(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2026-03-16
(45)【発行日】2026-03-25
(54)【発明の名称】レーダ装置、情報処理装置及び情報処理方法
(51)【国際特許分類】
G01S 13/34 20060101AFI20260317BHJP
【FI】
G01S13/34
(21)【出願番号】P 2021180268
(22)【出願日】2021-11-04
【審査請求日】2024-10-28
(73)【特許権者】
【識別番号】316005926
【氏名又は名称】ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003339
【氏名又は名称】弁理士法人南青山国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 遼
(72)【発明者】
【氏名】高橋 勇大
(72)【発明者】
【氏名】山田 亮佑
(72)【発明者】
【氏名】本間 洸希
【審査官】東 治企
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-026604(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0061942(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2020/0341131(US,A1)
【文献】国際公開第2021/181598(WO,A1)
【文献】特開2008-256562(JP,A)
【文献】国際公開第2019/082269(WO,A1)
【文献】特開2020-125948(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 7/00-7/42
G01S 13/00-13/95
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーダ波を送信する送信アンテナと、
レーダ波を受信する受信アンテナと、
周波数連続変調波のチャープである第1チャープを生成する第1チャープ生成部と、
周波数連続変調波のチャープであり、前記第1チャープとは中心周波数が異なる第2チャープを生成する第2チャープ生成部と、
前記第1チャープと前記第2チャープを間に間隙を設けて前記送信アンテナから送信させる送信制御部と、
前記送信アンテナから送信された前記第1チャープの送信信号と、前記受信アンテナで受信された前記第1チャープの受信信号から第1ビート信号を生成し、前記送信アンテナから送信された前記第2チャープの送信信号と、前記受信アンテナで受信された前記第2チャープの受信信号から第2ビート信号を生成するビート信号生成部と、
前記第1ビート信号及び前記第2ビート信号を速度方向にフーリエ変換した後、前記間隙に起因する前記第1ビート信号と前記第2ビート信号の
速度方向の位相差が解消するように前記第2ビート信号を補正するビート信号補正部と、
前記速度方向の位相差が解消された前記第1ビート信号と前記第2ビート信号を連結し、第3ビート信号を生成するビート信号連結部と、
前記第3ビート信号に基づいて検出対象物の距離を検出する検出部と
を具備するレーダ装置。
【請求項2】
請求項1に記載のレーダ装置であって、
前記間隙は時間的間隙であり、
前記ビート信号補正部は、前記時間的間隙に起因する前記第1ビート信号と前記第2ビート信号の位相差を補正する
レーダ装置。
【請求項3】
請求項2に記載のレーダ装置であって、
前記間隙は時間的間隙及び周波数帯域の間隙であり、
前記ビート信号補正部はさらに、前記周波数帯域の間隙に起因する前記第1ビート信号と前記第2ビート信号の周波数差を補正する
レーダ装置。
【請求項4】
請求項1に記載のレーダ装置であって、
前記第1チャープの帯域幅と前記第2チャープの帯域幅は同一である
レーダ装置。
【請求項5】
請求項1に記載のレーダ装置であって、
前記第1チャープの帯域幅と前記第2チャープの帯域幅は異なる
レーダ装置。
【請求項6】
請求項5に記載のレーダ装置であって、
前記第1チャープの帯域幅は1GHzであり、
前記第2チャープの帯域幅は4GHzである
レーダ装置。
【請求項7】
請求項1に記載のレーダ装置であって、
前記送信アンテナは1つの送信アンテナであり、
前記送信制御部は、前記第1チャープ及び前記第2チャープを前記1つの送信アンテナから送信させる
レーダ装置。
【請求項8】
請求項1に記載のレーダ装置であって、
前記送信アンテナは第1送信アンテナと第2送信アンテナを含み、
前記送信制御部は、前記第1チャープを前記第1送信アンテナから送信させ、前記第2チャープを前記第2送信アンテナから送信させ、
前記第1送信アンテナと前記第2送信アンテナはMIMO(Multiple Input Multiple Output)仮想アンテナアレイを形成する
レーダ装置。
【請求項9】
請求項1に記載のレーダ装置であって、
前記第1チャープの帯域と前記第2チャープの帯域は連続している
レーダ装置。
【請求項10】
請求項1に記載のレーダ装置であって、
前記第1チャープの帯域と前記第2チャープの帯域は離散している
レーダ装置。
【請求項11】
請求項1に記載のレーダ装置であって、
前記第1チャープの帯域の一部と前記第2チャープの帯域の一部は重複している
レーダ装置。
【請求項12】
請求項1に記載のレーダ装置であって、
前記第1チャープ及び前記第2チャープの帯域はミリ波の帯域である
レーダ装置。
【請求項13】
周波数連続変調波のチャープである第1チャープを生成する第1チャープ生成部と、
周波数連続変調波のチャープであり、前記第1チャープとは中心周波数が異なる第2チャープを生成する第2チャープ生成部と、
前記第1チャープと前記第2チャープを間に間隙を設けて送信アンテナから送信させる送信制御部と、
前記送信アンテナから送信された前記第1チャープの送信信号と受信アンテナで受信された前記第1チャープの受信信号から生成された第1ビート信号と、前記送信アンテナから送信された前記第2チャープの送信信号と前記受信アンテナで受信された前記第2チャープの受信信号から生成された第2ビート信号
について、前記第1ビート信号及び前記第2ビート信号を速度方向にフーリエ変換した後、前記間隙に起因する前記第1ビート信号と前記第2ビート信号の速度方向の位相差が解消するように前記第2ビート信号を補正するビート信号補正部と、
前記速度方向の位相差が解消された前記第1ビート信号と前記第2ビート信号を連結し、第3ビート信号を生成するビート信号連結部と、
前記第3ビート信号に基づいて検出対象物の距離を検出する検出部と
を具備する情報処理装置。
【請求項14】
周波数連続変調波のチャープである第1チャープを生成し、
周波数連続変調波のチャープであり、前記第1チャープとは中心周波数が異なる第2チャープを生成し、
前記第1チャープと前記第2チャープを間に間隙を設けて送信アンテナから送信させ、
前記送信アンテナから送信された前記第1チャープの送信信号と受信アンテナで受信された前記第1チャープの受信信号から生成された第1ビート信号と、前記送信アンテナから送信された前記第2チャープの送信信号と前記受信アンテナで受信された前記第2チャープの受信信号から生成された第2ビート信号
について、前記第1ビート信号及び前記第2ビート信号を速度方向にフーリエ変換した後、前記間隙に起因する前記第1ビート信号と前記第2ビート信号の速度方向の位相差が解消するように前記第2ビート信号を補正し、
前記速度方向の位相差が解消された前記第1ビート信号と前記第2ビート信号を連結して第3ビート信号を生成し、
前記第3ビート信号に基づいて検出対象物の距離を検出する
情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、周波数連続変調波を利用するレーダ装置、情報処理装置及び情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
FMCW(Frequency Modulated Continuous Wave:周波数連続変調波)レーダは周波数変調された連続波を利用するレーダであり、自動車用レーダ等に多く用いられている。FMCWレーダでは2つの帯域のFMCWを利用するものも開発されている。例えば特許文献1には、送信波を第1の帯域とするモードと送信波を第2の帯域とするモードを切り替えることが可能な電子機器が開示されている。また、特許文献2には第1の帯域の受信波による測角結果と第2の帯域の受信による測角結果を共用するマルチバンドレーダ装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-190880号公報
【文献】特開2016-212047号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
FMCWレーダの距離分解能はFMCWの帯域幅によって決まるが、FMCWの帯域幅はアンテナや信号処理回路の性能による制限を受けるため、限られた帯域幅で距離分解能を向上させることは困難であった。
【0005】
以上のような事情に鑑み、本技術の目的は、距離分解能を向上させることが可能なレーダ装置、情報処理装置及び情報処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本技術の一形態に係るレーダ装置は、送信アンテナと、受信アンテナと、第1チャープ生成部と、第2チャープ生成部と、送信制御部と、ビート信号生成部と、ビート信号補正部と、ビート信号連結部と、検出部とを具備する。
