(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2026-04-14
(45)【発行日】2026-04-22
(54)【発明の名称】ポリオレフィン系樹脂発泡体
(51)【国際特許分類】
C08J 9/04 20060101AFI20260415BHJP
C08K 3/26 20060101ALI20260415BHJP
C08K 11/00 20060101ALI20260415BHJP
C08L 23/02 20250101ALI20260415BHJP
【FI】
C08J9/04 103 CES
C08K3/26
C08K11/00
C08L23/02
(21)【出願番号】P 2024509973
(86)(22)【出願日】2023-03-08
(86)【国際出願番号】 JP2023008803
(87)【国際公開番号】W WO2023181942
(87)【国際公開日】2023-09-28
【審査請求日】2024-06-13
(31)【優先権主張番号】P 2022048372
(32)【優先日】2022-03-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000119232
【氏名又は名称】株式会社イノアックコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100112874
【氏名又は名称】渡邊 薫
(72)【発明者】
【氏名】田澤 一真
(72)【発明者】
【氏名】近藤 勇史
(72)【発明者】
【氏名】橋本 直樹
【審査官】鏡 宣宏
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2017-0084588(KR,A)
【文献】特開2017-179078(JP,A)
【文献】国際公開第2011/040073(WO,A1)
【文献】国際公開第2021/192427(WO,A1)
【文献】特開2011-256260(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第112980075(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08J 9/00-9/42
C08K 3/00-13/08
C08L 1/00-101/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
平均粒径が6μm以上の卵殻粉末を40重量%以下含有する、ポリオレフィン系樹脂発泡体。
【請求項2】
平均粒径が10μm以上の卵殻粉末を含有する、
請求項1に記載のポリオレフィン系樹脂発泡体。
【請求項3】
卵殻由来のバイオマス材料を20~40重量%含有し、
密度が30~120kg/m
3である、ポリオレフィン系樹脂発泡体。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載のポリオレフィン系樹脂発泡体を備える物品であって、
前記物品が、コンクリート伸縮目地材、コンクリート型枠、家電用シール材、車両用断熱材、結露防止材、家電断熱材、雑貨、クリーナー、スポンジ、玩具、ビート板、及び浮きから選択される、物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、ポリオレフィン系樹脂発泡体に関する。より詳しくは、一定以上のバイオマス度を有するポリオレフィン系樹脂発泡体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、持続可能な社会の形成に貢献するために、食品残、家畜糞尿、下水汚泥等の廃棄物となる未利用のバイオマスを、いわゆるカーボンニュートラルな再生可能な資源として、如何に利用するかが注目されている。土木・建築分野、梱包・包装分野、車両分野、その他各種雑貨等、幅広い様々な分野で用いられている合成樹脂についても、バイオマス材料を用いる技術が開発されつつある。
【0003】
例えば、特許文献1には、高分子重合体100重量部に対して卵殻粉末5~50重量部を含む樹脂組成物が提案されている。特許文献1に記載の樹脂組成物は、食品廃棄物である卵殻をリサイクルしてプラスチックの素材として用いているため、環境に優しく、材料コスト削減が可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述の通り、合成樹脂に食品残等の廃棄物を含有させる技術が開発されつつあるが、樹脂組成物を発泡させてなる発泡体に食品残等の廃棄物を含有させると、発泡性が低下したり、機械的特性が低下したりするといった問題があり、実用化が厳しい実情があった。
【0006】
そこで、本技術では、バイオマス材料を用いているにも関わらず、品質の高いポリオレフィン系樹脂発泡体を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本技術では、まず、炭酸カルシウムを主成分とするバイオマス材料を含有する、ポリオレフィン系樹脂発泡体を提供する。
本技術に係るポリオレフィン系樹脂発泡体には、前記バイオマス材料を、50重量%以下含有させることができる。
