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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2026-03-16
(45)【発行日】2026-03-25
(54)【発明の名称】造形方法及び造形装置
(51)【国際特許分類】
   B29C 64/194 20170101AFI20260317BHJP
   B29C 64/112 20170101ALI20260317BHJP
   B29C 64/236 20170101ALI20260317BHJP
   B29C 64/218 20170101ALI20260317BHJP
   B29C 64/241 20170101ALI20260317BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20260317BHJP
   B33Y 30/00 20150101ALI20260317BHJP
   B29C 64/135 20170101ALI20260317BHJP
   B33Y 50/02 20150101ALI20260317BHJP
【FI】
B29C64/194
B29C64/112
B29C64/236
B29C64/218
B29C64/241
B33Y10/00
B33Y30/00
B29C64/135
B33Y50/02
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2024504270
(86)(22)【出願日】2022-03-03
(86)【国際出願番号】 JP2022009156
(87)【国際公開番号】W WO2023166668
(87)【国際公開日】2023-09-07
【審査請求日】2025-01-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】110000992
【氏名又は名称】弁理士法人ネクスト
(74)【代理人】
【識別番号】100162237
【弁理士】
【氏名又は名称】深津 泰隆
(74)【代理人】
【識別番号】100191433
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 友希
(72)【発明者】
【氏名】橋本 良崇
(72)【発明者】
【氏名】富永 亮二郎
【審査官】小原 博樹
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/058515(WO,A1)
【文献】国際公開第2021/106699(WO,A1)
【文献】特開2017-132059(JP,A)
【文献】特開2021-079605(JP,A)
【文献】特開2018-103488(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0333911(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 64/194
B29C 64/112
B29C 64/236
B29C 64/218
B29C 64/241
B33Y 10/00
B33Y 30/00
B29C 64/135
B33Y 50/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1硬化性粘性流体をステージの上方から吐出する第1吐出工程と、
ローラの回転方向とは逆方向へ前記ステージを移動させて、前記第1吐出工程により吐出した前記第1硬化性粘性流体を前記ローラにより平坦化する第1平坦化工程と、
前記第1平坦化工程により平坦化した前記第1硬化性粘性流体を硬化する第1硬化工程と、
前記第1吐出工程、前記第1平坦化工程、前記第1硬化工程を繰り返し実行し、前記ステージの上に平坦化層を形成する平坦化層形成工程と、
前記平坦化層の上に第2硬化性粘性流体を吐出する第2吐出工程と、
前記第2吐出工程により吐出した前記第2硬化性粘性流体を半硬化させる半硬化工程と、
前記第2吐出工程、前記半硬化工程を繰り返し実行し、前記平坦化層の上に半硬化層を形成する半硬化層形成工程と、
前記ローラの回転方向と同じ方向へ前記ステージを移動させて、前記半硬化層を前記ローラにより平坦化する第2平坦化工程と、
を含む、造形方法。
【請求項2】
前記第1平坦化工程において、
前記ステージの移動速度に比べて前記ローラの回転速度を大きくする、請求項1に記載の造形方法。
【請求項3】
前記第2平坦化工程において、
前記ステージの移動速度と、前記ローラの回転速度を同一にする、請求項1又は請求項2に記載の造形方法。
【請求項4】
前記第2平坦化工程において、
前記ステージの移動方向における前記ローラの位置を固定し、且つ、前記ローラが前記半硬化層と接触する位置を、設計データにおける前記半硬化層の上面の位置に合わせて前記ローラによる平坦化を実行する、請求項1から請求項3の何れか1項に記載の造形方法。
【請求項5】
前記第2平坦化工程により平坦化した前記半硬化層を硬化し、表面に平滑面を有する平滑層を形成する第2硬化工程と、
前記平滑面の上に金属粒子を含む流体を吐出する金属流体吐出工程と、
前記金属流体吐出工程により吐出した前記金属粒子を含む流体を硬化し、前記平滑面の上に金属製の導体を形成する導体形成工程と、
を含む、請求項1から請求項4の何れか1項に記載の造形方法。
【請求項6】
吐出装置と、
ローラと、
硬化装置と、
制御装置と、
を備え、
前記制御装置は、
第1硬化性粘性流体を前記吐出装置によりステージの上方から吐出させる第1吐出部と、
前記ローラの回転方向とは逆方向へ前記ステージを移動させて、前記第1吐出部により吐出した前記第1硬化性粘性流体を前記ローラにより平坦化する第1平坦化部と、
前記第1平坦化部により平坦化した前記第1硬化性粘性流体を前記硬化装置により硬化する第1硬化部と、
前記第1吐出部、前記第1平坦化部、前記第1硬化部による処理を繰り返し実行し、前記ステージの上に平坦化層を形成する平坦化層形成部と、
前記平坦化層の表面上に第2硬化性粘性流体を前記吐出装置により吐出する第2吐出部と、
