特許7930659IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2026.10.10 β版

特許7930659蓄電デバイス及び蓄電デバイスの製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】
(45)【発行日】
(54)【発明の名称】蓄電デバイス及び蓄電デバイスの製造方法
(51)【国際特許分類】
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
【FI】
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】
(22)【出願日】
(65)【公開番号】
(43)【公開日】
【審査請求日】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】520184767
【氏名又は名称】プライムプラネットエナジー&ソリューションズ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】399107063
【氏名又は名称】トヨタバッテリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】内田 陽三
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 友紀
(72)【発明者】
【氏名】藤村 哲史
(72)【発明者】
【氏名】立山 望美
(72)【発明者】
【氏名】内村 将大
(72)【発明者】
【氏名】浅井 正孝
(72)【発明者】
【氏名】松本 繁
(72)【発明者】
【氏名】瀧本 崇志
(72)【発明者】
【氏名】中村 竣亮
(72)【発明者】
【氏名】町田 圭太郎
【審査官】田代 吉成
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-145173(JP,A)
【文献】特開2022-79172(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/188
H01M 50/176
H01M 50/184
H01M 50/15
H01M 50/103
H01M 50/193
H01M 50/553
H01M 50/55
H01M 10/04
H01G 11/06
H01G 11/78
H01G 11/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項】
挿通孔を有し、蓋長手方向に延びるケース蓋部材と、
前記ケース蓋部材の前記挿通孔内に挿通された端子部材と、
前記ケース蓋部材と前記端子部材の間を絶縁しつつ、これらに気密に接合し、前記ケース蓋部材に前記端子部材を固定する樹脂部材と、を備える
蓄電デバイスであって、
前記樹脂部材は、
前記ケース蓋部材の蓋厚み方向の外側に位置する樹脂外側部と、
前記ケース蓋部材の前記蓋厚み方向の内側に位置する樹脂内側部と、
前記ケース蓋部材の前記挿通孔内に位置し、前記樹脂外側部及び前記樹脂内側部に一体に繋がる樹脂孔内部と、を有し、
前記樹脂外側部の体積V1が前記樹脂内側部の体積V2よりも大きく(V1>V2)、
前記端子部材は、
前記樹脂外側部、前記樹脂孔内部及び前記樹脂内側部を貫通して前記蓋厚み方向の内側に延出しており、
前記樹脂部材の前記樹脂内側部は、
前記蓋長手方向を向き、前記端子部材に接合した一対の長手側接合面を含んでおり、
前記ケース蓋部材と前記樹脂部材は、
前記樹脂部材をなす樹脂材がフィラーを含んでおり、この樹脂材の-40~65℃の温度範囲における線膨張係数α1を、前記ケース蓋部材をなす金属の-40~65℃の温度範囲における線膨張係数α2よりも小さく(α1<α2)してなり、
前記蓄電デバイスを-40℃の温度環境下に置いたとき、
前記樹脂部材に、前記蓋長手方向について前記蓋厚み方向の外側に凸形状の反りが生じて、
前記樹脂内側部のうち一対の前記長手側接合面がそれぞれ前記端子部材を前記蓋長手方向に押圧する構成とされた
蓄電デバイス。
【請求項】
請求項1に記載の蓄電デバイスであって、
前記端子部材のうち、前記樹脂部材が気密に接合する端子シール部は、
その表面に、前記端子部材をなす金属に由来する直径100nm以下の粒子が数珠つなぎ状に結合して柱状をなす高さ50nm以上の端子ナノ柱が林立しており、
前記樹脂部材は、
林立する前記端子ナノ柱同士の間に、前記樹脂部材をなす樹脂材が充填されて、前記端子シール部に気密に接合してなる
蓄電デバイス。
【請求項】
挿通孔を有し、蓋長手方向に延びるケース蓋部材と、
前記ケース蓋部材の前記挿通孔内に挿通された端子部材と、
前記ケース蓋部材と前記端子部材の間を絶縁しつつ、これらに気密に接合し、前記ケース蓋部材に前記端子部材を固定する樹脂部材と、を備え、
前記樹脂部材は、
前記ケース蓋部材の蓋厚み方向の外側に位置する樹脂外側部と、
前記ケース蓋部材の前記蓋厚み方向の内側に位置する樹脂内側部と、
前記ケース蓋部材の前記挿通孔内に位置し、前記樹脂外側部及び前記樹脂内側部に一体に繋がる樹脂孔内部と、を有し、
