特許7932936IP Force 特許公報全文掲載

技術分野

フィルムロール及びフィルムロールの製造方法に関する。 より詳しくは、輸送時や長期保管時に巻き故障が少なく、かつ品質を保持できるフィルムロールに関する。 また、生産収率が高く、検査負荷も大幅に軽減した当該フィルムロールの製造方法

発明が解決しようとする課題[発明の詳細な説明]から抜粋

本発明は、問題・状況に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、輸送時や長期保管時に巻き故障が少なく、かつ品質を保持できるフィルムロールを提供することである。また、生産収率が高く、検査負荷も大幅に軽減した当該フィルムロールの製造方法を提供することである。

課題を解決するための手段[発明の詳細な説明]から抜粋

本発明者は、課題を解決すべく、問題の原因等について検討する過程において、 光学フィルムの膜厚や表面の反射率等を特定の範囲内に制御することにより課題が解決できることを見出し本発明に至った。 すなわち、本発明に係る課題は、以下の手段により解決される。

発明の効果[発明の詳細な説明]から抜粋

本発明の手段により、輸送時や長期保管時に巻き故障が少なく、かつ品質を保持できるフィルムロールを提供することができる。
また、生産収率が高く、検査負荷も大幅に軽減した当該フィルムロールの製造方法を提供することができる。

本発明の効果の発現機構ないし作用機構については、明確にはなっていないが、以下のように推察している。

従来、特許文献1に開示されているように当業者がフィルムロールを作製する際には、工業的生産性やコスト等の観点から、光学フィルムの端部にナーリング加工を施し、エアー層(空気層)を巻き込みながら光学フィルムを巻き取る手段が採用されていた。

ところで、ナーリング加工部の主機能は、エアー層(空気層)の取り込みによる光学フィルムの貼りつき抑制機能と物理的な凹凸によるフィルムロールの巻きずれ抑制機能の二つであると考えられている。
当該ナーリング加工されたフィルムロールの巻き上がり直後(製造直後)においては、前述のエアー層(空気層)が光学フィルム同士の貼りつきを抑制しているが、船便、トラック等での輸送中、又は顧客の倉庫にて保管される際に、経時とともにエアー層(空気層)の空気が抜けていくことにより、の二つの機能に支障をきたしてしまう。

輸送中はもとより、顧客は、倉庫に保存したロールを用いてすぐに生産を開始するケースは少なく、倉庫にて長期保管されるケースもあり貼りつきタイミングが予測できないことが問題となっていた。

図1Aは、従来の端部がナーリング加工されたフィルムロールの巻き上がり直後(製造直後)の概略図である。
図1Bは、図1Aにおけるフィルムロールの端部の一部分Aの拡大図である。
図1Cは、図1Bにおけるナーリング加工の凹凸形状の一部分Bのフィルムの断面拡大図である。

図2は、一定時間経過後のフィルムロールのたわみの状態を表す概略図である。
ここで、本発明者らが、端部がナーリング加工された光学フィルム同士が貼りつくステップを解析してみたところ、図1Aのように端部がナーリング加工されたフィルムロールは、巻取りにより光学フィルムが何層にも重なることでナーリング高さが積層(図1B参照。)された分、図1Cのように端部が突出することで端部のロール径が中央部のロール径に比べて大きくなり、巻外側の面では図2のように、時間経過とともにエアー層(空気層)の空気が徐々に抜ける一方、ナーリングされた端部のフィルム同士は摩擦により巻きずれが生じない。
しかしながら、当該環境下、フィルムロール自身の自重によりフィルムロール自身の自重によりフィルムロールの上側と下側でたわみが発生し貼りつきが起こり始めることがわかった。

次に、図3は、図2のフィルムロールの一定時間経過後のフィルムロールへの巻芯側を表す概略図を示す。
フィルムロールにした際に、フィルム同士が接触する面のうち巻芯側の面(以下巻芯側の面ともいう。)では、時間経過とともにエアー層(空気層)の空気がさらに徐々に抜けることによって、図3のように貼りつき部分(貼りつき故障;図3におけるDの部分。)が数点重なり、力を逃がすために図3のように幅手の微小しわ(皺)に加えて長手周期を有する幅手方向の貼りつき(段々故障;図3におけるCの部分参照。)が生じてしまう。

また、端部にナーリング加工した光学フィルムにおいて、エアー層(空気層)の取り込みによる光学フィルムの貼りつき抑制機能や、物理的な凹凸による巻きずれ抑制機能を優先すると、トラック等での輸送の際に生じる振動に対し、エアー層(空気層)の影響によってフィルムロールに強い衝撃を与えることになり、かえってフィルムロールの巻きずれが起きやすくなったり、季節変動の影響も受けやすくなり、制御が非常に困難となって問題解決に至らなかったと推察される。

一方、本発明では、単層の光学フィルムが巻き取られたフィルムロールにエアー層(空気層)を適度に取り込み、かつ、端部にはナーリング加工を施さず、光学フィルム同士が向かい合う接触面全面にて適度で微小な接触を生じさせる(貼りつきが認識されないレベル)ことにより巻きずれの機能を分散させるという従来の技術とは逆転の発想で課題解決に至った。

