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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2026-03-30
(45)【発行日】2026-04-07
(54)【発明の名称】内燃機関
(51)【国際特許分類】
   F02M 26/41 20160101AFI20260331BHJP
   F02F 7/00 20060101ALI20260331BHJP
   F02B 75/10 20060101ALI20260331BHJP
【FI】
F02M26/41 301
F02F7/00 P
F02B75/10 C
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2022059893
(22)【出願日】2022-03-31
(65)【公開番号】P2023150671
(43)【公開日】2023-10-16
【審査請求日】2024-11-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000002082
【氏名又は名称】スズキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001520
【氏名又は名称】弁理士法人日誠国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山本 寛士
【審査官】家喜 健太
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-209853(JP,A)
【文献】特開2020-033954(JP,A)
【文献】特開2002-030995(JP,A)
【文献】特開2016-084766(JP,A)
【文献】特開2020-051361(JP,A)
【文献】特開2008-111374(JP,A)
【文献】特開2001-032750(JP,A)
【文献】特開2021-038669(JP,A)
【文献】特開2013-177818(JP,A)
【文献】特開2012-241595(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第110159449(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02M 26/00
F02F 7/00
F01P 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷却水が流れる冷却水通路と、吸入空気を吸入する空気吸気口を有する吸気側壁と、排気ガスが排出される排気ガス排気口を有する排気側壁と、前記吸気側壁の気筒列方向の端部と前記排気側壁の気筒列方向の端部に連結され、前記冷却水通路から冷却水を排出する冷却水排出口を有する冷却水排出側壁とを有するシリンダヘッドと、
前記シリンダヘッドの上部に取付けられたシリンダヘッドカバーと、
前記排気ガス排気口から排出された排気ガスの一部をEGRガスとして前記空気吸気口側に還流させるEGR装置とを備え、
前記EGR装置が、EGRガスが流れるEGR通路部と、EGRガスを冷却するEGRクーラと、EGRガスの流量を調整するEGRバルブとを含んで構成される内燃機関であって、
前記EGR通路部の一部が前記シリンダヘッドカバーに設けられており、
前記EGR通路部は、気筒列方向で前記冷却水排出側壁よりも外側に設けられていることを特徴とする内燃機関。
【請求項2】
前記シリンダヘッドカバーは、前記EGR通路部を有する第1のシリンダヘッドカバーと、気筒列方向で前記第1のシリンダヘッドカバーに隣接する第2のシリンダヘッドカバーとを含んで構成されており、
前記第1のシリンダヘッドカバーは、前記排気側壁側に位置する第1の側壁と、前記吸気側壁側に位置する第2の側壁と、前記冷却水排出側壁に位置する第3の側壁と、前記第1の側壁の上端部と前記第2の側壁の上端部と前記第3の側壁の上端部とに連結される上壁とを含んで構成されており、
前記EGR通路部は、前記第1の側壁に設けられ、前記EGR通路部にEGRガスを導入するEGRガス導入口と、前記第2の側壁に設けられ、前記EGR通路部からEGRガスを排出するEGRガス排出口とを有することを特徴とする請求項1に記載の内燃機関。
【請求項3】
前記第1のシリンダヘッドカバーが金属から構成され、第2のシリンダヘッドカバーが樹脂から構成されていることを特徴とする請求項2に記載の内燃機関。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、EGR(Exhaust Gas Recirculation)通路を有するシリンダヘッドが知られている。(特許文献1参照)。
