(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2026-03-17
(45)【発行日】2026-03-26
(54)【発明の名称】シート構造物
(51)【国際特許分類】
H02S 20/20 20140101AFI20260318BHJP
H02S 20/23 20140101ALI20260318BHJP
A01G 9/14 20060101ALI20260318BHJP
【FI】
H02S20/20 200
H02S20/23 Z
A01G9/14 Z
A01G9/14 S
(21)【出願番号】P 2022048071
(22)【出願日】2022-03-24
【審査請求日】2024-12-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西永 周平
(72)【発明者】
【氏名】会田 哲也
【審査官】櫻井 茂樹
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-204819(JP,A)
【文献】特開2013-235996(JP,A)
【文献】特開2001-214579(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02S 10/00-99/00
A01G 9/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のフレームを有する躯体と、
太陽光により発電する発電部を有し、前記複数のフレームに支持されるシート状の発電シート体と、
を備え、
前記複数のフレームは、導体により構成されると共に接地された接地フレームを含み、 前記発電シート体は、前記発電部に対して近接するが非接触であり、かつ前記接地フレームに電気的に接続された導電部を有
し、
前記導電部が導電樹脂である、
シート構造物。
【請求項2】
前記導電樹脂は、スズ、亜鉛、銀、カーボンから選択される少なくとも1つを含有する、
請求項
1に記載のシート構造物。
【請求項3】
前記発電シート体は、前記複数のフレームに支持され前記躯体を覆うシート部材を有し、
前記導電樹脂が、前記シート部材である、
請求項
1又は2に記載のシート構造物。
【請求項4】
前記発電シート体は、前記発電部を被覆するバリアシートを有し、
前記導電樹脂が、前記バリアシートである、
請求項
1から3のいずれか一項に記載のシート構造物。
【請求項5】
前記接地フレームは、アルミニウム、ステンレス、鉄から選択される少なくとも1つを含有する、
請求項1から
4のいずれか一項に記載のシート構造物。
【請求項6】
前記発電部が、ペロブスカイト化合物を含む、
請求項1から
5のいずれか一項に記載のシート構造物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート構造物に関し、より詳細には、発電部を有するシート構造物に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ビニルハウス等の施設の一態様が開示されている。特許文献1に記載の施設は、支持部材と、支持部材によって支持される膜材と、を備えている。膜材は、透過型有機薄膜太陽電池により構成されており、太陽光によって発電を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の膜材では、例えば、設置する前に搬送したり、設置したりする際に、膜材が擦れる等で静電気が発生する場合がある。膜材に静電気が発生すると、静電気が発電部に流れ、発電部が損傷する可能性がある。
【0005】
本発明の目的は、発電部を有するシート体を有するシート構造物において、静電気によって発電部が損傷するのを抑制できるシート構造物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明は、次の項に記載の主題を包含する。
【0007】
項1.複数のフレームを有する躯体と、
太陽光により発電する発電部を有し、前記複数のフレームに支持されるシート状の発電シート体と、を備え、
前記複数のフレームは、導体により構成されると共に接地された接地フレームを含み、
前記発電シート体は、前記発電部に対して近接するが非接触であり、かつ前記接地フレームに電気的に接続された導電部を有する、シート構造物。
【0008】
項2.前記導電部が金属膜で構成されている、項1に記載のシート構造物。
【0009】
項3.前記金属膜が、銅、アルミニウム、銀、ニッケル、チタン、インジウム、モリブデンから選択される少なくとも1つを含有する、項2に記載のシート構造物。
【0010】
項4.前記発電部と前記導電部との間の最小距離は、5mm以上35mm以下である、項2又は3に記載のシート構造物。
【0011】
項5.前記導電部が導電樹脂である、項1に記載のシート構造物。
【0012】
項6.前記導電樹脂は、スズ、亜鉛、銀、カーボンから選択される少なくとも1つを含有する、項5に記載のシート構造物。
【0013】
項7.前記発電シート体は、前記複数のフレームに支持され前記躯体を覆うシート部材を有し、
前記導電樹脂が、前記シート部材である、項5又は6に記載のシート構造物。
【0014】
項8.前記発電シート体は、前記発電部を被覆するバリアシートを有し、
前記導電樹脂が、前記バリアシートである、項5から7のいずれか一項に記載のシート構造物。
【0015】
項9.前記接地フレームは、アルミニウム、ステンレス、鉄から選択される少なくとも1つを含有する、項1から8のいずれか一項に記載のシート構造物。
【0016】
項10.前記発電部が、ペロブスカイト化合物を含む、項1から9のいずれか一項に記載のシート構造物。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る上記態様のシート構造物は、発電部を有するシート体を有するシート構造物において、静電気によって発電部が損傷するのを抑制できる、という利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係るシート構造物の斜視図である。
