IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

<>
  • -検体分析装置 図1
  • -検体分析装置 図2
  • -検体分析装置 図3
  • -検体分析装置 図4
  • -検体分析装置 図5
  • -検体分析装置 図6
  • -検体分析装置 図7
  • -検体分析装置 図8
  • -検体分析装置 図9
  • -検体分析装置 図10
  • -検体分析装置 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2026-03-16
(45)【発行日】2026-03-25
(54)【発明の名称】検体分析装置
(51)【国際特許分類】
   C12M 1/38 20060101AFI20260317BHJP
   C12M 1/00 20060101ALN20260317BHJP
【FI】
C12M1/38 A
C12M1/00 C
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2024546578
(86)(22)【出願日】2022-09-14
(86)【国際出願番号】 JP2022034311
(87)【国際公開番号】W WO2024057426
(87)【国際公開日】2024-03-21
【審査請求日】2025-03-05
(73)【特許権者】
【識別番号】501387839
【氏名又は名称】株式会社日立ハイテク
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藪原 忠雄
(72)【発明者】
【氏名】松村 仁
【審査官】飯濱 翔太郎
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/110600(WO,A1)
【文献】特表2012-501676(JP,A)
【文献】特開2013-185980(JP,A)
【文献】国際公開第2021/182068(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12M 1/00-3/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
検体を分析する検体分析装置であって、
前記検体を収容する検体容器を格納する収納部、
冷風を生成する温調部、
前記冷風が通過する第1ダクト、
前記第1ダクトを通過する前記冷風を前記収納部内の前記検体容器の下方に対して供給する吹出口、
を備え、
前記検体容器は、検体容器下部と、前記検体容器下部の上面を覆う検体容器蓋とを有し、
前記温調部は、前記検体容器下部の温度が前記検体容器蓋の温度よりも低くなるように、前記冷風を生成する
ことを特徴とする検体分析装置。
【請求項2】
前記検体分析装置はさらに、前記吹出口が前記収納部に対して供給する前記冷風の風量を調整する第1風量調節材を備える
ことを特徴とする請求項1記載の検体分析装置。
【請求項3】
前記収納部の内部には、前記検体容器を格納する2つ以上の収納室が隣接して配置されており、
前記吹出口は、各前記収納室に対してそれぞれ前記冷風を供給する2つ以上の開口によって構成されており、
前記第1風量調節材は、各前記開口が供給する前記風量を均一化するように構成されている
ことを特徴とする請求項2記載の検体分析装置。
【請求項4】
前記吹出口は、前記検体容器下部の下方を前記冷風が通過するように構成されている
ことを特徴とする請求項1記載の検体分析装置。
【請求項5】
前記吹出口は、
前記冷風が前記収納室に対して、前記検体容器下部よりも下方の位置から導入される、
または、
前記検体容器下部の下方を通過する前記冷風の風量が、前記検体容器下部の上方を通過する前記冷風の風量よりも大きい、
のうち少なくともいずれかとなるように構成されている
ことを特徴とする請求項3記載の検体分析装置。
【請求項6】
前記開口は、
前記収納室に対して前記冷風が導入される入口面のうち、前記検体容器下部よりも下方の部分においてのみ設けられている、
または、
前記収納室に対して前記冷風が導入される入口面のうち、前記検体容器下部よりも下方の部分において設けられている前記開口の総面積が、前記検体容器下部よりも上方の部分において設けられている前記開口の総面積よりも大きい、
のうち少なくともいずれかとなるように構成されている
ことを特徴とする請求項3記載の検体分析装置。
【請求項7】
前記収納室の内部には、前記検体容器が載置される箇所の下方に、断熱材が配置されている
ことを特徴とする請求項3記載の検体分析装置。
【請求項8】
前記検体分析装置はさらに、
前記第1ダクトが前記収納部に対して供給する前記冷風の圧力を調整する第2ダクト、
前記第1ダクトと前記第2ダクトとの間に配置され、前記冷風の風量を調整する、第2風量調節材、
を備える
ことを特徴とする請求項1記載の検体分析装置。
【請求項9】
前記検体分析装置はさらに、
