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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2026-03-09
(45)【発行日】2026-03-17
(54)【発明の名称】非水電解質二次電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/538 20210101AFI20260310BHJP
   H01M 10/0587 20100101ALI20260310BHJP
   H01M 10/0566 20100101ALI20260310BHJP
   H01M 4/13 20100101ALI20260310BHJP
   H01M 50/533 20210101ALI20260310BHJP
   H01M 10/052 20100101ALN20260310BHJP
   H01M 50/107 20210101ALN20260310BHJP
【FI】
H01M50/538
H01M10/0587
H01M10/0566
H01M4/13
H01M50/533
H01M10/052
H01M50/107
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2023523447
(86)(22)【出願日】2022-05-20
(86)【国際出願番号】 JP2022020987
(87)【国際公開番号】W WO2022249989
(87)【国際公開日】2022-12-01
【審査請求日】2025-03-25
(31)【優先権主張番号】P 2021087432
(32)【優先日】2021-05-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】322003798
【氏名又は名称】パナソニックエナジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】清水 阿理紗
(72)【発明者】
【氏名】小林 径
(72)【発明者】
【氏名】マキジャ ガガン
(72)【発明者】
【氏名】水越 文一
(72)【発明者】
【氏名】見澤 篤
【審査官】田代 吉成
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0092926(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/538
H01M 10/0587
H01M 10/0566
H01M 4/13
H01M 50/533
H01M 10/052
H01M 50/107
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに極性の異なる第1電極及び第2電極がセパレータを介して巻回された電極体と、電解液と、電極体及び電解液を収容する円筒形の外装缶とを備える非水電解質二次電池であって、
第1電極は、集電体と、集電体の表面の少なくとも一部に積層された合剤層と、を有し、
第1電極の表面には、電極体の巻回方向に沿って、集電体の露出した露出部が複数形成され、露出部の各々にはタブが接続され、
電極体の巻回中心に対する露出部の巻き始め側端部から巻き終わり側端部にかけての回転角度を露出部角度とした場合に、巻き始め側に位置する露出部の露出部角度は、巻き終わり側に位置する露出部の露出部角度よりも大き
前記第1電極の表面には、前記タブの一部及び前記露出部を覆うように絶縁性の保護部材が設けられている、非水電解質二次電池。
【請求項2】
前記第1電極の表面には、3つ以上の前記露出部が設けられ、
3つ以上の前記露出部の各々には前記タブが接続され、
3つ以上の前記露出部は、前記第1電極の巻き始め側から巻き終わり側に向かうに従って前記露出部角度が小さくなる、請求項1に記載の非水電解質二次電池。
【請求項3】
前記第1電極は、正極である、請求項1または2に記載の非水電解質二次電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、非水電解質二次電池に関する。
【背景技術】
【0002】
非水電解質二次電池の電極である正極及び負極は、各々、集電体と、集電体の表面に形成された合剤層とを有している。合剤層には、Liイオンを可逆的に吸蔵放出できる活物質が含まれている。また、電極の表面には集電体の露出した露出部が形成され、露出部には電極体と電池の端子を接続するためのタブが接続される。
【0003】
