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特表2022-503621TIM-3系キメラタンパク質を含む併用療法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-12
(54)【発明の名称】TIM-3系キメラタンパク質を含む併用療法
(51)【国際特許分類】
   A61K 39/395 20060101AFI20220104BHJP
   C12N 15/12 20060101ALI20220104BHJP
   C12N 15/13 20060101ALI20220104BHJP
   C12N 15/62 20060101ALI20220104BHJP
   C12N 15/63 20060101ALI20220104BHJP
   C07K 19/00 20060101ALI20220104BHJP
   C07K 14/705 20060101ALI20220104BHJP
   C12N 1/15 20060101ALI20220104BHJP
   C12N 1/19 20060101ALI20220104BHJP
   C12N 1/21 20060101ALI20220104BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20220104BHJP
   A61K 38/21 20060101ALI20220104BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20220104BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20220104BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20220104BHJP
   A61K 38/16 20060101ALI20220104BHJP
【FI】
A61K39/395 N
C12N15/12 ZNA
C12N15/13
C12N15/62 Z
C12N15/63 Z
C07K19/00
C07K14/705
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
A61K39/395 U
A61K39/395 T
A61K38/21
A61P35/00
A61P35/02
A61P43/00 121
A61K38/16
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021511584
(86)(22)【出願日】2019-08-29
(85)【翻訳文提出日】2021-04-26
(86)【国際出願番号】 US2019048916
(87)【国際公開番号】W WO2020047322
(87)【国際公開日】2020-03-05
(31)【優先権主張番号】62/734,951
(32)【優先日】2018-09-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/890,217
(32)【優先日】2019-08-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/832,830
(32)【優先日】2019-04-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/724,597
(32)【優先日】2018-08-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/734,950
(32)【優先日】2018-09-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/793,235
(32)【優先日】2019-01-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/724,600
(32)【優先日】2018-08-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519302132
【氏名又は名称】シャタック ラボ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】特許業務法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シュライバー、テイラー
(72)【発明者】
【氏名】フロム、ジョージ
(72)【発明者】
【氏名】デ シルバ、スレシュ
【テーマコード(参考)】
4B065
4C084
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4B065AA01X
4B065AA57X
4B065AA72X
4B065AA90X
4B065AB01
4B065BA02
4B065CA24
4B065CA25
4B065CA44
4C084AA01
4C084AA02
4C084BA01
4C084BA08
4C084BA22
4C084BA23
4C084BA41
4C084CA26
4C084DA21
4C084MA02
4C084NA05
4C084ZB26
4C084ZB27
4C084ZC75
4C085AA14
4C085AA16
4C085BB01
4C085BB11
4C085BB36
4C085BB42
4C085CC23
4H045AA10
4H045AA11
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045BA41
4H045CA40
4H045DA50
4H045DA75
4H045EA20
4H045FA72
4H045FA74
4H045GA26
(57)【要約】
本発明は、特に、がんなどの疾患の治療において使用が見出される、T細胞免疫グロブリンムチン受容体3(TIM-3)の細胞外ドメイン、及びCD40リガンド(CD40L)の細胞外ドメインまたはOX40リガンド(OX40L)の細胞外ドメインを含む、キメラタンパク質を含む、組成物及び方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
治療を必要とする対象においてがんを治療するための方法であって、
(a)一部が、TIM-3リガンドと結合することが可能である、TIM-3の細胞外ドメインの前記一部を含む、第1のドメインと、
(b)一部が、CD40L受容体と結合することが可能である、CD40Lの細胞外ドメインの前記一部を含む、第2のドメイン、または一部が、OX40L受容体と結合することが可能である、OX40Lの細胞外ドメインの前記一部を含む、第2のドメインと、
(c)前記第1のドメイン及び前記第2のドメインを連結するリンカーと、を含む異種キメラタンパク質を含む、第1の薬学的組成物を前記対象に提供することと、
CTLA-4と結合することが可能である抗体、あるいはPD-1と結合するか、もしくはPD-1リガンドと結合することが可能である、及び/またはPD-1とそのリガンドの1つ以上との相互作用を阻害することが可能である抗体を含む、第2の薬学的組成物を前記対象に提供することと、を含む、前記方法。
【請求項2】
前記第1の薬学的組成物及び前記第2の薬学的組成物が、同時に提供される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の薬学的組成物が、前記第2の薬学的組成物が提供された後に提供される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の薬学的組成物が、前記第2の薬学的組成物が提供される前に提供される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の薬学的組成物の用量が、前記第2の薬学的組成物による治療を受けたことがないか、または受けていない対象に提供される前記第1の薬学的組成物の用量よりも少ない、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
提供される前記第2の薬学的組成物の用量が、前記第1の薬学的組成物による治療を受けたことがないか、または受けていない対象に提供される前記第2の薬学的組成物の用量よりも少ない、請求項1、2、または4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記対象が、前記第1の薬学的組成物による治療のみを受けたことがあるか、またはそれのみを受けている対象と比較した場合、胃腸の炎症及び体重低下を伴わない増加した生存の見込み、及び/または減少した腫瘍サイズもしくはがん有病率を有する、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記対象が、前記第2の薬学的組成物による治療のみを受けたことがあるか、またはそれのみを受けている対象と比較した場合、胃腸の炎症及び体重低下を伴わない増加した生存の見込み、及び/または減少した腫瘍サイズもしくはがん有病率を有する、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
対象においてがんを治療するための方法であって、
(a)一部が、TIM-3リガンドと結合することが可能である、TIM-3の細胞外ドメインの前記一部を含む、第1のドメインと、
(b)一部が、CD40L受容体と結合することが可能である、CD40Lの細胞外ドメインの前記一部を含む、第2のドメイン、または一部が、OX40L受容体と結合することが可能である、OX40Lの細胞外ドメインの前記一部を含む、第2のドメインと、
(c)前記第1のドメイン及び前記第2のドメインを連結するリンカーと、を含む異種キメラタンパク質を含む、薬学的組成物を前記対象に提供することを含み、
前記対象が、CTLA-4と結合することが可能である抗体、あるいはPD-1もしくはPD-1リガンドと結合することが可能である、及び/またはPD-1とそのリガンドの1つ以上との相互作用を阻害することが可能である抗体による治療を受けたことがあるか、または受けている、前記方法。
【請求項10】
前記対象に提供される前記薬学的組成物の用量が、PD-1と結合するか、もしくはPD-1リガンドと結合することが可能である抗体による治療を受けたことがないか、または受けていない、あるいはCTLA-4と結合することが可能である抗体による治療を受けたことがないか、または受けていない対象に提供される前記薬学的組成物の用量よりも少ない、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記対象が、PD-1と結合するか、もしくはPD-1リガンドと結合することが可能である抗体による治療を受けたことがないか、または受けていない、あるいはCTLA-4と結合することが可能である抗体による治療を受けたことがないか、または受けていない前記対象と比較した場合、増加した生存の見込み、体重の増加、及び/または減少した腫瘍サイズもしくはがん有病率を有する、請求項9または請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記対象が、PD-1と結合するか、またはPD-1リガンドと結合することが可能である前記抗体を含む治療に対して、不十分な応答性、または抵抗性であるか、あるいはCTLA-4と結合することが可能である抗体による治療を受けたことがないか、または受けていないがんを有する、請求項1~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
対象においてがんを治療するための方法であって、
CTLA-4と結合することが可能である抗体、あるいはPD-1もしくはPD-1リガンドと結合することが可能である、及び/またはPD-1とそのリガンドの1つ以上との相互作用を阻害することが可能である抗体を含む、薬学的組成物を前記対象に提供することを含み、
前記対象が、
(a)一部が、TIM-3リガンドと結合することが可能である、TIM-3の細胞外ドメインの前記一部を含む、第1のドメインと、
(b)一部が、CD40L受容体と結合することが可能である、CD40Lの細胞外ドメインの前記一部を含む、第2のドメイン、または一部が、OX40L受容体と結合することが可能である、OX40Lの細胞外ドメインの前記一部を含む、第2のドメインと、
(c)前記第1のドメイン及び前記第2のドメインを連結するリンカーと、を含む異種キメラタンパク質による治療を受けたことがあるか、または受けている、前記方法。
【請求項14】
前記リンカーが、柔軟なアミノ酸配列、IgGヒンジ領域、及び抗体配列から選択されるポリペプチドである、請求項1~13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記リンカーが、ジスルフィド結合を形成することが可能である少なくとも1つのシステイン残基を含み、及び/またはヒンジ-CH2-CH3 Fcドメインを含む、請求項1~14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記リンカーが、IgG1またはIgG4、例えば、ヒトIgG1またはヒトIgG4に由来するヒンジ-CH2-CH3 Fcドメインを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記リンカーが、配列番号1、配列番号2、または配列番号3のアミノ酸配列と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項15または請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記第2のドメインが、CD40Lの細胞外ドメインの一部を含む、請求項1~17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記異種キメラタンパク質が、実質的にTIM-3の細胞外ドメイン全体を含む第1のドメイン、及び/または実質的にCD40Lの細胞外ドメイン全体を含む第2のドメインを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記異種キメラタンパク質が、
(a)TIM-3の一部を含む、第1のドメインと、
(b)CD40Lの一部を含む、第2のドメインと、
(c)ヒンジ-CH2-CH3 Fcドメインを含む、リンカーと、を含む、請求項18または19に記載の方法。
【請求項21】
前記第2のドメインが、OX40Lの細胞外ドメインの一部を含む、請求項1~17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
前記異種キメラタンパク質が、実質的にTIM-3の細胞外ドメイン全体を含む第1のドメイン、及び/または実質的にOX40Lの細胞外ドメイン全体を含む第2のドメインを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記異種キメラタンパク質が、
(a)TIM-3の一部を含む、第1のドメインと、
(b)OX40Lの一部を含む、第2のドメインと、
(c)ヒンジ-CH2-CH3 Fcドメインを含む、リンカーと、を含む、請求項21または請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記がんが、基底細胞癌、胆道癌、膀胱癌、骨癌、脳及び中枢神経系癌、乳癌、腹膜の癌、子宮頸癌、絨毛癌、大腸癌、結合組織癌、消化器系の癌、子宮内膜癌、食道癌、眼癌、頭頸部癌、胃癌(gastric cancer)(胃腸癌を含む)、神経膠芽腫、肝癌、肝細胞腫、上皮内腫瘍、腎臓もしくは腎癌、喉頭癌、白血病、肝臓癌、肺癌(例えば、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、肺腺癌、及び肺扁平上皮癌)、黒色腫、骨髄腫、神経芽細胞腫、口腔癌(唇、舌、口、及び咽頭)、卵巣癌、膵癌、前立腺癌、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫、直腸癌、呼吸器系の癌、唾液腺癌、肉腫、皮膚癌、扁平上皮癌、胃癌(stomach cancer)、精巣癌、甲状腺癌、子宮もしくは子宮内膜癌、泌尿器系の癌、外陰癌、ホジキン及び非ホジキンリンパ腫、ならびにB細胞リンパ腫を含むリンパ腫(低悪性度/濾胞性非ホジキンリンパ腫(NHL)、小リンパ球性(SL)NHL、中悪性度/濾胞性NHL、中悪性度びまん性NHL、高悪性度免疫芽球性NHL、高悪性度リンパ芽球性NHL、高悪性度小型非分割細胞NHL、巨大腫瘤病変性NHL、マントル細胞リンパ腫、エイズ関連リンパ腫、及びワルデンストレーム高ガンマグロブリン血症、慢性リンパ性白血病(CLL)、急性リンパ性白血病(ALL)、ヘアリーセル白血病、慢性骨髄芽球性白血病を含む)、ならびに他の癌腫及び肉腫、及び移植後リンパ増殖性障害(PTLD)、ならびに母斑症、浮腫に関連する異常な血管増殖(脳腫瘍に関連するものなど)、及びメグズ症候群であるか、またはそれと関連する、請求項1~23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
前記対象が、PD-1と結合するか、もしくはPD-1リガンドと結合することが可能である抗体を含むか、またはCTLA-4と結合することが可能である抗体を含む、治療に対して、不十分な応答性であるか、または抵抗性であるがんを有する、請求項1~24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
前記がんが、PD-1と結合するか、またはPD-1リガンドと結合することが可能である抗体による治療に対して、前記治療の約12週間後に不十分な応答性または非応答性であるか、あるいはCTLA-4と結合することが可能である抗体による治療に対して、前記治療の約12週間後に非応答性である、請求項1~25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
PD-1またはPD-1リガンドと結合することが可能である前記抗体が、ニボルマブ(ONO 4538、BMS 936558、MDX1106、OPDIVO(Bristol Myers Squibb))、ペンブロリズマブ(KEYTRUDA/MK 3475、Merck)、及びセミプリマブ((REGN-2810)からなる群から選択される、請求項1~26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
CTLA-4と結合することが可能である前記抗体が、YERVOY(イピリムマブ)、9D9、トレメリムマブ(旧チシリムマブ、CP-675,206、MedImmune)、AGEN1884、及びRG2077からなる群から選択される、請求項1~27のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
治療を必要とする対象においてがんを治療するための方法であって、
(a)一部が、TIM-3リガンドと結合することが可能である、TIM-3の細胞外ドメインの前記一部を含む、第1のドメインと、
(b)一部が、CD40L受容体と結合することが可能である、CD40Lの細胞外ドメインの前記一部を含む、第2のドメイン、または一部が、OX40L受容体と結合することが可能である、OX40Lの細胞外ドメインの前記一部を含む、第2のドメインと、
(c)前記第1のドメイン及び前記第2のドメインを連結するリンカーと、を含む異種キメラタンパク質を含む、第1の薬学的組成物を前記対象に提供することと、
インターフェロン遺伝子の刺激因子(STING)アゴニストを含む、第2の薬学的組成物を前記対象に提供することと、を含む、前記方法。
【請求項30】
前記第1の薬学的組成物及び前記第2の薬学的組成物が、同時に提供される、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記第1の薬学的組成物が、前記第2の薬学的組成物が提供された後に提供される、請求項29に記載の方法。
【請求項32】
前記第1の薬学的組成物が、前記第2の薬学的組成物が提供される前に提供される、請求項29に記載の方法。
【請求項33】
前記第1の薬学的組成物の用量が、前記第2の薬学的組成物による治療を受けたことがないか、または受けていない対象に提供される前記第1の薬学的組成物の用量よりも少ない、請求項29~32のいずれか1項に記載の方法。
【請求項34】
提供される前記第2の薬学的組成物の用量が、前記第1の薬学的組成物による治療を受けたことがないか、または受けていない対象に提供される前記第2の薬学的組成物の用量よりも少ない、請求項29、30、または32のいずれか1項に記載の方法。
【請求項35】
前記対象が、前記第1の薬学的組成物による治療のみを受けたことがあるか、またはそれのみを受けている対象と比較した場合、胃腸の炎症及び体重低下を伴わない増加した生存の見込み、及び/または減少した腫瘍サイズもしくはがん有病率を有する、請求項29~34のいずれか1項に記載の方法。
【請求項36】
前記対象が、前記第2の薬学的組成物による治療のみを受けたことがあるか、またはそれのみを受けている対象と比較した場合、胃腸の炎症及び体重低下を伴わない増加した生存の見込み、及び/または減少した腫瘍サイズもしくはがん有病率を有する、請求項29~35のいずれか1項に記載の方法。
【請求項37】
対象においてがんを治療するための方法であって、
(a)一部が、TIM-3リガンドと結合することが可能である、TIM-3の細胞外ドメインの前記一部を含む、第1のドメインと、
(b)一部が、CD40L受容体と結合することが可能である、CD40Lの細胞外ドメインの前記一部を含む、第2のドメイン、または一部が、OX40L受容体と結合することが可能である、OX40Lの細胞外ドメインの前記一部を含む、第2のドメインと、
(c)前記第1のドメイン及び前記第2のドメインを連結するリンカーと、を含む異種キメラタンパク質を含む、薬学的組成物を前記対象に提供することを含み、
前記対象が、インターフェロン遺伝子の刺激因子(STING)アゴニストによる治療を受けたことがあるか、または受けている、前記方法。
【請求項38】
前記対象に提供される前記薬学的組成物の用量が、前記STINGアゴニスト、PD-1と結合するか、もしくはPD-1リガンドと結合することが可能である抗体、またはCTLA-4と結合することが可能である抗体による治療を受けたことがないか、または受けていない対象に提供される前記薬学的組成物の用量よりも少ない、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記対象が、前記STINGアゴニスト、PD-1と結合するか、もしくはPD-1リガンドと結合することが可能である抗体、またはCTLA-4と結合することが可能である抗体による治療を受けたことがないか、または受けていない前記対象と比較した場合、増加した生存の見込み、体重の増加、及び/または減少した腫瘍サイズもしくはがん有病率を有する、請求項37または請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記対象が、前記STINGアゴニスト、PD-1と結合するか、もしくはPD-1リガンドと結合することが可能である抗体、またはCTLA-4と結合することが可能である抗体を含む治療に対して、不十分な応答性であるか、または抵抗性であるがんを有する、請求項29~39のいずれか1項に記載の方法。
【請求項41】
対象においてがんを治療するための方法であって、
インターフェロン遺伝子の刺激因子(STING)アゴニストを含む、薬学的組成物を前記対象に提供することを含み、
前記対象が、
(a)一部が、TIM-3リガンドと結合することが可能である、TIM-3の細胞外ドメインの前記一部を含む、第1のドメインと、
(b)一部が、CD40L受容体と結合することが可能である、CD40Lの細胞外ドメインの前記一部を含む、第2のドメイン、または一部が、OX40L受容体と結合することが可能である、OX40Lの細胞外ドメインの前記一部を含む、第2のドメインと、
(c)前記第1のドメイン及び前記第2のドメインを連結するリンカーと、を含む異種キメラタンパク質による治療を受けたことがあるか、または受けている、前記方法。
【請求項42】
前記リンカーが、柔軟なアミノ酸配列、IgGヒンジ領域、及び抗体配列から選択されるポリペプチドである、請求項29~41のいずれか1項に記載の方法。
【請求項43】
前記リンカーが、ジスルフィド結合を形成することが可能である少なくとも1つのシステイン残基を含み、及び/またはヒンジ-CH2-CH3 Fcドメインを含む、請求項29~42のいずれか1項に記載の方法。
【請求項44】
前記リンカーが、IgG1またはIgG4、例えば、ヒトIgG1またはヒトIgG4に由来するヒンジ-CH2-CH3 Fcドメインを含む、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記リンカーが、配列番号1、配列番号2、または配列番号3のアミノ酸配列と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項43または請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記第2のドメインが、CD40Lの細胞外ドメインの一部を含む、請求項29~45のいずれか1項に記載の方法。
【請求項47】
前記異種キメラタンパク質が、実質的にTIM-3の細胞外ドメイン全体を含む第1のドメイン、及び/または実質的にCD40Lの細胞外ドメイン全体を含む第2のドメインを含む、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記異種キメラタンパク質が、
(a)TIM-3の一部を含む、第1のドメインと、
(b)CD40Lの一部を含む、第2のドメインと、
(c)ヒンジ-CH2-CH3 Fcドメインを含む、リンカーと、を含む、請求項46または47に記載の方法。
【請求項49】
前記第2のドメインが、OX40Lの細胞外ドメインの一部を含む、請求項29~45のいずれか1項に記載の方法。
【請求項50】
前記異種キメラタンパク質が、実質的にTIM-3の細胞外ドメイン全体を含む第1のドメイン、及び/または実質的にOX40Lの細胞外ドメイン全体を含む第2のドメインを含む、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記異種キメラタンパク質が、
(a)TIM-3の一部を含む、第1のドメインと、
(b)OX40Lの一部を含む、第2のドメインと、
(c)ヒンジ-CH2-CH3 Fcドメインを含む、リンカーと、を含む、請求項49または請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記がんが、基底細胞癌、胆道癌、膀胱癌、骨癌、脳及び中枢神経系癌、乳癌、腹膜の癌、子宮頸癌、絨毛癌、大腸癌、結合組織癌、消化器系の癌、子宮内膜癌、食道癌、眼癌、頭頸部癌、胃癌(gastric cancer)(胃腸癌を含む)、神経膠芽腫、肝癌、肝細胞腫、上皮内腫瘍、腎臓もしくは腎癌、喉頭癌、白血病、肝臓癌、肺癌(例えば、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、肺腺癌、及び肺扁平上皮癌)、黒色腫、骨髄腫、神経芽細胞腫、口腔癌(唇、舌、口、及び咽頭)、卵巣癌、膵癌、前立腺癌、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫、直腸癌、呼吸器系の癌、唾液腺癌、肉腫、皮膚癌、扁平上皮癌、胃癌(stomach cancer)、精巣癌、甲状腺癌、子宮もしくは子宮内膜癌、泌尿器系の癌、外陰癌、ホジキン及び非ホジキンリンパ腫、ならびにB細胞リンパ腫を含むリンパ腫(低悪性度/濾胞性非ホジキンリンパ腫(NHL)、小リンパ球性(SL)NHL、中悪性度/濾胞性NHL、中悪性度びまん性NHL、高悪性度免疫芽球性NHL、高悪性度リンパ芽球性NHL、高悪性度小型非分割細胞NHL、巨大腫瘤病変性NHL、マントル細胞リンパ腫、エイズ関連リンパ腫、及びワルデンストレーム高ガンマグロブリン血症、慢性リンパ性白血病(CLL)、急性リンパ性白血病(ALL)、ヘアリーセル白血病、慢性骨髄芽球性白血病を含む)、ならびに他の癌腫及び肉腫、及び移植後リンパ増殖性障害(PTLD)、ならびに母斑症、浮腫に関連する異常な血管増殖(脳腫瘍に関連するものなど)、及びメグズ症候群であるか、またはそれと関連する、請求項29~51のいずれか1項に記載の方法。
【請求項53】
前記STINGアゴニストが、5,6-ジメチルキサンテノン-4-酢酸(DMXAA)、MIW815(ADU-S100)、CRD5500、MK-1454、SB11285、またはIMSA101からなる群から選択される、請求項29~52のいずれか1項に記載の方法。
【請求項54】
以下の一般的な構造のキメラタンパク質であって、
N末端-(a)-(b)-(c)-C末端
式中、
(a)が、T細胞免疫グロブリンムチン受容体3(TIM-3)の細胞外ドメインを含む、第1のドメインであり、
(b)が、前記第1及び第2のドメインに隣接するリンカーであり、
(c)が、CD40リガンド(CD40L)の細胞外ドメインを含む、第2のドメインである、前記キメラタンパク質。
【請求項55】
前記第1のドメインが、TIM-3リガンドと結合することが可能である、請求項54に記載のキメラタンパク質。
【請求項56】
前記第1のドメインが、実質的にTIM-3の細胞外ドメイン全体を含む、請求項54または請求項55に記載のキメラタンパク質。
【請求項57】
前記第1のドメインが、免疫抑制シグナルを阻害することが可能である、請求項54~56のいずれか1項に記載のキメラタンパク質。
【請求項58】
前記第2のドメインが、CD40L受容体と結合することが可能である、請求項54~57のいずれか1項に記載のキメラタンパク質。
【請求項59】
前記第2のドメインが、実質的にCD40Lの細胞外ドメイン全体を含む、請求項54~58のいずれか1項に記載のキメラタンパク質。
【請求項60】
前記第2のドメインが、免疫刺激シグナルを活性化することが可能である、請求項54~59のいずれか1項に記載のキメラタンパク質。
【請求項61】
前記キメラタンパク質が、細胞間の安定性シナプスを形成することが可能である、請求項54~60のいずれか1項に記載のキメラタンパク質。
【請求項62】
前記細胞間の前記安定性シナプスが、腫瘍の縮小に有利な空間的配向を提供する、請求項61に記載のキメラタンパク質。
【請求項63】
前記空間的配向が、腫瘍細胞を攻撃するようにT細胞を配置する、請求項61または請求項62に記載のキメラタンパク質。
【請求項64】
前記細胞外ドメインのいずれかまたは両方のそのそれぞれの結合パートナーとの結合が、受容体とそのリガンドとの長い相互作用を提供する、遅いオフ速度(Kオフ)で生じる、請求項54~63のいずれか1項に記載のキメラタンパク質。
【請求項65】
前記長い相互作用が、より長い正のシグナル効果を送達する、請求項64に記載のキメラタンパク質。
【請求項66】
前記長い相互作用が、免疫細胞増殖を提供し、抗腫瘍攻撃を可能にする、請求項64または請求項65に記載のキメラタンパク質。
【請求項67】
前記長い相互作用が、刺激シグナルの放出を提供するのに十分なシグナル伝達を可能とする、請求項64~66のいずれか1項に記載のキメラタンパク質。
【請求項68】
前記刺激シグナルが、サイトカインである、請求項67に記載のキメラタンパク質。
【請求項69】
