(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2026-04-28
(45)【発行日】2026-05-12
(54)【発明の名称】缶体
(51)【国際特許分類】
B65D 1/46 20060101AFI20260430BHJP
B65D 1/16 20060101ALI20260430BHJP
B65D 8/04 20060101ALI20260430BHJP
B65D 8/08 20060101ALI20260430BHJP
【FI】
B65D1/46
B65D1/16 111
B65D8/04 G
B65D8/08
(21)【出願番号】P 2021199850
(22)【出願日】2021-12-09
【審査請求日】2024-11-13
(73)【特許権者】
【識別番号】313005282
【氏名又は名称】東洋製罐株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000003768
【氏名又は名称】東洋製罐グループホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000383
【氏名又は名称】弁理士法人エビス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小林 智一
(72)【発明者】
【氏名】福本 隼人
(72)【発明者】
【氏名】中村 友彦
(72)【発明者】
【氏名】神山 昂大
【審査官】秋山 誠
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-054999(JP,A)
【文献】中国実用新案第202063307(CN,U)
【文献】特開2000-211624(JP,A)
【文献】特開平09-285832(JP,A)
【文献】特開2020-100446(JP,A)
【文献】国際公開第2021/186829(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 1/46
B65D 1/16
B65D 8/04
B65D 8/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
缶底と、前記缶底の外周から缶軸に沿って延びる缶軸を中心とした円筒状の缶胴と、を有する有底円筒状のアルミ合金製の缶体であって、
前記缶底は、前記缶底の中央部に設けられるドーム部と、前記ドーム部の外周縁から連続し缶軸方向に沿って前記缶体の外側に環状に突出する環状凸部と、を有し、
前記ドーム部における缶軸上のアルミ合金の厚さが0.18~0.26mmであり、
前記環状凸部は、
前記ドーム部に連続して設けられ、前記缶体の径方向外側に凸となる曲面を有するリセス部と、
前記缶体を支持する接地部と、
前記接地部から前記リセス部に至る内周壁部と、を含み、
前記接地部には、前記接地部における缶軸方向下側に向けて最も突出する部位を挟んで、缶軸に近い側に第1凸曲面部と、缶軸から遠い側に第2凸曲面部とが形成され、
前記内周壁部は、傾斜面を有し、
前記缶胴の外径は、直径50mm以上59mm以下の範囲内であり、
前記接地部から前記缶胴の上端までの缶高さは、120mm以上190mm以下の範囲内であり、
缶軸を含む縦断面視において、
リセス深さは、0.5mm以上0.9mm以下であり、
接地径は、φ44.0mm以上47.0mm以下であり、
前記第1凸曲面部の曲率半径は0.4mm以上0.7mm以下であり、
前記第2凸曲面部の曲率半径は1.6mm以上2.2mm以下であり、
前記内周壁部における前記傾斜面の缶軸とのなす角度は15°以上30°以下である、缶体。
ここで、リセス深さは、前記リセス部における前記缶体の外表面の前記缶軸から最も遠い部分と、前記接地部における前記缶体の外表面の前記缶軸に最も近い部分と、の間の径方向の距離であり、前記接地径は、前記接地部における缶軸方向下側に向けて最も突出する部位の直径である。
【請求項2】
前記リセス部の曲率半径は、0.3mm以上1.2mm以下であり、
前記接地部における缶軸方向下側に向けて最も突出する部位から、前記リセス部における前記缶体の外表面の前記缶軸から最も遠い部分までの缶軸方向の距離が1mm以上4mm以下である請求項
1に記載の缶体。
【請求項3】
前記ドーム部は、
