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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-12
(54)【発明の名称】高容量リレーの短絡防止構造
(51)【国際特許分類】
   H01H 50/54 20060101AFI20220104BHJP
   H01H 50/56 20060101ALI20220104BHJP
【FI】
H01H50/54 D
H01H50/56 K
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021510095
(86)(22)【出願日】2020-04-02
(85)【翻訳文提出日】2021-04-15
(86)【国際出願番号】 CN2020082903
(87)【国際公開番号】W WO2021022822
(87)【国際公開日】2021-02-11
(31)【優先権主張番号】201910729337.9
(32)【優先日】2019-08-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521070795
【氏名又は名称】東莞市中匯瑞徳電子股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】周康平
(57)【要約】
高容量リレーの短絡防止構造(10)であって、2つの固定接触子(110)、第1磁性体(120)、ハウジング(130)、中間ブロック(160)及びヨーク板(140)を備えるケースアセンブリ(100)であって、第1磁性体(120)がハウジング(130)の頂部の内側面に設けられる、ケースアセンブリ(100)と、固定ブラケット(210)、ストッパ片(220)、可動接触片(230)、第2磁性体(240)、弾性部材(250)及びプッシュロッド(260)を備えるプッシュアセンブリ(200)であって、固定ブラケット(210)は、2つの固定サイドアーム(211)及び受け板(212)を備え、ストッパ片(220)の一端が一方の固定サイドアーム(211)の先端に接続され、ストッパ片(220)の他端が他方の固定サイドアーム(211)の先端に接続される、プッシュアセンブリ(200)と、を備え、可動接触片(230)の両端が2つの固定接触子(110)にそれぞれ対向して設けられ、第2磁性体(240)が第1磁性体(120)に対向して設けられ、第1磁性体(120)及び第2磁性体(240)が磁束を形成する、高容量リレーの短絡防止構造(10)である。この短絡防止構造(10)は、コイルが励起された時に、第1磁性体(120)と第2磁性体(240)との位置がオーバートラベルにより変化することはない。オーバートラベルが大きくなるにつれて磁気エアギャップが大きくなることはなく、オーバートラベルの増大は、磁気吸引力に影響を与えることはなく、リレーの短絡防止機能に影響を与えることもない。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高容量リレーの短絡防止構造であって、
2つの固定接触子、第1磁性体、ハウジング、中間ブロック及びヨーク板を備えるケースアセンブリであって、2つの前記固定接触子が前記ハウジングを貫通し、かつ前記ハウジングに接続され、前記第1磁性体が前記ハウジングの頂部の内側面に設けられ、前記ハウジングが前記中間ブロックを介して前記ヨーク板に接続される、ケースアセンブリと、
固定ブラケット、ストッパ片、可動接触片、第2磁性体、弾性部材及びプッシュロッドを備えるプッシュアセンブリであって、前記固定ブラケットは、2つの固定サイドアーム及び受け板を備え、2つの前記固定サイドアームが前記受け板の両側にそれぞれ設けられ、前記ストッパ片の一端が一方の前記固定サイドアームの先端に接続され、前記ストッパ片の他端が他方の前記固定サイドアームの先端に接続され、前記弾性部材が2つの前記固定サイドアームの間に設けられ、前記弾性部材の一端が前記受け板に接続され、前記弾性部材の他端が前記第2磁性体に接続され、前記可動接触片の一方の面が前記第2磁性体に接続され、前記可動接触片の他方の面が前記ストッパ片に当接し、前記プッシュロッドの端部が前記受け板の前記固体サイドアームと反対の面に接続される、プッシュアセンブリと、を備え、
前記ハウジング、前記中間ブロック及び前記ヨーク板が協働して収容室を形成しており、前記第1磁性体、前記固定ブラケット、前記ストッパ片、前記可動接触片、前記第2磁性体及び前記弾性部材はいずれも前記収容室に収容され、前記プッシュロッドが前記ヨーク板を貫通して前記ヨーク板と可動に接続され、
前記可動接触片の両端が2つの前記固定接触子にそれぞれ対向して設けられ、前記第2磁性体が前記第1磁性体に対向して設けられ、前記第1磁性体及び前記第2磁性体が磁束を形成する、ことを特徴とする、
高容量リレーの短絡防止構造。
【請求項2】
前記第1磁性体が細長形状構造であり、前記第2磁性体がU字状構造であり、前記第2磁性体の両側壁が前記可動接触片及び前記ストッパ片の両側部を包囲し、前記第2磁性体の両端の端面がそれぞれ前記第1磁性体の両端に対向して設けられる、ことを特徴とする、請求項1に記載の高容量リレーの短絡防止構造。
【請求項3】
前記ケースアセンブリは、逆U字状構造をなし、かつ前記ハウジングの内側壁に密着して設けられる絶縁ブラケットをさらに備え、2つの前記固定接触子はいずれも前記絶縁ブラケットをそれぞれ貫通し、前記絶縁ブラケットには装着溝が設けられ、前記第1磁性体が前記装着溝に収容されて前記絶縁ブラケットに接続される、ことを特徴とする、請求項2に記載の高容量リレーの短絡防止構造。
