(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2026-04-27
(45)【発行日】2026-05-11
(54)【発明の名称】光学部材
(51)【国際特許分類】
G02B 6/00 20060101AFI20260428BHJP
F21V 8/00 20060101ALI20260428BHJP
B60R 1/04 20060101ALN20260428BHJP
【FI】
G02B6/00 301
F21V8/00 310
F21V8/00 330
B60R1/04 G
(21)【出願番号】P 2022204523
(22)【出願日】2022-12-21
【審査請求日】2025-03-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】520124752
【氏名又は名称】株式会社ミライズテクノロジーズ
(74)【代理人】
【識別番号】110001128
【氏名又は名称】弁理士法人ゆうあい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】安藤 浩
(72)【発明者】
【氏名】舘 鋼次郎
【審査官】堀部 修平
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-143087(JP,A)
【文献】特開2015-191032(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第107111144(CN,A)
【文献】特開平06-324331(JP,A)
【文献】特開平08-054517(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/00
F21S 2/00
F21V 8/00
B60R 1/04
G02B27/01-27/02
JSTPlus/JST7580/JSTChina(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外景光を内部で反射させて導光する光学部材であって、
前記外景光が入射する入射面(2a)と、前記入射面から入射した入射光が最初に到達し、前記入射光の反射および外部への射出を行う射出面(2b)と、前記射出面に対して対向配置され、前記入射光のうち前記射出面で反射した反射光を前記射出面に向けて反射する反射面(2c)とを有する導光体(2)を備え、
前記射出面は、傾斜
角が異なる
とともに、前記射出面の基準面に対して傾斜する複数の傾斜面(31、32、33)により構成される複数のプリズム部(3)を有し、
前記反射面は、複数の前記傾斜面のうち1つの面と同じ傾斜
角とされた面である同一傾斜面(41)を有する、光学部材。
【請求項2】
複数の前記傾斜面のうち前記入射光の一部を外部に射出する1つの前記傾斜面を射出部(33)として、前記射出部は、前記入射面と平行である、請求項1に記載の光学部材。
【請求項3】
前記射出面を構成する複数の前記プリズム部を第1プリズム部として、
前記反射面は、前記入射光のうち前記射出面で反射した光を前記射出面に反射する面である反射部(41)と、前記反射部に隣接する隣接面(42)とを有する複数の第2プリズム部(4)を有する、請求項1に記載の光学部材。
【請求項4】
前記反射部は、複数の前記傾斜面のうち前記入射光を反射する1つの前記傾斜面(31)と平行である、請求項3に記載の光学部材。
【請求項5】
前記導光体の屈折率をnとし、複数の前記傾斜面のうち前記入射光を反射する1つの前記傾斜面(31)および前記反射面に対する法線方向と前記入射光が進む方向とのなす角度をδとして、
前記1つの傾斜面および前記反射面は、sinδ>1/nを満たすように傾斜している、請求項1に記載の光学部材。
【請求項6】
前記射出面と前記反射面とを繋ぐ方向
であって、前記射出面の基準面に垂直な方向を厚み方向(D2)とし、前記入射面における前記外景光の入射方向と前記厚み方向とのなす角度をθとし、前記入射光のうち前記射出面に向かう光が進む方向と前記厚み方向とのなす角度をφとし、前記入射光のうち前記反射面に向かう光が進む方向と前記厚み方向とのなす角度をεとして、
複数の前記傾斜面のうち前記入射光を反射する1つの前記傾斜面(31)、および前記入射面は、ε>φ>θを満たすように傾斜している、請求項1に記載の光学部材。
【請求項7】
前記射出面と前記反射面とを繋ぐ方向
であって、前記射出面の基準面に垂直な方向を厚み方向(D2)とし、
前記入射光のうち前記射出面に向かう光が進む方向と前記厚み方向とのなす角度をφとし、前記入射面と前記厚み方向とのなす角度をψとして、
前記入射面は、ψ<φを満たすように傾斜している、請求項1に記載の光学部材。
【請求項8】
前記射出面は、3つ以上の前記傾斜面を有する、請求項1に記載の光学部材。
【請求項9】
前記導光体において前記入射光が前記射出面および前記反射面で反射して進む方向
であって、前記射出面の基準面に平行な方向を導光方向(D1)とし、複数の前記傾斜面のうち前記入射光の一部を反射する1つの面を第1傾斜面(31)、前記第1傾斜面に隣接する面を第2傾斜面(32)、前記第2傾斜面を挟んで前記第1傾斜面とは反対側に配置され、前記入射光の一部を外部に射出する面を第3傾斜面(33)として、
前記射出面は、前記導光方向における前記第1傾斜面の第1幅(Pa1~Pa(m+1))と、前記導光方向における前記第2傾斜面から前記第3傾斜面までの第2幅(Pb1~Pb(m+1))との比が異なる複数の領域(2ba~2bc)を有し、