【0003】
EGR通路は、シリンダヘッドの長手方向(気筒列方向)の端部に設けられており、冷却水が流れるウォータジャケットに囲まれている。
【0004】
シリンダヘッドの長手方向(気筒列方向)の他端部にはウォータジャケットから冷却水を排出するための冷却水出口が形成されており、冷却水出口には冷却水管が接続されている。これにより、EGR通路を流れるEGRガスを冷却水によって冷却できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第6252352号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来のシリンダヘッドにあっては、EGR通路は、ウォータジャケットに囲まれるようにしてシリンダヘッドの長手方向の端部に設置されている。
【0007】
このため、シリンダヘッドの冷却水出口をEGR通路よりも外側に設ける必要があり、シリンダヘッドが長手方向に長くなり、シリンダヘッドが大型化する。
【0008】
また、冷却水出口には冷却水管が取付けられているので、シリンダヘッドが大型化すると、冷却水管とシリンダヘッドの周辺部品との距離が短くなり、冷却水管のレイアウトの自由度が低下するおそれがある。
【0009】
本発明は、上記のような事情に着目してなされたものであり、シリンダヘッドの小型化を図ることができ、冷却水排出口に取付けられる部品のレイアウトの自由度を向上できる内燃機関を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、冷却水が流れる冷却水通路と、吸入空気を吸入する空気吸気口を有する吸気側壁と、排気ガスが排出される排気ガス排気口を有する排気側壁と、前記吸気側壁の気筒列方向の端部と前記排気側壁の気筒列方向の端部に連結され、前記冷却水通路から冷却水を排出する冷却水排出口を有する冷却水排出側壁とを有するシリンダヘッドと、前記シリンダヘッドの上部に取付けられたシリンダヘッドカバーと、前記排気ガス排気口から排出された排気ガスの一部をEGRガスとして前記空気吸気口側に還流させるEGR装置とを備え、前記EGR装置が、EGRガスが流れるEGR通路部と、EGRガスを冷却するEGRクーラと、EGRガスの流量を調整するEGRバルブとを含んで構成される内燃機関であって、前記EGR通路部の一部が前記シリンダヘッドカバーに設けられており、前記EGR通路部は、気筒列方向で前記冷却水排出側壁よりも外側に設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
このように上記の本発明によれば、シリンダヘッドの小型化を図ることができ、冷却水排出口に取付けられる部品のレイアウトの自由度を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本発明の一実施例に係る内燃機関の左側面図である。
図2図2は、本発明の一実施例に係る内燃機関のシリンダヘッドおよびシリンダヘッドカバーの正面図である。
図3図3は、本発明の一実施例に係る内燃機関のシリンダヘッドおよびシリンダヘッドカバーの左側面図である。
図4図4は、本発明の一実施例に係る内燃機関の平面図であり、シリンダヘッドカバーを取り外した状態を示している。
図5図5は、本発明の一実施例に係る内燃機関のEGRハウジング部の平面図である。
図6図6は、本発明の一実施例に係る内燃機関のEGRハウジング部の平面図であり、吸気カム角センサと排気カム角センサを取り外した状態を示している。
図7図7は、図5のVII-VII方向矢視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の一実施の形態に係る内燃機関は、冷却水が流れる冷却水通路と、吸入空気を吸入する空気吸気口を有する吸気側壁と、排気ガスが排出される排気ガス排気口を有する排気側壁と、前記吸気側壁の気筒列方向の端部と前記排気側壁の気筒列方向の端部に連結され、前記冷却水通路から冷却水を排出する冷却水排出口を有する冷却水排出側壁とを有するシリンダヘッドと、前記シリンダヘッドの上部に取付けられたシリンダヘッドカバーと、前記排気ガス排気口から排出された排気ガスの一部をEGRガスとして前記空気吸気口側に還流させるEGR装置とを備え、前記EGR装置が、EGRガスが流れるEGR通路部と、EGRガスを冷却するEGRクーラと、EGRガスの流量を調整するEGRバルブとを含んで構成される内燃機関であって、前記EGR通路部の一部が前記シリンダヘッドカバーに設けられている。
【0014】