前記キメラタンパク質が、CD4+及び/またはCD8+T細胞の亜集団の低減を増加または防止することが可能である、請求項54~68のいずれか1項に記載のキメラタンパク質。
【請求項70】
前記キメラタンパク質が、T細胞による腫瘍殺傷活性を増強することが可能である、請求項54~69のいずれか1項に記載のキメラタンパク質。
【請求項71】
前記キメラタンパク質が、抗原提示細胞の活性化を引き起こすことが可能である、請求項54~70のいずれか1項に記載のキメラタンパク質。
【請求項72】
前記キメラタンパク質が、抗原提示細胞が抗原を提示する能力を増強することが可能である、請求項54~71のいずれか1項に記載のキメラタンパク質。
【請求項73】
前記キメラタンパク質が、持続的な免疫調節効果を提供することが可能である、請求項54~72のいずれか1項に記載のキメラタンパク質。
【請求項74】
前記リンカーが、ジスルフィド結合を形成することが可能である少なくとも1つのシステイン残基を含み、及び/またはヒンジ-CH2-CH3 Fcドメインを含む、請求項54~73のいずれか1項に記載のキメラタンパク質。
【請求項75】
前記リンカーが、IgG1またはIgG4、例えば、ヒトIgG1またはヒトIgG4に由来するヒンジ-CH2-CH3 Fcドメインを含む、請求項74に記載のキメラタンパク質。
【請求項76】
前記リンカーが、配列番号1、配列番号2、または配列番号3のアミノ酸配列と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項74または請求項75に記載のキメラタンパク質。
【請求項77】
前記キメラタンパク質が、前記TIM-3リガンド及び前記CD40L受容体と同時に結合することが可能であり、前記TIM-3リガンドが、ガレクチン-9またはホスファチジルセリンであり、前記CD40L受容体が、CD40である、請求項54~76のいずれか1項に記載のキメラタンパク質。
【請求項78】
前記第1のドメインが、配列番号57のアミノ酸配列と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含み、及び/または前記第2のドメインが、配列番号58のアミノ酸配列と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項54~77のいずれか1項に記載のキメラタンパク質。
【請求項79】
(a)前記第1のドメインが、配列番号57のアミノ酸配列を含み、
(b)前記第2のドメインが、配列番号58のアミノ酸配列を含み、
(c)前記リンカーが、配列番号1、配列番号2、または配列番号3と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項54~78のいずれか1項に記載のキメラタンパク質。
【請求項80】
前記キメラタンパク質が、組換え融合タンパク質である、請求項54~79のいずれか1項に記載のキメラタンパク質。
【請求項81】
例えば、がんの治療における薬剤として使用するための、請求項54~80のいずれか1項に記載のキメラタンパク質。
【請求項82】
請求項54~80のいずれか1項に記載のキメラタンパク質をコードする核酸を含む、発現ベクター。
【請求項83】
請求項82に記載の発現ベクターを含む、宿主細胞。
【請求項84】
治療有効量の請求項54~81のいずれか1項に記載のキメラタンパク質を含む、薬学的組成物。
【請求項85】
がんを治療する方法であって、有効量の請求項84に記載の薬学的組成物を、それを必要とする対象に投与することを含む、前記方法。
【請求項86】
患者の免疫応答を調節する方法であって、有効量の請求項84に記載の薬学的組成物を、それを必要とする対象に投与することを含む、前記方法。
【請求項87】
前記患者のT細胞が、活性化される、請求項85または請求項86に記載の方法。
【請求項88】
前記活性化T細胞が、サイトカイン産生、増殖、及び/または標的を殺傷する潜在性のレベルを増加させる、請求項87に記載の方法。
【請求項89】
前記方法が、未治療の対象、またはTIM-3、CD40L、及び/またはそれらのそれぞれのリガンドもしくは受容体に指向する抗体により治療された対象と比較して、制御性T細胞(Treg)の量または活性を減少させる、請求項85~88のいずれかに記載の方法。
【請求項90】
前記方法が、未治療の対象、またはTIM-3、CD40L、及び/またはそれらのそれぞれのリガンドもしくは受容体に指向する抗体により治療された対象と比較して、前記対象の流入領域リンパ節におけるエフェクターT細胞のプライミングを増加させる、請求項85~89のいずれかに記載の方法。
【請求項91】
前記方法が、未治療の対象、またはTIM-3、CD40L、及び/またはそれらのそれぞれのリガンドもしくは受容体に指向する抗体により治療された対象と比較して、免疫抑制細胞の全体的な低減、及びより炎症性の腫瘍環境への移行をもたらす、請求項85~90のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権
本出願は、2018年8月29日に出願された米国仮出願第62/724,597号、2018年9月21日に出願された米国仮出願第62/734,950号、2018年8月29日に出願された米国仮出願第62/724,600号、2018年9月21日に出願された米国仮出願第62/734,951号、2019年1月16日に出願された米国仮出願第62/793,235号、2019年4月11日に出願された米国仮出願第62/832,830号、2019年8月22日に出願された米国仮出願第62/890,217号の利益及び優先権を主張し、その各々の内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、特に、がん及び自己免疫のための免疫療法など、疾患の治療において使用が見出されるキメラタンパク質を含む組成物及び方法に関する。
【0003】
電子的に提出されたテキストファイルの記載
本出願は、配列表を含む。それは、「SHK-011PC_SequenceListing_ST25」と題されたASCIIテキストファイルとしてEFS-Webを経由して電子的に送信されている。配列表は、サイズが45,352バイトであり、2019年8月28日に作製された。配列表は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0004】
免疫系は、疾患の原因となり得る異物に対する体の応答及びがん細胞に対する体の応答の中核である。しかしながら、多くのがんは、例えば、免疫抑制性シグナルを伝達または伝播することにより、免疫系を回避するメカニズムを発展させてきた。さらに、多くの抗がん療法は、免疫応答を直接的に刺激及び/または活性化しない。二重特異性抗体、連結されたscFv、またはT細胞誘導体との現在の併用免疫療法は、チェックポイント(免疫抑制シグナル)を遮断し、TNF受容体をアゴナイズ(刺激する)ことができていない。これは、複数の標的を一価の抗原結合アームで結合するように操作すると、これらの分子が標的結合活性を失うためと考えられる。したがって、少なくとも複数の機能を備えているが、それでも依然として標的結合活性を保持する、例えば、免疫抑制シグナルを逆転させ、抗がん免疫応答を刺激するような療法を開発する必要性が残っている。
【発明の概要】
【0005】
したがって、様々な態様では、本発明は、がん免疫療法に有用な組成物及び方法を提供する。例えば、本発明は、部分的に、同時に免疫阻害シグナルを遮断し、免疫活性化シグナルを刺激する特異的キメラタンパク質に関する。重要なのは、特に、本発明が、安定的に再現可能な多量体状態を維持することができる改善されたキメラタンパク質を提供することである。したがって、本組成物及び方法は、二重特異性剤の製造における様々な欠陥を克服する。
【0006】
本発明は、部分的に、T細胞免疫グロブリンムチン受容体3(TIM-3)の細胞外ドメイン、及びCD40リガンド(CD40L)の細胞外ドメインを含む、キメラタンパク質に関する。TIM-3は、少なくともヒト腫瘍細胞の表面上のガレクチン-9(GAL9)及びホスファチジルセリン(PS)と結合するI型膜貫通タンパク質であり、この結合は、腫瘍細胞、または腫瘍微小環境内の他の細胞によって産生される阻害性シグナルを遮断する。したがって、キメラタンパク質のTIM-3末端は、例えば、検出及び/または破壊を回避しようと試みるがん細胞に由来する免疫阻害シグナルの伝達を妨害、遮断、減少、阻害、及び/または隔離する。CD40Lは、一次末梢血単核細胞(PBMC)及び組織に常在する抗原提示細胞の表面上のCD40L受容体(例えば、CD40)と結合するII型膜貫通型タンパク質であり、この結合は、抗がん免疫細胞に免疫刺激特性を提供する。したがって、キメラタンパク質のCD40L末端は、CD40発現免疫細胞への免疫刺激シグナルの伝達を増強、増加、及び/または刺激する。ともに、本発明のTIM-3及びCD40L含有キメラタンパク質、及び/または本発明の方法で使用されるTIM-3及びCD40L含有キメラタンパク質は、2つの異なるメカニズムを介してがんを治療することが可能である。
【0007】
本発明はさらに、T細胞免疫グロブリンムチン受容体3(TIM-3)の細胞外ドメイン、及びOX40リガンド(OX40L)の細胞外ドメインを含む、キメラタンパク質に関する。OX40Lは、腫瘍壊死因子(TNF)スーパーファミリーに属するII型膜貫通型糖タンパク質である。詳細には、ヒトOX40Lタンパク質は、アミノ末端細胞質ドメイン(アミノ酸1~23)、及びカルボキシ末端細胞外ドメイン(アミノ酸51~183)を含む183アミノ酸を含む。他のTNFスーパーファミリーメンバーと同様に、膜結合型OX40Lは、ホモ三量体として存在する。OX40Lは、主にCD4+及び/またはCD8+T細胞、ならびに多くのリンパ球及び非リンパ球細胞上で発現するTNF受容体スーパーファミリーのメンバーであるOX40と結合する。証拠によって、OX40-OX40L相互作用の主な機能が、後期共刺激シグナルを伝達して、活性化T細胞の生存及び増殖を促進し、免疫応答を延長することが示唆されている。ともに、本発明のTIM-3及びOX40L含有キメラタンパク質、及び/または本発明の方法で使用されるTIM-3及びOX40L含有キメラタンパク質は、2つの異なるメカニズムを介してがんを治療することが可能である。
【0008】
TIM-3を含む、I型膜貫通タンパク質の細胞外ドメインは、キメラタンパク質のアミノ末端に位置し(非限定的な例として、図1Aの左のタンパク質を参照されたい)、一方でII型膜貫通タンパク質、例えば、CD40L及びOX40Lの細胞外ドメインは、キメラタンパク質のカルボキシ末端に位置する(非限定的な例として、図1Aの右のタンパク質を参照されたい)。TIM-3を含む、I型膜貫通タンパク質の細胞外ドメインは、細胞外環境で他の結合パートナー(リガンドまたは受容体のいずれか)との相互作用に関与する機能ドメインを含み(図1B、左のタンパク質を参照されたい)、II型膜貫通タンパク質、例えば、CD40L及びOX40Lの細胞外ドメインには、細胞外環境で他の結合パートナー(リガンドまたは受容体のいずれか)との相互作用に関与する機能ドメインを含む(図1B、右のタンパク質を参照されたい)。
【0009】
本発明の態様は、N末端-(a)-(b)-(c)-C末端の一般的な構造を含むキメラタンパク質を提供し、式中、(a)は、TIM-3の細胞外ドメインを含む第1のドメインであり、(b)は、第1のドメイン及び第2のドメインに隣接するリンカー、例えば、ジスルフィド結合を形成することが可能である少なくとも1つのシステイン残基を含む、及び/またはヒンジ-CH2-CH3 Fcドメインを含むリンカーであり、(c)は、CD40Lの細胞外ドメインを含む第2のドメインであり、リンカーは、第1のドメイン及び第2のドメインを接続する。非限定的な例として、図1C及び図1Dを参照されたい。図3Aも参照されたい。
【0010】
態様では、本発明は、治療有効量の本明細書に開示されるキメラタンパク質を含む薬学的組成物を提供する。
【0011】
他の態様では、本発明は、がんを治療するための方法を提供する。本方法は、有効量の本明細書に開示されるような薬学的組成物を、それを必要とする対象に投与するステップを含む。
【0012】
さらに他の態様では、本発明は、患者の免疫応答を調節するための方法を提供する。本方法は、有効量の本明細書に開示されるような薬学的組成物を、それを必要とする対象に投与するステップを含む。
【0013】
本発明の態様は、治療を必要とする対象においてがんを治療するための方法であって、(a)一部が、TIM-3リガンドと結合することが可能である、TIM-3の細胞外ドメインの一部を含む、第1のドメインと、(b)一部が、CD40L受容体と結合することが可能である、CD40Lの細胞外ドメインの一部を含む、第2のドメインと、(c)第1のドメイン及び第2のドメインを連結するリンカーと、を含む異種キメラタンパク質を含む、第1の薬学的組成物を対象に提供することと、CTLA-4と結合することが可能である抗体、あるいはPD-1もしくはPD-1リガンドと結合することが可能である、及び/またはPD-1とそのリガンドの1つ以上との相互作用を阻害することが可能である抗体を含む、第2の薬学的組成物を対象に提供することと、を含む、方法を提供する。
【0014】
本発明の別の態様は、対象においてがんを治療するための方法であって、(a)一部が、TIM-3リガンドと結合することが可能である、TIM-3の細胞外ドメインの一部を含む、第1のドメインと、(b)一部が、CD40L受容体と結合することが可能である、CD40Lの細胞外ドメインの一部を含む、第2のドメインと、(c)第1のドメイン及び第2のドメインを連結するリンカーと、を含む異種キメラタンパク質を含む、薬学的組成物を対象に提供することを含む、方法を提供する。この態様では、対象は、CTLA-4と結合することが可能である抗体、あるいはPD-1もしくはPD-1リガンドと結合することが可能である、及び/またはPD-1とそのリガンドの1つ以上との相互作用を阻害することが可能である抗体による治療を受けたことがあるか、または受けている。
【0015】
本発明のさらに別の態様は、対象においてがんを治療するための方法であって、CTLA-4と結合することが可能である抗体、あるいはPD-1もしくはPD-1リガンドと結合することが可能である、及び/またはPD-1とそのリガンドの1つ以上との相互作用を阻害することが可能である抗体を含む薬学的組成物を対象に提供することを含む、方法を提供する。この態様では、対象は、(a)一部が、TIM-3リガンドと結合することが可能である、TIM-3の細胞外ドメインの一部を含む、第1のドメインと、(b)一部が、CD40L受容体と結合することが可能である、CD40Lの細胞外ドメインの一部を含む、第2のドメインと、(c)第1のドメイン及び第2のドメインを連結するリンカーと、を含む、異種キメラタンパク質による治療を受けたことがあるか、または受けている。
【0016】
本発明の態様は、治療を必要とする対象においてがんを治療するための方法であって、(a)一部が、TIM-3リガンドと結合することが可能である、TIM-3の細胞外ドメインの一部を含む、第1のドメインと、(b)一部が、CD40L受容体と結合することが可能である、CD40Lの細胞外ドメインの一部を含む、第2のドメインと、(c)第1のドメイン及び第2のドメインを連結するリンカーと、を含む異種キメラタンパク質を含む、第1の薬学的組成物を対象に提供することと、インターフェロン遺伝子の刺激因子(STING)アゴニストを含む、第2の薬学的組成物を対象に提供することと、を含む、方法を提供する。
【0017】
本発明の別の態様は、対象においてがんを治療するための方法であって、(a)一部が、TIM-3リガンドと結合することが可能である、TIM-3の細胞外ドメインの一部を含む、第1のドメインと、(b)一部が、CD40L受容体と結合することが可能である、CD40Lの細胞外ドメインの一部を含む、第2のドメインと、(c)第1のドメイン及び第2のドメインを連結するリンカーと、を含む異種キメラタンパク質を含む、薬学的組成物を対象に提供することを含む、方法を提供する。この態様では、対象は、インターフェロン遺伝子の刺激因子(STING)アゴニストによる治療を受けたことがあるか、または受けている。
【0018】
本発明のさらに別の態様は、対象においてがんを治療するための方法であって、インターフェロン遺伝子の刺激因子(STING)アゴニストを含む薬学的組成物を対象に提供することを含む、方法を提供する。この態様では、対象は、(a)一部が、TIM-3リガンドと結合することが可能である、TIM-3の細胞外ドメインの一部を含む、第1のドメインと、(b)一部が、CD40L受容体と結合することが可能である、CD40Lの細胞外ドメインの一部を含む、第2のドメインと、(c)第1のドメイン及び第2のドメインを連結するリンカーと、を含む、異種キメラタンパク質による治療を受けたことがあるか、または受けている。
【0019】
本発明の態様は、治療を必要とする対象においてがんを治療するための方法であって、(a)一部が、TIM-3リガンドと結合することが可能である、TIM-3の細胞外ドメインの一部を含む、第1のドメインと、(b)一部が、OX40L受容体と結合することが可能である、OX40Lの細胞外ドメインの一部を含む、第2のドメインと、(c)第1のドメイン及び第2のドメインを連結するリンカーと、を含む異種キメラタンパク質を含む、第1の薬学的組成物を対象に提供することと、CTLA-4と結合することが可能である抗体、あるいはPD-1もしくはPD-1リガンドと結合することが可能である、及び/またはPD-1とそのリガンドの1つ以上との相互作用を阻害することが可能である抗体を含む、第2の薬学的組成物を対象に提供することと、を含む、方法を提供する。
【0020】
本発明の別の態様は、対象においてがんを治療するための方法であって、(a)一部が、TIM-3リガンドと結合することが可能である、TIM-3の細胞外ドメインの一部を含む、第1のドメインと、(b)一部が、OX40L受容体と結合することが可能である、OX40Lの細胞外ドメインの一部を含む、第2のドメインと、(c)第1のドメイン及び第2のドメインを連結するリンカーと、を含む異種キメラタンパク質を含む、薬学的組成物を対象に提供することを含む、方法を提供する。この態様では、対象は、CTLA-4と結合することが可能である抗体、あるいはPD-1もしくはPD-1リガンドと結合することが可能である、及び/またはPD-1とそのリガンドの1つ以上との相互作用を阻害することが可能である抗体による治療を受けたことがあるか、または受けている。
【0021】
本発明のさらに別の態様は、対象においてがんを治療するための方法であって、CTLA-4と結合することが可能である抗体、あるいはPD-1もしくはPD-1リガンドと結合することが可能である、及び/またはPD-1とそのリガンドの1つ以上との相互作用を阻害することが可能である抗体を含む薬学的組成物を対象に提供することを含む、方法を提供する。この態様では、対象は、(a)一部が、TIM-3リガンドと結合することが可能である、TIM-3の細胞外ドメインの一部を含む、第1のドメインと、(b)一部が、OX40L受容体と結合することが可能である、OX40Lの細胞外ドメインの一部を含む、第2のドメインと、(c)第1のドメイン及び第2のドメインを連結するリンカーと、を含む、異種キメラタンパク質による治療を受けたことがあるか、または受けている。
【0022】
本発明の態様は、治療を必要とする対象においてがんを治療するための方法であって、(a)一部が、TIM-3リガンドと結合することが可能である、TIM-3の細胞外ドメインの一部を含む、第1のドメインと、(b)一部が、OX40L受容体と結合することが可能である、OX40Lの細胞外ドメインの一部を含む、第2のドメインと、(c)第1のドメイン及び第2のドメインを連結するリンカーと、を含む異種キメラタンパク質を含む、第1の薬学的組成物を対象に提供することと、インターフェロン遺伝子の刺激因子(STING)アゴニストを含む、第2の薬学的組成物を対象に提供することと、を含む、方法を提供する。
【0023】
本発明の別の態様は、対象においてがんを治療するための方法であって、(a)一部が、TIM-3リガンドと結合することが可能である、TIM-3の細胞外ドメインの一部を含む、第1のドメインと、(b)一部が、OX40L受容体と結合することが可能である、OX40Lの細胞外ドメインの一部を含む、第2のドメインと、(c)第1のドメイン及び第2のドメインを連結するリンカーと、を含む異種キメラタンパク質を含む、薬学的組成物を対象に提供することを含む、方法を提供する。この態様では、対象は、インターフェロン遺伝子の刺激因子(STING)アゴニストによる治療を受けたことがあるか、または受けている。
【0024】
本発明のさらに別の態様は、対象においてがんを治療するための方法であって、インターフェロン遺伝子の刺激因子(STING)アゴニストを含む薬学的組成物を対象に提供することを含む、方法を提供する。この態様では、対象は、(a)一部が、TIM-3リガンドと結合することが可能である、TIM-3の細胞外ドメインの一部を含む、第1のドメインと、(b)一部が、OX40L受容体と結合することが可能である、OX40Lの細胞外ドメインの一部を含む、第2のドメインと、(c)第1のドメイン及び第2のドメインを連結するリンカーと、を含む、異種キメラタンパク質による治療を受けたことがあるか、または受けている。
【0025】
本明細書に開示される任意の態様または実施形態は、本明細書に開示される任意の他の態様または実施形態と組み合わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】A~Dは、I型膜貫通タンパク質(A及びB、左のタンパク質)及びII型膜貫通タンパク質(A及びB、右のタンパク質)の概略図を示す。I型膜貫通タンパク質及びII型膜貫通タンパク質は、それらの膜貫通ドメイン及び細胞内ドメインが取り除かれ、膜貫通タンパク質の細胞外ドメインがリンカー配列を使用して隣接し、単一のキメラタンパク質を生成するように操作され得る。C及びDに示されるように、I型膜貫通タンパク質の細胞外ドメイン、例えば、TIM-3、ならびにII型膜貫通タンパク質の細胞外ドメイン、例えば、CD40L及びOX40Lは、単一のキメラタンパク質に組み合わせる。Cは、各タンパク質の膜貫通ドメイン及び細胞内ドメインを取り除いたI型膜貫通タンパク質及びII型膜貫通タンパク質の連結を示し、各タンパク質から遊離した細胞外ドメインがリンカー配列によって隣接されている。この描写における細胞外ドメインは、典型的には細胞膜の外側に局在するI型タンパク質(例えば、TIM-3)及び/またはII型タンパク質(例えば、CD40L及びOX40L)のアミノ酸配列全体、あるいは意図された受容体またはリガンドとの結合を保持するその任意の一部を含み得る。さらに、キメラタンパク質は、第1の細胞外ドメイン(C及びDのキメラタンパク質の左端に示される)がその受容体/リガンドと立体的に結合することができ、及び/または第2の細胞外ドメイン(C及びDのキメラタンパク質の右端に示される)がその受容体/リガンドと立体的に結合することができるように、ドメイン間の十分な全体的柔軟性及び/または物理的距離を含む。Dは、キメラタンパク質の各細胞外ドメインが「外向き」に面する、線形キメラタンパク質における隣接する細胞外ドメインを示す。
図2】本発明に関連する免疫抑制性及び免疫刺激性シグナル伝達を示し(Mahoney,Nature Reviews Drug Discovery 2015:14;561-585から)、その全内容が、参照により本明細書に組み込まれる。
図3】Aは、本発明の及び/または本発明で使用されるTIM-3及びCD40L系キメラタンパク質の概略図である。本発明の及び/または本発明で使用されるTIM-3及びOX40L系キメラタンパク質は、同様の概略構造を有する。B~Dは、クーマシーゲル(図3B)、抗IgGウエスタンブロット(図3C)、及びアフィニティクロマトグラフィからの溶出プロファイル(図3D)を含む、ネズミTIM-3-Fc-CD40Lの特徴付けを示す。
図4】ウエスタンブロットによるネズミTIM-3-Fc-CD40Lキメラタンパク質の特徴付けを示し、キメラタンパク質の天然状態及び多量体を形成する傾向を示す。TIM-3-Fc-CD40Lキメラタンパク質の未処理試料(すなわち、還元剤または脱グリコシル化剤を伴わない)、例えば、対照を、すべてのブロットのレーン2に負荷した。レーン3中の試料を、還元剤、β-メルカプトエタノールで処理した。レーン4中の試料を、脱グリコシル化剤及び還元剤で処理した。キメラタンパク質の各個々のドメインは、それぞれ抗TIM-3、抗Fc、または抗CD40L抗体を使用してプローブした。
図5A】mTIM-3-Fc-CD40LのFcドメインの結合パートナーとの結合親和性を示すELISAアッセイを示す。
図5B】mTIM-3-Fc-CD40LのCD40Lドメインの結合パートナーとの結合親和性を示すELISAアッセイを示す。
図6A】mTIM-3-Fc-CD40Lについてのバイオレイヤー干渉法(Octet)結合親和性に関するデータを含む。mTIM-3-Fc-CD40LのTIM-3の一部のヒトまたはネズミガレクチン9(Gal9)との結合親和性を示す。
図6B】mTIM-3-Fc-CD40Lについてのバイオレイヤー干渉法(Octet)結合親和性に関するデータを含む。mTIM-3-Fc-CD40LのTIM-3の一部のヒトまたはネズミガレクチン9(Gal9)との結合親和性を示す。
図6C】mTIM-3-Fc-CD40Lについてのバイオレイヤー干渉法(Octet)結合親和性に関するデータを含む。mTM-3-Fc-CD40LのCD40Lの一部のヒトまたはネズミマウスCD40との結合親和性を示す。
図6D】mTIM-3-Fc-CD40Lについてのバイオレイヤー干渉法(Octet)結合親和性に関するデータを含む。mTM-3-Fc-CD40LのCD40Lの一部のヒトまたはネズミマウスCD40との結合親和性を示す。
図7】細胞膜で発現したCD40と結合し、CD40の下流シグナル伝達を活性化する際のmTIM-3-Fc-CD40Lキメラタンパク質の機能的活性を示すグラフである。10に近いX軸値で、試料の順序は上から下へ、mTIM3-Fc-CD40L、mCD40L-Fc、mIgG、及びmTIM3-Fcである。
図8A】CT26腫瘍モデルにおけるmTIM-3-Fc-CD40Lキメラタンパク質のインビボでの抗腫瘍活性を示す。
図8B】CT26腫瘍モデルにおけるmTIM-3-Fc-CD40Lキメラタンパク質のインビボでの抗腫瘍活性を示す。Bでは、左の7つのヒストグラムがビヒクルであり、右の7つのヒストグラムがTIM3-Fc-CD40Lである。
図8C】CT26腫瘍モデルにおけるmTIM-3-Fc-CD40Lキメラタンパク質のインビボでの抗腫瘍活性を示す。
図8D】CT26腫瘍モデルにおけるmTIM-3-Fc-CD40Lキメラタンパク質のインビボでの抗腫瘍活性を示す。Dでは、X軸上の5日目の時点で、試料の順序は上から下へ、ビヒクル、TIM3-Fc、TIM3-Fc+CD40L-Fc、CD40L-Fc、及びTIM3-Fc-CD40Lである。
図8E】CT26腫瘍モデルにおけるmTIM-3-Fc-CD40Lキメラタンパク質のインビボでの抗腫瘍活性を示す。
図8F】CT26腫瘍モデルにおけるmTIM-3-Fc-CD40Lキメラタンパク質のインビボでの抗腫瘍活性を示す。
図9A】抗CTLA-4抗体と組み合わせて投与した場合のmTIM-3-Fc-CD40Lキメラタンパク質のインビボでの抗腫瘍活性を示す。Aでは、X軸上の20日目の時点で、試料の順序は上から下へ、TIM3-Fc-CD40L、抗CTLA4、及びTIM3-Fc-CD40L/抗CTLA4である。
図9B】抗CTLA-4抗体と組み合わせて投与した場合のmTIM-3-Fc-CD40Lキメラタンパク質のインビボでの抗腫瘍活性を示す。
図9C】抗CTLA-4抗体と組み合わせて投与した場合のmTIM-3-Fc-CD40Lキメラタンパク質のインビボでの抗腫瘍活性を示す。
図10A】抗PD-1抗体と組み合わせて投与した場合のmTIM-3-Fc-CD40Lキメラタンパク質のインビボでの抗腫瘍活性を示す。
図10B】抗PD-1抗体と組み合わせて投与した場合のmTIM-3-Fc-CD40Lキメラタンパク質のインビボでの抗腫瘍活性を示す。
図10C】抗PD-1抗体と組み合わせて投与した場合のmTIM-3-Fc-CD40Lキメラタンパク質のインビボでの抗腫瘍活性を示す。
図11】抗PD-1抗体と組み合わせて投与した場合のmTIM-3-Fc-OX40Lキメラタンパク質のインビボでの抗腫瘍活性を示す。試料は左から右へ、凡例の上から下への順序であり、例えば、最も左の試料がビヒクルであり、左から3番目が抗PD1(RMP1-14)であり、右から3番目がTIM3-Fc-OX40L 300μg ×2であり、最も右の試料がTIM3-Fc-OX40L 300μg ×2+抗PD1(29F.1A12)である。
図12A】抗CTLA-4抗体と組み合わせて投与した場合のmTIM-3-Fc-OX40Lキメラタンパク質のインビボでの抗腫瘍活性を示す。Aでは、X軸上の20日目の時点で、試料の順序は上から下へ、TIM3-Fc-OX40L、抗CTLA4、及びTIM3-Fc-OX40L/抗CTLA4である。
図12B】抗CTLA-4抗体と組み合わせて投与した場合のmTIM-3-Fc-OX40Lキメラタンパク質のインビボでの抗腫瘍活性を示す。
図12C】抗CTLA-4抗体と組み合わせて投与した場合のmTIM-3-Fc-OX40Lキメラタンパク質のインビボでの抗腫瘍活性を示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明は、部分的に、キメラタンパク質が、T細胞免疫グロブリンムチン受容体3(TIM-3)、及びCD40リガンド(CD40L)もしくはOX40リガンド(OX40L)の細胞外領域、またはエフェクター領域から操作することができるという発見に基づく。これらのTIM-3及びCD40L系キメラタンパク質、ならびにTIM-3及びOX40L系キメラタンパク質は、少なくともがんの治療において、同時に免疫阻害シグナルを遮断し、免疫活性化シグナルを刺激することができる。さらに、これらのキメラタンパク質は、抗がん抗体及び/またはSTINGアゴニストと組み合わせて提供される場合、がんの治療において相乗的効果を見出す。
【0028】
がんを治療するための潜在的に有益な方法は、相乗的及び/または相補的作用機序を有する薬剤の組み合わせを伴う。現在使用されているレジメンは、OPDIVO(ニボルマブ、抗PD-1抗体)及びYERVOY(イピリムマブ、抗CTLA-4抗体)を組み合わせる。このレジメンは、特定のがんの治療に有効であることが証明されているが、それは、患者に対して高い毒性をもたらし、及び膨大な費用、例えば、治療の過程で約257,000米ドルを被る。実際、類似の併用療法から予想されるいくつかの大きな問題/課題は、莫大な費用(これは第三者の医療費支払者によって補償及び/または払い戻されない場合がある)、各薬剤のそれぞれ及び併用薬剤の安全性及び投与量を評価する必要性に起因する大規模な臨床試験の必要性、ならびに併用からのより高い毒性プロファイルの可能性である。
【0029】
本発明のキメラタンパク質は、使用の容易さ及び産生の容易さを含むがこれらに限定されない利点を提供する。これは、2つの異なる免疫療法剤を、2つの独立した製造プロセスの代わりに単一の製造プロセスを可能にし得る単一の生成物に組み合わせるからである。さらに、2つの別々の薬剤の代わりに単一の薬剤を投与することは、より容易な投与及びより高い患者コンプライアンスを可能にする。さらに、例えば、多数のジスルフィド結合及びグリコシル化などの翻訳後修飾を含有する大型多量体タンパク質であるモノクローナル抗体とは対照的に、本発明のキメラタンパク質は、製造するのにより容易であり、より費用効果が高い。