本技術に係るポリオレフィン系樹脂発泡体に用いる前記バイオマス材料としては、卵殻及び/又は貝殻由来のバイオマス材料を用いることができる。
卵殻及び/又は貝殻由来のバイオマス材料としては、卵殻粉末及び/又は貝殻粉末を用いることができる。
この場合、前記卵殻粉末及び/又は貝殻粉末としては、平均粒径が8~200μmの卵殻粉末及び/又は貝殻粉末を用いることができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本技術を実施するための好適な形態について説明する。以下に説明する実施形態は、本技術の代表的な実施形態の一例を示したものであり、いずれの実施形態も組み合わせることが可能である。また、これらにより本技術の範囲が狭く解釈されることはない。
【0009】
1.ポリオレフィン系樹脂発泡体
本技術に係るポリオレフィン系樹脂発泡体は、炭酸カルシウムを主成分とするバイオマス材料を含有する。即ち、本技術に係るポリオレフィン系樹脂発泡体は、炭酸カルシウムを主成分とするバイオマス材料を含有する樹脂組成物の発泡体である。また、本技術に係るポリオレフィン系樹脂発泡体を製造するための樹脂組成物(以下、「本技術に係る樹脂組成物」または「前記樹脂組成物」ともいう)には、発泡剤、発泡助剤、架橋剤、架橋促進剤、及びその他目的に応じてポリオレフィン系樹脂発泡体の製造に用いることが可能な各種成分を含有させることができる。以下、各成分について詳細に説明する。
【0010】
(1)ポリオレフィン系樹脂
本技術に係るポリオレフィン系樹脂発泡体に用いることができるポリオレフィン系樹脂は、オレフィン成分単位を主成分とする樹脂である。オレフィン成分単位を主成分とする樹脂とは、オレフィン成分単位が50質量%以上含まれる樹脂である。本技術において、樹脂中のオレフィン成分単位の含有量は、好ましくは70質量%以上、より好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上であり、樹脂成分がポリオレフィン系樹脂のみから構成されていることが特に好ましい。
【0011】
本技術に用いることができるポリオレフィン系樹脂としては、例えば、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリブテン、ポリペンテン、及びオレフィン系モノマーと該オレフィン系モノマーと共重合し得るモノマーとの共重合体等が挙げられ、これらは1種または2種以上を組み合わせて用いることも可能である。
【0012】
ポリエチレン系樹脂としては、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、超低密度ポリエチレン(VLDPE)等のエチレン単独重合体;エチレン-プロピレンランダム共重合体、エチレン-プロピレンブロック共重合体、エチレン-ブテンブロック共重合体、エチレン-ブテンランダム共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体、及びエチレン-メチルメタクリレート共重合体等が挙げられる。
【0013】
ポリプロピレン系樹脂としては、アイソタクチックポリプロピレン、シンジオタクチックポリプロピレン、及びアタクチックポリプロピレン等のプロピレン単独重合体;プロピレン-エチレンランダム共重合体、プロピレン-エチレンブロック共重合体、プロピレン-ブテンランダム共重合体、プロピレン-ブテンブロック共重合体、プロピレン-エチレン-ブテン三元共重合体、プロピレン-アクリル酸共重合体、及びプロピレン-無水マレイン酸共重合体等が挙げられる。
【0014】
この中でも、本技術では、ポリエチレン系樹脂を用いることが好ましく、ポリエチレン系樹脂の中でも、低密度ポリエチレン(LDPE)、エチレン-酢酸ビニル共重合体を用いることが好ましい。
【0015】
ポリオレフィン系樹脂のメルトフローレイト(MFR)は、本技術の作用や効果を損なわない限り特に限定されない。例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)のメルトフローレイト(MFR)は、好ましくは10.0g/10min以下、より好ましくは5.0g/10min以下である。
【0016】
本技術に用いることができるポリオレフィン系樹脂の由来も特に限定されず、石油由来のポリオレフィン系樹脂に限らず、バイオマス由来のポリオレフィン系樹脂を用いることができる。後述する炭酸カルシウムを主成分とするバイオマス材料に加えて、ポリオレフィン系樹脂として、バイオマス由来のポリオレフィン系樹脂を用いることで、更に、バイオマス度を向上させることができる。
【0017】
なお、本技術において、「バイオマス由来のポリオレフィン系樹脂」とは、天然由来の樹脂成分を含むものを意味する。具体的な一例としては、天然由来エチレンに由来する成分を含む樹脂が挙げられる。天然由来エチレンは、例えば、天然原料であるサトウキビ等から得られる糖質を、酵母(例えばサッカロマイセス・セレビシエ等)等の発酵剤を用いて発酵させ、エタノールを生成し、生成されたエタノールをγアルミナ等の触媒を用いて、高温条件(例えば300℃以上)の接触反応によってエチレンに転化することで、天然由来ポリエチレンの原料である天然由来エチレンを得ることができる。
【0018】