これにより、本発明の一実施の形態に係る内燃機関は、シリンダヘッドの小型化を図ることができ、冷却水排出口に取付けられる部品のレイアウトの自由度を向上できる。
【実施例
【0015】
以下、本発明の一実施例に係る内燃機関について、図面を用いて説明する。
図1から図7は、本発明の一実施例に係る内燃機関を示す図である。図1から図7において、上下前後左右方向は、車両に設置された状態の内燃機関を基準とし、車両の前後方向を前後方向、車両の左右方向(車幅方向)を左右方向、車両の上下方向(車両の高さ方向)を上下方向とする。
【0016】
まず、構成を説明する。
図1において、車両の図示しないエンジンルームにはエンジン1が設けられている。エンジン1は、エンジン本体2とチェーンカバー10(図4参照)とを備えている。
【0017】
エンジン本体2は、シリンダブロック3、シリンダヘッド4、シリンダヘッドカバー5およびオイルパン6を有し、チェーンカバー10は、エンジン本体2の右端部に連結されている。本実施例のエンジン1は、内燃機関を構成する。
【0018】
シリンダブロック3には複数の気筒3A(図4に仮想線で示す)が設けられており、気筒3Aは、車幅方向に配列されている。以下、気筒3Aの配列方向(車幅方向)を気筒列方向Aという。
【0019】
なお、本実施例のエンジン1は、3つの気筒3Aを有する3気筒エンジンから構成されているが、気筒数は、3つに限定されるものではない。
【0020】
気筒3Aにはそれぞれ図示しないピストンが収容されており、ピストンは、図示しないコネクティングロッドを介してクランク軸7に連結されている(図1参照)。クランク軸7は、車幅方向に延びる回転中心軸を有し、回転中心軸回りに回転する。本実施例のエンジン1は、クランク軸7が車幅方向に延びる横置きエンジンであり、車両は、FF(フロントエンジン・フロントドライブ)車両である。
【0021】
ピストンは、気筒3A内で往復運動することにより、コネクティングロッドを介してクランク軸7を回転させる。シリンダヘッド4にはそれぞれ図示しない複数の吸気ポート4a(図4参照)と排気集合部4b(図3参照)が形成されている。
【0022】
吸気ポート4aは、それぞれ気筒3Aに連通しており、吸入空気を気筒3Aに導入する。排気集合部4bは、複数の図示しない排気ポートを通して各気筒3Aに連通している。
【0023】
すなわち、排気ポートは、それぞれ各気筒3Aから排気集合部4bまで延びており、排気集合部4bは、排気ポートを集合している。
【0024】
図2において仮想線で示すように、シリンダヘッド4には冷却水通路20が設けられており、冷却水通路20は、シリンダヘッド4の右端部から左端部に向かって延びている。
【0025】
冷却水通路20の右端部にはシリンダブロック3に形成された図示しない冷却水通路から冷却水が導入される。冷却水通路20に導入される冷却水は、冷却水通路20に沿って左方に流れる。これにより、シリンダヘッド4が冷却水によって冷却される。本実施例の冷却水通路20は、冷却水通路を構成する。
【0026】
図4に示すように、シリンダヘッド4は、吸気ポート4aが開口する吸気側壁4Aと、吸気側壁4Aに対して反対側(前側)に位置し、排気集合部4bが開口する排気側壁4Bとを有する。
【0027】
図3に示すように、シリンダヘッド4は、冷却水通路20から冷却水を排出する冷却水排出口4cが形成される冷却水排出側壁4Cを有し、冷却水排出側壁4Cは、吸気側壁4Aの左端部(気筒列方向Aの端部)と排気側壁4Bの左端部(気筒列方向Aの端部)とに連結され、前後方向に延びている。
【0028】
冷却水排出口4cには図示しない冷却水分岐ユニットが接続されており、冷却水分岐ユニットは、図示しない分岐管によって図示しないラジエータとEGRクーラ13の冷却水導入部13A(図1参照)に接続されている。
【0029】
冷却水排出口4cから排出される冷却水は、冷却水分岐ユニットおよび冷却水管を通してラジエータとEGRクーラ13の冷却水導入部13Aに供給される。
【0030】
本実施例の吸気ポート4aは、吸入空気を吸入する空気吸気口を構成し、排気集合部4bは、排気ガスが排出される排気ガス排気口を構成する。すなわち、シリンダヘッド4は、吸気ポート4aを有する吸気側壁4Aと、排気集合部4bを有する排気側壁4Bとを有する。
【0031】
図1に示すように、吸気側壁4Aには吸気マニホールド8が取付けられている。吸気マニホールド8は、サージタンク8Aおよび気筒3Aの数に応じた3つ分岐管8B(図示1つ)を有する。サージタンク8Aには図示しないスロットルボディを介して図示しない吸気管が接続されている。
【0032】
吸気管には図示しないエアクリーナによって浄化された吸入空気が導入され、吸入空気は、スロットルボディを通してサージタンク8Aに導入される。
【0033】
