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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2026-03-09
(45)【発行日】2026-03-17
(54)【発明の名称】ロボットハンド装置
(51)【国際特許分類】
   B25J 15/08 20060101AFI20260310BHJP
   B25J 13/08 20060101ALI20260310BHJP
【FI】
B25J15/08 J
B25J13/08 Z
B25J15/08 W
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2022022089
(22)【出願日】2022-02-16
(65)【公開番号】P2023119278
(43)【公開日】2023-08-28
【審査請求日】2025-01-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000227205
【氏名又は名称】NECプラットフォームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100181135
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 隆史
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 勇太
【審査官】樋口 幸太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-025551(JP,A)
【文献】特開2021-167038(JP,A)
【文献】特開2009-83020(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 15/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転自在に連結された複数の指節を有し、かつこれら複数の指節により各指パーツを構成するとともに、該指パーツがハンド本体部に対して回転自在に連結された関節機構と、
前記関節機構の指節を屈曲させる屈曲駆動手段と、
前記指節の回転箇所に設けられて前記屈曲駆動手段による前記指節のそれぞれの回転範囲を調整する回転範囲調整手段と、を具備し、
前記回転範囲調整手段は、電圧印加により前記指節の回転箇所の回転摺動抵抗を個々に調整する可変負荷機構からなり、
前記可変負荷機構は、一方側の指節に接続されたシャフトと、該シャフトに固定されたコイルと、該シャフトの外周に該シャフトの軸線に沿って移動自在に設けられた磁性体と、該磁性体と一体に設けられた外輪と、前記コイルに対して電圧を印加するスイッチと、を有し、
前記コイルは前記スイッチのONにより電圧が印加された場合に、前記磁性体を介して外輪を他方側の指節に接触させることで、2つの指節間に摺動抵抗を発生させることを特徴とするロボットハンド装置。
【請求項2】
回転自在に連結された複数の指節を有し、かつこれら複数の指節により各指パーツを構成するとともに、該指パーツがハンド本体部に対して回転自在に連結された関節機構と、
前記関節機構の指節を屈曲させる屈曲駆動手段と、
前記指節の回転箇所に設けられて前記屈曲駆動手段による前記指節のそれぞれの回転範囲を調整する回転範囲調整手段と、を具備し、
前記回転範囲調整手段は、電圧印加により前記指節の回転箇所の回転摺動抵抗を個々に調整する可変負荷機構からなり、
前記可変負荷機構は前記関節機構の回転軸/支持軸を形状記憶シャフトにより構成し、電圧印加により当該形状記憶シャフトの前記回転箇所の回転中心に対する湾曲の大きさを変化させるよう変形させることで回転摺動抵抗を発生させる、
ことを特徴とするロボットハンド装置。
【請求項3】
回転自在に連結された複数の指節を有し、かつこれら複数の指節により各指パーツを構成するとともに、該指パーツがハンド本体部に対して回転自在に連結された関節機構と、
前記関節機構の指節を屈曲させる屈曲駆動手段と、
前記指節の回転箇所に設けられて前記屈曲駆動手段による前記指節のそれぞれの回転範囲を調整する回転範囲調整手段と、を具備し、
前記回転範囲調整手段は、電圧印加により前記指節の回転箇所の回転摺動抵抗を個々に調整する可変負荷機構からなり、
