(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2026-03-11
(45)【発行日】2026-03-19
(54)【発明の名称】樹脂チューブ
(51)【国際特許分類】
C08J 5/00 20060101AFI20260312BHJP
C08L 67/04 20060101ALI20260312BHJP
C08K 5/103 20060101ALI20260312BHJP
A47G 21/18 20060101ALI20260312BHJP
F16L 11/04 20060101ALI20260312BHJP
【FI】
C08J5/00 CFD
C08J5/00 ZBP
C08L67/04
C08K5/103
A47G21/18
F16L11/04
(21)【出願番号】P 2022110219
(22)【出願日】2022-07-08
【審査請求日】2025-05-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000000941
【氏名又は名称】株式会社カネカ
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】橋口 朋晃
(72)【発明者】
【氏名】福嶋 賢悟
【審査官】芦原 ゆりか
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2022/009717(WO,A1)
【文献】国際公開第2022/044836(WO,A1)
【文献】国際公開第2020/040093(WO,A1)
【文献】特開2021-091866(JP,A)
【文献】国際公開第2008/018567(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08J 5/00-5/02;5/12-5/22
C08K
C08L
A47G 19/22
A47G 21/18
F16L 11/00-11/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂成分を含有する樹脂チューブであって、
前記ポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂成分が、
他のヒドロキシアルカノエート単位の含有割合が1~6モル%である、3-ヒドロキシブチレート単位と他のヒドロキシアルカノエート単位との共重合体である高結晶性樹脂(A)、及び、
他のヒドロキシアルカノエート単位の含有割合が24モル%以上である、3-ヒドロキシブチレート単位と他のヒドロキシアルカノエート単位との共重合体である低結晶性樹脂(B)を含み、
前記樹脂チューブが更に可塑剤を含有し、
前記可塑剤の含有割合が、前記低結晶性樹脂(B)と前記可塑剤の合計含有量のうち7~35重量%であり、
160℃、10分間の条件で測定した前記樹脂チューブの熱収縮率が6%以下である、樹脂チューブ。
【請求項2】
前記ポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂成分を構成する全モノマー単位に占める前記他のヒドロキシアルカノエート単位の平均含有割合が、5~18モル%である、請求項
1に記載の樹脂チューブ。
【請求項3】
前記他のヒドロキシアルカノエート単位が、3-ヒドロキシヘキサノエート単位である、請求項
1又は
2に記載の樹脂チューブ。
【請求項4】
前記樹脂チューブの肉厚が0.01mm以上0.6mm以下である、請求項1又は2に記載の樹脂チューブ。
【請求項5】
前記樹脂チューブの肉厚が0.7mm以上10mm以下である、請求項1又は2に記載の樹脂チューブ。
【請求項6】
前記可塑剤が変性グリセリン系化合物である、請求項1又は2に記載の樹脂チューブ。
【請求項7】
前記変性グリセリン系化合物が、グリセリンジアセトモノラウレート、グリセリンジアセトモノオレート、グリセリンモノアセトモノステアレート、グリセリンジアセトモノカプリレート、及び、グリセリンジアセトモノデカノエートからなる群より選ばれる少なくとも1種を含む、請求項
6に記載の樹脂チューブ。
【請求項8】
ポリ(3-ヒドロキシブチレート)をさらに含む、請求項1又は2に記載の樹脂チューブ。
【請求項9】
請求項1又は2に記載の樹脂チューブに対して加熱を伴う二次加工を実施する工程を含む、二次加工が施された樹脂チューブの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂成分を含有する樹脂チューブに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、欧州を中心に生ゴミの分別回収やコンポスト処理が進められており、生ゴミと共にコンポスト処理できるプラスチック製品が望まれている。さらに、マイクロプラスチックによる海洋汚染がクローズアップされ、海水中で分解するプラスチックの開発が期待されている。
【0003】
ポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂は、多くの微生物種の細胞内にエネルギー貯蔵物質として生産、蓄積される熱可塑性ポリエステルであり、土中だけでなく、海水中でも生分解が進行しうる材料であるため、上記の問題を解決する素材として注目されている。
【0004】
特許文献1では、ポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂から形成され、しなりやすく、ストローとして好適に使用できる、肉厚が0.1~0.6mmの樹脂チューブが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
これまでのポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂から形成された樹脂チューブは、加熱を伴う二次加工(例えば、伸縮ストローを作製するための拡幅加工)時に加熱収縮による寸法変化が起こって、目的の形状に加工できない場合があり、この点での改善が求められている。
