(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2026-04-07
(45)【発行日】2026-04-15
(54)【発明の名称】水性塗料組成物及び複層塗膜形成方法
(51)【国際特許分類】
C09D 201/08 20060101AFI20260408BHJP
C09D 201/06 20060101ALI20260408BHJP
C09D 7/65 20180101ALI20260408BHJP
C09D 7/63 20180101ALI20260408BHJP
B05D 1/36 20060101ALI20260408BHJP
B05D 3/02 20060101ALI20260408BHJP
B05D 7/24 20060101ALI20260408BHJP
【FI】
C09D201/08
C09D201/06
C09D7/65
C09D7/63
B05D1/36 B
B05D3/02 Z
B05D7/24 301C
B05D7/24 302T
(21)【出願番号】P 2023517032
(86)(22)【出願日】2021-12-16
(86)【国際出願番号】 JP2021046619
(87)【国際公開番号】W WO2022230231
(87)【国際公開日】2022-11-03
【審査請求日】2024-10-03
(31)【優先権主張番号】P 2021075745
(32)【優先日】2021-04-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001409
【氏名又は名称】関西ペイント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100139022
【氏名又は名称】小野田 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100192463
【氏名又は名称】奥野 剛規
(74)【代理人】
【識別番号】100169328
【氏名又は名称】藤本 健治
(74)【代理人】
【識別番号】100201112
【氏名又は名称】上野 美紀
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 和也
【審査官】小久保 敦規
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-178090(JP,A)
【文献】国際公開第2017/073697(WO,A1)
【文献】特開2009-234009(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09D 1/00 - 201/10
B05D 1/00 - 7/26
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)水酸基及びカルボキシル基含有樹脂、
(B)ブロック化ポリイソシアネート化合物、
(C)ポリカルボジイミド化合物、及び
(D)塩基性化合物
を含有する水性塗料組成物であって、
前記塩基性化合物(D)が、
(D1)酸解離定数(PKa)が7.0~8.5の範囲内であり、かつ、沸点が100~200℃の範囲内である塩基性化合物
を含有し、かつ前記塩基性化合物(D1)の含有割合が、前記塩基性化合物(D)の質量を基準として、30~100質量%の範囲内であり、
そして、前記水性塗料組成物のpHが8.0~11.5の範囲内であ
り、
前記酸解離定数(PKa)が7.0~8.5の範囲内でありかつ沸点が100~200℃の範囲内である塩基性化合物(D1)が、N-メチルモルホリン及び/又はN-エチルモルホリンである、水性塗料組成物。
【請求項2】
前記ブロック化ポリイソシアネート化合物(B)のブロック剤の少なくとも一部が、活性メチレン系のブロック剤である、請求項1に記載の水性塗料組成物。
【請求項3】
さらに、メラミン樹脂(E)を含有する、請求項1
又は2に記載の水性塗料組成物。
【請求項4】
工程(1):被塗物上に、請求項1~
3のいずれか1項に記載の水性塗料組成物を塗装して中塗り塗膜を形成する工程、
工程(2):前記工程(1)で形成された中塗り塗膜上に、水性ベースコート塗料組成物を塗装してベースコート塗膜を形成する工程、
工程(3):前記工程(2)で形成されたベースコート塗膜上に、クリヤ塗料組成物を塗装してクリヤ塗膜を形成する工程、ならびに
工程(4):前記工程(1)~(3)で形成された中塗り塗膜、ベースコート塗膜及びクリヤ塗膜を60~110℃の範囲内の温度で一度に加熱硬化する工程、
を順次行う複層塗膜形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は水性塗料組成物及び複層塗膜形成方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車塗装において、被塗物に電着塗料を施した後、中塗り塗料の塗装→焼き付け硬化→水性ベース塗料の塗装→プレヒート(予備加熱)→クリヤ塗料の塗装→焼き付け硬化、を行う3コート2ベーク(3C2B)方式により複層塗膜を形成する方法が広く採用されているが、近年、省エネルギーの観点から、中塗り塗料の塗装後の焼き付け硬化工程を省略し、被塗物に電着塗料を施した後、水性中塗り塗料の塗装→必要に応じてプレヒート(予備加熱)→水性ベース塗料の塗装→プレヒート(予備加熱)→クリヤ塗料の塗装→焼き付け硬化、を行う3コート1ベーク(3C1B)方式が広まりつつある。
【0003】
さらに最近では、使用されるエネルギーをさらに削減するため、上記焼き付け硬化工程における加熱温度をより低くすることが求められている。
【0004】
しかし、加熱温度が比較的低い場合においても高い硬化性を有する塗料組成物は、一般に反応性が高く、このため、硬度、耐チッピング性及び耐水性等の塗膜性能と、貯蔵安定性との両立が不十分な場合があった。
【0005】
また、自動車の製造仕様では、フロントガラスやリアガラス等のガラス部材等の部材は、一般的に複層塗膜上に接着剤層が形成され、該接着剤層を介して上記複層塗膜上に固定されている。しかし、上記耐チッピング性の向上を、例えば中塗り塗膜の軟質化により図ろうとすると、該接着剤層下の複層塗膜が凝集破壊を起こしたり、電着塗膜と中塗り塗膜界面との間でハガレが生じたりすることにより、該部材との接着性が不良となる場合があった。
【0006】
特許文献1には、電着塗装された合金化溶融亜鉛めっき鋼板上に、下記工程(1)~(4)を順次行なう複層塗膜形成方法であって、
工程(1):電着塗膜上に、水性中塗り塗料(A)を塗装して中塗り塗膜を形成する工程、
工程(2):予備加熱後、中塗り塗膜上に、水性ベース塗料(B)を塗装してベース塗膜を形成する工程、
工程(3):予備加熱後、ベース塗膜上に、クリヤ塗料(C)を塗装してクリヤ塗膜を形成する工程、
工程(4):前記工程(1)~(3)で形成された中塗り塗膜、ベース塗膜及びクリヤ塗膜を加熱硬化する工程、
前記水性中塗り塗料(A)が、ガラス転移温度(Tg)が5~15°Cの範囲内であり、かつ重量平均分子量が30,000~40,000の範囲内である水酸基含有アクリル樹脂(a1)、ガラス転移温度(Tg)が-50°C以下であり、ポリエーテル骨格を有するポリウレタン樹脂(a2)、水酸基含有ポリエステル樹脂(a3)、メラミン樹脂(a4)及び活性メチレンブロックポリイソシアネート化合物(a5)を含有し、該水酸基含有アクリル樹脂(a1)と該ポリウレタン樹脂(a2)との使用比が固形分比で、20/10~30/10の範囲内であり、該水性中塗り塗料(A)による加熱硬化後の形成塗膜の20°Cにおける破断伸び率が20~30%の範囲内であり、ヤング率が5,000~6,000kgf/cm2の範囲内であり、ツーコン硬度が4~6の範囲内であり、かつ前記クリヤ塗料(C)が、水酸基含有アクリル樹脂(c1)及びアロファネート基含有ポリイソシアネート化合物(c2)を含有することを特徴とする、複層塗膜形成方法が記載されている。
【0007】
上記複層塗膜形成方法は、ガラス接着性、塗膜性能及び貯蔵安定性が良好であるが、近年では、省エネルギー化の観点から、加熱温度の低温化が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、貯蔵安定性に優れ、かつ比較的低温で硬化させた場合においても高い塗膜性能及びガラス接着性を発揮できる水性塗料組成物を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、(A)水酸基及びカルボキシル基含有樹脂、(B)ブロック化ポリイソシアネート化合物、(C)ポリカルボジイミド化合物及び(D)塩基性化合物を含有する水性塗料組成物であって、前記塩基性化合物(D)が、(D1)酸解離定数(PKa)が7.0~8.5の範囲内であり、かつ、沸点が100~200℃の範囲内である塩基性化合物を含有し、かつ前記塩基性化合物(D1)の含有割合が、前記塩基性化合物(D)の質量を基準として、30~100質量%の範囲内であり、そして、前記水性塗料組成物のpHが8.0~11.5の範囲内である、水性塗料組成物によれば、上記目的を達成できることを見出した。
【0011】
本発明によれば、以下の態様を含む水性塗料組成物及び複層塗膜形成方法が提供される。
【0012】
項1.(A)水酸基及びカルボキシル基含有樹脂、
(B)ブロック化ポリイソシアネート化合物、
(C)ポリカルボジイミド化合物、及び
(D)塩基性化合物
を含有する水性塗料組成物であって、
前記塩基性化合物(D)が、
(D1)酸解離定数(PKa)が7.0~8.5の範囲内であり、かつ、沸点が100~200℃の範囲内である塩基性化合物
を含有し、かつ前記塩基性化合物(D1)の含有割合が、前記塩基性化合物(D)の質量を基準として、30~100質量%の範囲内であり、
そして、前記水性塗料組成物のpHが8.0~11.5の範囲内である、
水性塗料組成物。
項2.前記ブロック化ポリイソシアネート化合物(B)のブロック剤の少なくとも一部が、活性メチレン系のブロック剤である、項1に記載の水性塗料組成物。
項3.前記酸解離定数(PKa)が7.0~8.5の範囲内でありかつ沸点が100~200℃の範囲内である塩基性化合物(D1)が、N-メチルモルホリン及び/又はN-エチルモルホリンである、項1又は2に記載の水性塗料組成物。
項4.さらに、メラミン樹脂(E)を含有する、項1~3のいずれか1項に記載の水性塗料組成物。
項5.工程(1):被塗物上に、項1~4のいずれか1項に記載の水性塗料組成物を塗装して中塗り塗膜を形成する工程、
工程(2):前記工程(1)で形成された中塗り塗膜上に、水性ベースコート塗料組成物を塗装してベースコート塗膜を形成する工程、
工程(3):前記工程(2)で形成されたベースコート塗膜上に、クリヤ塗料組成物を塗装してクリヤ塗膜を形成する工程、ならびに
工程(4):前記工程(1)~(3)で形成された中塗り塗膜、ベースコート塗膜及びクリヤ塗膜を60~110℃の範囲内の温度で一度に加熱硬化する工程、
を順次行う複層塗膜形成方法。
【発明の効果】
【0013】
本発明の水性塗料組成物は、貯蔵安定性に優れ、かつ比較的低温で硬化させた場合においても、高い硬度や耐水性等の優れた塗膜性能及び良好なガラス接着性を示す塗膜を形成することができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の水性塗料組成物(以下、「本塗料」と略称する場合がある。)について、さらに詳細に説明する。
【0015】
水性塗料組成物
本発明の水性塗料組成物は、(A)水酸基及びカルボキシル基含有樹脂、(B)ブロック化ポリイソシアネート化合物、(C)ポリカルボジイミド化合物及び(D)塩基性化合物を含有する水性塗料組成物であって、前記塩基性化合物(D)が、(D1)酸解離定数(PKa)が7.0~8.5の範囲内であり、かつ、沸点が100~200℃の範囲内である塩基性化合物を含有し、かつ前記塩基性化合物(D1)の含有割合が、前記塩基性化合物(D)の質量を基準として、30~100質量%の範囲内であり、そして、前記水性塗料組成物のpHが8.0~11.5の範囲内である。
【0016】
なお、本明細書において、水性塗料とは、有機溶剤型塗料と対比される用語であって、
一般に、水又は水を主成分とする媒体(水性媒体)に、塗膜形成性樹脂、顔料等を分散及び/又は溶解させた塗料を意味する。また、上記有機溶剤型塗料とは、その溶媒が実質的に水を含有しないか、又は、その溶媒の全て又はほとんどが有機溶剤である、塗料である。
【0017】
本発明の水性塗料組成物は、pHが8.0~11.5の範囲内である。
【0018】
上記pHが8.0以上であると、貯蔵安定性に優れた水性塗料組成物を得ることが出来、11.5以下であると、形成される塗膜の硬度及び耐水性、並びにガラス接着性に優れた水性塗料組成物を得ることが出来る。
【0019】
なかでも、上記pHは、8.5~11.0の範囲内であることが好ましく、9.0~10.5の範囲内であることがより好ましい。
【0020】
水酸基及びカルボキシル基含有樹脂(A)
水酸基及びカルボキシル基含有樹脂(A)は、水酸基及びカルボキシル基を含有する樹脂であれば、特に限定されるものではなく、樹脂の種類としては、具体的には、例えば、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂などを挙げることができる。特に、水酸基及びカルボキシル基含有樹脂(A)として、水酸基及びカルボキシル基を含有するアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、及びポリウレタン樹脂を好適に使用することができる。
【0021】
水酸基及びカルボキシル基含有アクリル樹脂(A1)
水酸基及びカルボキシル基含有アクリル樹脂(A1)は、水酸基含有重合性不飽和モノマー(M-1)、カルボキシル基含有重合性不飽和モノマー(M-2)、及びその他の共重合可能な重合性不飽和モノマー(M-3)を常法により共重合せしめることによって合成することができる。
【0022】
水酸基含有重合性不飽和モノマー(M-1)は、1分子中に水酸基と重合性不飽和結合とをそれぞれ1個有する化合物であり、この水酸基は主として、架橋剤と反応する官能基として作用するものである。該モノマーとしては、具体的には、アクリル酸又はメタクリル酸と炭素数2~10の2価アルコールとのモノエステル化物が好適であり、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどを挙げることができる。
【0023】
また、上記アクリル酸又はメタクリル酸と多価アルコールとのモノエステル化物としては、上に挙げたものの他に、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等のモノエステル化物にさらにε-カプロラクトン等の開環重合物が付加した化合物、例えば、「プラクセルFA-1」、「プラクセルFA-2」、「プラクセルFA-3」、「プラクセルFA-4」、「プラクセルFA-5」、「プラクセルFM-1」、「プラクセルFM-2」、「プラクセルFM-3」、「プラクセルFM-4」、「プラクセルFM-5」(以上、いずれもダイセル化学社製、商品名)等;ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート;2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-ブトキシプロピル(メタ)アクリレート;フタル酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。これらは1種で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0024】
但し、本発明においては、後述する「(xvi) 紫外線吸収性官能基を有する重合性不飽和モノマー」に該当するモノマーは、水酸基を有するモノマーであっても、上記「その他の共重合可能な重合性不飽和モノマー(M-3)」として規定されるべきものであり、「水酸基含有重合性不飽和モノマー(M-1)」からは除外される。
【0025】