【請求項4】
前記第1磁性体が前記絶縁ブラケットと接着接続されることを特徴とする、請求項3に記載の高容量リレーの短絡防止構造。
【請求項5】
前記絶縁ブラケットの両側壁にそれぞれ消弧窓が設けられることを特徴とする、請求項3に記載の高容量リレーの短絡防止構造。
【請求項6】
前記第2磁性体が細長形状構造であり、前記第1磁性体がU字状構造であり、前記第1磁性体の両端の端面がそれぞれ前記第2磁性体の両端に対向して設けられる、ことを特徴とする、請求項1に記載の高容量リレーの短絡防止構造。
【請求項7】
前記可動接触片が細長シート状構造であり、前記第2磁性体が少なくとも2つ設けられ、前記第1磁性体が少なくとも2つ設けられ、前記第2磁性体の各々が前記可動接触片の一方の長辺から他方の長辺にかけて一列状に配置され、前記第2磁性体の各々が前記第1磁性体の1つに対向し、前記第2磁性体の各々が前記第1磁性体の1つと独立した磁束を形成する、ことを特徴とする、請求項1に記載の高容量リレーの短絡防止構造。
【請求項8】
前記可動接触片が細長シート状構造であり、前記第2磁性体が少なくとも2つ設けられ、前記第2磁性体の各々が前記可動接触片の一方の短辺から他方の短辺にかけて一列状に配置され、前記第2磁性体の各々がいずれも前記第1磁性体に対向し、前記第2磁性体の各々がいずれも前記第1磁性体と磁束を形成する、ことを特徴とする、請求項1に記載の高容量リレーの短絡防止構造。
【請求項9】
前記ストッパ片には、アークを遮断するためのアーク遮断部が設けられることを特徴とする、請求項1に記載の高容量リレーの短絡防止構造。
【請求項10】
前記第1磁性体が前記ハウジングと接着接続されることを特徴とする、請求項1に記載の高容量リレーの短絡防止構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リレーの技術分野に関し、特に高容量リレーの短絡防止構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、中国特許CN201180035052.7では、ケース内に固定接点及び可動接点を収納し、駆動手段によって該固定接点と可動接点とが互いに接離する接点装置であって、ケースと、ケース内に収納される固定接点を有する固定端子と、固定接点に接離する可動接点を一面に有する可動接触子と、ケース内において可動接触子の一面側に配設され、一面がケースの内面に対向して他面が可動接触子の一面に対向する第一のヨークと、ケース内において可動接触子の他面側に配設され、一面が可動接触子を介して第一のヨークの他面に対向する第二のヨークと、可動接触子を固定接点側へ付勢する接圧ばねと、第一のヨークと一体的に移動する可動軸と、可動接点が固定接点に接離するように、可動軸を駆動させる駆動手段とを備え、第一のヨークは、可動接触子の固定接点側への移動を規制し、可動接触子の移動方向において、可動接触子に対向する部分の第一のヨークの厚みが第二のヨークよりも大きく形成される接点装置を開示している。中国特許CN201180035052.7の明細書及び添付図面を参照すると、駆動手段によって可動軸が上方へ移動し、可動接点と固定接点とが当接して接点間が導通し、可動接触子に電流が流れることで、可動接触子の周囲に磁場が発生してヨーク板を通る磁束が形成され、ヨーク板の間に磁気吸引力が発生する。可動接点と固定接点との間に事故電流のため電気的反発力が発生した場合に、ヨーク板の間の磁気吸引力が、電気的反発力に抗するように抑制して、可動接点と固定接点とが離間しないことを確保し、短絡防止機能が実現される。
【0003】
しかしながら、リレーにおける可動接点と固定接点とが接触する際にオーバートラベルを生じる必要があるため、可動接点と固定接点とが当接した後、可動軸が上方へ引続きある程度移動し、接圧ばねがさらに圧縮され、即ち圧縮弾性変形が発生することで、オーバートラベルを生じる。このとき、一方のヨーク板が他方のヨーク板から離れるように移動し、両ヨーク板の間に磁気エアギャップが生じ、即ちヨーク板とヨーク板との間にギャップが生じる。ヨーク板の間の磁気エアギャップが大きいほど、磁路における磁気抵抗が大きくなり、つまり、両ヨーク板の間の磁気吸引力は、磁気エアギャップが大きくなるにつれて小さくなる。リレーの技術分野では、オーバートラベルは非常に重要なパラメータである。例えば、可動接点と固定接点とが粘着された場合に、オーバートラベルが大きいほど分断力が大きくなり、粘着箇所を効果的に分離することができる。中国特許CN201180035052.7に開示された接点装置は、可動接点と固定接点とのオーバートラベルが大きいほど、両ヨーク板の間の磁気エアギャップが大きくなるため、磁気吸引力が小さくなり、短絡防止機能に影響を与え、オーバートラベルと磁気エアギャップとの間に矛盾が存在する。
【発明の概要】
【0004】
従って、オーバートラベルの増大により磁気エアギャップが大きくなり、短絡防止機能に影響を与えるという技術的課題に対して、高容量リレーの短絡防止構造を提供する必要がある。
【0005】