前記可変負荷機構は前記関節機構の回転箇所を拘束する形状記憶スプリングを有し、該形状記憶スプリングは、前記回転箇所の軸の周囲に設けられて、電圧印加により変形して前記軸を締め付けることによって回転摺動抵抗を発生させることを特徴とするロボットハンド装置。
【請求項4】
前記回転範囲調整手段は、前記可変負荷機構の回転摺動抵抗を順次調整することで、前記指節を段階的に屈曲させることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載のロボットハンド装置。
【請求項5】
前記屈曲駆動手段は、前記関節機構の指節を、基準位置からプラス方向となる平側に掌屈させるとともに、該基準位置からマイナス方向となる甲側に背屈させることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載のロボットハンド装置。
【請求項6】
前記屈曲駆動手段は前記関節機構の指節を引っ張る/緩めるワイヤからなることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載のロボットハンド装置。
【請求項7】
前記ワイヤは指パーツの第1指節に接続されることを特徴とする請求項6に記載のロボットハンド装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、5指を構成している指節を対象物の形状、状態(硬い、柔らかい、脆い等)に応じて段階的に屈曲させることができる人型のロボットハンド装置及びロボットハンド動作方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的な5指ロボットハンドでは、人間と同じ動作が実行できるよう、多関節型のロボットアームへ取り付けて一体化した環境で動作させることが多い。
そして、このようなロボットハンドでは、把持しようとする対象物の形状、状態(硬い、柔らかい、脆い等)に応じて、指節を適切に屈曲させる必要がある。
【0003】
この種のロボットとして特許文献1及び2に記載の技術が開示されている。
特許文献1に示されるロボットハンドは、指節部が複数のループ状の弾性を有する線材を所定間隔で配列してなる線材群によりその外形が形成される指部と、関節部を駆動するためのモータ(例えば、サーボモータやステッピングモータ、モータと歯車の組合せ等)と、線材群の先端周辺に設置されて対象物に接した際の負荷を検出する変位センサと、を有する。
そして、このロボットハンドの制御部では、変位センサで検出された線材群の先端周辺の負荷に応じて、モータによる当該指節の屈曲動作を行わせる。
【0004】
特許文献2に示されるロボットハンドでは、指把持対象物を把持した際に把持力が作用する指体部分に設けられた弾性部と、関節毎に設けられて該関節が屈曲した際の反力を受けるのを感知する触覚センサとが具備される。
そして、このロボットハンドでは、指体における関節毎の複数のモータを指根本側から順番に通電することにより、該指体の関節を順番に屈曲させる。
その際、このロボットハンドでは、指体を根本側の関節から順番に屈曲させて、把持対象物を包み込むように把持するため、当該動作によって当該把持対象物に局部的な強い刺激が加わることを防止するとともに、ソフトで確実な把持動作を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2021-160022号公報
【文献】特開2018-001359号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1及び2に示されるロボットハンドでは、モータの駆動制御により指節/関節の屈曲を行わせるようにしているが、指節/関節の可動順序、屈曲程度など細かい制御が難しく、対象物に適した把持動作ができないという問題がある。
【0007】
この発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、摺動抵抗という新たな制御要素を用いることで、対象物に適した指節の把持動作を実行することが可能なロボットハンド装置及びロボットハンド動作方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