前記第1ダクトが前記収納部に対して供給する前記冷風の圧力を調整する第2ダクト、
前記第1ダクトと前記第2ダクトとの間に配置され、前記冷風の風量を調整する、第2風量調節材、
を備え、
前記第1風量調節材の開口率は、前記第2風量調節材の開口率とは異なる
ことを特徴とする請求項2記載の検体分析装置。
【請求項10】
前記検体分析装置はさらに、前記第2ダクトと前記吹出口との間に配置され、前記冷風の風量を調整する、第3風量調節材を備え、
前記第2風量調節材の開口率は、前記第3風量調節材の開口率よりも大きい
ことを特徴とする請求項8記載の検体分析装置。
【請求項11】
前記第1ダクトの内面のうち少なくとも一部または前記第1ダクトの外面のうち少なくとも一部は、断熱材によって覆われている
ことを特徴とする請求項1記載の検体分析装置。
【請求項12】
前記収納部は、前記冷風が前記吹出口から導入される方向に対して直交しない側面上に、熱源および前記熱源の温度を測定する温度センサを備え、
前記熱源の制御温度は、前記温調部の制御温度よりも高い
ことを特徴とする請求項1記載の検体分析装置。
【請求項13】
前記検体分析装置はさらに、各前記収納室にわたる風流を前記第1ダクト内に発生させる風流発生装置を備え、
前記温調部は、前記第1ダクト内に配置されている
ことを特徴とする請求項3記載の検体分析装置。
【請求項14】
前記温調部は、
前記検体分析装置の筐体内に対して温風を供給することにより前記検体容器蓋の温度を制御する第1温調装置、
前記収納部に対して前記冷風を供給することにより前記検体容器下部の温度を制御する第2温調装置、
を備え、
前記検体分析装置はさらに、前記温調部を制御する演算部を備え、
前記演算部は、前記検体容器蓋の温度が前記検体容器下部の温度よりも高くなるように前記温調部を制御する
ことを特徴とする請求項4記載の検体分析装置。
【請求項15】
前記温調部は、
前記収納部に対して前記冷風を供給することにより前記検体容器下部の温度を制御する第1温調装置、
前記熱源を用いて前記収納部に対して温風を供給することにより前記検体容器蓋の温度を制御する第2温調装置、
を備え、
前記検体分析装置はさらに、前記温調部と前記熱源を制御する演算部を備え、
前記演算部は、前記検体容器蓋の温度が前記検体容器下部の温度よりも高くなるように前記温調部と前記熱源を制御する
ことを特徴とする請求項12記載の検体分析装置。
【請求項16】
前記検体は生体検体であり、
前記温調部は、前記生体検体を生育可能な温度を有する前記冷風を供給する
ことを特徴とする請求項1記載の検体分析装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検体を分析する検体分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
医療研究機関や病院などにおいては、細胞または細菌などを含む検体の濁度に基づき、細胞または細菌の培養状態を検査する。細胞培養や細菌培養においては、検体容器としてマイクロウェルプレート、シャーレなどを用いる。検体容器内に前処理した検体および栄養素などを分注あるいは塗布し、検体の培養(例えば35℃環境下)を実施する。検体容器内の検体は、長時間にわたって、培養、観察を繰り返し、観察時に検体の形態変化を画像解析あるいは濁度により定量化し、その定量値あるいは経時的な変化量に応じて結果を出力する。
【0003】
この検査において、検体容器は装置内に長時間設置することとなる。検体容器内は培養液などの蒸発により飽和状態となるので、検体容器と検体容器蓋との間の境界面に結露が発生する可能性がある。検体容器外部から、検体容器内部の検体に対して光学的観察を実施する検査装置(透過観察)において、介在する検体容器上面の蓋などの透過部材面上に結露が発生すると、光の屈折が生じ、コントラスト悪化、光量低下へと繋がり検体の状態変化を正確に観察することが困難となり、測定結果の誤判定へと繋がる。
【0004】
特許文献1は、検体を顕微鏡によって観察する際の温度制御について記載している。同文献は、観察皿蓋内面における結露発生を防止するべく観察皿上部に対して温風を吹きかける技術を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第4116780号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
検体分析装置は例えば、検体(細胞、細菌など)を収容した検体容器を複数の収納室それぞれに載置し、検体を培養しながら定期的に観察する。検体容器の蓋の内側に結露が発生すると、その結露によって観察光の光量が低下し、測定精度が低下する可能性がある。したがって結露を防止するための仕組みが必要である。例えば特許文献1のように、検体容器に対して温風を供給することが考えられる。
【0007】
ただし各収納室に対するその温風の影響がばらつくと、結露を抑制する効果も収納室ごとにばらつくことになる。これに起因して、収納室ごとに温度制御の精度が低下し、測定結果のばらつきが発生する可能性がある。