上記送信アンテナは、レーダ波を送信する。
上記受信アンテナは、レーダ波を受信する。
上記第1チャープ生成部は、周波数連続変調波のチャープである第1チャープを生成する。
上記第2チャープ生成部は、周波数連続変調波のチャープであり、上記第1チャープとは中心周波数が異なる第2チャープを生成する。
上記送信制御部は、上記第1チャープと上記第2チャープを間に間隙を設けて上記送信アンテナから送信させる。
上記ビート信号生成部は、上記送信アンテナから送信された上記第1チャープの送信信号と、上記受信アンテナで受信された上記第1チャープの受信信号から第1ビート信号を生成し、上記送信アンテナから送信された上記第2チャープの送信信号と、上記受信アンテナで受信された上記第2チャープの受信信号から第2ビート信号を生成する。
上記ビート信号補正部は、上記間隙に起因する上記第1ビート信号と上記第2ビート信号の誤差を補正する。
上記ビート信号連結部は、上記誤差が補正された上記第1ビート信号と上記第2ビート信号を連結し、第3ビート信号を生成する。
上記検出部は、上記第3ビート信号に基づいて検出対象物の距離を検出する。
【0007】
上記間隙は時間的間隙であり、
上記ビート信号補正部は、上記時間的間隙に起因する上記第1ビート信号と上記第2ビート信号の位相差を補正してもよい。
【0008】
上記間隙は時間的間隙及び周波数帯域の間隙であり、
上記ビート信号補正部はさらに、上記周波数帯域の間隙に起因する上記第1ビート信号と上記第2ビート信号の周波数差を補正してもよい。
【0009】
上記第1チャープの帯域幅と上記第2チャープの帯域幅は同一であってもよい。
【0010】
上記第1チャープの帯域幅と上記第2チャープの帯域幅は異なっていてもよい。
【0011】
上記第1チャープの帯域幅は1GHzであり、
上記第2チャープの帯域幅は4GHzであってもよい。
【0012】
上記送信アンテナは1つの送信アンテナであり、
上記送信制御部は、上記第1チャープ及び上記第2チャープを上記1つの送信アンテナから送信させてもよい。
【0013】
上記送信アンテナは第1送信アンテナと第2送信アンテナを含み、
上記送信制御部は、上記第1チャープを上記第1送信アンテナから送信させ、上記第2チャープを上記第2送信アンテナから送信させ、
上記第1送信アンテナと上記第2送信アンテナはMIMO(Multiple Input Multiple Output)仮想アンテナアレイを形成してもよい。
【0014】
上記ビート信号補正部は、上記第1ビート信号及び上記第2ビート信号を距離方向及び速度方向にフーリエ変換した後、上記誤差を補正してもよい。
【0015】
上記ビート信号補正部は、上記第1ビート信号及び上記第2ビート信号を速度方向にフーリエ変換した後、上記誤差を補正してもよい。
【0016】
上記第1チャープの帯域と上記第2チャープの帯域は連続していてもよい。
【0017】
上記第1チャープの帯域と上記第2チャープの帯域は離散していてもよい。
【0018】
上記第1チャープの帯域の一部と上記第2チャープの帯域の一部は重複していてもよい。
【0019】
上記第1チャープ及び上記第2チャープの帯域はミリ波の帯域であってもよい。
【0020】
上記目的を達成するため、本技術の一形態に係る情報処理装置は、第1チャープ生成部と、第2チャープ生成部と、送信制御部と、ビート信号補正部と、ビート信号連結部と、検出部とを具備する。
上記第1チャープ生成部は、周波数連続変調波のチャープである第1チャープを生成する。
上記第2チャープ生成部は、周波数連続変調波のチャープであり、上記第1チャープとは中心周波数が異なる第2チャープを生成する。
上記送信制御部は、上記第1チャープと上記第2チャープを間に間隙を設けて送信アンテナから送信させる。
上記ビート信号補正部は、上記送信アンテナから送信された上記第1チャープの送信信号と受信アンテナで受信された上記第1チャープの受信信号から生成された第1ビート信号と、上記送信アンテナから送信された上記第2チャープの送信信号と上記受信アンテナで受信された上記第2チャープの受信信号から生成された第2ビート信号の上記間隙に起因する誤差を補正する。
上記ビート信号連結部は、上記誤差が補正された上記第1ビート信号と上記第2ビート信号を連結し、第3ビート信号を生成する。
上記検出部は、上記第3ビート信号に基づいて検出対象物の距離を検出する。
【0021】
上記目的を達成するため、本技術の一形態に係る情報処理方法は、
周波数連続変調波のチャープである第1チャープを生成し、
周波数連続変調波のチャープであり、上記第1チャープとは中心周波数が異なる第2チャープを生成し、
上記第1チャープと上記第2チャープを間に間隙を設けて送信アンテナから送信させ、
上記送信アンテナから送信された上記第1チャープの送信信号と受信アンテナで受信された上記第1チャープの受信信号から生成された第1ビート信号と、上記送信アンテナから送信された上記第2チャープの送信信号と上記受信アンテナで受信された上記第2チャープの受信信号から生成された第2ビート信号の上記間隙に起因する誤差を補正し、
上記誤差が補正された上記第1ビート信号と上記第2ビート信号を連結し、第3ビート信号を生成し、
上記第3ビート信号に基づいて検出対象物の距離を検出する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】従来技術に係るレーダ装置の構成を示すブロック図である。
【
図2】上記レーダ装置が送信するチャープを示すグラフである。
【
図3】上記レーダ装置が送信する送信信号を示すグラフである。
【
図4】上記レーダ装置の送信信号と受信信号を示すグラフである。
【
図5】上記レーダ装置が生成するビート信号のグラフである。
【
図6】本技術の実施形態に係るレーダ装置の構成を示すブロック図である。
【
図7】上記レーダ装置が備える第1チャープ生成部及び第2チャープ生成部が生成する第1チャープ及び第第2チャープのグラフである。
【
図8】上記レーダ装置が送信する送信信号を示すグラフである
【
図9】上記レーダ装置の送信信号と受信信号を示すグラフである。
【
図10】上記レーダ装置のビート信号生成部が生成する第1ビート信号及び第2ビート信号のグラフである。
【
図11】上記レーダ装置が備える信号処理部の動作を示す模式図である。
【
図12】上記レーダ装置が備えるビート信号連結部が生成する第3ビート信号のグラフである。
【
図13】上記レーダ装置によって仮想的に実現されるチャープのグラフである。
【
図14】上記レーダ装置が備える信号処理部の他の動作を示す模式図である。
【
図15】上記レーダ装置が備える第1チャープ生成部及び第2チャープ生成部が生成する第1チャープ及び第第2チャープのグラフである。
【
図16】上記レーダ装置が備える第1チャープ生成部及び第2チャープ生成部が生成する第1チャープ及び第第2チャープのグラフである。
【
図17】本技術の実施形態に係る、2つの送信アンテナを備えるレーダ装置の構成を示すブロック図である。
【
図18】本技術の実施形態に係るレーダ装置が備える情報処理装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図19】車両制御システムの概略的な構成の一例を示すブロック図である。
【
図20】車外情報検出部及び撮像部の設置位置の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
[従来技術に係るレーダ装置の構成]
まず、従来技術に係るレーダ装置について説明する。
図1は、従来技術に係るレーダ装置100の構成を示すブロック図である。同図に示すように、レーダ装置100は送信アンテナ101、受信アンテナ102、ビート信号生成部103及び情報処理装置104を備える。情報処理装置104は信号生成部105及び信号処理部106を備える。
【0024】
送信アンテナ101は信号生成部105から供給された送信信号に基づいてレーダ波を送信する。以下、送信アンテナ101から送信されるレーダ波を「送信波」とする。送信波はFMCW(Frequency Modulated Continuous Wave:周波数連続変調波)である。
【0025】
受信アンテナ102は、レーダ波を受信して受信信号を生成する。以下、受信アンテナ102が受信するレーダ波を「受信波」とする。受信波は送信アンテナ101から送信された送信波が検出対象物によって反射されたものである。受信アンテナ102は生成した受信信号をビート信号生成部103に出力する。
【0026】
ビート信号生成部103はミキサであり、信号生成部105から出力された送信信号と、受信アンテナ102から出力された受信信号とを混合してビート信号を生成する。ビート信号はIF(Intermediate Frequency)信号とも呼ばれる。ビート信号生成部103は生成したビート信号を信号処理部106に出力する。
【0027】
信号生成部105は、チャープ生成部111を備える。チャープ生成部111はFMCWのチャープを生成する。
図2(a)はチャープの波形を示すグラフであり、
図2(b)はチャープの周波数を示すグラフである。これらの図に示すように、チャープは時間と共に周波数が単調増加する波形を有する。以下、チャープの周波数が増加する時間を変調時間Sとする。
【0028】
また、
図2(b)においてチャープの最低周波数f
L、最高周波数f
H及び中心周波数f
Cを示す。中心周波数f
Cは最低周波数f