カルボキシル基含有重合性不飽和モノマー(M-2)は、1分子中に1個以上のカルボキシル基と1個の重合性不飽和結合とを有する化合物で、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸及び無水マレイン酸等を挙げることができる。これらは1種で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0026】
その他の共重合可能な重合性不飽和モノマー(M-3)は、上記モノマー(M-1)及び(M-2)以外の1分子中に1個以上の重合性不飽和結合を有する化合物であり、その具体例を以下に列挙する。
【0027】
(i) アルキル又はシクロアルキル(メタ)アクリレート:例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート、n-ヘキシル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、t-ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロドデシル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート等。
(ii) イソボルニル基を有する重合性不飽和モノマー:イソボルニル(メタ)アクリレート等。
(iii) アダマンチル基を有する重合性不飽和モノマー:アダマンチル(メタ)アクリレート等。
(iv) トリシクロデセニル基を有する重合性不飽和モノマー:トリシクロデセニル(メタ)アクリレート等。
(v) 芳香環含有重合性不飽和モノマー:ベンジル(メタ)アクリレート、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン等。
(vi) アルコキシシリル基を有する重合性不飽和モノマー:ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2-メトキシエトキシ)シラン、γ-(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ-(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン等。
(vii) フッ素化アルキル基を有する重合性不飽和モノマー:パーフルオロブチルエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロオクチルエチル(メタ)アクリレート等のパーフルオロアルキル(メタ)アクリレート;フルオロオレフィン等。
(viii) マレイミド基等の光重合性官能基を有する重合性不飽和モノマー。
(ix) ビニル化合物:N-ビニルピロリドン、エチレン、ブタジエン、クロロプレン、プロピオン酸ビニル、酢酸ビニル等。
(x) 含窒素重合性不飽和モノマー:(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、メチレンビス(メタ)アクリルアミド、エチレンビス(メタ)アクリルアミド、グリシジル(メタ)アクリレートとアミン化合物との付加物等。
【0028】
(xi) 重合性不飽和基を1分子中に2個以上有する重合性不飽和モノマー:アリル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート等。
(xii) エポキシ基含有重合性不飽和モノマー:グリシジル(メタ)アクリレート、β-メチルグリシジル(メタ)アクリレート、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、3,4-エポキシシクロヘキシルエチル(メタ)アクリレート、3,4-エポキシシクロヘキシルプロピル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル等。
(xiii) 分子末端がアルコキシ基であるポリオキシエチレン鎖を有する(メタ)アクリレート。
(xiv) スルホン酸基を有する重合性不飽和モノマー:2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、2-スルホエチル(メタ)アクリレート、アリルスルホン酸、4-スチレンスルホン酸等;これらスルホン酸のナトリウム塩及びアンモニウム塩等。
(xv) リン酸基を有する重合性不飽和モノマー:アシッドホスホオキシエチル(メタ)アクリレート、アシッドホスホオキシプロピル(メタ)アクリレート、アシッドホスホオキシポリ(オキシエチレン)グリコール(メタ)アクリレート、アシッドホスホオキシポリ(オキシプロピレン)グリコール(メタ)アクリレート等。
(xvi) 紫外線吸収性官能基を有する重合性不飽和モノマー:2-ヒドロキシ-4(3-メタクリロイルオキシ-2-ヒドロキシプロポキシ)ベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-(3-アクリロイルオキシ-2-ヒドロキシプロポキシ)ベンゾフェノン、2,2’-ジヒドロキシ-4-(3-メタクリロイルオキシ-2-ヒドロキシプロポキシ)ベンゾフェノン、2,2’-ジヒドロキシ-4-(3-アクリロイルオキシ-2-ヒドロキシプロポキシ)ベンゾフェノン、2-[2-ヒドロキシ-5-[2-(メタクリロイルオキシ)エチル]フェニル]-2H-ベンゾトリアゾール等。
(xvii) 光安定性重合性不飽和モノマー:4-(メタ)アクリロイルオキシ1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジン、4-(メタ)アクリロイルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、4-シアノ-4-(メタ)アクリロイルアミノ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、1-(メタ)アクリロイル-4-(メタ)アクリロイルアミノ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、1-(メタ)アクリロイル-4-シアノ-4-(メタ)アクリロイルアミノ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、4-クロトノイルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、4-クロトノイルアミノ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、1-クロトノイル-4-クロトノイルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン等。
(xviii) カルボニル基を有する重合性不飽和モノマー:アクロレイン、ダイアセトンアクリルアミド、ダイアセトンメタクリルアミド、アセトアセトキシエチルメタクリレート、ホルミルスチロール、4~7個の炭素原子を有するビニルアルキルケトン(例えば、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルブチルケトン)等。
(xix) 酸無水物基を有する重合性不飽和モノマー:無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸等。
【0029】
本明細書において、重合性不飽和基とは、ラジカル重合しうる不飽和基を意味する。かかる重合性不飽和基としては、例えば、ビニル基、(メタ)アクリロイル基等が挙げられる。
【0030】
また、本明細書において、「(メタ)アクリレート」はアクリレート又はメタクリレートを意味する。「(メタ)アクリル酸」は、アクリル酸又はメタクリル酸を意味する。また、「(メタ)アクリロイル」は、アクリロイル又はメタクリロイルを意味する。また、「(メタ)アクリルアミド」は、アクリルアミド又はメタクリルアミドを意味する。
【0031】
前記水酸基及びカルボキシル基含有アクリル樹脂(A1)を製造する際の前記水酸基含有重合性不飽和モノマー(M-1)の使用割合は、モノマー成分の合計量を基準として、1~50質量%が好ましく、2~40質量%がより好ましく、3~30質量%がさらに好ましい。
【0032】
上記水酸基及びカルボキシル基含有アクリル樹脂(A1)は、得られる塗膜の硬化性、耐チッピング性、密着性、硬度及び仕上がり外観、並びにガラス接着性等の観点から、水酸基価が、1~150mgKOH/gであることが好ましく、2~120mgKOH/gであることがより好ましく、5~100mgKOH/gであることがさらに好ましい。
【0033】
上記水酸基及びカルボキシル基含有アクリル樹脂(A1)を製造する際の前記カルボキシル基含有重合性不飽和モノマー(M-2)の使用割合は、モノマー成分の合計量を基準として、1~50質量%が好ましく、2~40質量%がより好ましく、3~30質量%がさらに好ましい。
【0034】
また、上記水酸基及びカルボキシル基含有アクリル樹脂(A1)は、塗料の貯蔵安定性、得られる塗膜の耐水性等の観点から、酸価が、1~80mgKOH/gであることが好ましく、5~50mgKOH/gであることがより好ましく、5~30mgKOH/gであることがさらに好ましい。
【0035】
本発明の水性塗料組成物が上記水酸基及びカルボキシル基含有アクリル樹脂(A1)を含有する場合、該水酸基及びカルボキシル基含有アクリル樹脂(A1)の含有量は、水性塗料組成物中の樹脂固形分量を基準として、2~70質量%が好ましく、5~50質量%がより好ましく、10~40質量%が更に好ましい。
【0036】
また、上記水酸基及びカルボキシル基含有アクリル樹脂(A1)は、コアシェル構造を有する水酸基及びカルボキシル基含有アクリル樹脂粒子(A1’)であることが好ましい。
【0037】
コアシェル構造を有する水酸基及びカルボキシル基含有アクリル樹脂粒子(A1’)
本発明において、「コアシェル構造を有する水酸基及びカルボキシル基含有アクリル樹脂粒子(A1’)」の「シェル部」は樹脂粒子の最外層に存在する重合体層を意味し、「コア部」は上記シェル部を除く樹脂粒子内層の重合体層を意味し、「コアシェル構造を有する」は上記コア部とシェル部を有する構造を意味するものである。
【0038】
なお、以下では「コアシェル構造を有する水酸基及びカルボキシル基含有アクリル樹脂粒子(A1’)」を単に「水酸基及びカルボキシル基含有アクリル樹脂粒子(A1’)」ということがある。
【0039】
上記コアシェル型構造は、通常、コア部がシェル部に完全に被覆された層構造が一般的であるが、コア部とシェル部の質量比率等によっては、シェル部のモノマー量が層構造を形成せしめるのに不十分な場合もあり得る。そのような場合は、上記のような完全な層構造である必要はなく、コア部の一部をシェル部が被覆した構造であってもよい。
【0040】
水酸基及びカルボキシル基含有アクリル樹脂粒子(A1’)は、通常、重合性不飽和モノマーを共重合成分とする共重合体(I)であるコア部と重合性不飽和モノマーを共重合成分とする共重合体(II)であるシェル部とからなるアクリル樹脂粒子である。該重合性不飽和モノマーは前記重合性不飽和モノマー(M-1)~(M-3)を適宜組み合わせて使用することができる。
【0041】
上記重合性不飽和モノマーとして、前述した重合性不飽和基を1分子中に2個以上有する重合性不飽和モノマーを使用することにより、共重合体架橋構造を付与することができる。該重合性不飽和基を1分子中に2個以上有する重合性不飽和モノマーを使用する場合、その使用割合は、共重合体の架橋の程度に応じて適宜決定し得るが、通常、前記重合性不飽和モノマー(M-1)~(M-3)の総量に対して、0.1~30質量%程度、特に0.5~10質量%程度、さらに特に1~7質量%程度の範囲内であることが好ましい。
【0042】
水酸基及びカルボキシル基含有アクリル樹脂粒子(A1’)は、重合性不飽和モノマー混合物を乳化重合してコア部共重合体(I)のエマルションを得た後、このエマルション中に、重合性不飽和モノマー混合物を添加し、さらに乳化重合させてシェル部共重合体(II)を調製することにより得ることができる。
【0043】
コア部共重合体(I)のエマルションを調製する乳化重合は、従来公知の方法により行うことができる。例えば、乳化剤の存在下で、重合開始剤を使用して重合性不飽和モノマー混合物を乳化重合することにより行うことができる。
【0044】
上記乳化剤としてはアニオン性乳化剤及びノニオン性乳化剤を好適に使用することができる。
【0045】
該アニオン性乳化剤としては、例えば、アルキルスルホン酸、アルキルベンゼンスルホン酸、アルキルリン酸等のナトリウム塩やアンモニウム塩を挙げることができる。また、ノニオン系乳化剤としては、例えば、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレントリデシルエーテル、ポリオキシエチレンフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンモノラウレート、ポリオキシエチレンモノステアレート、ポリオキシエチレンモノオレエート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタントリオレエート、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート等を挙げることができる。
【0046】
また、1分子中にアニオン性基とポリオキシエチレン基、ポリオキシプロピレン基等のポリオキシアルキレン基とを有するポリオキシアルキレン基含有アニオン性乳化剤;1分子中にアニオン性基とラジカル重合性不飽和基とを有する反応性アニオン性乳化剤等を使用することもできる。
【0047】
上記反応性アニオン性乳化剤としては、アリル基、メタリル基、(メタ)アクリロイル基、プロペニル基、ブテニル基等のラジカル重合性不飽和基を有するスルホン酸化合物のナトリウム塩、該スルホン酸化合物のアンモニウム塩等を挙げることができる。
【0048】
上記乳化剤の使用量は、使用される全モノマーの総量に対して、0.1~15質量%程度が好ましく、特に0.5~10質量%程度が好ましく、さらに特に1~5質量%程度の範囲内が好ましい。
【0049】
前記重合開始剤としては、例えば、ベンゾイルパーオキシド、オクタノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキシド、ステアロイルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、tert-ブチルパーオキサイド、tert-ブチルパーオキシラウレート、tert-ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、tert-ブチルパーオキシアセテート、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド等の有機過酸化物;アゾビスイソブチロニトリル、アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、アゾビス(2-メチルプロピオンニトリル)、アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、4、4'-アゾビス(4-シアノブタン酸)、ジメチルアゾビス(2-メチルプロピオネート)、アゾビス[2-メチル-N-(2-ヒドロキシエチル)-プロピオンアミド]、アゾビス{2-メチル-N-[2-(1-ヒドロキシブチル)]-プロピオンアミド}等のアゾ化合物;過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム等の過硫酸塩等を挙げることができる。これらの重合開始剤は、単独で又は2種以上組合せて使用することができる。また、上記重合開始剤に、必要に応じて、糖、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート、鉄錯体等の還元剤を併用して、レドックス開始剤とすることもできる。
【0050】