前記樹脂外側部の体積V1が前記樹脂内側部の体積V2よりも大きく(V1>V2)、
前記端子部材は、
前記樹脂外側部、前記樹脂孔内部及び前記樹脂内側部を貫通して前記蓋厚み方向の内側に延出しており、
前記樹脂部材の前記樹脂内側部は、
前記蓋長手方向を向き、前記端子部材に接合した一対の長手側接合面を含んでおり、
前記ケース蓋部材と前記樹脂部材は、
前記樹脂部材をなす樹脂材がフィラーを含んでおり、この樹脂材の-40~65℃の温度範囲における線膨張係数α1を、前記ケース蓋部材をなす金属の-40~65℃の温度範囲における線膨張係数α2よりも小さく(α1<α2)してなり、
前記蓄電デバイスを-40℃の温度環境下に置いたとき、
前記樹脂部材に、前記蓋長手方向について前記蓋厚み方向の外側に凸形状の反りが生じて、
前記樹脂内側部のうち一対の前記長手側接合面がそれぞれ前記端子部材を前記蓋長手方向に押圧する構成とされた
蓄電デバイスの製造方法であって、
前記ケース蓋部材の前記挿通孔内に前記端子部材を挿通した状態で、前記樹脂部材をインサート成形するインサート成形工程であって、前記樹脂材を用い、かつ、前記体積V1が前記体積V2よりも大きい形態に前記樹脂部材を成形するインサート成形工程を備える
蓄電デバイスの製造方法。
【請求項】
請求項3に記載の蓄電デバイスの製造方法であって、
前記端子部材のうち、前記樹脂部材が気密に接合する端子シール部は、
その表面に、前記端子部材をなす金属に由来する直径100nm以下の粒子が数珠つなぎ状に結合して柱状をなす高さ50nm以上の端子ナノ柱が林立しており、
前記樹脂部材は、
林立する前記端子ナノ柱同士の間に、前記樹脂部材をなす樹脂材が充填されて、前記端子シール部に気密に接合してなり、
前記インサート成形工程よりも前に、前記端子部材の前記端子シール部にパルス発振のレーザ光を照射位置をずらしながら照射して、前記端子シール部に、林立する前記端子ナノ柱を形成する端子ナノ柱形成工程を更に備え、
前記インサート成形工程は、
前記端子シール部の林立する前記端子ナノ柱同士の間に前記樹脂材を充填しつつ、前記樹脂部材を成形する
蓄電デバイスの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【】
本発明は、ケースを構成するケース蓋部材に、端子部材が樹脂部材を介して固定された蓄電デバイス、及び、この蓄電デバイスの製造方法に関する。
【背景技術】
【】
蓄電デバイスとして、直方体箱状のケースを構成する矩形板状のケース蓋部材に、正負の端子部材がそれぞれ樹脂部材を介して固定された電池が知られている。具体的には、正負の端子部材は、それぞれ、ケース蓋部材に設けた挿通孔内に挿通されて、ケースの内部から外部に延びており、樹脂部材がケース蓋部材と端子部材の間を絶縁しつつ、これらに気密に接合し、ケース蓋部材に端子部材を固定している。このような電池は、例えば特許文献1(図2、図6、図7等を参照)に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【】
【文献】特開2022-079172号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【】
上述の電池では、例えば-40℃の極めて低温な環境下に電池を置くと、樹脂部材のうち端子部材との境界近傍の部位に、凝集破壊により境界に沿った割れ(亀裂)が発生することがある。具体的には、樹脂部材は、ケース蓋部材の蓋厚み方向の外側に位置する樹脂外側部と、ケース蓋部材の蓋厚み方向の内側に位置する樹脂内側部と、ケース蓋部材の挿通孔内に位置して、これらに一体に繋がる樹脂孔内部とを有している。更に樹脂内側部のうち、端子部材に接合した接合面は、蓋長手方向を向く一対の長手側接合面と、蓋短手方向を向く一対の短手側接合面とを有している。そして、樹脂内側部のうち一対の長手側接合面の近傍で、それぞれ上述の亀裂が生じ得ることが判ってきた。
【】
その理由は、-40℃の低温下に電池を置いたとき、樹脂部材は、蓋長手方向について蓋厚み方向の内側に凸形状の反り(以下、単に「内側に凸形状の反り」ともいう)を生じる。樹脂部材にこのような内側に凸形状の反りが生じると、樹脂内側部は蓋長手方向について端子部材から離れる方向に変形し、一対の長手側接合面の近傍でそれぞれ凝集破壊が生じて亀裂ができると考えられる。
【】
本発明は、かかる現状に鑑みてなされたものであって、-40℃の低温下に蓄電デバイスを置いても、樹脂部材の樹脂内側部のうち一対の長手側接合面の近傍で亀裂が生じ難い蓄電デバイス、及び、蓄電デバイスの製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【】
