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  • -接着性幹細胞製剤の製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2026-03-11
(45)【発行日】2026-03-19
(54)【発明の名称】接着性幹細胞製剤の製造方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 35/50 20150101AFI20260312BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20260312BHJP
   C12N 5/074 20100101ALI20260312BHJP
【FI】
A61K35/50
A61P43/00 105
C12N5/074
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021161288
(22)【出願日】2021-09-30
(65)【公開番号】P2023050921
(43)【公開日】2023-04-11
【審査請求日】2024-07-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000000941
【氏名又は名称】株式会社カネカ
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】政安 梨緒
(72)【発明者】
【氏名】三好 清花
【審査官】田辺 義拓
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/149394(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/132026(WO,A1)
【文献】特開2019-080580(JP,A)
【文献】特開2011-030557(JP,A)
【文献】Melany Lopez et al.,Chemically Defined and Xeno-Free Cryopreservation of Human Adipose-Derived Stem Cells,PLOS ONE,2016年03月24日
【文献】仲村敏ら,琉球在来豚(アグー)の効率的繁殖技術の確立:凍結精液希釈液へのアスコルビン酸-α-グルコシドの添加が融解後の精子性状に及ぼす影響,沖縄県畜産研究センター研究報告,2007年
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 35/50
A61P 43/00
C12N 5/074
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
接着性幹細胞を、0.5~7mMのアスコルビン酸誘導体及び2~10体積%のジメチルスルホキシドを含有する溶液中で凍結保存する工程を有する、接着性幹細胞製剤の製造方法。
【請求項2】
前記アスコルビン酸誘導体が、アスコルビン酸リン酸エステルまたはその塩である、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記溶液中に、さらにヒドロキシエチルデンプンを4~10質量%含有する、請求項1又は2に記載の製造方法。
【請求項4】
前記溶液中に、さらにヒト血清アルブミンを0.1~5質量%含有する、請求項1~3のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項5】
前記接着性幹細胞が羊膜由来細胞である請求項1~4のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載の方法により得られる接着性幹細胞製剤を有効成分として含む細胞治療剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接着性幹細胞製剤の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、様々な幹細胞を用いた再生医療等製品の開発が進んでいるが、それらを治療用製剤として提供するためには、細胞の品質を長期間にわたって高く安定的に維持できる保存方法が必須である。一般的に、治療用細胞製剤やその中間製品及び原料細胞の保存方法としては、凍結保存が行われているが、細胞を凍結・解凍すると細胞に大きな損傷が加わり、細胞の品質低下を引き起こす。そこで、凍結・解凍による損傷から細胞を保護する作用を有する成分(凍結保護剤)が、凍結時に利用されており、また上記凍結保護剤を含有する溶液が凍結保存液として市販されている。さらに、細胞の保存安定性向上の一例として種々の抗酸化剤を凍結時に添加することも報告されている(特許文献1、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特表2009-521949公報
【文献】特表2020-516257公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
抗酸化剤は、活性酸素種等の細胞に有害な物質を取り除く一方で、細胞へダメージを与えることがあり、必ずしもその効果が期待できるとは限らない。実際に、本発明者が、上記特許文献1において抗酸化剤の一つとして例示されているアスコルビン酸を市販の凍結保存液へ添加してその効果を確認したところ、細胞の生存率向上の効果は見られないことが判明した。
【0005】
そこで本発明では、凍結保存時の保存液の組成を工夫することにより、凍結保存時やその前後における細胞へのダメージを可能な限り低減し、接着性幹細胞製剤の品質を向上させることのできる製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは凍結保存時に使用することで細胞を保護し生存率を向上させることの出来る添加剤の種類と適切な濃度を検討した結果、効果の見られなかったアスコルビン酸の代わりにアスコルビン酸の誘導体を使用し、当該アスコルビン酸誘導体を0.5~7mMの範囲で含有する水溶液を凍結保存液とすることによって、驚くべきことに凍結保存後の細胞の生存率低下が抑制され、さらに、接着性幹細胞の品質が飛躍的に向上することを見出した。すなわち、本発明によれば、以下の方法が提供される。
(1)接着性幹細胞を、0.5~7mMのアスコルビン酸誘導体を含有する溶液中で凍結保存する工程を有する、接着性幹細胞製剤の製造方法。
(2)前記アスコルビン酸誘導体が、アスコルビン酸リン酸エステルまたはその塩である、(1)に記載の製造方法。
(3)前記溶液中に凍結保護剤をさらに含有する、(1)または(2)に記載の製造方法。
(4)前記凍結保護剤として、ジメチルスルホキシドを溶液中2~10体積%含有する、(3)に記載の製造方法。
(5)前記凍結保護剤として、さらにヒドロキシエチルデンプンを溶液中4~10質量%含有する、(4)に記載の製造方法。
(6)前記凍結保護剤として、さらにヒト血清アルブミンを溶液中0.1~5質量%含有する、(4)または(5)に記載の製造方法。
