(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】
(45)【発行日】
(54)【発明の名称】洗浄水タンク
(51)【国際特許分類】
【FI】
(21)【出願番号】
(22)【出願日】
【審査請求日】
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000010087
【氏名又は名称】TOTO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100107537
【氏名又は名称】磯貝 克臣
(72)【発明者】
【氏名】柏村 英明
(72)【発明者】
【氏名】亀嵜 真央
(72)【発明者】
【氏名】松田 春喜
(72)【発明者】
【氏名】片岡 豊
(72)【発明者】
【氏名】末永 光宏
【審査官】山口 剛
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-108669(JP,A)
【文献】特開2009-091813(JP,A)
【文献】特開2006-291451(JP,A)
【文献】特開2025-132516(JP,A)
【文献】特開2025-132171(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03D 1/00 - 7/00
E03D 11/00 - 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項】
洗浄水を貯留するための洗浄水タンクであって、
当該洗浄水タンク内に配置され、当該洗浄水タンク内の下方の容積の一部をインナー領域として区画して当該インナー領域外のアウター領域と区分するインナータンクと、
前記インナー領域に設けられ、前記インナー領域に給水されて貯留された洗浄水を当該洗浄水タンク外へ排水するジェット排水口と、
前記ジェット排水口を開閉するためのジェット排水弁と、
前記アウター領域に設けられ、前記アウター領域に給水されて貯留された洗浄水を当該洗浄水タンク外へ排水するリム排水口と、
前記リム排水口を開閉するためのリム排水弁と、
前記インナー領域に洗浄水を給水するための給水部と、
前記アウター領域に設けられ、前記アウター領域の洗浄水の水位に応じて前記給水部を起動するためのフロートと、
を備え、
前記ジェット排水弁は、前記給水部による給水圧に応じて起動されるようになっており、
前記インナータンクが満水状態となった後に前記インナータンクに給水される洗浄水は前記インナータンクから溢れて前記アウター領域に注がれるようになっており、
前記インナータンクに、前記インナー領域と前記アウター領域とを連通させる連通孔が設けられている
ことを特徴とする洗浄水タンク。
【請求項】
前記インナータンクは、比較的高精度な寸法管理が可能な樹脂製である
ことを特徴とする請求項1に記載の洗浄水タンク。
【請求項】
前記連通孔は、前記インナータンクの底壁に設けられている
ことを特徴とする請求項1または2に記載の洗浄水タンク。
【請求項】
前記フロートが前記給水部を起動する前記水位よりも上方では、前記インナー領域の断面積の方が前記アウター領域の断面積よりも大きくなっている
ことを特徴とする請求項1または2に記載の洗浄水タンク。
【請求項】
請求項1または2に記載の洗浄水タンクと、
ボウル部及び前記ボウル部の下部から延びる排水管路を有する水洗大便器本体と、
を備えたことを特徴とする水洗大便器装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【】
本発明は、洗浄水タンクに関し、特に、水洗大便器装置用の洗浄水を貯留するための洗浄水タンクに関する。
【背景技術】
【】
例えば特開2021-193256号(特許文献1)に記載されているように、洗浄水タンク内に、洗浄水の給水圧により駆動する水圧駆動機構と、当該水圧駆動機構の駆動に合わせて開弁される排水弁と、が設けられた水洗大便器装置が知られている。
【】
水圧駆動機構は、一般に、シリンダと、シリンダ内に配置されて洗浄水の給水圧に連動してシリンダ内を移動するピストンと、を有している。
【】
排水弁は、切り離し(及び再連結)可能なクラッチ機構を介して、水圧駆動機構のピストンに連結されている。
【】
水圧駆動機構に洗浄水が給水される時、シリンダ内に流入する洗浄水の給水圧によってピストンが押し上げられて、排水弁が引き上げられて排水口が開放されて排水が開始される。その後、例えば排水弁が所定の高さまで引き上げられるタイミングでクラッチ機構が切り離されると、排水弁が降下して再び排水口が閉鎖されて排水が終了する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【】