本発明の第1態様に示すロボットハンド装置では、回転自在に連結された複数の指節を有し、かつこれら複数の指節により各指パーツを構成するとともに、該指パーツがハンド本体部に対して回転自在に連結された関節機構と、前記関節機構の指節を屈曲させる屈曲駆動手段と、前記指節の回転箇所に設けられて前記屈曲駆動手段による前記指節のそれぞれの回転範囲を調整する回転範囲調整手段と、を具備し、前記回転範囲調整手段は、電圧印加により前記指節の回転箇所の回転摺動抵抗を個々に調整する可変負荷機構からなることを特徴とする。
【0009】
本発明の第2態様に示す関節動作方法では、回転自在に連結された複数の指節を有しかつこれら複数の指節により各指パーツを構成するとともに、これら指パーツがハンド本体部に対しても回転自在に連結された関節機構を具備するロボットハンド装置において、前記関節機構の指節を屈曲させる屈曲駆動段階と、前記屈曲駆動段階による前記指節のそれぞれの回転範囲を調整する回転範囲調整段階とを具備し、前記回転範囲調整段階は、電圧印加により前記指節の回転箇所の回転摺動抵抗を個々に調整する抵抗可変段階からなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、指節の回転箇所の回転摺動抵抗を個々に調整する専用の可変負荷機構を設けることで、対象物の形状、状態(硬い、柔らかい、脆い等)に適した指節の細かい把持動作を実行することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明に係るロボットハンド装置の最小構成を示す図であって、(A)は全体の概略構成図、(B)は可変負荷機構を示す図である。
図2】実施形態に係るロボットハンド装置の指パーツを示す概略構成図である。
図3】指パーツの内部構成を示す図である。
図4図3に符号IVで表す可変負荷機構の動作例を示す図であって、(A)はコイルに電圧を印加しない状態、(B)コイルに電圧を印加した状態をそれぞれ示している。
図5】(A)~(D)は実施形態に係るロボットハンド装置の連続した動作例1を示す図である。
図6】(A)~(C)は実施形態に係るロボットハンド装置の連続した動作例2を示す図である。
図7】(A)~(D)は実施形態に係るロボットハンド装置の連続した動作例3を示す図である。
図8】実施形態の変形例1を示す図である。
図9】実施形態の変形例2を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明に係るロボットハンド装置100の最小構成について図1(A)及び(B)を参照して説明する。
このロボットハンド装置100は、図1(A)に示すように関節機構50、屈曲駆動手段51及び回転範囲調整手段52を主な構成要素とする。
関節機構50は、指節回転軸(m1,m2及びm3)を介して回転自在に連結された複数の指節a~c及び指節d,eを有し、かつこれら複数の指節a~c及び指節d,eにより複数本の各指パーツ1~5(図面では5本であるが、適宜変更可)を構成する。
また、この関節機構50では、これら5本の指パーツ1~5がハンド本体部6に対して回転支持軸(n1及びn2,n3)を介して回転自在に連結された構成とされる。
【0013】
屈曲駆動手段51は、関節機構50の指節a~eを、基準位置から屈曲させるためのものであって、例えばモータ、ワイヤなどにより構成されている。
【0014】
回転範囲調整手段52は、関節機構50の指節a~eの回転箇所に設けられて、屈曲駆動手段51による指節a~eのそれぞれの回転範囲を調整するものであって、電圧の調整等により指節a~eの各回転箇所での回転抵抗を可変する。
具体的には、回転範囲調整手段52は、図1(B)に示すように電圧印加により指節a~eの回転箇所の回転摺動抵抗を個々に調整する可変負荷機構53からなる。
【0015】
以上説明した本発明に係るロボットハンド装置100によれば、関節機構50の指節a~eを屈曲させる屈曲駆動手段51とは別に、指節a~eの回転箇所に、電圧印加により指節a~eの回転箇所の回転摺動抵抗を個々に調整して、当該指節a~eのそれぞれの回転範囲を調整する可変負荷機構53を設けた構成である。
すなわち、本発明のロボットハンド装置100では、指節a~eの回転箇所の回転摺動抵抗を個々に調整する専用の可変負荷機構53を設けることで、対象物の形状、状態(硬い、柔らかい、脆い等)に適した指節a~eの細かい把持動作を実行することが可能となる。
【0016】
