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▶ シエントラ, インコーポレイテッドの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-12
(54)【発明の名称】移植片送達システム及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/12 20060101AFI20220104BHJP
【FI】
A61F2/12
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021500922
(86)(22)【出願日】2019-07-09
(85)【翻訳文提出日】2021-03-04
(86)【国際出願番号】 US2019041045
(87)【国際公開番号】W WO2020014255
(87)【国際公開日】2020-01-16
(31)【優先権主張番号】62/695,540
(32)【優先日】2018-07-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517202788
【氏名又は名称】シエントラ, インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Sientra, Inc.
【住所又は居所原語表記】420 S. Fairview Ave., Ste. 200, Santa Barbara, CALIFORNIA 93117 United States
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】ガイガー,スティーヴン,チャールズ
(72)【発明者】
【氏名】クリーガー‐カーライル,ダン,アラン
(72)【発明者】
【氏名】グッドナー,ダグラス,エム.
(72)【発明者】
【氏名】ベネット,オリバー,クリスチャン
(72)【発明者】
【氏名】ワーナー,ナンシー
【テーマコード(参考)】
4C097
【Fターム(参考)】
4C097AA19
4C097BB01
4C097BB04
4C097DD04
4C097EE13
(57)【要約】
移植片送達デバイスが、第1の閉鎖側壁、第2の閉鎖側壁、第3の閉鎖側壁、及び開放端を含む。第2の閉鎖側壁は、第1の閉鎖側壁の反対側に配置される。第3の閉鎖側壁は、第1の閉鎖側壁と第2の閉鎖側壁の間に配置される。開放端は、第3の閉鎖側壁の反対側に配置され、第1の閉鎖側壁と第2の閉鎖側壁の間に配置される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の側壁、第2の側壁、及び閉鎖端を有する本体部分と、
前記閉鎖端の反対側に配置された移植片送達部分であって、前記移植片送達部分は、第1の側壁、第2の側壁、及び開口部を含み、前記第1の側壁は、前記本体部分の第1の側壁に対して角度が付けられ、前記第2の側壁は、前記本体部分の第2の側壁に対して角度が付けられている、移植片送達部分と、
を含む移植片送達デバイス。
【請求項2】
前記閉鎖端は、前記本体部分の少なくとも1つの面に結合された末端壁を含む、請求項1に記載の移植片送達デバイス。
【請求項3】
前記閉鎖端は、前記本体部分の少なくとも1つの面間の結合を含む、請求項1に記載の移植片送達デバイス。
【請求項4】
前記本体部分は、レイフラットチューブを含み、熱ボンドが、前記レイフラットチューブを閉じる結合を含む、請求項3に記載の移植片送達デバイス。
【請求項5】
前記移植片送達部分は、前記開口部が前記本体部分の内側に配置されるように反転するように構成されている、請求項1に記載の移植片送達デバイス。
【請求項6】
前記移植片送達部分は、移植片が前記本体部分の内側に配置されるように、反転された構成で前記移植片を受けるように構成されている、請求項5に記載の移植片送達デバイス。
【請求項7】
前記移植片送達部分は、移植片が前記本体部分に配置されている間に、反転されていない構成に戻るように構成され、
前記反転されていない構成では、前記開口部は、前記本体部分の内側に配置されていない、請求項6に記載の移植片送達デバイス。
【請求項8】
前記移植片送達部分の内面は、摩擦低減コーティングを含む、請求項1に記載の移植片送達デバイス。
【請求項9】
前記摩擦低減コーティングは親水性である、請求項8に記載の移植片送達デバイス。
【請求項10】
前記移植片送達部分の内面が抗菌処理を含む、請求項1に記載の移植片送達デバイス。
【請求項11】
前記開口部は、前記移植片送達デバイスの唯一の開口である、請求項1に記載の移植片送達デバイス。
【請求項12】
第1の閉鎖側壁と、
前記第1の閉鎖側壁の反対側に配置された第2の閉鎖側壁と、
前記第1の閉鎖側壁と前記第2の閉鎖側壁の間に配置された第3の閉鎖側壁と、
前記第3の閉鎖側壁の反対側に配置され、前記第1の閉鎖側壁と前記第2の閉鎖側壁の間に配置された開放端と
を含む移植片送達デバイスであって、
前記第1の閉鎖側壁と前記第2の閉鎖側壁の間に配置された前記移植片送達デバイスの面が、前記開放端の断面積が減少されるように折り重なるように構成されている、移植片送達デバイス。
【請求項13】
前記移植片送達デバイスの面は、印を含み
前記印は、前記第1の閉鎖側壁と前記開放端の角の近位から前記第2の閉鎖側壁に向かって延びている、請求項12に記載の移植片送達デバイス。
【請求項14】
前記印は、折り目を含む、請求項13に記載の移植片送達デバイス。
【請求項15】
前記面は、突き出たタブを含む、請求項13に記載の移植片送達デバイス。
【請求項16】
前記印は、前記開放端に対して約45度の角度で延びている、請求項13に記載の移植片送達デバイス。
【請求項17】
前記第1の印から前記開放端に向かって延びる第2の印をさらに含む、請求項13に記載の移植片送達デバイス。
【請求項18】
移植片送達デバイスを製造する方法であって、
レイフラットチューブの部分を提供するステップ、
前記レイフラットチューブを反転させて、反転された構成で前記レイフラットチューブを配置するステップ、
前記反転させたレイフラットチューブに摩擦低減処理を施すステップ、
前記レイフラットチューブを反転させて、反転されていない構成で前記レイフラットチューブを配置するステップ、及び
前記レイフラットチューブの部分の端部を封じるステップ、
を含む方法。
【請求項19】
前記レイフラットチューブは、熱可塑性材料を含み、前記レイフラットチューブの部分の端部を封じるステップは、前記熱可塑性材料を熱的に結合させることを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
反転されていない構成において、前記レイフラットチューブの内面がテクスチャ処理されている、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記摩擦低減処理を施すステップは、前記反転させたレイフラットチューブを潤滑材料に浸すことを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項22】