一端が前記ドーム部の外周縁に連続し、他端が前記リセス部に連続するテーパ部を含む、請求項1
又は請求項2に記載の缶体。
【請求項4】
前記ドーム部は、前記缶底の中央部において缶軸方向に沿って前記缶胴の内部側に凹む第1ドームと、前記第1ドームの外周縁に径方向外側に連続して設けられ、前記缶胴の内部側に凹み、前記第1ドームよりも曲率半径の小さい第2ドームと、を含む、請求項1から請求項
3の何れか1項に記載の缶体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、缶体であって、特に、缶底にボトムリフォームが施された缶体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、飲料等の内容物を充填する容器としてアルミ合金製絞りしごき缶(2ピース缶)が知られている。アルミ合金製絞りしごき缶を構成する缶体は、アルミ合金からなる板材を円形状に打ち抜き、絞り加工を施して深さの浅い有底円筒状のカップ部材に成形し、カップ部材に再絞り・しごき加工を施して缶底と缶胴とを一体的に成形することにより得られる。
【0003】
このような缶体では、省資源化の観点から缶胴の板厚の薄肉化が要請されている。特に、炭酸飲料等を内容物とする場合には、薄肉化した缶体であっても充分な耐圧強度を確保するために缶底に工夫が施されている。具体的には、缶底に、中央部が缶体内部側に凹むドーム部及びドーム部の周囲に環状凸部を設け、環状凸部に対してボトムリフォームを施すことにより薄肉化に伴う耐圧強度を確保している(例えば、特許文献1)。また、このような缶体では、市場に流通させるため、落下の衝撃に対する充分な落下強度も併せて確保することが求められている(例えば、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2000-190961号公報
【文献】米国特許7740148号公報
【文献】中国実用新案登録第203903013号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、近年、ビール等を内容物とする一般的な2ピース缶(211径)に代わり、スタイリッシュなデザイン性から、より小径の細長い2ピース缶(例えば204径)が採用されることが増えつつある(例えば、特許文献3)。
上述のような環状凸部を缶体の内側に変形させるボトムリフォームは、ボトムリフォーム後の缶体に内容物を充填した場合に、内容物の量がボトムリフォーム前の缶体と同量であっても、内容物の液面を高くさせてしまうため、内容物の充填量に影響を及ぼす。204径のような小径の缶体の場合には、この影響が211径の缶体に比して大きくなる。つまり、小径の缶体の場合、ボトムリフォームによる変形に起因して、缶体に充填される内容物の液面の高さが、211径の缶体よりも大きく変動する。このため、所定の充填量の確保、耐圧強度及び落下強度の確保の全てを満足させることが難しいという問題が生じる。
【0006】
本発明は、上述の事情に鑑みてなされたものであり、上述のような問題点を解決することを課題の一例とする。すなわち、本発明は、内容物の所定の充填量を確保しながら、耐圧強度及び落下強度を確保すること等を課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、缶底と、前記缶底の外周から缶軸に沿って延びる缶軸を中心とした円筒状の缶胴と、を有する有底円筒状のアルミ合金製の缶体であって、前記缶底は、前記缶底の中央部に設けられるドーム部と、前記ドーム部の外周縁から連続し缶軸方向に沿って前記缶体の外側に環状に突出する環状凸部と、を有し、前記ドーム部における缶軸上のアルミ合金の厚さが0.18~0.26mmであり、前記環状凸部は、前記ドーム部に連続して設けられ、前記缶体の径方向外側に凸となる曲面を有するリセス部と、前記缶体を支持する接地部と、前記接地部から前記リセス部に至る内周壁部と、を含み、前記接地部には、前記接地部における缶軸方向下側に向けて最も突出する部位を挟んで、缶軸に近い側に第1凸曲面部と、缶軸から遠い側に第2凸曲面部とが形成され、前記内周壁部は、傾斜面を有し、前記缶胴の外径は、直径50mm以上59mm以下の範囲内であり、前記接地部から前記缶胴の上端までの缶高さは、120mm以上190mm以下の範囲内であり、缶軸を含む縦断面視において、リセス深さは、0.5mm以上0.9mm以下であり、接地径は、φ44.0mm以上47.0mm以下であり、前記第1凸曲面部の曲率半径は0.4mm以上0.7mm以下であり、前記第2凸曲面部の曲率半径は1.6mm以上2.2mm以下であり、前記内周壁部における前記傾斜面の缶軸とのなす角度は15°以上30°以下である、缶体を提供する。