(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2026-03-16
(45)【発行日】2026-03-25
(54)【発明の名称】転写用マスク、および、表示装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
G03F 1/00 20120101AFI20260317BHJP
H10K 50/10 20230101ALI20260317BHJP
H05B 33/22 20060101ALI20260317BHJP
H05B 33/12 20060101ALI20260317BHJP
H05B 33/10 20060101ALI20260317BHJP
【FI】
G03F1/00 Z
H10K50/10
H05B33/22 Z
H05B33/12 B
H05B33/10
(21)【出願番号】P 2022096232
(22)【出願日】2022-06-15
【審査請求日】2025-01-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000113263
【氏名又は名称】HOYA株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145872
【氏名又は名称】福岡 昌浩
(74)【代理人】
【識別番号】100091362
【氏名又は名称】阿仁屋 節雄
(74)【代理人】
【識別番号】100161034
【氏名又は名称】奥山 知洋
(74)【代理人】
【識別番号】100187632
【氏名又は名称】橘高 英郎
(72)【発明者】
【氏名】今敷 修久
【審査官】後藤 慎平
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-276724(JP,A)
【文献】特許第6993530(JP,B1)
【文献】特開2012-032783(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 1/00
H10K 50/00
59/00
71/00
H05B 33/22
33/12
33/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
透光性基板上に、透光部、第1透過部、および第2透過部を含む転写用パターンを備えた転写用マスクであって、
前記透光部は、前記透光性基板が露出したホール形状を有し、
前記第1透過部は、前記透光部の外周に沿って、環状に設けられ、
前記第2透過部は、前記第1透過部の外周に接して設けられ、
露光光に対する前記第1透過部の透過率T1は、前記露光光に対する前記第2透過部の透過率T2よりも高く、
前記第1透過部を透過した前記露光光と、前記透光部を透過した前記露光光との位相差の絶対値は、90度以下であり、
前記第2透過部を透過した前記露光光と、前記透光部を透過した前記露光光との位相差の絶対値は、90度以下であり、
前記第1透過部を透過した前記露光光と、前記第2透過部を透過した前記露光光との位相差の絶対値は、90度以下であ
り、
前記第1透過部の幅Dは、1.5μm以上10μm以下であることを特徴とする転写用マスク。
【請求項2】
前記透過率T1と前記透過率T2との差ΔTは、10%以上であることを特徴とする請求項1に記載の転写用マスク。
【請求項3】
前記第1透過部の幅Dと、前記透過率T1と前記透過率T2との差ΔTとは、
D≧-3.14×ΔT/100+2.32の関係を満たすことを特徴とする請求項1に記載の転写用マスク。
【請求項4】
前記透過率T1は、20%以上であることを特徴とする請求項1に記載の転写用マスク。
【請求項5】
前記透過率T2は、10%以上であることを特徴とする請求項1に記載の転写用マスク。
【請求項6】
前記露光光は、313nm以上436nm以下の波長の光を含むことを特徴とする請求項1に記載の転写用マスク。
【請求項7】
前記第2透過部に隣接して設けられた遮光部をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の転写用マスク。
【請求項8】
前記第1透過部は、前記透光性基板上に形成された第1半透過膜からなり、
前記第2透過部は、前記透光性基板上に前記第1半透過膜と第2半透過膜とが積層されてなることを特徴とする請求項1に記載の転写用マスク。
【請求項9】
前記第1半透過膜と前記第2半透過膜とは、互いにエッチング選択性を有する材料からなることを特徴とする請求項
8に記載の転写用マスク。
【請求項10】
前記第2透過部に隣接して設けられた遮光部をさらに有し、
前記遮光部は、前記透光性基板上に、遮光性を有する遮光膜、前記第1半透過膜、および、前記第2半透過膜が積層されてなることを特徴とする請求項
8に記載の転写用マスク。
【請求項11】
前記第2半透過膜と前記遮光膜とは、互いにエッチング選択性を有する材料からなることを特徴とする請求項
10に記載の転写用マスク。
【請求項12】
請求項1から請求項
11のいずれか1項に記載の転写用マスクを準備する工程と、
基板上に、前記露光光に対して感光する感光性樹脂膜を形成する工程と、
露光装置を用いて前記転写用マスクを透過させた前記露光光を、前記感光性樹脂膜に照射し、前記転写用パターンを露光転写する工程と、