【0030】
重要なのは、本発明のキメラタンパク質及び/または本発明の方法で使用されるキメラタンパク質が、例えば、検出及び/または破壊を回避しようと試みるがん細胞に由来する免疫阻害シグナルの伝達を(TIM-3の細胞外ドメインの、がん細胞上のその受容体/リガンドとの結合を介して)妨害、遮断、減少、阻害、及び/または隔離し、ならびに(CD40Lのその受容体との結合またはOX40Lのその受容体との結合を介して)抗がん免疫細胞への免疫刺激シグナルの伝達を増強、増加、及び/または刺激し、それが2つの異なる経路によって抗腫瘍効果を提供することができることであり、この二重作用は、患者において任意の抗腫瘍効果を提供する、及び/または患者において増強した抗腫瘍効果を提供する可能性が高い。さらに、かかるキメラタンパク質は複数の異なる経路を介して機能することができるため、少なくとも、経路のうちの1つを標的とする治療に応答しない、応答が不十分である、または抵抗性となる患者において有効であり得る。したがって、2つの経路のうちの1つを介して作用する治療に対して不十分な応答者である患者は、複数の経路を標的とすることによって治療効果を達成することができる。
【0031】
キメラタンパク質
本発明のキメラタンパク質、及び/または本発明の方法で使用されるキメラタンパク質は、一緒に同時に免疫阻害シグナルを遮断し、免疫活性化シグナルを刺激することができる、TIM-3の細胞外ドメイン及びCD40Lの細胞外ドメインを含み得る。
【0032】
本発明の態様は、N末端-(a)-(b)-(c)-C末端の一般的な構造を含むキメラタンパク質を提供し、式中、(a)は、TIM-3の細胞外ドメインを含む第1のドメインであり、(b)は、第1のドメイン及び第2のドメインに隣接するリンカー、例えば、ジスルフィド結合を形成することが可能である少なくとも1つのシステイン残基を含む、及び/またはヒンジ-CH2-CH3 Fcドメインを含むリンカーであり、(c)は、CD40Lの細胞外ドメインを含む第2のドメインであり、リンカーは、第1のドメイン及び第2のドメインを接続する。
【0033】
本発明のキメラタンパク質、及び/または本発明の方法で使用されるキメラタンパク質では、第1のドメインは、TIM-3リガンドと結合することが可能である。実施形態では、第1のドメインは、実質的にTIM-3の細胞外ドメイン全体を含む。実施形態では、第1のドメインは、免疫抑制シグナルを阻害することが可能である。
【0034】
本発明のキメラタンパク質、及び/または本発明の方法で使用されるキメラタンパク質では、第2のドメインは、CD40L受容体と結合することが可能である。実施形態では、第2のドメインは、実質的にCD40Lの細胞外ドメイン全体を含む。実施形態では、第2のドメインは、免疫刺激シグナルを活性化することが可能である。
【0035】
本発明のキメラタンパク質、及び/または本発明の方法で使用されるキメラタンパク質は、一緒に同時に免疫阻害シグナルを遮断し、免疫活性化シグナルを刺激することができる、TIM-3の細胞外ドメイン及びOX40Lの細胞外ドメインを含み得る。
【0036】
本発明の態様は、N末端-(a)-(b)-(c)-C末端の一般的な構造を含むキメラタンパク質を提供し、式中、(a)は、TIM-3の細胞外ドメインを含む第1のドメインであり、(b)は、第1のドメイン及び第2のドメインに隣接するリンカー、例えば、ジスルフィド結合を形成することが可能である少なくとも1つのシステイン残基を含む、及び/またはヒンジ-CH2-CH3 Fcドメインを含むリンカーであり、(c)は、OX40Lの細胞外ドメインを含む第2のドメインであり、リンカーは、第1のドメイン及び第2のドメインを接続する。
【0037】
本発明のキメラタンパク質、及び/または本発明の方法で使用されるキメラタンパク質では、第1のドメインは、TIM-3リガンドと結合することが可能である。実施形態では、第1のドメインは、実質的にTIM-3の細胞外ドメイン全体を含む。実施形態では、第1のドメインは、免疫抑制シグナルを阻害することが可能である。
【0038】
本発明のキメラタンパク質、及び/または本発明の方法で使用されるキメラタンパク質では、第2のドメインは、OX40L受容体と結合することが可能である。実施形態では、第2のドメインは、実質的にOX40Lの細胞外ドメイン全体を含む。実施形態では、第2のドメインは、免疫刺激シグナルを活性化することが可能である。
【0039】
本発明のキメラタンパク質、及び/または本発明の方法で使用されるキメラタンパク質では、キメラタンパク質は、組換え融合タンパク質、例えば、本明細書に開示される細胞外ドメインを有する単一のポリペプチドである。例えば、実施形態では、キメラタンパク質は、原核細胞、真核細胞、または無細胞発現系において単一の単位として翻訳される。
【0040】
実施形態では、本発明のキメラタンパク質は、分泌可能及び完全な機能性単一ポリペプチド鎖として哺乳動物宿主細胞において生成可能である。
【0041】
実施形態では、キメラタンパク質は、複数のポリペプチド、例えば、本明細書に開示される複数の細胞外ドメインの組換えタンパク質を指し、それらを組み合わせて(共有または非共有結合を介して)、例えば、インビトロで単一の単位(例えば、本明細書に開示される1つ以上の合成リンカーと共に)を生成する。
【0042】
実施形態では、キメラタンパク質は、1つのポリペプチドとして化学的に合成されるか、または各ドメインは、別々に化学的に合成され、次いで組み合わされ得る。実施形態では、キメラタンパク質の一部が翻訳され、一部が化学的に合成される。
【0043】
細胞外ドメインは、細胞外環境と相互作用することが可能である膜貫通タンパク質の一部を指し、それは通常、リガンドまたは受容体と結合するのに十分であり、細胞にシグナルを伝達するのに有効である。細胞外ドメインは通常、細胞または細胞膜の外部に存在する膜貫通タンパク質のアミノ酸配列全体であり得る。細胞外ドメインは、細胞または細胞膜の外部にあり、当技術分野で既知である方法を使用してアッセイされ得るような(例えば、インビトロでのリガンド結合及び/または細胞活性化アッセイ)、シグナル伝達及び/またはリガンド結合に必要とされる膜貫通タンパク質のアミノ酸配列の一部であり得る。
【0044】
膜貫通タンパク質は典型的に、細胞外ドメイン、1つまたは一連の膜貫通ドメイン、及び細胞内ドメインからなる。理論に拘束されることを望まないが、膜貫通タンパク質の細胞外ドメインは、可溶性受容体またはリガンドまたは膜結合受容体またはリガンド(すなわち、隣接する細胞の膜)との相互作用に関与する。理論に拘束されることを望まないが、膜貫通ドメイン(複数可)は、膜貫通タンパク質を原形質膜に局在化させる原因となる。理論に拘束されることを望まないが、膜貫通タンパク質の細胞内ドメインは、細胞内シグナル伝達分子との相互作用を調整して、細胞内応答を細胞外環境と調整する(またはその逆の)原因となる。
【0045】
シングルパス膜貫通タンパク質には、一般的に2つの種類があり、細胞外アミノ末端及び細胞内カルボキシ末端を有するI型膜貫通タンパク質(図1A、左のタンパク質を参照されたい)、及び細胞外カルボキシ末端及び細胞内アミノ末端を有するII型膜貫通タンパク質(図1A、右のタンパク質を参照されたい)である。I型及びII型膜貫通タンパク質は、受容体またはリガンドのいずれかであり得る。I型膜貫通タンパク質(例えば、TIM-3)について、タンパク質のアミノ末端は、細胞の外側を向いており、したがって、細胞外環境において他の結合パートナー(リガンドまたは受容体のいずれか)との相互作用に関与する機能ドメインを含む(図1B、左のタンパク質を参照されたい)。II型膜貫通タンパク質(例えば、CD40L及びOX40L)について、タンパク質のカルボキシ末端は、細胞の外側を向いており、したがって、細胞外環境において他の結合パートナー(リガンドまたは受容体のいずれか)との相互作用に関与する機能ドメインを含む(図1B、右のタンパク質を参照されたい)。したがって、これらの2つの種類の膜貫通タンパク質は、細胞膜に対して互いに反対の配向を有する。
【0046】
本発明のキメラタンパク質、及び/または本発明の方法で使用されるキメラタンパク質は、TIM-3の細胞外ドメイン及びCD40Lの細胞外ドメインを含む。したがって、本発明のキメラタンパク質、及び/または本発明の方法で使用されるキメラタンパク質は、少なくとも、TIM-3の細胞外ドメインを含む第1のドメインを含み、これは、CD40Lの細胞外ドメインを含む第2のドメインと直接的にまたはリンカーを介して接続される。図1C及び図1Dに示されるように、ドメインがアミノ末端からカルボキシ末端の配向に連結される場合、第1のドメインは、キメラタンパク質の「左」に位置し、かつ「外向き」となり、第2ドメインは、キメラタンパク質の「右」に位置し、かつ「外向き」となる。
【0047】
第1及び第2のドメインの他の構成、例えば、第1のドメインが外向きであり、かつ第2のドメインが内向きであること、第1のドメインが内向きであり、かつ第2のドメインが外向きであること、第1及び第2のドメインが両方とも内向きであることが想定される。両方のドメインが「内向き」である場合、キメラタンパク質は、CD40Lの細胞外ドメイン、リンカー、及びTIM-3の細胞外ドメインを含む、アミノ末端からカルボキシ末端への構成を有するであろう。かかる構成では、それは、キメラタンパク質のドメインがその受容体/リガンドの一方または両方と結合することを可能にするために、本明細書の他の場所に記載されるように、キメラタンパク質が余分な「緩み」を含むことが必要であり得る。
【0048】
構築物は、3つの断片をコードする核酸(TIM-3の細胞外ドメイン、それに続くリンカー配列、それに続くCD40Lの細胞外ドメイン)をベクター(プラスミド、ウイルス、またはその他)にクローニングすることによって生成でき、完全な配列のアミノ末端は、TIM-3の細胞外ドメインを含む分子の「左側」に対応しており、完全な配列のカルボキシ末端は、CD40Lの細胞外ドメインを含む分子の「右側」に対応する。上記に記載されるように、他の構成の1つを有するキメラタンパク質の実施形態では、構築物は、生成される翻訳されたキメラタンパク質が所望の構成、例えば、二重の内向きのキメラタンパク質を有するように、3つの核酸を含むであろう。したがって、実施形態では、本発明のキメラタンパク質は、そのように操作される。
【0049】
実施形態では、キメラタンパク質は、TIM-3リガンド及びCD40L受容体と同時に結合することが可能であり、TIM-3リガンドが、ガレクチン-9またはホスファチジルセリンであり、CD40L受容体が、CD40である
【0050】
本発明のキメラタンパク質、及び/または本発明の方法で使用されるキメラタンパク質は、TIM-3の細胞外ドメイン及びOX40Lの細胞外ドメインを含む。したがって、本発明のキメラタンパク質、及び/または本発明の方法で使用されるキメラタンパク質は、少なくとも、TIM-3の細胞外ドメインを含む第1のドメインを含み、これは、OX40Lの細胞外ドメインを含む第2のドメインと直接的にまたはリンカーを介して接続される。図1C及び図1Dに示されるように、ドメインがアミノ末端からカルボキシ末端の配向に連結される場合、第1のドメインは、キメラタンパク質の「左」に位置し、かつ「外向き」となり、第2ドメインは、キメラタンパク質の「右」に位置し、かつ「外向き」となる。
【0051】
第1及び第2のドメインの他の構成、例えば、第1のドメインが外向きであり、かつ第2のドメインが内向きであること、第1のドメインが内向きであり、かつ第2のドメインが外向きであること、第1及び第2のドメインが両方とも内向きであることが想定される。両方のドメインが「内向き」である場合、キメラタンパク質は、OX40Lの細胞外ドメイン、リンカー、及びTIM-3の細胞外ドメインを含む、アミノ末端からカルボキシ末端への構成を有するであろう。かかる構成では、それは、キメラタンパク質のドメインがその受容体/リガンドの一方または両方と結合することを可能にするために、本明細書の他の場所に記載されるように、キメラタンパク質が余分な「緩み」を含むことが必要であり得る。
【0052】
構築物は、3つの断片をコードする核酸(TIM-3の細胞外ドメイン、それに続くリンカー配列、それに続くOX40Lの細胞外ドメイン)をベクター(プラスミド、ウイルス、またはその他)にクローニングすることによって生成でき、完全な配列のアミノ末端は、TIM-3の細胞外ドメインを含む分子の「左側」に対応しており、完全な配列のカルボキシ末端は、OX40Lの細胞外ドメインを含む分子の「右側」に対応する。上記に記載されるように、他の構成の1つを有するキメラタンパク質の実施形態では、構築物は、生成される翻訳されたキメラタンパク質が所望の構成、例えば、二重の内向きのキメラタンパク質を有するように、3つの核酸を含むであろう。したがって、実施形態では、本発明のキメラタンパク質は、そのように操作される。
【0053】
実施形態では、キメラタンパク質は、TIM-3リガンド及びOX40L受容体と同時に結合することが可能であり、TIM-3リガンドが、ガレクチン-9またはホスファチジルセリンであり、OX40L受容体が、OX40である
【0054】
本発明のキメラタンパク質及び/または本発明の方法で使用されるキメラタンパク質は、そのリガンド/受容体と立体的に結合することが可能である第1のドメイン、及び/またはそのリガンド/受容体と立体的に結合することが可能である第2のドメインを有する。これは、細胞外ドメインのリガンド/受容体結合ドメインがそのリガンド/受容体の結合を立体的に妨げられないように、キメラタンパク質及び/または細胞外ドメイン(またはその一部)と残りのキメラタンパク質との間の物理的距離に十分な全体的な柔軟性があることを意味する。この柔軟性及び/または物理的距離(本明細書では「緩み」と称される)は通常、細胞外ドメイン(複数可)に存在し、通常はリンカーに存在し、及び/または通常はキメラタンパク質に(全体として)存在し得る。代替的にまたは追加的に、キメラタンパク質は、立体障害を回避するために必要な追加の緩みを提供する1つ以上の追加のアミノ酸配列(例えば、以下に記載される結合リンカー)または合成リンカー(例えば、ポリエチレングリコール(PEG)リンカー)を含むことによって修飾され得る。
【0055】
実施形態では、本発明のキメラタンパク質、及び/または本発明の方法で使用されるキメラタンパク質は、TIM-3の細胞外ドメインのバリアントを含む。例として、バリアントは、TIM-3の既知のアミノ酸配列、例えば、ヒトTIM-3と少なくとも約60%、または少なくとも約61%、または少なくとも約62%、または少なくとも約63%、または少なくとも約64%、または少なくとも約65%、または少なくとも約66%、または少なくとも約67%、または少なくとも約68%、または少なくとも約69%、または少なくとも約70%、または少なくとも約71%、または少なくとも約72%、または少なくとも約73%、または少なくとも約74%、または少なくとも約75%、または少なくとも約76%、または少なくとも約77%、または少なくとも約78%、または少なくとも約79%、または少なくとも約80%、または少なくとも約81%、または少なくとも約82%、または少なくとも約83%、または少なくとも約84%、または少なくとも約85%、または少なくとも約86%、または少なくとも約87%、または少なくとも約88%、または少なくとも約89%、または少なくとも約90%、または少なくとも約91%、または少なくとも約92%、または少なくとも約93%、または少なくとも約94%、または少なくとも約95%、または少なくとも約96%、または少なくとも約97%、または少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を有し得る。
【0056】
実施形態では、TIM-3の細胞外ドメインは、以下のアミノ酸配列を有する:
SEVEYRAEVGQNAYLPCFYTPAAPGNLVPVCWGKGACPVFECGNVVLRTDERDVNYWTSRYWLNGDFRKGDVSLTIENVTLADSGIYCCRIQIPGIMNDEKFNLKLVIKPAKVTPAPTRQRDFTAAFPRMLTTRGHGPAETQTLGSLPDINLTQISTLANELRDSRLANDLRDSGATIRIG(配列番号57)。
【0057】
実施形態では、キメラタンパク質は、TIM-3の細胞外ドメインのバリアントを含む。例として、バリアントは、配列番号57と少なくとも約60%、または少なくとも約61%、または少なくとも約62%、または少なくとも約63%、または少なくとも約64%、または少なくとも約65%、または少なくとも約66%、または少なくとも約67%、または少なくとも約68%、または少なくとも約69%、または少なくとも約70%、または少なくとも約71%、または少なくとも約72%、または少なくとも約73%、または少なくとも約74%、または少なくとも約75%、または少なくとも約76%、または少なくとも約77%、または少なくとも約78%、または少なくとも約79%、または少なくとも約80%、または少なくとも約81%、または少なくとも約82%、または少なくとも約83%、または少なくとも約84%、または少なくとも約85%、または少なくとも約86%、または少なくとも約87%、または少なくとも約88%、または少なくとも約89%、または少なくとも約90%、または少なくとも約91%、または少なくとも約92%、または少なくとも約93%、または少なくとも約94%、または少なくとも約95%、または少なくとも約96%、または少なくとも約97%、または少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を有し得る。
【0058】
実施形態では、キメラタンパク質の第1のドメインは、配列番号57のアミノ酸配列と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含む。
【0059】
当業者は、例えば、各々の全体が参照により組み込まれる、Cao,et al.,“T Cell Immunoglobulin Mucin-3 Crystal Structure Reveals a Galectin-9-Independent Ligand-Binding Surface,”Immunity 26,pp.311-321,2007、及びFreeman,et al.,“TIM genes:a family of cell surface phosphatidylserine receptors that regulate innate and adaptive immunity,”Immunol Rev.,235(1),pp.172-189,2010などの文献を参照することにより、TIM-3の既知のアミノ酸配列のバリアントを選択することができる。
【0060】
実施形態では、本発明のキメラタンパク質、及び/または本発明の方法で使用されるキメラタンパク質は、CD40Lの細胞外ドメインのバリアントを含む。例として、バリアントは、CD40Lの既知のアミノ酸配列、例えば、ヒトCD40Lと少なくとも約60%、または少なくとも約61%、または少なくとも約62%、または少なくとも約63%、または少なくとも約64%、または少なくとも約65%、または少なくとも約66%、または少なくとも約67%、または少なくとも約68%、または少なくとも約69%、または少なくとも約70%、または少なくとも約71%、または少なくとも約72%、または少なくとも約73%、または少なくとも約74%、または少なくとも約75%、または少なくとも約76%、または少なくとも約77%、または少なくとも約78%、または少なくとも約79%、または少なくとも約80%、または少なくとも約81%、または少なくとも約82%、または少なくとも約83%、または少なくとも約84%、または少なくとも約85%、または少なくとも約86%、または少なくとも約87%、または少なくとも約88%、または少なくとも約89%、または少なくとも約90%、または少なくとも約91%、または少なくとも約92%、または少なくとも約93%、または少なくとも約94%、または少なくとも約95%、または少なくとも約96%、または少なくとも約97%、または少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を有し得る。
【0061】
実施形態では、CD40Lの細胞外ドメインは、以下のアミノ酸配列を有する:
HRRLDKIEDERNLHEDFVFMKTIQRCNTGERSLSLLNCEEIKSQFEGFVKDIMLNKEETKKENSFEMQKGDQNPQIAAHVISEASSKTTSVLQWAEKGYYTMSNNLVTLENGKQLTVKRQGLYYIYAQVTFCSNREASSQAPFIASLCLKSPGRFERILLRAANTHSSAKPCGQQSIHLGGVFELQPGASVFVNVTDPSQVSHGTGFTSFGLLKL(配列番号58)。
【0062】
実施形態では、キメラタンパク質は、CD40Lの細胞外ドメインのバリアントを含む。例として、バリアントは、配列番号58と少なくとも約60%、または少なくとも約61%、または少なくとも約62%、または少なくとも約63%、または少なくとも約64%、または少なくとも約65%、または少なくとも約66%、または少なくとも約67%、または少なくとも約68%、または少なくとも約69%、または少なくとも約70%、または少なくとも約71%、または少なくとも約72%、または少なくとも約73%、または少なくとも約74%、または少なくとも約75%、または少なくとも約76%、または少なくとも約77%、または少なくとも約78%、または少なくとも約79%、または少なくとも約80%、または少なくとも約81%、または少なくとも約82%、または少なくとも約83%、または少なくとも約84%、または少なくとも約85%、または少なくとも約86%、または少なくとも約87%、または少なくとも約88%、または少なくとも約89%、または少なくとも約90%、または少なくとも約91%、または少なくとも約92%、または少なくとも約93%、または少なくとも約94%、または少なくとも約95%、または少なくとも約96%、または少なくとも約97%、または少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を有し得る。
【0063】
実施形態では、キメラタンパク質の第2のドメインは、配列番号58のアミノ酸配列と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含む。
【0064】
当業者は、例えば、各々の全体が参照により組み込まれる、An,et al.Crystallographic and Mutational Analysis of the CD40-CD154 Complex and Its Implications for Receptor Activation,The Journal of Biological Chemistry 286,11226-11235.などの文献を参照することにより、CD40Lの既知のアミノ酸配列のバリアントを選択することができる。
【0065】
実施形態では、本発明のキメラタンパク質、及び/または本発明の方法で使用されるキメラタンパク質は、(1)配列番号57のアミノ酸配列を含む第1のドメイン、(b)配列番号58のアミノ酸配列を含む第2のドメイン、(c)配列番号1、配列番号2、または配列番号3と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含むリンカーを含む。
【0066】
実施形態では、本発明のTIM-3-Fc-CD40Lキメラタンパク質、及び/または本発明の方法で使用されるキメラタンパク質は、以下のアミノ酸配列を有する:
SEVEYRAEVGQNAYLPCFYTPAAPGNLVPVCWGKGACPVFECGNVVLRTDERDVNYWTSRYWLNGDFRKGDVSLTIENVTLADSGIYCCRIQIPGIMNDEKFNLKLVIKPAKVTPAPTRQRDFTAAFPRMLTTRGHGPAETQTLGSLPDINLTQISTLANELRDSRLANDLRDSGATIRIGSKYGPPCPPCPAPEFLGGPSVFLFPPKPKDQLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLSGKEYKCKVSSKGLPSSIEKTISNATGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVLHEALHNHYTQKSLSLSLGKIEGRMDHRRLDKIEDERNLHEDFVFMKTIQRCNTGERSLSLLNCEEIKSQFEGFVKDIMLNKEETKKENSFEMQKGDQNPQIAAHVISEASSKTTSVLQWAEKGYYTMSNNLVTLENGKQLTVKRQGLYYIYAQVTFCSNREASSQAPFIASLCLKSPGRFERILLRAANTHSSAKPCGQQSIHLGGVFELQPGASVFVNVTDPSQVSHGTGFTSFGLLKL(配列番号59)。
【0067】
実施形態では、キメラタンパク質は、TIM-3-Fc-CD40Lキメラタンパク質のバリアントを含む。例として、バリアントは、配列番号59と少なくとも約60%、または少なくとも約61%、または少なくとも約62%、または少なくとも約63%、または少なくとも約64%、または少なくとも約65%、または少なくとも約66%、または少なくとも約67%、または少なくとも約68%、または少なくとも約69%、または少なくとも約70%、または少なくとも約71%、または少なくとも約72%、または少なくとも約73%、または少なくとも約74%、または少なくとも約75%、または少なくとも約76%、または少なくとも約77%、または少なくとも約78%、または少なくとも約79%、または少なくとも約80%、または少なくとも約81%、または少なくとも約82%、または少なくとも約83%、または少なくとも約84%、または少なくとも約85%、または少なくとも約86%、または少なくとも約87%、または少なくとも約88%、または少なくとも約89%、または少なくとも約90%、または少なくとも約91%、または少なくとも約92%、または少なくとも約93%、または少なくとも約94%、または少なくとも約95%、または少なくとも約96%、または少なくとも約97%、または少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を有し得る。
【0068】
実施形態では、本発明のキメラタンパク質、及び/または本発明の方法で使用されるキメラタンパク質は、TIM-3の細胞外ドメインのバリアントを含む。例として、バリアントは、TIM-3の既知のアミノ酸配列、例えば、ヒトTIM-3と少なくとも約60%、または少なくとも約61%、または少なくとも約62%、または少なくとも約63%、または少なくとも約64%、または少なくとも約65%、または少なくとも約66%、または少なくとも約67%、または少なくとも約68%、または少なくとも約69%、または少なくとも約70%、または少なくとも約71%、または少なくとも約72%、または少なくとも約73%、または少なくとも約74%、または少なくとも約75%、または少なくとも約76%、または少なくとも約77%、または少なくとも約78%、または少なくとも約79%、または少なくとも約80%、または少なくとも約81%、または少なくとも約82%、または少なくとも約83%、または少なくとも約84%、または少なくとも約85%、または少なくとも約86%、または少なくとも約87%、または少なくとも約88%、または少なくとも約89%、または少なくとも約90%、または少なくとも約91%、または少なくとも約92%、または少なくとも約93%、または少なくとも約94%、または少なくとも約95%、または少なくとも約96%、または少なくとも約97%、または少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を有し得る。
【0069】
実施形態では、TIM-3の細胞外ドメインは、以下のアミノ酸配列を有する:
SEVEYRAEVGQNAYLPCFYTPAAPGNLVPVCWGKGACPVFECGNVVLRTDERDVNYWTSRYWLNGDFRKGDVSLTIENVTLADSGIYCCRIQIPGIMNDEKFNLKLVIKPAKVTPAPTRQRDFTAAFPRMLTTRGHGPAETQTLGSLPDINLTQISTLANELRDSRLANDLRDSGATIRIG(配列番号57)。
【0070】
実施形態では、キメラタンパク質は、TIM-3の細胞外ドメインのバリアントを含む。例として、バリアントは、配列番号57と少なくとも約60%、または少なくとも約61%、または少なくとも約62%、または少なくとも約63%、または少なくとも約64%、または少なくとも約65%、または少なくとも約66%、または少なくとも約67%、または少なくとも約68%、または少なくとも約69%、または少なくとも約70%、または少なくとも約71%、または少なくとも約72%、または少なくとも約73%、または少なくとも約74%、または少なくとも約75%、または少なくとも約76%、または少なくとも約77%、または少なくとも約78%、または少なくとも約79%、または少なくとも約80%、または少なくとも約81%、または少なくとも約82%、または少なくとも約83%、または少なくとも約84%、または少なくとも約85%、または少なくとも約86%、または少なくとも約87%、または少なくとも約88%、または少なくとも約89%、または少なくとも約90%、または少なくとも約91%、または少なくとも約92%、または少なくとも約93%、または少なくとも約94%、または少なくとも約95%、または少なくとも約96%、または少なくとも約97%、または少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を有し得る。
【0071】
実施形態では、キメラタンパク質の第1のドメインは、配列番号57のアミノ酸配列と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含む。
【0072】
当業者は、例えば、各々の全体が参照により組み込まれる、Cao,et al.,“T Cell Immunoglobulin Mucin-3 Crystal Structure Reveals a Galectin-9-Independent Ligand-Binding Surface,”Immunity 26,pp.311-321,2007、及びFreeman,et al.,“TIM genes:a family of cell surface phosphatidylserine receptors that regulate innate and adaptive immunity,”Immunol Rev.,235(1),pp.172-189,2010などの文献を参照することにより、TIM-3の既知のアミノ酸配列のバリアントを選択することができる。
【0073】