【
図2】
図2(A)は、
図1のA-A線断面図である。
図2(B)は、
図2(A)のB部分の拡大図である。
図2(C)は、
図2(B)のD-D線断面図である。
【
図3】
図3は、変形例1に係るシート構造物の断面図である。
【
図4】
図4は、変形例2に係るシート構造物の断面図である。
【
図5】
図5は、変形例3に係るシート構造物の断面図である。
【
図6】
図6(A)は、変形例4に係るシート構造物の断面図である。
図6(B)は、
図6(A)のE-E線断面図である。
【
図7】
図7は、変形例5に係るシート構造物の断面図である。
【
図8】
図8は、変形例6に係るシート構造物の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
<実施形態>
本実施形態に係るシート構造物100は、複数のフレーム4を有する躯体3によって、発電シート体1が支えられた構造物である。発電シート体1は、太陽光による発電が可能な、1又は複数の発電部2を有する。
【0020】
フレーム4は、
図2に示すように、導体により構成された接地フレーム40を有する。接地フレーム40は、地面に接地(アース)されている。発電シート体1は、導電部6を有している。導電部6は、発電部2に対して近接するが非接触であるように配置され、かつ接地フレーム40に電気的に接続されている。
【0021】
これにより、発電部2の近傍に生じた静電気が、発電部2に流れることなく、導電部6を伝い、接地フレーム40を介して地面に流れる。このため、本実施形態に係るシート構造物100によれば、静電気によって発電部2が損傷を受けるのを抑制できる。
【0022】
以下、本実施形態に係るシート構造物100の各構成を、より詳細に説明する。
【0023】
(全体構成)
シート構造物100は、
図1に示すように、躯体3と、複数の発電部2を有する発電シート体1と、を備える。シート構造物100としては、例えば、ビニルハウス、集会テント、イベントテント、ドームテント、ワンポールテント、トラックの荷台に載せるトラックテント等が挙げられる。本実施形態では、シート構造物100の一例として、
図1に示すように、ビニルハウスを挙げて説明する。
【0024】
ここにおいて、
図1に示すように、一の屋根面において最も高い部位を「水上」とし、最も低い部位を「水下」として定義する。また、水上と水下とを最短距離で結ぶ線分に平行な方向を「水流れ方向」として定義する。また、水流れ方向に直交しかつ屋根面に沿う方向を「横方向」として定義する。
【0025】
(躯体3)
躯体3は、発電シート体1を支える構造体である。躯体3は、
図1に示すように、複数のフレーム4を備える。複数のフレーム4のうち、少なくとも1つのフレームは、大地に接続されており、すなわち接地している。本明細書では、接地したフレーム4を「接地フレーム40」という。接地フレーム40の接地方法としては、接地フレーム40の下端部が大地に埋められてもよいし、接地フレーム40の下端部が地面に載るだけでもよいし、接地用の金具で、大地と接地フレーム40とを接続してもよい。また、接地フレーム40は、直接的に大地に接続されている必要はなく、他のフレーム4を介して、間接的に大地に接続されてもよい。
【0026】
本実施形態では、複数のフレーム4のうちの全てのフレーム4が接地フレーム40である。接地フレーム40は、導体により構成されている。接地フレーム40の材料としては、例えば、アルミニウム、ステンレス、鉄、金、銀、銅等、あるいはこれらの複合材料が挙げられ、このなかでも、強度及びコストの観点から、アルミニウム、ステンレス、鉄を主成分として含む材料であることが好ましい。また、各フレーム4の材料としては、例えば、中空パイプ、中実の軸体、フラットバー、角材、ワイヤー等が挙げられる。躯体3は、複数のフレーム4として、妻柱41、妻梁42、側梁43、アーチパイプ44及び母屋パイプ45を備える。なお、複数のフレーム4のうち、接地フレーム40ではないフレーム4がある場合、当該フレーム4は導体である必要はなく、例えば、合成樹脂、カーボン、木材、グラスファイバー、FRP(Fiber Reinforced Plastics)等が用いられてもよい。
【0027】
妻柱41は、躯体3の妻面31を支える柱である。妻柱41の下端部は、大地に接続されている。躯体3は、妻柱41を複数備える。各妻柱41は上下方向に延びている。妻梁42は、複数の妻柱41によって支えられる梁である。妻柱41は横方向に直交しかつ水平面に沿う方向に延びている。躯体3の各妻面31は、複数の妻柱41と、一又は複数の妻梁42と、で構成されている。
【0028】
側梁43は、一対の妻面31に支持される梁である。躯体3は、側梁43を複数備える。側梁43は、横方向(桁行方向)に延びている。側梁43は、複数のアーチパイプ44に交差し、かつ各アーチパイプ44を支持する。複数の側梁43は、上下方向に間隔をおいて配置されている。
【0029】
アーチパイプ44は、アーチ状の上端部を備えるフレーム4である。躯体3は、アーチパイプ44を複数備える。複数のアーチパイプ44は、横方向に一定の間隔をおいて配置されている。複数のアーチパイプ44は、複数の側梁43及び母屋パイプ45に対して固定されている。各アーチパイプ44の下端部は、大地に接続されている。
【0030】
母屋パイプ45は、妻面31の上端部同士をつなぐ。母屋パイプ45は、複数のアーチパイプ44の上端部を支持する。母屋パイプ45は、横方向に平行に延びている。本実施形態に係る躯体3は、1つの母屋パイプ45を備えるが、複数の母屋パイプ45を備えてもよい。
【0031】
交差するフレーム4同士は、継手で固定される。なお、交差するフレーム4同士は、継手で接続される場合に限らず、溶接により相互に固定されてもよいし、ボルトや専用の固定具等で相互に接続されてもよい。
