(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2026-03-11
(45)【発行日】2026-03-19
(54)【発明の名称】分岐構造を有するポリプロピレン系樹脂の製造方法、押出発泡粒子の製造方法、および、発泡成形体の製造方法
(51)【国際特許分類】
C08F 255/02 20060101AFI20260312BHJP
C08J 9/16 20060101ALI20260312BHJP
C08J 9/232 20060101ALI20260312BHJP
【FI】
C08F255/02
C08J9/16 CES
C08J9/232
(21)【出願番号】P 2022578397
(86)(22)【出願日】2022-01-25
(86)【国際出願番号】 JP2022002599
(87)【国際公開番号】W WO2022163627
(87)【国際公開日】2022-08-04
【審査請求日】2024-11-25
(31)【優先権主張番号】P 2021010658
(32)【優先日】2021-01-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2021010659
(32)【優先日】2021-01-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000941
【氏名又は名称】株式会社カネカ
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】下田 光孝
【審査官】内田 靖恵
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2011/046103(WO,A1)
【文献】特開平04-202444(JP,A)
【文献】特開2002-012717(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0001533(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F255
C08F10
B29B9
B29B7
C08J9
B29C67
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
分岐構造を有するポリプロピレン系樹脂の製造方法であって、
スクリューを有する第1溶融混練部とダイとを備える第1製造装置を使用し、
ポリプロピレン系樹脂、共役ジエン化合物およびラジカル重合開始剤を前記第1溶融混練部にて溶融混練する第1溶融混練工程と、
前記第1溶融混練工程で得られた分岐構造を有するポリプロピレン系樹脂を、前記ダイを通して吐出する吐出工程と、を含み、
前記共役ジエン化合物の使用量は、前記ポリプロピレン系樹脂100重量部に対して、0.30重量部~1.50重量部であり、
前記ラジカル重合開始剤の使用量は、前記ポリプロピレン系樹脂100重量部に対して、0.50重量部~2.00重量部であり、
比エネルギーE
1は、0.35kWh/kg以上であり、
ここで、前記比エネルギーE
1は、前記第1溶融混練部の前記スクリューの駆動に必要な電力P
1を、前記分岐構造を有するポリプロピレン系樹脂の吐出量Q
1で除した値である、分岐構造を有するポリプロピレン系樹脂の製造方法。
【請求項2】
前記第1溶融混練部は、複数軸押出機である、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記共役ジエン化合物は、イソプレンおよび/またはブタジエンのみからなる、請求項1または2に記載の製造方法。
【請求項4】
前記ラジカル重合開始剤は、パーオキシケタール、パーオキシエステルおよびパーオキシカーボネートからなる群から選択される1種以上のみからなる、請求項1~3の何れか1項に記載の製造方法。
【請求項5】
前記ポリプロピレン系樹脂の230℃でのメルトフローレートが0.5g/10分~20.0g/10分である、請求項1~4の何れか1項に記載の製造方法。
【請求項6】
(a)請求項1~5の何れか1項に記載の製造方法により得られた分岐構造を有するポリプロピレン系樹脂と、(b)発泡剤と、を第2製造装置内で溶融混練する第一の工程、および
第一の工程で得られた組成物を、ダイを通して前記第2製造装置の内圧よりも低圧である領域に吐出する第二の工程、を含む、ポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子の製造方法。
【請求項7】
複数のスクリューを有する第2溶融混練部と、ダイを有する造粒部とを備える第3製造装置を使用し、
請求項1~5の何れか1項に記載の製造方法により得られた分岐構造を有するポリプロピレン系樹脂および発泡剤を前記第2溶融混練部にて溶融混練する第2溶融混練工程と、
前記第2溶融混練工程で得られた組成物を、前記ダイを通して前記第3製造装置の内圧よりも低圧である領域に吐出する押出発泡工程と、を含み、
比エネルギーE
2は、0.190kWh/kg以下であり、
ここで、前記比エネルギーE
2は、前記第2溶融混練部の前記複数のスクリューの駆動に必要な電力P
2を、前記組成物の吐出量Q
2で除した値である、ポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子の製造方法。
【請求項8】
前記第3製造装置は、冷却部をさらに備える、請求項
7に記載のポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子の製造方法。
【請求項9】
前記第3製造装置は、輸送部をさらに備える、請求項7
または8に記載のポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子の製造方法。
【請求項10】
前記ダイは、孔径0.1mm~2.0mmである孔を有する、請求項7~
9の何れか1項に記載のポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子の製造方法。
【請求項11】
前記分岐構造を有するポリプロピレン系樹脂の230℃でのメルトフローレートが0.5g/10分~20.0g/10分であり、200℃における溶融張力が8.0cN以上である、請求項7~
10の何れか1項に記載のポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子の製造方法。
【請求項12】
前記発泡剤は炭酸ガスのみからなる、請求項7~
11の何れか1項に記載のポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子の製造方法。
【請求項13】
請求項7~
12の何れか1項に記載のポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子の製造方法により得られたポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子を、金型が備える少なくとも2つの型から形成される成形空間内に充填した後、当該成形空間内の前記ポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子を加熱する加熱工程を有する、ポリプロピレン系樹脂発泡成形体の製造方法。
【請求項14】
前記加熱工程は、前記ポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子を水蒸気で加熱する工程を有し、
前記加熱工程における成形幅は、0.03MPa以上である、請求項
13に記載のポリプロピレン系樹脂発泡成形体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分岐構造を有するポリプロピレン系樹脂の製造方法、押出発泡粒子の製造方法、および、発泡成形体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリプロピレン系樹脂発泡粒子を用いて得られるポリプロピレン系樹脂型内発泡成形体は、型内発泡成形体の長所である形状の任意性、緩衝性、軽量性、および断熱性などに優れるという特徴を有する。
【0003】
ポリプロピレン系樹脂発泡粒子の製造方法としては、不連続プロセスであるバッチ発泡法、および連続プロセスである押出発泡法等が挙げられる。押出発泡法は、効率面および環境面等において多くの利点を有するが、成形性のよいポリプロピレン系樹脂発泡粒子を得ることが難しいという問題がある。
【0004】
この問題を解決する手段として、溶融張力が向上された改質ポリプロピレン樹脂を原料として使用することが検討されている。
【0005】
例えば、特許文献1には、ポリプロピレン系樹脂に特定のチウラムスルフィド系化合物を添加することにより、溶融張力が向上した改質ポリプロピレン樹脂組成物を製造する方法が開示されている。
【0006】
押出発泡法にてポリプロピレン系樹脂発泡粒子を得る技術として、特許文献2に記載の技術が挙げられる。特許文献2には、押出機を用いてポリプロピレン系樹脂および発泡剤を溶融混練し、次いで冷却し、得られた溶融樹脂を低圧領域に押出し、細断することにより、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子を製造する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】日本国特開2011-153170号公報
【文献】国際公開公報第2018/016399号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1のような改質ポリプロピレン樹脂組成物に関する従来技術は、溶融張力の観点から十分なものでなく、さらなる改善の余地があった。
【0009】
本発明の一実施形態は、前記問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、高い溶融張力を有する分岐状ポリプロピレン系樹脂およびその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、前記課題を解決するため鋭意研究した結果、以下の知見を独自に見出し、本発明を完成するに至った:ポリプロピレン系樹脂、共役ジエン化合物、およびラジカル重合開始剤を特定の重量比で含む樹脂混合物に対し、所定値以上の比エネルギーを導入して溶融混練することにより、驚くべきことに、高い溶融張力を有する、新規の分岐状ポリプロピレン系樹脂を得ることができること。
【0011】
すなわち、本発明の一実施形態に係るポリプロピレン系樹脂の製造方法は、分岐構造を有するポリプロピレン系樹脂の製造方法であって、スクリューを有する第1溶融混練部とダイとを備える第1製造装置を使用し、ポリプロピレン系樹脂、共役ジエン化合物およびラジカル重合開始剤を前記第1溶融混練部にて溶融混練する第1溶融混練工程と、前記第1溶融混練工程で得られた分岐構造を有するポリプロピレン系樹脂を、前記ダイを通して吐出する吐出工程と、を含み、前記共役ジエン化合物の使用量は、前記ポリプロピレン系樹脂100重量部に対して、0.30重量部~1.50重量部であり、前記ラジカル重合開始剤の使用量は、前記ポリプロピレン系樹脂100重量部に対して、0.50重量部~2.00重量部であり、比エネルギーE1は、0.35kWh/kg以上であり、ここで、前記比エネルギーE1は、前記第1溶融混練部の前記スクリューの駆動に必要な電力P1を、前記分岐構造を有するポリプロピレン系樹脂の吐出量Q1で除した値である。
【0012】
また、本発明の別の一実施形態に係るポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子の製造方法は、複数のスクリューを有する第2溶融混練部と、ダイを有する造粒部とを備える第3製造装置を使用し、分岐構造を有するポリプロピレン系樹脂および発泡剤を前記第2溶融混練部にて溶融混練する第2溶融混練工程と、前記第2溶融混練工程で得られた組成物を、前記ダイを通して前記第3製造装置の内圧よりも低圧である領域に吐出する押出発泡工程と、を含み、比エネルギーE2は、0.190kWh/kg以下であり、ここで、前記比エネルギーE2は、前記第2溶融混練部の前記複数のスクリューの駆動に必要な電力P2を、前記組成物の吐出量Q2で除した値である。
【発明の効果】
【0013】
本発明の一実施形態によれば、高い溶融張力を有する分岐構造を有するポリプロピレン系樹脂の製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の一実施形態について以下に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明は、以下に説明する各構成に限定されるものではなく、請求の範囲に示した範囲で種々の変更が可能である。また、異なる実施形態または実施例にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態または実施例についても、本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。なお、本明細書中に記載された学術文献および特許文献の全てが、本明細書中において参考文献として援用される。また、本明細書において特記しない限り、数値範囲を表す「A~B」は、「A以上(Aを含みかつAより大きい)B以下(Bを含みかつBより小さい)」を意図する。
【0015】
本明細書において、「分岐構造を有するポリプロピレン系樹脂」とは、(a)分岐構造が導入されていないポリプロピレン系樹脂の分子同士を分子間で一部架橋させたポリプロピレン系樹脂、および(b)分岐構造が導入されていないポリプロピレン系樹脂に対して、(ポリ)プロピレン以外のジエン化合物等を分岐鎖として導入したポリプロピレン系樹脂を意図する。本明細書において、「分岐構造が導入されていないポリプロピレン系樹脂」を「線状ポリプロピレン系樹脂」と称する場合があり、「分岐構造を有するポリプロピレン系樹脂」を「分岐状ポリプロピレン系樹脂」と称する場合があり、「線状ポリプロピレン系樹脂」および「分岐状ポリプロピレン系樹脂」をまとめて「ポリプロピレン系樹脂」と称する場合がある。線状ポリプロピレン系樹脂は、分岐状ポリプロピレン系樹脂の原料ともいえる。
【0016】
本明細書において、線状ポリプロピレン系樹脂とは、樹脂に含まれる全構造単位100モル%中、プロピレン単量体に由来する構造単位を50モル%以上含む樹脂を意図する。本明細書において、「プロピレン単量体に由来する構造単位」を「プロピレン単位」と称する場合がある。
【0017】
また、本明細書において、分岐状ポリプロピレン系樹脂とは、当該分岐状ポリプロピレン系樹脂の主鎖が、当該主鎖に含まれる全構造単位100モル%中、プロピレン単量体に由来する構造単位を50モル%以上含む樹脂を意図する。なお、分岐状ポリプロピレン系樹脂の「主鎖」とは、当該分岐状ポリプロピレン系樹脂の原料である線状ポリプロピレン系樹脂に由来する構造を意図する。
【0018】
<第1の実施形態>
〔1-1.第1の実施形態の技術的思想〕
本発明者が鋭意検討した結果、以下に示すような知見を新たに見出した。
【0019】
成形性のよいポリプロピレン系樹脂発泡粒子を、押出発泡法により製造するためには、原料として使用するポリプロピレン系樹脂の溶融張力を向上させることが、解決策の1つであると考えた。
【0020】
特許文献1の技術は、チウラムスルフィド系化合物という特殊な原料をポリプロピレン系樹脂に混入することにより、溶融張力の向上を図るものである。しかしながら、特許文献1の技術は、特殊な原料を使用することによるコストの増加等の問題がある。また、特許文献1の技術で作製された改質ポリプロピレン樹脂は、溶融張力について、さらなる改善の余地がある。
【0021】
これに対し、本発明者はまず、ポリプロピレン系樹脂、共役ジエン化合物およびラジカル重合開始剤を原料として使用し、かつ、ポリプロピレン系樹脂に対するラジカル重合開始剤の使用量を増加させることにより、ポリプロピレン系樹脂の分岐点を増加させて、得られる分岐状ポリプロピレン系樹脂の溶融張力の向上を図った。しかしながら、ラジカル重合開始剤の使用量を単に増加させるだけでは、意図するレベルまでの溶融張力の向上は達成できなかった。
【0022】
そこで、本発明者がさらに鋭意検討した結果、以下の知見を独自に見出し、本発明の第1の実施形態を完成するに至った:ポリプロピレン系樹脂、共役ジエン化合物、およびラジカル重合開始剤を含む樹脂混合物(後述する第1の樹脂混合物)における各成分の重量比、および、当該樹脂混合物に対して溶融混練時に導入する比エネルギーを適切に調整することにより、得られる分岐状ポリプロピレン系樹脂の溶融張力が大幅に向上すること。
【0023】
さらに、溶融混練時に樹脂混合物に対して導入される比エネルギーの調整が分岐状ポリプロピレン系樹脂の溶融張力を向上させた原因を本発明者が調べたところ、以下の知見を独自に見出した:(i)ラジカル重合開始剤の使用量を増加させた樹脂混合物に対し、所定値未満の比エネルギーを導入して溶融混練した場合に、得られる分岐状ポリプロピレン系樹脂のゲル分率が増大すること;および(ii)前記樹脂混合物の溶融混練に導入される比エネルギーが所定値以上となったときに、得られる分岐状ポリプロピレン系樹脂のゲル分率が急激に減少すること。
【0024】
〔1-2.分岐構造を有するポリプロピレン系樹脂の製造方法〕
本発明の第1の実施形態に係る分岐構造を有するポリプロピレン系樹脂の製造方法は、スクリューを有する第1溶融混練部とダイとを備える第1製造装置を使用し、ポリプロピレン系樹脂、共役ジエン化合物およびラジカル重合開始剤を前記第1溶融混練部にて溶融混練する第1溶融混練工程と、前記第1溶融混練工程で得られた分岐構造を有するポリプロピレン系樹脂を、前記ダイを通して吐出する吐出工程と、を含み、前記共役ジエン化合物の使用量は、前記ポリプロピレン系樹脂100重量部に対して、0.30重量部~1.50重量部であり、前記ラジカル重合開始剤の使用量は、前記ポリプロピレン系樹脂100重量部に対して、0.50重量部~2.00重量部であり、比エネルギーE1は、0.35kWh/kg以上である。
【0025】
なお、本明細書において、「比エネルギーE1」とは、前記第1溶融混練部のスクリューの駆動に必要な電力P1を、分岐構造を有するポリプロピレン系樹脂の吐出量Q1で除した値である。
【0026】
本明細書において、「本発明の第1の実施形態に係る分岐構造を有するポリプロピレン系樹脂の製造方法」を「第1の製造方法」と称する場合もある。
【0027】
第1の製造方法によれば、高い溶融張力を有する分岐状ポリプロピレン系樹脂を得ることができる。また、第1の製造方法により得られる分岐状ポリプロピレン系樹脂は、結果として、ゲル分率が低い。すなわち、第1の製造方法は、200℃における溶融張力は8.0cN以上であり、かつ、ゲル分率は10.0重量%以下である分岐状ポリプロピレン系樹脂を提供することができる。ゲル分率について、詳しくは後述する。また、第1の製造方法により得られる分岐状ポリプロピレン系樹脂は、成形性に優れたポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子を提供できるという利点も有する。
【0028】
まず、第1の製造方法で使用する原料(成分)について説明し、その後各工程について説明する。
【0029】
(第1の樹脂混合物)
第1の製造方法において、少なくとも、ポリプロピレン系樹脂、共役ジエン化合物、およびラジカル重合開始剤を、上述した特定の配合量で含む混合物を、第1の樹脂混合物と称する。
【0030】
(ポリプロピレン系樹脂)
