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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2026-03-16
(45)【発行日】2026-03-25
(54)【発明の名称】ミリ波透過印刷物の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B41M 1/10 20060101AFI20260317BHJP
   B41M 1/30 20060101ALI20260317BHJP
   C09D 11/037 20140101ALI20260317BHJP
【FI】
B41M1/10
B41M1/30 D
C09D11/037
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2022109132
(22)【出願日】2022-07-06
(65)【公開番号】P2024007803
(43)【公開日】2024-01-19
【審査請求日】2025-04-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000222118
【氏名又は名称】artience株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】711004436
【氏名又は名称】東洋インキ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 紗矢加
【審査官】國田 正久
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-123819(JP,A)
【文献】特開2022-054590(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41M 1/10
B41M 1/30
C09D 11/037
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
グラビア版及び印刷インキを用いて、グラビア印刷によりプラスチック基材上に印刷層を形成する工程を含む、ミリ波透過印刷物の製造方法であって、
前記印刷インキが、アルミニウム薄片及びバインダー樹脂を含み、
前記アルミニウム薄片が、平均粒子径1~15μm、かつ、平均厚み52nm以下の蒸着アルミニウムであり、
前記アルミニウム薄片/前記バインダー樹脂固形分の質量比率が80/20~40/60であり、
前記グラビア版のスクリーン線数が、100~350線/インチであり、
前記ミリ波透過印刷物のミリ波透過減衰量が、-1.5dB以下である、ミリ波透過印刷物の製造方法。
【請求項2】
ミリ波透過印刷物の膜厚が、50~250nmである、請求項1に記載のミリ波透過印刷物の製造方法。
【請求項3】
グラビア版のスクリーン線数が、180~350線/インチである、請求項1又は2に記載のミリ波透過印刷物の製造方法。
【請求項4】
グラビア版のスタイラス角度が、110~150°である、請求項1又は2に記載のミリ波透過印刷物の製造方法。
【請求項5】
グラビア版の版式が、コンプレスト、ノーマル、エロンゲート、コース、又はファインのいずれかである、請求項1又は2に記載のミリ波透過印刷物の製造方法。
【請求項6】
プラスチック基材が、アクリル基材である、請求項1又は2に記載のミリ波透過印刷物の製造方法。
【請求項7】
バインダー樹脂が、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合樹脂、ウレタン樹脂及びアクリル樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一種を含む、請求項1又は2に記載のミリ波透過印刷物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ミリ波透過印刷物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
今日、自動車の塗装には、購入者が光輝性を有する塗装色を好むようになったことから、光輝材(マイカ、アルミニウム片等)入りの塗料を用いることが多い。従って、自動車を構成しているバンパー等の自動車の外装用樹脂製品も、自動車の他の部位との調和を保つため、光輝材入りの塗料で塗装される機会が多くなってきている。
一方、自動車はその安全性を向上させるため、自動車が周囲の物に接近したことを運転者に警告する距離測定用のレーダー装置を、自動車の各部、例えばラジエータグリル、バックパネル等の背後に設けることがある。このようなレーダー装置は、電磁波を対象物に照射して距離を測定していることから、レーダー装置と対象物との間に電磁波を遮断するもの(例えば金属)があると、その機能を果たせなくなる。従って、レーダー装置の前面に位置するラジエータグリル等(レーダー装置のカバー部)の自動車の外装用樹脂製品には、電磁波透過性が必要となっており、特に周波数約30~300GHzのミリ波透過性が求められている。装飾用のエンブレムなどの金属皮膜を有する部品が高いミリ波透過性を有するためには、その金属皮膜が、不連続な独立した島からなる、いわゆる海島構造を有することが必要とされている。一方で、ラジエータグリルや装飾用のエンブレムなどは車両の外観を構成するものであるため、意匠性の観点から、前記金属皮膜が十分な金属光沢を有することも求められる。