特許文献1~3には、タブ接続部での発熱を抑制する目的から、電極体の巻回方向に沿ってタブ接続用の露出部を複数設ける技術が開示されている。また、特許文献3には、正極において、各露出部の巻回方向の長さLと、電極体のうち最も巻き終わり側に存在する露出部を含む部分の半径Rが、L≧2πRの関係を満たすことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平10-261439号公報
【文献】特開2000-277155号公報
【文献】特開2002-164044号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、電極体から導出されている複数のタブを電池の端子に接続するには、複数のタブが所定の位置に配置されていることが好ましい。複数のタブは各露出部に接続されるため、電極の表面のうち複数のタブが配置される位置に露出部が形成される必要がある。ところが、露出部の位置は、電極の厚みの影響を受けてバラツキを生じるので、電極に各露出部を配置する際には、ロット間での電極の厚みのバラツキを考慮する必要がある。特許文献1~3に開示された技術は、露出部の位置のバラツキについて検討しておらず、未だ改良の余地ある。なお、特許文献3に記載されるように各露出部の長さを大きくすると、合剤層の質量が小さくなり電池容量が大きく低下する。
【0006】
本開示の目的は、電極の厚みバラツキに対応して複数のタブを所定の位置に接続できるように、複数の露出部の寸法を制御した非水電解質二次電池を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様である非水電解質二次電池は、互いに極性の異なる第1電極及び第2電極がセパレータを介して巻回された電極体と、電解液と、電極体及び電解液を収容する円筒形外装缶とを備え、第1電極は、集電体と、集電体の表面の少なくとも一部に積層された合剤層と、を有し、第1電極の表面には集電体の露出した露出部が複数形成され、露出部の各々にはタブが接続され、電極体の巻回中心に対する露出部の巻き始め側端部から巻き終わり側端部にかけての回転角度を露出部角度とした場合に、巻き始め側に位置する露出部の露出部角度は、巻き終わり側に位置する露出部の露出部角度よりも大きいことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本開示の一態様である非水電解質二次電池によれば、複数のタブを所定の位置に接続することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態の一例である円筒形の二次電池の軸方向断面図である。
図2図1に示した二次電池が備える巻回型の電極体の斜視図である。
図3図2に示した電極体を構成する正極を展開状態で示した正面図である。
図4図2に示した電極体を軸方向から見た平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下では、図面を参照しながら、本開示に係る円筒形の二次電池の実施形態の一例について詳細に説明する。以下の説明において、具体的な形状、材料、数値、方向等は、本発明の理解を容易にするための例示であって、円筒形の二次電池の仕様に合わせて適宜変更することができる。また、以下の説明において、複数の実施形態、変形例が含まれる場合、それらの特徴部分を適宜に組み合わせて用いることは当初から想定されている。
【0011】
図1は、実施形態の一例である非水電解質二次電池10の軸方向断面図である。図1に示す二次電池10は、電極体14及び電解液(図示せず)が外装缶15に収容されている。電極体14は、帯状の電極(正極11及び負極12)がセパレータ13を介して巻回された巻回型の構造を有する。電解液の非水溶媒(有機溶媒)としては、カーボネート類、ラクトン類、エーテル類、ケトン類、エステル類等を用いることができ、これらの溶媒は2種以上を混合して用いることができる。2種以上の溶媒を混合して用いる場合、環状カーボネートと鎖状カーボネートを含む混合溶媒を用いることが好ましい。例えば、環状カーボネートとしてエチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート(BC)等を用いることができ、鎖状カーボネートとしてジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、及びジエチルカーボネート(DEC)等を用いることができる。電解液の電解質塩としては、LiPF、LiBF、LiCFSO等及びこれらの混合物を用いることができる。非水溶媒に対する電解質塩の溶解量は、例えば0.5mol/L~2.0mol/Lである。なお、以下では、説明の便宜上、封口体16側を「上」、外装缶15の底部側を「下」として説明する。