第1の製造方法で使用するポリプロピレン系樹脂は、(a)分岐構造を有していないポリプロピレン系樹脂(すなわち、線状ポリプロピレン系樹脂)であってもよく、(b)分岐構造を有していないポリプロピレン系樹脂と分岐状ポリプロピレン系樹脂との混合物であってもよい。(b)分岐構造を有していないポリプロピレン系樹脂との混合物、において使用される分岐状ポリプロピレン系樹脂としては、(i)第1の製造方法で得られる分岐状ポリプロピレン系樹脂であってもよく、(ii)プロピレンとプロピレン以外の単量体とのグラフト共重合体であってもよく、(iii)分岐構造を有していないポリプロピレン系樹脂に放射線を照射する方法により、分岐構造を有していないポリプロピレン系樹脂に分岐構造を導入して得られる分岐状ポリプロピレン系樹脂であってもよく、または(iv)これらの混合物であってもよい。
【0031】
第1の製造方法で使用するポリプロピレン系樹脂における線状ポリプロピレン系樹脂は、(a)プロピレンの単独重合体であってもよく、(b)プロピレンとプロピレン以外の単量体とのブロック共重合体、交互共重合体、ランダム共重合体もしくはグラフト共重合体、または(c)これらの混合物であってもよい。また、第1の製造方法で使用するポリプロピレン系樹脂における分岐状ポリプロピレン系樹脂の主鎖は、(a)プロピレンの単独重合体であってもよく、(b)プロピレンとプロピレン以外の単量体とのブロック共重合体、交互共重合体、ランダム共重合体もしくはグラフト共重合体、または(c)これらの混合物であってもよい。
【0032】
ポリプロピレン系樹脂は、プロピレン単位に加えて、プロピレン単量体以外の単量体に由来する構造単位を1単位以上有していてもよく、1種以上有していてもよい。本明細書において、ポリプロピレン系樹脂の製造(例えば、線状ポリプロピレン系樹脂の製造)で使用されるプロピレン単量体以外の単量体を「コモノマー」と称する場合もあり、ポリプロピレン系樹脂に含まれる「プロピレン単量体以外の単量体に由来する構造単位」を「コモノマー単位」と称する場合もある。
【0033】
コモノマーとしては、以下のような単量体が挙げられる:(a)エチレン、1-ブテン、イソブテン、1-ペンテン、3-メチル-1-ブテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、3,4-ジメチル-1-ブテン、1-ヘプテン、3-メチル-1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセンなどの炭素数2または4~12のα-オレフィン、(b)シクロペンテン、ノルボルネン、テトラシクロ[6,2,11,8,13,6]-4-ドデセンなどの環状オレフィン、(c)5-メチレン-2-ノルボルネン、5-エチリデン-2-ノルボルネン、1,4-ヘキサジエン、メチル-1,4-ヘキサジエン、7-メチル-1,6-オクタジエンなどのジエン、並びに(d)塩化ビニル、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、酢酸ビニル、アクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸、メタクリル酸エステル、マレイン酸、無水マレイン酸、スチレン系単量体、ビニルトルエン、ジビニルベンゼンなどのビニル系単量体、など。
【0034】
アクリル酸エステルとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸2-エチルヘキシル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2-ヒドロキシエチル、アクリル酸2-ヒドロキシプロピルおよびアクリル酸グリシジルなどが挙げられる。
【0035】
メタクリル酸エステルとしては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸2-エチルヘキシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸2-ヒドロキシエチル、メタクリル酸2-ヒドロキシプロピルおよびメタクリル酸グリシジルなどが挙げられる。
【0036】
スチレン系単量体としては、スチレン、メチルスチレン、ジメチルスチレン、アルファメチルスチレン、パラメチルスチレン、エチルスチレン、ジエチルスチレン、イソプロピルスチレン、t-ブチルスチレン、ブロモスチレン、ジブロモスチレン、トリブロモスチレン、クロロスチレン、ジクロロスチレンおよびトリクロロスチレンなどが挙げられる。
【0037】
ポリプロピレン系樹脂は、コモノマー単位として、炭素数2または4~12のα-オレフィンに由来する構造単位を有することが好ましく、エチレン、1-ブテン、イソブテン、1-ペンテン、3-メチル-1-ブテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、3,4-ジメチル-1-ブテン、1-ヘプテン、3-メチル-1-ヘキセン、1-オクテンおよび/または1-デセンなどに由来する構造単位を有することがより好ましく、エチレン、1-ブテン、イソブテン、1-ペンテン、3-メチル-1-ブテン、1-ヘキセンおよび/または4-メチル-1-ペンテンに由来する構造単位を有することがより好ましく、エチレン、1-ブテン、イソブテンおよび/または1-ペンテンに由来する構造単位を有することがよりさらに好ましく、エチレンおよび/または1-ブテンに由来する構造単位を有することがより特に好ましい。当該構成によると、(a)高い溶融張力および低いゲル分率を有する分岐状ポリプロピレン系樹脂が得られるという利点、並びに(b)得られる分岐状ポリプロピレン系樹脂が成形性に優れるポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子を提供できるという利点を有する。
【0038】
ポリプロピレン系樹脂は、プロピレン単独重合体、ポリプロピレン系ブロック共重合体、ポリプロピレン系交互共重合体および/またはポリプロピレン系ランダム共重合体であることが好ましく、プロピレン単独重合体および/またはポリプロピレン系ランダム共重合体であることが好ましい。当該構成によると、(a)高い溶融張力および低いゲル分率を有する分岐状ポリプロピレン系樹脂が得られるという利点、並びに(b)得られる分岐状ポリプロピレン系樹脂が成形性に優れるポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子を提供できるという利点を有する。
【0039】
ポリプロピレン系樹脂は、当該ポリプロピレン系樹脂に含まれる全構造単位100モル%中、プロピレン単位を90モル%以上含むことが好ましく、93モル%以上含むことがより好ましく、95モル%以上含むことがさらに好ましく、97モル%以上含むことが特に好ましい。当該構成によると、高い溶融張力および低いゲル分率を有する分岐状ポリプロピレン系樹脂が得られるという利点を有する。
【0040】
ポリプロピレン系樹脂の融点は、特に限定されない。ポリプロピレン系樹脂の融点は、例えば、130℃~165℃であることが好ましく、135℃~164℃であることがより好ましく、138℃~163℃であることがさらに好ましく、140℃~162℃であることが特に好ましい。ポリプロピレン系樹脂の融点が、(a)130℃以上である場合、型内発泡成形体の寸法安定性が低下する虞がなく、型内発泡成形体の耐熱性が不十分となる虞がなく、かつ型内発泡成形体の圧縮強度が強くなる傾向があるという利点を有し、(b)165℃以下である場合、押出発泡粒子を比較的低い蒸気圧で成形することが可能となるため、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子用の汎用成形機を使用して押出発泡粒子を成形できるという利点を有する。
【0041】
本明細書において、ポリプロピレン系樹脂の融点は、示差走査熱量計法(以降、「DSC法」と称する)により測定したものである。具体的な操作手順は以下の通りである:(1)ポリプロピレン系樹脂5~6mgの温度を10℃/分の昇温速度で40℃から220℃まで昇温することにより当該ポリプロピレン系樹脂を融解させる;(2)その後、融解されたポリプロピレン系樹脂の温度を10℃/分の降温速度で220℃から40℃まで降温することにより当該ポリプロピレン系樹脂を結晶化させる;(3)その後、さらに結晶化されたポリプロピレン系樹脂の温度を10℃/分の昇温速度で40℃から220℃まで昇温する。2回目の昇温時(すなわち(3)のとき)に得られる当該ポリプロピレン系樹脂のDSC曲線のピーク(融解ピーク)の温度を当該ポリプロピレン系樹脂の融点として求めることができる。なお、上述の方法により、2回目の昇温時に得られる、ポリプロピレン系樹脂のDSC曲線において、ピーク(融解ピーク)が複数存在する場合、融解熱量が最大のピーク(融解ピーク)の温度を、ポリプロピレン系樹脂の融点とする。示差走査熱量計としては、例えば、セイコーインスツルメンツ(株)製、DSC6200型を用いることができる。
【0042】
ポリプロピレン系樹脂の230℃でのメルトフローレート(Melt Flow Rate;MFR)は、特に限定されないが、0.5g/10分~20.0g/10分が好ましく、1.0g/10分~15.0g/10分がより好ましく、2.0g/10分~12.0g/10分がさらに好ましく、2.0g/10分~10.0g/10分が特に好ましい。ポリプロピレン系樹脂の230℃でのMFRが、(a)0.5g/10分以上である場合、得られる分岐状ポリプロピレン系樹脂は、変形が少なく、表面性が良好(美麗)である型内発泡成形体を提供できるという利点を有し、(b)20.0g/10分以下である場合、押出発泡時、組成物の発泡性が良好になるという利点を有する。
【0043】
本明細書において、ポリプロピレン系樹脂の230℃でのMFRの値は、JIS K7210に記載のMFR測定器を用い、オリフィスの直径が2.0959±0.0050mmφ、オリフィスの長さが8.000±0.025mm、そして、荷重が2160g、230±0.2℃の条件下で測定した値である。
【0044】
第1の製造方法における第1の樹脂混合物は、本発明の第1の実施形態に係る効果を損なわない範囲で、ポリプロピレン系樹脂以外のその他の樹脂をさらに含んでいてもよい。ポリプロピレン系樹脂以外のその他の樹脂としては、(a)高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、直鎖状超低密度ポリエチレン、エチレン/酢酸ビニル共重合体、エチレン/アクリル酸共重合体、およびエチレン/メタアクリル酸共重合体などのエチレン系樹脂、並びに(b)ポリスチレン、スチレン/無水マレイン酸共重合体、およびスチレン/エチレン共重合体などのスチレン系樹脂、などが例示される。
【0045】
(共役ジエン化合物)
本発明の第1の実施形態で用いられ得る共役ジエン化合物としては、例えば、ブタジエン、イソプレン、1,3-ヘプタジエン、2,3-ジメチルブタジエン、および2,5-ジメチル-2,4-ヘキサジエン、などがあげられる。これら共役ジエン化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これら共役ジエン化合物の中では、(a)安価で取り扱いやすい点、および(b)反応が均一に進みやすい点から、ブタジエン、およびイソプレンが特に好ましい。換言すれば、本発明の第1の実施形態で用いられ得る共役ジエン化合物は、イソプレンおよび/またはブタジエンを含むことが特に好ましく、イソプレンおよび/またはブタジエンのみからなることが最も好ましい。
【0046】
共役ジエン化合物の使用量は、ポリプロピレン系樹脂100重量部に対して、0.30重量部~1.50重量部であり、0.30重量部~0.80重量部が好ましく、0.30重量部~0.60重量部がより好ましい。共役ジエン化合物の使用量がポリプロピレン系樹脂100重量部に対して0.30重量部未満の場合には、ポリプロピレン系樹脂に対する改質の程度(ポリプロピレン系樹脂に導入する架橋の数)が不十分となり、その結果、得られる分岐状ポリプロピレン系樹脂の溶融張力を十分に(例えば、8.0cN以上に)増加させることができない。共役ジエン化合物の使用量がポリプロピレン系樹脂100重量部に対して1.50重量部を超える場合には、共役ジエン化合物によるポリプロピレン系樹脂間の架橋が過剰になるため、得られる分岐状ポリプロピレン系樹脂の粘度が高くなる。その結果、得られた分岐状ポリプロピレン系樹脂から高倍率のポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子を得ることが困難となる。
【0047】
本発明の第1の実施形態に係る効果を損なわない範囲で、ポリプロピレン系樹脂、共役ジエン化合物、およびラジカル重合開始剤に加えて、共役ジエン化合物と共重合可能な単量体を併用してもよい。換言すれば、第1の製造方法における第1の樹脂混合物は、共役ジエン化合物と共重合可能な単量体をさらに含んでいてもよい。共役ジエン化合物と共重合可能な単量体としては、例えば、(a)塩化ビニル、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド、メタクリルアミド、酢酸ビニル、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、アクリル酸金属塩、メタクリル酸金属塩、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2-エチルヘキシル、およびアクリル酸ステアリルなどのアクリル酸エステル、並びに(b)メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2-エチルヘキシル、およびメタクリル酸ステアリルなどのメタクリル酸エステル、などが例示される。
【0048】
(ラジカル重合開始剤)
本発明の第1の実施形態に係るラジカル重合開始剤は、ポリプロピレン系樹脂および共役ジエン化合物からの水素引き抜き能を有する有機過酸化物である。本発明の第1の実施形態において好適に用いられるラジカル重合開始剤としては、ケトンパーオキサイド、パーオキシケタール、ハイドロパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、ジアシルパーオキサイド、パーオキシカーボネート、パーオキシジカーボネート、パーオキシエステルなどの有機過酸化物が挙げられる。
【0049】
有機過酸化物としては、特に水素引き抜き能が高いものが好ましい。水素引き抜き能が高い有機過酸化物としては、例えば1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、n-ブチル4,4-ビス(t-ブチルパーオキシ)バレレート、2,2-ビス(t-ブチルパーオキシ)ブタン等のパーオキシケタール;ジクミルパーオキサイド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン、α,α’-ビス(t-ブチルパーオキシ-m-イソプロピル)ベンゼン、t-ブチルクミルパーオキサイド、ジ-t-ブチルパーオキサイド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)-3-ヘキシン等のジアルキルパーオキサイド;ベンゾイルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド;t-ブチルパーオキシオクテート、t-ブチルパーオキシイソブチレート、t-ブチルパーオキシラウレート、t-ブチルパーオキシ3,5,5-トリメチルヘキサノエート、2,5-ジメチル-2,5-ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t-ブチルパーオキシアセテート、t-ブチルパーオキシベンゾエート、ジ-t-ブチルパーオキシイソフタレート等のパーオキシエステル;t-ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート等のパーオキシカーボネート;等が好適に挙げられる。これらの中でも、t-ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、t-ブチルパーオキシベンゾエートおよび2,2-ビス(t-ブチルパーオキシ)ブタンが好ましい。換言すれば、本発明の第1の実施形態において、ラジカル重合開始剤は、パーオキシケタール、パーオキシエステルおよびパーオキシカーボネートからなる群から選択される1種以上を含むことが好ましく、当該群から選択される1種以上のみからなることがより好ましい。本発明の第1の実施形態において、ラジカル重合開始剤は、パーオキシカーボネートから選択される1種以上を含むことが特に好ましく、パーオキシカーボネートから選択される1種以上のみからなってもよい。これら有機過酸化物は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0050】
ラジカル重合開始剤の使用量は、ポリプロピレン系樹脂100重量部に対して、0.50重量部~2.00重量部であり、0.60重量部~1.80重量部が好ましく、0.70重量部~1.60重量部がより好ましく、0.90重量部~1.50重量部がさらに好ましく、1.10重量部~1.50重量部が特に好ましい。ラジカル重合開始剤の使用量がポリプロピレン系樹脂100重量部に対して0.50重量部未満の場合には、ポリプロピレン系樹脂に対する改質の程度が不十分となり得る。その結果、得られる分岐状ポリプロピレン系樹脂を用いて押出発泡する場合、分岐状ポリプロピレン系樹脂に歪硬化性が十分に発現しないため、連続気泡率の高い押出発泡粒子しか得られない傾向がある。ラジカル重合開始剤の使用量がポリプロピレン系樹脂100重量部に対して2.00重量部を超える場合、ラジカル重合開始剤によるポリプロピレン系樹脂からの水素の引き抜きが増加することによって得られる分岐状ポリプロピレン系樹脂のゲル量が増大し得る。その結果、当該分岐状ポリプロピレン系樹脂を用いて押出発泡する場合、発泡倍率が低く、連続気泡率の高い押出発泡粒子しか得られない傾向がある。
【0051】
(その他の成分)
第1の製造方法では、上述したポリプロピレン系樹脂、共役ジエン化合物およびラジカル重合開始剤以外に、必要に応じてその他の成分を使用してもよく、換言すれば第1の樹脂混合物は、必要に応じてその他の成分をさらに含んでいてもよい。その他の成分としては、(a)ポリプロピレン系樹脂以外の樹脂(その他の樹脂、と称する場合もある。)、(b)酸化防止剤、金属不活性剤、燐系加工安定剤、紫外線吸収剤、紫外線安定剤、蛍光増白剤、金属石鹸、および制酸吸着剤などの安定剤、並びに/または、(c)気泡調整剤、着色剤、連鎖移動剤、滑剤、可塑剤、充填材、強化材、難燃剤、および帯電防止剤などの添加剤、が挙げられる。その他の樹脂としては、(a)エチレン/プロピレンランダム共重合体、エチレン/プロピレンブロック共重合体およびエチレン/プロピレン交互共重合体などポリプロピレン系樹脂以外のポリオレフィン系樹脂、(b)高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、直鎖状超低密度ポリエチレン、エチレン/酢酸ビニル共重合体、エチレン/アクリル酸共重合体、およびエチレン/メタアクリル酸共重合体などのエチレン系樹脂、並びに(c)ポリスチレン、スチレン/無水マレイン酸共重合体、およびスチレン/エチレン共重合体などのスチレン系樹脂、などが挙げられる。これらその他の成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0052】
(第1製造装置)
第1の製造方法において使用する第1製造装置は、スクリューを有する第1溶融混練部とダイとを備える。第1溶融混練部としては、単軸スクリューを有する単軸押出機、および複数軸スクリューを有する複数軸押出機(例えば2本のスクリューを有する二軸押出機)が挙げられる。これらのうち、連続的に混練できる点およびスケールアップを行いやすい点から、第1溶融混練部としては複数軸押出機を使用することが好ましく、二軸押出機を使用することがより好ましい。
【0053】
第1の製造方法において使用する第1製造装置が備えるダイは、第1製造装置の押出方向の末端に位置し、分岐状ポリプロピレン系樹脂を吐出するための孔(吐出孔と称する場合もある。)を少なくとも1つ備えている。ダイが備える孔の数および孔径、並びにダイの厚さ(孔の押出方向の長さ)は、特に限定されない。
