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7848573走行システム、走行方法、及び走行プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2026-04-13
(45)【発行日】2026-04-21
(54)【発明の名称】走行システム、走行方法、及び走行プログラム
(51)【国際特許分類】
   G05D 1/622 20240101AFI20260414BHJP
   G05D 1/242 20240101ALI20260414BHJP
   G05D 1/43 20240101ALI20260414BHJP
【FI】
G05D1/622
G05D1/242
G05D1/43
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2022073058
(22)【出願日】2022-04-27
(65)【公開番号】P2023162613
(43)【公開日】2023-11-09
【審査請求日】2025-02-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135817
【弁理士】
【氏名又は名称】華山 浩伸
(74)【代理人】
【識別番号】100167302
【弁理士】
【氏名又は名称】種村 一幸
(74)【代理人】
【識別番号】100181869
【弁理士】
【氏名又は名称】大久保 雄一
(72)【発明者】
【氏名】寺本 英司
【審査官】田中 友章
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-341939(JP,A)
【文献】特表2020-527266(JP,A)
【文献】特開平9-185412(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05D 1/00 - G05D 1/87
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
目標経路に従って走行装置を目的位置まで走行させる走行システムであって、
前記走行装置が前記目標経路を走行中に、前記目標経路上の障害物を検出する検出処理部と、
前記検出処理部により前記障害物が検出された場合に、前記走行装置の走行を停止させる停止処理部と、
前記検出処理部により前記障害物が検出された場合に、前記走行装置の停止位置から前記目的位置までの回避経路を生成する生成処理部と、
前記回避経路に関する回避経路情報及び前記障害物に関する障害物情報の少なくともいずれかに基づいて、前記走行装置を前記停止位置に待機させる待機時間を設定する設定処理部と、
前記待機時間が経過する前に前記検出処理部が前記障害物を検出しなくなった場合に、前記走行装置を前記目標経路に従って前記停止位置から前記目的位置まで走行させ、前記検出処理部が前記障害物を検出した状態で前記待機時間が経過した場合に、前記走行装置を前記回避経路に従って前記停止位置から前記目的位置まで走行させる走行処理部と、
を備える走行システム。
【請求項2】
前記設定処理部は、前記回避経路の長さに応じて前記待機時間を設定する、
請求項1に記載の走行システム。
【請求項3】
前記設定処理部は、前記目標経路における前記停止位置から前記目的位置までの距離と、前記回避経路における前記停止位置から前記目的位置までの距離との差に応じて、前記待機時間を設定する、
請求項2に記載の走行システム。
【請求項4】
前記設定処理部は、前記差が大きいほど前記待機時間を長く設定する、
請求項3に記載の走行システム。
【請求項5】
前記設定処理部は、前記回避経路の通路幅に応じて前記待機時間を設定する、
請求項1に記載の走行システム。
【請求項6】
前記設定処理部は、前記回避経路の通路幅が広いほど前記待機時間を短く設定する、
請求項5に記載の走行システム。
【請求項7】
前記設定処理部は、前記障害物の種別に応じて前記待機時間を設定する、
請求項1に記載の走行システム。
【請求項8】
前記設定処理部は、前記障害物の動作状況に応じて前記待機時間を設定する、
請求項1に記載の走行システム。
【請求項9】
前記設定処理部は、前記障害物の数に応じて前記待機時間を設定する、
請求項1に記載の走行システム。
【請求項10】
前記設定処理部は、前記障害物の数が多いほど前記待機時間を短く設定する、
請求項9に記載の走行システム。
【請求項11】
前記設定処理部は、前記停止位置において前記走行装置のカメラの視界に前記目的位置が含まれる場合に第1待機時間を設定し、前記停止位置において前記走行装置のカメラの視界に前記目的位置が含まれない場合に前記第1待機時間よりも短い第2待機時間を設定し、
請求項1に記載の走行システム。
【請求項12】
目標経路に従って走行装置を目的位置まで走行させる走行方法であって、
一又は複数のプロセッサが、
前記走行装置が前記目標経路を走行中に、前記目標経路上の障害物を検出すること検出ステップと、
前記検出ステップにおいて前記障害物が検出された場合に、前記走行装置の走行を停止させる停止ステップと、
前記検出ステップにおいて前記障害物が検出された場合に、前記走行装置の停止位置から前記目的位置までの回避経路を生成する生成ステップと、
前記回避経路に関する回避経路情報及び前記障害物に関する障害物情報の少なくともいずれかに基づいて、前記走行装置を前記停止位置に待機させる待機時間を設定する設定ステップと、
前記待機時間が経過する前に前記障害物を検出しなくなった場合に、前記走行装置を前記目標経路に従って前記停止位置から前記目的位置まで走行させ、前記障害物を検出した状態で前記待機時間が経過した場合に、前記走行装置を前記回避経路に従って前記停止位置から前記目的位置まで走行させる走行ステップと、
を実行する走行方法。
【請求項13】
目標経路に従って走行装置を目的位置まで走行させる走行プログラムであって、
前記走行装置が前記目標経路を走行中に、前記目標経路上の障害物を検出すること検出ステップと、
前記検出ステップにおいて前記障害物が検出された場合に、前記走行装置の走行を停止させる停止ステップと、
前記検出ステップにおいて前記障害物が検出された場合に、前記走行装置の停止位置から前記目的位置までの回避経路を生成する生成ステップと、
前記回避経路に関する回避経路情報及び前記障害物に関する障害物情報の少なくともいずれかに基づいて、前記走行装置を前記停止位置に待機させる待機時間を設定する設定ステップと、
前記待機時間が経過する前に前記障害物を検出しなくなった場合に、前記走行装置を前記目標経路に従って前記停止位置から前記目的位置まで走行させ、前記障害物を検出した状態で前記待機時間が経過した場合に、前記走行装置を前記回避経路に従って前記停止位置から前記目的位置まで走行させる走行ステップと、
を一又は複数のプロセッサに実行させるための走行プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行装置を走行させる走行システム、走行方法、及び走行プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