前記第2吐出部により吐出した前記第2硬化性粘性流体を前記硬化装置により半硬化させる半硬化部と、
前記第2吐出部、前記半硬化部による処理を繰り返し実行し、前記平坦化層の上に半硬化層を形成する半硬化層形成部と、
前記ローラの回転方向と同じ方向へ前記ステージを移動させて、前記半硬化層を前記ローラにより平坦化する第2平坦化部と、
を備える、造形装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、硬化性粘性流体を用いて造形を行う造形方法及び造形装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、紫外線硬化樹脂などの硬化性粘性流体によって造形物を造形する造形方法に係わる技術が開発されている。具体的には、この造形方法では、例えば、吐出装置によって硬化性粘性流体を吐出し、吐出した硬化性粘性流体に紫外線を照射することで硬化させ、硬化した硬化層で所望の造形物を造形する。下記特許文献1では、紫外線硬化樹脂を吐出した第1単位層に紫外線を照射することで半硬化させ、平坦化ローラユニットで第1単位層の平坦化処理を行なっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-114657号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した紫外線硬化樹脂の半硬化の工程では、紫外線硬化樹脂の表面張力によって局所的な増大部が形成される場合がある。例えば、造形物の端部や、数mm以下の幅の小さい造形物の中央部が、表面張力によって設計データ上の目標高さよりも高くなってしまう。その結果、さらに上層の形状や、完成品の造形物の形状が、局所的な増大部の影響を受ける虞があった。
【0005】
本開示は、そのような実情に鑑みてなされたものであり、半硬化層に形成される局所的な増大部をより平坦化できる造形方法及び造形装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本開示の造形方法は、第1硬化性粘性流体をステージの上方から吐出する第1吐出工程と、前記ローラの回転方向とは逆方向へ前記ステージを移動させて、前記第1吐出工程により吐出した前記第1硬化性粘性流体をローラにより平坦化する第1平坦化工程と、前記第1平坦化工程により平坦化した前記第1硬化性粘性流体を硬化する第1硬化工程と、前記第1吐出工程、前記第1平坦化工程、前記第1硬化工程を繰り返し実行し、前記ステージの上に平坦化層を形成する平坦化層形成工程と、前記平坦化層の上に第2硬化性粘性流体を吐出する第2吐出工程と、前記第2吐出工程により吐出した前記第2硬化性粘性流体を半硬化させる半硬化工程と、前記第2吐出工程、前記半硬化工程を繰り返し実行し、前記平坦化層の上に半硬化層を形成する半硬化層形成工程と、前記ローラの回転方向と同じ方向へ前記ステージを移動させて、前記半硬化層を前記ローラにより平坦化する第2平坦化工程と、を含む。
【0007】
また、本開示の内容は、造形方法としての実施に限らず、吐出装置と、ローラと、硬化装置と、制御装置と、を備える造形装置として実施しても極めて有効である。
【発明の効果】
【0008】
本開示の製造方法、製造装置において、第1平坦化工程は、第2平坦化工程に比べて平坦化の対象となる第1硬化性粘性流体の液滴が小さく、流体自体や流体と他の部材との間の分子間力が弱くなる。そこで、ステージを、ローラの回転方向とは逆方向へ移動させて平坦化することで、第1硬化性粘性流体をローラに転写しつつ、迅速に平坦化を実行でき、造形時間を短縮できる。一方、半硬化層形成工程において、第2吐出工程、半硬化工程を繰り返し実行することで、半硬化層の第2硬化性粘性流体は、流体膜が大きく、流体自体や流体と他の部材との間の分子間力が大きくなる。そこで、第2平坦化工程では、ローラの回転方向と同じ方向へステージを移動させて平坦化を実行する。これにより、ローラの表面に第2硬化性粘性流体が移動する時間を比較的長くすることで、第2硬化性粘性流体をローラに適切に転写できる。その結果、ローラの回転方向とは逆方向にステージを移動させて第2硬化性粘性流体を平坦化する場合に比べて、半硬化層の局所的な増大部をより平坦化できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施例の造形装置を示す図。
図2】制御装置を示すブロック図。
図3】造形処理の内容を示すフローチャート。
図4】インクジェットヘッドから紫外線硬化樹脂を吐出している状態を示す模式図。
図5】紫外線硬化樹脂を平坦化装置により平坦化している状態を示す模式図。
図6】平坦化した紫外線硬化樹脂を硬化部により硬化して第1平坦化層を形成している状態を示す模式図。
図7】表面を平坦化された第1平坦化層を示す模式図。
図8】表面を平滑化された半硬化層を示す模式図。
図9】増大部を説明するための模式図。
図10】第1平坦化処理の模式図。
図11】第2平坦化処理の模式図。
図12】金属インクを吐出する状態を示す模式図。
図13】金属配線を形成している状態を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(1.造形装置10の構成)
以下、本開示の造形方法、造形装置を具体化した一実施例について説明する。図1は、本実施例の造形装置10を示している。図1に示すように、造形装置10は、搬送装置20と、造形ユニット22と、装着ユニット23と、検査ユニット24と、制御装置26(図2参照)とを備えている。搬送装置20、造形ユニット22、装着ユニット23、検査ユニット24は、造形装置10のベース28の上に配置されている。ベース28は、概して長方形状をなしている。以下の説明では、ベース28の長手方向をX軸方向、ベース28の短手方向をY軸方向、X軸方向及びY軸方向の両方に直交する方向をZ軸方向と称して説明する。
【0011】