【0054】
(第1溶融混練工程)
第1溶融混練工程は、ポリプロピレン系樹脂、共役ジエン化合物、およびラジカル重合開始剤を含む「分岐状ポリプロピレン系樹脂の原料」を第1溶融混練部に供給し、これらの原料を含む第1の樹脂混合物を第1溶融混練部内で溶融混練する工程である。第1溶融混練工程における溶融混練とは、ポリプロピレン系樹脂が溶融し得る温度において、ポリプロピレン系樹脂と、共役ジエン化合物とを含む第1の樹脂混合物を、ラジカル重合開始剤と、第1溶融混練部内で混練することである。第1溶融混練工程は、ポリプロピレン系樹脂に対して共役ジエン化合物およびラジカル重合開始剤を反応させて、分岐状ポリプロピレン系樹脂を調製する(得る)工程ともいえる。
【0055】
第1溶融混練工程は、未溶融のポリプロピレン系樹脂を第1溶融混練部に投入した時点から、得られた分岐状ポリプロピレン系樹脂を第1溶融混練部からダイに進入させるまでの時点を意味する。
【0056】
第1溶融混練工程では、最終的に、分岐状ポリプロピレン系樹脂が調製されていればよい。第1溶融混練工程において、ポリプロピレン系樹脂、共役ジエン化合物、およびラジカル重合開始剤を第1溶融混練部の原料供給口に供給してこれら原料を溶融混練し、分岐構造を有するポリプロピレン系樹脂を調製する具体的な態様は、特に限定されず、例えば、以下(a1)~(a4)の方法が挙げられる:
(a1)未溶融のポリプロピレン系樹脂と、共役ジエン化合物と、ラジカル重合開始剤とを同時にまたは順不同に混合して第1の樹脂混合物を調製する。その後、当該第1の樹脂混合物を第1溶融混練部に供給して第1の樹脂混合物を溶融混練し、分岐構造を有するポリプロピレン系樹脂を調製する方法;
(a2)未溶融のポリプロピレン系樹脂を第1溶融混練部に供給し、当該ポリプロピレン系樹脂を溶融混練する。その後、溶融混練されたポリプロピレン系樹脂に対して、第1溶融混練部の途中にある同一の原料供給口または別々の原料供給口から、共役ジエン化合物およびラジカル重合開始剤を供給し、得られた第1の樹脂混合物をさらに溶融混練し、分岐構造を有するポリプロピレン系樹脂を調製する方法;
(a3)未溶融のポリプロピレン系樹脂およびラジカル重合開始剤を、第1溶融混練部の同一の原料供給口または別々の原料供給口から、第1溶融混練部に供給し、ポリプロピレン系樹脂およびラジカル重合開始剤を溶融混練する。その後、溶融混練されたポリプロピレン系樹脂およびラジカル重合開始剤の混合物に対して、第1溶融混練部の途中にある原料供給口から、共役ジエン化合物を供給し、得られた第1の樹脂混合物をさらに溶融混練し、分岐構造を有するポリプロピレン系樹脂を調製する方法;
(a4)未溶融のポリプロピレン系樹脂および共役ジエン化合物を、第1溶融混練部の同一の原料供給口または別々の原料供給口から、第1溶融混練部に供給し、ポリプロピレン系樹脂および共役ジエン化合物を溶融混練する。その後、溶融混練されたポリプロピレン系樹脂および共役ジエン化合物の混合物に対して、第1溶融混練部の途中にある原料供給口から、ラジカル重合開始剤を供給し、得られた第1の樹脂混合物をさらに溶融混練し、分岐構造を有するポリプロピレン系樹脂を調製する方法。
【0057】
第1の製造方法において、必要に応じてその他の成分を使用する場合、その他の成分を第1溶融混練部に供給するタイミングは特に限定されない。その他の成分は、(i)(a1)において、予め調製される第1の樹脂混合物に添加されてもよく、(ii)(a2)~(a4)において、未溶融のポリプロピレン系樹脂、共役ジエン化合物またはラジカル重合開始剤と同一の原料供給口または別々の原料供給口から、これらの原料と一緒にまたは別々に、第1溶融混練部に供給されてもよい。
【0058】
ラジカル重合開始剤の反応開始時点において、第1の樹脂混合物中のポリプロピレン系樹脂が溶融した状態となることから、(a2)~(a4)の方法が好ましい。使用するラジカル重合開始剤および共役ジエン化合物の性状によっては、安全性の観点から、原料供給は、(a3)の方法がより好ましい。
【0059】
(吐出工程)
第1の製造方法は、第1の樹脂混合物を溶融混練することにより得られた分岐状ポリプロピレン系樹脂を、ダイから吐出する吐出工程を含む。吐出工程は、分岐状ポリプロピレン系樹脂を第1溶融混練部からダイに進入させた時点から、当該分岐状ポリプロピレン系樹脂をダイから吐出するまでの時点を意味する。
【0060】
吐出工程では、ダイの孔から分岐状ポリプロピレン系樹脂を吐出し得る温度において、分岐状ポリプロピレン系樹脂がダイからストランド状に吐出される。吐出されたストランド状の分岐状ポリプロピレン系樹脂(単に「ストランド」とも称される。)を、冷却し、細断することにより、所望の形状および大きさの分岐状ポリプロピレン系樹脂を得ることができる。ストランドの冷却方法としては、特に限定されず、水を用いた水冷等が挙げられる。ストランドは、冷却された後に細断されてもよく、冷却と細断とが同時に行われてもよい。
【0061】
(比エネルギーE1)
比エネルギーE1〔kWh/kg〕は、第1溶融混練部のスクリューの駆動に必要な電力P1〔kW〕、より具体的には第1溶融混練部のスクリューを回転させるモーターの駆動に必要な電力P1〔kW〕を、分岐状ポリプロピレン系樹脂の吐出量Q1〔kg/h〕で除して得られた値である。本明細書において、「第1溶融混練部のスクリューの駆動に必要な電力P1」を「必要電力P1」と称する場合がある。
【0062】
比エネルギーE1を0.35kWh/kg以上とすることにより、得られる分岐状ポリプロピレン系樹脂の溶融張力が向上し、ゲル分率が減少する。比エネルギーE1は、0.38kWh/kg以上であることがより好ましく、0.40kWh/kg以上であることが特に好ましい。比エネルギーE1の上限値は、特に限定されないが、エネルギーの効率性および樹脂の劣化の観点からは、例えば、0.60kWh/kg以下であることが好ましく、0.50kWh/kg以下であることがより好ましい。
【0063】
比エネルギーE1は、第1溶融混練部の温度、第1溶融混練部の第1の樹脂混合物の温度、第1溶融混練工程の時間(溶融混練時間)、第1溶融混練部のスクリューの回転数N1、分岐状ポリプロピレン系樹脂の吐出量Q1、第1溶融混練部のスクリューの有効長L1と口径D1との比(L1/D1)、等を適宜に選定することにより、所望の範囲に調整することができる。なお、「口径D1」は、スクリューを収めるシリンダの内径である。
【0064】
必要電力P1は、第1溶融混練部のスクリューのモーター容量、第1溶融混練部のスクリューのモーター電流値、分岐状ポリプロピレン系樹脂の吐出量Q1、第1溶融混練部のスクリューの回転数N1および第1溶融混練部の最高スクリュー回転数から算出可能である。なお、必要電力P1の算出において、第1溶融混練部のスクリューの「モーター電流値」の代わりに、第1溶融混練部のスクリューの「モータートルク」を使用してもよい。
【0065】
第1溶融混練工程は、比エネルギーE1を0.35kWh/kg以上に調整する比エネルギーE1調整工程をさらに有することが好ましい。比エネルギーE1調整工程は、例えば、第1溶融混練部の温度、第1の樹脂混合物の温度、溶融混練時間、第1溶融混練部のスクリューの回転数N1、分岐状ポリプロピレン系樹脂の吐出量Q1および第1溶融混練部のスクリューの有効長L1と口径D1との比(L1/D1)からなる群から選択される1種以上を調整する工程である。
【0066】
第1溶融混練部の温度は特に限定されず、ポリプロピレン系樹脂が溶融し得る温度であって、かつ、比エネルギーE1が0.35kWh/kg以上となる温度であればよい。このような温度としては、160℃~300℃の範囲であることが好ましく、160℃~250℃の範囲であることがより好ましく、160℃~210℃の範囲であることがさらに好ましい。第1溶融混練部の温度としては、例えば、内部にスクリューを収めるシリンダ(バレル)の温度が挙げられる。第1溶融混練部の温度が前記構成であれば、(a)ポリプロピレン系樹脂が溶融し、かつ熱分解しないという点、および(b)ラジカル重合開始剤が充分分解するという点、で好ましい。
【0067】
第1溶融混練工程において、第1の樹脂混合物の温度は特に限定されず、比エネルギーE1が0.35kWh/kg以上となる温度であればよい。
【0068】
溶融混練時間は特に限定されず、比エネルギーE1が、0.35kWh/kg以上となるのにかかる時間であればよい。溶融混練時間としては、例えば、30秒間~10分間程度であってもよく、30秒間~5分間程度であってもよく、30秒間~2分間程度であってもよく、30秒間~1分間程度であってもよい。なお、溶融混練時間とは、第1溶融混練工程の時間、すなわち、ポリプロピレン系樹脂が第1溶融混練部に供給されてから、得られた分岐状ポリプロピレン系樹脂がダイを通して吐出されるまでにかかる時間を意図し、第1溶融混練部に供給されたポリプロピレン系樹脂が第1溶融混練部内に存在する時間ともいえる。
【0069】
第1溶融混練部のスクリューの回転数N1は特に限定されず、比エネルギーE1が、0.35kWh/kg以上となるのに必要な回転数N1であればよい。第1溶融混練部のスクリューの回転数N1は、第1溶融混練部の大きさ(例えば、第1溶融混練部のスクリューの有効長L1と口径D1との比(L1/D1))および/または吐出量Q1等に依存して、適宜設定してもよい。
【0070】
分岐状ポリプロピレン系樹脂の吐出量Q1は特に限定されず、比エネルギーE1が、0.35kWh/kg以上となるのに必要な吐出量Q1であればよい。分岐状ポリプロピレン系樹脂の吐出量Q1は、第1溶融混練部の大きさ(例えば、第1溶融混練部のスクリューの有効長L1と口径D1との比(L1/D1))等に依存して、適宜設定してもよい。
【0071】
第1溶融混練部のスクリューの有効長L1と口径D1との比(L1/D1)は、スクリューの混練効率の目安となる数値である。L1/D1の値が大きいほど、溶融混練時の仕事量が大きくなり、比エネルギーE1が増加する。L1/D1の値は、比エネルギーE1が0.35kWh/kg以上となるように適宜に選定することができるが、例えば、30~75程度であってもよく、35~65程度であってもよい。
【0072】
〔1-3.分岐構造を有するポリプロピレン系樹脂〕
前記〔1-2.分岐構造を有するポリプロピレン系樹脂の製造方法〕の項に記載の製造方法により製造される分岐状ポリプロピレン系樹脂もまた、本発明の第1の実施形態である。
【0073】
本明細書において、「〔1-2.分岐構造を有するポリプロピレン系樹脂の製造方法〕の項に記載の製造方法により製造される分岐構造を有するポリプロピレン系樹脂」、すなわち「本発明の第1の実施形態に係る分岐構造を有するポリプロピレン系樹脂」を「本分岐状ポリプロピレン系樹脂」と称する場合もある。
【0074】
本分岐状ポリプロピレン系樹脂は、高い溶融張力と低いゲル分率とを両立するという利点を有する。本分岐状ポリプロピレン系樹脂は、高い溶融張力と低いゲル分率とを有するため、当該分岐状ポリプロピレン系樹脂を押出発泡法に適用することにより、成形性のよいポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子を提供することができる。これは、本分岐状ポリプロピレン系樹脂から押出発泡法により得られるポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子においてセル膜が十分に保持されているため、当該ポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子が十分に低い連続気泡率を有することが一因であると推測される。なお、かかる推測により、本発明はなんら限定されない。
【0075】
本分岐状ポリプロピレン系樹脂の200℃における溶融張力は、特に限定されないが、8.0cN以上であることが好ましく、8.5cN以上であることが好ましく、9.0cN以上であることがより好ましく、9.5cN以上であることがさらに好ましい。200℃における溶融張力の上限値は、特に限定されない。
【0076】
分岐状ポリプロピレン系樹脂の溶融張力が前記構成である場合には、分岐状ポリプロピレン系樹脂を用いる押出発泡法によってポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子を製造するとき、発泡時の分岐状ポリプロピレン系樹脂の溶融張力が十分に高いものとなる。その結果、得られるポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子においてセル膜を十分に保持できる、という利点を有する。〔1-2.分岐構造を有するポリプロピレン系樹脂の製造方法〕の項で説明した第1の製造方法であれば、前述した範囲の溶融張力を有する分岐状ポリプロピレン系樹脂を得ることができる。
【0077】
本明細書における溶融張力の測定方法について以下に説明する。本明細書では、溶融張力は、キャピログラフ1D(日本 株式会社東洋精機製作所製)を用いて測定する。具体的には、以下(1)~(5)の通りである:(1)試験温度(200℃)に加熱された径9.55mmのバレルに測定用の試料樹脂(分岐状ポリプロピレン系樹脂)を充填する;(2)次いで、試料樹脂を10分間、試験温度(200℃)に加熱されたバレル内で加熱する;(3)次いで、キャピラリーダイ(口径1.0mm、長さ10mm)から、一定に保持したピストン降下速度(10mm/分)にて、試料樹脂を紐状に出しながら、この紐状物を前記キャピラリーダイの下方350mmに位置する張力検出のプーリーに通過させた後、巻取りロールを用いる巻取りを開始する;(4)紐状物の引き取りが安定した後、紐状物の巻取り速度を初速1.0m/分から、4分間で200m/分の速度に達するまで一定の割合で増加させる;(5)紐状物が破断したときのロードセル付きプーリーにかかる荷重を溶融張力として測定する。
【0078】
本分岐状ポリプロピレン系樹脂のゲル分率は、特に限定されないが、少ないほど好ましい。前記ゲル分率は、例えば、10.0重量%以下であることが好ましく、9.0重量%以下であることがより好ましく、8.5重量%以下であることがより好ましく、8.0重量%以下であることがさらに好ましく、7.5重量%以下であることがよりさらに好ましく、7.0重量%以下であることが特に好ましい。
【0079】
分岐状ポリプロピレン系樹脂のゲル分率が前記構成である場合には、分岐状ポリプロピレン系樹脂における架橋が適切な頻度であると推測される。そのため、分岐状ポリプロピレン系樹脂を用いる押出発泡法によってポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子を製造するとき、(a)発泡時の分岐状ポリプロピレン系樹脂の溶融張力が十分に高いものとなり、(b)得られるポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子におけるゲル分の発生を抑制できる、という利点を有する。ここで、「ゲル分」とは、過剰な架橋によって、ポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子中に局所的に生じるゲル状(ジェル状ともいう。)の異物を意図する。ゲル分は、ポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子にてセル膜の破断を引き起こし得る。〔1-2.分岐構造を有するポリプロピレン系樹脂の製造方法〕の項で説明した第1の製造方法であれば、前述した範囲のゲル分率を有する分岐状ポリプロピレン系樹脂を得ることができる。
【0080】
なお、本明細書において、「ゲル分率」とは、分岐状ポリプロピレン系樹脂からなる試料を130℃のp-キシレン中で目開き37μm(400メッシュ)の金網を用いて6時間処理した後に、金網内に残った残留物を乾燥してその重量を測定し、下記式(1)により算出される値である:
ゲル分率(重量%)=(残留物の重量/試料の重量)×100 (1)。
【0081】
ゲル分率の測定方法について、具体的に説明する。ゲル分率の測定方法は、特に限定されないが、例えば、ゲル分率測定装置を用いて、下記の(1)~(10)の方法を順に行うことにより、ゲル分率を求めることができる:
(1)分岐状ポリプロピレン系樹脂0.5gを精秤し、これを試料とする;
(2)袋状であり、かつ、側面がひだ折りにされた目開き37μm(400メッシュ)の金網に、前記試料をいれる;
(3)300mLのナスフラスコにスターラーピース、および、前記(2)の試料が封入された金網を入れ、さらにp-キシレン150mLをナスフラスコに加える;
(4)オイルバス装置およびスターラーを用いて130℃および80rpmで1時間、ナスフラスコ内の溶液を撹拌する;
(5)ナスフラスコ内のp-キシレンを完全に入れ替えた後、ナスフラスコ内の溶液を1時間撹拌する;
(6)ナスフラスコ内のp-キシレンを完全に入れ替えた後、ナスフラスコ内の溶液を4時間撹拌する;
(7)ナスフラスコから、金網をピンセットで取り出し、金網をp-キシレンで共洗いし、金網の側面の付着物除去を行う;
(8)金網内の残留物(樹脂不溶物)を、金網ごと真空乾燥器で80℃、8時間乾燥させる;
(9)放冷後、400メッシュ金網ごと残留物の重量を測定する;
(10)下記式に基づき、ゲル分率(重量%)を算出する;
ゲル分率(重量%)=残留物の重量(g)/試料の重量(0.5g)×100
ここで、金網内の残留物の重量=ろ過乾燥後の金網の重量(残留物を含む)-ろ過前の金網のみの重量。
【0082】
本分岐状ポリプロピレン系樹脂の230℃でのMFRは、特に限定されないが、例えば、0.5g/10分~20.0g/10分が好ましく、1.0g/10分~15.0g/10分がより好ましく、1.5g/10分~10.0g/10分がさらに好ましく、2.0g/10分~10.0g/10分がよりさらに好ましく、2.0g/10分~5.0g/10分が特に好ましい。本分岐状ポリプロピレン系樹脂の230℃でのMFRが、(a)0.5g/10分以上である場合、当該分岐状ポリプロピレン系樹脂は、変形が少なく、表面性が良好(美麗)である型内発泡成形体を提供できるという利点を有し、(b)20g/10分以下である場合、当該分岐状ポリプロピレン系樹脂を含む組成物の押出発泡時、当該組成物の発泡性が良好になるという利点を有する。
【0083】
本明細書において、分岐状ポリプロピレン系樹脂の230℃でのMFRは、ポリプロピレン系樹脂に代えて分岐状ポリプロピレン系樹脂を使用する以外、ポリプロピレン系樹脂の230℃でのMFRの値と同じ方法で測定することができる。
【0084】
本分岐状ポリプロピレン系樹脂は、ポリプロピレン系樹脂由来の構成単位および共役ジエン化合物由来の構成単位を含む。分岐状ポリプロピレン系樹脂の製造においてその他の樹脂を使用している場合、本分岐状ポリプロピレン系樹脂は、その他の樹脂および/またはその他の樹脂由来の成分を含む。また、本分岐状ポリプロピレン系樹脂は、ラジカル重合開始剤由来の構成単位を含み得る。ここで、「ラジカル重合開始剤由来の構成単位」とは、分岐状ポリプロピレン系樹脂の製造において、ラジカル重合開始剤の分解によって生じた様々な物質に由来する構成単位を指す。分岐状ポリプロピレン系樹脂の製造においてその他の成分を使用している場合、本分岐状ポリプロピレン系樹脂は、その他の成分を含む。ポリプロピレン系樹脂、その他の樹脂、共役ジエン化合物、ラジカル重合開始剤、およびその他の成分の態様としては、前記〔1-2.分岐構造を有するポリプロピレン系樹脂の製造方法〕の項の説明が適宜援用され得る。
【0085】
本分岐状ポリプロピレン系樹脂の形状および大きさは、特に制限されず、例えばペレットであってよい。本願明細書において、ペレットとは、重合体(樹脂)を円柱状、球状、楕円柱状、多角柱(例えば三角柱、四角柱、五角柱、六角柱など)などの略一定の長さおよび厚みを有する小塊状の成形材料に造粒したものを意味する。ペレットのサイズは、ペレットをハンドリングできる範囲であれば特に限定されないが、例えば、長さ2.5mm~3.5mm程度であり、厚み2.5mm~3.5mm程度であるものが挙げられる。