本件発明者は、洗浄水タンク内に、リム吐水用の排水弁とジェット吐水用の排水弁との両方を設けることについて検討を進めてきた。
【】
そして、本願に先行して、特願2024-030145を出願している。
【】
当該出願には、下方の容積が一方領域と他方領域とに区分されている洗浄水タンクであって、前記一方領域に設けられ、前記一方領域に給水されて貯留された洗浄水を当該洗浄水タンク外へ排水するジェット排水口と、前記ジェット排水口を開閉するためのジェット排水弁と、前記他方領域に設けられ、前記他方領域に給水されて貯留された洗浄水を当該洗浄水タンク外へ排水するリム排水口と、前記リム排水口を開閉するためのリム排水弁と、前記一方領域に洗浄水を給水するための給水部と、前記他方領域に設けられ、前記他方領域の洗浄水の水位(水面高さ)に応じて前記給水部を起動(開弁)するためのフロートと、を備え、前記ジェット排水弁は、前記給水部による給水圧に応じて起動(開弁)されるようになっており、前記一方領域が満水状態となった後に前記一方領域に給水される洗浄水は前記一方領域から溢れて前記他方領域に注がれるようになっており、前記一方領域と前記他方領域とを連通させる連通孔が設けられていることを特徴とする洗浄水タンクが開示されている。
【】
このような洗浄水タンクによれば、以下のような動作が得られる。
(1)リム排水弁が操作乃至制御されてリム排水口からリム吐水がなされる(リム吐水開始)。
(2)リム吐水によって他方領域の水位が下がっていく。
(3)他方領域が所定の水位にまで下がるとフロートが給水部を起動(開弁)し、給水部の給水圧によってジェット排水弁が起動(開弁)する(ジェット吐水開始)。
(4)ジェット吐水によって一方領域の水位が下がっていく。
(5)適宜のタイミングで(クラッチ機構等の作用によって)ジェット排水弁が操作乃至制御されてジェット排水弁が閉じる(ジェット吐水終了)。
(6)給水部による給水によって一方領域の水位が上がっていく。
(7)適宜のタイミングでリム排水弁が操作乃至制御されてリム排水弁が閉じる(リム吐水終了)。
(8)一方領域が満水になると溢れて他方領域にも給水されていく。
(9)他方領域が所定の水位にまで上がるとフロートが給水部を停止させる。
((6)~(9)の間、連通孔からも僅かに洗浄水は移動する。)
(10)一方領域と他方領域の水位が等しくなるまで(そのような初期状態に戻るまで)連通孔を介して一方領域から他方領域へと洗浄水が移動する。
【】
リム吐水が開始されて(工程(1))からジェット吐水が開始される(工程(3))までのリム吐水は、前リム吐水と呼ばれている。
【】
本件発明者は、洗浄水タンクを一方領域と他方領域とに区分する際に単純な仕切り壁等を採用すると、前リム吐水の水量にバラツキが生じてしまうことを課題として認識した。
【】
洗浄水タンクは、一般的に陶器製であるため、高い寸法制度で製造することが難しい。このため、フロートが給水部を停止させた(工程(9))後、連通孔を介して一方領域から他方領域へと移動する洗浄水の量にバラツキが生じてしまうのである。
【】
本発明は、以上のような知見に基づいて創案されたものである。本発明の目的は、前リム吐水の水量にバラツキが生じることを効果的に抑制した洗浄水タンクを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【】
本発明は、洗浄水を貯留するための洗浄水タンクであって、当該洗浄水タンク内に配置され、当該洗浄水タンク内の下方の容積の一部をインナー領域として区画して当該インナー領域外のアウター領域と区分するインナータンクと、前記インナー領域に設けられ、前記インナー領域に給水されて貯留された洗浄水を当該洗浄水タンク外へ排水するジェット排水口と、前記ジェット排水口を開閉するためのジェット排水弁と、前記アウター領域に設けられ、前記アウター領域に給水されて貯留された洗浄水を当該洗浄水タンク外へ排水するリム排水口と、前記リム排水口を開閉するためのリム排水弁と、前記インナー領域に洗浄水を給水するための給水部と、前記アウター領域に設けられ、前記アウター領域の洗浄水の水位に応じて前記給水部を起動するためのフロートと、を備え、前記ジェット排水弁は、前記給水部による給水圧に応じて起動されるようになっており、前記インナータンクが満水状態となった後に前記インナータンクに給水される洗浄水は前記インナータンクから溢れて前記アウター領域に注がれるようになっており、前記インナータンクに、前記インナー領域と前記アウター領域とを連通させる連通孔が設けられていることを特徴とする洗浄水タンクである。