搬送装置20は、X軸スライド機構30と、Y軸スライド機構32を備えている。X軸スライド機構30は、X軸スライドレール34と、X軸スライダ36を有している。X軸スライドレール34は、X軸方向に延びるように、ベース28の上に配設されている。X軸スライダ36は、X軸スライドレール34によって、X軸方向にスライド可能に保持されている。さらに、X軸スライド機構30は、電磁モータ38(図2参照)を有しており、電磁モータ38の駆動により、X軸スライダ36をX軸方向の任意の位置に移動させる。
【0012】
また、Y軸スライド機構32は、Y軸スライドレール50と、ステージ52を有している。Y軸スライドレール50は、Y軸方向に延びるように、ベース28の上に配設されている。Y軸方向におけるY軸スライドレール50の一端部は、X軸スライダ36に連結されている。これにより、Y軸スライドレール50は、X軸スライダ36のスライド移動にともなって、X軸方向に移動可能とされている。ステージ52は、Y軸スライドレール50によってY軸方向にスライド可能に保持されている。さらに、Y軸スライド機構32は、電磁モータ56(図2参照)を有しており、電磁モータ56の駆動により、ステージ52をY軸方向の任意の位置に移動させる。これにより、ステージ52は、X軸スライド機構30及びY軸スライド機構32の駆動により、ベース28上において、X軸方向及びY軸方向の任意の位置に移動可能となっている。
【0013】
ステージ52は、基台60と、保持装置62と、昇降装置64を有している。基台60は、平板状に形成され、上面にベース部材70(図4参照)が載置される。ベース部材70は、例えば、鉄やステンレスなどの金属製の板である。保持装置62は、基台60のX軸方向の両側部に設けられている。ベース部材70は、基台60に載置され、X軸方向の両縁部を保持装置62によって挟まれることで、基台60に対して固定的に保持される。また、昇降装置64は、基台60の下方に配設されており、基台60をZ軸方向に昇降させる。
【0014】
造形ユニット22は、ステージ52の基台60に載置されたベース部材70の上に構造物を造形するユニットであり、印刷部72と、硬化部74を有している。印刷部72は、図4に示すように、インクジェットヘッド75を有しており、基台60に載置されたベース部材70の上に、流体を薄膜状に吐出する。インクジェットヘッド75が吐出する流体としては、紫外線によって硬化する紫外線硬化樹脂76(図4参照)を採用することができる。紫外線硬化樹脂76は、本開示の第1及び第2硬化性粘性流体の一例である。尚、硬化性粘性流体としては、紫外線硬化樹脂の他に、熱硬化性樹脂などの他の粘性流体を採用することができる。
【0015】
また、インクジェットヘッド75は、紫外線硬化樹脂76の他に、例えば、金属インク77(図12参照)を吐出可能となっている。金属インク77は、本開示の金属粒子を含む流体の一例である。金属インク77は、例えば、ナノメートルサイズの金属(銀など)の微粒子を溶剤中に分散させたものであり、熱により焼成されて硬化する。金属微粒子の表面は、例えば、分散剤によりコーティングされており、溶剤中での凝集が抑制されている。
【0016】
インクジェットヘッド75は、紫外線硬化樹脂76を吐出する場合、例えば、圧電素子を用いたピエゾ方式によって複数のノズルから紫外線硬化樹脂76を吐出する。尚、インクジェットヘッド75は、紫外線硬化樹脂76を加熱して気泡を発生させノズルから吐出するサーマル方式によって複数のノズルから紫外線硬化樹脂76を吐出しても良い。また、インクジェットヘッド75は、金属インク77を吐出する場合、例えば、圧電素子を用いたピエゾ方式によって複数のノズルから金属インク77を吐出する。尚、吐出装置としては、複数のノズルを備えるインクジェットヘッド75に限らず、例えば、1つのノズルを備えたディスペンサーでも良い。また、インクジェットヘッド75は、金属インク77を吐出するノズルと、紫外線硬化樹脂76を吐出するノズルとを別々に備えてもよく、2つの粘性流体を吐出するノズルを共用しても良い。以下の説明では、紫外線硬化樹脂76と金属インク77とを総称する場合、粘性流体と記載する場合がある。
【0017】
図2に示すように、硬化部74は、平坦化装置78と、照射装置81と、ヒータ82を有している。平坦化装置78は、インクジェットヘッド75によってベース部材70の上に吐出された紫外線硬化樹脂76や金属インク77の上面を平坦化する装置である。平坦化装置78は、ローラ79と、回収部80を有している(図5参照)。ローラ79は、例えば、円柱形状をなし、平坦化装置78の制御に基づいて、流動可能な状態の粘性流体(紫外線硬化樹脂76や金属インク77)に接触して回転し、余剰分の粘性流体を転写させながら平坦化する。回収部80は、例えば、ローラ79の表面に向かって突出するブレードを有しており、ローラ79に転写された粘性流体をブレードで掻き取り、ブレードで掻き取った粘性流体を貯めて排出する。回収部80は、例えば、回収した粘性流体を廃液タンクに排出する。平坦化装置78は、粘性流体の表面を均しながら余剰分の粘性流体を掻き取ることで、粘性流体の表面を平坦化する。尚、回収部80は、回収した粘性流体を、再度、供給タンクに戻しても良い。また、平坦化装置78による平坦化は、粘性流体の吐出ごとに実行しなくとも良い。例えば、特定の層の形成時のみ平坦化を実行しても良い。
【0018】
また、照射装置81は、例えば、ベース部材70の上に吐出された紫外線硬化樹脂76に紫外線を照射する。紫外線硬化樹脂76は、紫外線の照射により硬化し、薄膜状の絶縁層(図6の第1平坦化層86など)を形成する。また、ヒータ82は、吐出された金属インク77を加熱する装置である。金属インク77は、ヒータ82から熱を付与されることで焼成し、金属配線を形成する。金属インク77の焼成とは、例えば、エネルギーを付与することによって、溶媒の気化や金属微粒子の保護膜、つまり、分散剤の分解等が行われ、金属微粒子が接触又は融着をすることで、導電率が高くなる現象である。そして、金属インクを焼成することで、金属配線を形成することができる。造形方法の詳細については、後述する。尚、金属インク77を加熱する装置は、ヒータ82に限らない。例えば、造形装置10は、金属インク77を加熱する装置としてレーザ光を金属インク77に照射するレーザ照射装置や、金属インク77を吐出された第1平坦化層86を炉内に入れて加熱する雰囲気炉を備えても良い。