なお、本技術に係るポリオレフィン系樹脂発泡体には、ポリオレフィン系樹脂の他に、本技術の目的や作用効果を損なわない範囲で他の樹脂やエラストマー等のポリオレフィン系樹脂以外の樹脂が含まれていてもよい。ポリオレフィン系樹脂以外の樹脂としては、例えば、ポリスチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂等の熱可塑性樹脂が挙げられる。ポリオレフィン系樹脂以外のエラストマーとしては、例えば、オレフィン系熱可塑性エラストマー、スチレン系熱可塑性エラストマー等が挙げられる。
【0019】
(2)炭酸カルシウムを主成分とするバイオマス材料
本技術に係るポリオレフィン系樹脂発泡体に用いる炭酸カルシウムを主成分とするバイオマス材料とは、炭酸カルシウムが50質量%以上含まれるバイオマス材料である。本技術において、バイオマス材料中の炭酸カルシウムの含有量は、好ましくは70質量%以上、より好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上である。
【0020】
本技術に係るポリオレフィン系樹脂発泡体に用いる前記バイオマス材料の量は、本技術の目的や作用効果を損なわない限り、自由に設定することができる。本技術では、前記樹脂組成物中の前記バイオマス材料の含有量の上限値は、例えば、50重量%以下、好ましくは40重量%以下、より好ましくは30重量%以下である。前記樹脂組成物中の前記バイオマス材料の含有量を50重量%以下とすることにより、発泡体製造時の発泡性の低下や、製造する発泡体の物性の低下を、抑制することができる。
【0021】
本技術では、前記樹脂組成物中の前記バイオマス材料の含有量の下限値は、例えば、1重量%以上、好ましくは10重量%以上、より好ましくは15重量%以上、更に好ましくは20重量%以上である。前記樹脂組成物中の前記バイオマス材料の含有量を10重量%以上とすることにより、バイオマス度を向上させ、持続可能な社会の形成に貢献することができる。
【0022】
本技術に用いる炭酸カルシウムを主成分とするバイオマス材料としては、例えば、卵殻及び/又は貝殻由来のバイオマス材料が挙げられる。卵殻とは、例えば、鳥類、爬虫類動物等の卵殻が挙げられる。また、貝殻としては、例えば、ホタテ貝、牡蠣貝、ホッキ貝等の貝殻が挙げられる。この中でも特に、本技術では、海洋由来のアルカリ成分の含有量が少ないことから卵殻であることが好ましく、食品残等の廃棄物を資源化する観点やコスト面、また、比較的不純物が少ないことから、鶏等の鳥類の卵殻を用いることがより好ましい。
【0023】
卵殻及び/又は貝殻由来のバイオマス材料としては、卵殻粉末及び/又は貝殻粉末を用いることが好ましい。粉末化することにより、樹脂成分や後述する他の成分との混練時の作業性や製造された発泡体の物性を向上させることができる。
【0024】
卵殻粉末及び/又は貝殻粉末の平均粒子径は特に限定されず、発泡体の用途や期待する物性に応じて自由に設計することができる。本技術に用いることができる卵殻粉末及び/又は貝殻粉末の平均粒子径の下限値は、例えば、6μm以上、好ましくは8μ以上、より好ましくは10μm以上、更に好ましくは13μm以上である。平均粒子径が6μm以上の卵殻粉末及び/又は貝殻粉末を用いることで、発泡体製造時の前記樹脂組成物中における分散性が向上し、また、粉砕コストの低減に貢献することができる。
【0025】
また、本技術に用いることができる卵殻粉末及び/又は貝殻粉末の平均粒子径の上限値は、例えば、200μm以下、好ましくは100μm以下、より好ましくは50μm以下、更に好ましくは40μm以下である。平均粒子径が200μm以下の卵殻粉末及び/又は貝殻粉末を用いることで、樹脂成分や後述する他の成分との混合時の作業性や製造された発泡体の物性を向上させることができる。
【0026】
なお、本技術において「平均粒子径」とは、レーザー回折法で測定した粒径分布において、累積度数50%となる粒子径(D-50)である。
【0027】
卵殻及び/又は貝殻由来のバイオマス材料は、加熱処理されたものを用いることが好ましい。加熱処理することにより、バイオマス材料中のタンパク質成分や他の不純物を除去することができるため、加熱処理された卵殻及び/又は貝殻由来のバイオマス材料を用いることで、発泡体製造時の発泡性が向上し、製造する発泡体の物性を向上させることができる。
【0028】
(3)発泡剤
本技術に係るポリオレフィン系樹脂発泡体を製造するための前記樹脂組成物には、発泡剤を含有させることができる。本技術に用いることができる発泡剤としては、本技術の目的や作用効果を損なわない限り、ポリオレフィン系樹脂発泡体に用いることができる発泡剤を、1種又は2種以上、自由に選択して用いることができる。
【0029】
本技術に用いることができる発泡剤としては、例えば、有機系又は無機系の熱分解型化学発泡剤を用いることができる。有機系発泡剤としては、アゾジカルボンアミド(ADCA)、アゾジカルボン酸金属塩(アゾジカルボン酸バリウム等)、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)等のアゾ化合物、N,N'-ジニトロソペンタメチレンテトラミン(DPT)等のニトロソ化合物、ヒドラゾジカルボンアミド、4,4’-オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、トルエンスルホニルヒドラジド(TSH)等のヒドラジン誘導体、トルエンスルホニルセミカルバジド等のセミカルバジド化合物等が挙げられる。無機系発泡剤としては、炭酸アンモニウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、亜硝酸アンモニウム、水素化ホウ素ナトリウム、無水クエン酸モノソーダ等が挙げられる。
