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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2026-03-26
(45)【発行日】2026-04-03
(54)【発明の名称】吸収性物品
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/475 20060101AFI20260327BHJP
   A61F 13/511 20060101ALI20260327BHJP
【FI】
A61F13/475 111
A61F13/511 410
A61F13/511 200
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2025227387
(22)【出願日】2025-12-03
【審査請求日】2025-12-08
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000115108
【氏名又は名称】ユニ・チャーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100139022
【弁理士】
【氏名又は名称】小野田 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100192463
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 剛規
(74)【代理人】
【識別番号】100169328
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 健治
(72)【発明者】
【氏名】村井 隆将
(72)【発明者】
【氏名】村上 浩子
(72)【発明者】
【氏名】大窪 哲郎
(72)【発明者】
【氏名】藤本 和也
【審査官】須賀 仁美
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3210987(JP,U)
【文献】特開2020-191996(JP,A)
【文献】特開2013-252323(JP,A)
【文献】特開2003-265529(JP,A)
【文献】国際公開第2022/265089(WO,A1)
【文献】特開2009-240561(JP,A)
【文献】特開2024-008672(JP,A)
【文献】特開2003-290282(JP,A)
【文献】特開2016-193225(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F13/15-13/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに直交する長手方向、幅方向及び厚さ方向を有する吸収体と、前記吸収体の肌側に位置するトップシートと、前記吸収体の非肌側に位置するバックシートと、前記吸収体の前記幅方向の両端部に位置し、不織布及び液不透過性のフィルム部材を含む一対の立体ギャザー部とを備える吸収性物品であって、
前記一対の立体ギャザー部の各々は、
前記幅方向における一方の端部を含む部分である第1幅方向部分と、
前記幅方向における他方の端部を含む部分である第2幅方向部分と、
を含み、
前記第1幅方向部分は、前記トップシート、前記吸収体、及び前記バックシートの少なくとも一つにおける前記幅方向の端部に接合されており、接合された部分における第2幅方向部分の側の端を固定端とされ、前記固定端は、前記吸収体における前記幅方向の最大長さの位置での前記幅方向の端縁よりも内側に位置し、
前記第2幅方向部分は、前記長手方向に沿って延びる弾性部材を含んでおり、前記幅方向における前記第1幅方向部分と反対の側の端縁を自由端とされ、
前記不織布は、前記幅方向において、前記第1幅方向部分から前記第2幅方向部分まで延在し、
前記フィルム部材は、
前記不織布の非肌側に重なり、前記不織布と接合部で接合されており、
前記幅方向において、前記第1幅方向部分から、前記第2幅方向部分における前記弾性部材の手前まで、延在しており、
前記幅方向において、
前記フィルム部材における前記第1幅方向部分の側の端縁は、前記吸収性物品の端縁から前記吸収体の端縁までの範囲に位置し、
前記フィルム部材における前記第2幅方向部分の側の端縁は、前記不織布が前記自由端で折り返されて二重になり、前記弾性部材を挟持している部分における前記第1幅方向部分の側に向いた端縁から、当該端縁と前記弾性部材との距離だけ前記端縁から前記第1幅方向部分の側に離れた箇所まで、の範囲に位置している、
吸収性物品。
【請求項2】
前記一対の立体ギャザー部の各々において、前記フィルム部材は、少なくとも前記長手方向における背側の部分に配置されている、
請求項1に記載の吸収性物品。
【請求項3】
前記接合部は、
前記長手方向に沿って延在し、前記幅方向に間隔を空けて並び、前記フィルム部材と前記不織布とを接合する複数の長手方向接合部と、
前記長手方向に沿って延在し、前記幅方向に間隔を空けて並び、前記フィルム部材と前記不織布とを接合しない複数の長手方向非接合部と、
を含み、
前記複数の長手方向接合部の各々と、前記複数の長手方向非接合部の各々とが前記幅方向に交互に配置されている、
請求項1に記載の吸収性物品。
【請求項4】
前記幅方向において、前記複数の長手方向接合部及び前記複数の長手方向非接合部は、前記第2幅方向部分における前記弾性部材の手前と前記固定端との間に存在する、
請求項に記載の吸収性物品。
【請求項5】
前記幅方向において、
前記第1幅方向部分は、前記吸収体の端部を覆うように位置しており、
前記複数の長手方向接合部及び前記複数の長手方向非接合部は、前記固定端よりも外側に存在する、
請求項に記載の吸収性物品。
【請求項6】
前記フィルム部材は、前記一対の立体ギャザー部の各々における前記長手方向の一方の端縁から他方の端縁まで連続的に配置されており、
前記複数の長手方向接合部の各々、及び、前記複数の長手方向非接合部の各々は、前記一対の立体ギャザー部の各々における前記長手方向の一方の端縁から他方の端縁まで連続的に配置されている、
請求項に記載の吸収性物品。
【請求項7】
前記複数の長手方向非接合部の各々における前記幅方向の長さは、前記複数の長手方向接合部の各々における前記幅方向の長さ以上である、
請求項に記載の吸収性物品。
【請求項8】
平面視で、前記吸収体の肌側に、前記フィルム部材が存在しない領域の前記幅方向の長さは、前記フィルム部材が存在する領域の前記幅方向の長さよりも長い、
請求項に記載の吸収性物品。
【請求項9】
前記吸収性物品の前記長手方向の背側の部分に配置され、前記一対の立体ギャザー部の間の領域における前記トップシートよりも肌側に、液不透過性の背側シート部材をさらに備え、
前記吸収性物品の前記長手方向の背側の部分において、液不透過性の前記一対のギャザー部及び前記背側シート部材は、前記吸収体の前記幅方向に亘って、前記トップシートを肌側から覆うように構成されている、
請求項1に記載の吸収性物品。
【請求項10】
前記トップシート及び/又は前記吸収体に配置された、親水性の抗菌剤及び/又は保湿剤をさらに備える、
請求項1に記載の吸収性物品。
【請求項11】
前記トップシートは、平面視で、少なくとも前記フィルム部材と重複しない領域において凹凸を有しており、
前記抗菌剤及び/又は前記保湿剤は、前記トップシートにおける前記凹凸を有する面及び/又は前記凹凸を有さない面に塗布されている、
請求項10に記載の吸収性物品。
【請求項12】
互いに直交する長手方向、幅方向及び厚さ方向を有する吸収体と、前記吸収体の肌側に位置するトップシートと、前記吸収体の非肌側に位置するバックシートと、前記吸収体の前記幅方向の両端部に位置し、不織布及び液不透過性のフィルム部材を含む一対の立体ギャザー部とを備える吸収性物品であって、
前記一対の立体ギャザー部の各々は、
前記幅方向における一方の端部を含む部分である第1幅方向部分と、
前記幅方向における他方の端部を含む部分である第2幅方向部分と、
を含み、
前記第1幅方向部分は、前記トップシート、前記吸収体、及び前記バックシートの少なくとも一つにおける前記幅方向の端部に接合されており、接合された部分における第2幅方向部分の側の端を固定端とされ、前記固定端は、前記吸収体における前記幅方向の最大長さの位置での前記幅方向の端縁よりも内側に位置し、
前記第2幅方向部分は、前記長手方向に沿って延びる弾性部材を含んでおり、前記幅方向における前記第1幅方向部分と反対の側の端縁を自由端とされ、
前記不織布は、前記幅方向において、前記第1幅方向部分から前記第2幅方向部分まで延在し、
前記フィルム部材は、
前記不織布の非肌側に重なり、前記不織布と接合部で接合されており、
前記幅方向において、前記第1幅方向部分から、前記第2幅方向部分における前記弾性部材の手前まで、延在しており、
前記接合部は、
前記長手方向に沿って延在し、前記幅方向に間隔を空けて並び、前記フィルム部材と前記不織布とを接合する複数の長手方向接合部と、
前記長手方向に沿って延在し、前記幅方向に間隔を空けて並び、前記フィルム部材と前記不織布とを接合しない複数の長手方向非接合部と、
を含み、
前記複数の長手方向接合部の各々と、前記複数の長手方向非接合部の各々とが前記幅方向に交互に配置されており、
前記弾性部材は複数であり、
複数の前記弾性部材の各々は、前記長手方向に沿って延在し、前記幅方向に間隔を空けて配置されており、
前記幅方向において、
前記複数の前記弾性部材のうちの前記固定端に最も近い弾性部材と、前記複数の長手方向接合部のうちの最も前記自由端に近い長手方向接合部との距離は、前記複数の長手方向接合部の各々の長さ及び前記複数の長手方向非接合部の各々の長さよりも長い
収性物品。
【請求項13】
互いに直交する長手方向、幅方向及び厚さ方向を有する吸収体と、前記吸収体の肌側に位置するトップシートと、前記吸収体の非肌側に位置するバックシートと、前記吸収体の前記幅方向の両端部に位置し、不織布及び液不透過性のフィルム部材を含む一対の立体ギャザー部とを備える吸収性物品であって、
前記一対の立体ギャザー部の各々は、
前記幅方向における一方の端部を含む部分である第1幅方向部分と、
前記幅方向における他方の端部を含む部分である第2幅方向部分と、
を含み、
前記第1幅方向部分は、前記トップシート、前記吸収体、及び前記バックシートの少なくとも一つにおける前記幅方向の端部に接合されており、接合された部分における第2幅方向部分の側の端を固定端とされ、前記固定端は、前記吸収体における前記幅方向の最大長さの位置での前記幅方向の端縁よりも内側に位置し、