本発明は、上記現状に鑑み、ポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂成分を含有し、かつ加熱収縮が抑制された樹脂チューブを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、ポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂成分を含有する樹脂チューブにおいて、構成モノマーの種類及び/又は構成モノマーの含有割合が互いに異なる少なくとも2種類のポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂を使用し、かつ、可塑剤を配合し、特定条件下での熱収縮率を特定値以下に低減した樹脂チューブは、加熱収縮が抑制され、加熱を伴う二次加工を良好に実施できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
即ち、本発明は、ポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂成分を含有する樹脂チューブであって、前記ポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂成分が、構成モノマーの種類及び/又は構成モノマーの含有割合が互いに異なる少なくとも2種類のポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂を含有し、前記樹脂チューブが更に可塑剤を含有し、160℃、10分間の条件で測定した前記樹脂チューブの熱収縮率が6%以下である、樹脂チューブに関する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂成分を含有し、かつ加熱収縮が抑制された樹脂チューブを提供することができる。当該樹脂チューブに対しては、加熱を伴う二次加工を好適に実施することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明の実施形態について説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
【0011】
本発明の一実施形態は、ポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂成分を含有する樹脂チューブに関する。
【0012】
(ポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂成分)
ポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)樹脂成分としては、構成モノマーの種類及び/又は構成モノマーの含有割合が互いに異なる少なくとも2種類のポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂を用いる。
当該少なくとも2種類のポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂に、後述する可塑剤を併用することによって、ポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂成分を含有しながら、加熱収縮が抑制された樹脂チューブを提供することができる。また、前記混合物を用いることによって樹脂チューブの耐衝撃性を改善することもできる。
【0013】
前記ポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂は、3-ヒドロキシアルカノエート単位を有する重合体、具体的には、下記一般式(1)で示される単位を含む重合体であることが好ましい。
[-CHR-CH2-CO-O-] (1)
【0014】
一般式(1)中、RはCpH2p+1で表されるアルキル基を示し、pは1~15の整数を示す。Rとしては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、メチルプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等の直鎖または分岐鎖状のアルキル基が挙げられる。pとしては、1~10が好ましく、1~8がより好ましい。
【0015】
前記ポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂としては、特に微生物から産生されるポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂が好ましい。微生物から産生されるポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂においては、3-ヒドロキシアルカノエート単位が、全て(R)-3-ヒドロキシアルカノエート単位として含有される。
【0016】
ポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂は、3-ヒドロキシアルカノエート単位(特に、一般式(1)で表される単位)を、全構成単位の50モル%以上含むことが好ましく、60モル%以上含むことがより好ましく、70モル%以上含むことが更に好ましい。ポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂は、重合体の構成単位として、1種又は2種以上の3-ヒドロキシアルカノエート単位のみを含むものであってもよいし、1種又は2種以上の3-ヒドロキシアルカノエート単位に加えて、その他の単位(例えば、4-ヒドロキシアルカノエート単位等)を含むものであってもよい。
【0017】
ポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂は、3-ヒドロキシブチレート(以下、3HBと称する場合がある)単位を含む単独重合体又は共重合体であることが好ましい。特に、3-ヒドロキシブチレート単位は、全て(R)-3-ヒドロキシブチレート単位であることが好ましい。また、ポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂は、3-ヒドロキシブチレート単位と他のヒドロキシアルカノエート単位との共重合体であることが好ましい。
【0018】
ポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂の具体例としては、例えば、ポリ(3-ヒドロキシブチレート)、ポリ(3-ヒドロキシブチレート-コ-3-ヒドロキシプロピオネート)、ポリ(3-ヒドロキシブチレート-コ-3-ヒドロキシバレレート)(略称:P3HB3HV)、ポリ(3-ヒドロキシブチレート-コ-3-ヒドロキシバレレート-3-ヒドロキシヘキサノエート)、ポリ(3-ヒドロキシブチレート-コ-3-ヒドロキシヘキサノエート)(略称:P3HB3HH)、ポリ(3-ヒドロキシブチレート-コ-3-ヒドロキシヘプタノエート)、ポリ(3-ヒドロキシブチレート-コ-3-ヒドロキシオクタノエート)、ポリ(3-ヒドロキシブチレート-コ-3-ヒドロキシノナノエート)、ポリ(3-ヒドロキシブチレート-コ-3-ヒドロキシデカノエート)、ポリ(3-ヒドロキシブチレート-コ-3-ヒドロキシウンデカノエート)、ポリ(3-ヒドロキシブチレート-コ-4-ヒドロキシブチレート)(略称:P3HB4HB)等が挙げられる。特に、樹脂チューブの生産性および機械特性等の観点から、ポリ(3-ヒドロキシブチレート-コ-3-ヒドロキシヘキサノエート)又はポリ(3-ヒドロキシブチレート-コ-4-ヒドロキシブチレート)が好ましく、ポリ(3-ヒドロキシブチレート-コ-3-ヒドロキシヘキサノエート)がより好ましい。
【0019】
ポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂成分が、3-ヒドロキシブチレート単位と他のヒドロキシアルカノエート単位との共重合体を含む場合、ポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂成分を構成する全モノマー単位に占める3-ヒドロキシブチレート単位および他のヒドロキシアルカノエート単位の平均含有比率は、樹脂チューブの耐衝撃性と生産性を両立する観点から、3-ヒドロキシブチレート単位/他のヒドロキシアルカノエート単位=95/5~82/18(モル%/モル%)であることが好ましく、94/6~83/17(モル%/モル%)がより好ましく、93/7~84/16(モル%/モル%)がさらに好ましい。
【0020】
ポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂成分を構成する全モノマー単位に占める各モノマー単位の平均含有比率は、当業者に公知の方法、例えば国際公開2013/147139号の段落[0047]に記載の方法により求めることができる。平均含有比率とは、ポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂成分全体において全モノマー単位に占める各モノマー単位のモル比を意味し、ポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂成分を構成する2種以上のポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂の混合物全体に含まれる各モノマー単位のモル比を意味する。
【0021】
ポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂成分の重量平均分子量は、特に限定されないが、樹脂チューブの耐衝撃性と生産性を両立する観点から、20万~200万が好ましく、25万~150万がより好ましく、30万~100万が更に好ましい。
【0022】
また、ポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂成分を構成する各ポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂の重量平均分子量は、特に限定されない。しかし、例えば、後述するような高結晶性のポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂と低結晶性のポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂とをブレンドする場合、高結晶性のポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂の重量平均分子量は、樹脂チューブの耐衝撃性と生産性を両立する観点から、20万~100万が好ましく、22万~80万がより好ましく、25万~60万が更に好ましい。一方、低結晶性のポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂の重量平均分子量は、樹脂チューブの耐衝撃性と生産性を両立する観点から、20万~250万が好ましく、25万~230万がより好ましく、30万~200万が更に好ましい。
【0023】
なお、ポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂又はポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂成分の重量平均分子量は、クロロホルム溶液を用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(島津製作所社製HPLC GPC system)を用い、ポリスチレン換算により測定することができる。該ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにおけるカラムとしては、重量平均分子量を測定するのに適切なカラムを使用すればよい。