前記露光転写された前記感光性樹脂膜に対して、現像処理を行う工程と、
を有することを特徴とする表示装置の製造方法。
【請求項13】
前記露光転写する工程では、前記現像処理後の前記感光性樹脂膜の開口部の周囲に、断面の傾斜角が30度以下である傾斜部が形成されるように、前記転写用パターンを露光転写することを特徴とする請求項
12に記載の表示装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、転写用マスク、および、表示装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、露光により、複数の異なる残膜値をもつレジストパターンを被転写体上に形成するために、透光部、遮光部、および半透光部を含む転写用パターンをもつ、表示装置製造用のフォトマスクにおいて、透光部は、透明基板が露出してなり、遮光部は、透明基板上に少なくとも遮光膜が形成された完全遮光部と、完全遮光部の外縁に接して形成され、透明基板上に半透光性のリム形成膜が形成されてなる幅γのリム部とを有し、半透光部は、遮光部に挟まれ、透明基板が、所定幅αで露出してなり、幅αは、半透光部の露光光透過率が、透光部の露光光透過率よりも小さくなるように設定され、リム形成膜は、露光光の代表波長の光に対する透過率Trが5~60(%)、かつ代表波長の光に対する位相シフト量が90度以下である、フォトマスクが記載されている。
【0003】
また、特許文献2には、表示領域に画素がマトリクス状に配置された有機EL表示装置であって、各画素に配置された有機EL層と、有機EL層の縁を囲み、隣接する画素間に配置された分離層と、表示領域の全面を覆うことで有機EL層を封止する樹脂層と、樹脂層の縁を囲む枠状バンクと、を含み、分離層のテーパー角度と、枠状バンクのテーパー角度とが異なっていることを特徴とする有機EL表示装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2020-140207号公報
【文献】国際公開第2018/061195号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
スマートフォン、タブレット、テレビ等、薄型ディスプレイを有する表示装置において、有機エレクトロルミネッセンス(有機EL)表示装置を用いた製品が多く開発されている。一般に、有機EL表示装置には、発光素子の画素間を分割するため、画素分割層(PDL、Pixel Defining Layer)という絶縁層が形成される。
【0006】
本発明の一実施形態は、開口部の周囲の傾斜角が小さいPDLを実現することができる、転写用マスクを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様は、
透光性基板上に、透光部、第1透過部、および第2透過部を含む転写用パターンを備えた転写用マスクであって、
前記透光部は、前記透光性基板が露出したホール形状を有し、
前記第1透過部は、前記透光部の外周に沿って、環状に設けられ、
前記第2透過部は、前記第1透過部の外周に接して設けられ、
露光光に対する前記第1透過部の透過率T1は、前記露光光に対する前記第2透過部の透過率T2よりも高く、
前記第1透過部を透過した前記露光光と、前記透光部を透過した前記露光光との位相差の絶対値は、90度以下であり、
前記第2透過部を透過した前記露光光と、前記透光部を透過した前記露光光との位相差の絶対値は、90度以下であり、
前記第1透過部を透過した前記露光光と、前記第2透過部を透過した前記露光光との位相差の絶対値は、90度以下であることを特徴とする転写用マスクである。
【0008】
本発明の第2の態様は、
前記第1透過部の幅Dは、1.5μm以上であることを特徴とする上記第1の態様に記載の転写用マスクである。
【0009】
本発明の第3の態様は、
前記透過率T1と前記透過率T2との差ΔTは、10%以上であることを特徴とする上記第1の態様に記載の転写用マスクである。
【0010】
本発明の第4の態様は、
前記第1透過部の幅Dと、前記透過率T1と前記透過率T2との差ΔTとは、
D≧-3.14×ΔT/100+2.32の関係を満たすことを特徴とする上記第1の態様に記載の転写用マスクである。
【0011】
本発明の第5の態様は、
前記透過率T1は、20%以上であることを特徴とする上記第1の態様に記載の転写用マスクである。
【0012】
本発明の第6の態様は、
前記透過率T2は、10%以上であることを特徴とする上記第1の態様に記載の転写用マスクである。
【0013】
本発明の第7の態様は、
前記露光光は、313nm以上436nm以下の波長の光を含むことを特徴とする上記第1の態様に記載の転写用マスクである。
【0014】
本発明の第8の態様は、
前記第2透過部に隣接するように設けられた遮光部をさらに有する、ことを特徴とする上記第1の態様に記載の転写用マスクである。
【0015】
本発明の第9の態様は、
前記第1透過部は、前記透光性基板上に形成された第1半透過膜からなり、
前記第2透過部は、前記透光性基板上に前記第1半透過膜と第2半透過膜とが積層されてなることを特徴とする上記第1の態様に記載の転写用マスクである。