【0003】
金属皮膜の膜厚を、金属光沢が得られる程度の厚みとした場合においてもある程度の海島構造を維持することができる金属として、インジウムや錫が知られている。しかし、インジウムは高価であり、インジウムを用いて金属皮膜を形成した場合は、製造コストが高くなるという問題があった。この製造コストを下げることを目的として、例えば、特許文献1には、インジウムと、インジウムと合金化しやすいアルミニウム又はパラジウムとを、樹脂基材上にこの順でスパッタリングして金属皮膜を形成した樹脂製品が記載されている。しかし、特許文献1に記載された樹脂製品は、インジウムの使用量を削減してはいるものの、依然として金属皮膜の大部分がインジウムであるため、製造コストを十分に下げられるようなものではなかった。
【0004】
特許文献2には、インジウムを用いずに光輝性を表現する方法として、アルミフレークを含む塗料を透明基材にスプレー塗装する方法が記載されている。しかし、特許文献2に記載された方法では塗料を低粘度に希釈する必要があるため、塗装時VOCが多く排出されるといった作業環境的問題があり、他の塗膜形成方法が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2019-188806号公報
【文献】特開2019-123819号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、高輝度意匠性とミリ波透過性に優れ、環境負荷の少ないミリ波透過印刷物の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは上記課題を鑑みて、鋭意検討を行った結果、以下に記載の製造方法を用いることで当該課題を解決できることを見出し、本発明を成すに至った。
【0008】
すなわち本発明は、グラビア版及び印刷インキを用いて、グラビア印刷によりプラスチック基材上に印刷層を形成する工程を含む、ミリ波透過印刷物の製造方法であって、前記印刷インキが、アルミニウム薄片及びバインダー樹脂を含み、アルミニウム薄片/バインダー樹脂固形分の質量比率が80/20~40/60であり、前記グラビア版のスクリーン線数が、100~350線/インチであり、前記ミリ波透過印刷物のミリ波透過減衰量が、-1.5dB以下である、ミリ波透過印刷物の製造方法に関する。
【0009】
また本発明は、ミリ波透過印刷物の膜厚が、50~250nmである、上記のミリ波透過印刷物の製造方法に関する。
【0010】
また本発明は、アルミニウム薄片が、平均粒子径1~15μm、かつ、平均厚み50nm以下の蒸着アルミニウムである、上記のミリ波透過印刷物の製造方法に関する。
【0011】
また本発明は、グラビア版のスクリーン線数が、180~350線/インチである、上記のミリ波透過印刷物の製造方法に関する。
【0012】
また本発明は、グラビア版のスタイラス角度が、110~150°である、上記のミリ波透過印刷物の製造方法に関する。
【0013】
また本発明は、グラビア版の版式が、コンプレスト、ノーマル、エロンゲート、コース、又はファインのいずれかである、上記のミリ波透過印刷物の製造方法に関する。
【0014】
また本発明は、プラスチック基材が、アクリル基材である、上記のミリ波透過印刷物の製造方法に関する。
【0015】
また本発明は、バインダー樹脂が、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合樹脂、ウレタン樹脂及びアクリル樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一種を含む、上記のミリ波透過印刷物の製造方法に関する。
【発明の効果】
【0016】
本発明により、高輝度意匠性とミリ波透過性に優れ、環境負荷の少ないミリ波透過印刷物の製造方法を提供することが可能となった。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に本発明の実施形態を詳細に説明するが、以下に記載する事項は本発明の実施形態の一例であり、本発明はその要旨を超えない限りこれらの内容に限定されない。
【0018】
本発明は、グラビア版及び印刷インキを用いて、グラビア印刷によりプラスチック基材上に印刷層を形成する工程を含む、ミリ波透過印刷物製造方法であって、前記印刷インキが、アルミニウム薄片及びバインダー樹脂を含み、アルミニウム薄片/バインダー樹脂固形分の質量比率が80/20~40/60であり、前記グラビア版のスクリーン線数が、100~350線/インチであることにより、ミリ波透過減衰量が、-1.5dB以下であるミリ波透過印刷物を製造することができるものである。
【0019】
グラビア版のスクリーン線数が上記範囲にあり、同時に印刷インキのアルミニウム薄片とバインダーインキとの質量比率が上記範囲にあることにより、印刷層が海島構造を形成し、高輝度とミリ波透過性を両立できる。
【0020】
<グラビア印刷>