(1)上記課題を解決するための本発明の一態様は、挿通孔を有し、蓋長手方向に延びるケース蓋部材と、前記ケース蓋部材の前記挿通孔内に挿通された端子部材と、前記ケース蓋部材と前記端子部材の間を絶縁しつつ、これらに気密に接合し、前記ケース蓋部材に前記端子部材を固定する樹脂部材と、を備える蓄電デバイスであって、前記樹脂部材は、前記ケース蓋部材の蓋厚み方向の外側に位置する樹脂外側部と、前記ケース蓋部材の前記蓋厚み方向の内側に位置する樹脂内側部と、前記ケース蓋部材の前記挿通孔内に位置し、前記樹脂外側部及び前記樹脂内側部に一体に繋がる樹脂孔内部と、を有し、前記樹脂外側部の体積V1が前記樹脂内側部の体積V2よりも大きく(V1>V2)、前記端子部材は、前記樹脂外側部、前記樹脂孔内部及び前記樹脂内側部を貫通して前記蓋厚み方向の内側に延出しており、前記樹脂部材の前記樹脂内側部は、前記蓋長手方向を向き、前記端子部材に接合した一対の長手側接合面を含んでおり、前記ケース蓋部材と前記樹脂部材は、前記樹脂部材をなす樹脂材がフィラーを含んでおり、この樹脂材の-40~65℃の温度範囲における線膨張係数α1を、前記ケース蓋部材をなす金属の-40~65℃の温度範囲における線膨張係数α2よりも小さく(α1<α2)してなり、前記蓄電デバイスを-40℃の温度環境下に置いたとき、前記樹脂部材に、前記蓋長手方向について前記蓋厚み方向の外側に凸形状の反りが生じて、前記樹脂内側部のうち一対の前記長手側接合面がそれぞれ前記端子部材を前記蓋長手方向に押圧する構成とされた蓄電デバイスである。
【】
上述の蓄電デバイスでは、-40℃の低温下に蓄電デバイスを置いたとき、樹脂部材は、前述とは逆に、蓋長手方向について蓋厚み方向の外側に凸形状の反り(以下、単に「外側に凸形状の反り」ともいう)を生じる。そして、樹脂内側部のうち一対の長手側接合面がそれぞれ端子部材を蓋長手方向に押圧する。このため、樹脂内側部のうち一対の長手側接合面の近傍で、凝集破壊が生じて亀裂ができるのを抑制することができる。従って、上述の蓄電デバイスは、-40℃の低温下に蓄電デバイスを置いても、樹脂部材の樹脂内側部のうち一対の長手側接合面の近傍で亀裂が生じ難い。
樹脂部材の樹脂外側部の体積V1よりも樹脂内側部の体積V2が大きい(V1<V2)場合、-40℃の低温下に蓄電デバイスを置いたとき、樹脂部材は、前述した内側に凸形状の反りを生じ易い。これに対し、上述の蓄電デバイスでは、樹脂部材の樹脂外側部の体積V1を樹脂内側部の体積V2よりも大きく(V1>V2)しているので、-40℃の低温下で樹脂部材が外側に凸形状の反りを生じる蓄電デバイスを、容易に構成することができる。
【】
なお、「蓄電デバイス」としては、例えば、リチウムイオン二次電池、ナトリウムイオン二次電池、カルシウムイオン二次電池等の二次電池や、リチウムイオンキャパシタ等のキャパシタなどが挙げられる。
【】
(2)(1)に記載の蓄電デバイスであって、前記端子部材のうち、前記樹脂部材が気密に接合する端子シール部は、その表面に、前記端子部材をなす金属に由来する直径100nm以下の粒子が数珠つなぎ状に結合して柱状をなす高さ50nm以上の端子ナノ柱が林立しており、前記樹脂部材は、林立する前記端子ナノ柱同士の間に、前記樹脂部材をなす樹脂材が充填されて、前記端子シール部に気密に接合してなる蓄電デバイスとすると良い。
【】
上述の蓄電デバイスでは、端子部材の端子シール部の表面に上述の端子ナノ柱が林立しており、これらの端子ナノ柱同士の間に樹脂材が充填されて、樹脂部材が端子シール部に気密に接合している。これにより、端子部材の端子シール部と樹脂部材の接合強度を高くし、端子部材と樹脂部材のシール性を良好に保持することができる。
【】
なお、端子ナノ柱を構成する、「端子部材をなす金属に由来する粒子」としては、例えば、上記金属からなる粒子や、上記金属の酸化物からなる粒子、上記金属及び上記金属の酸化物からなる粒子が挙げられる。また上記金属、上記金属の酸化物及び上記金属の窒化物からなる粒子など、上記金属の窒化物を含む粒子なども挙げられる。
「端子シール部」は、端子部材のうち、樹脂部材と接合する端子接合部の全体に設けてもよいし、端子接合部の一部にのみ設けてもよい。
【】
(3)また他の態様は、挿通孔を有し、蓋長手方向に延びるケース蓋部材と、前記ケース蓋部材の前記挿通孔内に挿通された端子部材と、前記ケース蓋部材と前記端子部材の間を絶縁しつつ、これらに気密に接合し、前記ケース蓋部材に前記端子部材を固定する樹脂部材と、を備え、前記樹脂部材は、前記ケース蓋部材の蓋厚み方向の外側に位置する樹脂外側部と、前記ケース蓋部材の前記蓋厚み方向の内側に位置する樹脂内側部と、前記ケース蓋部材の前記挿通孔内に位置し、前記樹脂外側部及び前記樹脂内側部に一体に繋がる樹脂孔内部と、を有し、前記樹脂外側部の体積V1が前記樹脂内側部の体積V2よりも大きく(V1>V2)、前記端子部材は、前記樹脂外側部、前記樹脂孔内部及び前記樹脂内側部を貫通して前記蓋厚み方向の内側に延出しており、前記樹脂部材の前記樹脂内側部は、前記蓋長手方向を向き、前記端子部材に接合した一対の長手側接合面を含んでおり、前記ケース蓋部材と前記樹脂部材は、前記樹脂部材をなす樹脂材がフィラーを含んでおり、この樹脂材の-40~65℃の温度範囲における線膨張係数α1を、前記ケース蓋部材をなす金属の-40~65℃の温度範囲における線膨張係数α2よりも小さく(α1<α2)してなり、前記蓄電デバイスを-40℃の温度環境下に置いたとき、前記樹脂部材に、前記蓋長手方向について前記蓋厚み方向の外側に凸形状の反りが生じて、前記樹脂内側部のうち一対の前記長手側接合面がそれぞれ前記端子部材を前記蓋長手方向に押圧する構成とされた蓄電デバイスの製造方法であって、前記ケース蓋部材の前記挿通孔内に前記端子部材を挿通した状態で、前記樹脂部材をインサート成形するインサート成形工程であって、前記樹脂材を用い、かつ、前記体積V1が前記体積V2よりも大きい形態に前記樹脂部材を成形するインサート成形工程を備える蓄電デバイスの製造方法である。