高容量リレーの短絡防止構造は、2つの固定接触子、第1磁性体、ハウジング、中間ブロック及びヨーク板を備え、2つの固定接触子がハウジングを貫通してハウジングに接続され、第1磁性体がハウジングの頂部の内側面に設けられ、ハウジングが中間ブロックを介してヨーク板に接続されるケースアセンブリと、固定ブラケット、ストッパ片、可動接触片、第2磁性体、弾性部材及びプッシュロッドを備え、固定ブラケットは、2つの固定サイドアーム及び受け板を備え、2つの固定サイドアームが受け板の両側にそれぞれ設けられ、ストッパ片の一端が一方の固定サイドアームの先端に接続され、ストッパ片の他端が他方の固定サイドアームの先端に接続され、弾性部材が2つの固定サイドアームの間に設けられ、弾性部材の一端が受け板に接続され、弾性部材の他端が第2磁性体に接続され、可動接触片の一方の面が第2磁性体に接続され、可動接触片の他方の面がストッパ片に当接し、プッシュロッドの端部が受け板の固体サイドアームと反対する面に接続されるプッシュアセンブリと、を備え、ハウジング、中間ブロック及びヨーク板により収容室を形成しており、第1磁性体、固定ブラケット、ストッパ片、可動接触片、第2磁性体及び弾性部材が収容室に収容され、プッシュロッドがヨーク板を貫通してヨーク板と可動に接続され、可動接触片の両端が2つの固定接触子にそれぞれ対向して設けられ、第2磁性体が第1磁性体に対向して設けられ、第1磁性体及び第2磁性体が磁束を形成する。
【0006】
一実施例において、第1磁性体が細長形状構造であり、第2磁性体がU字状構造であり、第2磁性体の両側壁が可動接触片及びストッパ片の両側部を包囲し、第2磁性体の両端の端面がそれぞれ第1磁性体の両端に対向して設けられる。
【0007】
一実施例において、ケースアセンブリは、逆U字状構造をなし、ハウジングの内側壁に密着して設けられる絶縁ブラケットをさらに備え、2つの固定接触子が絶縁ブラケットをそれぞれ貫通し、絶縁ブラケットに装着溝が設けられ、第1磁性体が装着溝に収容されて絶縁ブラケットに接続される。
【0008】
一実施例において、第1磁性体が絶縁ブラケットと接着接続される。
【0009】
一実施例において、絶縁ブラケットの両側壁にそれぞれ消弧窓が設けられる。
【0010】
一実施例において、第2磁性体が細長形状構造であり、第1磁性体がU字状構造であり、第1磁性体の両端の端面がそれぞれ第2磁性体の両端に対向して設けられる。
【0011】
一実施例において、可動接触片が細長シート状構造であり、第2磁性体が少なくとも2つ設けられ、第1磁性体が少なくとも2つ設けられ、各第2磁性体が可動接触片の一方の長辺から他方の長辺にかけて一列状に配置され、各第2磁性体が第1磁性体にそれぞれ対向し、各第2磁性体が第1磁性体のそれぞれと独立した磁束を形成する。
【0012】
一実施例において、可動接触片が細長シート状構造であり、第2磁性体が少なくとも2つ設けられ、各第2磁性体が可動接触片の一方の短辺から他方の短辺にかけて一列状に配置され、各第2磁性体が第1磁性体に対向し、各第2磁性体が第1磁性体と磁束を形成する。
【0013】
一実施例において、ストッパ片には、アークを遮断するためのアーク遮断部が設けられる。
【0014】
一実施例において、第1磁性体がハウジングと接着接続される。
【0015】
この高容量リレーの短絡防止構造は、リレーにおけるコイルが励起されると、プッシュアセンブリが固定接触子に向かって移動し、可動接触片の両端が2つの固定接触子のそれぞれに当接し、このとき、第1磁性体と第2磁性体とが当接する。オーバートラベルにより、弾性部材が引続き圧縮され、第1磁性体がハウジングの頂部の内側面に設けられるため、第1磁性体と第2磁性体との位置関係がオーバートラベルにより変化することはない。つまり、第1磁性体と第2磁性体との磁気エアギャップが変化することはなく、オーバートラベルが大きくなるにつれて第1磁性体と第2磁性体との磁気エアギャップが大きくなることはなく、オーバートラベルの増大は、第1磁性体と第2磁性体との磁気吸引力に影響を与えることはなく、リレーの短絡防止機能に影響を与えることもないので、オーバートラベルと磁気エアギャップとの矛盾を解消することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】は一実施例における高容量リレーの短絡防止構造の構造概略図である。
図2】は一実施例における高容量リレーの短絡防止構造の断面概略図である。
図3】は図2に示す実施例における高容量リレーの短絡防止構造の他の状態を示す図である。
図4】は図3に示す実施例における高容量リレーの短絡防止構造の他の状態を示す図である。
図5】は一実施例における高容量リレーの短絡防止構造の他の断面概略図である。
図6】は図5に示す実施例における高容量リレーの短絡防止構造の他の状態を示す図である。
図7】は図6に示す実施例における高容量リレーの短絡防止構造の他の状態を示す図である。
図8】は一実施例における高容量リレーの短絡防止構造のプッシュアセンブリの構造概略図である。
図9】は図8に示す実施例における高容量リレーの短絡防止構造の他の視点からの図である。
図10】は図8に示す実施例における高容量リレーの短絡防止構造の別の視点からの図である。
図11】は一実施例における高容量リレーの短絡防止構造のケースアセンブリの構造概略図である。
図12】は一実施例における高容量リレーの短絡防止構造のケースアセンブリの他の構造概略図である。
図13】は一実施例における高容量リレーの短絡防止構造の絶縁ブラケット及び第1磁性体の構造概略図である。
図14】は図13に示す実施例における高容量リレーの短絡防止構造の他の視点からの図である。
図15】は一実施例における高容量リレーの短絡防止構造の別の断面概略図である。
図16】は一実施例における高容量リレーの短絡防止構造の一部概略構成図である。