上記重合開始剤の使用量は、一般に、使用される全モノマーの総量に対して、0.1~5質量%程度が好ましく、特に0.2~3質量%程度の範囲内が好ましい。該重合開始剤の添加方法は、特に制限されるものではなく、その種類及び量等に応じて適宜選択することができる。例えば、予めモノマー混合物又は水性媒体に含有させることもできるし、或いは重合時に一括して添加することもできるし、又は滴下することもできる。
【0051】
水酸基及びカルボキシル基含有アクリル樹脂粒子(A1’)は、上記で得られるコア部共重合体(I)のエマルションに、重合性不飽和モノマー混合物を添加し、さらに重合させてシェル部共重合体(II)を形成することによって得ることができる。
【0052】
上記シェル部共重合体(II)を形成するモノマー混合物は、必要に応じて、前記重合開始剤、連鎖移動剤、還元剤、乳化剤等の成分を適宜含有することができる。また、当該モノマー混合物は、そのまま滴下することもできるが、該モノマー混合物を水性媒体に分散して得られるモノマー乳化物として滴下することが好ましい。この場合におけるモノマー乳化物の粒子径は特に制限されるものではない。
【0053】
シェル部共重合体(II)を形成するモノマー混合物の重合方法としては、例えば、該モノマー混合物又はその乳化物を一括で又は徐々に滴下して、上記コア部共重合体(I)のエマルションに添加し、攪拌しながら適当な温度に加熱する方法を挙げることができる。
【0054】
かくして得られる水酸基及びカルボキシル基含有アクリル樹脂粒子(A1’)は、共重合体(I)をコア部とし、共重合体(II)をシェル部とする複層構造を有する。
【0055】
本発明の水性塗料組成物が上記水酸基及びカルボキシル基含有アクリル樹脂粒子(A1’)を含有する場合、該水酸基及びカルボキシル基含有アクリル樹脂粒子(A1’)の含有量は、水性塗料組成物中の樹脂固形分量を基準として、2~70質量%が好ましく、5~50質量%がより好ましく、10~40質量%が更に好ましい。
【0056】
また、水酸基及びカルボキシル基含有アクリル樹脂粒子(A1’)の調製に際しては、上記コア部共重合体(I)を得る工程とシェル部共重合体(II)を得る工程の間に、他の樹脂層を形成せしめる重合性不飽和モノマー(1種又は2種以上の混合物)を供給して乳化重合を行なう工程を追加することができる。なかでも、追加の層としてグラジエントポリマー層を形成し、グラジエントポリマー層を含むコアシェル構造を有する水酸基及びカルボキシル基含有アクリル樹脂粒子(A1’’)とすることが好ましい。
【0057】
グラジエントポリマー層を含むコアシェル構造を有する水酸基及びカルボキシル基含有アクリル樹脂粒子(A1’’)
【0058】
本発明において、「グラジエントポリマー層を含むコアシェル構造を有する水酸基及びカルボキシル基含有アクリル樹脂粒子(A1’’)」のグラジエントポリマー層とは、組成が連続的に変化する(組成勾配を有する)層構造を有するポリマー層を意味するものである。
【0059】
より具体的には、例えばモノマーA(モノマー混合物A)からモノマーB(モノマー混合物B)へとモノマー(モノマー混合物)組成が連続的に変化した、組成勾配を有するポリマー層を意味するものである。
【0060】
なお、以下では「グラジエントポリマー層を含むコアシェル構造を有する水酸基及びカルボキシル基含有アクリル樹脂粒子(A1’’)」を単に「水酸基及びカルボキシル基含有アクリル樹脂粒子(A1’’)」ということがある。
【0061】
上記グラジエントポリマー層は一般に、パワーフィード重合とよばれる公知の重合方法により得ることができる。具体的には、例えば2種類のモノマーA(モノマー混合物A)とモノマーB(モノマー混合物B)とを重合反応する場合には、モノマーB(モノマー混合物B)を、モノマーA(モノマー混合物A)を収容する容器内に滴下しながら、モノマーA(モノマー混合物A)を反応容器に導入して重合反応を行うことにより、グラジエントポリマー層を得ることができる。
【0062】
上記パワーフィード重合において、合成条件(モノマーA(モノマー混合物A)とモノマーB(モノマー混合物B)との混合開始のタイミング、モノマーB(モノマー混合物B)をモノマーA(モノマー混合物A)を収容する容器内に滴下する速度とモノマーA(モノマー混合物A)を反応容器に導入する速度の設定等)により、所望の組成勾配を有するグラジエントポリマー層を得ることができる。
【0063】
水酸基及びカルボキシル基含有アクリル樹脂粒子(A1’’)中のグラジエントポリマー層の比率は、得られる塗膜の耐水性の観点から、水酸基及びカルボキシル基含有アクリル樹脂粒子(A1’’)の全共重合成分の総量に対して、20~80質量%程度が好ましく、特に25~75質量%程度が好ましく、さらに特に30~70質量%程度であることが好ましい。
【0064】
水酸基及びカルボキシル基含有アクリル樹脂粒子(A1’’)は、得られる塗膜の硬化性、耐チッピング性、密着性及び仕上がり外観、並びにガラス接着性等の観点から、水酸基価が、1~150mgKOH/gであることが好ましく、2~120mgKOH/gであることがより好ましく、5~100mgKOH/gであることがさらに好ましい。
【0065】
水酸基及びカルボキシル基含有アクリル樹脂粒子(A1’’)のコア部は、得られる塗膜の耐水性、耐チッピング性の観点から、水酸基価が、0~150mgKOH/gであることが好ましく、5~120mgKOH/gであることがより好ましく、10~100mgKOH/gであることがさらに好ましい。
【0066】
水酸基及びカルボキシル基含有アクリル樹脂粒子(A1’’)のシェル部は、得られる塗膜の耐水性、耐チッピング性、並びにガラス接着性の観点から、水酸基価が、0~150mgKOH/gであることが好ましく、2~120mgKOH/gであることがより好ましく、5~100mgKOH/gであることがさらに好ましい。
【0067】
水酸基及びカルボキシル基含有アクリル樹脂粒子(A1’’)は、塗料の貯蔵安定性、得られる塗膜の耐水性等の観点から、酸価が、1~80mgKOH/gであることが好ましく、5~50mgKOH/gであることがより好ましく、5~30mgKOH/gであることがさらに好ましい。
【0068】
水酸基及びカルボキシル基含有アクリル樹脂粒子(A1’’)のコア部は、製造安定性、塗料の貯蔵安定性の観点から、酸価が、0~50mgKOH/gであることが好ましく、0~30mgKOH/gであることがより好ましく、0~10mgKOH/gであることがさらに好ましい。
【0069】
水酸基及びカルボキシル基含有アクリル樹脂粒子(A1’’)のシェル部は、塗料の貯蔵安定性、得られる塗膜の耐水性の観点から、酸価が、1~100mgKOH/gであることが好ましく、5~80mgKOH/gであることがより好ましく、10~50mgKOH/gであることがさらに好ましい。
【0070】
水酸基及びカルボキシル基含有アクリル樹脂粒子(A1’’)は、得られる塗膜の耐水性、耐チッピング性、並びにガラス接着性等の観点から、ガラス転移温度が、-20~100℃であることが好ましく、0~100℃であることがより好ましく、20~100℃であることがさらに好ましい。
【0071】
水酸基及びカルボキシル基含有アクリル樹脂粒子(A1’’)のコア部は、得られる塗膜の耐水性、耐チッピング性、並びにガラス接着性の観点から、ガラス転移温度が、-50~50℃であることが好ましく、-30~50℃であることがより好ましく、0~50℃であることがさらに好ましい。
【0072】
水酸基及びカルボキシル基含有アクリル樹脂粒子(A1’’)のシェル部は、得られる塗膜の耐水性の観点から、ガラス転移温度が、0~120℃であることが好ましく、20~100℃であることがより好ましく、30~100℃であることがさらに好ましい。
【0073】
本明細書において、ガラス転移温度(Tg)は、下記式によって算出した。
1/Tg(K)=(W1/T1)+(W2/T2)+・・・・・ (1)
Tg(℃)=Tg(K)-273 (2)
各式中、W1、W2、・・は共重合に使用されたモノマーのそれぞれの質量分率、T1、T2、・・はそれぞれの単量体のホモポリマ-のTg(K)を表わす。
なお、T1、T2、・・は、Polymer Hand Book(Second Edition,J.Brandup・E.H.Immergut 編)III-139~179頁による値である。また、モノマーのホモポリマーのTgが明確でない場合のガラス転移温度(Tg)は、静的ガラス転移温度とし、例えば示差走査熱量計「DSC-220U」(セイコーインスツルメント(株)製)を用いて、試料を測定カップにとり、真空吸引して完全に溶剤を除去した後、3℃/分の昇温速度で-20℃~+200℃の範囲で熱量変化を測定し、低温側の最初のベースラインの変化点を静的ガラス転移温度とした。
【0074】
本発明の水性塗料組成物が上記水酸基及びカルボキシル基含有アクリル樹脂粒子(A1’’)を含有する場合、該水酸基及びカルボキシル基含有アクリル樹脂粒子(A1’’)の含有量は、水性塗料組成物中の樹脂固形分量を基準として、2~70質量%が好ましく、5~50質量%がより好ましく、10~40質量%が更に好ましい。
【0075】
水酸基及びカルボキシル基含有ポリエステル樹脂(A2)
水酸基及びカルボキシル基含有ポリエステル樹脂(A2)は、既知の方法で、常法に従い、多塩基酸と多価アルコ-ルとをエステル化反応させることによって合成することができる。
【0076】
多塩基酸は、1分子中に2個以上のカルボキシル基を有する化合物であり、例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸及びこれらの無水物などが挙げられる。また、該多価アルコ-ルは、1分子中に2個以上の水酸基を有する化合物であり、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、2,2-ジエチル-1,3-プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、1,9-ノナンジオール、1,4-シクロヘキサンジオール、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステル、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2,2,4-トリメチルペンタンジオール、水素化ビスフェノールA等のジオール類;及びトリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、グリセリン、ペンタエリスリトール等の三価以上のポリオール成分;並びに、2,2-ジメチロールプロピオン酸、2,2-ジメチロールブタン酸、2,2-ジメチロールペンタン酸、2,2-ジメチロールヘキサン酸、2,2-ジメチロールオクタン酸等のヒドロキシカルボン酸等が挙げられる。
【0077】
また、プロピレンオキサイド及びブチレンオキサイドなどのα-オレフィンエポキシド、カージュラE10(HEXION Specialty Chemicals社製、商品名、合成高分岐飽和脂肪酸のグリシジルエステル)などのモノエポキシ化合物などを酸と反応させて、これらの化合物をポリエステル樹脂に導入しても良い。
【0078】
ポリエステル樹脂へのカルボキシル基の導入は、例えば、前記多塩基酸と多価アルコールのエステル化反応後、さらに、トリメリット酸、無水トリメリット酸などの多塩基酸及びそれらの無水物を反応させる方法、又は、水酸基含有ポリエステルに無水酸を付加し、ハーフエステル化する方法によって行うこともできる。
【0079】
また、水酸基及びカルボキシル基含有ポリエステル樹脂(A2)は、あまに油脂肪酸、やし油脂肪酸、サフラワー油脂肪酸、大豆油脂肪酸、ゴマ油脂肪酸、エノ油脂肪酸、麻油脂肪酸、トール油脂肪酸、脱水ヒマシ油脂肪酸などの(半)乾性油脂肪酸などで変性された脂肪酸変性ポリエステル樹脂であってもよい。これらの脂肪酸の変性量は、一般に、油長で30質量%以下であることが適している。また、水酸基及びカルボキシル基含有ポリエステル樹脂(A2)は、安息香酸などの一塩基酸を一部反応させたものであってもよい。
【0080】
また、上記水酸基及びカルボキシル基含有ポリエステル樹脂(A2)は、該樹脂の調製中又は調製後に、脂肪酸、モノエポキシ化合物、ポリイソシアネート化合物、アクリル樹脂等で変性することができる。
【0081】
上記脂肪酸としては、例えば、ヤシ油脂肪酸、綿実油脂肪酸、麻実油脂肪酸、米ぬか油脂肪酸、魚油脂肪酸、トール油脂肪酸、大豆油脂肪酸、アマニ油脂肪酸、桐油脂肪酸、ナタネ油脂肪酸、ヒマシ油脂肪酸、脱水ヒマシ油脂肪酸、サフラワー油脂肪酸等が挙げられる。また、上記モノエポキシ化合物としては、例えば、「カージュラE10P」(商品名、HEXION社製、合成高分岐飽和脂肪酸のグリシジルエステル)を好適に用いることができる。
【0082】
また、上記ポリイソシアネート化合物としては、例えば、リジンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサンジイソシアネートなどの脂肪族ジイソシアネート化合物;水素添加キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、メチルシクロヘキサン-2,4-ジイソシアネート、メチルシクロヘキサン-2,6-ジイソシアネート、4,4’-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、1,3-(イソシアナトメチル)シクロヘキサン等の脂環族ジイソシアネート化合物;トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート化合物;リジントリイソシアネートなどの3価以上のポリイソシアネート等の有機ポリイソシアネートそれ自体;これらの各有機ポリイソシアネートと多価アルコール、低分子量ポリエステル樹脂、水等との付加物;これらの各有機ポリイソシアネート同士の環化重合体(例えば、イソシアヌレート)、ビウレット型付加物等が挙げられる。これらのポリイソシアネート化合物は、単独で又は2種以上混合して使用することができる。
【0083】
また、前記水酸基及びカルボキシル基含有ポリエステル樹脂(A2)をアクリル樹脂で変性する方法としては、既知の方法を用いることができ、例えば、重合性不飽和基含有ポリエステル樹脂と重合性不飽和モノマーとの混合物を重合させる方法、水酸基及びカルボキシル基含有ポリエステル樹脂とアクリル樹脂の樹脂同士の反応による方法等を挙げることができる。
【0084】
水酸基及びカルボキシル基含有ポリエステル樹脂(A2)は、水酸基価が1~250mgKOH/gであるのが好ましく、2~200mgKOH/gであるのがより好ましく、5~200mgKOH/gであるのが更に好ましい。
【0085】
また、水酸基及びカルボキシル基含有ポリエステル樹脂(A2)は、その酸価が1~150mgKOH/gであるのが好ましく、2~100mgKOH/gであるのがより好ましく、2~50mgKOH/gであるのが更に好ましい。
【0086】
また、水酸基及びカルボキシル基含有ポリエステル樹脂(A2)の重量平均分子量は、3,000~100,000であるのが好ましく、4,000~50,000であるのがより好ましく、5,000~30,000であるのが更に好ましい。
【0087】
なお、本明細書において、平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフで測定したクロマトグラムから標準ポリスチレンの分子量を基準にして算出した値である。ゲルパーミエーションクロマトグラフは、「HLC8120GPC」(東ソー社製)を使用した。カラムとしては、「TSKgel G-4000HXL」、「TSKgel G-3000HXL」、「TSKgel G-2500HXL」、「TSKgel G-2000HXL」(いずれも東ソー(株)社製、商品名)の4本を用い、移動相;テトラヒドロフラン、測定温度;40℃、流速;1mL/min、検出器;RIの条件で行った。
【0088】
本発明の水性塗料組成物が上記水酸基及びカルボキシル基含有ポリエステル樹脂(A2)を含有する場合、該水酸基及びカルボキシル基含有ポリエステル樹脂(A2)の含有量は、水性塗料組成物中の樹脂固形分量を基準として、2~70質量%が好ましく、5~50質量%がより好ましく、5~40質量%が更に好ましい。
