(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2026-03-23
(45)【発行日】2026-03-31
(54)【発明の名称】リニアモーター、レンズ鏡筒、及び駆動装置
(51)【国際特許分類】
H02K 33/18 20060101AFI20260324BHJP
G02B 7/04 20210101ALI20260324BHJP
G02B 7/08 20210101ALI20260324BHJP
【FI】
H02K33/18 A
G02B7/04 E
G02B7/08 B
(21)【出願番号】P 2021212512
(22)【出願日】2021-12-27
【審査請求日】2024-12-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125254
【氏名又は名称】別役 重尚
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 恭輔
【審査官】▲桑▼原 恭雄
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2019-0121098(KR,A)
【文献】特開平07-039129(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0102681(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 33/18
G02B 7/04
G02B 7/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
主軸方向に推力を発生させるリニアモーターであって、
巻芯方向を前記主軸方向に略一致させて配置されたコイル部と、
前記コイル部の内側の領域で、前記主軸方向に延在するように配置されたセンターヨーク部と、
前記コイル部の外側の領域で前記センターヨーク部に略対向する位置に、主磁化方向を前記主軸方向と直交方向に向けて配置されたメイン磁石と、
前記メイン磁石に対して、前記メイン磁石の主磁化方向で前記センターヨーク部と略対向する側の磁化面の反対側の磁化面に略隣接するように配置されたバックヨーク部と、
前記主軸方向において前記メイン磁石に略隣接し、夫々の主磁化方向を、前記メイン磁石の主磁化方向について、前記バックヨーク部と対向する側から、前記主軸方向に向けて0°より大きく且つ90°以内で倒した方向に揃えた姿勢で配置された2つのサブ磁石と、
夫々が、前記主軸方向において前記メイン磁石と前記2つのサブ磁石とから成る磁石群の前後の位置で、前記センターヨーク部及び前記バックヨーク部に略隣接するように配置された2箇所のサイドヨーク部と、を備え、
前記メイン磁石は、前記2つのサブ磁石の夫々と略隣接する面の一部又は全部が、前記メイン磁石の主磁化方向における前記バックヨーク部と対向する側において、前記メイン磁石の内側に傾斜しており、
前記2つのサブ磁石は、前記メイン磁石と略隣接する面の少なくとも一部が、前記メイン磁石の主磁化方向における前記センターヨーク部と対向する側において、前記2つのサブ磁石の夫々の内側に傾斜しており、
前記主軸方向において、前記2つのサブ磁石の夫々の前記バックヨーク部と略隣接する面の長さは、前記メイン磁石の前記バックヨーク部と略隣接する面の長さよりも短いことを特徴とするリニアモーター。
【請求項2】
前記主軸方向において、前記2つのサブ磁石の夫々の前記バックヨーク部と略隣接する面の長さの合計は、前記メイン磁石の前記バックヨーク部と略隣接する面の長さよりも短いことを特徴とする請求項1に記載のリニアモーター。
【請求項3】
主軸方向に推力を発生させるリニアモーターであって、
巻芯方向を前記主軸方向に略一致させて配置されたコイル部と、
前記コイル部の内側の領域で、前記主軸方向に延在するように配置されたセンターヨーク部と、
前記コイル部の外側の領域で前記センターヨーク部に略対向する位置に、主磁化方向を前記主軸方向と直交方向に向けて配置されたメイン磁石と、
前記メイン磁石に対して、前記メイン磁石の主磁化方向で前記センターヨーク部と略対向する側の磁化面の反対側の磁化面に略隣接するように配置されたバックヨーク部と、
前記主軸方向において前記メイン磁石に略隣接し、夫々の主磁化方向を、前記メイン磁石の主磁化方向について、前記バックヨーク部と対向する側から、前記主軸方向に向けて0°より大きく且つ90°以内で倒した方向に揃えた姿勢で配置された2つのサブ磁石と、
夫々が、前記主軸方向において前記メイン磁石と前記2つのサブ磁石とから成る磁石群の前後の位置で、前記センターヨーク部及び前記バックヨーク部に略隣接するように配置された2箇所のサイドヨーク部と、を備え、
前記メイン磁石は、前記2つのサブ磁石の夫々と略隣接する面の一部又は全部が、前記メイン磁石の主磁化方向における前記バックヨーク部と対向する側において、前記メイン磁石の内側に傾斜しており、
前記2つのサブ磁石は、前記メイン磁石と略隣接する面の少なくとも一部が、前記メイン磁石の主磁化方向における前記センターヨーク部と対向する側において、前記2つのサブ磁石の夫々の内側に傾斜しており、 前記メイン磁石の主磁化方向に相当する高さ方向における、前記2つのサブ磁石の夫々の高さは、前記メイン磁石の高さよりも低
く、
前記高さ方向において前記2つのサブ磁石が前記メイン磁石の高さよりも低くなった分の空いたスペースで、前記2つのサブ磁石、前記メイン磁石、及び前記バックヨーク部を互いに接着し固定することを特徴とするリニアモーター。
【請求項4】
主軸方向に推力を発生させるリニアモーターであって、
巻芯方向を前記主軸方向に略一致させて配置されたコイル部と、
前記コイル部の内側の領域で、前記主軸方向に延在するように配置されたセンターヨーク部と、
前記コイル部の外側の領域で前記センターヨーク部に略対向する位置に、主磁化方向を前記主軸方向と直交方向に向けて配置されたメイン磁石と、
前記メイン磁石に対して、前記メイン磁石の主磁化方向で前記センターヨーク部と略対向する側の磁化面の反対側の磁化面に略隣接するように配置されたバックヨーク部と、
前記主軸方向において前記メイン磁石に略隣接し、夫々の主磁化方向を、前記メイン磁石の主磁化方向について、前記バックヨーク部と対向する側から、前記主軸方向に向けて0°より大きく且つ90°以内で倒した方向に揃えた姿勢で配置された2つのサブ磁石と、
夫々が、前記主軸方向において前記メイン磁石と前記2つのサブ磁石とから成る磁石群の前後の位置で、前記センターヨーク部及び前記バックヨーク部に略隣接するように配置された2箇所のサイドヨーク部と、を備え、
前記メイン磁石は、前記2つのサブ磁石の夫々と略隣接する面の一部又は全部が、前記メイン磁石の主磁化方向における前記バックヨーク部と対向する側において、前記メイン磁石の内側に傾斜しており、
前記2つのサブ磁石は、前記メイン磁石と略隣接する面の少なくとも一部が、前記メイン磁石の主磁化方向における前記センターヨーク部と対向する側において、前記2つのサブ磁石の夫々の内側に傾斜しており、 前記メイン磁石と前記2つのサブ磁石とから成る磁石群を、前記主軸方向の前後に配置される前記2箇所のサイドヨーク部の一方に対してオフセット配置することを特徴とするリニアモーター。
【請求項5】
前記バックヨーク部は、前記主軸方向における長さが前記メイン磁石よりも長いことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のリニアモーター。
【請求項6】
前記主軸方向と前記メイン磁石の主磁化方向とに直交する幅方向における、前記2つのサブ磁石の夫々の幅は、前記メイン磁石の幅よりも小さいことを特徴とする請求項1乃至
5のいずれか1項に記載のリニアモーター。
【請求項7】
前記幅方向において前記2つのサブ磁石が前記メイン磁石の幅よりも小さくなった分の空いたスペースで、前記2つのサブ磁石、前記メイン磁石、及び前記バックヨーク部を互いに接着し固定することを特徴とする請求項
6記載のリニアモーター。
【請求項8】
前記2つのサブ磁石の夫々と前記2箇所のサイドヨーク部の間に配置された圧縮支持部材を有することを特徴とする請求項1乃至
7のいずれか1項に記載のリニアモーター。
【請求項9】
前記メイン磁石と前記2つのサブ磁石の間に配置された圧縮支持部材を有することを特徴とする請求項1乃至
8のいずれか1項に記載のリニアモーター。
【請求項10】
前記コイル部を固定する対象である移動体と、
前記コイル部の前記主軸方向における一方の端に固定された前記移動体の支持部とをさらに備え、
前記磁石群を、前記コイル部の前記主軸方向における他方の端側にオフセットさせることを特徴とする請求項
4記載のリニアモーター。
【請求項11】
前記コイル部は、前記メイン磁石と前記2つのサブ磁石とから成る磁石群及び前記センターヨーク部、前記バックヨーク部、及び前記サイドヨーク部から成るヨーク群に対して前記主軸方向に相対的に移動可能に配置されることを特徴とする請求項1乃至
10のいずれか1項に記載のリニアモーター。
【請求項12】
前記バックヨーク部において、前記主軸方向における中央付近の領域において、両端部の領域よりも、前記メイン磁石の主磁化方向に相当する高さ方向の高さを低くすることを特徴とする請求項1乃至11のいずれか1項に記載のリニアモーター。