【0016】
本発明の第10の態様は、
前記第1半透過膜と前記第2半透過膜とは、互いにエッチング選択性を有する材料からなることを特徴とする上記第9の態様に記載の転写用マスクである。
【0017】
本発明の第11の態様は、
前記第2透過部に隣接するように設けられた遮光部をさらに有し、
前記遮光部は、前記透光性基板上に、遮光性を有する遮光膜、前記第1半透過膜、および、前記第2半透過膜が積層されてなることを特徴とする上記第9の態様に記載の転写用マスクである。
【0018】
本発明の第12の態様は、
前記第2半透過膜と前記遮光膜とは、互いにエッチング選択性を有する材料からなることを特徴とする上記第11の態様に記載の転写用マスクである。
【0019】
本発明の第13の態様は、
上記第1から上記第12の態様のいずれか1つに記載の転写用マスクを準備する工程と、
基板上に、前記露光光に対して感光する感光性樹脂膜を形成する工程と、
露光装置を用いて前記転写用マスクを透過させた前記露光光を、前記感光性樹脂膜に照射し、前記転写用パターンを露光転写する工程と、
前記露光転写された前記感光性樹脂膜に対して、現像処理を行う工程と、
を有することを特徴とする表示装置の製造方法である。
【0020】
本発明の第14の態様は、
前記露光転写する工程では、前記現像処理後の前記感光性樹脂膜の開口部の周囲に、断面の傾斜角が30度以下である傾斜部が形成されるように、前記転写用パターンを露光転写することを特徴とする上記第13の態様に記載の表示装置の製造方法である。
【発明の効果】
【0021】
本発明の一実施形態によれば、開口部の周囲の傾斜角が小さいPDLを実現することができる、転写用マスクを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】
図1は、本発明の第1実施形態に係る、転写用マスク1を模式的に示す平面図である。
【
図2】
図2は、
図1の転写用マスク1のA-A線の断面模式図である。
【
図3】
図3(a)~
図3(e)は、本発明の第1実施形態に係る、転写用マスク1の製造方法を説明する模式図である。
【
図4】
図4は、本発明の変形例1に係る、転写用マスク1の断面模式図である。
【
図5】
図5は、本発明の変形例2に係る、転写用マスク1の断面模式図である。
【
図6】
図6は、本発明の実施例1に係る、幅Dと傾斜角θの関係を示すグラフである。
【
図7】
図7は、本発明の実施例2に係る、幅Dと傾斜角θの関係を示すグラフである。
【
図8】
図8は、本発明の実施例1および実施例2のうち、所定の条件をピックアップしたグラフである。
【
図9】
図9は、有機EL表示装置のPDLの断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
<発明者の得た知見>
まず、発明者が得た知見について説明する。
図9は、有機EL表示装置のPDLの断面模式図である。PDLは、例えば、感光性ポリイミドからなり、
図9に示すように、発光層を形成するための開口部200と、開口部200の周囲に位置する傾斜部201と、発光層を形成する際のマスクを支えるための柱部202と、開口部200と柱部202との中間の高さの平坦部203と、を備えている。
【0024】
PDLの開口部200に発光層を形成した後、発光効率を維持するために、ポリイミド等の封止材によって発光層を封止する必要がある。この際、封止材の濡れ広がり、および、封止材の平坦性を改善することで、製造歩留まりを向上させることができる。したがって、PDLの傾斜部201の傾斜角θは、小さいことが好ましい。具体的には、傾斜角θは、例えば、30度以下であることが好ましく、20度以下であることがより好ましい。また、傾斜角θの下限値は、特に限定されないが、平坦部203の厚みを十分(例えば、0.8μm以上1.5μm以下)に確保しやすくする観点から、10度以上であることが好ましい。
【0025】
次に、本発明の一実施形態を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0026】
<本発明の第1実施形態>
(1)転写用マスク1の構成
まず、本実施形態の転写用マスク1の構成について説明する。
図1は、本実施形態の転写用マスク1を模式的に示す平面図であり、
図2は、
図1のA-A線の断面模式図である。
図1に示すように、本実施形態の転写用マスク1は、透光性基板100上に、透光部10と、第1透過部20と、第2透過部30と、遮光部40とを含む転写用パターンを備えている。本実施形態の転写用マスク1は、例えば、有機EL表示装置のPDLを形成するために用いることができる。特に、本実施形態の転写用マスク1は、PDLの開口部200と柱部202とを、ひとつのマスクによって同時に形成することができる。
【0027】
透光部10は、透光性基板100が露出しているホール形状の領域である。
図1においては、一例として、透光部10が長方形のホール形状である場合を示しているが、例えば、円形や四角形以外の多角形のホール形状であってもよい。透光部10は、PDLを形成する際、PDLの開口部200に相当する領域であり、その大きさは特に限定されず、製造する表示装置の設計に応じて決定すればよい。なお、本明細書において、転写用マスク1を露光する露光光(以下、単に露光光ともいう)に対する透過率とは、透光部10(つまり、透光性基板100)を基準(100%)としたものである。