前記レイフラットチューブを反転させて、反転されていない構成で前記レイフラットチューブを配置する前に、前記潤滑材料を硬化させるステップをさらに含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記潤滑材料は親水性である、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
移植片を挿入する方法であって、
移植片送達デバイスを提供するステップであり、前記デバイスは、
第1の閉鎖側壁、
前記第1の閉鎖側壁の反対側に配置された第2の閉鎖側壁、
前記第1の閉鎖側壁と前記第2の閉鎖側壁の間に配置された第3の閉鎖側壁、及び
前記第3の閉鎖側壁の反対側に配置され、前記第1の閉鎖側壁と前記第2の閉鎖側壁の間に配置された開放端、
を含む、ステップと、
前記開放端を介して、前記移植片送達デバイス内に前記移植片を挿入するステップと、
前記第1の閉鎖側壁を前記第2の閉鎖側壁に向かって折り畳んで、前記開放端によって提供される開口部の断面積を減少させるステップと、
前記移植片を前記開口部に向かって移動させ、前記開口部を通過させるために、前記移植片送達デバイスに力を加えるステップと、
を含む方法。
【請求項25】
前記第2の閉鎖側壁を前記第1の閉鎖側壁に向かって折り畳んで、前記開口部の断面積を減少させるステップをさらに含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記開放端及び前記第2の閉鎖側壁によって形成された角を除去するステップをさらに含む、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
前記除去するステップは、切断することを含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記移植片送達デバイスの内面は、摩擦低減処理を含む、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
前記摩擦低減処理は、親水性コーティングを含む、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記摩擦低減処理を水和させるステップをさらに含む、請求項29に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移植片送達デバイス及びその製造方法、並びに移植片を挿入する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
移植片送達デバイスは、複数の開口部(orifices)又はスロット若しくは継ぎ目を有し、その1つを介して、移植片が送達デバイス内に置かれ、1つを介して、移植片は次に患者内に挿入される。複数の開口部及び/又は他のスロット若しくは継ぎ目は、デバイス及び手順を複雑にし、取扱い、装填、及び移植片送達のエラーの可能性を増大させる。
【0003】
移植片の物理的な取扱いも、患者への感染リスクを増大させると信じられており、従って、送達に先立つ移植片の取扱いを減らすか又は排除さえするデバイスが、患者の受傷のリスクを低減するために好ましい。
【0004】
挿入に先立つ移植片の物理的な取り扱いを減らすか又は排除する、及び、使用しやすい、単一の開口を有するよりシンプルな解決策が望ましい。
【発明の概要】
【0005】
一態様によると、移植片送達デバイスが、本体部分及び移植片送達部分を含む。本体部分は、第1の側壁、第2の側壁、及び閉鎖端を含む。移植片送達部分は、閉鎖端の反対側に配置される。移植片送達部分は、第1の側壁、第2の側壁、及び開口部を含む。第1の側壁は、本体部分の第1の側壁に対して角度が付けられ、第2の側壁は、本体部分の第2の側壁に対して角度が付けられる。
【0006】
閉鎖端は、本体部分の少なくとも1つの面に結合された末端壁を含んでもよい。
【0007】
閉鎖端は、本体部分の少なくとも1つの面間の結合を含んでもよい。
【0008】
本体部分は、レイフラットチューブを含んでもよい。熱ボンドが、レイフラットチューブを閉じる結合を含んでもよい。
【0009】
移植片送達部分は、開口部が本体部分の内側に配置されるように反転するように構成されてもよい。
【0010】
移植片送達部分は、移植片が本体部分の内側に配置されるように、反転された構成で移植片を受けるように構成されてもよい。
【0011】
移植片送達部分は、移植片が本体部分に配置されている間に、反転されていない構成に戻るように構成されてもよい。反転されていない構成では、開口部は、本体部分の内側に配置されなくてもよい。
【0012】
移植片送達部分の内面は、摩擦低減コーティングを含んでもよい。
【0013】
摩擦低減コーティングは親水性であってもよい。
【0014】
移植片送達部分の内面は、抗菌処理を含んでもよい。
【0015】
開口部は、移植片送達デバイスの唯一の開口であってもよい。
【0016】
別の態様によると、移植片送達デバイスが、第1の閉鎖側壁、第2の閉鎖側壁、第3の閉鎖側壁、及び開放端を含む。第2の閉鎖側壁は、第1の閉鎖側壁の反対側に配置される。第3の閉鎖側壁は、第1の閉鎖側壁と第2の閉鎖側壁の間に配置される。開放端は、第3の閉鎖側壁の反対側に配置され、第1の閉鎖側壁と第2の閉鎖側壁の間に配置される。第1の閉鎖側壁と第2の閉鎖側壁の間に配置される移植片送達デバイスの面は、開放端の断面積が減少されるように折り重なるように構成される。
【0017】
移植片送達デバイスの面は、印を含んでもよい。印は、第1の閉鎖側壁及び開放端の角の近位から第2の閉鎖側壁に向かって延びてもよい。
【0018】
印は、折り目を含んでもよい。
【0019】
面は、突き出たタブを含んでもよい。
【0020】
印は、開放端に対して約45度の角度で延びてもよい。
【0021】
デバイスは、第1の印から開放端に向かって延びる第2の印を含んでもよい。
【0022】
別の態様によると、移植片送達デバイスを製造する方法が:レイフラットチューブの部分を提供するステップ;レイフラットチューブを反転させて、反転された構成でレイフラットチューブを配置するステップ;反転させたレイフラットチューブに摩擦低減処理を施すステップ;レイフラットチューブを反転させて、反転されていない構成でレイフラットチューブを配置するステップ;及び、レイフラットチューブの部分の端部を封じるステップ;を含む。
【0023】
レイフラットチューブは、熱可塑性材料を含んでもよく、レイフラットチューブの部分の端部を封じるステップは、熱可塑性材料を熱的に結合させることを含む。
【0024】
反転されていない構成において、レイフラットチューブの内面はテクスチャ処理されてもよい。
【0025】
摩擦低減処理を施すステップは、反転させたレイフラットチューブを潤滑材料に浸すことを含んでもよい。