スロットルボディには図示しないスロットルバルブが収容されており、スロットルバルブは、サージタンク8Aに導入される吸入空気量を調整する。
【0034】
複数の分岐管8Bは、サージタンク8Aから各吸気ポート4aまで延びており、サージタンク8Aに導入された吸入空気を各吸気ポート4aに分配する。
【0035】
吸気側壁4Aには排気浄化装置9が取付けられている。気筒3A内で燃焼された排気ガスは、気筒3Aから排気ポートを通して排出されて排気集合部4bに集合された後、排気集合部4bから排気浄化装置9に排出される。
【0036】
排気浄化装置9は、排気集合部4bから排出された排気ガスを浄化し、図示しない排気管を通して大気に排出する。
【0037】
エンジン1にはEGR(Exhaust Gas Recirculation)装置11が設けられている。EGR装置11は、上流側EGR配管12と、EGRクーラ13と、EGRバルブ14と、下流側EGR配管15とを備えている。
【0038】
上流側EGR配管12の上流端は、排気浄化装置9に接続されており、上流側EGR配管12には排気浄化装置9から排気ガスの一部がEGRガスとして導入される。ここで、上流、下流とは吸入空気、排気ガス、EGRガスが流れる方向に対して上流、下流を指す。
【0039】
上流側EGR配管12に対してEGRバルブ14は下流側に位置し、EGRバルブ14に対して上流側EGR配管12は上流側に位置する。
【0040】
上流側EGR配管12の下流端は、EGRクーラ13の上流端に接続されている。EGRクーラ13は、EGRクーラ13に冷却水を導入する冷却水導入部13Aと、EGRクーラ13から冷却水を排出する冷却水排出部13Bとを有する。
【0041】
EGRクーラ13は、上流側EGR配管12から導入されたEGRガスと冷却水とを熱交換することにより、EGRガスを冷却する。
【0042】
EGRクーラ13の下流端はEGRバルブ14に接続されている。EGRバルブ14は、EGRハウジング部25に接続されており、EGRバルブ14は、後述するEGR通路部26を流れるEGRガスの流量を調整する。
【0043】
下流側EGR配管15の上流端は、EGRハウジング部25に接続されており、下流側EGR配管15にはEGRハウジング部25に導入されたEGRガスが排出される。下流側EGR配管15の下流端は、サージタンク8Aに接続されており、下流側EGR配管15に排出されたEGRガスは、サージタンク8Aに導入される。
【0044】
図4に示すように、シリンダヘッド4には吸気カム軸16と排気カム軸17が設けられており、吸気カム軸16と排気カム軸17は、気筒列方向Aに平行に延びている。吸気カム軸16と排気カム軸17には複数の吸気カム16Aと排気カム17Aが設けられている。
【0045】
吸気カム16Aと排気カム17Aは、気筒列方向Aに離隔して設置されており、気筒3A毎に1対ずつ設けられている。
【0046】
吸気カム軸16と排気カム軸17は、それぞれカムキャップ18、19によってシリンダヘッド4に回転自在に支持されている。
【0047】
具体的は、シリンダヘッド4の上面にはカムキャップ18、19に対向する図示しないジャーナル軸受が設けられており、吸気カム軸16と排気カム軸17は、それぞれジャーナル軸受部とカムキャップ18、19とに挟まれるようにして、シリンダヘッド4に回転自在に取付けられている。本実施例の吸気カム軸16と排気カム軸17は、カム軸を構成する。
【0048】
図5図6に示すように、シリンダヘッド4の気筒列方向Aの端部(左端部)にはEGRハウジング部25が設けられている。EGRハウジング部25は、シリンダヘッドカバー5に対してチェーンカバー10と反対側に位置している。すなわち、EGRハウジング部25は、気筒列方向Aでシリンダヘッドカバー5に隣接している。
【0049】
シリンダヘッドカバー5は、樹脂から構成されており、EGRハウジング部25は、アルミダイカスト等の金属から構成されている。
【0050】
EGRハウジング部25は、第1のシリンダヘッドカバーを構成し、シリンダヘッドカバー5は、第2のシリンダヘッドカバーを構成する。EGRハウジング部25およびシリンダヘッドカバー5は、シリンダヘッドカバーを構成する。
【0051】
図5図6に示すように、EGRハウジング部25は、前壁25A、後壁25B、左側壁25Cおよび上壁25Dを有する。
【0052】
図3に示すように、前壁25Aは、シリンダヘッド4の排気側壁4B側に位置しており、後壁25Bは、シリンダヘッド4の吸気側壁4A側に位置している。
【0053】
図5図6に示すように、左側壁25Cは、前壁25Aの左端部(気筒列方向Aの端部)と後壁25Bの左端部(気筒列方向Aの端部)とを連結しており、上壁25Dは、前壁25Aの上端部と後壁25Bの上端部と左側壁25Cの上端部とを連結している。