前記第2幅方向部分は、前記長手方向に沿って延びる弾性部材を含んでおり、前記幅方向における前記第1幅方向部分と反対の側の端縁を自由端とされ、
前記不織布は、前記幅方向において、前記第1幅方向部分から前記第2幅方向部分まで延在し、
前記フィルム部材は、
前記不織布の非肌側に重なり、前記不織布と接合部で接合されており、
前記幅方向において、前記第1幅方向部分から、前記第2幅方向部分における前記弾性部材の手前まで、延在しており、
前記接合部は、
前記長手方向に沿って延在し、前記幅方向に間隔を空けて並び、前記フィルム部材と前記不織布とを接合する複数の長手方向接合部と、
前記長手方向に沿って延在し、前記幅方向に間隔を空けて並び、前記フィルム部材と前記不織布とを接合しない複数の長手方向非接合部と、
を含み、
前記複数の長手方向接合部の各々と、前記複数の長手方向非接合部の各々とが前記幅方向に交互に配置されており、
前記幅方向において、前記吸収性物品における外側の端縁と、前記一対の立体ギャザー部の各々における前記複数の長手方向接合部のうちの最も外側の長手方向接合部との距離が、前記複数の長手方向接合部の各々の長さ及び前記複数の長手方向非接合部の各々の長さよりも長い
収性物品。
【請求項14】
互いに直交する長手方向、幅方向及び厚さ方向を有する吸収体と、前記吸収体の肌側に位置するトップシートと、前記吸収体の非肌側に位置するバックシートと、前記吸収体の前記幅方向の両端部に位置し、不織布及び液不透過性のフィルム部材を含む一対の立体ギャザー部とを備える吸収性物品であって、
前記一対の立体ギャザー部の各々は、
前記幅方向における一方の端部を含む部分である第1幅方向部分と、
前記幅方向における他方の端部を含む部分である第2幅方向部分と、
を含み、
前記第1幅方向部分は、前記トップシート、前記吸収体、及び前記バックシートの少なくとも一つにおける前記幅方向の端部に接合されており、接合された部分における第2幅方向部分の側の端を固定端とされ、前記固定端は、前記吸収体における前記幅方向の最大長さの位置での前記幅方向の端縁よりも内側に位置し、
前記第2幅方向部分は、前記長手方向に沿って延びる弾性部材を含んでおり、前記幅方向における前記第1幅方向部分と反対の側の端縁を自由端とされ、
前記不織布は、前記幅方向において、前記第1幅方向部分から前記第2幅方向部分まで延在し、
前記フィルム部材は、
前記不織布の非肌側に重なり、前記不織布と接合部で接合されており、
前記幅方向において、前記第1幅方向部分から、前記第2幅方向部分における前記弾性部材の手前まで、延在しており、
前記接合部は、
前記長手方向に沿って延在し、前記幅方向に間隔を空けて並び、前記フィルム部材と前記不織布とを接合する複数の長手方向接合部と、
前記長手方向に沿って延在し、前記幅方向に間隔を空けて並び、前記フィルム部材と前記不織布とを接合しない複数の長手方向非接合部と、
を含み、
前記複数の長手方向接合部の各々と、前記複数の長手方向非接合部の各々とが前記幅方向に交互に配置されており、
前記トップシートは、平面視で、少なくとも前記フィルム部材と重複しない領域において凹凸を有しており、
前記凹凸は、
前記長手方向に沿って延び、前記幅方向に間隔を空けて並んだ複数の凸部と、
前記長手方向に沿って延び、前記幅方向に間隔を空けて並んだ複数の凹部と、
を含み、
前記複数の凸部の各々と前記複数の凹部の各々とが前記幅方向に交互に並んでおり、
前記複数の凸部の各々と前記複数の凹部の各々とが前記幅方向に交互に並ぶピッチは、前記一対の立体ギャザー部の各々における前記複数の長手方向接合部の各々と前記複数の長手方向非接合部の各々とが前記幅方向に交互に並ぶピッチより大きい
収性物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
一対の立体ギャザー部を構成するシートとして、不織布に加えてフィルム部材を用いる吸収性物品が知られている。例えば、特許文献1には、以下の特徴を有する使い捨ておむつが開示されている。使い捨ておむつは、通気性及び不透液性を有するバックシートと、通気性及び透液性を有するトップシートと、通気性及び透液性を有する第1シート材及び不透液性を有する第2シート材が接合された多層シート材からなり、互いに対向して設けられる一対の立体ギャザーシートと、バックシートとトップシートとの間に介在される、吸液性を有する吸収体とを含む。バックシートは、バックシート細幅部と、バックシート細幅部よりも幅方向の両側に延出する一対のバックシート延出部とを有する。一対の立体ギャザーシートは、立体ギャザーシート細幅部と、立体ギャザーシート細幅部よりも幅方向の片側に延出する立体ギャザーシート延出部とをそれぞれ有する。吸収体は、吸収体細幅部と、吸収体細幅部よりも幅方向の両側に延出する一対の吸収体延出部とを有する。各バックシート延出部、各立体ギャザーシート延出部及び各吸収体延出部は、トップシートよりも幅方向に延出する。各バックシート延出部と、各立体ギャザーシートの延出部との間に、各吸収体延出部が介在される。該各バックシート延出部と各立体ギャザーシート延出部と各吸収体延出部とによって、長手方向一端部寄りの領域に一対のサイドフラップ部が形成される。各立体ギャザーシートの不透液性を有する第2シート材は、サイドフラップ部で、バックシートと接合される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-220193号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の吸収性物品では、一対の立体ギャザー部の各々を構成するシートとして、通気性及び透液性を有する第1シート材と不透液性を有する第2シート材とが接合された多層シート材が用いられている。第1シート材としては不織布が、第2シート材としてはポリエチレン製のシート、すなわちフィルム部材がそれぞれ挙げられている。このような立体ギャザー部では、不織布とフィルム部材とが積層されているので、フィルム部材が積層されない場合と比較して、立体ギャザー部の剛性は高くなり易い。そのため、立体ギャザー部の先端部でも、その剛性が高くなる。その結果、立体ギャザー部の先端部が装着者の肌が当たるときの強さ(以下、単に「肌当たり」ともいう。)が、強くなり、装着者が違和感や痛みを覚えるおそれがあり、場合によっては、肌に立体ギャザー部の跡や発疹などが生じる肌トラブルが起こるおそれがある。そうかといって、立体ギャザー部の先端部が装着者の肌に当たり難くすると、体液が吸収性物品の幅方向の端部から漏れること(以下、単に「横漏れ」ともいう。)を抑制するという立体ギャザー部の本来の機能が発揮し難くなるおそれがある。
【0005】
本発明の目的は、不織布及びフィルム部材を含む一対の立体ギャザー部を備えた吸収性物品において、横漏れを抑制しつつ、肌当たりによる肌トラブルを抑制することが可能な吸収性物品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の吸収性物品は、互いに直交する長手方向、幅方向及び厚さ方向を有する吸収体と、前記吸収体の肌側に位置するトップシートと、前記吸収体の非肌側に位置するバックシートと、前記吸収体の前記幅方向の両端部に位置し、不織布及び液不透過性のフィルム部材を含む一対の立体ギャザー部とを備える吸収性物品であって、前記一対の立体ギャザー部の各々は、前記幅方向における一方の端部を含む部分である第1幅方向部分と、前記幅方向における他方の端部を含む部分である第2幅方向部分と、を含み、前記第1幅方向部分は、前記トップシート、前記吸収体、及び前記バックシートの少なくとも一つにおける前記幅方向の端部に接合されており、接合された部分における第2幅方向部分の側の端を固定端とされ、前記第2幅方向部分は、前記長手方向に沿って延びる弾性部材を含んでおり、前記幅方向における前記第1幅方向部分と反対の側の端縁を自由端とされ、前記不織布は、前記幅方向において、前記第1幅方向部分から前記第2幅方向部分まで延在し、前記フィルム部材は、前記不織布の非肌側に重なり、前記不織布と接合部で接合されており、前記幅方向において、前記第1幅方向部分から、前記第2幅方向部分における前記弾性部材の手前まで延在している、吸収性物品。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、不織布及びフィルム部材を含む一対の立体ギャザー部を備えた吸収性物品において、横漏れを抑制しつつ、肌当たりによる肌トラブルを抑制することが可能な吸収性物品を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態に係る吸収性物品の構成例の平面図である。
図2図1の吸収性物品のII-II線に沿った模式的な断面図である。
図3図1の吸収性物品のIII-III線に沿った模式的な断面図である。
図4図1の吸収性物品の立体ギャザー部の構成例を模式的に示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本実施形態は、以下の態様に関する。
[態様1]
互いに直交する長手方向、幅方向及び厚さ方向を有する吸収体と、前記吸収体の肌側に位置するトップシートと、前記吸収体の非肌側に位置するバックシートと、前記吸収体の前記幅方向の両端部に位置し、不織布及び液不透過性のフィルム部材を含む一対の立体ギャザー部とを備える吸収性物品であって、前記一対の立体ギャザー部の各々は、前記幅方向の一方の端部を含む部分である第1幅方向部分と、前記幅方向の他方の端部を含む部分である第2幅方向部分と、を含み、前記第1幅方向部分は、前記トップシート、前記吸収体、及び前記バックシートの少なくとも一つにおける前記幅方向の端部に接合されており、接合された部分における第2幅方向部分の側の端を固定端とされ、前記固定端は、前記吸収体における前記幅方向の最大長さの位置での前記幅方向の端縁よりも内側に位置し、前記第2幅方向部分は、前記長手方向に沿って延びる弾性部材を含んでおり、前記幅方向における前記第1幅方向部分と反対の側の端縁を自由端とされ、前記不織布は、前記幅方向において、前記第1幅方向部分から前記第2幅方向部分まで延在し、前記フィルム部材は、前記不織布の非肌側に重なり、前記不織布と接合部で接合されており、前記幅方向において、前記第1幅方向部分から、前記第2幅方向部分における前記弾性部材の手前まで、延在している、吸収性物品。
【0010】