【0026】
当該方法は、レイフラットチューブを反転させて反転されていない構成でレイフラットチューブを配置する前に、潤滑材料を硬化させるステップを含んでもよい。
【0027】
潤滑材料は、親水性であってもよい。
【0028】
別の態様によると、移植片を挿入する方法が:移植片送達デバイスを提供するステップであって、デバイスは:第1の閉鎖側壁、第1の閉鎖側壁の反対側に配置された第2の閉鎖側壁、第1の閉鎖側壁と第2の閉鎖側壁の間に配置された第3の閉鎖側壁、及び第3の閉鎖側壁の反対側に配置され、第1の閉鎖側壁と第2の閉鎖側壁の間に配置された開放端を含む、ステップ;開放端を介して、移植片送達デバイス内に移植片を挿入するステップ;第1の閉鎖側壁を第2の閉鎖側壁に向かって折り畳んで、開放端によって提供される開口部の断面積を減少させるステップ;並びに、移植片を開口部に向かって移動させ、開口部を通過させるために、移植片送達デバイスに力を加えるステップ;を含む。
【0029】
当該方法は、第2の閉鎖側壁を第1の閉鎖側壁に向かって折り畳んで、開口部の断面積を減少させるステップを含んでもよい。
【0030】
当該方法は、開放端及び第2の閉鎖側壁によって形成された角を除去するステップを含んでもよい。
【0031】
除去するステップは、切断することを含んでもよい。
【0032】
移植片送達デバイスの内面は、摩擦低減処理を含んでもよい。
【0033】
摩擦低減処理は、親水性コーティングを含んでもよい。
【0034】
当該方法は、摩擦低減処理を水和させるステップを含んでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0035】
上述の実施形態だけでなく、その追加の実施形態のより良い理解のために、以下の詳細な説明を、以下の図面と併せて参照すべきであり、図面においては、同様の参照番号が図を通して対応する部分を指している。
図1】一実施形態による移植片送達デバイスの透視図である。
図2A図1の移植片送達デバイスの正面図である。
図2B図1の移植片送達デバイスの側面図である。
図2C図1の移植片送達デバイスの底面図である。
図3A】例証的な移植片送達デバイスの形状の輪郭を示した図である。
図3B】例証的な移植片送達デバイスの形状の輪郭を示した図である。
図3C】例証的な移植片送達デバイスの形状の輪郭を示した図である。
図3D】例証的な移植片送達デバイスの形状の輪郭を示した図である。
図3E】例証的な移植片送達デバイスの形状の輪郭を示した図である。
図3F】例証的な移植片送達デバイスの形状の輪郭を示した図である。
図3G】例証的な移植片送達デバイスの形状の輪郭、及び、移植片送達デバイスの例証的な操作を例示した機能図である。
図3H】例証的な移植片送達デバイスの形状の輪郭を示した図である。
図3I】例証的な移植片送達デバイスの形状の輪郭を示した図である。
図4】一実施形態による移植片送達デバイスの透視図である。
図5A図4の移植片送達デバイスの正面図である。
図5B図4の移植片送達デバイスの側面図である。
図5C図4の移植片送達デバイスの底面図である。
図6】一実施形態による移植片送達デバイスの透視図である。
図7A図6の移植片送達デバイスの正面図である。
図7B図6の移植片送達デバイスの側面図である。
図7C図6の移植片送達デバイスの底面図である。
図8A】一実施形態による、移植片の装填に先立つ移植片送達デバイスの正面図である。
図8B】一実施形態による、移植片が部分的に挿入された移植片送達デバイスの正面図である。
図8C】一実施形態による、移植片が装填された移植片送達デバイスの正面図である。
図8D】一実施形態による、移植片が装填され、送達部分が延ばされた移植片送達デバイスの正面図である。
図8E】一実施形態による、送達部分が延ばされ、移植片が送達部分に配置された移植片送達デバイスの正面図である。
図8F】一実施形態による、送達部分が延ばされ、移植片が送達部分から部分的に延びている移植片送達デバイスの正面図である。
図9】一実施形態による移植片送達デバイスの透視断面図である。
図10A】一実施形態による、折り畳まれていない構成の移植片送達デバイスの正面図である。
図10B】開いた構成における図10Aの移植片送達デバイスの底面図である。
図10C】移植片を装填した図10Aの移植片送達デバイスの側面図である。
図10D】片側が折り畳まれた構成の、移植片を装填した図10Aの移植片送達デバイスの正面図である。
図10E】折り畳まれた構成の、移植片を装填した図10Aの移植片送達デバイスの正面図である。
図10F】閉鎖部分を概略的に示す折り畳まれた構成の、移植片を装填した図10Aの移植片送達デバイスの正面図である。
図10G】折り畳まれた構成の、移植片を装填した図10Aの移植片送達デバイスの正面図である。
図11A】一実施形態による、移植片送達デバイスの正面図である。
図11B】折り畳まれた構成の、図11Aの移植片送達デバイスの正面図である。
図11C】送達構成の、図11Aの移植片送達デバイスの正面図である。
図12】移植片送達デバイスを製造するプロセス図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
次に、その例が添付の図面及び図において例示されている実施形態が詳細に参照される。以下の詳細な説明では、本発明の完全な理解を提供するために多くの具体的な詳細が明記される。しかし、当業者には、本発明がこれらの具体的な詳細なしに実施され得ることが明らかであろう。他の例では、周知の方法、手順、構成要素、回路及びネットワークは、実施形態の態様を不必要にわかりにくくしないように詳細には説明されていない。
【0037】
図1は、一実施形態による移植片送達デバイスの透視図である。図2Aは、図1の移植片送達デバイスの正面図である。図2Bは、図1の移植片送達デバイスの側面図である。図2Cは、図1の移植片送達デバイスの底面図である。一部の実施形態において、移植片送達デバイスは、乳房移植片又は他の移植片挿入デバイスである。移植片送達デバイスは、移植片に触ることなく移植片を挿入するために使用することができ、それによって、移植片への損傷又は感染のリスクが低減される。図1及び2を参照すると、移植片送達デバイス10は、本体部分12及び送達部分14を含む。本体部分12の側壁16及び18は、まっすぐであってもよい。送達部分の側壁20及び22は、側壁16及び18に対して角度が付けられてもよい。側壁16及び18の角度は、本体部分12の幅よりも小さい開口部24の幅を提供する。好ましくは、開口部24の幅は、移植片のサイズよりも小さいため、力がデバイス10に加えられていないときに、移植片は、静止状態でデバイス10の内側に留まり、本体部分12の幅は、その中に移植片を収容するために、移植片のサイズよりも大きい。
【0038】