【0019】
また、図1に示す装着ユニット23は、例えば、造形ユニット22によって造形した金属配線に接続される各種の電子部品を装着するユニットであり、装着部83と、供給部84を備えている。装着部83は、例えば、電子部品を吸着する吸着ノズル(図示略)を有しており、吸着ノズルで保持した電子部品を金属配線に装着する。供給部84は、例えば、テーピング化された電子部品を1つずつ送り出すテープフィーダを複数有しており、装着部83へ電子部品を供給する。尚、供給部84は、テープフィーダを備える構成に限らず、トレイから電子部品をピックアップして供給するトレイ型の供給装置でもよい。
【0020】
装着ユニット23は、例えば、ステージ52の移動にともなって、装着部83の下方の位置にベース部材70が移動してくると、装着部83を供給部84の部品供給位置まで移動させるとともに、供給部84を駆動させて必要な部品を供給させる。そして、装着部83は、吸着ノズルによって供給部84の部品供給位置から電子部品を吸着保持し、ベース部材70上に造形された金属配線等の上に装着する。
【0021】
検査ユニット24は、造形ユニット22及び装着ユニット23によって製造した構造物を検査するユニットである。検査ユニット24は、例えば、カメラ等の撮像装置を備える。制御装置26は、検査ユニット24で撮像した画像データに基づいて、電子部品が正常に実装されているか否かを判断することができる。また、造形装置10は、造形物の形状(後述する平滑面93の凹凸など)を検査するレーザ顕微鏡などを備えても良い。
【0022】
図2に示すように、制御装置26は、コントローラ102と、複数の駆動回路104と、記憶装置106を備えている。複数の駆動回路104は、上記電磁モータ38,56、保持装置62、昇降装置64、インクジェットヘッド75、平坦化装置78、照射装置81、ヒータ82、装着部83、供給部84、検査ユニット24に接続されている。コントローラ102は、CPU,ROM,RAM等を備え、コンピュータを主体とするものであり、複数の駆動回路104に接続されている。記憶装置106は、RAM、ROM、ハードディスク等を備えており、造形装置10の制御を行う制御プログラム107が記憶されている。コントローラ102は、制御プログラム107をCPUで実行することで、搬送装置20、造形ユニット22等の動作を制御することが可能となっている。
【0023】
本実施例の造形装置10は、上述した構成によって、粘性流体として紫外線硬化樹脂76や金属インク77を硬化させることで、絶縁性を有する第1平坦化層86(図6参照)、平滑層151(図12参照)や、導電性を有する金属配線95(図13参照)を形成する。造形装置10は、第1平坦化層86、平滑層151、金属配線95の形状を変更することで、任意の形状の構造物を造形することが可能となっている。また、造形装置10は、造形する過程で装着ユニット23によって電子部品を実装しても良い。例えば、制御プログラム107には、構造物をスライスした各層の三次元のデータが設定されている。コントローラ102は、制御プログラム107のデータに基づいて、粘性流体を吐出、硬化等させて構造物を形成する。また、コントローラ102は、制御プログラム107のデータに基づいて電子部品を配置する層や位置等の情報を検出し、検出した情報に基づいて電子部品を実装する。
【0024】
(2.造形装置10の動作)
次に、造形装置10の動作の一例として、平滑層151の上に金属配線95を造形する造形処理について説明する。図3は、造形処理の内容を示すフローチャートである。制御装置26は、例えば、造形開始の指示を受け付けると、制御プログラム107の所定のプログラムを実行し、図3に示す造形処理を開始する。また、以下の説明では、コントローラ102が、制御プログラム107を実行して各装置を制御することを、単に「装置名」で記載する場合がある。例えば、「コントローラ102が基台60を移動させる」とは、「コントローラ102が、制御プログラム107を実行し、駆動回路104を介して搬送装置20の動作を制御して、搬送装置20の動作によって基台60を移動させる」ことを意味している。また、図4図8図12図13は、造形処理の各工程を模式的に示している。また、図4図8図12図13に示す方向(X軸方向など)は、一例である。
【0025】
まず、ステージ52の基台60にベース部材70がセットされる。ベース部材70のセットは、人が実施しても良く、造形装置10が自動で実行しても良い。コントローラ102は、搬送装置20を制御し、ベース部材70をセットされたステージ52を、造形ユニット22の下方に移動させる。図3のS11に示す第1吐出処理において、コントローラ102は、例えば、図4に示すように、ステージ52をX軸方向へ移動させ、印刷部72のインクジェットヘッド75を制御して紫外線硬化樹脂76をベース部材70の上に吐出する。インクジェットヘッド75は、ベース部材70の上に紫外線硬化樹脂76を薄膜状に吐出する。尚、コントローラ102は、S11におけるインクジェットヘッド75による吐出を、例えば、X軸方向に沿って1回の走査(1パス)だけ実行しても良く、複数回の走査を実行しても良い。
【0026】
次に、S13の第1平坦化処理において、コントローラ102は、薄膜状の紫外線硬化樹脂76の上面において平坦化装置78のローラ79を回転させ平坦化を実行する。コントローラ102は、図5の矢印で示すように、ローラ79の回転方向131とは逆方向となる移動方向133へベース部材70(ステージ52)を移動させて、第1吐出処理により吐出した紫外線硬化樹脂76をローラ79により平坦化する。例えば、コントローラ102は、ローラ79をY軸方向と平行な回転軸を中心に図5における反時計回りの回転方向131へ回転させる。また、コントローラ102は、X軸方向に沿った方向であり、且つ回転方向131と逆方向となる移動方向133(図5の奥へ向かう方向)へステージ52を移動させる。ここでいう回転方向131の逆方向とは、例えば、ステージ52の上面と並行で、ローラ79の接線方向であり、且つ、回転方向131と反対の方向である。本実施例では、ローラ79は、XYZ軸方向において位置を固定されている。コントローラ102は、ベース部材70の上に吐出された紫外線硬化樹脂76にローラ79が接触する位置まで昇降装置64によりステージ52を上昇させ平坦化を実行する。また、コントローラ102は、ステージ52の移動方向133への移動速度に比べてローラ79の回転方向131への回転速度を大きく(速く)する。