【】
上述の蓄電デバイスの製造方法では、インサート成形工程で樹脂部材をインサート成形しているので、-40℃の低温下で樹脂部材が前述した外側に凸形状の反りを生じる蓄電デバイスを、容易に製造することができる。
更に上述の蓄電デバイスの製造方法では、樹脂外側部の体積V1が樹脂内側部の体積V2よりも大きい樹脂部材を成形するので、-40℃の低温下で樹脂部材が前述した外側に凸形状の反りを生じる蓄電デバイスを、容易に製造することができる。
【】
(4)(3)に記載の蓄電デバイスの製造方法であって、前記端子部材のうち、前記樹脂部材が気密に接合する端子シール部は、その表面に、前記端子部材をなす金属に由来する直径100nm以下の粒子が数珠つなぎ状に結合して柱状をなす高さ50nm以上の端子ナノ柱が林立しており、前記樹脂部材は、林立する前記端子ナノ柱同士の間に、前記樹脂部材をなす樹脂材が充填されて、前記端子シール部に気密に接合してなり、前記インサート成形工程よりも前に、前記端子部材の前記端子シール部にパルス発振のレーザ光を照射位置をずらしながら照射して、前記端子シール部に、林立する前記端子ナノ柱を形成する端子ナノ柱形成工程を更に備え、前記インサート成形工程は、前記端子シール部の林立する前記端子ナノ柱同士の間に前記樹脂材を充填しつつ、前記樹脂部材を成形する蓄電デバイスの製造方法とすると良い。
【】
上述の蓄電デバイスの製造方法では、端子ナノ柱形成工程において上述のようにレーザ光を照射して端子シール部の表面に上述の端子ナノ柱を形成するので、容易に端子シール部に端子ナノ柱を形成することができる。そして、インサート成形工程で端子ナノ柱同士の間に樹脂材を充填しつつ樹脂部材を成形するので、端子部材の端子シール部と樹脂部材の接合強度を高くし、端子部材と樹脂部材のシール性を良好に保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【】
【図】実施形態に係る電池の斜視図である。
【図】実施形態に係る電池の電池高さ方向及び電池幅方向に沿う部分破断断面図である。
【図】実施形態に係り、ケース蓋部材に端子部材を固定する樹脂部材近傍の部分拡大平面図であり、(a)は蓋厚み方向の外側から見た部分拡大平面図であり、(b)は蓋厚み方向の内側から見た部分拡大平面図である。
【図】実施形態に係り、ケース蓋部材に端子部材を固定する樹脂部材近傍の部分拡大断面図であり、(a)は蓋長手方向及び蓋厚み方向に沿う、図3(a)におけるA-A矢視断面図であり、(b)は蓋短手方向及び蓋厚み方向に沿う、図3(b)におけるB-B矢視断面図である。
【図】実施形態に係り、端子シール部(蓋シール部)の表面に林立する端子ナノ柱(蓋ナノ柱)を示す部分拡大断面図である。
【図】実施形態に係る電池を-40℃の低温下に置いたときの樹脂部材等の様子を示す説明図であり、(a)は図4(a)の断面図に対応した説明図であり、(b)は図3(b)の平面図に対応した説明図である。
【図】実施形態に係る電池の製造方法のフローチャートである。
【図】実施形態に係る電池の製造方法に関し、端子ナノ柱形成工程(蓋ナノ柱形成工程)を示す説明図である。
【図】実施形態に係る電池の製造方法に関し、インサート成形工程の説明図であり、(a)はケース蓋部材の挿通孔内に端子部材を挿通した様子を示し、(b)は樹脂部材を成形した様子を示す。
【図】比較形態に係る電池を-40℃の低温下に置いたときの樹脂部材等の様子を示す説明図であり、(a)は図6(a)に対応した説明図であり、(b)は図6(b)に対応した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照しつつ説明する。図1に本実施形態に係る電池(蓄電デバイス)1の斜視図を、図2に電池1の部分破断断面図を示す。またケース蓋部材30に端子部材50,60を固定する樹脂部材70,80の近傍について、図3に部分拡大平面図を、図4に部分拡大平面図を示す。また図5に端子シール部55,65の表面55m,65mに林立する端子ナノ柱57,67等の部分拡大断面図を示す。なお、以下では、電池1の電池高さ方向AH、電池幅方向BH、電池厚み方向CH、及び、ケース蓋部材30の蓋長手方向DH、蓋短手方向EH、蓋厚み方向FHを、図1~図4に示す方向と定めて説明する。
【】
この電池1は、ハイブリッドカーやプラグインハイブリッドカー、電気自動車等の車両などに搭載される角型(直方体状)で密閉型のリチウムイオン二次電池である。電池1は、ケース10と、ケース10内に収容された電極体40と、ケース10に樹脂部材70を介して固定された正極の端子部材50と、ケース10に樹脂部材80を介して固定された負極の端子部材60等から構成されている。電極体40は、ケース10内で、絶縁フィルムからなる袋状の絶縁ホルダ7に覆われている。またケース10内には、電解液5が収容されており、その一部は電極体40内に含浸され、残りはケース10の底壁部上に溜まっている。
【】