実施形態では、本発明のキメラタンパク質、及び/または本発明の方法で使用されるキメラタンパク質は、OX40Lの細胞外ドメインのバリアントを含む。例として、バリアントは、OX40Lの既知のアミノ酸配列、例えば、ヒトOX40Lと少なくとも約60%、または少なくとも約61%、または少なくとも約62%、または少なくとも約63%、または少なくとも約64%、または少なくとも約65%、または少なくとも約66%、または少なくとも約67%、または少なくとも約68%、または少なくとも約69%、または少なくとも約70%、または少なくとも約71%、または少なくとも約72%、または少なくとも約73%、または少なくとも約74%、または少なくとも約75%、または少なくとも約76%、または少なくとも約77%、または少なくとも約78%、または少なくとも約79%、または少なくとも約80%、または少なくとも約81%、または少なくとも約82%、または少なくとも約83%、または少なくとも約84%、または少なくとも約85%、または少なくとも約86%、または少なくとも約87%、または少なくとも約88%、または少なくとも約89%、または少なくとも約90%、または少なくとも約91%、または少なくとも約92%、または少なくとも約93%、または少なくとも約94%、または少なくとも約95%、または少なくとも約96%、または少なくとも約97%、または少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を有し得る。
【0074】
実施形態では、OX40Lの細胞外ドメインは、以下のアミノ酸配列を有する:
QVSHRYPRIQSIKVQFTEYKKEKGFILTSQKEDEIMKVQNNSVIINCDGFYLISLKGYFSQEVNISLHYQKDEEPLFQLKKVRSVNSLMVASLTYKDKVYLNVTTDNTSLDDFHVNGGELILIHQNPGEFCVL(配列番号60)。
【0075】
実施形態では、キメラタンパク質は、OX40Lの細胞外ドメインのバリアントを含む。例として、バリアントは、配列番号60と少なくとも約60%、または少なくとも約61%、または少なくとも約62%、または少なくとも約63%、または少なくとも約64%、または少なくとも約65%、または少なくとも約66%、または少なくとも約67%、または少なくとも約68%、または少なくとも約69%、または少なくとも約70%、または少なくとも約71%、または少なくとも約72%、または少なくとも約73%、または少なくとも約74%、または少なくとも約75%、または少なくとも約76%、または少なくとも約77%、または少なくとも約78%、または少なくとも約79%、または少なくとも約80%、または少なくとも約81%、または少なくとも約82%、または少なくとも約83%、または少なくとも約84%、または少なくとも約85%、または少なくとも約86%、または少なくとも約87%、または少なくとも約88%、または少なくとも約89%、または少なくとも約90%、または少なくとも約91%、または少なくとも約92%、または少なくとも約93%、または少なくとも約94%、または少なくとも約95%、または少なくとも約96%、または少なくとも約97%、または少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を有し得る。
【0076】
実施形態では、キメラタンパク質の第2のドメインは、配列番号60のアミノ酸配列と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含む。
【0077】
当業者は、例えば、各々の全体が参照により組み込まれる、CROFT,et al.,“The Significance of OX40 and OX40L to T cell Biology and Immune Disease,”Immunol Rev.,229(1),PP.173-191,2009、及びBAUM,et al.,“Molecular characterization of murine and human OX40/0X40 ligand systems:identification of a human OX40 ligand as the HTL V-1-regulated protein gp34,”The EMBO Journal,Vol. 13,No.77,PP.3992-4001,1994などの文献を参照することにより、OX40Lの既知のアミノ酸配列のバリアントを選択することができる。
【0078】
実施形態では、本発明のキメラタンパク質、及び/または本発明の方法で使用されるキメラタンパク質は、(1)配列番号57のアミノ酸配列を含む第1のドメイン、(b)配列番号60のアミノ酸配列を含む第2のドメイン、(c)配列番号1、配列番号2、または配列番号3と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含むリンカーを含む。
【0079】
実施形態では、本発明のTIM-3-Fc-OX40Lキメラタンパク質、及び/または本発明の方法で使用されるキメラタンパク質は、以下のアミノ酸配列を有する:
SEVEYRAEVGQNAYLPCFYTPAAPGNLVPVCWGKGACPVFECGNVVLRTDERDVNYWTSRYWLNGDFRKGDVSLTIENVTLADSGIYCCRIQIPGIMNDEKFNLKLVIKPAKVTPAPTRQRDFTAAFPRMLTTRGHGPAETQTLGSLPDINLTQISTLANELRDSRLANDLRDSGATIRIGSKYGPPCPPCPAPEFLGGPSVFLFPPKPKDQLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLSGKEYKCKVSSKGLPSSIEKTISNATGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVLHEALHNHYTQKSLSLSLGKIEGRMDQVSHRYPRIQSIKVQFTEYKKEKGFILTSQKEDEIMKVQNNSVIINCDGFYLISLKGYFSQEVNISLHYQKDEEPLFQLKKVRSVNSLMVASLTYKDKVYLNVTTDNTSLDDFHVNGGELILIHQNPGEFCVL(配列番号61)。
【0080】
実施形態では、キメラタンパク質は、TIM-3-Fc-OX40Lキメラタンパク質のバリアントを含む。例として、バリアントは、配列番号61と少なくとも約60%、または少なくとも約61%、または少なくとも約62%、または少なくとも約63%、または少なくとも約64%、または少なくとも約65%、または少なくとも約66%、または少なくとも約67%、または少なくとも約68%、または少なくとも約69%、または少なくとも約70%、または少なくとも約71%、または少なくとも約72%、または少なくとも約73%、または少なくとも約74%、または少なくとも約75%、または少なくとも約76%、または少なくとも約77%、または少なくとも約78%、または少なくとも約79%、または少なくとも約80%、または少なくとも約81%、または少なくとも約82%、または少なくとも約83%、または少なくとも約84%、または少なくとも約85%、または少なくとも約86%、または少なくとも約87%、または少なくとも約88%、または少なくとも約89%、または少なくとも約90%、または少なくとも約91%、または少なくとも約92%、または少なくとも約93%、または少なくとも約94%、または少なくとも約95%、または少なくとも約96%、または少なくとも約97%、または少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を有し得る。
【0081】
任意の本明細書に開示される態様及び実施形態では、キメラタンパク質は、本明細書に開示されるタンパク質配列のうちのいずれかと比較して1つ以上のアミノ酸変異を有するアミノ酸配列を含み得る。実施形態では、1つ以上のアミノ酸変異は独立して、置換、挿入、欠失、及び短縮から選択され得る。
【0082】
実施形態では、アミノ酸変異は、アミノ酸置換であり、保存的及び/または非保存的置換を含み得る。「保存的置換」は、例えば、関与するアミノ酸残基の極性、電荷、サイズ、溶解度、疎水性、親水性、及び/または両親媒性の性質の類似性に基づいて行われ得る。20個の天然に存在するアミノ酸は、(1)疎水性:Met、Ala、Val、Leu、Ile、(2)中性親水性:Cys、Ser、Thr;Asn、Gln、(3)酸性:Asp、Glu、(4)塩基性:His、Lys、Arg、(5)鎖配向に影響を与える残基:Gly、Pro、及び(6)芳香族:Trp、Tyr、Pheの6つの標準的なアミノ酸グループに分類できる。本明細書で使用される場合、「保存的置換」は、上記の6つの標準的なアミノ酸グループの同じグループ内に列挙される別のアミノ酸によるアミノ酸の交換として定義される。例えば、GluによるAspの交換は、そのように修飾されたポリペプチド内に1つの負電荷を保持する。さらに、グリシン及びプロリンは、α-ヘリックスを破壊するそれらの能力に基づいて互いに置換され得る。本明細書で使用される場合、「非保存的置換」は、上記の6つの標準的なアミノ酸グループ(1)~(6)の異なるグループに列挙される別のアミノ酸によるアミノ酸の交換として定義される。
【0083】
実施形態では、置換はまた、非古典的なアミノ酸も含み得る(例えば、セレノシステイン、ピロリシン、N-ホルミルメチオニンβ-アラニン、GABA及びδ-アミノレブリン酸、4-アミノ安息香酸(PABA)、一般的なアミノ酸のD-異性体、2,4-ジアミノ酪酸、α-アミノイソ酪酸、4-アミノ酪酸、Abu、2-アミノ酪酸、γ-Abu、ε-Ahx、6-アミノヘキサン酸、Aib、2-アミノイソ酪酸、3-アミノプロピオン酸、オルニチン、ノルロイシン、ノルバリン、ヒドロキシプロリン、サルコスメ、シトルリン、ホモシトルリン、システイン酸、t-ブチルグリシン、t-ブチルアラニン、フェニルグリシン、シクロヘキシルアラニン、β-アラニン、フルオロアミノ酸、デザイナーアミノ酸、例えば、βメチルアミノ酸、C α-メチルアミノ酸、N α-メチルアミノ酸、及び一般的なアミノ酸類似体)。
【0084】
コドン縮重を考慮に入れることを含めて、遺伝暗号を参照することによって、キメラタンパク質のヌクレオチド配列に変異を作製することもできる。
【0085】
実施形態では、キメラタンパク質(非変異形態またはバリアントとして)は、ネズミリガンド(複数可)/受容体(複数可)と結合することが可能である。
【0086】
実施形態では、キメラタンパク質(非変異形態またはバリアントとして)は、ヒトリガンド(複数可)/受容体(複数可)と結合することが可能である。
【0087】
実施形態では、キメラタンパク質の各細胞外ドメイン(またはそのバリアント)は、約1nM~約5nM、例えば、約1nM、約1.5nM、約2nM、約2.5nM、約3nM、約3.5nM、約4nM、約4.5nM、または約5nMのKでその同族の受容体またはリガンドと結合する。実施形態では、キメラタンパク質は、約5nM~約15nM、例えば、約5nM、約5.5nM、約6nM、約6.5nM、約7nM、約7.5nM、約8nM、約8.5nM、約9nM、約9.5nM、約10nM、約10.5nM、約11nM、約11.5nM、約12nM、約12.5nM、約13nM、約13.5nM、約14nM、約14.5nM、または約15nMのKで同族の受容体またはリガンドと結合する。
【0088】
実施形態では、キメラタンパク質の各細胞外ドメイン(またはそのバリアント)は、約1μM、約900nM、約800nM、約700nM、約600nM、約500nM、約400nM、約300nM、約200nM、約150nM、約130nM、約100nM、約90nM、約80nM、約70nM、約60nM、約55nM、約50nM、約45nM、約40nM、約35nM、約30nM、約25nM、約20nM、約15nM、約10nM、または約5nM、または約1nM未満(例えば、表面プラズモン共鳴または生体層干渉法によって測定される)のKでその同族の受容体またはリガンドと結合する。実施形態では、キメラタンパク質は、約1nM、約900pM、約800pM、約700pM、約600pM、約500pM、約400pM、約300pM、約200pM、約100pM、約90pM、約80pM、約70pM、約60pM、約55pM、約50pM、約45pM、約40pM、約35pM、約30pM、約25pM、約20pM、約15pM、または約10pM、または約1pM未満(例えば、表面プラズモン共鳴または生体層干渉法によって測定される)のKでヒトCSF1と結合する。
【0089】
本明細書で使用される場合、細胞外ドメインのバリアントは、天然の細胞外ドメインの受容体/リガンドと結合することが可能である。例えば、バリアントは、その受容体/リガンドとのその結合親和性に影響を及ぼさない細胞外ドメインの1つ以上の変異を含み得、代替的に、細胞外ドメインにおける1つ以上の変異は、受容体/リガンドに対する結合親和性を改善し得るか、または細胞外ドメインにおける1つ以上の変異は、受容体/リガンドに対する結合親和性を低下させ得るが、結合を完全に排除しない。実施形態では、1つ以上の変異は、細胞外ドメインがその受容体/リガンドと相互作用する結合ポケットの外側に位置する。実施形態では、1つ以上の変異は、変異が結合を完全に排除しない限り、細胞外ドメインがその受容体/リガンドと相互作用する結合ポケットの内側に位置する。受容体-リガンド結合に関する当業者の知識及び当技術分野の知識に基づいて、どの変異が結合を可能にし、どれが結合を排除するかを理解するであろう。
【0090】
実施形態では、キメラタンパク質は、単一ドメイン融合タンパク質または抗体対照と比較して、増強された安定性、高アビディティ結合特性、標的結合の延長されたオフ速度、及びタンパク質半減期を示す。
【0091】
本発明のキメラタンパク質、及び/または本発明の方法で使用されるキメラタンパク質は、2つを超える細胞外ドメインを含み得る。例えば、キメラタンパク質は、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10つ、またはそれ以上の細胞外ドメインを含み得る。本明細書に開示されるように、第2の細胞外ドメインは、リンカーを介して第3の細胞外ドメインから分離され得る。代替的に、第2の細胞外ドメインは、第3の細胞外ドメインと直接的に連結され得る(例えば、ペプチド結合を介して)。実施形態では、本明細書に開示されるように、キメラタンパク質は、直接的に連結される細胞外ドメイン及びリンカーを介して間接的に連結される細胞外ドメインを含む。
【0092】
リンカー
実施形態では、キメラタンパク質は、リンカーを含む。
【0093】
実施形態では、リンカーは、ジスルフィド結合を形成することが可能である少なくとも1つのシステイン残基を含む。少なくとも1つのシステイン残基は、キメラタンパク質の1対(またはそれ以上)の間にジスルフィド結合を形成することが可能である。理論に拘束されることを望まないが、かかるジスルフィド結合形成は、キメラタンパク質の有用な多量体状態を維持する原因となる。これは、キメラタンパク質の効率的な生産を可能とし、それは、インビトロ及びインビボで所望される活性を可能とする。
【0094】
本発明のキメラタンパク質、及び/または本発明の方法で使用されるキメラタンパク質では、リンカーは、柔軟なアミノ酸配列、IgGヒンジ領域、または抗体配列から選択されるポリペプチドである。
【0095】
実施形態では、リンカーは、天然に存在するマルチドメインタンパク質に由来するか、または、例えば、全内容が参照により本明細書に組み込まれる、Chichili et al.,(2013),Protein Sci.22(2):153-167、Chen et al.,(2013),Adv Drug Deliv Rev.65(10):1357-1369に記載されるような経験的なリンカーであり。実施形態では、リンカーは、全内容が参照により本明細書に組み込まれる、Chen et al.,(2013),Adv Drug Deliv Rev.65(10):1357-1369、及びCrasto et.al.,(2000),Protein Eng.13(5):309-312に記載されるようなものなどのリンカー設計データベース及びコンピュータプログラムを使用して設計することができる。
【0096】
実施形態では、リンカーは、ポリペプチドを含む。実施形態では、ポリペプチドは、約500アミノ酸長、約450アミノ酸長、約400アミノ酸長、約350アミノ酸長、約300アミノ酸長、約250アミノ酸長、約200アミノ酸長、約150アミノ酸長、または約100アミノ酸長未満である。例えば、リンカーは、約100、約95、約90、約85、約80、約75、約70、約65、約60、約55、約50、約45、約40、約35、約30、約25、約20、約19、約18、約17、約16、約15、約14、約13、約12、約11、約10、約9、約8、約7、約6、約5、約4、約3、または約2アミノ酸長未満であり得る。
【0097】
実施形態では、リンカーは、柔軟性である。
【0098】
実施形態では、リンカーは、剛性である。
【0099】
実施形態では、リンカーは、実質的にグリシン及びセリン残基からなる(例えば、約30%、または約40%、または約50%、または約60%、または約70%、または約80%、または約90%、または約95%、または約97%、または約98%、または約99%、または約100%のグリシン及びセリン)。
【0100】
実施形態では、リンカーは、抗体(例えば、サブクラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、及びIgG4、ならびにIgA1、及びIgA2)を含むIgG、IgA、IgD、及びIgE)のヒンジ領域を含む。IgG、IgA、IgD、及びIgEクラス抗体に見られるヒンジ領域は、柔軟なスペーサーとして機能し、Fab部分が空間内を自由に移動することを可能とする。定常領域とは対照的に、ヒンジドメインは、構造的に多様であり、免疫グロブリンクラス及びサブクラス間で配列及び長さの両方が異なる。例えば、ヒンジ領域の長さ及び柔軟性は、IgGサブクラス間で異なる。IgG1のヒンジ領域はアミノ酸216~231を包括し、自由に柔軟であるため、Fab断片はその対称軸を中心に回転し、2つの重鎖間ジスルフィド架橋の第1の中心にある球内を移動できる。IgG2は、IgG1よりも短いヒンジを有し、12個のアミノ酸残基及び4個のジスルフィド架橋を有する。IgG2のヒンジ領域は、グリシン残基を欠いており、比較的短く、余分な重鎖間ジスルフィド架橋によって安定化された剛性のポリプロリン二重らせんを含む。これらの特性は、IgG2分子の柔軟性を制限する。IgG3は、62個のアミノ酸(21個のプロリン及び11個のシステインを含む)を含み、柔軟性がないポリプロリン二重らせんを形成する、その固有の拡張ヒンジ領域(IgG1ヒンジの約4倍の長さ)が他のサブクラスと異なる。IgG3では、Fab断片は、Fc断片から比較的離れているため、分子の柔軟性が高まる。IgG3における細長いヒンジは、他のサブクラスと比較してその高分子量の原因でもある。IgG4のヒンジ領域は、IgG1よりも短く、その柔軟性は、IgG1及びIgG2の中間である。ヒンジ領域の柔軟性は、IgG3>IgG1>IgG4>IgG2の順に減少すると報告されている。実施形態では、リンカーは、ヒトIgG4に由来し、二量体形成(S228Pを含む)またはFcRn結合を増強するための1つ以上の変異を含み得る。
【0101】
結晶学的研究によると、免疫グロブリンヒンジ領域は、機能的に、上部ヒンジ領域、コア領域、及び下部ヒンジ領域の3つの領域にさらに細分することができる。Shin et al.,1992 Immunological Reviews130:87を参照されたい。上部ヒンジ領域には、CH1のカルボキシル末端から、動きを制限するヒンジにおける第1の残基、通常は2つの重鎖間に鎖間ジスルフィド結合を形成する第1のシステイン残基までのアミノ酸が含まれる。上部ヒンジ領域の長さは、抗体のセグメントの柔軟性と相関する。コアヒンジ領域には、重鎖間ジスルフィド架橋が含まれ、下部ヒンジ領域には、CH2ドメインのアミノ末端と結合し、CH2の残基が含まれる。(同上。)野生型ヒトIgG1のコアヒンジ領域は、配列CPPC(配列番号24)を含み、これは、ジスルフィド結合形成によって二量体化されると、回転軸として作用すると考えられる環状オクタペプチドをもたらし、したがって柔軟性が与えられる。実施形態では、本発明のリンカーは、任意の抗体(例えば、サブクラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、及びIgG4、ならびにIgA1、及びIgA2)を含むIgG、IgA、IgD、及びIgE)の上部ヒンジ領域、コア領域、及び下部ヒンジ領域のうちの1つ、2つ、または3つを含む。ヒンジ領域はまた、1つ以上のグリコシル化部位を含み得、これは、炭水化物付着のためのいくつかの構造的に異なる種類の部位を含む。例えば、IgA1は、ヒンジ領域の17個のアミノ酸セグメント内に5つのグリコシル化部位を含み、分泌型免疫グロブリンにとって有利な特性と考えられる、腸のプロテアーゼに対するヒンジ領域ポリペプチドの抵抗性を付与する。実施形態では、本発明のリンカーは、1つ以上のグリコシル化部位を含む。
【0102】
実施形態では、リンカーは、抗体(例えば、サブクラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、及びIgG4、ならびにIgA1、及びIgA2)を含むIgG、IgA、IgD、及びIgE)のFcドメインを含む。
【0103】
本発明のキメラタンパク質、及び/または本発明の方法で使用されるキメラタンパク質では、リンカーは、IgG4に由来するヒンジ-CH2-CH3 Fcドメインを含む。実施形態では、リンカーは、ヒトIgG4に由来するヒンジ-CH2-CH3 Fcドメインを含む。実施形態では、リンカーは、配列番号1~配列番号3のいずれか1つのアミノ酸配列と少なくとも95%同一である、例えば、配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含む。実施形態では、リンカーは、1つ以上の結合リンカーを含み、かかる結合リンカーは独立して、配列番号4~配列番号50(またはそのバリアント)から選択される。実施形態では、リンカーは、2つ以上の結合リンカーを含み、各結合リンカーは独立して、配列番号4~配列番号50(またはそのバリアント)から選択され、一方の結合リンカーは、ヒンジ-CH2-CH3 Fcドメインに対してN末端であり、他方の結合リンカーは、ヒンジ-CH2-CH3 Fcドメインに対してC末端である。
【0104】
実施形態では、リンカーは、ヒトIgG1抗体に由来するヒンジ-CH2-CH3 Fcドメインを含む。実施形態では、Fcドメインは、新生児Fc受容体(FcRn)に対して増加した親和性及び増強した結合を示す。実施形態では、Fcドメインは、FcRnに対する親和性を増加させ、FcRnとの結合を増強する1つ以上の変異を含む。理論に拘束されることを望まないが、FcRnとの増加した親和性及び増強した結合は、本発明のキメラタンパク質のインビボでの半減期を増加させると考えられる。
【0105】
実施形態では、リンカーにおけるFcドメインは、アミノ酸残基250、252、254、256、308、309、311、416、428、433、もしくは434(参照により本明細書に明示的に組み込まれる、Kabat,et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,Md.(1991)の場合と同様に、Kabatの番号付けに従って)、またはそれらの同等物での1つ以上のアミノ酸置換を含む。実施形態では、アミノ酸残基250でのアミノ酸置換は、グルタミンによる置換である。実施形態では、アミノ酸残基252でのアミノ酸置換は、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、またはスレオニンによる置換である。実施形態では、アミノ酸残基254でのアミノ酸置換は、スレオニンによる置換である。実施形態では、アミノ酸残基256でのアミノ酸置換は、セリン、アルギニン、グルタミン、グルタミン酸、アスパラギン酸、またはスレオニンによる置換である。実施形態では、アミノ酸残基308でのアミノ酸置換は、スレオニンによる置換である。実施形態では、アミノ酸残基309でのアミノ酸置換は、プロリンによる置換である。実施形態では、アミノ酸残基311でのアミノ酸置換は、セリンによる置換である。実施形態では、アミノ酸残基385でのアミノ酸置換は、アルギニン、アスパラギン酸、セリン、スレオニン、ヒスチジン、リジン、アラニン、またはグリシンによる置換である。実施形態では、アミノ酸残基386でのアミノ酸置換は、スレオニン、プロリン、アスパラギン酸、セリン、リジン、アルギニン、イソロイシン、またはメチオニンによる置換である。実施形態では、アミノ酸残基387でのアミノ酸置換は、アルギニン、プロリン、ヒスチジン、セリン、スレオニン、またはアラニンによる置換である。実施形態では、アミノ酸残基389でのアミノ酸置換は、プロリン、セリン、またはアスパラギンによる置換である。実施形態では、アミノ酸残基416でのアミノ酸置換は、セリンによる置換である。実施形態では、アミノ酸残基428でのアミノ酸置換は、ロイシンによる置換である。実施形態では、アミノ酸残基433でのアミノ酸置換は、アルギニン、セリン、イソロイシン、プロリン、またはグルタミンによる置換である。実施形態では、アミノ酸残基434でのアミノ酸置換は、ヒスチジン、フェニルアラニン、またはチロシンによる置換である。
【0106】
実施形態では、Fcドメインリンカー(例えば、IgG定常領域を含む)は、アミノ酸残基252、254、256、433、434、または436(参照により本明細書に明示的に組み込まれる、Kabat,et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,Md.(1991)の場合と同様に、Kabatの番号付けに従って)での置換などの1つ以上の変異を含む。実施形態では、IgG定常領域は、トリプルM252Y/S254T/T256E変異またはYTE変異を含む。実施形態では、IgG定常領域は、トリプルH433K/N434F/Y436H変異またはKFH変異を含む。実施形態では、IgG定常領域は、YTE及びKFH変異の組み合わせを含む。
【0107】
実施形態では、リンカーは、アミノ酸残基250、253、307、310、380、428、433、434、及び435(参照により本明細書に明示的に組み込まれる、Kabat,et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,Md.(1991)の場合と同様に、Kabatの番号付けに従って)での1つ以上の変異を含むIgG定常領域を含む。例示的な変異には、T250Q、M428L、T307A、E380A、I253A、H310A、M428L、H433K、N434A、N434F、N434S、及びH435Aが含まれる。実施形態では、IgG定常領域は、M428L/N434S変異またはLS変異を含む。実施形態では、IgG定常領域は、T250Q/M428L変異またはQL変異を含む。実施形態では、IgG定常領域は、N434A変異を含む。実施形態では、IgG定常領域は、T307A/E380A/N434A変異またはAAA変異を含む。実施形態では、IgG定常領域は、I253A/H310A/H435A変異またはIHH変異を含む。実施形態では、IgG定常領域は、H433K/N434F変異を含む。実施形態では、IgG定常領域は、M252Y/S254T/T256E及びH433K/N434F変異の組み合わせを含む。
【0108】
IgG定常領域における追加の例示的な変異は、例えば、Robbie,et al.,Antimicrobial Agents and Chemotherapy(2013),57(12):6147-6153、Dall’Acqua et al.,JBC(2006),281(33):23514-24、Dall’Acqua et al.,Journal of Immunology(2002),169:5171-80、Ko et al.Nature(2014)514:642-645、Grevys et al.Journal of Immunology.(2015),194(11):5497-508、及び米国特許第7,083,784号に記載されており、その全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0109】
例示的なFc安定化変異体は、S228Pである。例示的なFc半減期延長変異体は、T250Q、M428L、V308T、L309P、及びQ311Sであり、本発明のリンカーは、これらの変異体の1つ、2つ、3つ、4つ、または5つを含み得る。
【0110】
実施形態では、キメラタンパク質は、高い親和性でFcRnと結合する。実施形態では、キメラタンパク質は、約1nM~約80nMのKでFcRnと結合し得る。例えば、キメラタンパク質は、約1nM、約2nM、約3nM、約4nM、約5nM、約6nM、約7nM、約8nM、約9nM、約10nM、約15nM、約20nM、約25nM、約30nM、約35nM、約40nM、約45nM、約50nM、約55nM、約60nM、約65nM、約70nM、約71nM、約72nM、約73nM、約74nM、約75nM、約76nM、約77nM、約78nM、約79nM、または約80nMのKでFcRnと結合し得る。実施形態では、キメラタンパク質は、約9nMのKでFcRnと結合し得る。実施形態では、キメラタンパク質は、エフェクター機能を有する他のFc受容体(すなわち、FcRn以外)と実質的に結合しない。
【0111】
実施形態では、リンカーにおけるFcドメインは、配列番号1(以下の表1を参照されたい)、またはそれと少なくとも90%、または93%、または95%、または97%、または98%、または99%同一性のアミノ酸配列を有する。実施形態では、変異は、安定性及び/または半減期を増加させるために、配列番号1に対して作製される。例えば、実施形態では、リンカーにおけるFcドメインは、配列番号2(以下の表1を参照されたい)、またはそれと少なくとも90%、または93%、または95%、または97%、または98%、または99%同一性のアミノ酸配列を含む。例えば、実施形態では、リンカーにおけるFcドメインは、配列番号3(以下の表1を参照されたい)、またはそれと少なくとも90%、または93%、または95%、または97%、または98%、または99%同一性のアミノ酸配列を含む。
【0112】
さらに、1つ以上の結合リンカーは、リンカーにおけるFcドメイン(例えば、配列番号1、配列番号2、配列番号3、またはそれと少なくとも90%、または93%、または95%、または97%、または98%、または99%同一性であるもののうちの1つ)及び細胞外ドメインを接続するために使用され得る。例えば、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、またはそのバリアントのうちのいずれか1つが、本明細書に開示される細胞外ドメイン、及び本明細書に開示されるリンカーにおけるFcドメインを接続し得る。任意で、配列番号4~配列番号50、またはそのバリアントのうちのいずれか1つは、本明細書に開示される細胞外ドメインと本明細書に開示されるFcドメインとの間に位置する。
【0113】