【0008】
本発明は、上記のような課題に鑑みてなされたものであり、複数の収納室がそれぞれ検体容器を格納する検体分析装置において、各収納室内の温度を精度よく制御することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る検体分析装置は、検体容器下部の温度が検体容器蓋の温度よりも低くなるように、冷風を生成する。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る検体分析装置によれば、複数の収納室がそれぞれ検体容器を格納する場合において、各収納室の温度を精度よく制御することができる。本発明のその他の構成、課題、効果などについては、以下の実施形態の説明によって明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態1に係る分析装置0001の全体構成の概略図を示す。
図2】収納部0003の構成例を示す。
図3】風量調節材2116と吹き出し口2113の形状例を示す。
図4】風量調節材2116の別構成例を示す。
図5】実施形態2に係る分析装置0001が備える収納部0003の構成例を示す。
図6】収納部0003の別構成例を示す。
図7】収納部0003の別構成例を示す。
図8】収納部0003の別構成例を示す。
図9】収納部0003の別構成例を示す。
図10】演算部11が分析装置0001の各部温度を制御する手順を説明するフローチャートである。
図11】演算部11が分析装置0001の各部温度を制御する手順を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<実施の形態1>
図1は、本発明の実施形態1に係る分析装置0001の全体構成の概略図を示す。分析装置0001は、搬入出部0002、収納部0003、搬送部0004、検出部0005、温調部0006を備える。演算部11、記憶部12、モニタ13は、分析装置0001の外部に備えることもできるし、分析装置0001内に備えることもできる。
【0013】
ユーザは搬入出部0002において、検体容器0007を図示されてない扉から取り入れ・取り出すことが可能である。検体容器0007は、後述する検体容器下部2110と検体容器蓋2112の2パーツを有する。検体容器下部2110は、96ウェル、384ウェルなどの複数のウェルを有する容器であり、各ウェルに検体2111を接取する。検体としては、細胞、血液、尿、細菌、組織片などの生体検体が挙げられる。検体容器蓋2112はシール状のものでもよく、検体容器下部2110は単一ウェルのものでもよい。
【0014】
収納部0003は、検体容器0007を収納する検体容器収納室2003を複数段有する。分析装置0001内に収納部0003を複数個有してもよい。収納部0003の詳細については後述する。
【0015】
搬送部0004は、アクチュエータ1001、アクチュエータ1002、検体容器保持部1003、図示しないボールねじあるいはベルト機構を備える。検体容器保持部1003は、ボールねじあるいはベルト機構を介して、アクチュエータ1001により鉛直方向に移動し、アクチュエータ1002により奥行き方向に移動する。検体容器保持部1003は、搬入出部0002、収納部0003、測定部1005から検体容器0007の受け取り、受け渡しが可能である。
【0016】
検出部0005において、測定ユニット1004内の測定部1005は、検体容器保持部1003から検体容器0007を受け取り、検体容器0007の各ウェル内の検体2111の培養状態を測定する。測定方法としては、濁度測定、吸光度測定、蛍光測定、画像解析などがある。
【0017】
温調部0006は、熱源1006、ヒートシンク1007、ファン1008を備える。ヒートシンク1007を介した熱源1006の熱をファン1008からの風により装置内へ供給する。熱源としては、ヒータ、ペルチェなどを使用し、分析装置0001内の温度の加熱あるいは冷却を実施する。ヒートシンク(放熱器)には、アルミ、銅、鉄、ステンレスなどを用いることができる。温調部0006は、検体容器0007を収納部0003から出したとき、後述する結露が発生しないように、分析装置0001全体を温めておく役割を有する。
【0018】
分析装置0001をスタートさせると、ユーザは検体容器0007を搬入出部0002へ設置することが可能となる。設置後、搬入出部0002の検体容器0007は搬送部0004を介し、測定ユニット1004の測定部1005まで搬送される。測定部1005は、検体容器0007内の検体2111の培養状態を測定する。測定後の検体容器0007は搬送部0004を介して収納部0003へ搬送される。検体の測定サイクルは、例えば20~30分の間隔で最大18時間繰り返す。分析装置0001は、経時的な検体2111の培養状態の変化量などを演算部11へ送る。演算部11は、その変化量から推測される測定結果をモニタ13などに出力する。測定終了後の検体容器0007は搬送部0004を介し、搬入出部0002へ搬出される。本実施形態においては、ユーザが搬入出部0002に検体容器0007を設置しているが、搬入出部0002をなくし、ユーザが収納部0003に対して検体容器0007を直接設置する構造としてもよい。
