(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-12
(54)【発明の名称】合成皮革を形成するための方法
(51)【国際特許分類】
D06M 15/564 20060101AFI20220104BHJP
D06N 3/14 20060101ALI20220104BHJP
D06M 15/09 20060101ALI20220104BHJP
D06M 15/05 20060101ALI20220104BHJP
D06M 13/256 20060101ALI20220104BHJP
【FI】
D06M15/564
D06N3/14
D06M15/09 ZAB
D06M15/05
D06M13/256
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021505873
(86)(22)【出願日】2018-08-21
(85)【翻訳文提出日】2021-03-19
(86)【国際出願番号】 CN2018101462
(87)【国際公開番号】W WO2020037486
(87)【国際公開日】2020-02-27
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(71)【出願人】
【識別番号】590002035
【氏名又は名称】ローム アンド ハース カンパニー
【氏名又は名称原語表記】ROHM AND HAAS COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】タイ、シャンヤン
(72)【発明者】
【氏名】クー、チャオホイ
(72)【発明者】
【氏名】ツァオ、ルイチン
(72)【発明者】
【氏名】クオ、ユンロン
(72)【発明者】
【氏名】パン、シャオイ
【テーマコード(参考)】
4F055
4L033
【Fターム(参考)】
4F055AA01
4F055AA21
4F055AA27
4F055EA01
4F055EA05
4F055EA12
4F055EA21
4F055EA24
4F055FA03
4F055FA15
4F055GA03
4L033AB04
4L033AC15
4L033BA28
4L033CA03
4L033CA05
4L033CA50
(57)【要約】
合成皮革を製造する方法は、(i)最初に、テキスタイルを、カチオン性ヒドロキシエチルセルロースポリマーを含有する水溶液と接触させて、改質されたテキスタイルコンポーネントを形成することと、(ii)続いて、改質されたテキスタイルコンポーネントに、アニオン性界面活性剤で外部的に安定化された水性ポリウレタン分散液を含浸させることと、(iii)改質されたテキスタイルコンポーネント中にポリウレタンを析出させることと、を含む。および、その方法で形成された合成皮革。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
方法であって、
(i)最初に、テキスタイルを、カチオン性ヒドロキシエチルセルロースポリマーを含む水溶液と接触させて、改質されたテキスタイルコンポーネントを形成ことと、
(ii)続いて、前記改質されたテキスタイルコンポーネントに、アニオン性界面活性剤で外部的に安定化された水性ポリウレタン分散液を含浸させることと、
(iii)前記改質されたテキスタイルコンポーネント中に前記ポリウレタンを析出させることと、を含む方法。
【請求項2】
(iv)合成皮革を形成することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
第四級アンモニウムカチオン基を有するヒドロキシエチルセルロースポリマーであるカチオン性ヒドロキシエチルセルロースポリマーを選択することを含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
100,000ダルトン~3,000,000ダルトンの重量平均分子量(Mw)を有するカチオン性ヒドロキシエチルセルロースポリマーを選択することを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
スルホン酸塩界面活性剤であるアニオン性界面活性剤を選択することを含む、請求項1~5のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
カチオン:アニオン比を0.1~10に維持することを含む、請求項1~5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記改質されたテキスタイルコンポーネントに前記水性ポリウレタン分散液を含浸させる前に、前記改質されたテキスタイルコンポーネントを乾燥させることを含む、請求項1~6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
20重量%~70重量%のポリウレタンを含む合成皮革を形成することを含む、請求項1~7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
請求項1~8のいずれかに記載の方法によって製造される合成皮革。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、合成皮革を形成するための方法に関する。
【0002】
衣類、履物、バッグおよび旅行かばん、室内装飾品、ならびに自動車のシートを含む、合成皮革に関する用途が増加している。合成皮革は、天然皮革と同様の性能および手触りを呈することができるが、合成皮革は、動物にやさしく、製造コストが安いという追加の利点を提供する。合成皮革は、従来、有機溶剤(例えば、ジメチルホルムアミド(DMF))を含有するポリウレタン溶液をテキスタイルに含浸させた後、水を加えて、ポリウレタンを析出させ、多孔質ポリウレタンマトリックスを形成することによって製造される。多孔質構造は、天然皮革に似た柔らかな手触りを合成皮革に与える。DMFは、製造業者、加工業者、消費者、および環境に有害である。
【0003】
水性ポリウレタンを利用することにより、有機溶剤を使用せずに合成皮革を形成する試みがなされてきた。水性ポリウレタン分散液の発泡(または起泡)、および発泡ポリウレタン分散液をテキスタイル上に塗布し、次いでテキスタイルを乾燥させることが知られている。しかしながら、発泡体の泡に安定性を提供するために水性ポリウレタン分散液が必要とする比較的高い粘度(塗布および乾燥中)は、水性ポリウレタン分散液のテキスタイルへの含浸を妨げる。壊れた気泡は、得られるポリウレタンマトリックスの多孔性を低下させ、得られる合成皮革の柔らかな手触りを悪化させる。
【0004】
当技術分野は、有機溶剤の使用を回避する合成皮革の製造の必要性を認識している。当技術分野はさらに、水性ベース製造の合成皮革の必要性を認識している。
【発明の概要】
【0005】
本開示は、方法を提供する。この方法は、(i)最初に、テキスタイルを、カチオン性ヒドロキシエチルセルロースポリマーを含有する水溶液と接触させて、改質されたテキスタイルコンポーネントを形成することと、(ii)続いて、改質されたテキスタイルコンポーネントに、アニオン性界面活性剤で外部的に安定化された水性ポリウレタン分散液を含浸させることと、(iii)改質されたテキスタイルコンポーネント中にポリウレタンを析出させることと、を含む。
【0006】
本開示はまた、上記方法によって形成された合成皮革を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】比較試料1のいくつかの走査型電子顕微鏡(SEM)の顕微鏡写真である。
【
図2】比較試料2のいくつかのSEM顕微鏡写真である。
【
図3】本開示の一実施形態による、実施例3のいくつかのSEM顕微鏡写真である。
【
図4】本開示の一実施形態による、実施例4のいくつかのSEM顕微鏡写真である。
【
図5】本開示の一実施形態による、実施例5のいくつかのSEM顕微鏡写真である。
【
図6】本開示の一実施形態による、実施例6のいくつかのSEM顕微鏡写真である。
【
図7】本開示の一実施形態による、実施例7のいくつかのSEM顕微鏡写真である。
【
図8】本開示の一実施形態による、実施例8のいくつかのSEM顕微鏡写真である。
【
図9】本開示の一実施形態による、実施例9のいくつかのSEM顕微鏡写真である。
【0008】
定義
元素周期表へのいかなる参照も、CRC Press,Inc.によって1990-1991に発行されたときのものである。この表の元素の族への参照は、族を付番するための新たな表記法による。
【0009】
米国特許実務を目的として、参照される特許、特許出願、または刊行物の内容は必ず、それらの全体が、特に定義の開示、および当該技術分野における一般的な知識に関して(本開示において具体的に提供されるいかなる定義にも矛盾しない程度に)、参照により本明細書に組み込まれる(または、刊行物の相当する米国特許出願が同じように参照により組み込まれる)。
【0010】
本明細書に開示される数値範囲は、下限値および上限値からのすべての値を含み、また上限値および下限値を含む。明確な数値(例えば、1または2、または3~5、または6、または7)を含有する範囲については、任意の2つの明確な数値間の任意の部分範囲(例えば、1~2、2~6、5~7、3~7、5~6など)が含まれる。
【0011】
相反して述べられていないか、文脈から暗黙的であるか、または当該技術分野で習慣的でない限り、すべての部およびパーセントは重量に基づき、すべての試験方法は、本開示の出願日の時点で最新のものある。
【0012】
「アルキル」という用語は、脂肪族炭化水素から1つの水素原子を取り除くことによって誘導される有機ラジカルを指す。アルキル基は、直鎖、分岐鎖、環状、またはそれらの組み合わせであってもよい。好適なアルキルの非限定的な例としては、メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、t-ブチル、i-ブチル(または2-メチルプロピル)などが挙げられる。一実施形態では、アルキルは、1~8個、または12個、または20個、または22個の炭素原子を有する。
【0013】
「アルキレン」(「アルケン」としても知られる)は、1つ以上の炭素-炭素二重結合を有する不飽和脂肪族炭化水素である。
【0014】
「アニオン」は、負に帯電したイオンである。
【0015】
「アリーレン」は、2つの環炭素原子から水素原子が除去された芳香族炭化水素である。アリーレンの非限定的な例には、o-フェニレンおよびベンゼン-1,2-ジイルが含まれる。
【0016】
