(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2026-04-22
(45)【発行日】2026-05-01
(54)【発明の名称】車両
(51)【国際特許分類】
B60G 21/055 20060101AFI20260423BHJP
B60G 7/00 20060101ALI20260423BHJP
【FI】
B60G21/055
B60G7/00
(21)【出願番号】P 2022107657
(22)【出願日】2022-07-04
【審査請求日】2025-05-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000002082
【氏名又は名称】スズキ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002967
【氏名又は名称】ダイハツ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山口 恒生
(72)【発明者】
【氏名】関根 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】吉村 昂大
【審査官】浅野 麻木
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-224266(JP,A)
【文献】特開2002-046443(JP,A)
【文献】特開2006-143174(JP,A)
【文献】特公平06-065523(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60G 21/055
B60G 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の前後方向に延びる一対のサイドメンバを備える車体と、
それぞれが前記車体に対して揺動可能に車輪を支持する一対のトレーリングアームと、
車幅方向に延びるスタビライザバーと、を備え、
前記車幅方向における前記スタビライザバーの両端のそれぞれは、
前記一対のトレーリングアームのそれぞれに取り付けられ、
前記スタビライザバーは、前記車幅方向における前記スタビライザバーの中間部分
において、前記スタビライザバーの左右に設けたマウント部によって、前記
車両の前記前後方向に延びる前記一対のサイドメンバに
それぞれ直接取り付けられている、車両。
【請求項2】
前記一対のトレーリングアームと前記車体とを連結されるサスペンションメンバをさらに備え、
前記スタビライザバーは、
前記トレーリングアームへの取付部分から前方に伸び、前記中間部分が、前記サスペンションメンバよりも車両前方に配置される、請求項1に記載の車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書が開示する技術は、車両に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に、スタビライザバーがサイドメンバ及びサスペンションアッシーに取り付けられている車両が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
スタビライザバーには、車両の挙動に合わせてねじれが発生する。スタビライザバーが取り付けられる部材、特許文献1ではサイドメンバ及びサスペンションアッシーは、スタビライザバーの変形による負荷を受けるための剛性を有していなければならない。サスペンションアッシーでは、スタビライザバーを取り付けるために補強しなければならない。
【0005】
本明細書では、スタビライザバーの取付による補強をせずに済む技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書では、車両が開示される。車両は、車両の前後方向に延びる一対のサイドメンバを備える車体と、それぞれが前記車体に対して揺動可能に車輪を支持する一対のトレーリングアームと、車幅方向に延びるスタビライザバーと、を備え、前記車幅方向における前記スタビライザバーの両端のそれぞれは、一対のトレーリングアームのそれぞれに取り付けられ、前記車幅方向における前記スタビライザバーの中間部分は、前記一対のサイドメンバのそれぞれに取り付けられていてもよい。
【0007】
トレーリングアームは、車輪を回転可能に支持するハブユニットから前方に延びており、その前端は車両の車体によって揺動可能に支持される。トレーリングアームは、入力荷重が大きいため、比較的に高い剛性で作製されている。このため、スタビライザバーの取付のために、特別な補強をせずに済むか、あるいは、補強を抑えることができる。
【0008】
前記一対のトレーリングアームと前記車体とを連結されるサスペンションメンバをさらに備え、前記スタビライザバーは、前記サスペンションメンバよりも車両前方に配置されてもよい。
【0009】
この構成によると、サスペンションメンバの後方に、車両の部品を配置するスペースを確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図3】スタビライザバーとトレーリングアームとの取付位置周辺の拡大斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(実施例)
本実施例の車両10は、いわゆる自動車であって、路面を走行する車両である。ここで、図面における方向FRは、車両10の前後方向における前方を示し、方向RRは車両10の前後方向における後方を示す。また、方向LHは車両10の左右方向、即ち車幅方向における左方を示し、方向RHは車両10の左右方向における右方を示す。また、方向UPは車両10の上下方向における上方を示し、方向DWは車両10の上下方向における下方を示す。なお、本明細書では、車両10の前後方向、車両10の左右方向即ち車幅方向、及び、車両10の上下方向のそれぞれを、それぞれ単に前後方向、左右方向、及び上下方向と称することがある。