ケース10は、金属(本実施形態ではアルミニウム)からなる直方体箱状であり、矩形状の開口部20cを有する有底角筒状で、内部に電極体40を収容するケース本体部材20と、ケース本体部材20の開口部20cを塞ぐ矩形板状のケース蓋部材30とから構成されている。ケース本体部材20の開口部20cとケース蓋部材30の周縁部30fとは、全周にわたり気密に溶接されている。
ケース10のケース蓋部材30には、ケース10の内圧が開弁圧を超えたときに破断して開弁する安全弁11が設けられている。またケース蓋部材30には、ケース蓋部材30を蓋厚み方向FHに貫通する注液孔30kが設けられており、この注液孔30kは、アルミニウムからなる円板状の封止部材12で気密に封止されている。
【】
ケース10内に収容された電極体40は、直方体状で積層型であり、複数の正極板41と複数の負極板42を、樹脂製の多孔質膜からなるセパレータ43を介して交互に電池厚み方向CHに積層したものである。正極板41、負極板42及びセパレータ43は、それぞれ電池高さ方向AH及び電池幅方向BHに拡がる矩形状である。
正極板41は、アルミニウム箔からなる正極集電箔と、この正極集電箔の両主面上にそれぞれ形成された、正極活物質粒子を含む正極活物質層とからなる。正極集電箔の一部は、電池幅方向BHの一方側BH1に延出しており、その両面に正極活物質層が存在せずに露出した正極箔露出部となっている。そして、各々の正極板41の正極箔露出部がその箔厚み方向に重なって、正極集電部40cを形成している。この正極集電部40cは、後述する正極の端子部材50に導通接続している。
【】
また負極板42は、銅箔からなる負極集電箔と、この負極集電箔の両主面上にそれぞれ形成された、負極活物質粒子を含む負極活物質層とからなる。負極集電箔の一部は、電池幅方向BHの他方側BH2に延出しており、その両面に負極活物質層が存在せずに露出した負極箔露出部となっている。そして、各々の負極板42の負極箔露出部がその箔厚み方向に重なって、負極集電部40dを形成している。この負極集電部40dは、後述する負極の端子部材60に導通接続している。
【】
ケース蓋部材30のうち、蓋長手方向DHの一方側DH1及び他方側DH2(電池幅方向BHの一方側BH1及び他方側BH2)の端部近傍には、それぞれケース蓋部材30を蓋厚み方向FHに貫通する矩形状の挿通孔30h1,30h2が設けられている。一方の挿通孔30h1内には、アルミニウムからなる正極の端子部材50が挿通されており、樹脂部材70を介してケース蓋部材30と絶縁された状態で、端子部材50がケース蓋部材30に固定されている。また他方の挿通孔30h2内には、銅からなる負極の端子部材60が挿通されており、樹脂部材80を介してケース蓋部材30と絶縁された状態で、端子部材60がケース蓋部材30に固定されている。
【】
まず樹脂部材70,80について説明する。樹脂部材70,80は、ケース蓋部材30と端子部材50,60の間を絶縁しつつ、ケース蓋部材30及び端子部材50,60に接合し、ケース蓋部材30に端子部材50,60を固定している。具体的には、樹脂部材70,80は、端子部材50,60のうち後述する端子シール部55,65の林立する端子ナノ柱57,67同士の間に、樹脂材75が充填されて、端子シール部55,65に気密に接合している(図5参照)。また樹脂部材70,80は、ケース蓋部材30のうち後述する蓋シール部31,32の林立する蓋ナノ柱37同士の間に、樹脂材75が充填されて、蓋シール部31,32に気密に接合している。
【】
樹脂部材70,80は、樹脂外側部71,81と、樹脂内側部73,83と、これらの間に位置して、これらに一体に繋がる(一体に成形された)樹脂孔内部72,82とからなる。樹脂外側部71,81は、ケース蓋部材30の蓋厚み方向FHの外側FH1(電池高さ方向AHの上側AH1)に位置する部位である。また樹脂内側部73,83は、ケース蓋部材30の蓋厚み方向FHの内側FH2(電池高さ方向AHの下側AH2)に位置する部位であり、蓋長手方向DH(電池幅方向BH)を向き、端子部材50,60に接合した一対の長手側接合面73ma,83maと、蓋短手方向EH(電池厚み方向CH)を向き、端子部材50,60に接合した一対の短手側接合面73mb,83mbとを有している。また樹脂孔内部72,82は、ケース蓋部材30の挿通孔30h1,30h2の孔内に位置する部位である。本実施形態では、樹脂外側部71,81 の体積V1は、樹脂内側部73,83の体積V2よりも大きくなっている(V1>V2)。具体的には、樹脂外側部71,81 の体積V1は、樹脂内側部73,83の体積V2の約1.5倍である。
【】
樹脂部材70,80は、熱可塑性の主樹脂と、熱可塑性のエラストマーと、フィラーとを含む樹脂材75からなる。本実施形態では、主樹脂は、ポリフェニレンスルファイド(PPS)であり、エラストマーは、熱可塑性のポリウレタンエラストマーであり、フィラーは、繊維状(概ね直径10μm×長さ300μm)のガラスフィラーである。また、この樹脂材75の-40~65℃の温度範囲における線膨張係数α1は、α1=2.0×10-5(1/K)である。ケース蓋部材30は、前述のようにアルミニウムからなり、-40~65℃の温度範囲における線膨張係数α2が、α2=2.4×10-5(1/K)であるため、樹脂部材70,80をなす樹脂材75の線膨張係数α1よりも、ケース蓋部材30をなす金属(アルミニウム)の線膨張係数α2が大きくなっている。
