前側のボタン部62と、後側の支持部63とを一体に備えている。
ボタン部62は、枠部60の操作窓61内に納まる平面視矩形状で、前部は、前方へ向かうに従って下方へカーブする形状となっている。ボタン部62の下面には、左右方向に延びる押圧部64が下向きに突設されている。
支持部63は、ボタン部62の後端に連設されて下向きに延びた後、後方へ折曲する側面視L字状となっている。支持部63の後端には、左右方向に延びる支点棒65が一体に形成されている。
操作ボタン48の組み付けは、ロック部材46をコイルバネ47と共にギヤ収容部26に組み付けた後、支持部63の支点棒65を、ギヤ収容部26の受け板54,54の切欠き55,55に載せる。この状態でフロントカバー31を被せると、図3に示すように、支点棒65が受け板54,54とフロントカバー31との間に挟持される。よって、操作ボタン48は、支点棒65を中心に上下方向へ揺動可能に支持される。
【0019】
但し、ボタン部62の押圧部64には、コイルバネ47によって上方へ付勢されるロック部材46の結合部50が下方から当接する。よって、操作ボタン48は、常態では、支持部63が操作窓61の後側で枠部60に当接する図3の上揺動位置に付勢される。この上揺動位置でボタン部62は、操作窓61内の上側に位置している。
このときロック部材46は、図5に示すように、係合ピン49,49のOリング56,56が貫通孔52,52の大径孔53,53の上端に位置する上限位置となる。この上限位置で係合ピン49,49の下端は、第2ベベルギヤ34の凹部36よりも上方に位置して回転方向で凹部36に係合しない(非係合位置)。
一方、上揺動位置から操作ボタン48のボタン部62を下方へ押し込む。すると、図7に示すように、操作ボタン48は、支点棒65を中心に下方へ揺動し、ボタン部62の前端がフロントカバー31の上面に当接する下揺動位置となる。よって、押圧部64によって結合部50も下方へ押圧され、ロック部材46は、コイルバネ47の付勢に抗して下限位置へ移動する。この下限位置で係合ピン49,49は、図8に示すように、下端が第2ベベルギヤ34の2つの凹部36,36内に進入して回転方向で凹部36に係合可能となる(係合位置)。
【0020】
以上の如く構成されたグラインダ1は、スイッチレバー8を押し込み操作してグリップ部7内の図示しないスイッチをONさせる。すると、モータ15が駆動して出力軸16が回転する。出力軸16の回転は、第1ベベルギヤ30から第2ベベルギヤ34に伝わり、スピンドル6に伝達される。よって、先端工具40が回転して被加工材の研削等が可能となる。
このとき、ギヤハウジング4では、ロック機構45がスピンドル6の軸線A2と連結部25との間に配置されると共に、前述のD1<D2/2の設定により、ギヤ収容部26の高さは低く抑えられている。よって、ギヤ収容部26及びフロントカバー31が作業者の視界を遮りにくくなる。また、狭い場所での作業もしやすくなる。
【0021】
そして、出力軸16の回転に伴ってファン21が回転する。すると、後方の吸気口10,10・・から外気が吸い込まれる。この空気は、インナハウジング3内を前方へ流れてモータ15を通過した後、ファン21の外周から仕切板19に設けた複数の透孔19a,19a・・(図6)を通り、連結部25の各排気口27,28,29を介して前方に排出される。この冷却風によってモータ15が冷却される。ここでは連結部25に設けた各排気口27,28,29によって開口面積が広く確保されているので、インナハウジング3内を流れる風量が多くなり、モータ15が効果的に冷却されることになる。
【0022】
作業終了後、先端工具40を交換等のために取り外す際には、ロック機構45において、操作ボタン48のボタン部62を下方に押圧する。すると、前述のように操作ボタン48が支点棒65を中心として図7及び図8の下揺動位置へ揺動し、ロック部材46は、コイルバネ47の付勢に抗して下限位置へ移動する。このとき、ボタン部62は支点棒65から前方に離れた位置で揺動するため、コイルバネ47の付勢力に対して小さい力で押し込み可能となる。また、ボタン部62への押圧力が結合部50を介して左右対称の係合ピン49,49へバランスよく作用するため、係合ピン49,49は、傾くことなくスムーズに下降する。
【0023】
ロック部材46が下限位置に達すると、係合ピン49,49の下端が第2ベベルギヤ34の2箇所の凹部36,36へ同時に係合する。よって、第2ベベルギヤ34は、ロック部材46によって回転が規制された状態となる。この状態で工具を用いてアウタフランジ39を緩めれば、先端工具40の交換等が可能となる。