【0019】
前記のとおり検体容器0007は、検体容器下部2110と検体容器蓋2112を備える。検体2111を検体容器下部2110内の各ウェルに接取する。収納部0003内に検体容器0007を設置すると、検体容器下部2110下面の材料、空気などから検体容器下部2110内の検体2111へ供給される熱エネルギーが検体容器蓋2112へ供給される熱エネルギーよりも高くなったとき、検体容器下部2110と検体容器蓋2112との間の境界面に結露が発生する原因となる。
【0020】
図2は、収納部0003の構成例を示す。収納部0003は、収納ユニット2001、温調部2002、を備える。収納ユニット2001は、検体容器収納室2003、ファン2107、ダクト2108、風量調節材2116を有する。収納部0003は、検体容器収納室2003を複数段有し、各検体容器収納室2003はそれぞれ検体容器0007を収納する。図中では検体容器収納室2003を6段としているが、この限りではなく段数を増減してもよいし、収納室を水平方向に配列してもよい。
【0021】
検体容器収納室2003は、断熱材2109、風量調節材2116、断熱材2114、側面の金属材2115、上面の金属材2117、下面の金属材2118で囲われている。風量調節材2116は吹き出し口2113を備える。金属材としては、アルミ、ステンレス、銅、鉄、チタンなどが挙げられ、断熱材としては、グラスウール、セルローズファイバー、インシュレーションボード、羊毛断熱材、ロックウール、硬質ウレタンフォーム、ビーズ法ポリスチレンフォーム、フェノールフォームなどが挙げられるがこれに限るものではない。断熱材として樹脂を用いてもよい。樹脂としてはナイロン、POM、PEEK、PPS、PTFE、PVC、PE、PP、PS、ABSなどがあげられるがこれに限るものではない。
【0022】
温調部2002は、冷熱源2101、ヒートシンク2102、温度センサ2104、ファン2103、ヒートシンク2105、ファン2106を備える。ヒートシンク2102を介した冷熱源2101の熱エネルギーをファン2103からの風により収納ユニット2001へ供給する。冷熱源2101としては、ヒータ、チラー、ペルチェなどを使用することができる。ヒートシンク2102に取り付けられた温度センサ2104により加熱あるいは冷却温度を制御する。ヒートシンク(放熱器、放熱板)としては、アルミ、銅、鉄、ステンレスなどを用いることができる。温度センサ2104はサーミスタ、白金抵抗体、ICチップ、熱電対などを用い、設置場所は、ヒートシンク2102以外にも、温調部の設置空間、ダクト2108内などでもよい。
【0023】
ヒートシンク2105およびファン2106はペルチェを想定した場合の構成であり、ペルチェの放熱側となる。放熱側のヒートシンク2105は分析装置0001の筐体内に設置し、これを装置内温度のための補助熱源として利用してもよい。温度制御が難しい場合、分析装置0001の外部空間(検査室あるいは実験室など)にヒートシンク2105を設置し、装置外へ熱を排出する構造としてもよい。
【0024】
温調部2002により制御された冷風は、ファン2107を介しダクト2108内へ供給される。ダクト2108へ供給された冷風は、検体容器収納室2003の吹き出し口2113を介し、検体容器下部2110下面へ供給される。搬送部0004周辺の温度>温調部2002からの冷風温度となるように温度制御することにより、検体容器蓋2112の温度>検体容器下部2110内の検体2111の温度となり、検体容器下部2110と検体容器蓋2112との間の境界面の結露を防止する。
【0025】
検体2111が例えば細菌の場合、36℃以上で生育に影響があり、34℃以下では培養が遅くなる菌種もある。本構成によれば、収納ユニット2001の温度が検体2111の培養へ影響しない温度(例えば、35±1℃)で温調部0006、温調部2002の温度を制御することが可能である。
【0026】
吹き出し口2113の位置は、検体容器下部2110底面の温度を目標温度にすることができるように、上下方向においては検体容器下部2110底面と断熱材2114上面との間に配置し、左右方向においては左右の断熱材2109間に配置することが望ましい。
【0027】
各段においてダクト2108から供給される冷風は、各段の検体容器下部2110よりも上方から供給されないことが望ましい。または、『検体容器蓋2112の温度>検体容器下部2110の温度』となるように、『検体容器0007の下部の風量>上部の風量≧0』の関係であってもよい。検体容器0007の下部から上部に流れ込む温風はあってよい。
【0028】