本吸収性物品では、一対の立体ギャザー部の各々において、不織布とフィルム部材とが積層され接合部で接合されており、フィルム部材は、幅方向において、第1幅方向部分から、第2幅方向部分における弾性部材の手前まで延在している。このように、フィルム部材が幅方向の大部分(第1幅方向部分から弾性部材の手前までの部分)に存在することで、立体ギャザー部に体圧が掛かっても、立体ギャザー部から体液(例えば、尿)が染み出し難い。さらに、フィルム部材が、第2幅方向部分における弾性部材の手前までは存在するが、自由端及びその近傍(第2幅方向部分における弾性部材の存在する部分)には存在しない。それゆえ、自由端及びその近傍の剛性は他の部分の剛性と比較して低くなる。そのため、自由端及びその近傍による肌当たりが緩和され、装着者が違和感や痛みを覚え難く、肌トラブルが起こり難い。したがって、不織布及びフィルム部材を含む一対の立体ギャザー部を備えた吸収性物品において、体液の漏れを抑制する機能を維持しつつ、肌当たりによる肌トラブルを抑制することが可能な吸収性物品を提供できる。
【0011】
[態様2]
前記幅方向において、前記フィルム部材における前記第1幅方向部分の側の端縁は、前記吸収性物品の端縁から前記吸収体の端縁までの範囲に位置し、前記フィルム部材における前記第2幅方向部分の側の端縁は、前記不織布が前記自由端で折り返されて二重になり、前記弾性部材を挟持している部分における前記第1幅方向部分の側に向いた端縁から、当該端縁と前記弾性部材との距離だけ前記端縁から前記第1幅方向部分の側に離れた箇所まで、の範囲に位置している、態様1に記載の吸収性物品。
【0012】
本吸収性物品では、幅方向において、フィルム部材の一端縁は、吸収性物品の端縁から吸収体の端縁までの範囲に位置する。一方、フィルム部材の他端縁は、不織布が自由端で折り返されて二重になり、弾性部材を挟持している部分における第1幅方向部分の側に向いた端縁から、当該端縁と弾性部材との距離だけ端縁から第1幅方向部分の側に離れた箇所までの範囲に位置している。フィルム部材がこのような広い範囲(吸収体の端縁から、折り返された不織布の端縁まで)に位置することで、立体ギャザー部に体圧が掛かっても、立体ギャザー部から体液がより染み出し難い。さらに、フィルム部材が、自由端及びその近傍、すなわち、不織布が自由端で折り返されて二重になった部分には存在しないので、当該部分による肌当たりがより緩和され、装着者が違和感や痛みをより覚え難く、肌トラブルがより起こり難い。
【0013】
[態様3]
前記一対の立体ギャザー部の各々において、前記フィルム部材は、少なくとも前記長手方向における背側の部分に配置されている、態様1又は2に記載の吸収性物品。
【0014】
吸収性物品の装着者が就寝姿勢(特に側臥位)の状態であるとき、臀部側の部分に体圧が掛かり易い。そこで、本吸収性物品では、各立体ギャザー部において、フィルム部材が、少なくとも長手方向における背側の部分に配置されている。それゆえ、装着者が就寝姿勢(特に側臥位)の状態で、立体ギャザー部の臀部側の部分に体圧が掛かったとしても、フィルム部材が背側に配置されているため、立体ギャザー部から体液(例えば、尿)がより染み出し難い。したがって、体液の幅方向の漏れ(横漏れ)をより抑制できる。
【0015】
[態様4]
前記接合部は、前記長手方向に沿って延在し、前記幅方向に間隔を空けて並び、前記フィルム部材と前記不織布とを接合する複数の長手方向接合部と、前記長手方向に沿って延在し、前記幅方向に間隔を空けて並び、前記フィルム部材と前記不織布とを接合しない複数の長手方向非接合部と、を含み、前記複数の長手方向接合部の各々と、前記複数の長手方向非接合部の各々とが前記幅方向に交互に配置されている、態様1乃至3のいずれか一項(態様)に記載の吸収性物品。
【0016】
本吸収性物品では、フィルム部材と不織布とを接合する複数の長手方向接合部の各々と、フィルム部材と不織布とを接合しない複数の長手方向非接合部の各々とが幅方向に交互に配置されている。ここで、長手方向接合部は、フィルム部材と不織布とを接合(例えば、接着剤、熱融着など)するので、剛性が高い高剛性部である。一方、長手方向非接合部は、フィルム部材と不織布とを接合しないので、剛性が低い低剛性部である。それゆえ、立体ギャザー部は、幅方向に、高剛性部と低剛性部とが交互に配置されていることになり、低剛性部、すなわち長手方向非接合部は、変形が容易である。そのため、例えば、吸収性物品の装着時に立体ギャザー部が起立したとき、立体ギャザー部に起立した方向の圧力が掛かる場合には、複数の長手方向非接合部が厚さ方向に収縮することにより、長手方向に延びる複数の皺が形成されることになる。すなわち、立体ギャザー部は、厚さ方向に蛇腹状に変形し易くなるので、自由端及びその近傍(不織布が自由端で折り返されて二重になった部分)による肌当たりがより緩和され、装着者が違和感や痛みをより覚え難く、肌トラブルがより起こり難い。さらに、体液が立体ギャザー部に達したとしても、形成された、長手方向に延びる複数の皺により、体液が長手方向の前側又は後側に拡散される。それにより、吸収する体液の量が少なくなり易い、長手方向の端部の吸収体に体液が到達でき、容易に吸収される。したがって、体液の幅方向の漏れ(横漏れ)をより抑制できる。この効果は、吸収性物品の装着者が就寝姿勢(特に側臥位)の状態であるとき、特に顕著である。
【0017】
[態様5]
前記幅方向において、前記複数の長手方向接合部及び前記複数の長手方向非接合部は、前記第2幅方向部分における前記弾性部材の手前と前記固定端との間に存在する、態様4に記載の吸収性物品。
【0018】
本吸収性物品では、長手方向接合部及び長手方向非接合部は、第2幅方向部分における弾性部材の手前と固定端との間に存在するので、より確実に、立体ギャザー部の起立する部分に、長手方向に延びる複数の皺が形成される。それにより、自由端及びその近傍(不織布が自由端で折り返されて二重になった部)による肌当たりがより緩和され、装着者が違和感や痛みをより覚え難く、肌トラブルがより起こり難い。さらに、体液が立体ギャザー部に達したとしても、長手方向に延びる複数の皺により、体液が長手方向の前側又は後側に拡散される。それにより、体液の幅方向の漏れ(横漏れ)をより抑制できる。
【0019】
[態様6]
前記幅方向において、前記第1幅方向部分は、前記吸収体の端部を覆うように位置しており、前記複数の長手方向接合部及び前記複数の長手方向非接合部は、前記固定端よりも外側に存在する、態様4又は5に記載の吸収性物品。
【0020】
本吸収性物品では、立体ギャザー部の第1幅方向部分は、吸収体の端部を覆っており、長手方向接合部及び長手方向非接合部は、第1幅方向部分の固定端よりも幅方向の外側に存在している。したがって、長手方向接合部及び長手方向非接合部は、立体ギャザー部における吸収体を覆う第1幅方向部分に存在している。それにより、立体ギャザー部における吸収体を覆う第1幅方向部分に、長手方向に延びる複数の皺が形成されることになる。それにより、装着者が就寝姿勢(特に側臥位)の状態で、立体ギャザー部における吸収体を覆う第1幅方向部分に体圧が掛かったとしても、体液が複数の皴に沿って長手方向に拡散するので、立体ギャザー部から体液がより染み出し難い。したがって、体液の幅方向の漏れ(横漏れ)をより抑制できる。
【0021】
[態様7]
前記フィルム部材は、前記一対の立体ギャザー部の各々における前記長手方向の一方の端縁から他方の端縁まで連続的に配置されており、前記複数の長手方向接合部の各々、及び、前記複数の長手方向非接合部の各々は、前記一対の立体ギャザー部の各々における前記長手方向の一方の端縁から他方の端縁まで連続的に配置されている、態様4乃至6のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【0022】
本吸収性物品では、立体ギャザー部が、長手方向の全体に、長手方向に沿って連続的に延在する複数の皺を形成することができる。したがって、立体ギャザー部が、長手方向の全体に、連続的に複数の皺を有するので、自由端及びその近傍(不織布が自由端で折り返されて二重になった部分)による肌当たりがより緩和され、装着者が違和感や痛みをより覚え難く、肌トラブルがより起こり難い。
【0023】
[態様8]
前記複数の長手方向非接合部の各々における前記幅方向の長さは、前記複数の長手方向接合部の各々における前記幅方向の長さ以上である、態様4乃至7のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【0024】
本吸収性物品では、(長手方向非接合部の幅)≧(長手方向接合部の幅)である。したがって、低剛性な長手方向非接合部の幅が相対的に同じか大きいことにより、立体ギャザー部がより折れ曲がり易くなるので、形成される複数の皺の大きさが相対的に大きくなる。それにより、立体ギャザー部は、自由端及びその近傍(不織布が自由端で折り返されて二重になった部分)による肌当たりがより緩和され、装着者が違和感や痛みをより覚え難く、肌トラブルがより起こり難い。
さらに、体液が立体ギャザー部に達したとしても、長手方向に延びる複数の皺により、体液が長手方向の前側又は後側により拡散される。それにより、体液の幅方向の漏れ(横漏れ)をより抑制できる。
【0025】
[態様9]
前記弾性部材は複数であり、複数の前記弾性部材の各々は、前記長手方向に沿って延在し、前記幅方向に間隔を空けて配置されており、前記幅方向において、前記複数の前記弾性部材のうちの前記固定端に最も近い弾性部材と、前記複数の長手方向接合部のうちの最も前記自由端に近い長手方向接合部との距離は、前記複数の長手方向接合部の各々の長さ及び前記複数の長手方向非接合部の各々の長さよりも長い、態様4乃至8のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【0026】
本吸収性物品では、複数の前記弾性部材のうちの固定端に最も近い弾性部材と、複数の長手方向接合部のうちの自由端に最も近い長手方向接合部との距離は、長手方向接合部の長さ(幅)及び長手方向非接合部の長さ(幅)よりも長くなっている。したがって、立体ギャザー部において、第2幅方向部分における、固定端に最も近い弾性部材と、自由端に最も近い長手方向接合部との間の部分において、幅方向の長さが大きい。それにともない、当該部分での皺の大きさが大きくなる。その部分での皺により、立体ギャザー部は、自由端及びその近傍(第2幅方向部分)による肌当たりがより緩和され、装着者が違和感や痛みをより覚え難く、肌トラブルがより起こり難い。さらに、その部分での皺により、体液が立体ギャザー部に達したとしても、体液が長手方向の前側又は後側により拡散される。それにより、体液の幅方向の漏れ(横漏れ)をより抑制できる。
【0027】
[態様10]