図17】は一実施例における高容量リレーの短絡防止構造の他の一部概略構成図である。
図18】は一実施例における高容量リレーの短絡防止構造の別の一部概略構成図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明の上記の目的、特徴及び利点をより明らかにするために、以下は図面を参照して本発明の具体的な実施形態について詳細に説明する。本発明が十分に理解されるように、以下の説明において、多くの具体的な細部について述べる。なお、本発明は、ここに記載されたものとは異なる多くの他の形態で実施することができ、当業者であれば、本発明の趣旨から逸脱することなく類似の改良を行うことができるので、本発明は、以下に開示される具体的な実施例により限定されるものではない。
【0018】
本発明の説明において、「中心」、「縦方向」、「横方向」、「長さ」、「幅」、「厚さ」、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」、「垂直」、「水平」、「頂」、「底」、「内」、「外」、「時計回り」、「反時計回り」、「軸方向」、「径方向」、「周方向」などの用語で示される方位又は位置関係は、図面に示される方位又は位置関係に基づくものであり、本発明の説明を容易にし簡略化するためのものに過ぎず、言及される装置又は要素が特定の方位を有し、特定の方位で構成されて動作しなければならないことを指示又は示唆するものではないので、本発明を限定するものと理解されるべきではない。
【0019】
また、「第1」、「第2」という用語は、単に説明するためのものであり、相対的な重要性を指示又は示唆するか、又は示される技術的特徴の数を暗示すると理解されるべきではない。したがって、「第1」、「第2」によって限定される特徴は、少なくとも1つの当該特徴を明示又は暗示的に含むことができる。本発明の説明において、別途明確で具体的な限定がない限り、「複数」とは、2つ、3つなど、少なくとも2つを意味する。
【0020】
本発明において、別途明確な規定及び限定がない限り、「取付」、「接続」、「連結」、「固定」などの用語は広義に理解されるべきである。例えば、固定的に接続してもよく、着脱可能に接続してもよく、又は一体的に接続してもよい。また、機械的に接続してもよく、電気的に接続してもよい。また、直接的に接続してもよく、中間部材を介して間接的に接続してもよく、二つの要素の内部での連通又は二つの要素の相互の作用関係であってもよい。当業者であれば、上記用語の本発明における具体的な意味を、具体的な状況に応じて理解することができる。
【0021】
本発明において、別途明確な規定及び限定がない限り、第1特徴が第2特徴の「上」又は「下」にあることは、第1特徴と第2特徴とが直接接触してもよいし、又は第1特徴と第2特徴とが中間部材を介して間接的に接触してもよい。さらに、第1特徴が第2特徴の「上」、「上方」及び「上面」にあることは、第1特徴が第2特徴の真上又は斜め上方にあることであってもよいし、又は単に第1特徴の高さが第2特徴よりも高いことを意味してもよい。さらに、第1特徴が第2特徴の「上」、「上方」及び「上面」にあることは、第1特徴が第2特徴の真上又は斜め上方にあることであってもよいし、又は単に第1特徴の高さが第2特徴よりも高いことを意味してもよい。
【0022】
なお、要素が他の要素に「固定される」又は「配置される」と言われる場合に、他の要素に直接位置していてもよく、又は中間要素が介在していてもよい。要素が他の要素に「連結される」と見なされる場合に、他の要素に直接連結されてもよく、又は中間要素が介在していてもよい。本明細書で使用される「垂直」、「水平」、「上」、「下」、「左」、「右」という用語及び類似の表現は、単に説明するためのものであり、唯一の実施形態を示すものではない。
【0023】
図1図11に示すように、本発明は、2つの固定接触子110、第1磁性体120、ハウジング130、中間ブロック160及びヨーク板140を備え、2つの固定接触子110がハウジング130を貫通してハウジング130に接続され、第1磁性体120がハウジング130の頂部の内側面に設けられ、ハウジング130が中間ブロック160を介してヨーク板140に接続されるケースアセンブリ100と、固定ブラケット210、ストッパ片220、可動接触片230、第2磁性体240、弾性部材250及びプッシュロッド260を備え、固定ブラケット210は、2つの固定サイドアーム211及び受け板212を備え、2つの固定サイドアーム211が受け板212の対向する両側にそれぞれ設けられ、ストッパ片220の一端が一方の固定サイドアーム211の先端に接続され、ストッパ片220の他端が他方の固定サイドアーム211の先端に接続され、弾性部材250が2つの固定サイドアーム211の間に設けられ、弾性部材250の一端が受け板212に接続され、弾性部材250の他端が第2磁性体240に接続され、可動接触片230の一方の面が第2磁性体240に接続され、可動接触片230の他方の面がストッパ片220に当接し、プッシュロッド260の端部が受け板212の固体サイドアーム211と反対する面に接続されるプッシュアセンブリ200と、を備え、ハウジング130とヨーク板140とにより収容室131を形成しており、第1磁性体120、固定ブラケット210、ストッパ片220、可動接触片230、第2磁性体240及び弾性部材250が収容室131に収容され、プッシュロッド260がヨーク板140を貫通してヨーク板140と可動に接続され、可動接触片230の両端が2つの固定接触子110にそれぞれ対向して設けられ、第2磁性体240が第1磁性体120に対向して設けられ、第1磁性体120及び第2磁性体240が磁束を形成する高容量リレーの短絡防止構造10を提供する。