【0027】
ローラ79は、流動可能な状態の紫外線硬化樹脂76に接触し、紫外線硬化樹脂76をローラ79に転写して掻き上げて回収部80により回収しつつ、紫外線硬化樹脂76の表面を平坦化させる。尚、上記したベース部材70とローラ79の動作方向等は一例である。例えば、ローラ79をX軸方向に移動可能に構成し、コントローラ102が、移動方向133又は移動方向133とは逆方向にローラ79を移動させつつ、回転方向131に回転させて平坦化を実行しても良い。
【0028】
次に、S15の第1硬化処理において、コントローラ102は、平坦化した紫外線硬化樹脂76に対して、照射装置81により紫外線を照射する。図6に示すように、照射装置81は、薄膜状に広がった紫外線硬化樹脂76(図5参照)に対し紫外線を照射することで紫外線硬化樹脂76を硬化し、絶縁性を有する第1平坦化層86を形成する。これにより、平坦化された第1平坦化面86Aを表面に有する第1平坦化層86を形成する。
【0029】
次に、コントローラ102は、所定の厚みの第1平坦化層86を形成できたか否かを判断する(S17)。コントローラ102は、例えば、制御プログラム107の設定値や外部からの操作入力で指定された値の厚みとなるまでの間、S17において否定判断する(S17:NO)。コントローラ102は、例えば、インクジェットヘッド75から吐出する紫外線硬化樹脂76の液滴の大きさ、S11~S15を繰り返し実行した回数などに基づいて、形成済みの第1平坦化層86の厚みを判断できる。コントローラ102は、S11~S15の処理を繰り返し実行することで絶縁層を積層し、第1平坦化面86Aを表面に有し、且つ所定の厚みである第1平坦化層86を形成する。尚、コントローラ102は、S11を実行するごとにS13の第1平坦化処理を実行しなくとも良い。例えば、コントローラ102は、S11及びS15を複数回実行するごとに、S13の第1平坦化処理を実行しても良い。
【0030】
コントローラ102は、S17において所定の厚みの第1平坦化層86を形成できたと判断すると(S17:YES)、S19の第2吐出処理において、第1平坦化層86の第1平坦化面86Aを平滑化するために、第1平坦化面86Aに紫外線硬化樹脂76を吐出する。ここで、S11~S15を繰り返し実行することで、平坦化した第1平坦化面86Aを第1平坦化層86の表面に形成できる。図7は、表面を平坦化された第1平坦化層86を模式的に示している。図7に示すように、平坦化した第1平坦化層86の第1平坦化面86Aには、例えば、インクジェットヘッド75のノズルから吐出する紫外線硬化樹脂76の量の差や、紫外線硬化樹脂76の液滴の大きさなどに起因して微細な凹凸91が形成される。この凹凸91の高さは、例えば、±10μmとなる可能性があり、ローラ79の大きさに比べて極めて小さくなる。従って、第1平坦化層86の第1平坦化面86Aをローラ79で平坦化したとしても、微細な凹凸91まで平坦化することは困難となる。本開示では、この微細な凹凸91が形成された面を平坦化された面と定義する。また、この微細な凹凸91を減らす、又は表面の凹凸が±1μm以下となった(元々の凹凸91がなくなったと擬制できる)面を平滑化された平滑面と定義する。
【0031】
第1平坦化面86Aに凹凸91が形成されることで、この第1平坦化面86Aに金属配線を形成した場合、形成される金属配線の厚みにばらつきが発生する。あるいは、厚みの大きい部分で金属配線が完全に焼成されない(金属微粒子が接触又は融着しない)ことで、金属配線の導電率が低下する虞がある。結果として、金属配線の抵抗値が均一性となり、所望の高周波特性を得ることが困難となる。
【0032】
そこで、コントローラ102は、平坦化した第1平坦化層86の第1平坦化面86Aに、再度、紫外線硬化樹脂76を吐出して凹凸91を減らす、又はなくす平滑化を実行する。コントローラ102は、図3のS19の第2吐出処理において、インクジェットヘッド75により紫外線硬化樹脂76を第1平坦化面86Aに吐出する。以下の説明では、S11の第1吐出処理の紫外線硬化樹脂76と、S19の第2吐出処理の紫外線硬化樹脂76を区別する場合、S19の紫外線硬化樹脂76を、第2紫外線硬化樹脂76Aと称する。コントローラ102は、S19の第2紫外線硬化樹脂76Aの吐出量を、凹凸91の大きさに応じた量とする。例えば、コントローラ102は、形成される凹凸91の高さが高い(溝が深い)場合、インクジェットヘッド75の吐出量を増やす処理を実行する。尚、コントローラ102は、凹凸91の大きさに関係なく、一定の吐出量で第2紫外線硬化樹脂76Aを吐出しても良い。
【0033】
次に、コントローラ102は、S19で吐出した第2紫外線硬化樹脂76Aに対し半硬化処理を実行する(S23)。コントローラ102は、第2紫外線硬化樹脂76Aに対し、照射装置81から紫外線を照射して半硬化する(図6参照)。ここでいう半硬化状態とは、粘性が低下し、流動性が向上した状態であり、物性のレベルでは完全に安定はしていない状態である。半硬化状態とは、例えば、半硬化させた第2紫外線硬化樹脂76Aの層の上に新たな第2紫外線硬化樹脂76Aを吐出した場合、吐出した第2紫外線硬化樹脂76Aが層に混じり合わず、半硬化状態の層の上に乗る(積まれる)程度まで硬化した状態である。コントローラ102は、例えば、通常の硬化処理(S15の第1硬化処理など)に比べて第2紫外線硬化樹脂76Aに照射する紫外線の強度(光の強度)、紫外線を走査させる走査速度、走査回数、照射時間、照射回数などを減らすことで、第2紫外線硬化樹脂76Aを半硬化させる。
【0034】