このとき、ロック部材46は、2本の係合ピン49,49が2箇所の凹部36,36へ係合しているため、アウタフランジ39を緩めたり締め付けたりする際、ロック部材46に発生する応力は分散される。特に、係合ピン49,49は左右対称に配置されているため、応力が均一に分散する。
よって、ロック機構45に係る強度及び耐久性が向上する。また、スピンドル6の回転を確実にロック可能となる。さらに、2本の係合ピン49,49を設けても操作ボタン48は単一であるため、操作性を損なうことがない。
【0024】
なお、ロック部材46が下降した際に係合ピン49,49の下端が凹部36,36の位置に合わず、第2ベベルギヤ34の円錐面35に当接することがある。この場合、先端工具40側を回転させて第2ベベルギヤ34を回転させ、凹部36,36の位置を変えることで係合ピン49,49の下端を合わせることができる。
先端工具40の交換等が終了してボタン部62の押圧を解除すると、ロック部材46は、コイルバネ47の付勢によって図3及び図5の上限位置へ復帰して係合ピン49,49を凹部36,36から離間させる。これと同時に操作ボタン48も結合部50に下方から押圧されて上揺動位置へ復帰する。
【0025】
このように、上記形態のグラインダ1は、モータ15と、モータ15の冷却用のファン21とを収容する本体ハウジング1aと、本体ハウジング1aの前側に連結されるギヤハウジング4と、ギヤハウジング4に収容され、先端工具40が着脱可能なスピンドル6と、ギヤハウジング4に収容され、スピンドル6の回転を任意にロック可能なロック機構45と、を含んでなる。また、ギヤハウジング4は、スピンドル6及びロック機構45が収容されるギヤ収容部26(収容部の一例)と、本体ハウジング1aに連結される連結部25とから形成されている。
そして、グラインダ1は、ロック機構45を、ギヤハウジング4の左右方向の中央領域に配置してギヤ収容部26の左右幅を連結部25の左右幅よりも小さく形成し、連結部25の前面におけるギヤ収容部26の左右両側に、ファン21の回転により生じるモータ15の冷却風を排出する横排気口27(排気口の一例)を形成している。
この構成によれば、ギヤハウジング4にスピンドル6のロック機構45を設けても横排気口27の開口面積を広く確保でき、高い冷却効率を得ることができる。また、ギヤ収容部26がコンパクトとなるため、比較的狭い場所でも研削作業が可能となると共に、作業時の視認性も良好となる。
【0026】
横排気口27,27は、ギヤ収容部26を挟んだ左右両側に形成されている。
よって、横排気口27をバランスよく配置して開口面積を広く確保でき、冷却効率を高めることができる。
上排気口28及び下排気口29は、連結部25の前面におけるギヤ収容部26の上下両側に形成されている。
よって、横排気口27と併せて開口面積をより広く確保できる。
スピンドル6は、軸線A2を上下方向に向けて配置されており、ロック機構45は、スピンドル6の軸線A2と連結部25との間に配置されている。
よって、ロック機構45を左右方向の中央部に設けてもギヤ収容部26の上端高さを低く抑えることができ、作業時の視認性の確保に繋がる。
モータ15は、出力軸16を前後方向に向けて配置されており、出力軸16の軸線A1からギヤ収容部26の上端までの上下方向の距離D1は、出力軸16の軸線A1から連結部25の上端までの上下方向の距離D2の半分より小さくなっている。
よって、ギヤ収容部26の上端高さがより低く抑えられ、視認性の一層の向上が期待できる。
【0027】
ギヤ収容部26と連結部25とは、単一部材に一体形成されている。
よって、構造が簡素化して部品点数が削減される。
ギヤ収容部26は、金属製であり、表面がフロントカバー31(樹脂の一例)で覆われている。
よって、ギヤ収容部26の剛性を確保しつつ、作業者の手がギヤ収容部26に直接触れることがなくなる。よって、ロック機構45を操作する際の使用感が良好となる。
サイドハンドル13を取り付けるネジ穴12(取付部の一例)が、ギヤハウジング4より後方に設けられている。
よって、ギヤ収容部26にネジ穴を設ける必要がなくなり、ギヤ収容部26の一層のコンパクト化が達成可能となる。また、サイドハンドル13がギヤ収容部26よりも後方寄りに位置するため、サイドハンドル13の位置による作業の制約が緩和され、狭い場所での作業性も向上する。
【0028】
以下、本開示の変更例を説明する。