【0030】
この中でも、本技術では、発泡剤として有機系発泡剤を用いることが好ましく、有機系発泡剤の中でも、アゾジカルボンアミド(ADCA)を用いることが好ましい。
【0031】
本技術に係るポリオレフィン系樹脂発泡体の製造に用いる発泡剤の量は、本技術の目的や効果を損なわない限り、自由に設定することができる。本技術では、前記樹脂組成物中の発泡剤の含有量の下限値は、例えば、0.5重量%以上、好ましくは1.5重量%以上、より好ましくは2.5重量%以上である。前記樹脂組成物中の樹脂成分100質量部に対する発泡剤の配合量としては、例えば、0.7質量部以上、好ましくは2.0質量部以上、より好ましくは4.0質量部以上である。前記樹脂組成物中の発泡剤の含有量を0.5重量%以上又は樹脂成分100質量部に対して0.7質量部以上とすることにより、発泡体製造時の発泡性を向上し、製造する発泡体の物性を向上させることができる。
【0032】
本技術では、前記樹脂組成物中の発泡剤の含有量の上限値は、例えば、15重量%以下、好ましくは13重量%以下、より好ましくは10重量%以下である。前記樹脂組成物中の樹脂成分100質量部に対する発泡剤の配合量としては、例えば、25質量部以下、好ましくは20質量部以下、より好ましくは15質量部以下である。前記樹脂組成物中の発泡剤の含有量を15重量%以下又は樹脂成分100質量部に対して25質量部以下とすることにより、発泡過剰による形成不良を抑制することができ、また、コスト削減に貢献することもできる。
【0033】
(4)発泡助剤
本技術に係るポリオレフィン系樹脂発泡体を製造するための前記樹脂組成物には、発泡助剤を含有させることができる。本技術に用いることができる発泡助剤としては、本技術の目的や作用効果を損なわない限り、ポリオレフィン系樹脂発泡体に用いることができる発泡助剤を、1種又は2種以上、自由に選択して用いることができる。
【0034】
本技術に用いることができる発泡助剤としては、例えば、尿素等の尿素系助剤、金属酸化物、及び脂肪酸金属塩が挙げられる。金属酸化物としては、例えば、酸化亜鉛、塩化亜鉛、酢酸亜鉛、硝酸亜鉛、酸化鉛、二塩基性亜リン酸鉛、及び三塩基性硫酸鉛が挙げられる。脂肪酸金属塩としては、例えば、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸鉛、ステアリン酸マグネシウム、及びステアリン酸カルシウムが挙げられる。この中でも、本技術では、発泡助剤として酸化亜鉛を用いることが好ましい。
【0035】
本技術に係るポリオレフィン系樹脂発泡体の製造に用いる発泡助剤の量は、本技術の目的や効果を損なわない限り、自由に設定することができる。本技術では、前記樹脂組成物中の発泡助剤の含有量の下限値は、例えば、0.05重量%以上、好ましくは0.1重量%以上、より好ましくは0.2重量%以上である。前記樹脂組成物中の樹脂成分100質量部に対する発泡助剤の配合量としては、例えば、0.1質量部以上、好ましくは0.2質量部以上、より好ましくは0.3質量部以上である。前記樹脂組成物中の発泡助剤の含有量を0.05重量%以上又は樹脂成分100質量部に対して0.1質量部以上とすることにより、発泡体製造時の発泡性を向上し、製造する発泡体の物性を向上させることができる。
【0036】
本技術では、前記樹脂組成物中の発泡助剤の含有量の上限値は、例えば、4.0重量%以下、好ましくは3.0重量%以下、より好ましくは2.5重量%以下である。前記樹脂組成物中の樹脂成分100質量部に対する発泡助剤の配合量としては、例えば、6.0質量部以下、好ましくは4.0質量部以下、より好ましくは3.5質量部以下である。ポリオレフィン系樹脂発泡体中の発泡助剤の含有量を4.0重量%以下又は樹脂成分100質量部に対して6.0質量部以下とすることにより、発泡過剰による形成不良を抑制することができ、また、コスト削減に貢献することもできる。
【0037】
(5)架橋剤
本技術に係るポリオレフィン系樹脂発泡体は、無架橋発泡体でもよいが、架橋発泡体であってもよい。本技術に係るポリオレフィン系樹脂発泡体の製造時に架橋を行うことにより、発泡前の前記組成物(混練物)の粘度を向上させて、発泡性を向上させることができる。また、製造された発泡体の物性を向上させることができる。
【0038】
本技術に係るポリオレフィン系樹脂発泡体が架橋発泡体の場合、電離性放射線照射による架橋を行うこともできるが、架橋剤を用いて化学的に架橋することもできる。本技術に用いることができる架橋剤としては、本技術の目的や作用効果を損なわない限り、ポリオレフィン系樹脂発泡体に用いることができる架橋剤を、1種又は2種以上、自由に選択して用いることができる。
【0039】
本技術に用いることができる架橋剤としては、例えば、シラン基、過酸化物、水酸基、アミド基、エステル基等の化学構造を有する架橋剤が挙げられる。この中でも、本技術では、架橋剤として、有機過酸化物を用いることが好ましい。