複数の前記領域は、前記入射面から遠い位置にある前記領域ほど前記第2幅に対する前記第1幅の比が小さい、請求項8に記載の光学部材。
【請求項10】
前記射出面と前記反射面とを繋ぐ方向
であって、前記射出面の基準面に垂直な方向を厚み方向(D2)とし、前記射出面から前記入射面のうち前記射出面とは反対側の端部(2a1)までの距離を入射面高さ(Td)として、
前記入射面高さは、前記射出面と前記反射面との前記厚み方向における間隔(Ts)よりも大きく、
前記端部と前記反射面のうち前記入射面の側の端部(2c1)とを直線状に繋ぐ仮想直線(VL)と、前記厚み方向とのなす角度をξとし、前記入射光のうち前記射出面に向かう光が進む方向と前記厚み方向とのなす角度をφとして、
前記導光体は、ξ<φを満たす、請求項1に記載の光学部材。
【請求項11】
前記反射面を第1反射面として、前記導光体は、内部に前記入射光を前記第1反射面に反射する第2反射面(5a、8)を有し、
前記第2反射面は、前記第1反射面のうち前記同一傾斜面に対して平行である、請求項1に記載の光学部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入射面から入射した光の一部を内部で反射させ、入射した光およびその反射光を入射面とは異なる面から外部に射出する光学部材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の光学部材としては、例えば特許文献1に記載のものが挙げられる。特許文献1に記載の光学部材は、外景光が入射する入射面、入射面から入射した外景光が最初に向かう第一の面、および第一の面に対向する第二の面を有する導光体と、第一の面側に配置される半透過ミラーとを有する。この光学部材は、入射面から入射した外景光の一部が半透過ミラーで第二の面に反射され、残部が半透過ミラーにおいて吸収または透過すると共に、第二の面において半透過ミラーで反射した光を第二の面側に反射させる。そして、この光学部材は、第一の面に複数のプリズムを有するプリズムシートが配置されており、半透過ミラーを透過した光が複数のプリズムを介して外部に射出される構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、この種の光学部材は、複数のプリズムが配置された射出面の側において、ユーザに光学部材の後方の光景を視認させる表示領域(以下「表示視域」という)を広く確保しつつ、薄型化されることが求められている。光学部材のうち平行配置された第一の面および第二の面の距離、すなわち厚みは、第一の面および第二の面に対する外景光の入射角度と、表示視域の幅と、往復回数とにより決まる。そして、表示視域を広く確保しつつ、光学部材の厚みを薄くするためには、入射した外景光が第一の面と第二の面との間で往復する回数(以下「往復回数」という)を多くする必要がある。
【0005】
しかしながら、往復回数を増やすと、第一の面に入射する外景光同士の境界、すなわち、往復回数が異なり、かつ隣接する外景光同士の境界が増加し、表示視域における外景の連続性が損なわれうる。また、光学部材は、第一の面が半透過ミラーで構成されている場合、導光される外景光のうち往復回数が多いものほど輝度が低下するため、表示視域における輝度変化が大きくなってしまう。このように、単に光学部材を薄肉化し、入射した外景光の往復回数を増やした構成とした場合、表示視域における視認性を確保することが難しい。
【0006】
本発明は、上記の点に鑑み、薄肉化され、表示視域を広くしつつも、表示視域における外景の視認性が確保することが可能な光学部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の光学部材は、外景光を内部で反射させて導光する光学部材であって、外景光が入射する入射面(2a)と、入射面から入射した入射光が最初に到達し、入射光の反射および外部への射出を行う射出面(2b)と、射出面に対して対向配置され、入射光のうち射出面で反射した反射光を射出面に向けて反射する反射面(2c)とを有する導光体(2)を備え、射出面は、傾斜角が異なるとともに、射出面の基準面に対して傾斜する複数の傾斜面(31、32、33)により構成される複数のプリズム部(3)を有し、反射面は、複数の傾斜面のうち1つの面と同じ傾斜角とされた面である同一傾斜面(41)を有する。
【0008】
この光学部材は、入射面と、射出面と、反射面とを有する導光体を備え、射出面が複数の傾斜面で構成された複数のプリズム部を有してなる。そして、反射面は、プリズム部のうち1つの傾斜面と同一の傾斜とされた同一傾斜面を有している。これによれば、入射面から導光体内部に入射した後、射出面で反射して反射面に向かう光の角度が、導光体内部で射出面に向かう光の角度よりも大きくなる。この結果、反射面と射出面との間隔、すなわち厚みを小さくしても、入射光の反射面と射出面との1往復における幅が大きくなり、表示視域を広く確保することができる。また、上記した入射光の反射面と射出面との1往復における幅が所定以上に確保されるため、厚みを小さくしても、導光体内部における往復回数を過度に増やす必要がなくなる。したがって、この光学部材は、薄肉化され、表示視域を広くしつつも、表示視域における外景の視認性が確保することが可能となっている。
【0009】
なお、各構成要素等に付された括弧付きの参照符号は、その構成要素等と後述する実施形態に記載の具体的な構成要素等との対応関係の一例を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】第1実施形態の光学部材を示す断面図である。
【
図2】第1実施形態の光学部材における導光の説明図である。
