(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2026-03-09
(45)【発行日】2026-03-17
(54)【発明の名称】掘削機
(51)【国際特許分類】
E21B 44/00 20060101AFI20260310BHJP
E21B 19/02 20060101ALI20260310BHJP
【FI】
E21B44/00 Z
E21B19/02
(21)【出願番号】P 2021212041
(22)【出願日】2021-12-27
【審査請求日】2024-11-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000000549
【氏名又は名称】株式会社大林組
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】弁理士法人一色国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】土屋 信明
(72)【発明者】
【氏名】山本 忠久
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 剛
(72)【発明者】
【氏名】古賀 翔平
(72)【発明者】
【氏名】白子 将則
【審査官】柿原 巧弥
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-195682(JP,A)
【文献】特開2011-252349(JP,A)
【文献】特開昭55-068994(JP,A)
【文献】特開2006-299742(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0371850(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E21B 44/00
E21B 19/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
継手構造を介して接続された複数のロッド本体よりなるとともに先端に掘削ヘッドが接続されたロッドに、回転力と上下方向の振動を付与しつつ、前記掘削ヘッドで地盤を掘削する掘削機であって、
前記ロッドを把持するクランプ装置と、
前記クランプ装置の動作を制御するクランプ制御部と、
前記ロッドを昇降する昇降装置と、
前記昇降装置の動作を制御する掘削機制御部と、
前記昇降装置の移動を検知する移動検知手段と、を備え、
前記クランプ制御部は、
前記クランプ装置の開動作を実行する前に、前記掘削機制御部を介して前記昇降装置を上昇させ、前記昇降装置の上昇移動を前記移動検知手段に基づいて検知すると、
前記ロッドが前記クランプ装置のみに把持されている状態にあると判定し、前記ロッドの把持状態を維持するよう構成されていることを特徴とする掘削機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地盤を掘削するための掘削機に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、地中にソイルセメント柱を築造する際に用いる削孔攪拌装置が開示されている。削孔攪拌装置は、先端に掘削ビットが接続されたロッドを備えており、このロッドに対して鋼管を継足しながら、掘削ビットを地中に回転圧入する。これと同時に、掘削ビットの先端よりセメントミルクを吐出することで、地中を削孔しつつ、削孔した孔内にソイルセメント柱を構築する。
【0003】
具体的には、
図6で示すように、削孔攪拌装置100に備えた案内部材110に沿ってスライドする回転手段130にスイベル継手140を介してロッド150を接続し、ロッド150の先端に掘削ビット200を接続する。そして、回転手段130を介してロッド150を、回転させつつ案内部材110に沿って下降させることにより地盤に押し込み、ロッド150の先端に設けた掘削ビット200で地盤を削孔攪拌する。
【0004】
そして、回転手段130が案内部材110の下端部まで達した場合に、回転手段130の動作を一旦停止し、案内部材110の下端に設けたチャック機構120でロッド150を把持する。次に、スイベル継手140とロッド150との接続状態を解除して、回転手段130を案内部材110に沿って上方にスライドさせる。こののち、ロッド150とスイベル継手140との間に継足し用の鋼管160を配置し、その上端をスイベル継手140に接続するとともに、下端をロッド150の上端に接続する。