移植片送達デバイス10は、一端(例えば、側壁20及び22の端部)に単一の開口部24、及び、移植片送達デバイス10の反対端に閉鎖端26を含む。末端壁28は、結合領域30において熱溶接、接着剤、テープ、又は他の固定体によって本体部分12に結合されてもよい。一部の実施形態において、移植片送達デバイス10の全ての側面は、封じられていてもよい。そのような実施形態の例証的な利点は、移植片送達デバイスの内側の滅菌状態の維持である。外科医は、移植片送達デバイスを切断して、開口部を形成してもよい。
【0039】
デバイス10の本体部分12は略円筒形であってもよく、本体部分12に対して減少した幅を有する単一の開口部24を送達部分14の一端に有する。単一の開口部24は、移植片を挿入デバイス10内に置くため、及び、移植片を患者内に送達するために使用することができる。移植片送達デバイスの閉鎖端26は、移植片が、患者への挿入に先立ち挿入デバイス10から滑り出るのを防ぎ、汚染物がデバイス10に入って移植片に到達するのを制限又は回避し、さらに、潤滑剤(例えば、生理食塩水又はベタダイン等)が移植片又は移植片送達デバイスの内表面に塗布される間、移植片を収容することができる。単一の開口の例証的な利点は、潤滑剤(又は他の水和剤)の内容物を保持することによって、潤滑剤又は水和剤の塗布をより容易にし、汚すのを少なくし、潤滑剤又は水和剤の使用量を少なくし、より効果的にすることである。
【0040】
一部の実施態様において、領域30は、閉鎖端26の代わりに可撓性エラストマーを含む。可撓性エラストマーは、移植片が通り抜けるのを可能にするように伸ばされ、次に、その元のサイズに戻ることができる。このようにして、開口部24が移植片よりも小さい場合に、移植片を移植片送達デバイス内に確実に装填することができる。
【0041】
一部の実施形態において、移植片送達デバイス10には、例えば、可能な限り少ない量の汚染を提供するために製造クリーンルームにおいて、患者に挿入するための移植片が予め装填される。移植片送達デバイス10及び予め装填された移植片は、患者への送達に備えて、滅菌パッケージで包装することができる。使用のために、移植片送達デバイス10及び予め挿入された移植片は、滅菌パッケージから取り除くことができ、一部の実施形態では、必要に応じて、潤滑性コーティングを水和させることができる。移植片送達デバイスに(例えば、一部の実施形態では製造業者によって)予め装填されることによって、移植片は、滅菌状態で患者に送達する準備が整った状態で外科医に提供され得る。そのような実施形態では、移植片が本体12内に配置された移植片送達デバイス10は、輸送用の組み合わされたデバイス10及び移植片を保護する出荷用パッケージ等のボックス又はパッケージにおいて一緒に配置されてもよい。
【0042】
切開部位は、開口部24の幅よりもわずかに小さくてもよい。開口部24は、側壁20及び22が外科的開口内に延びるように、(例えば、1cm等)わずかに部位内に挿入されてもよい。次に、移植片が手術部位に展開されると、以下においてより詳細に論じられるように、送達は、外科医が移植片に直接触れない、又は、移植片を環境又は患者の外面と接触させないため、タッチレスであり得る。
【0043】
一実施形態において、移植片は、(シリコーンゲルを包囲するエラストマーシリコーンシェルであってもよい)シリコーンゲルタイプの移植片等、乳房移植片である。生理食塩水移植片、他の混成の充填剤タイプの移植片、又は組織拡張器等、他の移植片タイプも、移植片送達デバイス10と共に使用することができる。
【0044】
移植片は、移植片送達デバイスの単一の開口部24を介して、移植片送達デバイス10の内側に置くことができる。開口部24及び他のデバイスの寸法は、エンドユーザが切断、伸張、又は追加若しくは削除等の調整又は修正を行う必要がないように、意図された移植片に従ってサイズ決定することができる。
【0045】
一部の実施形態において、移植片送達デバイスは、無菌化することができる及び/又は滅菌可能な材料及び構造で構成される。滅菌方法には、エチレンオキサイド滅菌、二酸化塩素滅菌、過酸化水素滅菌、ガンマ線滅菌、電子線滅菌、湿熱滅菌、乾熱滅菌、又はそれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。移植片送達デバイスに移植片が予め装填される実施形態において、移植片送達デバイスは、移植片に適用される滅菌方法を受けた後で少なくとも1回使用可能な材料で作製されてもよい。
【0046】
一部の実施形態において、移植片送達デバイス10の少なくとも一部は、少なくとも部分的に透明又は半透明である材料を含む。移植片送達デバイス10の透明又は半透明部分は、外科医が、封入された移植片の位置及び/又は操作中の移植片の位置若しくは動きを見るのを可能にし得る。これは、所望の向きで移植片の送達を容易にするために形作られた移植片の場合に特に有利であり得る。例えば、移植片送達デバイス10の少なくとも一部は、透明又は半透明のポリマーフィルムを含んで、外科医が移植片の少なくとも一部を見るのを可能にしてもよい。
【0047】
一部の実施形態において、移植片送達デバイス10は、可撓性又は半可撓性のポリマー又はコポリマー材料で構成されてもよい。例えば、移植片送達デバイス10は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、フルオロポリマー、エチレン酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニル及びシリコンのうち1つ以上を含んでもよい。材料は、フィルムとして提供され、継ぎ目に沿って結合されて、一般的に円筒の形状の本体部分12を提供することができる。材料はまた、継ぎ目の必要性を制限又は回避することができるレイフラットチューブによって提供されてもよい。レイフラットチューブの利点は、垂直の継ぎ目を結合させるための製造ステップを制限又は回避することができ、それによって、生産高を上げ、製造コストを下げることである。レイフラットチューブは、継ぎ目の数を制限するか又は減らすこともでき、それによって、あり得る弱点を減らし、デバイス10の強度を増大させる。好ましくは、デバイス10は、外科医によってデバイスに加えられ得る力の下で故障したり、屈したりしない。
【0048】
一部の実施形態において、移植片送達デバイス10の内面のうち1つ以上は、低い摩擦係数を提供するように作製又は処理されてもよい。これは、潤滑性コーティングを使用することによって達成することができる。潤滑性のコーティング又は表面は、滑りやすさ、低摩擦、及び/又は滑らかさを有する物体のコーティング又は表面を含んでもよい。この説明は、本質的に例証的なものであり、潤滑性のコーティング又は表面は、それによって定義されないか又はそれに限定されない。例えば、一部の実施形態では、移植片送達デバイス10の内面のうち少なくとも1つ以上の少なくとも一部は、潤滑性であり得る。潤滑性は、移植片送達デバイス10の材料上のコーティングの有無で達成されてもよい。潤滑性は、親水性コーティング又は疎水性コーティングによって提供又は強化することができる。一部の実施形態において、潤滑性は、移植片送達デバイス10の(例えば、壁を形成する)材料の潤滑性質及び移植片送達デバイス10の材料上のコーティングの組み合わせを含む。