ここで、リセス深さは、前記リセス部における前記缶体の外表面の前記缶軸から最も遠い部分と、前記接地部における前記缶体の外表面の前記缶軸に最も近い部分と、の間の径方向の距離であり、前記接地径は、前記接地部における缶軸方向下側に向けて最も突出する部位の直径である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、内容物の所定の充填量を確保しながら、耐圧強度及び落下強度を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】
図1に示す缶体の缶底の部分拡大断面図である。
【
図3】本発明の実施形態に係るアルミ合金製絞りしごき缶の変形例1に係る缶底の拡大断面図である。
【
図4】本発明の実施形態に係るアルミ合金製絞りしごき缶の変形例1に係る缶底の拡大断面図である。
【
図5】本発明の実施形態に係るアルミ合金製絞りしごき缶の実施例と比較例について、接地径を変化させて缶体を落下させた試験結果を示す表である。
【
図6】本発明の実施形態に係るアルミ合金製絞りしごき缶の実施例と比較例について、リセス深さを変化させて缶体を落下させた試験結果を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の説明において、同一の符号は同一の機能の部位を示しており、各図における重複説明は適宜省略する。
【0011】
図1は、缶体10の缶軸Oに沿う縦断面図であって、缶体10の概略を示している。なお、
図1では、缶体10の板厚について記載を省略した線図で断面形状を示している。
図1に示すように、缶体10は、缶底11と、缶底11の外周から缶軸Oに沿って延びる缶軸Oを中心とした円筒状の缶胴12と、を有する有底円筒状に形成されている。
【0012】
缶底11は、ドーム部111と環状凸部112とを備えている。ドーム部111は、缶底11の中央部に設けられ、環状凸部112は、ドーム部111の外周縁から連続し缶軸O方向に沿って缶体10の外側に環状に突出し缶体10を支持する。
環状凸部112は、ドーム部111に連続して設けられ、缶体10の径方向外側に凸となる曲面を有するリセス部112Aと、缶体10を支持する接地部112Bと、接地部112Bからリセス部112Aに至る内周壁部112Cとを有している(
図2参照)。
【0013】
(実施形態)
本発明の実施形態に係る缶体は、例えば、アルミ合金製絞りしごき缶である。
本実施形態に係る缶体はアルミ合金製絞りしごき缶であって、
図1に示す缶体10と同様の構成を有し、各部の形状及び寸法を最適化したものである。したがって、以下、
図1も参照しながら本実施形態に係るアルミ合金製絞りしごき缶としての缶体10の形状及び寸法について説明する。
【0014】
アルミ合金製絞りしごき缶としての缶体10は、例えば、アルミ合金からなる板材を円形状に打ち抜き、絞り加工を施して有底円筒状のカップ部材に成形し、カップ部材に再絞り・しごき加工を施すことで、缶底11と缶胴12とを一体的に成形し、その後、缶胴12の開口端をトリミング加工、ネッキング加工及びフランジ加工することで得られる。
【0015】
缶体10は、缶底11と、缶底11の外周から缶軸Oに沿って延びる缶軸Oを中心とした円筒状の缶胴12とを有し、缶底11及び缶胴12によって有底円筒状をなしている。缶底11及び缶胴12は、缶軸O周りに全周に亘って同一の形状を有している。
【0016】
缶体10は、缶底11の接地部(後述)から缶胴12の上端までの缶高さが120mm以上190mm以下の範囲内であり、
図1に示す例では、155.0mmとしている。
缶胴12は、外径が直径50mm以上59mm以下の範囲内であり、
図1に示す例では、57.2mmとしている。
【0017】
図2に、缶底11を説明する拡大断面図を示す。
図2は
図1に示す缶底11の部分拡大断面図を示している。
缶底11は、ドーム部111と環状凸部112とを備えている。
図2に示すように、ドーム部111は、缶底11の中央部に設けられ、缶軸O方向に沿って缶胴12の内部側に向けて凹むドーム状の凹曲面を含む複数の曲面を有している。