コントローラ102は、上記したS17と同様に、所定の厚みの半硬化層が形成されるまでの間(S25:NO)、S19~S23の処理を繰り返し実行し、半硬化状態の第2紫外線硬化樹脂76Aを積層する。図8に示すように、第1平坦化層86の上には、半硬化した第2紫外線硬化樹脂76Aを積層した半硬化層92が形成される。半硬化した第2紫外線硬化樹脂76Aは、レベリング効果により第1平坦化面86Aの微細な凹凸91の上に広がって平滑化し、平滑面93を形成する。ここでいうレベリング効果とは、表面張力により液体の表面積がなるべく小さくなる現象である。液体の粘度にも左右されるが時間の経過にともなって、第2紫外線硬化樹脂76Aにより形成した薄膜が平坦な(より均一な)膜厚に変化する。第2紫外線硬化樹脂76Aは、第1平坦化面86Aに吐出されることで塗れ広がり、凹凸91を埋めるように広がる。
【0035】
コントローラ102は、所定の厚みの半硬化層92を形成すると(S25:YES)、第2平坦化処理を実行する(S27)。ここで、上記したS19~S25の半硬化層92の形成時、あるいはその後の硬化時に、第2紫外線硬化樹脂76Aの表面張力により局所的な増大部が形成される。詳述すると、図9は、増大部135を説明するための模式図である。図9に示すように、例えば、X軸方向の幅137が数mm以下となる幅の小さい造形物139を造形した場合、半硬化層92には、第2紫外線硬化樹脂76Aの表面張力によってZ軸方向の上方へ膨らんだ増大部135が形成される。また、例えば、X軸方向やY軸方向の幅を一定の幅(例えば、3mm)以上まで広げた造形物141を造形した場合、造形物141のX軸方向やY軸方向の端部には、上方へ膨らんだ増大部135が形成される。各造形物139,141には、所定の高さ143よりも突出した増大部135が形成される。この所定の高さ143は、例えば、制御プログラム107の三次元データなどで規定された目標となる高さであり、平滑面93を形成する高さである。
【0036】
また、半硬化層92の上にさらに造形を継続した場合、例えば、増大部135の上に吐出された紫外線硬化樹脂は、平滑面93等の平面に印刷された紫外線硬化樹脂に比べ、表面張力によって下地(増大部135)に付着する力が強くなる。このため、増大部135と平滑面93の上に同じ吐出量で紫外線硬化樹脂を吐出し、同じ条件の平坦化処理を実行すると、増大部135が造形物に残ってしまう。その結果、完成した造形物の厚みや造形精度が悪くなる。また、平坦化処理において増大部135とローラ79とが接触し、造形物の一部が破損する虞や、造形物の削り片が回収部80に回収される虞がある。
【0037】
そこで、コントローラ102は、S27の第2平坦化処理を実行し、増大部135を小さくする(増大を抑制する)。コントローラ102は、ステージ52を平坦化装置78の位置まで移動させ、図9に示すように、平滑面93、即ち、所定の高さ143の位置にローラ79の下端が配置されるように、ステージ52の高さを調整する。上記したように、本実施例では、ローラ79のX軸方向やY軸方向における位置が固定されている。そして、この位置を固定された状態で回転するローラ79が半硬化層92と接触する位置を、設計データにおける半硬化層92の上面(平滑面93)の位置に合わせてローラ79による平坦化を実行する。これにより、平滑面93から突出する増大部135に含まれる第2紫外線硬化樹脂76Aをローラ79に転写させ回収し、増大部135の大きさを小さくして平坦化することができる。尚、ローラ79の位置を固定せずに移動させながら第2平坦化処理を実行しても良い。また、ローラ79の位置を平滑面93よりも若干だけ上方や下方にしても良い。
【0038】
また、ローラ79の位置を半硬化層92の上面の位置に合わせる方法は、特に限定されない。制御プログラム107の三次元データに基づいて、平滑面93を造形する目標高さにローラ79の下端の位置を合わせても良い。また、試験的に造形物を造形して半硬化層92の上面の高さを測定し、ローラ79の位置を合わせても良い。あるいは、実際の造形工程でS27を実行する前に、センサ等で造形した半硬化層92の上面の高さを測定しローラ79の位置を調整しても良い。また、ステージ52の位置を固定し、ローラ79のZ軸方向の位置を調整し、ローラ79の位置を半硬化層92の上面の位置に合わせても良い。また、ステージ52とローラ79の両方をZ軸方向に移動させて調整しても良い。
【0039】
さらに、コントローラ102は、S13の第1平坦化処理とは異なり、図9に示すように、ローラ79の回転方向131と同じ方向である移動方向145へステージ52を移動させて、半硬化層92をローラ79により平坦化する。ここでいう回転方向131の同じ方向とは、例えば、ステージ52の上面と並行で、ローラ79の接線方向であり、且つ、回転方向131と同じ方向である。上記したようにローラ79の位置は固定されているため、ローラ79は、ステージ52の移動方向145、例えば、X軸方向における位置を固定された状態で回転する。ここで、図10は、第1平坦化処理の模式図である。S13の第1平坦化処理では、例えば、1回の第1吐出処理(S11)後に平坦化を実行している。このため、第1平坦化処理で対象となる紫外線硬化樹脂76は、第2平坦化処理のような半硬化状態の第2紫外線硬化樹脂76Aを何層も重ねた状態に比べて、1つ1つの液滴が小さい。紫外線硬化樹脂76は、液滴自身や、液滴と硬化膜(第1平坦化層86の既に硬化した部分)の間の分子間力が弱い(図10の矢印参照)。このような場合には、回転方向131と移動方向133を逆方向にし、図10に示す矢印147の方向にローラ79から紫外線硬化樹脂76へ力を掛け、余剰分の紫外線硬化樹脂76をローラ79に転写させ、素早く効率良く平坦化できる。その結果、造形時間の短縮を図ることができる。
【0040】
一方、図11は、第2平坦化処理の模式図である。S27の第2平坦化処理では、例えば、凹凸91を埋めるためS19~S23のサイクルを複数回実行し、半硬化状態の第2紫外線硬化樹脂76Aを積層する。このため、第1平坦化処理のように素早く転写さて回収しようとしても、第2紫外線硬化樹脂76Aの液滴で形成された液膜が大きく、液滴自身や、液滴と第1平坦化層86の間の分子間力が強い(図11の矢印参照)。従って、第1平坦化処理のように移動方向133と回転方向131を逆にして平坦化を実施すると、第2紫外線硬化樹脂76Aを十分に回収(転写)できない虞がある。そこで、ローラ79の回転方向131とステージ52の移動方向145を同一方向にすることで、ローラ79の表面に第2紫外線硬化樹脂76Aが移動する時間、即ち、転写させる時間を長くすることができ、余剰分の第2紫外線硬化樹脂76Aをより確実にローラ79に転写させ回収し平坦化できる。増大部135をより確実に小さくできる。