【0049】
移植片送達デバイス10のサイズ及び/又は形状は、外科医の要求及び/又は患者の要求に基づき異っていてもよい。例えば、単一の開口部24は、角度が付けられた又はまっすぐの側面を含む、異なるサイズ及び寸法を有してもよい。移植片を保持するための本体部分12も、平らな、湾曲の、又は他の形状の封じられた端部を含む、異なるサイズ及び寸法を有することができる。一部の非限定的な実施形態が、図3A~3Iにおいて示されており、移植片送達デバイスの実施形態に対する形状の輪郭を例示している。
【0050】
図3Aは、図1及び2に関して先に論じた実施形態と同様に、まっすぐな壁を有する本体部分42及び角度が付けられた壁を有する送達部分44を有する挿入デバイス40を例示している。
【0051】
図3Bは、角度が付けられた壁を有する本体部分及び送達部分を有する挿入デバイス50を例示している。送達部分と組み合わされた本体部分を形成することによって、よりシンプルである、又は、継ぎ目が少なく無駄になる材料が少ないという製造プロセスにおける利点が提供され得る。
【0052】
図3Cは、まっすぐな壁を有する本体部分及び送達部分を有する挿入デバイス60を例示している。送達部分と組み合わされた本体部分を形成することによって、よりシンプルである、又は、継ぎ目が少なく無駄になる材料が少ないという製造プロセスにおける利点が提供され得る。この実施形態は、装置の端部においてただ1つの継ぎ目が必要とされ得るため、装置がレイフラットチューブのストックから構成される場合に特に有利であり得る。
【0053】
図3Dは、角度が付けられた壁を有する本体部分72、及び、まっすぐな壁を有する送達部分74を有する挿入デバイス70を例示している。この実施形態は、移植片が手術部位内にさらに送達されることになる場合に特に有利であり得る。送達部分のまっすぐな壁は、手術部位への挿入デバイスの容易な挿入を促進する。
【0054】
図3Eは、まっすぐな壁を有する本体部分82、及び、角度が付けられた壁を有する送達部分84を有する挿入デバイス80を例示している。本体部分82の端部86は、丸みを帯びた形状を有している。この実施形態は、丸みを帯びた形状が移植片をより容易に収容するための箇所を提供するため、大きな移植片又は予めパッケージされる移植片の場合に特に有利であり得る。
【0055】
図3Fは、角度が付けられた壁を有する本体部分92、及び、角度が付けられた壁を有する送達部分94を有する挿入デバイス90を例示している。本体部分92の壁は、送達部分94の角度が付けられた壁と比較して反対方向に角度が付けられている。この実施形態は、本体部分の角度が付けられた壁が、移植片を送達部分94に向かって、送達部分94を通って移動させるのを容易にし得るため、特に有利であり得る。
【0056】
図3A~3Fにおいて示されている非限定的な実施形態では、単一の開口部が、挿入デバイスの内側に移植片を置くため及び患者内に移植片を送達するために使用され得る。或いは、図3Gにおいて示されているように、挿入デバイス100は、移植片104を装填するための単一の開口部102と、移植片送達を提供するために(例えば、切断、スライス、引き裂き、又は選択的分離によって)除去することができる切り取り又は除去可能な部分106とを含んでもよい。一部の実施形態において、挿入デバイスは、挿入デバイスの一部を選択的に除去するために使用され得るガイドの、予め切断された又は弱められた領域を含み得る。
【0057】
図3Hは、ティアドロップ形状を有する挿入デバイス107を例示している。移植片デバイスは、全周囲が封じられてもよい。外科医は、デバイスに切り目を入れることによって開口部の開口のサイズを選択することができる。小さい開口部の場合、外科医は、位置108aの近位を切断することができる。より大きな開口部の場合、外科医は、位置108bの近位を切断することができる。
【0058】
図3Iは、砂時計形状を有する挿入デバイス109を例示している。端部111a及び111bは、開いていてもよい。砂時計形状は、端部111bの近位に狭い部分を含む。端部111a及び111bは、実質的に同じサイズであってもよい。この実施形態の例証的な利点は、外科医によって促す力(encouraging force)が加えられるまで移植片が挿入端部に進まないことである。挿入端部は、より平らなままであってもよく、挿入端部の位置決めを容易にしている。
【0059】
図4は、一実施形態による移植片送達デバイスの透視図である。図5Aは、図4の移植片送達デバイスの正面図である。図5Bは、図4の移植片送達デバイスの側面図である。図5Cは、図4の移植片送達デバイスの底面図である。図4及び5を参照すると、移植片送達デバイス110は、本体部分112及び送達部分114を含む。移植片送達デバイスは、単一の開口部124を含む。本体部分112及び送達部分114の双方に対して角度が付けられた側壁を有するように例示されているけれども、本体部分112はまっすぐな壁を含んでもよいということも正しく理解されることになる。開口部124の反対側の端部において、本体部分112は、封じられた端部126を含む。封じられた端部126は、熱溶接、接着剤、テープ、又は他の固定体によって形成することができる。封じられた端部126を提供することの例証的な利点は、末端壁(図1の末端壁28等)を含む製造の複雑さを回避することができるということである。
【0060】
図6は、一実施形態による移植片送達デバイスの透視図である。図7Aは、図6の移植片送達デバイスの正面図である。図7Bは、図6の移植片送達デバイスの側面図である。図7Cは、図6の移植片送達デバイスの底面図である。図6及び7を参照すると、移植片送達デバイス140は、本体部分142及び送達部分144を含む。移植片送達デバイスは、単一の開口部146を含む。本体部分142及び送達部分144の双方に対して角度が付けられた側壁を有するように例示されているけれども、本体部分142はまっすぐな壁を含んでもよいということも正しく理解されることになる。開口部146の反対側の端部において、本体部分112は、封じられた端部を含む。
【0061】
図6及び7は、送達部分144が反転されている構成における移植片送達デバイス140を例示している。この構成において、開口部146は、本体部分142の内側に配置される。好ましくは、送達部分144の長さは、移植片の幅とほぼ等しいか又はそれより大きいマージンだけ、本体部分142の長さよりも短い。
【0062】
移植片は、外科医により、反転された送達部分144及び開口部146を通過させることによって、本体部分142によって提供される封じられた端部チャンバ内に装填され得る。次に、重力が移植片を開口部142に向かって引っ張り、反転された送達部分144をその反転されていない構成に戻させるように、移植片送達デバイス140を回転させることができる。送達部分144はまた、反転されていない構成まで手動で操作されてもよい。