【0024】
構成モノマーの種類及び/又は構成モノマーの含有割合が互いに異なる少なくとも2種のポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂としては、少なくとも1種の高結晶性のポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂と、少なくとも1種の低結晶性のポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂を組み合わせて使用することが好ましい。一般に、高結晶性のポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂は生産性に優れるが機械強度が乏しい性質を有し、低結晶性のポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂は生産性に劣るが優れた機械特性を有する。両樹脂を混合すると、高結晶性のポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂が微細な樹脂結晶粒子を形成し、低結晶性のポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂が、該樹脂結晶粒子同士を架橋するタイ分子を形成すると推測される。これらの樹脂を組み合わせて使用することで、樹脂チューブの耐衝撃性が向上し得る。
【0025】
前記高結晶性のポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂が3-ヒドロキシブチレート単位を含む場合、該高結晶性のポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂に含まれる3-ヒドロキシブチレート単位の含有割合は、ポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂成分を構成する全モノマー単位に占める3-ヒドロキシブチレート単位の平均含有割合よりも高いことが好ましい。
【0026】
高結晶性のポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂が3-ヒドロキシブチレート単位と他のヒドロキシアルカノエート単位を含む場合、該高結晶性の樹脂における他のヒドロキシアルカノエート単位の含有割合は、1~10モル%が好ましく、1~8モル%がより好ましく、1~6モル%が更に好ましい。
【0027】
前記高結晶性のポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂成分としては、ポリ(3-ヒドロキシブチレート-コ-3-ヒドロキシヘキサノエート)、又は、ポリ(3-ヒドロキシブチレート-コ-4-ヒドロキシブチレート)が好ましく、ポリ(3-ヒドロキシブチレート-コ-3-ヒドロキシヘキサノエート)がより好ましい。
【0028】
また、前記低結晶性のポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂が3-ヒドロキシブチレート単位を含む場合、該低結晶性のポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂に含まれる3-ヒドロキシブチレート単位の含有割合は、ポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂成分を構成する全モノマー単位に占める3-ヒドロキシブチレート単位の平均含有割合よりも低いことが好ましい。
【0029】
低結晶性のポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂が3-ヒドロキシブチレート単位と他のヒドロキシアルカノエート単位を含む場合、該低結晶性の樹脂における他のヒドロキシアルカノエート単位の含有割合は、24~99モル%が好ましく、24~50モル%がより好ましく、24~35モル%がさらに好ましく、24~30モル%が特に好ましい。
【0030】
前記低結晶性のポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂としては、ポリ(3-ヒドロキシブチレート-コ-3-ヒドロキシヘキサノエート)、又は、ポリ(3-ヒドロキシブチレート-コ-4-ヒドロキシブチレート)が好ましく、ポリ(3-ヒドロキシブチレート-コ-3-ヒドロキシヘキサノエート)がより好ましい。
【0031】
高結晶性のポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂と低結晶性のポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂を併用する場合、両樹脂の合計量に対する各樹脂の使用割合は特に限定されないが、樹脂チューブの成形性や強度、加熱収縮抑制の観点から、前者が50重量%以上95重量%以下で、後者が5重量%以上50重量%以下であることが好ましく、前者が60重量%以上90重量%以下で、後者が10重量%以上40重量%以下であることがより好ましく、前者が70重量%以上85重量%以下で、後者が15重量%以上30重量%以下であることがさらに好ましい。
【0032】
ポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂の製造方法は特に限定されず、化学合成による製造方法であってもよいし、微生物による製造方法であってもよい。中でも、微生物による製造方法が好ましい。微生物による製造方法については、公知の方法を適用できる。例えば、3-ヒドロキシブチレートと、その他のヒドロキシアルカノエートとのコポリマー生産菌としては、P3HB3HVおよびP3HB3HH生産菌であるアエロモナス・キヤビエ(Aeromonas caviae)、P3HB4HB生産菌であるアルカリゲネス・ユートロファス(Alcaligenes eutrophus)等が知られている。特に、P3HB3HHに関し、P3HB3HHの生産性を上げるために、P3HA合成酵素群の遺伝子を導入したアルカリゲネス・ユートロファス AC32株(Alcaligenes eutrophus AC32,FERM BP-6038)(T.Fukui,Y.Doi,J.Bateriol.,179,p4821-4830(1997))等がより好ましく、これらの微生物を適切な条件で培養して菌体内にP3HB3HHを蓄積させた微生物菌体が用いられる。また前記以外にも、生産したいポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂に合わせて、各種ポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂合成関連遺伝子を導入した遺伝子組み換え微生物を用いても良いし、基質の種類を含む培養条件の最適化をすればよい。
【0033】
2種以上のポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂のブレンド物を得る方法は特に限定されず、微生物産生によりブレンド物を得る方法であってよいし、化学合成によりブレンド物を得る方法であってもよい。また、押出機、ニーダー、バンバリーミキサー、ロール等を用いて2種以上の樹脂を溶融混練してブレンド物を得てもよいし、2種以上の樹脂を溶媒に溶解して混合・乾燥してブレンド物を得ても良い。
【0034】
(他の樹脂)
本開示に係る樹脂チューブは、発明の効果を損なわない範囲で、ポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂以外の他の樹脂を含んでもよい。そのような他の樹脂としては、例えば、ポリブチレンサクシネートアジペート、ポリブチレンサクシネート、ポリカプロラクトン、ポリ乳酸などの脂肪族ポリエステル系樹脂や、ポリブチレンアジペートテレフタレート、ポリブチレンセバケートテレフタレート、ポリブチレンアゼレートテレフタレートなどの脂肪族芳香族ポリエステル系樹脂等が挙げられる。他の樹脂としては1種のみが含まれていてもよいし、2種以上が含まれていてもよい。
【0035】
前記他の樹脂の含有量は、特に限定されないが、ポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂成分の合計100重量部に対して、30重量部以下であることが好ましく、20重量部以下がより好ましく、10重量部以下がさらに好ましく、5重量部以下が特に好ましい。1重量部以下であってもよい。他の樹脂の含有量の下限は特に限定されず、0重量部であってもよい。
【0036】
(可塑剤)
本開示に係る樹脂チューブは、ポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂成分に加えて、可塑剤を含有する。可塑剤を配合することによって、ポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂成分を含有しながら、加熱収縮が抑制された樹脂チューブを提供することができる。
【0037】
前記可塑剤としては特に限定されないが、ポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂成分との相溶性の観点から、分子内にエステル結合を有するエステル化合物を使用することが好ましい。
【0038】
可塑剤として使用可能なエステル化合物としては、例えば、変性グリセリン系化合物、二塩基酸エステル系化合物、アジピン酸エステル系化合物、ポリエーテルエステル系化合物、安息香酸エステル系化合物、クエン酸エステル系化合物、イソソルバイドエステル系化合物、ポリカプロラクトン系化合物等が挙げられる。なかでも、変性グリセリンエステル系化合物、二塩基酸エステル系化合物、アジピン酸エステル系化合物、ポリエーテルエステル系化合物、又は、イソソルバイドエステル系化合物が好ましい。また、前記エステル化合物としては、1種を単独で使用することもできるし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。2種以上を組み合わせて使用する場合、それらエステル化合物の混合比率を適宜調整することができる。
【0039】
変性グリセリン系化合物としては、グリセリンエステル系化合物が好ましい。グリセリンエステル系化合物としては、グリセリンのモノエステル、ジエステル、又はトリエステルのいずれも使用することができるが、ポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂成分との相溶性の観点から、グリセリンのトリエステルが好ましい。グリセリンのトリエステルのなかでも、グリセリンジアセトモノエステルが特に好ましい。グリセリンジアセトモノエステルの具体例としては、グリセリンジアセトモノラウレート、グリセリンジアセトモノオレート、グリセリンジアセトモノステアレート、グリセリンジアセトモノカプリレート、グリセリンジアセトモノデカノエート等を挙げることができる。前記変性グリセリン系化合物としては、理研ビタミン株式会社の「リケマール」PLシリーズや、「BIOCIZER」などが例示される。
【0040】
二塩基酸エステル系化合物の具体例としては、ジブチルアジペート、ジイソブチルアジペート、ビス(2-エチルヘキシル)アジペート、ジイソノニルアジペート、ジイソデシルアジペート、ビス[2-(2-ブトキシエトキシ)エチル]アジペート、ビス[2-(2-ブトキシエトキシ)エチル]アジペート、ビス(2-エチルヘキシル)アゼレート、ジブチルセバケート、ビス(2-エチルヘキシル)セバケート、ジエチルサクシネート、混基二塩基酸エステル化合物などが挙げられる。
【0041】