本明細書で使用される「ブレンド」または「ポリマーブレンド」という用語は、2つ以上のポリマーのブレンドである。そのようなブレンドは、混和性(分子レベルで相分離しない)であってもなくてもよい。そのようなブレンドは、相分離してもしなくてもよい。このようなブレンドは、透過電子分光法、光散乱、X線散乱、および当該技術分野において既知の他の方法から決定される、1つ以上のドメイン構成を含んでいても、いなくてもよい。
【0017】
「カチオン」は、正に帯電したイオンである。
【0018】
「組成物」「組成」という用語は、組成物を含む材料の混合物と並んで、組成物の材料から形成された反応生成物および分解生成物を指す。
【0019】
「含む(comprising)」、「含む(including)」、「有する」という用語、およびそれらの派生語は、それが具体的に開示されているかどうかにかかわらず、任意の追加の構成成分、工程または手順の存在を除外することを意図するものではない。あらゆる疑義を避けるため、「含む(comprising)」という用語の使用を通して特許請求の範囲に記載されるすべての組成物は、別段の記載がない限り、ポリマーであるかないかにかかわらず、任意の追加の添加剤、アジュバント、または化合物を含み得る。対照的に、「~から本質的になる」という用語は、任意の後続の詳述の範囲から、操作性に必要不可欠ではないものを除き、任意の他の構成成分、工程または手順を除外する。「~からなる(consisting of)」という用語は、具体的に記述または列挙されていない任意の成分、ステップ、または手順を除外する。「または」という用語は、別途記載がない限り、列挙された部材を個々に、および任意の組み合わせで指す。単数形の使用には、複数形の使用が含まれ、逆の場合も同じである。
【0020】
「外部安定化ポリウレタン分散液」は、ポリウレタン上またはポリウレタン内にイオン性または非イオン性親水性ペンダント基を実質的に有さないポリウレタンを含有するエマルジョンであり、したがって、ポリウレタン分散液を安定化するために界面活性剤(アニオン性界面活性剤など)の添加を必要とする。外部安定化ポリウレタン分散液の非限定的な例は、米国特許第5,539,021号、同第5,688,842号、および同第5,959,027号に記載され、各々、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0021】
「生地」は、個々の繊維または糸から形成された、織られた、または不織の(ニットなど)構造である。
【0022】
「繊維」および類似の用語は、絡み合ったフィラメントの細長いカラムを指す。繊維径は、様々な方法で測定および報告することができる。一般に、繊維の直径は、1つのフィラメントあたりのデニールで測定される。デニールは、繊維の長さ9000メートルあたりのその繊維のグラムとして定義されるテキスタイル用語である。モノフィラメントは、一般に、15を超える、通常は30を超える1つのフィラメントあたりのデニールを有する押出ストランドを指す。細いデニール繊維とは、一般に、15デニール以下の繊維を指す。マイクロデニール(別名マイクロファイバー)は、一般に、直径が100マイクロメートル以下のファイバーを指す。
【0023】
「フィラメント」および類似の用語は、概して円形の断面、および10を超える長さ対直径の比を有する細長い材料の単一の連続したストランドを指す。
【0024】
「炭化水素」は、水素および炭素原子のみを含有する化合物である。炭化水素は、(i)分岐状または非分岐状、(ii)飽和または不飽和、(iii)環状または非環状、および(iv)(i)~(iii)の任意の組み合わせであり得る。炭化水素の非限定的な例としては、アルカン、アルケン、およびアルキンが挙げられる。
【0025】
「内部安定化ポリウレタン分散液」は、液体媒体に分散されたポリウレタン上に親水性ペンダント基(アニオン性親水性ペンダント基など)を組み込むことによって安定化されるポリウレタンを含有するエマルジョンである。典型的には、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第3,412,054号に記載されているようなジヒドロキシアルキルカルボン酸を使用して、アニオン性の内部安定化ポリウレタン分散液を作製する。アニオン性の内部安定化ポリウレタン分散液を作製するために使用される好適なモノマーの非限定的な例は、ジメチロールプロピオン酸(DMPA)である。
【0026】
「インターポリマー」は、少なくとも2つの異なるモノマーの重合によって調製されるポリマーである。この総称には、2つの異なるモノマーから調製されたポリマー、および3つ以上の異なるモノマーから調製されたポリマー、例えばターポリマー、テトラポリマーなどを指すために通常用いられるコポリマーが含まれる。
【0027】
「ニット生地」は、手によって、編み針で、または機械上で、一連の連結したループ内で糸または線維を絡み合せることから形成される。生地は、縦編みまたは横編み、平編み、および丸編みによって形成することができる。好適な縦編みの非限定的な例としては、トリコット、ラッセルパワーネット、およびレースが挙げられる。好適な横編みの非限定的な例としては、丸編み、平編み、およびシームレス(これは多くの場合丸編みのサブセットと見なされる)が挙げられる。
【0028】
「不織の」は、ランダムに差し込まれているが、ニット生地の場合のように識別可能な様式ではない、個々の繊維またはより糸の構造を有するウェブまたは生地である。
【0029】
「オレフィン系ポリマー」または「ポリオレフィン」は、(重合性モノマーの総量に基づいて)50重量パーセント超の重合オレフィンモノマーを含有するポリマーであり、任意に少なくとも1つのコモノマーを含有し得る。オレフィン系ポリマーの非限定的な例は、エチレン系ポリマーである。
【0030】
「ポリマー」は、同一の種類または異なる種類であるかにかかわらず、重合モノマーによって調製される化合物であり、重合形態で、ポリマーを成す複数ならびに/または反復「単位」もしくは「構造単位」を提供する。したがって、ポリマーという総称は、1つのタイプのモノマーのみから調製されたポリマーを指すために通常用いられるホモポリマーという用語、および少なくとも2つのタイプのモノマーから調製されたポリマーを指すために通常用いられるコポリマーという用語を包含する。また、例えばランダム、ブロックなどのすべての形態のコポリマーも包含する。「エチレン/α-オレフィンポリマー」および「プロピレン/α-オレフィンポリマー」という用語は、それぞれエチレンまたはプロピレンを重合させて調製した上述のコポリマーおよび1つ以上の追加の重合可能なα-オレフィンモノマーを示す。ポリマーは、多くの場合、特定のモノマーまたはモノマーの種類に「基づいて」、特定のモノマー含有量を「含む」など、1つ以上の特定のモノマー「から作られる」ものと言及されるが、この文脈では、「モノマー」という用語は、特定されたモノマーの重合残留物を指し、非重合種には言及していないことが理解されることに留意されたい。一般に、本明細書中のポリマーは、対応するモノマーの重合形態である「単位」に基づくものを指す。
【0031】
「織られた」は、識別可能な方法で、パターンで差し込まれる個々の繊維またはより糸の構造を有するウェブまたは生地を指す。織られた生地の非限定的な例は、ニット生地である。
【0032】
「糸」は、織られたか、またはニット生地の製造に使用することができる、連続した長さの撚られたか、またはそうでなければ絡み合ったフィラメントである。
【0033】
試験方法
平均細孔径は、ドイツのウェッツラーにあるLeica Microsystems AGから入手可能なLeica QWinソフトウェアなどの走査型電子顕微鏡(SEM)の顕微鏡写真の画像分析ソフトウェアを使用して、約100個の細孔の面積をランダムに測定し、平均の平均細孔サイズを計算することによって決定される。
【0034】
密度は、ASTM D792、方法Bに従って測定する。結果は、グラム/立方センチメートル(g/cc)で記録する。
【0035】
平均の体積平均粒径は、Beckman Coulter Corporationから入手可能なBeckman Coulter LS230レーザー光散乱粒径測定器を使用して測定される。
【0036】
粘度は、Brookfield粘度計モデル、および30rmp以下でBrookfield RV-DV-II-Pro粘度計スピンドル#62を使用して、ポリウレタン分散液の場合は25℃、カチオン性ヒドロキシエチルセルロース溶液の場合は25℃で測定される。
【0037】
ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)
Robotic Assistant Deliver(RAD)システムを装備した高温ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)システムは、試料調製および試料注入に使用する。濃度検出器は、Polymer Char Inc.(Valencia,Spain)からの赤外線検出器(IR-5)である。データ収集は、Polymer Char DM100データ取得ボックスを使用して実施する。担体溶媒は、1,2,4-トリクロロベンゼン(TCB)である。このシステムには、Agilentのオンライン溶媒脱ガスデバイスが装備されている。カラム区画は、150℃で動作する。カラムは、4つのMixed A LS 30cm、20ミクロンカラムである。溶媒は、およそ200ppmの2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール(BHT)を含有する窒素パージされた1,2,4-トリクロロベンゼン(TCB)である。流量は、1.0mL/分であり、注入体積は、200μLである。「2mg/mL」の試料濃度が、N2パージして予熱したTCB(200ppmのBHTを含有する)中に試料を160℃で2.5時間にわたって穏やかに撹拌しながら溶解させることによって調製される。
【0038】
GPCカラムセットは、狭い分子量分布20のポリスチレン標準物質で実験することにより較正する。標準物の分子量(「MW」)は、580g/モル~8,400,000g/モルの範囲であり、標準物は、6つの「カクテル」混合物に含有されている。各標準物混合物は、個々の分子量間で少なくとも10離れている。各PS標準物質の同等のポリプロピレン分子量は、次の等式を使用して計算し、ポリプロピレン(Th.G.Scholte,N.L.J.Meijerink,H.M.Schoffeleers,&A.M.G.Brands,J.Appl.Polym.Sci.,29,3763-3782(1984))およびポリスチレン(E.P.Otocka,R.J.Roe,N.Y.Hellman,&P.M.Muglia,Macromolecules,4,507(1971))について報告されたマルク-ホウインク係数とともに、以下の式、