Lと周波数f
Hの中心の周波数である。また、
図2(b)においてチャープの帯域幅、即ち最低周波数f
Lと最高周波数f
Hの周波数差を帯域幅Wとして示す。ミリ波レーダでは一例として、最低周波数f
Lが77GHz、最高周波数f
Hが81GHz、帯域幅Wが4GHzのチャープが利用される。
【0029】
図3は信号生成部105が生成する送信信号を示す模式図である。
図3(a)は送信信号の波形を示し、
図3(b)は送信信号の周波数を示すグラフである。
図3に示すように、送信信号は
図2に示すチャープが連続した波、即ちFMCW信号である。
図3示すように各チャープは「バースト」と呼ばれ、順に「バースト1」、「バースト2」、「バースト3」…「バーストN」とする。また、バースト1からバーストNまでの複数のバーストを「フレーム」とする。
【0030】
信号生成部105は生成した送信信号(
図3参照)を送信アンテナ101に出力し、送信信号は送信波として送信アンテナ101から送信される。送信波は検出対象物によって反射され、受信波として受信アンテナ102に受信され、受信アンテナ102で受信信号が生成される。
【0031】
ビート信号生成部103は、送信信号と受信信号とを混合してビート信号を生成する。
図4はビート信号の生成を示す模式図である。
図4(a)は送信信号(図中実線)と受信信号(図中破線)の周波数を示すグラフであり、
図4(b)は送信信号(図中実線)と受信信号(図中破線)の波形を示すグラフである。
図4に示すように、送信アンテナ101から送信される送信信号と受信アンテナ102で生成される受信信号には、レーダ波の往復分の時間差が生じる。
【0032】
図5はビート信号生成部103において生成されるビート信号の波形を示すグラフである。ビート信号生成部103は、送信信号と受信信号を混合して
図5に示すビート信号を生成する。受信信号は送信信号に対して、距離成分である時間遅れと相対速度成分であるドップラシフトをもっているため、ビート信号の周波数は検出対象物との距離を示し、チャープ間でのビート信号の位相変化は検出対象物との相対速度を示す。ビート信号生成部103は生成したビート信号を信号処理部106に出力する。
【0033】
信号処理部106はビート信号取得部121及び検出部122(
図1参照)を備える。ビート信号取得部121はビート信号生成部103からビート信号(
図5参照)を取得し、検出部122に供給する。検出部122は、ビート信号に基づいて受信アンテナ102と各検出対象物との距離、相対速度及び角度を検出する。
【0034】
上記のようにビート信号の周波数は検出対象物との距離を示すため、検出部122はバースト毎にビート信号をフーリエ変換して周波数領域に変換することで各検出対象物との距離を算出することができる。この距離方向のフーリエ変換はFFT(Fast Fourier Transform:高速フーリエ変換)によって行うことができ、距離FFT又は1D-FFTと呼ばれる。
【0035】
また、チャープ間でのビート信号の位相変化は検出対象物との相対速度を示すため、検出部122は距離方向のフーリエ変換を行ったビート信号をさらにフレーム毎にフーリエ変換することで受信アンテナ102と各検出対象物との相対速度を算出することができる。この速度方向のフーリエ変換もFFTによって行うことができ、速度FFT又は2D-FFTと呼ばれる。
【0036】
さらに、レーダ装置100が複数の受信アンテナ102を備える場合、各受信アンテナ102間でのビート信号の位相差は各受信アンテナ102と検出対象物の角度を示す。このため、それぞれの受信アンテナ102において速度方向のフーリエ変換を行ったビート信号の全てに対してフーリエ変換することで受信アンテナ102に対する各検出対象物の角度を検出することができる。
【0037】
以上のようにレーダ装置100はFMCWを用いて検出対象物の距離、相対速度及び角度を検出することができる。
【0038】
[本技術の実施形態に係るレーダ装置の構成]
続いて、本技術の実施形態に係るレーダ装置について説明する。
図6は、本実施形態に係るレーダ装置200の構成を示すブロック図である。同図に示すように、レーダ装置200は送信アンテナ201、受信アンテナ202、ビート信号生成部203及び情報処理装置204を備える。情報処理装置204は信号生成部205及び信号処理部206を備える。情報処理装置204の構成はハードウェアとソフトウェアの協働によって実現される機能的構成である。
【0039】
送信アンテナ201は信号生成部205から供給された送信信号に基づいてレーダ波を送信する。以下、送信アンテナ201から送信されるレーダ波を「送信波」とする。送信波はFMCW(Frequency Modulated Continuous Wave:周波数連続変調波)である。
【0040】
受信アンテナ202は、レーダ波を受信して受信信号を生成する。以下、受信アンテナ202が受信するレーダ波を「受信波」とする。受信波は送信アンテナ201から送信された送信波が検出対象物によって反射されたものである。受信アンテナ202は生成した受信信号をビート信号生成部203に出力する。
【0041】
ビート信号生成部203はミキサであり、信号生成部205から出力された送信信号と、受信アンテナ202から出力された受信信号とを混合して第1ビート信号及び第2ビート信号を生成する。ビート信号生成部203は生成した第1ビート信号及び第2ビート信号を信号処理部206に出力する。
【0042】
信号生成部205は、第1チャープ生成部211、第2チャープ生成部212及び送信制御部213を備える。第1チャープ生成部211はFMCWのチャープである第1チャープを生成し、第2チャープ生成部212はFMCWのチャープである第2チャープを生成する。
図7(a)は第1チャープC1及び第2チャープC2の波形を示すグラフであり、
図7(b)は第1チャープC1及び第2チャープC2の周波数を示すグラフである。これらの図に示すように、第1チャープC1及び第2チャープC2は時間と共に周波数が単調増加する波形を有する。
図7(b)に示すように第1チャープC1の傾きと第2チャープC2の傾きは等しく、即ち時間に対する周波数の増加率は第1チャープC1と第2チャープC2で同一である。
【0043】
また、
図7(b)において第1チャープC1の最低周波数である第1最低周波数f1
L、第1チャープC1の最高周波数である第1最高周波数f1
H及び第1チャープC1の中心周波数である第1中心周波数f1
Cを示す。第1中心周波数f1
Cは第1最低周波数f1
Lと第1最高周波数f1
Hの中心の周波数である。さらに、
図7(b)において第2チャープC2の最低周波数である第2最低周波数f2
L、第2チャープC2の最高周波数である第2最高周波数f2
H及び第2チャープC2の中心周波数である第2中心周波数f2
Cを示す。第2中心周波数f2
Cは第2最低周波数f2
Lと第2最高周波数f2
Hの中心の周波数である。
【0044】
第1チャープC1と第2チャープC2は互いに中心周波数が異なるチャープであり、第1中心周波数f1
Cと第2中心周波数f2
Cは異なる。第1最高周波数f1
Hと第2最低周波数f2
Lは同一の周波数である。さらに、
図7(b)において、第1チャープC1の帯域幅、即ち第1最低周波数f1
Lと第1最高周波数f1
Hの周波数差を第1帯域幅W1として示す。また、第2チャープC2の帯域幅、即ち第2最低周波数f2
Lと第2最高周波数f2
Hの周波数差を第2帯域幅W2として示す。第1帯域幅W1と第2帯域幅W2は異なり、第1帯域幅W1は例えば1GHz、第2帯域幅W2は例えば4GHzとすることができる。また、第1帯域幅W1と第2帯域幅W2は同一であってもよく、第1帯域幅W1及び第2帯域幅W2は例えば1GHzとすることができる。第1チャープC1と第2チャープC2の周波数はミリ波帯(30GHz以上300GHz以下)が好適である。
【0045】
送信制御部213は第1チャープC1と第2チャープC2の間に間隙を設けて送信信号を生成し、送信アンテナ201から送信させる。送信制御部213は、
図7(b)に示すように、第1チャープC1と第2チャープC2の間に時間的間隙である間隙Tを設ける。以下、第1チャープC1の開始から第2チャープC2の終了までの時間を変調時間Rとする。
図8は送信制御部213が生成する送信信号の周波数を示すグラフである。同図に示すように、送信信号は
図7に示す第1チャープC1と第2チャープC2が繰り返される波形を有する。同図に示すように第1チャープC1及び第2チャープC2のセットを「バースト」とし、順に「バースト1」、「バースト2」、「バースト3」…「バーストN」とする。また、バースト1からバーストNまでの複数のバーストを「フレーム」とする。
【0046】
送信制御部213が生成した送信信号は送信アンテナ201に出力され、送信波として送信アンテナ201から送信される。送信波は検出対象物によって反射され、受信波として受信アンテナ202に受信され、受信信号が生成される。
【0047】
ビート信号生成部203は、第1チャープC1と第2チャープC2のそれぞれについて送信信号と受信信号とを混合して第1ビート信号及び第2ビート信号を生成する。
図9は第1ビート信号及び第2ビート信号の生成を示す模式図である。同図において、第1チャープC1の送信信号(実線)を第1送信信号C1
T、第1チャープC1の受信信号(破線)を第1受信信号C1
R、第2チャープC2の送信信号(実線)を第2送信信号C2
T、第2チャープC2の受信信号(破線)を第2受信信号C2
Rとして示す。同図に示すように、第1送信信号C1