【0054】
本実施例の前壁25Aは、第1の側壁を構成し、後壁25Bは、第2の側壁を構成する。左側壁25Cは、第3の側壁を構成する。
【0055】
EGRハウジング部25にはEGR通路部26が設けられている。EGR通路部26は筒状に形成されており、内部にEGRガスが流れるEGR通路26aが形成されている(図7参照)。本実施例の上流側EGR配管12、下流側EGR配管15およびEGR通路部26は、EGR通路部を構成する。
【0056】
EGR通路部26は、EGRガス導入口26bとEGRガス排出口26cを有する。EGRガス導入口26bは、前壁25Aに設けられており(図2参照)、EGRガス排出口26cは、後壁25Bに設けられている。
【0057】
EGRガス導入口26bは、EGR通路26aの前側(上流側)の開口端であり、EGRガス排出口26cは、EGR通路26aの後側(下流側)の開口端である。
【0058】
本実施例のEGR通路部26は、気筒列方向Aと水平に直交する方向(前後方向)に直線状に延びており、気筒列方向Aで吸気側壁4Aよりも外側(左側)に設けられている。すなわち、EGR通路部26は、気筒列方向Aにおいて吸気側壁4Aに対してシリンダヘッドカバー5から離れる方向に設けられている。
【0059】
なお、EGR通路部26は、気筒列方向Aと水平に直交する方向に直線状に延びているものに限らず、気筒列方向Aに対して傾斜して延びていてもよい。なお、水平とは、水平に近い方向、すなわち、水平に対して僅かに傾斜している方向も含む。
【0060】
図2に示すように、前壁25Aにはフランジ部25aが設けられており、フランジ部25aの内方にEGRガス導入口26bが形成されている。
【0061】
図1に示すように、フランジ部25aにはEGRバルブ14のフランジ部14aが取付けられている。フランジ部14aの内方には図示しないEGRガスの排出口が設けられており、EGRバルブ14から排出されるEGRガスは、EGRガス導入口26bを通してEGR通路26aに導入される。
【0062】
図5図6に示すように、後壁25Bにはフランジ部25bが設けられており、フランジ部25bの内方にEGRガス排出口26cが形成されている。
【0063】
図1に示すように、フランジ部25bには下流側EGR配管15のフランジ部15aが取付けられている。フランジ部15aの内方には図示しないEGRガス導入口が設けられており、EGR通路26aを流れるEGRガスは、フランジ部15aのEGRガス導入口を通して下流側EGR配管15に排出される。
【0064】
すなわち、本実施例のエンジン1は、シリンダヘッド4よりも上方においてシリンダヘッド4の左端部にEGRハウジング部25が取付けられており、EGRハウジング部25に設けられたEGR通路部26によって排気側から吸気側にEGRガスが導入される。
【0065】
図4に示すように、左側壁25Cの前端部と後端部にはボス部27A、27Bが設けられており、ボス部27A、27Bは、左側壁25Cに沿って上下方向に延びている。前壁25Aと後壁25Bにはボス部27F、27Gが設けられており、ボス部27F、27Gは、前壁25Aと後壁25Bに沿って上下方向に延びている。
【0066】
シリンダヘッド4の左上端には図示しないボルト溝が設けられている。ボス部27A、27B、27F、27Gにはボルト41Aが挿通されており、ボルト41Aはシリンダヘッド4のボルト溝に螺合されている。これにより、EGRハウジング部25がシリンダヘッド4に固定されている。
【0067】
図4に示すように、シリンダヘッド4の上端部にはフランジ部4Fが設けられている。フランジ部4Fは、シリンダヘッド4の周囲に設けられており、シリンダヘッド4は、フランジ部4Fの内方が開口されている。すなわち、シリンダヘッド4の上部には開口部4hが形成されている。
【0068】
チェーンカバー10の上端部にはフランジ部10Fが設けられており、フランジ部10Fは、フランジ部4Fに接続されている。
【0069】
EGRハウジング部25にはハウジング側フランジ部25c、前側フランジ部25dおよび後側フランジ部25eが設けられている。
【0070】
図4に示すように、ハウジング側フランジ部25cは、上壁25Dに隣接するようにして前壁25Aから後壁25Bまで延びている。すなわち、ハウジング側フランジ部25cは、上壁25Dの右端部(チェーンカバー10側端部)に連結されている。
【0071】
ハウジング側フランジ部25cには湾曲部25pが設けられており、湾曲部25pは、ハウジング側フランジ部25cの延びる方向の中央部(前後方向中央部)から左側壁25Cに向かって湾曲している。
【0072】