予め設定された目標経路に従って自律走行する走行装置(走行ロボット)が知られている。例えば、前記走行装置は、目標経路上に障害物(人、物など)を検出すると走行を停止して所定時間だけ待機し、所定時間経過後に前記障害物が存在しない場合は前記目標経路に従って走行を再開し、所定時間経過後も前記障害物が存在する場合は回避経路(迂回経路)に従って走行を開始する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平09-185412号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の技術では、走行装置の待機時間(前記所定時間)が一定時間に固定されているため、例えば、待機時間が回避経路を走行した場合の所要走行時間よりも長くなったり、待機時間が短過ぎて回避走行の頻度が多くなったりして、走行装置の走行効率が低下する問題が生じる。
【0005】
本発明の目的は、走行装置の走行効率の低下を抑えることが可能な走行システム、走行方法、及び走行プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一の局面に係る走行システムは、目標経路に従って走行装置を目的位置まで走行させる走行システムである。前記走行システムは、検出処理部と停止処理部と生成処理部と設定処理部と走行処理部とを備える。前記検出処理部は、前記走行装置が前記目標経路を走行中に、前記目標経路上の障害物を検出する。前記停止処理部は、前記検出処理部により前記障害物が検出された場合に、前記走行装置の走行を停止させる。前記生成処理部は、前記検出処理部により前記障害物が検出された場合に、前記走行装置の停止位置から前記目的位置までの回避経路を生成する。前記設定処理部は、前記回避経路に関する回避経路情報及び前記障害物に関する障害物情報の少なくともいずれかに基づいて、前記走行装置を前記停止位置に待機させる待機時間を設定する。前記走行処理部は、前記待機時間が経過する前に前記検出処理部が前記障害物を検出しなくなった場合に、前記走行装置を前記目標経路に従って前記停止位置から前記目的位置まで走行させ、前記検出処理部が前記障害物を検出した状態で前記待機時間が経過した場合に、前記走行装置を前記回避経路に従って前記停止位置から前記目的位置まで走行させる。
【0007】
本発明の他の局面に係る走行方法は、目標経路に従って走行装置を目的位置まで走行させる走行方法である。前記走行方法において、一又は複数のプロセッサが、前記走行装置が前記目標経路を走行中に、前記目標経路上の障害物を検出すること検出ステップと、前記検出ステップにおいて前記障害物が検出された場合に、前記走行装置の走行を停止させる停止ステップと、前記検出ステップにおいて前記障害物が検出された場合に、前記走行装置の停止位置から前記目的位置までの回避経路を生成する生成ステップと、前記回避経路に関する回避経路情報及び前記障害物に関する障害物情報の少なくともいずれかに基づいて、前記走行装置を前記停止位置に待機させる待機時間を設定する設定ステップと、前記待機時間が経過する前に前記障害物を検出しなくなった場合に、前記走行装置を前記目標経路に従って前記停止位置から前記目的位置まで走行させ、前記障害物を検出した状態で前記待機時間が経過した場合に、前記走行装置を前記回避経路に従って前記停止位置から前記目的位置まで走行させる走行ステップと、を実行する。
【0008】
本発明の他の局面に係る走行プログラムは、目標経路に従って走行装置を目的位置まで走行させる走行プログラムである。前記プログラムは、前記走行装置が前記目標経路を走行中に、前記目標経路上の障害物を検出すること検出ステップと、前記検出ステップにおいて前記障害物が検出された場合に、前記走行装置の走行を停止させる停止ステップと、前記検出ステップにおいて前記障害物が検出された場合に、前記走行装置の停止位置から前記目的位置までの回避経路を生成する生成ステップと、前記回避経路に関する回避経路情報及び前記障害物に関する障害物情報の少なくともいずれかに基づいて、前記走行装置を前記停止位置に待機させる待機時間を設定する設定ステップと、前記待機時間が経過する前に前記障害物を検出しなくなった場合に、前記走行装置を前記目標経路に従って前記停止位置から前記目的位置まで走行させ、前記障害物を検出した状態で前記待機時間が経過した場合に、前記走行装置を前記回避経路に従って前記停止位置から前記目的位置まで走行させる走行ステップと、を一又は複数のプロセッサに実行させるための走行プログラムである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、走行装置の走行効率の低下を抑えることが可能な走行システム、走行方法、及び走行プログラムを提供することことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本発明の実施形態に係る走行装置の外観を示す斜視図である。
図2図2は、本発明の実施形態に係る走行装置の構成を示す機能ブロック図である。
図3図3は、本発明の実施形態に係る走行装置の記憶部に登録される地図情報の一例を示す図である。
図4図4は、本発明の実施形態に係る走行装置の記憶部に登録される経路情報の一例を示す図である。
図5図5は、本発明の実施形態に係る走行装置に対して設定される目標経路の一例を示す図である。
図6図6は、本発明の実施形態に係る目標経路上の障害物の一例を示す図である。
図7図7は、本発明の実施形態に係る走行装置に対して設定される回避経路の一例を示す図である。
図8図8は、本発明の実施形態に係る走行装置に対して設定される目標経路の一例を示す図である。
図9図9は、本発明の実施形態に係る目標経路上の障害物の一例を示す図である。
図10図10は、本発明の実施形態に係る走行装置に対して設定される回避経路の一例を示す図である。
図11図11は、本発明の実施形態に係る走行装置に対して設定される回避経路の一例を示す図である。
図12図12は、本発明の実施形態に係る目標経路上の障害物の一例を示す図である。
図13図13は、本発明の実施形態に係る目標経路上の障害物の一例を示す図である。
図14図14は、本発明の実施形態に係る目標経路上の障害物の一例を示す図である。
図15図15は、本発明の実施形態に係る走行装置で実行される走行処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であり、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0012】
[走行装置10]
図1は、本発明の実施形態に係る自律走行型の走行装置10の外観を示す斜視図であり、図2は、走行装置10の構成を示す機能ブロック図である。以下の説明では、図1に示される上下方向D1、前後方向D2、左右方向D3を用いる。走行装置10は、本発明の走行装置の一例である。なお、走行装置10は、図1に示す構成に限定されない。