【0086】
(用途)
本分岐状ポリプロピレン系樹脂の用途としては、押出発泡粒子および押出発泡シートを挙げることができる。本分岐状ポリプロピレン系樹脂と発泡剤とを含む組成物を押出発泡することにより、押出発泡粒子または押出発泡シートを得ることができる。本分岐状ポリプロピレン系樹脂は、当該分岐状ポリプロピレン系樹脂と発泡剤とを用いることによって、コアバック成形などの射出発泡成形に用いることができる。本分岐状ポリプロピレン系樹脂は溶融張力が高いため、当該分岐状ポリプロピレン系樹脂をフィルム状に成形して得られるフィルムは切れ難いという利点を有する。そのため、本分岐状ポリプロピレン系樹脂は、非発泡のフィルム、および紙の表面コーティングに用いることもできる。また、本分岐状ポリプロピレン系樹脂は、通常の射出成型(非発泡)にも用いることができる。
【0087】
〔1-4.ポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子の製造方法〕
本発明の第1の実施形態に係るポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子の製造方法は、(a)〔1-2.分岐構造を有するポリプロピレン系樹脂の製造方法〕の項に記載の製造方法により得られた分岐構造を有するポリプロピレン系樹脂、または、〔1-3.分岐構造を有するポリプロピレン系樹脂〕の項に記載の分岐構造を有するポリプロピレン系樹脂と、(b)発泡剤と、を第2製造装置内で溶融混練する第一の工程、および第一の工程で得られた組成物を、ダイを通して前記第2製造装置の内圧よりも低圧である領域に吐出する第二の工程、を含む。
【0088】
本発明の第1の実施形態に係るポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子の製造方法は、前述した構成であるため、成形性のよいポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子を供することができる。
【0089】
(第一の工程)
第一の工程について、具体的に説明する。第一の工程の具体例としては、第2製造装置にて、分岐状ポリプロピレン系樹脂を溶融させて、分岐状ポリプロピレン系樹脂に発泡剤を溶解させる工程が挙げられる。第一の工程は、分岐状ポリプロピレン系樹脂と発泡剤とを含む組成物の溶融混練物を調製する工程ともいえる。
【0090】
本発明の一実施形態で使用される発泡剤としては、特に限定されず、公知の有機系発泡剤および無機系発泡剤を用いることができる。有機系発泡剤としては、プロパン等の脂肪族炭化水素類、ジフルオロエタン等のフッ化炭化水素類等が挙げられる。無機系発泡剤としては、炭酸ガス、空気、窒素等の無機ガス、水等が挙げられる。上述した発泡剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。第一の工程における発泡剤の使用量は、発泡剤の種類に応じて、目標とするポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子の発泡倍率に応じて適宜調整すればよい。
【0091】
第一の工程において、必要に応じて、気泡核形成剤、安定剤(例えば、酸化防止剤、金属不活性剤、燐系加工安定剤、紫外線吸収剤、紫外線安定剤、蛍光増白剤、金属石鹸、および制酸吸着剤など)および添加剤(例えば、着色剤、架橋剤、連鎖移動剤、滑剤、可塑剤、充填材、強化材、顔料、染料、難燃剤、および帯電防止剤など)をさらに使用してもよい。
【0092】
第一の工程において、分岐状ポリプロピレン系樹脂および発泡剤、並びに、任意で使用され得るその他の成分は、第2製造装置に供給される前に混合されていてもよく、第2製造装置内で混合されてもよい。換言すれば、前記第一の工程において、組成物が第2製造装置に供給されてもよく、第2製造装置内で組成物が調製(完成)されてもよい。前記第一の工程において、(i)分岐状ポリプロピレン系樹脂および発泡剤、並びに、任意で使用され得るその他の成分を混合する方法および順序、または(ii)分岐状ポリプロピレン系樹脂および発泡剤、並びに、任意で使用され得るその他の成分を第2製造装置へ供給する方法および順序、は特に限定されない。
【0093】
第一の工程で得られた組成物を低圧領域に押出す前に、組成物を冷却してもよい。
【0094】
(第二の工程)
第二の工程は、第一の工程で得られた組成物、すなわち溶融混練された組成物を、ダイを通して第2製造装置の内圧よりも低圧である領域に押出し、押し出された組成物を細断する工程である。第二の工程により、押出発泡粒子が得られる。そのため、第二の工程は、ポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子を造粒する造粒工程ともいえる。
【0095】
第二の工程において、第一の工程で得られた組成物を押出す領域は、第2製造装置の内圧よりも低圧である限り特に限定されない。例えば、第二の工程において、第一の工程で得られた組成物は、気相中に押出されてもよく、液相中に押出されてもよい。
【0096】
第二の工程において第2製造装置の内圧よりも低圧である領域に押出された組成物は、直ちに発泡し始める。第二の工程では、発泡中の組成物を細断してもよく、発泡し終えた組成物を細断してもよい。発泡中の組成物を細断する場合、細断された組成物は、押出された先の領域中で発泡を完了し得る。
【0097】
第一の工程で得られた組成物を押出す領域および当該組成物の細断方法によって、第二の工程(造粒工程)は、コールドカット法およびダイフェースカット法の2つに大別され得る。コールドカット法としては、ダイから押出された発泡剤を含有する組成物を発泡させ、水槽の中を通して冷却しながらストランド状の発泡体を引き取った後に細断する方法(ストランドカット法)が挙げられる。ダイフェースカット法はダイの孔から押出された組成物をダイの表面に接触しながら又は僅かに隙間を確保しながら回転するカッターで切断する方法である。
【0098】
ダイフェースカット法は、さらに冷却方法の違いから次の3方式に分けられる。すなわち、アンダーウォータカット(以下、UWCと称する場合もある)法、ウォータリングカット(以下、WRCと称する場合もある)法、およびホットカット(以下、HCと称する場合もある)法である。UWC法は、ダイ先端に取り付けたチャンバー内に所定圧力に調整された冷却水をダイの樹脂吐出面に接するように充満し、ダイの孔から押出された組成物を水中で切断する方法である。また、WRC法は、ダイに連結された冷却ドラムの内周面に沿って冷却水が流れる冷却ドラムをダイから下流側に配置し、空気中にて前記カッターで切断された組成物が発泡しながら、もしくは発泡後に前記冷却水中で冷却される方法である。HC法は、空気中にて組成物をカッターで切断し、切断された組成物が発泡しながら、もしくは発泡後に、空気中にて冷却される方法である。前記HC法としては、水及び空気の混合ミストを噴霧する工程をさらに含むミストカット法も挙げられる。
【0099】
〔1-5.ポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子〕
前記〔1-4.ポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子の製造方法〕の項に記載の製造方法により製造されるポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子もまた、本発明の第1の実施形態である。本発明の第1の実施形態に係るポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子は、〔1-3.分岐構造を有するポリプロピレン系樹脂〕の項に記載の分岐状ポリプロピレン系樹脂または分岐状ポリプロピレン系樹脂ペレットを発泡してなる、ともいえる。本発明の第1の実施形態に係るポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子は、〔1-3.分岐構造を有するポリプロピレン系樹脂〕の項に記載の分岐状ポリプロピレン系樹脂または分岐状ポリプロピレン系樹脂ペレットを含む、ともいえる。
【0100】
本明細書において、「ポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子」を「押出発泡粒子」と称する場合もある。本明細書において、「〔1-4.ポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子の製造方法〕の項に記載の製造方法により製造されるポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子」、すなわち「本発明の第1の実施形態に係るポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子の製造方法によって得られるポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子」を「第1の押出発泡粒子」と称する場合もある。
【0101】
第1の押出発泡粒子は、前述した構成を有するため、成形性に優れるという利点を有する。
【0102】
〔1-6.ポリプロピレン系樹脂発泡成形体の製造方法〕
本発明の第1の実施形態に係るポリプロピレン系樹脂発泡成形体の製造方法は、〔1-4.ポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子の製造方法〕の項に記載の製造方法により得られたポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子(すなわち、第1の押出発泡粒子)、または、〔1-5.ポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子〕の項に記載のポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子(すなわち、第1の押出発泡粒子)を、金型が備える少なくとも2つの型から形成される成形空間内に充填した後、当該成形空間内の前記ポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子を加熱する加熱工程を有する。
【0103】
本明細書において、「ポリプロピレン系樹脂発泡成形体」を「発泡成形体」と称する場合もある。本明細書において、「本発明の第1の実施形態に係るポリプロピレン系樹脂発泡成形体」を「第1の発泡成形体」と称する場合もある。また、金型を用いて製造して得られる発泡成形体は型内発泡成形体と称される場合もある。
【0104】
本発明の第1の実施形態に係るポリプロピレン系樹脂発泡成形体の製造方法は、前述した構成であるため、高発泡倍率であり、かつ融着性に優れるポリプロピレン系樹脂型内発泡成形体を供することができる。
【0105】
本発明の第1の実施形態に係るポリプロピレン系樹脂発泡成形体の製造方法において、使用される金型としては特に限定されない。金型は、少なくとも2つの型として、例えば、駆動し得ない固定型と駆動し得る移動型とを備え得る。固定型に対して移動型が近づくことにより、固定型と移動型との内部に成形空間が形成される。なお、成形空間内の押出発泡粒子が加熱されるときには固定型の型枠と移動型の型枠とは接触し得る(すなわち金型は密閉し得る)。一方、成形空間内に押出発泡粒子を充填するときには固定型の型枠と移動型の型枠とは接触していなくてもよく、固定型の型枠と移動型の型枠との間にわずかな隙間(クラッキングとも称する)が形成されていてもよい。
【0106】
本発明の第1の実施形態に係るポリプロピレン系樹脂発泡成形体の製造方法において、成形空間内にポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子を充填する方法、および金型内のポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子を加熱する方法は特に限定されない。これらの方法としては、例えば以下(b1)~(b4)のような方法が挙げられる。
【0107】
(b1)押出発泡粒子を容器内で無機ガスにより加圧処理して、当該押出発泡粒子内に無機ガスを含浸させ、押出発泡粒子に所定の粒子内圧を付与する。その後、該押出発泡粒子を金型の成形空間内に充填し、成形空間内の押出発泡粒子を水蒸気で加熱する方法;
(b2)押出発泡粒子を金型の成形空間内に充填する。次いで、該成形空間内の体積を10%~75%減ずるように成形空間内の押出発泡粒子を圧縮した後、成形空間内の押出発泡粒子を水蒸気で加熱する方法;
(b3)押出発泡粒子をガス圧力で圧縮して金型の成形空間内に充填する。その後、成形空間内の押出発泡粒子の回復力を利用して、成形空間内の押出発泡粒子を水蒸気で加熱する方法;
(b4)特に前処理することなく、押出発泡粒子を金型の成形空間内に充填する。その後、成形空間内の押出発泡粒子を水蒸気で加熱する方法。
【0108】
本発泡成形体の製造において、押出発泡粒子を加熱する水蒸気の圧力(以下、蒸気圧と称する場合がある)は、用いる押出発泡粒子の特性等によって異なり、一概には規定できない。
【0109】
前記(b1)法において無機ガスとしては、空気、窒素、酸素、二酸化炭素、ヘリウム、ネオン、アルゴン等からなる群より選ばれる少なくとも1種を使用できる。これら無機ガスの中でも、空気および/または二酸化炭素が好ましい。
【0110】
前記(b1)法における発泡粒子内圧は0.05MPa~0.30MPa(絶対圧)が好ましく、0.06MPa~0.25MPa(絶対圧)が好ましい。
【0111】
前記(b1)法において、無機ガスを発泡粒子に含浸させる際の容器内の温度としては、10℃~90℃が好ましく、40℃~90℃がより好ましい。
【0112】
<第2の実施形態>
第2の実施形態は、ポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子の製造方法に関する。
【0113】
しかしながら、特許文献2のような押出発泡粒子に関する従来技術は、ポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子の成形性の観点からは十分なものでなく、さらなる改善の余地があった。
【0114】
第2の実施形態は、前記問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、成形性に優れるポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子およびその製造方法を提供することである。
【0115】
本発明者は、前記課題を解決するため鋭意研究した結果、以下の知見を独自に見出し、本発明の第2の実施形態を完成するに至った:分岐構造を有するポリプロピレン系樹脂および発泡剤に対して、溶融混練に導入される比エネルギーを所定値以下に制御して溶融混練することにより、驚くべきことに、得られるポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子を用いる成形時の成形幅が広くなること、すなわち成形性に優れるポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子が得られること。
【0116】
以下、第2の実施形態の技術的思想についてより詳細に説明する。
【0117】
〔2-1.第2の実施形態の技術的思想〕
ポリプロピレン系樹脂型内発泡成形体は、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子を金型内に充填し、水蒸気などにより加熱融着させる方法により製造される。ポリプロピレン系樹脂型内発泡成形体には、形状の任意性、緩衝性、軽量性、圧縮強度および断熱性などにおいて良好な物性を備えることが求められる。
【0118】
ポリプロピレン系樹脂型内発泡成形体の物性は、様々な因子によって決定され得るが、特に、成形時(例えば、型内発泡成形時であり、より具体的には、加熱融着時)の蒸気圧によって大きく変化することが分かった。そのため、所望の物性を備えるポリプロピレン系樹脂型内発泡成形体を得るためには、成形時の蒸気圧の厳密な制御が求められていた。
【0119】
そこで、本発明者は、成形時の蒸気圧の自由度を高めることを鋭意検討した。その結果、本発明者は、特定の製造方法により製造されたポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子を用いる場合に、成形時の蒸気圧の自由度が高まることを独自に見出した。より具体的には、本発明者は以下の知見を独自に見出し、本発明の第2の実施形態を完成するに至った:ポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子の製造において、分岐構造を有するポリプロピレン系樹脂および発泡剤に対して、溶融混練に導入される比エネルギーを所定値以下に制御して溶融混練することにより、驚くべきことに、得られるポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子を用いる成形時の蒸気圧の自由度(成形幅)が広くなること。
【0120】
成形時の成形幅が広いポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子を用いることにより、従来の許容可能な範囲より低い蒸気圧または高い蒸気圧で成形を行った場合にも、圧縮強度に優れ、融着性に優れ、および/または表面が美麗であるポリプロピレン系樹脂型内発泡成形体を得ることができる。
【0121】
本発明の第2の実施形態について以下に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明の第2の実施形態の各態様に関して、以下に詳説した態様以外は、適宜、第1の実施形態の記載を援用する。
【0122】
〔2-2.ポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子の製造方法〕
本発明の第2の実施形態に係るポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子の製造方法は、複数のスクリューを有する第2溶融混練部と、ダイを有する造粒部とを備える第3製造装置を使用し、分岐構造を有するポリプロピレン系樹脂および発泡剤を前記第2溶融混練部にて溶融混練する第2溶融混練工程と、前記第2溶融混練工程で得られた組成物を、前記ダイを通して前記第3製造装置の内圧よりも低圧である領域に吐出する押出発泡工程と、を含み、比エネルギーE2は、0.190kWh/kg以下である。ここで、前記比エネルギーE2は、前記第2溶融混練部の前記複数のスクリューの駆動に必要な電力P2を、前記組成物の吐出量Q2で除した値である。
【0123】
本発明の第2の実施形態によれば、成形性に優れるポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子およびその製造方法を提供することができる。
【0124】
本明細書において、「本発明の第2の実施形態に係るポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子の製造方法」を、「第2の製造方法」と称する場合がある。第2の製造方法で得られる押出発泡粒子は、当該押出発泡粒子を成形(例えば、型内発泡成形)することにより、ポリプロピレン系樹脂発泡成形体とすることができる。
【0125】
第2の製造方法は、前述した構成を有するため、成形性に優れる押出発泡粒子を提供することができるという利点を有する。また、第2の製造方法は、低い連続気泡率を有する押出発泡粒子を提供することができるという利点も有する。本明細書において、押出発泡粒子の成形性は、押出発泡粒子の成形幅で評価する。押出発泡粒子の成形幅については、後述する。
【0126】
まず、第2の製造方法で使用する原料(成分)について説明し、その後各工程について説明する。