本実施例の上壁25Dは、湾曲部25pによって上壁25Dの前後方向中央部の気筒列方向Aの幅が、上壁25Dの前側の気筒列方向Aの幅と上壁25Dの後側の気筒列方向Aの幅に比べて短くなる。
【0073】
これにより、上壁25Dの前後方向中央部の平坦部の面積は、上壁25Dの前側と後側の面積よりも小さく形成されている。
【0074】
前側フランジ部25dは、前壁25Aの上端部に位置してハウジング側フランジ部25cの前端からフランジ部4Fまで延びており、フランジ部4Fに接触している。
【0075】
後側フランジ部25eは、後壁25Bの上端部に位置してハウジング側フランジ部25cの後端からフランジ部4Fまで延びており、フランジ部4Fに接触している。
【0076】
図2図3に示すように、シリンダヘッドカバー5の外周下縁にはフランジ部5Fが設けられており、フランジ部5Fは、フランジ部4F、10F、25c、25d、25eに沿って延びている。すなわち、フランジ部5Fは、上下方向でフランジ部4F、10F、25c、25d、25eに対向している。
【0077】
図4に示すように、フランジ部4Fには複数のボス部4Dが形成されており、ボス部4Dはフランジ部4Fの延びる方向に離隔して設けられている。
【0078】
フランジ部10Fには複数のボス部10Aが形成されており、ボス部10Aはフランジ部10Fの延びる方向に離隔して設けられている(図2参照)。
【0079】
EGRハウジング部25の上壁25Dにはボス部27C、27D、27Eが設けられている。ボス部27C、27D、27Eは、上壁25Dから上方に突出しており、ハウジング側フランジ部25cに連結されている。
【0080】
これにより、ボス部27C、27D、27E同士は、ハウジング側フランジ部25cによって連結されている。本実施例のハウジング側フランジ部25cは、フランジ部を構成する。
【0081】
図2に示すように、シリンダヘッドカバー5のフランジ部5Fには複数のボス部5Aが設けられており、ボス部5Aは、フランジ部5Fの延びる方向に離隔して設けられている。
【0082】
複数のボス部5Aとボス部4D、ボス部10Aおよびボス部27C、27D、27Eは、上下方向で合致している。複数のボス部5Aとボス部4D、ボス部10Aおよびボス部27C、27D、27Eにはボルト41B、41Cが挿通されており、シリンダヘッドカバー5は、ボルト41B、41Cによってシリンダヘッド4に固定されている。
【0083】
すなわち、シリンダヘッドカバー5は、シリンダヘッド4、チェーンカバー10およびEGRハウジング部25に跨がって固定されており、シリンダヘッド4の開口部4hを覆っている。
【0084】
図6に示すように、上壁25Dには取付ボス部28A、28Bが設けられており、図5に示すように、取付ボス部28A、28Bにはそれぞれ排気カム角センサ31と吸気カム角センサ32が取付けられている。
【0085】
排気カム角センサ31は、ボルト41Dによって取付ボス部28Aに固定されるセンサ本体31Aと、センサ本体31Aの上端部に取付けられたコネクタ31Bとを有する。
【0086】
吸気カム角センサ32は、ボルト41Dによって取付ボス部28Bに固定されるセンサ本体32Aと、センサ本体32Aの上端部に取付けられたコネクタ32Bとを有する。排気カム角センサ31と吸気カム角センサ32は同一の構成を有しており、互換性がある。
【0087】
図7に示すように、排気カム角センサ31のセンサ本体31Aは、シール部材29を介して取付ボス部28Aに取付けられており、センサ本体31Aと取付ボス部28Aの間からEGRハウジング部25の内部に水や異物が侵入することを防止できる。
【0088】
なお、吸気カム角センサ32のセンサ本体32Aと取付ボス部28Bの間にも図示しないシール部材が介装されている。本実施例の排気カム角センサ31および吸気カム角センサ32は、カム角センサを構成する。
【0089】
図4に示すように、吸気カム軸16と排気カム軸17の左端部には吸気側センシングロータ16Sと排気側センシングロータ17Sが取付けられており、吸気側センシングロータ16Sと排気側センシングロータ17Sは、EGRハウジング部25の上壁25Dの下方に位置している。
【0090】
吸気側センシングロータ16Sと排気側センシングロータ17Sの外周部には図示しない突起が形成されており、突起は、気筒3A毎に固有のパターンで形成されている。
【0091】
排気カム角センサ31と吸気カム角センサ32は、上下方向で吸気側センシングロータ16Sと排気側センシングロータ17Sに対向しており、センサ本体31Aが吸気側センシングロータ16Sと排気側センシングロータ17Sの突起を検出することにより、吸気カム軸16と排気カム軸17の回転角(回転位相)を検出する。
【0092】