【0012】
図1に示すように、車両10は、車体12と、複数の車輪14とを備える。車体12は、乗員及び荷物を乗せる空間である車室を有する。車体12は、前後方向に延びる一対のサイドメンバ100と、一対のサイドメンバ100のそれぞれに固定され、左右方向に延びる1個以上のクロスメンバ(図示省略)と、を含む骨格部材を有する。一対のサイドメンバ100は、左右方向に互いに離間して配置されている。一対のサイドメンバ100のそれぞれは、前後方向に1個の部材で構成されていてもよいし、複数の部材が互いに連結されていてもよい。サイドメンバ100は、例えばスチール材又はアルミニウム合金等の金属材料で作製され、断面が四角形の筒形状を有する。
【0013】
複数の車輪14は、車体12に対して回転可能に取り付けられている。複数の車輪14には、車体12の前部に位置する一対の前側車輪(不図示。以下「前輪」と称する)と、車体12の後部に位置する一対の後側車輪14(以下「後輪14」と称する)とが含まれる。一対の前輪は互いに同軸に配置されており、一対の後輪14も互いに同軸に配置されている。
【0014】
車両10は、車体12に搭載される、モータ16と、電力制御ユニット18(Power Control Unit、以下、「PCU18」と称する)と、ドライブシャフト22と、複数のハブユニット24と、をさらに備える。複数のハブユニット24は、一対の前輪を回転可能に支持する一対の前輪ハブユニット(不図示)と、一対の後輪14を回転可能に支持する一対の後輪ハブユニット24と、を含む。特に限定されないが、モータ16と、PCU18とは、それらが一体となった機電一体ユニット20として車両10に搭載されている。機電一体ユニット20は、ドライブシャフト22を介して、複数の車輪14の少なくとも一つ(例えば、一対の後輪14)に接続されている。ドライブシャフト22は、一対の後輪ハブユニット24のそれぞれに接続されており、モータ16による駆動トルクを一対の後輪14に伝達する。これにより、モータ16は、一対の後輪14を駆動する。
【0015】
図1に示すように、車両10は、バッテリユニット26をさらに備える。バッテリユニット26は、複数の二次電池セルを内蔵する。バッテリユニット26は、PCU18を介してモータ16に接続されており、モータ16へ電力を供給する。PCU18は、DC-DCコンバータ及び/又はインバータを内蔵しており、バッテリユニット26とモータ16との間で伝達される電力を制御する。図示省略するが、電子制御ユニット(Electronic Control Unit、ECU)は、プロセッサを有しており、例えばユーザの操作に応じてPCU18へ制御指令を与える。車両10は、モータ16に代えて、又は加えて、エンジンといった他の原動機をさらに備えてもよい。車両10は、電動車両に限定されることなく、エンジン車両、ハイブリッド車両、燃料電池車両等であってもよい。
【0016】
図1、2に示すように、車両10は、一対のサスペンションユニット28と、サスペンションメンバ30と、スタビライザバー50と、をさらに備える。サスペンションメンバ30は、車両10の後方において、機電一体ユニット20を支持しており、車体12に取り付けられている。一対のサスペンションユニット28は、サスペンションメンバ30に取り付けられることによって、サスペンションメンバ30を介して、車体12に取り付けられている。一対のサスペンションユニット28は、車両10の中心軸に対して、左右対称な構造となっている。そのため、以下では、車両10の左側に位置するサスペンションユニット28の構造を代表して説明する。
【0017】
サスペンションユニット28は、複数のアーム32、34、36を備える。複数のアーム32、34、36には、アッパアーム32と、ロアアーム34と、トレーリングアーム36とが含まれる。アッパアーム32及びロアアーム34は、左側の後輪ハブユニット24を左右方向の車両内側から支持しており、車両10の左右方向に沿って延びている。アッパアーム32は、ロアアーム34の上方を通過している。アッパアーム32の基端部、即ち車両10内側に配置される端部は、サスペンションメンバ30に揺動可能に固定されており、アッパアーム32の先端部32b、即ち車両10外側に配置される端部は、後輪ハブユニット24に揺動可能に固定されている。同様に、ロアアーム34の基端部、即ち車両10内側に配置される端部は、サスペンションメンバ30に揺動可能に固定されており、ロアアーム34の先端部34b、即ち車両10外側に配置される端部は、左側の後輪ハブユニット24に揺動可能に固定されている。
【0018】
トレーリングアーム36は、車両10の前後方向に沿って延びている。トレーリングアーム36の前端部36aは、車両10の骨格部材(例えばサイドメンバ100)に揺動可能に固定されている。トレーリングアーム36の後端部36bは、左側の後輪ハブユニット24に揺動可能に固定されている。複数のアーム32、34、36は、一対の後輪ハブユニット24を車体12に対して揺動可能に懸架している。サスペンションユニット28の各部は、例えば、スチール材又はアルミニウム合金等の金属製である。
【0019】
図1及び
図2に示すように、サスペンションユニット28は、コイルスプリング38と、ショックアブソーバ40と、をさらに備える。コイルスプリング38は、コイル軸が上下方向に延びる円筒形を有するばね部材である。ショックアブソーバ40は、コイルスプリング38に起因する振動を減衰するための部材である。コイルスプリング38は、トレーリングアーム36と車体12との間に設けられている。詳しくは、コイルスプリング38は、上端が車体12(例えば、左側サイドメンバ)に固定されており、下端がトレーリングアーム36に固定されている。また、コイルスプリング38は、アッパアーム32の前方に位置している。ショックアブソーバ40は、上端が車体12に固定されており、下端が左側の後輪ハブユニット24に固定されている。以上のように、サスペンションユニット28は、車体12に取り付けられているとともに、一対の後輪ハブユニット24を車体12に対して変位可能に懸架している。