(7)前記接着性幹細胞が羊膜由来細胞である、(1)~(6)いずれか1項に記載の製造方法。
(8)(1)~(7)いずれか1項に記載の方法により得られる接着性幹細胞製剤を有効成分として含む細胞治療剤。
【発明の効果】
【0007】
本発明の製造方法を用いることによって、凍結・解凍後の接着性幹細胞の生存率を高く維持することができ、また凍結・解凍後の細胞の増殖性を高めることができる。従って、本発明は接着性幹細胞を利用する再生医療等製品の品質向上に寄与し、再生医療等製品の利用促進につながることが期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は実施例1~3、比較例1~4の各凍結保存液で保存した細胞の生存率の推移を示すグラフである。
図2図2は実施例4、比較例1、5の各凍結保存液で保存した細胞の比増殖速度を示すグラフである。
図3図3は実施例4、比較例1、5の各凍結保存液で保存した細胞の接着率を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[1]用語の説明
本明細書における「接着性幹細胞」は下記の定義i)及びii)を満たす幹細胞を指し、「間葉系間質細胞 (Mesenchymal stromal cells)」及び「間葉系幹細胞(Mesenchymal stem cells:MSC)」も本発明の接着性幹細胞に含まれる。
【0010】
本明細書における接着性幹細胞の定義
i)標準培地での培養条件で、プラスチックに接着性を示す。ここでいう標準培地とは、基礎培地(例:αMEM培地)に血清、血清代替試薬又は増殖因子(例:血清代替試薬であるヒト血小板溶解物)を添加した培地である。
ii)表面抗原のCD73、CD90が陽性であり、CD45、CD326が陰性。
【0011】
本発明における接着性幹細胞の由来は特には制限されず、胎児付属物(羊膜、臍帯、胎盤等)、骨髄液、脂肪組織、歯髄等に由来するものを用いることができるが、好ましくは羊膜由来である。
【0012】
本明細書における「増殖能」とは、細胞が細胞分裂を行うことにより、細胞が増加する能力のことをいう。本明細書において、「増殖能が高い」は「増殖性が高い」と区別なく用いることができる。接着性幹細胞集団の増殖能は、比増殖速度、倍加回数、倍加時間、及び/又は継代回数を用いて評価することができる。比増殖速度の測定方法は、本明細書にて後述の通りである。
【0013】
本明細書における「アスコルビン酸」とは、IUPAC名で(R)-3,4-ジヒドロキシ-5-((S)- 1,2-ジヒドロキシエチル)フラン-2(5H)-オンと表記される、L-アスコルビン酸のみならず、その異性体、さらにそれらの塩も含まれる。例えば、アスコルビン酸、rhamno-アスコルビン酸、arabo-アスコルビン酸、gluco-アスコルビン酸、fuco-アスコルビン酸、glucohepto-アスコルビン酸、xylo-アスコルビン酸、galacto-アスコルビン酸、gulo-アスコルビン酸、allo-アスコルビン酸、erythro-アスコルビン酸、6-デスオキシアスコルビン酸などの、L体、D体、あるいはラセミ体、またはこれらの塩である。但し、これらアスコルビン酸の官能基が置換されたものである、後述する「アスコルビン酸誘導体」は含まれない。
【0014】
本明細書における「アスコルビン酸誘導体」とは、上記「アスコルビン酸」の官能基が、脂肪酸、リン酸、糖、グリセリンなどで置換されたものである。上記アスコルビン酸誘導体としては、特に限定されないが、例えば、エチルアスコルビン酸、アスコルビン酸パルミテート、アスコルビン酸ステアレートなどの脂肪酸エステル、アスコルビン酸-2-リン酸エステル、アスコルビン酸-3-リン酸エステル、アスコルビン酸-6-リン酸エステル、アスコルビン酸-2-ポリリン酸エステル等のリン酸エステル、アスコルビン酸-2-硫酸エステル等のアスコルビン酸エステル類の他、アスコルビン酸-2-グルコシドなどが挙げられる。 これらは、L体、D体、あるいはラセミ体のいずれでもよい。また、本明細書におけるアルコルビン酸誘導体にはその塩も含まれる。アスコルビン酸誘導体の塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、バリウム塩、アンモニウム塩、モノエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩、モノイソプロパノールアミン塩、及びトリイソプロパノールアミン塩等が挙げられる。本発明において、アスコルビン酸誘導体としては、アスコルビン酸のリン酸エステルまたはその塩が好ましく、アスコルビン酸―2―リン酸エステルまたはその塩がより好ましく、L-アスコルビン酸―2―リン酸エステルまたはその塩がさらに好ましい。
【0015】
本明細書における「凍結保護剤」とは、凍結時および解凍時における細胞の傷害を軽減することによって凍結保護プロセスを容易にする化学物質を示す。凍結保護剤は細胞浸透性または非浸透性であり得る。凍結保護剤の例には、脱水剤、浸透圧剤およびガラス化溶質が含まれるが、これらに限定されない。上記の凍結保護剤としては、アセトアミド、アガロース、アルギン酸塩、l-アナリン、アルブミン、酢酸アンモニウム、ブタンジオール、コンドロイチン硫酸塩、クロロホルム、コリン、デキストラン、ジエチレングリコール、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド(DMSO)、エリトリトール、エタノール、エチレングリコール、ホルムアミド、グルコース、グリセロール、α-グリセロリン酸塩、グリセロールモノアセタート、グリシン、ヒドロキシエチルデンプン、イノシトール、ラクトース、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、マルトース、マンニトール、マンノース、メタノール、メチルアセトアミド、メチルホルムアミド、メチルウレア類、フェノール、プルロニックポリオール類、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、プロリン、プロピレングリコール、ピリジン-N-オキシド、リボース、セリン、臭化ナトリウム、塩化ナトリウム、ヨウ化ナトリウム、硝酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、ソルビトール、スクロース、トレハロース、トリエチレングリコール、トリメチルアミンアセタート、ウレア、バリンおよびキシロース等が使用できるが、特に限定されない。
【0016】
本明細書における「凍結保存液」とは、細胞を凍結保存する際に細胞を懸濁するのに使用される溶液のことをいい、好ましくは水溶液である。なお、「本発明の凍結保存液」は後述するとおり,上記アスコルビン酸誘導体を含有する溶液であるが、単に「凍結保存液」とのみ記載された場合は,本発明の凍結保存液のみならず本発明の凍結保存液ではないものも含まれる。
【0017】
本発明の「接着性幹細胞製剤」とは、接着性幹細胞を主成分とする製剤であれば特に限定されず、その用途も、治療や予防といった医療用途の他、研究・試験用途であってもよく、またこれら用途に使用される細胞製品を製造するための中間原料(セルストックなど)であってもよい。