【
図3】
図1中のIII領域を示す拡大断面図である。
【
図4】射出面のプリズム部を構成する各傾斜面の傾斜角度と導光との関係を示す模式図である。
【
図5】背面の傾斜角度およびこれによる導光の隙間抑制の説明図である。
【
図6】比較例の光学部材および導光を示す模式図である。
【
図7】第2実施形態の光学部材を示す断面図である。
【
図8】第2実施形態における射出面の第1領域ないし第3領域のプリズム部および幅を示す模式図である。
【
図9】第2実施形態の光学部材における導光の説明図である。
【
図10】第2実施形態の光学部材の第1変形例を示す断面図である。
【
図11】第2実施形態の光学部材の第2変形例を示す断面図である。
【
図13】プリズム部を有する反射面に起因する光線の隙間の説明図である。
【
図14】第2実施形態の光学部材の第3変形例を示す断面図である。
【
図16】
図15に相当する図であって、空洞層の形成工程を示す拡大断面図である。
【
図17】
図15に相当する図であって、空洞層に代わって反射層を有する変形例を示す拡大断面図である。
【
図18】他の実施形態の光学部材を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、同一符号を付して説明を行う。
【0012】
(第1実施形態)
第1実施形態の光学部材1について、図面を参照して説明する。本実施形態の光学部材1は、例えば、ユーザの視界を遮り、死角を生じさせる部材や障害物等に取り付けられ、当該死角の領域の光景を当該ユーザに視認させる死角補助装置として用いられうる。光学部材1は、例えば、車載用途の場合には、搭載される車両のピラーなどに取り付けられ、当該ピラーにより死角になる領域からの外景光をユーザの側に導光し、死角領域の光景をユーザに視認させる。
【0013】
図4では、光学部材1内における導光を分かり易くするため、光学部材1に入射した光および光学部材1から外部に射出する光にハッチングを施している。
【0014】
光学部材1は、例えば
図1に示すように、透光性材料で構成された導光体2を備える。導光体2は、外部からの光を内部に入射させる入射面2aと、入射面2aに隣接する射出面2b、射出面2bと対向配置される反射面2cと、射出面2bと反射面2cとを繋ぐ終端面2dと、入射面2aと反射面2cとを繋ぐ背面2eとを備える。光学部材1は、入射面2aから外部の光を導光体2の内部に入射させ、入射した光の一部を射出面2bと反射面2cとの間で反射を繰り返させつつ、射出面2bの一部で光を外部に射出させる。これにより、光学部材1は、射出面2b側にいるユーザに死角領域の光景をユーザに視認させる。
【0015】
以下、説明の便宜上、例えば
図2に示すように、外部から導光体2に入射する光を「外景光L
1」と称し、外景光L
1のうち入射面2aから導光体2の内部に入射した光を「入射光」と称する。入射光のうち入射面2aから射出面2bに直接入射する光を「第1入射光L
21」と称し、入射光のうち射出面2bの一部で反射し、反射面2cに向かう反射光を「第2入射光L
22」と称する。また、第2入射光L
22が反射面2cで反射し、射出面2bに向かう光を「第3入射光L
23」と称する。また、射出面2bの一部から外部に射出される光を「射出光L
3」と称し、終端面2dから外部に抜ける光を「残光L
4」と称する。
【0016】
導光体2は、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリエチレン、アクリル等の樹脂材料やガラスなどの透光性の材料からなる。導光体2は、例えば
図2に示すように、入射光が射出面2bのうち後述する第1傾斜面31および反射面2cで全反射し、内部で導光されるように設計されている。この詳細については後述する。導光体2は、入射面2aの部分の最大厚みTdが、射出面2bと反射面2cとが対向する部分の厚みTsよりも大きい構成となっている。言い換えると、入射光が射出面2bおよび反射面2cで反射しながら進む方向を「導光方向D1」として、導光体2は、導光方向D1のうち射出面2bと反射面2cとが対向する部分の厚みが他の部分よりも薄い構成となっている。なお、導光方向D1とは、射出面2bのうち入射面2a側の端部から終端面2d側の端部に向かう方向ともいえる。また、最大厚みTdは、入射面高さともいえる。
【0017】
入射面2aは、外景光L1を導光体2の内部に入射させる面である。射出面2bと反射面2cとを繋ぐ方向を「厚み方向D2」として、入射面2aは、厚み方向D2に対して、傾斜角度ψ(<90°)で傾斜している。入射面2aは、傾斜角度ψが、第1入射光L21の導光角φよりも小さくなっている。導光角φとは、第1入射光L21の進む方向(入射方向)と厚み方向D2とのなす角度を意味する。入射面2aに入射する外景光L1の進む方向と厚み方向D2とのなす角度を「入射角θ」として、屈折の条件よりψ<π/2-φであれば、第1入射光L21は、φが外景光L1の入射角θよりも大きくなる方向に屈折する。つまり、ψ<π/2-φを満たす場合、第1入射光L21は、射出面2bのより広い範囲に導光される。
【0018】
射出面2bは、例えば
図3に示すように、それぞれ傾斜角度が異なる第1傾斜面31、第2傾斜面32および第3傾斜面33を有した構成の複数の第1プリズム部3により構成されている。
ここで、「傾斜面」とは、射出面2b全体を平坦化して得られる仮想平面を「射出面2bの基準面」として、射出面2bの基準面に対して傾斜した面をいう。射出面2bは、複数の第1プリズム部3が導光方向D1に沿って繰り返し配列されたプリズムアレイとなっている。第1プリズム部3は、例えば、第1傾斜面31、第2傾斜面32および第3傾斜面33が導光方向D1に沿ってこの順に配置されてなる。