(実施形態)
本発明の実施形態に係るロボットハンド装置101について図2図9を参照して説明する。
ロボットハンド装置101は、図2に示すように関節機構20、屈曲駆動手段21及び回転範囲調整手段22を主な構成要素とするものであって、多関節に構成されたロボットアーム(図示略)の先端部に設置される。
【0017】
関節機構20は、指節回転軸(M1,M2)を介して回転自在に連結された複数の指節A~Cを有し、かつこれら複数の指節A~Cにより例えば、5本の各指パーツ11を構成する。
また、この関節機構20では、指パーツ11がハンド本体部16に対して回転支持軸N1を介して回転自在に連結された構成とされる。
【0018】
なお、指パーツ11において、指節回転軸M1は「第1関節」、指節回転軸M2は「第2関節」、及び回転支持軸N1は「第3関節」に相当する。
具体的には、指パーツ11における関節機構20では、3つの指節A~Cの指節回転軸M1,M2及び回転支持軸N1が、互いに平行又はほぼ平行な位置関係に配置されており、図2に示される初期状態の基準位置Оから、プラス(+)方向(矢印P1方向)となる平側又はマイナス(-)方向(矢印R1方向)となる甲側に回転自在に設けられている。
【0019】
屈曲駆動手段21は、関節機構20の指節A~Cを、基準位置Оからプラス方向(矢印P1方向)となる平側に掌屈駆動させ、又は該基準位置Оからマイナス方向(矢印R1方向)となる甲側にも背屈駆動させるためのものであって、例えばワイヤ30により構成されている。
ワイヤ30は、指パーツ11毎に設置され、かつ各指パーツ11の先端に位置する指節Aに2本ずつ連結されている。
また、各指パーツ11のワイヤ30は、各指パーツ11に曲げ力を作用させるために、指節回転軸(M1,M2)及び回転支持軸(N1)の回転中心からやや平側/甲側にずれた位置に設置されている。
また、各指パーツ11のワイヤ30は、手や手首や腕を構成する構造体の任意の部位に設置されたアクチュエータ41により牽引又は引出される。
【0020】
回転範囲調整手段22は、指節A~Cの回転箇所に設けられ、屈曲駆動手段21による指節A~Cのそれぞれの回転範囲を調整するものであって、電圧の調整等により指節A~Cの各回転箇所での回転抵抗を可変する。
具体的には、回転範囲調整手段22は、電圧印加により指節A~Cの回転箇所の回転摺動抵抗を個々に調整する可変負荷機構24からなる。
【0021】
また、この可変負荷機構24では、電圧の調整等により、指節A~Cの各回転箇所での回転抵抗を可変として摺動負荷を変化させることによって各関節の可動順序を制御する。
なお、回転範囲調整手段22の可変負荷機構24は、指パーツ11において、「第1関節」となる指節回転軸M1、「第2関節」となる指節回転軸M2及び「第3関節」となる回転支持軸N1に設けられる。
【0022】
具体的な可変負荷機構24の構成について図3図9を参照して説明する。
図3及び図4には、指パーツ11の指節Aと指節Bとの間に位置する可変負荷機構24が一例として示されている。
この可変負荷機構24は、図4(A)に示すように、指節Aと指節Bとを回転自在に連結する指節回転軸M1となるシャフト25と、該シャフト25にコイルホルダ26Aを介して固定されたコイル26と、該コイル26への通電で発生した磁界が作用される磁性体からなるロッド27と、該ロッド27が固定される外輪28とを有する電磁ブレーキである。なお、コイル26への通電はスイッチ29のON/OFFにより行われる。
【0023】
なお、これら構成において、シャフト25及びコイル26は指節A側に固定され、ロッド27及び外輪28はシャフト25に対して軸線方向に移動可能に設置されている。また、シャフト25と指節Bとの間には図示しない軸受が設置されている。
そして、このような可変負荷機構24では、図4(B)に示すようにコイル26へ通電することにより、ロッド27がシャフト25に沿って図中左右方向に移動して、該ロッド27と一体な外輪28が指節Bに接触及び摺動する(接触摺動箇所を図4(B)に符号28Aで示す)。
これにより該可変負荷機構24では、指節A及び指節Bの相対回転に摺動負荷を掛けることができる。
【0024】
その結果、上記回転範囲調整手段22では、指節A~Cの指節回転軸M1,M2及び指節支持軸N1にそれぞれ備えられた可変負荷機構24の各コイル26に対して、選択的な通電を実施することで、指節A~Cの回転部分にて回転させる/回転を停止させる操作を自在に行うことができる。