【0012】
封口体16が、外装缶15の上端の開口を封口することで、二次電池10の内部は、密閉される。電極体14の上下には、絶縁板17,18がそれぞれ設けられる。正極タブ19は、絶縁板17の貫通孔を通って上下に延びており、封口体16の底板であるフィルタ22と、電極体14に含まれる正極11とを接続している。これにより、正極11と封口体16が接続され、二次電池10では、フィルタ22と電気的に接続された封口体16の天板であるキャップ26が正極端子となる。正極タブ19の材質は、例えば、アルミニウムである。他方、負極タブ20は、絶縁板18の外側を通って、外装缶15の底部側に延び、外装缶15の底部内面に溶接される。これにより、負極12と外装缶15が接続され、二次電池10では、外装缶15が負極端子となる。負極タブ20の材質は、例えば、ニッケルである。
【0013】
電極体14において、4本の正極タブ19a,19b,19c,19dが導出され、互いに電気的に接続されている。本実施形態においては、正極タブ19aのみがフィルタ22に接続しているが、正極タブ19の接続状態はこの例に限定されない。また、電極体14から導出された正極タブ19は、本実施形態のように封口体16に直接接続してもよいし、既知の集電部材を介して封口体16に接続してもよい。
【0014】
電極体14から導出される正極タブ19の本数は、複数、即ち2本以上であれば何本であってもよい。電極体14から複数のタブが導出されることで、正極11と封口体16との間の接続抵抗を低減することができるので、二次電池10の出力特性を向上させることができる。正極タブ19の本数は、2本~10本が好ましく、3本~6本がより好ましい。
【0015】
正極タブ19及び負極タブ20の態様は、本実施形態の例に限定されず、例えば、電極体14から複数の正極タブ19と複数の負極タブ20が導出されていてもよく、電極体14から1本の正極タブ19と複数の負極タブ20が導出されていてもよい。本実施形態では、第1電極が正極11であり、第2電極が負極12である場合について説明するが、第1電極が負極12であってもよい。すなわち、正極11及び負極12の少なくとも一方が第1電極に対応していればよい。
【0016】
外装缶15は、例えば、金属製の有底円筒形状の外装缶である。外装缶15と封口体16の間にはガスケット27が設けられ、二次電池10の内部の密閉性が確保されている。外装缶15は、例えば側面部を外側からプレスして形成された、封口体16を支持する溝入部21を有する。溝入部21は、外装缶15の周方向に沿って環状に形成されることが好ましく、その上面で封口体16を支持する。
【0017】
封口体16は、電極体14側から順に積層された、フィルタ22、下弁体23、絶縁部材24、上弁体25、及びキャップ26を有する。封口体16を構成する各部材は、例えば円板形状又はリング形状を有し、絶縁部材24を除く各部材は互いに電気的に接続されている。下弁体23と上弁体25とは各々の中央部で互いに接続され、各々の周縁部の間には絶縁部材24が介在している。異常発熱で電池の内圧が上昇すると、例えば、下弁体23が破断し、これにより上弁体25がキャップ26側に膨れて下弁体23から離れることにより両者の電気的接続が遮断される。さらに内圧が上昇すると、上弁体25が破断し、キャップ26の開口部26aからガスが排出される。
【0018】
次に、図2を参照しながら、電極体14について説明する。図2は、電極体14の斜視図である。電極体14は、上述の通り、正極11と負極12がセパレータ13を介して渦巻状に巻回されてなる巻回構造を有する。正極11、負極12、及びセパレータ13は、いずれも帯状に形成され、巻回軸に沿って配置される巻芯の周囲に渦巻状に巻回されることで電極体14の径方向に交互に積層された状態となる。径方向において、巻回軸側を内周側、その反対側を外周側という。電極体14において、正極11及び負極12の長手方向が巻回方向となり、正極11及び負極12の幅方向が軸方向となる。正極タブ19は、電極体14の上面の4か所から軸方向に導出している。
【0019】
電極体14に含まれる負極12は、一般に、負極12でのリチウムの析出を防止するため、正極11よりも大きく形成される。具体的には、負極12の幅方向の長さは、正極11の幅方向の長さよりも大きい。また、負極12の長手方向の長さは、正極11の長手方向の長さより大きい。これにより、電極体14として巻回された際に、少なくとも正極11の正極合剤層30が形成された部分が、セパレータ13を介して負極12の負極合剤層が形成された部分に対向配置される。
【0020】