【0019】
第1傾斜面31は、例えば
図2や
図3に示すように、第1入射光L
21および第3入射光L
23を全反射により反射する面であり、ミラーとして機能する。第1傾斜面31は、例えば
図4に示すように、厚み方向D2に対して角度α1で傾斜している。具体的には、第1傾斜面31は、角度α1が導光角φよりも大きく、かつ90°未満とされる。第1傾斜面31は、第1入射光L
21および第3入射光L
23の進む方向と第1傾斜面31に対する法線方向とのなす角度が導光角φよりも大きくなるように傾斜している。これにより、第1入射光L
21および第3入射光L
23は、φ<α1を満たすことで第1傾斜面31に入射すると共に、α1<π/2を満たすことで、厚み方向D2に対する角度が導光角φよりも大きいεとなるように第1傾斜面31で反射される。
【0020】
また、導光体2の構成材料の屈折率をnとし、外部を空気(屈折率1)とし、第1傾斜面31に対する法線方向と第1入射光L21の進む方向とのなす角度をδとして、導光体2は、以下の(1)式、(2)式を満たす設計となっている。
【0021】
sinδ≧1/n・・・(1)
δ=φ+π/2-α1・・・(2)
これにより、導光体2は、半透過ミラーや反射率が高い材料で構成されたミラーを有さずとも、全反射により第1傾斜面31で第1入射光L21および第3入射光L23を反射させることが可能となる。
【0022】
第2傾斜面32は、第1傾斜面31に隣接する面であり、厚み方向D2に対してα1とは異なる角度β1で傾斜している。第2傾斜面32は、第1入射光L21および第3入射光L23が直接入射して意図しない反射をしないように、傾斜の角度β1が導光角φよりも小さくなっている。これにより、第1入射光L21および第3入射光L23のうち第1傾斜面31に到達しなかった光は、第2傾斜面32に遮られることなく、第3傾斜面33に入射することとなる。第2傾斜面32は、意図しない外光の侵入に起因するゴースト像の発生抑制のため、図示しない光吸収膜により覆われた状態とされてもよい。
【0023】
第3傾斜面33は、例えば
図2や
図4に示すように、入射した第1入射光L
21および第3入射光L
23を外部に射出光L
3として射出する面である。第3傾斜面33は、例えば
図4に示すように、厚み方向D2に対する角度がα1、β1とは異なるγで傾斜している。第3傾斜面33は、γがψと等しい傾斜、すなわち入射面2aと平行とされることが好ましい。これにより、射出光L
3が外景光L
1と同じ角度で射出されることとなり、外景光L
1による光景と射出光L
3による光景とのズレが抑制され、射出面2bにおける視認性が向上する。
【0024】
反射面2cは、本実施形態では、反射部41と、これに隣接する隣接面42とによりなる複数の第2プリズム部4を有してなる。反射面2cは、複数の第2プリズム部4が導光方向D1に沿って繰り返し配列されたプリズムアレイとなっている。
【0025】
反射部41は、例えば
図2に示すように、第2入射光L
22を全反射により反射する面であり、ミラーとして機能する。反射部41は、例えば
図3に示すように、厚み方向D2に対する角度がα1で傾斜しており、第1傾斜面31と同一の傾斜の同一傾斜面である。つまり、反射部41は、第1傾斜面31に対して平行となっている。これにより、反射部41に対する第2入射光L
22の入射角度がδとなり、上記の(1)式を満たすため、反射部41は、第1傾斜面31と同様に、入射光の全反射が生じる設計となっている。そして、反射部41で反射された第3入射光L
23は、第1入射光L
21と同様に導光角φの光線となって射出面2bに向かうこととなる。
【0026】
隣接面42は、反射部41に隣接する面であり、厚み方向D2に対して反射部41とは異なる角度で傾斜している。隣接面42は、例えば、第2入射光L22が直接入射しないように、厚み方向D2に対する傾斜角度が適宜調整される。
【0027】
終端面2dは、射出面2bと反射面2cとを繋ぐ面であり、例えば、所定の角度で傾斜した傾斜面となっている。終端面2dは、第1傾斜面31および反射部41で繰り返し反射されて第3傾斜面33に到達しなかった、入射光L2の一部が残光L4として外部に射出する。
【0028】
なお、終端面2dは、図示しない光吸収膜を配置する等の遮光処理を施されてもよい。これにより、残光L4の漏れ出しによるゴーストの発生を抑制することができる。また、終端面2dは、複数の第1プリズム部3のうち入射面2aとは反対側の端部に位置するものの第3傾斜面33と連続性を有する構成、すなわち第3傾斜面33と同一の傾斜であってもよい。この場合、終端面2dからの残光L4も射出光L3となり、光線の損失を抑制することができる。
【0029】
背面2eは、例えば
図2に示すように、入射面2aのうち射出面2bとは反対側の端部2a1と、反射面2cのうち終端面2dとは反対側の端部2c1とを直線状に繋ぐ傾斜面となっている。背面2eは、厚み方向D2に対する角度が導光角φよりも小さいξで傾斜している。これにより、
図5に示すように、第1入射光L
21の一部が端部2c1の近傍を通過すると共に、第2入射光L
22の一部が端部2c1の近傍の反射部41に入射することとなる。つまり、近傍を通過する第1入射光L
21と端部2c1の近傍の反射部41で反射した第3入射光L
23との間における隙間(すなわち導光の隙間)が生じることが抑制されるため、射出面2bにおいてユーザに視認させる光景の視認性が向上する。
【0030】