なお、このとき、可変負荷機構24では各コイル26へ供給する電流/電圧の大きさを調整することで、指節A~Cの回転の有無とともにその回転量、すなわち回転角度も自由に調整することができる。
【0025】
また、指パーツ11の表面には図2及び図7に示すように接触センサ31が設けられている。
接触センサ31は、対象物が把持されたか否かを検知するものであって、指パーツ11の平側と甲側のいずれにも設置されている(図では一方側のみ記載している)。なお、これら接触センサ31は、指パーツ11を覆う弾性シート42(図2参照)上に配置されている。
【0026】
次に、回転範囲調整手段22の可変負荷機構24の動作について図4及び図5図7を参照して説明する。
図4(A)~(B)に示すように、まず、摺動負荷を発生させたい指節A~Cの可変負荷機構24に電圧を掛けた場合には、コイル26に発生した磁力で磁性体であるロッド27がコイル26内に引き込まれて外輪28が指節A~C(本例では指節B)に接触し、回転軸となるシャフト25と当該指節A~Cの間に回転負荷を発生させる。
【0027】
その後、ワイヤ30を牽引した場合には指節A~Cの屈曲が開始されるが、このとき、負荷の軽い指節A~Cでは初動が早くなって大きく回転する一方、負荷の大きい指節A~Cでは、負荷の小さい指節A~Cが曲がり切った後から回転し始める。
すなわち、回転範囲調整手段22では、可変負荷機構24の負荷を最大に高めて、狙った指節A~Cをロック状態にすることで、指節A~Cに同一の動きをさせず、該指節A~Cを個々に曲げる制御を実現することができる。
【0028】
図5(A)~(D)には指パーツ11の指節A~Cで比較的大きさの小さい対象物を掴むための動作例が示されている。
まず、回転範囲調整手段22の可変負荷機構24において、摺動負荷を「第1指節A(指節回転軸M1)<第2指節B(指節回転軸M2)<第3指節C(指節支持軸N1)」となるように設定した後、屈曲駆動手段21のアクチュエータ41(図2参照)にて所定側のワイヤ30を牽引する。
【0029】
これにより、最初に第1指節Aが曲がって屈曲を終えると、第2指節Bがゆっくりと曲がり始めた後、第3指節Cが曲がり始める。このとき、指節A及びBの屈曲状態が当該指節A,Bで対象物を挟める角度になったら、第3指節Cの摺動負荷を減らして曲がり度合いを制御する。
これにより、上記ロボットハンド装置101では、5指パーツ11の屈曲により比較的大きさの小さい対象物を挟むことが可能となる。
【0030】
図6(A)~(C)には指パーツ11の指節A~Cで紙やカードのような薄い対象物を掴むための動作例が示されている。
まず、回転範囲調整手段22の可変負荷機構24において、摺動負荷を「第1指節A(指節回転軸M1)=第2指節B(指節回転軸M2)>第3指節C(指節支持軸N1)」となるように設定した後、屈曲駆動手段21のアクチュエータ41(図2参照)にて所定側のワイヤ30を牽引する。
これにより、最初に第3指節Cが曲がって屈曲を終えると、第1指節A及び第2指節Bがゆっくりと曲がり始める。これにより上記ロボットハンド装置101では、5指パーツ11の屈曲により紙やカードのような薄い対象物を挟むことが可能となる。
【0031】
図7には接触センサ31の検出信号を利用した指パーツ11の指節A~Cの動作例が示されている。
回転範囲調整手段22の可変負荷機構24では、接触センサ31が把持対象物S1をつまんだり、挟み込んだことを検知すると、アクチュエータ41の動作を段階的に停止させることで、潰すことなく把持することを可能にする。
【0032】
例えば、回転範囲調整手段22の可変負荷機構24では、例えば卵のような脆い対象物S1を把持する場合に、まず第3指節C(指節支持軸N1)のみ摺動抵抗を軽くして可動させる。
その後、可変負荷機構24では、第3指節Cの接触センサ31が対象物S1に接触したことを検知した場合に、図7(A)~(B)に示すように第3指節Cの摺動抵抗を最大にして可動を止め、第2指節B(指節回転軸M2)の摺動抵抗を軽くして第2指節Bを可動させる。
その後、可変負荷機構24では、第2指節Bの接触センサ31が対象物S1に接触したことを検知した場合に、図7(B)~(C)に示すように第2指節Bの摺動抵抗を最大にして可動を止め、第1指節A(指節回転軸M1)の摺動抵抗を軽くして該第1指節Aを可動させる。