【0127】
(2-2-1.第2の樹脂混合物)
第2の製造方法において、発泡剤以外の原料(成分)を「第2の樹脂混合物」と称する場合がある。第2の樹脂混合物は、分岐構造を有するポリプロピレン系樹脂を含み、さらに任意で気泡核形成剤等の添加剤を含み得る。
【0128】
(線状ポリプロピレン系樹脂)
第2の製造方法において使用する、分岐状ポリプロピレン系樹脂の原料である線状ポリプロピレン系樹脂について説明する。以下に詳説する線状ポリプロピレン系樹脂に関する各態様は、分岐状ポリプロピレン系樹脂の主鎖に関する各態様と読み替えてもよい。
【0129】
第2の実施形態において、線状ポリプロピレン系樹脂は、(a)プロピレンの単独重合体であってもよく、(b)プロピレンとプロピレン以外の単量体とのブロック共重合体、交互共重合体もしくはランダム共重合体であってもよく、または(c)これらの2種以上の混合物であってもよい。
【0130】
第2の実施形態において、線状ポリプロピレン系樹脂は、プロピレン単位に加えて、プロピレン単量体以外の単量体に由来する構造単位(すなわち、コモノマーに由来する構造単位(コモノマー単位))を1単位以上有していてもよく、1種以上有していてもよい。
【0131】
第2の実施形態におけるコモノマーについては、第1の実施形態における(ポリプロピレン系樹脂)の項で説明したものと同じであるため、当該記載を援用し、ここでは説明を省略する。
【0132】
線状ポリプロピレン系樹脂は、コモノマー単位として、炭素数2または4~12のα-オレフィンに由来する構造単位を有することが好ましく、エチレン、1-ブテン、イソブテン、1-ペンテン、3-メチル-1-ブテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、3,4-ジメチル-1-ブテン、1-ヘプテン、3-メチル-1-ヘキセン、1-オクテンおよび/または1-デセンなどに由来する構造単位を有することがより好ましく、エチレン、1-ブテン、イソブテン、1-ペンテン、3-メチル-1-ブテン、1-ヘキセンおよび/または4-メチル-1-ペンテンに由来する構造単位を有することがより好ましく、エチレン、1-ブテン、イソブテンおよび/または1-ペンテンに由来する構造単位を有することがよりさらに好ましく、エチレンおよび/または1-ブテンに由来する構造単位を有することがより特に好ましい。当該構成によると、(a)高い溶融張力および低いゲル分率を有する分岐状ポリプロピレン系樹脂が得られるという利点、並びに(b)得られる分岐状ポリプロピレン系樹脂が成形性に優れるポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子を提供できるという利点を有する。
【0133】
線状ポリプロピレン系樹脂は、プロピレン単独重合体、ポリプロピレン系ブロック共重合体、ポリプロピレン系交互共重合体および/またはポリプロピレン系ランダム共重合体であることが好ましく、プロピレン単独重合体および/またはポリプロピレン系ランダム共重合体であることがより好ましい。当該構成によると、(a)高い溶融張力および低いゲル分率を有する分岐状ポリプロピレン系樹脂が得られるという利点、並びに(b)得られる分岐状ポリプロピレン系樹脂が成形性に優れるポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子を提供できるという利点を有する。
【0134】
線状ポリプロピレン系樹脂は、当該線状ポリプロピレン系樹脂に含まれる全構造単位100モル%中、プロピレン単位を90モル%以上含むことが好ましく、93モル%以上含むことがより好ましく、95モル%以上含むことがさらに好ましく、97モル%以上含むことが特に好ましい。当該構成によると、高い溶融張力および低いゲル分率を有する分岐状ポリプロピレン系樹脂が得られるという利点を有する。
【0135】
線状ポリプロピレン系樹脂の融点は、特に限定されない。線状ポリプロピレン系樹脂の融点は、例えば、130℃~165℃であることが好ましく、135℃~164℃であることがより好ましく、138℃~163℃であることがさらに好ましく、140℃~162℃であることが特に好ましい。線状ポリプロピレン系樹脂の融点が上述した範囲内である場合、(a)得られる押出発泡粒子が成形性に優れるという利点、および(b)当該押出発泡粒子は耐破断性に優れる発泡成形体を提供できるという利点、を有する。線状ポリプロピレン系樹脂の融点が、(a)130℃以上である場合、発泡成形体の寸法安定性が低下する虞がなく、発泡成形体の耐熱性が不十分となる虞がなく、かつ発泡成形体の圧縮強度が強くなる傾向があるという利点を有し、(b)165℃以下である場合、押出発泡粒子を比較的低い蒸気圧で成形することが可能となるため、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子用の汎用成形機を使用して押出発泡粒子を成形できるという利点を有する。
【0136】
本明細書において、線状ポリプロピレン系樹脂の融点は、「ポリプロピレン系樹脂」の代わりに「線状ポリプロピレン系樹脂」を使用する以外は、前記(ポリプロピレン系樹脂)の項に記載のポリプロピレン系樹脂の融点の測定方法と同じ方法により測定して求められる値である。なお、上述したポリプロピレン系樹脂の融点と同じく、2回目の昇温時に得られる、線状ポリプロピレン系樹脂のDSC曲線において、ピーク(融解ピーク)が複数存在する場合、融解熱量が最大のピーク(融解ピーク)の温度を、線状ポリプロピレン系樹脂の融点とする。
【0137】
線状ポリプロピレン系樹脂の230℃でのMFRは、特に限定されない。線状ポリプロピレン系樹脂の230℃でのMFRは、例えば、0.5g/10分~50.0g/10分であることが好ましく、1.0g/10分~30.0g/10分であることがより好ましく、2.0g/10分~20.0g/10分であることがさらに好ましく、2.0g/10分~10.0g/10分であることが特に好ましい。線状ポリプロピレン系樹脂の230℃でのMFRが上述した範囲内である場合、230℃でのMFRが0.5g/10分~20.0g/10分である分岐状ポリプロピレン系樹脂を容易に得ることができる、という利点を有する。
【0138】
本明細書において、線状ポリプロピレン系樹脂の230℃でのMFRは、「ポリプロピレン系樹脂」の代わりに「線状ポリプロピレン系樹脂」を使用する以外は、前記(ポリプロピレン系樹脂)の項に記載のポリプロピレン系樹脂の230℃でのMFRの測定方法と同じ方法により測定して求められる値である。
【0139】
(分岐構造を有するポリプロピレン系樹脂)
第2の実施形態において使用する、分岐構造を有するポリプロピレン系樹脂(分岐状ポリプロピレン系樹脂)は、線状ポリプロピレン系樹脂に分岐構造を導入することによって得ることができる。第2の実施形態において、線状ポリプロピレン系樹脂に分岐構造を導入する方法としては、特に限定されないが、例えば、(c1)線状ポリプロピレン系樹脂に放射線を照射する方法、および(c2)線状ポリプロピレン系樹脂と共役ジエン化合物とラジカル重合開始剤とを含む混合物を溶融混練する方法などが挙げられる。
【0140】
前記(c1)の方法の具体的な方法としては、例えば特表2002-542360に記載の方法が挙げられる。
【0141】
前記(c2)の方法についてさらに説明する。前記(c2)の方法では、例えば、以下(i)~(iv)を順に行い分岐状ポリプロピレン系樹脂を得ることができる:(i)線状ポリプロピレン系樹脂と共役ジエン化合物とラジカル重合開始剤とを含む混合物を、ダイを備える装置で溶融混練する;(ii)得られた溶融混練物をダイから押出す;(iii)押出された溶融混練物(ストランドとも称される。)を冷却する;(iv)ストランドの冷却と同時にまた、冷却後に、ストランドを細断する。前記(c2)の方法の具体的な方法としては、例えばWO2020/004429に記載の方法、および第1の製造方法が挙げられる。
【0142】
(i)線状ポリプロピレン系樹脂に分岐構造を安定して導入でき、かつ分岐構造の導入の再現性が高いことから、および/または(ii)複雑な設備を必要とせず、かつ高い生産性で分岐状ポリプロピレン系樹脂を得ることができるとことから、第2の実施形態において、分岐状ポリプロピレン系樹脂は、上述の(c2)の方法によって得られる分岐状ポリプロピレン系樹脂であることが好ましく、上述した第1の製造方法によって得られる分岐状ポリプロピレン系樹脂であることが特に好ましい。
【0143】
第2の実施形態において、分岐状ポリプロピレン系樹脂の溶融張力は、線状ポリプロピレン系樹脂の溶融張力と比較して高くなり得る。分岐状ポリプロピレン系樹脂の200℃における溶融張力は、8.0cN以上であることが好ましく、9.0cN以上であることがより好ましく、10.0cN以上であることがさらに好ましい。高い溶融張力を有する分岐状ポリプロピレン系樹脂を原料として使用することにより、得られるポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子の成形幅を広くすることができる。
【0144】
第2の実施形態における分岐状ポリプロピレン系樹脂の溶融張力の測定方法については、第1の実施形態における〔1-3.分岐構造を有するポリプロピレン系樹脂〕の項で説明したものと同じであるため、当該記載を援用し、ここでは説明を省略する。
【0145】
第2の実施形態における分岐状ポリプロピレン系樹脂の230℃でのMFRについては、第1の実施形態における〔1-3.分岐構造を有するポリプロピレン系樹脂〕の項で説明したものと同じであるため、当該記載を援用し、ここでは説明を省略する。
【0146】
(その他の樹脂およびゴム)
第2の樹脂混合物は、本発明の第2の実施形態に係る効果を損なわない範囲で、分岐状ポリプロピレン系樹脂以外の樹脂(「その他の樹脂」と称する場合がある。)および/またはゴムをさらに含んでいてもよい。その他の樹脂およびゴムを総称して「その他の樹脂等」と称する場合もある。その他の樹脂としては、(a)エチレン/プロピレンランダム共重合体、エチレン/プロピレンブロック共重合体、エチレン/プロピレン交互共重合体、プロピレン単独重合体などの線状のポリプロピレン系樹脂、(b)高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、直鎖状超低密度ポリエチレン、エチレン/酢酸ビニル共重合体、エチレン/アクリル酸共重合体、およびエチレン/メタアクリル酸共重合体などのエチレン系樹脂、並びに(c)ポリスチレン、スチレン/無水マレイン酸共重合体、およびスチレン/エチレン共重合体などのスチレン系樹脂、などが挙げられる。前記ゴムとしては、エチレン/プロピレンゴム、エチレン/ブテンゴム、エチレン/ヘキセンゴム、エチレン/オクテンゴムなどのオレフィン系ゴムが挙げられる。
【0147】
第2の樹脂混合物中のその他の樹脂等の含有量は、例えば、第2の樹脂混合物100重量部に対して60重量部以下であることが好ましく、40重量部以下であることがより好ましく、20重量部以下であることがさらに好ましい。その他の樹脂等の含有量の下限値は特に限定されず、例えば、第2の樹脂混合物100重量部に対して0重量部であってよい。
【0148】
(気泡核形成剤)
第2の樹脂混合物は、得られる押出発泡粒子の気泡数および気泡の形状をコントロールする目的で、気泡核形成剤を含んでいてもよい。気泡核形成剤としては、重炭酸ソーダ-クエン酸混合物、クエン酸モノナトリウム塩、タルク、および炭酸カルシウムなどを挙げることができる。これら気泡核形成剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0149】
気泡核形成剤の使用量、換言すれば第2の樹脂混合物中の気泡核形成剤の含有量、は特に限定されない。気泡核形成剤の使用量は、例えば、分岐状ポリプロピレン系樹脂100重量部に対して、0.01重量部~5.00重量部であることが好ましく、0.01重量部~3.50重量部であることがより好ましく、0.01重量部~1.00重量部であることがさらに好ましく、0.01重量部~0.50重量部であることが特に好ましい。
【0150】
(その他成分)
第2の樹脂混合物は、必要に応じてその他成分として、(a)酸化防止剤、金属不活性剤、燐系加工安定剤、紫外線吸収剤、紫外線安定剤、蛍光増白剤、金属石鹸、および制酸吸着剤などの安定剤、並びに/または、(b)架橋剤、連鎖移動剤、滑剤、可塑剤、充填材、強化材、難燃剤、着色剤、および帯電防止剤などの添加剤、をさらに含んでいてもよい。これらその他成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0151】
(2-2-2.組成物)
第2の製造方法において、上述した第2の樹脂混合物に発泡剤を加えて得られた物質を、「組成物」と称する場合がある。
【0152】
第2の製造方法において使用可能な発泡剤としては、押出発泡で使用される一般的に使用される発泡剤であれば特に限定されない。前記発泡剤としては、例えば、(a)(a-1)プロパン、ノルマルブタン、イソブタン、ノルマルペンタン、イソペンタン、ヘキサン等の脂肪族炭化水素類;(a-2)シクロペンタン、シクロブタン等の脂環式炭化水素類;(a-3)ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチルエチルエーテル等のエーテル類;(a-4)ジフルオロエタン等のフッ化炭化水素類;(a-5)メタノール、エタノール等のアルコール類;(a-6)空気、窒素、炭酸ガス等の無機ガス;並びに(a-7)水などの物理系発泡剤、並びに、(b)重炭酸ナトリウム、アゾジカルボンアミド、ジニトロソペンタメチレンテトラミンなどの熱分解型発泡剤を含む化学系発泡剤、などが挙げられる。
【0153】
第2の製造方法において、生産コストおよび環境負荷が小さいことから、発泡剤としては、無機ガスが好ましく、炭酸ガスがより好ましい。また、生産コストおよび環境負荷がより小さいことから、発泡剤としては炭酸ガスのみを使用し、発泡剤の例として上述した、炭酸ガス以外の発泡剤を実質的に含まないことが好ましい。具体的に、発泡剤の例として上述した、炭酸ガス以外の発泡剤の組成物中の含有量が、組成物100重量部に対して0.01重量部以下であることが好ましく、0.001重量部以下であることがより好ましく、0.0001重量部以下であることがさらに好ましく、0重量部であることが特に好ましい。
【0154】
第2の製造方法において、発泡剤の使用量は、発泡剤の種類および目標とする発泡体の発泡倍率に応じて、適宜調整すればよい。第2の製造方法において、使用する発泡剤の合計使用量は、組成物100重量部に対して、1重量部~20重量部であることが好ましく、1重量部~15重量部であることがより好ましく、1重量部~10重量部であることがさらに好ましく、2重量部~10重量部であることが特に好ましい。「発泡剤の使用量」は、「組成物中の発泡剤の含有量」ともいえる。
【0155】
(2-2-3.第3製造装置)
第2の製造方法において使用する第3製造装置は、複数のスクリューを有する第2溶融混練部と、ダイを有する造粒部とを備える。第3製造装置は、さらに、輸送部および/または冷却部を備えていてよい。第3製造装置が輸送部および冷却部を備える場合、(a)第2溶融混練部、輸送部、冷却部、および造粒部は連結しており、(b)組成物の押出方向の上流側から下流側へ向かって、第2溶融混練部、輸送部、冷却部、および造粒部がこの順に配置されている。第3製造装置が輸送部および冷却部を備える場合、(a)輸送部および冷却部は、上流側と下流側とで順番が入れ替えられて設けられてもよく、(b)輸送部は、冷却部の上流側および下流側の両方に設けられてもよい。輸送部は、第2溶融混練部から造粒部までの配管内の組成物の圧力が十分低ければ省略できる。また、第2溶融混練部の出口にて十分に組成物の温度が低下している場合、冷却部は省略してもよい。
【0156】
複数のスクリューを有する第2溶融混練部としては、例えば、良好な混合性を有するために、2本のスクリューを有する二軸押出機が好ましい。また、第2溶融混練部は、第2溶融混練部に圧入された発泡剤が上流側に逆流しないためのスクリュー構成を有することが好ましい。すなわち、複数のスクリューを有する第2溶融混練部としては、逆流防止機能を持った2本のスクリュー構成を有する二軸押出機がより好ましい。
【0157】
輸送部は、第2溶融混練部から造粒部へ組成物を輸送するための輸送部材によって構成されている。当該輸送部材は、押出発泡法にて使用される公知の輸送部材であればよく、例えばギアポンプである。ギアポンプは、組成物の流れの圧力を維持する、あるいは適宜昇圧するために有用な部材である。
【0158】
冷却部は、輸送部(輸送部が省略される場合は第2溶融混練部)から輸送された組成物を冷却する冷却部材から構成されている。当該冷却部材は、押出発泡法にて使用される公知の冷却部材であればよい。当該冷却部材としては、例えば、単軸押出機、またはスタティックミキサー等が挙げられる。単軸押出機またはスタティックミキサーにより低せん断速度で混合しながら徐冷することにより、組成物は所定の温度に冷却される。
【0159】
造粒部におけるダイは、溶融混練物を吐出するための孔(吐出孔と称する場合もある。)を少なくとも1つ備えている。ダイが備える孔の、押出方向に対して垂直な断面の形状(以下、単に「ダイの孔の形状」と称する場合がある。)は、特に限定されない。球状または略球状の形状を有する押出発泡粒子を得ることができることから、ダイの孔の形状は、真円形、略円形、楕円形、正方形、などであることが好ましい。ダイが備える孔の数および孔径は、特に限定されない。ダイは、型内発泡成形工程において発泡粒子の大きさを適切に保つ観点から、例えば、孔径0.1mm~2.0mmである孔を有することが好ましく、孔径0.4mm~1.5mmである孔を有することがより好ましい。ダイは、孔を複数(例えば、2個以上)有することがより好ましい。なお、本明細書において、ダイの孔の形状が真円形でない場合、ダイの孔の孔径は、ダイの孔の形状の内接円の直径を意図する。
【0160】
(2-2-4.第2溶融混練工程)
第2溶融混練工程は、第3製造装置の第2溶融混練部にて、分岐状ポリプロピレン系樹脂を溶融させて、分岐状ポリプロピレン系樹脂に発泡剤を溶解させる工程である。第2溶融混練工程は、分岐状ポリプロピレン系樹脂を有する第2の樹脂混合物と発泡剤とを含む組成物の溶融混練物を調製する工程ともいえる。
【0161】
第2溶融混練工程では、最終的に、分岐状ポリプロピレン系樹脂に発泡剤が溶解されていればよい。第2溶融混練工程において、分岐状ポリプロピレン系樹脂および発泡剤を第2溶融混練部に供給する順序並びに方法としては、特に限定されず、例えば以下(d)または(e)の方法が挙げられる:
(d)(d-1)分岐状ポリプロピレン系樹脂と、発泡剤とを混合またはブレンドし、組成物を調製する;(d-2)その後、当該組成物を第2溶融混練部に供給し、当該組成物を溶融混練する方法;
(e)(e-1)分岐状ポリプロピレン系樹脂を第2溶融混練部に供給し、当該分岐状ポリプロピレン系樹脂を溶融混練する;(e-2)その後、溶融混練された分岐状ポリプロピレン系樹脂に対して、第2溶融混練部の途中にある原料供給口から、発泡剤を供給し、すなわち、第2溶融混練部内にて組成物を調製(完成)し、当該組成物をさらに溶融混練する方法。
【0162】
上述した(d)または(e)の方法において、必要に応じて使用するその他の樹脂、気泡核形成剤およびその他成分を前記組成物に添加する場合、これらの原料を第2溶融混練部に供給する方法および順序は特に限定されない。必要に応じて使用するその他の樹脂、気泡核形成剤およびその他成分は、分岐状ポリプロピレン系樹脂および/または発泡剤と同時に添加してもよく、別々に、かつ順不同に、添加してもよい。発泡剤として常温で液体の発泡剤(例えば脂肪族炭化水素類、脂環式炭化水素類、エーテル類およびアルコール類など)を使用する場合は、上述した(d)および(e)の方法を用いることができる。発泡剤として常温で気体の発泡剤、例えば炭酸ガスを使用する場合は、上述した(e)の方法を用いることができる。