【0028】
第1透過部20は、
図1に示すように、透光部10の外周に沿って、環状に設けられた領域である。第1透過部20は、露光光を一部透過するように構成されている。第1透過部20は、PDLを形成する際、PDLの開口部200の周囲に位置する傾斜部201の傾斜角θを小さくするために必要な領域である。なお、第1透過部20は、透光部10の外周のすべてを囲むことが好ましいが、発明の効果が得られる範囲であれば、第1透過部20は、環状の領域の一部が欠けた形状(欠けた部分は第2透過部30の一部になる。)であってもよい。また、第1透過部20は、透光部10の外周の80%以上を囲んでいれば、一部が欠けていても環状に設けられているというものとする。第1透過部20は、透光部10の外周の90%以上を囲むことが好ましく、100%(全周)を囲むとより好ましい。
【0029】
第2透過部30は、
図1に示すように、第1透過部20の外周に接するように設けられた領域である。第2透過部30は、PDLを形成する際、PDLの平坦部203に相当する領域である。また、第2透過部30は、
図1に示すように、透光部10、第1透過部20、第2透過部30、遮光部40の中で、最も大きな面積を有する領域である。
【0030】
遮光部40は、
図1に示すように、第2透過部30に隣接するように設けられた領域である。遮光部40は、実質的に露光光が透過しない(遮光される。例えば、露光光に対する光学濃度ODが2.0より大きい。好ましくはODが2.5以上、より好ましくはODが3.0以上。)ように構成されており、PDLを形成する際、PDLの柱部202に相当する領域である。
【0031】
転写用マスク1において、第1透過部20の透過率T1は、第2透過部30の透過率T2よりも高くなっている。これにより、PDLを形成する際、開口部200の周囲に位置する傾斜部201の傾斜角θを小さくすることができる。
【0032】
転写用マスク1は、透光部10、第1透過部20、および第2透過部30のそれぞれを透過する露光光間の位相差によって、露光光の光量が減衰する現象が抑制されていることが好ましい。具体的には、第1透過部20を透過した露光光と、透光部10を透過した露光光との位相差の絶対値は、90度以下であり、かつ、第2透過部30を透過した露光光と、透光部10を透過した露光光との位相差の絶対値は、90度以下であり、かつ、第1透過部20を透過した露光光と、第2透過部30を透過した露光光との位相差の絶対値は、90度以下であることが好ましい。転写用マスク1の透光部10、第1透過部20、および第2透過部30のそれぞれを透過する露光光間の位相差が上記の各範囲を超える場合、PDLの傾斜部201の傾斜角θが大きくなってしまう可能性がある。これに対し、転写用マスク1の透光部10、第1透過部20、および第2透過部30のそれぞれを透過する露光光間の位相差が上記の各範囲内とすることで、傾斜部201の傾斜角θを小さくすることが可能となる。第1透過部20を透過した露光光と、透光部10を透過した露光光との位相差の絶対値は、80度以下であるとより好ましく、60度以下であるとさらに好ましい。第2透過部30を透過した露光光と、透光部10を透過した露光光との位相差の絶対値は、80度以下であるとより好ましく、60度以下であるとさらに好ましい。第1透過部20を透過した露光光と、第2透過部30を透過した露光光との位相差の絶対値は、80度以下であるとより好ましく、60度以下であるとさらに好ましい。
【0033】
第1透過部20の幅D(つまり、透光部10と第1透過部20との境界と、第1透過部20と第2透過部30との境界との間の距離)は、例えば、1.5μm以上であることが好ましい。幅Dが1.5μm未満では、傾斜部201の傾斜角θを十分に小さくできない可能性がある。これに対し、幅Dを1.5μm以上とすることで、傾斜部201の傾斜角θを十分に小さくすることができる。幅Dは、1.5μmよりも大きいことがより好ましく、1.7μm以上であるとさらに好ましい。一方、幅Dは、10μm以下であることが好ましい。幅Dが10μmを超えると、第1透過部20と遮光部40とが接触、または近接しすぎる可能性がある。これに対し、幅Dを10μm以下とすることで、第1透過部20と遮光部40との間隔を十分に確保することができる。幅Dは、7μm以下であることがより好ましく、5μm以下であるとさらに好ましい。幅Dが5μmを超えると、傾斜部201の傾斜角θを小さくする効果が飽和する可能性がある。
【0034】
第1透過部20の幅Dは、略一定の値(例えば、平均値±5%の範囲内)であることが好ましい。例えば、透光部10の中心からの方向によって、幅Dが異なる値となっている場合、PDLを形成する際、傾斜部201の傾斜角θが該方向によって異なってしまう可能性がある。これに対し、幅Dを略一定の値とすることで、PDLを形成する際、傾斜部201の傾斜角θを略一定の値にすることができる。これにより、表示装置を製造する際の歩留まりをより向上させることができる。
【0035】