【】
本発明によれば、洗浄水タンク内に配置されたインナータンクによってインナー領域とアウター領域とが区分されているため、比較的高いインナー領域の寸法精度を実現することができる。これにより、前リム吐水の水量にバラツキが生じることを効果的に抑制することができる。
【】
本発明において、前記インナータンクは、比較的高精度な寸法管理が可能な樹脂製であることが好ましい。
【】
これによれば、比較的高いインナー領域の寸法精度を実現することがより容易である。これにより、前リム吐水の水量にバラツキが生じることをより効果的に抑制することができる。
【】
また、前記連通孔は、前記インナータンクの底壁に設けられていることが好ましい。
【】
これによれば、連通孔が他の構成要素と干渉する虞が顕著に軽減される。
【】
また、前記フロートが前記給水部を起動する前記水位よりも上方では、前記インナー領域の断面積の方が前記アウター領域の断面積よりも大きくなっていることが好ましい。
【】
これによれば、前リム吐水の水量を多量に設定することが可能となる。
【発明の効果】
【】
本発明によれば、洗浄水タンク内に配置されたインナータンクによってインナー領域とアウター領域とが区分されているため、比較的高いインナー領域の寸法精度を実現することができる。これにより、前リム吐水の水量にバラツキが生じることを効果的に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【】
【図】本発明の一実施形態による洗浄水タンクを備えた水洗大便器装置の概略図である。
【図】本実施形態の洗浄水タンクの概略縦断面図である。
【図】本実施形態の洗浄水タンクの概略平面図である。
【図】水圧駆動機構の構造例を示す概略断面図である。
【図】本実施形態の洗浄水タンクの動作原理図であり、初期状態を示している。
【図】本実施形態の洗浄水タンクの動作原理図であり、リム吐水開始時を示している)。
【図】本実施形態の洗浄水タンクの動作原理図であり、給水及びジェット吐水開始時を示している)。
【図】本実施形態の洗浄水タンクの動作原理図であり、ジェット吐水終了時を示している。
【図】本実施形態の洗浄水タンクの動作原理図であり、インナータンク満水時を示している。
【図】本実施形態の洗浄水タンクの動作原理図であり、給水終了時を示している。
【発明を実施するための形態】
【】
次に、添付図面を参照して、本発明の一実施形態による洗浄水タンクを説明する。
【】
本実施形態の基本構成及び基本動作については、特願2024-030145に開示された内容と重複する。
【】
図1は、本発明の一実施形態による洗浄水タンクを備えた水洗大便器装置の概略図であり、
図2は、本実施形態の洗浄水タンクの概略縦断面図であり、
図3は、本実施形態の洗浄水タンクの概略平面図であり、
図4は、水圧駆動機構の構造例を示す概略断面図であり、
図5は、本実施形態の洗浄水タンクの動作原理図で初期状態を示している。
【】
(水洗大便器装置1)
図1に示す水洗大便器装置1は、ボウル部2a及びボウル部2aの下部から延びる排水トラップ管路2cを有する水洗大便器本体2と、当該水洗大便器本体2の後部に配置された洗浄水タンク4と、から構成されている。
【】
本実施形態の洗浄水タンク4は、レバーハンドル4a(操作部)を操作することにより洗浄が行われるように構成されている。もっとも、変形例として、リモコン装置(図示せず)の操作ボタンからの制御信号、または、人感センサ(図示せず)からの検出信号、等に基づいて洗浄が行われてもよい。
【】
水洗大便器本体2に関して、ボウル部2aの上縁部にリム吐水口2dが設けられており、ボウル部2aの下部にジェット吐水口2eが設けられている。便器洗浄時には、リム吐水口2d及びジェット吐水口2eから所定のタイミングで洗浄水がそれぞれ吐出され、ボウル部2aの汚物受け面が洗浄されると共に、ボウル部2a内の汚物及び洗浄水が排水トラップ管路2cへ排出される。排水トラップ管路2cへ排出された汚物及び洗浄水は、排水ソケット(図示せず)を通って下水配管(図示せず)に排出される。
【】
洗浄水タンク4には、水道等の給水源6から、止水栓8を介して、洗浄水が供給されるようになっている。止水栓8は、メンテナンス時等に洗浄水タンク4への洗浄水の供給を停止するために設けられており、通常時は「開」の状態にされている。供給される洗浄水は、洗浄水タンク4の中に所定の水位まで貯留される。
【】
また、洗浄水タンク4には、リム排水弁10及びジェット排水弁12が内蔵されている。それらは、洗浄水タンク4の底部に設けられたリム排水口4b及びジェット排水口4cを、それぞれ開閉するように構成されている。
【】