以上が、本実施形態の光学部材1の基本的な構成である。光学部材1は、上記した構成とされることで、導光体2とは別の材料によりなる半透過ミラーやミラーを有しなくても入射光を全反射により導光させることができる。また、光学部材1は、射出面2bと反射面2cとが対向する部分の厚みTsを従来よりも薄くしつつも、射出面2bにおける表示視域Sを広く確保することができる。
【0031】
なお、ここでいう表示視域Sとは、例えば
図2に示すように、射出面2bの導光方向D1における両端の射出光L
3同士の最大幅を意味する。
【0032】
次に、光学部材1の厚みTsについて、
図6に示す比較例の光学部材100と対比して説明する。
【0033】
比較例の光学部材100は、光学部材1と同様に、透光性の導光体101を有し、他の材料によりなる半透過ミラーやミラーを有さずに、全反射により外景光L1を導光する構成となっている。光学部材100は、入射面101a、射出面101b、反射面101cおよび終端面101dを備え、射出面101bのうち光の反射部分である平坦部103と反射面101cとの対向部分の厚みTが一様となっている。言い換えると、光学部材100は、複数の平坦部103と反射面101cとが平行となっている。射出面101bは、入射光を外部に射出する面を有するプリズム部102と、入射光を全反射により反射する平坦部103とが繰り返し配列されてなる。プリズム部102は、入射光を外部に射出する射出部102aと、入射面101a側の平坦部103に隣接する隣接面102bとを有してなる。光学部材100は、第1入射光L21が平坦部103にて導光角φで反射して第2入射光L22となり、第2入射光L22が導光角φで反射面101cに入射し、全反射により射出面101bに反射する構成となっている。
【0034】
なお、比較例の光学部材100では、平坦部103および反射面101cに対する法線方向が厚み方向D2となっている。
【0035】
ここで、光学部材100における表示視域を広く確保するためには、入射光が平坦部103と反射面101cとを一往復したときの導光方向D1における幅を「往復幅W」として、往復幅Wを所定以上に確保する必要がある。そして、往復幅Wを広くするためには、光学部材100の厚みTを大きくする必要がある。光学部材100における往復幅Wは、以下の(3)式で表される。
【0036】
W=2×T×tanφ・・・(3)
つまり、光学部材100は、表示視域を所定以上に確保するためには、入射角θに対して導光角φをできるだけ大きくするか、あるいは厚みTを所定以上とする必要がある。しかしながら、後者の方法については薄型化のニーズに反するため、表示視域の確保および薄型化を両立するには、前者の方法が望ましい。
【0037】
ここで、入射面101aに対する法線方向と外景光L1の進む方向とのなす角度をα2とし、当該法線方向と第1入射光L21の進む方向とのなす角度をβ2とし、導光体101の屈折率をn0として、導光角φは、以下の(4)式を満たす。また、入射面101aの厚み方向D2に対する傾斜角度をψとしたとき、以下の(5)式、(6)式が成り立つ。
【0038】
sinβ2=sinα2/n0・・・(4)
α2=π/2-θ-ψ・・・(5)
β2=π/2-φ-ψ・・・(6)
(4)式ないし(6)式によれば、導光角φを入射角θよりもできるだけ大きくするためには、α2を大きくする必要がある。しかしながら、α2を大きくすると、入射面101aにおける外景光L1の反射の割合が増加すると共に、入射面101aと平行なプリズム部102の射出部分における入射光の反射の割合も増加するため、反射による光線の損失が懸念される。
【0039】
このため、光学部材100は、表示視域を所定以上に確保しつつ、厚みTを薄くすることに限界があり、表示視域の面積確保と薄型化と両立が難しい。
【0040】
一方、光学部材1における往復幅Wは、以下の(7)式で表される。
【0041】
W=Ts×tanε+Ts×tanφ=Ts(tanε+tanφ)・・・(7)
そして、光学部材1および比較例の光学部材100の往復幅Wが同じである場合、(3)式および(7)式により、光学部材1の厚みTsと光学部材100の厚みTとの間には、(8)式が成り立つ。
【0042】
Ts=2×T×tanφ/(tanε+tanφ)・・・(8)
そして、光学部材1はφ<ε<π/2となる設計であるため、tanε>tanφとなり、tanφ/(tanε+tanφ)が1/2未満、すなわちTs<Tとなる。つまり、光学部材1は、光学部材100と同じ表示視域を確保しつつも、薄型化された構成となっている。また、光学部材1は、光学部材100とは異なり、α2を所定以上に大きくする必要がないため、入射面2aおよび第3傾斜面33における反射による光線損失が抑制される効果も得られる。
【0043】
本実施形態によれば、入射面2aに入射角θで入射する外景光L1がθより大きい導光角φの第1入射光L21となり、第1入射光L21が第1傾斜面31でφより大きい導光角εの第2入射光L22で反射部41に入射する光学部材1となる。これにより、光学部材1は、射出面2bと反射面2cとが対向する部分の厚みTsを薄くしつつも、入射光がこれらの間を一往復するのに要する往復幅Wを確保できるため、表示視域の確保および薄型化の両立が可能となる。また、導光体2とは異なる材料で構成される半透過ミラーやミラーを有さず、全反射により入射光を導光するため、導光体2内において光の吸収による光線の損失が抑制され、従来よりも射出面2bにおける外景の視認性が向上する。
【0044】
(第2実施形態)
第2実施形態の光学部材1について、図面を参照して説明する。
【0045】
本実施形態の光学部材1は、例えば