【数1】
を使用することによって計算され、式中、M
ppが、PP換算のMWであり、M
PSが、PS換算のMWであり、log K、ならびにPPおよびPSについてのマルク-ホウインク係数の値が、以下に列挙される。
【表1】
【0039】
対数分子量較正は、溶出体積の関数として4次多項式回帰を使用して生成する。数平均および重量平均分子量は、以下の式:
【数2】
、
【数3】
に従って計算され、式中、Wf
iおよびM
iが、それぞれ、溶出成分iの重量分率および分子量である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
本開示は、方法を提供する。この方法は、(i)最初に、テキスタイルを、カチオン性ヒドロキシエチルセルロースポリマーを含有する水溶液と接触させて、改質されたテキスタイルコンポーネントを形成することと、(ii)続いて、改質されたテキスタイルコンポーネントに水性ポリウレタン分散液を含浸させることと、(iii)改質されたテキスタイルコンポーネント中にポリウレタンを析出させることと、を含む。
【0041】
本開示は、別の方法を提供する。この方法は、(i)最初に、テキスタイルを、カチオン性ヒドロキシエチルセルロースポリマーを含有する水溶液と接触させて、改質されたテキスタイルコンポーネントを形成することと、(ii)続いて、改質されたテキスタイルコンポーネントに、アニオン性界面活性剤で外部的に安定化された水性ポリウレタン分散液を含浸させることと、(iii)改質されたテキスタイルコンポーネント中にポリウレタンを析出させることと、を含む。
【0042】
一実施形態では、方法は、(iv)合成皮革を形成することを含む。
(1)テキスタイルを水溶液と接触させる
【0043】
この方法は、テキスタイルを、カチオン性ヒドロキシエチルセルロースポリマーを含有する水溶液と接触させて、改質されたテキスタイルコンポーネントを形成するステップを含む。
【0044】
A.テキスタイル
テキスタイルは、カチオン性ヒドロキシエチルセルロースポリマーを含有する水溶液と接触する。「テキスタイル」は、天然繊維、人工繊維、およびそれらの組み合わせのネットワークで構成される柔軟な材料である。テキスタイルには、生地および布が含まれる。テキスタイルは、織られているか、または不織であり得る。一実施形態では、テキスタイルは、不織テキスタイルである。人工繊維の非限定的な例には、ポリエステル、ポリアミド、アクリル、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、およびそれらの組み合わせが含まれる。好適な天然繊維の非限定的な例には、綿、羊毛、麻、およびそれらの組み合わせが含まれる。一実施形態では、テキスタイルは、ポリアミド/ポリエチレン繊維を含有する不織テキスタイルである。
【0045】
一実施形態では、テキスタイルは、マイクロファイバー不織テキスタイルである。「マイクロファイバー」テキスタイルは、直径が100マイクロメートル以下の線維を含有する生地である。
【0046】
一実施形態では、テキスタイルは、0.20g/cc、または0.25g/cc~0.27g/cc、または0.30g/cc、または0.31g/cc、または0.32g/cc、または0.35g/cc、または0.40g/cc、または0.50g/ccの密度を有する。
【0047】
一実施形態では、テキスタイルは、0.1デニール、または0.3デニール、または1デニール、または2デニール、または3デニール~4デニール、または5デニール、または6デニール、または7デニール、または8デニール、または9デニール、または10デニールのサイズを有する繊維を含有する。別の実施形態では、テキスタイルは、10デニール以下のサイズを有する繊維を含有する。
【0048】
一実施形態では、テキスタイルは、0.5mm、または1.0mm~1.5mm、または2.0mmの厚さを有する。
【0049】
一実施形態では、テキスタイルは、以下の特性のうちの1つ、いくつか、またはすべてを有する不織テキスタイルである。
(a)0.20g/cc、もしくは0.25g/cc~0.32g/cc、もしくは0.35g/ccの密度、および/または
(b)1デニール、もしくは3デニール~5デニールの繊維サイズ、および/または
(c)0.5mm、もしくは1.0mm~1.5mm、もしくは2.0mmの厚さ。
【0050】
テキスタイルは、本明細書に開示される2つ以上の実施形態を含み得る。
【0051】
B.水溶液
この方法は、テキスタイルを、カチオン性ヒドロキシエチルセルロースポリマーを含有する水溶液テキスタイルと接触させることを含む。「カチオン性ヒドロキシエチルセルロースポリマー」(または「CHポリマー」)は、ポリマー骨格に結合したカチオン基を有するヒドロキシエチルセルロースポリマーである。好適なカチオン性基の非限定的な例には、第四級アンモニウムカチオン基および第四級ホスホニウムカチオン基が含まれる。CHポリマーは、水溶性である。
【0052】
一実施形態では、水溶液は、第四級アンモニウムカチオン基を有するCHポリマーを含有する。さらなる実施形態では、水溶液は、以下の構造(A)を有する第四級アンモニウムカチオン基を有するCHポリマーを含有し、
【数4】
、
式中、nが、カチオン性ヒドロキシエチルセルロースの繰り返し単位の数を指し、
xが、エチレンオキシド(CH
2CH
2O)の繰り返し単位の数を指し、
yが、第4級アンモニウムカチオン基の繰り返し単位の数を指す。
【0053】
一実施形態では、構造(A)のnは、200~10,000の正の整数である。
【0054】
一実施形態では、構造(A)のxは、0~30の整数である。
【0055】
一実施形態では、構造(A)のyは、1~10の正の整数である。
【0056】
一実施形態では、構造(A)において、
nは、200~10,000の正の整数であり、
xは、0~30の整数であり、
yは、1~10の正の整数である。
【0057】
構造(A)を有する第四級アンモニウムカチオン基を有する適切なCHポリマーの非限定的な例には、UCARE(商標)JR125、UCARE(商標)JR400、およびUCARE(商標)JR30Mを含む、The Dow Chemical Companyから入手可能な商品名UCARE(商標)JRで販売されるものが含まれる。
【0058】
一実施形態では、CHポリマーは、100,000ダルトン、または250,000ダルトン、または500,000ダルトン、または1,000,000ダルトン2,000,000ダルトン、または3,000,000ダルトンの重量平均分子量(Mw)を有する。いかなる特定の理論にも拘束されることを望まないが、Mwが3,000,000ダルトンを超えるCHポリマーは、遅すぎて水性媒体中に分散できず、より大きな合体を呈すると考えられる。言い換えると、Mwが3,000,000ダルトンより高いCHポリマーは、遅すぎて水性媒体中に分散できず、効果のないポリウレタンの析出が生じる。別の実施形態では、CHポリマーは、100,000ダルトン、または250,000ダルトン、または290,000ダルトン~900,000ダルトン、または1,000,000ダルトンのMwを有する。
【0059】
一実施形態では、CHポリマーは、CHポリマーの総重量に基づいて、0.5重量%、または1.0重量%、または1.5重量%~2.2重量%、または2.5重量%、または3.0重量%、または5.0重量%の窒素を含有する。さらなる実施形態では、CHポリマーは、CHポリマーの総重量に基づいて、1.5重量%~2.2重量%の窒素を含有する
【0060】
一実施形態では、2重量%のCHポリマーを含有する水溶液は、50cP、または75cP、または100cP、または200cP、または300cP~500cP、または1,000cP、または5,000cP、または10,000cP、または20,000cP、または30,000cP、または35,000cPの粘度を有する。
【0061】
一実施形態では、水溶液は、0.20重量%、または0.25重量%、または0.40重量%、または0.50重量%、または0.60重量%~0.80重量%、または0.90重量%、または1.00重量%、または1.20重量%、または1.50重量%、または2.0重量%、または3.0重量%のCHポリマーを含有する。
【0062】
一実施形態では、水溶液は、水溶液の総重量に基づいて、0.20重量%、または0.25重量%、または0.40重量%、または0.50重量%、または0.60重量%~0.80重量%、または0.90重量%、または1.00重量%、または1.20重量%、または1.50重量%、または2.0重量%、または3.0重量%のCHポリマー、および逆数の水、または97重量%、もしくは98重量%、もしくは98.50重量%、もしくは98.80重量%、もしくは99.00重量%、もしくは99.10重量%、もしくは99.20重量%~99.40重量%、もしくは99.50重量%、もしくは99.60重量%、もしくは99.70重量%、もしくは99.75重量%、もしくは99.80重量%の水を含有するか、それから本質的になるか、またはそれからなる。
【0063】
水溶液は、任意に添加剤を含有し得る。好適な添加剤の非限定的な例は、シリコーン油などの柔軟剤である。
【0064】
一実施形態では、水溶液は、本質的にCHポリマーおよび水からなる。別の実施形態では、水溶液は、CHポリマーおよび水からなる。
【0065】
一実施形態では、方法は、以下の特性のうちの一方または両方を有する水溶液を選択することを含む。
(a)CHポリマーは、100,000ダルトン、もしくは250,000ダルトン、もしくは500,000ダルトン、もしくは1,000,000ダルトン~2,000,000ダルトン、もしくは3,000,000ダルトンのMwを有する、および/または
(b)CHポリマーは、0.5重量%、もしくは1.0重量%、もしくは1.5重量%~2.2重量%、もしくは2.5重量%、もしくは3.0重量%、もしくは5.0重量%の窒素を含有する、および/または
(c)2重量%のCHポリマーを含有する水溶液中で測定した場合、50cP、または75cP、または100cP、または200cP、または300cP~500cP、または1,000cP、または5,000cP、または10,000cP、または20,000cP、または30,000cP、または35,000cPの粘度。
【0066】