【0013】
走行装置10は、ショッピングモール、商業ビル、空港、駅などの各種施設内を自律的に走行することによって移動可能な装置であり、移動ロボットとも称されている。走行装置10は、自律走行によって移動しつつ、施設内の利用者に各種情報(案内情報など)を提示したり、施設内で荷物を運搬したり、施設内の警備を行ったり、施設内の清掃を行ったりすることが可能である。また、走行装置10は、施設内の所定エリアを、予め設定された目標経路に従って自律走行する。
【0014】
図1及び図2に示すように、走行装置10は、装置本体11と、装置本体11に設けられた各機能部とを備えている。具体的には、装置本体11には、走行部12、モータ(不図示)、バッテリ(不図示)、操作部20、表示パネル21、カメラ30、及び制御部40(制御装置)などが設けられている。
【0015】
図1に示すように、装置本体11は、その外装を構成する外装カバー11Aを有し、その下部にシャーシ11Bを有する。シャーシ11Bは、床面に対して概ね平行に設けられている。また、装置本体11の内部には、上述の各機能部を支持するための支持フレームが適宜設けられている。
【0016】
走行部12は、装置本体11の走行姿勢を維持しつつ進行方向の搬送力を床面に伝達するものであり、シャーシ11Bに取り付けられている。走行部12は、走行用の一対の車輪121と、4個のキャスタ122とを有する。
【0017】
車輪121は、シャーシ11Bの前後方向D2の中央であって、左右方向D3(幅方向)の両端部それぞれに回転可能に支持されている。4個のキャスタ122は、装置本体11の走行姿勢を維持するためのものであり、シャーシ11Bの前方端の両端部、及びシャーシ11Bの後方端の両端部に回転可能に支持されている。走行装置10が床面に置かれた状態で、車輪121及びキャスタ122の各外周面は床面によって支持される。これにより、装置本体11が、図1に示される走行姿勢に維持される。
【0018】
車輪121の回転軸には、減速ギヤなどの伝達機構を介して、モータの出力軸が連結されている。このため、モータが駆動されて、その回転駆動力が前記出力軸から出力されると、モータの回転駆動力が車輪121に伝達される。本実施形態では、一対の車輪121のそれぞれに対して、個別にモータが設けられている。したがって、各モータが個別に駆動制御されることによって、各車輪121の回転速度が制御される。例えば、各車輪121の回転速度が等速に制御されると、走行装置10は真っ直ぐに進行し、各車輪121の回転速度が異なる速度に制御されると、回転速度の遅い車輪121側に走行装置10が旋回する。
【0019】
前記バッテリは、装置本体11の中心部に設けられている。前記バッテリは、前記モータに駆動用の電力を供給する。
【0020】
また図1に示すように、走行装置10の正面には、フロントレーザセンサ41と、ソナーセンサ42と、カメラ30とが設けられている。
【0021】
フロントレーザセンサ41は、装置本体11の正面の下部に形成された幅方向に延びる溝部175に設けられている。フロントレーザセンサ41は、溝部175の内部の中央に配置されている。フロントレーザセンサ41は、レーザ発信素子、レーザ発信素子を駆動するレーザドライバ、受光素子、受光素子の出力をデジタル信号に変換する受光処理回路などを備えている。フロントレーザセンサ41は制御部40に接続されており、制御部40によって制御される。フロントレーザセンサ41は、前方へ向けて幅方向(水平方向)へ所定の走査角(例えば120度)の範囲内でレーザ光を走査する。フロントレーザセンサ41が、照射された物体(障害物など)で反射して戻って来たレーザ光を受光すると、制御部40は、前記レーザ光が戻ってくるまでの時間を測定し、その測定値に基づいて各走査位置における物体までの距離を算出する。これにより、制御部40は、走行装置10の正面側(進行方向側)に存在する物体までの距離や位置、その物体の幅方向における形状やサイズを把握することができる。
【0022】
ソナーセンサ42は、表示パネル21の下側に設けられている。ソナーセンサ42は、装置本体11の正面における幅方向の両端部それぞれに設けられている。ソナーセンサ42は、制御部40に接続されており、制御部40によって制御される。ソナーセンサ42は、音波を用いて物体(障害物など)を検知するものであり、その音波が物体に反射して戻ってくるまでの時間に基づいて、その物体との距離を測定する。
【0023】
カメラ30は、被写体(障害物など)の画像を撮像してデジタル画像データとして出力するデジタルカメラである。カメラ30は、装置本体11の正面かつ表示パネル21の上側に設けられており、走行装置10の正面方向の所定エリア(視界)を撮像する。カメラ30により撮像された撮像画像の画像データは、制御部40に送信される。
【0024】
装置本体11の両側面それぞれには、サイドレーザセンサ45が設けられている。サイドレーザセンサ45は、フロントレーザセンサ41と概ね同様に構成されており、レーザ発信素子、レーザ発信素子を駆動するレーザドライバ、受光素子、受光素子の出力をデジタル信号に変換する受光処理回路などを備えている。サイドレーザセンサ45は、制御部40に接続されており、制御部40によって制御される。サイドレーザセンサ45は、前方から下方そして後方へ向けて所定の走査角(例えば180度)の範囲内でレーザ光を走査する。サイドレーザセンサ45が、照射された物体(障害物など)で反射して戻って来たレーザ光を受光すると、制御部40は、前記レーザ光が戻ってくるまでの時間を測定し、その測定値に基づいて各走査位置における物体までの距離を算出する。これにより、制御部40は、走行装置10の正面側(進行方向側)に存在する障害物や、床面に存在する段差や障害物までの距離や位置、それらの走査方向における形状やサイズを把握することができる。
【0025】
操作部20(図2参照)は、装置本体11の背面の上部に設けられている。操作部20は、外装カバー11Aに取り付けられている。操作部20は、走行装置10のユーザーよって操作される装置であり、例えば、タッチ操作が可能なタッチパネルを有する装置である。操作部20には、ユーザーが各種操作(ティーチング操作、登録操作、設定操作、走行指示操作など)を行うための操作画面が表示される。操作部20に対する操作情報は、制御部40に転送され、制御部40による走行制御に用いられる。なお、操作部20は、装置本体11の上面(天板)に設けられてもよい。
【0026】
表示パネル21は、装置本体11の前面に設けられている。表示パネル21は、例えば液晶パネルである。表示パネル21には、各種の案内情報が制御部40によって表示される。前記案内情報は、例えば、ショッピングモール内の商品の広告情報、ショッピングモール内の店舗情報、施設内の利用者への警告情報などである。
【0027】