【0089】
水酸基及びカルボキシル基含有ポリウレタン樹脂(A3)
水酸基及びカルボキシル基含有ポリウレタン樹脂(A3)は、常法により、例えば、ポリオールとポリイソシアネート化合物とを反応させることにより得ることができる。また、該反応後、ジオール、ジアミン等の、1分子中に少なくとも2個の活性水素をもつ低分子量化合物である鎖伸長剤の存在下で、鎖伸長することができる。また、該樹脂の調製中又は調製後に、アクリル樹脂等で変性することができる。
【0090】
カルボキシル基を含有しないポリオールとしては、例えば、低分子量のものとして、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサメチレングリコールなどの2価のアルコール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトールなどの3価アルコールなどを挙げることができる。高分子量のものとして、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、アクリルポリオール、エポキシポリオールなどを挙げることができる。ポリエーテルポリオールとしてはポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどが挙げられる。ポリエステルポリオールとしては前記の2価のアルコール、ジプロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコールなどのアルコールとアジピン酸、アゼライン酸、セバチン酸などの2塩基酸との重縮合物、ポリカプロラクトンなどのラクトン系開環重合体ポリオール、ポリカーボネートポリオールなどを挙げることができる。
【0091】
カルボキシル基含有ポリオールとしては、例えば、2,2-ジメチロールプロピオン酸、2,2-ジメチロールブタン酸などが挙げられるが、特に2,2-ジメチロールプロピオン酸が好ましい。これらを使用する際に、反応を速やかに進行させるために、N-メチルピロリドンのような溶媒を少量使用することもできる。
【0092】
上記のポリオールと反応させるポリイソシアネート化合物としては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネ-ト、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート、リジンジイソシアネートなどの脂肪族ポリイソシアネート類;及びこれらのポリイソシアネートのビューレットタイプ付加物、イソシアヌレート環付加物;イソホロンジイソシアネート、4,4’-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、メチルシクロヘキサン-2,4-(又は-2,6-)ジイソシアネート、1,3-(又は1,4-)ジ(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,4-シクロヘキサンジイソシアネート、1,3-シクロペンタンジイソシアネート、1,2-シクロヘキサンジイソシアネートなどの脂環族ジイソシアネート類;及びこれらのポリイソシアネートのビューレットタイプ付加物、イソシアヌレート環付加物;キシリレンジイソシアネート、メタキシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5-ナフタレンジイソシアネート、1,4-ナフタレンジイソシアネート、4,4-トルイジンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルエーテルジイソシアネート、(m-又はp-)フェニレンジイソシアネート、4,4’-ビフェニレンジイソシアネート、3,3’-ジメチル-4,4’-ビフェニレンジイソシアネート、ビス(4-イソシアナトフェニル)スルホン、イソプロピリデンビス(4-フェニルイソシアネート)などの芳香族ジイソシアネート化合物;及びこれらのポリイソシアネートのビューレットタイプ付加物、イソシアヌレート環付加物;トリフェニルメタン-4,4’,4’’-トリイソシアネート、1,3,5-トリイソシアナトベンゼン、2,4,6-トリイソシアナトトルエン、4,4’-ジメチルジフェニルメタン-2,2’,5,5’-テトライソシアネートなどの1分子中に3個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート類;及びこれらのポリイソシアネート化合物のビューレットタイプ付加物、イソシアヌレート環付加物;などを挙げることができる。
【0093】
鎖伸長剤としてのジオールとしては、例えば、エチレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、シクロヘキサンジオールなどが挙げられ、ジアミンとしては、例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、キシリレンジアミン、N-(2-ヒドロキシエチル)エチレンジアミンなどが挙げられる。
【0094】
水酸基及びカルボキシル基含有ポリウレタン樹脂(A3)は、水酸基価が1~250mgKOH/gであるのが好ましく、2~200mgKOH/gであるのがより好ましく、5~200mgKOH/gであるのが更に好ましい。
【0095】
また、水酸基及びカルボキシル基含有ポリウレタン樹脂(A3)は、製造安定性、得られる塗膜の耐水性の観点から、その酸価が1~100mgKOH/gであるのが好ましく、2~50mgKOH/gであるのがより好ましく、2~30mgKOH/gであるのが更に好ましい。
【0096】
また、水酸基及びカルボキシル基含有ポリウレタン樹脂(A3)の重量平均分子量は、3,000以上であるのが好ましく、5,000以上であるのがより好ましく、10,000以上であるのが更に好ましい。
【0097】
本発明の水性塗料組成物が上記水酸基及びカルボキシル基含有ポリウレタン樹脂(A3)を含有する場合、該水酸基及びカルボキシル基含有ポリウレタン樹脂(A3)の含有量は、水性塗料組成物中の樹脂固形分量を基準として、2~70質量%が好ましく、5~50質量%がより好ましく、10~40質量%が更に好ましい。
【0098】
ブロック化ポリイソシアネート化合物(B)
ブロック化ポリイソシアネート化合物(B)は、ポリイソシアネート化合物(b1)のイソシアネート基をブロック剤(b2)でブロック化した化合物である。
【0099】
ポリイソシアネート化合物(b1)
ポリイソシアネート化合物(b1)は、1分子中に少なくとも2個のイソシアネート基を有する化合物であって、例えば、脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネート、芳香族ポリイソシアネート、及びそれらの誘導体等、並びにそれらの任意の組み合わせを挙げることができる。
【0100】
上記脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、1,2-プロピレンジイソシアネート、1,2-ブチレンジイソシアネート、2,3-ブチレンジイソシアネート、1,3-ブチレンジイソシアネート、2,4,4-又は2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート、2,6-ジイソシアナトヘキサン酸メチル(慣用名:リジンジイソシアネート)等の脂肪族ジイソシアネート;2,6-ジイソシアナトヘキサン酸2-イソシアナトエチル、1,6-ジイソシアナト-3-イソシアナトメチルヘキサン、1,4,8-トリイソシアナトオクタン、1,6,11-トリイソシアナトウンデカン、1,8-ジイソシアナト-4-イソシアナトメチルオクタン、1,3,6-トリイソシアナトヘキサン、2,5,7-トリメチル-1,8-ジイソシアナト-5-イソシアナトメチルオクタン等の脂肪族トリイソシアネート等を挙げることができる。
【0101】
上記脂環族ポリイソシアネートとしては、例えば、1,3-シクロペンテンジイソシアネート、1,4-シクロヘキサンジイソシアネート、1,3-シクロヘキサンジイソシアネート、3-イソシアナトメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(慣用名:イソホロンジイソシアネート)、4-メチル-1,3-シクロヘキシレンジイソシアネート(慣用名:水添TDI)、2-メチル-1,3-シクロヘキシレンジイソシアネート、1,3-若しくは1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(慣用名:水添キシリレンジイソシアネート)若しくはその混合物、メチレンビス(4,1-シクロヘキサンジイル)ジイソシアネート(慣用名:水添MDI)、ノルボルナンジイソシアネート等の脂環族ジイソシアネート;1,3,5-トリイソシアナトシクロヘキサン、1,3,5-トリメチルイソシアナトシクロヘキサン、2-(3-イソシアナトプロピル)-2,5-ジ(イソシアナトメチル)-ビシクロ(2.2.1)ヘプタン、2-(3-イソシアナトプロピル)-2,6-ジ(イソシアナトメチル)-ビシクロ(2.2.1)ヘプタン、3-(3-イソシアナトプロピル)-2,5-ジ(イソシアナトメチル)-ビシクロ(2.2.1)ヘプタン、5-(2-イソシアナトエチル)-2-イソシアナトメチル-3-(3-イソシアナトプロピル)-ビシクロ(2.2.1)ヘプタン、6-(2-イソシアナトエチル)-2-イソシアナトメチル-3-(3-イソシアナトプロピル)-ビシクロ(2.2.1)ヘプタン、5-(2-イソシアナトエチル)-2-イソシアナトメチル-2-(3-イソシアナトプロピル)-ビシクロ(2.2.1)-ヘプタン、6-(2-イソシアナトエチル)-2-イソシアナトメチル-2-(3-イソシアナトプロピル)-ビシクロ(2.2.1)ヘプタン等の脂環族トリイソシアネート等を挙げることができる。
【0102】
上記芳香脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、メチレンビス(4,1-フェニレン)ジイソシアネート(慣用名:MDI)、1,3-若しくは1,4-キシリレンジイソシアネート又はその混合物、ω,ω'-ジイソシアナト-1,4-ジエチルベンゼン、1,3-又は1,4-ビス(1-イソシアナト-1-メチルエチル)ベンゼン(慣用名:テトラメチルキシリレンジイソシアネート)又はその混合物等の芳香脂肪族ジイソシアネート;1,3,5-トリイソシアナトメチルベンゼン等の芳香脂肪族トリイソシアネート等を挙げることができる。
【0103】
上記芳香族ポリイソシアネートとしては、例えば、m-フェニレンジイソシアネート、p-フェニレンジイソシアネート、4,4'-ジフェニルジイソシアネート、1,5-ナフタレンジイソシアネート、2,4-トリレンジイソシアネート(慣用名:2,4-TDI)若しくは2,6-トリレンジイソシアネート(慣用名:2,6-TDI)又はその混合物、4,4'-トルイジンジイソシアネート、4,4'-ジフェニルエーテルジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート;トリフェニルメタン-4,4',4''-トリイソシアネート、1,3,5-トリイソシアナトベンゼン、2,4,6-トリイソシアナトトルエン等の芳香族トリイソシアネート;4,4'-ジフェニルメタン-2,2',5,5'-テトライソシアネート等の芳香族テトライソシアネート等を挙げることができる。
【0104】
また、上記誘導体としては、例えば、上述のポリイソシアネートのダイマー、トリマー、ビウレット、アロファネート、ウレトジオン、ウレトイミン、イソシアヌレート、オキサジアジントリオン等、並びにポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート(クルードMDI、ポリメリックMDI)、クルードTDI等を挙げることができる。
【0105】
ポリイソシアネート化合物(b1)としては、得られるブロック化ポリイソシアネート化合物(B)が加熱時に黄変しにくいことから、脂肪族ジイソシアネート、脂環族ジイソシアネート及びこれらの誘導体が好ましく、なかでも、形成される塗膜の柔軟性向上の観点から、脂肪族ジイソシアネート及びその誘導体がより好ましい。
【0106】
また、ポリイソシアネート化合物(b1)には、脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネート、芳香族ポリイソシアネート、及びそれらの誘導体等、並びにそれらの任意の組み合わせを、上記ポリイソシアネートと反応し得る化合物と、イソシアネート基が過剰の条件で反応させることにより製造されるプレポリマーが含まれる。上記ポリイソシアネートと反応し得る化合物としては、例えば、水酸基、アミノ基等の活性水素基を有する化合物が挙げられ、具体的には、例えば、多価アルコール、低分子量ポリエステル樹脂、アミン、水等が挙げられる。
【0107】
また、ポリイソシアネート化合物(b1)には、イソシアネート基含有重合性不飽和モノマーの重合体、又は、上記イソシアネート基含有重合性不飽和モノマーと上記イソシアネート基含有重合性不飽和モノマー以外の重合性不飽和モノマーとの共重合体が含まれる。
【0108】
ポリイソシアネート化合物(b1)は、得られるブロック化ポリイソシアネート化合物(B)の反応性及び上記ブロック化ポリイソシアネート化合物(B)と他の塗料成分との相溶性の観点から、好ましくは300~20,000、より好ましくは400~8,000、そしてさらに好ましくは500~2,000の範囲内の数平均分子量を有することができる。
【0109】
また、ポリイソシアネート化合物(b1)は、得られるブロック化ポリイソシアネート化合物(B)の反応性及び上記ブロック化ポリイソシアネート化合物(B)と他の塗料成分との相溶性の観点から、1分子中の平均イソシアネート官能基数が2~100の範囲内にあることが好ましい。上記平均イソシアネート官能基数は、得られるブロック化ポリイソシアネート化合物(B)の反応性を高める観点から、3以上であることがより好ましい。上記平均イソシアネート官能基数は、ブロック化ポリイソシアネート化合物(B)の製造時にゲル化を防ぐ観点から20以下であることがより好ましい。
【0110】
ブロック剤(b2)
ポリイソシアネート化合物(b1)中のイソシアネート基をブロック化するブロック剤(b2)としては、例えば、活性メチレン系、アルコール系、フェノール系、オキシム系、アミン系、酸アミド系、イミダゾール系、ピリジン系、メルカプタン系等のブロック剤を挙げることができ、該ブロック剤は、それぞれ単独で、又は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0111】
上記ブロック剤(b2)は、低温硬化性の観点から、ブロック剤の少なくとも一部が、活性メチレン系のブロック剤であることが好ましく、ブロック剤が活性メチレン系のブロック剤であることがさらに好ましい。
【0112】
上記活性メチレン系のブロック剤としては、例えば、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、マロン酸ジn-プロピル、マロン酸ジイソプロピル、マロン酸ジn-ブチル、マロン酸ジイソブチル、マロン酸ジsec-ブチル、マロン酸ジtert-ブチル、マロン酸ジn-ペンチル、マロン酸ジn-ヘキシル、マロン酸ジ(2-エチルヘキシル)、マロン酸メチルイソプロピル、マロン酸エチルイソプロピル、マロン酸メチルn-ブチル、マロン酸エチルn-ブチル、マロン酸メチルイソブチル、マロン酸エチルイソブチル、マロン酸メチルsecブチル、マロン酸エチルsec-ブチル、マロン酸ジフェニル及びマロン酸ジベンジル等のマロン酸ジエステル;アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸n-プロピル、アセト酢酸イソプロピル、アセト酢酸n-ブチル、アセト酢酸イソブチル、アセト酢酸sec-ブチル、アセト酢酸tert-ブチル、アセト酢酸n-ペンチル、アセト酢酸n-ヘキシル、アセト酢酸2-エチルヘキシル、アセト酢酸フェニル及びアセト酢酸ベンジル等のアセト酢酸エステル;イソブチリル酢酸メチル、イソブチリル酢酸エチル、イソブチリル酢酸n-プロピル、イソブチリル酢酸イソプロピル、イソブチリル酢酸n-ブチル、イソブチリル酢酸イソブチル、イソブチリル酢酸sec-ブチル、イソブチリル酢酸tert-ブチル、イソブチリル酢酸n-ペンチル、イソブチリル酢酸n-ヘキシル、イソブチリル酢酸2-エチルヘキシル、イソブチリル酢酸フェニル及びイソブチリル酢酸ベンジル等のイソブチリル酢酸エステル等、並びにそれらの任意の組み合わせが挙げられる。