【0005】
この状態で、チャック機構120によるロッド150の把持を解除したのち、再度、回転手段130を介してロッド150を、回転させつつ案内部材110に沿って下降させて、掘削ビット200を再度地盤に押し込んで行く。このようにして、継足し用の鋼管を順次継足しながら削孔攪拌することにより、地盤に所定の深さに達するソイルセメント柱を造成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1によれば、低空頭な環境下においても、鋼管160を順次継足しながら所望の深度を有するソイルセメント柱Pを造成することが可能となる。しかし、造成しようとするソイルセメント柱Pが長大化すると、鋼管160の継足し回数が増えることから、作業員の誤操作が生じやすい。
【0008】
具体的には、ロッド150をチャック機構120のみで把持した状態であるにもかかわらず、チャック機構120を解放するなどの誤操作が生じやすい。このような誤操作が生じた場合、ロッド150は掘削ビット200とともに泥水で満たされた削孔内に落下する。すると、落下した掘削ビット200やロッド150を目視確認できないため玉掛けして引き上げることは困難となりやすい。玉掛けが可能な場合であっても、引き上げ時には掘削ビット200が孔壁に接触するなど、回収作業に多大な手間を要する。
【0009】
また、回収できない場合には、掘削ビット200やロッド150を埋め殺しにせざるを得ないだけでなく、その削孔はソイルセメント柱Pの構築に使用できず、設計変更が必要となる。これらの事象は、工期遅延や工費の増大化などを招きやすく、工事への影響が大きいことから、作業員の誤操作を削減できる対策が望まれていた。
【0010】
本発明は、かかる課題に鑑みなされたものであって、その主な目的は、掘削ヘッド及びロッドの掘削孔への落下を防止することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
かかる目的を達成するため、本発明の掘削機は、継手構造を介して接続された複数のロッド本体よりなるとともに先端に掘削ヘッドが接続されたロッドに、回転力と上下方向の振動を付与しつつ、前記掘削ヘッドで地盤を掘削する掘削機であって、前記ロッドを把持するクランプ装置と、前記クランプ装置の動作を制御するクランプ制御部と、前記ロッドを昇降する昇降装置と、前記昇降装置の動作を制御する掘削機制御部と、前記昇降装置の移動を検知する移動検知手段と、を備え、前記クランプ制御部は、前記クランプ装置の開動作を実行する前に、前記掘削機制御部を介して前記昇降装置を上昇させ、前記昇降装置の上昇移動を前記移動検知手段に基づいて検知すると、前記ロッドが前記クランプ装置のみに把持されている状態にあると判定し、前記ロッドの把持状態を維持するよう構成されていることを特徴とする。
【0013】
上述する本発明の掘削機によれば、クランプ制御部は、ロッドの把持を開放する操作信号を受信しても、昇降装置の上昇移動を移動検知手段に基づいて検知しているかぎり、クランプ装置によるロッドの把持状態を維持する。したがって、ロッドがクランプ装置にのみ把持された状態で、作業員の誤操作や不慮の事態によりロッドの把持を開放する操作信号が発信されても、ロッド及び掘削ヘッドが掘削孔内に落下する現象を抑制することができる。これにより、削孔作業の作業性を向上することが可能となる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ロッドがクランプ装置にのみ把持された状態で、作業員の誤操作や不慮の事態によりロッドの把持を開放する操作信号が発信されても、掘削ヘッド及びロッドが掘削孔へ落下する事態を防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の実施の形態における掘削機の概略を示す図である。
【
図2】本発明の実施の形態における掘削機による地中削孔の手順を示す図である(その1)。
【
図3】本発明の実施の形態における掘削機による地中削孔の手順を示す図である(その2)。
【
図4】本発明の実施の形態におけるクランプ装置の動作を制御するクランプ制御部を示す図である。
【