【0032】
(発電シート体1)
発電シート体1は、発電機能を有するシートであり、躯体3を覆う。発電シート体1は、
図2に示すように、シート部材5と、シート部材5に取り付けられた太陽光発電シート10と、導電部6と、を備える。発電シート体1は、可撓性(より詳しくは、柔軟性)を有している。発電シート体1によって発電された電気は、例えば、照明の点灯、バッテリへの充電、空調設備やヒータ等の電気機器への給電等が挙げられる。
【0033】
本明細書でいう「シート」「シート状」は、その物体の厚さが、平面視における外縁の間の最大長さに対して、10%以下である形状を意味する。平面視における形状が矩形状である場合、「平面視における外縁の間の最大長さ」は、対角線の長さを意味する。また、平面視における形状が円形状である場合、「平面視における外縁の間の最大長さ」は、直径の長さを意味する。本明細書では、膜状、箔状、フィルム状等も、「シート状」に含まれる。
【0034】
ここで、本明細書でいう「覆う」とは、少なくとも一方向からみて、被覆対象物を覆うことを意味する。また、「覆う」は、厳密な意味での「覆う」を意味するのではなく、被覆対象物の大部分が覆われていれば、一部が露出していても「覆う」範疇である。ここでいう、「被覆対象物の大部分」とは、被覆対象物を一方向からみた場合に、被覆対象物の投影面積の80%以上を意味する。本実施形態では、上方から下方向に沿って躯体3を見た場合に、発電シート体1が、躯体3の投影面積の80%以上に重なっていれば、「発電シート体1は躯体3を覆う」こととする。
【0035】
(シート部材)
シート部材5は、シート状に形成されており、発電シート体1の主体を構成する。シート部材5は、複数のフレーム4に支持されており、躯体3を覆う。シート部材5は、本実施形態では、透光性を有する。
【0036】
本明細書でいう「透光性がある」又は「透光性を有する」とは、光の透過率が、入射前の光のピーク波長に対して、10%以上であることを意味する。シート部材5の透光性は、光の透過率が、入射前の光のピーク波長に対して、10%以上であればよいが、好ましくは、50%以上であり、より好ましくは、80%以上である。本明細書では、光の透過率が、入射前の光のピーク波長に対して、80%以上であることを、「透明」であるとする。なお、シート部材5は、テントに用いられる場合、遮光性を有してもよい。
【0037】
シート部材5は、可撓性を有する。シート部材5に用いられる材料は、引張強さが、0.1MPa以上であることが好ましく、より好ましくは1MPa以上である。また、引張り強さは、5000MPa以下であることが好ましく、より好ましくは1MPa以下である。
【0038】
シート部材5の厚さは、500μm以上であることが好ましく、より好ましくは、1000μm以上である。また、シート部材5の厚さは、5000μm以下であることが好ましく、より好ましくは、2500μm以下である。
【0039】
シート部材5としては、例えば、合成樹脂、レザー、織物、編物、不織布、パルプ等が挙げられるが、本実施形態に係るシート部材5は合成樹脂である。合成樹脂としては、例えば、プラスチックフィルム、ポリ塩化ビニル、ポリオレフィン、ポリエステル、ナイロン等、又はこれらの複合材料が挙げられる。本実施形態に係るシート部材5は、導電部6を構成する。導電部6としての説明は、後ほど詳細に説明する。
【0040】
(太陽光発電シート10)
太陽光発電シート10は、シート状に形成されており、太陽光を受けることで発電を行うことができる。太陽光発電シート10は、
図2(A)に示すように、バックシート11と、複数の発電部2と、バリアシート17と、封止剤18と、封止縁材19と、を備える。複数の発電部2及び封止剤18は、バックシート11とバリアシート17との間に配置されている。封止縁材19は、バックシート11とバリアシート17との間に複数の発電部2及び封止剤18を配置した状態で、外縁を全長にわたって封止する。
【0041】
太陽光発電シート10の曲げ強さは、50MPa以上であり、より好ましくは90MPa以上である。また、太陽光発電シート10の曲げ強さは、200MPa以下であり、より好ましくは140MPa以下である。太陽光発電シート10の曲げ強さの大きさの設定は、主に、バックシート11及びバリアシート17の曲げ強さによって実現され得る。バックシート11及びバリアシート17については、後ほど詳述する。本明細書でいう「曲げ強さ」は、例えば、JIS 7171に準拠する測定方法で測定される。
【0042】
本実施形態に係る太陽光発電シート10は、平面視略矩形状に形成されている。ただし、本発明では、太陽光発電シート10の形状としては、例えば、平面視略円形状、平面視楕円形状、平面視多角形状等であってもよく、特に制限はない。
【0043】
(バックシート11)
バックシート11は、太陽光発電シート10の受光面とは反対側に配置される。バックシート11は、太陽光発電シート10においてシート部材5に対向する面を構成する。バックシート11は、水蒸気に対するバリア性能、及び外力に対する保護性能を有する。バックシート11は、透光性があってもよいが、必ずしも透光性は必要ではない。
【0044】
バックシート11は、可撓性を有する。バックシート11に用いられる材料としては、縦弾性係数が、50MPa以上であることが好ましく、より好ましくは80MPa以上である。また、縦弾性係数は、200MPa以下であることが好ましく、より好ましくは120MPa以下である。バックシート11の材料として、具体的には、例えば、プラスチックフィルム、プラスチック基板等が挙げられる。
【0045】
バックシート11の厚さは、50μm以上であることが好ましく、より好ましくは、100μm以上である。また、バックシート11の厚さは、2000μm以下であることが好ましく、より好ましくは、1000μm以下である。バックシート11の厚さが50μm以上2000μm以下であることにより、太陽光発電シート10としての曲げ強さを、50MPa以上200MPa以下に設定しやすい。