前記幅方向において、前記吸収性物品における外側の端縁と、前記一対の立体ギャザー部の各々における前記複数の長手方向接合部のうちの最も外側の長手方向接合部との距離が、前記複数の長手方向接合部の各々の長さ及び前記複数の長手方向非接合部の各々の長さよりも長い、態様4乃至9のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【0028】
本吸収性物品では、幅方向において、吸収体性物品における外側の端縁と、立体ギャザー部の最も外側の長手方向接合部との距離が、長手方向接合部の幅及び長手方向非接合部の幅よりも長い。すなわち、吸収性物品における外側の端部では、立体ギャザー部の不織布とフィルム部材とが接合されていない、幅の広い(長手方向接合部の幅及び長手方向非接合部の幅よりも広い)領域が長手方向に沿って存在する。それにより、吸収性物品における外側の端部に、長手方向に延びる、不織布やフィルム部材が浮いている部分が形成されることになる。それにより、吸収体性物品の外側の端部による肌当たりが緩和される。
【0029】
[態様11]
平面視で、前記吸収体の肌側に、前記フィルム部材が存在しない領域の前記幅方向の長さは、前記フィルム部材が存在する領域の前記幅方向の長さよりも長い、態様4乃至10のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【0030】
本吸収性物品では、平面視で、吸収体の肌側に、フィルム部材が存在しない領域の幅は、フィルム部材が存在する領域の幅よりも長い。それゆえ、吸収体の肌側にフィルム部材が存在しない領域は、フィルム部材が存在する領域よりも広くなる。したがって、フィルム部材の存在する領域が広過ぎないことで、吸収性物品のトップシートに排泄される体液の吸収を阻害することが抑制されるとともに、フィルム部材の存在する領域があることで、トップシートに排泄された体液の肌面への接触が抑制される。
【0031】
[態様12]
前記トップシートは、平面視で、少なくとも前記フィルム部材と重複しない領域において凹凸を有しており、前記凹凸は、前記長手方向に沿って延び、前記幅方向に間隔を空けて並んだ複数の凸部と、前記長手方向に沿って延び、前記幅方向に間隔を空けて並んだ複数の凹部と、を含み、前記複数の凸部の各々と前記複数の凹部の各々とが前記幅方向に交互に並んでおり、前記複数の凸部の各々と前記複数の凹部の各々とが前記幅方向に交互に並ぶピッチは、前記一対の立体ギャザー部の各々における前記複数の長手方向接合部の各々と前記複数の長手方向非接合部の各々とが前記幅方向に交互に並ぶピッチより大きい、態様4乃至11のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【0032】
本吸収性物品では、トップシートの凹凸ピッチ(凸部の幅+凹部の幅)が比較的広いことで、長手方向に体液が拡散しやすい。それに加えて、トップシートの凹凸ピッチ(凸部の幅+凹部の幅)と、立体ギャザー部の接合部のピッチ(長手方向接合部の幅+長手方向非接合部の幅)とが異なることで、トップシートと立体ギャザー部との接合部分において、トップシートと立体ギャザー部(フィルム部材)との界面に隙間ができ易いので、体液が長手方向に沿って拡散しやすい。
【0033】
[態様13]
前記吸収性物品の前記長手方向の背側の部分に配置され、前記一対の立体ギャザー部の間の領域における前記トップシートよりも肌側に、液不透過性の背側シート部材をさらに備え、前記吸収性物品の前記長手方向の背側の部分において、液不透過性の前記一対のギャザー部及び前記背側シート部材は、前記吸収体の前記幅方向に亘って、前記トップシートを肌側から覆うように構成される、態様1乃至11のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【0034】
本吸収性物品は、吸収体の幅方向の両側に位置する液不透過性の一対のフィルム部材と、吸収体の長手方向の背側の部分において、一対のフィルム部材の間の領域を幅方向に覆う液不透過性の背側シート部材と、を備えている。したがって、吸収体上に液不透過性のシートが略コの字形(略U字形)に配置されていることになる。それゆえ、一対のフィルム部材及び背側シート部材の存在する領域が広過ぎないことで、吸収性物品のトップシートに排泄される体液の吸収を阻害することが抑制されるとともに、一対のフィルム部材及び背側シート部材の存在する領域があることで、トップシートに排泄された体液の肌面への接触が抑制される。それに加えて、吸収体の背側の部分を覆う背側シート部材で装着者の臀部を体液から保護することで、褥瘡を起こし易い臀部での肌トラブルを抑制できる。
【0035】
[態様14]
前記トップシート及び/又は前記吸収体に配置された、親水性の抗菌剤及び/又は保湿剤をさらに備える、態様1乃至12のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【0036】
本吸収性物品は、トップシート(肌側若しくは非肌側の表面)又は吸収体(肌側の表面若しくは内部)に親水性の抗菌剤及び/又は保湿剤を配置されているので、尿のような体液をはじくことなく、それゆえ、本吸収性物品の吸収体の吸収に影響することなく、肌トラブルをより抑制できる。
【0037】
[態様15]
前記トップシートは、平面視で、少なくとも前記フィルム部材と重複しない領域において凹凸を有しており、前記抗菌剤及び/又は前記保湿剤は、前記トップシートにおける前記凹凸を有する面及び/又は前記凹凸を有さない面に塗布されている、態様14に記載の吸収性物品。
【0038】
本吸収性物品では、フィルム部材9が存在する領域では、フィルム部材により、水分の蒸散などによる肌の浸軟を抑制できる。フィルム部材が存在しない領域では、トップシートの肌側の凹凸により、トップシートと肌との接触を減らして浸軟を抑制しつつ、トップシートに塗布された抗菌剤や保湿剤を塗布することで抑制し、肌の炎症を抑えることができる。
【0039】
以下、実施形態に係る吸収性物品について、尿取りパッドを例に挙げて説明する。ただし、吸収性物品の種類はこの例に限定されるものではなく、本発明の趣旨の範囲を逸脱しない限り、他の種類の吸収性物品でもよい。そのような吸収性物品としては、例えば、パンツ型使い捨ておむつ、パンツ型だが片側の係止部が着脱可能な使い捨ておむつ、テープ型使い捨ておむつ、失禁パッド、生理用ナプキン、パンティライナー、ショーツ型ナプキンなどが挙げられる。
【0040】
図1図3は実施形態に係る吸収性物品(尿取りパッド1)の構成例を示している。ただし、図1は、尿取りパッド1の展開状態での平面図である。図2は、図1の尿取りパッド1におけるII-II線に沿った模式的な断面図である。図3は、図1の尿取りパッド1におけるIII-III線に沿った模式的な断面図である。尿取りパッド1は、吸収体(後述)の長手、幅及び厚さに対応する、互いに直交する長手方向L、幅方向W及び厚さ方向Tを有する。尿取りパッド1は、幅方向Wの中心を通り、長手方向Lに沿って延びる長手方向中心線LC、及び、長手方向Lの中心を通り、幅方向Wに沿って延びる幅方向中心線WCを有する。長手方向中心線LCに近づく向き及び側をそれぞれ幅方向Wの内向き及び内側とし、遠ざかる向き及び側をそれぞれ幅方向Wの外向き及び外側とする。幅方向中心線WCに近づく向き及び側をそれぞれ長手方向Lの内向き及び内側とし、遠ざかる向き及び側をそれぞれ長手方向Lの外向き及び外側とする。
【0041】
「肌側」及び「非肌側」とは尿取りパッド1が装着者に装着されたとき、厚さ方向Tにおいて相対的に装着者の肌面に近い側及び遠い側をそれぞれ意味する。「平面視」とは長手方向L及び幅方向Wを含む平面に展開状態の尿取りパッド1を厚さ方向Tの上方側(肌側)から見ることをいい、「平面形状」とは平面視で把握される形状をいう。「平面方向」とは幅方向W及び長手方向Lを含む面と平行な任意の方向である。図1において、上方を長手方向Lの前方側又は腹側とし、下方を長手方向Lの後方側又は背側とする。
【0042】
部材や構造や形状などが所定の方向(例えば、長手方向L、幅方向W、厚さ方向T)に沿う、とは、部材等が所定の方向に平行である場合だけでなく、所定の方向に対して±30°の範囲内にある場合を含んでいる。なお、曲線状や曲面状の部材等の方向は、曲線等上の各点の接線の方向とする。また、ある部材等における所定の方向(例示:長手方向L、幅方向W)の端部とは、その部材等における、所定の方向の端縁から所定の方向での全体の長さの30%以下の長さ範囲をいい、好ましくは、20%以下の範囲であり、より好ましくは10%以下の範囲であり、さらに好ましくは5%以下の範囲である。以上説明されたこれらの定義は尿取りパッド1だけでなく、尿取りパッド1に配置された各資材にも共通に用いる。
【0043】
ただし、尿取りパッドに関する「展開状態」は、尿取りパッドを構成する非伸長性資材(例えば、不織布)を、破断させない範囲で皺を有しなくなるまで、尿取りパッドを平面上に拡げた状態(必要に応じて尿取りパッドが備える弾性部材を伸長させた状態)を意味する。なお、パンツ型吸収性物品に関する「展開状態」は、パンツ型収性物品の前胴回り領域及び後胴回り領域の境界である一対の係止部の係止を解除し、パンツ型吸収性物品を構成する非伸長性資材(例えば、不織布)を、破断させない範囲で皺を有しなくなるまで、パンツ型吸収性物品を平面上に拡げた状態を意味する。その際、必要に応じてパンツ型収性物品が備える弾性部材を伸長させる。
【0044】
尿取りパッド1は、長手方向Lに沿って前側から後側へ向かって並ぶ腹側部A1、股間部A2及び背側部A3を有し、平面視にて、股間部A2が幅方向Wにくびれた瓢箪形状を有する。腹側部A1は装着者の腹部に当接する部分であり、股間部A2は装着者の股間部に当接する部分であり、背側部A3は装着者の尻部及び背部に当接する部分である。ただし、尿取りパッド1の形状は、長手方向Lに長い形状であれば、この形状に限定されない。その形状としては、例えば、長方形、角丸長方形、短辺が外側に略半円形の長方形、砂時計形、楕円形などが挙げられる。尿取りパッド1の大きさは、特に制限はないが、例えば、長手方向Lの寸法は300~900mmであり、幅方向Wの寸法は150~500mmである。
【0045】
尿取りパッド1は、トップシート2と、バックシート3と、吸収体4と、を備える。トップシート2とバックシート3と吸収体4とは、例えば、互いに接着剤等の公知の方法で接合されている。
【0046】