図5】本発明の実施の形態におけるロッドの把持を開放する操作信号がクランプ制御部に発信された場合の流れを示す図である。
【
図6】従来の削孔攪拌装置で地中削孔する様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の掘削機について、
図1~
図5を参照しつつその詳細を説明する。本実施の形態では、掘削孔を構築する場合を事例に挙げるが、掘削機はソイルセメント柱を築造することも可能である。
【0017】
≪≪掘削機≫≫
図1に示すように、対象地盤を掘削する際に使用する掘削機1は、クローラ走行体2と、クローラ走行体2に搭載されている上部旋回体3と、起倒自在に支持されたリーダー4とを備える。
【0018】
リーダー4は、起立姿勢においてその前面側に上下方向に延在するガイド41を備えるとともに、ガイド41に沿って昇降する昇降装置42が設けられている。背面側には2台の伸縮装置43、44が設けられ、これらを介してリーダー4と上部旋回体3とが連結されている。伸縮装置43、44の伸縮動作により、リーダー4の起倒の各姿勢が自在となっている。
【0019】
また、リーダー4にはその下端部に、ロッド20を把持するクランプ装置45が設けられている。クランプ装置45は、ロッド20が貫通する貫通孔を備えるとともに、この貫通孔に向けて出没自在なクランプ本体451を備えている。貫通孔を閉状態とするようにクランプ本体451を突出させることにより、ロッド20を把持する。一方で、貫通孔を開状態とするようにクランプ本体451を収納することにより、ロッド20の把持を開放する。
【0020】
以降、ロッド20を把持する動作及び状態を閉動作及び閉状態、開放する動作及び状態を開動作及び開状態と称する。クランプ本体451には、例えば、油圧ジャッキなどを採用することができるが、これに限定するものではなく、ロッド20を把持可能な構成を有していれば、いずれの装置を採用してもよい。また、クランプ装置45は必ずしもリーダー4に装着されていなくてもよい。
【0021】
掘削機1はさらに、昇降装置42に搭載された起振装置9と、起振装置9の下部に接続された回転装置8と、回転装置8を貫通し基端が起振装置9に接続される駆動軸7と、を備える。また、掘削機1は、駆動軸7の先端に接続されるロッド20と、ロッド20の先端に接続された掘削ヘッド10と、を備える。
【0022】
起振装置9は、偏芯重錘を回転させることで上下方向の起振力を発生させる装置であり、昇降装置42を介してガイド41に沿って移動するため、リーダー4の起立時には昇降方向に移動する態様となる。なお、起振装置9は、駆動軸7に対して上下方向の成分を含む振動を伝達可能な起振力を発生できる装置であれば、いずれを採用してもよい。
【0023】
回転装置8は、昇降装置42に設置されるとともに起振装置9に接続されており、起振装置9とともに起立姿勢のリーダー4に沿って移動する。その内部には、図示しない駆動軸係止部が備えられており、駆動軸7の周面を係止して軸周りに正方向もしくは逆方向の回転力を付与する。
【0024】
駆動軸7は中空部を備える一重管よりなり、その中間にスイベル継手6が装着されて、例えば、セメントミルク供給管や安定液供給管などの流体供給管5が接続されている。これにより、流体供給管5から供給されたセメントミルクや安定液Sなどの流体を、スイベル継手6から駆動軸7を介してロッド20に供給できる。
図1では、安定液Sを供給する場合を事例に挙げている。
【0025】
≪≪ロッド及び掘削ヘッド≫≫
ロッド20は、基端部が継手構造50を介して駆動軸7に接続され、先端部に継手構造50を介して掘削ヘッド10が接続されており、ロッド本体30と、ロッド本体30を軸線方向に接続する継手構造50とにより構成されている。
【0026】
ロッド本体30は、
図3(b)に示すように、管材31とその一端に設けられた凸継手32と、他端に設けられ凸継手32に篏合する凹継手33とを備える。そして、継手構造50は、
図1に示すように、下方に位置するロッド本体30が備える凸継手32に、上方に位置するロッド本体30が備える凹継手33を篏合させた状態で、両者を貫通するように設ける接続ピン34とにより構成されている。
【0027】
上記の継手構造50は、ロッド本体30どうしの接続だけでなく、
図1に示すように、ロッド20と駆動軸7との接続、及びロッド20と掘削ヘッド10との接続にも採用している。