【0046】
(発電部2)
発電部2は、光起電力効果を利用し、太陽光により発電する。本実施形態に係る発電部2は、複数の発電セル12が、太陽光発電シート10の面方向のうちの一方向(例えば、
図2(A)の紙面奥手前方向)に並んでおり、1つのユニットを構成する。
【0047】
本明細書において、発電セル12は、光起電力効果を利用した光電変換素子であり、発電し得る最小単位の素子である。発電部2は、複数の発電セル12同士が機械的に接合されると共に電気的に接続された1つのユニットである。太陽光発電シート10の発電量は、発電部2としての数量を増減することで容易に変更し得る。ただし、本発明では、発電部2は、1つの発電セル12によって構成されてもよい。
【0048】
発電セル12は、
図2(B)に示すように、透光性基材13と、透光性導電層14と、発電層15と、電極16と、を備える。透光性基材13、透光性導電層14、発電層15、及び電極16は、バリアシート17からバックシート11に向かう方向に沿って、この順で積層されている。すなわち、透光性基材13がバリアシート17に対向し、電極16がバックシート11に対向するように配置される。
【0049】
(透光性基材13)
透光性基材13は、透光性導電層14、発電層15、及び電極16を支持する。透光性基材13は、透光性を有する。透光性基材13の透光性は、光の透過率が、入射前の光のピーク波長に対して、10%以上であればよいが、好ましくは、50%以上であり、より好ましくは、80%以上である。
【0050】
透光性基材13の材料としては、例えば、無機材料、有機材料、金属材料等が挙げられる。無機材料としては、例えば、石英ガラス、無アルカリガラス等が挙げられる。有機材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET; polyethylene terephthalate)、ポリエチレンナフタレート(PEN; polyethylene naphthalene)、ポリエチレン、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、液晶ポリマー、シクロオレフィンポリマー等のプラスチック、高分子フィルム等が挙げられる。金属材料としては、ステンレス鋼、アルミニウム、チタン、シリコン等が挙げられる。
【0051】
透光性基材13の厚さは、透光性導電層14、発電層15及び電極16を支持することができれば、特に制限はなく、例えば、10μm以上300μm以下が挙げられる。
【0052】
透光性基材13は、発電セル12の製造過程で必要になる基材である。このため、太陽光発電シート10の製品としては、必ずしも必要な構成ではない。透光性基材13は、例えば、太陽光発電シート10の製造途中にだけ利用されてもよく、製造後又は製造途中に取り除かれてもよい。なお、取り除かれる場合、透光性基材13に代えて、透光性を有さない基材を用いてもよい。
【0053】
(透光性導電層14)
透光性導電層14は、導電性を有する層であり、カソードとして機能する。透光性導電層14は、透光性を有する。透光性導電層14は、透明であることが好ましい。
【0054】
透光性導電層14としては、例えば、酸化インジウムスズ(ITO; Indium Tin Oxide)、フッ素ドープ酸化スズ(FTO; F-doped Tin Oxide)、ネサ膜等の透明な材料が挙げられる。透光性導電層14は、透光性基材13の表面に対して、例えば、スパッタリング法、イオンプレーティング法、メッキ法、塗布法等により形成される。
【0055】
また、透光性導電層14としては、不透光性材料を用いつつ、光を透過可能なパターンを形成することで、透光性を有するように構成してもよい。不透光性材料としては、例えば、白金、金、銀、銅、アルミニウム、ロジウム、インジウム、チタン、ニッケル、スズ、亜鉛、又はこれらを含む合金等が挙げられる。光を透過可能なパターンとしては、例えば、格子状、線状、波線状、ハニカム状、丸穴状等が挙げられる。
【0056】
透光性導電層14の厚さは、例えば、30nm以上300nm以下であることが好ましい。透光性導電層14が、30nm以上300nm以下であると、可撓性を高く保ちながら、良好な導電性を得ることができる。
【0057】
(発電層15)
発電層15は、光の照射によって光電変換を生じさせる層であり、光を吸収することで生成された励起子から、電子と正孔とを生じさせる。発電層15は、
図2(B)に示すように、正孔輸送層151と、光電変換層152と、電子輸送層153と、を備える。正孔輸送層151、光電変換層152、及び電子輸送層153は、透光性導電層14から電極16に向かう方向に沿って、この順で積層されている。
【0058】
(正孔輸送層151)
正孔輸送層151は、光電変換層152で発生した正孔を、透光性導電層14へ抽出し、かつ光電変換層152で発生した電子が、透光性導電層14へ移動するのを妨げる。正孔輸送層151の材料としては、例えば、金属酸化物を用いることができる。金属酸化物としては、例えば、酸化チタン、酸化モリブデン、酸化バナジウム、酸化亜鉛、酸化ニッケル、酸化リチウム、酸化カルシウム、酸化セシウム、酸化アルミニウム等が挙げられる。また、その他、デラフォサイト型化合物半導体(CuGaO2)、酸化銅、チオシアン酸銅(CuSCN)、五酸化バナジウム(V2O5)、酸化グラフェン等が用いられてもよい。また、正孔輸送層151の材料として、p型有機半導体又はp型無機半導体を用いることもできる。
【0059】
正孔輸送層151の厚さは、例えば、1nm以上1000nm以下であることが好ましく、より好ましくは、10nm以上500nm以下であり、更に好ましくは、10nm以上50nm以下である。正孔輸送層151の厚さが、1nm以上1000nm以下であれば、正孔の輸送が実現できる。
【0060】
(光電変換層152)