【0018】
[2]本発明の接着性幹細胞の凍結保存工程
本発明は、接着性幹細胞を0.5~7mMのアスコルビン酸誘導体を含有する溶液で凍結保存する工程を少なくとも1回有する接着性幹細胞製剤の製造方法である。すなわち、本発明の製造方法では、0.5~7mMのアスコルビン酸誘導体を含有する溶液を凍結保存液として使用する。本発明の凍結保存液は、0.5~7mMのアスコルビン酸誘導体を含有する溶液であれば特に限定されないが、好ましくは、アスコルビン酸誘導体を水又は水溶液に溶解させたものである。この場合用いられる水溶液としては、例えば、緩衝液、等張液、低張液、高張液などが例示でき、組織へのダメージ低減の観点で、緩衝液や等張液がより好ましく、例えば、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)などの緩衝液、ハンクス平衡塩類溶液(HBSS)やアール平衡塩溶液(EBSS)などの平衡塩類溶液、リンゲル液、乳酸リンゲル液、生理食塩液などの輸液、培養液などが好ましい例として挙げられる。
【0019】
本発明の凍結保存液におけるアスコルビン酸誘導体の濃度は0.5~7mMであれば特に限定されないが、好ましくは1.0mM以上、より好ましくは1.2mM以上、さらに好ましくは2mM以上、さらにより好ましくは3mM以上であり、上限としては、好ましくは5mM以下の範囲で細胞の品質がより向上する。
【0020】
本発明の凍結保存液には、アスコルビン酸誘導体の他に、凍結保護剤をさらに含有するのが好ましい。
【0021】
上記凍結保護剤としては特に限定されないが、ジメチルスルホキシドが好ましい。本発明の凍結保存液にジメチルスルホキシドを添加する場合の濃度は特に限定されないが、好ましくは2体積%以上、より好ましくは4体積%以上であればより高い凍結保護効果を示し、好ましくは10体積%以下、さらに好ましくは8体積%以下、より好ましくは6体積%以下であれば細胞毒性をより軽減することができる。
【0022】
本発明の凍結保存液には、凍結保護剤としてヒドロキシエチルデンプンをさらに添加してもよい。この場合のヒドロキシエチルデンプンの濃度は特に限定されないが、4質量%以上が好ましい。さらに好ましくは10%質量以下、より好ましくは8質量%以下であれば凍結保存液の粘性を低下させ、操作性を向上することができる。
【0023】
本発明の凍結保存液には、凍結保護剤としてヒト血清アルブミンをさらに添加してもよい。その濃度は、特に限定されないが、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは3.5質量%以上であり、上限は好ましくは5質量%以下である。この範囲であれば、品質がより向上する。
【0024】
本発明の製造方法において、接着性幹細胞を、本発明の凍結保存液に懸濁する方法は特に制限されない。アスコルビン酸誘導体や必要に応じて凍結保護剤やその他の成分を含む凍結保存液を調製し、そこに接着性幹細胞を直接に懸濁しても良いし、凍結保護剤などを含有する水溶液とアスコルビン酸誘導体を含む細胞懸濁液を任意の割合で混合することで、本発明の範囲内となる溶液となるよう調整することもできる。なおここで凍結保護剤などを含有する水溶液として、市販の凍結保存液を使用することも出来る。
【0025】
上記凍結保存液中の細胞濃度(終濃度)は特に制限されないが、好ましくは2×10cells/mL以下、より好ましくは5×10cells/mL以下であれば、本発明の凍結保存液による品質向上効果がより有効に発揮される。また、生産性の効率の観点からは、細胞濃度の下限は5×10cells/mL以上であるのが好ましい。
【0026】
本発明の製造方法において、接着性幹細胞を上記凍結保存液に懸濁してから凍結を開始するまでの時間は特に制限されないが、凍結を開始するまでの時間が好ましくは24時間以内、より好ましくは12時間以内、よりさらに好ましくは6時間以内であれば、解凍後の細胞の品質をより向上させることができる。下限は特に限定されず、製造工程で許容される範囲で短い方が好ましいが、本発明の凍結保存液を使用した場合、0.5時間程度であれば、細胞の生存率や品質を問題ない程度に良好に維持することができる。
【0027】
本発明の製造方法において、凍結保存は、例えば、プログラムフリーザーによる緩慢凍結法や、ディープフリーザーによる簡易式凍結法により行うことができる。プログラムフリーザーによる緩慢凍結法においては、例えば-1~-3℃/minに計画された速さで冷却を開始することができる。一方、簡易式凍結法においては、例えば、細胞懸濁液を充填したクライオバイアルや凍結バッグを、細胞凍結用容器や発泡スチロール容器に入れた状態でディープフリーザーに入れて緩慢凍結させることができる。また、上記凍結方法で凍結した後に、細胞を液体窒素中に移動させて保存してもよい。。凍結保存するために細胞懸濁液を充填する容器としては、Nuncクライオチューブ1.8mLインナーキャップ(Thermo Fisher Scientific社製)、バーコード付き内ネジクライオジェニックバイアル(Corning社製)、フローズチューブTー1.5(ニプロ社製)、フローズバッグ(ニプロ社製)などを挙げることができるが、特に限定されない。簡易式凍結法に用いる細胞凍結容器としては、例えば、BICELL(日本フリーザー株式会社製)やCoolCell(Corning社製)を用いることができる。
【0028】
なお、本発明の凍結保存液を使用する凍結保存を行った接着性幹細胞は、解凍後にそのまま使用してもよく、また解凍後に1回以上の培養を行った後に接着性幹細胞製剤としてもよく、また凍結した状態で接着性幹細胞製剤として販売または医療機関等に提供しても良い。本発明の目的と効果を十分に発揮する観点においては、本発明の凍結保存液を使用する凍結保存工程は、細胞製剤の製造の中間工程で実施されるのが好ましい。また、本発明の凍結保存液を使用する凍結保存工程は、接着性幹細胞製剤の製造工程において複数回実施してもいい。
【0029】
本発明の製造方法において凍結保存する期間は、本発明の効果にほとんど影響を与えないことから、工程上所望する任意の凍結保存期間を選択することができる。従って特に限定されないが、例えば1日以上、2日以上、3日以上、1週間以上、10以上、20日以上、1ヶ月以上であり、例えば、5年以下、3年以下、2年以下、1年以下、6ヶ月以下である。
【0030】
本発明の製造方法において、上記凍結保存方法によって凍結保存された接着性幹細胞の解凍方法は、例えば、35~37℃に温めた湯浴に、凍結された細胞が充填された容器を入れることによって実施することができる。また、細胞解凍装置を用いて解凍してもよく、細胞解凍装置としては、例えば、ThawSTAR (BIOLIFE SOLUTIONS製)、VIA Thaw CB1000(cytiva社製)、凍結細胞融解装置YSシリーズ(ストレックス株式会社)を用いることができる。
【0031】
[3]本発明の接着性幹細胞製剤の製造方法
本発明の接着性幹細胞製剤の製造方法は、前記接着性幹細胞の凍結保存工程を有することを特徴とし、その他の条件および構成は何ら制限されない。例えば、本発明の接着性幹細胞製剤の製造方法は、上述した接着性幹細胞の凍結保存工程以外に任意の工程として、細胞集団取得工程、培養工程等を含むことができる。