【0024】
この高容量リレーの短絡防止構造10は、リレーにおけるコイルが励起されると、プッシュアセンブリ200が固定接触子110に向かって移動し、可動接触片230の両端が2つの固定接触子110のそれぞれに当接し、このとき、第1磁性体120と第2磁性体240とが当接する。オーバートラベルにより、弾性部材250が引続き圧縮され、第1磁性体120がハウジング130の頂部の内側面に設けられるため、第1磁性体120と第2磁性体240との位置関係がオーバートラベルにより変化することはない。つまり、第1磁性体120と第2磁性体240との磁気エアギャップが変化することはなく、オーバートラベルが大きくなるにつれて第1磁性体120と第2磁性体240との磁気エアギャップが大きくなることはなく、オーバートラベルの増大は、第1磁性体120と第2磁性体240との磁気吸引力に影響を与えることはなく、リレーの短絡防止機能に影響を与えることもないので、オーバートラベルと磁気エアギャップとの矛盾を解消することができる。
【0025】
ケースアセンブル100は、リレーの固定部材であり、つまり、リレーにおけるコイルが励起されると、ケースアセンブリ100は移動することはない。2つの固定接触子110は外部回路に接続するためのものであり、2つの固定接触子110と可動接触片230とが当接すると、外部回路が導通される。ハウジング130及びヨーク板140はプッシュアセンブリ200を封止するためのものであり、本実施例において、ハウジング130が長方形構造のハウジングであり、さらに、ハウジング130がセラミック製ハウジングである。セラミック製ハウジングは、絶縁性が強く、強度が高く、耐高温性及び耐老化性に優れるという特徴を有する。中間ブロック160は、ハウジング130とヨーク板140との接続を実現するためのものである。中間ブロック160は、コバール、銅及び銅合金、又はステンレス鋼等の材料からなる。中間ブロック160を設けてハウジング130とヨーク板140とを接続することは、当該技術分野において常套手段であり、そして、ハウジング130とヨーク板140との接続を実現して気密性を確保する唯一の方法であり、その接続構造及び原理の詳細は従来技術を参照することができるので、ここではその説明を省略する。ハウジング130、中間ブロック160及びヨーク板140の構造や形状は実際の必要に応じて設定することができる。ハウジング130、中間ブロック160及びヨーク板140により収容室131を形成しており、該収容室131は、消弧室に相当し、第1磁性体120、固定ブラケット210、ストッパ片220、可動接触片230、第2磁性体240及び弾性部材250を収容する収容空間を提供するとともに、リレー構造の安全を確保する。さらに、一実施例において、該収容室131には、アーク冷却能力の高いガスが封入されている。例えば、水素ガスを主とする混合ガスである。このため、該高容量リレーの短絡防止構造の消弧性能が向上される。第1磁性体120は第2磁性体240と磁束を形成するためのものである。2つの固定接触子110と可動接触片230とが当接すると、回路が導通され、可動接触片230に電流が流れる。アンペアの法則、即ち右ねじの法則によれば、第1磁性体120と第2磁性体240とにより磁束が形成され、第1磁性体120と第2磁性体240との間に磁気吸引力が発生し、即ち、第1磁性体120と第2磁性体240とが互いに吸引されて近接する。
【0026】
プッシュアセンブル200は、リレーの動作部材であり、つまり、リレーにおけるコイルが励起されると、プッシュアセンブリ200が移動し、即ちプッシュアセンブリ200全体が固定接触子110に向かって移動する。固定ブラケット210は、弾性部材250、第2磁性体240、可動接触片230及びストッパ片220を支持するためのものである。本実施例において、固定サイドアーム211が直方体板状構造、受け板212が直方体板状構造となることで、2つの固定サイドアーム211及び受け板212からなる固定ブラケット210がより強固になる。受け板212は、弾性部材250を受ける役割を果たし、2つの固定サイドアーム211は、弾性部材250を位置規制する役割を果たし、弾性部材250の外側への傾斜を防止するので、組立が容易になる。
【0027】
2つの固定サイドアーム211及び受け板212の間の接続を強化するために、一実施例において、2つの固定サイドアーム211及び受け板212が一体成形されて設けられている。これにより、2つの固定サイドアーム211及び受け板212が強固に接続され、固定ブラケット210の耐衝撃性が向上される。このため、固定ブラケット210の強度が向上される。
【0028】
プッシュロッド260は受力部材であり、円柱状構造であり、コイルが励起されると、電磁力がプッシュロッド260に作用することで、プッシュロッド260が固定ブラケット210を移動させることで、プッシュアセンブリ200全体が固定接触子110に向かって移動する。
【0029】