【0040】
有機過酸化物としては、例えば、ジクミルペルオキシド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(ベンゾイルペルオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルペルオキシ)ヘキシン-3、ジ-t-ブチルペルオキシド、ジ-t-ブチルペルオキシ-3,3,5-トリメチルシクロヘキサンおよびt-ジブチルヒドロペルオキシド等が挙げられる。この中でも、本技術では、架橋剤として、ジクミルペルオキシドを用いることが好ましい。
【0041】
本技術に係るポリオレフィン系樹脂発泡体の製造に用いる架橋剤の量は、本技術の目的や効果を損なわない限り、自由に設定することができる。本技術では、前記樹脂組成物中の架橋剤の含有量の下限値は、例えば、0.1重量%以上、好ましくは0.3重量%以上、より好ましくは0.4重量%以上である。前記樹脂組成物中の樹脂成分100質量部に対する架橋剤の配合量としては、例えば、0.2質量部以上、好ましくは0.4質量部以上、より好ましくは0.6質量部以上である。前記樹脂組成物中の架橋剤の含有量を0.1重量%以上又は樹脂成分100質量部に対して0.2質量部以上とすることにより、粘度を向上させて発泡性を向上させることができる。また、製造された発泡体の耐熱性や耐久性等の機械的特性を向上させることができる。
【0042】
本技術では、前記樹脂組成物中の架橋剤の含有量の上限値は、例えば、3.0重量%以下、好ましくは2.0重量%以下、より好ましくは1.5重量%以下である。前記樹脂組成物中の樹脂成分100質量部に対する架橋剤の配合量としては、例えば、4.0質量部以下、好ましくは3.0質量部以下、より好ましくは2.0質量部以下である。前記樹脂組成物中の架橋剤の含有量を3.0重量%以下又は樹脂成分100質量部に対して4.0質量部以下とすることにより、発泡時に裂け等が生じることを防ぎ、成形性を向上させることができる。
【0043】
(6)架橋促進剤
本技術に係るポリオレフィン系樹脂発泡体の製造時に架橋剤を用いる場合、架橋剤による架橋を促進させる目的で、架橋促進剤を用いることもできる。本技術に用いることができる架橋促進剤としては、本技術の目的や作用効果を損なわない限り、ポリオレフィン系樹脂発泡体に用いることができる架橋促進剤を、1種又は2種以上、自由に選択して用いることができる。
【0044】
本技術に用いることができる架橋促進剤としては、例えば、トリアリルトリメリテート、ジアリルフタレート、ジビニルベンゼン、トリメチロールプロパントリメタクリレート、1,9-ノナンジオールジメタクリレート、1,10-デカンジオールジメタクリレート、トリアリルイソシアヌレート、エチルビニルベンゼン、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、及び1,6-ヘキサンジオールジメタクリレート等が挙げられる。
【0045】
(7)その他
本技術に係るポリオレフィン系樹脂発泡体の製造には、本技術の目的や効果を損なわない限り、その他の成分として、ポリオレフィン系樹脂発泡体の製造に用いることができる各種成分を、目的に応じて1種又は2種以上自由に選択して用いることができる。
【0046】
本技術に係るポリオレフィン系樹脂発泡体の製造に用いることができる成分としては、例えば、無機充填剤、整泡剤、難燃剤、安定剤、可塑剤、着色剤、酸化防止剤、分散剤、紫外線吸収剤等を挙げることができる。
【0047】
(8)本技術に係るポリオレフィン系樹脂発泡体の物性
[バイオマス度]
本技術に係るポリオレフィン系樹脂発泡体のバイオマス度は、本技術の作用、効果を損なわない限り、自由に設定することができる。本技術に係るポリオレフィン系樹脂発泡体のバイオマス度の下限は、例えば5%以上、好ましくは10%以上、より好ましくは15%以上、更に好ましくは20%以上である。本技術に係るポリオレフィン系樹脂発泡体のバイオマス度は、高ければ高いほど、環境に貢献することができるため、バイオマス度の上限に制限はない。
【0048】
[密度]
本技術に係るポリオレフィン系樹脂発泡体の密度は、本技術の作用、効果を損なわない限り、自由に設定することができる。本技術に係るポリオレフィン系樹脂発泡体の密度の下限は、例えば30kg/m3以上、好ましくは40kg/m3以上、より好ましくは45kg/m3以上、更に好ましくは50kg/m3以上、特に好ましくは55kg/m3以上である。本技術に係るポリオレフィン系樹脂発泡体の密度の上限は、例えば120kg/m3以下、好ましくは115kg/m3以下、より好ましくは110kg/m3以下、更に好ましくは105kg/m3以下である。
【0049】
[25%圧縮応力]
本技術に係るポリオレフィン系樹脂発泡体の圧縮応力は、本技術の作用、効果を損なわない限り、自由に設定することができる。本技術に係るポリオレフィン系樹脂発泡体の圧縮応力の下限は、例えば60kPa以上、好ましくは65kPa以上、より好ましくは70kPa以上、更に好ましくは75kPa以上である。本技術に係るポリオレフィン系樹脂発泡体の圧縮応力の上限は、例えば300kPa以下、好ましくは290kPa以下、より好ましくは280kPa以下、更に好ましくは270kPa以下である。