温調部0006を制御する温度センサ1009の位置は、検体容器蓋2112あるいはその近傍の空間の温度を相対的に測れる位置が好ましい。また、収納部内の検体容器蓋2112の温度との相関が得られるのであれば、どの位置に温度センサ1009があってもよい。例えば、ヒートシンク1007内およびその近傍や、検体容器蓋2112の近傍にあってもよい。温度センサ1009の位置や数は限定するものではない。
【0029】
温調部2002を制御する温度センサ2104の位置は、検体容器下部2110あるいはその近傍の空間の温度を相対的に測れる位置が好ましい。また、収納部内の検体容器下部2110の温度との相関が得られるのであれば、どの位置に温度センサ2104があってもよい。例えば、ヒートシンク2102内およびその近傍や検体容器下部2110の近傍にあってもよい。温調部2002内、 ダクト2108内、風量調節材2119(後述)近傍の空間、などにあってもよい。温度センサ2104の位置や数は限定するものではない。
【0030】
図3は、風量調節材2116と吹き出し口2113の形状例を示す。検体容器収納室2003の上段から下段まで均一に冷風を供給するために、風量調節材2116は吹き出し口2113を有する。吹き出し口2113は、角穴、楕円や円等の穴、多孔質の穴、などでもよい。すなわち収納室に対して流れ込む風量を制限できればよい。風量調節材2116によって、下段の吹き出し口2113から吹き出される風量と上段の吹き出し口2113から吹き出される風量が均一になり、検体容器収納室2003内に設置した検体容器0007内の検体2111の蒸発量が、上段から下段にわたって均一となる(蒸発量の変動が抑制される)。蒸発量の変動を抑えることによって、培養液、薬剤などの濃度変化、検体の培養状態の変動を抑え、検査結果の誤判定リスクを下げることが可能になる。
【0031】
図4は、風量調節材2116の別構成例を示す。風量調節材2116は、円形のパンチングメタル、メッシュ状の部分を備えている場合もあるが、開口率を制御できれば、連続多孔質体のもの、ハニカム構造、四角形状などの形状にきり抜いた物でもよい。各段のプレート上部と下部に対する風量の供給量について、上述した検体容器蓋2112の温度>検体容器下部2110の温度が成り立つ範囲で、下部の風量>上部の風量≧0となるように、各段の上部は孔が無いか少ないものが望ましい。各段の風量調節材2116は同一でもよいし段毎に異なる形状であってもよい。また、風量を調節するために、孔のある部材と他の孔のある部材とを組み合わせてもよい。すなわち、検体容器蓋2112の下方の風量が検体容器蓋2112の上方の風量よりも大きくなるように、開口のサイズ/個数/配置の組み合わせが調整されていればよい。
【0032】
断熱材2114は、検体容器下部2110底面全体へ供給する冷風の熱エネルギーのロス低減および下段の検体容器蓋2112近傍の金属材2118の温度低下を防ぐことを目的とする。ただし、検体容器0007上下面間において十分な温度差がある場合については、断熱材2114がなくともよい。
【0033】
<実施の形態1:まとめ>
本実施形態に係る分析装置0001は、検体容器蓋2112の温度が検体容器下部2110の温度よりも高くなるような冷風を、検体容器収納室2003それぞれに対して均一に供給するように、風量調節材2116を備える。これにより、簡易な構成を用いつつ、各収納室における結露抑制効果を均一に揃えることができる。したがって、各収納室における測定結果のばらつきを抑制することができる。また、複数の検体容器0007を収容・培養することが可能となり、装置の処理能力向上およびユーザ負担軽減を実現する。さらに、検体容器0007を収納部0003へ集約することにより、装置サイズの小型化が可能となる。
【0034】
本実施形態に係る分析装置0001は、温調部0006が供給する温風と温調部2002が供給する冷風を組み合わせることにより、検体2111の温度を精度よく制御することができる。すなわち、温風による温度上昇と冷風による温度低下いずれも可能であるので、温風のみを供給する構成と比較してより精度よく温度制御が可能である。
【0035】
<実施の形態2>
図5は、本発明の実施形態2に係る分析装置0001が備える収納部0003の構成例を示す。図5に示す構成例においては、収納部0003内の上段から下段までにわたって均一に冷風を供給するために、吹き出し口2113近傍に風量調節材2119を備える。その他の構成は実施形態1と同様である。
【0036】
仮に風量調節材2119を用いない場合、下段の吹き出し口2113の風量>上段の吹き出し口2113の風量となる可能性があり、これにより、検体容器収納室2003内に設置した検体容器0007内の検体2111の蒸発量が上段と下段との間で変動する。すなわち、培養液、薬剤などの濃度が変わり、検体の培養状態も変動するので、検査結果の誤判定へと繋がるリスクがある。風量調節材2119は冷風の風量を上段から下段にわたって実施形態1よりもさらに均一化することにより、かかるリスクを低減することができる。風量調節材2119としては、円形のパンチングメタルやメッシュ状の物が一般的であるが、開口率を制御できれば、連続多孔質体のもの、ハニカム構造、四角形状など、ある形状にきり抜いた物でもよい。