【0032】
本発明の製造方法において、上記細胞集団取得工程は、例えば、羊膜などの胎児付属物や脂肪組織を酵素処理することにより、接着性幹細胞を含む細胞集団を取得する細胞集団取得工程であってもよい。上記の細胞集団取得工程は、羊膜を帝王切開により得る工程を含む工程でもよい。あるいは、上記の細胞集団取得工程は、脂肪組織を生体より吸引または切除して得る工程を含む工程でもよい。さらに、上記の細胞集団取得工程は、接着性幹細胞を含む生体試料を洗浄する工程を含むものでもよい。
【0033】
本発明における接着性幹細胞を含む細胞集団は、好ましくは胎児付属物から採取した上皮細胞層と接着性幹細胞層とを含む生体試料または脂肪組織を酵素で処理して得た細胞集団である。
【0034】
例えば、具体的には、胎児付属物から採取した生体試料(好ましくは上皮細胞層と接着性幹細胞層とを含む生体試料)の酵素処理は、好ましくは、胎児付属物の細胞外基質層に含まれる接着性幹細胞を遊離することができ、かつ上皮細胞層を分解しない酵素(又はその組み合わせ)による処理である。かかる酵素としては、特に限定されないが、例えば、コラゲナーゼ及び/又は金属プロテイナーゼを挙げることができる。金属プロテイナーゼとしては、非極性アミノ酸のN末端側を切断する金属プロテイナーゼであるサーモリシン及び/又はディスパーゼを挙げることができるが、特に限定されない。
【0035】
コラゲナーゼの活性濃度は、特に限定されないが、好ましくは50PU/ml以上、より好ましくは100PU/ml以上、さらに好ましくは200PU/ml以上である。また、上限も特に限定されないが、例えば、1000PU/ml以下、900PU/ml以下、800PU/ml以下、700PU/ml以下、600PU/ml以下、500PU/ml以下である。ここで、PU(Protease Unit)とは、pH7.5、30℃において、FITC-collagen 1ugを1分間で分解する酵素量と定義する。
【0036】
金属プロテイナーゼ(例えば、サーモリシン及び/又はディスパーゼ)の活性濃度は、特に限定されないが、好ましくは50PU/ml以上、より好ましくは100PU/ml以上、さらに好ましくは200PU/ml以上である。また、上限は、好ましくは1000PU/ml以下、より好ましくは900PU/ml以下、さらに好ましくは800PU/ml以下、さらに好ましくは700PU/ml以下、さらに好ましくは600PU/ml以下、さらに好ましくは500PU/ml以下である。ここで、金属プロテイナーゼとしてディスパーゼを用いた態様において、PU(Protease Unit)とは、pH7.5、30℃において、乳酸カゼインから1分間に1ugのチロシンに相当するアミノ酸を遊離する酵素量と定義される。上記の酵素濃度の範囲において、胎児付属物の上皮細胞層に含まれる上皮細胞の混入を防止しながら、細胞外基質層に含まれる接着性幹細胞を効率よく遊離させることができる。コラゲナーゼ及び/又は金属プロテイナーゼの好ましい濃度の組み合わせは、酵素処理後の胎児付属物の顕微鏡観察や、取得した細胞のフローサイトメトリーにより決定することができる。
【0037】
生細胞を効率的に回収する観点から、コラゲナーゼと金属プロテイナーゼを組み合わせて胎児付属物を処理することが好ましい。さらに好ましくは、前記組み合わせによって胎児付属物を同時一括に処理するのがよい。この場合の金属プロテイナーゼとしては、サーモリシン及び/又はディスパーゼを使用することができるが、これらに限定されない。コラゲナーゼ及び金属プロテイナーゼの両方を含有する酵素液を用いて胎児付属物を一回のみ処理することにより、接着性幹細胞を簡便に取得することができる。また、同時一括に処理することにより、細菌やウィルス等のコンタミネーションのリスクを低減することができる。
【0038】
胎児付属物の酵素処理は、生理食塩水やハンクス平衡塩溶液等の洗浄液を用いて洗浄した羊膜を酵素液に浸漬し、撹拌手段によって撹拌しながら処理することが好ましい。かかる撹拌手段としては、羊膜の細胞外基質層に含まれる接着性幹細胞を効率よく遊離させる観点から、例えば、スターラー又はシェーカーを使用することができるが、これらに限定されない。スターラー又はシェーカーを用いた場合の撹拌速度の下限は、特に限定されないが、あまりに攪拌速度が遅いと酵素処理効率が低下するため、好ましくは5rpm、より好ましくは10rpmである。上限は、特に限定されないが、攪拌速度が速すぎると細胞に損傷を与えうるため、好ましくは100rpm、より好ましくは60rpmである。酵素処理時間の下限は、特に限定されないが、短すぎる場合には十分に羊膜に含まれる接着性幹細胞を分離できないため、好ましくは30分、さらにより好ましくは45分である。また、酵素処理時間の上限は、特に限定されないが、長すぎる場合は分離した細胞の生存率が低下する可能性があるため、好ましくは6時間、より好ましくは3時間、さらにより好ましくは90分である。酵素処理温度の下限は、特に限定されないが、効率よく酵素反応を進行させるために、好ましくは15℃、より好ましくは25℃、さらにより好ましくは35℃である。また、酵素処理温度の上限は、特に限定されないが、温度が高すぎると接着性幹細胞の死滅や、酵素の失活が引き起こされるため、好ましくは40℃である。
【0039】
羊膜以外の組織から接着性幹細胞を分離する場合も、上記の方法に準じて,あるいは公知の方法で分離することができる。
【0040】
本発明の製造方法において、所望により、遊離した接着性幹細胞を含む酵素溶液から、フィルター、遠心分離や中空糸分離膜、セルソーター等の公知の方法により、遊離した接着性幹細胞を分離及び/又は回収することができる。好ましくは、フィルターによって遊離した接着性幹細胞を含む酵素溶液を濾過する。前記酵素溶液をフィルターによって濾過する態様においては、遊離した細胞のみがフィルターを通過し、分解されなかった上皮細胞層はフィルターを通過できずにフィルター上に残るため、遊離した接着性幹細胞を容易に分離及び/又は回収することができるだけでなく、細菌やウィルス等のコンタミネーションのリスクも低減することができる。フィルターとしては、特に限定されないが、例えば、メッシュフィルターを挙げることができる。メッシュフィルターのポアサイズ(メッシュの大きさ)は、特に限定されないが、例えば、40μm以上、60μm以上、80μm以上、又は90μm以上である。また、メッシュフィルターのポアサイズは、特に限定されないが、例えば、200μm以下、180μm以下、160μm以下、140μm以下、120μm以下、又は100μm以下である。濾過速度に関しては特に限定されないが、メッシュフィルターのポアサイズを上記の範囲とすることにより、接着性幹細胞を含む酵素溶液を自然落下により濾過することができ、これにより細胞生存率の低下を防止することができる。
【0041】