負極12は、帯状の負極集電体と、負極集電体の表面の少なくとも一部に積層された負極合剤層とを有する。負極合剤層は、負極集電体の内周側及び外周側の少なくとも一方に形成され、負極集電体の両面の後述する負極露出部を除く全域に形成されることが好適である。負極集電体には、例えば、銅などの金属の箔、当該金属を表層に配置したフィルム等が用いられる。負極集電体の厚みは、例えば、5μm~30μmである。
【0021】
負極合剤層は、負極活物質、結着剤を含むことが好ましい。負極合剤層は、例えば、負極活物質、結着剤、及び水等の溶剤を含む負極合剤スラリーを負極集電体の両面に塗布、乾燥した後、圧延することで作製できる。
【0022】
負極合剤層に含まれる負極活物質としては、リチウムイオンを可逆的に吸蔵、放出できるものであれば特に限定されず、例えば天然黒鉛、人造黒鉛等の炭素系材料、Si、Sn等のリチウムと合金化する金属、又はこれらを含む合金、酸化物などを用いることができる。
【0023】
負極活物質は、炭素系材料とシリコン系材料とを含んでもよい。シリコン系材料としては、Si、Siを含む合金、SiO(xは0.8~1.6)等のケイ素酸化物などが挙げられる。シリコン系材料は、炭素系材料よりも電池容量を向上させることが可能な負極活物質である。負極活物質におけるシリコン系材料の含有率は、電池容量の向上、充放電サイクル特性の低下抑制等の観点から、負極活物質の質量に対して3質量%以上であることが好ましい。シリコン系材料の含有率の上限値は、例えば、20質量%である。
【0024】
負極合剤層に含まれる結着剤の例としては、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ニトリル-ブタジエンゴム(NBR)、カルボキシメチルセルロース(CMC)又はその塩、ポリアクリル酸(PAA)又はその塩(PAA-Na、PAA-K等、また部分中和型の塩であってもよい)、ポリビニルアルコール(PVA)等が挙げられる。また、結着剤は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)等のフッ素系樹脂、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリイミド系樹脂、アクリル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂などを含んでもよい。これらは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0025】
負極12の巻き終わり側端部には、負極集電体の露出した負極露出部が形成されている。負極露出部は、負極集電体の表面が負極合剤層に覆われていない部分であり、負極12の厚み方向に重なるように負極12の両面に設けられることが好適である。負極露出部は、例えば負極集電体の一部に負極合剤スラリーを塗布しない間欠塗布により設けられる。負極露出部には、負極タブ20が、超音波溶接等によって接続される。
【0026】
セパレータ13には、イオン透過性及び絶縁性を有する多孔性シートが用いられる。多孔性シートの具体例としては、微多孔薄膜、織布、不織布などが挙げられる。セパレータ13の材質としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン樹脂が好ましい。セパレータ13の厚みは、例えば10μm~50μmである。セパレータ13は、電池の高容量化・高出力化に伴い薄膜化の傾向にある。セパレータ13は、例えば130℃~180℃程度の融点を有する。
【0027】
次に、図3及び図4を参照しつつ、本実施形態に係る正極11について詳説する。図3は、電極体14を構成する正極11の正面図である。図3では、正極11を展開状態で示している。
【0028】
正極11は、帯状の正極集電体32と、正極集電体32の表面の少なくとも一部に積層された正極合剤層30とを有する。正極合剤層30は、正極集電体32の内周側及び外周側の少なくとも一方に形成され、正極集電体32の両面の後述する正極露出部34を除く全域に形成されることが好適である。正極集電体32には、例えば、アルミニウムなどの金属の箔、当該金属を表層に配置したフィルム等が用いられる。正極集電体32の厚みは、例えば、10μm~30μmである。正極11の厚みのバラツキは、例えば、設計値に対して、-5%~+5%である。
【0029】
正極合剤層30は、正極活物質、導電剤、及び結着剤を含むことが好ましい。正極合剤層30は、例えば、正極活物質、導電剤、結着剤、及びN-メチル-2-ピロリドン(NMP)等の溶剤を含む正極合剤スラリーを正極集電体32の両面に塗布、乾燥した後、圧延することで作製できる。