【0163】
第2溶融混練工程は、例えば上述した(d)または(e)の方法で組成物を溶融混練した後、溶融混練された組成物が固化しない温度の範囲内において、溶融混練された組成物の温度を下げる工程をさらに有していてもよい。
【0164】
(2-2-5.押出発泡工程)
押出発泡工程は、第2溶融混練工程で得られた組成物、すなわち溶融混練された組成物を、ダイを通して第3製造装置の内圧よりも低圧である領域に押し出し、押し出された組成物を細断する工程である。押出発泡工程により、押出発泡粒子が得られる。そのため、押出発泡工程は、ポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子を造粒する造粒工程ともいえる。
【0165】
押出発泡工程において、第2溶融混練工程で得られた組成物を押出す領域は、第3製造装置の内圧よりも低圧である限り特に限定されない。例えば、押出発泡工程において、第2溶融混練工程で得られた組成物は、気相中に押出されてもよく、液相中に押出されてもよい。
【0166】
押出発泡工程において第3製造装置の内圧よりも低圧である領域に押出された組成物は、直ちに発泡し始める。押出発泡工程では、発泡中の組成物を細断してもよく、発泡し終えた組成物を細断してもよい。発泡中の組成物を細断する場合、細断された組成物は、押出された先の領域中で発泡を完了し得る。
【0167】
第2溶融混練工程で得られた組成物を押出す領域および当該組成物の細断方法によって、押出発泡工程(造粒工程)は、コールドカット法およびダイフェースカット法の2つに大別され得る。コールドカット法およびダイフェースカット法については、第1の実施形態における(第二の工程)の項で説明したものと同じであるため、当該記載を援用し、ここでは説明を省略する。
【0168】
第2の実施形態の押出発泡工程において、第2溶融混練工程で得られた組成物を液相中に押出す場合(例えばUWC)について、説明する。液相としては、特に限定されないが、安価および安全に製造できることから水であることが好ましい。液相の温度は、特に限定されないが、押出発泡粒子同士が互着したものが少ない押出発泡粒子を得やすいことから、20℃~90℃であることが好ましく、25℃~85℃であることが好ましく、30℃~80℃であることがより好ましく、35℃~80℃であることがさらに好ましく、40℃~80℃であることが特に好ましい。本明細書において、液相の温度は、液相と接するように設置された温度計によって測定され得る。領域内において組成物に対する液相の圧力は、特に限定されないが、得られる押出発泡粒子の連続気泡率を低く抑えやすく、かつ得られる押出発泡粒子同士の互着を低く抑えやすいことから、0.05MPa・G~0.60MPa・Gであることが好ましく、0.07MPa・G~0.55MPa・Gであることがより好ましく、0.10MPa・G~0.50MPa・Gであることがより好ましく、0.10MPa・G~0.45MPa・Gであることがさらに好ましく、0.10MPa・G~0.40MPa・Gであることが特に好ましい。本明細書において「MPa・G」は、MPaがゲージ圧を示していることを意図する。
【0169】
(2-2-6.比エネルギーE2)
第2の製造方法において、比エネルギーE2は、第2溶融混練部の複数のスクリューの駆動に必要な電力P2〔kW〕、より具体的には第2溶融混練部の複数のスクリューを回転させるモーターの駆動に必要な電力P2〔kW〕を、組成物の吐出量Q2〔kg/h〕で除して得られた値である。本明細書において、「第2溶融混練部の複数のスクリューの駆動に必要な電力P2」を「必要電力P2」と称する場合がある。
【0170】
第2の製造方法において、比エネルギーE2を0.190kWh/kg以下とすることにより、成形性に優れる押出発泡粒子が得られる。比エネルギーE2は、0.180kWh/kg以下であることがより好ましく、0.170kWh/kg以下であることが特に好ましい。比エネルギーE2の下限は、特に限定されないが、例えば0.050kWh/kg以上が好ましい。
【0171】
比エネルギーE2は、第2溶融混練部の温度、第2溶融混練部内の組成物の温度、第2溶融混練工程の時間、第2溶融混練部のスクリューの回転数N2、溶融混練された組成物の吐出量Q2、第2溶融混練部のスクリューの有効長L2と口径D2との比(L2/D2)、等を適宜に選定することにより、所望の範囲に調整することができる。なお、「口径D2」は、スクリューを収めるシリンダの内径である。
【0172】
必要電力P2は、第2溶融混練部のスクリューのモーター容量、第2溶融混練部のスクリューのモーター電流値、組成物の吐出量Q2、第2溶融混練部のスクリューの回転数N2および第2溶融混練部の最高スクリュー回転数から算出可能である。なお、必要電力P2の算出において、第2溶融混練部のスクリューの「モーター電流値」の代わりに、第2溶融混練部のスクリューの「モータートルク」を使用してもよい。
【0173】
第2の製造方法(例えば第2溶融混練工程)は、比エネルギーE2を0.190kWh/kg以下に調整する比エネルギーE2調整工程をさらに有することが好ましい。比エネルギーE2調整工程は、例えば、第2溶融混練部の温度、第2溶融混練部内の組成物の温度、第2溶融混練工程の時間、第2溶融混練部のスクリューの回転数N2、溶融混練された組成物の吐出量Q2および第2溶融混練部のスクリューの有効長L2と口径D2との比(L2/D2)からなる群から選択される1種以上を調整する工程である。
【0174】
第2溶融混練工程において、第2溶融混練部の温度は特に限定されず、比エネルギーE2が0.190kWh/kg以下となる温度であればよい。また、第2溶融混練部の温度は、原料に対する発泡剤の供給に支障の無い範囲の温度であることが好ましい。発泡剤が気体である場合は、第2溶融混練部における発泡剤の供給位置にて分岐状ポリプロピレン系樹脂が溶融していないと、発泡剤が第2溶融混練部の上流側へ抜ける可能性がある。このため、分岐状ポリプロピレン系樹脂を完全溶融させつつ、樹脂温度が高いことによる発泡剤気化が起こらないようにバレル温度を設定することが好ましい。第2溶融混練部の温度としては、分岐状ポリプロピレン系樹脂およびその他の樹脂が溶融し得る温度であることが好ましく、例えば、170℃~230℃の範囲であることが好ましく、180℃~220℃の範囲であることがより好ましく、180℃~210℃の範囲であることがさらに好ましい。第2溶融混練部の温度としては、例えば、内部にスクリューを収めるシリンダ(バレル)の温度が挙げられる。第2溶融混練部の温度が前記構成であれば、分岐構造を有するポリプロピレン系樹脂およびその他の樹脂が溶融し、かつ熱分解しないという点で好ましい。
【0175】
冷却部の温度およびダイの温度としては、特に限定されず、分岐状ポリプロピレン系樹脂の融点、発泡剤の種類および使用量、押出発泡工程の態様等に依存して、適宜設定してもよい。冷却部として単軸押出機を使用する場合、冷却部の温度としては、例えば、単軸押出機の、内部にスクリューを収めるシリンダ(バレル)の温度が挙げられる。
【0176】
溶融混練時間は特に限定されず、比エネルギーE2が0.190kWh/kg以下となる時間であればよい。第2溶融混練部のスクリューの回転数N2は特に限定されず、比エネルギーE2が0.190kWh/kg以下となる回転数N2であればよい。第2溶融混練部のスクリューの回転数N2は、第2溶融混練部の大きさ(例えば、第2溶融混練部のスクリューの有効長L2と口径D2との比(L2/D2))および/または吐出量Q2等に依存して、適宜設定してもよい。
【0177】
溶融混練された組成物の吐出量Q2は特に限定されず、比エネルギーE2が0.190kWh/kg以下となる吐出量Q2であればよい。溶融混練された組成物の吐出量Q2は、第2溶融混練部の大きさ(例えば、第2溶融混練部のスクリューの有効長L2と口径D2との比(L2/D2))等に依存して、適宜設定してもよい。
【0178】
第2溶融混練部のスクリューの有効長L2と口径D2との比(L2/D2)は、スクリューの混練効率の目安となる数値であり、この値が大きいほど、溶融混練時の仕事量が大きくなり、比エネルギーE2が増加する。L2/D2は、適宜に選定することができるが、例えば、20~45程度であってよく、より好ましくは、25~35程度であってよい。
【0179】
〔2-3.ポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子〕
本明細書において、「第2の製造方法によって得られるポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子」を「第2の押出発泡粒子」と称する場合もある。
【0180】
(成形性)
第2の押出発泡粒子は、成形性に優れるという利点、具体的には成形幅が広い(例えば0.03MPa以上)という利点を有する。
【0181】
本明細書において、「ポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子の成形幅」とは、ポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子を型内発泡成形したとき、以下を満たすポリプロピレン系樹脂型内発泡成形体を得ることができる、型内発泡成形時の蒸気圧の幅を意図する:(x1)ポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子同士の融着が十分であり、(x2)ポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子間の隙間が十分に埋まっており、(x3)表面が美麗であり、(x4)表面がメルトしておらず、(x5)圧縮強度が十分であり、かつ(x6)型内発泡成形に使用した型(金型)の寸法に対して5%以上収縮することなく、金型形状が転写されている、ポリプロピレン系樹脂型内発泡成形体。また、ポリプロピレン系樹脂型内発泡成形体が金型に張り付いて取り出せなくなった場合、ポリプロピレン系樹脂型内発泡成形体が得られない、と判断する。本明細書において、例えば、ポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子を型内発泡成形したとき、上述した(x1)~(x6)を満たすポリプロピレン系樹脂型内発泡成形体を得ることができる、型内発泡成形時の蒸気圧がP1~P2である場合、P2-P1で得られる「値」を、「ポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子の成形幅」とする。また、本明細書において、「P1~P2」を「実施可能な蒸気圧幅」とも称する。
【0182】
ポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子に対して蒸気圧が低すぎる場合、(a)ポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子同士の融着が不十分であり、(b)ポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子間の隙間が十分に埋まっておらず、(c)表面の美麗性に劣り、および/または(d)収縮する結果、型内発泡成形に使用した型(金型)の形状が転写されていない、ポリプロピレン系樹脂型内発泡成形体が得られる場合がある。ポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子に対して蒸気圧が高すぎる場合、(a)表面がメルトしている、および/または、(b)圧縮強度が不十分であるポリプロピレン系樹脂型内発泡成形体が得られる場合がある。
【0183】
第2の押出発泡粒子の成形幅は特に限定されない。第2の押出発泡粒子の成形幅は広いほど好ましい。第2の押出発泡粒子の成形幅は、0.03MPa以上であることが好ましく、0.04MPa以上であることがより好ましい。成形幅が前記範囲内である押出発泡粒子は、成形性に優れるものである。成形幅が前記範囲内である押出発泡粒子は、複雑な形状を有する金型を使用した型内発泡成形に、特に好適に利用できる。なぜなら、複雑な形状を有する金型を使用した型内発泡成形に、成形幅が前記範囲内である押出発泡粒子を使用する場合、金型内の押出発泡粒子に対して均等に蒸気が当たり、押出発泡粒子に対する蒸気の当たりやすさが異なる虞がない。そのため、複雑な形状を有する金型内において、押出発泡粒子に対する蒸気圧力が高くなっている部分と低くなっている部分とが共存する虞がないと考えられるためである。
【0184】
第2の押出発泡粒子を成形(例えば型内発泡成形)することにより、圧縮強度に優れ、融着性に優れ、および/または表面が美麗である発泡成形体を、蒸気圧を厳密に制御する必要なしに得ることができる。
【0185】
(形状)
第2の押出発泡粒子の形状は、押出発泡粒子を成形するときの金型への充填性を考慮すると、球状または略球状が好ましいが、これらに限定されない。例えば、発泡成形体に吸音性および/または透水性を付与するため、敢えて空隙を有する発泡成形体を製造する場合がある。このような場合は、円柱状、楕円状、直方体状、筒状(ストロー状)の押出発泡粒子が用いられ得る。
【0186】
(直径)
第2の押出発泡粒子の形状が、球状または略球状である場合について説明する。この場合、第2の押出発泡粒子の平均直径(平均粒子径ともいう)としては、特に限定されない。また、この場合、押出発泡粒子の成形における作業性および成形性に優れることから、第2の押出発泡粒子の平均直径は、例えば、0.5mm~10.0mmが好ましく、1.0mm~7.0mmがより好ましく、2.0mm~5.0mmがさらに好ましい。ここで、ポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子の平均直径は、任意の20個のポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子に対して、ノギス等を使用して測定した直径の相加平均値である。第2の押出発泡粒子の平均直径は、ダイが備える孔の孔径などにより適宜に調整することができる。
【0187】
(連続気泡率)
第2の押出発泡粒子の連続気泡率は、低いほど好ましい。第2の押出発泡粒子の連続気泡率は、15.0%以下であることが好ましく、10.0%以下であることがより好ましく、8.0%以下であることがさらに好ましく、5.0%以下であることが特に好ましい。第2の押出発泡粒子の連続気泡率の下限値は特に限定されず、例えば0.0%以上である。当該構成によると、(a)押出発泡粒子の成形時に、セルが破泡して収縮することがほとんどないため、当該押出発泡粒子が成形性に優れるという利点、および(b)当該押出発泡粒子を用いて得られた発泡成形体において、形状の任意性、緩衝性、軽量性、圧縮強度および断熱性などの特徴がより発揮されるという利点を有する。
【0188】
本明細書において、ポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子の連続気泡率は、空気比較式比重計[東京サイエンス(株)製、モデル1000]を用いて、ASTM D2856-87の手順C(PROSEDURE C)に記載の方法に従って、測定して求められる値である。押出発泡粒子の連続気泡率は、具体的には、以下(1)~(3)を順に実施して算出される:(1)空気比較式比重計を用いて押出発泡粒子の体積Vc(cm3)を測定する;(2)次いで、Vcを測定後の押出発泡粒子の全量を、メスシリンダーに入っているエタノール中に沈める;(3)その後、メスシリンダーにおけるエタノールの位置の上昇量から、押出発泡粒子の見かけ上の体積Va(cm3)を求める;(4)以下の式により、押出発泡粒子の連続気泡率を算出する:
連続気泡率(%)=((Va-Vc)×100)/Va。
なお、体積Vaの測定の方法は水没法とも称される。
【0189】
(発泡倍率)
第2の押出発泡粒子の発泡倍率は、2倍~45倍であることが好ましく、3倍~40倍であることがより好ましく、3倍~30倍であることがさらに好ましく、3倍~25倍であることが特に好ましい。前記構成によると、当該押出発泡粒子を用いて得られたポリプロピレン系樹脂型内発泡成形体において、形状の任意性、緩衝性、軽量性、および断熱性などの特徴がより発揮される、という利点を有する。押出発泡粒子の製造により得られた押出発泡粒子の発泡倍率が前記範囲に至らなかった場合、得られた押出発泡粒子に対して、押出発泡粒子内を不活性ガスで加圧した後、当該押出発泡粒子を加熱して発泡倍率を高める方法(例えば、特開平10-237212号公報に記載の方法)も利用可能である。
【0190】
本明細書において、ポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子の発泡倍率は、以下の方法によって算出される:(1)押出発泡粒子の重量w(g)を測定する;(2)次に、重量の測定に用いた押出発泡粒子を、メスシリンダー中に入っているエタノール中に沈め、メスシリンダーの液面位置の上昇分に基づき押出発泡粒子の体積v(cm3)を測定する;(3)重量w(g)を体積v(cm3)で除し、押出発泡粒子の密度ρ1を算出する;(4)押出発泡粒子の代わりに基材樹脂を用いて(1)~(3)と同様の操作を行うことにより、基材樹脂の密度ρ2を算出する;(5)押出発泡粒子の基材樹脂の密度ρ2を押出発泡粒子の密度ρ1で除し(ρ2/ρ1)、得られた値を発泡倍率とする。
【0191】
本明細書において、基材樹脂とは、押出発泡粒子を実質的に構成している樹脂成分であるともいえる。押出発泡粒子の基材樹脂の密度は、前記押出発泡粒子を減圧下で融解して樹脂塊に戻す操作によっても、実質的に変化しない。従って、押出発泡粒子を減圧下で融解して得られる樹脂塊の密度は、押出発泡粒子の基材樹脂の密度と見做すことができる。本明細書において、押出発泡粒子を減圧下で融解して樹脂塊を得ることを「樹脂戻しする」と称する場合があり、樹脂戻しして得られる樹脂塊を「戻し樹脂」と称する場合がある。
【0192】
樹脂戻しの具体的な方法としては特に限定されないが、例えば以下(f1)~(f5)を順に行う方法が挙げられる:(f1)線状ポリプロピレン系樹脂の融点+10℃に調整した乾燥機中に、発泡粒子を入れる;(f2)次いで、5~10分かけて真空ポンプを使用して、前記乾燥機内の圧力を-0.05MPa(ゲージ圧)~-0.10MPa(ゲージ圧)になるまで減圧する;(f3)その後、前記乾燥機内で30分間、押出発泡粒子を放置し、樹脂塊(戻し樹脂)を調製する;(f4)次いで、乾燥機内の温度を室温まで冷却した後、乾燥機内の圧力を常圧まで戻す;(f5)その後、乾燥機から前記樹脂塊を取り出す。
【0193】
(結晶ピーク)
押出発泡法により得られるポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子は、DSC測定により得られるDSC曲線において結晶ピークが1つであるという特徴を有する。換言すれば、DSC測定により得られるDSC曲線において結晶ピークが1つであるポリプロピレン系樹脂発泡粒子は、押出発泡法により得られたものである蓋然性が高い。第2の押出発泡粒子もまた、DSC測定により得られるDSC曲線において結晶ピークが1つであり得る。
【0194】
結晶ピークの算出に用いられるポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子のDSC曲線は、DSC測定により、ポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子5~6mgを10℃/分の昇温速度で40℃から220℃まで昇温する間に得られる曲線である。
【0195】
〔2-4.ポリプロピレン系樹脂発泡成形体の製造方法〕