弾性部材250は弾性力を提供するためのものである。可動接触片230の両端が2つの固定接触子110と接触すると、可動接触片230と固定接触子110との当接を保持するように、弾性部材250の弾性力が可動接触片230に作用する。本実施例において、弾性部材250は圧縮ばねである。可動接触片230は回路を導通するためのものである。リレーが外部回路に接続され、2つの固定接触子110が可動接触片230の両端と接触すると、外部回路が導通され、電流が可動接触片230に流れる。ストッパ片220は、プッシュアセンブリ200の構造が安定するように、弾性部材250、第2磁性体240及び可動接触片230を更に位置規制するためのものである。ストッパ片220の一端が一方の固定サイドアーム211の先端に接続され、ストッパ片220の他端が他方の固定サイドアーム211の先端に接続され、弾性部材250、第2磁性体240及び可動接触片230が固定ブラケット210とストッパ片220との間に位置し、リレーのコイルが励起されていないとき、弾性部材250の弾性力により、可動接触片230がストッパ片220と当接する。これにより、可動接触片230の弾性部材250の弾性力による移動を規制することにより、プッシュアセンブリ200の構造安定性を確保する。第2磁性体240は第1磁性体120と磁束を形成するためのものである。第1磁性体120がハウジング130に固定され、第2磁性体240が動作部材であるため、磁気吸引力の作用により、第2磁性体240が第1磁性体120に近接して移動する。
【0030】
なお、2つの固定接触子110及び可動接触片230に例えば6000Aの大電流が流れると、電流の収縮により、固定接触子110と可動接触片230とが当接した箇所に電気的反発力が発生し、電気的反発力によって可動接触片230が固定接触子110から離れるように移動する。電気的反発力が弾性部材250による弾性力よりも大きい場合に、可動接触片230は2つの固定接触子110から離間する。このとき、可動接触片230と固定接触子110との間に激しいアークが発生し、リレーが焼損しやすくなる。第1磁性体120と第2磁性体240との磁気吸引力が電気的反発力に抗する役割を果たすことで、可動接触片230と固定接触子110との離間を抑制して、短絡防止効果を奏する。特に、固定接触子110と可動接触片230とが当接すると、可動接触片230に電流が流れる。つまり、このとき、第1磁性体120と第2磁性体240とにより磁束が発生し、第1磁性体120と第2磁性体240との間に互いに吸引する磁気吸引力を有するようになる。本技術分野において、第1磁性体120と第2磁性体240とにより磁束が発生したときの、第1磁性体120と第2磁性体240との間隔を磁気エアギャップと呼ぶ。磁気エアギャップは、磁束回路における磁気抵抗に影響を与え、磁気エアギャップが大きいほど、磁気抵抗が大きくなり、第1磁性体120と第2磁性体240との磁気吸引力が小さくなる。磁気吸引力が小さすぎると、電気的反発力に抗することができず、可動接触片230と固定接触子110との離間を抑制できず、短絡防止効果が弱められる。
【0031】
リレーの技術分野では、オーバートラベルは非常に重要なパラメータである。可動接触片230が2つの固定接触子110と接触すると、プッシュアセンブリ200が直ちに移動を停止することはなく、プッシュアセンブリ200全体が移動し続け、弾性部材250がさらに圧縮される。可動接触片230が2つの固定接触子110と接触すると、2つの固定接触子110が可動接触片230のさらなる移動を規制するので、このとき、可動接触片230と第2磁性体240とが移動せずに、固定ブラケット210、ストッパ片220及びプッシュロッド260が移動し続け、弾性部材250がさらにある程度圧縮された後、最終的にプッシュアセンブリ200全体が移動を停止する。オーバートラベルの概念については、可動接触片230が固定接触子110に接触した直後からプッシュアセンブリ200全体が移動を停止するまでの全過程における弾性部材250の変形量がオーバートラベル量であると理解されてもよい。
【0032】
さらに、図2図7に示すように、該高容量リレーの短絡防止構造の具体的な動作は以下の通りである。コイルが励起されると、プッシュロッド260が固定ブラケット210を固定接触子110に向かって移動させ、ストッパ片220、可動接触片230、第2磁性体240及び弾性部材250が固定ブラケット210とともに移動する。可動接触片230が2つの固定接触子110と当接すると、可動接触片230に電流が流れ、第1磁性体120と第2磁性体240とにより磁束が発生し、第1磁性体120と第2磁性体240との間に磁気吸引力を有するようになる。オーバートラベルに伴い、可動接触片230と第2磁性体240とは移動せず、固定ブラケット210、ストッパ片220及びプッシュロッド260は移動し続け、第1磁性体120と第2磁性体240との磁気エアギャップは変化しない。このため、オーバートラベルが大きくなっても、磁気エアギャップの大きさが変化することはなく、即ち、該高容量リレーの短絡防止構造の短絡防止機能がオーバートラベルの影響を受けず、従来技術におけるオーバートラベルと磁気エアギャップとの矛盾を解消した。
【0033】