【0063】
図8を参照すると、図8Aは、移植片の装填に先立つ移植片送達デバイス160(先に論じた移植片送達デバイスのいずれか等)の正面図である。移植片送達デバイス160は、開口部166が本体部分162内に配置されるように、送達部分164が反転されている構成にある。図8Bは、移植片170が開口部166内に挿入された移植片送達デバイス160の正面図である。図8Cは、移植片が装填され、本体部分162に配置された移植片送達デバイス160の正面図である。図8Dは、移植片が装填され、本体部分162に配置された移植片送達デバイス160の正面図である。
【0064】
この段階で、開口部166が手術部位に挿入される。好ましくは、開口部166を手術部位内に確実に配置して、細菌及び他の望ましくない汚染を有し得る皮膚の表面の外部環境への移植片170の露出を制限することができるように、手術部位の切開部は、開口部166の幅よりもわずかに小さい。移植片及び/又は移植片送達デバイス160の材料の可撓性によって、次に記載されるように穏やかな力を加えることで、移植片が開口部166を通過するのが可能になる。移植片送達デバイス166はまた、開口部166を手術部位に挿入することなく、患者に移植片を送達するために使用されてもよいということが正しく理解されることになる。
【0065】
図8Eは、送達部分164が延ばされ、移植片送達が起こる寸前である移植片送達デバイス160の正面図である。移植片170は、重力が移植片170を移動させるのを可能にするように挿入デバイス160を方向づけることによって、送達部分164内に置かれてもよい。移植片の背後から(例えば、封じられた端部の側面から)穏やかな力を加えることによって、移植片170が送達部分164に移動することを外科医が促してもよい。好ましくは、外科医は、移植片に対するあり得る損傷を制限するために、移植片170に直接力を加えない。例えば、外科医は、封じられた端部の近くで送達デバイス160の側壁を圧迫し、送達部分164に向かって動かすことができる。この動きは、移植片に直接力を加えることなく、移植片の移動を促すことができる。
【0066】
図8Fは、送達部分164が延ばされ、移植片170が開口部166から部分的に延びている移植片送達デバイス160の正面図である。外科医は、上述の動き(例えば、送達部分164の側壁を移植片170の背後から一緒に圧迫し、それによって、移植片170が開口部166に向かって開口部166を通って、外科的部位内に移動するように促す等)を続けてもよい。
【0067】
図9は、一実施形態による移植片送達デバイス180の透視断面図である。図1の実施形態と同様に、移植片送達デバイス180は、封じられた端部チャンバ(例えば、本体部分)182と、移植片を移植片送達デバイス内に挿入し、移植片を患者に挿入するための単一の開口部186を有する(反転された構成で示されている)送達部分184とを含む。図9の封じられた端部チャンバ182は湾曲している。湾曲した形状は、患者内への挿入に先立ち、移植片のより良い取扱いを提供することができる。図3A~Fにおいて示されている形状を含む他の形状も、本体部分に使用されてもよい。
【0068】
図10Aは、一実施形態による、折り畳まれていない構成の移植片送達デバイス200の正面図を例示している。移植片送達デバイス200は、閉鎖端202、閉鎖側面204、206、及び開放端208を有する略長方形の形状を含む。閉鎖端202並びに閉鎖側面204及び206は、熱溶接、接着剤、テープ、又は他の固定体によって閉じられてもよい。レイフラットチューブから構成される実施態様において、閉鎖側面204及び206は、レイフラットチューブ自体によって提供され、さらなる溶接、接着等を必要としない。レイフラットチューブは、材料が周囲方向に沿って連続しており、送達デバイス200は、1つの封じられる継ぎ目を作って閉鎖端202を提供することによって製造することができるという点で有利である。
【0069】
移植片送達デバイス200は、(図10Bにおいて示されるように)開放端208の開放を容易にするために、タブ210及び212を含んでもよい。タブ210及び212は、移植片送達デバイス200の面又は側面にそれぞれ結合されてもよい。タブ210及び212はまた、移植片送達デバイスの基板材料の一部として形成されてもよく、それと連続していてもよい。例えば、タブ210及び212は、移植片送達デバイス200の面内に切断されたスロットによって形成されてもよく、それによって、タブ210及び212が、持ち上げられ、操作されるのを可能にしている。
【0070】
移植片送達デバイス200は、折り線用の印214及び216を含んでもよい。印に加えて又はその代わりに、移植片送達デバイスは、線214及び216に沿って折り目が付けられてもい。印又は折り目は、閉鎖端202の一方又は両方の上方の角から開放端208まで延びていてもよい。印又は折り目は、開放端208においてそれらの幅が開放端208の幅よりも小さくなるように角度が付けられている。
【0071】
図10Bは、開いた構成の移植片送達デバイス200の上面図を例示している。タブ210及び212は、移植片装填プロセスのための移植片送達デバイス200の取扱い及び開放に使用することができる。タブ210及び212は、接着剤によって又は側壁内の開口又は開口部を通過させることによって、タブ210、212のそれぞれの端部で移植片送達デバイス200の側面に固定されてもよい。タブ210及び212はまた、基板と連続していてもよく、移植片送達デバイス200の成形の一部としてダイカットされてもよい。外科医は、移植片送達デバイス200の一方又は両方の側面からタブを引っ張って、側面を離して、移植片送達デバイス200を開くことができる、及び/又は、タブのうち1つ以上を押して、移植片送達デバイスの2つの側面を一緒にして、移植片送達デバイス200を少なくとも部分的に閉じることができる。
【0072】
図10Cは、図11Bの移植片送達デバイス200の側面図を例示しており、移植片230がデバイス200内に配置されている。この段階では、開放端208は大きく、移植片230の幅よりも広い幅を有しており、移植片230は、送達デバイス200内に容易に配置され得る。移植片230は、移植片送達デバイス200の2つの側面を離す外科医によって形成された開口を通過させられ、移植片送達デバイス203内に(例えば、移植片送達デバイスの底部又は閉鎖端202に)置かれてもよい。移植片が移植片送達デバイス内に置かれると、外科医は、必要に応じて、移植片及び移植片送達デバイスの内表面に潤滑剤を添加することができる。外科医は、本明細書においてさらに記載されるように、移植片送達デバイス200を閉じる前又は後に、潤滑剤を添加してもよい。移植片230の装填に続いて、外科医は、移植片送達デバイスの閉鎖を進めることができる。
【0073】