前述の水溶液を含む、本明細書に開示される水溶液の各々における成分の合計は、100重量%になることが理解される。
【0067】
一実施形態では、水溶液は、遊離無機塩を除外する。「遊離」塩は、ポリマー骨格に結合していない塩化合物である。NaClおよびCa(NO3)2などの遊離無機塩は、廃水中に汚染物質を形成するため問題がある。遊離無機塩を排除することにより、本方法は、汚染物質を除去するための廃水処理の必要性を有利に回避する。
【0068】
水溶液は、有機溶媒を含まないか、または実質的に含まない。「有機溶媒」は、溶質を溶解することができ、ジメチルホルムアミド(DMF)など、高い可燃性および蒸気圧(つまり、0.1mmのHgを超える)を示す有機化合物である。
【0069】
テキスタイルは、水溶液と接触して、改質されたテキスタイルコンポーネントを形成する。「改質されたテキスタイルコンポーネント」は、CHポリマーと接触している繊維を有するテキスタイルである。
【0070】
テキスタイルをCHポリマーの水溶液と接触させるための好適な手順の非限定的な例には、ディッピング、浸漬、ブラッシング、噴霧、またはドクターブレードが含まれる。一実施形態では、テキスタイルは、水溶液に浸漬される。さらなる実施形態では、テキスタイルは、水溶液に30秒、または1分~90秒、または2分、または5分、または10分間浸漬され、水溶液は、20℃、または23℃~25℃、または30℃の温度を有する。
【0071】
接触後、改質されたテキスタイルコンポーネントは、過剰の水溶液または水を有し得る。一実施形態では、過剰の水溶液または水は、改質されたテキスタイルコンポーネントをゴムローラーなどのローラーに通過させることによって改質されたテキスタイルコンポーネントから除去される。一実施形態では、接触後、改質されたテキスタイルコンポーネントは、2本ローラー機、含浸パダーを通過するか、または手で巻かれる。いかなる特定の理論にも拘束されることを望まないが、ローラー/パダーはまた、テキスタイルの繊維のすべてまたは実質的にすべてが水溶液と接触するように、テキスタイルへの水溶液の均一な浸透を促進すると考えられる。
【0072】
一実施形態では、接触後、改質されたテキスタイルコンポーネントはオーブン内で乾燥させる。一実施形態では、改質されたテキスタイルコンポーネントは、70℃、または80℃、または90℃~100℃、または110℃、または120℃、または150℃の温度のオーブン内で1分、または5分、または10分、または15分~20分、または30分、または40分、または60分間乾燥させる。一実施形態では、乾燥により、改質されたテキスタイルコンポーネントからすべて、または実質的にすべての水が除去される。
【0073】
一実施形態では、乾燥前に、改質されたテキスタイルコンポーネントは、改質されたテキスタイルコンポーネントの総重量に基づいて、25重量%、または28重量%、または30重量%、または35重量%、または40重量%~44重量%、または45重量%、または50重量%、または72重量%、または75重量%、または80重量%の水溶液を含有する。
【0074】
接触ステップは、本明細書に開示される2つ以上の実施形態を含み得る。
(2)改質されたテキスタイルコンポーネントに水性ポリウレタン分散液を含浸させ、改質されたテキスタイルコンポーネント中にポリウレタンを析出させる
【0075】
この方法は、改質されたテキスタイルコンポーネントに水性ポリウレタン分散液を含浸させることを含む。一実施形態では、この方法は、改質されたテキスタイルコンポーネントに、アニオン性界面活性剤で外部的に安定化された水性ポリウレタン分散液を含浸させることを含む。
【0076】
この方法には、改質されたテキスタイルコンポーネント中にポリウレタンを析出させることが含まれる。
【0077】
A.水性ポリウレタン分散液
改質されたテキスタイルコンポーネントは、水性ポリウレタン分散液で含浸される。
【0078】
「水性ポリウレタン分散液」(または「PUD」)は、ポリウレタン粒子、アニオン性部分、および水を含有するエマルジョンである。PUDは、内部安定化PUDまたは外部安定化PUDであり得る。
【0079】
一実施形態では、PUDは、内部安定化PUDである。内部安定化PUDでは、アニオン部分がポリウレタンポリマー骨格内に組み込まれる。アニオン部分を有する好適なモノマーの非限定的な例には、少なくとも1つのアルコール性ヒドロキシル基または少なくとも1つの第一級もしくは第二級アミノ基を含む、脂肪族、脂環式、アラリファティック、または芳香族カルボン酸およびスルホン酸が含まれる。アニオン部分を有する好適なモノマーの非限定的な例は、ジメチロールプロピオン酸(DMPA)である。DMPAで内部的に安定化されたPUDの非限定的な例は、The Dow Chemical Companyから入手可能なPrimal(商標)U-51である。
【0080】
一実施形態では、PUDは、外部安定化PUDである。外部安定化PUDでは、アニオン部分がアニオン性界面活性剤として分散液に組み込まれる。好適なアニオン性界面活性剤の非限定的な例には、スルホン酸塩、硫酸塩、およびカルボン酸塩が含まれる。一実施形態では、PUDは、スルホン酸塩界面活性剤で外部的に安定化される。スルホン酸塩界面活性剤で外部的に安定化されたPUDの非限定的な例は、The Dow Chemical Companyから入手可能なSYNTEGRA(商標)YS3000である。
【0081】
水性ポリウレタン分散液は、有機溶媒を含まないか、または実質的に含まない。一実施形態では、PUDは、PUDの総重量に基づいて、0重量%、または0重量%超、または0.1重量%、または0.3重量%~0.5重量%、または1重量%の有機溶媒を含有する。PUDは、PU合成からの残留有機溶媒を含む場合も含まない場合もあることが理解される。一実施形態では、PUDには、検出可能な有機溶媒が存在しない(すなわち、有機溶媒を「含まない」)。
【0082】
一実施形態では、PUDは、水性媒体中で、安定量の外部アニオン性界面活性剤の存在下で、ポリウレタン/尿素/チオ尿素プレポリマーを鎖延長試薬と反応させることによって調製される。ポリウレタン/尿素/チオ尿素プレポリマーは、少なくとも2つの活性水素原子を有する高分子量有機化合物をポリイソシアネートと、プレポリマーが少なくとも2つのイソシアネート基で終端されることを確実にする条件下で接触させることによって調製される。
【0083】
一実施形態では、ポリイソシアネートは、有機ジイソシアネートであり、芳香族、脂肪族、または脂環式、またはそれらの組み合わせであり得る。好適なジイソシアネートの非限定的な例には、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第3,294,724号、欄1、行55~72、および欄2、行1~9、ならびに参照により本明細書に組み込まれる米国特許第3,410,817号、欄2、行62~72、および列3、1~24行目に開示されるものが含まれる。好適な有機ジイソシアネートの非限定的な例には、4,4’-ジイソシアネートジフェニルメタン、2,4’-ジイソシアネートジフェニルメタン、イソホロンジイソシアネート、p-フェニレンジイソシアネート、2,6トルエンジイソシアネート、ポリフェニルポリメチレンポリイソシアネート、1,3-ビス(イソシアナートメチル)シクロヘキサン、1,4-ジイソシアナートシクロヘキサン、ヘキサメチレンジイソシアネート、1,5-ナフタレンジイソシアネート、3,3’-ジメチル-4,4’-ビフェニルジイソシアネート、4,4’-ジイソシアネートジシクロヘキシルメタン、2,4’-ジイソシアナートジシクロヘキシルメタン、および2,4-トルエンジイソシアネート、またはそれらの組み合わせが含まれる。
【0084】
「活性水素基」は、一般的な反応によって示されるように、イソシアネート基と反応して尿素基、チオ尿素基、またはウレタン基を形成する基であり、
【数5】
式中、Xが、O、S、NH、またはNであり、
RおよびR’が、脂肪族、芳香族、脂環式、またはそれらの組み合わせであり得る接続基である。
【0085】
少なくとも2つの活性水素原子を有する「高分子量有機化合物」は、少なくとも500ダルトンの重量平均分子量(Mw)を有する有機化合物である。少なくとも2つの活性水素原子を有する高分子量有機化合物は、ポリオール(例えば、ジオール)、ポリアミン(例えば、ジアミン)、ポリチオール(例えば、ジチオール)、またはそれらの混合物(例えば、アルコールアミン、チオール-アミン、またはアルコール-チオール)であり得る。ポリオール、ポリアミン、またはポリチオール化合物は、主に、より大きい活性水素官能基を有するジオール、トリオール、またはポリオール、またはそれらの混合物であり得る。これらの混合物は、例えば、ポリオール混合物中の少量のモノルに起因して、2をわずかに下回る全体的な活性水素官能基を有し得ることが理解される。
【0086】
一実施形態では、少なくとも2つの活性水素原子を有する高分子量有機化合物は、一般構造(B)を有するポリアルキレングリコールエーテル、またはチオエーテル、またはポリエステルポリオール、またはポリチオールであり、
【数6】
式中、各Rが、独立してアルキレンラジカルであり、R’が、アルキレンまたはアリーレンラジカルであり、各Xが、独立してSまたはOであり、nおよびn’が、各々、正の整数である。
【0087】
一実施形態では、XがOまたはSであるNCO:XH比は、1.1:1、または1.2:1~5:1である。
【0088】
一実施形態では、少なくとも2つの活性水素原子を有する高分子量有機化合物は、少なくとも500ダルトン、または500ダルトン、または750ダルトン、または1,000ダルトン~3,000ダルトン、または5,000ダルトン、または10,000ダルトン、または20,000ダルトンの重量平均分子量(Mw)を有する。
【0089】
一実施形態では、少なくとも2つの活性水素原子を有する高分子量有機化合物は、ポリアルキレンエーテルグリコールまたはポリエステルポリオールである。好適なポリアルキレンエーテルグリコールの非限定的な例は、ポリエチレンエーテルグリコール、ポリ-1,2-プロピレンエーテルグリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリ-1,2-ジメチルエチレンエーテルグリコール、ポリ-1,2-ブチレンエーテルグリコール、およびポリデカメチレンエーテルグリコールである。適切なポリエステルポリオールの非限定的な例には、ポリブチレンアジペート、カプロラクトンベースのポリエステルポリオール、およびポリエチレンテレフタレート(PET)が含まれる。
【0090】