【0028】
掘削ヘッド10は、ロッド20の先端に接続され、中空部を備える一重管よりなる軸部11と、軸部11の先端部近傍であって側方に延びるように取り付けられた掘削翼本体13と、掘削翼本体13に取り付けられたビット14とを備える。また、軸部11には掘削翼本体13から上方に離間した位置に、放射方向に延在する複数の攪拌翼12が設置され、軸部11の先端には先端ビット15と流体吐出口16とが設けられている。
【0029】
ビット14及び先端ビット15は、掘削ヘッド10がロッド軸周りに正方向及び逆方向のいずれの方向に回転した場合にも地盤を掘削可能な形状を有している。また、流体吐出口16は、流体供給管5からスイベル継手6、駆動軸7及びロッド20を経由して軸部11に供給された流体を地盤に向けて吐出する。本実施の形態では、掘削孔Hを掘削しているため、流体供給管5から吐出される流体は安定液Sであるが、流体としてセメントミルクを採用すれば、掘削孔Hに代えてソイルセメント柱を築造することも可能である。
【0030】
また、掘削ヘッド10に設けた攪拌翼12は、上記のとおりソイルセメント柱を築造する際、地盤を掘削しながら流体吐出口16からセメントミルクを吐出しつつ撹拌する場合、もしくは、掘削孔Hを構築したのち、この掘削孔Hにセメント系固化材を供給して安定液と攪拌する場合などに使用する。
【0031】
≪≪掘削機による地中削孔の手順≫≫
上記の構成を有する掘削機1を用いて地盤中に掘削孔Hを削孔する手順を、
図2及び
図3を参照しつつ説明する。
【0032】
図2(a)で示すように、掘削孔Hの構築予定位置に掘削機1を据え付け、地盤削孔を開始する。地盤削孔は、回転装置8による正方向の回転力と起振装置9による上下方向の振動を、駆動軸7からロッド20を介して掘削ヘッド10に伝達することにより行う。このとき、クランプ装置45のクランプ本体451は開状態となっている。
【0033】
掘削にあたっては、安定液Sを流体供給管5からスイベル継手6を介して駆動軸7に供給し、ロッド20及び掘削ヘッド10の軸部11を経由して、流体吐出口16から掘削孔Hに吐出させている。掘削孔Hを満たす安定液Sは、孔内に挿入したバキュームホースVを利用して排出している。
【0034】
図2(b)に示すように、掘削が進むにつれて昇降装置42とともに掘削ヘッド10が降下し、ロッド20の継手構造50がクランプ装置45の上端近傍に近接したところで、回転装置8、起振装置9の動作を一旦停止する。こののち、ロッド20に新たなロッド本体30を継足する作業を開始する。
【0035】
継足し作業は、まず、クランプ装置45のクランプ本体451を閉状態に切り替え、掘削孔Hに貫入された状態のロッド20を把持する。次に、継手構造50の接続ピン34を取り外し、凸継手32と凹継手33の接続を解除する。こののち、昇降装置42を駆動し、回転装置8及び起振装置9が搭載されている昇降装置42を、ガイド41に沿って上昇させる。
【0036】
すると、
図3(a)で示すように、クランプ装置45に把持されたロッド20の上端と、昇降装置42の上昇とともに上昇した駆動軸7との間に、作業空間が形成される。この作業空間を利用して新たなロッド本体30を継足す。具体的には、
図3(b)で示すように、クランプ装置45に把持されたロッド本体30の凸継手32と、新たに継足すロッド本体30の凹継手33とを嵌合し、
図1で示すように、これらに接続ピン34を装着して継手構造50を設ける。
【0037】
次に、昇降装置42とともに駆動軸7を下降し、駆動軸7の凹継手33と新たに継足すロッド本体30の凸継手32とを嵌合する。これらと同様に接続ピン34を装着して継手構造50を形成する。これにより、ロッド20は部材長が延伸されるとともに、駆動軸7に接続される。このとき、クランプ装置45のクランプ本体451は閉状態を維持している。
【0038】
こののち、クランプ装置45のクランプ本体451を開状態に切り替えて、
図1で示すように、ロッド20を駆動軸7を介して吊り下げる。これらの作業が終了したのち、回転装置8及び起振装置9を稼働し、掘削ヘッド10による削孔作業を再開する。このような手順で地盤を削孔する作業と、ロッド本体30を継足す作業を繰り返しながら地盤中に所望の深度を有する掘削孔Hを構築する
【0039】
≪≪誤操作防止機能≫≫
ところで、上記の継足し作業において、例えば