リム排水口4bから流出される洗浄水は、水洗大便器本体2の内部に形成されたリム導水路2fを通って、リム吐水口2dから吐出される。すなわち、リム排水弁10は、洗浄水タンク4に設けられたリム排水口4bを開閉することにより、リム吐水口2dからの洗浄水の吐出、停止を切り替えるようになっている。
【】
ジェット排水口4cから流出される洗浄水は、水洗大便器本体2の内部に形成されたジェット導水路2gを通って、ジェット吐水口2eから吐出される。すなわち、ジェット排水弁12は、洗浄水タンク4に設けられたジェット排水口4cを開閉することにより、ジェット吐水口2eからの洗浄水の吐出、停止を切り替えるようになっている。
【】
本実施形態による水洗大便器装置1は、リム排水口4bから排出される洗浄水が、約10~約15L/min、の排水流量で流出するようになっている。
【】
また、本実施形態による水洗大便器装置1は、ジェット排水口4cから排出される洗浄水が、約70~約90L/min、の排水流量で流出するようになっている。(従って、リム排水口4bから洗浄水タンク4外に流出する洗浄水の排水流量は、ジェット排水口4cから洗浄水タンク4外に排出される洗浄水の排水流量と比較して、小さくなっている。)
【】
(洗浄水タンク4の構成)
次に、
図2乃至
図4に示すように、洗浄水タンク4は、リム排水口4bを開閉するリム排水弁10と、ジェット排水口4cを開閉するジェット排水弁12と、給水弁14(給水部の一例)と、水圧駆動機構16と、を備えている。
【】
洗浄水タンク4は、水洗大便器本体2に供給すべき洗浄水を貯留するように構成されたタンクである。
【】
洗浄水タンク4の下方の容積の一部が、インナータンク5によってインナー領域5bとして区画されている。これにより、当該インナー領域5b外の領域が、アウター領域5aとして区分されている。本実施形態のインナータンク5は、比較的高精度な寸法管理が可能な樹脂製(例えばPP製)である。
【】
また、本実施形態のインナータンク5は、当該インナータンク5の底壁を貫通する連通孔5cを有しており(
図2参照)、洗浄水タンク4内の連通孔5cの下方側の領域(高さ約5mm程度の領域)はアウター領域5aの一部を構成している。連通孔5cのサイズは、例えば、直径5mmである。
【】
アウター領域5aに、当該アウター領域5aに給水されて貯留された洗浄水を洗浄水タンク4外へ排水するリム排水口4bが設けられている。具体的には、リム排水口4bは、洗浄水タンク4の底壁を貫くように設けられている。
【】
インナー領域5bに、当該インナー領域5bに給水されて貯留された洗浄水を洗浄水タンク4外へ排水するジェット排水口4cが設けられている。具体的には、ジェット排水口4cは、インナータンク5の底壁と洗浄水タンク4の底壁との両方を連続的に貫くように設けられている。
【】
リム排水弁10は、リム排水口4bを開閉するように配置された弁体であり、リム排水弁10が上方に引き上げられることによりリム排水口4bが開弁される。これにより、洗浄水タンク4のアウター領域5a(インナータンク5の外側領域)の洗浄水が水洗大便器本体2のリム導水路2fに排出されて、リム吐水口2dから吐出される。
【】
本実施形態においては、使用者が洗浄水タンク4に設けられたレバーハンドル4aを一方向に回転操作することにより、リム排水弁10に連結された玉鎖10aが引かれてリム排水弁10が引き上げられるようになっている。
【】
また、本実施形態において、リム排水弁10は、浮き球10bを有する弁体であり、リム排水口4bから引き上げられて開弁された後、アウター領域5a内の水位低下に伴って緩やかに下降し、所定水位まで低下した時に閉弁されるように構成されている。
【】
ジェット排水弁12は、ジェット排水口4cを開閉するように配置された弁体であり、ジェット排水弁12が上方に引き上げられることによりジェット排水口4cが開弁される。これにより、洗浄水タンク4のインナー領域5b(インナータンク5の内側領域)の洗浄水が水洗大便器本体2のジェット導水路2gに排出されて、ジェット吐水口2eから吐出される。
【】
本実施形態において、ジェット排水弁12は、水圧駆動機構16によってジェット排水口4cから引き上げられるように構成されている。ジェット排水弁12は、上方に向けて延びる弁軸12aと、浮き球12bと、を有する弁体であり、水圧駆動機構16によって弁軸12aが引き上げられるようになっている。そして、所定の高さまで引き上げられると、後述のクラッチ機構の作用により、弁軸12aが水圧駆動機構16から切り離される。その後、ジェット排水弁12は、浮き球12bの作用によりインナー領域5b内の水位低下に伴って緩やかに下降し、所定水位まで低下した時に閉弁されるように構成されている。
【】