【】
次に端子部材50,60について説明する。端子部材50,60は、金属板(正極はアルミニウム板、負極は銅板)をプレス加工したものである。端子部材50,60は、樹脂部材70,80の樹脂外側部71,81、樹脂孔内部72,82及び樹脂内側部73,83を貫通して、蓋厚み方向FHの内側FH2(下側AH2)に延出している。端子部材50,60は、端子外側部51,61と、端子孔内部52,62と、端子内側部53,63と、端子延出部54,64とからなる。
【】
端子外側部51,61は、ケース蓋部材30の蓋厚み方向FHの外側FH1に位置し、樹脂部材70,80の樹脂外側部71,81と接合する部位である。この端子外側部51,61は、蓋長手方向DH及び蓋短手方向EHに拡がる矩形板状の天板部51p,61pと、天板部51p,61pの蓋短手方向EHの一方側EH1(電池厚み方向CHの一方側CH1)の端部で屈曲して蓋厚み方向FHの内側FH2に延びる延出部51q,61qとからなる。
端子孔内部52,62は、ケース蓋部材30の挿通孔30h1,30h2の孔内に位置し、樹脂部材70,80の樹脂孔内部72,82と接合する部位である。
【】
端子内側部53,63は、ケース蓋部材30の蓋厚み方向FHの内側FH2に位置し、樹脂部材70,80の樹脂内側部73,83と接合する部位である。詳細には、端子内側部53,63には、蓋長手方向DHについて樹脂内側部73,83の一対の長手側接合面73ma,83maが接合すると共に、蓋短手方向EHについて樹脂内側部73,83の一対の短手側接合面73mb,83mbが接合している。
端子延出部54,64は、端子内側部53,63から更に下側AH2に延出し、樹脂部材70,80から下側AH2に突出する部位である。正極の端子延出部54は、下側AH2の先端部において、電極体40の正極集電部40cに溶接され、正極集電部40cに導通接続している。また負極の端子延出部64は、下側AH2の先端部において、電極体40の負極集電部40dに溶接され、負極集電部40dに導通接続している。
【】
本実施形態では、端子部材50,60のうち、端子外側部51,61の延出部51q,61qと端子孔内部52,62と端子内側部53,63とが、樹脂部材70,80が気密に接合する端子シール部55,65となっている。端子シール部55,65の表面55m,65m(端子外側部51,61の延出部51q,61qの表面、端子孔内部52,62の表面、及び端子内側部53,63の表面)には、図5に示すように、端子部材50,60をなす金属(正極はアルミニウム、負極は銅)由来の粒子57p,67pが数珠つなぎ状に結合して柱状となった端子ナノ柱57,67が、林立している。
【】
具体的には、正極の端子ナノ柱57は、アルミニウム及び酸化アルミニウムで出来た粒子57pで構成され、負極の端子ナノ柱67は、銅及び酸化銅で出来た粒子67pで構成されている。粒子57p,67pの直径Daは100nm以下(本実施形態では、概ねDa=30nm)、端子ナノ柱57,67の高さhaは50nm以上、更には300nm以上(本実施形態では、概ねha=500nm)である。樹脂部材70,80は、これらの林立する端子ナノ柱57,67同士の間に樹脂材75が充填されて、端子シール部55,65に気密に接合している。
【】
またケース蓋部材30のうち、挿通孔30h1,30h2を囲む蓋シール部31,32には(図4参照)、樹脂部材70,80が気密に接合している。具体的には、蓋シール部31,32は、蓋厚み方向FHの外側FH1(上側AH1)を向く矩形帯環状の外側面31m,32mと、蓋厚み方向FHの内側FH2(下側AH2)を向く矩形帯環状の内側面31n,32nとを有している。これら面には、正極の端子シール部55の表面55mと同様に(図5参照)、アルミニウム及び酸化アルミニウムで出来た粒子37pが数珠つなぎ状に結合して柱状となった蓋ナノ柱37が、林立している。粒子37pの直径Daは100nm以下(本実施形態では、概ねDa=30nm)、蓋ナノ柱37の高さhaは50nm以上、更には300nm以上(本実施形態では、概ねha=500nm)である。樹脂部材70,80は、これらの林立する蓋ナノ柱37同士の間に樹脂材75が充填されて、蓋シール部31,32に気密に接合している。
【】
本実施形態の電池1では、ケース蓋部材30と樹脂部材70,80は、以下のように構成されている。即ち、電池1を-40℃の温度環境下に置いたとき(図6参照)、樹脂部材70,80に、蓋長手方向DHについて蓋厚み方向FHの外側FH1に凸形状の反りWAが生じる。そして、樹脂部材70,80の樹脂内側部73,83のうち一対の長手側接合面73ma,83maが、それぞれ端子部材50,60を蓋長手方向DHに押圧する構成となっている。
【】