光電変換層152(光活性層)は、吸収した光を光電変換する層である。光電変換層152の材料としては、吸収した光を光電変換することができれば特に制限はなく、例えば、アモルファスシリコン、ペロブスカイト、非シリコン系材料(半導体材料CIGS)等が用いられる。また、光電変換層152は、これらを複合したタンデム型の積層構造としてもよい。非シリコン系材料が用いられた光電変換層152は、銅(Cu)、インジウム(In)、ガリウム(Ga)、セレン(Se)を含む半導体材料CIGSが用いられており、光電変換層の厚さを薄くしやすい。
【0061】
以下では、光電変換層152の一例として、ペロブスカイトが用いられる光電変換層152を挙げて説明する。ペロブスカイト化合物を含む光電変換層152は、入射光の角度に対する発電効率の依存性(以下、入射角依存性という場合がある)が比較的低いという利点がある。これにより、本実施形態では、より高い発電効率を得ることができる。
【0062】
ぺロブスカイト化合物は、ペロブスカイト結晶構造体及びこれに類似する結晶を有する構造体である。ペロブスカイト結晶構造体は、組成式 ABX3 で表される。この組成式において、例えば、Aは有機カチオン、Bは金属カチオン、Xはハロゲンアニオンを示す。ただし、Aサイト、Bサイト及びXサイトはこれに限定されない。
【0063】
Aサイトを構成する有機カチオンの有機基としては、特に制限はなく、例えば、アルキルアンモニウム誘導体、ホルムアミジニウム誘導体等が挙げられる。Aサイトを構成する有機カチオンは、1種類であってもよいし、2種類以上であってもよい。
【0064】
Bサイトを構成する金属カチオンの金属としては、特に制限はなく、例えば、Cu、Ni、Mn、Fe、Co、Pd、Ge、Sn、Pb、Eu等が挙げられる。Bサイトを構成する金属カチオンは、1種類であってもよいし、2種類以上であってもよい。
【0065】
Xサイトを構成するハロゲンアニオンのハロゲンには、特に制限はなく、例えば、F、Cl、Br、I等が挙げられる。Xサイトを構成するハロゲンアニオンは、1種類であってもよいし、2種類以上であってもよい。
【0066】
光電変換層152の厚さは、例えば、1nm以上1000000nm以下が好ましく、より好ましくは、100nm以上50000nm以下であり、更に好ましくは、300nm以上1000nm以下である。光電変換層152の厚さが、1nm以上100000nm以下であると、光電変換効率が向上する。
【0067】
(電子輸送層153)
電子輸送層153は、光電変換層152で発生した電子を電極16へ抽出し、かつ光電変換層152で発生した正孔が、電極16へ移動するのを妨げる。電子輸送層153としては、例えば、ハロゲン化合物又は金属酸化物のいずれかを含むことが好ましい。
【0068】
ハロゲン化合物としては、例えば、ハロゲン化リチウム(LiF、LiCl、LiBr、LiI)、ハロゲン化ナトリウム(NaF、NaCl、NaBr、NaI)等が挙げられる。金属酸化物を構成する元素としては、チタン、モリブデン、バナジウム、亜鉛、ニッケル、リチウム、カリウム、セシウム、アルミニウム、ニオブ、スズ、バリウム等が挙げられる。また、電子輸送層153の材料として、n型有機半導体又はn型無機半導体を用いることもできる。
【0069】
電子輸送層153の厚さは、例えば、1nm以上1000nm以下であることが好ましく、より好ましくは、10nm以上500nm以下であり、更に好ましくは、10nm以上50nm以下である。電子輸送層153の厚さが、1nm以上1000nm以下であれば、電子の輸送が実現できる。
【0070】
(電極16)
電極16は導電性を有し、アノードとして機能する。電極16は、光電変換層152によって生じた光電変換に応じて、光電変換層152から電子を取り出すことができる。電極16は、透光性を有していてもよいし、不透光性材料で構成されてもよい。電極16の材料としては、例えば、白金、金、銀、銅、アルミニウム、ロジウム、インジウム、チタン、ニッケル、スズ、亜鉛、又はこれらを含む合金等が挙げられる。
【0071】
(発電セル12の作用)
発電セル12に光が照射されると、発電層15の光電変換層152が光を吸収して光電変換を行うことで、光電変換層152で電子と正孔とが生じる。当該電子が電子輸送層153を介して電極16(アノード)へ抽出され、正孔が正孔輸送層151を介して透光性導電層14(カソード)へ抽出されることで、透光性導電層14および電極16から電流が取り出される(すなわち発電が行われる)。
【0072】
(複数の発電セル12の接合構造等)
発電部2は、複数の発電セル12が一方向に接合されている。ここで、
図2(C)には、
図2(B)のD-D線断面図を示す(ただし、封止剤18、バックシート11及びバリアシート17は省略している)。
図2(C)に示すように、各発電セル12の電極16(アノード)は、電子輸送層153に積層された部分から延びる延長部161を有する。延長部161は、隣接する発電セル12の透光性導電層14にまで延びており、隣接する発電セル12の透光性導電層14に対して、機械的に接合されると共に電気的に接続される。隣り合う発電セル12が、延長部161によって接合されることにより、発電部2の一端にある透光性導電層14と、発電部2の他端にある電極16とが導通する。
【0073】
発電部2が、複数の発電セル12を備えることで、一部の発電セル12で不具合が生じても、発電部2からの電気取り出し量を安定化させることができる。
【0074】
なお、延長部161は電極16が有していたが、透光性導電層14(カソード)が、隣接する電極16にまで延びる延長部161を有してもよい。
【0075】
また、発電部2に透光性基材13を設ける場合、発電部2の製造を容易にする観点から、
図2(C)に示すように、各発電セル12の透光性導電層14、発電層15及び電極16を、共通の透光性基材13に支持させることが好ましい。
【0076】