図7に示すように、射出面2bの構成が変更されている点で上記第1実施形態と相違する。本実施形態では、この相違点について主に説明する。
【0046】
射出面2bは、本実施形態では、例えば、入射面2a側から終端面2dに向かって、第1領域2ba、第2領域2bb、および第3領域2bcにより構成されている。第1領域2baおよび第2領域2bbは、複数の第1プリズム部3が繰り返し配列されたプリズムアレイであるが、第1傾斜面31の幅と第2傾斜面32から第3傾斜面33までの幅との比率が異なっている。第3領域2bcは、第2傾斜面32および第3傾斜面33を有し、第1傾斜面31を有しない複数のプリズム部が繰り返し配列されたプリズムアレイとなっている。
【0047】
以下、説明の便宜上、例えば
図8に示すように、第1領域2baおよび第2領域2bbについて、第1傾斜面31の導光方向D1における幅をそれぞれPa1、Pa2とする。また、第1領域2baないし第3領域2bcについて、第2傾斜面32から第3傾斜面33までの導光方向D1における幅をそれぞれPb1、Pb2、Pb3とする。
【0048】
なお、
図8では、第1プリズム部3の両端を結んだ仮想直線、および第2傾斜面32の延長線をそれぞれ破線で示すと共に、該仮想直線と該延長線との交点Pを示している。
図8の仮想直線は、導光方向D1に対して平行になっている。幅Pa1、Pa2は、第1傾斜面31の端部から交点Pまでの幅であり、幅Pb1、Pb2は交点Pから第3傾斜面33の端部までの幅である。つまり、幅Pa1、Pa2は、反射に寄与する第1幅、すなわち反射幅である。幅Pb1、Pb2、Pb3は、射出に寄与する第2幅、すなわち射出幅である。以下、第1プリズム部3における反射幅と射出幅の合計に対する第1傾斜面31の幅(反射幅)の比率を「反射幅の比率」という。
【0049】
第1領域2baおよび第2領域2bbは、Pa1/Pb1>Pa2/Pb2が成り立つ構成となっている。言い換えると、第1領域2baは、第2領域2bbに比べて、ミラーとして機能する第1傾斜面31の比率が高いプリズムアレイとなっている。つまり、本実施形態の光学部材1は、第3領域2bc、第2領域2bb、第1領域2baの順に、プリズムアレイにおける第1傾斜面31の比率が高くなる構成となっている。これにより、各領域2ba~2bcにおける射出光L3の光量が略均一化され、表示視域における明るさが略一定となる。
【0050】
第1実施形態のように、射出面2bの全領域において、第1傾斜面31の幅と第2傾斜面32から第3傾斜面33までの幅との比率が同じである場合、第1プリズム部3における反射幅の比率、すなわち反射率Rが一定となる。つまり、導光により反射回数が増えるほど一定の割合で入射光L2の光量が低下することとなる。例えば、反射率R=0.6であって、第1入射光L21の光量を100%としたとき、射出面2bでの1回目の反射光の光量は100×0.6=60%、残る射出光L3の光量は100-60=40%となる。続いて、射出面2bでの2回目の反射光の光量は60×0.6=36%、残る射出光L3の光量は60-36=24%となる。そして、射出面2bでの3回目の反射光の光量は36×0.6=21.6%、残る射出光L3の光量は36-21.6=14.4%となる。このように射出面2bにおける反射幅の比率が一定である場合には、1回目の射出光L3が40%、2回目の射出光L3が24%、3回目の射出光L3が14.4%といった具合に、反射回数が増えるほど射出光L3の光量が低下する。このため、表示視域のうち入射面2aから遠い位置ほど、ユーザには暗く見えてしまう。
【0051】
これに対して、本実施形態では、射出面2bは、反射幅の比率が異なる複数の領域で構成され、領域ごとに反射率Rが異なっている。例えば、第1領域2baの反射率Rを2/3、第2領域2bbの反射率Rを1/2、第3領域2bcの反射率Rを0となるように射出面2bを構成したとする。
【0052】
以下、例えば
図9に示すように、射出光L
3のうち第1領域2baから射出されるものを「第1射出光L
31」と、第2領域2bbから射出されるものを「第2射出光L
32」と、第3領域2bcから射出されるものを「第3射出光L
33」と、それぞれ称する。
【0053】
この場合、第1入射光L21の光量を100%としたとき、第1領域2baにおける反射光の光量は100×2/3≒67%、第1射出光L31の光量は100-67≒33%となる。また、第2領域2bbにおける反射光の光量は67×1/2≒34%、第2射出光L32の光量は67-34≒33%となり、第3領域2bcでは第3入射光L23がすべて射出されることとなるため、第3射出光L33の光量は約33%となる。このように、反射幅の比率、すなわち反射率Rが異なる複数の領域で射出面2bを構成することにより、射出光L31~L33の光量が同程度となるように平均化することができ、表示視域における明るさムラが低減される。
【0054】
なお、上記では、射出面2bが3つの領域2ba~2bcで構成された場合を代表例として説明したが、これに限定されるものではなく、射出面2bは、複数の領域で構成されていればよく、2つの領域でもよいし、4つ以上の領域であってもよい。
【0055】