【0020】
なお、サスペンションユニット28は、車両10の後輪14に限られず、車両10の前輪に対して用いられてもよい。この場合、モータ16は、一対の後輪14に代えて、一対の前輪を駆動するように構成されていればよい。同様に、ドライブシャフト22は、一対の後輪ハブユニット24に代えて、一対の前輪ハブユニットを回転可能に支持していればよい。
【0021】
スタビライザバー50は、車両10の走行中の車体12の傾きを抑制するために配置されている。スタビライザバー50は、左右方向に延びる中実の柱形状又は中空の筒形状を有する。スタビライザバー50は、例えば、スチール材等の金属材料で作製される。スタビライザバー50は、左右両端のそれぞれから前方に延び、後方かつ車両10の左右方向の中央に向かって湾曲し、中間位置において左右方向に延びる。
【0022】
スタビライザバー50は、左右方向おいてサスペンションメンバ30と重複する範囲では、サスペンションメンバ30よりも前方に配置されている。スタビライザバー50の左右両端のそれぞれは、サスペンションメンバ30と前後方向で重なる位置に配置されている。なお、変形例では、スタビライザバー50の左右両端のそれぞれは、サスペンションメンバ30よりも前方であってもよいし、後方であってもよい。
【0023】
図2に示すように、スタビライザバー50は、左右方向の中間位置において、マウント部材52によって、サイドメンバ100の下面に取り付けられている。マウント部材52は、スタビライザバー50が挿入される溝52aと、溝52aの前後方向のそれぞれにおいて、ボルトが挿入される開口52b、52bと、を備える。マウント部材52は、開口52b、52bに挿入されるボルトによって、サイドメンバ100に固定される。マウント部材52は、スタビライザバー50のねじれを許容している。マウント部材52は、左右方向において、サスペンションメンバ30よりも外側に配置されている。マウント部材52は、スタビライザバー50の最も前方に位置する部分を支持する。
【0024】
図3に示すように、スタビライザバー50は、左右両端のそれぞれにおいて、トレーリングアーム36に取り付けられている。スタビライザバー50は、リンク部材54を介して、トレーリングアーム36の取付部分36cに連結されている。スタビライザバー50の端部50aは、リンク部材54の上端54aに揺動可能に連結されている。リンク部材54の下端は、トレーリングアーム36の上面から上方に立ち上がる取付部分36cに揺動可能に取り付けられている。リンク部材54は、トレーリングアーム36及びスタビライザバー50のそれぞれに対して、揺動軸54b、54cを介して連結されている。取付部分36cは、 トレーリングアーム36のハブユニット24の取付位置の近傍に配置されている。
【0025】
スタビライザバー50は、例えば車両10がカーブを曲がる場合、車線を変更する場合等、車体12が左右方向に傾く際に、車体12の傾きを抑えるように機能する。この場合、スタビライザバー50には、ねじれが発生する。
【0026】
スタビライザバー50は、サイドメンバ100及びトレーリングアーム36に取り付けられている。サイドメンバ100は、車体12の骨格部材であり、また、車体12の衝突の際にエネルギーを吸収する部材であるため、高い剛性が必要とされる。トレーリングアーム36は、車輪14のハブユニット24と車体12とを連結する部材であるため、高い剛性が必要とされる。このように、スタビライザバー50は、車両10の性能を確保するために、高い剛性が必要とされる部材に取り付けられている。この構成によると、サイドメンバ100及びトレーリングアーム36を、特別に剛性を向上させるような補強をせずとも、スタビライザバー50を取り付けることができる。あるいは、サイドメンバ100及びトレーリングアーム36を、大きく補強せずとも、スタビライザバー50を取り付けることができる。このため、スタビライザバー50を支持するための補強を行うことによって、車体12の重量が増加することを抑制することができる。
【0027】
トレーリングアーム36において、スタビライザバー50が取り付けられる取付部分36cは、トレーリングアーム36のハブユニット24の取付位置の近傍に配置されている。トレーリングアーム36のハブユニット24の取付位置の近傍は、ハブユニット24の支持のために、強度及び剛性が高く設計されている。この構成によると、トレーリングアーム36では、トレーリングアーム36を特別に補強せずに、スタビライザバー50を適切に保持することができる。
【0028】
また、スタビライザバー50をサスペンションメンバ30よりも前方に配置することによって、ドライブシャフト22,モータ16及びPCU18等、サスペンションメンバ30の後方に配置される部品を、サスペンションメンバ30から離して配置せずに済む。
【0029】
以上、いくつかの具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。本明細書又は図面に説明した技術要素は、単独であるいは組み合わせによって技術的有用性を発揮するものである。
【符号の説明】
【0030】
10:車両、12:車体、14:車輪(後輪)、16:モータ、18:電力制御ユニット、20:機電一体ユニット、22:ドライブシャフト、24:ハブユニット、26:バッテリユニット、28:サスペンションユニット、30:サスペンションメンバ、36:トレーリングアーム、38:コイルスプリング、40:ショックアブソーバ、50:スタビライザバー、52:マウント部材、54:リンク部材、100:サイドメンバ