なお、本実施形態においては、使用者がレバーハンドル4aを一方向に回転操作するとリム排水弁10が引き上げられ、水圧駆動機構16によってジェット排水弁12が引き上げられるように構成されているが、水圧駆動機構16を設けずに、使用者がレバーハンドルを一方向に回転操作すると一方の排水弁が引き上げられ、レバーハンドルを他方向に回転操作すると他方の排水弁が引き上げられるように構成してもよい。
【】
給水弁14は、給水源6から供給される洗浄水が流入管14aを通って流入するように構成されている。より詳細には、給水弁14は、流入管14a及び流出管14bが接続された本体部18と、本体部18の中に配置されたダイヤフラム式の主弁体20と、主弁体20が着座する弁座22と、フロート24によって回動されるアーム部26と、アーム部26の回動によって移動されるパイロット弁28と、を有する。すなわち、給水弁14は、洗浄水タンク4内の水位に連動して作動するフロート24を有しており、フロート24が所定位置まで低下すると開弁されて、水圧駆動機構16に洗浄水を供給するように構成されている。
【】
その他、流入管14aの上流側には、給水弁14から洗浄水タンク4内に供給される洗浄水の給水流量を定める定流量弁14cが設けられている。定流量弁14cは、流入管14a内を通過する洗浄水の流量を調整可能である。
【】
(水圧駆動機構16の構成)
次に、
図4を参照して、水圧駆動機構16の構成を説明する。
【】
水圧駆動機構16は、水道等から洗浄水タンク4に供給される洗浄水の給水圧を利用してジェット排水弁12を駆動するように構成されている。
【】
具体的には、水圧駆動機構16は、給水弁14から供給される水が流入するシリンダ16aと、シリンダ16a内に摺動可能に配置されたピストン16bと、シリンダ16aの下端から突出してジェット排水弁12を駆動するピストン軸部30と、を有している。シリンダ16aの内部にはスプリング16cが配置され、ピストン16bを下方に向けて付勢している。ピストン16bにはパッキンが取り付けられ、シリンダ16aの内壁面とピストン16bとの間の水密性が確保されている。ピストン軸部30の下端に、クラッチ機構32が設けられている。クラッチ機構32により、ピストン軸部30とジェット排水弁12の弁軸12aとが、連結/切り離し/再連結され得る。
【】
本実施形態のシリンダ16aは、円筒形の部材であり、その軸線を鉛直方向に向けて配置され、内部にピストン16bを摺動可能に受け入れている。シリンダ16aの下端部に、給水弁14から延びる流出管14bが接続されており、給水弁14からの洗浄水がシリンダ16a内に流入するようになっている。シリンダ16a内に洗浄水が流入すると、シリンダ16a内のピストン16bは、スプリング16cの付勢力に抗して押し上げられるようになっている。
【】
一方、シリンダ16aの上端部に流出孔が設けられ、給水管34が当該流出孔を介してシリンダ16aの内部と連通している。シリンダ16aの下部部に接続された流出管14bからシリンダ16a内に洗浄水が流入すると、ピストン16bはシリンダ16aの下部から上方へ押し上げられ、ピストン16bが流出孔よりも上方の位置まで押し上げられると、シリンダ16a内に流入した洗浄水は流出孔から給水管34へ流出するようになっている。給水管34に流入した洗浄水は、洗浄水タンク4のインナー領域5bに落下して溜まるようになっている。
【】
ピストン軸部30は、ピストン16bの下面に接続された棒状の部材であり、シリンダ16aの底壁に形成された貫通孔を通って、シリンダ16aの中から下方に突出するように延びている。そして、ピストン軸部30の下端に、クラッチ機構32を介して、ジェット排水弁12の弁軸12aが接続されている。すなわち、ピストン軸部30が、ピストン16bとジェット排水弁12とを連結している。このため、シリンダ16a内に洗浄水が流入してピストン16bが押し上げられると、ピストン16bに接続されたピストン軸部30がジェット排水弁12を上方に吊り上げ、ジェット排水弁12が開弁される。
【】
また、シリンダ16aの下方から突出するピストン軸部30とシリンダ16aの貫通孔の内壁との間には、隙間が設けられていて、シリンダ16aに流入した洗浄水の一部は、当該隙間からも流出する(当該隙間から流出する洗浄水もインナー領域5b内に流入する)。もっとも、当該隙間は比較的狭く、流路抵抗が大きいため、当該隙間から水が流出する状態であっても、流出管14bからシリンダ16aに流入する水によってシリンダ16a内の圧力が上昇し、スプリング16cの付勢力に抗してピストン16bが押し上げられる。
【】