アジピン酸エステル系化合物としては、ジエチルヘキシルアジペート、ジオクチルアジペート、ジイソノニルアジペートなどが挙げられる。
【0042】
ポリエーテルエステル系化合物としては、ポリエチレングリコールジベンゾエート、ポリエチレングリコールジカプリレート、ポリエチレングリコールジイソステアレートなどが挙げられる。
【0043】
前記エステル化合物としては、コスト、汎用性に優れているのに加え、バイオマス度が高い点から、変性グリセリン系化合物が好ましく、特に食品接触の観点から、グリセリントリエステルがより好ましく、グリセリンジアセトモノエステルがさらに好ましく、グリセリンジアセトモノラウレートが特に好ましい。
【0044】
可塑剤の配合量は、樹脂チューブの成形性や強度、加熱収縮抑制の観点を考慮して適宜設定することができるが、前記ポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂成分と前記可塑剤の合計のうち、0.1~10重量%であることが好ましい。加熱収縮抑制の観点からは可塑剤を多く配合することが望ましいが、可塑剤量が多すぎると、樹脂チューブの成形性や強度が低下する傾向がある。前記可塑剤の配合量の下限値は、1.0重量%以上であることが好ましく、2.0重量%以上がより好ましく、3.0重量%以上がさらに好ましい。また、上限値は、8重量%以下であることが好ましく、6重量%以下がさらに好ましい。
【0045】
可塑剤の配合によって樹脂チューブの加熱収縮が抑制されるメカニズムは定かではないが、少なくとも2種類のポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂のうち低結晶性の樹脂[3-ヒドロキシブチレート単位の含有割合が比較的低いポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂]に可塑剤が包含されることで、ポリマー鎖が動きやすくなり、樹脂チューブ製造時の長手方向(機械方向、又は軸方向)での樹脂の配向が緩和され、結果、樹脂チューブの加熱収縮が抑制され得るものと推測される。
【0046】
この観点から、樹脂チューブの熱収縮率を低減するには、低結晶性樹脂と可塑剤の配合比率を制御することが望ましく、具体的には、低結晶性樹脂と可塑剤の合計含有量に対する可塑剤の含有割合は、7~35重量%であることが好ましい。下限値は9重量%以上であることがより好ましく、15重量%以上がさらに好ましく、18重量%以上が特に好ましい。上限は30重量%以下であることがより好ましい。
【0047】
(添加剤)
本開示に係る樹脂チューブは、発明の効果を阻害しない範囲において、添加剤を含有してもよい。添加剤としては、例えば、結晶化核剤、滑剤、可塑剤、帯電防止剤、難燃剤、導電剤、断熱剤、架橋剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、着色剤、無機充填剤、有機充填剤、加水分解抑制剤等を目的に応じて使用できる。特に生分解性を有する添加剤が好ましい。
【0048】
結晶化核剤としては、例えば、ポリ(3-ヒドロキシブチレート)、ペンタエリスリトール、オロチン酸、アスパルテーム、シアヌル酸、グリシン、フェニルホスホン酸亜鉛、窒化ホウ素等が挙げられる。中でも、ポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂成分の結晶化を促進する効果が特に優れている点で、ポリ(3-ヒドロキシブチレート)、又は、ペンタエリスリトールが好ましい。尚、前記ポリ(3-ヒドロキシブチレート)とは、モノマー全体中3-ヒドロキシブチレート単位の含有割合が99モル%以上100モル%以下である重合体を指す。該ポリ(3-ヒドロキシブチレート)は上述したポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂成分にも該当し得る。
【0049】
結晶化核剤の使用量は、特に限定されないが、ポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂成分の合計100重量部に対して、0.1~5重量部が好ましく、0.5~3重量部がより好ましく、0.7~1.5重量部がさらに好ましい。また、結晶化核剤は、1種を使用してよいし、2種以上使用してもよく、目的に応じて、使用比率を適宜調整することができる。
【0050】
滑剤としては、例えば、ベヘン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、ステアリン酸アミド、パルミチン酸アミド、N-ステアリルベヘン酸アミド、N-ステアリルエルカ酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミド、エチレンビスエルカ酸アミド、エチレンビスラウリル酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、p-フェニレンビスステアリン酸アミド、エチレンジアミンとステアリン酸とセバシン酸の重縮合物等が挙げられる。中でも、ポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂成分への滑剤効果が特に優れている点で、ベヘン酸アミドとエルカ酸アミドが好ましい。
滑剤の使用量は、特に限定されないが、ポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂成分の合計100重量部に対して、0.01~5重量部が好ましく、0.05~3重量部がより好ましく、0.1~1.5重量部がさらに好ましい。また、滑剤は、1種を使用してもよいし、2種以上使用してもよく、目的に応じて、使用比率を適宜調整することができる。
【0051】