図1に示す例では、ドーム部111は、第1ドーム111A及び第2ドーム111Bの2つの曲面と、テーパ部111Cとを含んで構成されている。
【0018】
第1ドーム111Aは、缶底11の中央部分において缶軸O方向に沿って缶胴12の内部側に凹む曲率半径R1の凹曲面を有している。また、第2ドーム111Bは、第1ドーム111Aの周囲に位置し、第1ドーム111Aの外周縁の径方向外側に連続して設けられ、缶胴12の内部側に凹む曲率半径R2の凹曲面を有している。第2ドーム111Bの曲率半径R2は、第1ドーム111Aの曲率半径R1よりも小さい。
【0019】
第1ドーム111Aの缶軸O上におけるアルミ合金の厚さ(以下、単に「アルミ合金の厚さ」という)は、0.18以上0.26mm以下であることが好ましい。アルミ合金の厚さが、過小である場合は、再絞り・しごき加工の段階で破胴等の発生が増大し歩留まり率の低下のおそれがあり、一方、過大である場合は、材料使用量が増大してしまうため、いずれも省資源化の要請に反する。したがって、アルミ合金の厚さを上記範囲内とすることで、缶体を薄肉化して省資源化を図ると共に、破胴等を抑制して歩留まり率を向上させることができる。
【0020】
ドーム部111は、
図1の例のように、互いに異なる曲率半径の複数の曲面を有していてもよい。また、曲率半径が漸次無段階に変化する曲面とすることができるほか、単一の曲率半径の曲面とすることもできる。その他、公知のドーム形状を適用することもできる。
【0021】
テーパ部111Cは、第2ドーム111Bの外周囲に設けられる面であり、一端が第2ドーム111Bの外周縁に連続し、他端が後述するリセス部112Aに連続するように設けられることで、第2ドーム111Bからリセス部112Aに向かうに従って漸次拡径するテーパ面である。テーパ部111Cは、缶軸Oを含む縦断面視において直線状であってもよく、缶体10の内側若しくは外側に向かって突出する曲面であってもよい。
【0022】
環状凸部112は、ドーム部111の外周縁に、缶軸O方向に沿って缶体10の外側に向けて環状に突出する。
図2の例では、環状凸部112は、リセス部112A、接地部112B、及び内周壁部112Cを有している。
【0023】
リセス部112Aは、ドーム部111の外周縁から連続するように設けられ、缶体10において径方向外側に凸となる曲面を有している。リセス部112Aにおける曲面の曲率半径は、0.3mm以上1.2mm以下とすることが好ましい。リセス部112Aの高さ、すなわち、接地部112Bの接地部位113(接地部112Bにおいて、缶軸O方向下側に向けて最も突出し、接地面Gと接触する箇所)から、リセス部112Aにおける缶体10の外表面の缶軸Oから最も遠い部分までの缶軸O方向の距離が1mm以上4mm以下であることが好ましい。これにより、内容量及び耐圧強度を確保することができる。尚、リセス部112Aにおける曲面の曲率半径は、それぞれが0.3mm以上1.2mm以下の互いに異なる曲率半径の複数の曲面を有していてもよい。
【0024】
接地部112Bは、缶体10を略水平の接地面(水平面)Gに載置した場合に、接地部位113が接地面Gに接地して缶体10を支持する。接地部112Bは、接地部位113を挟んで両側に2つの凸曲面を有している。
具体的には、
図1及び
図2に示すように、接地部112Bには、接地部位113より缶軸Oに近い側に第1凸曲面部113A、接地部位113より缶軸Oから遠い側に第2凸曲面部113Bが形成されている。第1凸曲面部113Aの曲率半径R3は0.4mm以上0.7mm以下、第2凸曲面部113Bの曲率半径R4は1.6mm以上2.2mm以下とすることが好ましい。これにより落下強度を確保することができる。
【0025】
内周壁部112Cは、接地部112Bとリセス部112Aとの間に設けられ、缶軸O方向に沿ってリセス部112Aから接地部112Bに向かうに従って漸次縮径するように傾斜している。内周壁部112Cの傾斜角度、すなわち、内周壁部112Cと缶軸Oとの成す角度は、15°以上30°以下であることが好ましい。
【0026】
環状凸部112は、
図1に示す缶軸Oを含む縦断面視において、リセス深さが0.5mm以上0.9mm以下、接地径がφ44.0mm以上47.0mm以下となるように形成することが好ましい。
ここで、リセス深さd1は、リセス部112Aにおける缶体10の外表面の缶軸Oから最も遠い部分と、接地部112Bにおける缶体10の外表面の缶軸Oに最も近い部分との間の径方向の距離である。