すなわち、本発明の光学フィルムは、前記光学フィルム内の任意の点を中心として、直径1000mmの範囲内で測定した膜厚の平均最大高低差(P-V)ave1が、0.15~0.40μmであり、かつ前記フィルムロールの中央部の外径Dcと端部の外径Deとの比の値(Dc/De)が、0.98~1.02であることを特徴とし、この手段によって課題が解決できる。

すなわち、本発明のフィルムロールは、図4に示すように、端部にナーリング加工が施されておらず、フィルムロール全面の膜厚の平均最大高低差、すなわち膜厚差は小さい。
このため、光学フィルム間のエアー層(空気層)が均一になり、フィルムロールの上側がフラットな状態となる。
フィルムロール下側も自重の影響はあるものの、上側の幅手方向のたわみがなくなることで下側のたわみが抑えられる。

また、光学フィルムの巻芯側の面では、フィルムロールの周方向(長手方向)の応力が均一となり、幅手方向では、光学フィルム同士の凸部を中心として光学フィルム同士が接することによる貼りつきによる応力集中が抑制される。

さらに、従来の光学フィルムのように巻取り時に取り込まれるエアー層(空気層)によって製品部での幅手全体の接触を抑制するのではなく、光学フィルムの端部にナーリング加工をせずに、長手方向のバラつきを考慮した上で、光学フィルムの幅手方向に対する斜め方向の膜厚の平均最大高低差(P-V)ave2を特定範囲に制御することによっても、巻きずれの機能を分散して付与することで、輸送時や長期保管時に巻き故障が少なく、かつ品質を保持できるフィルムロールを提供することができたと推察される。
また、生産収率が高く、検査負荷も大幅に軽減した当該フィルムロールの製造方法を提供することができたと推察される。

なお、光学フィルムの幅手方向に対する斜め方向の膜厚の平均最大高低差(P-V)ave2が、0.15未満であると巻取り直後から貼りつきが認識されるレベルとなっており、0.40以上であればバラつきに起因した微小な貼りつきが発生して課題解決には至らなかった。

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この特許公報に記載されている図面[図面の簡単な説明]から抜粋

【図1A】 端部がナーリング加工されたフィルムロールの巻き上がり直後(製造直後)の概略図
【図1B】 図1Aにおけるフィルムロールの端部の一部分Aの拡大図
【図1C】 図1Bにおけるナーリング加工の凹凸形状の一部分Bのフィルムの断面拡大図
【図2】 一定時間経過後のフィルムロールのたわみの状態を表す概略図
【図3】 一定時間経過後のフィルムロールへの巻芯側の面への応力のかかり方を表す概略図
【図4】 本発明のフィルムロールの概略図
【図5】 溶液流延製膜法の製造工程の流れを示すフローチャート
【図6】 溶液流延製膜法によって光学フィルムを製造する装置の概略図
【図7】 テンター延伸装置の内部構成を模式的に表す平面図
【図8】 テンター延伸装置内の3つのゾーンの側面図
【図9】 テンター延伸装置内の3つのゾーンの平面図
【図10】 テンター延伸装置内の3つのゾーンを正面から見たときのノズルとヒーター設置部分の概略図
【図11】 光学フィルムが巻き取られる工程と、巻き取られた後の本発明のフィルムロールの断面を示す概略図
【図12】 溶融流延製膜法の製造工程の流れを示すフローチャート
【図13】 溶融流延製膜法によって光学フィルムを製造する装置の概略構成図
1、1a 攪拌装置(攪拌槽) 2 流延ダイ 3 支持体(エンドレスベルト、ドラム) 3a、3b ロール 4 剥離ロール 5 流延膜 6 乾燥装置 7 延伸装置(テンター延伸装置、斜め延伸装置) 8 切断部 9 延伸装置(テンター延伸装置) 10 切断部 11 乾燥装置 12 切断部 13 巻取装置 14 押出し機 15 流延ダイ 16 キャストドラム、支持体 16a タッチロール 17 冷却ドラム 19 延伸装置(テンター延伸装置) 20 切断部 21 延伸装置(テンター延伸装置) 22 切断部 23 巻取装置 30 フィルムロール 31 光学フィルム 32 ロール 33 タッチロール 40 テンター(延伸装置) 42 クリップ 46 カバー 48 無端チェーン 50 原動スプロケット 52 従動スプロケット 54 レール 56 開放部材 80 温度分布センサ 101 ノズル固定部分 102 ノズル 103 流延膜 104 端部ノズル 105 中央ノズル 106 クリップカバー A フィルムロールの端部の一部分 B ナーリング加工の凹凸形状の一部分 C 幅手方向の貼りつき部分 D 長手方向の貼りつき部分 F 光学フィルム HA、HB 幅 Q 熱電対、赤外線(IR)ヒーター

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