第1透過部20の透過率T1と第2透過部30の透過率T2との差ΔT(=T1-T2)は、例えば、10%以上であることが好ましい。透過率差ΔTが10%未満では、傾斜部201の傾斜角θを十分に小さくできない可能性がある。これに対し、透過率差ΔTを10%以上とすることで、傾斜部201の傾斜角θを十分に小さくすることができる。一方、透過率差ΔTは30%以下とすることが好ましく、25%以下であるとより好ましい。透過率差ΔTが25%を超えると、傾斜部201の傾斜角θを小さくする効果が得られにくくなる可能性がある。これに対し、透過率差ΔTを25%以下とすることで、傾斜部201の傾斜角θを十分に小さくすることができる。
【0036】
第1透過部20の幅D[μm]と、透過率T1[%]と透過率T2[%]との差ΔT[%]は、例えば、D≧-3.14×ΔT/100+2.32の関係を満たすことが好ましい。これにより、傾斜部201の傾斜角θをより小さく(例えば、30度以下に)することができる。上記関係式については、後述の実施例において詳細を説明する。
【0037】
第1透過部20の透過率T1は、20%以上であることが好ましく、30%以上であるとより好ましく、30%よりも大きいとさらに好ましい。一方、透過率T1は、60%以下であることが好ましく、50%以下であるとより好ましい。
第2透過部30の透過率T2は、10%以上であると好ましく、15%以上であるとより好ましく、20%以上であるとさらに好ましい。一方、透過率T2は、40%以下であると好ましく、30%以下であるとより好ましい。
【0038】
露光光とは、表示装置製造用の露光装置が備える光源が照射する光である。本実施形態の露光光は、例えば、313nm以上436nm以下の波長の光を含む。露光光としては、単一波長光(例えば、波長が365nmのi線)を用いてもよいし、複数の波長を含むブロード波長光を用いても良い。なお、本明細書における、透過率や位相差は、露光光が単一波長からなる場合はその波長に対するものとし、ブロード波長光を用いる場合は、313nm以上436nm以下の波長域に含まれるいずれかの波長(代表波長)に対するものとする。
【0039】
図2に示すように、第1透過部20は、例えば、透光性基板100上に形成された第1半透過膜101からなり、第2透過部30は、例えば、透光性基板100上に第1半透過膜101と第2半透過膜102とが積層されてなることが好ましい。特に、第2透過部30は、透光性基板100上に第2半透過膜102が形成され、第2半透過膜102上に第1半透過膜101が形成されてなることがより好ましい。この構成により、第1透過部20の透過率T1は、第1半透過膜101が有する透過率HT1と等しくなる。一方、第2透過部30の透過率T2は、第1半透過膜101と第2半透過膜102の積層構造での透過率となる。第2半透過膜102の透過率HT2は、第2透過部30の透過率T2と第1半透過膜101の透過率HT1から、光学設計する必要がある。
【0040】
第1半透過膜101の膜厚d1は、5nm以上であることが好ましく、10nm以上であるとより好ましい。また、膜厚d1は、80nm以下であることが好ましく、60nm以下であるとより好ましい。
第2半透過膜102の膜厚d2は、3nm以上であることが好ましく、5nm以上であるとより好ましい。また、膜厚d2は、50nm以下であることが好ましく、40nm以下であるとより好ましい。
【0041】
第1半透過膜101および第2半透過膜102は、クロム(Cr)、又は、クロム(Cr)と、酸素(O)、窒素(N)、炭素(C)のうちの少なくともいずれか1つを含有する材料(クロム系材料)で形成してもよい。このクロム系材料としては、例えば、Cr、CrO、CrN、CrF、CrCO、CrCN、CrON、CrCON、CrCONFが挙げられる。一方、第1半透過膜101および第2半透過膜102は、金属およびケイ素からなる材料、または金属およびケイ素に、酸素(O)、窒素(N)、炭素(C)のうちの少なくともいずれか1つを含有する材料(金属シリサイド系材料)で形成してもよい。金属シリサイドの金属としては、モリブデン(Mo)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)などの遷移金属が好適である。金属シリサイド系材料における金属とケイ素の合計含有量[原子%]に対する金属の含有量[原子%]の比率(以下、「M/[M+Si]比率」という。)は、0.5以下であることが好ましく、1/3以下であるとより好ましく、0.3以下であるとさらに好ましい。一方、M/[M+Si]比率は、0.05以上であると好ましく、0.1以上であるとより好ましい。
【0042】
第1半透過膜101と第2半透過膜102とは、互いにエッチング選択性を有する材料からなることが好ましい。この構成により、
図2に示すような転写用マスク1の製造を容易に行うことができる。例えば、クロム系材料の薄膜と金属シリサイド系の薄膜は、互いにエッチング選択性を有する。第1半透過膜101と第2半透過膜102のうち、いずれか一方をクロム系材料で形成し、他方を金属シリサイド系材料で形成することで上記の効果を得ることができる。
【0043】
図2に示すように、遮光部40は、例えば、透光性基板100上に、遮光性を有する遮光膜103、第1半透過膜101、および、第2半透過膜102が積層されてなることが好ましい。特に、遮光部40は、透光性基板100上に遮光膜103が形成され、遮光膜103上に第2半透過膜102が形成され、第2半透過膜102上に第1半透過膜101が形成されてなることが好ましい。この構成により、