本開示に係る樹脂チューブは、160℃、10分間の条件で測定した前記樹脂チューブの熱収縮率が6%以下である。当該熱収縮率は、樹脂チューブの長手方向(機械方向、又は軸方向)に沿って測定される。前記熱収縮率が6%以下であることによって、加熱収縮が抑制され、例えば、加熱を伴う二次加工時に生じ得る寸法変化が低減され、成形不良などを回避することができる。前記熱収縮率の値は、5%以下であることが好ましく、4%以下がより好ましい。
【0052】
前記熱収縮率の条件を満足する樹脂チューブは、構成モノマーの種類及び/又は構成モノマーの含有割合が互いに異なる少なくとも2種類のポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂を使用し、かつ可塑剤を配合することによって得ることができる。前記熱収縮率の下限は、発明の効果を奏する限り特に限定されず、0%であってもよいが、1.0%以上であってもよいし、1.5%以上であってもよい。
熱収縮率を測定する方法の詳細は実施例の項で述べる。
【0053】
本明細書において、チューブとは、略一定の肉厚を有しており断面形状が略円形の壁面から構成され、内部が空洞になっている細長い円筒状の成形品のことをいう。該チューブは、ストロー、又は、パイプとして使用することができるが、用途はこれらに限定されない。
【0054】
本開示に係る樹脂チューブがストローとして使用される場合、該樹脂チューブの肉厚は、ストローとして飲料を飲む際の吸引で潰れることなく、適度な柔軟性を有していることから割れにくく、指先などを突いたりした際に怪我をしにくく、かつ海水中でも速やかに生分解することから、0.01mm以上0.6mm以下が好ましく、0.05mm以上0.5mm以下がより好ましく、0.1mm以上0.4mm以下がさらに好ましい。
【0055】
また、本開示に係る樹脂チューブがストローとして使用される場合、該樹脂チューブの外径は、特に限定されないが、ストローとして飲料を飲む際の使用のしやすさから、2~10mmが好ましく、4~8mmがより好ましく、5~7mmがさらに好ましい。
【0056】
本開示に係る樹脂チューブがパイプとして使用される場合、該樹脂チューブの肉厚は、当業者が適宜設定することができるが、0.7mm以上10mm以下が好ましく、1mm以上8mm以下がより好ましい。該パイプは海産物の養殖や漁獲などにおいて好適に使用することができる。
【0057】
本開示に係る樹脂チューブの断面形状は、略円形であるが、ストローやパイプとしての利用性の観点から、真円に近いほど好ましい。よって、該チューブの断面形状の偏平度[100×(外径最大値-外径最小値)/外径最大値]は、10%以下であることが好ましく、8%以下であることがより好ましく、5%以下であることがさらに好ましく、3%以下であることがよりさらに好ましい。なお、偏平度が0%であるとは、断面形状が真円であることを意味する。
【0058】
本開示に係る樹脂チューブの長さは、特に限定されない。しかし、該樹脂チューブをストローとして使用する場合、該樹脂チューブの長さは、ストローとして飲料を飲む際の使用のしやすさから、50~350mmが好ましく、70~300mmがより好ましく、90~270mmがさらに好ましい。
【0059】
ストローとして使用される樹脂チューブは、二次加工されていないチューブであってもよいし、ストッパー部の形成や蛇腹部の形成などの二次加工が施されたチューブであってもよい。
【0060】
本開示に係る樹脂チューブは、公知の方法によって製造することができ、例えば、ポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂成分と可塑剤のブレンド物を押出機中で溶融した後、押出機出口に接続されている環状ダイから押出して水中に投入して固化させることでチューブ状に成形することによって製造することができる。
【0061】
本開示に係る樹脂チューブに二次加工を施す場合、当該二次加工は、常温で実施してもよいし、加熱下で実施してもよい。本開示に係る樹脂チューブは、加熱収縮が抑制されたものであるので、加熱を伴う二次加工を好適に実施することができる。二次加工時の加熱温度は適宜設定することができるが、例えば、100~150℃程度であってよい。
【0062】
以下の各項目では、本開示における好ましい態様を列挙するが、本発明は以下の項目に限定されるものではない。
[項目1]
ポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂成分を含有する樹脂チューブであって、
前記ポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂成分が、構成モノマーの種類及び/又は構成モノマーの含有割合が互いに異なる少なくとも2種類のポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂を含有し、
前記樹脂チューブが更に可塑剤を含有し、
160℃、10分間の条件で測定した前記樹脂チューブの熱収縮率が6%以下である、樹脂チューブ。
[項目2]
前記ポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂成分が、3-ヒドロキシブチレート単位と他のヒドロキシアルカノエート単位との共重合体を含む、項目1に記載の樹脂チューブ。
[項目3]
前記ポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂成分が、
他のヒドロキシアルカノエート単位の含有割合が1~6モル%である、3-ヒドロキシブチレート単位と他のヒドロキシアルカノエート単位との共重合体である高結晶性樹脂(A)、及び、
他のヒドロキシアルカノエート単位の含有割合が24モル%以上である、3-ヒドロキシブチレート単位と他のヒドロキシアルカノエート単位との共重合体である低結晶性樹脂(B)を含む、項目2に記載の樹脂チューブ。
[項目4]
前記可塑剤の含有割合が、前記低結晶性樹脂(B)と前記可塑剤の合計含有量のうち7~35重量%である、項目3に記載の樹脂チューブ。
[項目5]