メッシュフィルターの材質としては、ナイロンが好ましく用いられる。研究用として汎用されるFalconセルストレーナーなどの40μm、70μm、95μm又は100μmのナイロンメッシュフィルターを含有するチューブが利用可能である。また、血液透析などで使用されている医療用メッシュクロス(ナイロン及びポリエステル)が利用できる。さらに、体外循環時に使用される動脈フィルター(ポリエステルメッシュフィルター、ポアサイズ:40μm以上120μm以下)も利用可能である。他の材質、例えば、ステンレスメッシュフィルター等も用いることが可能である。
【0042】
接着性幹細胞をフィルター通過させる場合、自然落下(自由落下)が好ましい。ポンプ等を用いた吸引など強制的なフィルター通過も可能であるが、細胞に損傷を与えることを避けるため、できるだけ弱い圧力とすることが望ましい。
【0043】
フィルターを通した接着性幹細胞は、倍量又はそれ以上の培地又は平衡塩緩衝液で濾液を希釈した後、遠心分離により回収することができる。平衡塩緩衝液としては、生理食塩液、ダルベッコリン酸バッファー(DPBS)、アール平衡塩溶液(EBSS)、ハンクス平衡塩溶液(HBSS)、リン酸バッファー(PBS)等を用いることができるが、これらに限定されない。
【0044】
本発明の接着性幹細胞製剤の製造方法における培養工程は、上記工程で得られた接着性幹細胞を含む細胞集団を培養する工程であっても良いし、別の方法で得られた接着性幹細胞を含む細胞集団を培養する工程であっても良い。
【0045】
上記接着性幹細胞を含む細胞集団を培養する工程における細胞の播種密度は、特に限定されないが、例えば500~10,000細胞/cmの密度で播種することができる。前記播種密度の下限としては、好ましくは550細胞/cm、より好ましくは750細胞/cm、さらにより好ましくは1,000細胞/cmである。また、前記播種密度の上限としても、特に限定されないが、好ましくは7,000細胞/cm、さらにより好ましくは5,000細胞/cmである。
【0046】
なお、上記培養する工程は、継代工程を含んでもよいし、異なる培養条件で複数回培養を繰り返す工程を含んでもよい。
【0047】
上記1回の培養の培養期間としては、例えば2~15日間を挙げることができ、より具体的には、2日間、3日間、4日間、5日間、6日間、7日間、8日間、9日間、10日間、11日間、12日間、13日間、14日間、または15日間を挙げることができる。
【0048】
上記の培養に用いる培地は、任意の動物細胞培養用液体培地を基礎培地とし、必要に応じて他の成分(血清、血清代替試薬、増殖因子など)を適宜添加することにより調製することができる。なお、前記基礎培地に増殖因子を添加する態様においては、増殖因子を培地中で安定化させるための試薬(ヘパリンなど)を、増殖因子に加えて、さらに添加することにより調製してもよいし、増殖因子をあらかじめゲルや多糖類などで安定化しておき、その後、安定化した増殖因子を前記基礎培地に対して添加することで調製してもよい。
【0049】
基礎培地としては、BME培地、BGJb培地、CMRL1066培地、Glasgow MEM培地、Improved MEM Zinc Option培地、IMDM培地(Iscove’s Modified Dulbecco’s Medium)、Medium 199培地、Eagle MEM培地、αMEM(Alpha Modification of Minimum Essential Medium Eagle)培地、DMEM培地(Dulbecco’s Modified Eagle’s Medium)、ハムF10培地、ハムF12培地、RPMI 1640培地、Fischer’s培地、及びこれらの混合培地(例えば、DMEM/F12培地(Dulbecco’s Modified Eagle’s Medium/Nutrient Mixture F-12 Ham))等の培地を使用することができるが、特に限定されない。好ましい基礎培地としてはαMEM培地が例示できる。また、市販の各種の無血清培地も使用できる。無血清培地としては、例えば、STK1やSTK2(DSファーマバイオメディカル社)、EXPREP MSC Medium(バイオミメティクスシンパシーズ社)、Corning stemgroヒト間葉系幹細胞培地(コーニング社)などが挙げられる。
【0050】
基礎培地に添加し得る他の成分としては例えば、アルブミン、ウシ血清、血清代替試薬又は増殖因子などが挙げられ、その中でも血清代替試薬が好ましく、特に血小板溶解物が好ましい。なかでも、血清代替試薬を含み、且つ、アルブミン、ウシ血清及び増殖因子を含まない基礎培地中で培養を行うことが好ましい。血小板溶解物の培地中の濃度の下限としては、例えば、終濃度として1体積%以上、好ましくは2体積%以上、より好ましくは3体積%以上を挙げることができる。また、血小板溶解物の培地中の濃度の上限としては例えば、20体積%以下、好ましくは10体積%以下、より好ましくは7体積%以下が好ましい。
【0051】
接着性幹細胞を含む細胞集団の培養は、例えば、以下のような工程にて行うことができる。まず、細胞懸濁液を遠心分離し、上清を除去し、得られた細胞ペレットを培地にて懸濁する。次に、プラスチック製培養容器に細胞を播種し、3%以上、5%以下のCO濃度、37℃環境にて、上述したような培地を用いて培養する。上記のような培養により取得した細胞は、1回培養した細胞である。
【0052】
上記の1回培養した細胞は、例えば、以下のようにさらに継代し、培養することができる。まず、1回培養した細胞を、細胞剥離手段にて処理してプラスチック製培養容器から剥離させる。次に、得られた細胞懸濁液を遠心分離し、上清を除去し、得られた細胞ペレットを培地にて懸濁する。最後に、プラスチック製培養容器に細胞を播種し、3%以上、5%以下のCO濃度、37℃環境にて、培地を用いてコンフルエント率95%以下となるように培養する。上記の培地としては、例えば、αMEM、M199、或いはこれらを基礎とする培地を挙げることができるが、これらに限定されない。上記のような継代及び培養により取得した細胞は、1回継代した細胞である。同様の継代及び培養を行うことにより、n回継代した細胞を取得することができる(nは1以上の整数を示す)。継代回数nの下限は、細胞を大量に製造する観点から、例えば、1回、好ましくは2回である。また、継代回数nの上限は、細胞の老化を抑える観点から、例えば、20回、10回であることが好ましい。上記の細胞剥離手段として、例えば、細胞剥離剤を使用してもよい。細胞剥離剤としては、トリプシン、コラゲナーゼ、ディスパーゼ、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)等を使用することができるが、特に限定されない。細胞剥離剤として、市販の細胞剥離剤を用いてもよい。例えば、トリプシン-EDTA溶液(Thermo Fisher Scientific社製)、TrypLE Select(Thermo Fisher Scientific社製)、Accutase(Stemcell Technologies社製)、Accumax(Stemcell Technologies社製)などが挙げられるが、これらに限定されない。また、細胞剥離手段として、物理的な細胞剥離手段を使用してもよく、例えば、セルスクレーパー(Corning社製)を使用することができるが、これに限定されない。細胞剥離手段は、単独で使用してもよく、複数を組み合わせて使用してもよい。