クラッチ機構32は、ピストン軸部30とジェット排水弁12とを着脱自在に連結している。本実施形態では、ジェット排水弁12がピストン軸部30と共に所定距離吊り上げられるタイミングで、クラッチ機構32がピストン軸部30からジェット排水弁12の弁軸12aを切り離すようになっている。クラッチ機構32が切り離された状態では、ジェット排水弁12は、ピストン16b及びピストン軸部30の動きに連動しなくなり、洗浄水タンク4のインナー領域5b内の水位低下と伴に降下する。
【】
(洗浄水タンク4の作用)
次に、
図5に加えて
図6乃至
図10を参照して、本実施形態による洗浄水タンク4の作用を説明する。
図6は、リム吐水開始時を示しており、
図7は、給水及びジェット吐水開始時を示しており、
図8は、ジェット吐水終了時を示しており、
図9は、インナータンク満水時を示しており、
図10は、給水終了時を示している。
【】
図5に示すように、便器洗浄の初期状態においては、洗浄水タンク4のリム排水口4b及びジェット排水口4cは、リム排水弁10及びジェット排水弁12によってそれぞれ閉弁されている。また、洗浄水タンク4のアウター領域5aとインナー領域5bとはインナータンク5の連通孔5cによって連通されているため、初期状態において、アウター領域5aとインナー領域5bの水位は同一水位(初期水位L2)になっている。
【】
次に、
図6に示すように、使用者が便器洗浄を行うべく洗浄水タンク4のレバーハンドル4aを一方向に回転操作すると、玉鎖10aがリム排水弁10を引き上げ、リム排水弁10がリム排水口4bから引き離され、リム排水口4bが開弁される(リム吐水開始)。
【】
リム排水口4bが開弁されると、洗浄水タンク4のアウター領域5a内に貯留されていた洗浄水が、リム排水口4bからリム導水路2fに流入し、リム吐水口2dから吐出される。リム吐水口2dからのリム吐水(前リム吐水)により、ボウル部2aの汚物受け面上に旋回流が形成され、汚物受け面が洗浄される。
【】
リム吐水により、アウター領域5aの水位が下がっていく。これに伴って、インナー領域5b内の洗浄水が、インナータンク5の連通孔5cを通って少しずつアウター領域5aに流入していく。しかしながら、連通孔5cを介しての洗浄水の流入速度は遅いため、アウター領域5aの水位の方がインナー領域5bの水位よりも低くなる(
図7参照)。
【】
そして、
図7に示すように、アウター領域5a内の水位が設定水位L1まで下がると、給水弁14のフロート24が当該設定水位L1まで低下することに連動して、パイロット弁28が開弁される。これにより、圧力室18a内の洗浄水(圧力室18a内へは主弁体20に設けられたブリード孔を通って流入する)が流出して、圧力室18a内の圧力が低下する。これにより、主弁体20が弁座22から離れて開弁され、
図7に示すように、水圧駆動機構16への給水が開始される。
【】
水圧駆動機構16に洗浄水が給水されると、
図7に示すように、シリンダ16a内に流入した洗浄水がスプリング16cの付勢力に抗してピストン16bを押し上げる。これにより、
図7に示すように、ピストン16bに連結されたピストン軸部30が、ジェット排水弁12の弁軸12aを引き上げ、ジェット排水口4cが開弁される(ジェット吐水開始)。すなわち、ジェット排水弁12は、給水弁14を介して給水される水道水の給水圧により駆動され、開弁される。一方、シリンダ16a内に流入した洗浄水は、ピストン16bを押し上げた後、給水管34からインナー領域5bに流入する。
【】
ジェット排水口4cが開弁されると、洗浄水タンク4のインナー領域5b内に貯留されていた洗浄水が、ジェット排水口4cからジェット導水路2gに流入し、ジェット吐水口2eから吐出される。ジェット吐水口2eからのジェット吐水により、排水トラップ管路2c内が満水にされ、サイフォン作用が誘発される。サイフォン作用の発生により、ボウル部2a内の溜水及び汚物が排水トラップ管路2cの中に吸引され、下水配管(図示せず)に排出される。
【】
洗浄水タンク4内においては、ジェット吐水により、インナー領域5bの水位が下がっていく。
【】
そして、本実施形態では、ジェット排水弁12がピストン軸部30と共に所定距離吊り上げられるタイミングで、クラッチ機構32がピストン軸部30からジェット排水弁12の弁軸12aを切り離す。クラッチ機構32が切り離された状態では、ジェット排水弁12は、ピストン軸部30の動きに連動しなくなる。
【】
その後、
図8に示すように、ジェット排水弁12は、浮き球12bの作用によりインナー領域5b内の水位低下に伴って緩やかに下降し、所定水位まで下がった時に閉弁される(ジェット吐水終了)。
【】
この時、