【0030】
正極合剤層30に含まれる正極活物質としては、Co、Mn、Ni等の遷移金属元素を含有するリチウム遷移金属酸化物が例示できる。リチウム遷移金属酸化物は、例えばLiCoO、LiNiO、LiMnO、LiCoNi1-y、LiCo1-y、LiNi1-y、LiMn、LiMn2-y、LiMPO、LiMPOF(Mは、Na、Mg、Sc、Y、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Al、Cr、Pb、Sb、Bのうち少なくとも1種、0<x≦1.2、0<y≦0.9、2.0≦z≦2.3)である。これらは、1種単独で用いてもよいし、複数種を混合して用いてもよい。非水電解質二次電池の高容量化を図ることができる点で、正極活物質は、LiNiO、LiCoNi1-y、LiNi1-y(MはNa、Mg、Sc、Y、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Al、Cr、Pb、Sb、Bのうち少なくとも1種、0<x≦1.2、0<y≦0.9、2.0≦z≦2.3)等のリチウムニッケル複合酸化物を含むことが好ましい。
【0031】
正極合剤層30に含まれる導電剤としては、例えば、カーボンブラック(CB)、アセチレンブラック(AB)、ケッチェンブラック、カーボンナノチューブ(CNT)、グラフェン、黒鉛等のカーボン系粒子などが挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0032】
正極合剤層30に含まれる結着剤の例としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)等のフッ素系樹脂、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリイミド系樹脂、アクリル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂などが挙げられる。これらは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。水系溶媒で正極合剤スラリーを調製する場合は、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ニトリルゴム(NBR)、CMC又はその塩、ポリアクリル酸又はその塩、ポリビニルアルコール等を用いてもよい。
【0033】
正極11の表面には、電極体14の巻回方向に沿って、正極集電体32の露出した複数の正極露出部34が形成されている。正極露出部34は、正極集電体32の表面が正極合剤層30に覆われていない部分であり、正極露出部34の各々には、正極タブ19が接続される。正極露出部34は、例えば正極集電体32の一部に正極合剤スラリーを塗布しない間欠塗布により設けられる。
【0034】
図3に示すように、正極露出部34が幅方向の全長にわたって設けられ、正極タブ19が正極露出部34と幅方向に長く接続されていることが好ましい。これにより、正極タブ19と正極集電体32との接触面積が大きくなり、集電性が向上する。幅方向において、正極11の全長に対する正極タブ19が正極露出部34に接触している長さの割合は、例えば、0.5~0.9である。
【0035】
正極露出部34は、正極タブ19よりも長手方向に広く形成される。長手方向のタブの幅は、例えば、1mm~7mmであり、長手方向の正極露出部34の幅は、例えば、5mm~40mmである。正極露出部34は、正極11の厚み方向に重なるように正極11の両面に設けられることが好適である。正極タブ19は、例えば、超音波溶接によって正極露出部34に接合される。
【0036】
図3に示す例では、巻き始め側から順に、正極露出部34a,34b,34c,34dの4つの正極露出部34が設けられている。長手方向の正極露出部34の幅は、正極露出部34a,34b,34c,34dの順に小さくなっている。なお、正極露出部34の各々の大きさは、図3に示す例に限定されず、例えば、巻き終わり側に位置する正極露出部34の長手方向の正極露出部34の幅が、巻き始め側に位置する正極露出部34の長手方向の正極露出部34の幅よりも大きくてもよい。
【0037】
正極露出部34a,34b,34c,34dの長手方向略中央には、正極タブ19a,19b,19c,19dの各々が接続されている。正極タブ19a,19b,19c,19dの各々は、正極11の一端から幅方向に導出されている。
【0038】