トップシート2は、吸収体4の肌側に位置する液透過性シートである。トップシート2の資材としては、吸収性物品に使用可能な液透過性のシートであれば特に制限はなく、例えば、液透過性の不織布、液透過孔が形成された合成樹脂フィルム、これらの同種又は異種のシートを組み合わせた複合シートなどが挙げられる。バックシート3は、吸収体4の非肌側に位置する液不透過性シートであり、透湿性(通気性)を有することが好ましい。バックシート3の資材としては、吸収性物品に使用可能な液不透過性(好ましくは透湿性(通気性))のシートであれば特に制限はなく、例えば、液不透過性かつ通気性の不織布、通気孔が形成された合成樹脂フィルム、これらの同種又は異種のシートを組み合わせた複合シートなどが挙げられる。不織布の種類としては、特に制限はなく、例えば、メルトブローン不織布、スパンボンド不織布、エアレイド不織布、エアスルー不織布などが挙げられる。不織布の複合シートとしては、例えば、SB不織布、SMS不織布などが挙げられる。合成樹脂フィルムの種類としては、特に制限はなく、公知のフィルム材料を用いることができる。不織布や合成樹脂フィルムの材料としては、吸収性物品に使用可能であれば特に制限はないが、例えば、合成樹脂が挙げられ、合成樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂、6-ナイロン、6,6-ナイロン等のポリアミド系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレタレート等のポリエステル系樹脂等が挙げられる。不織布の材料として、セルロース系繊維を用いてもよい。透湿性(通気性)を付与するために、合成樹脂フィルムは炭酸カルシウムのような無機粒子を含んでもよい。なお、トップシート2及びバックシート3の厚さ、坪量等は尿取りパッド1の吸収性能等を考慮して適宜調整される。
【0047】
吸収体4は、トップシート2とバックシート3との間に位置する、液吸収性及び液保持性を有する吸収性部材である。吸収体4の資材としては、吸収性物品に使用可能な吸収性部材であれば特に制限はなく、例えば、セルロース系繊維、高吸水性ポリマー(SuperAbsorbent Polymer:SAP)などが挙げられる。セルロース系繊維としては、例えば、木材パルプ繊維や架橋パルプ繊維、非木材パルプ繊維などのパルプ繊維のような天然セルロース繊維、再生セルロース繊維、半合成セルロース繊維が挙げられる。高吸水性ポリマー(Super Absorbent Polymer:SAP)としては、例えば、ポリアクリル酸塩系、ポリスルホン酸塩系、無水マレイン酸塩系の吸水性ポリマーが挙げられる。なお、吸収体4の厚さ、坪量等は尿取りパッド1の吸収性能等を考慮して適宜調整される。吸収体4におけるパルプ繊維の割合としては、吸収性能等を考慮して適宜調整されるが、例えば、高吸水性ポリマーの質量の0~90%の範囲が挙げられる。
【0048】
尿取りパッド1は、体液(例えば、尿)が主に幅方向Wの両端部から漏れること(横漏れ)を抑制する一対の立体ギャザー部10をさらに備える。一対の立体ギャザー部10は、吸収体4の幅方向Wの両端部に位置しており、不織布7及び液不透過性のフィルム部材9を含んでいる。一対の立体ギャザー部10の各々は、長手方向Lに沿って延び、互いに幅方向Wに所定の間隔Dを空けて配置されており、長手方向Lの両端部をそれぞれ接着剤又は熱融着による一対の固定部10Fにより、トップシート2などに固定されている。
【0049】
各立体ギャザー部10は、幅方向Wにおける一方の端部(例えば、外側の端部)を含む部分である第1幅方向部分10aと、幅方向Wにおける他方の端部(例えば、内側の端部)を含む部分である第2幅方向部分10bと、を含んでいる。第1幅方向部分10aは、トップシート2、吸収体4、及びバックシート3の少なくとも一つにおける幅方向Wの端部に接合されており、接合された部分における第2幅方向部分10bの側の端を固定端FXとされている。固定端FXは、吸収体4(吸収体4a)における幅方向Wの最大長さの位置での幅方向Wの端縁よりも内側に位置している。固定端FXは、吸収体4bにおける幅方向Wの最大長さの位置での幅方向Wの端縁よりも外側に位置することが好ましい。一方、第2幅方向部分10bは、長手方向Lに沿って延びる弾性部材8を含んでいる。第2幅方向部分10bは、幅方向Wおける第1幅方向部分10aと反対の側の端縁を自由端FRとされている。第1幅方向部分10aと第2幅方向部分10bとは幅方向Wに隣接している。第2幅方向部分10bの幅方向Wの長さ(幅)は、尿取りパッド1に要求される立体ギャザー部の漏れ防止機能に応じて適宜設定される。第1幅方向部分10aの幅方向Wの長さ(幅)は、固定端FX(第2幅方向部分10bの幅方向Wの一方の端縁でもある)と尿取りパッド1の幅方向Wの端縁との間で適宜設定される。なお、本実施形態では、弾性部材8は複数であり、長手方向Lに沿って延び、幅方向Wに間隔を空けて配置されている。第1幅方向部分10aは、尿取りパッド1の装着時に起立する起立部ということができる。第2幅方向部分10bは、立体ギャザー部10をトップシート2、吸収体4、及びバックシート3の少なくとも一つにおける幅方向Wの端部に固定する固定部ということができる。すなわち、第2幅方向部分10b(固定部)は、第1幅方向部分10a(起立部)の幅方向Wの外側に位置し、第1幅方向部分10a(起立部)を、尿取りパッド1における幅方向Wの端部に固定する。
【0050】
各立体ギャザー部10を構成する不織布7は、幅方向Wにおいて、第1幅方向部分10aから第2幅方向部分10bまで延在している。本実施形態では、不織布7は、第2幅方向部分10bにおいて、複数の弾性部材8を接着剤などで保持している。一方、各立体ギャザー部10を構成するフィルム部材9は、不織布7の非肌側に重なり、不織布7と接合部21で接合されている。フィルム部材9は、幅方向Wにおいて、第1幅方向部分10aから、第2幅方向部分10bにおける弾性部材8の手前まで、延在している。ただし、フィルム部材9は、幅方向Wにおいて、第2幅方向部分10bにおける第1幅方向部分10aと反対側の端部まで延在してもよい。本実施形態では、フィルム部材9は、第1幅方向部分10aから、複数の弾性部材8のうちの最も第1幅方向部分10a側の弾性部材8の手前まで延在している。すなわち、フィルム部材9における第2幅方向部分10b側の端縁と、複数の弾性部材8のうちの最も第1幅方向部分10a側の弾性部材8とは、対向しつつ、互いに離間している。
【0051】
立体ギャザー部10を構成する不織布7の資材としては、吸収性物品用の材料として使用可能であれば特に制限はなく、例えば、疎水性及び/又は撥水性の不織布が好ましい。不織布の種類及び材料としては、上述されたとおりである。一方、立体ギャザー部10を構成するフィルム部材9の資材としては、吸収性物品に使用可能な液不透過性かつ透湿性(通気性)のフィルム部材であれば特に制限はなく、例えば、液不透過性の合成樹脂フィルムが挙げられ、液不透過性かつ透湿性(通気性)の合成樹脂フィルム部材が好ましい。合成樹脂フィルムの種類及び材料としては、上述されたとおりである。したがって、立体ギャザー部10は、液不透過性かつ透湿性(通気性)を有している。
【0052】
フィルム部材9は、バックシート3と同様に液不透過性かつ透湿性ではあるが、フィルム部材9の透湿度は、バックシート3の透湿度よりも低いことが好ましい。すなわち、フィルム部材9は、低透湿度であることが好ましい。低透湿度であるフィルム部材9の透湿性としては、吸収体4に吸収された体液(例えば、尿)が蒸散して肌に到達することを抑制する観点から高過ぎないことが好ましく、肌から生じる汗が蒸散して吸収体4へ吸収され易くする観点から低過ぎないことが好ましい。具体的には、透湿度としては、例えば、50~900g/m・dayが挙げられ、100~800g/m・dayが好ましく、200~700g/m・dayがより好ましい。それにより、吸収体4に吸収された体液が蒸散して肌に到達することを抑制しつつ、肌から生じる汗が蒸散して外部へ排出され易くなる。ただし、立体ギャザー部10における透湿度は、不織布7に影響されず、フィルム部材9の透湿度に律速される点に留意されたい。なお、バックシート3の透湿性としては、尿取りパッド1内での蒸れの抑制の観点、及び、体液の漏れを抑制する観点から、例えば、1000~6000g/m・dayが挙げられ、1500~5000g/m・dayが好ましく、2000~4000g/m・dayがより好ましい。この場合、バックシート3の透湿性に対するフィルム部材9の透湿性の割合は、例えば、2~70%が挙げられ、4~60%が好ましく、6~50%がより好ましい。
【0053】
上記透湿度は、JIS Z 0208:1976の「防湿包装材料の透湿度試験方法(カップ法)」に従って測定した値を採用するが、下記の点でJIS Z 0208:1976と異なる。
(i)透湿カップに、塩化カルシウムの代わりに20gの水を充填する点。
(ii)温度40℃及び相対湿度60%の恒温恒湿室において、透湿度を測定する点。
(iii)24時間静置した後、カップの質量増加ではなく、20gの水の質量減少(排出量)を測定する点。
【0054】
本実施形態では、図示されるように、尿取りパッド1は、一対の活性炭シート6、拡散シート5、高吸水性ポリマーシート(SAPシート)11、低摩擦部材15、カバーシート16、及び、外装シート19の少なくとも一つをさらに備えてもよい。さらに、吸収体4は、上層吸収体4aと、下層吸収体4bとを含んでもよく、上層吸収体4a及び下層吸収体4bは、それぞれ、スリット13及びスリット12を有してもよい。これらの構成については、後述される。
【0055】
上記のように、尿取りパッド1では、一対の立体ギャザー部10の各々は、不織布7とフィルム部材9とが積層され接合部21で接合され、フィルム部材9は、幅方向Wにて、第1幅方向部分10aから、第2幅方向部分10bにおける弾性部材8の手前まで、延在している。このように、フィルム部材9が幅方向Wの大部分(第1幅方向部分10aから弾性部材8の手前までの部分)に存在することで、立体ギャザー部10に体圧が掛かっても、立体ギャザー部10から体液(例えば、尿)が染み出し難い。さらに、フィルム部材9が、第2幅方向部分10bにおける弾性部材8の手前までは存在するが、自由端FR及びその近傍(自由端FRを含む第2幅方向部分10bにおける弾性部材8の存在する部分)には存在しない。それゆえ、自由端FR及びその近傍の剛性は他の部分の剛性と比較して低くなる。そのため、自由端FR及びその近傍による肌当たりが緩和され、装着者が違和感や痛みを覚え難く、肌トラブルが起こり難い。したがって、不織布7及びフィルム部材9を含む一対の立体ギャザー部10を備えた吸収性物品(尿取りパッド1)であって、体液の漏れを抑制する機能を維持しつつ、肌当たりによる肌トラブルを抑制することが可能な吸収性物品(尿取りパッド1)が提供される。
【0056】