コネクタ31B、32Bは、図示しないワイヤハーネスを介してコントローラに接続されており、センサ本体31A、32Aによって検出されたカム角に関する情報は、コネクタ31B、32Bからワイヤハーネスを通して図示しないコントローラに送信される。
【0093】
図6図7に示すように、取付ボス部28A、28Bは、EGR通路部26に連結されている。
【0094】
図7に示すように、取付ボス部28A、28Bの下端部28aは、EGR通路部26の下端部26dよりも上方で、かつ、EGR通路部26の上端部26eよりも下方に位置しており、取付ボス部28A、28Bの上端部28bは、EGR通路部26の上端部26eよりも上方に位置している。
【0095】
つまり、EGR通路部26の上端部26eは、取付ボス部28A、28Bの下端部28aよりも上方に位置している。
【0096】
図7では、取付ボス部28Bを図示していないが、取付ボス部28BとEGR通路部26の位置関係は、取付ボス部28AとEGR通路部26の位置関係と同じである。そして、取付ボス部28Bは、図7において取付ボス部28Aの奥側(後側)に位置している。したがって、図7において、取付ボス部28Aの奥側に位置する取付ボス部28Bを仮想線で指し示す。
【0097】
図4に示すように、ボス部27Cは、ボス部27D、27Eに対してEGR通路部26側に設置されており、EGR通路部26に連結されている。
【0098】
ボス部27Dは、ボス部27Cに対して前壁25A側の上壁25Dに設けられており、取付ボス部28Aよりも前壁25A側に位置している。
【0099】
ボス部27Eは、ボス部27Cに対して後壁25B側の上壁25Dに設けられており、取付ボス部28Bよりも後壁25B側に位置している。
【0100】
本実施例のボス部27Cは、締結部および第1の締結部を構成し、ボス部27Dは、締結部および第2の締結部を構成する。ボス部27Eは、締結部および第3の締結部を構成し、ボルト41Cは、締結具を構成する。
【0101】
取付ボス部28Aは、ボス部27Cとボス部27Dの間に設置されている。具体的には、取付ボス部28Aは、ボス部27Cとボス部27Dとを結んだ仮想直線42Aを通るようにボス部27Cとボス部27Dの間に設置されている。換言すれば、取付ボス部28Aは、ボス部27Cとボス部27Dに挟まれている。
【0102】
取付ボス部28Bは、ボス部27Cとボス部27Eの間に設置されている。具体的には、取付ボス部28Bは、ボス部27Cとボス部27Eとを結んだ仮想直線42Bを通るようにボス部27Cとボス部27Eの間に設置されている。換言すれば、取付ボス部28Bは、ボス部27Cとボス部27Eに挟まれている。
【0103】
取付ボス部28Aは、気筒列方向Aでボス部27Dに重なっており、取付ボス部28Bは、気筒列方向Aでボス部27Eに重なっている。すなわち、取付ボス部28A、28B、ボス部27Dおよびボス部27Eは、気筒列方向Aで重なっている。
【0104】
換言すれば、取付ボス部28A、28B、ボス部27Dおよびボス部27Eは、気筒列方向Aと水平に直交する方向(前後方向)で並んで設置されている。
【0105】
次に、本実施例のエンジン1の効果を説明する。
本実施例のエンジン1は、シリンダヘッド4を備えており、シリンダヘッド4は、冷却水が流れる冷却水通路20と、吸入空気を吸入する吸気ポート4aを有する吸気側壁4Aと、排気ガスが排出される排気集合部4bを有する排気側壁4Bと、吸気側壁4Aの左端部と排気側壁4Bの左端部に連結され、冷却水通路20から冷却水が排出される冷却水排出口4cを有する冷却水排出側壁4Cとを有する。
【0106】
また、エンジン1は、シリンダヘッド4の上部に取付けられたシリンダヘッドカバー5と、排気集合部4bから排出された排気ガスの一部をEGRガスとして吸気ポート4a側に還流させるEGR装置11とを備えている。
【0107】
EGR装置11は、上流側EGR配管12と、EGRクーラ13と、EGRバルブ14と、下流側EGR配管15と、EGR通路部26とを備えており、EGR通路部26がシリンダヘッドカバー5に設けられている。
【0108】
これにより、シリンダヘッド4の冷却水排出口4cをEGR通路部26よりもシリンダヘッド4の内側、すなわち、EGR通路部26に対してシリンダヘッドカバー5側に設置できる。このため、シリンダヘッド4の気筒列方向Aの寸法を短くでき、シリンダヘッド4の小型化を図ることができる。
【0109】
また、シリンダヘッド4を小型化することにより、エンジン1の周辺部品とシリンダヘッド4の距離を大きくできる。このため、シリンダヘッド4の冷却水排出口4cに接続される冷却水管や冷却水管に接続される冷却水分岐ユニットや分岐管等の部品のレイアウトの自由度を向上できる。
【0110】