例えば、反射面2cにおける入射光L2の最大の反射回数がm回(m:1以上の自然数)である場合、射出面2bは、m+1個の領域で構成される。この場合、入射面2aから順に第1領域、第2領域、・・・第(m+1)領域として、反射幅の比率は、第1領域から第(m+1)領域に向かうほど小さくなり、第(m+1)領域ではゼロとなる。例えば、射出面2bを4つの領域で構成する場合、各領域における反射率Rは、第1領域では3/4、第2領域では2/3、第3領域では1/2、第4領域では0とすればよい。すると、4つに分割された射出面2bの場合における各領域の射出光L3の光量は、第一領域では100×(1-3/4)=25%、第2領域では75×(1-2/3)=25%、第3領域では50×(1-1/2)=25%、第4領域では残りの25%となる。このように、射出面2bは、m+1個の領域で構成される場合、x番目の領域のPax/(Pax+Pbx)をPax/(Pax+Pbx)=(m+1-x)/(m+2-x)で表される関係とされることで、各領域における射出光L3の光量が均一になる。なお、xは1以上m以下の整数であり、m+1領域での反射率は0である。
【0056】
なお、第1領域~第(m+1)領域において、反射幅をPa1~Pa(m+1)とし、射出幅をPb1~Pb(m+1)として、光学部材1は、以下の(9)式を満たす。
【0057】
Pa1/Pb1>Pa2/Pb2>…>Pam/Pbm>Pa(m+1)/Pb(m+1)・・・(9)
また、複数の第1プリズム部3は、第1傾斜面31を有しない最も終端面2d側の領域のものを除き、同一角度の傾斜面で構成されており、各領域において同一の幅・高さであってもよいし、異なる幅・高さであってもよい。また、第1領域~第m領域において、反射幅Pa1~Pamおよび射出幅Pb1~Pbmは、例えば、各領域におけるプリズム部3の数をk1~kmとして、以下の数式10ないし13で表される一定値を中心とする所定の範囲内の値とされることが好ましい。
【0058】
【0059】
【0060】
【0061】
【数13】
これにより、射出面2bにおける反射幅と射出幅との比率が一定とされた周期構造に起因するモアレ発生を抑制することができる。さらには、領域毎に構造の周期が異なるため、各領域内の反射幅と射出幅との比率が一定値である場合でもモアレの発生を抑制することができる。
【0062】
本実施形態によれば、上記第1実施形態と同様の効果に加えて、射出面2bにおける射出光の光量が平均化され、明るさを確保できる効果が得られる光学部材1となる。また、射出面2bの各領域において反射幅および射出幅が一定値を中心とする所定の範囲内の値である場合、モアレの発生を抑制する効果も得られる。
【0063】
(第2実施形態の第1変形例)
光学部材1は、例えば
図10に示すように、反射部41の導光方向D1における幅をLcとして、第2プリズム部4におけるLcが場所によって一部または全部が異なる構成とされてもよい。つまり、光学部材1は、反射面2cにおけるLcの値がランダムとされた、いわばランダム面とされてもよい。これにより、反射面2cにおける第2入射光L
22の反射のパターンが一定の周期的なものではなくなり、第2領域2bbや第3領域2bcへの第3入射光L
23の入射パターンがランダムなものとなり、モアレの発生を抑制することができる。
【0064】
本変形例によっても、上記第2実施形態と同様の効果が得られると共に、モアレの発生を抑制する効果も得られる光学部材1となる。なお、本変形例では、射出面2bにおける各領域において反射幅および射出幅が一定値であっても、反射面2cがランダム面であることでモアレの発生を抑制することが可能である。
【0065】
(第2実施形態の第2変形例)
光学部材1は、例えば
図11に示すように、反射面2cが1つの平坦面2caとされた構成であってもよい。この場合、射出面2bにおける第1プリズム部3は、それぞれ、第1傾斜面31が平坦面2caに対して平行な構成とされる。これにより、光学部材1は、
図12に示すように、第1領域2baおよび第2領域2bbからの反射光、すなわち第2入射光L
22が平坦面2caで反射され、射出面2bに向かう構成となる。また、これにより、光学部材1は、第3入射光L
23同士の隙間が抑制される。
【0066】
具体的には、例えば
図13に示すように、反射面2cが複数の第2プリズム部4を有する構成である場合、隣接する反射部41の間に第2入射光L
22の反射に寄与しないエッジ部分が存在する。このため、異なる反射部41で反射されて生じる第3入射光L
23の間には光線の隙間が生じてしまう。
【0067】
一方、本変形例では、反射面2cが一様な平坦面2caであるため、上記の光線の隙間、すなわち反射面2cのプリズムアレイに起因する周期的な反射パターンが生じないため、モアレの発生を抑制できる。また、本変形例では、反射面2cには第2入射光L22の反射に寄与しないエッジ部分がないため、該エッジ部分における光の散乱がなく、この散乱光が第3入射光L23に重畳しない。このため、射出光L3に意図しない散乱光が重畳せず、表示視域における外景の視認性がより向上する効果が得られる。
【0068】
本変形例によっても、上記第2実施形態と同様の効果が得られると共に、モアレの発生抑制および表示視域における外景の視認性向上の効果が得られる光学部材1となる。
【0069】
(第2実施形態の第3変形例)
光学部材1は、例えば
図14に示すように、射出面2bの近傍に、空洞層5を有する構成であってもよい。
【0070】
空洞層5は、例えば、空気が内包される板状の空間である。空洞層5は、射出面2bのうち第1領域2baや第2領域2bbのように、第1傾斜面31を有する複数の第1プリズム部3により構成される領域に配置される。言い換えると、空洞層5は、射出面2bのうち入射光を反射させない領域以外の領域に配置される。反射面2cのうち反射部41を第1反射面として、例えば
図15に示すように、空洞層5のうち第1傾斜面31とは反対側に位置する面は、入射光を反射する第2反射面5aとなっている。なお、空洞層5は、第3傾斜面33への光の入射を妨げないように、隣接する第1傾斜面31の幅に合わせて、導光方向D1における幅については各領域において適宜変更される。