【0053】
本発明の接着性幹細胞製剤の製造方法において、上記培養工程は、任意の回数実施することができる。また本発明の凍結保存液を使用する凍結保存工程との組み合わせについても自由である。例えば、上記細胞集団取得工程で得られた接着性幹細胞の細胞集団を培養した後、本発明の凍結保存液を用いて凍結保存を行い、その後再び培養工程を実施しても良いし、培養工程と凍結保存工程を複数回繰り返しても良い。
【0054】
[4]細胞治療剤
本発明の製造方法で製造した接着性幹細胞製剤は、難治性疾患に対する治療剤の有効成分として利用が可能である。すなわち本発明の製造方法で製造した接着性幹細胞製剤を有効成分とする細胞治療剤も、本発明の一態様である。なお、本発明の製造方法で製造した接着性幹細胞製剤をさらに培養したものを本発明の細胞治療剤の有効成分として利用することも出来る。
【0055】
本発明の細胞治療剤は、免疫関連疾患、筋ジストロフィー症、虚血性疾患、下肢虚血、脳血管虚血、腎臓虚血、肺虚血、神経性疾患、移植片対宿主病、炎症性腸疾患、クローン病、潰瘍性大腸炎、放射線腸炎、全身性エリテマトーデス、紅斑性狼瘡、膠原病、脳卒中、脳梗塞、脳内血腫、脳血管麻痺、肝硬変、アトピー性皮膚炎、多発性硬化症、乾癬、表皮水疱症、糖尿病、菌状息肉腫、強皮症、軟骨等の結合組織の変性及び/又は炎症から起こる疾患、関節軟骨欠損、半月板損傷、離弾性骨軟骨症、無腐性骨壊死、変形性膝関節症、炎症性関節炎、関節リウマチ、眼疾患、血管新生関連疾患、虚血性心疾患、冠動脈性心疾患、心筋梗塞、狭心症、心不全、心筋症、弁膜症、創傷、上皮損傷、線維症、肺疾患、及び癌から選択される疾患の治療剤として利用することが可能である。
【0056】
本発明の細胞治療剤は、製薬上許容し得る媒体により希釈したものでもよい。上記の製薬上許容し得る媒体は、患者又は被験者に投与し得る溶液であれば特に限定されない。製薬上許容し得る媒体は、輸液製剤であってもよく、例えば、注射用水、生理食塩液、5%ブドウ糖液、リンゲル液、乳酸リンゲル液、酢酸リンゲル液、重炭酸リンゲル液、アミノ酸液、開始液(1号液)、脱水補給液(2号液)、維持輸液(3号液)、術後回復液(4号液)、Plasma-Lyte A(登録商標)等を挙げることができるが、これらに限定されない。
【0057】
本明細書における「患者又は被験者」とは、典型的にはヒトであるが、他の動物であってもよい。他の動物としては、例えば、イヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ブタ、ヤギ、ヒツジ、サル(カニクイザル、アカゲザル、コモンマーモセット、ニホンザル)、フェレット、ウサギ、げっ歯類(マウス、ラット、スナネズミ、モルモット、ハムスター)等の哺乳動物、ニワトリ、ウズラ等の鳥類が挙げられるが、これらに限定されない。
【0058】
本明細書における「治療」としては、例えば、患者又は被験者の生命予後、機能予後、生存率、体重減少、貧血、下痢、下血、腹痛、発熱、食欲低下、栄養失調、嘔吐、疲労、発疹、炎症、潰瘍、びらん、瘻孔、狭窄、腸閉塞、内出血、直腸出血、痙攣、疼痛、肝機能低下、心機能低下、肺機能低下、運動機能、筋力低下、又は血液検査項目のうち、少なくとも1つを有意に改善することが挙げられるが、これらに限定されない。
【0059】
本発明の細胞治療剤は、患者又は被験者の治療の際に用いられる任意の成分を含んでもよい。上記の成分としては、例えば、塩類(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩)やそれを含む水溶液(例えば、生理食塩液、リンゲル液、ビカネイト輸液)、多糖類(例えば、ヒドロキシルエチルデンプン、デキストランなど)、タンパク質(例えば、アルブミンなど)、ジメチルスルホキシド、アミノ酸、培地成分(例えば、RPMI1640培地に含まれる成分など)などを挙げることができるが、これらに限定されない。
【0060】
本発明の細胞治療剤は、保存安定性、等張性、吸収性及び/又は粘性を増加するための種々の添加剤、例えば、乳化剤、分散剤、緩衝剤、保存剤、湿潤剤、抗酸化剤、キレート剤、増粘剤、ゲル化剤、pH調整剤等を含んでもよい。前記増粘剤としては、例えば、ヒドロキシルエチルデンプン、デキストラン、メチルセルロース、キサンタンガム、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等が挙げられるが、これらに限定されない。増粘剤の濃度は、選択される増粘剤によるが、患者又は被験者に投与した場合に安全であり、かつ所望の粘性を達成する濃度の範囲で、任意に設定することができる。
【0061】
本発明の細胞治療剤は、接着性幹細胞以外に、1つ又は複数の他の医薬成分を含んでもよい。上記の他の医薬成分としては、例えば、抗生物質、アルブミン製剤、ビタミン製剤、抗炎症剤等を挙げることができるが、これらに限定されない。上記の抗炎症剤としては、5-アミノサリチル酸製剤、ステロイド製剤、免疫抑制剤、生物学的製剤等が挙げられるが、これらに限定されない。上記の5-アミノサリチル酸製剤としては、例えば、サラゾスルファピリジン、メサラジンなどを挙げることができるが、これらに限定されない。上記のステロイド製剤としては、例えば、コルチゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロンなどを挙げることができるが、これらに限定されない。上記の免疫抑制剤としては、例えば、タクロリムス、シクロスポリン、メトトレキサート、アザチプリン、6-メルカプトプリンなどを挙げることができるが、これらに限定されない。上記の生物学的製剤としては、例えば、インフリキシマブ、アダリムマブ、ウステキヌマブ、セクキヌマブ、イキセキズマブ、ブロダルマブ、トシリズマブ、ベドリズマブ、フィルゴチニブ、ゴリムマブ、セルトリズマブペゴル、アバタセプト、エタネルセプトなどを挙げることができるが、これらに限定されない。
【0062】
また、上記の他の医薬成分は、投与可能な他の細胞であってもよい。投与可能な他の細胞としては、血液由来細胞(白血球、赤血球、単核球等)、血管内皮細胞、血管内皮前駆細胞、周皮細胞、血管壁細胞、線維芽細胞、骨格筋芽細胞、上皮細胞、間質細胞、成熟脂肪細胞等が挙げられるが、特に限定されない。
【0063】
本発明の細胞治療剤のpHは、中性付近のpH、例えば、pH5.5以上、6.5以上又はpH7.0以上とすることができ、またpH10.5以下、pH9.5以下、pH8.5以下又はpH8.0以下とすることができるが、これらに限定されない。
【0064】