樹脂部材70,80に外側FH1に凸形状の反りWAが生じる理由は、以下であると考えられる。即ち、本実施形態では、前述のように、樹脂部材70,80をなす樹脂材75の線膨張係数α1よりも、ケース蓋部材30をなす金属(アルミニウム)の線膨張係数α2が大きい。このため、-40℃の低温下に電池1を置くと、樹脂部材70,80よりもケース蓋部材30が蓋長手方向DHに大きく収縮する。一方、樹脂部材70,80とケース蓋部材30は互いに接合しているため、この熱収縮差に起因して、バイメタルが変形するように、樹脂部材70,80及びケース蓋部材30が湾曲変形する。樹脂部材70,80は、樹脂外側部71,81の体積V1が樹脂内側部73,83の体積V2よりも大きいため、樹脂内側部73,83よりも樹脂外側部71,81の影響が大きくなって、樹脂部材70,80及びケース蓋部材30が外側FH1に凸形状の反りWAを生じると考えられる。
【】
ここで、比較形態の電池におけるケース蓋部材930と樹脂部材970,980の構成について説明する(図10参照)。比較形態の電池を-40℃の温度環境下に置くと、本実施形態の電池1とは逆に、樹脂部材970,980に、蓋長手方向DHについて蓋厚み方向FHの内側FH2(下側AH2)に凸形状の反りWBが生じる。樹脂部材970,980にこのような内側FH2に凸形状の反りWBが生じると、樹脂内側部973,983は蓋長手方向DHについて端子部材950,960から離れる方向に変形し、一対の長手側接合面973ma,983maの近傍でそれぞれ凝集破壊が生じて亀裂KRができる。
【】
これに対し、本実施形態の電池1では、前述のように、-40℃の低温下で樹脂部材70,80に外側FH1に凸形状の反りWAが生じる。そして、樹脂部材70,80の樹脂内側部73,83のうち一対の長手側接合面73ma,83maが、それぞれ端子部材50,60を蓋長手方向DHに押圧する。このため、樹脂内側部73,83のうち一対の長手側接合面73ma,83maの近傍で、凝集破壊が生じて亀裂KRができるのを抑制できる。従って、電池1は、-40℃の低温下に電池1を置いても、樹脂部材70,80のうち樹脂内側部73,83の一対の長手側接合面73ma,83maの近傍で亀裂KRが生じ難い。
更に本実施形態では、樹脂部材70,80の樹脂外側部71,81の体積V1を樹脂内側部73,83の体積V2よりも大きく(V1>V2)しているので、-40℃の低温下で樹脂部材70,80が外側FH1に凸形状の反りWAを生じる電池1を、容易に構成することができる。
【】
また本実施形態では、端子部材50,60の端子シール部55,55の表面55m,65mに端子ナノ柱57,67が林立しており、これらの端子ナノ柱57,67同士の間に樹脂材75が充填されて、樹脂部材70,80が端子シール部55,65に気密に接合している。これにより、端子部材50,60の端子シール部55,65と樹脂部材70,80の接合強度を高くし、端子部材50,60と樹脂部材70,80のシール性を良好に保持することができる。
【】
次いで、電池1の製造方法について説明する(図7~図9参照)。まず粗化前のケース蓋部材30Zを用意しておく。粗化前のケース蓋部材30Zは、アルミニウム板を所定形状に打ち抜き、これに注液孔30k、挿通孔30h1,30h2及び安全弁11を形成して得る。また粗化前の端子部材50Z,60Zを用意しておく。正極の粗化前の端子部材50Zは、アルミニウム板を所定形状に打ち抜き、屈曲加工をして得る。また負極の粗化前の端子部材60Zは、銅板を所定形状に打ち抜き、屈曲加工をして得る。
【】
そして「端子ナノ柱形成工程S1」(図7参照)において、端子部材50Z,60Zのうち端子シール部55,65に、パルス発振のレーザ光LCを照射位置をずらしながら照射して(図8参照)、端子シール部55,65の表面55m,65mに、林立する端子ナノ柱57,67を形成する。端子ナノ柱57,67は、前述のように(図5も参照)、粒子57p,67pが数珠つなぎ状に結合して柱状となったものである。
【】
本実施形態では、正極のレーザの照射条件について、波長を1064nm、ピーク出力を5kW、パルス幅を150ns、ピッチpbを75μm、スポット径Dbを80μmとした。また負極のレーザの照射条件について、波長を1064nm、ピーク出力を20kW、パルス幅を50ns、ピッチpbを60μm、スポット径Dbを75μmとした。端子シール部55,65のうち、レーザ光LCが照射された平面視円状の部位では、表面55m,65m近傍をなす金属(正極はアルミニウム、負極は銅)が溶解し、更に蒸気となる。その後、蒸気の温度が低下すると、粒子57p,67p(正極はアルミニウム及び酸化アルミニウムの粒子57p、負極は銅及び酸化銅の粒子67p)となって、端子シール部55,65の表面55m,65mに堆積する。照射位置をずらしつつレーザ光LCを端子シール部55,65に照射することにより、粒子57p,67pが数珠つなぎ状に堆積し結合して柱状となり、林立した端子ナノ柱57,67が形成される。
【】
また別途「蓋ナノ柱形成工程S2」(図7参照)において、ケース蓋部材30Zのうち蓋シール部31,32に、パルス発振のレーザ光LCを照射位置をずらしながら照射して(図8参照)、蓋シール部31,32の外側面31m,32m及び内側面31n,32nに、それぞれ林立する蓋ナノ柱37を形成する。蓋ナノ柱37は、前述のように(図5も参照)、アルミニウム及び酸化アルミニウムから出来た粒子37pが数珠つなぎ状に結合して柱状となったものである。本実施形態では、レーザの照射条件を、端子ナノ柱形成工程S1で正極の端子シール部55に端子ナノ柱57を形成する場合のレーザの照射条件と同様とした。