操作ハンドル22は、装置本体11の背面の最上部に設けられている。操作ハンドル22は、外装カバー11Aに取り付けられている。操作ハンドル22は、ユーザーが走行装置10に目標経路を教示させるためのティーチング操作(教示操作)を行う場合に、ユーザーが把持する操作部材である。操作ハンドル22には、ユーザーから運転操作を受け付ける各種操作ボタン(走行ボタン、後退ボタン、左旋回ボタン、右旋回ボタンなど)が設けられている。前記操作ボタンに対する操作情報は、制御部40に転送され、制御部40による走行制御に用いられる。
【0028】
通信部25(図2参照)は、走行装置10を有線又は無線でネットワークに接続し、当該ネットワークを介してサーバ(不図示)などの外部機器との間で所定の通信プロトコルに従ったデータ通信を実行するための通信インターフェースである。
【0029】
記憶部50(図2参照)は、各種の情報を記憶するHDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)などの不揮発性の記憶部である。具体的に、記憶部50には、地図情報51、経路情報52などのデータが記憶される。図3は地図情報51の一例を示す図である。図4は経路情報52の一例を示す図である。
【0030】
図3に示すように、地図情報51には、走行装置10が走行する走行エリアに対応する環境地図の情報が登録される。地図情報51には、1又は複数の環境地図が登録される。図3には、一つの環境地図M1を例示している。例えば、施設のフロアごとに環境地図が生成される場合、地図情報51には、施設のフロアのそれぞれに対応する複数の環境地図が登録される。具体的には、地図情報51に、施設のフロアF1の環境地図M1と、フロアF2の環境地図M2と、フロアF3の環境地図M3とが登録される。前記環境地図は、外部機器において予め生成されたものであってもよいし、走行装置10が走行しながら各センサ(フロントレーザセンサ41と、ソナーセンサ42など)により検出される障害物までの距離及び位置に基づいて生成されたものであってもよい。すなわち、制御部40は、走行装置10を走行させることによって走行エリアの環境地図を生成してもよい。以下では、図3に示す環境地図M1を例に挙げて説明する。
【0031】
図4に示すように、経路情報52には、ユーザーによる前記ティーチング操作に基づいて生成される目標経路の情報が登録される。具体的には、経路情報52には、目標経路ごとに、「経路ID」、「経路名」、「位置情報」などの情報が登録される。制御部40は、ユーザーによる前記ティーチング操作に基づいて目標経路を生成し、生成した目標経路の情報を経路情報52に登録する。「経路ID」は、目標経路の識別情報であり、「経路名」は、目標経路の名称である。「位置情報」は、目標経路の位置(座標)を示す情報である。例えば一つの目標経路の走行開始位置から目的位置(走行終了位置)までの座標情報が、当該目標経路の前記位置情報に登録される。
【0032】
図5には、目標経路R1の一例を示している。図5に示す目標経路R1は、走行開始位置S1から直進経路R11と直進経路R12とを経由して目的位置G1に到達する経路である。なお、目標経路R1は、経路情報52の経路ID「0001」に対応する(図4参照)。
【0033】
また、経路情報52には、制御部40により生成される回避経路の情報が登録される。図4の経路情報52に含まれる経路名「R1a」、「R2a」は、前記回避経路の一例を示している。前記回避経路の具体例は後述する。
【0034】
他の実施形態として、地図情報51、経路情報52などの情報の一部又は全部が、走行装置10からネットワークを介してアクセス可能なサーバーに記憶されてもよい。
【0035】
さらに、記憶部50には、制御部40に後述の走行処理(図15参照)を実行させるための走行プログラムなどの制御プログラムが記憶されている。例えば、前記走行プログラムは、CD又はDVDなどのコンピュータ読取可能な記録媒体に非一時的に記録されており、走行装置10が備えるCDドライブ又はDVDドライブなどの読取装置(不図示)で読み取られて記憶部50に記憶される。
【0036】
制御部40は、装置本体11の上部に設けられている。制御部40は、CPU、ROM、及びRAMなどの制御機器を有する。前記CPUは、各種の演算処理を実行するプロセッサである。前記ROMは、前記CPUに各種の演算処理を実行させるためのBIOS及びOSなどの制御プログラムが予め記憶される不揮発性の記憶部である。前記RAMは、各種の情報を記憶する揮発性又は不揮発性の記憶部であり、前記CPUが実行する各種の処理の一時記憶メモリー(作業領域)として使用される。そして、制御部40は、前記ROM又は記憶部50に予め記憶された各種の制御プログラムを前記CPUで実行することにより走行装置10を制御する。
【0037】
具体的に、制御部40は、図2に示すように、走行処理部411、検出処理部412、停止処理部413、生成処理部414、設定処理部415などの各種の処理部を含む。なお、制御部40は、前記CPUで前記走行プログラムに従った各種の処理を実行することによって前記各種の処理部として機能する。また、一部又は全部の前記処理部が電子回路で構成されていてもよい。なお、前記走行プログラムは、複数のプロセッサを前記処理部として機能させるためのプログラムであってもよい。
【0038】
走行処理部411は、制御部40において生成される前記目標経路に基づいて走行装置10を自律走行させる。具体的には、走行処理部411は、前記目標経路に応じた駆動信号をモータに出力して走行部12を駆動させることにより走行装置10を前記目標経路に従って自律走行させる。例えば、走行指示画面(不図示)においてユーザーが所望の目標経路を選択すると、走行処理部411は、当該目標経路に従って走行装置10を自律走行させる。また、ユーザーが走行スケジュールを予め設定していた場合には、走行処理部411は、当該走行スケジュールに基づいて走行装置10を自律走行させる。
【0039】
例えば、ユーザーにより目標経路R1(図5参照)が選択された場合に、走行処理部411は、走行開始位置S1において走行装置10の自律走行を開始する。走行処理部411は、走行装置10を、走行開始位置S1から直進経路R11に従って直進走行させ、続いて直進経路R12を直進走行させる。走行装置10が目的位置G1に到着すると、走行処理部411は、走行装置10の自律走行を終了する。
【0040】
検出処理部412は、走行装置10が前記目標経路を走行中に、前記目標経路上の障害物を検出する。前記障害物には、前記目標経路の通路にいる人(施設の利用者、施設のスタッフなど)、前記目標経路の通路に置かれた物体(商品、資材、カートなど)などが含まれる。検出処理部412は、フロントレーザセンサ41、ソナーセンサ42、及びサイドレーザセンサ45などのセンサ信号(検出信号)に基づいて、前記目標経路上の障害物を検出する。また、検出処理部412は、前記目標経路上の障害物が存在するか否かを判定する。例えば、検出処理部412は、走行装置10が前記目標経路に沿って走行することを妨げられる対象物を検出し、走行装置10から当該対象物までの距離が所定距離以下の場合に、当該対象物を障害物として検出する。このため、走行装置10が前記目標経路に沿って走行することを妨げない、すなわち、走行装置10の自律走行に支障のない対象物を検出した場合には、検出処理部412は、当該対象物を障害物として検出しない。