【請求項13】
前記2つのサブ磁石のそれぞれの主磁化方向が、0°より大きく且つ90°未満で倒した方向であることを特徴とする請求項1乃至12のいずれか1項に記載のリニアモーター。
【請求項14】
レンズと、
前記レンズを保持し前記レンズの光軸方向に移動可能なレンズホルダーと、
前記レンズホルダーを移動可能に支持する固定部と、
前記光軸方向に推力を発生させて前記レンズホルダーを駆動するリニアモーターと、をさらに備え、
前記リニアモーターは、巻芯方向を前記光軸方向に略一致させて配置されたコイル部と、前記コイル部の内側の領域で、前記光軸方向に延在するように配置されたセンターヨーク部と、前記コイル部の外側の領域で前記センターヨーク部に略対向する位置に、主磁化方向を前記光軸方向と直交方向に向けて配置されたメイン磁石と、前記メイン磁石に対して、前記メイン磁石の主磁化方向で前記センターヨーク部と略対向する側の磁化面の反対側の磁化面に略隣接するように配置されたバックヨーク部と、前記光軸方向において前記メイン磁石に略隣接し、夫々の主磁化方向を、前記メイン磁石の主磁化方向について、前記バックヨーク部と対向する側から、前記光軸方向に向けて0°より大きく且つ90°以内で倒した方向に揃えた姿勢で配置された2つのサブ磁石と、夫々が、前記光軸方向において前記メイン磁石と前記2つのサブ磁石とから成る磁石群の前後の位置で、前記センターヨーク部及び前記バックヨーク部に略隣接するように配置された2箇所のサイドヨーク部と、を備え、
前記メイン磁石は、前記2つのサブ磁石の夫々と略隣接する面の少なくとも一部が、前記メイン磁石の主磁化方向における前記バックヨーク部と対向する側において、前記メイン磁石の内側に傾斜しており、
前記2つのサブ磁石は、前記メイン磁石と略隣接する面の少なくとも一部が、前記メイン磁石の主磁化方向における前記センターヨーク部と対向する側において、前記2つのサブ磁石の夫々の内側に傾斜しており、
前記メイン磁石、前記2つのサブ磁石、前記センターヨーク部、前記バックヨーク部、前記サイドヨーク部から成る磁気回路部及び前記コイル部の一方が前記固定部に固定され、前記磁気回路部及び前記コイル部の他方が前記レンズホルダーに固定されて
おり、
前記光軸方向において、前記2つのサブ磁石の夫々の前記バックヨーク部と略隣接する面の長さは、前記メイン磁石の前記バックヨーク部と略隣接する面の長さよりも短いことを特徴とするレンズ鏡筒。
【請求項15】
レンズと、
前記レンズを保持し前記レンズの光軸方向に移動可能なレンズホルダーと、
前記レンズホルダーを移動可能に支持する固定部と、
前記光軸方向に推力を発生させて前記レンズホルダーを駆動するリニアモーターと、をさらに備え、
前記リニアモーターは、巻芯方向を前記光軸方向に略一致させて配置されたコイル部と、前記コイル部の内側の領域で、前記光軸方向に延在するように配置されたセンターヨーク部と、前記コイル部の外側の領域で前記センターヨーク部に略対向する位置に、主磁化方向を前記光軸方向と直交方向に向けて配置されたメイン磁石と、前記メイン磁石に対して、前記メイン磁石の主磁化方向で前記センターヨーク部と略対向する側の磁化面の反対側の磁化面に略隣接するように配置されたバックヨーク部と、前記光軸方向において前記メイン磁石に略隣接し、夫々の主磁化方向を、前記メイン磁石の主磁化方向について、前記バックヨーク部と対向する側から、前記光軸方向に向けて0°より大きく且つ90°以内で倒した方向に揃えた姿勢で配置された2つのサブ磁石と、夫々が、前記光軸方向において前記メイン磁石と前記2つのサブ磁石とから成る磁石群の前後の位置で、前記センターヨーク部及び前記バックヨーク部に略隣接するように配置された2箇所のサイドヨーク部と、を備え、
前記メイン磁石は、前記2つのサブ磁石の夫々と略隣接する面の少なくとも一部が、前記メイン磁石の主磁化方向における前記バックヨーク部と対向する側において、前記メイン磁石の内側に傾斜しており、
前記2つのサブ磁石は、前記メイン磁石と略隣接する面の少なくとも一部が、前記メイン磁石の主磁化方向における前記センターヨーク部と対向する側において、前記2つのサブ磁石の夫々の内側に傾斜しており、
前記メイン磁石、前記2つのサブ磁石、前記センターヨーク部、前記バックヨーク部、前記サイドヨーク部から成る磁気回路部及び前記コイル部の一方が前記固定部に固定され、前記磁気回路部及び前記コイル部の他方が前記レンズホルダーに固定されており、
前記メイン磁石の主磁化方向に相当する高さ方向における、前記2つのサブ磁石の夫々の高さは、前記メイン磁石の高さよりも低く、
前記高さ方向において前記2つのサブ磁石が前記メイン磁石の高さよりも低くなった分の空いたスペースで、前記2つのサブ磁石、前記メイン磁石、及び前記バックヨーク部を互いに接着し固定することを特徴とするレンズ鏡筒。
【請求項16】
レンズと、
前記レンズを保持し前記レンズの光軸方向に移動可能なレンズホルダーと、
前記レンズホルダーを移動可能に支持する固定部と、
前記光軸方向に推力を発生させて前記レンズホルダーを駆動するリニアモーターと、をさらに備え、
前記リニアモーターは、巻芯方向を前記光軸方向に略一致させて配置されたコイル部と、前記コイル部の内側の領域で、前記光軸方向に延在するように配置されたセンターヨーク部と、前記コイル部の外側の領域で前記センターヨーク部に略対向する位置に、主磁化方向を前記光軸方向と直交方向に向けて配置されたメイン磁石と、前記メイン磁石に対して、前記メイン磁石の主磁化方向で前記センターヨーク部と略対向する側の磁化面の反対側の磁化面に略隣接するように配置されたバックヨーク部と、前記光軸方向において前記メイン磁石に略隣接し、夫々の主磁化方向を、前記メイン磁石の主磁化方向について、前記バックヨーク部と対向する側から、前記光軸方向に向けて0°より大きく且つ90°以内で倒した方向に揃えた姿勢で配置された2つのサブ磁石と、夫々が、前記光軸方向において前記メイン磁石と前記2つのサブ磁石とから成る磁石群の前後の位置で、前記センターヨーク部及び前記バックヨーク部に略隣接するように配置された2箇所のサイドヨーク部と、を備え、
前記メイン磁石は、前記2つのサブ磁石の夫々と略隣接する面の少なくとも一部が、前記メイン磁石の主磁化方向における前記バックヨーク部と対向する側において、前記メイン磁石の内側に傾斜しており、
前記2つのサブ磁石は、前記メイン磁石と略隣接する面の少なくとも一部が、前記メイン磁石の主磁化方向における前記センターヨーク部と対向する側において、前記2つのサブ磁石の夫々の内側に傾斜しており、
前記メイン磁石、前記2つのサブ磁石、前記センターヨーク部、前記バックヨーク部、前記サイドヨーク部から成る磁気回路部及び前記コイル部の一方が前記固定部に固定され、前記磁気回路部及び前記コイル部の他方が前記レンズホルダーに固定されており、
前記メイン磁石と前記2つのサブ磁石とから成る磁石群を、前記光軸方向の前後に配置される前記2箇所のサイドヨーク部の一方に対してオフセット配置することを特徴とするレンズ鏡筒。
【請求項17】
移動体と、
前記移動体を所定方向に移動可能に支持する固定部と、
前記所定方向に推力を発生させて前記移動体を駆動するリニアモーターと、を備え、
リニアモーターは、巻芯方向を前記所定方向に略一致させて配置されたコイル部と、前記コイル部の内側の領域で、前記所定方向に延在するように配置されたセンターヨーク部と、前記コイル部の外側の領域で前記センターヨーク部に略対向する位置に、主磁化方向を前記所定方向と直交方向に向けて配置されたメイン磁石と、前記メイン磁石に対して、前記メイン磁石の主磁化方向で前記センターヨーク部と略対向する側の磁化面の反対側の磁化面に略隣接するように配置されたバックヨーク部と、前記所定方向において前記メイン磁石に略隣接し、夫々の主磁化方向を、前記メイン磁石の主磁化方向について、前記バックヨーク部と対向する側から、前記所定方向に向けて0°より大きく且つ90°以内で倒した方向に揃えた姿勢で配置された2つのサブ磁石と、夫々が、前記所定方向において前記メイン磁石と前記2つのサブ磁石とから成る磁石群の前後の位置で、前記センターヨーク部及び前記バックヨーク部に略隣接するように配置された2箇所のサイドヨーク部と、を備え、
前記メイン磁石は、前記2つのサブ磁石の夫々と略隣接する面の少なくとも一部が、前記メイン磁石の主磁化方向における前記バックヨーク部と対向する側において、前記メイン磁石の内側に傾斜しており、
前記2つのサブ磁石は、前記メイン磁石と略隣接する面の少なくとも一部が、前記メイン磁石の主磁化方向における前記センターヨーク部と対向する側において、前記2つのサブ磁石の夫々の内側に傾斜しており、
前記メイン磁石、前記2つのサブ磁石、前記センターヨーク部、前記バックヨーク部、前記サイドヨーク部から成る磁気回路部、及び前記コイル部の一方が前記移動体に固定され、前記磁気回路部及び前記コイル部その他方が前記固定部に固定されて
おり、
前記所定方向において、前記2つのサブ磁石の夫々の前記バックヨーク部と略隣接する面の長さは、前記メイン磁石の前記バックヨーク部と略隣接する面の長さよりも短いことを特徴とする駆動装置。
【請求項18】
移動体と、