本実施形態における好ましい態様における不織布7とフィルム部材9とを含む一対の立体ギャザー部10の各々について、以下に説明する。図4は、図1の尿取りパッド1における立体ギャザー部10の展開状態での構成例を模式的に示す平面図及び部分である。
【0057】
不織布7は、第1幅方向部分10aから第2幅方向部分10bまで延在し、肌側に位置する肌側不織布7aと、第2幅方向部分10bの自由端FRで折り返されて非肌側に位置する非肌側不織布7bと、を含んでいる。第2幅方向部分10bでは、肌側不織布7aと非肌側不織布7bとが、積層されて二重になり、複数の弾性部材8を接着剤などで挟持している。ただし、非肌側不織布7bの幅方向Wの長さ(幅)としては、例えば、第2幅方向部分10bの幅方向Wの長さ(幅)の20~80%の範囲の値が挙げられ、30~70の範囲の値が好ましい。
【0058】
一方、フィルム部材9は、第1幅方向部分10aから、第2幅方向部分10bにおける複数の弾性部材8のうちの最も第1幅方向部分10a側の弾性部材8Eの手前まで、延在する。すなわち、フィルム部材9における第2幅方向部分10b側の端縁9Ebと、複数の弾性部材8のうちの最も第1幅方向部分10a側の弾性部材8Eとは、互いに離間している。さらに、フィルム部材9における第2幅方向部分10b側の端縁9Ebと、折り返された非肌側不織布7bの端縁7bEとは、互いに離間しており、間隙Gが存在する。
【0059】
不織布7とフィルム部材9とを接合する接合部21は、複数の長手方向接合部21aと、複数の長手方向非接合部22aと、を含んでいる。複数の長手方向接合部21aは、長手方向Lに沿って延在し、幅方向Wに間隔を空けて並び、フィルム部材9と不織布7とを接合する。複数の長手方向非接合部22aは、長手方向Lに沿って延在し、幅方向Wに間隔を空けて並び、フィルム部材9と不織布7とを接合しない。そして、複数の長手方向接合部21aの各々と、複数の長手方向非接合部22aの各々とが幅方向Wに交互に配置されている。
【0060】
本実施形態における好ましい態様では、立体ギャザー部10において、幅方向Wにおいて、フィルム部材9における第1幅方向部分10aの側の端縁9Eaは、尿取りパッド1の端縁1Eから吸収体4の端縁4Eまでの範囲に位置している。一方、幅方向Wにおいて、フィルム部材9における第2幅方向部分10bの側の端縁9Ebは、不織布7が自由端FRで折り返されて二重になり、弾性部材8を挟持している部分(非肌側不織布7b)における第1幅方向部分10aの側に向いた端縁7bEから、当該端縁7bEと弾性部材8E(最もフィルム部材9側の弾性部材8)との距離r1だけ端縁7bEから第1幅方向部分10aの側に離れた箇所まで、の範囲に位置する。したがって、フィルム部材9における第2幅方向部分10bの側の端縁9Ebと、非肌側不織布7bにおける第1幅方向部分10aの側に向いた端縁7bEとの距離q1は、上記の距離r1以下である(q1≦r1)。ただし、距離q1、すなわち、間隙Gの幅方向Wの長さとしては、例えば、0.2~5mmが挙げられる。
【0061】
したがって、尿取りパッド1では、フィルム部材9がこのような広い範囲(少なくとも吸収体4の端縁4Eから、折り返された非肌側不織布7bの端縁まで)に位置することで、立体ギャザー部10に体圧が掛かっても、立体ギャザー部10から体液がより染み出し難い。さらに、フィルム部材9が、自由端FR及びその近傍、すなわち、不織布7が自由端FRで折り返されて二重になった部分には存在しないので、当該部分による肌当たりがより緩和されて、装着者が違和感や痛みをより覚え難く、肌トラブルがより起こり難い。
【0062】
本実施形態における好ましい態様では、尿取りパッド1において、一対の立体ギャザー部10の各々において、フィルム部材9が、少なくとも長手方向Lにおける背側の部分(背側部A3)に配置されている。この構成を適用する理由は、以下のとおりである。吸収性物品(尿取りパッド1)の装着者が就寝姿勢(特に側臥位)の状態であるとき、臀部側の部分に体圧が掛かり易い。そこで、この構成が適用されると、フィルム部材9が背側に配置されるため、装着者が就寝姿勢(特に側臥位)の状態で、立体ギャザー部10の臀部側の部分(背側部A3)に体圧が掛かったとしても、立体ギャザー部10から体液(例えば、尿)がより染み出し難くなる。したがって、体液の幅方向Wの漏れ(横漏れ)をより抑制できる。横漏れ抑制の観点から、フィルム部材9は、長手方向Lの股間部A2にさらに配置されることが好ましく、腹側部A1にさらに配置されることがより好ましい。
【0063】
本実施形態における好ましい態様では、尿取りパッド1では、フィルム部材9と不織布7とを接合する複数の長手方向接合部21aの各々と、フィルム部材9と不織布7とを接合しない複数の長手方向非接合部22aの各々とが幅方向Wに交互に配置されている。ここで、長手方向接合部21aは、フィルム部材9と不織布7とを接合(例えば、接着剤、熱融着など)するので、剛性が高い高剛性部である。一方、長手方向非接合部22aは、フィルム部材9と不織布7とを接合しないので、剛性が低い低剛性部である。それゆえ、立体ギャザー部10は、幅方向Wに、高剛性部と低剛性部とが交互に配置されていることになり、低剛性部、すなわち長手方向非接合部22aは、変形が容易である。そのため、例えば、尿取りパッド1の装着時に立体ギャザー部10が起立したとき、立体ギャザー部10に起立した方向の圧力が掛かる場合には、複数の長手方向非接合部22aが厚さ方向Tに収縮することにより、長手方向Lに延びる複数の皺が形成されることになる。すなわち、立体ギャザー部10は、厚さ方向Tに蛇腹状に変形し易くなるので、自由端FR及びその近傍(不織布7が自由端FRで折り返されて二重になった部分)による肌当たりがより緩和され、装着者が違和感や痛みをより覚え難く、肌トラブルがより起こり難い。
【0064】
さらに、体液が立体ギャザー部10に達したとしても、形成された、長手方向Lに延びる複数の皺により、体液が長手方向Lの前側又は後側に拡散される。それにより、吸収する体液の量が少なくなり易い、長手方向Lの端部の吸収体4に体液が到達でき、容易に吸収される。したがって、体液の幅方向Wの漏れ(横漏れ)をより抑制できる。この効果は、尿取りパッド1の装着者が就寝姿勢(特に側臥位)の状態のとき、特に顕著である。
【0065】
本実施形態における好ましい態様では、尿取りパッド1では、長手方向接合部21a及び長手方向非接合部22aは、第2幅方向部分10bにおける弾性部材8の手前(フィルム部材9の第2幅方向部分10bの側の端縁9Eb)と固定端FXとの間に存在する。それにより、長手方向接合部21a及び長手方向非接合部22aは、より確実に、立体ギャザー部10の起立する部分に、長手方向Lに延びる複数の皺が形成されることになる。それにより、自由端FR及びその近傍(不織布7が自由端FRで折り返されて二重になった部分)による肌当たりがより緩和され、装着者が違和感や痛みをより覚え難く、肌トラブルがより起こり難い。さらに、体液が立体ギャザー部10に達したとしても、長手方向Lに延びる複数の皺により、体液が長手方向Lの前側又は後側に拡散される。それにより、体液の幅方向の漏れ(横漏れ)をより抑制できる。
【0066】
本実施形態における好ましい態様の尿取りパッド1では、幅方向において、立体ギャザー部10の第1幅方向部分10aは、吸収体4の端部を覆うように位置しており、長手方向接合部21a及び長手方向非接合部22aは、第1幅方向部分10aの固定端FXよりも外側に存在している。したがって、長手方向接合部21a及び長手方向非接合部22aは、立体ギャザー部10における吸収体4を覆う第1幅方向部分10aに存在している。それにより、第1幅方向部分10aに、長手方向Lに延びる複数の皺が形成されることになる。それにより、装着者が就寝姿勢(特に側臥位)の状態で、第1幅方向部分10aに体圧が掛かったとしても、体液が複数の皴に沿って長手方向Lに拡散するので、立体ギャザー部10から体液がより染み出し難い。したがって、体液の幅方向Wの漏れ(横漏れ)をより抑制できる。
【0067】
本実施形態における好ましい態様の尿取りパッド1では、立体ギャザー部10が、長手方向Lの一方の端縁から他方の端縁まで、すなわち、長手方向Lの全体に、長手方向Lに沿って連続的に延在する長手方向接合部21a及び長手方向非接合部22aを有する。したがって、立体ギャザー部10は、長手方向Lの一方の端縁から他方の端縁まで、長手方向Lの全体に、長手方向Lに沿って連続的に延在する複数の皺を形成できる。立体ギャザー部10が、長手方向Lの全体に、連続的に複数の皺を有することで、自由端FR及びその近傍(不織布7が自由端FRで折り返されて二重になった部分)による肌当たりがより緩和され、装着者が違和感や痛みをより覚え難く、肌トラブルがより起こり難い。
【0068】
本実施形態における好ましい態様の尿取りパッド1では、複数の長手方向非接合部22aの各々における幅方向Wの長さ(幅)d2は、複数の長手方向接合部21aの各々における幅方向Wの長さ(幅)d1以上である。すなわち、d1≦d2、である。この場合、長手方向非接合部22aの幅方向Wの長さ(幅)d2及び長手方向接合部21aの幅方向Wの長さ(幅)d1の各々が、長手方向Lの位置によって異なる長さ(幅)を有する場合には、長さ(幅)d2及び長さ(幅)d1は、平均値とする。平均値は、例えば、長手方向Lに等間隔で複数の位置(例えば、10カ所)を設定し、当該複数の位置において、長さ(幅)を測定し、その平均を取るものとする。したがって、低剛性な長手方向非接合部22aの幅が相対的に同じか大きいことにより、立体ギャザー部10がより折れ曲がり易くなるので、形成される複数の皺の大きさが相対的に大きくなる。それにより、立体ギャザー部10は、自由端FR及びその近傍(不織布7が自由端FRで折り返されて二重になった部分)による肌当たりがより緩和され、装着者が違和感や痛みをより覚え難く、肌トラブルがより起こり難い。さらに、体液が立体ギャザー部10に達したとしても、長手方向Lに延びる複数の皺により、体液が長手方向Lの前側又は後側により拡散される。それにより、体液の幅方向Wの漏れ(横漏れ)をより抑制できる。ただし、長手方向非接合部22aにおける幅方向Wの長さ(幅)d2としては、例えば、1~10mmが挙げられ、1.5~5mmが好ましい。一方、長手方向接合部21aにおける幅方向Wの長さ(幅)d1としては、例えば、1~10mmが挙げられ、1.5~5mmが好ましい。
【0069】