【0041】
図6には、走行装置10が目標経路R1に従って自律走行中の様子を示している。図6に示す例では、目標経路R1(直進経路R12)上に人物Aが存在しており、走行装置10の自律走行を妨げている。この場合は、検出処理部412は、人物Aを障害物として検出する。
【0042】
停止処理部413は、検出処理部412により前記障害物が検出された場合に、走行装置10の走行を停止させる。図6に示す例では、停止処理部413は、検出処理部412が人物A(障害物)を検出した場合に、走行装置10の自律走行を停止させる。図6の符号P1は、走行装置10の停止位置を示している。なお、停止位置P1は、検出処理部412が人物Aを検出した時点の走行装置10の現在位置であってもよいし、検出処理部412が人物Aを検出した時点の走行装置10の現在位置よりも目的位置G1に近い位置であってもよい。また、停止処理部413は、走行装置10を停止させる際に、停止情報(音声アナウンス、ブザー音など)を報知してもよいし、停止情報を表示パネル21に表示させてもよい。
【0043】
生成処理部414は、検出処理部412により前記障害物が検出された場合に、走行装置10の停止位置から目的位置までの回避経路を生成する。例えば、検出処理部412が人物A(障害物)を検出した場合に(図6参照)、生成処理部414は、図7に示すように、走行装置10の停止位置P1から目的位置G1までの回避経路R1aを生成する。図7に示す回避経路R1aは、停止位置P1から直進経路R11aと直進経路R12aと直進経路R13aと直進経路R14aと直進経路R15aとを経由して目的位置G1に到達する経路である。前記回避経路は、前記停止位置と前記目的位置とを接続する経路であって、前記目標経路とは異なる経路である。前記回避経路は、1つの経路パターンであってもよいし複数の経路パターンであってもよい。
【0044】
生成処理部414は、前記回避経路を生成すると前記回避経路の経路情報を経路情報52(図4参照)に登録する。図4の経路情報52に含まれる経路名「R1a」は回避経路R1aに相当し、経路名「R2a」は回避経路R2aに相当する。
【0045】
ここで、例えば図6に示すように、走行装置10は、人物A(障害物)を検出すると停止位置P1で停止する。この場合に、人物Aがすぐに移動すると走行装置10は少ない待機時間で走行を再開することができるが、人物Aが長時間その場から移動しない場合には走行装置10は停止位置P1で長時間待機しなければならなくなる。そこで、予め待機時間を設定して、待機時間が経過してもなお障害物が存在する場合は走行装置10を回避経路に沿った走行を開始させることが考えられる。しかし、従来のように、前記待機時間を一定時間に固定した場合には、前記待機時間が回避経路を走行した場合の所要走行時間よりも長くなったり、前記待機時間が短過ぎて回避走行の頻度が多くなったりして、走行装置10の走行効率が低下する問題が生じる。
【0046】
そこで、本実施形態では、設定処理部415は、例えば回避経路に関する回避経路情報に基づいて走行装置10の待機時間を設定する。具体的には、設定処理部415は、前記回避経路の長さに応じて前記待機時間を設定する。例えば図7に示す例において、設定処理部415は、目標経路R1における停止位置P1から目的位置G1までの距離(残り距離)と、回避経路R1aにおける停止位置P1から目的位置G1までの距離(回避距離)との差(距離差)に応じて、前記待機時間を設定する。なお、図7に示す例の前記回避距離は、直進経路R11a、直進経路R12a、直進経路R13a、直進経路R14a、及び直進経路R15aのそれぞれの距離の合計値である。
【0047】
例えば、設定処理部415は、前記距離差が大きいほど前記待機時間を長く設定する。図8には、施設のフロアF2の環境地図M2を示している。図8に示す目標経路R2は、走行開始位置S2から直進経路R21と直進経路R22とを経由して目的位置G2に到達する経路である。図9に示すように、目標経路R2(直進経路R22)上に人物Aが存在しており、検出処理部412が人物A(障害物)を検出した場合に、停止処理部413は、走行装置10の自律走行を停止させる。また、生成処理部414は、図10に示すように、走行装置10の停止位置P2から目的位置G2までの回避経路R2aを生成する。図10に示す回避経路R2aは、停止位置P2から直進経路R21aと直進経路R22aと直進経路R23aと直進経路R24aとを経由して目的位置G2に到達する経路である。なお、図10に示す例の前記回避距離は、直進経路R21a、直進経路R22a、直進経路R23a、及び直進経路R24aのそれぞれの距離の合計値である。
【0048】
図7に示す例と図10に示す例とを比較すると、図7に示す回避経路R1aに対応する前記距離差が、図10に示す回避経路R2aに対応する前記距離差よりも大きくなる。この場合、設定処理部415は、図7に示すケースにおける前記待機時間を、図10に示すケースにおける前記待機時間よりも長く設定する。
【0049】
このように、設定処理部415は、回避経路を走行すると目的位置に到着するまでの時間(所要走行時間)が長くかかる場合には待機時間を長く設定する。これにより、走行装置10を、回避走行に移行し難くして、目標経路を走行させ易くする。一方、設定処理部415は、回避経路を走行しても目的位置に到着するまでの時間(所要走行時間)が短くて済む場合には待機時間を短く設定する。これにより、走行装置10を、回避走行に移行し易くする。
【0050】
設定処理部415が前記待機時間を設定すると、制御部40は、前記待機時間の計測を開始する。また、制御部40が前記待機時間の計測を開始した後に、検出処理部412が障害物を検出しなくなった場合に、走行処理部411は目標経路の走行を再開する。例えば、図6に示す例において、検出処理部412が人物Aを検出して、制御部40が前記待機時間の計測を開始した後に、人物Aが移動したことにより検出処理部412が人物Aを検出しなくなった場合に、走行処理部411は、走行装置10を目的位置G1に向けて目標経路R1(直進経路R12)に従って自律走行させる。同様に、例えば、図9に示す例において、検出処理部412が人物Aを検出して、制御部40が前記待機時間の計測を開始した後に、人物Aが移動したことにより検出処理部412が人物Aを検出しなくなった場合に、走行処理部411は、走行装置10を目的位置G2に向けて目標経路R2(直進経路R22)に従って自律走行させる。
【0051】