前記移動体を所定方向に移動可能に支持する固定部と、
前記所定方向に推力を発生させて前記移動体を駆動するリニアモーターと、を備え、
リニアモーターは、巻芯方向を前記所定方向に略一致させて配置されたコイル部と、前記コイル部の内側の領域で、前記所定方向に延在するように配置されたセンターヨーク部と、前記コイル部の外側の領域で前記センターヨーク部に略対向する位置に、主磁化方向を前記所定方向と直交方向に向けて配置されたメイン磁石と、前記メイン磁石に対して、前記メイン磁石の主磁化方向で前記センターヨーク部と略対向する側の磁化面の反対側の磁化面に略隣接するように配置されたバックヨーク部と、前記所定方向において前記メイン磁石に略隣接し、夫々の主磁化方向を、前記メイン磁石の主磁化方向について、前記バックヨーク部と対向する側から、前記所定方向に向けて0°より大きく且つ90°以内で倒した方向に揃えた姿勢で配置された2つのサブ磁石と、夫々が、前記所定方向において前記メイン磁石と前記2つのサブ磁石とから成る磁石群の前後の位置で、前記センターヨーク部及び前記バックヨーク部に略隣接するように配置された2箇所のサイドヨーク部と、を備え、
前記メイン磁石は、前記2つのサブ磁石の夫々と略隣接する面の少なくとも一部が、前記メイン磁石の主磁化方向における前記バックヨーク部と対向する側において、前記メイン磁石の内側に傾斜しており、
前記2つのサブ磁石は、前記メイン磁石と略隣接する面の少なくとも一部が、前記メイン磁石の主磁化方向における前記センターヨーク部と対向する側において、前記2つのサブ磁石の夫々の内側に傾斜しており、
前記メイン磁石、前記2つのサブ磁石、前記センターヨーク部、前記バックヨーク部、前記サイドヨーク部から成る磁気回路部、及び前記コイル部の一方が前記移動体に固定され、前記磁気回路部及び前記コイル部その他方が前記固定部に固定されており、
前記メイン磁石の主磁化方向に相当する高さ方向における、前記2つのサブ磁石の夫々の高さは、前記メイン磁石の高さよりも低く、
前記高さ方向において前記2つのサブ磁石が前記メイン磁石の高さよりも低くなった分の空いたスペースで、前記2つのサブ磁石、前記メイン磁石、及び前記バックヨーク部を互いに接着し固定することを特徴とする駆動装置。
【請求項19】
移動体と、
前記移動体を所定方向に移動可能に支持する固定部と、
前記所定方向に推力を発生させて前記移動体を駆動するリニアモーターと、を備え、
リニアモーターは、巻芯方向を前記所定方向に略一致させて配置されたコイル部と、前記コイル部の内側の領域で、前記所定方向に延在するように配置されたセンターヨーク部と、前記コイル部の外側の領域で前記センターヨーク部に略対向する位置に、主磁化方向を前記所定方向と直交方向に向けて配置されたメイン磁石と、前記メイン磁石に対して、前記メイン磁石の主磁化方向で前記センターヨーク部と略対向する側の磁化面の反対側の磁化面に略隣接するように配置されたバックヨーク部と、前記所定方向において前記メイン磁石に略隣接し、夫々の主磁化方向を、前記メイン磁石の主磁化方向について、前記バックヨーク部と対向する側から、前記所定方向に向けて0°より大きく且つ90°以内で倒した方向に揃えた姿勢で配置された2つのサブ磁石と、夫々が、前記所定方向において前記メイン磁石と前記2つのサブ磁石とから成る磁石群の前後の位置で、前記センターヨーク部及び前記バックヨーク部に略隣接するように配置された2箇所のサイドヨーク部と、を備え、
前記メイン磁石は、前記2つのサブ磁石の夫々と略隣接する面の少なくとも一部が、前記メイン磁石の主磁化方向における前記バックヨーク部と対向する側において、前記メイン磁石の内側に傾斜しており、
前記2つのサブ磁石は、前記メイン磁石と略隣接する面の少なくとも一部が、前記メイン磁石の主磁化方向における前記センターヨーク部と対向する側において、前記2つのサブ磁石の夫々の内側に傾斜しており、
前記メイン磁石、前記2つのサブ磁石、前記センターヨーク部、前記バックヨーク部、前記サイドヨーク部から成る磁気回路部、及び前記コイル部の一方が前記移動体に固定され、前記磁気回路部及び前記コイル部その他方が前記固定部に固定されており、
前記メイン磁石と前記2つのサブ磁石とから成る磁石群を、前記所定方向の前後に配置される前記2箇所のサイドヨーク部の一方に対してオフセット配置することを特徴とする駆動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リニアモーター、レンズ鏡筒、及び駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
リニアモーターは、主として一方向に力を発生するモーターであり、小型ではMEMS等の微小デバイス等から大型ではリニアモーターカーの駆動機構等まで、様々な形態で実用化されており、産業上の広い分野で活用されている。リニアモーターは専ら直線的に駆動するアプリケーションで使用されることが多く、リニアガイド機構と組み合わされて使用されることが多い。
【0003】
リニアモーターは、推力の発生原理で分類すると、電磁式、圧力式、摩擦式、引張・押出式等に分類され、また、駆動範囲で分類すると、有限軌道、無限軌道等に分類される。また、いわゆるラックアンドピニオンやタイヤ等の機構を利用して、通常の回転モーターの推力を直線的な推力に変換して用いるデバイスも広義にはリニアモーター(リニアアクチュエータ)に分類されることもある。
【0004】
リニアモーターの使用例として、レンズ鏡筒内のフォーカス機構がある。レンズ鏡筒においては、撮影時に所望の位置の被写体に対してピントを合わせるために、その内部にあるフォーカスレンズ群をカメラの撮像素子に対して直交する光軸上で前後に移動調整するフォーカス動作が行われる。このフォーカスレンズ群の移動調整にリニアモーターが使用される。
【0005】
レンズ鏡筒内のフォーカス機構に用いられるリニアモーターに必要な条件として、レンズ鏡筒内に収まるサイズであること、フォーカスレンズ群を移動調整するのに十分な推力の最高出力や分解能を備えていること、静粛であること等がある。これらの条件を満たすため、上記の分類のうち、有限軌道の電磁式のリニアモーター、特に、永久磁石とコイルの組み合わせによりローレンツ力を発生させる、一般にボイスコイルモーター(VCM)と呼ばれるものが使用される場合がある。
【0006】
VCMは無通電時には推力を発生しないため、レンズ鏡筒内のフォーカス機構としてVCMを用いる場合、使用中、常にVCMに通電を行いフォーカスレンズ群を保持する必要がある。このため、撮影シーンによっては、他の摩擦式の超音波モーターをレンズ鏡筒内のフォーカス機構に使用した場合と比べて、多量の電力を消費してカメラのバッテリの消費を早めてしまう場合がある。よって、レンズ鏡筒内のフォーカス機構としてVCMを用いる場合、VCMの電力効率の向上が求められる。
【0007】
有限軌道のVCMを外形サイズを大きくせずに電力効率を向上させるには、永久磁石とヨークで構成される磁気回路の効率(以下単に磁気効率と呼称する)、すなわちVCMのコイル領域の推力の発生に寄与する磁束の密度をいかに高められるかが鍵となる。尚、ここでの磁気回路とは、空間中の磁束の流れを回路中の電流の流れに例えた表現であり、各地点における磁束密度の向きと大きさを示すが、永久磁石とヨークの組み合わせそのものも示す。また、一般的な有限軌道のVCMにおいては、駆動ストロークにおける中央部に比して両端部側で相対的に磁気効率が低下することが知られており、これを抑えることも実用上重要な点となっている(例えば特許文献1参照)。
【0008】
有限軌道のVCMの磁気効率を高める構成例としては、レンズ鏡筒内のフォーカス機構に用いる場合と比べストローク量等が大きく異なる構成ではあるが、磁石をハルバッハ配列の概念を応用した配列とする構成が知られている(例えば特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特開2021-175244号公報
【文献】特開2020-185503号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、特許文献1のVCMでは、駆動ストロークにおける磁気効率を均一化させるべく駆動ストロークの中央部の磁気効率を低下させているため、電力効率が全体として悪くなるという課題がある。また、特許文献2の構成では別途磁石を固定するための固定手段を必要とするため、リニアモーターの外形サイズが大きくなりやすいという課題がある。
【0011】