【0071】
第2反射面5aは、反射部41(第1反射面)と同一の傾斜、すなわち反射部41に対して平行になっている。第2反射面5aは、例えば、空洞層5に導光体2よりも低屈折率の空気が存在することで、第1入射光L21や第3入射光L23が全反射される面となっている。
【0072】
本変形例では、第1傾斜面31は、その外表面に光吸収膜6が形成されている。光吸収膜6は、例えば、黒色塗料などの可視光を吸収する任意の材料により構成され、スプレー塗布などの任意の手法により形成される。これにより、射出面2b側から導光体2に不要な外光が侵入すること、およびこれによるノイズやゴースト像の発生を抑制することができる。
【0073】
本変形例では、例えば、導光体2は、
図16に示すように、反射面2cおよび反射面2cに対して平行な複数の第3プリズム部7を有する基部21と、複数の第1プリズム部3を有するプリズムシート22とを有してなる。導光体2は、例えば、基部21とプリズムシート22とが図示しない光学接着剤により貼り合わせられることで形成される。
【0074】
基部21は、例えば、反射面2cとは反対側の面が、複数の第3プリズム部7が繰り返し配列されてなるプリズムアレイとなっている。第3プリズム部7は、例えば、反射部41に対して平行な第4傾斜面71と、これに隣接する隣接面72とを有してなる。第4傾斜面71は、プリズムシート22が貼り付けられることで空洞層5の一部の内壁を構成する部位である。つまり、第4傾斜面71は、一部が第2反射面5aとなる部位である。隣接面72は、入射光の全反射が生じないように厚み方向D2に対する傾斜角度が適宜調整されている。
【0075】
プリズムシート22は、例えば、射出面2bとは反対側の面が、隣接面72と平行な面を有する複数の凸部221と、凸部221に隣接し、第4傾斜面71と平行な底面を有する複数の凹部222とを有した構成となっている。凸部221は、例えば、基部21とプリズムシート22とが貼り合わせられたとき、隣接面72と当接する。一方、凹部222は、このとき、底面が第4傾斜面71とは離れた位置となることで、例えば、板状の空間の空洞層5を構成する。
【0076】
本変形例によっても、上記第2実施形態と同様の効果が得られると共に、第1傾斜面31に光吸収膜6が配置されることで、射出面2b側からの不要な外光の侵入を抑制し、ノイズやゴースト像の発生を抑制する効果が得られる光学部材1となる。
【0077】
なお、光学部材1は、例えば
図17に示すように、空洞層5に代わって、可視光反射率が所定以上(限定するものではないが、例えば99%以上)の任意の材料で構成された反射膜8が配置された構成であってもよい。この場合、光学部材1は、反射膜8が第2反射面として機能する。また、プリズムシート22は、凹部222に代わって、スパッタリングなどの任意の手法で形成された反射膜8を有した構成とされる。この場合も、光学部材1は、上記と同様の手法で形成することができ、上記変形例と同様の効果が得られる。
【0078】
(他の実施形態)
本開示は、実施例に準拠して記述されたが、本開示は当該実施例や構造に限定されるものではないと理解される。本開示は、様々な変形例や均等範囲内の変形をも包含する。加えて、様々な組み合わせや形態、さらには、それらの一要素のみ、それ以上、あるいはそれ以下、を含む他の組み合わせや形態をも、本開示の範疇や思想範囲に入るものである。
【0079】
(1)例えば、光学部材1は、第1実施形態と第2実施形態の第1変形例ないし第3変形例のいずれか1つとを組み合わせた構成であってもよいし、第2実施形態の第1変形例または第2変形例と第3変形例とを組み合わせた構成であってもよい。このように、光学部材1は、各実施形態およびその変形例同士を可能な範囲内で自由に組み合わせた構成とされうる。
【0080】
(2)また、光学部材1は、例えば
図18に示すように、背面2eが端部2a1、2c1を直線状に繋いだ1つの面でなく、端部2a1、2c1の間に2以上の面を有する構成であってもよい。この場合、端部2a1、2c1を直線状に結んだときの仮想直線VLと厚み方向D2とのなす角度がξ(<φ)であればよい。また、背面2eは、湾曲した湾曲面であってもよい。このように、背面2eの形状については、上記各実施形態およびその変形例において任意である。
【0081】
(3)なお、上記各実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。また、上記各実施形態において、実施形態の構成要素の個数、数値、量、範囲等の数値が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではない。また、上記各実施形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に特定の形状、位置関係等に限定される場合等を除き、その形状、位置関係等に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0082】
2…導光体、2a…入射面、2a1…入射面のうち射出面とは反対側の端部
2b…射出面、2c…反射面、2c1…反射面のうち入射面側の端部
3…第1プリズム部、31…第1傾斜面、32…第2傾斜面、33…第3傾斜面
4…第2プリズム部、41…反射部、42…隣接面
D2…厚み方向、Pa1~Pa(m+1)…第1傾斜面の幅
Pb1~Pb(m+1)…第2傾斜面から第3傾斜面までの幅
Td…入射面の最大厚み(入射面高さ)、Ts…射出面と反射面との間隔
VL…入射面の端部と反射面の端部とを繋ぐ仮想直線