収容部は、上記例のギヤ収容部のように連結部に対して上下左右方向の中央部に配置する構造に限らない。厳密な中央でなく左右或いは上下に多少ずれた位置であっても、連結部の前面で少なくとも左右の一方側に排気口を形成できればよい。収容部自体の形状も、上記例に限らず、平面視が半長円状や半楕円状、正面視が半円状等であってもよい。
連結部の各排気口の数や形状は、上記例に限定されない。例えば、全ての排気口を円弧状或いは長円状にしたり、丸穴や角穴を採用したり、これらを組み合わせたりしてもよい。
横排気口は、収容部の位置及び形状によっては上記例のように左右対称でなくてもよい。横排気口は、収容部の左右何れか一方側のみに設けてもよい。
上排気口と下排気口とは、何れか一方又は両方を省略することができる。
【0029】
出力軸の軸線から収容部の上端までの距離は、当該軸線から連結部の上端までの距離の半分と同じであってもよい。但し、視認性が確保できればこの距離の設定はなくてもよい。
ロック機構の位置も、スピンドルの軸線と連結部との間に限らない。左右何れか一方側に排気口を形成できれば、ロック機構は、例えばスピンドルの軸線の左右外側や前側に配置してもよい。
ヘッドハウジングは、上記例のギヤハウジングのように連結部とギヤ収容部とを一体に形成する構造に限らない。連結部とギヤ収容部とをそれぞれ別々に形成して結合してもよい。
収容部を覆う樹脂は、上記例のフロントカバーのようなカバー構造とするものに限らない。樹脂は、例えばインサート成形等によって収容部の表面へ一体に設けてもよい。樹脂を省略することもできる。
サイドハンドルの取付部は、ネジ穴以外でもよい。取付部は、収容部のコンパクト化が達成できれば、収容部の側面に設けることもできる。
【0030】
ロック機構は、上記例の構造に限らない。例えば、ロック部材において、係合ピンの数は2本に限らず、3つ以上設けることもできる。
係合ピンは、ヘッドハウジングの左右の領域に分けて設けなくてもよい。結合部は、中心を上方に延ばして操作部で押圧させてもよい。
係合ピンは、上記例より長さが短い棒体でもよいし、横断面が円形でなくてもよい。係合ピンは、ギヤの外面形状によっては下端が傾斜面でなくてもよい。係合ピンは、結合部と別体でなく一体に形成することもできる。
コイルバネは、複数用いてもよい。コイルバネ以外の弾性体を使用してもよい。
操作ボタンも上記例の構造に限らない。例えば操作ボタンは、ボタン部の平面視形状が円形であったり、支点棒の位置が前側や左右側にあったりしてもよい。操作ボタンは、支点棒を中心とした揺動でなく上下動する構造であってもよい。操作ボタンを省略してロック部材の上面に操作部を一体に形成して直接操作可能としてもよい。
ロック機構は、上記例の構造に限らず、1つの係合ピンをベベルギヤに対して付勢し、ベベルギヤとの係合によってスピンドルの回転をロックする従来の構造であってもよい。
【0031】
その他、グラインダは、商用電源を用いるAC工具でなく、バッテリパックを用いるDC工具であってもよい。
グラインダの本体ハウジングは、上記例のアウタハウジングとインナハウジングとからなる構造に限らない。例えばアウタハウジングのみを本体ハウジングとして有するものであってもよい。
本開示の電動工具は、グラインダに限らない。例えば、ポリッシャやサンダ等の他の研削・研磨工具等であっても、本開示のヘッドハウジングの構造は適用可能である。
【符号の説明】
【0032】
1・・グラインダ、2・・アウタハウジング、3・・インナハウジング、4・・ギヤハウジング、5・・ベアリングリテーナ、6・・スピンドル、10・・吸気口、11・・ハンドル取付部、12・・ネジ穴、13・・サイドハンドル、15・・モータ、16・・出力軸、21・・ファン、25・・連結部、26・・ギヤ収容部、27・・横排気口、28・・上排気口、29・・下排気口、30・・第1ベベルギヤ、31・・フロントカバー、34・・第2ベベルギヤ、36・・凹部、37・・ネジ部、38・・インナフランジ、39・・アウタフランジ、40・・先端工具、45・・ロック機構、46・・ロック部材、47・・コイルバネ、48・・操作ボタン、A1・・出力軸の軸線、A2・・スピンドルの軸線、D1・・出力軸の軸線からフロントカバーの上端までの上下方向の距離、D2・・出力軸の軸線から連結部の上端までの上下方向の距離。
図1
図2
図3
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図5
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図7
図8