よって本発明は、外形サイズの大型化を抑制しつつ電力効率を向上させることができるリニアモーター、レンズ鏡筒、及び駆動装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するため、本発明の請求項1に係るリニアモーターは、主軸方向に推力を発生させるリニアモーターであって、巻芯方向を前記主軸方向に略一致させて配置されたコイル部と、前記コイル部の内側の領域で、前記主軸方向に延在するように配置されたセンターヨーク部と、前記コイル部の外側の領域で前記センターヨーク部に略対向する位置に、主磁化方向を前記主軸方向と直交方向に向けて配置されたメイン磁石と、前記メイン磁石に対して、前記メイン磁石の主磁化方向で前記センターヨーク部と略対向する側の磁化面の反対側の磁化面に略隣接するように配置されたバックヨーク部と、前記主軸方向において前記メイン磁石に略隣接し、夫々の主磁化方向を、前記メイン磁石の主磁化方向について、前記バックヨーク部と対向する側から、前記主軸方向に向けて0°より大きく且つ90°以内で倒した方向に揃えた姿勢で配置された2つのサブ磁石と、夫々が、前記主軸方向において前記メイン磁石と前記2つのサブ磁石とから成る磁石群の前後の位置で、前記センターヨーク部及び前記バックヨーク部に略隣接するように配置された2箇所のサイドヨーク部と、を備え、前記メイン磁石は、前記2つのサブ磁石の夫々と略隣接する面の一部又は全部が、前記メイン磁石の主磁化方向における前記バックヨーク部と対向する側において、前記メイン磁石の内側に傾斜しており、前記2つのサブ磁石は、前記メイン磁石と略隣接する面の少なくとも一部が、前記メイン磁石の主磁化方向における前記センターヨーク部と対向する側において、前記2つのサブ磁石の夫々の内側に傾斜しており、前記主軸方向において、前記2つのサブ磁石の夫々の前記バックヨーク部と略隣接する面の長さは、前記メイン磁石の前記バックヨーク部と略隣接する面の長さよりも短い。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、外形サイズの大型化を抑制しつつ電力効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】実施例1に係るレンズ鏡筒と、これを装着するカメラとの組み合わせであるカメラシステムの模式図である。
【
図2】レンズ鏡筒の内部にある、実施例1に係るリニアモーターを備えたフォーカス機構の分解斜投影図である。
【
図3】
図2のフォーカス機構を光軸上の被写体側から見た正面図である。
【
図4】実施例1に係るリニアモーターの模式図である。
【
図5】従来例に係るリニアモーターの模式図である。
【
図6】リニアモーターにおける推力の発生原理を示す説明図である。
【
図7】従来例に係るリニアモーターの推力特性と実施例1に係るリニアモーターの推力特性を示すグラフである。
【
図8】実施例1に係るリニアモーターにおける各磁石に作用する力を示す説明図である。
【
図9】実施例2に係るリニアモーターにおける磁石配列の第1の例を示す模式図である。
【
図10】実施例2に係るリニアモーターにおける磁石配列の第2の例を示す模式図である。
【
図11】実施例2に係るリニアモーターにおける磁石配列の第3の例を示す模式図である。
【
図12】実施例2に係るリニアモーターにおける磁石配列の第4の例を示す模式図である。
【
図13】実施例2に係るリニアモーターにおける磁石群の固定方法の説明図である。
【
図14】実施例2に係るリニアモーターの磁石群の補助的な固定構成を示す模式図である。
【
図15】実施例2に係るリニアモーターの磁石群をオフセットして固定する例を示す模式図である。
【
図16】実施例3に係るリニアモーターの構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を例示して説明する。
【0016】
(実施例1)
図1は、本実施例に係るレンズ鏡筒200と、これを装着するカメラ100との組み合わせであるカメラシステム10の模式図である。
【0017】
図1において、カメラシステム10は、カメラ100及びレンズ鏡筒200を備える。また
図1では、カメラシステム10の光軸11、カメラ100中の撮像素子110、レンズ鏡筒200中のレンズ群210(詳細は不図示)、及びレンズ群210中のフォーカスレンズ群211を夫々図示する。
【0018】
カメラシステム10において、カメラシステム10の光軸11に対して撮像素子110の撮像面がその中心付近で略直交する。また、カメラ100に対してレンズ鏡筒200を取り付けると、レンズ群210の光軸がカメラシステム10の光軸11に対して略一致する。
【0019】
この状態で、フォーカスレンズ群211が光軸11と平行な方向(以降、単に光軸11方向と呼称する)に前後移動すると、ここでは不図示の被写体に対するレンズ群210のピントが撮像素子110の撮像面上に略一致させられる。これにより、撮像素子110の撮像面上に被写体像が結像されて、鮮明な画像が撮影できるようになる。このような鮮明な画像を得るためにフォーカスレンズ群211を移動させてピントを合わせる動作のことを一般にフォーカス動作と呼ぶ。
【0020】
近年のカメラシステムにおいては、フォーカス動作を撮影者が目視確認と手入力を反復して行う、いわゆるマニュアルフォーカスだけでなく、電子制御によってフォーカス動作を自動で行う、いわゆるオートフォーカス(AF)が一般的である。カメラシステム10においても、このAFを行う機構として、レンズ鏡筒200の内部にフォーカスレンズ群211を光軸11方向に移動させるためのモーターを備えたフォーカス機構を備える。
【0021】
撮影者が快適にAFでピントを合わせて撮影を行うことを可能にするには、電子制御でフォーカスレンズ群211を精度良くかつ高速に移動させるため、フォーカス機構のモーターは十分に高い推力とその分解能を備える必要がある。また、撮影者の体感や動画撮影への影響を避けるために、フォーカス機構のモーターは静粛である必要がある。更に、レンズ鏡筒200を必要以上に大型化させないために、フォーカス機構のモーターはできるだけ小型であることが望ましい。
【0022】
尚、AFの性能を向上させる手法としては、上述したフォーカス機構のモーターの性能を向上させる手法の他に、被駆動物であるフォーカスレンズ群211を小型軽量化するという手法もある。しかし、後者の手法は光学設計に制約を加えるものであるため、前者の手法への要望は依然として高い。
【0023】
本実施例では、レンズ鏡筒200は、上記の要望に応えるべく、リニアモーターを備えたフォーカス機構を備えている。続けて、このフォーカス機構の詳細な構成について説明する。
【0024】
図2は、レンズ鏡筒200の内部にある、本実施例に係るリニアモーター230,240を備えたフォーカス機構220の分解斜投影図である。
【0025】
図2において、フォーカス機構220は、レンズホルダー221、固定筒222、蓋部品223、リニアモーター230,240、ガイドバー224a,224b、及びガイド部品群225a,225bを備える。
【0026】
レンズホルダー221は、フォーカスレンズ群211を光軸11方向に前後移動可能に保持する、フォーカス機構の移動体である。
【0027】
固定筒222及び蓋部品223は、レンズ鏡筒200自体を構成する鏡筒部品であり、フォーカス機構の固定部である。
【0028】
リニアモーター230,240は夫々、相対的な被駆動部であるコイル部230a,240a、及び相対的な駆動部である磁気回路部230b,240bにより構成される。
【0029】
本実施例では、レンズ鏡筒200の内部に、1つのフォーカスレンズ群211、それを駆動する1つのフォーカス機構220、そして、その1つのフォーカス機構220に設けられる2つのリニアモーター230,240が配置される構成を例示している。しかし、本発明のリニアモーターは、他にもフォーカスレンズ群が2つ以上の構成(いわゆるフローティングフォーカス構成)や、フォーカス機構毎にリニアモーターを1つ又は3つ以上備える構成にも適用することができる。
【0030】
本実施例のフォーカス機構220が2つのリニアモーター230,240を備える理由は、大きく分けて2つある。一つは、リニアモーター230,240を同時に駆動することでより大きい推力を得るためである。もう一つは、力の作用点をフォーカスレンズ群211を保持するレンズホルダー221の重心に対して略対称的に分散させることで、移動体であるレンズホルダー221の光軸11方向への移動中に不要な他の方向への力の発生を軽減するためである。
【0031】
ガイド部品群225a,225bは、夫々のガイドバー(224a,224b)に係合し、ガイドバー(224a,224b)の円筒面上で円筒軸方向に転動又はしゅう動する、詳細は不図示のベアリング車列及び付勢部材を有する部品群である。
【0032】
本実施例のフォーカス機構220においては、ガイドバー224a,224bが共に光軸11に対して略平行な姿勢で、互いに間隔を持った状態で固定筒222及び蓋部品223に対して固定される。また、2箇所のガイド部品群225a,225bは2本のガイドバー224a,224bに係合した状態で、レンズホルダー221に対して固定される。これにより、レンズホルダー221を光軸11に対して略平行な1方向のみに移動可能に保持するリニアガイド機構が構成される。尚、個々のガイド係合部の詳細は本発明の要部ではないため、本発明では詳細な図示及び説明を省略する。
【0033】
リニアモーター230,240は夫々、コイル部、永久磁石群、ヨーク群の組み合わせにより構成される。すなわちリニアモーター230,240は、永久磁石とコイルの組み合わせによりローレンツ力を発生して取り出して利用する、有限軌道であって、電磁式のいわゆるボイスコイルモーター(VCM)である。
【0034】