本発明の製造方法は、グラビア版及び印刷インキを用いて、グラビア印刷によりプラスチック基材上に印刷層を形成する工程を含む。後述する印刷インキをグラビア印刷に適した粘度及び濃度にまで希釈溶剤で希釈し、印刷ユニットに供給し、グラビア印刷機で印刷することで、ミリ波透過印刷物を得ることができる。グラビア版の版式や、スタイラス角度、スクリーン線数等を適宜選択することにより、印刷物の膜厚や印刷面の状態を調整することができる。
なお、印刷速度は100~300m/分であることが好ましく、意匠性の観点から、100~150m/分であるとより好ましい。
【0021】
<グラビア版>
グラビア版は、スクリーン線数が100~350線/インチであれば特に制限は無く、この版で印刷された印刷層が、グラビア版のセル由来の海島構造を形成することにより、印刷物のミリ波透過性が向上する。
【0022】
スクリーン線数は、1インチの間に並んでいる綱点の数である。本発明のグラビア版では、スクリーン線数が180~350線/インチであること以下が好ましく、200~300線/インチであることがより好ましく、250~300線/インチであることが特に好ましい。印刷物のミリ波透過性がより向上するためである。
【0023】
前記グラビア版のセルの形成方法として、彫刻法と腐食法とが存在する。彫刻法を用いるとセルが四角錐に形成されるため、後述の印刷インキの転移性が良好である。一方、腐蝕法を用いるとセルは小さいが深さは一定の凹部が形成されるので、極小文字や複雑な図形、微細な図柄の印刷に適している。前記特徴より、本発明においては彫刻法が好適である。
【0024】
<腐蝕法による版の作成方法>
前記腐食法によるグラビア版の作成方法としては、例えば、鉄心ロールに銅鍍金を施した金属シリンダの表面にセルの凹部を形成する方法がある。この方法は、版面の処理、感光液の塗工、焼き付け、現像、エッチング及びクロムメッキ等の工程からなる。上記エッチング工程では、まず、感光液塗工の際の密着性をあげるために金属シリンダの表面を脱脂し酸化膜を除去する。そして、ポリケイ皮酸ビニル等の感光液を塗工し乾燥させ、その上に図柄データをレーザー等で焼き付け画線部、非画線部の潜像を形成し、画線部を現像用の薬品で除去しレジストパターンを形成する。このレジストパターンを形成した金属シリンダを、塩化第二鉄(銅)のエッチング液を用いて腐食させ、所望の深さの凹部を形成する。エッチングが終了したならばレジストパターンを剥離して、シリンダ表面を洗浄して耐刷力向上のためのクロムメッキ等を行う。尚、この場合のエッチングにより設けられた凹部の深さは通常数十μm程度に形成されている。
【0025】
腐蝕法におけるグラビア版は主に銅メッキ、クロムメッキを経て作成されるものが好ましく、コンベンショナル、網グラビア、レーザーなどいずれでもよいが、網グラビア、レーザーによる版が好ましい。セル形状としては四角形ものもが好ましく、版深としては40μm以下が好ましい。
【0026】
<彫刻法による版の作成方法>
彫刻法によるグラビア版の作成方法としては、彫刻針(彫刻ヘッドの一部)を銅鍍金の施したシリンダ上に打ち込んでセルを形成するものがあり、彫刻針の打ち込み速さ(振幅数)、彫刻針の移動速度(幅送り速さ)をコントロールすることで、コンプレスト、ノーマル、エロンゲート、コース、ファインなどの版式を作製する。その後表面を洗浄して耐刷力向上のためのクロムメッキ等を行う。
【0027】
前記彫刻針としては、ダイヤモンド針(スタイラス)が好適に用いられる。針の先端角度(スタイラス角度)を変えることで、セルの直径は変えずに深さと容積が変わるため、濃度感の調整が可能である。本発明においては、スタイラス角度が110°~150°であることが好ましく、120°~150°であることがより好ましく、130°~150°であることが特に好ましい。海島構造を適度に形成させることにより、ミリ波透過性が向上するためである。
【0028】
グラビア版の版式は、印刷インキと印刷物の状態に応じて適宜選択できるが、彫刻法の場合、コンプレスト、ノーマル、エロンゲート、コース、又はファインのいずれかであることが好ましい。
【0029】
<印刷インキ>
本発明で使用する印刷インキは、アルミニウム薄片及びバインダー樹脂を含み、アルミニウム薄片/バインダー樹脂の質量比率が80/20~40/60である。アルミニウム薄片を含むことで、印刷物に光輝性光沢(光輝性)が発現し、バインダー樹脂を含むことで、インキの基材密着性が良好となる。アルミニウム薄片/バインダー樹脂の質量比率は70/30~15/85であことが好ましく、70/30~30/70であることがより好ましい。アルミニウム薄片の比率が80以下であるとインキの基材密着性が良くなり、アルミニウム薄片の比率が40より大きいと、高光沢になり、光輝性を発現しやすい。
【0030】
<アルミニウム薄片>
本発明で使用する印刷インキは、アルミニウム薄片を含む。本発明において、アルミニウム薄片とは薄片状に整形したアルミニウム顔料を示す。アルミニウム顔料は一般的に、アルミニウムの塊を溶融した後、フレーク又は固形状で取り出し、更に溶剤中でミル粉砕し、粒径、厚さ及び表面状態を整形することで製造される(粉砕法)。一方、薄片状のアルミニウム顔料は、蒸着法によっても製造できる。具体的には、フィルム上に剥離層を均一に塗り、その上にアルミニウム層を真空蒸着した後、剥離層を溶かすことで、薄膜状アルミニウム顔料を採取する。その後、得られた薄膜状アルミニウム顔料を攪拌粉砕し、粒径を整える手法である。