【0041】
さらに、コントローラ102は、上記したように、第1平坦化処理において、ステージ52の移動方向133への移動速度に比べてローラ79の回転方向131への回転速度を大きくする(速くする)。例えば、コントローラ102は、ローラ79の回転速度を、ステージ52の移動速度の数倍にする。これにより、第2平坦化処理に比べて分子間力が弱く液滴を転写させ易い第1平坦化処理ではローラ79を速く回転させ、他単位時間当たりのローラ79への転写量を増加させ、第1平坦化処理に必要な時間の短縮を図ることができる。結果として、造形時間を短縮できる。
【0042】
また、コントローラ102は、第2平坦化処理において、ステージ52の移動方向145への移動速度と、ローラ79の回転方向131への回転速度を同一にする。これにより、ローラ79とステージ52上の第2紫外線硬化樹脂76Aとの相対的な移動速度の差をなくし、あたかもローラ79が第2紫外線硬化樹脂76Aを上から抑えるような状態にできる。第1平坦化処理に比べて分子間力が強く液滴の転写が難しい第2平坦化処理ではローラ79と第2紫外線硬化樹脂76Aの相対的な移動をなくすことで、より確実に余剰分の第2紫外線硬化樹脂76Aをローラ79に転写できる。
【0043】
コントローラ102は、S27を実行すると、半硬化層92を硬化する第2硬化処理を実行する(S29)。コントローラ102は、ステージ52を照射装置81まで移動させ、第2平坦化処理を実行した半硬化層92に紫外線を照射する。第2紫外線硬化樹脂76Aは、紫外線を照射され、粘度が上昇することで、凹凸91を埋めるように硬化する。第1平坦化層86の上には、半硬化層92を硬化した平滑層151が形成される(図12参照)。平滑層151の上面に形成される平滑面93は、上記したレベリング効果により、凹凸91を減らした面、あるいはなくなった面となる。また、平滑面93は、第2平坦化処理により増大部135を小さく、あるいはなくなった面となる。
【0044】
次に、コントローラ102は、制御プログラム107の三次元データに基づいて、平滑面93の所定箇所に金属配線を形成する。詳述すると、S31の金属流体吐出処理において、コントローラ102は、インクジェットヘッド75を制御して、平滑層151の平滑面93に金属インク77を薄膜状に吐出する(図12参照)。S33の導体形成処理において、コントローラ102は、平滑面93に吐出した金属インク77を、ヒータ82によって加熱し焼成する(図13参照)。コントローラ102は、S35において、所望の厚みや形状の金属配線95を形成できたか否かを判断する。コントローラ102は、例えば、予め設定された回数までS35で否定判断し(S35:NO)、S31、S33を繰り返し実行することで所望の金属配線95を平滑面93に形成する。ここでいう所望の金属配線95とは、必要としている厚み、形状、位置や、電気的特性を満たす金属配線95である。コントローラ102は、予め設定された回数までS31、S33を繰り返し実行すると、S35で肯定判断し(S35:YES)、S37を実行する。これにより、金属配線95を平滑面93に形成された第1平坦化層86(配線基板)を造形することができる。
【0045】
ここで、凹凸91が形成された第1平坦化面86Aに、金属インク77を吐出及び硬化させて金属配線95を形成すると、金属配線95の厚みが、凹凸91によって不均一となる。そして、金属配線95の抵抗値の増大、断線、高周波特性の低下などの不具合が生じる虞がある。これに対し、本実施例の造形装置10では、第1平坦化面86Aの微細な凹凸91や増大部135までを低減し、低減した平滑面93に金属インク77を吐出等することで、より均一な厚みの金属配線95を形成することができる。その結果、金属配線95の抵抗値を所望の値まで低減し、断線の発生を抑制することができる。
【0046】
次に、コントローラ102は、S37において、その他の処理を実行する。例えば、コントローラ102は、インクジェットヘッド75から金属インク77を金属配線95の上に吐出し、装着ユニット23を制御して、吐出したインクと電子部品の端子が接触するように電子部品を配置しても良い。コントローラ102は、金属インク77をヒータ82で焼成することで、電子部品を金属配線95(回路)と接続する。あるいは、コントローラ102は、第1平坦化層86や金属配線95の造形がさらに必要な場合、S11からの処理を再度実行しても良い。また、コントローラ102は、検査ユニット24を制御して、完成した構造物(電子部品を装着された第1平坦化層86など)の検査を実行しても良い。コントローラ102は、S37を実行すると、図3に示す造形処理を終了する。これにより、所望の構造物を造形することができる。
【0047】
上記した実施例によれば、以下の効果を奏する。
造形装置10のコントローラ102は、紫外線硬化樹脂76をステージ52の上方から吐出する第1吐出処理(S11)と、ローラ79の回転方向131とは逆方向へステージ52を移動させて、S11で吐出した紫外線硬化樹脂76をローラ79により平坦化する第1平坦化処理(S13)と、S13で平坦化した紫外線硬化樹脂76を硬化する第1硬化処理(S15)を実行する。コントローラ102は、所定の厚みとなるまでの間(S17:NO)、S11、S13、S15を繰り返し実行し第1平坦化層86を形成する。また、コントローラ102は、第1平坦化層86の上に第2紫外線硬化樹脂76Aを吐出する第2吐出処理(S19)と、S19で吐出した第2紫外線硬化樹脂76Aを半硬化させる半硬化処理(S23)を実行する。コントローラ102は、所定の厚みとなるまでの間(S25:NO)、S19、S23を繰り返し実行し第1平坦化層86の上に半硬化層92を形成する。そして、コントローラ102は、ローラ79の回転方向131と同じ方向へステージ52を移動させて、半硬化層92をローラ79により平坦化する(S27)。
【0048】