リニアモーター230,240においては、永久磁石群とヨーク群の組み合わせにより相対的な駆動部である磁気回路部230b,240bが構成され、これに対して相対的な被駆動部であるコイル部230a,240aが相対移動可能な配置となっている。フォーカス機構220においては、リニアモーター230,240が主な推力を発生する方向であるコイル部230a,240aがその相対移動方向が光軸11方向と揃う姿勢でフォーカス機構220の移動体であるレンズホルダー221に対して固定される。また、磁気回路部230b,240bは、フォーカス機構220の固定部である固定筒222又は蓋部品223のどちらか一方又は両方に対して固定される。これにより、フォーカス機構220において、リニアモーター230,240によりフォーカスレンズ群211が光軸11方向に駆動される構成となっている。
【0035】
尚、フォーカス機構220はリニアモーター230,240の磁気回路部230b,240bを固定側、コイル部230a,240aを移動側とする、いわゆるムービングコイル方式をとっているが、これに限定されない。例えば、フォーカス機構220のリニアモーターはその逆のムービングマグネット方式をとっても構わない。
【0036】
また、フォーカス機構220はその機能を発現するために他にも様々な部品を有する。例えばフォーカス機構220は不図示の位置検出機構を更に備えており、移動体に相当するレンズホルダー221の位置を検出しながらフィードバック制御等を行うことでフォーカスレンズ群211を目的の位置に移動させる制御を行う。また、フォーカス機構220は、リニアモーター230,240のコイル部230a,240aへの給電に用いられる不図示のコイル給電用配線を更に備えており、このコイル給電用配線で移動中のコイル部230a,240aに対する給電を行う。ただし、本発明では、これらの部品は要部ではないため、詳細の図示及び説明を省略する。
【0037】
図3は、フォーカス機構220を光軸11上の被写体側から見た正面図である。
【0038】
図1と
図3(a)に示すように、一般に円筒形状をとるレンズ鏡筒200内のフォーカス機構220の断面外形は同じく円に近い形状となる。更に、その中央の領域は駆動対象であるフォーカスレンズ群211及びレンズホルダー221が占める。よって、フォーカス機構220において、リニアモーター230,240、リニアガイド機構、位置検出機構(不図示)、及びコイル給電用配線(不図示)等は、これらの径方向内外の限られた領域内に配置する必要がある。
【0039】
本実施例に係るリニアモーター230,240は、上記の領域に効率良く配置可能な形状を有する。具体的には、
図3(c)に示す従来の一般的なVCMは、その中央の主軸を挟むように位置する2つの磁石が略180°の角度間隔で対向する形状、いわゆる水平対向形状である。これに対して、
図3(b)に示すようにリニアモーター230,240は、主軸を挟むように位置する2つの磁石の角度間隔を片側にオフセットさせて、フォーカス機構220の円周形状に沿うようにした形状、いわゆるV型形状である。これにより、リニアモーター230,240を必要以上に小型化して効率を落とすことなく、フォーカス機構220内に効率良く収めることができる。
【0040】
ただし、
図3(b)に示すリニアモーター230,240の形状は本発明の要部ではなく、
図3(c)のような形状としてもよい。以降の説明では、図示の便宜を鑑みて、本実施例に係るリニアモーター230,240が
図3(c)に示す水平対向形状を有する場合について詳細な図示及び説明を行う。
【0041】
リニアモーター230,240は、永久磁石群とヨーク群の組み合わせからなる磁気回路の構成を有することで磁気効率を向上させている。続けてその詳細な構成について説明する。尚、以降の説明では本実施例の代表として片方のリニアモーター230についてのみ図示及び説明を行うが、もう一方のリニアモーター240についても構成は同様とする。
【0042】
図4は、本実施例に係るリニアモーター230の模式図である。
【0043】
図4(c)は、リニアモーター230をフォーカス機構220の径方向外側からみた図(側面断面図)である。また、
図4(a)は、
図4(c)に示すリニアモーター230を第三角法により上方から見た図(上面図)であり、
図4(b)は、
図4(c)に示すリニアモーター230を第三角法により左側方から見た図(正面図)である。
【0044】
また、
図5は、リニアモーター230の比較対象である、従来例のリニアモーター330の模式図(
図4と同様の3面図)である。
【0045】
従来例のリニアモーター330は、本実施例のリニアモーター230と類似の構成を有しており、サイズ互換性を有し、本実施例のフォーカス機構220にも交換適用可能なものである。以降の説明の便宜を図るため、本実施例のリニアモーター230と従来例のリニアモーター330との間で対応する部品の付番は、下2桁に同じ部番を付す。
【0046】
先に、
図5を用いて従来例のリニアモーター330の構成について説明する。尚、特に断りのない限り、この説明は本実施例のリニアモーター230の構成についても相当するものである。
【0047】
図5において、従来例のリニアモーター330は、コイル部330a、メイン磁石332a,332d、センターヨーク333a、バックヨーク333b,333c、及びサイドヨーク333d,333eを備える。
【0048】
コイル部330aは、リニアモーター330の相対的な被駆動部であり、リニアモーター330のコイル部330aを除く部分がリニアモーター330の相対的な駆動部である、主に磁石群とヨーク群からなる磁気回路部を形成する。
【0049】
メイン磁石332a,332dは夫々、磁気回路部における永久磁石群である。メイン磁石332a,332dは夫々着磁されてN極とS極とに分極しており、
図5ではこれらの記号のうち、最も主要な分極について付記しており、図中のS極からN極に向かう方向を個々の磁石における主磁化方向と定義する。
【0050】
センターヨーク333a、バックヨーク333b,333c、及びサイドヨーク333d,333eは夫々、磁気回路部におけるヨーク群を構成する軟磁性材等からなるヨーク部材(ヨーク群)である。また、主軸方向330cは、リニアモーター330の主軸の方向を示す。センターヨーク333aは、リニアモーター330のヨーク群のうちのセンターヨーク部に相当するヨークである。更に、バックヨーク333b,333cは、リニアモーター330のヨーク群のうちのメイン磁石332a,332dの夫々に対応するバックヨーク部に相当するヨークである。また、サイドヨーク333d,333eは、夫々リニアモーター330のヨーク群のうちのサイドヨーク部に相当するヨークである。
【0051】
リニアモーター330において、主軸方向330cが主な推力を発生する方向であり、コイル部330aは巻芯方向をこの方向に略一致させた姿勢で、永久磁石群とヨーク群からなる磁気回路部に対してこの方向に相対移動可能に配置される。
【0052】
センターヨーク333aは、リニアモーター330の主軸の役割を果たしており、コイル部330aの内側の領域で主軸方向330cに延在するように配置される。この際、コイル部330aとセンターヨーク333aはクリアランスを持って勘合され、互いに接触することなく相対移動可能な配置となっている。リニアモーター330において、センターヨーク333aに対して他のヨーク群や磁石群の部品が組み付くことで磁気回路部が構成される。このため、フォーカス機構220においては、このセンターヨーク333aの軸方向を光軸11方向に略一致させた姿勢で固定すればよい。
【0053】
メイン磁石332a,332dは夫々、コイル部330aの外側の領域で、その主磁化方向を主軸方向330cと直交方向かつセンターヨーク333aに略対向する方向に向けて配置される。尚、この際、センターヨーク333aに略対向する磁極面はN極とS極のどちらでもよいが、メイン磁石332a,332d間でこの磁極の種類は揃える必要がある。これらの磁石は主としてローレンツ力の発生に寄与する方向の磁界を形成する役割を果たす。
【0054】
バックヨーク333b,333cは夫々、メイン磁石332a,332dに対して、その主磁化方向でセンターヨーク333aに略対向する側の磁化面の反対側の磁化面に略隣接するように配置される。バックヨーク333b,333cはコイル部330aと反対方向の磁束漏れを抑えることで、コイル方向の磁束密度を高め、磁気効率を高める役割を果たす。
【0055】
バックヨーク333b,333cは夫々、主軸方向330cにおける長さがメイン磁石332a,332dよりも長く設定される。更に、バックヨーク333b,333cの主軸方向330cにおける両端部には、後述するサイドヨーク333d,333eと係合する凹凸の組み継ぎ形状が設けられている。
【0056】
サイドヨーク333d,333eは夫々、センターヨーク333aの両端の取り付け部の軸に対応するはめあい穴を有しており、センターヨーク333aに対して主軸方向330cの両側から挿入される。そして、バックヨーク333b,333cとの間の合計4か所で凹凸の組み継ぎ形状により係合する。この状態で、バックヨーク333b,333c及びサイドヨーク333d,333eには、いずれもメイン磁石332a,332dの磁力により、センターヨーク333aの側に向かう力を受ける。よって、係合部は強くかみ合い、形状が安定するため、リニアモーター330の磁気回路部は、別途ネジ止め等をせずとも構成することができる。