上記手法により整形したアルミニウム顔料は、溶剤中に分散させることにより、アルミニウムペーストとして用いることができる。
【0031】
本発明において用いるアルミニウム薄片は製法により限定されないが、蒸着法により得られる蒸着アルミニウムは、非常に薄膜、かつ、均一な膜厚であるため、インキ印刷物において良好な光輝性が表現でき、好ましい。
【0032】
アルミニウム薄片の平均粒子径は、1~15μmであることが好ましく、3~15μmであるとより好ましく、5~10μmであると更に好ましい。アルミニウム薄片の平均粒子径が1μm以上であると、インキ塗膜に十分な光輝性が得られ、15μm以下であると、インキ印刷物のミリ波透過性が発現しやすい。
【0033】
アルミニウム薄片の平均膜厚は、5~50nmであることが好ましく、8~40nmであるとより好ましく、10~30nmであると更に好ましい。膜厚が5nm以上であると、塗膜の光輝性表現とミリ波透過性が両立しやすく、50nm以下であると、塗膜中のアルミニウムの配向がそろいやすく、より良好な光輝性表現となる。
【0034】
<バインダー樹脂>
本発明で使用する印刷インキは、バインダー樹脂を含む。バインダー樹脂とはインキにおける結着樹脂をいい、有機溶剤に可溶な熱可塑性樹脂であることが好ましい。インキがバインダー樹脂を含むことで、アルミニウム薄片を塗膜中に保持することが容易になるだけでなく、インキと基材との密着性が向上する。
【0035】
バインダー樹脂の例としては、以下に限定されるものではないが、ウレタン樹脂、セルロース系樹脂、ポリアミド樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合樹脂、塩化ビニル-アクリル系共重合樹脂、ロジン系樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂、酢酸ビニル樹脂、アクリル樹脂、スチレン樹脂、スチレン-マレイン酸共重合樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、ケトン樹脂、環化ゴム、塩化ゴム、ブチラール、ポリアセタール樹脂、石油樹脂、及びこれらの変性樹脂などを挙げることができる。これらの樹脂は、単独で、又は2種以上を混合して用いることができる。中でも、ウレタン樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合樹脂、アクリル樹脂からなる群より選ばれる一種以上を含むことが好ましい。
【0036】
<ウレタン樹脂>
前記ウレタン樹脂は、ウレタン結合を有する樹脂であればよく、例えば、ポリオールとポリイソシアネートとからなるウレタン樹脂;ポリオールとポリイソシアネートとからなる末端イソシアネートのウレタンプレポリマーと、ポリアミンのような鎖伸長剤とを反応させることにより得られるウレタンウレア樹脂;が挙げられ、好適に用いられる。このようなウレタン樹脂の製造方法としては例えば、特開2013-256551号公報、特開2018-127545号公報、特開2013-213109号公報に記載の方法が挙げられる。
【0037】
ウレタン樹脂の重量平均分子量は、10000~100000 のものが好ましく、20000~ 80000 のものがより好ましい。重量平均分子量が10000 以上であると、耐湿熱性や耐ブロッキング性、ラミネート強度が良好となることが期待され、重量平均分子量が100000以下であると、版かぶりやインキ経時安定性が良好となる。
【0038】
ウレタン樹脂は、水酸基価が1~40mgKOH/g及び/又はアミン価が1~20mgKOH/gであり、好ましくは水酸基価が3~30mgKOH/g及び/又はアミン価が3~15mgKOH/gである。水酸基価が1mgKOH/g及び/又はアミン価が1mgKOH/g以上であると、基材への密着性が良好となり、水酸基価が40mgK OH/g以下及び/又はアミン価が20mgKOH/g以下であるとインキの経時安定性が良好となる。
【0039】
ウレタン樹脂の合成に用いられるポリオールとしては、例えばポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリラクトンポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリオレフィンポリオール、ひまし油ポリオール、水素添加ひまし油ポリオール、ダイマージオール、水添ダイマージオールなどが挙げられる。中でもポリエーテルポリオール、ポリラクトンポリオールが好ましい。
【0040】
前記ポリエーテルポリオールは、例えば酸化エチレン、酸化プロピレン、テトラヒドロフランなどの重合体又は共重合体のポリエーテルポリオール類が挙げられる。中でもポリテトラメチレングリコールやポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコールが好ましく、数平均分子量は500~10,000であることが好ましく、500~3000であることがより好ましい。数平均分子量は、末端を水酸基として水酸基価から計算するものであり、(式1)により求められる。
(式1)ポリオールの数平均分子量=1000×56.1×水酸基の価数/水酸基価
【0041】