【0037】
図6は、収納部0003の別構成例を示す。図6に示す構成例においては、ダクト2108内にダクト2120を備える。ダクト2108とダクト2120との間の境界面には、風量調節材2121が配置されている。各段の収納室の入口部分には、実施形態1と同様に風量調節材2116が配置されている。風量調節材2116と2121は同様の構成を有してもよいし、開口率が異なってもよい(例:風量調節材2121のほうが開口率が大きい)。その他の構成は実施形態1と同様である。
【0038】
ダクト2120は、冷風の圧力を調整する作用を有する。ダクト2120を設けることにより、ファン2107の軸流などの影響を抑え、上段から下段にわたって、吹き出し口2113からの流量をより均一化することができる。これにより、上段から下段までにわたって、検体容器内0007内の検体2111の蒸発量を一定にすることができる。温度センサ2104を風量調節材2121の表面などに配置し、これを用いて冷風温度を制御してもよい。
【0039】
図7は、収納部0003の別構成例を示す。図7に示す構成例においては、図6で説明した構成に加えて、ダクト2120と吹き出し口2113との間の境界面に風量調節材2122を備える。その他の構成は実施形態1と同様である。風量調節材2122の開口率<風量調節材2121の開口率とすることにより、上段から下段にわたって、吹き出し口2113から供給する流量を図6よりもさらに均一に供給することが可能となる。
【0040】
図8は、収納部0003の別構成例を示す。図8に示す構成例においては、ダクト2108内面のうち少なくとも一部(および/または外面のうち少なくとも一部)に断熱材2123を貼付し、これにより収納ユニット2001外からの温度に対するロバスト性を向上させている。その他の構成は実施形態1と同様である。本構造により、温調部2002からの熱量損失を最小限に抑えた冷風を吹き出し口2113から検体容器下部2110底面へ供給することが可能となる図5図6いずれかの構造において断熱材2123を組み合わせてもよい。
【0041】
図9は、収納部0003の別構成例を示す。図9に示す構成例においては、検体容器収納室2003の左右側面に、熱源2124、熱源2124の温度制御用の温度センサ2125、熱源2126、熱源2126の温度制御用の温度センサ2127を有する。熱源2124と熱源2126としてはヒータやペルチェなどを用いる。その他の構成は実施形態1と同様である。図5図8の構成において本構成を組み合わせてもよい。ここでいう側面とは、冷風が検体容器収納室2003内を通過する経路に対して少なくとも直交しない面のことである。
【0042】
収納部0003が保温する検体容器0007は、検体2111の培養のため、例えば検体2111が細菌の場合、35℃±1℃程度に保温する必要がある。熱源2124および熱源2126は、その加温を補助し、温調精度を上げるために用いられる。結露を抑制するために、熱源2124および熱源2126の制御温度>冷熱源2101の制御温度とし、検体容器下部2110底面へ吹きかかる冷風の温度の方が検体容器0007の保温温度より低くなるようにする。熱源2124と熱源2126の温度制御についても収納ユニット2001の温度が検体2111の培養へ影響しない温度となるように制御する。
【0043】
温度センサ2125と2127の位置は、検体容器蓋2112あるいはその近傍の空間の温度を相対的に測れる位置が好ましい。収納部0003内の検体容器蓋2112の温度との相関が得られるのであれば、どの位置に温度センサ2125と2127があってもよい。例えば検体容器収納室2003内部の金属表面あるいは、熱源2124と熱源2126のカバー表面であってもよい。すなわち、検体2111の温度を直接または間接に測定することができればよい。
【0044】
以上の実施形態において、温調部2002をダクト2108内に配置してもよい。ただし温調部2002としてペルチェなどのように熱交換機構を用いる場合、低熱側(ヒートシンク2105など)を分析装置0001外へ容易に配置することができるように、収納部0003の位置などを適宜調整することが望ましい。
【0045】
<実施の形態3>
図10は、演算部11が分析装置0001の各部温度を制御する手順を説明するフローチャートである。本フローチャートは、図2図5図8のうちいずれかの構成において用いることができる。本フローチャートは、演算部11が各温調部を制御することにより実施される。
【0046】
温調部0006による分析装置0001全体の温調(フローチャート左半分)と温調部2002による温調(フローチャート右半分)は同時に実施することができる。温調部0006による温調は、装置全体の温調であり、特に収納部0003内の検体容器蓋2112の温調により、蓋の結露発生抑制を目的とした温度制御である。温調部2002による温調は、検体容器下部2110の温度制御により、検体の温調を主とした制御である。