ポリウレタンプレポリマーは、バッチプロセスまたは連続プロセスによって調製され得る。一実施形態では、化学量論的に過剰のジイソシアネートおよびポリオールを、試薬の制御された反応に好適な温度、典型的には40℃~100℃で、静的または活性ミキサーに別々の流れで導入することができる。有機スズ触媒(例えば、第一スズオクトアート)などの触媒を使用して、試薬の反応を促進してもよい。反応は、一般に、混合タンク内で実質的に完了するまで実施されて、プレポリマーを形成する。一実施形態では、PUDは、米国特許第5,539,021号、欄1、行9~45に開示されるように調製され、その全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0091】
PUDを作製するとき、プレポリマーは、水単独で増量されてもよく、または当技術分野で既知のものなどの鎖延長剤を使用して増量されてもよい。鎖延長剤は、別のイソシアネート反応性基および60g/モル~450g/モルの分子量を有する、任意のイソシアネート反応性ジアミンまたはアミンであり得る。一実施形態では、鎖延長剤は、アミノ化ポリエーテルジオール、ピペラジン、アミノエチルエタノールアミン、エタノールアミン、エチレンジアミン、およびそれらの混合物から選択される。一実施形態では、アミン鎖延長剤は、分散液を作製するために使用される水に溶解される。
【0092】
外部的に安定化させる界面活性剤は、アニオン性界面活性剤である。好適なアニオン性界面活性剤の非限定的な例には、スルホン酸塩、リン酸塩、カルボン酸塩、およびそれらの組み合わせが含まれる。一実施形態では、アニオン性界面活性剤は、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルスルホン酸ナトリウム、ドデシルジフェニルオキシドジスルホン酸ナトリウム、n-デシルジフェニルオキシドジスルホン酸ナトリウム、イソプロピルアミンドデシルベンゼンスルホン酸塩、およびヘキシルジフェニルオキシドジスルホン酸ナトリウムなどのスルホン酸塩である。さらなる実施形態では、アニオン性界面活性剤は、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムである。
【0093】
一実施形態では、プレポリマーを含有する流動流は、PUDを形成するのに十分な剪断力を備えた水を含有する流動流と合流される。ある量の安定化させる界面活性剤もまた、プレポリマーを含有する流れ、水を含有する流れ、または別の流れのいずれかに存在する。プレポリマーを含有する流れ(R2)と、水を含有する流れ(R1)との相対速度は、好ましくは、エマルジョンの多分散性(粒子もしくは液滴の体積平均直径と数平均直径の比、またはDv/Dn)が5未満、もしくは3未満、もしくは2未満、もしくは1.5未満、もしくは1.3未満であるか、または平均の体積平均粒径が2ミクロン未満、もしくは1ミクロン未満、もしくは0.5ミクロン未満、もしくは0.3ミクロン未満である。PUDは、転相、または内相の外相への段階的分布を伴わない連続プロセスで調製され得る。
【0094】
一実施形態では、アニオン性界面活性剤が水中の濃縮物として使用される。この場合、アニオン性界面活性剤を含有する流れは、最初にプレポリマーを含有する流れと合流して、プレポリマー/界面活性剤混合物を形成する。PUDは、この1つのステップで調整することができる。別の実施形態では、プレポリマーおよびアニオン性界面活性剤を含有する流れを水流と合流させて、アニオン性界面活性剤を希釈し、PUDを作成することができる。
【0095】
PUDは、任意に、添加剤を含有し得る。好適な添加剤の非限定的な例には、増粘剤などのレオロジー調整剤、充填材、UV安定剤、デフォーマ、架橋剤、アクリルラテックス、およびポリオレフィンラテックスが含まれる。PUDがアクリルラテックスまたはポリオレフィンラテックスなどの別のポリマーを含有する場合、PUDから形成された乾燥フィルムは、乾燥フィルムの総体積に基づいて、少なくとも30体積パーセントのポリウレタンを含有する。
【0096】
一実施形態では、PUDは、PUDの総重量に基づいて、5重量%、または10重量%、または11重量%、または15重量%、または20重量%、または21重量%~30重量%、または40重量%、または50重量%、または55重量%、または60重量%、または65重量%の固形分を有する。別の実施形態では、PUDは、PUDの総重量に基づいて、30重量%、または35重量%、または40重量%、または45重量%、または50重量%~55重量%、または60重量%の固形分を有する。
【0097】
一実施形態では、PUDは、25℃で100cP、または150cP、または200cP、または300cP、または400cP、または500cP、または550cP~570cP、または600cP、または700cP、または800cP、または900cP、または1,000cP、または5,000cP、または10,000cPの粘度を有する。
【0098】
一実施形態では、PUDは、0.99g/cc、または1.00g/cc、または1.05g/cc~1.10g/cc、または1.20g/cc、または1.3g/ccの密度を有する。
【0099】
一実施形態では、PUDは、100nm、または250nm、または300nm、または350nm、または370nm~380nm、または400nm、または450nm、または800nmの平均の体積平均粒径を有する。
【0100】
一実施形態では、方法は、アニオン性界面活性剤としてスルホン酸塩界面活性剤を選択することを含む。さらなる実施形態では、方法は、スルホネート界面活性剤で外部的に安定化されたポリエーテルベースの水性ポリウレタン分散液であるPUDを選択することを含む。PUDは、以下の特性のうちの1つ、いくつか、またはすべてを有する。
(a)10重量%、もしくは11重量%、もしくは15重量%、もしくは20重量%、もしくは21重量%、もしくは30重量%、もしくは35重量%~40重量%、もしくは50重量%、もしくは55重量%、もしくは60重量%の固形分、および/または
(b)25℃での100cP、もしくは150cP、もしくは200cP、もしくは300cP、もしくは400cP、もしくは500cP、もしくは550cP~570cP、もしくは600cP、もしくは700cP、もしくは800cP、もしくは900cP、もしくは1,000cPの粘度、および/または
(c)0.99g/cc、もしくは1.00g/cc、もしくは1.05g/cc~1.10g/cc、もしくは1.20g/ccの密度、および/または
(d)300nm、もしくは350nm、もしくは370nm~380nm、もしくは400nmの平均の体積平均粒径、および/または
(e)0重量%の有機溶媒含有量。
【0101】
前述のPUDを含む、本明細書に開示されるPUDの各々における成分の合計は、100重量%になることが理解される。
【0102】
一実施形態では、PUDは、遊離無機塩を除外する。
【0103】
分散液混合物が以下に記載されるように容易かつ迅速に凝固する限り、PUDは、他の分散液と混合され得る。PUDと混合されるときに有用であり得る他のポリマー分散液またはエマルジョンには、ポリアクリレート、ポリイソプレン、ポリオレフィン、ポリビニルアルコール、ニトリルゴム、天然ゴム、ならびにスチレンおよびブタジエンのコポリマーなどのポリマーが含まれる。一実施形態では、PUDは、単独で使用される(すなわち、他のポリマー分散液またはエマルジョンと混合されない)。
【0104】
PUDは、本明細書に開示される2つ以上の実施形態を含み得る。
【0105】
B.含浸および析出
本方法は、改質されたテキスタイルコンポーネントにPUDを含浸させることを含む。含浸ステップは、CHポリマーを含有する水溶液との接触ステップの後に起こる。好適な含浸プロセスの非限定的な例には、ディッピング、浸漬、ブラッシング、噴霧、またはドクターブレードが含まれる。一実施形態では、改質されたテキスタイルコンポーネントは、PUDに浸漬される。さらなる実施形態では、改質されたテキスタイルコンポーネントは、PUDに30秒、または1分~90秒、または2分、または5分、または10分間浸漬され、水溶液は、20℃、または23℃~25℃、または30℃の温度を有する。
【0106】
いかなる特定の理論にも拘束されることを望まないが、最初にテキスタイルを、CHポリマーを含有する水溶液と接触させることにより、PUD内のアニオン基がCHポリマー(接触ステップ後にテキスタイル全体に存在する)内のカチオン基に引き付けられるため、PUDの含浸は、テキスタイル全体においてより均一であると考えられる。
【0107】
本方法は、改質されたテキスタイルコンポーネント中のポリウレタンを析出させることを含む。含浸中および/または含浸後、CHポリマー内、さらには改質されたテキスタイルコンポーネント内のカチオン基が、PUD内のアニオン基と反応して、界面活性剤を不活性化し、凝固を引き起こす。換言すれば、カチオン性ヒドロキシエチルセルロースポリマー内のカチオン基およびPUD内のイオン基が、イオン対を形成して、析出物を形成する。例えば、CHポリマーの第四級アンモニウムカチオン基が、PUDのアニオン基と反応して、PUD中の界面活性剤のアニオン電荷を安定化(つまり、中和)させ、PUDがその安定性を失い、ポリウレタンを析出させる。
【0108】
ポリウレタンは、テキスタイル中およびテキスタイル上に析出する。テキスタイル「中に析出」するポリウレタンは、テキスタイルの対向する表面の間にある。テキスタイル「上に析出」するポリウレタンは、テキスタイルの表面にある。
【0109】
一実施形態では、方法は、含浸中にテキスタイル中にポリウレタンを析出させることを含む。さらなる実施形態では、方法は、含浸中および含浸後に、テキスタイル中にポリウレタンを沈析出させることを含む。
【0110】
一実施形態では、含浸および任意のその後の乾燥の間、CHポリマー内のカチオン基とPUD内のアニオン基とのモル比(すなわち、「カチオン:アニオン比」)は、0.1、または0.2、または0.3、または0.4、または0.5~1.8、または2、または3、または5、または10である。カチオン:アニオン比は、カチオン基(例えば、第四級アンモニウムカチオン基)のモル数対アニオン基(例えば、アニオン性界面活性剤からのもの)のモル数の比である。いかなる特定の理論にも拘束されることを望まないが、0.1未満のカチオン:アニオン比は、不十分な合体を引き起こすと考えられる。言い換えれば、カチオン部分が少なすぎると、アニオン部分の中和が不完全になるであろう。界面活性剤上のアニオン部分の不完全な中和は、PUDがその安定性を失うのを妨げ、それにより、ポリウレタンの析出が妨げられる。さらに、カチオン:アニオン比が10を超えると、遊離のCHポリマー(水溶性)が引き起こされるであろうと考えられる。遊離のCHポリマーは、後に廃棄されなければならない廃水とともにテキスタイルから流出する。