本発明の細胞治療剤における接着性幹細胞の濃度としては、患者又は被験者に投与した場合に、投与していない患者又は被験者と比較して疾患に対して治療効果を得ることができるような細胞の濃度である。具体的な細胞濃度は、投与形態、投与方法、使用目的、及び患者又は被験者の年齢、体重及び症状等によって適宜決定することができる。本発明の細胞治療剤の細胞濃度の下限は、特に限定されないが、例えば、1.0×10個/mL以上、1.0×10個/mL以上、1.2×10個/mL以上、1.4×10個/mL以上、1.6×10個/mL以上、1.8×10個/mL以上、2.0×10個/mL以上、3.0×10個/mL以上、4.0×10個/mL以上、5.0×10個/mL以上、6.0×10個/mL以上、7.0×10個/mL以上、8.0×10個/mL以上、9.0×10個/mL以上、9.5×10個/mL以上、又は1.0×10個/mL以上である。本発明の細胞治療剤の細胞濃度の上限は、特に限定されないが、例えば、1.0×1010個/mL以下、1.0×10個/mL以下、8.0×10個/mL以下、6.0×10個/mL以下、4.0×10個/mL以下、2.0×10個/mL以下、又は1.0×10個/mL以下である。
【0065】
本発明の細胞治療剤は、好ましくは液剤であり、より好ましくは注射用液剤である。注射用液剤としては、例えば、国際公開WO2011/043136号公報、特開2013-256510号公報などにおいて、注射に適した液体調製物が知られている。本発明の細胞治療剤も、上記文献に記載されている注射用液剤とすることができる。
【0066】
また、上記液剤は細胞の懸濁液でもよく、細胞が液剤中に分散した液体調製物でもよい。さらに前記液剤に含まれる細胞の形態は特に限定されないが、例えばシングルセルでもよいし、細胞凝集塊でもよい。なお、上記液剤は、言うまでもなく、塗布用や貼付用や噴霧用としても使用できる。
【0067】
また、本発明の一態様によれば、本発明の細胞治療剤は、移植用製剤であってもよい。移植用製剤は、固体状またはゲル状の製剤であり、例えば、固体状の移植用製剤としては、シート状構造またはペレット構造の移植用製剤が挙げられる。また、ゲル状構造の移植用製剤としては、例えば、国際公開WO2017/126549号公報において、分離された細胞を接着剤(例えば、フィブリノーゲン)により接着させることにより得られるゲルを含む移植用製剤が知られている。また、本発明の一態様によれば、本発明の細胞治療剤は、細胞と任意のゲルを混合したゲル製剤であってもよい。ゲル製剤としては、例えば、特表2017-529362号公報において、接着性幹細胞-ヒドロゲル組成物より構成される細胞治療剤が知られている。本発明の細胞治療剤も、例えば上記文献に記載されている方法を用いることにより、ゲル製剤とすることができる。
【0068】
また、シート状構造の移植用製剤としては、例えば、国際公開WO2006/080434号公報、特開2016-52272号公報などにおいて、温度応答性培養皿(例えば、UpCell(登録商標)(セルシード社製))を用いて培養することにより得られる細胞シートや、シート状細胞培養物とフィブリンゲルとの積層体、細胞懸濁液をシート状の基材に塗布した細胞塗布シートなどが知られている。本発明の細胞治療剤も、例えば上記文献に記載されている方法を用いることにより、各種のシート状構造の移植用製剤とすることができる。
【0069】
本発明の細胞治療剤の投与方法は、特に限定されないが、例えば、皮下注射、皮内注射、筋肉内注射、リンパ節内注射、静脈内注射、動脈内注射、腹腔内注射、胸腔内注射、局所への直接注射、直接貼付、又は局所に直接移植することなどが挙げられる。本発明の一態様によれば、注射用液剤を注射器に充填して、注射針やカテーテルを通じて静脈内、動脈内、心筋内、間節腔内、肝動脈内、筋肉内、硬膜外、歯肉、脳室内、皮下、皮内、腹腔内、門脈内に投与することができるが、これらに限定されない。細胞治療剤の投与方法については、例えば、特開2015-61520号公報、Onken JE,t al.American College of Gastroenterology Conference 2006Las Vegas,NV, Abstract 121.、Garcia-Olmo D,et al.Dis Colon Rectum 2005;48:1416-23.などにおいて、静脈内注射、点滴静脈注射、局所への直接注射、局所への直接移植などが知られている。本発明の細胞治療剤も、上記文献に記載されている各種方法により投与することができる。
【0070】
本発明の細胞治療剤の用量としては、患者又は被験者に投与した場合に、投与していない患者又は被験者と比較して疾患に対して治療効果を得ることができるような細胞の量である。具体的な用量は、投与形態、投与方法、使用目的、及び患者又は被験者の年齢、体重及び症状等によって適宜決定することができる。ヒトへの接着性幹細胞の1回の用量は、特に限定されないが、例えば、1×10個/kg体重以上、1×10個/kg体重以上、5×10個/kg体重以上、1×10個/kg体重以上、2×10個/kg体重以上、4×10個/kg体重以上、6×10個/kg体重以上、又は8×10個/kg体重以上である。また、ヒトへの接着性幹細胞の1回の用量は、特に限定されないが、例えば、1×1012個/kg体重以下、1×1011個/kg体重以下、1×1010個/kg体重以下、1×10個/kg体重以下、5×10個/kg体重以下、1×10個/kg体重以下、8×10個/kg体重以下、6×10個/kg体重以下、4×10個/kg体重以下、又は2×10個/kg体重以下である。
【0071】
本発明の細胞治療剤が注射用液剤である場合、注射用液剤のヒトへの接着性幹細胞の1回の用量は、疾患に対する治療効果を高める観点から、1×10個/kg体重以上、5×10個/kg体重以上、1×10個/kg体重以上、2×10個/kg体重以上、4×10個/kg体重以上、6×10個/kg体重以上、又は8×10個/kg体重以上であることが好ましい。また、注射用液剤のヒトへの接着性幹細胞の1回の用量は、注射用液剤の調製と投与を容易にする観点から、1×10個/kg体重以下、5×10個/kg体重以下、1×10個/kg体重以下、8×10個/kg体重以下、6×10個/kg体重以下、4×10個/kg体重以下、又は2×10個/kg体重以下であることが好ましい。
【0072】
本発明の細胞治療剤の投与頻度は、患者又は被験者に投与した場合に、疾患に対して治療効果を得ることができるような頻度である。具体的な投与頻度は、投与形態、投与方法、使用目的、及び患者又は被験者の年齢、体重及び症状等によって適宜決定することができるが、例えば、4週間に1回、3週間に1回、2週間に1回、1週間に1回、1週間に2回、1週間に3回、1週間に4回、1週間に5回、1週間に6回、又は1週間に7回である。
【0073】
本発明の細胞治療剤の投与期間は、患者又は被験者に投与した場合に、疾患に対して治療効果を得ることができるような期間である。具体的な投与期間は、投与形態、投与方法、使用目的、及び患者又は被験者の年齢、体重及び症状等によって適宜決定することができるが、例えば、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、又は8週間である。
【0074】
本発明の細胞治療剤を患者又は被験者に投与するタイミングは、特に限定されないが、例えば、発症直後、発症からn日以内(nは1以上の整数を示す)、診断直後、診断からn日以内(nは1以上の整数を示す)、寛解の前、寛解の間、寛解の後、再燃の前、再燃の間、再燃の後などが挙げられる。
【実施例
【0075】
以下の実施例にて、本発明を具体的に説明するが、本発明は実施例によって限定されるものではない。