前記ポリラクトンポリオールとは、ラクトンの開環重合した末端に水酸基を有するポリオールを指す。ポリラクトンポリオールは、ポリオールの存在下、ラクトンを開環重合させて合成することが多いが、ポリラクトンポリオールを構成するラクトンとしては、α-アセトラクトン、β-プロピオラクトン、γ-ブチロラクトン、δ-バレロラクトン及びε-カプロラクトンより選ばれる少なくとも一種が好適である。また、ポリラクトンポリオールを構成するポリオールとしては、ジオールであることが好ましく、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、ネオペンチルグリコール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、3,3,5-トリメチルペンタンジオール、2、4-ジエチル-1,5-ペンタンジオール、1,12-オクタデカンジオール、1,2-アルカンジオール、1,3-アルカンジオール、1-モノグリセライド、2-モノグリセライド、1-モノグリセリンエーテル、2-モノグリセリンエーテル等が好適である。
【0042】
また、ポリラクトンポリオールを合成する際、上記ラクトンやポリオールに加えて、二塩基酸を併用してもよい。二塩基酸としては、アジピン酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、マレイン酸、フマル酸、コハク酸、シュウ酸、マロン酸、ピメリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、スベリン酸、グルタル酸、1 ,4- シクロヘキシルジカルボン酸、ダイマー酸、水添ダイマー酸等が挙げられる。
【0043】
ポリラクトンポリオールは、数平均分子量が500~10000であることが好ましく、500~3000であることがより好ましい。また、ウレタン樹脂中にポリラクトンポリオールからなる構造単位を5~50質量%含有することが好ましく、5~35質量%含有することがより好ましく、10~35質量%含有することが更に好ましい。耐湿熱性、耐湿熱性や耐加水分解性が向上するためである。
【0044】
前記ポリイソシアネートとしては、ウレタン樹脂の製造に一般的に用いられる各種公知の芳香族ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネート、脂環族ジイソシアネートなどが挙げられる。例えば、1,5-ナフチレンジイソシアネート、4,4'-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、4,4'-ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、4,4'-ジベンジルイソシアネート、ジアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、テトラアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、1,3-フェニレンジイソシアネート、1,4-フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ブタン-1,4-ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソプロピレンジイソシアネート、メチレンジイソシアネート、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、シクロヘキサン-1,4-ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジメリールジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン-4,4'-ジイソシアネート、1,3-ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート、m-テトラメチルキシリレンジイソシアネート、4,4-ジフェニルメタンジイソシアネート、ビス-クロロメチル-ジフェニルメタン-ジイソシアネート、2,6-ジイソシアネート-ベンジルクロライドやダイマー酸のカルボキシル基をイソシアネート基に転化したダイマージイソシアネート等が挙げられる。これらは3量体となってイソシアヌレート環構造となっていてもよい。これらのポリイソシアネートは単独で、又は2種以上を混合して用いることができる。中でも好ましくはトリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水素添加キシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体である。
【0045】