実施形態では、本発明のキメラタンパク質は、以下の表1に開示される結合リンカーのバリアントを含み得る。例えば、リンカーは、配列番号4~配列番号50のうちのいずれか1つのアミノ酸配列と少なくとも約60%、または少なくとも約61%、または少なくとも約62%、または少なくとも約63%、または少なくとも約64%、または少なくとも約65%、または少なくとも約66%、または少なくとも約67%、または少なくとも約68%、または少なくとも約69%、または少なくとも約70%、または少なくとも約71%、または少なくとも約72%、または少なくとも約73%、または少なくとも約74%、または少なくとも約75%、または少なくとも約76%、または少なくとも約77%、または少なくとも約78%、または少なくとも約79%、または少なくとも約80%、または少なくとも約81%、または少なくとも約82%、または少なくとも約83%、または少なくとも約84%、または少なくとも約85%、または少なくとも約86%、または少なくとも約87%、または少なくとも約88%、または少なくとも約89%、または少なくとも約90%、または少なくとも約91%、または少なくとも約92%、または少なくとも約93%、または少なくとも約94%、または少なくとも約95%、または少なくとも約96%、または少なくとも約97%、または少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を有し得る。
【0114】
実施形態では、第1及び第2の結合リンカーは異なっていてもよく、またはそれらは同じであってもよい。
【0115】
理論に拘束されることを望まないが、キメラタンパク質においてFcドメインの少なくとも一部を含むリンカーを含めることは、不溶性であり、非機能性の可能性のあるタンパク質連結オリゴマー及び/または凝集体の形成を回避する助けとなる。これは、キメラタンパク質間にジスルフィド結合を形成することが可能であるFcドメイン内にシステインが存在するためである。
【0116】
実施形態では、キメラタンパク質は、本明細書に開示されるように、1つ以上の結合リンカーを含み得、本明細書に開示されるように、Fcドメインリンカーを欠き得る。
【0117】
実施形態では、第1及び/または第2の結合リンカーは独立して、配列番号4~配列番号50のアミノ酸配列から選択され、以下の表1に提供される:
【0118】
【表1-1】
【0119】
【表1-2】
【0120】
実施形態では、結合リンカーは、実質的にグリシン及びセリン残基を含む(例えば、約30%、または約40%、または約50%、または約60%、または約70%、または約80%、または約90%、または約95%、または約97%、または約98%、または約99%、または約100%のグリシン及びセリン)。例えば、実施形態では、結合リンカーは、(GlySer)であり、ここで、nは、約1~約8、例えば、1、2、3、4、5、6、7、または8(配列番号25~配列番号32のそれぞれ)である。実施形態では、結合リンカー配列は、GGSGGSGGGGSGGGGS(配列番号33)である。追加の例示的な結合リンカーには、限定されないが、配列LE、(EAAAK)(n=1~3)(配列番号36~配列番号38)、A(EAAAK)A(n=2~5)(配列番号39~配列番号42)、A(EAAAK)ALEA(EAAAK)A(配列番号43)、PAPAP(配列番号44)、KESGSVSSEQLAQFRSLD(配列番号45)、GSAGSAAGSGEF(配列番号46)、及びXが、例えば、Ala、Lys、またはGluなどの任意のアミノ酸を示す、(XP)を有するリンカーが含まれる。実施形態では、結合リンカーは、GGSである。実施形態では、結合リンカーは、配列(Gly)を有し、ここで、nは、1~100の任意の数、例えば、(Gly)(配列番号34)及び(Gly)(配列番号35)である。
【0121】
実施形態では、結合リンカーは、GGGSE(配列番号47)、GSESG(配列番号48)、GSEGS(配列番号49)、GEGGSGEGSSGEGSSSEGGGSEGGGSEGGGSEGGS(配列番号50)、ならびに4アミノ酸間隔ごとにランダムに配置されるG、S、及びEの結合リンカーのうちの1つ以上である。
【0122】
実施形態では、キメラタンパク質は、TIM-3の細胞外ドメイン(ECD)、Fcドメインに先行する1つの結合リンカー、Fcドメインに続く第2の結合リンカー、及びCD40LのECDまたはOX40LのECDを含み、キメラタンパク質は、以下の構造を含み得る:
TIM-3のECD-結合リンカー1-Fcドメイン-結合リンカー2-
CD40LまたはOX40LのECD。
【0123】
第1の結合リンカー、Fcドメインリンカー、及び第2の結合リンカーの組み合わせは、本明細書において「モジュラーリンカー」と称される。実施形態では、キメラタンパク質は、表2に示されるようなモジュラーリンカーを含む。
【0124】
【表2-1】
【0125】
【表2-2】
【0126】
【表2-3】
【0127】
【表2-4】
【0128】
【表2-5】
【0129】
【表2-6】
【0130】
実施形態では、本発明のキメラタンパク質は、上記の表2に開示されるモジュラーリンカーのバリアントを含み得る。例えば、リンカーは、配列番号51~配列番号56のうちのいずれか1つのアミノ酸配列と少なくとも約60%、または少なくとも約61%、または少なくとも約62%、または少なくとも約63%、または少なくとも約64%、または少なくとも約65%、または少なくとも約66%、または少なくとも約67%、または少なくとも約68%、または少なくとも約69%、または少なくとも約70%、または少なくとも約71%、または少なくとも約72%、または少なくとも約73%、または少なくとも約74%、または少なくとも約75%、または少なくとも約76%、または少なくとも約77%、または少なくとも約78%、または少なくとも約79%、または少なくとも約80%、または少なくとも約81%、または少なくとも約82%、または少なくとも約83%、または少なくとも約84%、または少なくとも約85%、または少なくとも約86%、または少なくとも約87%、または少なくとも約88%、または少なくとも約89%、または少なくとも約90%、または少なくとも約91%、または少なくとも約92%、または少なくとも約93%、または少なくとも約94%、または少なくとも約95%、または少なくとも約96%、または少なくとも約97%、または少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を有し得る。
【0131】
実施形態では、リンカーは、高い柔軟性であることを含むがこれに限定されない柔軟性であり得る。実施形態では、リンカーは、剛性アルファヘリックスを含むがこれに限定されない剛性であり得る。例示的な結合リンカーの特徴を以下の表3に示す。
【0132】
【表3】
【0133】
実施形態では、リンカーは、機能性であり得る。例えば、限定されないが、リンカーは、本発明のキメラタンパク質の折り畳み及び/または安定性を改善し、発現を改善し、薬物動態を改善し、及び/または生物活性を改善するように機能し得る。別の例では、リンカーは、キメラタンパク質を特定の細胞型または位置に標的化するように機能し得る。
【0134】
実施形態では、キメラタンパク質は、1つの結合リンカーのみを含む。
【0135】
実施形態では、キメラタンパク質は、結合リンカーを欠く。
【0136】
実施形態では、リンカーは、ポリエチレングリコール(PEG)などの合成リンカーである。
【0137】
実施形態では、キメラタンパク質は、そのリガンド/受容体と立体的に結合することが可能である第1のドメイン、及び/またはそのリガンド/受容体と立体的に結合することが可能である第2のドメインを有する。したがって、細胞外ドメインのリガンド/受容体結合ドメインがそのリガンド/受容体の結合を立体的に妨げられないように、キメラタンパク質及び/または細胞外ドメイン(またはその一部)と残りのキメラタンパク質との間の物理的距離に十分な全体的な柔軟性がある。この柔軟性及び/または物理的距離(「緩み」と称される)は通常、細胞外ドメイン(複数可)に存在し、通常はリンカーに存在し、及び/または通常はキメラタンパク質に(全体として)存在し得る。代替的にまたは追加的に、アミノ酸配列(例えば)は、立体障害を回避するために必要な緩みを提供するために、1つ以上の細胞外ドメイン及び/またはリンカーに追加され得る。緩みを提供する任意のアミノ酸配列が追加され得る。実施形態では、追加されるアミノ酸配列は、配列(Gly)を含み、ここで、nは、1~100の任意の数である。追加可能なアミノ酸配列の追加の例には、表1及び表3に記載される結合リンカーが含まれる。実施形態では、ポリエチレングリコール(PEG)リンカーは、立体障害を回避するために必要な緩みを提供するために、細胞外ドメインとリンカーとの間に追加され得る。かかるPEGリンカーは、当技術分野において周知である。
【0138】
実施形態では、本発明のキメラタンパク質、及び/または本発明の方法で使用されるキメラタンパク質は、TIM-3の細胞外ドメイン(またはそのバリアント)、リンカー、及びCD40Lの細胞外ドメイン(またはそのバリアント)を含む。実施形態では、リンカーは、例えば、ヒトIgG1またはIgG4を含むIgG1からまたはIgG4からのヒンジCH2-CH3 Fcドメインを含む。したがって、実施形態では、本発明のキメラタンパク質、及び/または本発明の方法で使用されるキメラタンパク質は、TIM-3の細胞外ドメイン(またはそのバリアント)、ヒンジ-CH2-CH3 Fcドメインを含むリンカー、及びCD40Lの細胞外ドメイン(またはそのバリアント)を含む。かかるキメラタンパク質は、本明細書において「TIM-3-Fc-CD40L」と称される。
【0139】
実施形態では、本発明のキメラタンパク質、及び/または本発明の方法で使用されるキメラタンパク質は、TIM-3の細胞外ドメイン(またはそのバリアント)、リンカー、及びOX40Lの細胞外ドメイン(またはそのバリアント)を含む。実施形態では、リンカーは、例えば、ヒトIgG1またはIgG4を含む、IgG1からまたはIgG4からのヒンジCH2-CH3 Fcドメインを含む。したがって、実施形態では、本発明のキメラタンパク質、及び/または本発明の方法で使用されるキメラタンパク質は、TIM-3の細胞外ドメイン(またはそのバリアント)、ヒンジ-CH2-CH3 Fcドメインを含むリンカー、及びOX40Lの細胞外ドメイン(またはそのバリアント)を含む。かかるキメラタンパク質は、本明細書において「TIM-3-Fc-OX40L」と称される。
【0140】
疾患、治療法、及び作用機序
本明細書に開示されるキメラタンパク質は、がんの治療及び/または炎症性疾患の治療に使用され得る。
【0141】
本発明の態様は、がんを治療する方法を提供する。本方法は、有効量の本明細書に開示されるようなキメラタンパク質を含む薬学的組成物を、それを必要とする対象に投与するステップを含む。
【0142】
免疫応答を強化するため、例えば、患者の抗腫瘍免疫応答を増強するために免疫刺激シグナル伝達を増強することが多くの場合に所望される。
【0143】
実施形態では、本発明のキメラタンパク質、及び/または本発明の方法で使用されるキメラタンパク質は、例えば、検出及び/または破壊を回避しようと試みるがん細胞に由来する免疫阻害シグナルの伝達を妨害、遮断、減少、阻害、及び/または隔離するTIM-3の細胞外ドメイン、ならびに抗がん免疫細胞への免疫刺激シグナルの伝達を増強、増加、及び/または刺激するCD40Lの細胞外ドメインまたはOX40Lの細胞外ドメインを含む。したがって、TIM-3の細胞外ドメインの、そのリガンド/受容体との同時結合、及びCD40LまたはOX40Lの細胞外ドメインの、その受容体との結合は、がん細胞からの免疫抑制シグナルの伝達を防止し、免疫系細胞における免疫活性を刺激するであろう。言い換えれば、本発明のキメラタンパク質及び/または本発明の方法で使用されるキメラタンパク質は、2つの異なるメカニズムを介してがんを治療することが可能である。
【0144】
実施形態では、本発明は、がん及び/または腫瘍に関する、例えば、がん及び/または腫瘍の治療または予防に関する。本明細書の他の箇所に開示されるように、がんの治療は、実施形態では、免疫刺激シグナルを増加または活性化することに有利になるように、本発明のキメラタンパク質を用いて免疫系を調節することを伴う。実施形態では、方法は、未治療の対象、またはTIM-3、CD40L、OX40L、及び/またはそれらのそれぞれのリガンドもしくは受容体に指向する抗体により治療された対象と比較して、制御性T細胞(Treg)の量または活性を減少させる。実施形態では、方法は、未治療の対象、またはTIM-3、CD40L、OX40L、及び/またはそれらのそれぞれのリガンドもしくは受容体に指向する抗体により治療された対象と比較して、対象の流入領域リンパ節におけるエフェクターT細胞のプライミングを増加させる。実施形態では、方法は、未治療の対象、またはTIM-3、CD40L、OX40L、及び/またはそれらのそれぞれのリガンドもしくは受容体に指向する抗体により治療された対象と比較して、免疫抑制細胞の全体的な低減、及びより炎症性の腫瘍環境への移行をもたらす。
【0145】
実施形態では、本発明のキメラタンパク質は、免疫応答の振幅を調節すること、例えば、エフェクター出力のレベルを調節することが可能であるか、またはそれを含む方法で使用することができる。実施形態では、例えば、がんの治療に使用される場合、本発明のキメラタンパク質は、免疫阻害と比較して免疫刺激の程度を改変し、サイトカイン産生、増殖、または標的を殺傷する潜在性のレベルの増加を刺激することを含むが、これらに限定されないT細胞応答の振幅を増加させる。実施形態では、患者のT細胞は、キメラタンパク質によって、活性化及び/または刺激され、活性化T細胞がサイトカインを分離及び/または分泌することを可能とする。
【0146】
がんまたは腫瘍は、細胞の非制御な成長及び/または細胞生存の異常な増加及び/または身体の器官及びシステムの正常な機能を妨げるアポトーシスの阻害を指す。良性及び悪性がん、ポリープ、過形成、ならびに休止状態の腫瘍または微小転移巣が含まれる。また、免疫系によって妨げられない異常な増殖を有する細胞(例えば、ウイルス感染細胞)も含まれる。がんは、原発性癌または転移性癌であり得る。原発性癌は、臨床的に検出可能となる発生部位での領域のがん細胞であり得、原発性腫瘍であり得る。対照的に、転移性癌は、ある器官または部分から別の隣接していない器官または部分への疾患の拡散であり得る。転移性癌は、局所領域の周囲の正常組織に浸透して浸潤する能力を獲得し、局所転移であり得る新しい腫瘍を形成するがん細胞によって引き起こされ得る。がんはまた、リンパ管及び/または血管の壁を貫通する能力を獲得するがん細胞によって引き起こされ得、その後、がん細胞は血流を通して循環し(それによって循環腫瘍細胞となる)、体内の他の部位及び組織に循環することが可能である。がんは、リンパ系または血行性拡散などのプロセスが原因となり得る。がんはまた、別の部位で静止し、管または壁を通って再浸透し、増殖し続け、別の臨床的に検出可能な腫瘍を最終的に形成する腫瘍細胞によって引き起こされ得る。がんは、この新しい腫瘍であり得、転移性(または続発性)腫瘍であり得る。
【0147】
がんは、転移した腫瘍細胞によって引き起こされ得、これは続発性または転移性腫瘍であり得る。腫瘍の細胞は、元の腫瘍のものの様であり得る。例として、乳癌または結癌が肝臓に転移した場合、二次腫瘍は肝臓に存在するが、異常な肝臓細胞ではなく、異常な乳癌または結腸細胞で構成される。したがって、肝臓における腫瘍は、肝臓癌ではなく、転移性乳癌または転移性結腸癌であり得る。
【0148】
がんは、任意の組織が起源であり得る。がんは、黒色腫、結腸、乳房、または前立腺起源であり得、したがって、がんは、元々皮膚、結腸、乳房、または前立腺組織であった細胞をそれぞれ含み得る。がんはまた、白血病またはリンパ腫であり得る、血液学的悪性腫瘍であり得る。がんは、肝臓、肺、膀胱、腸などの組織に浸潤し得る。
【0149】
本発明の代表的ながん及び/または腫瘍には、限定されないが、基底細胞癌、胆道癌、膀胱癌、骨癌、脳及び中枢神経系癌、乳癌、腹膜の癌、子宮頸癌、絨毛癌、大腸癌、結合組織癌、消化器系の癌、子宮内膜癌、食道癌、眼癌、頭頸部癌、胃癌(gastric cancer)(胃腸癌を含む)、神経膠芽腫、肝癌、肝細胞腫、上皮内腫瘍、腎臓もしくは腎癌、喉頭癌、白血病、肝臓癌、肺癌(例えば、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、肺腺癌、及び肺扁平上皮癌)、黒色腫、骨髄腫、神経芽細胞腫、口腔癌(唇、舌、口、及び咽頭)、卵巣癌、膵癌、前立腺癌、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫、直腸癌、呼吸器系の癌、唾液腺癌、肉腫、皮膚癌、扁平上皮癌、胃癌(stomach cancer)、精巣癌、甲状腺癌、子宮もしくは子宮内膜癌、泌尿器系の癌、外陰癌、ホジキン及び非ホジキンリンパ腫、ならびにB細胞リンパ腫を含むリンパ腫(低悪性度/濾胞性非ホジキンリンパ腫(NHL)、小リンパ球性(SL)NHL、中悪性度/濾胞性NHL、中悪性度びまん性NHL、高悪性度免疫芽球性NHL、高悪性度リンパ芽球性NHL、高悪性度小型非分割細胞NHL、巨大腫瘤病変性NHL、マントル細胞リンパ腫、エイズ関連リンパ腫、及びワルデンストレーム高ガンマグロブリン血症、慢性リンパ性白血病(CLL)、急性リンパ性白血病(ALL)、ヘアリーセル白血病、慢性骨髄芽球性白血病を含む)、ならびに他の癌腫及び肉腫、及び移植後リンパ増殖性障害(PTLD)、ならびに母斑症、浮腫に関連する異常な血管増殖(脳腫瘍に関連するものなど)、及びメグズ症候群が含まれる。
【0150】
実施形態では、キメラタンパク質は、治療抵抗性癌を有する対象を治療するために使用される。実施形態では、キメラタンパク質は、1つ以上の免疫調節剤に対して抵抗性である対象を治療するために使用される。例えば、実施形態では、キメラタンパク質を使用して、約12週間の治療後、治療に応答しない、または進展しない対象を治療する。例えば、実施形態では、対象は、PD-1及び/またはPD-L1及び/またはPD-L2剤に抵抗性であり、例えば、ニボルマブ(ONO-4538/BMS-936558、MDX1106、OPDIVO、BRISTOL MYERS SQUIBB)、ペンブロリズマブ(KEYTRUDA、MERCK)、ピディリズマブ(CT-011、CURE TECH)、MK-3475(MERCK)、BMS 936559(BRISTOL MYERS SQUIBB)、イブルチニブ(PHARMACYCLICS/ABBVIE)、アテゾリズマブ(TECENTRIQ、GENENTECH)、及び/またはMPDL328OA(ROCHE)抵抗性患者(例えば、黒色腫患者)が含まれる。例えば、実施形態では、対象は、抗CTLA-4剤に抵抗性であり、例えば、イピリムマブ(YERVOY)抵抗性患者(例えば、黒色腫患者)である。したがって、実施形態では、本発明は、1つ以上の免疫調節剤の単剤療法を含む、様々な療法に非応答性である患者を救済するがん治療の方法を提供する。
【0151】
実施形態では、本発明は、腫瘍微小環境内の細胞または組織を標的とするキメラタンパク質を提供する。実施形態では、腫瘍微小環境内の細胞または組織は、キメラタンパク質の1つ以上の標的または結合パートナーを発現する。腫瘍微小環境は、腫瘍が存在する細胞、分泌タンパク質、生理学的小分子、及び血管を含む細胞環境を指す。実施形態では、腫瘍微小環境内の細胞または組織は、腫瘍血管系、腫瘍浸潤リンパ球、線維芽細網細胞、内皮前駆細胞(EPC)、がん関連線維芽細胞、周皮細胞、他の間質細胞、細胞外マトリックス(ECM)の成分、樹状細胞、抗原提示細胞、T細胞、制御性T細胞、マクロファージ、好中球、及び腫瘍の近位に位置する他の免疫細胞のうちの1つ以上である。実施形態では、本発明のキメラタンパク質は、がん細胞を標的とする。実施形態では、がん細胞は、キメラタンパク質の1つ以上の標的または結合パートナーを発現する。
【0152】
実施形態では、本発明の方法は、追加の薬剤に抵抗性である患者において、キメラタンパク質による治療を提供し、本明細書の他の場所に開示されているかかる「追加の薬剤」は、本明細書に開示される様々な化学療法剤を含むがこれに限定されない。
【0153】
制御性T細胞の活性化は、共刺激及び共抑制性シグナルによって決定的に影響を受ける。共刺激分子の2つの主要なファミリーには、B7及び腫瘍壊死因子(TNF)ファミリーが含まれる。これらの分子は、それぞれCD28またはTNF受容体ファミリーに属するT細胞上の受容体と結合する。多くの明確に定義された共阻害剤及びその受容体は、B7及びCD28ファミリーに属する。
【0154】
実施形態では、免疫刺激シグナルは、免疫応答を増強するシグナルを指す。例えば、腫瘍学の脈絡では、かかるシグナルは、抗腫瘍免疫を強化し得る。例えば、限定されないが、免疫刺激シグナルは、白血球の増殖、サイトカイン産生、殺傷活性、または食作用活性を直接的に刺激することによって特定され得る。詳細な例には、受容体アゴニスト抗体またはかかる受容体(OX40L、LIGHT、CD70、CD30L、4-1BBL、TL1Aのそれぞれ)のリガンドを含むキメラタンパク質のいずれかを使用する、OX40、LTbR、CD27、CD30、4-1BB、またはTNFRSF25などのTNFスーパーファミリー受容体の直接的な刺激が含まれる。これらの受容体のうちのいずれか1つからの刺激は、個々のT細胞サブセットの増殖及びサイトカイン産生を直接的に刺激し得る。これには、CD4+及び/またはCD8+T細胞の表面上でのOX40、ならびにOX40アゴニスト抗体またはOX40Lを含むキメラタンパク質を使用する複数のリンパ球及び非リンパ球のシミュレーションが含まれ、少なくとも、後期共刺激シグナルの伝達を引き起こし、活性化T細胞の生存及び増殖を促進し、免疫応答を延長する。別の例には、かかる免疫抑制細胞の活性を阻害する受容体を介した免疫阻害細胞の直接的な刺激が含まれる。これには、例えば、GITRアゴニスト抗体またはキメラタンパク質を含むGITRLによるCD4+FoxP3+制御性T細胞の刺激が含まれ、これは、制御性T細胞が、従来のCD4+またはCD8+T細胞の増殖を抑制する能力を減少させる。別の例では、これには、CD40アゴニスト抗体またはCD40Lを含むキメラタンパク質を使用する抗原提示細胞の表面上でのCD40の刺激が含まれ、B7またはTNFスーパーファミリーにおけるものを含む適切な天然共刺激分子との関連で抗原を提示するそれらの細胞の増強された能力を含む抗原提示細胞の活性化を引き起こす。別の例では、これには、キメラタンパク質を含むLIGHTを使用するリンパ球または間質細胞の表面上でのLTBRの刺激が含まれ、リンパ系細胞の活性化及び/または炎症誘発性サイトカインもしくはケモカインの産生を引き起こし、任意に腫瘍内で免疫応答をさらに刺激する。
【0155】
実施形態では、本発明のキメラタンパク質は、免疫調節を増強、回復、促進、及び/または刺激することが可能であるか、またはそれらを含む方法での使用を見出す。実施形態では、本明細書に開示される本発明のキメラタンパク質は、T細胞、細胞傷害性Tリンパ球、Tヘルパー細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、ナチュラルキラーT(NKT)細胞、抗腫瘍マクロファージ(例えば、M1マクロファージ)、B細胞、及び樹状細胞を含むがこれらに限定されない腫瘍細胞に指向する1つ以上の免疫細胞の活性または活性化を回復、促進、及び/または刺激する。実施形態では、本発明のキメラタンパク質は、非限定的な例として、生存促進シグナル、オートクリンもしくはパラクリン成長シグナル、p38 MAPK、ERK、STAT、JAK、AKT、もしくはPI3Kを媒介したシグナル、抗アポトーシスシグナル、及び/または炎症誘発性サイトカイン産生もしくはT細胞遊走もしくはT細胞腫瘍浸潤のうちの1つ以上を促進する及び/または必要とするシグナルを含む、1つ以上のT細胞固有シグナルを活性化及び/または刺激することを含む、T細胞の活性及び/または活性化を増強、回復、促進、及び/または刺激する。
【0156】
実施形態では、本発明のキメラタンパク質は、腫瘍または腫瘍微小環境へのT細胞(限定されないが、細胞傷害性Tリンパ球、Tヘルパー細胞、ナチュラルキラーT(NKT)細胞を含む)、B細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、ナチュラルキラーT(NKT)細胞、樹状細胞、単球、及びマクロファージ(例えば、M1及びM2のうちの1つ以上)のうちの1つ以上の増加を引き起こすことが可能であるか、またはそれらを含む方法での使用を見出す。実施形態では、キメラタンパク質は、CD8+T細胞、特に腫瘍微小環境に浸潤しているそれらのT細胞による腫瘍抗原の認識を増強する。実施形態では、本発明のキメラタンパク質は、CD19発現を誘導する、及び/またはCD19陽性細胞(例えば、CD19陽性B細胞)の数を増加させる。実施形態では、本発明のキメラタンパク質は、IL-15Rα発現を誘導する、及び/またはIL-15Rα陽性細胞(例えば、IL-15Rα陽性樹状細胞)の数を増加させる。
【0157】
実施形態では、本発明のキメラタンパク質は、特に腫瘍及び/または腫瘍微小環境(TME)内で、免疫抑制細胞(例えば、骨髄由来サプレッサー細胞(MDSC)、制御性T細胞(Treg)、腫瘍関連好中球(TAN)、M2マクロファージ、及び腫瘍関連マクロファージ(TAM))の低減を阻害及び/または引き起こすことが可能であるか、またはそれらを含む方法での使用を見出す。実施形態では、本療法は、腫瘍部位及び/またはTMEにおけるM1対M2マクロファージの比率を改変し、M1マクロファージを支持することができる。
【0158】
実施形態では、本発明のキメラタンパク質は、IFNγ、TNFα、IL-2、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-9、IL-10、IL-13、IL-15、IL-17A、IL-17F、IL-22、CCL2、CCL3、CCL4、CXCL8、CXCL9、CXCL10、CXCL11、及びCXCL12のうちの1つ以上を含むがこれらに限定されない様々なサイトカインまたはケモカインの血清レベルを増加させることが可能である。実施形態では、本発明のキメラタンパク質は、治療対象の血清中のIL-2、IL-4、IL-5、IL-10、IL-13、IL-17A、IL-22、TNFα、またはIFNγを増強することが可能である。実施形態では、本発明のキメラタンパク質を投与することは、TNFα分泌を増強することが可能である。特定の実施形態では、本発明のキメラタンパク質を投与することは、白血球によるスーパー抗原を媒介したTNFα分泌を増強することが可能である。かかるサイトカイン応答の検出は、示されるキメラタンパク質のための最適な投与レジメンを決定するための方法を提供し得る。
【0159】
本発明のキメラタンパク質、及び/または本発明の方法で使用されるキメラタンパク質では、キメラタンパク質は、CD4+及び/またはCD8+T細胞の亜集団の低減を増加または防止することが可能である。
【0160】
本発明のキメラタンパク質、及び/または本発明の方法で使用されるキメラタンパク質では、キメラタンパク質は、T細胞による腫瘍殺傷活性を増強することが可能である。
【0161】
実施形態では、本発明のキメラタンパク質は、抗腫瘍CD8+及び/またはCD4+T細胞の細胞死を阻害、遮断、及び/または減少させる、あるいは腫瘍誘導性T細胞の細胞死を刺激、誘導、及び/または増加させる。T細胞枯渇は、増殖及びエフェクター機能の進行性の喪失を特徴とするT細胞機能不全の状態であり、クローン欠失に至る。したがって、腫瘍誘導性T細胞は、多くの慢性感染症、炎症性疾患、及びがんの間に生じるT細胞機能不全の状態を指す。この機能不全は、機能的エフェクターまたはメモリーT細胞とは異なる不十分な増殖、及び/またはエフェクター機能、阻害性受容体の持続的発現、及び転写状態によって定義される。消耗は、感染及び腫瘍の最適な制御を妨げる。例示的な腫瘍誘導性T細胞には、限定されないが、Treg、1つ以上のチェックポイント阻害性受容体を発現するCD4+及び/またはCD8+T細胞、Th2細胞、ならびにTh17細胞が含まれる。チェックポイント阻害性受容体は、非制御な免疫応答を防止または阻害する免疫細胞に発現する受容体を指す。対照的に、抗腫瘍CD8+及び/またはCD4+T細胞は、腫瘍に対する免疫応答を開始できるT細胞を指す。
【0162】
実施形態では、本発明のキメラタンパク質は、エフェクターT細胞と制御性T細胞との比率を増加させることが可能であり、それを含む方法で使用することができる。例示的なエフェクターT細胞には、ICOSエフェクターT細胞、細胞傷害性T細胞(例えば、αβ TCR、CD3、CD8、CD45RO)、CD4エフェクターT細胞(例えば、αβ TCR、CD3、CD4、CCR7、CD62L高、IL-7R/CD127)、CD8エフェクターT細胞(例えば、αβ TCR、CD3、CD8、CCR7、CD62L高、IL-7R/CD127)、エフェクターメモリーT細胞(例えば、CD62L低、CD44、TCR、CD3、IL-7R/CD127、IL-15R、CCR7低)、セントラルメモリーT細胞(例えば、CCR7、CD62L、CD27、またはCCR7高、CD44、CD62L高、TCR、CD3、IL-7R/CD127、IL-15R)、CD62LエフェクターT細胞、初期エフェクターメモリーT細胞(CD27 CD62L)及び後期エフェクターメモリーT細胞(CD27 CD62L)(それぞれTemE及びTemL)を含むCD8エフェクターメモリーT細胞(TEM)、CD127()CD25(低/)エフェクターT細胞、CD127()CD25()エフェクターT細胞、CD8+幹細胞メモリーエフェクター細胞(TSCM)(例えば、CD44(低)CD62L(高)CD122(高)sca())、TH1エフェクターT細胞(例えば、CXCR3、CXCR6、及びCCR5、またはαβ TCR、CD3、CD4、IL-12R、IFNγR+、CXCR3+)、TH2エフェクターT細胞(例えば、CCR3+、CCR4、及びCCR8、またはαβ TCR、CD3、CD4、IL-4R、IL-33R、CCR4、IL-17RB、CRTH2)、TH9エフェクターT細胞(例えば、αβ TCR、CD3、CD4)、TH17エフェクターT細胞(例えば、αβ TCR、CD3、CD4、IL-23R、CCR6、IL-1R)、CD4CD45ROCCR7エフェクターT細胞、CD4CD45ROCCR7()エフェクターT細胞、ならびにIL-2、IL-4、及び/またはIFN-γを分泌するエフェクターT細胞が含まれる。例示的な制御性T細胞には、ICOS制御性T細胞、CD4CD25FOXP3制御性T細胞、CD4CD25制御性T細胞、CD4CD25制御性T細胞、CD4CD25高制御性T細胞、TIM-3PD-1制御性T細胞、リンパ球活性化遺伝子-3(LAG-3)制御性T細胞、CTLA-4/CD152制御性T細胞、ニューロピリン-1(Nrp-1)制御性T細胞、CCR4CCR8制御性T細胞、CD62L(L-セレクチン)制御性T細胞、CD45RB低制御性T細胞、CD127低制御性T細胞、LRRC32/GARP制御性T細胞、CD39制御性T細胞、GITR制御性T細胞、LAP制御性T細胞、1B11制御性T細胞、BTLA制御性T細胞、1型制御性T細胞(Tr1細胞)、Tヘルパー3型(Th3)細胞、ナチュラルキラーT細胞表現型(NKTreg)の制御性細胞、CD8制御性T細胞、CD8CD28制御性T細胞、及び/またはIL-10、IL-35、TGF-β、TNF-α、ガレクチン-1、IFN-γ、及び/またはMCP1を分泌する制御性T細胞が含まれる。
【0163】
実施形態では、本発明のキメラタンパク質は、エフェクターT細胞(例えば、CD4+CD25-T細胞)の増加を引き起こす。
【0164】
実施形態では、キメラタンパク質は、制御性T細胞(例えば、CD4+CD25+T細胞)の低減を引き起こす。
【0165】