【0050】
[圧縮永久歪]
本技術に係るポリオレフィン系樹脂発泡体の圧縮永久歪は、本技術の作用、効果を損なわない限り、自由に設定することができる。本技術に係るポリオレフィン系樹脂発泡体の圧縮永久歪の下限は、特に定めないが、通常は、0.5%以上である。本技術に係るポリオレフィン系樹脂発泡体の圧縮永久歪の上限は、例えば6.5%以下、好ましくは6.0%以下、より好ましくは5.5%以下、更に好ましくは5.0%以下である。
【0051】
[引っ張り強さ]
本技術に係るポリオレフィン系樹脂発泡体の引っ張り強さは、本技術の作用、効果を損なわない限り、自由に設定することができる。本技術に係るポリオレフィン系樹脂発泡体の引っ張り強さの下限は、例えば0.15MPa以上、好ましくは0.20MPa以上、より好ましくは0.25MPa以上、更に好ましくは0.30MPa以上である。本技術に係るポリオレフィン系樹脂発泡体の引っ張り強さの上限は、特に定めないが、通常は、3.00MPa以下である。
【0052】
[引張伸び]
本技術に係るポリオレフィン系樹脂発泡体の引張伸びは、本技術の作用、効果を損なわない限り、自由に設定することができる。本技術に係るポリオレフィン系樹脂発泡体の引張伸びの下限は、例えば30%以上、好ましくは50%以上、より好ましくは70%以上、更に好ましくは90%以上、特に好ましくは105%以上である。本技術に係るポリオレフィン系樹脂発泡体の引張伸びの上限は、特に定めないが、通常は、500%以下である。
【0053】
[熱収縮率]
本技術に係るポリオレフィン系樹脂発泡体の熱収縮率は、本技術の作用、効果を損なわない限り、自由に設定することができる。本技術に係るポリオレフィン系樹脂発泡体の熱収縮率の下限は、特に定めないが、通常は、0.25%以上である。本技術に係るポリオレフィン系樹脂発泡体の熱収縮率の上限は、例えば3.0%以下、好ましくは2.0%以下、より好ましくは1.5%以下、更に好ましくは1.1%以下である。なお、本技術において「熱収縮率」とは、特に記載がない限り、タテ、ヨコ、上下等の向きを限定しない熱収縮率である。
【0054】
[セル数]
本技術に係るポリオレフィン系樹脂発泡体のセル数は、本技術の作用、効果を損なわない限り、自由に設定することができる。本技術に係るポリオレフィン系樹脂発泡体のセル数の下限は、例えば55個/25mm以上、好ましくは60個/25mm以上、より好ましくは65個/25mm以上、更に好ましくは70個/25mm以上である。本技術に係るポリオレフィン系樹脂発泡体のセル数の上限は、特に定めないが、通常は、250個/25mm以下である。
【0055】
2.ポリオレフィン系樹脂発泡体の製造方法
本技術に係るポリオレフィン系樹脂発泡体は、その組成に特徴があって、その製造方法については、特に限定されない。例えば、ポリオレフィン系樹脂に発泡剤を加え、さらに必要に応じて、架橋剤やその他の添加剤を任意に加えて混合し、その後、発泡成形する方法を採用することができる。好ましくは、ポリオレフィン系樹脂発泡体の製造方法は、以下の一段ブロック発泡法、二段ブロック発泡法、化学架橋を用いた長尺発泡法、電子線架橋を用いた長尺発泡法のいずれであってもよい。
【0056】
<一段ブロック発泡法>
一段ブロック発泡法は、例えば以下の工程(1)-(2)を備える。
(1)混練工程
ポリオレフィン系樹脂、卵殻粉末、発泡剤、及び適宜必要とされる架橋剤、発泡助剤、架橋促進剤、その他の任意成分を、押出機、バンバリーミキサー、ニーダー、ロールなどの混練装置によって発泡剤の分解温度以下の温度で溶融混練し、発泡性樹脂組成物を得る。
(2)発泡工程
混練工程で得られた発泡性樹脂組成物を、金型内に充填して密封し、加圧した状態で、発泡剤及び架橋剤(架橋剤を用いる場合)の分解温度以上の温度で、所定時間加熱することにより、発泡剤及び架橋剤(架橋剤を用いる場合)の分解を進行させる。その後、金型を開いて除圧することにより、ポリオレフィン系樹脂発泡体を得る。
【0057】
<二段ブロック発泡法>
二段ブロック発泡法は、例えば以下の工程(1)-(3)を備える。
(1)混練工程
ポリオレフィン系樹脂、卵殻粉末、発泡剤、及び適宜必要とされる架橋剤、発泡助剤、架橋促進剤、その他の任意成分を、押出機、バンバリーミキサー、ニーダー、ロールなどの混練装置によって発泡剤の分解温度以下の温度で溶融混練し、発泡性樹脂組成物を得る。
(2)一次発泡工程
混練工程で得られた発泡性樹脂組成物を、一次金型の成形空間に充填し、加圧下で加熱する。これにより発泡剤の一部、及び架橋剤(架橋剤を用いる場合)の一部又は全部を分解させる。その後除圧し、発泡性樹脂組成物中間体を取り出す。加熱温度は、通常130-150℃、加熱時間は通常25-50分の範囲で決定される。
(3)二次発泡工程
一次発泡工程で得られた発泡性樹脂組成物中間体を、非密閉の二次金型の成形空間に配置し、常圧下で加熱して二次発泡させた後、二次金型から樹脂発泡体を取り出す。
【0058】
<化学架橋を用いた長尺発泡法>
長尺発泡法は、例えば以下の工程(1)-(2)を備える。
(1)混練工程
ポリオレフィン系樹脂、卵殻粉末、発泡剤、架橋剤、及び適宜必要とされる発泡助剤、架橋促進剤、その他の任意成分を、単軸押出機、二軸押出機などで混練するとともにシート状に押出してシート等の所定形状の発泡性樹脂組成物(以下、母板という)を押出す。