ウレタン樹脂を構成するポリアミンは、鎖延長剤として機能してウレア結合を形成するものであれば限定は無く、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、イソホロンジアミン、ジシクロヘキシルメタン-4,4'-ジアミンなどの他、2-ヒドロキシエチルエチレンジアミン、2-ヒドロキシエチルプロピルジアミン、2-ヒドロキシエチルプロピレンジアミン、ジ-2-ヒドロキシエチルエチレンジアミン、ジ-2-ヒドロキシエチレンジアミン、ジ-2-ヒドロキシエチルプロピレンジアミン、2-ヒドロキシピロピルエチレンジアミン、ジ-2-ヒドロキシピロピルエチレンジアミン、ジ-2-ヒドロキシプロピルエチレンジアミンなど分子内に水酸基を有するアミン類も用いることが出来る。これらの鎖伸長剤は単独で、又は2種以上を混合して用いることができる。また必要に応じて多官能のポリアミンも使用出来、具体的には、ジエチレントリアミン、イミノビスプロピルアミン:(IBPA、3,3’-ジアミノジプロピルアミン)、N-(3-アミノプロピル)ブタン-1,4-ジアミン:(スペルミジン)、6,6-イミノジヘキシルアミン、3,7-ジアザノナン-1,9-ジアミン、N,N’-ビス(3‐アミノプロピル)エチレンジアミンが挙げられる。中でも好ましくはイソホロンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、イミノビスプロピルアミンである。
【0046】
<塩化ビニル-酢酸ビニル共重合樹脂>
前記塩化ビニル-酢酸ビニル共重合樹脂は、塩化ビニルと酢酸ビニルが共重合したものである。塩化ビニル-酢酸ビニル共重合樹脂としては、重量平均分子量が5,000~100,000のものが好ましく、20,000~70,000のものが更に好ましい。塩化ビニル-酢酸ビニル共重合樹脂の固形分100質量%中の酢酸ビニルモノマー由来の構造は、1~30質量%が好ましく、塩化ビニルモノマー由来の構造は、60~95質量%であることが好ましい。この場合有機溶剤への溶解性が向上し、更に基材への密着性、被膜物性等が良好となる。
【0047】
<アクリル樹脂>
前記アクリル樹脂とは、アクリルモノマーを構成単位に有する重合体を意味する。また、「アクリルモノマー」とは、アクリル基又はメタクリル基を有するモノマーを意味し、「メタクリル及びアクリル」を総称して「(メタ)アクリル」と略記することがある。また、「メタクリレート及びアクリレート」を総称して「(メタ)アクリレート」と略記することがある。
【0048】
アクリル樹脂は、特に限定されず、酸価を有していてもよいが、酸価は20mgKOH/g以下であることが好ましく、10mgKOH/g以下であることがより好ましい。酸価が20mgKOH/g以下であることで、インキ被膜及び積層体の耐久性を更に向上することができる。酸価を有するアクリル樹脂は、酸価を有するアクリルモノマーと他のアクリルモノマーとを共重合することにより得られる。酸価を有するアクリルモノマーとしては、(メタ)アクリル酸、無水マレイン酸、2-(メタ)アクリロイロキシエチル-コハク酸、2-(メタ)アクリロイロキシエチル-ヘキサヒドロフタル酸、2-(メタ)アクリロイロキシエチル-フタル酸、2-(メタ)アクリロイロキシエチルアシッドフォスフェートなどが挙げられ、中でも(メタ)アクリル酸を用いることが好ましい。
【0049】
アクリル樹脂の重量平均分子量(Mw)は、20,000~300,000であることが好ましい。重量平均分子量を20,000以上とすることにより、成型性と表面硬度を兼ね備えることができる。質量平均分子量が300,000以下であることにより、耐薬品性等の耐性が良好になる。
【0050】
アクリル樹脂の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比である分散度(Mw/Mn)は、1.5~10であることが好ましく、2~9であることがより好ましく、2.5~8であることがさらに好ましい。尚、重量平均分子量及び数平均分子量は、GPC測定により求めることができる。
【0051】
<有機溶剤>
本発明で使用する印刷インキは、有機溶剤を含有することができる。有機溶剤としては、トルエン、キシレンといった芳香族系有機溶剤、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンといったケトン系有機溶剤、酢酸エチル、酢酸n-プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸イソブチル、エステル系有機溶剤、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、エチレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどのアルコール系有機溶剤など公知の有機溶剤を使用でき、混合して使用してもよい。中でも、トルエン、キシレンといった芳香族系有機溶剤を含まない有機溶剤(ノントルエン系有機溶剤)が、環境対応の観点より好ましい。
【0052】
<添加剤>
本発明で使用する印刷インキは、添加剤として公知のものを適宜含むことができ、添加剤としては例えば、顔料誘導体、分散剤、湿潤剤、接着補助剤、レベリング剤、消泡剤、帯電防止剤、トラッピング剤、ブロッキング防止剤、ワックス成分、イソシアネート系硬化剤、シランカップリング剤が挙げられる。
【0053】
<印刷インキの製造>
本発明で使用する印刷インキは、アルミニウム薄片又はアルミニウム薄片の分散体を、バインダー樹脂と有機溶剤との混合物中に分散/混合することにより製造することができる。具体的には、例えばバインダー樹脂、アルミニウム薄片の分散体、有機溶剤、及び必要に応じて前記分散剤を混合し、印刷インキを製造することができる。
【0054】