これに対して、制御部40が前記待機時間の計測を開始して、検出処理部412が障害物を検出した状態で前記待機時間が経過した場合に、走行処理部411は、回避経路を走行させる。例えば、図7に示す例において、検出処理部412が人物Aを検出して、制御部40が前記待機時間の計測を開始した後に、人物Aが移動しないことにより検出処理部412が人物Aを検出し続けて前記待機時間が経過した場合に、走行処理部411は、走行装置10を目的位置G1に向けて回避経路R1aに従って自律走行させる。同様に、例えば、図10に示す例において、検出処理部412が人物Aを検出して、制御部40が前記待機時間の計測を開始した後に、人物Aが移動しないことにより検出処理部412が人物Aを検出し続けて前記待機時間が経過した場合に、走行処理部411は、走行装置10を目的位置G2に向けて回避経路R2aに従って自律走行させる。
【0052】
[前記待機時間の他の設定方法]
前記待機時間の設定方法は、前記距離差に応じて前記待機時間を設定する方法に限定されず、以下に示す各設定方法であってもよい。
【0053】
例えば、設定処理部415は、前記回避経路の通路幅に応じて前記待機時間を設定してもよい。図11には、図7に示す回避経路R1aと同じ距離の回避経路R1aを示している。図11に示す環境地図M1では、回避経路R1aの通路幅Lが、図7に示す環境地図M1の回避経路R1aの通路幅よりも広くなっている。走行装置10が、図11に示す回避経路R1aを走行する場合において、例えば回避経路R1a上に障害物が存在する場合には、走行装置10は通路幅Lが広いため障害物を避けて走行できる可能性が高くなる。一方、走行装置10が、図7に示す回避経路R1aを走行する場合において、例えば回避経路R1a上に障害物が存在する場合には、走行装置10は通路幅が狭いため障害物を避けて走行できず当該障害物を検出した場所で再度待機する可能性が高くなる。
【0054】
そこで、設定処理部415は、前記回避経路の通路幅が広いほど前記待機時間を短く設定し、前記回避経路の通路幅が狭いほど前記待機時間を長く設定する。図11に示すケースでは、設定処理部415は、図7に示すケースよりも前記待機時間を短く設定する。例えば、設定処理部415は、前記待機時間を算出する算出式に入力する前記回避経路の合計距離に所定の係数を掛ける。なお、前記算出式では、前記合計距離が長いほど前記待機時間が長くなり、前記合計距離が短いほど前記待機時間が短くなる。具体的には、設定処理部415は、前記回避経路の通路幅が広いほど前記係数を小さい値に設定し、前記回避経路の通路幅が狭いほど係数を大きい値に設定する。例えば、設定処理部415は、図11に示すケースでは前記係数を「0.8」に設定し、図7に示すケースでは前記係数を「1.2」に設定する。これにより、図11に示すケースでは、走行装置10は回避走行に移行し易くなり、図7に示すケースでは、走行装置10は回避走行に移行し難くなる。
【0055】
さらに他の例として、設定処理部415は、前記障害物の種別に応じて前記待機時間を設定してもよい。具体的には、設定処理部415は、カメラ30の撮像画像に基づいて、前記障害物の種別を判定する。例えば、設定処理部415は、前記撮像画像に基づいて、前記障害物が人であるか又は物であるかを判定する。そして、設定処理部415は、前記障害物が人であると判定した場合は、目標経路が短時間で走行可能になる可能性が高いため、前記障害物が物であると判定した場合よりも前記待機時間を長く設定する。また、設定処理部415は、前記障害物が移動することができない物又はすぐには移動が困難な物であると判定した場合に、前記待機時間を「0」(待機無し)に設定してもよい。前記待機時間を「0」に設定した場合には、走行処理部411は、検出処理部412が前記障害物を検出した直後に走行装置10を回避走行させる。
【0056】
さらに他の例として、設定処理部415は、前記障害物の動作状況に応じて前記待機時間を設定してもよい。例えば、設定処理部415は、前記撮像画像に基づいて、人の行動を識別する。例えば、ショッピングモールにおいて買物客が商品棚の商品を探している場合、買物客が立ち話をしている場合、買物客が商品棚から商品を取ってカゴに投入している場合、買物客が商品棚とは異なる方向を向いている場合など、設定処理部415は、当該買物客のそれぞれの行動を識別する。
【0057】
設定処理部415は、前記障害物が移動する見込みが低い動作状況(行動)であると判定すると、前記待機時間を短く設定し、前記障害物が移動する見込みが高い動作状況(行動)であると判定すると、前記待機時間を長く設定する。例えば、買物客が商品棚の商品を探している場合、又は、買物客が立ち話をしている場合には、買物客がその場から移動する見込みが低いため、設定処理部415は、前記待機時間を短く設定して回避走行に移行し易くする。例えば、設定処理部415は、前記回避経路の合計距離に掛ける前記係数を小さい値に設定する。一方、買物客が商品棚から商品を取ってカゴに投入している場合、又は、買物客が商品棚とは異なる方向を向いている場合には、買物客がその場から移動する見込みが高いため、設定処理部415は、前記待機時間を長く設定して目標経路を走行し易くする。例えば、設定処理部415は、前記回避経路の合計距離に掛ける係数を大きい値に設定する。
【0058】
さらに他の例として、設定処理部415は、前記障害物の数に応じて前記待機時間を設定してもよい。例えば、前記目標経路上に存在する前記障害物の数が多いほど、走行装置10が前記目標経路を走行できる可能性が低くなる。図12に示す例では、目標経路R1上に2人の人物A及び人物Bが存在する。この場合、走行装置10は、2人の人物A及び人物Bが移動しないと目標経路R1を走行することができない。また、目標経路R1上に存在する人物が1人の場合(図6参照)と、目標経路R1上に存在する人物が2人の場合(図12参照)とを比較すると、目標経路R1上に存在する人物が2人の場合の方が、目標経路R1が走行可能になるまでの時間が長くなる可能性が高い。
【0059】
そこで、設定処理部415は、目標経路R1上に存在する人物が2人の場合(図12参照)の待機時間を、目標経路R1上に存在する人物が1人の場合(図6参照)の待機時間よりも短く設定する。このように、設定処理部415は、目標経路上の障害物の数が多いほど走行装置10が回避走行に移行し易くなるように前記待機時間を短く設定する。すなわち、設定処理部415は、目標経路上の障害物の数が多いほど待機時間を短く設定する。なお、設定処理部415は、目標経路R1上に存在する人物が1人の場合(図6参照)の待機時間に対して、目標経路R1上に存在する人物の数に応じた係数(1未満の係数)を掛けて待機時間を算出してもよい。
【0060】
さらに他の例として、設定処理部415は、走行装置10の停止位置P1においてカメラ30の視界に前記目的位置が含まれる場合に第1待機時間を設定し、停止位置P1においてカメラ30の視界に前記目的位置が含まれない場合に前記第1待機時間よりも短い第2待機時間を設定してもよい。例えば、図13に示す例では、走行装置10は、カメラ30の撮像画像により、停止位置P1と目的位置G1との間に1人の人物Aが存在することを把握することができるため、人物Aが移動すれば目標経路R1(直進経路R13)を走行可能になることが分かる。この場合、走行装置10は、回避経路R1aを走行するよりも人物Aが移動するまで待機することが妥当である。