【0111】
含浸ステップは、本明細書に開示される2つ以上の実施形態を含み得る。
【0112】
析出ステップは、本明細書に開示される2つ以上の実施形態を含み得る。
【0113】
(3)合成皮革を成形する
一実施形態では、この方法は、合成皮革を形成することを含む。
【0114】
「合成皮革」は、多孔質ポリウレタンマトリックス内に懸濁される繊維を有するテキスタイルである。言い換えれば、合成皮革は、テキスタイルの繊維を少なくとも部分的にカプセル化するか、または完全にカプセル化する多孔質ポリウレタンマトリックスを有する。ポリウレタンは、テキスタイル中およびテキスタイル上にある。合成皮革は、自然界において自然に存在するものではない。
【0115】
一実施形態では、含浸後、合成皮革は、2本ローラー機、含浸パダーを通過するか、または手で巻かれる。いかなる特定の理論にも拘束されることを望まないが、ローラー/パダーは、改質されたテキスタイルコンポーネント全体がPUDで含浸されるように、改質されたテキスタイルコンポーネントへのPUDの均一な浸透を促進すると考えられる。言い換えれば、PUDは、合成皮革の厚さ全体に含浸される。
【0116】
一実施形態では、含浸後、合成皮革は、水に曝される。さらなる実施形態では、含浸後、テキスタイルは、90℃、または100℃~110℃の温度の水に1分、または2分~3分、または4分、または5分、または10分、または20分間浸漬される。別の実施形態では、含浸後、合成皮革は、100℃の温度の蒸気に1分、または2分~3分、または4分、または5分、または10分、または20分間、または30分曝される。いかなる特定の理論にも拘束されることを望まないが、蒸気への曝露は、改質されたテキスタイルコンポーネント内へのポリウレタンの析出(すなわち、凝固)をより速くすると考えられる。さらに、蒸気への暴露は、改質されたテキスタイルコンポーネント内へのPUDの含浸を補助すると考えられる。
【0117】
一実施形態では、含浸後、テキスタイルは、カチオン性ヒドロキシエチルセルロースポリマーを含有する加熱された水溶液に曝される。水溶液、さらにカチオン性ヒドロキシエチルセルロースポリマーは、本明細書に開示される任意の水溶液およびCHポリマーであり得る。さらなる実施形態では、含浸後、テキスタイルは、90℃、または100℃~110℃の水溶液に1分、または2分~3分、または4分、または5分、または10分、または20分間浸漬される。いかなる特定の理論にも拘束されることを望まないが、含浸後に、カチオン性ヒドロキシエチルセルロースポリマーを含有する加熱された水溶液への曝露は、含浸中に完全な析出が達成されない場合、ポリウレタンのさらなる析出を可能にすると考えられる。
【0118】
合成皮革は、2つの対向する表面を有する。一実施形態では、含浸後、合成皮革の各表面は、ポリエチレン膜(ビニール袋など)で覆われる。ポリエチレン膜で「覆われる」表面は、ポリエチレン膜と直接接触しており、合成皮革の表面とポリエチレン膜との間に層または構造は、介在しない。ポリエチレン膜は、合成皮革からの水の蒸発を遅らせる。各表面をポリエチレン膜で覆った後、合成皮革は、オーブン内で乾燥させる。一実施形態では、各表面をポリエチレン膜で覆った後、合成皮革は、80℃、または90℃~100℃、または110℃、または120℃、または130℃の温度のオーブン内で10分、または15分~20分間乾燥させる。次に、ポリエチレン膜は、各々、取り外され、合成皮革は、オーブン内でさらに乾燥させる。一実施形態では、ポリエチレン膜を取り外した後、合成皮革は、80℃、90℃~100℃、110℃、120℃、または130℃の温度のオーブン内で10分、または15分~20分、または30分、または40分、または60分間乾燥させる。一実施形態では、乾燥により、合成皮革からすべて、または実質的にすべての水が除去される。
【0119】
一実施形態では、合成皮革は、オーブン内で乾燥させる。一実施形態では、合成皮革は、80℃、または90℃~100℃、または110℃、または120℃、または130℃の温度のオーブン内で10分、または15分~20分、または30分、または40分、または60分、または70分、または90分間乾燥させる。一実施形態では、乾燥により、合成皮革からすべて、または実質的にすべての水が除去される。
【0120】
一実施形態では、合成皮革は、トルエンで洗浄される。トルエンでの洗浄には、合成皮革を80℃、または85℃~90℃、または100℃の温度のトルエンに30分、または60分、または90分~120分、または150分、または180分、または210分間浸漬することが含まれる。いかなる特定の理論にも拘束されることを望まないが、トルエン洗浄は、共紡糸されたポリアミド/ポリエチレン繊維から形成されたテキスタイルからポリエチレンを溶解し、100マイクロメートル以下の直径を有するポリアミド繊維(すなわち、ポリアミドマイクロファイバー)を有する合成皮革をもたらすと考えられる。
【0121】
一実施形態では、合成皮革は、水洗、軟化処理、および/または着色処理を受ける。
【0122】
一実施形態では、合成皮革は、合成皮革の総重量に基づいて、5重量%、または6重量%、または15重量%、または16重量%、または20重量%、または30重量%、または40重量%、または50重量%~60重量%、または70重量%のポリウレタンを含有する。一実施形態では、合成皮革は、合成皮革の総重量に基づいて、20重量%、または30重量%、または40重量%、または50重量%~60重量%、または70重量%のポリウレタンを含有する。
【0123】
合成皮革は、ポリウレタンマトリックス中に細孔を有する。「細孔」は、ポリウレタンマトリックス内の空隙容量である。一実施形態では、合成皮革は、10μm~200μmの平均細孔径を有する。
【0124】
一実施形態では、方法は、細孔を有するポリウレタンマトリックスを有する合成皮革を形成することを含み、合成皮革は、以下の特性のうちの一方または両方を有する。
(a)合成皮革の総重量に基づいて、20重量%、もしくは30重量%、もしくは40重量%、もしくは50重量%~60重量%、もしくは70重量%のポリウレタンを含有する、および/または
(b)10μm~200μmの平均細孔径。
【0125】
合成皮革ステップを形成するステップは、本明細書に開示される2つ以上の実施形態を含み得る。
【0126】
この方法は、(i)最初に、テキスタイルを、CHポリマーを含有するか、本質的にそれからなるか、またはそれからなる水溶液と接触させて、改質されたテキスタイルコンポーネントを形成することと、(ii)続いて、改質されたテキスタイルコンポーネントに、アニオン性界面活性剤で外部的に安定化された水性ポリウレタン分散液を含浸させることと、(iii)改質されたテキスタイルコンポーネント中にポリウレタンを析出させることと、(iv)合成皮革を形成することと、を含む。言い換えれば、ステップ(i)および(ii)は、順次に行われ、ステップ(i)は、ステップ(ii)が開始する前に完了するまで行われる。
【0127】
一実施形態では、方法は、
(i)最初に、テキスタイルを、第四級アンモニウムカチオン基を有するヒドロキシエチルセルロースポリマーであるCHポリマーを含有する水溶液と接触させて、改質されたテキスタイルコンポーネントを形成することであって、
テキスタイルが、
(a)0.20g/cc~0.30g/cc、もしくは0.35g/ccの密度、および/または
(b)1デニール、もしくは3デニール~5デニールの繊維サイズ、および/または
(c)0.5mm、もしくは1.0mm~1.5mm、もしくは2.0mmの厚さ、の特性のうちの1つ、いくつか、またはすべて有する不織テキスタイルであり、
水溶液が、
(a)水溶液が、水溶液の総重量に基づいて、0.20重量%、もしくは0.25重量%、もしくは0.40重量%、もしくは0.50重量%、もしくは0.60重量%~0.80重量%、もしくは0.90重量%、もしくは1.00重量%、もしくは1.20重量%、もしくは1.50重量%、もしくは2.0重量%、もしくは3.0重量%の四級アンモニウムカチオン基を有するヒドロキシエチルセルロースポリマーを含有する、および/または
(b)第四級アンモニウムカチオン基を有するヒドロキシエチルセルロースポリマーが、500,000ダルトン、または1,000,000ダルトン~2,000,000ダルトン、または3,000,000ダルトンのMwを有する、および/または
(c)第四級アンモニウムカチオン基を有するヒドロキシエチルセルロースポリマーが、第四級アンモニウムカチオン基を有するヒドロキシエチルセルロースポリマーの総重量に基づいて、0.5重量%、もしくは1.0重量%、もしくは1.5重量%~2.2重量%、もしくは2.5重量%、もしくは3.0重量%、もしくは5.0重量%の窒素を含有する、および/または
(d)水溶液が、第四級アンモニウムカチオン基を有する2重量%のヒドロキシエチルセルロースポリマーを含有する水溶液中で測定された場合、50cP、75cP、100cP、200cP、300cP~500cP、1,000cP、5,000cP、10,000cP、20,000cP、または30,000cP、または35,000cPの粘度を有する、の特性のうちの1つ、いくつか、またはすべてを有する、形成することと、
(ii)続いて、改質されたテキスタイルコンポーネントに、アニオン性界面活性剤で外部的に安定化された水性ポリウレタン分散液を含浸させることであって、
アニオン性界面活性剤で外部的に安定化されたPUDが、スルホン酸界面活性剤で外部的に安定化された、ポリエーテルベースの水性ポリウレタン分散液であり、PUDが、
(a)PUDの総重量に基づいて、10重量%、もしくは11重量%、もしくは15重量%、もしくは20重量%、もしくは21重量%、もしくは30重量%、もしくは35重量%~40重量%、もしくは50重量%、もしくは55重量%、もしくは60重量%の固形分、および/または
(b)25℃での100cP、もしくは150cP、もしくは200cP、もしくは300cP、もしくは400cP、もしくは500cP、もしくは550cP~570cP、もしくは600cP、もしくは700cP、もしくは800cP、もしくは900cP、もしくは1,000cPの粘度、および/または
(c)0.99g/cc、もしくは1.00g/cc、もしくは1.05g/cc~1.10g/cc、もしくは1.20g/ccの密度、および/または