【0113】
上記活性メチレン系のブロック剤としては、本発明の水性塗料組成物によって形成される塗膜の平滑性及び鮮映性の観点から、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、マロン酸ジイソプロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、イソブチリル酢酸メチル及びイソブチリル酢酸エチルからなる群から選択される少なくとも1種の化合物であることが好ましい。
【0114】
ポリイソシアネート化合物(b1)中のイソシアネート基のブロック化反応は、反応触媒を所望により含むことができる。上記反応触媒としては、例えば、金属ヒドロキシド、金属アルコキシド、金属カルボキシレート、金属アセチルアセチネート、オニウム塩の水酸化物、オニウムカルボキシレート、活性メチレン化合物の金属塩、活性メチレン化合物のオニウム塩、アミノシラン類、アミン類、ホスフィン類等の塩基性化合物を挙げることができる。
【0115】
ブロック化ポリイソシアネート化合物(B)は、本発明の水性塗料組成物の低温硬化性及び形成される塗膜の耐水性の観点から、少なくとも2個のイソシアネート反応性官能基を有するスペーサー(b3)に由来する構造を含むものであることが好ましい。
【0116】
スペーサー(b3)
スペーサー(b3)は、少なくとも2個のイソシアネート反応性官能基を有する化合物である。
【0117】
上記官能基は、イソシアネート基に対して反応性を有している官能基であれば特に制限されない。該イソシアネート反応性官能基としては、例えば、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、チオール基等が挙げられ、なかでも水酸基、アミノ基が好ましく、特に、水酸基が好ましい。
【0118】
したがって、スペーサー(b3)は、少なくとも2個の水酸基を有する化合物であるか、又は少なくとも2個のアミノ基を有する化合物であることが好ましく、なかでも少なくとも2個の水酸基を有する化合物であることが好ましい。
【0119】
上記少なくとも2個の水酸基を有する化合物としては、例えば、低分子量のものとして、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサメチレングリコールなどの2価のアルコール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトールなどの3価アルコールなどを挙げることができ、高分子量のものとして、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、アクリルポリオール、エポキシポリオールなどを挙げることができる。なかでも、得られる塗膜の耐水性及び耐チッピング性の観点から、ポリエーテルポリオールが好ましい。
【0120】
上記ポリエーテルポリオールは、市販品を使用することもできる。該市販品としては、例えば、「PEG#200」、「PEG#300」、「PEG#400」、「PEG#600」、「PEG#1000」、「PEG#1500」、「PEG#1540」、「PEG#2000」、「PEG#4000」、「PEG#6000」(以上、日油社製、ポリエチレングリコール)、「サンニックスGP250」、「サンニックスGP400」、「サンニックスGP600」、「サンニックスGP1000」、「サンニックスGP1500」、「サンニックスGP3000」、「サンニックスGP4000」(以上、三洋化成社製、ポリオキシプロピレングリセリルエーテル)、「サンニックスPP200」、「サンニックスPP400」、「サンニックスPP600」、「サンニックスPP950」、「サンニックスPP1000」、「サンニックスPP1200」、「サンニックスPP2000」、「サンニックスPP3000」、「サンニックスPP4000」(以上、三洋化成社製、ポリオキシプロピレングリコール)、「PTMG250」、「PTMG650」、「PTMG1000」、「PTMG2000」、「PTMG3000」、「PTMG4000」(以上、三菱ケミカル社製、ポリオキシテトラメチレングリコール)等が挙げられる。
【0121】
また、前記少なくとも2個のアミノ基を有する化合物としては、例えば、ポリエーテルアミンを挙げることができる。
【0122】
上記ポリエーテルアミンは、市販品を使用することもできる。該市販品としては、例えば、HUNTSMAN社製の「JEFFAMINE D-400」、「JEFFAMINE D-2000」、「JEFFAMINE D-4000」、「JEFFAMINE ED-600」、「JEFFAMINE ED-900」、「JEFFAMINE ED-2003」、「ELASTAMINE RT-1000」、「JEFFAMINE T-403」、「JEFFAMINE T-3000」、「JEFFAMINE T-5000」などを挙げることができる。
【0123】
上記スペーサー(b3)の分子量としては、本発明の水性塗料組成物の低温硬化性及び形成される塗膜の硬度、耐チッピング性並びに耐水性の観点から、500~6,000の範囲内であることが好ましく、800~5,000の範囲内であることがより好ましく、1,000~4,000の範囲内であることがさらに好ましい。
【0124】
上記スペーサー(b3)の官能基数としては、本発明の水性塗料組成物の貯蔵安定性の観点から、2~3個であることが好ましく、2個であることがさらに好ましい。
【0125】
ポリイソシアネート化合物(b1)中の一部のイソシアネート基と、スペーサー(b3)とを反応させることにより、スペーサー(b3)に由来する構造を含むポリイソシアネート化合物(b1)を形成することができる。この場合、本発明の水性塗料組成物の貯蔵安定性及び形成される塗膜の硬度、耐水性並びにブロック化ポリイソシアネート化合物(B)の製造安定性の観点から、ポリイソシアネート化合物(b1)とスペーサー(b3)との比率は、ポリイソシアネート化合物(b1)中のイソシアネート基1モルを基準として、スペーサー(b3)中の活性水素のモル数が0.03~0.6モルの範囲内にあることが好ましい。スペーサー(b3)に由来する構造を含むポリイソシアネート化合物(b1)をブロック化することにより、スペーサー(b3)に由来する構造を含むブロック化ポリイソシアネート化合物(B)を形成することができる。
【0126】
また、ブロック化ポリイソシアネート化合物(B)は、本発明の水性塗料組成物の貯蔵安定性の観点から、1個のイソシアネート反応性官能基を有する親水基含有化合物(b4)に由来する構造を含むものであることができる。
【0127】
親水基含有化合物(b4)
親水基含有化合物(b4)は、1個のイソシアネート反応性官能基を有する。該親水基含有化合物(b4)としては、ノニオン性の親水基含有化合物、アニオン性の親水基含有化合物、及びカチオン性の親水基含有化合物、並びにそれらの任意の組み合わせが挙げられる。親水基含有化合物(b4)としては、ポリイソシアネート化合物(b1)中のイソシアネート基を前述のブロック剤(b2)によってブロック化する反応が阻害されにくいという理由から、ノニオン性の親水基含有化合物であることが好ましい。
【0128】
上記ノニオン性の親水基含有化合物としては、例えば、ポリオキシアルキレン基を有する化合物が挙げられる。上記ポリオキシアルキレン基としては、例えば、ポリオキシエチレン基、ポリオキシプロピレン基、ポリオキシエチレンオキシプロピレン基等が挙げられる。上記ノニオン性の親水基含有化合物は、本発明の水性塗料組成物の貯蔵安定性の観点から、ポリオキシエチレン基を有することが好ましい。
【0129】
上記ポリオキシエチレン基を有する化合物は、本発明の水性塗料組成物の貯蔵安定性及び形成される塗膜の耐水性の観点から、3個以上、好ましくは5~100個、より好ましくは8~45個の連続するポリオキシエチレン基、すなわち、ポリオキシエチレンブロックを有することが好ましい。
【0130】
また、上記ポリオキシエチレン基を有する化合物は、ポリオキシエチレンブロック以外に、オキシエチレン基以外のオキシアルキレン基を含有してもよい。上記オキシエチレン基以外のオキシアルキレン基としては、例えば、オキシプロピレン基、オキシブチレン基、オキシスチレン基等が挙げられる。
【0131】
上記ポリオキシエチレン基を有する化合物における、オキシアルキレン基中のオキシエチレン基のモル比率は、本発明の水性塗料組成物の貯蔵安定性の観点から、20~100モル%の範囲内にあることが好ましく、そして50~100モル%の範囲内にあることがより好ましい。オキシアルキレン基中のオキシエチレン基のモル比率が20モル%以上になると、親水性の付与が十分となり、本発明の水性塗料組成物の貯蔵安定性が良好となる。
【0132】
また、上記ノニオン性の親水基含有化合物は、本発明の水性塗料組成物の貯蔵安定性及び形成される塗膜の耐水性の観点から、数平均分子量が200~2,000の範囲内にあることが好ましい。上記数平均分子量は、本発明の水性塗料組成物の貯蔵安定性の観点から、300以上であることがより好ましく、そして400以上であることがさらに好ましい。上記数平均分子量は、本発明の水性塗料組成物によって形成される塗膜の耐水性の観点から、1,500以下であることがより好ましく、そして1,200以下であることがさらに好ましい。
【0133】
上記ノニオン性の親水基含有化合物としては、例えば、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル及びポリエチレングリコールモノエチルエーテル等のポリエチレングリコールモノアルキルエーテル(別名:ω-アルコキシポリオキシエチレン);ポリプロピレングリコールモノメチルエーテル及びポリプロピレングリコールモノエチルエーテル等のポリプロピレングリコールモノアルキルエーテル(別名:ω-アルコキシポリオキシプロピレン);ω-メトキシポリオキシエチレン(オキシプロピレン)、ω-エトキシポリオキシエチレン(オキシプロピレン)等のω-アルコキシポリオキシエチレン(オキシプロピレン);ポリエチレングリコール(プロピレングリコール)モノメチルエーテル、ポリエチレングリコール(プロピレングリコール)モノエチルエーテル等のポリエチレングリコール(プロピレングリコール)モノアルキルエーテル等、並びにそれらの任意の組み合わせが挙げられる。
【0134】
上記ノニオン性の親水基含有化合物としては、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、ポリエチレングリコールモノエチルエーテルが好ましく、そしてポリエチレングリコールモノメチルエーテルがさらに好ましい。
【0135】
なお、本明細書において、「ポリエチレングリコール(プロピレングリコール)」は、エチレングリコールとプロピレングリコールの共重合体を意味し、ブロック共重合体及びランダム共重合体を含む。
【0136】
また、上記ポリエチレングリコールモノメチルエーテルの市販品としては、例えば、日油株式会社製の「ユニオックスM-400」、「ユニオックスM-550」、「ユニオックスM-1000」、「ユニオックスM-2000」等が挙げられる。
【0137】
ポリイソシアネート化合物(b1)中の一部のイソシアネート基と、親水基含有化合物(b4)とを反応させることにより、親水基含有化合物(b4)に由来する構造を含むポリイソシアネート化合物(b1)を形成することができる。この場合、本発明の水性塗料組成物の貯蔵安定性及び形成される塗膜の付着性、平滑性、鮮映性、耐水性、耐チッピング性、並びにガラス接着性の観点から、ポリイソシアネート化合物(b1)と親水基含有化合物(b4)との比率は、ポリイソシアネート化合物(b1)中のイソシアネート基1モルを基準として、親水基含有化合物(b4)中の活性水素のモル数が0.03~0.6モルの範囲内にあることが好ましい。親水基含有化合物(b4)に由来する構造を含むポリイソシアネート化合物(b1)をブロック化することにより、親水基含有化合物(b4)に由来する構造を含むブロック化ポリイソシアネート化合物(B)を形成することができる。
【0138】
上記ポリイソシアネート化合物(b1)中のイソシアネート基に、ブロック剤(b2)と、上記スペーサー(b3)及び/又は親水基含有化合物(b4)を反応させる場合、反応の順序は、特に限定されない。
【0139】
具体的には、ポリイソシアネート化合物(b1)中のイソシアネート基の一部にスペーサー(b3)及び/又は親水基含有化合物(b4)を反応させた後、残りのイソシアネート基をブロック剤(b2)でブロックする方法、ポリイソシアネート化合物(b1)中のイソシアネート基の一部をブロック剤(b2)でブロックした後、残りのイソシアネート基にスペーサー(b3)及び/又は親水基含有化合物(b4)を反応させる方法、並びに、ポリイソシアネート化合物(b1)中のイソシアネート基にブロック剤(b2)、スペーサー(b3)及び/又は親水基含有化合物(b4)を同時に反応させる方法等が挙げられる。
【0140】
ブロック化ポリイソシアネート化合物(B)の重量平均分子量は、製造安定性及び形成される塗膜の耐水性並びに硬度等の観点から、3,000~200,000の範囲内であることが好ましく、10,000~150,000の範囲内であることがより好ましく、30,000~120,000の範囲内であることがさらに好ましい。
【0141】
ブロック化ポリイソシアネート化合物(B)の含有量は、水性塗料組成物中の樹脂固形分量を基準として、2~70質量%が好ましく、5~50質量%がより好ましく、10~40質量%が更に好ましい。
【0142】
ポリカルボジイミド化合物(C)
ポリカルボジイミド化合物(C)は、1分子中に少なくとも2個のカルボジイミド基を有する化合物であって、例えば、イソシアネート基含有化合物のイソシアネート基同士を脱二酸化炭素反応せしめたものを使用することができる。
【0143】
上記ポリカルボジイミド化合物(C)としては、貯蔵安定性に優れ、高い硬度や耐水性等の優れた塗膜性能及び良好なガラス接着性を示す塗膜を形成する観点から、水溶性又は水分散性のポリカルボジイミド化合物を使用することが好ましい。該水溶性又は水分散性のポリカルボジイミド化合物としては、水性媒体中に安定に溶解又は分散し得るポリカルボジイミド化合物であれば、特に制限なく使用することができる。
【0144】
上記水溶性ポリカルボジイミド化合物としては、具体的には、例えば、「カルボジライトSV-02」、「カルボジライトV-02」、「カルボジライトV-02-L2」「カルボジライトV-04」(いずれも日清紡社製、商品名)等を使用することができる。また、上記水分散性ポリカルボジイミド化合物としては、例えば、「カルボジライトE-01」、「カルボジライトE-02」、「カルボジライトE-05」(いずれも日清紡社製、商品名)等を使用することができる。
【0145】
ポリカルボジイミド化合物(C)の含有量は、水性塗料組成物中の樹脂固形分量を基準として、1~20質量%が好ましく、2~15質量%がより好ましく、3~10質量%が更に好ましい。
【0146】
塩基性化合物(D)
塩基性化合物(D)は、水酸基及びカルボキシル基含有樹脂(A)の有するカルボキシル基の中和、及び、水性塗料組成物のpH調整のために使用される化合物である。そのため、水酸基及びカルボキシル基含有ポリウレタン樹脂(A3)の説明欄で記載した鎖伸長剤のジアミンのように、他の官能基と化学反応をする化合物は除かれる。
【0147】
上記塩基性化合物(D)の含有量は、本発明の水性塗料組成物のpHが8.0~11.5の範囲内となる量とすることができる。該塩基性化合物(D)の含有量は、水性塗料組成物中の樹脂固形分量を基準として、0.1~15質量%が好ましく、0.5~10質量%がより好ましく、1~8質量%が更に好ましい。