混練及び押出しは押出機により一括して行うことができる。
(2)発泡工程
混練工程で得られた母板を、オーブン等の加熱装置中に運搬しながら、120-250℃(発泡剤及び架橋剤の分解温度以上)にて5-20分間加熱して発泡させることにより樹脂発泡体を得る。なお、オーブン等の加熱装置と運搬装置とが一体となった装置を用いると、当該母板を連続して処理することができるため好ましい。
【0059】
<電子線架橋を用いた長尺発泡法>
電子線架橋を用いた長尺発泡法は、例えば以下の工程(1)-(3)を備える。
(1)混練工程
ポリオレフィン系樹脂、卵殻粉末、発泡剤、及び適宜必要とされる架橋剤、発泡助剤、架橋促進剤、その他の任意成分を、単軸押出機、二軸押出機などで混練するとともに、シート状等の所定形状の樹脂組成物(以下、母板という)を押出す。混練及び押出しは押出機により一括して行うことができる。
(2)架橋工程
混練工程で得られた母板を架橋する。架橋方法としては、電子線、γ線等の電離放射線を照射する方法を用いることができ、電子線照射による架橋(電子線架橋)が好ましい。
電子線架橋は、電子線照射機を用いて行うことができる。なお、必要に応じて、前述した有機過酸化物等の架橋剤を併用してもよい。
(3)発泡工程
架橋工程で得られた架橋済みの母板を、オーブン等の加熱装置中に運搬しながら、120-250℃(発泡剤の分解温度以上)にて5-20分間加熱して発泡させることにより樹脂発泡体を得る。なお、オーブン等の加熱装置と運搬装置とが一体となった装置を用いると、当該母板を連続して処理することができるため好ましい。
【0060】
以上説明した本技術に係るポリオレフィン系樹脂発泡体の製造方法では、目的に応じて、その他の工程を行うことができる。例えば、架橋工程や発泡工程後に、冷却工程、熟成工程等を行うことができる。また、製造した発泡体を耳切りしたり、スライスしたりする成形工程等を行うことも可能である。
【0061】
3.ポリオレフィン系樹脂発泡体の用途
本技術に係るポリオレフィン系樹脂発泡体は、その品質の高さを利用して、あらゆる分野であらゆる用途に用いることができる。例えば、コンクリート伸縮目地材、コンクリート型枠、建築目地材、建築用緩衝材、建築用シール材、家電用シール材、梱包材、車両用断熱材、結露防止材、内装材、家電断熱材、配管断熱材、各種カバー、クッション材、玩具、雑貨、クリーナー、各種スポンジ、玩具、ビート板、浮き、スポーツ雑貨等に好適に用いることができる。
【0062】
なお、本技術では、以下の構成をとることもできる。
[1]
炭酸カルシウムを主成分とするバイオマス材料を含有する、ポリオレフィン系樹脂発泡体。
[2]
前記バイオマス材料を、50重量%以下含有する、[1]に記載のポリオレフィン系樹脂発泡体。
[3]
前記バイオマス材料は、卵殻及び/又は貝殻由来である、[1]又は[2]に記載のポリオレフィン系樹脂発泡体。
[4]
前記バイオマス材料は、卵殻粉末及び/又は貝殻粉末である、[3]に記載のポリオレフィン系樹脂発泡体。
[5]
前記卵殻粉末及び/又は貝殻粉末の平均粒径が、8~200μmである、[4]に記載のポリオレフィン系樹脂発泡体。
【実施例】
【0063】
以下、実施例に基づいて本技術を更に詳細に説明する。なお、以下に説明する実施例は、本技術の代表的な実施例の一例を示したものであり、これにより本技術の範囲が狭く解釈されることはない。
【0064】
<実験例1>
実験例1では、一段発泡法を用いて製造したポリオレフィン系樹脂発泡体について、炭酸カルシウムを主成分とするバイオマス材料の有無による物性の違いについて検討した。
【0065】
(1)原料
樹脂成分1:低密度ポリエチレン(LDPE)(密度:0.924g/cm3、MFR:3.0g/10min、石油由来)
樹脂成分2:ポリオレフィン系樹脂(発泡剤マスターバッチに含む)
樹脂成分3:低密度ポリエチレン(LDPE)(密度:0.921g/cm3、MFR:1.9g/10min、石油由来)
樹脂成分4:低密度ポリエチレン(LDPE)(密度:0.923g/cm3、MFR:2.7g/10min、バイオマス(サトウキビ)由来(バイオマス度95%以上))
バイオマス材料1:卵殻粉末(平均粒径15μm、膜70%~90%処理)(株式会社グリーンテクノ21製「D-50」15μm)
バイオマス材料2:卵殻粉末(平均粒径30μm、膜70%~90%処理)(株式会社グリーンテクノ21製「D-50」30μm)
発泡剤:アゾジカルボンアミド(ADCA)
架橋剤:ジクミルパーオキサイド
発泡助剤:酸化亜鉛
【0066】
(2)発泡体の製造
下記表1に示す各発泡体原料をニーダーにて混練した後、型に充填し表1に示す温度で加熱、及び加圧し、次いで除圧して発泡させることにより、各発泡体を製造した。
【0067】
(3)評価
製造した発泡体について、下記の方法を用いて各物性の評価を行った。
【0068】
[バイオマス度]
バイオマス度は、下記の数式を用いて算出した。
バイオマス度(%)=(バイオマス由来材料の合計重量/全原料重量)×100
バイオマス由来の樹脂を用いた場合、前記数式中の「バイオマス由来材料の合計重量」は、炭酸カルシウムを主成分とするバイオマス材料+バイオマス由来樹脂の合計重量である。なお、樹脂成分4のバイオマス度は95%として計算した。