前記ポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂成分を構成する全モノマー単位に占める前記他のヒドロキシアルカノエート単位の平均含有割合が、5~18モル%である、項目2~4のいずれかに記載の樹脂チューブ。
[項目6]
前記他のヒドロキシアルカノエート単位が、3-ヒドロキシヘキサノエート単位である、項目2~5のいずれかに記載の樹脂チューブ。
[項目7]
前記樹脂チューブの肉厚が0.01mm以上0.6mm以下である、項目1~6のいずれかに記載の樹脂チューブ。
[項目8]
前記樹脂チューブの肉厚が0.7mm以上10mm以下である、項目1~7のいずれかに記載の樹脂チューブ。
[項目9]
前記可塑剤が変性グリセリン系化合物である、項目1~8のいずれかに記載の樹脂チューブ。
[項目10]
前記変性グリセリン系化合物が、グリセリンジアセトモノラウレート、グリセリンジアセトモノオレート、グリセリンモノアセトモノステアレート、グリセリンジアセトモノカプリレート、及び、グリセリンジアセトモノデカノエートからなる群より選ばれる少なくとも1種を含む、項目9に記載の樹脂チューブ。
【実施例】
【0063】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例によりその技術的範囲を限定されるものではない。
【0064】
実施例および比較例で使用した物質を以下に示す。
[ポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂]
P3HB3HH-3:P3HB3HH(平均含有比3HB/3HH=96.9/3.1(モル%/モル%)、重量平均分子量は30万g/mol)
国際公開第2019/142845号の実施例2に記載の方法に準じて製造した。
P3HB3HH-28:P3HB3HH(平均含有比3HB/3HH=71.8/28.2(モル%/モル%)、重量平均分子量は66万g/mol)
国際公開第2019/142845号の実施例9に記載の方法に準じて製造した。
【0065】
[添加剤]
添加剤-1:ポリヒドロキシブチレート「PHB」(重量平均分子量は30万g/mol)
国際公開第2004/041936号の比較例1に記載の方法に準じて製造した。
添加剤-2:ベヘン酸アミド(日本精化社製:BNT-22H)
【0066】
[可塑剤]
可塑剤:グリセリンジアセトモノラウレート(理研ビタミン社製:BIOCIZER)
実施例および比較例において実施した評価方法に関して、以下に説明する。
【0067】
[チューブ成形性の評価方法]
環状ダイ(外径15mm、内径13.5mm)を接続したφ50mmの単軸押出機のシリンダー温度およびダイ温度をそれぞれ160℃に設定し、樹脂組成物ペレットを投入して、スクリュー回転数を22rpmとしてチューブ状に押出した。押出したチューブを、環状ダイから100mm離した位置にある40℃の水槽に通した後に、引取機にて30m/minの速度で引き取り、200mmの長さにカットした。
上記の操作で外径6mm、肉厚0.2mm、長さ200mmのチューブが成形可能であった場合を成形性に問題が無いとした。
○:成形性に問題無し、×:目的の形状に成形できない
【0068】
[熱収縮率の評価方法]
作製した長さ200mmの樹脂チューブを160℃に加熱したオーブンに投入し、10分間オーブン中で加熱し、取り出した。その後、定規を使用して全長を計測した。下記式に従い、熱収縮率を計算した。
式:{1-(加熱後チューブ長さ)/(加熱前チューブ長さ)}×100=熱収縮率(%)
【0069】
[二次加工時熱収縮の評価方法]
チューブを拡幅するための金型(外径5.5mmから段階的に外径6.7mmに変化)を120℃に加熱し、チューブを挿入して1秒以内に拡幅処理を完了した。問題無く拡幅できた場合は○とし、収縮が発生して拡幅後に破れが発生した場合を×とした。
【0070】
(実施例1)
表1に記載の樹脂組成となるようにP3HB3HH-3を1.54kg、P3HB3HH-28を0.3kgブレンドしたものに、添加剤-1を160g、添加剤-2を20g、可塑剤を40g配合してさらにブレンドした。得られた樹脂材料(樹脂混合物)を、シリンダー温度を150℃、ダイ温度を160℃に設定したφ26mmの同方向二軸押出機に投入して押出した。押出した樹脂材料を、40℃の湯を満たした水槽に通してストランドを固化し、ペレタイザーで裁断することにより、樹脂組成物ペレットを得た。
環状ダイ(外径15mm、内径13.5mm)を接続したφ50mmの単軸押出機のシリンダー温度およびダイ温度をそれぞれ160℃に設定し、前記樹脂組成物ペレットを投入して、スクリュー回転数を22rpmとしてチューブ状に押出した。押出したチューブを、環状ダイから100mm離した位置にある40℃の水槽に通し、引取機にて30m/mmの速度で引き取ることで、外径6mm、肉厚0.2mm、長さ200mmの樹脂チューブを得ることができた。
また、得られたチューブに対して熱収縮率および二次加工時熱収縮の評価を行い、それぞれ4.1%、○と評価された。
チューブの成形性、熱収縮率と二次加工時熱収縮の結果を表1にまとめた。
【0071】
(実施例2~6、比較例1~4)
配合を表1に示すように変更したこと以外は実施例1と同様にして樹脂組成物ペレットを作製し、実施例1と同様の評価を実施した。結果を表1にまとめた。
【0072】
【0073】
表1より以下のことが分かる。実施例1~6では樹脂チューブを成形することができ、得られた樹脂チューブは、160℃、10分間の条件で測定した熱収縮率が6%以下で、加熱を伴う二次加工を良好に実施できたことが分かる。
一方、比較例1及び3で得た樹脂チューブは、160℃、10分間の条件で測定した熱収縮率が6%を超えており、加熱を伴う二次加工時に収縮が発生して、二次加工を良好に実施できなかった。また、比較例2及び4は溶融時の粘度が低く、チューブ成形性に劣っており、断面が円形の樹脂チューブを成形できなかった。そのため、樹脂チューブを二次加工の金型に入れることができなかった。