Tと第1受信信号C1
Rにはレーダ波の往復分の時間差が生じ、第2送信信号C2
Tと第2受信信号C2
Rにもレーダ波の往復分の時間差が生じる。
【0048】
ビート信号生成部203は、第1送信信号C1
Tと第1受信信号C1
Rを混合して第1ビート信号を生成し、第2送信信号C2
Tと第2受信信号C2
Rを混合して第2ビート信号を生成する。
図10はビート信号生成部203において生成される第1ビート信号B1及び第2ビート信号B2の波形を示すグラフである。
図10(a)は検出対象物物の受信アンテナ202に対する相対速度が0の場合の第1ビート信号B1及び第2ビート信号B2の波形、
図10(b)は検出対象物物の受信アンテナ202に対する相対速度が0でない場合の第1ビート信号B1及び第2ビート信号B2の波形である。
【0049】
図10(a)に示すように、検出対象物物の相対速度が0の場合、第1ビート信号B1(破線)と第2ビート信号B2(実線)は間隙T(
図7参照)を挟んで位相が一致する。一方、
図10(b)に示すように、検出対象物の相対速度が0でない場合、第1ビート信号B1(破線)と第2ビート信号B2(実線)は間隙Tを挟んで位相が変化し、その変化量は検出対象物の相対速度によって異なる。この位相の変化は信号処理部206によって補正される。
【0050】
信号処理部206(
図6参照)は第1ビート信号取得部221、第2ビート信号取得部222、ビート信号補正部223、ビート信号連結部224及び検出部225を備える。
図11は、信号処理部206の動作を示す模式図である。第1ビート信号取得部221は、ビート信号生成部203から第1ビート信号B1を取得し、ビート信号補正部223に供給する。第2ビート信号取得部222は、ビート信号生成部203から第2ビート信号B2を取得し、ビート信号補正部223に供給する。
【0051】
ビート信号補正部223は、間隙Tに起因する第1ビート信号B1と第2ビート信号B2の誤差を補正する。具体的には第1ビート信号B1と第2ビート信号B2は、上記のように間隙Tに起因する位相差を有する。
図11に示すようにビート信号補正部223は、第1ビート信号B1を速度方向及び距離方向にフーリエ変換(St211)する。ビート信号補正部223は、第1ビート信号B1に対して距離方向及び速度方向のFFT(2D-FFT)を行うことにより、第1ビート信号B1を速度方向及び距離方向にフーリエ変換することができる。ビート信号補正部223は、このフーリエ変化により距離-速度マップを生成する。
【0052】
続いて、ビート信号補正部223は、速度毎に第1ビート信号B1を切り出し(St212)、速度毎に逆フーリエ変換(St213)を行う。逆フーリエ変換は逆FFTにより行うことができる。ビート信号補正部223は逆フーリエ変換後、切り出し(St212)からの動作を速度bin分繰り返す。ビート信号補正部223は、上記処理を行った第1ビート信号B1をビート信号連結部224に供給する。
【0053】
また、
図11に示すようにビート信号補正部223は、第2ビート信号B2を速度方向及び距離方向にフーリエ変換(St221)する。ビート信号補正部223は、第2ビート信号B2に対して距離方向及び速度方向のFFT(2D-FFT)を行うことにより、第2ビート信号B2を速度方向及び距離方向にフーリエ変換することができる。ビート信号補正部223は、このフーリエ変化により距離-速度マップを生成する。
【0054】
続いて、ビート信号補正部223は、速度毎に第2ビート信号B2を切り出し(St222)、速度毎に逆フーリエ変換(St223)を行う。逆フーリエ変換は逆FFTにより行うことができる。ビート信号補正部223は逆フーリエ変換後、第2ビート信号B2の速度方向の位相差(
図10(b)参照)を補正し(St224)、速度bin分繰り返す。ビート信号補正部223は、上記処理を行った第2ビート信号B2をビート信号連結部224に供給する。
【0055】
ビート信号連結部224は、ビート信号補正部223から供給された第1ビート信号B1と第2ビート信号B2を連結(St231)して第3ビート信号を生成する。
図12は、第1ビート信号B1と第2ビート信号B2の連結を示す模式図である。同図に示すように、ビート信号連結部224は、第1ビート信号B1、第2ビート信号B2の順でこれらを連結し、第3ビート信号B3を生成する。上記のように、間隙Tに起因する第1ビート信号B1と第2ビート信号B2の位相差は補正(St224)されているため、第1ビート信号B1と第2ビート信号B2の連結箇所の位相は一致する。ビート信号連結部224は生成した第3ビート信号B3を検出部225に供給する。
【0056】
検出部225は、第3ビート信号B3に基づいて検出(St232)を行う。検出部225は、第3ビート信号B3から検出対象物と受信アンテナ202の距離及び相対速度を検出することができる。第3ビート信号B3の周波数は検出対象物との距離を示すため、検出部225は速度bin毎に第3ビート信号B3をフーリエ変換して周波数領域に変換することで各検出対象物との距離を算出することができる。この距離方向のフーリエ変換は距離FFT(または1D-FFT)によって行うことができる。
【0057】
また、バースト間での第3ビート信号B3の位相変化は検出対象物との相対速度を示すため、検出部225は距離方向のフーリエ変換を行った第3ビート信号B3をさらにフレーム毎にフーリエ変換することで受信アンテナ202と各検出対象物との相対速度を算出することができる。この速度方向のフーリエ変換は速度FFT(または2D-FFT)によって行うことができる。
【0058】
さらに、レーダ装置200が複数の受信アンテナ202を備える場合、各受信アンテナ202間での第3ビート信号B3の位相差は各受信アンテナ202と検出対象物の角度を示す。このため、それぞれの受信アンテナ202において速度方向のフーリエ変換を行った第3ビート信号B3の全てに対してフーリエ変換することで受信アンテナ202に対する各検出対象物の角度を検出することができる。
【0059】
[レーダ装置の効果]
レーダ装置200による効果について説明する。上記のようにレーダ装置200では、第1チャープC1及び第2チャープC2という2つのチャープ(
図7参照)を間隙Tを設けて送信アンテナ201から送信する。そして、送信信号と受信アンテナ202で生成された受信信号から第1ビート信号B1及び第2ビート信号B2という2つのビート信号を生成する。さらに、第1ビート信号B1と第2ビート信号B2の間の誤差を補正した上で第1ビート信号B1及び第2ビート信号B2を連結し、第3ビート信号B3を生成する(
図12参照)。第3ビート信号B3は一般的なビート信号と同様に扱うことが可能であり、第3ビート信号B3に基づいて検出対象物の距離や相対速度、角度を検出することが可能となる。
【0060】
このようにレーダ装置200では、上記処理を行うことにより、第1チャープC1と第2チャープC2を両者が連結された一つの仮想的なチャープとして扱うことが可能である。
図13は、第1チャープC1と第2チャープC2が連結された第3チャープC3を示す模式図である。同図に示すように、第3チャープC3の帯域幅を第3帯域幅W3とすると、第3帯域幅W3は第1帯域幅W1と第2帯域幅W2を加算した帯域幅となる。例えば、第1帯域幅W1が1GHz、第2帯域幅W2が4GHzの場合、第3帯域幅W3は5GHzとなる。FMCWレーダにおいて、距離分解能は以下の(式1)により定義される。
Rres=c/(2×W)・・・(式1)
ここでRresは距離分解能、cは光速であり、Wはチャープの帯域幅である。
(式1)より明確な通り、帯域幅Wを広くすればするほど距離分解能はより細かくなる。
【0061】
チャープの帯域幅はFMCWレーダの距離分解能を規定するが、レーダ装置200では、実際に送信アンテナ201から送信したチャープの帯域幅である第1帯域幅W1と第2帯域幅W2より広い第3帯域幅W3を有する第3チャープC3を仮想的に生成することができる。このため、レーダ装置200はハードウェアによる制限を超えて距離分解能を向上させることが可能である。さらに、電波法等の法律によって使用可能な帯域幅が制限されている場合でもあっても、その制限を超えて距離分解能を向上させることが可能である。
【0062】
[他のビート信号補正方法について]
ビート信号補正部223は、上述の方法(
図11参照)により、第1ビート信号B1と第2ビート信号B2の位相差を補正することができるが、以下の方法により第1ビート信号B1と第2ビート信号B2の位相差を補正することも可能である。
図14は、この補正方法を含む、信号処理部206の動作を示す模式図である。
【0063】
図14に示すようにビート信号補正部223は、第1ビート信号B1を速度方向にフーリエ変換(St251)する。
図11に示した方法では距離方向のフーリエ変換を先に行ったが、速度方向のフーリエ変換から先に行える場合、
図14に示すような処理も可能である。
図14に示した方法を取る場合、
図11においてSt213、St223で示した逆フーリエ変換のステップは不要である。ビート信号補正部223は、第1ビート信号B1に対して速度方向のFFTを行うことにより、第1ビート信号B1を速度方向にフーリエ変換することができる。ビート信号補正部223は、このフーリエ変化によりRaw-速度マップを生成する。ビート信号補正部223は、上記処理を行った第1ビート信号B1をビート信号連結部224に供給する。
【0064】
また、