図8に示すように、給水弁14の主弁体20は開弁された状態であるため、給水源6(水道)から供給される洗浄水は、給水弁14を介して水圧駆動機構16に供給され続け、シリンダ16aに接続された給水管34からインナー領域5bに流入し続ける。これにより、インナー領域5bの水位が上がっていく。
【】
一方、
図8に示すように、リム排水弁10は依然として開弁された状態であるため、アウター領域5a内の洗浄水はリム排水口4bから流出し続け、リム吐水口2dから吐出され続ける(後リム吐水)。ジェット吐水が停止された後、リム吐水口2dから吐出される洗浄水(後リム吐水)は、ボウル部2a内の水位を初期状態における溜水水位に復帰させるためのリフィル水として利用される。
【】
そして、
図9に示すように、アウター領域5a内の水位が死水水位DWLまで低下すると、リム排水弁10がリム排水口4bに着座する(閉弁される)。これにより、リム吐水口2dからのリム吐水が停止される(リム吐水終了)。
【】
この時、
図9に示すように、給水弁14の主弁体20は開弁された状態であるため、給水源6(水道)から供給される洗浄水は、給水弁14を介して水圧駆動機構16に供給され続け、シリンダ16aに接続された給水管34からインナー領域5bに流入し続ける。これにより、インナー領域5bの水位が上がっていき、ついには、
図9に示すように、洗浄水がインナー領域5bから溢れ出てアウター領域5aに注がれ始める。
【】
また、
図9に示すように、インナー領域5b内の洗浄水は、インナータンク5の連通孔5cを通っても(少しずつではあるが)アウター領域5aに流入していく。
【】
そして、
図10に示すように、アウター領域5aへの給水作用(給水弁14→水圧駆動機構16→給水管34→インナー領域5b→(溢れ出る+連通孔5cを通る)→アウター領域5a)によって、アウター領域5aの水位が上がっていく。
【】
そして、
図10に示すように、アウター領域5a内の水位が設定水位L1まで上がる(戻る)と、給水弁14のフロート24が当該設定水位L1まで上昇することに連動して、パイロット弁28が閉弁される。これにより、圧力室18a内の洗浄水(圧力室18a内へは主弁体20に設けられたブリード孔を通って流入する)が流出できなくなって、圧力室18a内の圧力が上昇する。当該圧力により主弁体20が押圧されて弁座22に着座し、主弁体20が閉弁される。これにより、
図10に示すように、給水弁14を介した給水源6から水圧駆動機構16への給水が停止され、洗浄水タンク4内への洗浄水の供給が停止される。
【】
図10に示すように、この時(アウター領域5aが設定水位L1に戻った時)、インナー領域5bの水位の方がアウター領域5aの水位よりも高い。このため、インナー領域5bの洗浄水は、インナータンク5の連通孔5cを通って、アウター領域5aに流入する。これにより、インナー領域5bの水位はインナータンク5の上端縁高さよりも下がっていき、アウター領域5aの水位は設定水位L1から上がっていく。そして、アウター領域5aとインナー領域5bの水位が同一水位となって、初期水位L2に戻る(
図5参照)。
【】
アウター領域5aにおいて、設定水位L1から初期水位L2までの高さ部分に対応する容積が、前リム吐水の水量である。これは、インナー領域5bにおいて、初期水位L2からインナータンク5の上端縁までの高さ部分に対応する容積に相当する。本実施形態では、インナータンク5の初期水位L2から上端縁までの高さ部分の容積を高い寸法精度で実現できるため、前リム吐水の水量についての製品間でのバラツキを顕著に抑制することができる。
【】
また、本実施形態では、
図3に示すように、設定水位L1(フロート24が給水弁14を起動する水位)よりも上方(初期水位L2よりも上方を含む)では、インナー領域5bの断面積(水平方向に延在する断面による断面積)の方がアウター領域5aの断面積(同一高さにおいて水平方向に延在する断面による断面積)よりも大きくなっている。これにより、前リム吐水の水量を多量に設定することが可能である。
【】
(洗浄水タンク4の効果)
以上のような本実施形態の洗浄水タンク4によれば、洗浄水タンク4内に配置されたインナータンク5によってインナー領域5bとアウター領域5aとが区分されているため、インナー領域5bを比較的高い寸法精度で区画することができる。特に、インナータンク5の初期水位L2から上端縁までの高さ部分の容積を高い寸法精度で実現できることにより、前リム吐水の水量についての製品間でのバラツキを顕著に抑制することができる。
【】
また、本実施形態のインナータンク5は、比較的高精度な寸法管理が可能な樹脂製であるため、インナー領域5bを比較的高い寸法精度で区画することを比較的容易に実現することができる。
【】