【】
次に「インサート成形工程S3」(図7参照)において、ケース蓋部材30の挿通孔30h1,30h2内に端子部材50,60を挿通した状態で、前述の樹脂材75を用いて、樹脂部材70,80をインサート成形する(図9参照)。具体的には、インサート成形工程S3は、上金型及び下金型を有する成形金型(不図示)を用いて行う。まず下金型の所定位置にケース蓋部材30を配置し、更にケース蓋部材30の挿通孔30h1,30h2内に端子部材50,60を挿通する(図9(a)参照)。その後、上金型を下金型に向けて移動させて成形金型を閉じる。
【】
次に溶融した樹脂材75を成形金型のキャビティ内に射出する。その際、樹脂材75が、端子シール部55,65の林立する端子ナノ柱57,67同士の間、及び、蓋シール部31,32の林立する蓋ナノ柱37同士の間にも充填されて、端子シール部55,65及び蓋シール部31,32に気密に接合する樹脂部材70,80が成形される(図9(b)参照)。成形金型のキャビティを、樹脂外側部71,81の体積V1が樹脂内側部73,83の体積V2よりも大きくなる形状とすることで、樹脂外側部71,81の体積V1が樹脂内側部73,83の体積V2よりも大きい形態に樹脂部材70,80を成形する。その後、樹脂部材70,80を介してケース蓋部材30に端子部材50,60が固定された蓋アセンブリ15を、成形金型から取り出す。
【】
次に「電極体接続工程S4」(図7参照)において、正極板41、負極板42及びセパレータ43を積層して得た電極体40を用意し、電極体40の正極集電部40cに、上述の蓋アセンブリ15のうち正極の端子部材50の端子延出部54を溶接する。また電極体40の負極集電部40dに、蓋アセンブリ15のうち負極の端子部材60の端子延出部64を溶接する。その後、この電極体40を袋状の絶縁ホルダ7で包む。
次に「電極体収容・ケース形成工程S5」において、ケース本体部材20を用意し、上述の絶縁ホルダ7で覆われた電極体40をケース本体部材20内に挿入し、ケース蓋部材30でケース本体部材20の開口部20cを塞ぐ。そしてケース本体部材20の開口部20c及びケース蓋部材30の周縁部30fを全周にわたり気密にレーザ溶接して、電極体40を内部に収容したケース10を形成する。
【】
次に「注液・封止工程S6」において、電解液5を注液孔30kを通じてケース10内に注液し、電解液5を電極体40内に含浸させる。その後、注液孔30kを外部から封止部材12で覆い、封止部材12をケース10に気密にレーザ溶接する。
次に「初充電・エージング工程S7」において、この電池1に充電装置(不図示)を接続して、電池1に初充電を行う。その後、初充電した電池1を所定時間にわたり静置して、電池1をエージングする。かくして、電池1が完成する。
【】
以上で説明したように、電池1の製造方法では、インサート成形工程S3で樹脂部材70,80をインサート成形しているので、-40℃の低温下で樹脂部材70,80が外側FH1に凸形状の反りWAを生じる電池1を、容易に製造することができる。
更に本実施形態では、樹脂外側部71,81の体積V1が樹脂内側部73,83の体積V2よりも大きい樹脂部材70,80を成形しているので、-40℃の低温下で樹脂部材70,80が外側FH1に凸形状の反りWAを生じる電池1を、容易に製造することができる。
【】
また端子ナノ柱形成工程S1においてレーザ光LCを照射して端子シール部55,65の表面55m,65mに端子ナノ柱57,67を形成するので、容易に端子シール部55,65に端子ナノ柱57,67を形成することができる。そして、インサート成形工程S3で端子ナノ柱57,67同士の間に樹脂材75を充填しつつ樹脂部材70,80を成形するので、端子部材50,60の端子シール部55,65と樹脂部材70,80の接合強度を高くし、端子部材50,60と樹脂部材70,80のシール性を良好に保持することができる。
【】
以上において、本発明を実施形態に即して説明したが、本発明は実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更して適用できることは言うまでもない。
【符号の説明】
【】
1 電池(蓄電デバイス)
10 ケース
30 ケース蓋部材
30h1,30h2 挿通孔
40 電極体
50,60 端子部材
55,65 端子シール部
55m,65m (端子シール部の)表面
57,67 端子ナノ柱
57p,67p 粒子
70,80 樹脂部材
71,81 樹脂外側部
72,82 樹脂孔内部
73,83 樹脂内側部
73ma,83ma 長手側接合面
73mb,83mb 短手側接合面
DH 蓋長手方向
EH 蓋短手方向
FH 蓋厚み方向
FH1 (蓋厚み方向の)外側
FH2 (蓋厚み方向の)内側
V1 (樹脂外側部の)体積
V2 (樹脂内側部の)体積
WA (蓋長手方向について蓋厚み方向の外側に凸形状の)反り
WB (蓋長手方向について蓋厚み方向の内側に凸形状の)反り
KR 亀裂
LC レーザ光
S1 端子ナノ柱形成工程
S3 インサート成形工程
【図】
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