図14に示すようにビート信号補正部223は、第2ビート信号B2を速度方向にフーリエ変換(St261)する。ビート信号補正部223は、第2ビート信号B2に対して速度方向のFFTを行うことにより、第2ビート信号B2を速度方向にフーリエ変換することができる。ビート信号補正部223は、このフーリエ変化によりRaw-速度マップを生成する。
【0065】
続いて、ビート信号補正部223は、速度毎に第2ビート信号B2を切り出す(St262)。その後、ビート信号補正部223は、第2ビート信号B2の速度方向の位相差(
図10(b)参照)を補正し(St263)、速度bin繰り返す。ビート信号補正部223は、上記処理を行った第2ビート信号B2をビート信号連結部224に供給する。
【0066】
ビート信号連結部224は、ビート信号補正部223から供給された第1ビート信号B1と第2ビート信号B2を連結(St271)して第3ビート信号B3(
図12参照)を生成し、検出部225に供給する。検出部225は、上記検出ステップ(St242、
図11参照))と同様に、第3ビート信号B3に基づいて検出対象物の距離、相対速度及び角度を検出(St272)することができる。
【0067】
この補正方法では第3ビート信号の生成前に速度方向のフーリエ変換のみを行い、距離方向のフーリエ変換は最後にのみ行うため、高速に補正処理が可能となる。一方、上述した補正方法では、距離方向のフーリエ変換を第1チャープC1及び第2チャープC2の生成と同時に行うことで、距離方向の周波数の特定の領域のみ切り出して情報を圧縮して後段の処理部へ渡すといったことがリアルタイムで可能である。この手法は特に、信号処理系が前段のプアな処理系と後段のリッチな処理系に分かれており、チャープ信号の取得と距離・速度フーリエ変換までを前段のプアな処理系で行い、通信量を間引いた上で後段のリッチな処理系へ渡す必要のあるシステムにおいて特に通信量の削減ができ有利である。
【0068】
[第1チャープと第2チャープの帯域ついて]
第1チャープC1と第2チャープC2は
図7(b)に示すように第1最高周波数f1
Hと第2最低周波数f2
Lが同一の周波数であり、第1チャープC1の帯域と第2チャープC2の帯域は連続するものであってもよい。
【0069】
また、第1チャープC1と第2チャープC2は帯域が離散するものであってもよい。
図15は、帯域が離散した第1チャープC1及び第2チャープC2の周波数を示すグラフである。同図に示すように、第1最高周波数f1
Hと第2最低周波数f2
Lは異なる周波数であり、第1チャープC1と第2チャープC2の間には周波数帯域の間隙Gが存在する。この場合、第1ビート信号B1と第2ビート信号B2には位相差に加えて周波数差が生じるため、ビート信号補正部223は補正ステップ(St224(
図11)、St263(
図14))において位相差と共に周波数差を補正する。
【0070】
また、第1チャープC1と第2チャープC2は一部の帯域が重複するものであってもよい。
図16は、一部の帯域が重複した第1チャープC1及び第2チャープC2の周波数を示すグラフである。同図に示すように、第2最低周波数f2
Lは第1最高周波数f1
Hより低い周波数であり、第1チャープC1と第2チャープC2は帯域の一部が重複したものであってもよい。
【0071】
次の[表1]及び[表2]は、帯域連続、帯域離散及び帯域重複の各場合について第1チャープC1及び第2チャープC2の帯域の例を示す表である。
【0072】
【0073】
【0074】
第1帯域幅W1と第2帯域幅W2は、[表1]に示すように異なっていてもよく、[表2]によい。示すように同一であってもよい。また、第1帯域幅W1が第2帯域幅W2より大きくてもよい。この他にも第1チャープC1と第2チャープC2は中心周波数が互いに異なるものであれば、帯域及び帯域幅を任意に選択可能である。
【0075】
[仮想アンテナアレイについて]
上記説明において第1チャープC1の送信信号と第2チャープC2の送信信号は1つの送信アンテナ201(
図6参照)から送信されるものとしたが、これらの送信信号は2つの送信アンテナ201から送信されてもよい。
図17は2つの送信アンテナ201を備えるレーダ装置200の構成を示すブロック図である。同図に示すように、送信アンテナ201は第1送信アンテナ201aと第2送信アンテナ201bを含む。第1送信アンテナ201aと第2送信アンテナ201bは受信アンテナ202と共にMIMO(Multiple Input Multiple Output)仮想アンテナアレイを形成する。
【0076】
この構成においては、送信制御部213が第1チャープC1の送信信号を第1送信アンテナ201aに出力し、第2チャープC2の送信信号を第2送信アンテナ201bに出力する。ビート信号生成部203は、第1チャープC1の送信信号と受信アンテナ202が生成した受信信号から第1ビート信号B1を生成し、第2チャープC2の送信信号と受信アンテナ202が生成した受信信号から第2ビート信号Bを生成する。なお、受信アンテナ202も複数の受信アンテナを含み、複数の送信アンテナ201と複数の受信アンテナ202がMIMO仮想アンテナアレイを形成してもよい。
【0077】
[情報処理装置のハードウェア構成]
情報処理装置204の機能的構成を実現することが可能なハードウェア構成について説明する。
図18はこのハードウェア構成を示す模式図である。
【0078】
同図に示すように、情報処理装置204は、CPU(Central Processing Unit)1001及びGPU(Graphics Processing Unit)1002を内蔵している。CPU1001及びGPU1002にはバス1005を介して、入出力インターフェイス1006が接続されている。バス1005には、ROM(Read Only Memory)1003およびRAM(Random Access Memory)1004が接続されている。
【0079】
入出力インターフェイス1006には、ユーザが操作コマンドを入力するキーボード、マウスなどの入力デバイスよりなる入力部1007、処理操作画面や処理結果の画像を表示デバイスに出力する出力部1008、プログラムや各種データを格納するハードディスクドライブなどよりなる記憶部1009、LAN(Local Area Network)アダプタなどよりなり、インターネットに代表されるネットワークを介した通信処理を実行する通信部1010が接続されている。また、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、もしくは半導体メモリなどのリムーバブル記憶媒体1012に対してデータを読み書きするドライブ1011が接続されている。
【0080】
CPU1001は、ROM1003に記憶されているプログラム、または磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、もしくは半導体メモリ等のリムーバブル記憶媒体1012ら読み出されて記憶部1009にインストールされ、記憶部1009からRAM1004にロードされたプログラムに従って各種の処理を実行する。RAM1004にはまた、CPU1001が各種の処理を実行する上において必要なデータなども適宜記憶される。GPU1002はCPU1001による制御を受けて、画像描画に必要な計算処理を実行する。
【0081】
以上のように構成される情報処理装置204では、CPU1001が、例えば、記憶部1009に記憶されているプログラムを、入出力インターフェイス1006及びバス1005を介して、RAM1004にロードして実行することにより、上述した一連の処理が行われる。
【0082】
情報処理装置204が実行するプログラムは、例えば、パッケージメディア等としてのリムーバブル記憶媒体1012に記録して提供することができる。また、プログラムは、ローカルエリアネットワーク、インターネット、デジタル衛星放送といった、有線または無線の伝送媒体を介して提供することができる。
【0083】
また、情報処理装置204では、プログラムは、リムーバブル記憶媒体1012をドライブ1011に装着することにより、入出力インターフェイス1006を介して、記憶部1009にインストールすることができる。また、プログラムは、有線または無線の伝送媒体を介して、通信部1010で受信し、記憶部1009にインストールすることができる。その他、プログラムは、ROM1003や記憶部1009に、あらかじめインストールしておくことができる。
【0084】
なお、情報処理装置204が実行するプログラムは、本開示で説明する順序に沿って時系列に処理が行われるプログラムであっても良いし、並列に、あるいは呼び出しが行われたとき等の必要なタイミングで処理が行われるプログラムであってもよい。
【0085】
また、情報処理装置204のハードウェア構成はすべてが一つの装置に搭載されていなくてもよく、複数の装置によって情報処理装置204が構成されていてもよい。また情報処理装置204のハードウェア構成の一部又はネットワークを介して接続されている複数の装置に搭載されていてもよい。
【0086】
[応用例]
本開示に係る技術は、様々な製品へ応用することができる。例えば、本開示に係る技術は、自動車、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、自動二輪車、自転車、パーソナルモビリティ、飛行機、ドローン、船舶、ロボット、建設機械、農業機械(トラクター)などのいずれかの種類の移動体に搭載される装置として実現されてもよい。
【0087】