図2に示すような転写用マスク1の製造を容易に行うことができる。遮光部40は、クロム系材料や金属シリサイド系材料で形成してもよい。
【0044】
第2半透過膜102と遮光膜103とは、互いにエッチング選択性を有する材料からなることが好ましい。この構成により、
図2に示すような転写用マスク1の製造を容易に行うことができる。例えば、第2半透過膜102と遮光膜103のうち、いずれか一方をクロム系材料で形成し、他方を金属シリサイド系材料で形成することで上記の効果を得ることができる。
【0045】
透光性基板100は、露光光に対して透明である。透光性基板100は、表面反射ロスが無いとしたときに、露光光に対して85%以上の透過率、好ましくは90%以上の透過率を有するものである。透光性基板100は、ケイ素と酸素を含有する材料からなり、合成石英ガラス、石英ガラス、アルミノシリケートガラス、ソーダライムガラス、低熱膨張ガラス(SiO2-TiO2ガラス等)などのガラス材料で構成することができる。表示装置用途で使用される転写用マスクの透光性基板100は、一般に矩形状の基板であって、該透光性基板の短辺の長さは300mm以上であるものが使用される。
【0046】
(2)転写用マスク1の製造方法
次に、本実施形態の転写用マスク1の製造方法について、
図3(a)~
図3(e)を用いながら説明する。本実施形態の転写用マスク1は、例えば、以下に説明する方法によって製造することができる。
【0047】
まず、透光性基板100上に遮光膜103を成膜する。成膜方法は、公知の手段(例えば、スパッタリング法による成膜。)を適用できる。
【0048】
透光性基板100上に遮光膜103を成膜したら、
図3(a)に示すように、遮光部40の形状に合わせて、遮光膜103をパターニングする。パターニングは、公知の手段(例えば、遮光部40のパターンを有するレジスト膜を遮光膜103上に設け、レジスト膜をマスクとするウェットエッチングやドライエッチングを行って、遮光膜103に遮光部40のパターンを形成する。)を適用できる。
【0049】
遮光膜103をパターニングしたら、
図3(b)に示すように、透光性基板100および遮光膜103上に、第2半透過膜102を成膜する。成膜方法は、公知の手段(例えば、スパッタリング法による成膜。)を適用できる。
【0050】
第2半透過膜102を成膜したら、
図3(c)に示すように、第1透過部20および透光部10の形状に合わせて、第2半透過膜102をパターニングする。パターニングは、公知の手段(例えば、第1透過部20および透光部10のパターンを有するレジスト膜を第2半透過膜102上に設け、そのレジスト膜をマスクとするウェットエッチングやドライエッチングを行って、第2半透過膜102に第1透過部20および透光部10のパターンを形成する。)を適用できる。
【0051】
第2半透過膜102をパターニングしたら、
図3(d)に示すように、透光性基板100および第2半透過膜102上に、第1半透過膜101を成膜する。成膜方法は、公知の手段(例えば、スパッタリング法による成膜。)を適用できる。
【0052】
第1半透過膜101を成膜したら、
図3(e)に示すように、透光部10の形状に合わせて、第1半透過膜101をパターニングする。パターニングは、公知の手段(例えば、透光部10のパターンを有するレジスト膜を第1半透過膜101上に設け、そのレジスト膜をマスクとするウェットエッチングやドライエッチングを行って、第1半透過膜101に透光部10のパターンを形成する。)を適用できる。
【0053】
以上の方法により、本実施形態の転写用マスク1を製造することができる。なお、転写用マスク1の効果を損なわない範囲で、上述の説明以外の付加的な膜を形成しても構わない。
【0054】
(3)表示装置の製造方法
本発明は、有機EL等の表示装置の製造方法としても適用可能である。本実施形態の表示装置の製造方法は、例えば、本実施形態の転写用マスク1を準備する工程と、基板上に、露光光に対して感光する感光性樹脂膜(例えば、感光性ポリイミドからなる薄膜)を形成する工程と、露光装置を用いて転写用マスク1を透過させた露光光を、感光性樹脂膜に照射し、転写用パターンを露光転写する工程と、露光転写された感光性樹脂膜に対して、現像処理を行う工程と、を有する、表示装置の製造方法である。
【0055】
本実施形態の表示装置の製造方法において、転写用パターンを露光転写する工程では、現像処理後の感光性樹脂膜の開口部200の周囲に、断面の傾斜角θが30度以下(より好ましくは20度以下)である傾斜部201が形成されるように、転写用パターンを露光転写することが好ましい。上述したように、転写用マスク1は、傾斜部201の傾斜角θを小さくするための構成を有しているため、露光装置や露光条件を適切に選択することで、傾斜角θを30度以下(または20度以下)とすることが可能である。これにより、表示装置を製造する際の歩留まりをさらに向上させることができる。
【0056】
(4)第1実施形態の変形例
上述の実施形態は、必要に応じて、以下に示す変形例のように変更することができる。以下、上述の実施形態と異なる要素についてのみ説明し、上述の実施形態で説明した要素と実質的に同一の要素には、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0057】