【0148】
本発明において、塩基性化合物(D)は、(D1)酸解離定数(PKa)が7.0~8.5の範囲内でありかつ沸点が100~200℃の範囲内である塩基性化合物を含有し、該塩基性化合物(D1)の含有量は、該塩基性化合物(D)の質量を基準として、30~100質量%の範囲内である。
【0149】
塩基性化合物(D1)
塩基性化合物(D1)は、酸解離定数(PKa)が7.0~8.5の範囲内であり、かつ、沸点が100~200℃の範囲内である。
【0150】
上記酸解離定数(PKa)が7.0以上であると、貯蔵安定性に優れた水性塗料組成物を得ることができ、8.5以下であると、形成される塗膜の硬度及び耐水性に優れた水性塗料組成物を得ることが出来る。
【0151】
なかでも、塩基性化合物(D1)の酸解離定数(PKa)は、7.2~8.2の範囲内であることが好ましく、7.3~7.8の範囲内であることがさらに好ましい。
【0152】
上記沸点が100℃以上であると、貯蔵安定性に優れた水性塗料組成物を得ることができ、200℃以下であると、形成される塗膜の硬度及び耐水性に優れた水性塗料組成物を得ることが出来る。
【0153】
なかでも、塩基性化合物(D1)の沸点は、105~180℃の範囲内であることが好ましく、110~160℃の範囲内であることがさらに好ましい。
【0154】
上記塩基性化合物(D1)としては、例えば、モルホリン(PKa8.4、沸点129℃)、アリルモルホリン(PKa7.1、沸点158℃)、N-メチルモルホリン(PKa7.4、沸点116℃)、N-エチルモルホリン(PKa7.7、沸点139℃)、トリアリルアミン(PKa8.3、沸点156℃)等を挙げることができる。これらは1種単独で、又は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0155】
上記塩基性化合物(D1)としては、本発明の水性塗料組成物の貯蔵安定性、形成される塗膜の硬度及び耐水性の観点から、N-メチルモルホリン(PKa7.4、沸点116℃)又はN-エチルモルホリン(PKa7.7、沸点139℃)を使用することが好ましい。
【0156】
本発明の水性塗料組成物における塩基性化合物(D1)の含有量は、塩基性化合物(D)の質量を基準として、30~100質量%の範囲内である。
【0157】
本発明の水性塗料組成物における塩基性化合物(D1)の含有量が30質量%以上であると、貯蔵安定性、形成される塗膜の硬度及び耐水性、並びにガラス接着性に優れた水性塗料組成物を得ることができる。
【0158】
なかでも、本発明の水性塗料組成物における塩基性化合物(D1)の含有量は、塩基性化合物(D)の質量を基準として、35~90質量%の範囲内であることが好ましく、35~80質量%の範囲内であることがさらに好ましい。
【0159】
塩基性化合物(D1)以外の塩基性化合物(D)としては、例えば、アンモニア、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、2-(ジメチルアミノ)エタノール、ジエチルエタノールアミンなどを挙げることができる。
【0160】
本発明の水性塗料組成物が、貯蔵安定性に優れ、かつ比較的低温で硬化させた場合においても、高い硬度や耐水性等の優れた塗膜性能、並びに良好なガラス接着性を示す塗膜を形成することができる理由は明確ではないが、塩基性化合物(D1)の酸解離定数(PKa)が7.0以上であるため、水酸基及びカルボキシル基含有樹脂(A)のカルボキシル基を中和することができ、貯蔵安定性が良好となり、また、塩基性化合物(D1)の酸解離定数(PKa)が8.5以下であるため、水酸基及びカルボキシル基含有樹脂(A)とブロック化ポリイソシアネート化合物(B)との反応、及び、水酸基及びカルボキシル基含有樹脂(A)とポリカルボジイミド化合物(C)との反応を阻害せず、優れた塗膜性能及び良好なガラス接着性を示す塗膜を形成することができると推察される。さらに、塩基性化合物(D1)の沸点が100℃以上であるため、本発明の水性塗料組成物の貯蔵時における塩基性化合物(D1)の揮発量が少なく、貯蔵安定性が良好となり、また、塩基性化合物(D1)の沸点が200℃以下であるため、加熱硬化時に塩基性化合物(D1)の揮発量が多くなり、水酸基及びカルボキシル基含有樹脂(A)とブロック化ポリイソシアネート化合物(B)との反応、及び、水酸基及びカルボキシル基含有樹脂(A)とポリカルボジイミド化合物(C)との反応を阻害せず、優れた塗膜性能及び良好なガラス接着性を示す塗膜を形成することができると推察される。さらに水性塗料組成物のpHを8.0~11.5の範囲内と比較的高い範囲に調整することで、水酸基及びカルボキシル基含有樹脂(A)のカルボキシル基が中和された状態にすることにより、カルボジイミド化合物(C)の反応を抑制し、貯蔵安定性が良好になると推測される。
【0161】
メラミン樹脂(E)
本発明の水性塗料組成物は、さらに、メラミン樹脂(E)を含有することができる。
メラミン樹脂(E)としては、メラミン成分とアルデヒド成分との反応によって得られる部分メチロール化メラミン樹脂又は完全メチロール化メラミン樹脂を使用することができる。アルデヒド成分としては、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド等を挙げることができる。
【0162】
また、上記メチロール化メラミン樹脂のメチロール基を、適当なアルコールによって、部分的に又は完全にエーテル化したものも使用することができる。エーテル化に用いられるアルコールとしては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n-プロピルアルコール、i-プロピルアルコール、n-ブチルアルコール、i-ブチルアルコール、2-エチル-1-ブタノール、2-エチル-1-ヘキサノール等を挙げることができる。
【0163】
メラミン樹脂(E)としては、部分又は完全メチロール化メラミン樹脂のメチロール基をメチルアルコールで部分的に又は完全にエーテル化したメチルエーテル化メラミン樹脂、部分又は完全メチロール化メラミン樹脂のメチロール基をブチルアルコールで部分的に又は完全にエーテル化したブチルエーテル化メラミン樹脂、部分又は完全メチロール化メラミン樹脂のメチロール基をメチルアルコール及びブチルアルコールで部分的に又は完全にエーテル化したメチル-ブチル混合エーテル化メラミン樹脂が好ましく、メチル-ブチル混合エーテル化メラミン樹脂がより好ましい。
【0164】
メラミン樹脂(B)は、重量平均分子量が400~6,000であるのが好ましく、500~4,000であるのがより好ましく、600~3,000であるのがさらに好ましい。
【0165】
メラミン樹脂(E)として、市販品を使用することができる。市販品の商品名としては、例えば、「サイメル202」、「サイメル203」、「サイメル204」、「サイメル211」、「サイメル212」、「サイメル238」、「サイメル251」、「サイメル253」、「サイメル254」、「サイメル303」、「サイメル323」、「サイメル324」、「サイメル325」、「サイメル327」、「サイメル350」、「サイメル370」、「サイメル380」、「サイメル385」、「サイメル1156」、「サイメル1158」、「サイメル1116」、「サイメル1130」(以上、オルネクスジャパン株式会社製);「レジミン735」、「レジミン740」、「レジミン741」、「レジミン745」、「レジミン746」、「レジミン747」(以上、モンサント社製);「ユーバン120」、「ユーバン20HS」、「ユーバン20SE」、「ユーバン2021」、「ユーバン2028」、「ユーバン28-60」(以上、三井化学株式会社製);「スミマールM55」、「スミマールM30W」、「スミマールM50W」(以上、住友化学株式会社製);等を挙げることができる。
【0166】
本発明の水性塗料組成物が上記メラミン樹脂(E)を含有する場合、該メラミン樹脂(E)の含有量は、水性塗料組成物中の樹脂固形分量を基準として、1~30質量%が好ましく、2~20質量%がより好ましく、3~15質量%が更に好ましい。
【0167】
その他の成分
本発明の水性塗料組成物は、さらに必要に応じて、上記以外の樹脂、顔料、有機溶剤、硬化触媒、分散剤、沈降防止剤、消泡剤、増粘剤、紫外線吸収剤、光安定剤、表面調整剤等を含有することができる。
【0168】
上記以外の樹脂としては、例えば、水酸基及び/又はカルボキシル基を含有しないアクリル樹脂、水酸基及び/又はカルボキシル基を含有しないポリエステル樹脂、水酸基及び/又はカルボキシル基を含有しないポリウレタン樹脂、水酸基及び/又はカルボキシル基を含有しないポリエーテル樹脂、水酸基及び/又はカルボキシル基を含有しないポリカーボネート樹脂、水酸基及び/又はカルボキシル基を含有しないエポキシ樹脂等が挙げられ、なかでも、水酸基を含有しないカルボキシル基含有ポリウレタン樹脂を用いることが好ましい。
【0169】
上記水酸基を含有しないカルボキシル基含有ポリウレタン樹脂は、常法により、例えば、ポリオールとポリイソシアネートとを反応させることにより得ることができる。また、該反応後、ジオール、ジアミン等の、1分子中に少なくとも2個の活性水素をもつ低分子量化合物である鎖伸長剤の存在下で、鎖伸長することができる。また、該樹脂の調製中又は調製後に、アクリル樹脂等で変性することができる。
【0170】
上記ポリオール、ポリイソシアネート及び鎖伸長剤は、上記水酸基及びカルボキシル基含有ポリウレタン樹脂(A3)の説明欄にて記載した化合物を使用することができる。
【0171】
上記顔料としては、例えば、着色顔料、体質顔料、光輝性顔料等を挙げることができる。該顔料は単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0172】
本発明の水性塗料組成物が、上記顔料を含有する場合、該顔料の配合量は、本発明の水性塗料組成物中の樹脂固形分100質量部を基準として、好ましくは1~200質量部、より好ましくは5~160質量部、さらに好ましくは15~140質量部の範囲内であることができる。
【0173】
前記着色顔料としては、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、カーボンブラック、モリブデンレッド、プルシアンブルー、コバルトブルー、アゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、キナクリドン系顔料、イソインドリン系顔料、スレン系顔料、ペリレン系顔料、ジオキサジン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料などが挙げられる。
【0174】
本発明の水性塗料組成物が、上記着色顔料を含有する場合、該着色顔料の配合量は本発明の水性塗料組成物中の樹脂固形分100質量部を基準として、好ましくは1~180質量部、より好ましくは5~150質量部、さらに好ましくは15~130質量部の範囲内であることができる。
【0175】
前記体質顔料としては、例えば、硫酸バリウム、タルク、クレー、カオリン、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、シリカ、アルミナホワイト等が挙げられる。該体質顔料としては、意匠性向上等の観点から硫酸バリウムを好適に使用することができる。
【0176】
本発明の水性塗料組成物が、上記体質顔料を含有する場合、該体質顔料の配合量は本発明の水性塗料組成物中の樹脂固形分100質量部を基準として、好ましくは1~180質量部、より好ましくは5~140質量部、さらに好ましくは10~120質量部の範囲内であることができる。
【0177】
前記光輝性顔料としては、例えば、アルミニウム(蒸着アルミニウムも含む)、銅、亜鉛、真ちゅう、ニッケル、ガラスフレーク、酸化アルミニウム、雲母、酸化チタン及び/又は酸化鉄で被覆された酸化アルミニウム、酸化チタン及び/又は酸化鉄で被覆された雲母等が挙げられる。なかでも、アルミニウム顔料を使用することが好ましい。アルミニウム顔料には、ノンリーフィング型アルミニウム顔料とリーフィング型アルミニウム顔料があるが、いずれも使用することができる。
【0178】
上記光輝性顔料は鱗片状であることが好ましい。また、該光輝性顔料としては、長手方向寸法が1~100μm、特に5~40μm、厚さが0.001~5μm、特に0.01~2μmの範囲内にあるものが適している。
【0179】
本発明の水性塗料組成物が、上記光輝性顔料を含有する場合、該光輝性顔料の配合量は、本発明の水性塗料組成物中の樹脂固形分100質量部を基準として、好ましくは0.1~100質量部、より好ましくは1~50質量部、さらに好ましくは3~25質量部の範囲内であることができる。
【0180】
前記有機溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、安息香酸メチル、エトキシプロピオン酸エチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸メチル等のエステル系溶剤;イソプロパノール、n-ブタノール、イソブタノール、2-エチルヘキサノール等のアルコール系溶剤;テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタン等のエーテル系溶剤;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3-メトキシブチルアセテート等のグリコールエーテル系溶剤;芳香族炭化水素系溶剤、脂肪族炭化水素系溶剤等が挙げられる。
【0181】
前記硬化触媒としては、具体的には、例えば、オクチル酸錫、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジ(2-エチルヘキサノエート)、ジブチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジアセテート、ジオクチル錫ジ(2-エチルヘキサノエート)、ジブチル錫オキサイド、ジブチル錫サルファイド、ジオクチル錫オキサイド、ジブチル錫脂肪酸塩、2-エチルヘキサン酸鉛、オクチル酸亜鉛、ナフテン酸亜鉛、脂肪酸亜鉛類、オクタン酸ビスマス、2-エチルヘキサン酸ビスマス、オレイン酸ビスマス、ネオデカン酸ビスマス、バーサチック酸ビスマス、ナフテン酸ビスマス、ナフテン酸コバルト、オクチル酸カルシウム、ナフテン酸銅、テトラ(2-エチルヘキシル)チタネート等の有機金属化合物;パラトルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ジノニルナフタレンスルホン酸等のスルホン酸基含有化合物;モノブチルリン酸、ジブチルリン酸、モノ2-エチルヘキシルリン酸、ジ2-エチルヘキシルリン酸、アルキルエーテルリン酸、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸、リン酸基含有樹脂等のリン酸基含有化合物などを使用することができる。なかでも、水性塗料組成物の貯蔵安定性及び形成される塗膜の耐水性並びに耐チッピング性の観点から、リン酸基含有化合物であることが好ましく、リン酸基含有樹脂であることがより好ましく、リン酸基含有アクリル樹脂であることがさらに好ましい。
【0182】
上記リン酸基含有アクリル樹脂は、リン酸基を有する重合性不飽和モノマー及びその他の重合性不飽和モノマーを、常法により共重合せしめることによって合成することができる。
【0183】
リン酸基含有アクリル樹脂において、リン酸基を有する重合性不飽和モノマーは、リン酸基含有アクリル樹脂を構成する各モノマー成分の総量に基づき、1~50質量%、特に、5~40質量%であるのが好ましい。
【0184】
リン酸基含有アクリル樹脂の重量平均分子量は、仕上り外観及び塗膜性能の観点から、3000~30000の範囲内であることが好ましく、5000~25000の範囲内であることがより好ましく、10000~20000の範囲内であることがさらに好ましい。
【0185】