太陽光発電シート10には、複数の発電部2が含まれていてもよい。この場合、複数の発電部2は、太陽光発電シート10の一面に沿うように配置される。複数の発電部2は、直列又は並列に電気的に接続される。複数の発電部2は、バックシート11とバリアシート17との間に配置された配電線によって電気的に接続される。
【0077】
複数の発電部2を直列に接続する場合、隣り合う発電部2において、一方の発電部2の端にある透光性導電層14と、他方の発電部2の端にある電極16とを、配電線を介して接続する。複数の発電部2を並列に接続する場合、隣り合う発電部2において、透光性導電層14同士を配電線で接続し、電極16同士を配電線で接続する。
【0078】
太陽光発電シート10において、複数の発電部2は、一方向に間隔をおいて配置されている。隣り合う発電部2の間の距離は、0mm超であればよく、好ましくは2mm以上であり、より好ましくは10mm以上であり、更に好ましくは、15mm以上である。また、隣り合う発電部2の間の距離は、100mm以下が好ましく、より好ましくは50mm以上であり、更に好ましくは、20mm以下である。
【0079】
(バリアシート17)
バリアシート17は、太陽光発電シート10の厚さ方向において、バックシート11とは反対側に配置される。バリアシート17は、太陽光発電シート10の受光面を含む。バリアシート17は、透光性を有している。バリアシート17は、透明であることが好ましい。バリアシート17は、水蒸気に対するバリア性能、及び外力に対する保護性能を有する。
【0080】
バリアシート17は、可撓性を有する。バリアシート17に用いられる材料としては、縦弾性係数が、50MPa以上であることが好ましく、より好ましくは80MPa以上である。また、縦弾性係数は、200MPa以下であることが好ましく、より好ましくは120MPa以下である。バリアシート17の材料として、具体的には、例えば、プラスチックフィルム、ビニルフィルム等が挙げられる。
【0081】
また、バリアシート17の厚さは、50μm以上であることが好ましく、より好ましくは、100μm以上である。また、バリアシート17の厚さは、2000μm以下であることが好ましく、より好ましくは、1000μm以下である。バリアシート17の厚さが50μm以上2000μm以下であることにより、太陽光発電シート10としての曲げ強さを、50MPa以上200MPa以下に設定しやすい。
【0082】
(封止剤18)
封止剤18は、バリアシート17とバックシート11との間に発電層15を配置した状態で、バリアシート17とバックシート11との間に充填される。封止剤18は、発電層15に対して、発電層15の周囲から浸水するのを妨げる。封止剤18は、透光性を有しており、好ましくは、透明である。
【0083】
封止剤18の材料としては、例えば、エチレン酢酸ビニル(EVA; Ethylene-vinyl acetate)、ポリオレフィン、ブチルゴム、シリコーン樹脂、ポリビニルブチラール等が挙げられる。
【0084】
(封止縁材19)
封止縁材19は、バックシート11とバリアシート17との間に複数の発電部2及び封止剤18を配置した状態で、外縁を全長にわたって封止する。封止縁材19は、
図2(A)に示すように、第1接着部191と、第2接着部192と、第1接着部191と第2接着部192とをつなぐ封着部193と、を備える。第1接着部191は、バリアシート17のおもて面(図では上面)に接着される。第2接着部192は、バックシート11のうら面(図では下面)に接着される。第1接着部191、封着部193及び第2接着部192は、一体に形成されている。
【0085】
封止縁材19の材料としては、例えば、ブチルゴム、シリコーンゴム等からなるテープ材が挙げられる。
【0086】
(導電部6)
導電部6は、シート部材5に生じた静電気を接地フレーム40に流すための導体である。導電部6は、接地フレーム40に電気的に接続されている。導電部6の電気伝導率は、発電部2の電気伝導率よりも大きいことが好ましい。
【0087】
本実施形態に係る導電部6は、上述したように、シート部材5で構成されている。導電部6は、導電性粒子を含有する導電樹脂で構成されている。導電性粒子としては、例えば、スズ、亜鉛、銀、カーボンから選択される少なくとも1つを含有する。また、本実施形態に係る導電樹脂は、プラスチックフィルム、ポリ塩化ビニル、ポリオレフィン、ポリエステル、ナイロン等、又はこれらの複合材料をマトリックス樹脂としている。本実施形態では、透明なマトリックス樹脂に、導電性粒子が分散されているため、透明性を保ちながら、導電性を有する樹脂とすることができる。
【0088】
導電部6は、発電部2に対して、近接する一方で、非接触となるように配置されている。本実施形態では、発電部2と導電部6との間に、封止剤18及びバックシート11が介在しているため、発電部2と導電部6とは非接触である。ここにおいて、本明細書でいう「近接」とは、静電気を、発電部2よりも先に導電部6に至らせることが可能な距離を意味する。発電部2に対して、導電部6が厚さ方向に重なる場合の「近接」は、発電部2と導電部6との間の最小距離が、発電部2の厚さの10倍以下であることをいう。ただし、太陽光発電シート10として、可撓性や取り扱い性の観点では、発電部2と導電部6との間の最小距離は、より小さいことが好ましい。発電部2と導電部6との間の最小距離は、発電部2と導電部6との間に、封止剤18のみが介在するよりも、封止剤18とバックシート11とが介在する場合のほうが、より小さくすることができる。
【0089】
シート部材5は、接地フレーム40に対して、電気的に接続されているため、シート部材5上で生じた静電気は、接地フレーム40を介して、大地に伝わる。これにより、静電気が、発電部2に流れることが抑制できるため、発電部2の損傷を抑制できる。
【0090】
<変形例>
上記実施形態は、本発明の様々な実施形態の一つに過ぎない。実施形態は、本発明の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。以下、実施形態の変形例を列挙する。以下に説明する変形例は、適宜組み合わせて適用可能である。