(4-1)第1実施形態の変形例1
図4は、本変形例の転写用マスク1の断面模式図である。本変形例の転写用マスク1も、上述の第1実施形態と同様に、透光性基板100上に転写用パターンを備えており、透光部10と、第1透過部20と、第2透過部30と、遮光部40と、を有している。したがって、本変形の転写用マスク1も、PDLを形成する際、開口部200の周囲に位置する傾斜部201の傾斜角θを小さくすることができる。
【0058】
図4に示すように、本変形の遮光部40は、例えば、透光性基板100上に、遮光性を有する遮光膜103、エッチングストッパ膜104、第1半透過膜101、および、第2半透過膜102が積層された構成を有している。具体的には、遮光部40は、透光性基板100上に第2半透過膜102が形成され、第2半透過膜102上にエッチングストッパ膜104が形成され、エッチングストッパ膜104上に遮光膜103が形成され、遮光膜103上に第1半透過膜101が形成された構成を有している。エッチングストッパ膜104は、第2半透過膜102および遮光膜103との間で十分なエッチング選択性がある材料が用いられている。この構成により、透光性基板100上に、第2半透過膜102、エッチングストッパ膜104、および遮光膜103があらかじめ成膜された構造体(マスクブランク)を先行して準備することができる。これにより、透光性基板100上への薄膜の成膜と、その薄膜に対するパターニングのやり取りの回数を削減でき、このやり取りに起因する欠陥の発生を低減することができる。
【0059】
本変形の転写用マスク1は、例えば、以下の方法により製造することができる。まず、透光性基板100上に、第2半透過膜102、エッチングストッパ膜104、遮光膜103の順に成膜する。成膜後、遮光部40の形状に合わせて、遮光膜103およびエッチングストッパ膜104をパターニングする(例えば、遮光部40のパターンを有するレジスト膜を遮光膜103上に設け、そのレジスト膜をマスクとし、異なるエッチャントを用いたウェットエッチングやドライエッチングを行って、遮光膜103とエッチングストッパ膜104に遮光部40のパターンを形成する。)。さらに、第1透過部20および透光部10の形状に合わせて、第2半透過膜102をパターニングする(例えば、第1透過部20および透光部10のパターンを有するレジスト膜を第2半透過膜102上に設け、そのレジスト膜をマスクとするウェットエッチングやドライエッチングを行って、第2半透過膜102に第1透過部20および透光部10のパターンを形成する。)。その後、透光性基板100、第2半透過膜102、および、遮光膜103上に、第1半透過膜101を成膜し、透光部10の形状に合わせて、第1半透過膜101をパターニングする(例えば、透光部10のパターンを有するレジスト膜を第1半透過膜101上に設け、そのレジスト膜をマスクとするウェットエッチングやドライエッチングを行って、第1半透過膜101に透光部10のパターンを形成する。)。
【0060】
(4-2)第1実施形態の変形例2
図5は、本変形例の転写用マスク1の断面模式図である。本変形例の転写用マスク1も、上述の第1実施形態と同様に、透光性基板100上に転写用パターンを備えており、透光部10と、第1透過部20と、第2透過部30と、遮光部40と、を有している。したがって、本変形の転写用マスク1も、PDLを形成する際、開口部200の周囲に位置する傾斜部201の傾斜角θを小さくすることができる。
【0061】
図5に示すように、本変形の第2透過部30は、例えば、透光性基板100上に第1半透過膜101とエッチングストッパ膜104とが積層された構成を有している。つまり、エッチングストッパ膜104が、第2半透過膜102としての役割を果たしている。したがって、エッチングストッパ膜104は、第1半透過膜101および遮光膜103とエッチング選択性を有する材料からなる。本変形においては、エッチングストッパ膜104を、第2半透過膜102と言い換えてもよい。なお、具体的には、第2透過部30は、透光性基板100上に第1半透過膜101が形成され、第1半透過膜101上にエッチングストッパ膜104が形成された構成を有している。また、
図5に示すように、本変形の遮光部40は、例えば、透光性基板100上に、遮光性を有する遮光膜103、エッチングストッパ膜104、および、第1半透過膜101が積層された構成を有している。具体的には、遮光部40は、透光性基板100上に第1半透過膜101が形成され、第1半透過膜101上にエッチングストッパ膜104が形成され、エッチングストッパ膜104上に遮光膜103が形成された構成を有している。これらの構成により、透光性基板100上に、第2半透過膜102、エッチングストッパ膜104(第2半透過膜102に対応)、および遮光膜103があらかじめ成膜された構造体(マスクブランク)を先行して準備することができる。これにより、透光性基板100上への薄膜の成膜と、その薄膜に対するパターニングのやり取りを基本的になくすことができ、このやり取りに起因する欠陥の発生を低減することができる。
【0062】