(d)300nm、または350nm、または370nm~380nm、または400nmの平均の体積平均粒径、および/または
(e)0重量%の有機溶媒含有量、の特性のうちの1つ、いくつか、またはすべてを有する、含浸させることと、
(iii)改質されたテキスタイルコンポーネント中にポリウレタンを析出させることと、
(iv)合成皮革を形成することであって、
合成皮革が、細孔を含有するポリウレタンマトリックスを有し、合成皮革が、
(a)合成皮革が、合成皮革の総重量に基づいて、20重量%、または30重量%、または40重量%、または50重量%~60重量%、または70重量%のポリウレタンを含有する、および/または
(b)合成皮革が、10μm~200μmの平均細孔径を有する、および/または
(c)合成皮革が、テキスタイルの厚さ全体に分散したポリウレタンマトリックスを含有する、および/または
(d)合成皮革が、ポリウレタンマトリックス全体、さらには合成皮革全体に均一な細孔分布を呈する、の特性のうちの1つ、いくつか、またはすべてを有する、形成することと、を含み、
ステップ(i)および(ii)が、順次に行われ、
この方法は、任意に、
改質されたテキスタイルコンポーネントをローラーに通過させるステップ、および/または
改質されたテキスタイルコンポーネントにPUDを含浸させる前に、改質されたテキスタイルコンポーネントから水を除去するステップ、および/または
改質されたテキスタイルコンポーネントにPUDを含浸させる前に、70℃~120℃の温度のオーブン内で5分~60分間乾燥させることにより、改質されたテキスタイルコンポーネントから水を除去するステップ、および/または
合成皮革をローラーに通過させるステップ、および/または
合成皮革を100℃の蒸気に1分、もしくは2分~3分、もしくは4分、もしくは5分、もしくは10分、もしくは20分、もしくは30分曝すステップ、および/または
合成皮革の各表面をポリエチレン膜で覆い、合成皮革を80℃、もしくは90℃~100℃、もしくは110℃、もしくは120℃、もしくは130℃のオーブン内で10分、もしくは15分~20分間乾燥させ、ポリエチレン膜を取り外し、合成皮革を80℃、もしくは90℃~100℃、もしくは110℃、もしくは120℃、もしくは130℃のオーブン内で10分、もしくは15分~20分、もしくは30分、もしくは40分、もしくは60分間さらに乾燥させるステップ、および/または
合成皮革を80℃、もしくは90℃~100℃、もしくは110℃、もしくは120℃、もしくは130℃のオーブン内で10分、もしくは15分~20分、もしくは30分、もしくは40分、もしくは60分、もしくは70分、もしくは90分間乾燥させるなどして、合成皮革から水を除去するステップ、および/または
合成皮革をトルエンに80℃、もしくは85℃~90℃、もしくは100℃で30分、もしくは60分、もしくは90分~120分、もしくは150分、もしくは180分、もしくは210分間浸漬するなどして、合成皮革をトルエンで洗浄するステップ、および/または
陽イオン:陰イオン比を0.1、もしくは0.3、もしくは0.4、もしくは0.5~1.8、もしくは2、もしくは3、もしくは5、もしくは10に維持するステップ、のステップうちの1つ以上を含む。
【0128】
本方法は、本明細書に開示される2つ以上の実施形態を含み得る。
【0129】
本開示はまた、本方法によって形成される合成皮革を提供する。
【0130】
本合成皮革は、衣類、アクセサリー、財布、旅行かばん、靴、帽子、自動車の内装、家具などの用途に役立つ。
【0131】
合成皮革は、本明細書に開示される2つ以上の実施形態を含み得る。
【0132】
ここで、限定ではなく例として、本開示のいくつかの実施形態を、次の実施例で詳細に説明する。
【実施例】
【0133】
実施例において使用される材料は、下記の表1に提供する。
【表2】
【0134】
比較試料1(CS1)
重量16.30gのテキスタイル試料を、固形分54.5%のPUD(SYNTEGRA(商標)YS3000)に室温(25℃)で1分間浸漬する。テキスタイルをPUDから取り出した後、テキスタイルをMathis含浸パダーでプレスする。含浸後、テキスタイルの重さを量る。テキスタイルは、16.75gのPUDを含有する。次に、テキスタイルを100℃の蒸気に15分間曝し、次いでオーブン内で90℃にて15分間、続いて120℃にて15分間乾燥させる。乾燥後、テキスタイルの重さを量る。テキスタイルは、9.13gのポリウレタンを含有する。テキスタイルは、かみそりの刃を使用して手でカットし、含浸されたテキスタイルの断面形態を、SEM顕微鏡写真を使用して分析する。
【0135】
図1は、CS1のいくつかのSEM顕微鏡写真である。示されているように、CS1のポリウレタンマトリックスには、細孔がほとんどない。
【0136】
比較試料2(CS2)
重量14.93gのテキスタイル試料を、固形分54.5%のPUD(SYNTEGRA(商標)YS3000)に室温(25℃)で1分間浸漬する。テキスタイルをPUDから取り出し、テキスタイルをWerner Mathis AG、VFM28888の2本ローラー機でプレスする。圧延後、テキスタイルの重さを量る。テキスタイルは、13.97gのPUDを含有する。次に、テキスタイルをオーブン内で90℃にて15分間、続いて120℃にて15分間乾燥させる。乾燥後、テキスタイルの重さを量る。テキスタイルは、7.61gのポリウレタンを含有する。テキスタイルは、かみそりの刃を使用して手でカットし、含浸されたテキスタイルの断面形態を、SEM顕微鏡写真を使用して分析する。
【0137】
図2は、CS2のいくつかのSEM顕微鏡写真である。示されているように、CS2のポリウレタンマトリックスには、細孔がほとんどない。
【0138】
実施例3(Ex.3)
重量13.99gのテキスタイル試料を、0.8重量%のUCARE(商標)JR125(水溶液の総重量に基づく)を含有する水溶液に1分間浸漬して、テキスタイルをUCARE(商標)JR125溶液と接触させて、改質されたテキスタイルコンポーネントを形成する。水溶液は、室温(25℃)である。改質されたテキスタイルコンポーネントをUCARE(商標)JR125溶液から取り出した後、改質されたテキスタイルコンポーネントをWerner Mathis AG、VFM28888の2本ローラー機でプレスする。改質されたテキスタイルコンポーネントの重さを量る。改質されたテキスタイルコンポーネントは、11.33gのUCARE(商標)JR125溶液を含有する。次に、改質されたテキスタイルコンポーネントをオーブン内で90℃にて15分間乾燥させる。
【0139】
乾燥した改質されたテキスタイルコンポーネントを、固形分54.5%のPUD(SYNTEGRA(商標)YS3000)に1分間浸漬して、改質されたテキスタイルコンポーネントにPUDを含浸させて、合成皮革を形成する。PUDは、室温(25℃)である。合成皮革をPUDから取り出した後、合成皮革をWerner Mathis AG、VFM28888の2本ローラー機でプレスする。合成皮革の重さを量る。合成皮革は、18.60gのPUDを含有する。合成皮革の2つの表面をポリエチレン膜(ビニール袋)で覆う。次に、ポリエチレン膜で覆われた合成皮革を、オーブン内で90℃にて15分間乾燥させる。ポリエチレン膜を取り外し、合成皮革をオーブン内で90℃にてさらに15分間、次に120℃にて15分間乾燥させる。合成皮革の重さを量る。合成皮革は、9.91gのポリウレタンを含有する。合成皮革は、かみそりの刃を使用して手でカットし、合成皮革の断面形態を、SEM顕微鏡写真を使用して分析する。
【0140】
図3は、Ex.3のいくつかのSEM顕微鏡写真である。示されているように、Ex.3のポリウレタンマトリックスは、細孔を含有する。Ex.3は、良好な凝固を呈する。
【0141】
実施例4(Ex.4)
重量14.33gのテキスタイル試料を、0.8重量%のUCARE(商標)JR400(水溶液の総重量に基づく)を含有する水溶液に1分間浸漬して、テキスタイルをUCARE(商標)JR400溶液と接触させて、改質されたテキスタイルコンポーネントを形成する。水溶液は、室温(25℃)である。改質されたテキスタイルコンポーネントをUCARE(商標)JR400溶液から取り出した後、改質されたテキスタイルコンポーネントをWerner Mathis AG、VFM28888の2本ローラー機でプレスする。改質されたテキスタイルコンポーネントの重さを量る。改質されたテキスタイルコンポーネントは、12.52gのUCARE(商標)JR400溶液を含有する。次に、改質されたテキスタイルコンポーネントをオーブン内で90℃にて15分間乾燥させる。
【0142】
乾燥した改質されたテキスタイルコンポーネントを、固形分54.5%のPUD(SYNTEGRA(商標)YS3000)に1分間浸漬して、改質されたテキスタイルコンポーネントにPUDを含浸させて、合成皮革を形成する。PUDは、室温(25℃)である。合成皮革をPUDから取り出した後、合成皮革をWerner Mathis AG、VFM28888の2本ローラー機でプレスする。合成皮革の重さを量る。合成皮革は、20.16gのPUDを含有する。合成皮革の2つの表面をポリエチレン膜(ビニール袋)で覆う。次に、ポリエチレン膜で覆われた合成皮革を、オーブン内で90℃にて15分間乾燥させる。ポリエチレン膜を取り外し、合成皮革をオーブン内で90℃にてさらに15分間、次に120℃にて15分間乾燥させる。合成皮革の重さを量る。合成皮革は、11.29gのポリウレタンを含有する。合成皮革は、かみそりの刃を使用して手でカットし、合成皮革の断面形態を、SEM顕微鏡写真を使用して分析する。
【0143】
図4は、Ex.4のいくつかのSEM顕微鏡写真である。示されているように、Ex.4のポリウレタンマトリックスは、細孔を含有する。Ex.4は、良好な凝固を呈する。
【0144】
実施例5(Ex.5)
重量10.59gのテキスタイル試料を1.2重量%のUCARE(商標)JR400(水溶液の総重量に基づく)を含有する水溶液に1分間浸漬して、テキスタイルをUCARE(商標)JR400溶液と接触させて、改質されたテキスタイルコンポーネントを形成する。水溶液は、室温(25℃)である。改質されたテキスタイルコンポーネントをUCARE(商標)JR400溶液から取り出した後、改質されたテキスタイルコンポーネントをWerner Mathis AG、VFM28888の2本ローラー機でプレスする。改質されたテキスタイルコンポーネントの重さを量る。改質されたテキスタイルコンポーネントは、11.25gのUCARE(商標)JR400溶液を含有する。次に、改質されたテキスタイルコンポーネントをオーブン内で90℃にて15分間乾燥させる。