本発明の第2の実施形態に係るポリプロピレン系樹脂発泡成形体の製造方法は、〔2-2.ポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子の製造方法〕の項に記載の製造方法により得られたポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子(すなわち、第2の押出発泡粒子)、または、〔2-3.ポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子〕の項に記載のポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子(すなわち、第2の押出発泡粒子)を、金型が備える少なくとも2つの型から形成される成形空間内に充填した後、当該成形空間内の前記ポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子を加熱する加熱工程を有する。
【0196】
本明細書において、本発明の第2の実施形態に係るポリプロピレン系樹脂発泡成形体」を「第2の発泡成形体」と称する場合もある。
【0197】
本発明の第2の実施形態に係るポリプロピレン系樹脂発泡成形体の製造方法は、従来の許容可能な範囲より低い蒸気圧または高い蒸気圧で成形を行った場合にも、圧縮強度に優れ、融着性に優れ、および/または表面が美麗であるポリプロピレン系樹脂型内発泡成形体を提供できる、という利点を有する。
【0198】
本発明の第2の実施形態に係るポリプロピレン系樹脂発泡成形体の製造方法において、加熱工程は、ポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子を水蒸気で加熱する工程を有することが好ましい。
【0199】
第2の実施形態におけるポリプロピレン系樹脂発泡成形体の製造方法に関する上述した事項以外の各態様は、第1の実施形態における〔1-6.ポリプロピレン系樹脂発泡成形体の製造方法〕の項で説明したものと同じであるため、当該記載を援用し、ここでは説明を省略する。
【0200】
本発明の別の一実施形態では、第1の実施形態と第2の実施形態とを組み合わせ採用することが最も好ましい。換言すれば、第2の実施形態における第2の製造方法で使用する分岐状ポリプロピレン系樹脂として、第1の実施形態における第1の製造方法により得られた分岐状ポリプロピレン系樹脂を使用してもよい。
【0201】
すなわち、本発明の別の一実施形態は、複数のスクリューを有する第2溶融混練部と、ダイを有する造粒部とを備える第3製造装置を使用し、第1の製造方法により得られた分岐構造を有するポリプロピレン系樹脂および発泡剤を前記第2溶融混練部にて溶融混練する第2溶融混練工程と、前記第2溶融混練工程で得られた組成物を、前記ダイを通して前記第3製造装置の内圧よりも低圧である領域に吐出する押出発泡工程と、を含み、比エネルギーE2は、0.190kWh/kg以下であり、ここで、前記比エネルギーE2は、前記第2溶融混練部の前記複数のスクリューの駆動に必要な電力P2を、前記組成物の吐出量Q2で除した値であり、前記分岐構造を有するポリプロピレン系樹脂は、以下の製造方法により得られたものである、ポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子の製造方法である。
【0202】
本発明の一実施形態は、以下の様な構成であってもよい。
【0203】
〔X1〕分岐構造を有するポリプロピレン系樹脂の製造方法であって、スクリューを有する第1溶融混練部とダイとを備える第1製造装置を使用し、ポリプロピレン系樹脂、共役ジエン化合物およびラジカル重合開始剤を前記第1溶融混練部にて溶融混練する第1溶融混練工程と、前記第1溶融混練工程で得られた分岐構造を有するポリプロピレン系樹脂を、前記ダイを通して吐出する吐出工程と、を含み、前記共役ジエン化合物の使用量は、前記ポリプロピレン系樹脂100重量部に対して、0.30重量部~1.50重量部であり、前記ラジカル重合開始剤の使用量は、前記ポリプロピレン系樹脂100重量部に対して、0.50重量部~2.00重量部であり、比エネルギーE1は、0.35kWh/kg以上であり、ここで、前記比エネルギーE1は、前記第1溶融混練部の前記スクリューの駆動に必要な電力P1を、前記分岐構造を有するポリプロピレン系樹脂の吐出量Q1で除した値である、分岐構造を有するポリプロピレン系樹脂の製造方法。
【0204】
〔X2〕前記第1溶融混練部は、複数軸押出機である、〔X1〕に記載の製造方法。
【0205】
〔X3〕前記共役ジエン化合物は、イソプレンおよび/またはブタジエンのみからなる、〔X1〕または〔X2〕に記載の製造方法。
【0206】
〔X4〕前記ラジカル重合開始剤は、パーオキシケタール、パーオキシエステルおよびパーオキシカーボネートからなる群から選択される1種以上のみからなる、〔X1〕~〔X3〕の何れか1つに記載の製造方法。
【0207】
〔X5〕前記ポリプロピレン系樹脂の230℃でのメルトフローレートが0.5g/10分~20.0g/10分である、〔X1〕~〔X4〕の何れか1つに記載の製造方法。
【0208】
〔X6〕前記分岐構造を有するポリプロピレン系樹脂のゲル分率が10.0重量%以下である、〔X1〕~〔X5〕の何れか1つに記載の製造方法。
【0209】
〔X7〕前記第1溶融混練部の温度が160℃~300℃である、〔X1〕~〔X6〕の何れか1つに記載の製造方法。
【0210】
〔X8〕前記第1溶融混練工程の溶融混練時間が30秒間~10分間である、〔X1〕~〔X7〕の何れか1つに記載の製造方法。
【0211】
〔X9〕前記第1溶融混練部の前記スクリューの有効長L1と口径D1との比(L1/D1)が、30~75である、〔X1〕~〔X8〕の何れか1つに記載の製造方法。
【0212】
〔X10〕(a)〔X1〕~〔X9〕の何れか1つに記載の製造方法により得られた分岐構造を有するポリプロピレン系樹脂と、(b)発泡剤と、を第2製造装置内で溶融混練する第一の工程、および第一の工程で得られた組成物を、ダイを通して前記第2製造装置の内圧よりも低圧である領域に吐出する第二の工程、を含む、ポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子の製造方法。
【0213】
〔X11〕複数のスクリューを有する第2溶融混練部と、ダイを有する造粒部とを備える第3製造装置を使用し、〔X1〕~〔X9〕の何れか1つに記載の製造方法により得られた分岐構造を有するポリプロピレン系樹脂および発泡剤を前記第2溶融混練部にて溶融混練する第2溶融混練工程と、前記第2溶融混練工程で得られた組成物を、前記ダイを通して前記第3製造装置の内圧よりも低圧である領域に吐出する押出発泡工程と、を含み、比エネルギーE2は、0.190kWh/kg以下であり、ここで、前記比エネルギーE2は、前記第2溶融混練部の前記複数のスクリューの駆動に必要な電力P2を、前記組成物の吐出量Q2で除した値である、ポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子の製造方法。
【0214】
〔X12〕複数のスクリューを有する第2溶融混練部と、ダイを有する造粒部とを備える第3製造装置を使用し、分岐構造を有するポリプロピレン系樹脂および発泡剤を前記第2溶融混練部にて溶融混練する第2溶融混練工程と、前記第2溶融混練工程で得られた組成物を、前記ダイを通して前記第3製造装置の内圧よりも低圧である領域に吐出する押出発泡工程と、を含み、比エネルギーE2は、0.190kWh/kg以下であり、ここで、前記比エネルギーE2は、前記第2溶融混練部の前記複数のスクリューの駆動に必要な電力P2を、前記組成物の吐出量Q2で除した値である、ポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子の製造方法。
【0215】
〔X13〕前記第3製造装置は、冷却部をさらに備える、〔X11〕または〔X12〕に記載のポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子の製造方法。
【0216】
〔X14〕前記第3製造装置は、輸送部をさらに備える、〔X11〕~〔X13〕の何れか1つに記載のポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子の製造方法。
【0217】
〔X15〕前記ダイは、孔径0.1mm~2.0mmである孔を有する、〔X11〕~〔X14〕の何れか1つに記載のポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子の製造方法。
【0218】
〔X16〕前記分岐構造を有するポリプロピレン系樹脂の230℃でのメルトフローレートが0.5g/10分~20.0g/10分であり、200℃における溶融張力が8.0cN以上である、〔X11〕~〔X15〕の何れか1つに記載のポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子の製造方法。
【0219】
〔X17〕前記発泡剤は炭酸ガスのみからなる、〔X11〕~〔X16〕の何れか1つに記載のポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子の製造方法。
【0220】
〔X18〕前記第2溶融混練部の前記スクリューの有効長L2と口径D2との比(L2/D2)が、20~45である、〔X11〕~〔X17〕の何れか1つに記載のポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子の製造方法。
【0221】
〔X19〕前記ポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子の連続気泡率が15.0%以下である、〔X11〕~〔X18〕の何れか1つに記載のポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子の製造方法。
【0222】
〔X20〕〔X11〕~〔X19〕の何れか1項に記載のポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子の製造方法により得られたポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子を、金型が備える少なくとも2つの型から形成される成形空間内に充填した後、当該成形空間内の前記ポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子を加熱する加熱工程を有する、ポリプロピレン系樹脂発泡成形体の製造方法。
【0223】
〔X21〕前記加熱工程は、前記ポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子を水蒸気で加熱する工程を有し、前記加熱工程における成形幅は、0.03MPa以上である、〔X20〕に記載のポリプロピレン系樹脂発泡成形体の製造方法。
【0224】
本発明の一実施形態は、以下の様な構成であってもよい。
【0225】
〔Y1〕分岐構造を有するポリプロピレン系樹脂の製造方法であって、スクリューを有する第1溶融混練部とダイとを備える第1製造装置を使用し、ポリプロピレン系樹脂、共役ジエン化合物およびラジカル重合開始剤を前記第1溶融混練部にて溶融混練する第1溶融混練工程と、前記第1溶融混練工程で得られた分岐構造を有するポリプロピレン系樹脂を、前記ダイを通して吐出する吐出工程と、を含み、前記共役ジエン化合物の使用量は、前記ポリプロピレン系樹脂100重量部に対して、0.30重量部~1.50重量部であり、前記ラジカル重合開始剤の使用量は、前記ポリプロピレン系樹脂100重量部に対して、0.50重量部~2.00重量部であり、比エネルギーE1は、0.35kWh/kg以上であり、ここで、前記比エネルギーE1は、前記第1溶融混練部の前記スクリューの駆動に必要な電力P1を、前記分岐構造を有するポリプロピレン系樹脂の吐出量Q1で除した値である、分岐構造を有するポリプロピレン系樹脂の製造方法。
【0226】
〔Y2〕前記第1溶融混練部は、複数軸押出機である、〔Y1〕に記載の製造方法。
【0227】
〔Y3〕(a)〔Y1〕または〔Y2〕に記載の製造方法により得られた分岐構造を有するポリプロピレン系樹脂と、(b)発泡剤と、を第2製造装置内で溶融混練する第一の工程、および第一の工程で得られた組成物を、ダイを通して前記第2製造装置の内圧よりも低圧である領域に吐出する第二の工程、を含む、ポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子の製造方法。
【0228】
〔Y4〕〔Y3〕に記載の製造方法により得られたポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子を、金型が備える少なくとも2つの型から形成される成形空間内に充填した後、当該成形空間内の前記ポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子を加熱する加熱工程を有する、ポリプロピレン系樹脂発泡成形体の製造方法。
【0229】
本発明の一実施形態は、以下の様な構成であってもよい。
【0230】
〔Z1〕複数のスクリューを有する第2溶融混練部と、ダイを有する造粒部とを備える第3製造装置を使用し、分岐構造を有するポリプロピレン系樹脂および発泡剤を前記第2溶融混練部にて溶融混練する第2溶融混練工程と、前記第2溶融混練工程で得られた組成物を、前記ダイを通して前記第3製造装置の内圧よりも低圧である領域に吐出する押出発泡工程と、を含み、比エネルギーE2は、0.19kWh/kg以下であり、ここで、前記比エネルギーE2は、前記第2溶融混練部の前記複数のスクリューの駆動に必要な電力P2を、前記組成物の吐出量Q2で除した値である、ポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子の製造方法。
【0231】
〔Z2〕前記第3製造装置は、冷却部をさらに備える、〔Z1〕に記載のポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子の製造方法。
【0232】
〔Z3〕前記第3製造装置は、輸送部をさらに備える、〔Z1〕または〔Z2〕に記載のポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子の製造方法。
【0233】
〔Z4〕前記ダイは、孔径0.1mm~2.0mmである孔を有する、〔Z1〕~〔Z3〕の何れか1つに記載のポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子の製造方法。
【0234】
〔Z5〕前記分岐構造を有するポリプロピレン系樹脂の230℃でのメルトフローレートが0.5g/10分~20.0g/10分であり、200℃における溶融張力が8.0cN以上である、〔Z1〕~〔Z4〕の何れか1つに記載のポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子の製造方法。
【0235】
〔Z6〕〔Z1〕~〔Z5〕の何れか1つに記載のポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子の製造方法により得られたポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子を、金型が備える少なくとも2つの型から形成される成形空間内に充填した後、当該成形空間内の前記ポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子を加熱する加熱工程を有する、ポリプロピレン系樹脂発泡成形体の製造方法。
【0236】
〔Z7〕前記加熱工程は、前記ポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子を水蒸気で加熱する工程を有し、前記加熱工程における成形幅は、0.03MPa以上である、〔Z6〕に記載のポリプロピレン系樹脂発泡成形体の製造方法。
【実施例】
【0237】
〔実施例A〕
以下に実施例Aによって本発明の第1の実施形態をより詳しく説明するが、本発明はこれら実施例Aによって何ら制限されるものではない。
【0238】
(原料)
ポリプロピレン系樹脂として、(株)プライムポリマー製、商品名F113G(プロピレン単独重合体、230℃でのMFR3.0g/10分、融点160℃)を使用した。共役ジエン化合物として、イソプレンのみを使用した。ラジカル重合開始剤として、t-ブチルパーオキシイソプロピルカーボネートのみを使用した。
【0239】
〔実施例A-1〕
第1製造装置として、スクリューを有する第1溶融混練部と、押出方向の末端にダイとを備える装置を使用した。第1溶融混練部としては、(a)シリンダ内に口径φ46mmの同方向回転二軸スクリューを備え、(b)押出方向の上流の末端に原料供給口(ポリプロピレン系樹脂供給フィーダ)を備え、かつ(c)シリンダの途中にさらに2つの原料供給口(ラジカル重合開始剤供給ポンプおよび共役ジエン化合物供給ポンプ)を備える二軸押出機を使用した。第1溶融混練部のスクリューの有効長L1と口径D1との比L1/D1は30.7であった。
【0240】
ポリプロピレン系樹脂をポリプロピレン系樹脂供給フィーダから二軸押出機に供給し、次いで、ポリプロピレン系樹脂100重量部に対してラジカル重合開始剤1.40重量部をラジカル重合開始剤供給ポンプから二軸押出機に供給した。その後、溶融混練されたポリプロピレン系樹脂およびラジカル重合開始剤に対して、ポリプロピレン系樹脂100重量部に対して共役ジエン化合物0.50重量部を、共役ジエン化合物供給ポンプから二軸押出機に供給し、二軸押出機内で第1の樹脂混合物を調製した。第1の樹脂混合物の二軸押出機への供給量は、50kg/hであった。なお、第1の樹脂混合物の供給量とは、二軸押出機に共役ジエン化合物を供給した時点で二軸押出機内において調製される第1の樹脂混合物の単位時間当たりの量を意図する。
【0241】
調製された第1の樹脂混合物を、二軸押出機内でシリンダ温度200℃(すなわち、第1溶融混練部の温度200℃)およびスクリュー回転数(N1)258rpm、の条件で溶融混練し、分岐状ポリプロピレン系樹脂を得た(第1溶融混練工程)。得られた分岐状ポリプロピレン系樹脂を、吐出量(Q1)50kg/hでダイからストランド状に吐出した(吐出工程)。吐出された分岐状ポリプロピレン系樹脂(ストランド)を、(a)水冷し、その後(b)ペレット状(円柱状)に細断することにより分岐状ポリプロピレン系樹脂ペレットを得た。
【0242】
第1溶融混練部である二軸押出機のスクリューを回転させるモーターの駆動に必要な電力P1(必要電力P1)は20kWであり、比エネルギーE1は0.40kWh/kgであった。各製造条件および製造結果を表1に示す。
【0243】
〔実施例A-2~A-3、比較例A-1~A-5〕
第1の樹脂混合物の組成、吐出量Q1、スクリュー回転数N1、電力P1、および比エネルギーE1を表1に記載のとおりに変更した以外は、実施例A-1と同じ製法で分岐状ポリプロピレン系樹脂を得た。
【0244】
〔分岐構造を有するポリプロピレン系樹脂の評価〕
実施例A-1~A-3および比較例A-1~A-5で得られた分岐状ポリプロピレン系樹脂について、(a)溶融張力、(b)ゲル分率および(c)230℃でのMFRを、それぞれ以下の方法にて測定した。結果を表1に示す。
【0245】
(a)溶融張力の測定
溶融張力は、キャピログラフ1D(日本 株式会社東洋精機製作所製)を用いて測定した。具体的には、以下(1)~(5)の通りであった:(1)200℃に加熱された径9.55mmのバレルに、各実施例Aまたは比較例Aで得られた分岐状ポリプロピレン系樹脂を充填した;(2)次いで、分岐状ポリプロピレン系樹脂を10分間、試験温度(200℃)に加熱されたバレル内で加熱した;(3)次いで、キャピラリーダイ(口径1.0mm、長さ10mm)から、一定に保持したピストン降下速度(10mm/分)にて、分岐状ポリプロピレン系樹脂を紐状に出しながら、この紐状物を前記キャピラリーダイの下方350mmに位置する張力検出のプーリーに通過させた後、巻取りロールを用いる巻取りを開始した;(4)紐状物の引き取りが安定した後、紐状物の巻取り速度を、初速1.0m/分から、4分間で200m/分の速度に達するまで一定の割合で増加させた;(5)紐状物が破断したときのロードセル付きプーリーにかかる荷重を溶融張力として測定した。