【0061】
一方、図14に示す例では、走行装置10は、カメラ30の撮像画像により、直進経路R13上に1人の人物Aが存在することを把握できるが、直進経路R14上に障害物が存在するか否かを把握することができない。このため、目標経路R1(直進経路R13)上の人物Aが移動しても目標経路R1を走行できない可能性がある。
【0062】
そこで、設定処理部415は、停止位置P1においてカメラ30の視界に前記目的位置が含まれる場合には、走行装置10が回避走行に移行し難くなるように前記待機時間を長く設定し、停止位置P1においてカメラ30の視界に前記目的位置が含まれない場合には、走行装置10が回避走行に移行し易くなるように前記待機時間を短く設定する。なお、設定処理部415は、停止位置P1においてカメラ30の視界に前記目的位置が含まれる場合(図13参照)の待機時間を、停止位置P1においてカメラ30の視界に前記目的位置が含まれない場合(図14参照)の待機時間に所定の係数(1より大きい係数)を掛けて算出してもよい。
【0063】
以上のように、設定処理部415は、前記障害物に関する障害物情報に基づいて、走行装置10を前記停止位置に待機させる待機時間を設定してもよい。また、設定処理部415は、上述した各設定方法を適宜組み合わせて前記待機時間を設定してもよい。すなわち、本発明において、設定処理部415は、前記回避経路に関する回避経路情報及び前記障害物に関する障害物情報の少なくともいずれかに基づいて、走行装置10を前記停止位置に待機させる待機時間を設定する。
【0064】
[走行処理]
以下、図15を参照しつつ、走行装置10において実行される走行処理について説明する。具体的に、本実施形態では、走行装置10の制御部40によって前記走行処理が実行される。
【0065】
なお、本発明は、前記走行処理に含まれる一又は複数のステップを実行する走行方法の発明として捉えることができる。また、ここで説明する前記走行処理に含まれる一又は複数のステップは適宜省略されてもよい。なお、前記走行処理における各ステップは同様の作用効果を生じる範囲で実行順序が異なってもよい。さらに、ここでは制御部40によって前記走行処理における各ステップが実行される場合を例に挙げて説明するが、複数のプロセッサによって当該走行処理における各ステップが分散して実行される走行方法も他の実施形態として考えられる。
【0066】
まず、ステップS11において、制御部40は、走行装置10のユーザーから走行開始指示を受け付けたか否かを判定する。具体的には、制御部40は、操作部20において、ユーザーから目標経路の選択操作及び走行開始指示の選択操作を受け付けたか否かを判定する。制御部40は、前記走行開始指示を受け付けたと判定すると(S11:Yes)、処理をステップS12に移行させる。制御部40は、前記走行開始指示を受け付けるまで待機する(S11:No)。
【0067】
ステップS12において、制御部40は、前記目標経路の走行を開始する。例えば、制御部40は、走行装置10を図5に示す目標経路R1に従って自律走行を開始させる。
【0068】
次にステップS13において、制御部40は、障害物を検出したか否かを判定する。具体的には、制御部40は、フロントレーザセンサ41、ソナーセンサ42、及びサイドレーザセンサ45などのセンサ信号(検出信号)に基づいて、目標経路R1上の障害物(人、物体など)を検出する。制御部40は、前記障害物を検出した場合(S13:Yes)、処理をステップS14に移行させる。一方、制御部40は、前記障害物を検出しない場合(S13:No)、処理をステップS20に移行させる。
【0069】
ステップS14において、制御部40は、走行装置10の走行を停止させる。例えば図5に示すように、制御部40は、目標経路R1上に人物Aを検出すると、所定の位置(停止位置P1)で走行装置10を停止させる。
【0070】
次にステップS15において、制御部40は、走行装置10の停止位置から目的位置までの回避経路を生成する。例えば、図7に示すように、制御部40は、停止位置P1から直進経路R11aと直進経路R12aと直進経路R13aと直進経路R14aと直進経路R15aとを経由して目的位置G1に到達する回避経路R1aを生成する。
【0071】
次にステップS16において、制御部40は、走行装置10を前記停止位置に待機させる待機時間を設定する。具体的には、制御部40は、前記回避経路に関する回避経路情報及び前記障害物に関する障害物情報の少なくともいずれかに基づいて、前記待機時間を設定する。
【0072】
例えば、制御部40は、前記回避経路の長さに応じて前記待機時間を設定する(図7及び図10参照)。また例えば、制御部40は、前記回避経路の通路幅Lに応じて前記待機時間を設定する(図11参照)。また例えば、制御部40は、前記障害物の種別(人、物など)に応じて前記待機時間を設定する。また例えば、制御部40は、前記障害物の動作状況(人の行動パターン)に応じて前記待機時間を設定する。また例えば、制御部40は、前記目標経路上に存在する前記障害物の数に応じて前記待機時間を設定する(図12参照)。また例えば、制御部40は、前記停止位置におけるカメラ30の視界に前記目的位置が含まれるか否かに基づいて前記待機時間を設定する(図13及び図14参照)。
【0073】
制御部40は、上述した各設定方法を適宜組み合わせて前記待機時間を設定してもよい。
【0074】
次にステップS17において、制御部40は、前記待機時間の計測を開始する。すなわち、制御部40は、目標経路上に障害物を検出すると、前記待機時間の計測を開始する。
【0075】
次にステップS18において、制御部40は、前記障害物を検出しなくなったか否かを判定する。すなわち、制御部40は、目標経路上に検出した前記障害物が目標経路から移動したか否かを判定する。制御部40は、前記障害物を検出しなくなった場合(S18:Yes)、処理をステップS19に移行させる。一方、制御部40は、前記障害物を継続して検出している場合(S18:No)、処理をステップS181に移行させる。
【0076】
ステップS181では、制御部40は、前記待機時間が経過したか否かを判定する。制御部40は、前記待機時間が経過したと判定すると(S181:Yes)、処理をステップS182に移行させる。一方、制御部40は、前記待機時間が経過していないと判定すると(S181:No)、処理をステップS18に戻す。
【0077】
このように、制御部40は、前記待機時間が経過するまで、前記障害物が前記目標経路上に存在するか否かを判定し続ける。
【0078】
制御部40は、前記待機時間が経過する前に前記障害物が存在しなくなったと判定すると(S18:Yes)、ステップS19において、前記目標経路の走行を継続する。すなわち、制御部40は、前記待機時間が経過する前に前記障害物が移動した場合には、走行装置10を前記目標経路に従って自律走行させる。
【0079】