硬化触媒としてリン酸基含有化合物を使用する場合、その含有量は、水性塗料組成物中の樹脂固形分量を基準として、0.1~20質量%が好ましく、0.5~15質量%がより好ましく、1~10質量%がさらに好ましい。
【0186】
本発明の水性塗料組成物は、その使用に際して、必要に応じて水及び/又は有機溶剤等を添加して希釈し、適正粘度に調整することにより、塗装に用いることができる。
【0187】
適正粘度は、塗料組成により異なるが、例えば、フォードカップ粘度計No.4を用いて調整した場合、20℃において、通常、20~100秒程度、好ましくは25~70秒程度の粘度とすることができる。
【0188】
また、本発明の水性塗料組成物の塗装固形分濃度は、通常、5~70質量%程度であることが好ましく、10~55質量%程度であることがより好ましい。
【0189】
本発明の水性塗料組成物は、一液型塗料又は多液型塗料のいずれであっても良いが、塗料の混合工程が無く生産性に優れる、塗装機械のメンテナンスの簡略化ができる等の観点から、一液型塗料であることが好ましい。
【0190】
本発明の水性塗料組成物は、それ自体既知の方法、例えば、エアスプレー塗装、エアレススプレー塗装、回転霧化塗装、カーテンコート塗装等により被塗物に塗装することができ、塗装の際、静電印加を行ってもよい。これらの内、エアスプレー塗装、回転霧化塗装が好ましい。また、かかる塗装方法は、所望の膜厚が得られるまで、1回ないし数回に分けて行うことができる。
【0191】
本発明の水性塗料組成物の塗布量は、通常、硬化膜厚が5~40μm、好ましくは7~35μm、さらに好ましくは10~30μmとなる量であることができる。
【0192】
複層塗膜形成方法
本発明の水性塗料組成物は、比較的低温で硬化させた場合においても、高い硬度や耐水性等の優れた塗膜性能、並びに良好なガラス接着性を示す塗膜を形成することができるため、中塗り塗料組成物として好適に用いることができる。本塗料は、自動車用塗料として特に好適に用いることができる。
【0193】
本塗料が中塗り塗料組成物として塗装される複層塗膜形成方法としては、例えば、下記の方法を好適に用いることができる。
【0194】
工程(1):被塗物上に、本発明の水性塗料組成物を塗装して中塗り塗膜を形成する工程、
工程(2):前記工程(1)で形成された中塗り塗膜上に、水性ベースコート塗料組成物を塗装してベースコート塗膜を形成する工程、
工程(3):前記工程(2)で形成されたベースコート塗膜上に、クリヤ塗料組成物を塗装してクリヤ塗膜を形成する工程、ならびに
工程(4):前記工程(1)~(3)で形成された中塗り塗膜、ベースコート塗膜及びクリヤ塗膜を60~110℃の範囲内の温度で一度に加熱硬化する工程、を順次行う複層塗膜形成方法。
【0195】
上記被塗物としては、例えば、乗用車、トラック、オートバイ、バスなどの自動車車体の外板部;自動車部品;携帯電話、オーディオ機器などの家庭電気製品の外板部などを挙げることができる。これらの内、自動車車体の外板部及び自動車部品が好ましい。
【0196】
これらの被塗物の材質としては、特に限定されるものではない。例えば、鉄、アルミニウム、真鍮、銅、ブリキ、ステンレス鋼、亜鉛メッキ鋼、亜鉛合金(Zn-Al、Zn-Ni、Zn-Feなど)メッキ鋼などの金属材料;ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(ABS)樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂などの樹脂類、各種のFRPなどのプラスチック材料;ガラス、セメント、コンクリートなどの無機材料;木材;紙、布などの繊維材料などを挙げることができる。これらの内、金属材料及びプラスチック材料が好ましい。
【0197】
また、塗膜が適用される被塗物面としては、自動車車体外板部、自動車部品、家庭電気製品、これらを構成する鋼板などの金属基材などの金属表面に、リン酸塩処理、クロメート処理、複合酸化物処理などの表面処理が施されたものであってもよい。
【0198】
表面処理が施されていても施されていなくてもよい対象物の上には、さらに塗膜を形成してもよい。例えば、基材である被塗物に、必要に応じて表面処理を施し、その上に下塗り塗膜を形成してもよい。上記下塗り塗膜は、例えば被塗物が自動車車体である場合には、自動車車体の塗装において通常使用されるそれ自体既知の下塗り用の塗料を使用して形成することができる。
【0199】
下塗り塗膜を形成するための下塗り塗料としては、例えば、電着塗料、好ましくはカチオン電着塗料を使用することができる。
【0200】
上記水性ベースコート塗料組成物としては、カルボキシル基、水酸基などの架橋性官能基を有するアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂などの基体樹脂と、メラミン樹脂、尿素樹脂などのアミノ樹脂、ブロックされていてもよいポリイソシアネート化合物などの架橋剤とを、顔料、増粘剤、及び任意選択のその他の成分と共に塗料化したものを使用することができる。
【0201】
上記クリヤ塗料組成物としては、自動車車体等の塗装用として公知の熱硬化性クリヤ塗料組成物をいずれも使用できる。該熱硬化性クリヤ塗料組成物としては、例えば、架橋性官能基を有する基体樹脂及び硬化剤を含有する有機溶剤型熱硬化性塗料組成物、水性熱硬化性塗料組成物、粉体熱硬化性塗料組成物等を挙げることができる。
【0202】
上記基体樹脂が有する架橋性官能基としては、例えば、カルボキシル基、水酸基、エポキシ基、シラノール基等を挙げることができる。基体樹脂の種類としては、例えば、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、フッ素樹脂などを挙げることができる。硬化剤としては、例えば、ポリイソシアネート化合物、ブロック化ポリイソシアネート化合物、メラミン樹脂、尿素樹脂、カルボキシル基含有化合物、カルボキシル基含有樹脂、エポキシ基含有樹脂、エポキシ基含有化合物などを挙げることができる。
【0203】
上記クリヤ塗料組成物の基体樹脂/硬化剤の組合せとしては、水酸基含有樹脂/ポリイソシアネート化合物、カルボキシル基含有樹脂/エポキシ基含有樹脂、水酸基含有樹脂/ブロック化ポリイソシアネート化合物、水酸基含有樹脂/メラミン樹脂等が好ましく、水酸基含有樹脂/ポリイソシアネート化合物がより好ましい。
【0204】
また、上記クリヤ塗料組成物は、一液型塗料であってもよいし、二液型ウレタン樹脂塗料等の多液型塗料であってもよい。
【0205】
また、上記クリヤ塗料組成物には、必要に応じて、透明性を阻害しない程度に着色顔料、光輝性顔料、染料等を含有させることができ、さらに体質顔料、紫外線吸収剤、光安定剤、消泡剤、増粘剤、防錆剤、表面調整剤等を適宜含有せしめることができる。
【0206】
クリヤ塗料組成物の塗装方法としては、特に限定されないが、例えば、エアスプレー塗装、エアレススプレー塗装、回転霧化塗装、カーテンコート塗装等の塗装方法でウエット塗膜を形成することができる。これらの塗装方法において、必要に応じて、静電印加を行なってもよい。このうちエアスプレー塗装又は回転霧化塗装が特に好ましい。クリヤ塗料組成物の塗布量は、通常、硬化膜厚が10~70μm、好ましくは20~50μmとなる量とすることができる。
【0207】
また、エアスプレー塗装、エアレススプレー塗装及び回転霧化塗装を行なう場合には、クリヤ塗料組成物の粘度を、該塗装に適した粘度範囲、通常、フォードカップNo.4粘度計において、20℃で15~60秒程度、特に20~50秒程度の粘度範囲となるように、有機溶剤等の溶媒を用いて、適宜、調整しておくことが好ましい。
【0208】
前記加熱は公知の手段により行うことができ、例えば、熱風炉、電気炉、赤外線誘導加熱炉などの乾燥炉を適用できる。加熱温度は60~110℃、好ましくは70~90℃の範囲内である。加熱時間は、特に制限されないが、好ましくは10~40分間、より好ましくは20~40分間の範囲内である。
【実施例】
【0209】
以下、製造例、実施例及び比較例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明する。なお、これら製造例、実施例及び比較例は単なる例示であり、本発明の範囲を限定するためのものではない。製造例、実施例及び比較例において、「部」及び「%」は、特記しない限り、質量基準による。また、塗膜の膜厚は硬化塗膜に基づくものである。
【0210】
水酸基及びカルボキシル基含有樹脂(A)の製造
コアシェル構造を有する水酸基及びカルボキシル基含有アクリル樹脂粒子(A1’)の製造
製造例1
温度計、サーモスタット、撹拌器、還流冷却器、窒素導入管及び滴下装置を備えた反応容器に脱イオン水130部、「アクアロンKH-10」(商品名、第一工業製薬社製、乳化剤、有効成分97%)0.52部を仕込み、窒素気流中で撹拌混合し、80℃に昇温した。
次いで下記のモノマー乳化物(1)1.72部及び6%過硫酸アンモニウム水溶液5.3部を反応容器内に導入し、80℃で15分間保持した。その後、残りのモノマー乳化物(1)を3時間かけて、同温度に保持した反応容器内に滴下し、滴下終了後1時間熟成を行なった。その後、下記のモノマー乳化物(2)を1時間かけて滴下し、1時間熟成した後、5%N-エチルモルホリン水溶液20部を反応容器に徐々に加えながら30℃まで冷却し、100メッシュのナイロンクロスで濾過しながら排出し、固形分濃度30%の水酸基及びカルボキシル基含有アクリル樹脂粒子(A1’-1)を得た。得られた水酸基及びカルボキシル基含有アクリル樹脂粒子(A1’-1)は、酸価が16mgKOH/g、水酸基価が66mgKOH/g、ガラス転移温度が21℃であった。
モノマー乳化物(1): 脱イオン水42部、「アクアロンKH-10」0.72部、メチレンビスアクリルアミド2部、スチレン5部、メチルメタクリレート15部、2-ヒドロキシエチルメタクリレート5部及びn-ブチルアクリレート23部を混合攪拌して、モノマー乳化物(1)を得た。
モノマー乳化物(2): 脱イオン水42部、「アクアロンKH-10」0.72部、過硫酸アンモニウム0.05部、メタクリル酸2.5部、2-ヒドロキシエチルメタクリレート10部、スチレン5部、メチルメタクリレート12.5部、n-ブチルアクリレート10部及びn-ブチルメタクリレート10部を混合攪拌して、モノマー乳化物(2)を得た。
【0211】
製造例2
温度計、サーモスタット、撹拌器、還流冷却器、窒素導入管及び滴下装置を備えた反応容器に脱イオン水130部、「アクアロンKH-10」(商品名、第一工業製薬社製、乳化剤、有効成分97%)0.52部を仕込み、窒素気流中で撹拌混合し、80℃に昇温した。
次いで下記のモノマー乳化物(1)1.72部及び6%過硫酸アンモニウム水溶液5.3部を反応容器内に導入し、80℃で15分間保持した。その後、残りのモノマー乳化物(1)を3時間かけて、同温度に保持した反応容器内に滴下し、滴下終了後1時間熟成を行なった。その後、下記のモノマー乳化物(2)を1時間かけて滴下し、1時間熟成した後、5%2-(ジメチルアミノ)エタノール水溶液20部を反応容器に徐々に加えながら30℃まで冷却し、100メッシュのナイロンクロスで濾過しながら排出し、固形分濃度30%の水酸基及びカルボキシル基含有アクリル樹脂粒子(A1’-2)を得た。得られた水酸基及びカルボキシル基含有アクリル樹脂粒子(A1’-2)は、酸価が16mgKOH/g、水酸基価が66mgKOH/g、ガラス転移温度が21℃であった。
モノマー乳化物(1): 脱イオン水42部、「アクアロンKH-10」0.72部、メチレンビスアクリルアミド2部、スチレン5部、メチルメタクリレート15部、2-ヒドロキシエチルメタクリレート5部及びn-ブチルアクリレート23部を混合攪拌して、モノマー乳化物(1)を得た。
モノマー乳化物(2): 脱イオン水42部、「アクアロンKH-10」0.72部、過硫酸アンモニウム0.05部、メタクリル酸2.5部、2-ヒドロキシエチルメタクリレート10部、スチレン5部、メチルメタクリレート12.5部、n-ブチルアクリレート10部及びn-ブチルメタクリレート10部を混合攪拌して、モノマー乳化物(2)を得た。
【0212】
グラジエントポリマー層を含むコアシェル構造を有する水酸基及びカルボキシル基含有アクリル樹脂粒子(A1’’)の製造
製造例3
温度計、サーモスタット、撹拌器、還流冷却器、窒素導入管及び滴下装置を備えた反応容器に、脱イオン水130部及び「アクアロンKH-10」(商品名、第一工業製薬社製、乳化剤、有効成分97%)0.52部を仕込み、窒素気流中で撹拌混合し、80℃に昇温した。
次いで下記のモノマー乳化物(1)1.72部及び6%過硫酸アンモニウム水溶液5.3部を反応容器内に導入し、80℃で15分間保持した。その後、モノマー乳化物(1)35.4部を1時間かけて、同温度に保持した反応容器内に滴下し、滴下終了後すぐに残りのモノマー乳化物(1)55.6部を反応容器内に滴下し始めた。それと同時に、モノマー乳化物(2)55.6部を、モノマー乳化物(1)に対して滴下を行い、2時間かけて、モノマー乳化物(1)及びモノマー乳化物(2)の滴下を終了した。その後、残りのモノマー乳化物(2)37.17部を反応容器内に1時間かけて滴下し、1時間熟成した後、5%N-エチルモルホリン水溶液20部を反応容器に徐々に加えながら30℃まで冷却し、次いで100メッシュのナイロンクロスで濾過しながら排出して、固形分濃度30%の水酸基及びカルボキシル基含有アクリル樹脂粒子(A1’’-1)を得た。得られた水酸基及びカルボキシル基含有アクリル樹脂粒子(A1’’-1)は、酸価が16mgKOH/g、水酸基価が66mgKOH/g、ガラス転移温度が21℃であった。
モノマー乳化物(1): 脱イオン水42部、「アクアロンKH-10」0.72部、メチレンビスアクリルアミド2部、スチレン5部、メチルメタクリレート15部、2-ヒドロキシエチルメタクリレート5部及びn-ブチルアクリレート23部を混合攪拌して、モノマー乳化物(1)を得た。
モノマー乳化物(2): 脱イオン水42部、「アクアロンKH-10」0.72部、過硫酸アンモニウム0.05部、メタクリル酸2.5部、2-ヒドロキシエチルメタクリレート10部、スチレン5部、メチルメタクリレート12.5部、n-ブチルアクリレート10部及びn-ブチルメタクリレート10部を混合攪拌して、モノマー乳化物(2)を得た。
【0213】
水酸基及びカルボキシル基含有ポリエステル樹脂(A2)の製造
製造例4
温度計、サーモスタット、攪拌装置、還流冷却器及び水分離器を備えた反応容器に、トリメチロールプロパン174部、ネオペンチルグリコール327部、アジピン酸352部、イソフタル酸109部及び1,2-シクロヘキサンジカルボン酸無水物101部を仕込み、160℃から230℃まで3時間かけて昇温させた後、生成した縮合水を水分離器により留去させながら230℃で保持し、酸価が3mgKOH/g以下となるまで反応させた。この反応生成物に、無水トリメリット酸59部を添加し、170℃で30分間付加反応を行った後、50℃以下に冷却し、N-エチルモルホリンを75.8部添加し中和してから、脱イオン水を徐々に添加することにより、固形分濃度45%の水酸基及びカルボキシル基含有ポリエステル樹脂溶液(A2-1)を得た。得られた水酸基及びカルボキシル基含有ポリエステル樹脂は、水酸基価が128mgKOH/g、酸価が35mgKOH/g、重量平均分子量が13,000であった。
【0214】
製造例5
温度計、サーモスタット、攪拌装置、還流冷却器及び水分離器を備えた反応容器に、トリメチロールプロパン174部、ネオペンチルグリコール327部、アジピン酸352部、イソフタル酸109部及び1,2-シクロヘキサンジカルボン酸無水物101部を仕込み、160℃から230℃まで3時間かけて昇温させた後、生成した縮合水を水分離器により留去させながら230℃で保持し、酸価が3mgKOH/g以下となるまで反応させた。この反応生成物に、無水トリメリット酸59部を添加し、170℃で30分間付加反応を行った後、50℃以下に冷却し、2-(ジメチルアミノ)エタノールを58.7部添加し中和してから、脱イオン水を徐々に添加することにより、固形分濃度45%の水酸基及びカルボキシル基含有ポリエステル樹脂溶液(A2-2)を得た。得られた水酸基及びカルボキシル基含有ポリエステル樹脂は、水酸基価が128mgKOH/g、酸価が35mgKOH/g、重量平均分子量が13,000であった。