図10Dは、第1の側面が印又は折り目214に沿って折り畳まれた、移植片送達デバイス200の正面図を例示している。一部の実施形態において、第1の折り畳まれる側面は、タブのない(例えば、タブ218のない)側面であってもよい。第2の折り畳まれる側面は、タブを有する(例えば、タブ218を有する)側面であってもよい。図10Eは、2つの側面が折り畳まれた、折り畳まれた構成の移植片送達デバイス200の正面図を例示している。第2の側面は、印又は折り目216に沿って折り畳まれている。タブ218は、側面を互いに固定するために使用されてもよい。図10Fは、折り畳まれた構成の移植片送達デバイス200の正面図を例示しており、タブ218は、粘着領域220を露出させるために、剥離によって等、除去されている。粘着領域220は、片面又は両面粘着テープによって提供されてもよい。クリップ、ボタン、Velcro(登録商標)、及び他の粘着剤等が、粘着領域220に加えて又はその代わりに使用されてもよい。
【0074】
図10Gは、手術部位における開放端208の挿入及び患者への移植片の(例えば、前方及び開放端208に向けて移植片を促すための先に論じたアプローチを使用した)送達の準備が整った折り畳まれた構成の移植片送達デバイス200の正面図を例示している。
【0075】
図10A~10Gを参照すると、折り畳みを行うために外科医にガイダンスを提供する印又は折り目214及び216は、下端208の中心線に近位の移植片送達デバイスの開放端208まで延びてもよい。好ましい実施形態では、(端部208まで延びない印及び折り目の開放端208に投影される印又は折り目214及び216の)開放端208における印又は折り目214及び216の間の距離は、折り畳まれていない構成の開放端208の幅の半分未満である。上記の印又は折り目の位置決めは、2つの側面の閉鎖によって形成される出口開口部を提供する。開口部のサイズは、印及び折り畳みの位置決めに基づき調整することができるということが正しく理解されることになる。移植片送達デバイス200は、複数の移植片サイズに対応する複数の印214、216を含んでもよい。
【0076】
一部の実施形態では、移植片送達デバイス200の少なくとも一部は、少なくとも部分的に透明又は半透明である材料を含む。移植片送達デバイス200の透明又は半透明の部分は、外科医が、封入された移植片の位置及び/又は操作中の移植片の位置若しくは動きを見るのを可能にし得る。これは、所望の向きにおける移植片の送達を容易にするように形作られた移植片の場合に、特に有利であり得る。例えば、移植片送達デバイス200の少なくとも一部は、透明又は半透明のポリマーフィルムを含んで、外科医が移植片の少なくとも一部を見るのを可能にしてもよい。
【0077】
一部の実施形態において、移植片送達デバイス200は、可撓性又は半可撓性のポリマー又はコポリマー材料で構成されてもよい。例えば、移植片送達デバイス200は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、フルオロポリマー、エチレン酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、及びシリコンのうち1つ以上を含んでもよい。材料は、フィルムとして提供され、継ぎ目に沿って結合されて、一般的に円筒の形状を提供することができる。材料はまた、継ぎ目の必要性を制限又は回避することができるレイフラットチューブによって提供されてもよい。上述のように、レイフラットチューブの利点は、垂直の継ぎ目を結合させるための製造ステップを制限又は回避することができ、それによって、生産高を上げ、製造コストを下げることである。レイフラットチューブは、継ぎ目の数を制限するか又は減らすこともでき、それによって、あり得る弱点を減らし、デバイス200の強度を増大させる。好ましくは、デバイス200は、外科医によってデバイスに加えられ得る力の下で故障したり、屈したりしない。
【0078】
一部の実施形態において、移植片送達デバイス200の内面のうち1つ以上は、低い摩擦係数を提供するように作製又は処理されてもよい。これは、潤滑性コーティングを使用することによって達成することができる。潤滑性のコーティング又は表面は、滑りやすさ、低摩擦、及び/又は滑らかさを有する物体のコーティング又は表面を含んでもよい。この説明は、本質的に例証的なものであり、潤滑性のコーティング又は表面は、それによって定義されないか又はそれに限定されない。例えば、一部の実施形態では、移植片送達デバイス200の内面のうち少なくとも1つ以上の少なくとも一部は、潤滑性であり得る。潤滑性は、移植片送達デバイス200の材料上のコーティングの有無で達成されてもよい。潤滑性は、親水性コーティング又は疎水性コーティングによって提供又は強化することができる。一部の実施形態において、潤滑性は、移植片送達デバイス200の(例えば、壁を形成する)材料の潤滑性質及び移植片送達デバイス200の材料上のコーティングの組み合わせを含む。
【0079】
移植片送達デバイス200のサイズ及び/又は形状は、外科医の要求及び/又は患者の要求に基づき異っていてもよい。例えば、開放端208は、異なるサイズ及び寸法を有してもよく、側面204、206は、まっすぐであってもよく又は角度が付けられてもよい。
【0080】
図11Aは、一実施形態による、折り畳まれていない構成の移植片送達デバイス240の正面図を例示している。図10の移植片送達デバイス200と同様に、移植片送達デバイス240は、閉鎖端242、閉鎖側面244、246、及び開放端248を有する略長方形の形状を含む。閉鎖端242並びに閉鎖側面244及び246は、熱溶接、接着剤、テープ、又は他の固定体によって閉じられてもよい。レイフラットチューブから構成される実施態様において、閉鎖側面244及び246は、レイフラットチューブ自体によって提供され、さらなる溶接、接着等を必要としない。レイフラットチューブは、材料が周囲方向に沿って連続しており、送達デバイス240は、1つの封じられる継ぎ目を作って閉鎖端242を提供することによって製造することができるという点で有利である。
【0081】
移植片送達デバイス240は、折り線用の印250を含む。印250は、好ましくは、開放端248の角から斜めに、例えば45度で、送達デバイス240の反対側まで延びる。印250に加えて又はその代わりに、移植片送達デバイスは、線250に沿って折り目を付けることができる。
【0082】
移植片送達デバイス240はまた、印250から開放端248まで延びる1つ以上の印252a~252eを含んでもよい。平らな構成では、印252a~252eはほぼ垂直である。折り畳んだ後の挿入端での対称性のために、印252a~252eはまた、二等辺三角形に近似するように角度が付けられてもよい。
【0083】
図11Bは、移植片送達デバイス240の正面図を例示しており、1つの側面が印又は折り目250に沿って折り畳まれている。折り畳まれると、開放端248は側面に向けられ、印252はより水平向きになる。図11Cを参照すると、折り畳まれた構成において、一部が、印252a~252eの1つに沿って切り取られるか又は他の方法で除去されてもよい。印における角の除去は、実際には、側面246まで延びるように開放端248を拡大する。しかし、折り畳みのために、移植片が通過するために利用可能な断面積は減少する。