図19は、本開示に係る技術が適用され得る移動体制御システムの一例である車両制御システム7000の概略的な構成例を示すブロック図である。車両制御システム7000は、通信ネットワーク7010を介して接続された複数の電子制御ユニットを備える。
図19に示した例では、車両制御システム7000は、駆動系制御ユニット7100、ボディ系制御ユニット7200、バッテリ制御ユニット7300、車外情報検出ユニット7400、車内情報検出ユニット7500、及び統合制御ユニット7600を備える。これらの複数の制御ユニットを接続する通信ネットワーク7010は、例えば、CAN(Controller Area Network)、LIN(Local Interconnect Network)、LAN(Local Area Network)又はFlexRay(登録商標)等の任意の規格に準拠した車載通信ネットワークであってよい。
【0088】
各制御ユニットは、各種プログラムにしたがって演算処理を行うマイクロコンピュータと、マイクロコンピュータにより実行されるプログラム又は各種演算に用いられるパラメータ等を記憶する記憶部と、各種制御対象の装置を駆動する駆動回路とを備える。各制御ユニットは、通信ネットワーク7010を介して他の制御ユニットとの間で通信を行うためのネットワークI/Fを備えるとともに、車内外の装置又はセンサ等との間で、有線通信又は無線通信により通信を行うための通信I/Fを備える。
図19では、統合制御ユニット7600の機能構成として、マイクロコンピュータ7610、汎用通信I/F7620、専用通信I/F7630、測位部7640、ビーコン受信部7650、車内機器I/F7660、音声画像出力部7670、車載ネットワークI/F7680及び記憶部7690が図示されている。他の制御ユニットも同様に、マイクロコンピュータ、通信I/F及び記憶部等を備える。
【0089】
駆動系制御ユニット7100は、各種プログラムにしたがって車両の駆動系に関連する装置の動作を制御する。例えば、駆動系制御ユニット7100は、内燃機関又は駆動用モータ等の車両の駆動力を発生させるための駆動力発生装置、駆動力を車輪に伝達するための駆動力伝達機構、車両の舵角を調節するステアリング機構、及び、車両の制動力を発生させる制動装置等の制御装置として機能する。駆動系制御ユニット7100は、ABS(Antilock Brake System)又はESC(Electronic Stability Control)等の制御装置としての機能を有してもよい。
【0090】
駆動系制御ユニット7100には、車両状態検出部7110が接続される。車両状態検出部7110には、例えば、車体の軸回転運動の角速度を検出するジャイロセンサ、車両の加速度を検出する加速度センサ、あるいは、アクセルペダルの操作量、ブレーキペダルの操作量、ステアリングホイールの操舵角、エンジン回転数又は車輪の回転速度等を検出するためのセンサのうちの少なくとも一つが含まれる。駆動系制御ユニット7100は、車両状態検出部7110から入力される信号を用いて演算処理を行い、内燃機関、駆動用モータ、電動パワーステアリング装置又はブレーキ装置等を制御する。
【0091】
ボディ系制御ユニット7200は、各種プログラムにしたがって車体に装備された各種装置の動作を制御する。例えば、ボディ系制御ユニット7200は、キーレスエントリシステム、スマートキーシステム、パワーウィンドウ装置、あるいは、ヘッドランプ、バックランプ、ブレーキランプ、ウィンカー又はフォグランプ等の各種ランプの制御装置として機能する。この場合、ボディ系制御ユニット7200には、鍵を代替する携帯機から発信される電波又は各種スイッチの信号が入力され得る。ボディ系制御ユニット7200は、これらの電波又は信号の入力を受け付け、車両のドアロック装置、パワーウィンドウ装置、ランプ等を制御する。
【0092】
バッテリ制御ユニット7300は、各種プログラムにしたがって駆動用モータの電力供給源である二次電池7310を制御する。例えば、バッテリ制御ユニット7300には、二次電池7310を備えたバッテリ装置から、バッテリ温度、バッテリ出力電圧又はバッテリの残存容量等の情報が入力される。バッテリ制御ユニット7300は、これらの信号を用いて演算処理を行い、二次電池7310の温度調節制御又はバッテリ装置に備えられた冷却装置等の制御を行う。
【0093】
車外情報検出ユニット7400は、車両制御システム7000を搭載した車両の外部の情報を検出する。例えば、車外情報検出ユニット7400には、撮像部7410及び車外情報検出部7420のうちの少なくとも一方が接続される。撮像部7410には、ToF(Time Of Flight)カメラ、ステレオカメラ、単眼カメラ、赤外線カメラ及びその他のカメラのうちの少なくとも一つが含まれる。車外情報検出部7420には、例えば、現在の天候又は気象を検出するための環境センサ、あるいは、車両制御システム7000を搭載した車両の周囲の他の車両、障害物又は歩行者等を検出するための周囲情報検出センサのうちの少なくとも一つが含まれる。
【0094】
環境センサは、例えば、雨天を検出する雨滴センサ、霧を検出する霧センサ、日照度合いを検出する日照センサ、及び降雪を検出する雪センサのうちの少なくとも一つであってよい。周囲情報検出センサは、超音波センサ、レーダ装置及びLIDAR(Light Detection and Ranging、Laser Imaging Detection and Ranging)装置のうちの少なくとも一つであってよい。これらの撮像部7410及び車外情報検出部7420は、それぞれ独立したセンサないし装置として備えられてもよいし、複数のセンサないし装置が統合された装置として備えられてもよい。
【0095】
ここで、
図20は、撮像部7410及び車外情報検出部7420の設置位置の例を示す。撮像部7910,7912,7914,7916,7918は、例えば、車両7900のフロントノーズ、サイドミラー、リアバンパ、バックドア及び車室内のフロントガラスの上部のうちの少なくとも一つの位置に設けられる。フロントノーズに備えられる撮像部7910及び車室内のフロントガラスの上部に備えられる撮像部7918は、主として車両7900の前方の画像を取得する。サイドミラーに備えられる撮像部7912,7914は、主として車両7900の側方の画像を取得する。リアバンパ又はバックドアに備えられる撮像部7916は、主として車両7900の後方の画像を取得する。車室内のフロントガラスの上部に備えられる撮像部7918は、主として先行車両又は、歩行者、障害物、信号機、交通標識又は車線等の検出に用いられる。
【0096】
なお、
図20には、それぞれの撮像部7910,7912,7914,7916の撮影範囲の一例が示されている。撮像範囲aは、フロントノーズに設けられた撮像部7910の撮像範囲を示し、撮像範囲b,cは、それぞれサイドミラーに設けられた撮像部7912,7914の撮像範囲を示し、撮像範囲dは、リアバンパ又はバックドアに設けられた撮像部7916の撮像範囲を示す。例えば、撮像部7910,7912,7914,7916で撮像された画像データが重ね合わせられることにより、車両7900を上方から見た俯瞰画像が得られる。
【0097】
車両7900のフロント、リア、サイド、コーナ及び車室内のフロントガラスの上部に設けられる車外情報検出部7920,7922,7924,7926,7928,7930は、例えば超音波センサ又はレーダ装置であってよい。車両7900のフロントノーズ、リアバンパ、バックドア及び車室内のフロントガラスの上部に設けられる車外情報検出部7920,7926,7930は、例えばLIDAR装置であってよい。これらの車外情報検出部7920~7930は、主として先行車両、歩行者又は障害物等の検出に用いられる。
【0098】
図19に戻って説明を続ける。車外情報検出ユニット7400は、撮像部7410に車外の画像を撮像させるとともに、撮像された画像データを受信する。また、車外情報検出ユニット7400は、接続されている車外情報検出部7420から検出情報を受信する。車外情報検出部7420が超音波センサ、レーダ装置又はLIDAR装置である場合には、車外情報検出ユニット7400は、超音波又は電磁波等を発信させるとともに、受信された反射波の情報を受信する。車外情報検出ユニット7400は、受信した情報に基づいて、人、車、障害物、標識又は路面上の文字等の物体検出処理又は距離検出処理を行ってもよい。車外情報検出ユニット7400は、受信した情報に基づいて、降雨、霧又は路面状況等を認識する環境認識処理を行ってもよい。車外情報検出ユニット7400は、受信した情報に基づいて、車外の物体までの距離を算出してもよい。
【0099】
また、車外情報検出ユニット7400は、受信した画像データに基づいて、人、車、障害物、標識又は路面上の文字等を認識する画像認識処理又は距離検出処理を行ってもよい。車外情報検出ユニット7400は、受信した画像データに対して歪補正又は位置合わせ等の処理を行うとともに、異なる撮像部7410により撮像された画像データを合成して、俯瞰画像又はパノラマ画像を生成してもよい。車外情報検出ユニット7400は、異なる撮像部7410により撮像された画像データを用いて、視点変換処理を行ってもよい。
【0100】
車内情報検出ユニット7500は、車内の情報を検出する。車内情報検出ユニット7500には、例えば、運転者の状態を検出する運転者状態検出部7510が接続される。運転者状態検出部7510は、運転者を撮像するカメラ、運転者の生体情報を検出する生体センサ又は車室内の音声を集音するマイク等を含んでもよい。生体センサは、例えば、座面又はステアリングホイール等に設けられ、座席に座った搭乗者又はステアリングホイールを握る運転者の生体情報を検出する。車内情報検出ユニット7500は、運転者状態検出部7510から入力される検出情報に基づいて、運転者の疲労度合い又は集中度合いを算出してもよいし、運転者が居眠りをしていないかを判別してもよい。車内情報検出ユニット7500は、集音された音声信号に対してノイズキャンセリング処理等の処理を行ってもよい。