また、本実施例のエンジン1は、EGR通路部26を有するEGRハウジング部25と、気筒列方向AでEGRハウジング部25に隣接するシリンダヘッドカバー5とを有する。
【0111】
EGRハウジング部25は、排気側壁4B側に位置する前壁25Aと、吸気側壁4A側に位置する後壁25Bと、冷却水排出側壁に位置する左側壁25Cと、前壁25Aの上端部と後壁25Bの上端部と左側壁25Cの上端部とに連結される上壁25Dとを含んで構成されている。
【0112】
これに加えて、EGR通路部26は、前壁25Aに設けられ、EGR通路にEGRガスを導入するEGRガス導入口26bと、後壁25Bに設けられ、EGR通路26aからEGRガスを排出するEGRガス排出口26cとを有する。
【0113】
このように二分割されたシリンダヘッドカバー5とEGRハウジング部25とを設け、EGRハウジング部25にEGR通路部26を設けることにより、シリンダヘッド4からシリンダヘッドカバー5を取り外すことにより、シリンダヘッド4にEGRハウジング部25を取付けた状態で外部からシリンダヘッド4にアクセスできる。
【0114】
このため、EGR装置11を分解せずに外部からシリンダヘッド4にアクセスできる。この結果、シリンダヘッド4に関わる何らかの作業(例えば、吸気カム軸16や排気カム軸17のメンテナンス作業等)を行う場合の作業性を向上できる。
【0115】
また、本実施例のエンジン1によれば、EGRハウジング部25が金属から構成され、シリンダヘッドカバー5が樹脂から構成されている。
【0116】
金属は樹脂よりも放熱し易いので、EGRガスが流れるEGR通路部26を金属製のEGRハウジング部25に設けることにより、EGRガスの熱をEGRハウジング部25から放熱してEGRガスの冷却を促進できる。
【0117】
一方、シリンダヘッドカバー5は樹脂製であるため、金属よりも熱伝導率が低い。このため、高温のシリンダヘッド4からシリンダヘッドカバー5に熱が伝達され難く、シリンダヘッドカバー5からEGRハウジング部25に熱が伝達され難い。
【0118】
この結果、EGR通路部26を流れるEGRガスの冷却がシリンダヘッドカバー5の熱によって阻害されることを防止でき、EGRガスの冷却を促進できる。
【0119】
また、本実施例のエンジン1によれば、EGR通路部26は、気筒列方向Aで冷却水排出側壁4Cよりも外側(左側)に設けられている。
【0120】
ここで、シリンダヘッド4の冷却水排出口4cには冷却水分岐ユニットが接続されており、冷却水分岐ユニットには分岐管が接続されているので、シリンダヘッド4が大型化されると、シリンダヘッド4とシリンダヘッド4の周辺部品との距離が短くなるので、冷却水排出口4cに接続されるこれらの冷却水分岐ユニットや分岐管等の部品のレイアウトに悪影響を与える。
【0121】
シリンダヘッドカバー5は、エンジン1の上部に設けられているので、EGR通路部26が気筒列方向Aで冷却水排出側壁4Cよりも外側(左側)に形成されたとしても、冷却水排出口4cに接続される部品のレイアウトの自由度が低下することを抑制できる。
【0122】
また、EGR通路部26は、気筒列方向Aで冷却水排出側壁4Cよりも外側(左側)に設けられることにより、シリンダヘッド4から左方に張り出した位置にEGR通路部26を設けることができる。
【0123】
これにより、気筒列方向AでEGR通路部26を冷却水排出側壁4Cから離すことができ、EGR通路部26がシリンダヘッド4の熱の影響を受けることを抑制できる。このため、EGRガスの冷却を促進できる。
【0124】
本発明の実施例を開示したが、当業者によっては本発明の範囲を逸脱することなく変更が加えられうることは明白である。すべてのこのような修正および等価物が次の請求項に含まれることが意図されている。
【符号の説明】
【0125】
1...エンジン(内燃機関)、4...シリンダヘッド、4A...吸気側壁、4a...吸気ポート(空気吸気口)、4B...排気側壁、4C...冷却水排出側壁、4b...排気集合部(排気ガス排気口)、5...シリンダヘッドカバー(第2のシリンダヘッドカバー)、11...EGR装置、12...上流側EGR配管(EGR通路部)、13...EGRクーラ、14...EGRバルブ、15...下流側EGR配管(EGR通路部)、20...冷却水通路、25...EGRハウジング部(第1のシリンダヘッドカバー)、25A...前壁(第1の側壁)、25B...後壁(第2の側壁)、25C...左側壁(第3の側壁)、25D...上壁、26...EGR通路部、26b...EGRガス導入口、26c...EGRガス排出口
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7