これによれば、S13において、ローラ79の回転方向131とは逆方向へステージ52を移動させて平坦化することで、紫外線硬化樹脂76をローラ79に転写しつつ、迅速に平坦化を実行でき、造形時間を短縮できる。さらに、S23において、ローラ79の回転方向131と同じ方向へステージ52を移動させて平坦化を実行することで、ローラ79の表面に半硬化層92の第2紫外線硬化樹脂76Aが移動する時間を比較的長くすることができ適切な転写を実行できる。その結果、ローラ79の回転方向131とは逆方向にステージ52を移動させて第2紫外線硬化樹脂76Aを平坦化する場合に比べて、半硬化層92の局所的な増大部135をより平坦化できる。
【0049】
尚、制御装置26のコントローラ102は、図2に示すように、第1吐出部110と、第1平坦化部111と、第1硬化部112と、平坦化層形成部113と、第2吐出部115と、半硬化部116と、半硬化層形成部117と、第2平坦化部118を有している。第1吐出部110等は、例えば、コントローラ102のCPUにおいて制御プログラム107を実行することで実現される処理モジュールである。尚、第1吐出部110等を、ソフトウェアで構成せずに、ハードウェアで構成しても良い。
【0050】
第1吐出部110は、紫外線硬化樹脂76をステージ52の上方のインクジェットヘッド75から吐出させる機能部である。第1平坦化部111は、ローラ79の回転方向131とは逆方向へステージ52を移動させて、第1吐出部110により吐出した紫外線硬化樹脂76をローラ79により平坦化する機能部である。第1硬化部112は、第1平坦化部111により平坦化した紫外線硬化樹脂76を硬化部74により硬化させる機能部である。平坦化層形成部113は、S11、S13、S15を繰り返し実行し、ステージ52の上に第1平坦化層86を形成する機能部である。第2吐出部115は、第1平坦化層86の上に第2紫外線硬化樹脂76Aをインクジェットヘッド75から吐出させる機能部である。半硬化部116は、第2吐出部115により吐出した第2紫外線硬化樹脂76Aを硬化部74により半硬化させる機能部である。半硬化層形成部117は、S19、S23を繰り返し実行し、第1平坦化層86の上に半硬化層92を形成する機能部である。第2平坦化部118は、ローラ79の回転方向131と同じ方向へステージ52を移動させて、半硬化層92をローラ79により平坦化する機能部である。
【0051】
因みに、上記実施例において、硬化部74は、硬化装置の一例である。インクジェットヘッド75は、吐出装置の一例である。紫外線硬化樹脂76は、第1硬化性粘性流体の一例である。金属インク77は、金属粒子を含む流体の一例である。第2紫外線硬化樹脂76Aは、第2硬化性粘性流体の一例である。第1平坦化層86は、平坦化層の一例である。金属配線95は、導体の一例である。S11は、第1吐出工程、平坦化層形成工程の一例である。S13は、第1平坦化工程、平坦化層形成工程の一例である。S15は、第1硬化工程、平坦化層形成工程の一例である。S19は、第2吐出工程、半硬化層形成工程の一例である。S23は、半硬化工程、半硬化層形成工程の一例である。S27は、第2平坦化工程の一例である。S29は、第2硬化工程の一例である。S31は、金属流体吐出工程の一例である。S33は、導体形成工程の一例である。
【0052】
(3.その他)
尚、本開示は、上記実施例に限定されるものではなく、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した種々の態様で実施することが可能である。
例えば、図3に示す製造処理の各ステップの内容、順番等は一例である。例えば、図3の製造工程では、ステージ52のベース部材70の上に第1平坦化層86を造形し、第1平坦化層86の上に平滑層151を造形したが、これに限らない。例えば、ベース部材70の上に平滑層151を造形し、平滑層151の上に第1平坦化層86を造形し、さらに第1平坦化層86の上に平滑層151を造形しても良い。
また、コントローラ102は、金属配線95を形成しなくとも良い。
また、コントローラ102は、S13において、ローラ79の回転速度を、ステージ52の移動速度と同一、又は移動速度よりも小さくしても良い。
また、コントローラ102は、S27において、ステージ52の移動速度を、ローラ79の回転速度より大きく、又は小さくしても良い。
造形装置10は、ローラ79の位置が固定されていたが、固定しない構成でも良い。造形装置10は、各平坦化工程(処理)において、ローラ79をXYZの各軸方向に移動させて平坦化を実行しても良い。
また、コントローラ102は、電子部品の実装を実施しなくとも良い。
【0053】
本開示の第1硬化性粘性流体及び第2硬化性粘性流体は、紫外線硬化樹脂76に限らず、光、熱等により硬化する種々の硬化性粘性流体を採用することが可能である。従って、第1硬化性粘性流体及び第2硬化性粘性流体を硬化させる方法は、紫外線に限らない。
第1硬化性粘性流体と第2硬化性粘性流体は、異なる種類の硬化性粘性流体でも良い。
本開示の金属粒子を含む流体は、銀を含む金属インク77に限らず、他の金属を含む流体を採用することができる。
上記実施例では、本開示の造形装置として配線基板を製造する造形装置10を採用したが、これに限らない。本開示の製造装置としては、第1硬化性粘性流体及び第2硬化性粘性流体を用いて造形を行なう様々な製造装置を採用できる。
【符号の説明】
【0054】
10 造形装置、26 制御装置、52 ステージ、74 硬化部(硬化装置)、75 インクジェットヘッド(吐出装置)、76 紫外線硬化樹脂(第1硬化性粘性流体)、76A 第2紫外線硬化樹脂(第2硬化性粘性流体)、77 金属インク(金属粒子を含む流体)、79 ローラ、86 第1平坦化層(平坦化層)、92 半硬化層、93 平滑面、95 金属配線(導体)、110 第1吐出部、111 平坦化部、112 第1硬化部、113 平坦化層形成部、115 第2吐出部、116 半硬化部、117 半硬化層形成部、118 第2平坦化部、131 回転方向、151 平滑層。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13