図3(a)(b)で示すように、掘削孔Hに挿入されたロッド20がクランプ装置45のクランプ本体451のみに把持されている期間がある。この期間中に、クランプ本体451が開状態になると、ロッド20が掘削ヘッド10とともに掘削孔Hに落下する恐れが生じる。
【0040】
そこで、掘削機1には、ロッド20が掘削ヘッド10とともに掘削孔Hに落下する事態を回避するべく、作業員の操作や不慮の事態による誤操作防止機能を設けることとした。以下に、
図4を参照しつつ、誤操作を防止する機能を含む掘削機1の操作に係る構成の詳細を説明する。
【0041】
≪掘削機1の操作に係る構成≫
図4で示すように掘削機1には、作業員が操作するクランプ操作盤17及びクランプ制御部18と、掘削機操作盤191及び掘削機制御部192と、を備えている。
【0042】
掘削機操作盤191は、起振装置9、回転装置8、昇降装置42の動作を制御するための動作信号を発信する操作盤であり、掘削機制御部192はこの動作信号を受信して、起振装置9、回転装置8、昇降装置42の動作を制御する。
【0043】
クランプ操作盤17は、クランプ本体451の開閉動作を制御するための動作信号を発信する操作盤であり、例えば、作業員が操作可能な開ボタン及び閉ボタンを備えている。クランプ制御部18は、動作信号を受信しこれに基づいて、クランプ本体451の開閉動作を制御する。
【0044】
≪クランプ制御部18≫
以下に、クランプ制御部18の構成及び動作について、
図4を参照しつつ、その詳細を説明する。
【0045】
クランプ制御部18は、
図4で示すように、入力部181、演算制御部182、及び出力部183を備える。入力部181及び出力部183は、クランプ操作盤17、クランプ操作盤17に備えたディスプレイ171、リーダー4に備えたエンコーダ42a、クランプ本体451、及び掘削機制御部192との間で信号の授受を行う。
【0046】
エンコーダ42aは、昇降装置42における昇降方向の移動距離を計測するセンサであり、本実施の形態では
図1で示すように、リーダー4のヘッドと昇降装置42の上端との離間距離を計測している。配置位置は、これに限定するものではなく、昇降装置42が停止している状態から昇降した際の移動量が測定できれば、いずれの位置に配置してもよい。
【0047】
演算制御部182は、クランプ操作盤17からクランプ本体451の閉動作信号を受信すると、クランプ本体451を制御して閉状態とする。その一方で、クランプ操作盤17からクランプ本体451の開動作信号を受信すると、開動作信号を送信した操作が誤操作か否かを判定する。そして、判定結果に基づいてクランプ本体451の開動作に係る実行もしくは不実行を制御する。
【0048】
≪誤操作を検知する手順≫
以下に、作業員が、クランプ操作盤17の開ボタンを押下げた場合のクランプ制御部18の動作を、
図4及び
図5を参照しつつ説明する。
【0049】
まず、作業員がクランプ操作盤17の開ボタンを押下げ、開動作を求める操作を行うと、クランプ本体451の開動作信号がクランプ制御部18に発信される。入力部181を介して開動作信号を受信したクランプ制御部18は、演算制御部182から出力部183を介して掘削機制御部192に、昇降装置42を昇降させる情報信号を発信する。
【0050】
情報信号を受信した掘削機制御部192が昇降装置42の動作を制御してこれを上昇させる。すると、クランプ制御部18は、入力部181を介してリアルタイムで受信しているエンコーダ42aの計測データと、あらかじめ格納した許容上限値とに基づいて、演算制御部182にて演算を行う。
【0051】
演算は、上昇信号を受信したのちに昇降装置42が移動した移動量を計測データに基づいて算出し、この移動量とあらかじめ格納した許容上限値とを比較する。許容上限値は、昇降装置42に上昇信号を発信したのち移動が生じていない、と判断できる移動量の上限値をいう。これは、昇降装置42に移動が生じない状態であっても、外気の寒暖差などにより生じるロッド20の伸縮量や継手構造50に設けられている遊び量、エンコーダ42aの分解能などの諸条件により、移動量が計測される場合があることを考慮して設定するものである。
【0052】
したがって、許容上限値を設定する際は、現場の状況に応じて上記の諸条件を勘案し、適宜設定すればよい。なお、昇降装置42に移動が生じない場合とは、ロッド20が駆動軸7に接続されているとともにクランプ装置45に把持され、かつ、ロッド20を構成するロッド本体30どうしが継手構造50を介して健全に接続されている状態をいう。