【0069】
[密度]
密度は、JIS K7222:2005に従って測定した。
【0070】
[圧縮応力][圧縮永久歪][引っ張り強さ][引張伸び][熱収縮]
圧縮応力、圧縮永久歪、引っ張り強さ、引張伸び、及び熱収縮は、JIS K6767:1999に従って測定した。
【0071】
[セル数]
セル数は、JIS K6767:1999に従って、走査電子顕微鏡(SEM)を用いて35倍の倍率で、2000μm長あたりのセル個数を数え、25mmあたりの個数に換算した。
【0072】
[セル状態]
セル状態は、下記の評価基準に基づいて、評価した。
○:ピンホール、割れ、フクレ等が無く、均一なセル状態
×:ピンホール、割れ、フクレ等が有り、不均一なセル状態
【0073】
【0074】
(5)考察
表1に示す通り、炭酸カルシウムを主成分とするバイオマス材料を用いた実施例1~3、6、及び7は、バイオマス材料を用いなかった比較例1と比べて、同等若しくは良好な物性を有していた。具体的には、炭酸カルシウムを主成分とするバイオマス材料を用いた実施例1及び3の圧縮永久歪、引っ張り強さ、引張伸び、及び熱収縮の評価は、バイオマス材料を用いなかった比較例1と同等であり、実施例1、3、6、及び7の圧縮応力、及びセル数の評価は、比較例1に比べて良好であった。これらの結果から、炭酸カルシウムを主成分とするバイオマス材料をポリオレフィン系樹脂発泡体に用いることで、バイオマス度が高いにも関わらず、品質の高い発泡体が得られることが確認された。また、実施例2は、比較例1と同等の密度であるにも関わらず、実施例2のセル数の評価は、比較例1に比べて良好であった。
【0075】
一般的に充填剤等を、樹脂発泡体に含有させると、物性等の低下が起こる傾向があった。しかし、本技術に用いる炭酸カルシウムを主成分とするバイオマス材料は、充填剤等の機能を果たすにも関わらず、これを用いた本技術に係るポリオレフィン系樹脂発泡体は、従来のポリオレフィン系樹脂発泡体と同等若しくはそれ以上の物性を有することが確認できた。
【0076】
また、密度の好ましい範囲は、目的によって異なる。例えば、輸送コスト等を考慮すると密度は低い方が好ましいことがあるが、一般的に充填剤等を樹脂発泡体に含有させると、密度が高くなってしまう問題があった。逆に、密度を下げるために何等かの操作を行うと、物性等の低下が起こる傾向があった。しかし、実施例2と比較例1を比較すると、実施例2は、充填剤等の機能を果たす炭酸カルシウムを主成分とするバイオマス材料を含有するにも関わらず、比較例1と同等の密度であり、かつ、比較例1と同等若しくはそれ以上の物性を有することが確認できた。
【0077】
<実験例2>
実験例2では、二段発泡法を用いて製造したポリオレフィン系樹脂発泡体について、炭酸カルシウムを主成分とするバイオマス材料の有無、及び無機物質粉末である炭酸カルシウムを用いた場合による物性の違いについて検討した。
【0078】
(1)原料
樹脂成分5:低密度ポリエチレン(LDPE)(密度:0.924g/cm3、MFR:1.9g/10min、石油由来)
樹脂成分6:低密度ポリエチレン(LDPE)(密度:0.927g/cm3、MFR:3.0g/10min、石油由来)
無機物質粉末:炭酸カルシウム(平均粒径20μm)
その他の原料は、前記実験例1と同一の原料を用いた。
【0079】
(2)発泡体の製造
下記表2に示す各発泡体原料をニーダーにて混練した後、型に充填し130~150℃で加熱及び加圧し、次いで除圧して一次発泡させることにより、各一次発泡体を調製した。次に、調製した各一次発泡体を、非密閉の型に収容し150~170℃で加熱することにより二次発泡させて、各発泡体を製造した。
【0080】
(3)評価
製造した発泡体について、前記実験例1と同様の方法にて各物性の評価を行った。
【0081】
【0082】
(5)考察
表2に示す通り、炭酸カルシウムを主成分とするバイオマス材料を用いた実施例4、5、及び8~10は、バイオマス材料を用いていない比較例2と同等の物性を有し、また、無機物質粉末である炭酸カルシウムを用いた比較例3と比べて、同等若しくは良好な物性を有していた。具体的には、炭酸カルシウムを主成分とするバイオマス材料を用いた実施例4及び5の引っ張り強さ、熱収縮、及びセル数の評価は、無機物質粉末である炭酸カルシウムを用いた比較例3と同等であり、実施例4及び5の圧縮応力の評価は、比較例3に比べて良好であった。また、実施例8及び9のように樹脂成分の種類を変更することにより、引っ張り強さ、及びセル数の評価も向上させ得ることが分かった。更に、バイオマス由来の樹脂成分を用いた実施例10と比較例4を比較すると、炭酸カルシウムを主成分とするバイオマス材料を用いた実施例10の方が、バイオマス度が更に高いにも関わらず、比較例4と同等の物性を有していた。これらの結果から、炭酸カルシウムを主成分とするバイオマス材料をポリオレフィン系樹脂発泡体に用いることで、バイオマス度が高いにも関わらず、品質の高い発泡体が得られることが確認された。
【0083】
また、これらの結果から、二段発泡法を用いて製造した場合であっても、本技術に係るポリオレフィン系樹脂発泡体は、バイオマス材料を用いない一般的なポリオレフィン系樹脂発泡体と同等若しくはそれ以上の物性を有することが確認できた。