【0101】
統合制御ユニット7600は、各種プログラムにしたがって車両制御システム7000内の動作全般を制御する。統合制御ユニット7600には、入力部7800が接続されている。入力部7800は、例えば、タッチパネル、ボタン、マイクロフォン、スイッチ又はレバー等、搭乗者によって入力操作され得る装置によって実現される。統合制御ユニット7600には、マイクロフォンにより入力される音声を音声認識することにより得たデータが入力されてもよい。入力部7800は、例えば、赤外線又はその他の電波を利用したリモートコントロール装置であってもよいし、車両制御システム7000の操作に対応した携帯電話又はPDA(Personal Digital Assistant)等の外部接続機器であってもよい。入力部7800は、例えばカメラであってもよく、その場合搭乗者はジェスチャにより情報を入力することができる。あるいは、搭乗者が装着したウェアラブル装置の動きを検出することで得られたデータが入力されてもよい。さらに、入力部7800は、例えば、上記の入力部7800を用いて搭乗者等により入力された情報に基づいて入力信号を生成し、統合制御ユニット7600に出力する入力制御回路などを含んでもよい。搭乗者等は、この入力部7800を操作することにより、車両制御システム7000に対して各種のデータを入力したり処理動作を指示したりする。
【0102】
記憶部7690は、マイクロコンピュータにより実行される各種プログラムを記憶するROM(Read Only Memory)、及び各種パラメータ、演算結果又はセンサ値等を記憶するRAM(Random Access Memory)を含んでいてもよい。また、記憶部7690は、HDD(Hard Disc Drive)等の磁気記憶デバイス、半導体記憶デバイス、光記憶デバイス又は光磁気記憶デバイス等によって実現してもよい。
【0103】
汎用通信I/F7620は、外部環境7750に存在する様々な機器との間の通信を仲介する汎用的な通信I/Fである。汎用通信I/F7620は、GSM(登録商標)(Global System of Mobile communications)、WiMAX(登録商標)、LTE(登録商標)(Long Term Evolution)若しくはLTE-A(LTE-Advanced)などのセルラー通信プロトコル、又は無線LAN(Wi-Fi(登録商標)ともいう)、Bluetooth(登録商標)などのその他の無線通信プロトコルを実装してよい。汎用通信I/F7620は、例えば、基地局又はアクセスポイントを介して、外部ネットワーク(例えば、インターネット、クラウドネットワーク又は事業者固有のネットワーク)上に存在する機器(例えば、アプリケーションサーバ又は制御サーバ)へ接続してもよい。また、汎用通信I/F7620は、例えばP2P(Peer To Peer)技術を用いて、車両の近傍に存在する端末(例えば、運転者、歩行者若しくは店舗の端末、又はMTC(Machine Type Communication)端末)と接続してもよい。
【0104】
専用通信I/F7630は、車両における使用を目的として策定された通信プロトコルをサポートする通信I/Fである。専用通信I/F7630は、例えば、下位レイヤのIEEE802.11pと上位レイヤのIEEE1609との組合せであるWAVE(Wireless Access in Vehicle Environment)、DSRC(Dedicated Short Range Communications)、又はセルラー通信プロトコルといった標準プロトコルを実装してよい。専用通信I/F7630は、典型的には、車車間(Vehicle to Vehicle)通信、路車間(Vehicle to Infrastructure)通信、車両と家との間(Vehicle to Home)の通信及び歩車間(Vehicle to Pedestrian)通信のうちの1つ以上を含む概念であるV2X通信を遂行する。
【0105】
測位部7640は、例えば、GNSS(Global Navigation Satellite System)衛星からのGNSS信号(例えば、GPS(Global Positioning System)衛星からのGPS信号)を受信して測位を実行し、車両の緯度、経度及び高度を含む位置情報を生成する。なお、測位部7640は、無線アクセスポイントとの信号の交換により現在位置を特定してもよく、又は測位機能を有する携帯電話、PHS若しくはスマートフォンといった端末から位置情報を取得してもよい。
【0106】
ビーコン受信部7650は、例えば、道路上に設置された無線局等から発信される電波あるいは電磁波を受信し、現在位置、渋滞、通行止め又は所要時間等の情報を取得する。なお、ビーコン受信部7650の機能は、上述した専用通信I/F7630に含まれてもよい。
【0107】
車内機器I/F7660は、マイクロコンピュータ7610と車内に存在する様々な車内機器7760との間の接続を仲介する通信インタフェースである。車内機器I/F7660は、無線LAN、Bluetooth(登録商標)、NFC(Near Field Communication)又はWUSB(Wireless USB)といった無線通信プロトコルを用いて無線接続を確立してもよい。また、車内機器I/F7660は、図示しない接続端子(及び、必要であればケーブル)を介して、USB(Universal Serial Bus)、HDMI(登録商標)(High-Definition Multimedia Interface、又はMHL(Mobile High-definition Link)等の有線接続を確立してもよい。車内機器7760は、例えば、搭乗者が有するモバイル機器若しくはウェアラブル機器、又は車両に搬入され若しくは取り付けられる情報機器のうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。また、車内機器7760は、任意の目的地までの経路探索を行うナビゲーション装置を含んでいてもよい。車内機器I/F7660は、これらの車内機器7760との間で、制御信号又はデータ信号を交換する。
【0108】
車載ネットワークI/F7680は、マイクロコンピュータ7610と通信ネットワーク7010との間の通信を仲介するインタフェースである。車載ネットワークI/F7680は、通信ネットワーク7010によりサポートされる所定のプロトコルに則して、信号等を送受信する。
【0109】
統合制御ユニット7600のマイクロコンピュータ7610は、汎用通信I/F7620、専用通信I/F7630、測位部7640、ビーコン受信部7650、車内機器I/F7660及び車載ネットワークI/F7680のうちの少なくとも一つを介して取得される情報に基づき、各種プログラムにしたがって、車両制御システム7000を制御する。例えば、マイクロコンピュータ7610は、取得される車内外の情報に基づいて、駆動力発生装置、ステアリング機構又は制動装置の制御目標値を演算し、駆動系制御ユニット7100に対して制御指令を出力してもよい。例えば、マイクロコンピュータ7610は、車両の衝突回避あるいは衝撃緩和、車間距離に基づく追従走行、車速維持走行、車両の衝突警告、又は車両のレーン逸脱警告等を含むADAS(Advanced Driver Assistance System)の機能実現を目的とした協調制御を行ってもよい。また、マイクロコンピュータ7610は、取得される車両の周囲の情報に基づいて駆動力発生装置、ステアリング機構又は制動装置等を制御することにより、運転者の操作に拠らずに自律的に走行する自動運転等を目的とした協調制御を行ってもよい。
【0110】
マイクロコンピュータ7610は、汎用通信I/F7620、専用通信I/F7630、測位部7640、ビーコン受信部7650、車内機器I/F7660及び車載ネットワークI/F7680のうちの少なくとも一つを介して取得される情報に基づき、車両と周辺の構造物や人物等の物体との間の3次元距離情報を生成し、車両の現在位置の周辺情報を含むローカル地図情報を作成してもよい。また、マイクロコンピュータ7610は、取得される情報に基づき、車両の衝突、歩行者等の近接又は通行止めの道路への進入等の危険を予測し、警告用信号を生成してもよい。警告用信号は、例えば、警告音を発生させたり、警告ランプを点灯させたりするための信号であってよい。
【0111】
音声画像出力部7670は、車両の搭乗者又は車外に対して、視覚的又は聴覚的に情報を通知することが可能な出力装置へ音声及び画像のうちの少なくとも一方の出力信号を送信する。
図19の例では、出力装置として、オーディオスピーカ7710、表示部7720及びインストルメントパネル7730が例示されている。表示部7720は、例えば、オンボードディスプレイ及びヘッドアップディスプレイの少なくとも一つを含んでいてもよい。表示部7720は、AR(Augmented Reality)表示機能を有していてもよい。出力装置は、これらの装置以外の、ヘッドホン、搭乗者が装着する眼鏡型ディスプレイ等のウェアラブルデバイス、プロジェクタ又はランプ等の他の装置であってもよい。出力装置が表示装置の場合、表示装置は、マイクロコンピュータ7610が行った各種処理により得られた結果又は他の制御ユニットから受信された情報を、テキスト、イメージ、表、グラフ等、様々な形式で視覚的に表示する。また、出力装置が音声出力装置の場合、音声出力装置は、再生された音声データ又は音響データ等からなるオーディオ信号をアナログ信号に変換して聴覚的に出力する。