【0091】
(変形例1)
上記実施形態では、接地フレーム40は、シート部材5の下から接触し、これによってシート部材5を支持したが、例えば、
図3に示すように、接地フレーム40は、シート部材5の上から接触してもよい。
【0092】
本変形例に係るシート構造物100は、シート部材5と、封止剤18と、発電部2と、バリアシート17と、を備える。封止剤18、及び発電部2については、上記実施形態と同じである。本変形例では、発電シート体1は、フレーム4を上下方向の両側から挟むことで、フレーム4によって支持されている。
【0093】
シート部材5は、接地フレーム40の下から接触している。なお、本変形例では、バックシート11が設けられていないが、シート部材5がバックシート11を兼ねている。シート部材5は、上記実施形態と同様、透明なマトリックス樹脂と、導電性粒子とを含有する導電樹脂で構成されている。
【0094】
バリアシート17は、接地フレーム40の上から接触している。バリアシート17に用いられる材料としては、例えば、プラスチックフィルム、ポリ塩化ビニル、ポリオレフィン、ポリエステル、ナイロン等、又はこれらの複合材料を主成分とする。バリアシート17の厚さは、500μm以上であることが好ましく、より好ましくは、1000μm以上である。また、バリアシート17の厚さは、5000μm以下であることが好ましく、より好ましくは、2500μm以下である。
【0095】
また、バリアシート17は、引張強さが、0.1MPa以上であることが好ましく、より好ましくは1MPa以上である。また、引張り強さは、5000MPa以下であることが好ましく、より好ましくは4000MPa以下である。
【0096】
バリアシート17は、各発電部2に対して一対一で、発電部2を覆ってもよいが、本実施形態に係るバリアシート17は、水流れ方向に並ぶ複数の発電部2をまとめて覆い、かつ横方向に並ぶ複数の発電部2もまとめて覆うように構成されている。
【0097】
バリアシート17は、シート部材5と同様、透明なマトリックス樹脂と、導電性粒子と、を含有する導電樹脂で構成されている。すなわち、本変形例では、シート部材5及びバリアシート17が、導電部6を構成している。
【0098】
本変形例では、シート部材5及びバリアシート17は、接地フレーム40に対して、電気的に接続されている。このため、シート部材5で生じた静電気は、接地フレーム40を介して、大地に伝わる。これにより、静電気が、発電部2に流れることが抑制できるため、発電部2の損傷を抑制できる。
【0099】
(変形例2)
上記実施形態では、シート部材5に対して、バックシート11が対向するように、太陽光発電シート10が取り付けられたが、
図4に示すように、バックシート11を省略して、シート部材5がバックシート11を兼ねてもよい。導電部6であるシート部材5と、発電部2と、の間には、封止剤18のみが介在しており、これによって、導電部6と発電部2とは非接触である。このような構成であっても、上記実施形態と同等の効果を奏することができる。
【0100】
本変形例では、シート部材5のみが導電部6を構成しているが、例えば、シート部材5、封止縁材19及びバリアシート17を、すべて、導電部6としてもよい。
【0101】
この場合、バリアシート17の材料としては、例えば、プラスチックフィルム、ポリ塩化ビニル、ポリオレフィン、ポリエステル、ナイロン等、又はこれらの複合材料をマトリックス樹脂とし、導電性粒子を分散するようにして含有してもよい。また、封止縁材19の材料としては、例えば、ブチルゴム、シリコーンゴム等に、導電性粒子を含有した材料を用いてもよいし、金属製のテープを用いてもよい。
【0102】
(変形例3)
上記実施形態では、シート部材5が導電部6であったが、本変形例では、
図5に示すように、バリアシート17のみが導電部6である。
【0103】
バリアシート17は、導電性粒子を含有する導電樹脂によって構成されている。バリアシート17に用いられる材料としては、例えば、プラスチックフィルム、ビニルフィルムが挙げられる。バリアシート17と発電部2とは、互いに近接している一方、間に封止剤18が介在しており、互いに非接触である。
【0104】
バリアシート17は、電路7を介して接地フレーム40に電気的に接続されている。電路7としては、例えば、ケーブル、パターン配線、電線、ハーネス等が挙げられる。このように、バリアシート17は、電路7を介して接地フレーム40に電気的に接続されているため、静電気は、バリアシート17及び接地フレーム40を介して、大地に伝わる。これにより、静電気が、発電部2に流れることが抑制できるため、発電部2の損傷を抑制できる。
【0105】
(変形例4)
上記実施形態では、シート部材5が導電部6であったが、本変形例では、
図6(A)に示すように、導電部6は、金属膜によって構成されている。
【0106】
導電部6である金属膜は、発電部2に対して、近接する一方で非接触であり、かつ接地フレーム40に電気的に接続されている。金属膜としては、例えば、銅、アルミニウム、銀、ニッケル、チタン、インジウム、モリブデンから選択される少なくとも1つを含有する導体で構成される。
【0107】
導電部6は、バリアシート17のおもて面に設けられている。また、導電部6は、バリアシート17と封止縁材19との間に配置されている。より詳しく説明すると、導電部6は、バリアシート17のおもて面に固定されており、封止縁材19に被覆されている。導電部6は、例えば、バリアシート17の上面に蒸着されてもよいし、接着や圧入等により固定されてもよいし、バリアシート17に対して二色成形やインモールド成形等により一体化されてもよい。また、ボルト等の固定具によって、バリアシート17に固定されてもよい。
【0108】
金属膜の厚さは、例えば、0.01μm以上であることが好ましく、より好ましくは、0.05μm以上である。また、金属膜の厚さは、例えば、5μm以下であることが好ましく、より好ましくは、1μm以下である。