本実施形態における好ましい態様の尿取りパッド1では、複数の弾性部材8のうちの固定端FXに最も近い弾性部材8Eと、複数の長手方向接合部21aのうちの自由端FRに最も近い長手方向接合部21Eとの距離(p1+q1+r1)は、長手方向接合部21aの長さ(幅)d1及び長手方向非接合部の長さ(幅)d2よりも長くなる。ただし、p1は、複数の長手方向接合部21aのうちの自由端FRに最も近い長手方向接合部21Eと、フィルム部材9における第2幅方向部分10b側の端縁9Ebとの間の距離である。したがって、立体ギャザー部10において、第2幅方向部分10bにおける、固定端FXに最も近い弾性部材8Eと、自由端FRに最も近い長手方向接合部21Eとの間の部分において、幅方向Wの長さが相対的に大きい。それにともない、当該部分での皺の大きさが大きくなる。その部分での皺により、立体ギャザー部は、自由端FR及びその近傍(不織布7が自由端FRで折り返されて二重になった部分)による肌当たりがより緩和され、装着者が違和感や痛みをより覚え難く、肌トラブルがより起こり難い。さらに、その部分での皺により、体液が立体ギャザー部10に達したとしても、体液が長手方向Lの前側又は後側により拡散される。それにより、体液の幅方向Wの漏れ(横漏れ)をより抑制できる。
【0070】
本実施形態における好ましい態様の尿取りパッド1では、幅方向Wにおいて、尿取りパッド1における外側の端縁1Eと、最も外側の長手方向接合部21aとの距離が、長手方向接合部21aの長さ(幅)d1及び長手方向非接合部22aの長さ(幅)d2よりも長い。ここで、フィルム部材9(立体ギャザー部10)は、尿取りパッド1の外側の端縁1Eまで延在しているので、尿取りパッド1における外側の端部では、立体ギャザー部10の不織布7とフィルム部材9とが接合されていない、幅の広い(長手方向接合部21aの幅及び長手方向非接合部22aの幅よりも広い)領域が長手方向Lに沿って存在することになる。それにより、尿取りパッド1における外側の端部に、長手方向Lに延びる、不織布7やフィルム部材9が浮いている部分が形成されることになる。それにより、尿取りパッド1の外側の端部による肌当たりが緩和される。
【0071】
本実施形態における好ましい態様の尿取りパッド1では、平面視で、吸収体4の肌側に、フィルム部材9が存在しない領域の幅方向Wの長さ(幅)、すなわち、一対の立体ギャザー部10が存在しない領域の幅方向Wの長さ(間隔D)は、フィルム部材9が存在する領域の幅方向Wの長さ(幅)、すなわち、一対のフィルム部材9の幅方向Wの長さ(幅)よりも長い。このように、平面視で、吸収体4の肌側に、フィルム部材9が存在しない領域の幅は、フィルム部材9が存在する領域の幅よりも長い。それゆえ、吸収体4の肌側にフィルム部材9が存在しない領域は、フィルム部材9が存在する領域よりも広くなる。したがって、フィルム部材9の存在する領域が広過ぎないことで、尿取りパッド1のトップシート2に排泄される体液の吸収を阻害することが抑制されるとともに、フィルム部材9の存在する領域があることで、トップシート2に排泄された体液の肌面への接触が抑制される。
【0072】
本実施形態における好ましい態様の尿取りパッド1では、トップシート2は、平面視で、少なくともフィルム部材9と重複しない領域において凹凸を有している(図示されず)。凹凸は、長手方向Lに沿って延び、幅方向Wに間隔を空けて並んだ複数の凸部と、長手方向Lに沿って延び、幅方向Wに間隔を空けて並んだ複数の凹部と、を含んでいる。複数の凸部の各々と複数の凹部の各々とが幅方向Wに交互に並んでいる。凸部と凹部とが幅方向Wに交互に並ぶピッチは、立体ギャザー部10における長手方向接合部21aと長手方向非接合部22aとが幅方向Wに交互に並ぶピッチより大きい。ここで、凸部の幅は、例えば2.0~5.0mmであり、好ましくは2.5~4.5mmである。凹部の幅は、例えば1.0~3.0mmであり、好ましくは1.0~2.5mmである。凸部71の厚さは、例えば0.2~2.0mmであり、好ましくは0.6~1.8mmである。凹部の厚さは、例えば0.1~0.5mmであり、好ましくは0.2~0.4mmである。このように、トップシート2の凹凸ピッチ(凸部の幅+凹部の幅)が比較的広いことで、長手方向Lに体液が拡散しやすい。それに加えて、トップシート2の凹凸ピッチ(凸部の幅+凹部の幅)と、立体ギャザー部10の接合部21のピッチ(長手方向接合部21aの幅+長手方向非接合部22aの幅)とが異なることで、トップシート2と立体ギャザー部10との接合部分において、トップシート2と立体ギャザー部10(フィルム部材9)との界面に隙間ができ易いので、体液が長手方向Lに沿って拡散しやすい。
【0073】
本実施形態の好ましい態様として、尿取りパッド1は、長手方向Lの背側の部分に配置され、一対の立体ギャザー部10の間の領域におけるトップシート2よりも肌側に、液不透過性の背側シート部材をさらに備えている。そして、尿取りパッド1における長手方向Lの背側の部分において、液不透過性の一対の立体ギャザー部10及び背側シート部材は、吸収体4の幅方向Wに亘って、トップシート2を肌側から覆うように構成される、ここで、液不透過性の背側シート部材は、幅方向Wにおいて、両端部を一対の立体ギャザー部10に接合されてもよく、したがって、一対の立体ギャザー部10を橋渡してもよく、両端部を一対の立体ギャザー部10から内側に離れるように配置されてもよい。背側シート部材としては、液不透過性のシートであれば、特に制限はないが、例えば、カバーシート16や低摩擦部材15が挙げられる。以下、それらに関して説明する。
【0074】
上記され、図1及び図3に示されるように、尿取りパッド1は、背側部A3において、トップシート2の肌側に位置するシート状の低摩擦部材15と、低摩擦部材15の肌側に位置するカバーシート16と、をさらに備えてもよい。カバーシート16は、幅方向Wの両端部16aを一対の立体ギャザー部10の非肌側の面における、フィルム部材9に接合されているが、低摩擦部材15には接続されていない。すなわち、一対の立体ギャザー部10(一対のフィルム部材9)は、カバーシート16で幅方向Wに橋渡されている。一方、低摩擦部材15は、幅方向Wの両端部を一対の立体ギャザー部10から幅方向Wの内側に離れるように配置されている。このように、尿取りパッド1において、背側部A3に、低摩擦部材15とカバーシート16とが配置されることで、カバーシート16は、一対の立体ギャザー部10の起立に伴い、トップシート2及び低摩擦部材15の肌側の面から浮き上がるように離間できる。それにより、尿取りパッド1は、カバーシート16とトップシート2との間が、低摩擦部材15の介在やカバーシート16の浮き上がりによって摩擦抵抗が小さくなるため、カバーシート16が、トップシート2に対して相対的に面方向に移動し易くなっている。なお、カバーシート16は、幅方向Wの両端部16aを一対の立体ギャザー部10の非肌側の面における不織布7(非肌側不織布7b)に接合されていてもよい。
【0075】
したがって、尿取りパッド1は、装着者の体圧が掛かった状態で長手方向の後方側に向かう力が、尿取りパッド1に長時間に亘って繰り返し掛かるような場合でも、カバーシート16が装着者の臀部の動きに合わせて移動して、装着者の肌に摩擦やずれ力による物理的刺激を与えに難くすることができる。よって、装着者に不快感を生じさせ難く、肌トラブルの発生や悪化も引き起こし難くすることができる。
【0076】
カバーシート16の資材としては、吸収性物品用の材料として使用可能であれば特に制限はなく、例えば、親水性又は疎水性の不織布が挙げられ、液不透過性を有することが好ましく、透湿性を有することがより好ましい。不織布の種類及び材料としては、上述されたとおりである。低摩擦部材15の資材としては、カバーシート16との摩擦抵抗を低減し得るものであれば、特に制限はなく、液不透過性を有することが好ましく、透湿性を有することがより好ましい。その資材としては、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂、シリコーン樹脂、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素樹脂などの摩擦係数の低い樹脂からなる樹脂製シート状部材、汎用の合成樹脂からなる基材シートにシリコーン樹脂やフッ素樹脂等の摩擦係数の低い低摩擦性材料を被覆した被覆型シート状部材などが挙げられる。
【0077】
このように、本実施形態における好ましい態様の尿取りパッド1では、吸収体4の幅方向Wの両側に位置する液不透過性の一対の立体ギャザー部10(一対のフィルム部材9)と、吸収体4の長手方向Lの背側の部分において、一対の立体ギャザー部10(一対のフィルム部材9)を幅方向Wに覆う(例えば、橋渡す)液不透過性の背側シート部材(例えば、カバーシート16、低摩擦部材15)と、を備えている。言い換えると、背側部A3において、一対の立体ギャザー部10が存在しない領域の幅方向Wの長さ(間隔D)程度の背側シート部材(例えば、カバーシート16の幅は間隔Dよりやや広く、低摩擦部材15の幅は間隔Dよりやや狭い)が、吸収体4の幅方向Wに亘って、トップシート2よりも肌側に存在している。したがって、吸収体4上に液不透過性のシートが略コの字形(略U字形)に配置されていることになる。このように、一対の立体ギャザー部10(一対のフィルム部材9)及び背側シート部材(例えば、カバーシート16、低摩擦部材15)、すなわち液不透過性のシートの存在する領域が広過ぎない(背側シート部材は吸収体4上の腹側部A1及び股間部A2に存在しない)ことで、トップシート2に排泄される体液の吸収を阻害することが抑制される。それとともに、液不透過性のシートの存在する領域があることで、トップシート2に排泄された体液の肌面への接触が抑制される。それに加えて、吸収体4の背側の部分を覆う背側シート部材で装着者の臀部を体液や物理的刺激から保護することで、褥瘡を起こし易い臀部での肌トラブルを抑制できる。
【0078】
本実施形態の好ましい態様では、尿取りパッド1において、トップシート2及び/又は吸収体4に配置された、親水性の抗菌剤及び/又は保湿剤をさらに備える。このような親水性の抗菌剤及び/又は保湿剤を用いることで、尿のような体液をはじくことなく、したがって、尿取りパッド1の吸収体4の吸収に影響することなく、肌トラブルをより抑制できる。ただし、親水性の抗菌剤及び/又は保湿剤とは、5時間以内に25℃の水100gに対して40g以上溶ける抗菌剤及び/又は保湿剤をいう。親水性の抗菌剤及び/又は保湿剤は、平面視で少なくともフィルム部材9と重複しない領域に配置されることが好ましい。フィルム部材9の存在により、水分の蒸散などによる肌の浸軟を抑制しつつ、フィルム部材9が存在しない領域では、浸軟状態になり易い状況を抗菌剤や保湿剤により、肌の炎症を抑制できる。
【0079】