【0033】
その後、可変負荷機構24では、第1指節Aの接触センサ31が対象物S1に接触したことを検知した場合に、図7(C)~(D)に示すようにワイヤ30の牽引を停止させる。
そして、上記ロボットハンド装置101にて、平側/甲側の双方に接触センサ31を備えることにより、指パーツ11の指節A~Cを平側/甲側のいずれの側にも屈曲させて、脆い対象物S1を自在に把持することが可能となる。
【0034】
以上説明した本実施形態に係るロボットハンド装置101によれば、関節機構20の指節A~Cを屈曲させる屈曲駆動手段21とは別に、指節A~Cの回転箇所に、電圧印加により指節A~Cの回転箇所の回転摺動抵抗を個々に調整して、当該指節A~Cのそれぞれの回転範囲を調整する可変負荷機構24を設けるようにした。
すなわち、本実施形態のロボットハンド装置101では、指節A~Cの回転箇所の回転摺動抵抗を個々に調整する専用の可変負荷機構24を設けることで、対象物の形状、状態(硬い、柔らかい、脆い等)に適した指節A~Cの細かい把持動作を実行することが可能となる。
【0035】
(変形例1)
なお、上記実施形態の可変負荷機構24では、外輪28を指節A~C(図4の例では指節B)に摺動させることで該指節A~Cの相対回転を規制したが、これに限定されず、図8に示すようにコイル26、ロッド27及び外輪28を用いず、形状記憶合金で形成された形状記憶シャフト32を用いて指節A~Cの相対回転を規制しても良い。
【0036】
この形状記憶シャフト32は、図4に示すシャフト25に代えて設けられたものであって、その両側に電圧を印加してその形状を変化させることで、隣接する指節A~Cに回転摺動抵抗を発生させる。
なお、図8では、指節回転軸M1,M2のシャフトに形状記憶シャフト32を用いた例が示されており、電圧が印加されず変形が生じていない指節回転軸M1が「実線」で示され、電圧が印加されて変形が生じた指節回転軸M2が「破線」で示されている。
【0037】
(変形例2)
また、上記実施形態の可変負荷機構24では、外輪28を指節A~C(図4の例では指節B)に摺動させることで該指節A~Cの相対回転を規制したが、これに限定されず、図9に示すようにコイル26、ロッド27及び外輪28に代えて、形状記憶合金で形成された形状記憶スプリング33を用いて指節A~Cの相対回転を規制しても良い。
【0038】
この形状記憶スプリング33は、その両側に電圧を印加させてその形状を変化させることで、シャフト25を締め上げて隣接する指節A~Cに回転摺動抵抗を発生させる。
【0039】
なお、本発明は、屈伸動作を行う物に対し、全般へ適用・応用が可能である。
また、本発明は「手」に着目したが、屈伸動作を考えた際、肘や膝、足などへ置き換えることができ、さらに人間の体の構造を模範としている機械へも適用可能である。
また、医療器具として義手や義足は、人間の各部位の動作を再現する装置であり第二の手足の役割をする。この分野にも本発明の技術が適用可能である。
【0040】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明は、5指を構成している指節を対象物の形状、状態(硬い、柔らかい、脆い等)に応じて段階的に屈曲させることができる人型のロボットハンド装置及びロボットハンド動作方法に関する。
【符号の説明】
【0042】
1 指パーツ
2 指パーツ
3 指パーツ
4 指パーツ
5 指パーツ
6 ハンド本体部
11 指パーツ
16 ハンド本体部
20 関節機構
21 屈曲駆動手段
22 回転範囲調節手段
24 可変負荷機構
25 シャフト
26 コイル
27 ロッド
28 外輪
29 スイッチ
30 ワイヤ
31 接触センサ
32 形状記憶シャフト
33 形状記憶スプリング
41 アクチュエータ
42 弾性シート
50 関節機構
51 屈曲駆動手段
52 回転範囲調節手段
53 可変負荷機構
a 指節
b 指節
c 指節
d 指節
e 指節
A 指節
B 指節
C 指節
m1 指節回転軸
m2 指節回転軸
m3 指節回転軸
n1 回転支持軸
n2 回転支持軸
n3 回転支持軸
M1 指節回転軸
M2 指節回転軸
N1 回転支持軸
P1 平側
R1 甲側
S1 対象物
100 ロボットハンド装置
101 ロボットハンド装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9