【0109】
導電部6は、
図6(B)に示すように、平面視において、発電部2を囲む。導電部6は、本変形例では、平面視略矩形枠状に形成されている。平面視において、導電部6と発電部2とが並ぶ場合の「近接」とは、発電部2と導電部6との間の最小距離が、35mm以下であることをいう。発電部2と導電部6との間の最小距離は、35mm以下であるが、好ましくは、30mm以下であり、より好ましくは25mm以下である。発電部2と導電部6との間の最小距離の下限値は、5mm以上であることが好ましく、より好ましくは、7.5mm以上であり、更に好ましくは、10mm以上である。
【0110】
発電部2と導電部6との間の最小距離が、5mm以上35mm以下であることにより、発電部2と導電部6とが短絡するのを防ぎながら、発電部2に向かって流れようとする静電気を、効果的に導電部6に導くことができる。これにより、静電気が、発電部2に流れることが抑制できるため、発電部2の損傷を抑制できる。とくに、導電部6として金属膜を用いることにより、導電部6が導電樹脂により構成されている場合と比べて、電気伝導率を比較的高くできるため、より好適に、静電気を逃がすことができる。
【0111】
(変形例5)
変形例4では、金属膜からなる導電部6が、バリアシート17の上面に設けられたが、本変形例では、
図7に示すように、金属膜からなる導電部6が、封止剤18に埋め込まれている。導電部6は、変形例4と同様、平面視において、発電部2を囲む。太陽光発電シート10の厚さ方向において、導電部6は、発電部2の厚さの範囲内にある。このような構成であっても、上記実施形態及び上記変形例と同等の効果を奏することができる。
【0112】
(変形例6)
変形例4では、金属膜からなる導電部6が、バリアシート17の上面に設けられたが、本変形例では、
図8に示すように、金属膜からなる導電部6が、シート部材5と、太陽光発電シート10との間に配置されている。より具体的には、導電部6は、封止縁材19とシート部材5との間に配置されている。導電部6は、変形例4と同様、平面視において、発電部2を囲む。このような構成であっても、上記実施形態及び上記変形例と同等の効果を奏することができる。
【0113】
なお、導電部6は、バックシート11とシート部材5との間に配置されてもよい。また、導電部6は、バックシート11の下面に対し、例えば、蒸着、接着、圧入等により固定されてもよいし、バックシート11に対して二色成形やインモールド成形等により一体化されてもよい。また、ボルト等の固定具によって、バックシート11に固定されてもよい。
【0114】
(その他の変形例)
導電部6は、上記実施形態及び上記変形例では、導電樹脂又は金属膜で構成されたが、例えば、複数の発電部2をつなぐ配電線(導電テープ)の一部をバリアシート17から露出させ、これを利用して、導電部6としてもよい。
【0115】
上記実施形態では、太陽光発電シート10の一形態として、ペロブスカイト化合物を含む光電変換層152を有する太陽光発電シート10を挙げて説明をしたが、可撓性を有する太陽電池シートであれば同等の効果を発揮することができる。また、シート構造物100としては、光により発電効果が得られる太陽光発電シート10だけでなく、光エネルギーを別のエネルギーに変換するシート(光エネルギー変換シート)であればよい。光エネルギー変換シートとしては、太陽光発電シート10のほか、例えば、光エネルギーを熱エネルギーに変換する光発熱シート(太陽光駆動型熱電変換デバイス)等が挙げられる。
【0116】
本明細書にて、「平行」とは、実質的に「平行」であることを意味し、対象の直線、面が、延長しても交差しない場合だけでなく、延長した場合に、10°以内の範囲で交差することも含まれる。
【0117】
また、本明細書において「端部」及び「端」などのように、「…部」の有無で区別した表現が用いられている。例えば、「端」は物体の末の部分を意味するが、「端部」は「端」を含む一定の範囲を持つ域を意味する。端を含む一定の範囲内にある点であれば、いずれも、「端部」であるとする。他の「…部」を伴った表現についても同様である。
【0118】
(作用効果)
以上説明したように、上記実施形態及び変形例に係るシート構造物100では、発電シート体1は、導電部6を有する。導電部6は、発電部2に対して近接するが非接触であり、かつ接地フレーム40に電気的に接続される。このため、シート部材5上で生じた静電気は、接地フレーム40を介して、大地に伝わる。これにより、静電気が、発電部2に流れることが抑制できるため、静電気によって発電部2が損傷するのを抑制できる。
【0119】
また、変形例4~6に係るシート構造物100では、導電部6が金属膜で構成されているため、より効果的に静電気を逃がすことができる。また、シート部材5等を導電樹脂とする場合に比べて、導電部6を少なくすることができるため、コストダウンを行うことができる。
【0120】
また、変形例4~6に係るシート構造物100では、発電部2と導電部6との間の最小距離は、5mm以上35mm以下であるため、発電部2と導電部6とが短絡するのを防ぎながら、発電部2に向かって流れようとする静電気を導電部6に導くことができる。
【0121】
また、上記実施形態及び変形例1~3に係るシート構造物100では、導電部6が導電樹脂であるため、導電部6を金属膜で構成する場合に比べて、軽量化を保ちながら、導電部6の面積を大きくすることができるため、全体の軽さを保ちつつも、広い範囲で発電部2を静電気から保護することができる。
【0122】
また、上記実施形態及び上記変形例に係るシート構造物100では、発電部2が、ペロブスカイト化合物を含むため、発電効率が損なわれることが抑制できる。
【符号の説明】
【0123】
1 発電シート体
17 バリアシート
2 発電部
3 躯体
4 フレーム
40 接地フレーム
5 シート部材
6 導電部
100 シート構造物