また、接地径は、接地部112Bにおける接地部位113の直径である。
図1の例では、リセス深さd1を0.7mm、接地径をφ45.5mmとしている。
上記構成により、内容量、耐圧強度、及び落下強度を両立させ、且つより効果的に確保することができる。
【0027】
缶胴12は、缶底11の外周から缶軸Oに沿って延びる缶軸Oを中心とした円筒状に形成されている。缶胴12の上端部に設けられるネック部121は、缶軸Oに沿って缶胴の上方に向かうに従って缶胴12の外径が漸次縮径されるように形成されている。ネック部121には、缶胴12よりも小径の缶蓋(図示せず)が設けられるようになっている。なお、
図1の例では、ネック部121における最小外径は52.4mmとなっている。
【0028】
ネック部121は、上端部に、缶体10の径方向において、缶体10の内部側へ凹む曲率半径r1の凹曲面121Aと、下端部に、缶体10の径方向において缶体10の外部側に凸となる曲率半径r2の凸曲面121Bとを備えている。また、上端部の凹曲面121Aと下端部の凸曲面121Bとの間に、缶体10の径方向において、缶体10の内部側へ凹む曲率半径r3の凹曲面121Cとを有している。缶体10の開口端部、すなわちネック部121の上端には、フランジ部123が形成されている。
図1の例では、曲率半径r1は1.5mm、曲率半径r2は5.0mm、曲率半径r3は10.0mmとなっている。各曲率半径の値は、一例にすぎず、これらの値に限定されない。
【0029】
(変形例1)
以下、上記した実施形態に係る缶体の変形例1について説明する。
図3に、本変形例1に係る缶体の缶軸Oに沿う縦断面視における缶底11の拡大図を示す(
図3においては、缶軸Oを図示せず)。
図3に示すように、上述した実施形態に係る缶体に比して、本変形例では、リセス部112Aの曲率半径が大きくなっており、かつ、内周壁部の縦断面視における距離が短くなっている。
【0030】
図3に示すような環状凸部112を得るには、例えば、
図4に示すように、所定のリフォームロール20を用いてボトムリフォームを施す。すなわち、ドーム部111の第2ドーム111Bから缶軸O方向に沿って缶体の外側に向かって伸びる環状凸部に対し、径方向外側にリフォームロール20を押し当てて環状凸部を変形させる。これにより、リフォームロール20の形状及び押し当てる量に応じたリセス部112Aが形成されると共に、リセス部112Aの上方側にテーパ部111C、リセス部112Aの下方側に内周壁部112Cが形成される。
【0031】
なお、本変形例ではリフォームロールを用いることにより環状凸部を成形してボトムリフォームを行う例について説明したが、ボトムリフォームを施す手法はこれに限られず、その他の手法を適宜用いることができる。
【0032】
図5及び
図6は、各部の寸法を調整した缶体10について、落下試験の結果を示す表である。
図5及び
図6では、単体落下試験及びケース落下試験の2種類の落下試験についての結果を示している。各落下試験は、以下の条件に基づいて行った。
【0033】
(1)単体落下試験
一例として、炭酸水335mlを充填して缶蓋により密封し、充分振盪させた缶体10を、単体で落下させた試験である。
【0034】
単体落下試験では、天面が傾斜角度10°の平面になる様に加工されたねずみ鋳鉄製ブロック上に、製品缶の輸送に用いる包装用段ボールカートンの素材を1枚敷いた面を、落下面とする。このような落下面に対して、缶体10を、接地部112Bを下側とし、缶軸Oが鉛直方向に沿う状態で、接地部112Bから落下面までの最短距離が20cmとなる高さから自由落下させた。
【0035】
(2)ケース落下試験
一例として、炭酸水355mlを充填し缶蓋によって密封した缶体10を、製品缶の輸送に用いる直方体状の包装用段ボールカートンに24本収容した状態で充分振盪させてから落下させた試験である。
【0036】
ケース落下試験では、水平のコンクリートの地面に載置したSPCC製厚さ20mmのダル仕上げの鉄板を落下面とする。このような落下面に対して、包装用段ボールカートンを、内部に収容された缶体10の接地部112Bを下側とし、包装用段ボールカートンの長手方向を水平状態から20°傾け、包装用段ボールカートンと鉄板との最短距離が15cmとなる高さから自由落下させた。
【0037】
図5及び