【0112】
なお、
図19に示した例において、通信ネットワーク7010を介して接続された少なくとも二つの制御ユニットが一つの制御ユニットとして一体化されてもよい。あるいは、個々の制御ユニットが、複数の制御ユニットにより構成されてもよい。さらに、車両制御システム7000が、図示されていない別の制御ユニットを備えてもよい。また、上記の説明において、いずれかの制御ユニットが担う機能の一部又は全部を、他の制御ユニットに持たせてもよい。つまり、通信ネットワーク7010を介して情報の送受信がされるようになっていれば、所定の演算処理が、いずれかの制御ユニットで行われるようになってもよい。同様に、いずれかの制御ユニットに接続されているセンサ又は装置が、他の制御ユニットに接続されるとともに、複数の制御ユニットが、通信ネットワーク7010を介して相互に検出情報を送受信してもよい。
【0113】
なお、
図6を用いて説明した本実施形態に係る情報処理装置204の各機能を実現するためのコンピュータプログラムを、いずれかの制御ユニット等に実装することができる。また、このようなコンピュータプログラムが格納された、コンピュータで読み取り可能な記録媒体を提供することもできる。記録媒体は、例えば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、フラッシュメモリ等である。また、上記のコンピュータプログラムは、記録媒体を用いずに、例えばネットワークを介して配信されてもよい。
【0114】
以上説明した車両制御システム7000において、
図6を用いて説明した本実施形態に係る情報処理装置204は、
図19に示した応用例の統合制御ユニット7600に適用することができる。例えば、情報処理装置204の信号生成部205及び信号処理部206は、統合制御ユニット7600のマイクロコンピュータ7610、記憶部7690、車載ネットワークI/F7680に相当する。
【0115】
また、
図6を用いて説明した情報処理装置204の少なくとも一部の構成要素は、
図19に示した統合制御ユニット7600のためのモジュール(例えば、一つのダイで構成される集積回路モジュール)において実現されてもよい。あるいは、
図6を用いて説明した情報処理装置204が、
図19に示した車両制御システム7000の複数の制御ユニットによって実現されてもよい。
【0116】
[本開示について]
本開示中に記載された効果はあくまで例示であって限定されるものでは無く、また他の効果があってもよい。上記の複数の効果の記載は、それらの効果が必ずしも同時に発揮されるということを意味しているのではない。条件等により、少なくとも上記した効果のいずれかが得られることを意味しており、本開示中に記載されていない効果が発揮される可能性もある。また、本開示において説明した特徴部分のうち、少なくとも2つの特徴部分を任意に組み合わせることも可能である。
【0117】
なお、本技術は以下のような構成も採ることができる。
(1)
レーダ波を送信する送信アンテナと、
レーダ波を受信する受信アンテナと、
周波数連続変調波信号のチャープである第1チャープを生成する第1チャープ生成部と、
周波数連続変調波信号のチャープであり、上記第1チャープとは中心周波数が異なる第2チャープを生成する第2チャープ生成部と、
上記第1チャープと上記第2チャープを間に間隙を設けて上記送信アンテナから送信させる送信制御部と、
上記送信アンテナから送信された上記第1チャープの送信信号と、上記受信アンテナで受信された上記第1チャープの受信信号から第1ビート信号を生成し、上記送信アンテナから送信された上記第2チャープの送信信号と、上記受信アンテナで受信された上記第2チャープの受信信号から第2ビート信号を生成するビート信号生成部と、
上記間隙に起因する上記第1ビート信号と上記第2ビート信号の誤差を補正するビート信号補正部と、
上記誤差が補正された上記第1ビート信号と上記第2ビート信号を連結し、第3ビート信号を生成するビート信号連結部と、
上記第3ビート信号に基づいて検出対象物の距離を検出する検出部と
を具備するレーダ装置。
(2)
上記(1)に記載のレーダ装置であって、
絵記間隙は時間的間隙であり、
上記ビート信号補正部は、上記時間的間隙に起因する上記第1ビート信号と上記第2ビト信号の位相差を補正する
レーダ装置。
(3)
上記(2)に記載のレーダ装置であって、
上記間隙は時間的間隙及び周波数帯域の間隙であり、
上記ビート信号補正部はさらに、上記周波数帯域の間隙に起因する上記第1ビート信号と上記第2ビート信号の周波数差を補正する
レーダ装置。
(4)
上記(1)から(3)のうちいずれか1つに記載のレーダ装置であって、
上記第1チャープの帯域幅と上記第2チャープの帯域幅は同一である
レーダ装置。
(5)
上記(1)から(3)のうちいずれか1つに記載のレーダ装置であって、
上記第1チャープの帯域幅と上記第2チャープの帯域幅は異なる
レーダ装置。
(6)
上記(5)に記載のレーダ装置であって、
上記第1チャープの帯域幅は1GHzであり、
上記第2チャープの帯域幅は4GHzである
レーダ装置。
(7)
上記(1)から(6)のうちいずれか1つに記載のレーダ装置であって、
上記送信アンテナは1つの送信アンテナであり、
上記送信制御部は、上記第1チャープ及び上記第2チャープを上記1つの送信アンテナから送信させる
レーダ装置。
(8)
上記(1)から(6)のうちいずれか1つに記載のレーダ装置であって、
上記送信アンテナは第1送信アンテナと第2送信アンテナを含み、
上記送信制御部は、上記第1チャープを上記第1送信アンテナから送信させ、上記第2チャープを上記第2送信アンテナから送信させ、
上記第1送信アンテナと上記第2送信アンテナはMIMO(Multiple Input Multiple Output)仮想アンテナアレイを形成する
レーダ装置。
(9)
上記(1)に記載のレーダ装置であって、
上記ビート信号補正部は、上記第1ビート信号及び上記第2ビート信号を距離方向及び速度方向にフーリエ変換した後、上記誤差を補正する
レーダ装置。
(10)
上記(1)に記載のレーダ装置であって、
上記ビート信号補正部は、上記第1ビート信号及び上記第2ビート信号を速度方向にフーリエ変換した後、速度毎に上記誤差を補正する
レーダ装置。
(11)
上記(1)から(10)のうちいずれか1つに記載のレーダ装置であって、
上記第1チャープの帯域と上記第2チャープの帯域は連続している
レーダ装置。
(12)
上記(1)から(10)のうちいずれか1つに記載のレーダ装置であって、
上記第1チャープの帯域と上記第2チャープの帯域は離散している
レーダ装置。
(13)
上記(1)から(10)のうちいずれか1つに記載のレーダ装置であって、
上記第1チャープの帯域の一部と上記第2チャープの帯域の一部は重複している
レーダ装置。
(14)
上記(1)から(13)のうちいずれか1つに記載のレーダ装置であって、
上記第1チャープ及び上記第2チャープの帯域はミリ波の帯域である
レーダ装置。
(15)
周波数連続変調波信号のチャープである第1チャープを生成する第1チャープ生成部と、
周波数連続変調波信号のチャープであり、上記第1チャープとは中心周波数が異なる第2チャープを生成する第2チャープ生成部と、
上記第1チャープと上記第2チャープを間に間隙を設けて送信アンテナから送信させる送信制御部と、
上記送信アンテナから送信された上記第1チャープの送信信号と受信アンテナで受信された上記第1チャープの受信信号から生成された第1ビート信号と、上記送信アンテナから送信された上記第2チャープの送信信号と上記受信アンテナで受信された上記第2チャープの受信信号から生成された第2ビート信号の上記間隙に起因する誤差を補正するビート信号補正部と、
上記誤差が補正された上記第1ビート信号と上記第2ビート信号を連結し、第3ビート信号を生成するビート信号連結部と、
上記第3ビート信号に基づいて検出対象物の距離を検出する検出部と
を具備する情報処理装置。
(16)
周波数連続変調波信号のチャープである第1チャープを生成し、
周波数連続変調波信号のチャープであり、上記第1チャープとは中心周波数が異なる第2チャープを生成し、
上記第1チャープと上記第2チャープを間に間隙を設けてを送信アンテナから送信させ、
上記送信アンテナから送信された上記第1チャープの送信信号と受信アンテナで受信された上記第1チャープの受信信号から生成された第1ビート信号と、上記送信アンテナから送信された上記第2チャープの送信信号と上記受信アンテナで受信された上記第2チャープの受信信号から生成された第2ビート信号の上記間隙に起因する誤差を補正し、
上記誤差が補正された上記第1ビート信号と上記第2ビート信号を連結して第3ビート信号を生成し、
上記第3ビート信号に基づいて検出対象物の距離を検出する
情報処理方法。
【符号の説明】
【0118】
200…レーダ装置
201…送信アンテナ
202…受信アンテナ
203…ビート信号生成部
204…情報処理装置
205…信号生成部
206…信号処理部
211…第1チャープ生成部
212…第2チャープ生成部
213…送信制御部
221…第1ビート信号取得部
222…第2ビート信号取得部
223…ビート信号補正部
224…ビート信号連結部
225…検出部