【0246】
(b)ゲル分率の測定
ゲル分率は、ゲル分率測定装置を用いて測定した。具体的には、以下(1)~(10)を順に行った:(1)各実施例Aまたは比較例Aで得られた分岐状ポリプロピレン系樹脂0.5gを精秤し、これを試料とした;(2)袋状であり、かつ、側面がひだ折りにされた目開き37μm(400メッシュ)の金網に、前記試料をいれた;(3)300mLのナスフラスコに、スターラーピース、および、前記(2)の試料が封入された金網を入れ、さらにp-キシレン150mLをナスフラスコに加えた;(4)オイルバス装置およびスターラーを用いて130℃および80rpmで1時間、ナスフラスコ内の溶液を撹拌した;(5)ナスフラスコ内のp-キシレンを完全に入れ替えた後、ナスフラスコ内の溶液をさらに1時間撹拌した;(6)ナスフラスコ内のp-キシレンを完全に入れ替えた後、ナスフラスコ内の溶液を4時間撹拌した;(7)ナスフラスコから、金網をピンセットで取り出し、金網をp-キシレンで共洗いし、金網の側面の付着物除去を行った;(8)金網内の残留物(樹脂不溶物)を、金網ごと真空乾燥器で80℃、8時間乾燥させた;(9)放冷後、400メッシュ金網ごと残留物の重量を測定した;(10)下記式に基づき、ゲル分率(重量%)を算出した;
ゲル分率(重量%)=残留物の重量(g)/0.5(g)×100。
ここで、金網内の残留物の重量=ろ過乾燥後の金網の重量(残留物を含む)-ろ過前の金網のみの重量、である。
【0247】
(c)230℃でのMFRの測定
230℃でのMFRの値は、各実施例Aまたは比較例Aで得られた分岐状ポリプロピレン系樹脂を試料として、JIS K7210に記載のMFR測定器を用いて測定した。測定条件は、オリフィスの直径が2.0959±0.0050mmφ、オリフィスの長さが8.000±0.025mm、そして、荷重が2160g、230±0.2℃であった。
【0248】
【表1】
第1の製造方法によって製造された実施例A-1~A-3の分岐状ポリプロピレン系樹脂は、8.0cN(80mN)を超える溶融張力を示し、特に実施例A-2の分岐状ポリプロピレン系樹脂は、9.5cN(95mN)を超える溶融張力を示した。また、第1の製造方法によって製造された実施例A-1~A-3の分岐状ポリプロピレン系樹脂のゲル分率はいずれも10.0重量%以下であった。これに対し、比エネルギーE
1が0.35kWh/kgに満たない製造方法によって製造された比較例A-1~A-5の分岐状ポリプロピレン系樹脂は、溶融張力が低く、また、ゲル分率が高いものであった。
【0249】
〔実施例B〕
以下に実施例Bを掲げて本発明の第2の実施形態をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例Bによって何ら制限されるものではない。
【0250】
(測定および評価方法)
[分岐状ポリプロピレン系樹脂の230℃でのMFR]
第2の実施形態における分岐状ポリプロピレン系樹脂の230℃でのMFRの測定方法は、各実施例Bまたは比較例Bで得られた分岐状ポリプロピレン系樹脂を試料としたこと以外、前記〔実施例A〕の「(c)230℃でのMFRの測定」に記載の方法と同じである。
【0251】
[分岐状ポリプロピレン系樹脂の溶融張力]
第2の実施形態における分岐状ポリプロピレン系樹脂の溶融張力の測定方法は、200℃に加熱された径9.55mmのバレルに各実施例Bまたは比較例Bで得られた分岐状ポリプロピレン系樹脂を充填したこと以外、前記〔実施例A〕の「(a)溶融張力の測定」に記載の方法と同じである。
【0252】
[発泡倍率]
以下の方法によって、ポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子の発泡倍率を算出した:(1)押出発泡粒子の重量w(g)を測定した;(2)次に、重量の測定に用いた押出発泡粒子を、メスシリンダー中に入っているエタノール中に沈め、メスシリンダーの液面位置の上昇分に基づき押出発泡粒子の体積v(cm3)を測定した;(3)重量w(g)を体積v(cm3)で除し、押出発泡粒子の密度ρ1を算出した;(4)押出発泡粒子の代わりに基材樹脂(戻し樹脂)を用いて(1)~(3)と同様の操作を行うことにより、基材樹脂の密度ρ2を算出した;(5)押出発泡粒子の基材樹脂の密度ρ2を押出発泡粒子の密度ρ1で除し(ρ2/ρ1)、発泡倍率とした。
【0253】
実施例Bおよび比較例Bでは、押出発泡粒子を樹脂戻しして得られる樹脂塊の密度を、前記基材樹脂の密度と見做した。以下(f1)~(f5)を順に行い、得られた樹脂塊を押出発泡粒子の戻し樹脂とした:(f1)押出発泡粒子を、温度を160℃に調整した乾燥機に入れた;(f2)次いで、5~10分かけて真空ポンプを使用して、前記乾燥機内の圧力を-0.05MPa(ゲージ圧)~-0.10MPa(ゲージ圧)になるまで減圧した;(f3)その後、前記乾燥機内で30分間、押出発泡粒子を放置し、樹脂塊(戻し樹脂)を調製した;(f4)次いで、乾燥機内の温度を室温まで冷却した後、乾燥機内の圧力を常圧まで戻した;(f5)その後、乾燥機から前記樹脂塊を取り出した。
【0254】
[連続気泡率]
押出発泡粒子の連続気泡率は、空気比較式比重計[東京サイエンス(株)製、モデル1000]を用いて、ASTM D2856-87の手順C(PROSEDURE C)に記載の方法に従って、測定した。押出発泡粒子の連続気泡率は、具体的には、以下(1)~(3)を順に実施して算出した:(1)空気比較式比重計を用いて押出発泡粒子の体積Vc(cm3)を測定した;(2)次いで、Vcを測定後の押出発泡粒子の全量を、メスシリンダーに入っているエタノール中に沈めた;(3)その後、メスシリンダーにおけるエタノールの位置の上昇量から、押出発泡粒子の見かけ上の体積Va(cm3)を求めた;(4)以下の式により、押出発泡粒子の連続気泡率を算出した:
連続気泡率(%)=((Va-Vc)×100)/Va。
【0255】
[成形幅]
型内発泡成形において、蒸気圧を0.02MPaずつ変化させながら、蒸気圧のある一定の範囲内において、ポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子を型内発泡成形しポリプロピレン系樹脂型内発泡成形体を得た。このとき、以下を満たすポリプロピレン系樹脂型内発泡成形体を得ることができる、型内発泡成形時の蒸気圧の幅を求めた:(x1)ポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子同士の融着が十分であり、(x2)ポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子間の隙間が十分に埋まっており、(x3)表面が美麗であり、(x4)表面がメルトしておらず、(x5)圧縮強度が十分であり、かつ(x6)収縮することなく、型内発泡成形に使用した型(金型)の形状が転写されている、ポリプロピレン系樹脂型内発泡成形体。
【0256】
なお、成形幅の測定における(x1)~(x6)の各項目については、各実施例Bおよび比較例B間において一定の基準となるよう、適宜任意の基準を設ければよい。
【0257】
上述の方法で得られた蒸気圧の幅をP1~P2とするとき、当該「P1~P2」を「実施可能な蒸気圧幅」とし、P2-P1で得られる「値」を、「ポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子の成形幅」とした。「実施可能な蒸気圧幅」および「ポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子の成形幅」を、それぞれ、表2の「蒸気圧幅」および「成形幅」の欄に記載した。
【0258】
(第1製造装置)
以下の製造例Bでは、分岐構造を有するポリプロピレン系樹脂の製造に使用する第1製造装置として、スクリューを有する第1溶融混練部と、押出方向の末端にダイとを備える装置を使用した。第1溶融混練部としては、(a)シリンダ内に口径φ46mmの同方向回転二軸スクリューを備え、(b)押出方向の上流の末端に原料供給口(ポリプロピレン系樹脂供給フィーダ)を備え、かつ(c)シリンダの途中にさらに2つの原料供給口(ラジカル重合開始剤供給ポンプおよび共役ジエン化合物供給ポンプ)を備える二軸押出機を使用した。第1溶融混練部のスクリューの有効長L1と口径D1との比L1/D1は30.7であった。
【0259】
(第3製造装置)
以下の実施例Bおよび比較例Bでは、ポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子の製造に使用する第3製造装置として、第2溶融混練部と冷却部と輸送部とダイバーターバルブと造粒部とが直列に連結された装置を使用した。第2溶融混練部としては、2つのスクリューを有し、一端に原料供給部を備え、かつスクリューの途中に発泡剤供給部を備える二軸押出機を使用した。第2溶融混練部において、スクリューの口径Dは26mmであり、スクリューの有効長Lと口径Dとの比(L/D)は40.6であった。冷却部として、スタティックミキサーを使用した。造粒部は、孔径0.8mmの孔を6つ有するダイを有するものであった。
【0260】
(製造例B)
(分岐構造を有するポリプロピレン系樹脂の製造)
以下(1)~(5)を順に行い分岐状ポリプロピレン系樹脂を製造した:
(1)ランダムポリプロピレン樹脂(プライムポリマー社製、F-724NPC)100重量部と、ラジカル重合開始剤としてt-ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネートおよび2,2-ジ(t-ブチルパーオキシ)ブタンの混合物1.33重量部とを70kg/hにて、第1製造装置が備える二軸押出機(軸径φ46mmの同方向回転二軸スクリューを有する)(第1溶融混練部)に供給した;(2)二軸押出機途中に設けた圧入部より、ランダムポリプロピレン樹脂100重量部に対して0.55重量部のイソプレンを共役ジエン系化合物として供給した;(3)二軸押出機内の混合物をシリンダ温度200℃(すなわち、第1溶融混練部の温度200℃)かつスクリュー回転数(N1)258rpmの条件で溶融混練し、溶融混練物(分岐状ポリプロピレン系樹脂)を得た(第1溶融混練工程);(4)得られた溶融混練物(分岐状ポリプロピレン系樹脂)を、二軸押出機が末端に備えるダイから吐出量(Q1)70kg/hで押出し(吐出し)(吐出工程)、押出された溶融混練物(ストランド)を水槽にて水冷した;(5)水槽の先に設けたペレタイザーにてストランドを細断して、ペレット状の分岐状ポリプロピレン系樹脂を得た。得られた分岐状ポリプロピレン系樹脂の230℃でのMFRは3.8g/10分、溶融張力は10.6cNであった。ここで、ラジカル重合開始剤の混合物における各ラジカル重合開始剤の配合比(t-ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート:2,2-ジ(t-ブチルパーオキシ)ブタン)は、1:2であった。また、第1溶融混練部である二軸押出機のスクリューを回転させるモーターの駆動に必要な電力P1(必要電力P1)は27kWであり、比エネルギーE1は0.39kWh/kgであった。
【0261】
上述したように、実施例Bにおける分岐構造を有するポリプロピレン系樹脂の製造方法は、第1実施形態の分岐構造を有するポリプロピレン系樹脂の製造方法の一例といえ、すなわち、実施例Bでは第1実施形態を実施したといえる。
【0262】
(分岐構造を有しないポリプロピレン系樹脂の調製)
ランダムポリプロピレン樹脂(Borealis製、商品名RD734MO)60重量%と、カーボンブラック40重量%とを混合し、混合物を調製した。得られた混合物を、分岐構造を有しないポリプロピレン系樹脂(線状ポリプロピレン系樹脂)として、以下の実施例および比較例において使用した。
【0263】
また、以下の実施例Bおよび比較例Bでは、気泡核形成剤として、タルクを使用した。
【0264】
(実施例B-1)
(第2溶融混練工程)
分岐構造を有するポリプロピレン樹脂(分岐状ポリプロピレン系樹脂)95.55重量部、分岐構造を有しないポリプロピレン系樹脂(線状ポリプロピレン系樹脂)4.25重量部、および気泡核形成剤としてタルク0.2重量部をブレンドし、第2の樹脂混合物を調製した。その後、第2の樹脂混合物を、原料供給部から二軸押出機(第2溶融混練部)に供給し、シリンダ温度210℃(すなわち、第1溶融混練部の温度210℃)およびスクリュー回転数(N2)120rpmにて、第2の樹脂混合物の溶融混練を開始した。第2の樹脂混合物の二軸押出機への供給量は、10kg/hであった。第2の樹脂混合物の溶融混練の途中で、発泡剤として炭酸ガスのみを発泡剤供給部から二軸押出機内に圧入し、得られた組成物をさらに溶融混練した。発泡剤の二軸押出機への供給量は、0.25kg/hであった。
【0265】
(押出発泡工程)
第2溶融混練工程を経て得られた、溶融混練された組成物を、造粒部が有するダイを通過させて、第3製造装置の内圧よりも低圧かつ液相として水で満たされた領域に、吐出量(Q2)10.25kg/hで吐出した。第2溶融混練部である二軸押出機の2本のスクリューを回転させるモーターの駆動に必要な電力P2(必要電力P2)は1.435kWであり、比エネルギーE2は0.140kWh/kgであった。当該領域において、組成物に対する水の圧力は、0.2MPaであった。押し出された組成物を、水(液相)で満たされた領域中で、カッターにて細断して、球状または略球状のポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子を得た。得られたポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子を、遠心脱水機に供することにより回収した。各製造条件および製造結果を表2に示す。
【0266】
得られたポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子について、上述の方法で発泡倍率、連続気泡率および成形性を評価した。その結果、連続気泡率は3.3%であり、その他の物性は表2に示す通りであった。
【0267】
(型内発泡成形)
得られたポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子を使用し、かつTeubert Maschinenbau GmbH社製ポリオレフィン発泡成形機およびブロック形状金型(成形空間:縦381mm×横381mm×厚み60mm)を使用して、型内発泡成形を行った。具体的には下記の通りであった:(1)金型間の隙間(以降、クラッキングと呼ぶ。)を18mm(クラッキング率30%)とり、ポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子を金型の成形空間内に充填した;(2)その後、金型を完全に閉じする(すなわち成形空間の厚さ方向60mmとなる)ことにより、押出発泡粒子を圧縮した;(3)次いで、0.15MPa(ゲージ圧)の水蒸気で金型の成形空間内の空気を追い出した;(4)その後、所定の圧力の水蒸気を用いて5秒間両面加熱成形することにより、ポリプロピレン系樹脂型内発泡成形体を得た。このとき、水蒸気の圧力を0.20MPa(ゲージ圧)から0.02MPaずつ増加させて発泡成形体(型内発泡成形体)を作製した。水蒸気の圧力は最大0.30MPa(ゲージ圧)まで増加させた。得られた型内発泡成形体について、上述した成形幅を評価した。各製造結果を表2に示す。
【0268】
(実施例B-2)
スクリュー回転数N2、発泡剤供給量、必要電力P2および比エネルギーE2を表2に記載のとおりに変更した以外は、実施例B-1と同じ製法でポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子および型内発泡成形体を得た。得られたポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子および型内発泡成形体について、上述の方法で発泡倍率、連続気泡率および成形幅を評価した。その結果、連続気泡率は3.6%であり、その他の物性は表2に示す通りであった。
【0269】
(実施例B-3)
スクリュー回転数N2、発泡剤供給量、必要電力P2および比エネルギーE2を表2に記載のとおりに変更した以外は、実施例B-1と同じ製法でポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子および型内発泡成形体を得た。得られたポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子および型内発泡成形体について、上述の方法で発泡倍率、連続気泡率および成形幅を評価した。その結果、連続気泡率は3.8%であり、その他の物性は表2に示す通りであった。
【0270】
(実施例B-4)
スクリュー回転数N2、発泡剤供給量、必要電力P2および比エネルギーE2を表2に記載のとおりに変更した以外は、実施例B-1と同じ製法でポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子および型内発泡成形体を得た。得られたポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子および型内発泡成形体について、上述の方法で発泡倍率、連続気泡率および成形幅を評価した。その結果、連続気泡率は4.8%であり、その他の物性は表2に示す通りであった。
【0271】
(比較例B-1)
スクリュー回転数N2、吐出量Q2、発泡剤供給量、必要電力P2および比エネルギーE2を表2に記載のとおりに変更した以外は、実施例B-1と同じ製法でポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子および型内発泡成形体を得た。得られたポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子および型内発泡成形体について、上述の方法で発泡倍率、連続気泡率および成形幅を評価した。その結果、連続気泡率は9.8%であり、その他の物性は表2に示す通りであった。
【0272】
【表2】
表2より、第2の製造方法によって製造された実施例B-1~B-2のポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子は、0.04MPaもの成形幅を有していた。したがって、第2の製造方法によれば、成形性に優れる、すなわち幅広い蒸気圧にて型内発泡成形が可能であるポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子を提供できることがわかった。これに対し、比エネルギーE
2が0.190kWh/kgを超える製造方法によって製造された比較例B-1のポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子は、実施例B-1~B-2に比べて成形幅が狭く、型内発泡成形に際して蒸気圧の厳密な制御が必要であるなど、成形性に劣るものであった。
【産業上の利用可能性】
【0273】
本発明の第1の実施形態によれば、溶融張力が向上された新規の分岐状ポリプロピレン系樹脂を提供することができる。そのため、本発明の第1の実施形態は、成形性に優れたポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子を得るために、好適に利用できる。また、本発明の第2の実施形態によれば、成形性に優れるポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子を提供することができる。そのため、本発明の第2の実施形態は、形状の任意性、緩衝性、軽量性、圧縮強度および断熱性などにおいて良好な物性を有するポリプロピレン系樹脂型内発泡成形体を得るために、好適に利用できる。そのため、本発明の第1の実施形態および第2の実施形態は、それぞれ、自動車内装部材、緩衝材、包装材、および断熱材等の分野等において好適に利用できる。