実施形態では、キメラタンパク質は、再発を防止するか、もしくは動物を再発から保護すること、及び/または転移を防止するか、もしくは転移の可能性を減少させることができる記憶応答を生成する。したがって、キメラタンパク質により治療した動物は、キメラタンパク質による初期の治療後に再負荷した場合、後に腫瘍細胞を攻撃する、及び/または腫瘍発生を防ぐことが可能である。したがって、本発明のキメラタンパク質、及び/または本発明の方法で使用されるキメラタンパク質は、活性な腫瘍破壊、及びさらに腫瘍抗原の免疫認識の両方を刺激し、これらは、再発を防ぐことが可能である記憶応答をプログラミングするのに不可欠である。
【0166】
実施形態では、キメラタンパク質は、抗原提示細胞の活性化を引き起こすことが可能である。実施形態では、キメラタンパク質は、抗原提示細胞が抗原を提示する能力を増強することが可能である。
【0167】
実施形態では、本発明のキメラタンパク質は、エフェクターT細胞を約12時間、約24時間、約48時間、約72時間、または約96時間、または約1週間、または約2週間より長く一過性に刺激することが可能であり、それを含む方法で使用することができる。実施形態では、エフェクターT細胞の一過性の刺激は実質的に、患者の血流、または例えば、骨髄、リンパ節、脾臓、胸腺、粘膜関連リンパ組織(MALT)などのリンパ組織、非リンパ組織、もしくは腫瘍微小環境を含む特定の組織/位置で生じる。
【0168】
本発明のキメラタンパク質、及び/または本発明の方法で使用されるキメラタンパク質では、本発明のキメラタンパク質は予想外に、細胞外ドメイン成分のそのそれぞれの結合パートナーとの結合を遅いオフ速度(KdまたはKオフ)で提供する。実施形態では、これは、受容体とリガンド、及びその逆の予想外に長い相互作用を提供する。かかる効果は、より長い正のシグナル効果、例えば、免疫刺激シグナルの増加または活性化を可能にする。例えば、本発明のキメラタンパク質は、例えば、長いオフ速度結合を介して、免疫細胞増殖を提供するのに十分なシグナル伝達を可能とし、抗腫瘍攻撃を可能とし、刺激シグナル、例えばサイトカインの放出を提供するのに十分なシグナル伝達を可能とする。
【0169】
本発明のキメラタンパク質、及び/または本発明の方法で使用されるキメラタンパク質では、キメラタンパク質は、細胞間で安定性シナプスを形成することが可能である。キメラタンパク質によって促進される細胞の安定性シナプス(例えば、負のシグナルを保有する細胞間)は、腫瘍細胞を攻撃するようにT細胞を配置する、及び/または本発明のキメラタンパク質によって遮蔽されたものを超える負のシグナルを含む負のシグナルを腫瘍細胞が送達するのを立体的に防ぐなど、腫瘍の縮小に有利な空間的配向を提供する。実施形態では、これは、キメラタンパク質の血清半減期(t1/2)と比較して、より長い標的上の(例えば、腫瘍内)t1/2を提供する。かかる特性は、キメラタンパク質の全身的な分布に関連する標的外毒性を減少させるという複合的な利点を有する可能性がある。
【0170】
実施形態では、キメラタンパク質は、持続的な免疫調節効果を提供することが可能である。
【0171】
本発明のキメラタンパク質は、2つの免疫療法剤の部位特異的相互作用を改善できるため、相乗的な治療効果(例えば、抗腫瘍効果)を提供する。実施形態では、本発明のキメラタンパク質は、オフサイト及び/または全身的な毒性を減少させる可能性を提供する。
【0172】
実施形態では、本発明のキメラタンパク質は、増強された安全性プロファイルを示す。一実施形態では、本発明のキメラタンパク質は、減少した毒性プロファイルを示す。例えば、本発明のキメラタンパク質の投与は、下痢、炎症(例えば、腸の)、体重低下のうちの1つ以上などの副作用の減少をもたらし得、これらは、本発明のキメラタンパク質の細胞外ドメインによって標的化されるリガンド(複数可)/受容体(複数可)に指向する抗体の投与後に生じる。実施形態では、本発明のキメラタンパク質は、有効性を犠牲にすることなく、本発明のキメラタンパク質の細胞外ドメインによって標的化されるリガンド(複数可)/受容体(複数可)に指向する抗体と比較して、改善した安全性を提供する。
【0173】
実施形態では、本発明のキメラタンパク質は、現在の免疫療法、例えば、本発明のキメラタンパク質の細胞外ドメインによって標的化されるリガンド(複数可)/受容体(複数可)に指向する抗体と比較して、減少した副作用、例えば、GI合併症を提供する。例示的なGI合併症には、腹痛、食欲不振、自己免疫効果、便秘、痙攣、脱水症、下痢、食事の問題、倦怠感、鼓腸、腹部における流体すなわち腹水、胃腸(GI)腸内毒素症、GI粘膜炎、炎症性腸疾患、過敏性腸症候群(IBS-D及びIBS-C)、悪心、疼痛、便もしくは尿の変化、潰瘍性大腸炎、嘔吐、流体保持による体重増加、及び/または脱力感が含まれる。
【0174】
いくつかの態様では、本発明のキメラ薬剤は、1つ以上の感染症を治療するために使用される。実施形態では、本発明のキメラタンパク質は、ウイルス感染症(例えば、HIV及びHCVを含む)を治療する方法で使用される。実施形態では、感染症は、免疫抑制を誘導する。例えば、HIV感染は、多くの場合、感染した対象において免疫抑制をもたらす。したがって、本明細書の他の場所に開示されるように、かかる感染症の治療は、実施形態では、免疫阻害を遮断または妨げるよりも免疫刺激に有利になるように、本発明のキメラタンパク質を用いて免疫系を調節することを伴う。
【0175】
実施形態では、本発明は、限定されないないが、急性または慢性のウイルス感染、例えば、呼吸器、乳頭腫ウイルス感染、単純ヘルペスウイルス(HSV)感染、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染、及び肝炎ウイルス感染などの内臓のウイルス感染を含む、ウイルス感染を治療する方法を提供する。実施形態では、ウイルス感染は、フラビウイルス科のウイルスによって引き起こされる。実施形態では、フラビウイルス科のウイルスは、黄熱病ウイルス、ウエストナイルウイルス、デングウイルス、日本脳炎ウイルス、セントルイス脳炎ウイルス、及びC型肝炎ウイルスから選択される。実施形態では、ウイルス感染症は、ピコルナウイルス科、例えば、ポリオウイルス、ライノウイルス、コクサッキーウイルスのウイルスによって引き起こされる。実施形態では、ウイルス感染は、オルトミキソウイルス科のメンバー、例えば、インフルエンザウイルスによって引き起こされる。実施形態では、ウイルス感染は、レトロウイルス科のメンバー、例えば、レンチウイルスによって引き起こされる。実施形態では、ウイルス感染は、パラミクソウイルス科のメンバー、例えば、呼吸器合胞体ウイルス、ヒトパラインフルエンザウイルス、ルブラウイルス(例えば、ムンプスウイルス)、麻疹ウイルス、及びヒトメタニューモウイルスによって引き起こされる。実施形態では、ウイルス感染は、ブニヤウイルス科のメンバー、例えば、ハンタウイルスによって引き起こされる。実施形態では、ウイルス感染は、レオウイルス科のメンバー、例えば、ロタウイルスによって引き起こされる。
【0176】
併用療法及び複合
実施形態では、本発明は、対象に追加の薬剤を投与することをさらに含む、キメラタンパク質及び方法を提供する。実施形態では、本発明は、共投与及び/または共製剤に関する。本明細書に開示される組成物のいずれも、共製剤化及び/または共投与することができる。
【0177】
実施形態では、本明細書に開示される任意のキメラタンパク質は、別の薬剤と共投与された場合に相乗的に作用し、かかる薬剤が単剤療法として使用される際の一般的に利用される用量よりも低い用量で投与される。実施形態では、本明細書で参照される任意の薬剤は、本明細書に開示されるキメラタンパク質のうちのいずれかと組み合わせて使用され得る。
【0178】
実施形態では、がんへの適用を含むがこれらに限定されず、本発明の追加の薬剤は、PD-1及びPD-L1またはPD-L2、及び/またはPD-1とPD-L1またはPD-L2との結合を遮断、減少、及び/または阻害する薬剤(非限定的な例として、ニボルマブ(ONO-4538/BMS-936558、MDX1106、OPDIVO、BRISTOL MYERS SQUIBB)、ペムブロリズマブ(KEYTRUDA,Merck)、ピディリズマブ(CT-011,CURE TECH)、MK-3475(MERCK)、BMS 936559(BRISTOL MYERS SQUIBB)、アテゾリズマブ(TECENTRIQ,GENENTECH)、MPDL328OA(ROCHE)、RMP1-14、AGEN2034(Agenus)、及びセミプリマブ((REGN-2810)のうちの1つ以上)、CD137(4-1BB)及び/またはCD137(4-1BB)と4-1BBリガンドの1つ以上との結合を増加及び/または刺激する薬剤(非限定的な例として、ウレルマブ(BMS-663513及び抗4-1BB抗体)、及びCTLA-4の活性及び/またはCTLA-4とAP2M1、CD80、CD86、SHP-2、及びPPP2R5Aの1つ以上との結合、及び/またはOX40とOX40Lとの結合を遮断、減少、及び/または阻害する薬剤(非限定的な例として、GBR 830(GLENMARK)、MEDI6469(MEDIMMUNE)から選択される1つ以上の免疫調節剤であり、及び/またはSTINGアゴニストは、5,6-ジメチルキサンテノン-4-酢酸(DMXAA)、MIW815(ADU-S100)、CRD5500、MK-1454、SB11285、IMSA101、及び内容全体が参照により本明細書に組み込まれる、US2014/0341976、US2018/0028553、US2018/0230178、US9549944、WO2015/185565、WO2016/120305、WO2017/044622、WO2017/027645、WO2017/027646、WO2017/093933、WO2017/106740、WO2017/123657、WO2017/123669、WO2017/161349、WO2017/175147、WO2017/175156、WO2017/176812、WO2018/009466、WO2018/045204、WO2018/060323、WO2018/098203、WO2018/100558、WO2018/138684、WO2018/138685、WO2018/152450、WO2018/152453、WO2018/172206、WO2018/198084、WO2018/234805、WO2018/234807、WO2018/234808、WO2019/023459、WO2019/046496、WO2019/046498、WO2019/046500、WO2019/074887、WO2019/079261、WO2019/118839、WO2019/125974、またはWO2019/160884に記載される任意のSTINGアゴニストからなる群から選択される。
【0179】
本発明の態様は、治療を必要とする対象においてがんを治療するための方法であって、(a)一部が、TIM-3リガンドと結合することが可能である、TIM-3の細胞外ドメインの一部を含む、第1のドメインと、(b)一部が、CD40L受容体と結合することが可能である、CD40Lの細胞外ドメインの一部を含む、第2のドメインと、(c)第1のドメイン及び第2のドメインを連結するリンカーと、を含む異種キメラタンパク質を含む、第1の薬学的組成物を対象に提供することと、CTLA-4と結合することが可能である抗体、あるいはPD-1もしくはPD-1リガンドと結合することが可能である、及び/またはPD-1とそのリガンドの1つ以上との相互作用を阻害することが可能である抗体を含む、第2の薬学的組成物を対象に提供することと、を含む、方法を提供する。
【0180】
実施形態では、第1の薬学的組成物及び第2の薬学的組成物は、同時に提供される。
【0181】
実施形態では、第1の薬学的組成物は、第2の薬学的組成物が提供された後に提供される。
【0182】
実施形態では、第1の薬学的組成物は、第2の薬学的組成物が提供される前に提供される。
【0183】
実施形態では、第1の薬学的組成物の用量が、第2の薬学的組成物による治療を受けたことがないか、または受けていない対象に提供される第1の薬学的組成物の用量よりも少ない。
【0184】
実施形態では、提供される第2の薬学的組成物の用量が、第1の薬学的組成物による治療を受けたことがないか、または受けていない対象に提供される第2の薬学的組成物の用量よりも少ない。
【0185】
実施形態では、対象は、第1の薬学的組成物による治療のみを受けたことがあるか、またはそれのみを受けている対象と比較した場合、胃腸の炎症もしくは体重低下の非存在下での増加した生存の見込み、及び/または減少した腫瘍サイズもしくはがん有病率を有する。
【0186】
実施形態では、対象は、第2の薬学的組成物による治療のみを受けたことがあるか、またはそれのみを受けている対象と比較した場合、胃腸の炎症もしくは体重低下の非存在下での増加した生存の見込み、及び/または減少した腫瘍サイズもしくはがん有病率を有する。
【0187】
実施形態では、リンカーが、柔軟なアミノ酸配列、IgGヒンジ領域、及び抗体配列から選択されるポリペプチドである。実施形態では、リンカーが、ジスルフィド結合を形成することが可能である少なくとも1つのシステイン残基を含み、及び/またはヒンジ-CH2-CH3 Fcドメインを含む。実施形態では、リンカー及び/または領域リンカーが、IgG4、例えば、ヒトIgG4に由来するヒンジ-CH2-CH3 Fcドメインを含む。実施形態では、リンカーは、配列番号1、配列番号2、または配列番号3のアミノ酸配列と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含む。
【0188】
実施形態では、対象が、PD-1と結合するか、またはPD-1リガンドと結合することが可能である抗体、またはCTLA-4と結合することが可能である抗体を含む治療に対して、不十分な応答性であるか、または抵抗性であるがんを有する。
【0189】
実施形態では、がんが、PD1と結合するか、もしくはPD1リガンドと結合することが可能である抗体、またはCTLA-4と結合することが可能である抗体による治療に対して、かかる治療の約12週間後に不十分な応答性であるか、または非応答性である。
【0190】
実施形態では、PD-1またはPD-1リガンドと結合することが可能である抗体は、ニボルマブ(ONO 4538、BMS 936558、MDX1106、OPDIVO(Bristol Myers Squibb))、ペンブロリズマブ(KEYTRUDA/MK 3475、Merck)、及びセミプリマブ((REGN-2810)からなる群から選択される。かかる抗体は、任意で、PD-1とそのリガンドの1つ以上との相互作用を阻害することが可能である。
【0191】
実施形態では、CTLA-4と結合することが可能である抗体が、YERVOY(イピリムマブ)、9D9、トレメリムマブ(旧チシリムマブ、CP-675,206、MedImmune)、AGEN1884、及びRG2077からなる群から選択される。
【0192】
実施形態では、第1のドメインが、実質的にTIM-3の細胞外ドメイン全体を含み、及び/または第2のドメインが、実質的にCD40Lの細胞外ドメイン全体を含む。
【0193】
実施形態では、異種キメラタンパク質は、(a)TIM-3の一部を含む、第1のドメインと、(b)CD40Lの一部を含む、第2のドメインと、(c)ヒンジ-CH2-CH3 Fcドメインを含む、リンカーと、を含む。
【0194】
実施形態では、異種キメラタンパク質は、本明細書に開示される「TIM-3-Fc-CD40L」である。
【0195】
いくつかの実施形態では、がんが、基底細胞癌、胆道癌、膀胱癌、骨癌、脳及び中枢神経系癌、乳癌、腹膜の癌、子宮頸癌、絨毛癌、大腸癌、結合組織癌、消化器系の癌、子宮内膜癌、食道癌、眼癌、頭頸部癌、胃癌(gastric cancer)(胃腸癌を含む)、神経膠芽腫、肝癌、肝細胞腫、上皮内腫瘍、腎臓もしくは腎癌、喉頭癌、白血病、肝臓癌、肺癌(例えば、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、肺腺癌、及び肺扁平上皮癌)、黒色腫、骨髄腫、神経芽細胞腫、口腔癌(唇、舌、口、及び咽頭)、卵巣癌、膵癌、前立腺癌、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫、直腸癌、呼吸器系の癌、唾液腺癌、肉腫、皮膚癌、扁平上皮癌、胃癌(stomach cancer)、精巣癌、甲状腺癌、子宮もしくは子宮内膜癌、泌尿器系の癌、外陰癌、ホジキン及び非ホジキンリンパ腫、ならびにB細胞リンパ腫を含むリンパ腫(低悪性度/濾胞性非ホジキンリンパ腫(NHL)、小リンパ球性(SL)NHL、中悪性度/濾胞性NHL、中悪性度びまん性NHL、高悪性度免疫芽球性NHL、高悪性度リンパ芽球性NHL、高悪性度小型非分割細胞NHL、巨大腫瘤病変性NHL、マントル細胞リンパ腫、エイズ関連リンパ腫、及びワルデンストレーム高ガンマグロブリン血症、慢性リンパ性白血病(CLL)、急性リンパ性白血病(ALL)、ヘアリーセル白血病、慢性骨髄芽球性白血病を含む)、ならびに他の癌腫及び肉腫、及び移植後リンパ増殖性障害(PTLD)、ならびに母斑症、浮腫に関連する異常な血管増殖(脳腫瘍に関連するものなど)、及びメグズ症候群であるか、またはそれと関連する。
【0196】
本発明の別の態様は、対象においてがんを治療するための方法であって、(a)一部が、TIM-3リガンドと結合することが可能である、TIM-3の細胞外ドメインの一部を含む、第1のドメインと、(b)一部が、CD40L受容体と結合することが可能である、CD40Lの細胞外ドメインの一部を含む、第2のドメインと、(c)第1のドメイン及び第2のドメインを連結するリンカーと、を含む異種キメラタンパク質を含む、薬学的組成物を対象に提供することを含む、方法を提供する。この態様では、対象は、CTLA-4と結合することが可能である抗体、あるいはPD-1もしくはPD-1リガンドと結合することが可能である、及び/またはPD-1とそのリガンドの1つ以上との相互作用を阻害することが可能である抗体による治療を受けたことがあるか、または受けている。
【0197】
実施形態では、対象に提供される薬学的組成物の用量が、PD-1と結合するか、もしくはPD-1リガンドと結合することが可能である抗体による治療を受けたことがないか、または受けていない、あるいはCTLA-4と結合することが可能である抗体による治療を受けたことがないか、または受けていない対象に提供される薬学的組成物の用量よりも少ない。
【0198】
実施形態では、対象が、PD-1と結合するか、もしくはPD-1リガンドと結合することが可能である抗体、またはCTLA-4と結合することが可能である抗体による治療を受けたことがないか、または受けていない対象と比較した場合、増加した生存の見込み、体重の増加、及び/または減少した腫瘍サイズもしくはがん有病率を有する。
【0199】
実施形態では、リンカーが、柔軟なアミノ酸配列、IgGヒンジ領域、及び抗体配列から選択されるポリペプチドである。実施形態では、リンカーが、ジスルフィド結合を形成することが可能である少なくとも1つのシステイン残基を含み、及び/またはヒンジ-CH2-CH3 Fcドメインを含む。実施形態では、リンカー及び/または領域リンカーが、IgG4、例えば、ヒトIgG4に由来するヒンジ-CH2-CH3 Fcドメインを含む。実施形態では、リンカーは、配列番号1、配列番号2、または配列番号3のアミノ酸配列と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含む。
【0200】
実施形態では、対象が、PD-1と結合するか、またはPD-1リガンドと結合することが可能である抗体、またはCTLA-4と結合することが可能である抗体を含む治療に対して、不十分な応答性であるか、または抵抗性であるがんを有する。
【0201】
実施形態では、がんが、PD1と結合するか、もしくはPD1リガンドと結合することが可能である抗体、またはCTLA-4と結合することが可能である抗体による治療に対して、かかる治療の約12週間後に不十分な応答性であるか、または非応答性である。
【0202】
実施形態では、PD-1またはPD-1リガンドと結合することが可能である抗体は、ニボルマブ(ONO 4538、BMS 936558、MDX1106、OPDIVO(Bristol Myers Squibb))、ペンブロリズマブ(KEYTRUDA/MK 3475、Merck)、及びセミプリマブ((REGN-2810)からなる群から選択される。かかる抗体は、任意で、PD-1とそのリガンドの1つ以上との相互作用を阻害することが可能である。
【0203】
実施形態では、CTLA-4と結合することが可能である抗体が、YERVOY(イピリムマブ)、9D9、トレメリムマブ(旧チシリムマブ、CP-675,206、MedImmune)、AGEN1884、及びRG2077からなる群から選択される。
【0204】
実施形態では、第1のドメインが、実質的にTIM-3の細胞外ドメイン全体を含み、及び/または第2のドメインが、実質的にCD40Lの細胞外ドメイン全体を含む。
【0205】
実施形態では、異種キメラタンパク質は、(a)TIM-3の一部を含む、第1のドメインと、(b)CD40Lの一部を含む、第2のドメインと、(c)ヒンジ-CH2-CH3 Fcドメインを含む、リンカーと、を含む。
【0206】
実施形態では、異種キメラタンパク質は、本明細書に開示される「TIM-3-Fc-CD40L」である。
【0207】
いくつかの実施形態では、がんが、基底細胞癌、胆道癌、膀胱癌、骨癌、脳及び中枢神経系癌、乳癌、腹膜の癌、子宮頸癌、絨毛癌、大腸癌、結合組織癌、消化器系の癌、子宮内膜癌、食道癌、眼癌、頭頸部癌、胃癌(gastric cancer)(胃腸癌を含む)、神経膠芽腫、肝癌、肝細胞腫、上皮内腫瘍、腎臓もしくは腎癌、喉頭癌、白血病、肝臓癌、肺癌(例えば、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、肺腺癌、及び肺扁平上皮癌)、黒色腫、骨髄腫、神経芽細胞腫、口腔癌(唇、舌、口、及び咽頭)、卵巣癌、膵癌、前立腺癌、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫、直腸癌、呼吸器系の癌、唾液腺癌、肉腫、皮膚癌、扁平上皮癌、胃癌(stomach cancer)、精巣癌、甲状腺癌、子宮もしくは子宮内膜癌、泌尿器系の癌、外陰癌、ホジキン及び非ホジキンリンパ腫、ならびにB細胞リンパ腫を含むリンパ腫(低悪性度/濾胞性非ホジキンリンパ腫(NHL)、小リンパ球性(SL)NHL、中悪性度/濾胞性NHL、中悪性度びまん性NHL、高悪性度免疫芽球性NHL、高悪性度リンパ芽球性NHL、高悪性度小型非分割細胞NHL、巨大腫瘤病変性NHL、マントル細胞リンパ腫、エイズ関連リンパ腫、及びワルデンストレーム高ガンマグロブリン血症、慢性リンパ性白血病(CLL)、急性リンパ性白血病(ALL)、ヘアリーセル白血病、慢性骨髄芽球性白血病を含む)、ならびに他の癌腫及び肉腫、及び移植後リンパ増殖性障害(PTLD)、ならびに母斑症、浮腫に関連する異常な血管増殖(脳腫瘍に関連するものなど)、及びメグズ症候群であるか、またはそれと関連する。
【0208】
本発明のさらに別の態様は、対象においてがんを治療するための方法であって、CTLA-4と結合することが可能である抗体、あるいはPD-1もしくはPD-1リガンドと結合することが可能である、及び/またはPD-1とそのリガンドの1つ以上との相互作用を阻害することが可能である抗体を含む薬学的組成物を対象に提供することを含む、方法を提供する。この態様では、対象は、(a)一部が、TIM-3リガンドと結合することが可能である、TIM-3の細胞外ドメインの一部を含む、第1のドメインと、(b)一部が、CD40L受容体と結合することが可能である、CD40Lの細胞外ドメインの一部を含む、第2のドメインと、(c)第1のドメイン及び第2のドメインを連結するリンカーと、を含む、異種キメラタンパク質による治療を受けたことがあるか、または受けている。
【0209】
実施形態では、対象に提供される薬学的組成物の用量が、PD-1と結合するか、もしくはPD-1リガンドと結合することが可能である抗体による治療を受けたことがないか、または受けていない、あるいはCTLA-4と結合することが可能である抗体による治療を受けたことがないか、または受けていない対象に提供される薬学的組成物の用量よりも少ない。
【0210】
実施形態では、対象が、PD-1と結合するか、もしくはPD-1リガンドと結合することが可能である抗体、またはCTLA-4と結合することが可能である抗体による治療を受けたことがないか、または受けていない対象と比較した場合、増加した生存の見込み、体重の増加、及び/または減少した腫瘍サイズもしくはがん有病率を有する。
【0211】
実施形態では、リンカーが、柔軟なアミノ酸配列、IgGヒンジ領域、及び抗体配列から選択されるポリペプチドである。実施形態では、リンカーが、ジスルフィド結合を形成することが可能である少なくとも1つのシステイン残基を含み、及び/またはヒンジ-CH2-CH3 Fcドメインを含む。実施形態では、リンカー及び/または領域リンカーが、IgG4、例えば、ヒトIgG4に由来するヒンジ-CH2-CH3 Fcドメインを含む。実施形態では、リンカーは、配列番号1、配列番号2、または配列番号3のアミノ酸配列と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含む。
【0212】
実施形態では、対象が、PD-1と結合するか、またはPD-1リガンドと結合することが可能である抗体、またはCTLA-4と結合することが可能である抗体を含む治療に対して、不十分な応答性であるか、または抵抗性であるがんを有する。
【0213】
実施形態では、がんが、PD1と結合するか、もしくはPD1リガンドと結合することが可能である抗体、またはCTLA-4と結合することが可能である抗体による治療に対して、かかる治療の約12週間後に不十分な応答性であるか、または非応答性である。
【0214】
実施形態では、PD-1またはPD-1リガンドと結合することが可能である抗体は、ニボルマブ(ONO 4538、BMS 936558、MDX1106、OPDIVO(Bristol Myers Squibb))、ペンブロリズマブ(KEYTRUDA/MK 3475、Merck)、及びセミプリマブ((REGN-2810)からなる群から選択される。かかる抗体は、任意で、PD-1とそのリガンドの1つ以上との相互作用を阻害することが可能である。
【0215】
実施形態では、CTLA-4と結合することが可能である抗体が、YERVOY(イピリムマブ)、9D9、トレメリムマブ(旧チシリムマブ、CP-675,206、MedImmune)、AGEN1884、及びRG2077からなる群から選択される。
【0216】
実施形態では、第1のドメインが、実質的にTIM-3の細胞外ドメイン全体を含み、及び/または第2のドメインが、実質的にCD40Lの細胞外ドメイン全体を含む。
【0217】
実施形態では、異種キメラタンパク質は、(a)TIM-3の一部を含む、第1のドメインと、(b)CD40Lの一部を含む、第2のドメインと、(c)ヒンジ-CH2-CH3 Fcドメインを含む、リンカーと、を含む。
【0218】
実施形態では、異種キメラタンパク質は、本明細書に開示される「TIM-3-Fc-CD40L」である。
【0219】
いくつかの実施形態では、がんが、基底細胞癌、胆道癌、膀胱癌、骨癌、脳及び中枢神経系癌、乳癌、腹膜の癌、子宮頸癌、絨毛癌、大腸癌、結合組織癌、消化器系の癌、子宮内膜癌、食道癌、眼癌、頭頸部癌、胃癌(gastric cancer)(胃腸癌を含む)、神経膠芽腫、肝癌、肝細胞腫、上皮内腫瘍、腎臓もしくは腎癌、喉頭癌、白血病、肝臓癌、肺癌(例えば、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、肺腺癌、及び肺扁平上皮癌)、黒色腫、骨髄腫、神経芽細胞腫、口腔癌(唇、舌、口、及び咽頭)、卵巣癌、膵癌、前立腺癌、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫、直腸癌、呼吸器系の癌、唾液腺癌、肉腫、皮膚癌、扁平上皮癌、胃癌(stomach cancer)、精巣癌、甲状腺癌、子宮もしくは子宮内膜癌、泌尿器系の癌、外陰癌、ホジキン及び非ホジキンリンパ腫、ならびにB細胞リンパ腫を含むリンパ腫(低悪性度/濾胞性非ホジキンリンパ腫(NHL)、小リンパ球性(SL)NHL、中悪性度/濾胞性NHL、中悪性度びまん性NHL、高悪性度免疫芽球性NHL、高悪性度リンパ芽球性NHL、高悪性度小型非分割細胞NHL、巨大腫瘤病変性NHL、マントル細胞リンパ腫、エイズ関連リンパ腫、及びワルデンストレーム高ガンマグロブリン血症、慢性リンパ性白血病(CLL)、急性リンパ性白血病(ALL)、ヘアリーセル白血病、慢性骨髄芽球性白血病を含む)、ならびに他の癌腫及び肉腫、及び移植後リンパ増殖性障害(PTLD)、ならびに母斑症、浮腫に関連する異常な血管増殖(脳腫瘍に関連するものなど)、及びメグズ症候群であるか、またはそれと関連する。
【0220】
本発明の態様は、治療を必要とする対象においてがんを治療するための方法であって、(a)一部が、TIM-3リガンドと結合することが可能である、TIM-3の細胞外ドメインの一部を含む、第1のドメインと、(b)一部が、CD40L受容体と結合することが可能である、CD40Lの細胞外ドメインの一部を含む、第2のドメインと、(c)第1のドメイン及び第2のドメインを連結するリンカーと、を含む異種キメラタンパク質を含む、第1の薬学的組成物を対象に提供することと、インターフェロン遺伝子の刺激因子(STING)アゴニストを含む、第2の薬学的組成物を対象に提供することと、を含む、方法を提供する。
【0221】
実施形態では、第1の薬学的組成物及び第2の薬学的組成物は、同時に提供される。
【0222】
実施形態では、第1の薬学的組成物は、第2の薬学的組成物が提供された後に提供される。
【0223】
実施形態では、第1の薬学的組成物は、第2の薬学的組成物が提供される前に提供される。
【0224】
実施形態では、第1の薬学的組成物の用量が、第2の薬学的組成物による治療を受けたことがないか、または受けていない対象に提供される第1の薬学的組成物の用量よりも少ない。
【0225】
実施形態では、提供される第2の薬学的組成物の用量が、第1の薬学的組成物による治療を受けたことがないか、または受けていない対象に提供される第2の薬学的組成物の用量よりも少ない。
【0226】
実施形態では、対象は、第1の薬学的組成物による治療のみを受けたことがあるか、またはそれのみを受けている対象と比較した場合、胃腸の炎症もしくは体重低下の非存在下での増加した生存の見込み、及び/または減少した腫瘍サイズもしくはがん有病率を有する。
【0227】
実施形態では、対象は、第2の薬学的組成物による治療のみを受けたことがあるか、またはそれのみを受けている対象と比較した場合、胃腸の炎症もしくは体重低下の非存在下での増加した生存の見込み、及び/または減少した腫瘍サイズもしくはがん有病率を有する。
【0228】
実施形態では、対象に提供される薬学的組成物の用量が、STINGアゴニスト、PD-1と結合するか、もしくはPD-1リガンドと結合することが可能である抗体、またはCTLA-4と結合することが可能である抗体による治療を受けたことがないか、または受けていない対象に提供される薬学的組成物の用量よりも少ない。
【0229】