一実施例において、磁気吸引力を最大化するために、可動接触片230が2つの固定接触子110と当接すると、第1磁性体120と第2磁性体240との磁気エアギャップはゼロである。このため、第1磁性体120と第2磁性体240とにより形成される磁束の磁気抵抗が最小となり、第1磁性体120と第2磁性体240との磁気吸引力が最大となる。これにより、磁気吸引力の最大化が実現され、該高容量リレーの短絡防止構造の短絡防止性能が向上される。本実施例では、製造型に対する精度要求が極めて高く、即ち、リレーにおける部品に対する精度要求が極めて高いため、精度要求が満たされないと、可動接触片230と固定接触子110とが当接できない場合が生じやすい。つまり、第1磁性体120と第2磁性体240とが当接しやすくなるので、可動接触片230の移動が規制され、可動接触片230と固定接触子110とが閉成できなくなる。また、固定接触子110又は可動接触片230が摩耗されると、磁気エアギャップが小さくなり、可動接触片230と固定接触子110とが閉成できなくなる。従って、リレーにおける部品の精度及び組立に対する要求を低減すると共に、該高容量リレーの短絡防止構造の耐久性を向上させるために、他の実施例において、可動接触片230が2つの固定接触子110と当接すると、第1磁性体120と第2磁性体240との間に所定の磁気エアギャップが存在する。このため、可動接触片230と固定接触子110とが閉成できないことを防止する。これにより、該高容量リレーの短絡防止構造の製造難度が低くなり、該高容量リレーの短絡防止構造の精度の耐障害性が向上され、固定接触子100及び可動接触片230の耐摩耗性に対する要求が低下し、該高容量リレーの短絡防止構造の耐用年数が延長される。
【0034】
第1磁性体120と第2磁性体240との間における磁束の形成を容易にするために、一実施例において、第1磁性体120が細長形状構造であり、第2磁性体240がU字状構造であり、第2磁性体240の両側壁が可動接触片230及びストッパ片220の両側部を包囲し、第2磁性体240の両端の端面がそれぞれ第1磁性体120の両端に対向して設けられる。これにより、第1磁性体120と第2磁性体240とが環状構造を構成するのに有利である。本実施例において、固定サイドアーム211が開口を有し、第2磁性体240の両側壁が2つの固定サイドアーム211の開口をそれぞれ貫通し、第2磁性体240の両側壁がストッパ片220及び固定サイドアーム211に可動に接続される。リレーの非動作状態において、第2磁性体240の両端の端面は、ストッパ片220が位置する平面よりも高い。第2磁性体240の両端の端面と、ストッパ片220が位置する平面との距離、即ち、第2磁性体240の側壁がストッパ片220よりも高い長さは、本実施例におけるオーバートラベルの最大量である。オーバートラベルの間において、ストッパ片220は可動接触片230から離れるように移動する。本実施例において、リレーが閉成されて定常状態にあるとき、ストッパ片220と第1磁性体120との衝突を防止するように、ストッパ片220と第1磁性体120との間に隙間がある。他の実施例において、図15に示すように、第2磁性体240が細長形状構造であり、第1磁性体120がU字状構造であり、第1磁性体120の両端の端面がそれぞれ第2磁性体240の両端に対向して設けられる。これにより、第1磁性体120と第2磁性体240とが環状構造を構成するのに有利である。具体的には、第2磁性体240の両端がそれぞれ2つの固定サイドアーム211の開口を部分的に貫通し、第2磁性体240が2つの固定サイドアーム211に可動に接続される。可動接触片230が2つの固定接触子110に接触した直後に、第1磁性体120の頂部とストッパ片220との距離は、本実施例におけるオーバートラベルの最大量である。リレーが閉成されて定常状態にあるとき、ストッパ片220と第1磁性体120との衝突を防止するように、ストッパ片220と第1磁性体120の頂端部との間に隙間がある。別の実施例において、第1磁性体120及び第2磁性体240がU字状構造である。このため、オーバートラベルのために空間をあけるとともに、第1磁性体120と第2磁性体240との間における磁束の形成を容易にする。
【0035】
第1磁性体120の位置を固定するために、一実施例において、図12図14に示すように、ケースアセンブリ100は、逆U字状構造をなし、ハウジング130の内側壁に密着して設けられる絶縁ブラケット150をさらに備え、2つの固定接触子110が絶縁ブラケット150をそれぞれ貫通し、絶縁ブラケット150に装着溝151が設けられ、第1磁性体120が装着溝151に収容されて絶縁ブラケット150に接続される。これにより、第1磁性体120の装着固定を実現するとともに、第1磁性体120と第2磁性体240との磁気エアギャップを低減することができる。本実施例において、第1磁性体が絶縁ブラケットと接着接続される。好ましくは、第1磁性体が絶縁ブラケットとエポキシ樹脂接着剤により接着接続される。他の実施例において、絶縁ブラケット150の装着溝151の溝壁に複数の係合ブロック152が設けられ、第1磁性体120の側壁に複数の係合口121が設けられ、各係合ブロック152が係合口121にそれぞれ挿設されることで、第1磁性体120と絶縁ブラケット150とが係合される。第1磁性体120と絶縁ブラケット150との係合により、第1磁性体120の着脱が容易になり、プッシュアセンブリ200のメンテナンス難度が低くなり、該高容量リレーの短絡防止構造のメンテナンス性が向上される。別の実施例において、第1磁性体120が装着溝151に収容され、第1磁性体120が絶縁ブラケット150にカシメされる。これにより、第1磁性体120と絶縁ブラケット150との接続安定性が向上される。他の実施例において、第1磁性体120が絶縁ブラケット150と熱融着接続される。これにより、第1磁性体120と絶縁ブラケット150との接続強度が向上される。このため、第1磁性体120を安定して装着固定することで、高容量リレーの短絡防止構造の剛性強度を向上させ、高容量リレーの短絡防止構造の動作安定性を確保する。
【0036】