本変形の転写用マスク1は、例えば、以下の方法により製造することができる。まず、透光性基板100上に、第1半透過膜101、エッチングストッパ膜104、遮光膜103の順に成膜してマスクブランクを準備する。成膜後、まず、遮光部40の形状に合わせて、遮光膜103をパターニングする(例えば、遮光部40のパターンを有するレジスト膜を遮光膜103上に設け、そのレジスト膜をマスクとし、ウェットエッチングやドライエッチングを行って、遮光膜103に遮光部40のパターンを形成する。)。次に、第1透過部20および透光部10の形状に合わせて、エッチングストッパ膜104をパターニングする(例えば、第1透過部20および透光部10のパターンを有するレジスト膜をエッチングストッパ膜104上に設け、そのレジスト膜をマスクとするウェットエッチングやドライエッチングを行って、エッチングストッパ膜104に第1透過部20および透光部10のパターンを形成する。)。さらに、透光部10の形状に合わせて、第1半透過膜101をパターニングする(例えば、透光部10のパターンを有するレジスト膜を第1半透過膜101上に設け、そのレジスト膜をマスクとするウェットエッチングやドライエッチングを行って、第1半透過膜101に透光部10のパターンを形成する。)。
【実施例】
【0063】
次に、本発明に係る実施例を説明する。これらの実施例は本発明の一例であって、本発明はこれらの実施例により限定されない。
【0064】
(1)実施例1
以下の条件により、転写用マスク1を用いて、基板上の感光性ポリイミド膜に対する露光転写でPDLを形成した際の傾斜部201の傾斜角θを、シミュレーションにより算出した。その結果を
図6に示す。
第1透過部20の透過率T1:30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%
第2透過部30の透過率T2:30%
透過率T1と透過率T2との差ΔT:0%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%
第1透過部20の幅D:0~5.0μm
露光装置の開口数(NA):0.11
露光光:i線
【0065】
図6に示すように、実質的に第1透過部20を設けていない状態(差ΔTが0%)の傾斜角θと比べて、第1透過部20を設けた状態(差ΔTが5%、10%、15%、20%)では、傾斜角θが小さくなることを確認した。特に、差ΔTが10%以上で、幅Dが1.5μm以上の時に、実質的に第1透過部20を設けていない状態と比べて、傾斜角θを5度以上小さくできることを確認した。
【0066】
(2)実施例2
また、以下の条件により、転写用マスク1を用いてPDLを形成した際の傾斜部201の傾斜角θを、シミュレーションにより算出した。その結果を
図7に示す。
第1透過部20の透過率T1:30%、35%、40%、45%、50%
第2透過部30の透過率T2:30%
透過率T1と透過率T2との差ΔT:0%、5%、10%、15%、20%
第1透過部20の幅D:0~5.0μm
露光装置の開口数(NA):0.1
露光光:g線-h線-i線を含む複合光
【0067】
図7に示すように、実質的に第1透過部20を設けていない状態(差ΔTが0%)の傾斜角θと比べて、第1透過部20を設けた状態(差ΔTが5%、10%、15%、20%)では、傾斜角θが小さくなることを確認した。特に、差ΔTが10%以上で、幅Dが1.5μm以上の時に、実質的に第1透過部20を設けていない状態と比べて、傾斜角θを5度以上小さくできることを確認した。
【0068】
(3)まとめ
実施例1および実施例2の結果から、特に、傾斜角θを30度以下とすることができた条件、傾斜角θを25度以下とすることができた条件、および、傾斜角θを20度以下とすることができた条件をピックアップして、
図8にまとめた。
図8に示す破線は、ピックアップした条件のうち、差ΔTが10%、15%、20%のそれぞれにおいて、最も幅Dが小さい条件の3点を直線で近似したものである。
【0069】
図8に示すように、差ΔTが10%、15%、20%のそれぞれにおいて、最も幅Dが小さい条件の3点を直線で近似した結果、その式は、D=-3.14×ΔT/100+2.32であった。したがって、第1透過部20の幅Dと、透過率T1と透過率T2との差ΔTを、D≧-3.14×ΔT/100+2.32の関係を満たすようにすることで、傾斜部201の傾斜角θをより小さく(例えば、30度以下に)することができることを確認した。
【0070】
<本発明の他の実施形態>
以上、本発明の実施形態について具体的に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【0071】
例えば、上述の実施形態では、第2透過部30に隣接するように設けられた遮光部40を有する転写用マスク1について説明したが、転写用マスク1は、必ずしも遮光部40を有していなくてもよい。この場合、例えば、柱部202を形成するための転写用マスクを別途準備し、複数の転写用マスクを用いて、PDLの開口部200と柱部202とを形成してもよい。
【符号の説明】
【0072】
1 転写用マスク
10 透光部
20 第1透過部
30 第2透過部
40 遮光部
100 透光性基板
101 第1半透過膜
102 第2半透過膜
103 遮光膜
104 エッチングストッパ膜
200 開口部
201 傾斜部
202 柱部
203 平坦部