実施形態では、対象が、STINGアゴニスト、PD-1と結合するか、もしくはPD-1リガンドと結合することが可能である抗体、またはCTLA-4と結合することが可能である抗体による治療を受けたことがないか、または受けていない対象と比較した場合、増加した生存の見込み、体重の増加、及び/または減少した腫瘍サイズもしくはがん有病率を有する。
【0230】
実施形態では、対象が、STINGアゴニスト、PD-1と結合するか、もしくはPD-1リガンドと結合することが可能である抗体、またはCTLA-4と結合することが可能である抗体を含む治療に対して、不十分な応答性であるか、または抵抗性であるがんを有する。
【0231】
実施形態では、リンカーが、柔軟なアミノ酸配列、IgGヒンジ領域、及び抗体配列から選択されるポリペプチドである。実施形態では、リンカーが、ジスルフィド結合を形成することが可能である少なくとも1つのシステイン残基を含み、及び/またはヒンジ-CH2-CH3 Fcドメインを含む。実施形態では、リンカー及び/または領域リンカーが、IgG4、例えば、ヒトIgG4に由来するヒンジ-CH2-CH3 Fcドメインを含む。実施形態では、リンカーは、配列番号1、配列番号2、または配列番号3のアミノ酸配列と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含む。
【0232】
実施形態では、PD-1またはPD-1リガンドと結合することが可能である抗体は、ニボルマブ(ONO 4538、BMS 936558、MDX1106、OPDIVO(Bristol Myers Squibb))、ペンブロリズマブ(KEYTRUDA/MK 3475、Merck)、及びセミプリマブ((REGN-2810)からなる群から選択される。かかる抗体は、任意で、PD-1とそのリガンドの1つ以上との相互作用を阻害することが可能である。
【0233】
実施形態では、CTLA-4と結合することが可能である抗体が、YERVOY(イピリムマブ)、9D9、トレメリムマブ(旧チシリムマブ、CP-675,206、MedImmune)、AGEN1884、及びRG2077からなる群から選択される。
【0234】
実施形態では、STINGアゴニストは、5,6-ジメチルキサンテノン-4-酢酸(DMXAA)、MIW815(ADU-S100)、CRD5500、MK-1454、SB11285、IMSA101、及び内容全体が参照により本明細書に組み込まれる、US2014/0341976、US2018/0028553、US2018/0230178、US9549944、WO2015/185565、WO2016/120305、WO2017/044622、WO2017/027645、WO2017/027646、WO2017/093933、WO2017/106740、WO2017/123657、WO2017/123669、WO2017/161349、WO2017/175147、WO2017/175156、WO2017/176812、WO2018/009466、WO2018/045204、WO2018/060323、WO2018/098203、WO2018/100558、WO2018/138684、WO2018/138685、WO2018/152450、WO2018/152453、WO2018/172206、WO2018/198084、WO2018/234805、WO2018/234807、WO2018/234808、WO2019/023459、WO2019/046496、WO2019/046498、WO2019/046500、WO2019/074887、WO2019/079261、WO2019/118839、WO2019/125974、またはWO2019/160884に記載される任意のSTINGアゴニストからなる群から選択される。
【0235】
実施形態では、第1のドメインが、実質的にTIM-3の細胞外ドメイン全体を含み、及び/または第2のドメインが、実質的にCD40Lの細胞外ドメイン全体を含む。
【0236】
実施形態では、異種キメラタンパク質は、(a)TIM-3の一部を含む、第1のドメインと、(b)CD40Lの一部を含む、第2のドメインと、(c)ヒンジ-CH2-CH3 Fcドメインを含む、リンカーと、を含む。
【0237】
実施形態では、異種キメラタンパク質は、本明細書に開示される「TIM-3-Fc-CD40L」である。
【0238】
いくつかの実施形態では、がんが、基底細胞癌、胆道癌、膀胱癌、骨癌、脳及び中枢神経系癌、乳癌、腹膜の癌、子宮頸癌、絨毛癌、大腸癌、結合組織癌、消化器系の癌、子宮内膜癌、食道癌、眼癌、頭頸部癌、胃癌(gastric cancer)(胃腸癌を含む)、神経膠芽腫、肝癌、肝細胞腫、上皮内腫瘍、腎臓もしくは腎癌、喉頭癌、白血病、肝臓癌、肺癌(例えば、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、肺腺癌、及び肺扁平上皮癌)、黒色腫、骨髄腫、神経芽細胞腫、口腔癌(唇、舌、口、及び咽頭)、卵巣癌、膵癌、前立腺癌、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫、直腸癌、呼吸器系の癌、唾液腺癌、肉腫、皮膚癌、扁平上皮癌、胃癌(stomach cancer)、精巣癌、甲状腺癌、子宮もしくは子宮内膜癌、泌尿器系の癌、外陰癌、ホジキン及び非ホジキンリンパ腫、ならびにB細胞リンパ腫を含むリンパ腫(低悪性度/濾胞性非ホジキンリンパ腫(NHL)、小リンパ球性(SL)NHL、中悪性度/濾胞性NHL、中悪性度びまん性NHL、高悪性度免疫芽球性NHL、高悪性度リンパ芽球性NHL、高悪性度小型非分割細胞NHL、巨大腫瘤病変性NHL、マントル細胞リンパ腫、エイズ関連リンパ腫、及びワルデンストレーム高ガンマグロブリン血症、慢性リンパ性白血病(CLL)、急性リンパ性白血病(ALL)、ヘアリーセル白血病、慢性骨髄芽球性白血病を含む)、ならびに他の癌腫及び肉腫、及び移植後リンパ増殖性障害(PTLD)、ならびに母斑症、浮腫に関連する異常な血管増殖(脳腫瘍に関連するものなど)、及びメグズ症候群であるか、またはそれと関連する。
【0239】
本発明の別の態様は、対象においてがんを治療するための方法であって、(a)一部が、TIM-3リガンドと結合することが可能である、TIM-3の細胞外ドメインの一部を含む、第1のドメインと、(b)一部が、CD40L受容体と結合することが可能である、CD40Lの細胞外ドメインの一部を含む、第2のドメインと、(c)第1のドメイン及び第2のドメインを連結するリンカーと、を含む異種キメラタンパク質を含む、薬学的組成物を対象に提供することを含む、方法を提供する。この態様では、対象は、インターフェロン遺伝子の刺激因子(STING)アゴニストによる治療を受けたことがあるか、または受けている。
【0240】
実施形態では、対象に提供される薬学的組成物の用量が、STINGアゴニスト、PD-1と結合するか、もしくはPD-1リガンドと結合することが可能である抗体、またはCTLA-4と結合することが可能である抗体による治療を受けたことがないか、または受けていない対象に提供される薬学的組成物の用量よりも少ない。
【0241】
実施形態では、対象が、STINGアゴニスト、PD-1と結合するか、もしくはPD-1リガンドと結合することが可能である抗体、またはCTLA-4と結合することが可能である抗体による治療を受けたことがないか、または受けていない対象と比較した場合、増加した生存の見込み、体重の増加、及び/または減少した腫瘍サイズもしくはがん有病率を有する。
【0242】
実施形態では、対象が、STINGアゴニスト、PD-1と結合するか、もしくはPD-1リガンドと結合することが可能である抗体、またはCTLA-4と結合することが可能である抗体を含む治療に対して、不十分な応答性であるか、または抵抗性であるがんを有する。
【0243】
実施形態では、リンカーが、柔軟なアミノ酸配列、IgGヒンジ領域、及び抗体配列から選択されるポリペプチドである。実施形態では、リンカーが、ジスルフィド結合を形成することが可能である少なくとも1つのシステイン残基を含み、及び/またはヒンジ-CH2-CH3 Fcドメインを含む。実施形態では、リンカー及び/または領域リンカーが、IgG4、例えば、ヒトIgG4に由来するヒンジ-CH2-CH3 Fcドメインを含む。実施形態では、リンカーは、配列番号1、配列番号2、または配列番号3のアミノ酸配列と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含む。
【0244】
実施形態では、PD-1またはPD-1リガンドと結合することが可能である抗体は、ニボルマブ(ONO 4538、BMS 936558、MDX1106、OPDIVO(Bristol Myers Squibb))、ペンブロリズマブ(KEYTRUDA/MK 3475、Merck)、及びセミプリマブ((REGN-2810)からなる群から選択される。かかる抗体は、任意で、PD-1とそのリガンドの1つ以上との相互作用を阻害することが可能である。
【0245】
実施形態では、CTLA-4と結合することが可能である抗体が、YERVOY(イピリムマブ)、9D9、トレメリムマブ(旧チシリムマブ、CP-675,206、MedImmune)、AGEN1884、及びRG2077からなる群から選択される。
【0246】
実施形態では、STINGアゴニストは、5,6-ジメチルキサンテノン-4-酢酸(DMXAA)、MIW815(ADU-S100)、CRD5500、MK-1454、SB11285、IMSA101、及び内容全体が参照により本明細書に組み込まれる、US2014/0341976、US2018/0028553、US2018/0230178、US9549944、WO2015/185565、WO2016/120305、WO2017/044622、WO2017/027645、WO2017/027646、WO2017/093933、WO2017/106740、WO2017/123657、WO2017/123669、WO2017/161349、WO2017/175147、WO2017/175156、WO2017/176812、WO2018/009466、WO2018/045204、WO2018/060323、WO2018/098203、WO2018/100558、WO2018/138684、WO2018/138685、WO2018/152450、WO2018/152453、WO2018/172206、WO2018/198084、WO2018/234805、WO2018/234807、WO2018/234808、WO2019/023459、WO2019/046496、WO2019/046498、WO2019/046500、WO2019/074887、WO2019/079261、WO2019/118839、WO2019/125974、またはWO2019/160884に記載される任意のSTINGアゴニストからなる群から選択される。
【0247】
実施形態では、第1のドメインが、実質的にTIM-3の細胞外ドメイン全体を含み、及び/または第2のドメインが、実質的にCD40Lの細胞外ドメイン全体を含む。
【0248】
実施形態では、異種キメラタンパク質は、(a)TIM-3の一部を含む、第1のドメインと、(b)CD40Lの一部を含む、第2のドメインと、(c)ヒンジ-CH2-CH3 Fcドメインを含む、リンカーと、を含む。
【0249】
実施形態では、異種キメラタンパク質は、本明細書に開示される「TIM-3-Fc-CD40L」である。
【0250】
いくつかの実施形態では、がんが、基底細胞癌、胆道癌、膀胱癌、骨癌、脳及び中枢神経系癌、乳癌、腹膜の癌、子宮頸癌、絨毛癌、大腸癌、結合組織癌、消化器系の癌、子宮内膜癌、食道癌、眼癌、頭頸部癌、胃癌(gastric cancer)(胃腸癌を含む)、神経膠芽腫、肝癌、肝細胞腫、上皮内腫瘍、腎臓もしくは腎癌、喉頭癌、白血病、肝臓癌、肺癌(例えば、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、肺腺癌、及び肺扁平上皮癌)、黒色腫、骨髄腫、神経芽細胞腫、口腔癌(唇、舌、口、及び咽頭)、卵巣癌、膵癌、前立腺癌、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫、直腸癌、呼吸器系の癌、唾液腺癌、肉腫、皮膚癌、扁平上皮癌、胃癌(stomach cancer)、精巣癌、甲状腺癌、子宮もしくは子宮内膜癌、泌尿器系の癌、外陰癌、ホジキン及び非ホジキンリンパ腫、ならびにB細胞リンパ腫を含むリンパ腫(低悪性度/濾胞性非ホジキンリンパ腫(NHL)、小リンパ球性(SL)NHL、中悪性度/濾胞性NHL、中悪性度びまん性NHL、高悪性度免疫芽球性NHL、高悪性度リンパ芽球性NHL、高悪性度小型非分割細胞NHL、巨大腫瘤病変性NHL、マントル細胞リンパ腫、エイズ関連リンパ腫、及びワルデンストレーム高ガンマグロブリン血症、慢性リンパ性白血病(CLL)、急性リンパ性白血病(ALL)、ヘアリーセル白血病、慢性骨髄芽球性白血病を含む)、ならびに他の癌腫及び肉腫、及び移植後リンパ増殖性障害(PTLD)、ならびに母斑症、浮腫に関連する異常な血管増殖(脳腫瘍に関連するものなど)、及びメグズ症候群であるか、またはそれと関連する。
【0251】
本発明のさらに別の態様は、対象においてがんを治療するための方法であって、インターフェロン遺伝子の刺激因子(STING)アゴニストを含む薬学的組成物を対象に提供することを含む、方法を提供する。この態様では、対象は、(a)一部が、TIM-3リガンドと結合することが可能である、TIM-3の細胞外ドメインの一部を含む、第1のドメインと、(b)一部が、CD40L受容体と結合することが可能である、CD40Lの細胞外ドメインの一部を含む、第2のドメインと、(c)第1のドメイン及び第2のドメインを連結するリンカーと、を含む、異種キメラタンパク質による治療を受けたことがあるか、または受けている。
【0252】
実施形態では、対象に提供される薬学的組成物の用量が、STINGアゴニスト、PD-1と結合するか、もしくはPD-1リガンドと結合することが可能である抗体、またはCTLA-4と結合することが可能である抗体による治療を受けたことがないか、または受けていない対象に提供される薬学的組成物の用量よりも少ない。
【0253】
実施形態では、対象が、STINGアゴニスト、PD-1と結合するか、もしくはPD-1リガンドと結合することが可能である抗体、またはCTLA-4と結合することが可能である抗体による治療を受けたことがないか、または受けていない対象と比較した場合、増加した生存の見込み、体重の増加、及び/または減少した腫瘍サイズもしくはがん有病率を有する。
【0254】
実施形態では、対象が、STINGアゴニスト、PD-1と結合するか、もしくはPD-1リガンドと結合することが可能である抗体、またはCTLA-4と結合することが可能である抗体を含む治療に対して、不十分な応答性であるか、または抵抗性であるがんを有する。
【0255】
実施形態では、リンカーが、柔軟なアミノ酸配列、IgGヒンジ領域、及び抗体配列から選択されるポリペプチドである。実施形態では、リンカーが、ジスルフィド結合を形成することが可能である少なくとも1つのシステイン残基を含み、及び/またはヒンジ-CH2-CH3 Fcドメインを含む。実施形態では、リンカー及び/または領域リンカーが、IgG4、例えば、ヒトIgG4に由来するヒンジ-CH2-CH3 Fcドメインを含む。実施形態では、リンカーは、配列番号1、配列番号2、または配列番号3のアミノ酸配列と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含む。
【0256】
実施形態では、PD-1またはPD-1リガンドと結合することが可能である抗体は、ニボルマブ(ONO 4538、BMS 936558、MDX1106、OPDIVO(Bristol Myers Squibb))、ペンブロリズマブ(KEYTRUDA/MK 3475、Merck)、及びセミプリマブ((REGN-2810)からなる群から選択される。かかる抗体は、任意で、PD-1とそのリガンドの1つ以上との相互作用を阻害することが可能である。
【0257】
実施形態では、CTLA-4と結合することが可能である抗体が、YERVOY(イピリムマブ)、9D9、トレメリムマブ(旧チシリムマブ、CP-675,206、MedImmune)、AGEN1884、及びRG2077からなる群から選択される。
【0258】
実施形態では、STINGアゴニストは、5,6-ジメチルキサンテノン-4-酢酸(DMXAA)、MIW815(ADU-S100)、CRD5500、MK-1454、SB11285、IMSA101、及び内容全体が参照により本明細書に組み込まれる、US2014/0341976、US2018/0028553、US2018/0230178、US9549944、WO2015/185565、WO2016/120305、WO2017/044622、WO2017/027645、WO2017/027646、WO2017/093933、WO2017/106740、WO2017/123657、WO2017/123669、WO2017/161349、WO2017/175147、WO2017/175156、WO2017/176812、WO2018/009466、WO2018/045204、WO2018/060323、WO2018/098203、WO2018/100558、WO2018/138684、WO2018/138685、WO2018/152450、WO2018/152453、WO2018/172206、WO2018/198084、WO2018/234805、WO2018/234807、WO2018/234808、WO2019/023459、WO2019/046496、WO2019/046498、WO2019/046500、WO2019/074887、WO2019/079261、WO2019/118839、WO2019/125974、またはWO2019/160884に記載される任意のSTINGアゴニストからなる群から選択される。
【0259】
実施形態では、第1のドメインが、実質的にTIM-3の細胞外ドメイン全体を含み、及び/または第2のドメインが、実質的にCD40Lの細胞外ドメイン全体を含む。
【0260】
実施形態では、異種キメラタンパク質は、(a)TIM-3の一部を含む、第1のドメインと、(b)CD40Lの一部を含む、第2のドメインと、(c)ヒンジ-CH2-CH3 Fcドメインを含む、リンカーと、を含む。
【0261】
実施形態では、異種キメラタンパク質は、本明細書に開示される「TIM-3-Fc-CD40L」である。
【0262】
いくつかの実施形態では、がんが、基底細胞癌、胆道癌、膀胱癌、骨癌、脳及び中枢神経系癌、乳癌、腹膜の癌、子宮頸癌、絨毛癌、大腸癌、結合組織癌、消化器系の癌、子宮内膜癌、食道癌、眼癌、頭頸部癌、胃癌(gastric cancer)(胃腸癌を含む)、神経膠芽腫、肝癌、肝細胞腫、上皮内腫瘍、腎臓もしくは腎癌、喉頭癌、白血病、肝臓癌、肺癌(例えば、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、肺腺癌、及び肺扁平上皮癌)、黒色腫、骨髄腫、神経芽細胞腫、口腔癌(唇、舌、口、及び咽頭)、卵巣癌、膵癌、前立腺癌、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫、直腸癌、呼吸器系の癌、唾液腺癌、肉腫、皮膚癌、扁平上皮癌、胃癌(stomach cancer)、精巣癌、甲状腺癌、子宮もしくは子宮内膜癌、泌尿器系の癌、外陰癌、ホジキン及び非ホジキンリンパ腫、ならびにB細胞リンパ腫を含むリンパ腫(低悪性度/濾胞性非ホジキンリンパ腫(NHL)、小リンパ球性(SL)NHL、中悪性度/濾胞性NHL、中悪性度びまん性NHL、高悪性度免疫芽球性NHL、高悪性度リンパ芽球性NHL、高悪性度小型非分割細胞NHL、巨大腫瘤病変性NHL、マントル細胞リンパ腫、エイズ関連リンパ腫、及びワルデンストレーム高ガンマグロブリン血症、慢性リンパ性白血病(CLL)、急性リンパ性白血病(ALL)、ヘアリーセル白血病、慢性骨髄芽球性白血病を含む)、ならびに他の癌腫及び肉腫、及び移植後リンパ増殖性障害(PTLD)、ならびに母斑症、浮腫に関連する異常な血管増殖(脳腫瘍に関連するものなど)、及びメグズ症候群であるか、またはそれと関連する。
【0263】
本発明の態様は、治療を必要とする対象においてがんを治療するための方法であって、(a)一部が、TIM-3リガンドと結合することが可能である、TIM-3の細胞外ドメインの一部を含む、第1のドメインと、(b)一部が、OX40L受容体と結合することが可能である、OX40Lの細胞外ドメインの一部を含む、第2のドメインと、(c)第1のドメイン及び第2のドメインを連結するリンカーと、を含む異種キメラタンパク質を含む、第1の薬学的組成物を対象に提供することと、CTLA-4と結合することが可能である抗体、あるいはPD-1もしくはPD-1リガンドと結合することが可能である、及び/またはPD-1とそのリガンドの1つ以上との相互作用を阻害することが可能である抗体を含む、第2の薬学的組成物を対象に提供することと、を含む、方法を提供する。
【0264】
実施形態では、第1の薬学的組成物及び第2の薬学的組成物は、同時に提供される。
【0265】
実施形態では、第1の薬学的組成物は、第2の薬学的組成物が提供された後に提供される。
【0266】
実施形態では、第1の薬学的組成物は、第2の薬学的組成物が提供される前に提供される。
【0267】
実施形態では、第1の薬学的組成物の用量が、第2の薬学的組成物による治療を受けたことがないか、または受けていない対象に提供される第1の薬学的組成物の用量よりも少ない。
【0268】
実施形態では、提供される第2の薬学的組成物の用量が、第1の薬学的組成物による治療を受けたことがないか、または受けていない対象に提供される第2の薬学的組成物の用量よりも少ない。
【0269】
実施形態では、対象が、第1の薬学的組成物による治療のみを受けたことがあるか、またはそれのみを受けている対象と比較した場合、増加した生存の見込み、体重増加、及び/または減少した腫瘍サイズもしくはがん有病率を有する。
【0270】
実施形態では、対象が、第2の薬学的組成物による治療のみを受けたことがあるか、またはそれのみを受けている対象と比較した場合、増加した生存の見込み、体重増加、及び/または減少した腫瘍サイズもしくはがん有病率を有する。
【0271】
実施形態では、リンカーが、柔軟なアミノ酸配列、IgGヒンジ領域、及び抗体配列から選択されるポリペプチドである。実施形態では、リンカーが、ジスルフィド結合を形成することが可能である少なくとも1つのシステイン残基を含み、及び/またはヒンジ-CH2-CH3 Fcドメインを含む。実施形態では、リンカーが、IgG4、例えば、ヒトIgG4に由来するヒンジ-CH2-CH3 Fcドメインを含む。実施形態では、リンカーは、配列番号1、配列番号2、または配列番号3のアミノ酸配列と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含む。
【0272】
実施形態では、対象が、PD-1と結合するか、またはPD-1リガンドと結合することが可能である抗体を含む治療に対して、不十分な応答性であるか、または抵抗性であるがんを有する。
【0273】
実施形態では、がんが、PD-1と結合するか、またはPD-1リガンドと結合することが可能である抗体による治療に対して、かかる治療の約12週間後に不十分な応答性であるか、または非応答性である。
【0274】
実施形態では、PD-1もしくはPD-1リガンドと結合することが可能である、あるいはPD-1もしくはPD-1リガンドと結合することが可能である、及び/またはPD-1とそのリガンドの1つ以上との相互作用を阻害することが可能である抗体は、ニボルマブ(ONO 4538、BMS 936558、MDX1106、OPDIVO(Bristol Myers Squibb))、ペンブロリズマブ(KEYTRUDA/MK 3475、Merck)、及びセミプリマブ((REGN-2810)からなる群から選択される。
【0275】
実施形態では、CTLA-4と結合することが可能である抗体が、YERVOY(イピリムマブ)、9D9、トレメリムマブ(旧チシリムマブ、CP-675,206、MedImmune)、AGEN1884、及びRG2077からなる群から選択される。
【0276】
実施形態では、異種キメラタンパク質が、実質的にTIM-3の細胞外ドメイン全体を含む第1のドメイン、及び/または実質的にOX40Lの細胞外ドメイン全体を含む第2のドメインを含む。
【0277】
実施形態では、異種キメラタンパク質は、(a)TIM-3の一部を含む、第1のドメインと、(b)OX40Lの一部を含む、第2のドメインと、(c)ヒンジ-CH2-CH3 Fcドメインを含む、リンカーと、を含む。
【0278】
実施形態では、異種キメラタンパク質は、本明細書に開示される「TIM-3-Fc-OX40L」である。
【0279】
いくつかの実施形態では、がんが、基底細胞癌、胆道癌、膀胱癌、骨癌、脳及び中枢神経系癌、乳癌、腹膜の癌、子宮頸癌、絨毛癌、大腸癌、結合組織癌、消化器系の癌、子宮内膜癌、食道癌、眼癌、頭頸部癌、胃癌(gastric cancer)(胃腸癌を含む)、神経膠芽腫、肝癌、肝細胞腫、上皮内腫瘍、腎臓もしくは腎癌、喉頭癌、白血病、肝臓癌、肺癌(例えば、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、肺腺癌、及び肺扁平上皮癌)、黒色腫、骨髄腫、神経芽細胞腫、口腔癌(唇、舌、口、及び咽頭)、卵巣癌、膵癌、前立腺癌、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫、直腸癌、呼吸器系の癌、唾液腺癌、肉腫、皮膚癌、扁平上皮癌、胃癌(stomach cancer)、精巣癌、甲状腺癌、子宮もしくは子宮内膜癌、泌尿器系の癌、外陰癌、ホジキン及び非ホジキンリンパ腫、ならびにB細胞リンパ腫を含むリンパ腫(低悪性度/濾胞性非ホジキンリンパ腫(NHL)、小リンパ球性(SL)NHL、中悪性度/濾胞性NHL、中悪性度びまん性NHL、高悪性度免疫芽球性NHL、高悪性度リンパ芽球性NHL、高悪性度小型非分割細胞NHL、巨大腫瘤病変性NHL、マントル細胞リンパ腫、エイズ関連リンパ腫、及びワルデンストレーム高ガンマグロブリン血症、慢性リンパ性白血病(CLL)、急性リンパ性白血病(ALL)、ヘアリーセル白血病、慢性骨髄芽球性白血病を含む)、ならびに他の癌腫及び肉腫、及び移植後リンパ増殖性障害(PTLD)、ならびに母斑症、浮腫に関連する異常な血管増殖(脳腫瘍に関連するものなど)、及びメグズ症候群であるか、またはそれと関連する。
【0280】
本発明の別の態様は、対象においてがんを治療するための方法であって、(a)一部が、TIM-3リガンドと結合することが可能である、TIM-3の細胞外ドメインの一部を含む、第1のドメインと、(b)一部が、OX40L受容体と結合することが可能である、OX40Lの細胞外ドメインの一部を含む、第2のドメインと、(c)第1のドメイン及び第2のドメインを連結するリンカーと、を含む異種キメラタンパク質を含む、薬学的組成物を対象に提供することを含む、方法を提供する。この態様では、対象は、CTLA-4と結合することが可能である抗体、あるいはPD-1もしくはPD-1リガンドと結合することが可能である、及び/またはPD-1とそのリガンドの1つ以上との相互作用を阻害することが可能である抗体による治療を受けたことがあるか、または受けている。
【0281】
実施形態では、対象に提供される薬学的組成物の用量が、PD-1と結合するか、もしくはPD-1リガンドと結合することが可能である抗体による治療を受けたことがないか、または受けていない、あるいはCTLA-4と結合することが可能である抗体による治療を受けたことがないか、または受けていない対象に提供される薬学的組成物の用量よりも少ない。
【0282】
実施形態では、対象が、PD-1と結合するか、もしくはPD-1リガンドと結合することが可能である抗体による治療を受けたことがないか、または受けていない、あるいはCTLA-4と結合することが可能である抗体による治療を受けたことがないか、または受けていない対象と比較した場合、胃腸の炎症もしくは体重低下の非存在下での増加した生存の見込み、及び/または減少した腫瘍サイズもしくはがん有病率を有する。
【0283】
実施形態では、対象が、PD-1と結合するか、またはPD-1リガンドと結合することが可能である抗体を含む治療に対して、不十分な応答性、または抵抗性であるか、あるいはCTLA-4と結合することが可能である抗体による治療を受けたことがないか、または受けていないがんを有する。
【0284】
実施形態では、リンカーが、柔軟なアミノ酸配列、IgGヒンジ領域、及び抗体配列から選択されるポリペプチドである。実施形態では、リンカーが、ジスルフィド結合を形成することが可能である少なくとも1つのシステイン残基を含み、及び/またはヒンジ-CH2-CH3 Fcドメインを含む。実施形態では、リンカーが、IgG4、例えば、ヒトIgG4に由来するヒンジ-CH2-CH3 Fcドメインを含む。実施形態では、リンカーは、配列番号1、配列番号2、または配列番号3のアミノ酸配列と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含む。
【0285】
実施形態では、対象が、PD-1と結合するか、またはPD-1リガンドと結合することが可能である抗体を含む治療に対して、不十分な応答性であるか、または抵抗性であるがんを有する。
【0286】
実施形態では、がんが、PD-1と結合するか、またはPD-1リガンドと結合することが可能である抗体による治療に対して、かかる治療の約12週間後に不十分な応答性であるか、または非応答性である。
【0287】
実施形態では、PD-1もしくはPD-1リガンドと結合することが可能である、あるいはPD-1もしくはPD-1リガンドと結合することが可能である、及び/またはPD-1とそのリガンドの1つ以上との相互作用を阻害することが可能である抗体は、ニボルマブ(ONO 4538、BMS 936558、MDX1106、OPDIVO(Bristol Myers Squibb))、ペンブロリズマブ(KEYTRUDA/MK 3475、Merck)、及びセミプリマブ((REGN-2810)からなる群から選択される。
【0288】
実施形態では、CTLA-4と結合することが可能である抗体が、YERVOY(イピリムマブ)、9D9、トレメリムマブ(旧チシリムマブ、CP-675,206、MedImmune)、AGEN1884、及びRG2077からなる群から選択される。
【0289】
実施形態では、異種キメラタンパク質が、実質的にTIM-3の細胞外ドメイン全体を含む第1のドメイン、及び/または実質的にOX40Lの細胞外ドメイン全体を含む第2のドメインを含む。
【0290】
実施形態では、異種キメラタンパク質は、(a)TIM-3の一部を含む、第1のドメインと、(b)OX40Lの一部を含む、第2のドメインと、(c)ヒンジ-CH2-CH3 Fcドメインを含む、リンカーと、を含む。
【0291】
実施形態では、異種キメラタンパク質は、本明細書に開示される「TIM-3-Fc-OX40L」である。
【0292】