本実施形態の好ましい態様において、尿取りパッド1では、トップシート2は、平面視で、少なくともフィルム部材9と重複しない領域において、好ましくはトップシート2の全体の領域において、凹凸を有している。そして、抗菌剤及び/又は保湿剤は、トップシート2における凹凸を有する面及び/又は凹凸を有しない面に塗布されている。それにより、フィルム部材9が存在する領域では、フィルム部材9により、水分の蒸散などによる肌の浸軟を抑制できる。フィルム部材9が存在しない領域では、トップシート2の肌側の凹凸により、トップシート2と肌との接触を減らして浸軟を抑制しつつ、トップシート2に塗布された抗菌剤や保湿剤により、肌の炎症を抑えることができる。そのような、凹凸を有するシートとしては、例えば、長手方向Lに沿って延び、幅方向Wに間隔を空けて並んだ複数の凸部と、長手方向Lに沿って延び、幅方向Wに間隔を空けて並んだ複数の凹部と、を含み、複数の凸部の各々と複数の凹部の各々とが幅方向に交互に並んでいるシートが挙げられる。凸部及び凹部の大きさは上述のとおりである。
【0080】
親水性の抗菌剤としては、親水性を有し、抗菌機能、すなわち菌の増殖を抑える機能を有すれば、特に制限はない。抗菌剤の種類としては、例えば、カチオン性抗菌剤が挙げられる。カチオン性抗菌剤としては、例えば、グアニジン系抗菌剤、ビグアナイド系抗菌剤、及び四級アンモニウム塩が挙げられる。グアニジン系抗菌剤としては、例えば、ポリヘキサメチレングアニジン(PHMG)が挙げられる、ビグアナイド系抗菌剤としては、例えば、ポリヘキサメチレンビグアナイド(PHMB)、別名ポリアミノプロピルビグアニドが挙げられる。四級アンモニウム塩としては、例えば、塩化ベンザルコニウム及び塩化ベンゼトニウムが挙げられる。これら抗菌剤は、一種類を単独で用いてもよく、複数種類を組み合わせて用いてもよい。
【0081】
親水性の保湿剤としては、親水性を有し、保湿機能、すなわち肌の水分を保持する機能を有すれば、特に制限はない。保湿剤の主成分としては、例えば、空気中の水分を吸収して、肌にうるおいを与えうる成分であるグリセリン、ヒアルロン酸、尿素、ヘパリン類似物質などが挙げられる。保湿成分の助剤としては、例えば、保湿性及び抗菌作用(防腐作用)を有する多価アルコールが挙げられ、多価アルコールとしては、ブチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、プロパンジオールが挙げられる。
【0082】
上記されたように、尿取りパッド1は、一対の活性炭シート6をさらに備えてもよい。一対の活性炭シート6は、トップシート2と吸収体4との間に配置され、平面視で、吸収体4の長手方向Lの一方の端縁から他方の端縁まで連続的に延び、長手方向中心線LCを挟んで幅方向Wの両側に並んで配置されている。一対の活性炭シート6の各々は、活性炭の粒子が担持された液透過性シートであり、平面視で、略矩形状を有している。活性炭シート6としては、繊維で形成されたシート本体に活性炭の粒子が担持されたものが挙げられ、例えば、パルプ等の天然繊維やポリエチレン等の合成繊維と活性炭の粒子とを用いて作製された混抄紙が挙げられる。活性炭としては、特に限定されないが、例えば、ヤシガラ、竹、木材等の炭化物(ヤシガラ炭や竹炭、木炭等)などが挙げられる。活性炭シート6は、活性炭のほかに、ゼオライト、シリカゲル、アルミナ、多孔質ガラスのような公知の消臭材料をさらに含んでもよい。活性炭シート6の厚さ、坪量、活性炭の粒子の量等については、活性炭シート6の消臭機能等を考慮して適宜調整される。このような尿取りパッド1は、吸収体4の肌側に、一対の活性炭シート6を備えているので、その一対の活性炭シート6により、トップシート2や吸収体4の体液の臭気を吸収し、抑制できる。
【0083】
上記されたように、吸収体4は、肌側に位置する上層吸収体4aと、上層吸収体4aの非肌側に位置し、肌側の表面の全体が上層吸収体4aに覆われている下層吸収体4bとを含んでもよい。上層吸収体4aの形状は、股間部A2が幅方向Wにくびれた瓢箪形状であり、尿取りパッド1の形状に対して概ね相似な形状である。下層吸収体4bの形状は、長手方向Lに長く、幅方向Wが短い矩形状である。本実施形態では、上層吸収体4aの長手方向Lの両端縁は下層吸収体4bの長手方向Lの両端縁よりも長手方向Lの外側に位置し、よって、上層吸収体4aは下層吸収体4bよりも長手方向Lの両側に広く形成されている。また、上層吸収体4aの幅方向Wの両端縁は、下層吸収体4bの幅方向Wの両端縁よりも長手方向Lの外側に位置し、よって、上層吸収体4aは下層吸収体4bよりも幅方向Wの両側に広く形成されている。したがって、本実施形態では、吸収体4の長手方向Lの両端縁は、上層吸収体4aの長手方向Lの両端縁である。ただし、上層吸収体4aと下層吸収体4bの形状はこれらの形状に限定されず、いずれも他の形状でもよい。これらの形状としては、例えば、長方形、角丸長方形、短辺が外側に略半円形の長方形、砂時計形、楕円形などが挙げられる。下層吸収体4bは、吸収コア4b1とその吸収コア4b1を包むコアラップ4b2とを含んでいる。なお、上層吸収体4a及び下層吸収体4bの厚さ、坪量等は吸収体4の吸収性能等を考慮して適宜調整される。吸収体4は、一層であっても三層以上であってもよい。上層吸収体4a及び吸収コア4b1の材料としては、例えばパルプ繊維、高分子吸収体などが挙げられる。このように、下層吸収体4b全体が上層吸収体4aにより肌側から覆われることで、下層吸収体4bから発生する尿の臭気が肌側へ拡散することを上層吸収体4aにより遮断又は抑制できる。したがって、吸収体4に存在する尿の臭気を抑制できる。
【0084】
上記されたように、上層吸収体4a及び下層吸収体4bは、平面視で、活性炭シート6の存在しない領域において、長手方向Lに沿って延び、厚さ方向Tに窪んでいるスリット13、12を有してもよい。例えば、上層吸収体4aのスリット13は、肌側から非肌側に向かって厚さ方向Tに窪んでおり、上層吸収体4aを厚さ方向Tに貫通する貫通孔であってもよい。スリット13は、長手方向Lにおいて股間部A2から腹側部A1の後部までの範囲内に、かつ、幅方向Wにおいて平面視で活性炭シート6の存在しない領域の範囲内に形成されている。下層吸収体4bのスリット12は、肌側から非肌側に向かって厚さ方向Tに窪んでおり、下層吸収体4bを厚さ方向Tに貫通する貫通孔であってもよい。スリット12は、長手方向L及び幅方向Wにおいて平面視でスリット13の内側の範囲に形成されており、同様に、排尿領域内に形成されている。そのため、排泄された尿は、主にスリット13、12に誘導され、一対の活性炭シート6をあまり介さずに、スリット13、12を介して上層吸収体4a及び下層吸収体4bに素早く到達し、それら吸収体に素早く吸収され、平面方向(幅方向W及び長手方向L)に拡散できる。それゆえ、上層吸収体4a及び下層吸収体4bよりも肌側に位置する一対の活性炭シート6により、それら吸収体から発生する尿のような体液の臭気を遮断又は抑制できる。したがって、吸収体4に存在する体液の臭気を遮断又は抑制できる。さらに、上層吸収体4a及び下層吸収体4bは、長手方向Lに沿って延び、厚さ方向Tに上層吸収体4aから下層吸収体4bに延びる一対のエンボス部を有してもよい(図示されず)。
【0085】
上記されたように、尿取りパッド1は、外装シート19をさらに備えてもよい。外装シート19は、バックシート3の非肌側に位置する液不透過性シートである。外装シート19としては、特に制限はなく、例えばバックシート3と同様のものが挙げられる。
【0086】
上記されたように、尿取りパッド1は、一対の活性炭シート6とトップシート2との間に、拡散シート5をさらに備えてもよい。拡散シート5は、平面視で長手方向Lが長く、幅方向Wの寸法が短い略矩形状であり、幅方向W及び長手方向Lの大きさが、一対の活性炭シート6全体と概ね同じである。拡散シート5としては、例えば不織布やティッシュが挙げられる。拡散シート5により、平面方向(幅方向W及び長手方向L)に広く尿を拡散させることができる。そして、拡散シート5は、活性炭シート6を肌側から覆っているので、活性炭の粒子の一部が活性炭シート6のシート本体から脱落したとしても、脱落した粒子がトップシート2に到達することを遮断又は抑制できる。
【0087】
上記されたように、尿取りパッド1は、背側部A3において、拡散シート5とトップシート2との間に、高吸水性ポリマーを含む高吸水性ポリマーシート(SAPシート)11をさらに備えてもよい。高吸水性ポリマーシート11は、背側部A3に位置し、略矩形形状を有する。ただし、高吸水性ポリマーシート11は、高吸水性ポリマーと、高吸水性ポリマーを内包するラップシートと、を含んでいる。高吸水性ポリマーシート11全体に対する高吸水性ポリマーの含有量は80質量%以上、好ましくは90質量%以上である。ラップシートは、例えば、液透過性の不織布やティッシュが挙げられる。それにより、高吸水性ポリマーシート11が尿を吸収して膨潤したとき、高吸水性ポリマーシート11よりも非肌側に位置する吸収体4から発生する尿の臭気を、膨潤した高吸水性ポリマーシート11により遮断又は抑制できる。よって、吸収体4に存在する尿の臭気を抑制できる。
【0088】
本発明の吸収性物品は、上述した実施形態に制限されることなく、本発明の趣旨の範囲を逸脱しない限り、適宜他の構成を付加することや一部の構成を削除することや一部の構成を他の構成に置換すること等が可能である。
【符号の説明】
【0089】
1 尿取りパッド(吸収性物品)
2 トップシート
3 バックシート
4 吸収体
7 不織布
8 弾性部材
9 フィルム部材
10 立体ギャザー部
10a 第1幅方向部分
10b 第2幅方向部分
FX 固定端
FR 自由端
【要約】
【課題】一対の立体ギャザー部を備えた吸収性物品において、横漏れを抑制し、肌トラブルを抑制可能な吸収性物品を提供する。
【解決手段】吸収性物品1は、吸収体4とトップシート2とバックシート3と不織布7及び液不透過性のフィルム部材9を含む一対の立体ギャザー部10とを備える。立体ギャザー部10の第1幅方向部分10aは、トップシート2、吸収体4及び/又はバックシート3の幅方向Wの端部に接合され、当該部分の第2幅方向部分10b側の端を固定端FXとされる。立体ギャザー部10の第2幅方向部分10bは、弾性部材8を含み、幅方向Wの第1幅方向部分10aと反対側の端縁を自由端FRとされる。幅方向Wで、不織布7は、第1幅方向部分10aから第2幅方向部分10bまで延在し、フィルム部材9は、不織布7の非肌側に重なり、不織布7と接合され、第1幅方向部分10aから、第2幅方向部分10bの弾性部材8の手前まで、延在する。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4