正極11の表面には、正極タブ19の一部及び正極露出部34を覆うように保護部材36設けられている。保護部材36は、セパレータ13が破れた場合に、正極タブ19及び正極露出部34が、対向する負極合剤層と内部短絡しないようにするための絶縁性の部材である。保護部材36は、正極11の正極露出部34を長手方向に跨ぐように正極合剤層30の表面に接着されることが好ましい。また、保護部材36は、正極11の幅方向で、正極11よりも長いことが好ましい。
【0039】
保護部材36は、例えば、基材部と、当該基材部の一方の表面に形成される粘着部とを有する粘着テープである。基材部と粘着部の間には、例えば、金属酸化物などの無機粒子を含む耐熱層を設けることができる。基材部は、絶縁性の樹脂であればよく、例えばPPS(ポリフェニレンサルファイド)、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、PI(ポリイミド)、PP(ポリプロピレン)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PBT(ポリブチレンテレフタレート)等を用いることができる。基材部の厚みは、例えば、5μm以上50μm以下である。
【0040】
粘着部は、保護部材36を正極11の表面に接着するための部位である。粘着部の厚みは、例えば1μm以上30μm以下である。粘着部は、ゴム系ポリマー、アクリル系ポリマーのうち少なくとも1つを含むことができる。ゴム系ポリマー、アクリル系ポリマーは粘着性を有するので、保護部材36を正極11の表面に接着することができる。粘着部は、例えばシリコーン系ポリマーをさらに添加してもよい。
【0041】
図4は、実施形態の一例において、電極体14を軸方向から見た平面図である。電極体14の巻回中心Cに対する正極露出部34の巻き始め側端部から巻き終わり側端部にかけての回転角度を露出部角度θとした場合に、各正極露出部34の露出部角度θは、正極露出部34aの露出部角度θ>正極露出部34bの露出部角度θ>正極露出部34cの露出部角度θ>正極露出部34dの露出部角度θ、の関係を満たす。これにより、最も巻き終わり側の正極露出部34dに対して他の正極露出部34a,34b,34cの位置にバラツキが生じても、図4に示す領域Pの範囲に各正極露出部34a,34b,34cの少なくとも一部が含まれるようにすることができる。各正極露出部34の露出部角度θは、想定される正極11の厚みのバラツキ範囲に応じて適宜決定することができる。
【0042】
領域Pの範囲に、各正極露出部34の少なくとも一部が含まれるため、いずれの正極タブ19も領域Pの範囲に配置することができる。正極露出部34dに対する正極露出部34a,34b,34cの位置のバラツキの程度は、正極11の厚みの測定結果に基づいて評価することができる。その評価結果に基づいて正極タブ19が領域Pの範囲に配置されるように正極タブ19を接続する位置を決定することができる。なお、露出部角度θは、正極露出部34の巻き始め側端部から巻き終わり側端部にかけての回転角度なので、360°を超えてもよい。
【0043】
上記のように正極露出部34の寸法を制御することで、引用文献3に記載されるように全ての正極露出部34の長手方向の幅を大きくする場合に比べて露出部の面積を大きくすることなく、正極11の厚みバラツキに対応して複数の正極タブ19を所定の位置に接続することができる。巻き始め側では、正極11が形成する円弧が小さく正極露出部34の長手方向の幅が短くても十分な大きさの露出部角度θを形成する。そのため、上記のように正極露出部34の寸法を制御することで、巻き始め側の露出部を基準として巻き終わり側の露出部の幅を大きくする場合に比べて露出部の面積を大きくすることなく、正極11の厚みバラツキに対応して複数の正極タブ19を所定の位置に接続することができる。
【0044】
図4において、正極タブ19は巻回中心Cから径方向に略一列に並んでいるが、正極タブ19のレイアウトは、この例に限定されない。正極タブ19は、例えば、巻回中心Cを挟んで径方向に略一列に並んでもよく、巻回中心Cを中心に略均等な角度で配置されていてもよい。その場合、正極タブ19の配置方向に応じて正極露出部34の配置を適宜変更すればよい。
【実施例
【0045】
以下、実施例により本開示をさらに説明するが、本開示はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0046】
[正極の作製]