【0215】
水酸基及びカルボキシル基含有ポリウレタン樹脂(A3)の製造
製造例6
温度計、撹拌機及び還流コンデンサーを備えた反応槽に、ポリテトラメチレングリコール(数平均分子量1000)211.9部、2,2-ジメチロールプロピオン酸11.5部、トリメチロールプロパン6.9部、イソホロンジイソシアネート112.2部及びメチルエチルケトン298.5部を仕込み、反応系を窒素ガスで置換した後、撹拌下80℃で反応させて、遊離イソシアネート基含有量3.2%のNCO末端ウレタンプレポリマーを得た。得られた該メチルエチルケトン溶液を40℃に冷却し、N-エチルモルホリン9.8部を含む脱イオン水493.2gを加えて乳化した後、これに5%N-(2-ヒドロキシエチル)エチレンジアミン水溶液275.9部を添加し、60分間撹拌後、メチルエチルケトンを減圧加熱下に留去し、脱イオン水で濃度調整して、固形分35%、酸価14mgKOH/g、水酸基価12mgKOH/g、平均粒子径120nmの水酸基及びカルボキシル基含有ポリウレタン樹脂分散液(A3-1)を得た。
【0216】
製造例7
温度計、撹拌機及び還流コンデンサーを備えた反応槽に、ポリテトラメチレングリコール(数平均分子量1000)211.9部、2,2-ジメチロールプロピオン酸11.5部、トリメチロールプロパン6.9部、イソホロンジイソシアネート112.2部及びメチルエチルケトン298.5部を仕込み、反応系を窒素ガスで置換した後、撹拌下80℃で反応させて、遊離イソシアネート基含有量3.2%のNCO末端ウレタンプレポリマーを得た。得られた該メチルエチルケトン溶液を40℃に冷却し、トリエチルアミン8.6部を含む脱イオン水493.2gを加えて乳化した後、これに5%N-(2-ヒドロキシエチル)エチレンジアミン水溶液275.9部を添加し、60分間撹拌後、メチルエチルケトンを減圧加熱下に留去し、脱イオン水で濃度調整して、固形分35%、酸価14mgKOH/g、水酸基価12mgKOH/g、平均粒子径120nmの水酸基及びカルボキシル基含有ポリウレタン樹脂分散液(A3-2)を得た。
【0217】
水酸基を含有しないカルボキシル基含有ポリウレタン樹脂(U-1)の製造
製造例8
温度計、撹拌機及び還流コンデンサーを備えた反応槽に、ポリテトラメチレングリコール(数平均分子量1000)211.9部、2,2-ジメチロールプロピオン酸11.5部、トリメチロールプロパン6.9部、イソホロンジイソシアネート112.2部及びメチルエチルケトン298.5部を仕込み、反応系を窒素ガスで置換した後、撹拌下80℃で反応させて、遊離イソシアネート基含有量3.2%のNCO末端ウレタンプレポリマーを得た。得られた該メチルエチルケトン溶液を40℃に冷却し、N-エチルモルホリン9.8部を含む脱イオン水493.2gを加えて乳化した後、これに5%エチレンジアミン水溶液159.2部を添加し、60分間撹拌後、メチルエチルケトンを減圧加熱下に留去し、脱イオン水で濃度調整して、固形分35%、酸価14mgKOH/g、平均粒子径120nmの水酸基を含有しないカルボキシル基含有ポリウレタン樹脂分散液(U-1)を得た。
【0218】
ブロック化ポリイソシアネート化合物(B)の製造
製造例9
温度計、サーモスタット、攪拌装置、還流冷却器、窒素導入管、滴下装置及び除去溶媒簡易トラップを備えた反応容器に、「スミジュールN-3300」(商品名、住化バイエルウレタン社製、ヘキサメチレンジイソシアネート由来のイソシアヌレート構造含有ポリイソシアネート、固形分100%、イソシアネート基含有率21.8%)1500部及び2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール0.9部を仕込み、よく混合して、窒素気流下で130℃で3時間加熱した。次いで、酢酸エチル1200部及びマロン酸ジイソプロピル1300部を仕込み、窒素気流下で攪拌しながら、ナトリウムメトキシドの28%メタノール溶液14部を加え、65℃で8時間攪拌し、固形分70%、重量平均分子量4,000のブロック化ポリイソシアネート化合物(B-1)を得た。
【0219】
製造例10
温度計、サーモスタット、攪拌装置、還流冷却器、窒素導入管、滴下装置を備えた反応容器に、「スミジュールN-3300」(商品名、住化バイエルウレタン社製、ヘキサメチレンジイソシアネート由来のイソシアヌレート構造含有ポリイソシアネート、固形分100%、イソシアネート基含有率21.8%)1610部、「PTMG2000」(商品名、三菱ケミカル社製、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、平均分子量2,000、固形分100%)1200部及び2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール0.9部を仕込み、よく混合して、窒素気流下で130℃で3時間加熱した。次いで、酢酸エチル1200部及びマロン酸ジイソプロピル1250部を仕込み、窒素気流下で攪拌しながら、ナトリウムメトキシドの28%メタノール溶液14部を加え、65℃で8時間攪拌し、最終固形分が70%となるよう酢酸エチルで希釈して、固形分70%、重量平均分子量50,000のブロック化ポリイソシアネート化合物(B-2)を得た。
【0220】
リン酸基含有アクリル樹脂の製造
製造例11
温度計、サーモスタット、撹拌器、還流冷却器及び滴下装置を備えた反応容器に、メトキシプロパノール27.5部及びイソブタノール27.5部の混合溶剤を入れ、110℃に加熱した。次いで、スチレン25部、n-ブチルメタクリレート27.5部、「イソステアリルアクリレート」(商品名、大阪有機化学工業社製、分岐高級アルキルアクリレート)20部、4-ヒドロキシブチルアクリレート7.5部、下記リン酸基含有重合性モノマー15部、2-メタクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート12.5部、イソブタノール10部及びt-ブチルパーオキシオクタノエート4部からなる混合物121.5部を、4時間かけて上記混合溶剤に加え、さらにt-ブチルパーオキシオクタノエート0.5部とイソプロパノール20部からなる混合物を1時間滴下した。その後、1時間攪拌熟成して、固形分濃度50%のリン酸基含有アクリル樹脂溶液(C1’-1)を得た。本樹脂のリン酸基による酸価は83mgKOH/g、水酸基価は29mgKOH/g、重量平均分子量は10,000であった。
リン酸基含有重合性モノマー:温度計、サーモスタット、撹拌器、還流冷却器及び滴下装置を備えた反応容器に、モノブチルリン酸57.5部及びイソブタノール41部を入れ、90℃に昇温後、グリシジルメタクリレート42.5部を2時間かけて滴下した後、さらに1時間攪拌熟成した。その後、イソプロパノ-ル59部を加えて、固形分濃度50%のリン酸基含有重合性モノマー溶液を得た。得られたモノマーのリン酸基による酸価は285mgKOH/gであった。
【0221】
顔料分散液の製造
製造例12
製造例4で得た水酸基及びカルボキシル基含有ポリエステル樹脂溶液(A2-1)44.4部(固形分20部)、「JR-806」(商品名、テイカ社製、ルチル型二酸化チタン)100部、「カーボンMA-100」(商品名、三菱化学社製、カーボンブラック)1部及び脱イオン水10部を混合し、N-エチルモルホリンを1.2部添加して、pH8.0に調整した。次いで、得られた混合液を広口ガラスビン中に入れ、分散メジアとして直径約1.3mmφのガラスビーズを加えて密封し、ペイントシェイカーにて30分間分散して、顔料分散液(P-1)を得た。
【0222】
製造例13
製造例5で得た水酸基及びカルボキシル基含有ポリエステル樹脂溶液(A2-2)44.4部(固形分20部)、「JR-806」(商品名、テイカ社製、ルチル型二酸化チタン)100部、「カーボンMA-100」(商品名、三菱化学社製、カーボンブラック)1部及び脱イオン水10部を混合し、2-(ジメチルアミノ)エタノールを0.7部添加して、pH8.0に調整した。次いで、得られた混合液を広口ガラスビン中に入れ、分散メジアとして直径約1.3mmφのガラスビーズを加えて密封し、ペイントシェイカーにて30分間分散して、顔料分散液(P-2)を得た。
【0223】
水性塗料組成物の製造
実施例1
製造例12で得た顔料分散液(P-1)155.9部、製造例1で得た水酸基及びカルボキシル基含有アクリル樹脂粒子(A1’-1)83.3部(固形分25部)、製造例6で得た水酸基及びカルボキシル基含有ポリウレタン樹脂分散液(A3-1)57.1部(固形分20部)、製造例9で得たブロック化ポリイソシアネート化合物(B-1)42.9部(固形分30部)、「カルボジライトSV02」(商品名、日清紡社製、カルボジイミド化合物、固形分40%、固形分あたりのカルボジイミド当量429)12.5部(固形分5部)及び製造例11で得たリン酸基含有アクリル樹脂溶液4部(固形分2部)を均一に混合した。次いで、pH調整用の塩基性化合物(D)として、N-エチルモルホリン1.6部を添加し、pH8.2とした。次いで、「UH-752」(商品名、ADEKA社製、増粘剤)及び脱イオン水を添加し、pH8.2、塗料固形分48%、20℃におけるフォードカップNO.4による粘度が30秒の水性塗料組成物NO.1を得た。
【0224】
実施例2~18、比較例1~6
配合組成を下記表1-1~表1-4に示すものとする以外は、実施例1と同様にして、20℃におけるフォードカップNO.4による粘度が30秒の各水性塗料組成物NO.2~24を得た。
水性塗料組成物NO.1~24の貯蔵安定性について、粘度変化率によって評価した。
粘度変化率:「LVDV-I」(商品名、BROOKFIELD社製、B型粘度計)によって測定される60rpmで1分後の粘度に基づいて、製造直後の粘度と、40℃で10日間静置した後の粘度の変化率によって評価した。
粘度変化率(%)=|(40℃で10日間静置した後の粘度/製造直後の粘度)-1|×100
◎及び○が合格である。
◎:粘度変化率が20%未満、
○:粘度変化率が20%以上、50%未満、
×:粘度変化率が50%以上。
貯蔵安定性の結果を併せて表1-1~表1-4に示す。
【0225】
【0226】
【0227】
【0228】
【0229】
試験用被塗物の作製
リン酸亜鉛処理された冷延鋼板に、熱硬化性エポキシ樹脂系カチオン電着塗料組成物(商品名「エレクロンGT-10」、関西ペイント社製)を膜厚20μmになるように電着塗装し、170℃で30分加熱して硬化させた。かくして、鋼板上に電着塗膜を形成してなる被塗物を作製した。
【0230】
試験用塗装板の作製
実施例19
上記試験用被塗物に、実施例1で得た水性塗料組成物NO.1を、回転霧化型の静電塗装機を用いて、硬化膜厚20μmとなるように静電塗装し、5分間放置して、未硬化の中塗り塗膜を形成した。
次いで、該未硬化の中塗り塗膜上に、「WBC-713T No.202」(商品名、関西ペイント社製、アクリルメラミン樹脂系水性ベースコート塗料、黒塗色)を、回転霧化型の静電塗装機を用いて、乾燥膜厚で15μmとなるように静電塗装し、5分間放置後、80℃で3分間プレヒートを行ない、未硬化のベースコート塗膜を形成した。
次いで、該未硬化のベースコート塗膜塗膜上に「ソフレックス#520クリヤー」(関西ペイント社製、商品名、水酸基含有アクリル樹脂及びポリイソシアネート化合物を含有する2液型アクリルウレタン系有機溶剤型クリヤ塗料)を乾燥膜厚で35μmとなるように静電塗装し、7分間放置し、クリヤ塗膜を形成した。
次いで、80℃で30分間加熱して、中塗り塗膜、ベースコート塗膜及びクリヤ塗膜を加熱硬化させることにより、試験用塗装板を作製した。
【0231】
実施例20~38、比較例7~12
実施例19において、水性塗料組成物の種類及び加熱温度を下記表2の通りに変更すること以外は、実施例19と同様にして試験板を作製した。
上記で得られた各試験板について、下記の試験方法により評価を行った。評価結果を下記表2に示す。
【0232】
(試験方法)
低温硬化性:JIS K 5600-5-4(1999)「引っかき硬度(鉛筆法)」に準拠して、上記実施例及び比較例で得られた試験板の鉛筆硬度を測定した。鉛筆硬度は3B<2B<B<HB<Fの順であり、鉛筆硬度がHB以上であれば合格である。評価結果を表2に示す。
【0233】
耐水付着性:上記実施例及び比較例で得られた試験板を40℃の温水に240時間浸漬し、引き上げて表面の水分をふき取り後すぐ、塗面にJIS K 5600-5-6(1990)に準じて塗膜に2mm×2mmのゴバン目100個を作り、その面に粘着テープを貼着し、急激に剥がした後に、塗面に残ったゴバン目塗膜の数を評価した。◎及び○が合格である。評価結果を表2に示す。
◎:残存個数/全体個数=100個/100個で縁欠けなし
○:残存個数/全体個数=100個/100個で縁欠けあり
△:残存個数/全体個数=99個~90個/100個
×:残存個数/全体個数=89個以下/100個。
【0234】
耐水後硬度:上記実施例及び比較例で得られ試験板を40℃の温水に240時間浸漬し、20℃で12時間乾燥した後、JIS K 5600-5-4(1999)「引っかき硬度(鉛筆法)」に準拠して、各試験板の塗面の鉛筆硬度を測定した。鉛筆硬度がB以上であれば合格である。評価結果を表2に示す。
【0235】
耐チッピング性:飛石試験機「JA-400型」(商品名、スガ試験機社製、耐チッピング性試験装置)の試片保持台に上記実施例及び比較例で得られた試験板を設置し、0℃において、該試験板から30cm離れた所から0.39MPa(4kgf/cm2)の圧縮空気により、粒度7号の花崗岩砕石50gを試験板に45度の角度で衝突させた。その後、得られた該試験板を水洗して、乾燥し、塗面に布粘着テープ(ニチバン社製)を貼着して、それを剥離した後、塗膜のキズの発生程度等を目視で観察し、下記基準により評価した。◎及び○が合格である。評価結果を表2に示す。
◎:キズの大きさが極めて小さく、電着面や素地の鋼板が露出していない。
○:キズの大きさが小さく、電着面や素地の鋼板が露出していない。
△:キズの大きさは小さいが、電着面や素地の鋼板が露出している。
×:キズの大きさはかなり大きく、素地の鋼板も大きく露出している。
【0236】
ガラス接着性:上記実施例及び比較例で得られた各試験用塗装板にさらにウレタン系接着剤(商品名「3740」、サンスター株式会社製、自動車用ウインドシールド剤)を、塗布形状が幅20mm、厚さ3mm、長さ100mm以上となるように塗布し、離型紙を被せた後、平板で均一に押さえつけた。平板を取り除いた後、温度23±2℃、湿度50±5%で72時間放置して硬化させた。その後、離型紙を剥がした。次いで、各試験用塗装板を50℃に設定した恒温水槽中に240時間浸漬させ、その後、23℃の水中に1時間浸漬させて冷却した後、以下の剥離試験を行った。
硬化した接着剤層を塗膜に対して90度以上の方向に手で引っ張りながら2~3mm間隔で、塗膜に対して約60度の角度で塗膜表面に達するところまでカッターナイフでカットを入れる。接着剤層を剥がした後の剥離状態を下記基準により評価した。◎、○+及び○が合格である。
◎:接着剤層の剥れが認められず、塗膜の露出も認められない、
○+:塗膜は破壊されず、接着剤層のみが凝集破壊を起こして剥れるが、塗膜と接着剤層の付着はほぼ保たれている、
○:塗膜が凝集破壊を起こして剥れ、その幅がカッターナイフでカットを入れた部分から1mm未満であった、
△:塗膜が凝集破壊を起こして剥れ、その幅がカッターナイフを入れた部分から1mm以上であった、
×:塗膜と接着剤層との界面で剥れが認められる。
【0237】
【0238】
以上、本発明の実施形態及び実施例について具体的に説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。
例えば、上述の実施形態及び実施例において挙げた構成、方法、工程、形状、材料及び数値などはあくまでも例に過ぎず、必要に応じてこれと異なる構成、方法、工程、形状、材料及び数値などを用いてもよい。
また、上述の実施形態の構成、方法、工程、形状、材料及び数値などは、本発明の主旨を逸脱しない限り、互いに組み合わせることが可能である。