図6に示す表では、リセス部112Aにおける缶体10の外表面の缶軸Oから最も遠い部分と、接地部112Bにおける缶体10の外表面の缶軸Oに最も近い部分との間の径方向の距離を示す「リセス深さ」、接地部112Bにおける接地部位113の直径を示す「接地径」、第1ドーム111Aの缶軸O上におけるアルミ合金の厚さを示す「アルミ合金の厚さ」、接地部112Bから缶胴12の上端までの缶高さを示す「缶高さ」、缶胴12の外径を示す「缶胴外径」、缶体10の内部に充填させた炭酸水について「液温」と「内圧」とを「充填物仕様」、ドーム部111又は環状凸部112の何れかの個所に対する変形について評価した結果を「評価」として示している。
【0038】
図5に、アルミ合金の厚さを0.22mm、缶高さを155.3mm、リセス深さを0.68mm、缶胴外径を57.2mmとし、接地径を43.0mmから47.5mmまで0.5mmずつ変化させて形成した実施例及び比較例に係る缶体10を用いた落下試験の結果を示す。
【0039】
図6に、アルミ合金の厚さを0.22mm、缶高さを155.3mm、接地径を45.4mm、缶胴外径を57.2mmとし、リセス深さを0.40から0.85まで0.5mmずつ変化させて形成した実施例及び比較例に係る缶体10を用いた落下試験の結果を示す。
【0040】
図5及び
図6に示す表では、実施例及び比較例に係る全ての落下試験において、缶体10としてアルミ合金製絞りしごき缶を用い、缶体10の充填物は、液温を35℃とし、振盪前の静置した状態で内圧を400kPa及び500kPaとしてそれぞれ落下試験を行った結果を「評価」の欄に示している。
【0041】
「評価」の欄では、落下試験後の缶体を単体で水平面に載置し自立させた状態で、缶胴12の傾斜角度が2°未満であり且つドーム部111の反転が認められなかった場合を「合格」と評価し「〇」と示した。また、同様に、缶体を自立させた状態で、缶胴12の傾斜角度が2°以上、若しくは、ドーム部111の一部にでも反転が認められた場合を「不合格」と評価し「×」と示した。
【0042】
図5の表から、接地径が43.0mmの場合(比較例1-1)には、内圧400kPa及び500kPaの2種の缶体10に対して、単体落下試験及びケース落下試験共に不合格となった。接地径が43.5mmの場合(比較例1-2)には、内圧500kPaの缶体10ついて、単体落下試験及びケース落下試験共に不合格となった。また、接地径が47.5mmの場合(比較例1-3)には、内圧400kPaのケース落下試験のみドーム部111に変形が生じず、その他の場合には不合格となった。
【0043】
一方、接地径が44.0mm以上47.0以下の場合(実施例1-1から実施例1-7)、内圧400kPa及び500kPaの2種の缶体10に対して、単体落下試験及びケース落下試験共に合格であった。
【0044】
また、
図6の表から、リセス深さが0.40mmの場合(比較例2-1)には、内圧400kPa及び500kPaの2種の缶体10に対して、単体落下試験及びケース落下試験共不合格となった。リセス深さが0.45mmの場合の場合(比較例2-2)には、内圧400kPaの単体のみ合格であり、その他の場合には不合格となった。リセス深さが0.85mmの場合(比較例2-3)には、内圧400kPa及び500kPaの2種の缶体10に対して、単体落下試験及びケース落下試験共に不合格となった。
【0045】
一方、リセス深さが0.50mm以上0.80以下の場合(実施例2-1から実施例2-7)、内圧400kPa及び500kPaの2種の缶体10に対して、単体落下試験及びケース落下試験共に合格であった。
【0046】
以上述べた如く、本実施形態によれば、缶体の形状および寸法を最適化し、缶底11において、リセス深さを0.5mm以上0.8mm以下、接地径をφ44.0mm以上47.0mm以下となるように、ボトムリフォームを施している。このようにすることで、缶体10において、内容物の所定の充填量を確保しながら、耐圧強度及び落下強度を確保することができる。
【符号の説明】
【0047】
10:缶体、11:缶底、12:缶胴、20:リフォームロール、111:ドーム部、111A:第1ドーム、111B:第2ドーム、111C:テーパ部、112:環状凸部、112A:リセス部、112B:接地部、112C:内周壁部、113:接地部位、113A:第1凸曲面部、113B:第2凸曲面部、121:ネック部、121A:凹曲面、121B:凸曲面、121C:凹曲面、123:フランジ部