【0047】
装置全体の温調手順においては、収納部0003内の検体容器蓋2112の目標温度、上限温度、下限温度を設定し、温調部0006により加熱する。上限温度や下限温度は、検体の生育や反応に影響がある温度の上限、下限を基に設定する場合や、測定者が決定する検体測定の測定条件によって設定する場合がある。ただし、検体容器蓋2112の目標温度は、検体容器下部2110の目標温度より高く設定される必要があり、検体容器蓋2112の温度>検体容器下部2110の温度となればよい。上限温度、下限温度は許容温度範囲として設定する場合があってもよい。設定しない温度があってもよい。
【0048】
温調部0006による加熱手順においては、検体容器蓋2112が目標温度以上になると、加熱がオフとなる。ただし、加熱オフ後のオーバーシュートは上限温度未満、アンダーシュートは下限温度以上とする。さらに検体容器蓋2112が目標温度以下となると、温調部0006により加熱される。検体容器蓋2112の温度そのものを測定することに代えて、相関が得られる検体容器蓋2112の近傍の温度を測定してもよい。すなわち、検体容器蓋2112の温度を直接または間接に測定することができればよい。
【0049】
検体容器下部2110の温度制御においては、検体容器下部2110の目標温度、上限温度、下限温度を設定し、温調部2002により温調する。上限温度や下限温度は、検体に影響がない温度の上限、下限を基に設定する場合や、測定者が決定する検体測定の測定条件によって設定する場合がある。ただし、検体温度は検体容器蓋2112の温度よりも低い温度に設定することが必要である。このフローでは、装置全体の温度は検体容器蓋2112の温度を介して設定されるので、検体容器下部2110は検体容器蓋2112の温度よりも冷却される。したがってフロー上では温調部2002による冷却と表記した。
【0050】
温調部2002による冷却手順においては、検体容器下部2110が目標温度以下になると、冷却がオフとなる。ただし、冷却オフ後のアンダーシュートは下限温度以上、オーバーシュートは上限温度未満とする。さらに検体容器下部2110が目標温度以上となると、温調部2002により冷却される。設定する温度によって、検体容器蓋2112の温度より検体容器下部2110の温度が高くなる可能性がある場合は、温調部2002による冷却によって、検体容器蓋2112の温度>検体容器下部2110の温度となるように制御する必要がある。
【0051】
各温度の設定例としては、例えば以下のものが挙げられる:検体容器蓋2112の目標温度35.5℃、上限温度36.0℃、下限温度35.0℃;検体容器下部2110の目標温度34.5℃、上限温度35.0℃、下限温度34.0℃。
【0052】
検体容器蓋2112の下限温度は、例えば制御パラメータを定める際に用いることができる。例えば図11左側のループサイクル1回のインターバルを定める際に、検体容器蓋2112の下限温度を参考としてもよい。
【0053】
図11は、演算部11が分析装置0001の各部温度を制御する手順を説明するフローチャートである。本フローチャートは、図9の構成において用いることができる。本フローチャートは、演算部11が各温調部を制御することにより実施される。
【0054】
温調部0006による分析装置0001全体の温調(図11左)、温調部2002による温調(図11中央)、熱源2124と2126による温調(図11右)、は同時に実施することができる。温調部0006による温調は、分析装置0001全体としての温調を主とすることが可能である。温調部2002による温調は、収納部0003内の検体容器下部2110(検体)の温調を主とした制御である。熱源2124と2126による温調は、検体容器蓋2112の温度制御により、蓋の結露発生抑制を主とした温度制御である。このような温調をすることにより、図10の温度制御に比べ、より高い温調精度を実現することが可能である。
【0055】
装置全体の温調手順においては、分析装置0001の目標温度、上限温度、下限温度を設定し、温調部0006により加熱する。上限温度や下限温度は、検体に影響がある温度の上限、下限を基に設定する場合や、測定者が決定する検体測定の測定条件によって設定する場合がある。上限温度、下限温度は許容温度範囲として設定する場合があってもよい。
【0056】
温調部0006による加熱手順においては、分析装置0001の目標温度以上に達すると、加熱がオフとなる。検体容器下部2110の下限温度以下に達すると、温調部0006により加熱される。検体の搬送や測定時における装置内温度による影響を考慮した場合、検体容器下部2110の下限温度以下に達した場合の加熱設定が好ましい。検体の搬送や測定時における温度影響を考慮しないのであれば、分析装置0001の目標温度以下で加熱するようにしてもよい。したがって、使用者の条件設定により、図11最下段左のステップは、「検体容器下部の下限温度以下」でもよいし「分析装置の目標温度以下」でもよい。