前記方法で製造された印刷インキの粘度は、グラビア印刷法に対応させるため、B型粘度計での25℃における粘度が40~500mPa・sの粘度範囲であることが好ましい。より好ましくは50~350mPa・sである。この粘度範囲は、ザーンカップ#4での粘度が9秒~40秒程度に相当する。なお、印刷インキの粘度は、使用される原材料の種類や量、例えばバインダー樹脂、有機溶剤などの量を適宜選択することにより調整することができる。
【0055】
印刷インキをグラビア印刷する際には、希釈溶剤を用いてインキを印刷に適した粘度に希釈することが好ましい。希釈溶剤としては、上記の有機溶剤を用いる。希釈後のインキ粘度は、ザーンカップ#3で13~20秒、B型粘度計で30~250mPa・sであることが好ましい。
また、希釈後のインキ固形分は5%以上であると好ましく、8%以上であるとより好ましい。印刷時のVOC排出量が少なくなるためである。
【0056】
<プラスチック基材>
本発明の印刷物に使用できる基材はプラスチック基材であれば特に限定されず、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリ乳酸などのポリエステル、ポリスチレン、アクリロニトリル-スチレン共重合(AS)樹脂、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合(ABS)樹脂、アクリロニトリル-エチレン-スチレン共重合体(AES)などのポリスチレン系樹脂、アクリル、ナイロン、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、又はこれらの複合材料からなるフィルム状の基材が挙げられる。中でも、基材密着性やミリ波透過性の観点から、アクリルフィルムその他のアクリル基材を用いることが好ましい。
また基材は、ポリビニルアルコールなどでコート処理を施されていてもよく、コロナ放電処理などの表面処理が施されていてもよい。
【0057】
<ミリ波透過性印刷物>
本発明の製造方法で製造されるミリ波透過性印刷物は、ミリ波透過減衰量が、-1.5dB以下である。ミリ波透過減衰量は、-1.0dB以下であることが好ましい。
【0058】
ミリ波透過性印刷物における印刷インキ層の膜厚は、50nm以上250nm以下であることが好ましい。膜厚が50nm以上であると光輝性が発現しやすく、250nm以下であると、ミリ波透過性が得られやすい。
【実施例
【0059】
以下、実施例をあげて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定される
ものではない。なお、本発明における部及び%は、特に注釈の無い場合、重量部及び重量%を表す。
【0060】
(水酸基価)
水酸基価は、樹脂中の水酸基を過剰の無水酸でエステル化又はアセチル化し、残存する酸をアルカリで逆滴定して算出した樹脂1g中の水酸基量を、水酸化カリウムのmg数に換算した値で、JISK0070に従って行った値である。
【0061】
(アミン価)
アミン価は、樹脂1g中に含有するアミノ基を中和するのに必要とする塩酸の当量と同量の水酸化カリウムのmg数である。酸価は、樹脂1g中に含有する酸基は中和するのに必要とする水酸化カリウムのmg数で、測定方法は既知の方法でよく、JISK0070に準じ、以下の方法により行った。
・アミン価の測定方法
試料を0.5~2g精秤する。(試料量:Sg)精秤した試料に中性エタノール(BDG中性)30mLを加え溶解させる。得られた溶液を0.2mol/lエタノール性塩酸溶液(力価:f)で滴定を行なう。溶液の色が緑から黄に変化した点を終点とし、この時の滴定量(AmL)を用い次の(式)によりアミン価を求めた。
(式)アミン価=(A×f×0.2×56.108)/S
【0062】
(重量平均分子量)
重量平均分子量はGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)装置(昭和電工社製「ShodexGPCSystem-21」)を用いて分子量分布を測定し、ポリスチレン換算分子量として求めた。
【0063】
(アルミニウム薄片の平均粒子径及び平均厚み)
アルミニウム顔料の平均粒子径及び平均厚みは日本電子(株)製走査型電子顕微鏡(JSM-6390LA)を用いて観察を行い、得られた画像において、アルミニウム顔料の平均粒子径及び膜厚をそれぞれ4箇所測定し、その平均値を求めた。
【0064】
(合成例1)[塩化ビニル-酢酸ビニル共重合樹脂溶液の作製]
ビンノールH30/48M(ワッカー社製塩化ビニル/酢酸ビニル/酸性モノマー=70/29/1(質量比)の共重合樹脂、重量平均分子量70000)をメチルエチルケトン(以下「MEK」)に溶解させ、固形分25%の塩化ビニル-酢酸ビニル共重合樹脂溶液を得た。
【0065】
(合成例2)[ポリウレタン樹脂溶液の作製]
ε-カプロラクトンの開環重合体である数平均分子量1250のポリカプロラクトンジオール50部、数平均分子量2000のポリテトラメチレングリコール(以下「PTG」)50部、ネオペンチルグリコール19部、イソホロンジイソシアネート(以下「IPDI」)99部及び酢酸エチル54.5部からなる混合物を、窒素気流下80℃で4時間反応させ、末端イソシアネートプレポリマーの溶剤溶液を得た。次いで、イソホロンジアミン(以下「IPDA」)17.5部、ジブチルアミン(以下「DBA」)2.6部、2-ヒドロキシエチルエチレンジアミン(以下「AEA」)10.2部、酢酸エチル303.3部及びイソプロパノールからなる混合物に、上記で得られた末端イソシアネートプレポリマー溶液を40℃で徐々に添加し、さらに80℃で1時間反応させ、固形分30%、アミン価7.0mgKOH/g、水酸基価22.1mgKOH/g、重量平均分子量40000のポリウレタン樹脂溶液を得た(溶液中の溶剤組成は、酢酸エチル/2-プロパノール(IPA)=60/40(質量比)である)。