100質量部のLiNi0.88Co0.09Al0.03と、1.0質量部のアセチレンブラック(AB)と、0.9質量部のポリフッ化ビニリデン(PVdF)とを混合し、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)を適量加えて、正極合剤スラリーを調製した。次に、当該正極合剤スラリーを、アルミニウム箔からなる帯状の正極集電体の両面に、4つの正極露出部が形成されるように塗布した。この塗布膜を乾燥した後、圧延し、所定の極板サイズに切断して、全長706mmの正極集電体の両面に正極合剤層が形成された正極を作製し、アルミニウム製の正極タブを各正極露出部に溶接した。正極の厚みバラツキが生じても、最も巻き終わり側の正極露出部を基準として所定の範囲に各正極露出部の少なくとも一部が含まれるように、正極露出部の長手方向の幅を巻き始め側から順に、22mm、18mm、12mm、8mmとした。最も巻き始め側の幅22mmの正極露出部には、封口体に溶接するために最も長い正極タブを溶接した。
【0047】
[負極の作製]
95質量部の黒鉛と、5質量部のSiOと、1質量部のカルボキシメチルセルロース(CMC)と、1質量部のスチレンブタジエンゴム(SBR)とを混合し、水を適量加えて、負極合剤スラリーを調製した。次に、当該負極合剤スラリーを、銅箔からなる帯状の負極集電体の両面に、巻き終わり側端部に負極露出部が形成されるように塗布した。この塗布膜を乾燥した後、圧延し、所定の極板サイズに切断して、全長959mmの正極集電体の両面に負極合剤層が形成された負極を作製し、ニッケル製の負極タブを負極露出部に溶接した。
【0048】
[電極体の作製]
ポリオレフィン系樹脂製のセパレータを介して上記の正極及び負極を巻回して電極体を作製した。電極体は、図4に示す例と同様に、正極露出部34aの露出部角度θ>正極露出部34bの露出部角度θ>正極露出部34cの露出部角度θ>正極露出部34dの露出部角度θの関係を満たしていた。
【0049】
[非水電解質の調製]
エチレンカーボネート(EC)と、ジメチルカーボネート(DMC)とからなる混合溶媒(体積比でEC:DMC=1:3)の100質量部に、ビニレンカーボネート(VC)を5質量部添加した。当該混合溶媒に1.5モル/Lの濃度になるようにLiPFを溶解させて、非水電解質を調製した。
【0050】
[二次電池の作製]
上記電極体の上下に絶縁板をそれぞれ配置し、電極体を円筒形の外装缶に収容した。次いで、負極タブを外装缶の底部に溶接するとともに、正極タブ同士を溶接した後に最も長い正極タブを封口体に溶接した。その後、外装缶の内部に電解質を減圧方式により注入した後、外装缶の開口端部を、ガスケットを介して封口体にかしめるように封口して、二次電池を作製した。作製した二次電池の設計容量は、4850mAhである。
【0051】
<比較例>
正極の作製において、正極の厚みバラツキが生じても、最も巻き始め側の正極露出部を基準として所定の範囲に各正極露出部の少なくとも一部が含まれるように、正極露出部の長手方向の幅を巻き始め側から順に8mm、12mm、26mm、53mmとしたこと以外は、実施例と同様にして二次電池を作製した。
【0052】
[電池容量の評価]
実施例及び比較例の非水電解質二次電池を、環境温度25℃の下、1455mA(0.3C)の定電流で、4.2Vまで充電した後、4.2Vの定電圧で、電流値が97mA(0.02C)になるまで充電した。20分間放置した後、2425mA(0.5C)の定電流で、2.5Vまで放電し、この時の放電容量を電池容量とした。
【0053】
表1に、実施例及び比較例の非水電解質二次電池の電池容量の評価結果をまとめた。
【0054】
【表1】
【0055】
比較例の電池では、正極の厚みバラツキに起因して正極露出部の位置にバラツキが生じても、最も巻き始め側の正極露出部を基準として、所定の範囲に各正極露出部の少なくとも一部が含まれるように、それぞれの正極露出部の露出部角度が調整されている。しかし、比較例の電池は実施例の電池に比べて、正極露出部の長さが大きくなっており、正極合剤層の質量が減少している。表1には、比較例の電池の電池容量が、実施例の電池の電池容量に比べて大きく低下していることが示されている。このように、実施例の電池のように、巻き終わり側に位置する正極露出部34の露出部角度θに比べて巻き始め側に位置する正極露出部34の露出部角度θを大きくすることで、電池容量の低下を抑制しつつ正極の厚みバラツキに対応して複数の正極タブを所定の位置に接続することができる。
【符号の説明】
【0056】
10 二次電池、11 正極、12 負極、13 セパレータ、14 電極体、15 外装缶、16 封口体、17,18 絶縁板、19,19a,19b,19c,19d 正極タブ、20 負極タブ、21 溝入部、22 フィルタ、23 下弁体、24 絶縁部材、25 上弁体、26 キャップ、26a 開口部、27 ガスケット、30 正極合剤層、32 正極集電体、34,34a,34b,34c,34d 正極露出部、C 巻回中心、θ 露出部角度
図1
図2
図3
図4