【0057】
温調部2002による温調手順においては、検体容器下部2110の目標温度(検体の目標温度)、上限温度、下限温度を設定し、温調部2002により温調する。上限温度や下限温度は、検体に影響がない温度の上限、下限を基に設定する場合や、測定者が決定する検体測定の測定条件によって設定する場合がある。ただし、検体容器下部2110の温度(検体温度)は検体容器蓋2112の温度よりも低い温度とすることが必要である。このフローでは、検体容器下部2110は検体容器蓋2112の温度よりも冷却されることになるので、フロー上では温調部2002による冷却と表記した。
【0058】
温調部2002による温度制御においては、検体容器下部2110が目標温度以下になると、冷却がオフとなる。ただし、冷却のOFF時のアンダーシュートは下限温度以上、オーバーシュートは上限温度未満とする。さらに検体容器下部2110が目標温度以上となると、温調部2002により冷却される。
【0059】
検体容器蓋2112の温度制御においては、検体容器蓋2112の目標温度(検体容器下部2110の目標温度)、上限温度、下限温度を設定し、熱源2124と2126により加熱する。検体容器蓋2112の下限温度は、検体容器下部2110の温度より高く制御できるように、設定する。すなわち、検体容器蓋2112の温度>検体容器下部2110であることが実現できれば良い。
【0060】
熱源2124と2126による温調手順においては、検体容器蓋2112が目標温度以上になると、加熱がオフとなる。ただし、加熱オフ後のオーバーシュートは上限温度未満、アンダーシュートは下限温度以上とする。さらに、検体容器蓋2112の目標温度以下になると、熱源2124と2126により加熱される。熱源が検体容器0007の近傍に位置しているので、温度調整を高精度に実施できる。したがって、温調部0006による温度影響や温調部2002による温度影響を加味した温度調整が可能である。設定する温度によって、検体容器蓋2112の温度より検体容器下部2110の温度が高くなる場合は、検体容器蓋2112の温度>検体容器下部2110の温度になるように、熱源2124と2126によって加熱することが必要である。
【0061】
各温度の設定例としては、例えば以下のものが挙げられる:分析装置0001の目標温度35.0℃、上限温度35.3℃、下限温度34.5℃;検体容器下部2110の目標温度35.0℃、上限温度35.3℃、下限温度34.5℃;検体容器蓋2112の目標温度35.5℃、上限温度36.0℃、下限温度35.3℃。
【0062】
<本発明の変形例について>
本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【0063】
以上の実施形態において、検体容器収納室2003を全面開口とすることによって吹き出し口2113を構成するとともに、風量調節材(2116など)の開口のサイズと位置を調整することにより、検体容器蓋2112の温度を検体容器下部2110の温度よりも高くすることもできる。すなわち、吹き出し口2113と風量調節材(2116など)の組み合わせによって、以上の実施形態と同等の効果を発揮できればよい。
【0064】
以上の実施形態において、演算部11は、各温度センサが計測した温度、各部の風量(および/または風圧)、などをモニタ13上に提示してもよい。ユーザにとって有用なその他情報を提示してもよい。
【0065】
以上の実施形態において、演算部11は、その機能を実装した回路デバイスなどのハードウェアによって構成することもできるし、その機能を実装したソフトウェアをCPU(Central Processing Unit)などの演算装置が実行することによって構成することもできる。
【符号の説明】
【0066】
0001 分析装置
0002 搬入出部
0003 収納部
0004 搬送部
0005 検出部
0006 温調部
0007 検体容器
1001 アクチュエータ
1002 アクチュエータ
1003 検体容器保持部
1004 測定ユニット
1005 測定部
1006 熱源
1007 ヒートシンク
1008 ファン
1009 温度センサ
2001 収納ユニット
2002 温調部
2003 検体容器収納室
2101 冷熱源
2102 ヒートシンク
2103 ファン
2104 温度センサ
2105 ヒートシンク
2106 ファン
2107 ファン
2108 ダクト
2109 断熱材
2110 検体容器下部
2111 検体
2112 検体容器蓋
2113 吹き出し口
2114 断熱材
2115 金属材
2116 風量調節材
2117 金属材
2118 金属材
2119 風量調節材
2120 ダクト
2121 風量調節材
2122 風量調節材
2123 断熱材
2124 熱源
2125 温度センサ
2126 熱源
2127 温度センサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11