【0076】
(比較例1)
<工程1:羊膜の酵素処理及び接着性幹細胞の回収>
インフォームドコンセントを得た待機的帝王切開症例の妊婦から、羊膜を含む卵膜及び胎盤を無菌的に採取した。得られた卵膜及び胎盤を生理食塩水が入った滅菌バットに収容し、卵膜の断端から羊膜を用手的に剥離した。羊膜をハンクス平衡塩溶液(Ca・Mg不含)にて洗浄し、付着した血液及び血餅を除去した後に、240PU/mLコラゲナーゼ及び200PU/mLディスパーゼIを含有するハンクス平衡塩溶液(Ca・Mg含有)に浸し、37℃にて60分間、10rpmの条件にて振盪攪拌することにより羊膜を酵素処理した。酵素処理後の溶液を目開き95μmのナイロンメッシュでろ過することにより羊膜の未消化物を取り除き、接着性幹細胞を含む細胞懸濁液を回収した。
【0077】
<工程2:接着性幹細胞の培養、回収>
工程1で得られた、接着性幹細胞を含む細胞集団を培養容器の75cmU字型カントネック細胞培養フラスコ(ベントキャップ)(Corning社製)に1,000cells/cmの密度で播種し、終濃度が5体積%のヒト血小板溶解物を含むαMEMを用いて培養した。細胞がサブコンフルエントに達するまで培養を行ったのちに、トリプシンーEDTA溶液を用いて細胞をフラスコから剥離した。剥離した細胞を生理食塩水で洗浄した。
【0078】
<工程3:凍結保存液への細胞の懸濁>
工程2で得た接着性幹細胞を生理食塩水に懸濁して、細胞濃度2×10cells/mLの細胞懸濁液を調製した。10体積%ジメチルスルホキシド、12質量%ヒドロキシエチルデンプン、8質量%ヒト血清アルブミンを含む溶液(A)を別途調製し、細胞懸濁液と1:1の割合で混合した。
【0079】
<工程4:凍結>
工程4で調製した細胞懸濁液と溶液(A)の混合液を1mLずつNuncクライオチューブ1.8mLインナーキャップ(Thermo Fisher Scientific社製)に充填した。その後すぐに、上記混合液を充填したクライオバイアルをCoolCell(Corning社製)に入れた状態で、-80℃のディープフリーザーに24時間静置して凍結した。凍結後は液体窒素保管容器内に細胞を移し、液体窒素液相中で10日間保存した。
【0080】
(比較例2)
工程3において接着性幹細胞を2mMのLーアスコルビン酸ナトリウム塩(富士フィルム和光純薬株式会社製)を含有する生理食塩水に懸濁して、細胞濃度2×10cells/mLの細胞懸濁液を調製する以外は、比較例1と同様の操作を行った。
【0081】
(比較例3)
工程3において接着性幹細胞を8mMのLーアスコルビン酸ナトリウム塩(富士フィルム和光純薬株式会社製)を含有する生理食塩水に懸濁して、細胞濃度2×10cells/mLの細胞懸濁液を調製する以外は、比較例1と同様の操作を行った。
【0082】
(比較例4)
工程3において接着性幹細胞を10mMのLーアスコルビン酸ナトリウム塩( 富士フィルム和光純薬株式会社製)を含有する生理食塩水に懸濁して、細胞濃度2×10cells/mLの細胞懸濁液を調製する以外は、比較例1と同様の操作を行った。
【0083】
(比較例5)
工程3において接着性幹細胞を0.4mMのLーアスコルビン酸ー2ーリン酸エステルマグネシウム塩(富士フィルム和光純薬株式会社製)を含有する生理食塩水に懸濁して、細胞濃度2×10cells/mLの細胞懸濁液を調製する以外は、比較例1と同様の操作を行った。
【0084】
(実施例1)
工程3において接着性幹細胞を2mMのLーアスコルビン酸ー2ーリン酸エステルマグネシウム塩(富士フィルム和光純薬株式会社製)を含有する生理食塩水に懸濁して、細胞濃度2×10cells/mLの細胞懸濁液を調製する以外は、比較例1と同様の操作を行った。
【0085】
(実施例2)
工程3において接着性幹細胞を8mMのLーアスコルビン酸ー2ーリン酸エステルマグネシウム塩(富士フィルム和光純薬株式会社製)を含有する生理食塩水に懸濁して、細胞濃度2×10cells/mLの細胞懸濁液を調製する以外は、比較例1と同様の操作を行った。
【0086】
(実施例3)
工程3において接着性幹細胞を10mMのLーアスコルビン酸ー2ーリン酸エステルマグネシウム塩(富士フィルム和光純薬株式会社製)を含有する生理食塩水に懸濁して、細胞濃度2×10cells/mLの細胞懸濁液を調製する以外は、比較例1と同様の操作を行った。
【0087】
(実施例4)
工程3において接着性幹細胞を4mMのLーアスコルビン酸ー2ーリン酸エステルマグネシウム塩(富士フィルム和光純薬株式会社製)を含有する生理食塩水に懸濁して、細胞濃度2×10cells/mLの細胞懸濁液を調製する以外は、比較例1と同様の操作を行った。
【0088】
下記の表1には各凍結保存液に添加した抗酸化剤の種類とその終濃度を記載した。
【0089】
【表1】
【0090】
(凍結保存液の生存率評価)
上記の実施例1~3及び比較例1~4の凍結保存後の接着性幹細胞を、37℃湯浴にて解凍し、解凍後22℃温度条件下に静置し、解凍後0、3、20、26時間における各接着性幹細胞の生存率を測定した。0時間の生存率を100%とした際の解凍後3、20、26時間の相対生存率について表2および図1に示した。表2及び図1に示すように、実施例1~3では26時間経過後においても生存率の低下が1~4%の範囲に抑えられていたが、比較例1~4では9%以上の生存率の低下がみられた。この結果より、実施例の凍結保存液は比較例と比べて毒性の低い凍結保存液であることが示された。
【0091】
(増殖性評価)
上記の実施例4及び比較例1、5の凍結保存液を用いて凍結した接着性幹細胞の解凍後の比増殖速度を評価した。具体的には、まず凍結した接着性幹細胞を37℃の湯浴で解凍し、U型フラスコ75cmカントネックベントキャップ(Corning社製)に1000生細胞/cmの密度で細胞用培地を用いて播種した。148時間培養後に、フラスコ内に接着している接着性幹細胞を回収し、回収細胞数を測定し、下記の式を用いて比増殖速度を求めた(n=3)。
【0092】
比増殖速度(h-1)=LN(回収細胞数/播種生細胞数)/総培養時間
【0093】
得られた結果を図2に示す。図2の*は比較例1に対して有意水準0.05で有意差があることを示し、図2の結果より、実施例4の凍結保存液で凍結した接着性幹細胞の増殖性は、比較例1の凍結保存液で凍結した接着性幹細胞の増殖性よりも高いことが示された。
【0094】
(接着性評価)
上記の実施例4及び比較例1、5の凍結保存液を用いて凍結した接着性幹細胞の解凍後の接着率を評価した。具体的には、まず凍結した接着性幹細胞を37℃の湯浴で解凍し、15cmディッシュに4×10生細胞/ディッシュで細胞用培地を用いて播種した。22時間培養後に、ディッシュに接着している接着性幹細胞を回収し、回収細胞数を測定し、下記の式を用いて接着率を求め、得られた結果を表3と図3に示した。
【0095】
接着率(%)=回収細胞数/(4×10生細胞)×100
【0096】
表3及び図3に示すように、実施例4の凍結保存液で凍結した接着性幹細胞の接着率は、比較例1、5の凍結保存液で凍結した接着性幹細胞の接着率よりも高いことが示された。
【0097】
【表2】
【0098】
【表3】
図1
図2
図3