【0057】
次に、リニアモーター330における推力の発生原理を
図6を用いて説明する。
【0058】
図6は、リニアモーター330及びその磁場及びローレンツ力の向きを示す側面断面図である。
【0059】
図6の矢印で示す(符号は省略する)メイン磁石332a,332dからセンターヨーク333aに向かう(又はその逆の)磁場中で、コイル部330aの円周方向に電流が流れると、矢印633に示す向きのローレンツ力が発生するため、これが推力となる。この際の推力は、コイル部330aに流れる電流に比例する。また、その比例定数はこの電流が流れる領域における磁場の強さに比例する推力定数である。よって、リニアモーター330の電力効率を高めるためには、
図6に示すコイル部330aにおける磁場、すなわち有効磁界強度を強くすることが必要であり、これが磁気効率を高めることに相当する。
【0060】
以上説明した従来例のリニアモーター330に対して、本実施例のリニアモーター230は、メイン磁石232a,232dの夫々主軸方向230cにおける前後に、サブ磁石232b,232c,232e,232fが隣接して追加される磁石群を有する。更に、サブ磁石232b,232c,232e,232fは夫々の主磁化方向が主軸方向230cに略一致しており、特に、メイン磁石232a,232dと隣接する面の磁極は、メイン磁石のセンターヨーク233aと対向する方の面の磁極と一致している。更に、本実施例のメイン磁石と対応する2つのサブ磁石の隣接する面は、メイン磁石の主磁化方向に対してバックヨーク233b,233c側がメイン磁石の内側に傾斜する。続いてこれらの効果について説明する。
【0061】
本発明のリニアモーター230におけるサブ磁石232b,232c,232e,232fは夫々、メイン磁石232a,232dの一方と隣接して、永久磁石のハルバッハ配列を部分的に再現するものである。すなわち、本発明のリニアモーター230は、磁石配列がハルバッハ配列の概念を応用した配列(以下、ハルバッハ応用配列と呼称する)であることが特徴である。
【0062】
磁石配列がハルバッハ配列となっている場合、他の磁石配列となっている場合と比べて、磁石配列表面(バックヨーク側を裏面とした場合の反対側の表面)における磁場が強くなることが知られている。この簡潔な理解としては、サブ磁石がメイン磁石の磁束の表面から裏面への還流を促進するため、周囲への磁束漏れを低減し、その分の磁束が表面側に追加分として現れるためである。尚、より詳細な原理の説明については本発明では説明を省略する。このようなハルバッハ配列を部分的に再現するハルバッハ応用配列をとることにより、本実施例のリニアモーター230の有効磁界強度は、
図6で示す、従来例のリニアモーター330の有効磁界強度よりも強くなるため、推力定数が向上する。
【0063】
図7は、従来例に係るリニアモーター330の推力特性730と本実施例に係るリニアモーター230の推力特性720を示すグラフである。縦軸が推力定数を示し、横軸がリニアモーター230,330の夫々のストローク中心を0とした場合の正負のストローク量の絶対値を示す。一般に、有限軌道のVCMにおいてはストローク端部の磁気効率は中央部と比べて落ちるため、従来例のリニアモーター330の推力特性730に示すように、ストローク端部の推力定数が低下する。これに対し、本実施例のリニアモーター230の推力特性720は、ストローク端部での推力定数が相対的に高まっている。これより、電力効率が向上する。
【0064】
このようなストローク端部での電力効率の向上は、リニアモーターの最低性能を底上げするものであるため、実用性の観点で有用である。特に、本実施例のようにカメラシステム10のフォーカス機構に用いるリニアモーター230では、ストローク端部は夫々無限相当距離の被写体の撮影と、至近距離の被写体の撮影で用いられる領域であるため、これらの撮影シーンでの電力効率が大きく向上する。前者の撮影シーンとしては例えば星景撮影等でカメラシステムを仰望姿勢(上向き)にして長時間保持するシーンが挙げられる。また、後者の撮影シーンとしては例えば商品撮影等でカメラシステムを俯瞰姿勢(下向き)にして長時間保持するシーンが挙げられる。これらの撮影シーンでのリニアモーター230の電力効率は従来より向上している、すなわちカメラシステム10の消費電力は従来より減るため、撮影者はよりバッテリ残量や発熱を心配せずに撮影に集中することができるようになる。
【0065】
ここで、
図8(b)のように一般的な直方体形状の磁石を本実施例と同様のハルバッハ応用配列とした場合、磁石同士を互いに反発する状態の姿勢関係となるため、
図8(c)のように磁石が回転してしまう。かかる回転を防止するには、別途磁石の固定手段を備える必要があり、磁気回路部が大型化してリニアモーターが大型化しやすいという課題がある。この課題に対して、本発明のリニアモーター230は、ハルバッハ応用配列とする各磁石の形状を
図8(a)に示す形状に変更することで解決している。以下、具体的にこの課題及び解決方法について説明する。
【0066】
図8は、本実施例のリニアモーター230における磁石配列、及びその比較例の磁石配列の夫々に働く主要な力を説明するための模式図である。
【0067】
図8(b)に示す、比較例のメイン磁石432aとサブ磁石432b,432cの形状は、
図8(a)に示す、本実施例のメイン磁石232aとサブ磁石232b,232cの形状と異なり、共に隣接面が傾斜しておらず、一般的な直方体形状を有する。
【0068】
尚、比較例のリニアモーター430についても従来例のリニアモーター330と同様に、本実施例のリニアモーター230と類似の構成を有してサイズ互換性を有する物であり、相当する部品間には同じ下2桁の番号を付している。また、本発明のリニアモーター230、及び比較例のリニアモーター430は共に、その主軸方向(230c,430c)を含む中心面に対して面対称の構造を有しているため、ここでは簡略化してその片側(側面図の上半分)のみ図示している。尚、本実施例における以降の図示も同様に対称構造の片側のみ示す。
【0069】
図8(a)は本実施例のリニアモーター230を示す図であり、
図8(b)は比較例のリニアモーター430を示す図である。また、
図8(c)は、リニアモーター430が
図8(b)の状態の直後に至る状態を示す図である。また
図8(a)~(c)では、各磁石に働く力のうち、本発明の要部に関わる力のみを矢印で示す。
【0070】
ハルバッハ応用配列では、
図8(b)の回転力843b1,843c1に示すように、サブ磁石432b,432cに対して専ら回転する方向の合力(以降、説明の便宜上単に回転力と呼称する)がかかるが、これはメイン磁石432aから受ける力である。すなわち、磁石の同極面同士が反発し合い、異極面同士が引き合うため、このような回転力がかかる。このため、
図8(b)のような磁石配列とすると、サブ磁石432b,432cを押圧や接着等の手法で固定しない場合、
図8(c)に示すように、サブ磁石432b,432cは、すぐにサイドヨーク433d,433eを押し広げながら回転してしまう。この結果、最終的にメイン磁石432aと異極面並列状態で隣接してしまう。すなわち、サブ磁石432b,432cを固定しない場合、ハルバッハ応用配列がすぐに崩れてしまい、さらにはサイドヨーク433d,433eを押し広げ、磁気回路の構造を壊してしまう。
【0071】
これに対して、ハルバッハ応用配列の各磁石を
図8(a)に示す形状とした場合、サブ磁石232b,232cに対する回転力823b1,823c1は、
図8(b)の回転力843b1,843c1と比べて低減する。更に、サブ磁石232b,232cのメイン磁石232aとの隣接面間で引力823b2,823c2が発生する。これは、メイン磁石232aの主磁化方向における側面に相当する隣接面823ab,823acを主磁化方向に対してバックヨーク233b側を内側に傾斜した形状としたことで、これらの面が若干の磁極面(図中ではN極)となるためである。
【0072】
尚、補足として、実際の磁石の作成例としては、メイン磁石232aを着磁前に予め図示の形状に作成した上で、主磁化方向に対して着磁すると、隣接面823ab,823acが若干の磁極面となる。これらの面のメイン磁石232aの磁極はサブ磁石232b,232cの対向面の磁極と異極同士であるため、メイン磁石232aとサブ磁石232b,232cとの間に吸引力が発生する。サブ磁石232b,232cも同様である。より直感的な説明としては、メイン磁石232aのバックヨーク233bへの吸着力の一部がサブ磁石232b,232cとの間の吸引力に転換したと考えることもできる。更に、比較例のサブ磁石432b,432cに対して回転力を加えていた力の一部が、本発明のサブ磁石232b,232cとの間の吸引力に転換したとも言える。このため、サブ磁石232b,232cに作用する回転力は比較例の回転力843b1,843c1(
図8(b))と場合と比べて弱まっている。この状態では、サブ磁石232b,232cには回転力823b1,823c1は残っているものの、メイン磁石232aに吸引されており、また、メイン磁石232aの形状がいわゆる楔の押さえの働きをする。このため、サブ磁石232b,232cは別途固定せずとも安定しており、回転してしまうことはない。