【0084】
図12を参照して、上記の実施形態のいずれかによる、移植片送達デバイスを製造するための例証的なプロセスが記載される。310では、バルク材料のロールが提供されている。バルク材料は、上述の熱可塑性フィルム等の生体適合性フィルムであってもよい。バルク材料は、レイフラットチューブのロールであってもよい。発端(outset)312は、例証的なレイフラットチューブの断面を例示している。レイフラットチューブ314は、周囲に沿って連続しており、一部の実施態様では、レイフラットチューブ314の内部にテクスチャ処理された表面316を含む。テクスチャ処理された表面の例証的な利点は、(静的によって等)共に固着すること由来のレイフラットチューブ314の壁の固着の影響を減らすこと、以下においてさらに論じられるようにチューブを開いて反転させる能力を改善すること、及びレイフラットチューブへの処理の適用を容易にすることを含む。
【0085】
320において、バルク材料は、移植片送達デバイスの形状に形作られる。レイフラットチューブの場合、回転するホットナイフ装置が、バルクのレイフラットチューブ314をサイズに切断することも、一端を閉じるために移植片送達デバイスの一端の熱溶接を行い、一端を開いたままにすることもできる。ダイカット操作が、回転するホットナイフ装置の代わりに又はそれに加えて使用されてもよい。一部の実施形態において、移植片送達デバイスの端部は、再反転後等のプロセスの後半まで結合されない。フィルムシートがバルク材料又は角度が付けられた継ぎ目の適用等の他の成形に使用される場合、フィルムシートの固定層及び他の成形をこのステップにおいて行うことができる。
【0086】
330において、切断され形作られた材料は裏返しにされる。レイフラットチューブの場合、リッジ316は、ここで外部に露出され得る。
【0087】
340において、反転された材料は、処理で浸漬され得る。この処理は、例えば、上述の潤滑性コーティングであってもよい。潤滑性コーティングを塗布することは、コーティングがまだ液体でない場合には、液体形態のコーティングを調製することを含んでもよい。コーティング材料は、アルコール又は水等の溶媒に溶解させてもよい。浸漬後、コーティングは、乾燥、加熱、及び紫外線への露光等によって硬化され得る。硬化されると、コーティングは、その後の液体への曝露がバルク材料からコーティングを完全に除去しないように、デバイスのバルク材料に共有結合され得る。例えば、コーティングは、Surmodicsから入手可能なSerene(登録商標)、DSMから入手可能なComfortCoat(登録商標)、ISurTec(登録商標)から入手可能なISurGlide(登録商標)、Harland Medical Systemsから入手可能なLubricent(登録商標)、Biocoatから入手可能なHydak(登録商標)、及びパリレンを含んでもよい。溶媒と共に又は溶媒なしで塗布されるコーティング、及びコーティングを塗布するための他の送達方法が使用され得るということが正しく理解されることになる。例えば、コーティングは、噴霧され、ロールオンされ、注がれるもの等であってもよい。コーティングはまた、例えば、浸漬に先立ちデバイスの領域をマスキングする、コーティング材料上にスタンピングする、スロットダイ塗布プロセスを使用する、ロールコーティングする、又は開口スクリーンを介してコーティング材料を塗布することによって、選択的に塗布されてもよい。パターンの例は、ドット、市松模様、及びデバイスの開放端から閉鎖端まで延びる縦じまを含む。コーティングはまた、例えば、近位の開口部の端部から出発して、部分的に延びるがデバイスの反対側の端部まで完全には延びない、デバイスの領域に選択的に適用されてもよい。コーティング材料を選択的に塗布することによって、依然として摩擦係数を下げて所望の性能を提供しながら、デバイスのコストを下げることができる。
【0088】
コーティングが硬化されると、350において、デバイスを再度反転させて、反転されていない構成に戻すことができる。このステップでは、デバイスの被覆された内面間の接触及び固着を制限するために、出荷用保護シートを任意的にデバイスの内側に添加することができる。360において、デバイスは、出荷用に包装されてもよい。一部の実施形態において、これは、デバイスの内側に移植片を配置し、デバイスを滅菌することを含む。
【0089】
一部の実施形態において、材料の反転は、成形及びコーティングの前に行われてもよいということが正しく理解されることになる。例えば、バルク材料の部分を反転させ、(例えば、レイフラットチューブ等の)材料の部分の両端を封じて、潤滑材料の侵入を防ぐことができる。ディップコーティングの後、一方又は両方のシールを切り離し、材料を再反転させ、次に封じても(及び一部の実施形態では、形作っても)よい。反転された材料の一部は、ディップコーティングの前にマスキングされてもよく、又は、コーティングは、シールが形成される場合に、コーティング材料の塗布を制限するために、噴霧等の選択的プロセスによって塗布されてもよく、これらの位置においてシールの強度が改善される。
【0090】
潤滑性コーティングの代わりに又はそれに加えて、他の処理も提供することができるということも正しく理解されることになる。例えば、抗菌処理が、移植片送達デバイスの1つ以上の表面に適用されてもよい。
【0091】
特定の実施形態及び例が先に記載されてきたけれども、本開示は必ずしもそのように限定されるものではないということ、及び、多数の他の実施形態、例、使用、実施形態、例、及び使用からの修正及び逸脱が、本明細書及び図並びに添付の特許請求の範囲に包含されることが意図されているということが当業者によって正しく理解されることになる。従って、本明細書及び図は、限定的な意味ではなく例示的な意味でみなされることになり、そのような修正は全て、本開示の範囲内に含まれることが意図されている。特定の実施形態に関して本明細書において記載されたいかなる利益、利点、又は問題に対する解決策も、決定的な、必要な、又は必要不可欠な特徴又はいかなる若しくは全ての請求項の要素として解釈されると意図されない。
【0092】
名称、要約、背景、及び見出しは、規則に従って及び/又は読者の便宜のために提供されている。これらは、先行技術の範囲及び内容に関する承認を含まず、全ての開示された実施形態に適用可能な制限も含まない。
図1
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図3F
図3G
図3H
図3I
図4
図5A
図5B
図5C
図6
図7A
図7B
図7C
図8A
図8B
図8C
図8D
図8E
図8F
図9
図10A
図10B
図10C
図10D
図10E
図10F
図10G
図11A
図11B
図11C
図12
【国際調査報告】