【0145】
乾燥した改質されたテキスタイルコンポーネントを固形分54.5%のPUD(SYNTEGRA(商標)YS3000)に1分間浸漬して、改質されたテキスタイルコンポーネントにPUDを含浸させて、合成皮革を形成する。PUDは、室温(25℃)である。合成皮革をPUDから取り出した後、合成皮革をWerner Mathis AG、VFM28888の2本ローラー機でプレスする。合成皮革の重さを量る。合成皮革は、13.30gのPUDを含有する。合成皮革の2つの表面をポリエチレン膜(ビニール袋)で覆う。次に、ポリエチレン膜で覆われた合成皮革を、オーブン内で90℃にて15分間乾燥させる。ポリエチレン膜を取り外し、合成皮革をオーブン内で90℃にてさらに15分間、次に120℃にて15分間乾燥させる。合成皮革の重さを量る。合成皮革は、7.16gのポリウレタンを含有する。合成皮革は、かみそりの刃を使用して手でカットし、合成皮革の断面形態を、SEM顕微鏡写真を使用して分析する。
【0146】
図5は、Ex.5のいくつかのSEM顕微鏡写真である。示されているように、Ex.5のポリウレタンマトリックスは、細孔を含有する。Ex.5は、良好な凝固を呈する。
【0147】
実施例6(Ex.6)
重量0.87gのテキスタイル試料を0.4重量%のUCARE(商標)JR400(水溶液の総重量に基づく)を含有する水溶液に1分間浸漬して、テキスタイルをUCARE(商標)JR400溶液と接触させて、改質されたテキスタイルコンポーネントを形成する。水溶液は、室温(25℃)である。改質されたテキスタイルコンポーネントをUCARE(商標)JR400溶液から取り出した後、改質されたテキスタイルコンポーネントの重さを量る。改質されたテキスタイルコンポーネントは、2.10gのUCARE(商標)JR400溶液を含有する。次に、改質されたテキスタイルコンポーネントをオーブン内で80℃にて20分間乾燥させる。
【0148】
乾燥した改質されたテキスタイルコンポーネントを固形分54.5%のPUD(SYNTEGRA(商標)YS3000)に1分間浸漬して、改質されたテキスタイルコンポーネントにPUDを含浸させて、合成皮革を形成する。PUDは、室温(25℃)である。合成皮革をPUDから取り出した後、合成皮革をステンレス鋼のハンドローラーでプレスする。合成皮革の重さを量る。合成皮革は、1.58gのPUDを含有する。次に、合成皮革をオーブン内で90℃にて15分間、次に120℃にて15分間乾燥させる。合成皮革の重さを量る。合成皮革は、0.93gのポリウレタンを含有する。
【0149】
次に、合成皮革をトルエン中で85℃にて3時間洗浄する。洗浄後、合成皮革をかみそりの刃を使用して手でカットし、合成皮革の断面形態を、SEM顕微鏡写真を使用して分析する。
【0150】
図6は、Ex.6のいくつかのSEM顕微鏡写真である。示されているように、Ex.6のポリウレタンマトリックスは、細孔を含有する。Ex.6は、良好な凝固を呈する。
【0151】
実施例7(Ex.7)
重量0.82gのテキスタイル試料を0.4重量%のUCARE(商標)JR400(水溶液の総重量に基づく)を含有する水溶液に1分間浸漬して、テキスタイルをUCARE(商標)JR400溶液と接触させて、改質されたテキスタイルコンポーネントを形成する。水溶液は、室温(25℃)である。改質されたテキスタイルコンポーネントをUCARE(商標)JR400溶液から取り出した後、改質されたテキスタイルコンポーネントの重さを量る。改質されたテキスタイルコンポーネントは、1.98gのUCARE(商標)JR400溶液を含有する。次に、改質されたテキスタイルコンポーネントをオーブン内で80℃にて20分間乾燥させる。
【0152】
乾燥した改質されたテキスタイルコンポーネントを固形分54.5%のPUD(SYNTEGRA(商標)YS3000)に1分間浸漬して、改質されたテキスタイルコンポーネントにPUDを含浸させて、合成皮革を形成する。PUDは、室温(25℃)である。合成皮革をPUDから取り出した後、合成皮革をステンレス鋼のハンドローラーでプレスする。合成皮革の重さを量る。合成皮革は、1.57gのPUDを含有する。次に、合成皮革を100℃の水に5分間浸漬し、オーブン内で90℃にて15分間、次に120℃にて15分間乾燥させる。c合成皮革の重さを量る。合成皮革は、0.83gのポリウレタンを含有する。
【0153】
次に、合成皮革をトルエン中で85℃にて3時間洗浄する。洗浄後、合成皮革をかみそりの刃を使用して手でカットし、合成皮革の断面形態を、SEM顕微鏡写真を使用して分析する。
【0154】
図7は、Ex.7のいくつかのSEM顕微鏡写真である。示されているように、Ex.7のポリウレタンマトリックスは、細孔を含有する。Ex.7は、良好な凝固を呈する。
【0155】
実施例8(Ex.8)
重量0.89gのテキスタイル試料を0.4重量%のUCARE(商標)JR400(水溶液の総重量に基づく)を含有する水溶液に1分間浸漬して、テキスタイルをUCARE(商標)JR400溶液と接触させて、改質されたテキスタイルコンポーネントを形成する。水溶液は、室温(25℃)である。改質されたテキスタイルコンポーネントをUCARE(商標)JR400溶液から取り出した後、改質されたテキスタイルコンポーネントの重さを量る。改質されたテキスタイルコンポーネントは、2.22gのUCARE(商標)JR400溶液を含有する。改質されたテキスタイルコンポーネントは、PUDを含浸させる前に乾燥させない。
【0156】
改質されたテキスタイルコンポーネントを固形分54.5%のPUD(SYNTEGRA(商標)YS3000)に1分間浸漬して、改質されたテキスタイルコンポーネント中にPUDを含浸させ、合成皮革を形成する。PUDは、室温(25℃)である。合成皮革をPUDから取り出した後、合成皮革をステンレス鋼のハンドローラーでプレスする。合成皮革の重さを量る。合成皮革は、1.51gのPUDを含有する。次に、合成皮革を100℃の水に5分間浸漬し、オーブン内で90℃にて15分間、次に120℃にて15分間乾燥させる。合成皮革の重さを量る。合成皮革は、0.49gのポリウレタンを含有する。
【0157】
次に、合成皮革をトルエン中で85℃にて3時間洗浄する。洗浄後、合成皮革をかみそりの刃を使用して手でカットし、合成皮革の断面形態を、SEM顕微鏡写真を使用して分析する。
【0158】
図8は、Ex.8のいくつかのSEM顕微鏡写真である。示されているように、Ex.8のポリウレタンマトリックスは、細孔を含有する。Ex.8は、良好な凝固を呈する。
【0159】
実施例9(Ex.9)
重量11.14gのテキスタイル試料を、2.0重量%のUCARE(商標)JR125(水溶液の総重量に基づく)を含有する水溶液に1分間浸漬して、テキスタイルをUCARE(商標)JR125溶液と接触させて、改質されたテキスタイルコンポーネントを形成する。水溶液は、室温(25℃)である。改質されたテキスタイルコンポーネントをUCARE(商標)JR125溶液から取り出した後、改質されたテキスタイルコンポーネントをWerner Mathis AG、VFM28888の2本ローラー機でプレスする。改質されたテキスタイルコンポーネントの重さを量る。改質されたテキスタイルコンポーネントは、13.55gのUCARE(商標)JR125溶液を含有する。次に、改質されたテキスタイルコンポーネントをオーブン内で90℃にて15分間乾燥させる。
【0160】
乾燥した改質されたテキスタイルコンポーネントを、21%の固形分を有するように水で希釈したPUD(SYNTEGRA(商標)YS3000)に1分間浸漬して、合成皮革を形成する。PUDは、室温(25℃)である。合成皮革の重さを量る。合成皮革は、26.21gのPUDを含有する。合成皮革の2つの表面をポリエチレン膜(ビニール袋)で覆う。次に、ポリエチレン膜で覆われた合成皮革を、オーブン内で90℃にて15分間乾燥させる。ポリエチレン膜を取り外し、合成皮革をオーブン内で90℃にてさらに15分間、次に120℃にて15分間乾燥させる。合成皮革の重さを量る。合成皮革は、5.83gのポリウレタンを含有する。合成皮革は、かみそりの刃を使用して手でカットし、合成皮革の断面形態を、SEM顕微鏡写真を使用して分析する。
【0161】
図9は、Ex.9のいくつかのSEM顕微鏡写真である。示されているように、Ex.9のポリウレタンマトリックスは、細孔を含有する。Ex.9は、良好な凝固を呈する。
【0162】
水溶液およびPUDの組成を表2に提供する。
【0163】
結果
各合成皮革の特性を表2に提供する。
【表3-1】
【表3-2】
【0164】
各々、テキスタイルを、カチオン性ヒドロキシエチルセルロースポリマーを含有する水溶液と接触させて、改質されたテキスタイルコンポーネントを形成せずに調製された比較試料1および比較試料2は、ポリウレタンマトリックス中に細孔を含有しない。したがって、比較試料1および比較試料2は、合成皮革の用途に好適ではない。
【0165】
最初に、テキスタイルを、カチオン性ヒドロキシエチルセルロースポリマーを含む水溶液と接触させて、改質されたテキスタイルコンポーネントを形成すること、次に、改質されたテキスタイルコンポーネントに、アニオン性イオン界面活性剤で外部的に安定化されたPUDを含浸させること、改質されたテキスタイルコンポーネント中にポリウレタンを析出させること、および合成皮革を形成することにより調製された実施例3~9は、有利に良好な凝固を呈する(ポリウレタンマトリックス中の細孔の形成によって証明される)。さらに、実施例3~9のポリウレタンマトリックスは、各々、ポリウレタンマトリックス全体に、さらには合成皮革全体に細孔の均一な分布を呈し、これは、合成皮革に快い(すなわち、柔らかい)手触りを与え、合成皮革の重量を軽減し、合成皮革の総材料費を低下させる。したがって、例3~9は、衣類および自動車の内装などの合成皮革の用途に好適である。
【0166】
Ex.9のPUDは、21%の固形分を有し、これは、CS2(54.5重量%のPUD固形分)で使用されるPUDの固形分の半分未満であるが、Ex.9は、驚くことに、最終的な合成皮革において、CS2(33.8重量%)より高い重量パーセントのポリウレタン(34.4重量%)を達成する。より高いポリウレタンの重量パーセントは、合成皮革の用途に有利である。
【0167】
本開示は、本明細書に含まれる実施形態および例示に限定されず、実施形態の部分、および異なる実施形態の要素の組み合わせを含むそれらの実施形態の変更された形態を、以下の特許請求の範囲の範囲内に該当するものとして含むことが、具体的に意図されている。
【国際調査報告】