一実施例において、絶縁ブラケット150の両側壁にそれぞれ消弧窓153が設けられる。従って、絶縁ブラケット150の両側壁が消弧グリッドに相当する。アークが発生すると、磁力線の「ローレンツ力」によって消弧グリッドに引き込まれ、ロングアークが複数のショートアークに分断されて消弧効果が得られる。なお、本実施例において、絶縁ブラケット150は、耐高温性が極めて高いプラスチック製の絶縁ブラケットである。これにより、該高容量リレーの短絡防止構造の消弧性能がさらに向上される。
【0037】
図16に示すように、一実施例において、可動接触片230が細長シート状構造であり、第2磁性体240が少なくとも2つ設けられ、第1磁性体120が少なくとも2つ設けられる。各第2磁性体240が可動接触片230の一方の長辺から他方の長辺にかけて一列状に配置され、各第2磁性体240が第1磁性体120にそれぞれ対向し、各第2磁性体240が第1磁性体120のそれぞれと独立した磁束を形成する。本実施例において、細長形状構造である第1磁性体120が2つ設けられ、U字状構造である第2磁性体240が2つ設けられる。2つの第1磁性体120が間隔をおいて設けられ、2つの第2磁性体240が間隔をおいて設けられる。つまり、一方の第2磁性体240の一方の側壁と他方の第2磁性体240の一方の側壁とが隣接して設けられ、隣接する両側壁が可動接触片230及びストッパ片220の中部領域をそれぞれ貫通する。2つの第2磁性体240が弾性部材250とそれぞれ当接する。各第2磁性体240の他方の側壁が固定サイドアーム211を貫通してストッパ片220及び2つの固定サイドアーム211と可動に接続され、2つの第2磁性体240が2つの第1磁性体120と2つの独立した磁束をそれぞれ形成し、つまり、各第2磁性体240が第1磁性体120のそれぞれと独立した磁束を形成する。これにより、各第2磁性体240と第1磁性体120との磁気吸引作用が実現される。
【0038】
図17に示すように、一実施例において、可動接触片230が細長シート状構造であり、それに対応して、第2磁性体240が少なくとも2つ設けられ、各第2磁性体240が可動接触片230の一方の短辺から他方の短辺にかけて一列状に配置され、各第2磁性体240が第1磁性体120に対向し、各第2磁性体240が第1磁性体120と磁束を形成する。本実施例において、第1磁性体120が細長形状構造であり、U字状構造である第2磁性体240が2つ設けられる。各第2磁性体240の両側壁が可動接触片230及びストッパ片220の両側部を包囲し、各第2磁性体240の両端の端面がそれぞれ第1磁性体120の両端に対向して設けられる。2つの第2磁性体240が弾性部材250とそれぞれ当接する。各第2磁性体240の両側壁が2つの固定サイドアーム211をそれぞれ貫通し、各第2磁性体240の両側壁がストッパ片220及び固定サイドアーム211に可動に接続され、2つの第2磁性体240が第1磁性体120と2つの独立した磁束をそれぞれ形成する。他の実施例において、図18に示すように、細長形状構造である第1磁性体120が2つ設けられ、U字状構造である第2磁性体240が2つ設けられる。各第2磁性体240が第1磁性体120のそれぞれと独立した磁束を形成する。これにより、各第2磁性体240と第1磁性体120との磁気吸引作用が実現される。
【0039】
高容量リレーの短絡防止構造の逆電気的寿命を延長させるために、一実施例において、ストッパ片220には、アークを遮断するためのアーク遮断部(図示せず)が設けられる。本実施例において、アーク遮断部は、ストッパ片220の中部領域の外面を被覆している絶縁層である。本実施例において、絶縁層はポリテトラフルオロエチレン層である。他の実施例において、絶縁層は耐熱ナイロン層である。ポリテトラフルオロエチレン及び耐熱ナイロンは、絶縁性に優れた材料であり、さらに、化学的安定性、耐寒性、難燃性、耐老化性及び耐食性等の特性にも優れている。絶縁層を設けることにより、逆アークに対する遮断効果が得られ、アークがストッパ片220により短絡することができなくなる。このため、逆アークの導通による短絡が防止され、さらに高容量リレーの短絡防止構造の逆電気的寿命が向上される。
【0040】
第1磁性体120とハウジング130との接続を容易に実現するために、一実施例において、第1磁性体120がハウジング130と接着接続される。つまり、第1磁性体120が接着剤によりハウジング130の頂部の内壁に接続される。本実施例において、接着剤が単一成分又は二成分の樹脂である。好ましくは、接着剤はエポキシ樹脂接着剤である。これにより、第1磁性体120とハウジング130との接続が容易に実現され、第1磁性体120とハウジング130との接続強度が向上される。
【0041】
上記の実施例の各技術的特徴は、任意に組み合わせることが可能であり、説明を簡潔化するために、上記実施例における各技術的特徴の全ての可能な組み合わせについて説明していないが、これらの技術的特徴の組み合わせに矛盾が生じない限り、本明細書に記載される範囲と見なされるべきである。
【0042】
上記の実施例は、単に本発明のいくつかの実施形態を示しており、その説明が具体的で詳細であるが、本発明の保護範囲を限定するものと理解されるべきではない。なお、当業者であれば、本発明の趣旨から逸脱することなく、様々な変形及び改良を行うことができ、それらも全て本発明の保護範囲に含まれる。従って、本発明の保護範囲は添付された特許請求の範囲に準じるべきである。
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【国際調査報告】