【0053】
≪昇降装置が上昇移動する場合:誤操作の場合≫
昇降装置42の上昇移動量が許容上限値をより大きい場合、掘削孔Hに挿入された状態のロッド20は、クランプ装置45のクランプ本体451のみに把持されている状態にあると検知できる。つまり、
図3(a)のような状態にある、もしくは
図2(b)において、クランプ装置45の上方に位置する継手構造50の接続ピン34が取り外されて、凸継手32と凹継手33の接続が解除されている状態にあるものと検知できる。
【0054】
すると、演算制御部182は、クランプ操作盤17から発信されたクランプ本体451の開動作信号を誤操作と判定し、開動作を不実行とする。併せて、出力部183を介して例えば、クランプ操作盤17にエラー表示指令を送信し、クランプ操作盤17に備えたディスプレイ171にエラー画像を表示して、不実行を報知する。
【0055】
このように、ロッド20がクランプ装置45に把持された状態で、エンコーダ42aの計測データに基づいて許容上昇値を超える昇降装置42の上昇移動を検知した場合に、クランプ制御部18は、ロッド20の開動作を不実施とし、把持状態を維持するよう構成されている。これにより、作業員の誤操作や不慮の事態により、クランプ操作盤17からロッド20の把持を開放する開動作信号が発信されても、掘削ヘッド10及びロッド20の掘削孔Hへの落下を防止することが可能となる。
【0056】
≪昇降装置が上昇移動しない場合:操作に誤りがない場合≫
昇降装置42の上昇移動量が許容上限値をより小さい場合に、演算制御部182は、掘削孔Hに挿入された状態のロッド20が、駆動軸7に接続されているとともにクランプ装置45に把持され、かつ、ロッド20を構成するロッド本体30どうしが継手構造50を介して健全に接続されている状態にあるものと検知できる。すると、演算制御部182は、クランプ操作盤17から発信されたクランプ本体451の開動作信号を正操作と判定し、クランプ本体451の開動作を実行する。
【0057】
本発明の掘削機は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0058】
本実施の形態では、移動検知手段としてエンコーダ42aを採用したが、これに限定されるものではなく、昇降装置42の昇降移動を検知できる装置や距離センサなど、いずれを採用してもよい。また、移動距離を直接的に計測する方法でなくてもよく、例えば、昇降装置42に油圧式の昇降システムが使用されている場合には、圧力センサを移動検知手段として設けておき、圧力センサに基づいて昇降装置42の昇降移動を検知するなどしてもよい。
【0059】
また、本実施の形態では、継手構造50として、凸継手32に六角筒を採用したいわゆる六角ジョイントピン式の継手構造50を採用しているが、これに限定されるものではない。管材31を軸線方向に接続することの可能な構成であれば、いずれを採用してもよい。
【0060】
さらに、本実施の形態では、クランプ操作盤17からクランプ制御部18に送信されるクランプ本体451の開動作信号を誤操作であると判定した場合に、ディスプレイ171にエラー画像を表示して、不実行を報知した。しかし、報知の方法や手段は、いずれを採用してもよい。
【0061】
1 掘削機
2 クローラ走行体
3 上部旋回体
4 リーダー
41 ガイド
42 昇降装置
42a エンコーダ(移動検知手段)
43 伸縮装置
44 伸縮装置
45 クランプ装置
451 クランプ本体
5 流体供給管
6 スイベル継手
7 駆動軸
8 回転装置
9 起振装置
10 掘削ヘッド
11 軸部
12 攪拌翼
13 掘削翼本体
14 ビット
15 先端ビット
16 流体吐出口
17 クランプ操作盤
171 ディスプレイ
18 クランプ制御部
181 入力部
182 演算制御部
183 出力部
191 掘削機操作盤
192 掘削機制御部
20 ロッド
30 ロッド本体
31 管材
32 凸継手
33 凹継手
34 接続ピン
50 継手構造
H 掘削孔
V バキュームホース
S 安定液
100 削孔攪拌装置
110 案内部材
120 チャック機構
130 回転手段
140 スイベル継手
150 ロッド
160 鋼管
200 掘削ビット
P ソイルセメント柱