一方、制御部40は、前記障害物を検出している状態で前記待機時間が経過した場合には(S18:No、S181:Yes)、ステップS182において、前記回避経路の走行を開始する。すなわち、制御部40は、前記障害物が移動しないまま前記待機時間が経過した場合には、走行装置10を回避走行させる。
【0080】
ステップS19又はステップS182の後、制御部40は、ステップS20において、走行装置10が前記目的位置に到着したか否かを判定する。制御部40は、走行装置10が前記目的位置に到着したと判定すると(S20:Yes)、処理をステップS21に移行させる。一方、制御部40は、走行装置10が前記目的位置に到着していないと判定すると(S20:No)、処理をステップS13に移行させる。
【0081】
ステップS21では、制御部40は、走行装置10を停止させる。すなわち、制御部40は、選択された目標経路に対応する自律走行を終了する。制御部40は、走行装置10が前記目的位置に到着するまで、上述のステップS13~S20の処理を繰り返し実行する。
【0082】
以上説明したように、本実施形態に係る走行システムは、走行装置10が目標経路を走行中に、前記目標経路上の障害物を検出し、前記障害物を検出した場合に、走行装置10の走行を停止させる。また、走行システムは、前記障害物を検出した場合に、走行装置10の停止位置から目的位置までの回避経路を生成し、前記回避経路に関する回避経路情報及び前記障害物に関する障害物情報の少なくともいずれかに基づいて、走行装置10を前記停止位置に待機させる待機時間を設定する。そして、走行システムは、前記待機時間が経過する前に前記障害物を検出しなくなった場合に、走行装置10を前記目標経路に従って前記停止位置から前記目的位置まで走行させ、前記障害物を検出した状態で前記待機時間が経過した場合に、走行装置10を前記回避経路に従って前記停止位置から前記目的位置まで走行させる。
【0083】
上記構成によれば、目標経路上の障害物を検出した場合に、走行装置10を一時停止させて適切な時間だけ待機させることができる。このため、走行装置10が前記停止位置において必要以上に待機したり、前記障害物が移動する可能性が高いにもかかわらず直ぐに回避走行に移行してしまったりすることを防ぐことができる。また、前記待機時間を固定値ではなく、回避経路情報(回避経路の長さ、通路幅など)、障害物情報(障害物の種別、動作状況、数、位置など)の条件に基づいて個別に設定することにより、目的位置により早く到達することができる。よって、走行装置10の走行効率の低下を抑えることが可能となる。
【0084】
上述した実施形態では、走行装置10単体が本発明に係る走行システムに相当するが、本発明に係る走行システムは、走行装置10及びサーバ(情報処理装置)のうち一又は複数の構成要素を含むものであってもよい。例えば、走行装置10及びサーバーのうち複数の構成要素が協働して前記走行処理(図15参照)を分担して実行する場合には、その処理を実行する複数の構成要素を含むシステムを本発明に係る走行システムとして捉えることが可能である。例えば、前記サーバー単体が本発明に係る走行システムを構成してもよい。具体的には、前記サーバーが、図2に示す制御部40の各処理部(走行処理部411、検出処理部412、停止処理部413、生成処理部414、設定処理部415)を備え、走行装置10を制御してもよい。
【0085】
[発明の付記]
以下、上述の実施形態から抽出される発明の概要について付記する。なお、以下の付記で説明する各構成及び各処理機能は取捨選択して任意に組み合わせることが可能である。
【0086】
<付記1>
目標経路に従って走行装置を目的位置まで走行させる走行システムであって、
前記走行装置が前記目標経路を走行中に、前記目標経路上の障害物を検出する検出処理部と、
前記検出処理部により前記障害物が検出された場合に、前記走行装置の走行を停止させる停止処理部と、
前記検出処理部により前記障害物が検出された場合に、前記走行装置の停止位置から前記目的位置までの回避経路を生成する生成処理部と、
前記回避経路に関する回避経路情報及び前記障害物に関する障害物情報の少なくともいずれかに基づいて、前記走行装置を前記停止位置に待機させる待機時間を設定する設定処理部と、
前記待機時間が経過する前に前記検出処理部が前記障害物を検出しなくなった場合に、前記走行装置を前記目標経路に従って前記停止位置から前記目的位置まで走行させ、前記検出処理部が前記障害物を検出した状態で前記待機時間が経過した場合に、前記走行装置を前記回避経路に従って前記停止位置から前記目的位置まで走行させる走行処理部と、
を備える走行システム。
【0087】
<付記2>
前記設定処理部は、前記回避経路の長さに応じて前記待機時間を設定する、
付記1に記載の走行システム。
【0088】
<付記3>
前記設定処理部は、前記目標経路における前記停止位置から前記目的位置までの距離と、前記回避経路における前記停止位置から前記目的位置までの距離との差に応じて、前記待機時間を設定する、
付記2に記載の走行システム。
【0089】
<付記4>
前記設定処理部は、前記差が大きいほど前記待機時間を長く設定する、
付記3に記載の走行システム。
【0090】
<付記5>
前記設定処理部は、前記回避経路の通路幅に応じて前記待機時間を設定する、
付記1~4のいずれかに記載の走行システム。
【0091】
<付記6>
前記設定処理部は、前記回避経路の通路幅が広いほど前記待機時間を短く設定する、
付記5に記載の走行システム。
【0092】
<付記7>
前記設定処理部は、前記障害物の種別に応じて前記待機時間を設定する、
付記1~6のいずれかに記載の走行システム。
【0093】
<付記8>
前記設定処理部は、前記障害物の動作状況に応じて前記待機時間を設定する、
付記1~7のいずれかに記載の走行システム。
【0094】
<付記9>
前記設定処理部は、前記障害物の数に応じて前記待機時間を設定する、
付記1~8のいずれかに記載の走行システム。
【0095】
<付記10>
前記設定処理部は、前記障害物の数が多いほど前記待機時間を短く設定する、
付記9に記載の走行システム。
【0096】
<付記11>
前記設定処理部は、前記停止位置において前記走行装置のカメラの視界に前記目的位置が含まれる場合に第1待機時間を設定し、前記停止位置において前記走行装置のカメラの視界に前記目的位置が含まれない場合に前記第1待機時間よりも短い第2待機時間を設定し、
付記1~10のいずれかに記載の走行システム。
【符号の説明】
【0097】
10 :走行装置
30 :カメラ
40 :制御部
41 :フロントレーザセンサ
42 :ソナーセンサ
45 :サイドレーザセンサ
50 :記憶部
51 :地図情報
52 :経路情報
411 :走行処理部
412 :検出処理部
413 :停止処理部
414 :生成処理部
415 :設定処理部
P1 :停止位置
R1 :目標経路
R1a :回避経路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
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図15