【0073】
ここで、サブ磁石232b,232cは夫々、矢印823b3,823c3に示すメイン磁石232aから離れる方向の力も受けている。この力は、サブ磁石232b,232cの夫々がサイドヨーク233d,233eを吸引する力の反作用としてこれらのサイドヨークから受ける力である。この力はサブ磁石232b,232cをメイン磁石232aから離す方向に働くが、一方で、サブ磁石232b,232cはメイン磁石232aより引力823b2,823c2に示す吸引力を受けており、こちらの方が強くなるよう設定されている。このため、サブ磁石232b,232cがメイン磁石232aから離れることはない。尚、かかる設定にするためには、サブ磁石232b,232cとサイドヨーク233d,233eの間に、一定のクリアランスを設ければよい。
【0074】
また、この際、サブ磁石232b,232cを経由して、メイン磁石232aも両側のサイドヨーク233d,233eに吸引される力を受ける。しかし、メイン磁石232aは主磁化方向で対向するバックヨーク233bに強く吸着しており、強い静止摩擦力で保持されている。よって、サイドヨーク233d,233eのどちらかの方にサブ磁石232b,232cの一方と共にメイン磁石232aが容易に移動してしまうということはない。これについては、より望ましくは磁石群(メイン磁石232a及びサブ磁石232b,232c)を夫々バックヨーク233b上に保持するような補助的な固定策を設けるとよいが、その構成については後の実施例で説明する。
【0075】
また、サイドヨーク233d,233eは、サブ磁石232b,232cにより吸引されるため、上述の組み継ぎ構造による磁気回路部の構造はより安定する方向である。すなわち、本発明の構成によって磁気回路部の安定性が損なわれるということは無いため、本発明は
図5に示す従来の磁気回路構成に対して大きな改変を伴うことなく、ほぼ磁石群だけを交換して適用することが可能となっている。
【0076】
以上より、本発明のリニアモーター230においては、磁石の配列をハルバッハ応用配列とすることで、磁気効率を向上させて、電力効率を向上させることができる。更に、本発明のリニアモーター230を構成する各磁石の形状を一般的な直方体形状ではなく傾斜面を有する形状とする。これにより、ハルバッハ応用配列における磁石同士の反発を解消するため、別途固定手段を追加することが不要となる。よって、リニアモーター230を従来のリニアモーター330と比べてその外形サイズを変えることなく電力効率を向上させることができる。したがって、本発明は例えばレンズ鏡筒200のフォーカス機構に適したサイズを維持したまま、従来より高い電力効率を有するリニアモーター230を提供することができる。
【0077】
(実施例2)
実施例1では本発明のリニアモーターの簡潔な実施形態について示したが、ここでは実用上より好ましい実施形態について列挙して示す。尚、本実施例でも実施例1のリニアモーター230と同じ構成には同じ符号を付して説明を行うものとする。また、
図8(a)に示す実施例1のリニアモーター230と同様に、本実施例のリニアモーターについても面対称構造における片側のみを図示して説明を行う。
【0078】
図9は、本実施例に係るリニアモーター230における磁石配列の第1の例を示す模式図である。実施例1では、サブ磁石232b,232cの主磁化方向は、メイン磁石232aの主磁化方向について、バックヨーク233bと対向する側から、主軸方向230cに略90°の傾斜角度で倒した方向とした。しかし、サブ磁石232b,232cの主磁化方向の傾斜角度は、0°より大きく且つ90°以内であればこれに限定されない。よって、本実施例のサブ磁石232b,232cの主磁化方向の傾斜角度は、
図9に示すように0°より大きく且つ90°未満となる範囲とする。
【0079】
このように、サブ磁石232b,232cの傾斜角度を変更すると、上述したサブ磁石232b,232cの役割(磁気回路部におけるメイン磁石232aの磁束の還流を促進する役割)が一部、ローレンツ力の発生に寄与する磁界を作る役割に転換する。この場合でも磁石の配列はハルバッハ応用配列とみなすことができ、電力効率向上のメリットが得られる。これらのバランスを調整することで、各々のリニアモーターにおける最適な磁石配列を設計することができる。
【0080】
図10は、本実施例に係るリニアモーター230における磁石配列の第2の例を示す模式図である。実施例1では、メイン磁石232a、サブ磁石232b,232cの夫々互いに略隣接する面は、その全部を各々の磁石の内側に傾斜させた構成としたが、
図10に示すようにその一部のみを傾斜させた構成としてもよい。すなわち、
図10に示す非傾斜面1023ab,1023acをメイン磁石232aが残し、非傾斜面1023b,1023cをサブ磁石232b,232cが残す構成としてもよい。尚、
図10の例ではメイン磁石232aとサブ磁石232b,232cが非傾斜面を残す構成としたが、メイン磁石232aとサブ磁石232b,232cの一方だけ非傾斜面を残す構成としてもよい。
【0081】
このような構成を取ると、磁石体積が減る分、効率の向上幅は若干分小さくなるものの、磁石の鋭角な先端部を削減することができる結果、磁石の破損防止や、耐減磁性能の向上に寄与する。さらに、磁化不定部をなくすことができるため、量産時の個体ばらつきを小さくすることができる。このような実用上のメリットを得ることができる。
【0082】
図11は、本実施例のリニアモーター230における磁石配列の第3の例を示す模式図である。また、
図12は、本実施例のリニアモーター230における磁石配列の第4の例を示す模式図で、上に上面図、下に正面図を示している。
【0083】
図11に示すように、メイン磁石232aの主磁化方向と平行な高さ方向(両矢印1100の方向)におけるサブ磁石232b,232cの高さは、メイン磁石232aよりも低くするとよい。
【0084】
このような構成を取ると、メイン磁石232aとサブ磁石232b,232cとの間で、同極の磁化面(本実施例ではS極の磁化面)同士が端部で近接する距離を長くすることになる。このため、メイン磁石232aとサブ磁石232b,232cの間の反発力に相当する回転力をより低減でき、磁石同士をより安定させることができる。また、互いに略隣接する磁石間にかかる反磁界の強さを低減するため、耐減磁性能をより向上させることができる。
【0085】
また、
図12はリニアモーター230について、1箇所の磁石群とバックヨーク233bの組み合わせを抜き出し、メイン磁石232aをセンターヨーク233aから見た模式図である。
図12に示すように、主軸方向230c及びメイン磁石232aの主磁化方向の2方向と直交する幅方向(両矢印1200の方向)におけるサブ磁石232b,232cの幅は、メイン磁石232aよりも小さくするとよい。
【0086】
このような構成を取ると、サブ磁石232b,232cは、幅方向においてメイン磁石232aにより中央に保持される収束方向の引力を受けるため、磁石同士をより安定させることができる。
【0087】
尚、上述した通り、本発明のリニアモーター230においては、磁気回路部中の磁石群はハルバッハ応用配列においても互いに吸引し合い安定であるため、その磁石群の固定手段を不要とすることが可能である。但し、本発明のリニアモーター230の実用上の強度をより向上させ、例えば衝撃等により磁石群がずれないようにするために、磁石群を別途設けた固定手段により固定しても構わない。
【0088】
図13は、本実施例のリニアモーター230における磁石群の固定方法を示す模式図で、上に上面図、下に正面図を示している。磁石群の固定方法としては、例えば
図13に示す領域符号1323ab,1323acに例えば接着剤を塗布し、メイン磁石232a、サブ磁石232b,232c、及びバックヨーク233bを互いに固定するとよい。この際、
図11及び
図12で示したように、サブ磁石232b,232cをメイン磁石232aに対して高さ及び幅の少なくとも一方を低く(小さく)した場合、その分の空いたスペースで接着を行うとよい。これにより、リニアモーター230の外形には突出することなく接着を行うことができる。よって、リニアモーター230の外形サイズを大きくすることなく磁石群を固定することができる。
【0089】
図14は、リニアモーター230の磁石群の補助的な固定構成を示す模式図である。
【0090】
実施例1の
図8で示したように、リニアモーター230の磁石群は、サイドヨーク233d,233eを吸引する力の反作用として、これらのサイドヨークからの吸引力を受ける。磁石群のうちメイン磁石232aがバックヨーク233b上で強い静止摩擦力により保持されている。このため、そのままでも容易にこの力に負けて移動してしまうことはないが、補助的な固定手段を設けて、磁石群をより強固に保持すると、リニアモーター230の耐衝撃性を向上させることができる。
【0091】
例えば