【0066】
(製造例1)[印刷インキS1の製造]
塩化ビニル-酢酸ビニル共重合樹脂溶液19部、アルミニウムペーストA(蒸着アルミニウム:平均粒子径8μm、平均厚み25nm、媒体:酢酸n-プロピル、固形分10%)75部、MEK6部を混合し、印刷インキS1を得た。
【0067】
(製造例2~9)[印刷インキS2~S9の製造]
表1に記載した原料及び配合比率に変更した以外は、印刷インキS1の製造と同様の方法にて、印刷インキS2~S9を得た。
【0068】
【表1】
【0069】
表1中の原料の詳細を以下に示す。
・アクリル樹脂溶液:アクリット6AN-5000(大成ファインケミカル社製、固形分40.5%)
・アルミニウムペーストB(蒸着アルミニウム:平均粒子径11μm、平均厚み23nm、媒体:酢酸n-プロピル、固形分10%)
・アルミニウムペーストC(蒸着アルミニウム:平均粒子径13μm、平均厚み52nm、媒体:酢酸n-プロピル、固形分60%)
・アルミニウムペーストD(粉砕アルミニウム:平均粒子径15μm、平均厚み123nm、媒体:酢酸n-プロピル、固形分60%)
【0070】
<印刷物の作製>
(実施例1)
上記で得られた印刷インキS1をメチルエチルケトン(MEK)により、粘度が200mPa・s(ザーンカップNo.3、16秒)となるように希釈し、スタイラス角度140度、スクリーン線数250線/インチのグラビア版(ファイン)により、厚さ75μmのアクリルフィルム(カネカ社製、サンデュレン)に印刷速度120m/分で印刷し、印刷物G1を得た。
【0071】
(実施例2~19)
表2、3に記載の印刷条件、製版条件に変更した以外は実施例1と同様の方法にて印刷物の作製を行い、印刷物G2~G19を得た。
【0072】
(比較例1~5)
表4に記載の印刷条件に変更した以外は実施例1と同様の方法にて印刷物の作製を行い、印刷物H1~H5を得た。
【0073】
(比較例6)
上記で得られた印刷インキS1をメチルエチルケトン(MEK)により、粘度が30mPa・sとなるように希釈し、スプレーガンにより、厚さ75μmのアクリルフィルム(カネカ社製、サンデュレン)表面にスプレー塗装した。塗装と乾燥を繰り返し、乾燥後の印刷層の膜厚が約200nmの印刷物H6を得た。
【0074】
上記で得られた印刷物を用いて、下記の評価を行った。結果を表2~4に示す。
【0075】
<基材密着性>
ニチバン社製の12mm巾セロファンテープを、印刷物のインキ被膜に貼り付け、剥離時のインキ取られ状態を目視評価した。
A:テープのみがはがれる(基材密着性良好)
B:インキ被膜の一部がテープ粘着面にとられる(基材密着不良)
実用上使用可能な評価はAである。
【0076】
<ミリ波透過減衰量>
キーサイトテクノロジー社製のミリ波送信装置(E8257D)及び受信装置(N9030A)を用い、室温において、77GHzのミリ波を送信器から入射角0°にて試料に入射させ、試料をはさんで送信器と対峙する受信器で試料を透過したミリ波を受信して、ミリ波透過減衰量を測定した。
A:1dB以下
B:1dBより大きく、1.5dB以下
C:1.5dBより大きい
実用上使用可能な評価はA、Bである。
【0077】
<光沢値>
上記実施例及び比較例で作製した印刷物の基材側より、キャノン社製表面アナライザーRA―532Hを用いて、入射角20度及び受光角20度の条件、並びに、入射角60度及び受光角60度の条件における光沢値を測定した。
A:400以上
B:300以上、400未満
C:300未満
実用上使用可能な評価はA、Bである。
【0078】
<VOC排出量>
評価インキを溶剤(MEK)でグラビア印刷又はスプレー塗装時の粘度になるように希釈した際の希釈インキ固形分により、3段階で評価した(希釈インキの固形分が高いほど、乾燥時に排出するVOCが少なく好ましい)。上記粘度は、グラビア印刷の場合200mPa・s、スプレー塗装の場合30mPa・sである。
A:8%以上
B:5%以上、8%未満
C:5%未満
実用上好ましい評価はA、Bである。
【0079】
【表2】
【0080】
【表3】
【0081】
【表4】
【0082】
以上の結果より、グラビア印刷により、光輝性の表現とともにミリ波透過性に優れた印刷物を作成する方法を提供するという課題を達成できた。印刷インキがアルミニウム薄片及びバインダー樹脂を、アルミニウム薄片/バインダー樹脂固形分の質量比率が80/20~40/60で含み、前記グラビア版のスクリーン線数が、100~350線/インチである場合には、印刷物の光輝性表現とミリ波透過性を達成することができたが、これに対して、比較例3、4、6ではミリ波透過減衰量が、-1.5dB以下にはならず、比較例2、5では十分な光輝性(光沢値)とならなかった。また、比較例1はインキの基材密着性不良となり、比較例6はVOC排出量が多いという結果になった。