また、本実施形態の連通孔5cは、インナータンク5の底壁に設けられている。これにより、連通孔5c(及び当該連通孔5cを通る洗浄水の移動)が他の構成要素と干渉する虞が顕著に軽減されている。
【】
また、本実施形態では、設定水位L1よりも上方(特には初期水位L2よりも上方)において、インナー領域5bの断面積の方がアウター領域5aの断面積よりも大きくなっている。これにより、前リム吐水の水量を比較的多量に設定することが可能である。
【】
なお、本願発明は、以下の特徴(発明)を含むものである。
[特徴1]
洗浄水を貯留するための洗浄水タンクであって、
当該洗浄水タンク内に配置され、当該洗浄水タンク内の下方の容積の一部をインナー領域として区画して当該インナー領域外のアウター領域と区分するインナータンクと、
前記インナー領域に設けられ、前記インナー領域に給水されて貯留された洗浄水を当該洗浄水タンク外へ排水するジェット排水口と、
前記ジェット排水口を開閉するためのジェット排水弁と、
前記アウター領域に設けられ、前記アウター領域に給水されて貯留された洗浄水を当該洗浄水タンク外へ排水するリム排水口と、
前記リム排水口を開閉するためのリム排水弁と、
前記インナー領域に洗浄水を給水するための給水部と、
前記アウター領域に設けられ、前記アウター領域の洗浄水の水位に応じて前記給水部を起動するためのフロートと、
を備え、
前記ジェット排水弁は、前記給水部による給水圧に応じて起動されるようになっており、
前記インナータンクが満水状態となった後に前記インナータンクに給水される洗浄水は前記インナータンクから溢れて前記アウター領域に注がれるようになっており、
前記インナータンクに、前記インナー領域と前記アウター領域とを連通させる連通孔が設けられており、
ことを特徴とする洗浄水タンク。
[特徴2]
前記インナータンクは、比較的高精度な寸法管理が可能な樹脂製である
ことを特徴とする特徴1に記載の洗浄水タンク。
[特徴3]
前記連通孔は、前記インナータンクの底壁に設けられている
ことを特徴とする特徴1または2に記載の洗浄水タンク。
[特徴4]
前記フロートが前記給水部を起動する前記水位よりも上方では、前記インナー領域の断面積の方が前記アウター領域の断面積よりも大きくなっている
ことを特徴とする特徴1乃至3のいずれかに記載の洗浄水タンク。
[特徴5]
特徴1乃至4のいずれかに記載の洗浄水タンクと、
ボウル部及び前記ボウル部の下部から延びる排水管路を有する水洗大便器本体と、
を備えたことを特徴とする水洗大便器装置。
【符号の説明】
【】
1 水洗大便器装置
2 水洗大便器本体
2a ボウル部
2c 排水トラップ管路
2d リム吐水口
2e ジェット吐水口
2f リム導水路
2g ジェット導水路
4 洗浄水タンク
4a レバーハンドル
4b リム排水口
4c ジェット排水口
5 インナータンク
5a アウター領域
5b インナー領域
5c 連通孔
6 給水源
8 止水栓
10 リム排水弁
10a 玉鎖
10b 浮き球
12 ジェット排水弁
12a 弁軸
12b 浮き球
14 給水弁
14a 流入管
14b 流出管
14c 定流量弁
16 水圧駆動機構
16a シリンダ
16b ピストン
16c スプリング
18 本体部
18a 圧力室
20 主弁体
22 弁座
24 フロート
26 アーム部
28 パイロット弁
30 ピストン軸部
32 クラッチ機構
34 給水管
DWL 死水水位
L1 設定水位
L2 初期水位
【要約】
【課題】前リム吐水の水量にバラツキが生じることを効果的に抑制した洗浄水タンクを提供すること。
【解決手段】洗浄水タンクであって、当該洗浄水タンク内の下方の容積の一部をインナー領域として区画して当該インナー領域外のアウター領域と区分するインナータンクと、インナー領域に設けられたジェット排水口と、ジェット排水口を開閉するジェット排水弁と、アウター領域に設けられたリム排水口と、リム排水口を開閉するリム排水弁と、インナー領域に洗浄水を給水する給水部と、アウター領域に設けられてアウター領域の洗浄水の水位に応じて給水部を起動するフロートと、を備える。ジェット排水弁は、給水部による給水圧に応じて起動される。インナータンクが満水状態となった後にインナータンクに給水される洗浄水は、インナータンクから溢れてアウター領域に注がれる。インナータンクは、インナー領域とアウター領域との連通孔が設けられる。
【選択図】
図2
【図】
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【図】
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【図】
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