図14(a)では、磁石群の補助的な固定構成として、両側のサイドヨーク233d,233eとサブ磁石232b,232cとの間に圧縮支持部材1423bd,1423ceが設けられる。この圧縮支持部材1423bd,1423ceの復元力により、磁石群を支持することができる。ここで、サイドヨーク233d,233eはリニアモーター230の磁気回路部230bの構成部材であり、メイン磁石232aの側に磁気的に強く吸引されている。このため、この圧縮支持部材1423bd,1423ceの復元力によって磁気回路部が壊れてしまうということはなく、磁気回路部の安定性は保たれる。
【0092】
または、
図14(b)に示すように、圧縮支持部材1423ab,1423acをメイン磁石232aとサブ磁石232b,232cとの間に設けてもよい。この場合、サブ磁石232b,232cは夫々サイドヨーク233d,233eに吸着し、メイン磁石232aに吸引力を及ぼす側に回る。但し、圧縮支持部材1423ab,1423acがメイン磁石232aを押さえるため、メイン磁石232aは自身によるバックヨーク233b上の静止摩擦力とも相まって、動いてしまうことはない。尚、
図14(a)と
図14(b)で示した固定構成は組み合わせて使用しても構わない。
【0093】
図15は、リニアモーター230の磁石群をオフセットして固定する例を示す模式図である。
【0094】
図15(a)に示すように、リニアモーター230の磁石群は予めサイドヨーク233d,233eのどちらか一方の側に寄せる、すなわち、主軸方向230cにおいて中心からオフセットさせて固定してもよい。この際も、リニアモーター230の磁石群とサイドヨーク233d,233eの隙間に適宜圧縮支持部材を設けるとよい。
図15(a)ではサブ磁石232cとサイドヨーク233eの間に圧縮支持部材1523ceを設けている。この場合、磁石群をサイドヨーク233d側に寄せているので、
図15(a)に示すように予め磁石群をサイドヨーク233dに吸着させておくことで、剛性高く磁石群を支持することができる。もしくは、例えば仮に組立上等の要件により僅かなクリアランスが残る場合でも、薄くヤング率の高い圧縮支持部材でそのクリアランスを埋めることができるため、クリアランスが残っている場合と比べて磁石群を支持する際の剛性を高めやすくすることができる。
【0095】
ここで、実施例1の
図2で示したように、リニアモーター230のコイル部230aは一般的に、これを固定する対象の移動体(実施例1ではレンズホルダー221)に対して、主軸方向における一方の端で支持されて固定されることが多い。よって、リニアモーター230においては、ストローク方向に相当する主軸方向230cにおいて一定のスペースを移動体の支持部が占める。このため、ストロークのどちらか一方の端部では、他方の端部と比べて、コイル部230aが位置することのない相対的な非使用領域が生じることが多い。逆に言えば、他方の端部においては、コイル部230aをより端部まで位置することが可能な相対的な使用領域が生じる。
【0096】
よって、磁石群のオフセット配置を行う場合には、コイル部230aの使用領域が生じる側(コイル部230aの主軸方向230cにおける他方の端側)に磁石群をオフセットさせるとよい。例えば
図15(b)に示すように、コイル部230aの図面向かって右側の端に、移動体の支持部1521が固定されているとする。この場合、ストロークの同図向かって右側の端部の領域1521eが上記の非使用領域となり、ストロークの同図向かって左側の端部の領域1521dが使用領域となる。このような配置を取ることで、使用領域である領域1521dにおける磁気効率を最適化することができるため、リニアモーター230におけるストローク端部の効率低下を最小限に抑えることができる。
【0097】
以上説明した構成により、本発明では実用的にも好ましいリニアモーターを提供することができる。
【0098】
(実施例3)
本発明の構成は、実施例1、実施例2で示した形態に限らず、他の形態のリニアモーターにも適用することができる。ここでは、レンズ鏡筒200にリニアモーター230の代わりに本実施例のリニアモーター530を使用した場合の例を示す。
【0099】
以降の説明の便宜を図るため、本実施例のリニアモーター530と実施例1のリニアモーター230との間で対応する部品の付番は、下2桁に同じ部番を付す。
【0100】
図16は、本実施例に係るリニアモーター530の構成を示す模式図である。
【0101】
図16(c)は、リニアモーター530をフォーカス機構220の径方向外側からみた図(側面断面図)である。また、
図16(a)は、
図16(c)に示すリニアモーター530を第三角法により上方から見た図(上面図)であり、
図16(b)は、
図16(c)に示すリニアモーター530を第三角法により左側方から見た図(正面図)である。
【0102】
図16において、リニアモーター530は、主軸方向530c、コイル部530a、メイン磁石532a、サブ磁石532b,532c、コの字形状のヨーク(以降、コの字ヨークと呼称する)533a、及びサイドヨーク533dを備える。
【0103】
本実施例に係るリニアモーター530の特徴は、コの字ヨーク533aが実施例1、実施例2におけるリニアモーター230のヨーク群(センターヨーク、バックヨーク、サイドヨーク)の役割を果たす一体型のヨークである点である。
図16ではコの字ヨーク533aのうち、これらのヨーク群の機能を果たす部分であるセンターヨーク部533aa、バックヨーク部533ab、サイドヨーク部533aeを大まかに点線で区切って示している。このような構成においても、
図16に示すように、磁石群が本発明の形状を有した状態でハルバッハ応用配列をとることで、磁気効率を高めてリニアモーター530の電力効率を高めることが可能である。
【0104】
また、本発明のリニアモーターは、実施例1で示したようなセンターヨーク233aに対して複数方向から複数のメイン磁石(232a,232d)が対向する構成に限定されない。例えば、
図16に示すように、1方向から1つのメイン磁石532aのみがセンターヨーク部533aaに対して対向するような構成をとってもよい。また、本発明のリニアモーターのコイル部は、実施例1で示すコイル部230aのような円形断面のソレノイドコイルではなく、
図16に例示するような断面形状のコイル部530aの他、様々な断面形状のコイル部を用いることができる。
【0105】
また、本実施例におけるコの字ヨーク533aは、主軸方向530cと、メイン磁石532aの主磁化方向とに直交する幅方向において、薄い電磁鋼板を多数枚積層して接合した構造により構成されている。このようなヨーク構成はモーター分野において広く用いられており、電磁気的な高周波特性に優れる他、積層鋼板の面方向における形状の自由度が高いという特徴がある。よって、この特徴を生かして、例えば
図16に示すように、バックヨーク部533abにおける、主軸方向530cにおけるストローク端部よりも中央付近の領域において、メイン磁石532aの主磁化方向における高さを低くしてもよい。すなわち、
図16(c)に示すように、メイン磁石532aの主軸方向530cにおける中央付近の領域が、バックヨーク部533abに一部埋没するような形状(以下、埋没形状と呼称する)としてもよい。ここで、本発明に係るメイン磁石の側面が内側に傾斜した形状は、このような埋没形状とのマッチングがよい。すなわち、
図16に示すように、バックヨーク部533abの高さの変化を不連続的な段差形状ではなく、連続的な斜面形状とすることができるため、磁気効率をより高めやすくなる。また、このような構成を取ることで、リニアモーター530のメイン磁石532aの主磁化方向における高さを低くすることができ、より小型化をすることができる。
【0106】
ここで、バックヨーク部533abにおける中央付近の領域の高さを減らした影響については、この部分は磁気回路部中では相対的に磁束密度が小さい領域であるため、磁場効率への影響は小さい。よって、大きな影響なくリニアモーター530を小型化することができる。もしくは、逆の考え方として、リニアモーター530を大型化させることなく、磁気回路部中で相対的に磁束密度が高いストローク端部付近の領域においてバックヨーク部533abの高さを増すことで、より磁気効率を高めることもできる。
【0107】
以上説明したように、本発明に係るリニアモーターの構成は、その要旨の範囲内で様々変形して適用することができる。例えば、上記の実施例では、本発明に係るリニアモーターをフォーカス機構のモーターに用いた例を説明したが、レンズ鏡筒のズーム機構のモーター等、他のレンズ駆動機構のモーターに用いてもよい。また、被駆動体を直進移動させる駆動装置であれば本発明に係るリニアモーターを適用可能であり、適用可能な装置はレンズ鏡筒や撮像装置などの光学機器に限定されない。
【符号の説明】
【0108】
10 カメラシステム
11 光軸
100 カメラ
200 レンズ鏡筒
211 フォーカスレンズ群
220 フォーカス機構
221 レンズホルダー
222 固定筒
223 蓋部品
224a,224b ガイドバー
225a,225b ガイド部品群
230,240 リニアモーター
230a,240a コイル部
230b,240b 磁気回路部
232a メイン磁石
232b,232c サブ磁石
233a センターヨーク
233b バックヨーク
233d,233e サイドヨーク