いくつかの実施形態では、がんが、基底細胞癌、胆道癌、膀胱癌、骨癌、脳及び中枢神経系癌、乳癌、腹膜の癌、子宮頸癌、絨毛癌、大腸癌、結合組織癌、消化器系の癌、子宮内膜癌、食道癌、眼癌、頭頸部癌、胃癌(gastric cancer)(胃腸癌を含む)、神経膠芽腫、肝癌、肝細胞腫、上皮内腫瘍、腎臓もしくは腎癌、喉頭癌、白血病、肝臓癌、肺癌(例えば、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、肺腺癌、及び肺扁平上皮癌)、黒色腫、骨髄腫、神経芽細胞腫、口腔癌(唇、舌、口、及び咽頭)、卵巣癌、膵癌、前立腺癌、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫、直腸癌、呼吸器系の癌、唾液腺癌、肉腫、皮膚癌、扁平上皮癌、胃癌(stomach cancer)、精巣癌、甲状腺癌、子宮もしくは子宮内膜癌、泌尿器系の癌、外陰癌、ホジキン及び非ホジキンリンパ腫、ならびにB細胞リンパ腫を含むリンパ腫(低悪性度/濾胞性非ホジキンリンパ腫(NHL)、小リンパ球性(SL)NHL、中悪性度/濾胞性NHL、中悪性度びまん性NHL、高悪性度免疫芽球性NHL、高悪性度リンパ芽球性NHL、高悪性度小型非分割細胞NHL、巨大腫瘤病変性NHL、マントル細胞リンパ腫、エイズ関連リンパ腫、及びワルデンストレーム高ガンマグロブリン血症、慢性リンパ性白血病(CLL)、急性リンパ性白血病(ALL)、ヘアリーセル白血病、慢性骨髄芽球性白血病を含む)、ならびに他の癌腫及び肉腫、及び移植後リンパ増殖性障害(PTLD)、ならびに母斑症、浮腫に関連する異常な血管増殖(脳腫瘍に関連するものなど)、及びメグズ症候群であるか、またはそれと関連する。
【0293】
本発明のさらに別の態様は、対象においてがんを治療するための方法であって、CTLA-4と結合することが可能である抗体、あるいはPD-1もしくはPD-1リガンドと結合することが可能である、及び/またはPD-1とそのリガンドの1つ以上との相互作用を阻害することが可能である抗体を含む薬学的組成物を対象に提供することを含む、方法を提供する。この態様では、対象は、(a)一部が、TIM-3リガンドと結合することが可能である、TIM-3の細胞外ドメインの一部を含む、第1のドメインと、(b)一部が、OX40L受容体と結合することが可能である、OX40Lの細胞外ドメインの一部を含む、第2のドメインと、(c)第1のドメイン及び第2のドメインを連結するリンカーと、を含む、異種キメラタンパク質による治療を受けたことがあるか、または受けている。
【0294】
実施形態では、リンカーが、柔軟なアミノ酸配列、IgGヒンジ領域、及び抗体配列から選択されるポリペプチドである。実施形態では、リンカーが、ジスルフィド結合を形成することが可能である少なくとも1つのシステイン残基を含み、及び/またはヒンジ-CH2-CH3 Fcドメインを含む。実施形態では、リンカーが、IgG4、例えば、ヒトIgG4に由来するヒンジ-CH2-CH3 Fcドメインを含む。実施形態では、リンカーは、配列番号1、配列番号2、または配列番号3のアミノ酸配列と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含む。
【0295】
実施形態では、対象が、PD-1と結合するか、またはPD-1リガンドと結合することが可能である抗体を含む治療に対して、不十分な応答性であるか、または抵抗性であるがんを有する。
【0296】
実施形態では、がんが、PD-1と結合するか、またはPD-1リガンドと結合することが可能である抗体による治療に対して、かかる治療の約12週間後に不十分な応答性であるか、または非応答性である。
【0297】
実施形態では、PD-1もしくはPD-1リガンドと結合することが可能である、あるいはPD-1もしくはPD-1リガンドと結合することが可能である、及び/またはPD-1とそのリガンドの1つ以上との相互作用を阻害することが可能である抗体は、ニボルマブ(ONO 4538、BMS 936558、MDX1106、OPDIVO(Bristol Myers Squibb))、ペンブロリズマブ(KEYTRUDA/MK 3475、Merck)、及びセミプリマブ((REGN-2810)からなる群から選択される。
【0298】
実施形態では、CTLA-4と結合することが可能である抗体が、YERVOY(イピリムマブ)、9D9、トレメリムマブ(旧チシリムマブ、CP-675,206、MedImmune)、AGEN1884、及びRG2077からなる群から選択される。
【0299】
実施形態では、異種キメラタンパク質が、実質的にTIM-3の細胞外ドメイン全体を含む第1のドメイン、及び/または実質的にOX40Lの細胞外ドメイン全体を含む第2のドメインを含む。
【0300】
実施形態では、異種キメラタンパク質は、(a)TIM-3の一部を含む、第1のドメインと、(b)OX40Lの一部を含む、第2のドメインと、(c)ヒンジ-CH2-CH3 Fcドメインを含む、リンカーと、を含む。
【0301】
実施形態では、異種キメラタンパク質は、本明細書に開示される「TIM-3-Fc-OX40L」である。
【0302】
いくつかの実施形態では、がんが、基底細胞癌、胆道癌、膀胱癌、骨癌、脳及び中枢神経系癌、乳癌、腹膜の癌、子宮頸癌、絨毛癌、大腸癌、結合組織癌、消化器系の癌、子宮内膜癌、食道癌、眼癌、頭頸部癌、胃癌(gastric cancer)(胃腸癌を含む)、神経膠芽腫、肝癌、肝細胞腫、上皮内腫瘍、腎臓もしくは腎癌、喉頭癌、白血病、肝臓癌、肺癌(例えば、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、肺腺癌、及び肺扁平上皮癌)、黒色腫、骨髄腫、神経芽細胞腫、口腔癌(唇、舌、口、及び咽頭)、卵巣癌、膵癌、前立腺癌、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫、直腸癌、呼吸器系の癌、唾液腺癌、肉腫、皮膚癌、扁平上皮癌、胃癌(stomach cancer)、精巣癌、甲状腺癌、子宮もしくは子宮内膜癌、泌尿器系の癌、外陰癌、ホジキン及び非ホジキンリンパ腫、ならびにB細胞リンパ腫を含むリンパ腫(低悪性度/濾胞性非ホジキンリンパ腫(NHL)、小リンパ球性(SL)NHL、中悪性度/濾胞性NHL、中悪性度びまん性NHL、高悪性度免疫芽球性NHL、高悪性度リンパ芽球性NHL、高悪性度小型非分割細胞NHL、巨大腫瘤病変性NHL、マントル細胞リンパ腫、エイズ関連リンパ腫、及びワルデンストレーム高ガンマグロブリン血症、慢性リンパ性白血病(CLL)、急性リンパ性白血病(ALL)、ヘアリーセル白血病、慢性骨髄芽球性白血病を含む)、ならびに他の癌腫及び肉腫、及び移植後リンパ増殖性障害(PTLD)、ならびに母斑症、浮腫に関連する異常な血管増殖(脳腫瘍に関連するものなど)、及びメグズ症候群であるか、またはそれと関連する。
【0303】
本発明の態様は、治療を必要とする対象においてがんを治療するための方法であって、(a)一部が、TIM-3リガンドと結合することが可能である、TIM-3の細胞外ドメインの一部を含む、第1のドメインと、(b)一部が、OX40L受容体と結合することが可能である、OX40Lの細胞外ドメインの一部を含む、第2のドメインと、(c)第1のドメイン及び第2のドメインを連結するリンカーと、を含む異種キメラタンパク質を含む、第1の薬学的組成物を対象に提供することと、インターフェロン遺伝子の刺激因子(STING)アゴニストを含む、第2の薬学的組成物を対象に提供することと、を含む、方法を提供する。
【0304】
実施形態では、第1の薬学的組成物及び第2の薬学的組成物は、同時に提供される。
【0305】
実施形態では、第1の薬学的組成物は、第2の薬学的組成物が提供された後に提供される。
【0306】
実施形態では、第1の薬学的組成物は、第2の薬学的組成物が提供される前に提供される。
【0307】
実施形態では、第1の薬学的組成物の用量が、第2の薬学的組成物による治療を受けたことがないか、または受けていない対象に提供される第1の薬学的組成物の用量よりも少ない。
【0308】
実施形態では、提供される第2の薬学的組成物の用量が、第1の薬学的組成物による治療を受けたことがないか、または受けていない対象に提供される第2の薬学的組成物の用量よりも少ない。
【0309】
実施形態では、対象は、第1の薬学的組成物による治療のみを受けたことがあるか、またはそれのみを受けている対象と比較した場合、胃腸の炎症もしくは体重低下の非存在下での増加した生存の見込み、及び/または減少した腫瘍サイズもしくはがん有病率を有する。
【0310】
実施形態では、対象が、第2の薬学的組成物による治療のみを受けたことがあるか、またはそれのみを受けている対象と比較した場合、増加した生存の見込み、体重増加、及び/または減少した腫瘍サイズもしくはがん有病率を有する。
【0311】
実施形態では、対象に提供される薬学的組成物の用量が、STINGアゴニスト、PD-1と結合するか、もしくはPD-1リガンドと結合することが可能である抗体、またはCTLA-4と結合することが可能である抗体による治療を受けたことがないか、または受けていない対象に提供される薬学的組成物の用量よりも少ない。
【0312】
実施形態では、対象が、STINGアゴニスト、PD-1と結合するか、もしくはPD-1リガンドと結合することが可能である抗体、またはCTLA-4と結合することが可能である抗体による治療を受けたことがないか、または受けていない対象と比較した場合、増加した生存の見込み、体重の増加、及び/または減少した腫瘍サイズもしくはがん有病率を有する。
【0313】
実施形態では、対象が、STINGアゴニスト、PD-1と結合するか、もしくはPD-1リガンドと結合することが可能である抗体、またはCTLA-4と結合することが可能である抗体を含む治療に対して、不十分な応答性であるか、または抵抗性であるがんを有する。
【0314】
実施形態では、リンカーが、柔軟なアミノ酸配列、IgGヒンジ領域、及び抗体配列から選択されるポリペプチドである。実施形態では、リンカーが、ジスルフィド結合を形成することが可能である少なくとも1つのシステイン残基を含み、及び/またはヒンジ-CH2-CH3 Fcドメインを含む。実施形態では、リンカー及び/または領域リンカーが、IgG4、例えば、ヒトIgG4に由来するヒンジ-CH2-CH3 Fcドメインを含む。実施形態では、リンカーは、配列番号1、配列番号2、または配列番号3のアミノ酸配列と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含む。
【0315】
実施形態では、PD-1またはPD-1リガンドと結合することが可能である抗体は、ニボルマブ(ONO 4538、BMS 936558、MDX1106、OPDIVO(Bristol Myers Squibb))、ペンブロリズマブ(KEYTRUDA/MK 3475、Merck)、及びセミプリマブ((REGN-2810)からなる群から選択される。かかる抗体は、任意で、PD-1とそのリガンドの1つ以上との相互作用を阻害することが可能である。
【0316】
実施形態では、CTLA-4と結合することが可能である抗体が、YERVOY(イピリムマブ)、9D9、トレメリムマブ(旧チシリムマブ、CP-675,206、MedImmune)、AGEN1884、及びRG2077からなる群から選択される。
【0317】
実施形態では、STINGアゴニストは、5,6-ジメチルキサンテノン-4-酢酸(DMXAA)、MIW815(ADU-S100)、CRD5500、MK-1454、SB11285、IMSA101、及び内容全体が参照により本明細書に組み込まれる、US2014/0341976、US2018/0028553、US2018/0230178、US9549944、WO2015/185565、WO2016/120305、WO2017/044622、WO2017/027645、WO2017/027646、WO2017/093933、WO2017/106740、WO2017/123657、WO2017/123669、WO2017/161349、WO2017/175147、WO2017/175156、WO2017/176812、WO2018/009466、WO2018/045204、WO2018/060323、WO2018/098203、WO2018/100558、WO2018/138684、WO2018/138685、WO2018/152450、WO2018/152453、WO2018/172206、WO2018/198084、WO2018/234805、WO2018/234807、WO2018/234808、WO2019/023459、WO2019/046496、WO2019/046498、WO2019/046500、WO2019/074887、WO2019/079261、WO2019/118839、WO2019/125974、またはWO2019/160884に記載される任意のSTINGアゴニストからなる群から選択される。
【0318】
実施形態では、第1のドメインが、実質的にTIM-3の細胞外ドメイン全体を含み、及び/または第2のドメインが、実質的にOX40Lの細胞外ドメイン全体を含む。
【0319】
実施形態では、異種キメラタンパク質は、(a)TIM-3の一部を含む、第1のドメインと、(b)OX40Lの一部を含む、第2のドメインと、(c)ヒンジ-CH2-CH3 Fcドメインを含む、リンカーと、を含む。
【0320】
実施形態では、異種キメラタンパク質は、本明細書に開示される「TIM-3-Fc-OX40L」である。
【0321】
いくつかの実施形態では、がんが、基底細胞癌、胆道癌、膀胱癌、骨癌、脳及び中枢神経系癌、乳癌、腹膜の癌、子宮頸癌、絨毛癌、大腸癌、結合組織癌、消化器系の癌、子宮内膜癌、食道癌、眼癌、頭頸部癌、胃癌(gastric cancer)(胃腸癌を含む)、神経膠芽腫、肝癌、肝細胞腫、上皮内腫瘍、腎臓もしくは腎癌、喉頭癌、白血病、肝臓癌、肺癌(例えば、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、肺腺癌、及び肺扁平上皮癌)、黒色腫、骨髄腫、神経芽細胞腫、口腔癌(唇、舌、口、及び咽頭)、卵巣癌、膵癌、前立腺癌、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫、直腸癌、呼吸器系の癌、唾液腺癌、肉腫、皮膚癌、扁平上皮癌、胃癌(stomach cancer)、精巣癌、甲状腺癌、子宮もしくは子宮内膜癌、泌尿器系の癌、外陰癌、ホジキン及び非ホジキンリンパ腫、ならびにB細胞リンパ腫を含むリンパ腫(低悪性度/濾胞性非ホジキンリンパ腫(NHL)、小リンパ球性(SL)NHL、中悪性度/濾胞性NHL、中悪性度びまん性NHL、高悪性度免疫芽球性NHL、高悪性度リンパ芽球性NHL、高悪性度小型非分割細胞NHL、巨大腫瘤病変性NHL、マントル細胞リンパ腫、エイズ関連リンパ腫、及びワルデンストレーム高ガンマグロブリン血症、慢性リンパ性白血病(CLL)、急性リンパ性白血病(ALL)、ヘアリーセル白血病、慢性骨髄芽球性白血病を含む)、ならびに他の癌腫及び肉腫、及び移植後リンパ増殖性障害(PTLD)、ならびに母斑症、浮腫に関連する異常な血管増殖(脳腫瘍に関連するものなど)、及びメグズ症候群であるか、またはそれと関連する。
【0322】
本発明の別の態様は、対象においてがんを治療するための方法であって、(a)一部が、TIM-3リガンドと結合することが可能である、TIM-3の細胞外ドメインの一部を含む、第1のドメインと、(b)一部が、OX40L受容体と結合することが可能である、OX40Lの細胞外ドメインの一部を含む、第2のドメインと、(c)第1のドメイン及び第2のドメインを連結するリンカーと、を含む異種キメラタンパク質を含む、薬学的組成物を対象に提供することを含む、方法を提供する。この態様では、対象は、インターフェロン遺伝子の刺激因子(STING)アゴニストによる治療を受けたことがあるか、または受けている。
【0323】
実施形態では、対象に提供される薬学的組成物の用量が、STINGアゴニスト、PD-1と結合するか、もしくはPD-1リガンドと結合することが可能である抗体、またはCTLA-4と結合することが可能である抗体による治療を受けたことがないか、または受けていない対象に提供される薬学的組成物の用量よりも少ない。
【0324】
実施形態では、対象が、STINGアゴニスト、PD-1と結合するか、もしくはPD-1リガンドと結合することが可能である抗体、またはCTLA-4と結合することが可能である抗体による治療を受けたことがないか、または受けていない対象と比較した場合、増加した生存の見込み、体重の増加、及び/または減少した腫瘍サイズもしくはがん有病率を有する。
【0325】
実施形態では、対象が、STINGアゴニスト、PD-1と結合するか、もしくはPD-1リガンドと結合することが可能である抗体、またはCTLA-4と結合することが可能である抗体を含む治療に対して、不十分な応答性であるか、または抵抗性であるがんを有する。
【0326】
実施形態では、リンカーが、柔軟なアミノ酸配列、IgGヒンジ領域、及び抗体配列から選択されるポリペプチドである。実施形態では、リンカーが、ジスルフィド結合を形成することが可能である少なくとも1つのシステイン残基を含み、及び/またはヒンジ-CH2-CH3 Fcドメインを含む。実施形態では、リンカー及び/または領域リンカーが、IgG4、例えば、ヒトIgG4に由来するヒンジ-CH2-CH3 Fcドメインを含む。実施形態では、リンカーは、配列番号1、配列番号2、または配列番号3のアミノ酸配列と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含む。
【0327】
実施形態では、PD-1またはPD-1リガンドと結合することが可能である抗体は、ニボルマブ(ONO 4538、BMS 936558、MDX1106、OPDIVO(Bristol Myers Squibb))、ペンブロリズマブ(KEYTRUDA/MK 3475、Merck)、及びセミプリマブ((REGN-2810)からなる群から選択される。かかる抗体は、任意で、PD-1とそのリガンドの1つ以上との相互作用を阻害することが可能である。
【0328】
実施形態では、CTLA-4と結合することが可能である抗体が、YERVOY(イピリムマブ)、9D9、トレメリムマブ(旧チシリムマブ、CP-675,206、MedImmune)、AGEN1884、及びRG2077からなる群から選択される。
【0329】
実施形態では、STINGアゴニストは、5,6-ジメチルキサンテノン-4-酢酸(DMXAA)、MIW815(ADU-S100)、CRD5500、MK-1454、SB11285、IMSA101、及び内容全体が参照により本明細書に組み込まれる、US2014/0341976、US2018/0028553、US2018/0230178、US9549944、WO2015/185565、WO2016/120305、WO2017/044622、WO2017/027645、WO2017/027646、WO2017/093933、WO2017/106740、WO2017/123657、WO2017/123669、WO2017/161349、WO2017/175147、WO2017/175156、WO2017/176812、WO2018/009466、WO2018/045204、WO2018/060323、WO2018/098203、WO2018/100558、WO2018/138684、WO2018/138685、WO2018/152450、WO2018/152453、WO2018/172206、WO2018/198084、WO2018/234805、WO2018/234807、WO2018/234808、WO2019/023459、WO2019/046496、WO2019/046498、WO2019/046500、WO2019/074887、WO2019/079261、WO2019/118839、WO2019/125974、またはWO2019/160884に記載される任意のSTINGアゴニストからなる群から選択される。
【0330】
実施形態では、第1のドメインが、実質的にTIM-3の細胞外ドメイン全体を含み、及び/または第2のドメインが、実質的にOX40Lの細胞外ドメイン全体を含む。
【0331】
実施形態では、異種キメラタンパク質は、(a)TIM-3の一部を含む、第1のドメインと、(b)OX40Lの一部を含む、第2のドメインと、(c)ヒンジ-CH2-CH3 Fcドメインを含む、リンカーと、を含む。
【0332】
実施形態では、異種キメラタンパク質は、本明細書に開示される「TIM-3-Fc-OX40L」である。
【0333】
いくつかの実施形態では、がんが、基底細胞癌、胆道癌、膀胱癌、骨癌、脳及び中枢神経系癌、乳癌、腹膜の癌、子宮頸癌、絨毛癌、大腸癌、結合組織癌、消化器系の癌、子宮内膜癌、食道癌、眼癌、頭頸部癌、胃癌(gastric cancer)(胃腸癌を含む)、神経膠芽腫、肝癌、肝細胞腫、上皮内腫瘍、腎臓もしくは腎癌、喉頭癌、白血病、肝臓癌、肺癌(例えば、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、肺腺癌、及び肺扁平上皮癌)、黒色腫、骨髄腫、神経芽細胞腫、口腔癌(唇、舌、口、及び咽頭)、卵巣癌、膵癌、前立腺癌、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫、直腸癌、呼吸器系の癌、唾液腺癌、肉腫、皮膚癌、扁平上皮癌、胃癌(stomach cancer)、精巣癌、甲状腺癌、子宮もしくは子宮内膜癌、泌尿器系の癌、外陰癌、ホジキン及び非ホジキンリンパ腫、ならびにB細胞リンパ腫を含むリンパ腫(低悪性度/濾胞性非ホジキンリンパ腫(NHL)、小リンパ球性(SL)NHL、中悪性度/濾胞性NHL、中悪性度びまん性NHL、高悪性度免疫芽球性NHL、高悪性度リンパ芽球性NHL、高悪性度小型非分割細胞NHL、巨大腫瘤病変性NHL、マントル細胞リンパ腫、エイズ関連リンパ腫、及びワルデンストレーム高ガンマグロブリン血症、慢性リンパ性白血病(CLL)、急性リンパ性白血病(ALL)、ヘアリーセル白血病、慢性骨髄芽球性白血病を含む)、ならびに他の癌腫及び肉腫、及び移植後リンパ増殖性障害(PTLD)、ならびに母斑症、浮腫に関連する異常な血管増殖(脳腫瘍に関連するものなど)、及びメグズ症候群であるか、またはそれと関連する。
【0334】
本発明のさらに別の態様は、対象においてがんを治療するための方法であって、インターフェロン遺伝子の刺激因子(STING)アゴニストを含む薬学的組成物を対象に提供することを含む、方法を提供する。この態様では、対象は、(a)一部が、TIM-3リガンドと結合することが可能である、TIM-3の細胞外ドメインの一部を含む、第1のドメインと、(b)一部が、OX40L受容体と結合することが可能である、OX40Lの細胞外ドメインの一部を含む、第2のドメインと、(c)第1のドメイン及び第2のドメインを連結するリンカーと、を含む、異種キメラタンパク質による治療を受けたことがあるか、または受けている。
【0335】
実施形態では、対象に提供される薬学的組成物の用量が、STINGアゴニスト、PD-1と結合するか、もしくはPD-1リガンドと結合することが可能である抗体、またはCTLA-4と結合することが可能である抗体による治療を受けたことがないか、または受けていない対象に提供される薬学的組成物の用量よりも少ない。
【0336】
実施形態では、対象が、STINGアゴニスト、PD-1と結合するか、もしくはPD-1リガンドと結合することが可能である抗体、またはCTLA-4と結合することが可能である抗体による治療を受けたことがないか、または受けていない対象と比較した場合、胃腸の炎症もしくは体重低下の非存在下での増加した生存の見込み、及び/または減少した腫瘍サイズもしくはがん有病率を有する。
【0337】
実施形態では、対象が、STINGアゴニスト、PD-1と結合するか、もしくはPD-1リガンドと結合することが可能である抗体、またはCTLA-4と結合することが可能である抗体を含む治療に対して、不十分な応答性であるか、または抵抗性であるがんを有する。
【0338】
実施形態では、リンカーが、柔軟なアミノ酸配列、IgGヒンジ領域、及び抗体配列から選択されるポリペプチドである。実施形態では、リンカーが、ジスルフィド結合を形成することが可能である少なくとも1つのシステイン残基を含み、及び/またはヒンジ-CH2-CH3 Fcドメインを含む。実施形態では、リンカー及び/または領域リンカーが、IgG4、例えば、ヒトIgG4に由来するヒンジ-CH2-CH3 Fcドメインを含む。実施形態では、リンカーは、配列番号1、配列番号2、または配列番号3のアミノ酸配列と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含む。
【0339】
実施形態では、PD-1またはPD-1リガンドと結合することが可能である抗体は、ニボルマブ(ONO 4538、BMS 936558、MDX1106、OPDIVO(Bristol Myers Squibb))、ペンブロリズマブ(KEYTRUDA/MK 3475、Merck)、及びセミプリマブ((REGN-2810)からなる群から選択される。かかる抗体は、任意で、PD-1とそのリガンドの1つ以上との相互作用を阻害することが可能である。
【0340】
実施形態では、CTLA-4と結合することが可能である抗体が、YERVOY(イピリムマブ)、9D9、トレメリムマブ(旧チシリムマブ、CP-675,206、MedImmune)、AGEN1884、及びRG2077からなる群から選択される。
【0341】
実施形態では、STINGアゴニストは、5,6-ジメチルキサンテノン-4-酢酸(DMXAA)、MIW815(ADU-S100)、CRD5500、MK-1454、SB11285、IMSA101、及び内容全体が参照により本明細書に組み込まれる、US2014/0341976、US2018/0028553、US2018/0230178、US9549944、WO2015/185565、WO2016/120305、WO2017/044622、WO2017/027645、WO2017/027646、WO2017/093933、WO2017/106740、WO2017/123657、WO2017/123669、WO2017/161349、WO2017/175147、WO2017/175156、WO2017/176812、WO2018/009466、WO2018/045204、WO2018/060323、WO2018/098203、WO2018/100558、WO2018/138684、WO2018/138685、WO2018/152450、WO2018/152453、WO2018/172206、WO2018/198084、WO2018/234805、WO2018/234807、WO2018/234808、WO2019/023459、WO2019/046496、WO2019/046498、WO2019/046500、WO2019/074887、WO2019/079261、WO2019/118839、WO2019/125974、またはWO2019/160884に記載される任意のSTINGアゴニストからなる群から選択される。
【0342】
実施形態では、第1のドメインが、実質的にTIM-3の細胞外ドメイン全体を含み、及び/または第2のドメインが、実質的にOX40Lの細胞外ドメイン全体を含む。
【0343】
実施形態では、異種キメラタンパク質は、(a)TIM-3の一部を含む、第1のドメインと、(b)OX40Lの一部を含む、第2のドメインと、(c)ヒンジ-CH2-CH3 Fcドメインを含む、リンカーと、を含む。
【0344】
実施形態では、異種キメラタンパク質は、本明細書に開示される「TIM-3-Fc-OX40L」である。
【0345】
いくつかの実施形態では、がんが、基底細胞癌、胆道癌、膀胱癌、骨癌、脳及び中枢神経系癌、乳癌、腹膜の癌、子宮頸癌、絨毛癌、大腸癌、結合組織癌、消化器系の癌、子宮内膜癌、食道癌、眼癌、頭頸部癌、胃癌(gastric cancer)(胃腸癌を含む)、神経膠芽腫、肝癌、肝細胞腫、上皮内腫瘍、腎臓もしくは腎癌、喉頭癌、白血病、肝臓癌、肺癌(例えば、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、肺腺癌、及び肺扁平上皮癌)、黒色腫、骨髄腫、神経芽細胞腫、口腔癌(唇、舌、口、及び咽頭)、卵巣癌、膵癌、前立腺癌、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫、直腸癌、呼吸器系の癌、唾液腺癌、肉腫、皮膚癌、扁平上皮癌、胃癌(stomach cancer)、精巣癌、甲状腺癌、子宮もしくは子宮内膜癌、泌尿器系の癌、外陰癌、ホジキン及び非ホジキンリンパ腫、ならびにB細胞リンパ腫を含むリンパ腫(低悪性度/濾胞性非ホジキンリンパ腫(NHL)、小リンパ球性(SL)NHL、中悪性度/濾胞性NHL、中悪性度びまん性NHL、高悪性度免疫芽球性NHL、高悪性度リンパ芽球性NHL、高悪性度小型非分割細胞NHL、巨大腫瘤病変性NHL、マントル細胞リンパ腫、エイズ関連リンパ腫、及びワルデンストレーム高ガンマグロブリン血症、慢性リンパ性白血病(CLL)、急性リンパ性白血病(ALL)、ヘアリーセル白血病、慢性骨髄芽球性白血病を含む)、ならびに他の癌腫及び肉腫、及び移植後リンパ増殖性障害(PTLD)、ならびに母斑症、浮腫に関連する異常な血管増殖(脳腫瘍に関連するものなど)、及びメグズ症候群であるか、またはそれと関連する。
【0346】
上記の態様及び実施形態に加えて、本発明は、上記の方法を1つ以上の他の抗がん療法と組み合わせることをさらに含む。
【0347】
他の抗がん療法は、放射線療法を含み得る。
【0348】
他の抗がん療法は、がん、すなわち腫瘍を切除するための外科手術であり得る。
【0349】
他の抗がん療法は、細胞系免疫腫瘍学療法、例えば、キメラ抗原受容体T細胞(CAR-T)を含み得る。
【0350】
他の抗がん療法は、1つ以上の化学療法剤の投与を含み得る。
【0351】
本発明の態様及び実施形態では、1つ以上の化学療法剤は、5-FU(フルオロウラシル)、アベマシクリブ、酢酸アビラテロン、Abitrexate(メトトレキサート)、Abraxane(パクリタキセルアルブミン安定化ナノ粒子製剤)、ABVD、ABVE、ABVE-PC、AC、アカラブルチニブ、AC-T、ADE、Adriamycin(ドキソルビシン)、ジマレイン酸アファチニブ、Afinitor(エベロリムス)、Afinitor Difsperz(エベロリムス)、Akynzeo(ネツピタント及びパロノセトロン)、Aldara(イミキモド)、アルデスロイキン、Alecensa(アレクチニブ)、アレクチニブ、Alimta(ペメトレキセド)、Aliqopa(塩酸コパンリシブ)、Alkeran(メルファラン)、Aloxi(塩酸パロノセトロン)、Alunbrig(ブリガチニブ)、Ambochlorin(クロラムブシル)、Amboclorin(クロラムブシル)、アミホスチン、アミノレブリン酸、アナストロゾール、アプレピタント、Aredia(パミドロネート)、Arimidex(アナストロゾール)、Aromasin(エキセメスタン)、Arranon(ネララビン)、三酸化ヒ素、アスパラギナーゼ黒脚病菌、アキシカブタゲンシロロイセル、アキシチニブ、アザシチジン、BEACOPP、Becenum(カルムスチン)、Beleodaq(ベリノスタット)、ベリノスタット、塩酸ベンダムスチン、BEP、ベキサロテン、ビカルタミド、BiCNU(カルムスチン)、Blenoxane(ブレオマイシン)、ボルテゾミブ、Bosulif(ボスチニブ)、ボスチニブ、ブリガチニブ、ブメル、ブスルファン、Busulfex(ブスルファン)C、カバジタキセル、Cabometyx(カボザンチニブ)、カボザンチニブ-S-リンゴ酸、CAF、Calquence(アカラブルチニブ)、Camptosar(塩酸イリノテカン)、カペシタビン、CAPOX、Caprelsa(バンデタニブ)、Carac(フルオロウラシル-局所)、カルボプラチン、CARBOPLATIN-TAXOL、カルフィルゾミブ、Carmubris(カルムスチン)、カルムスチン、Casodex(ビカルタミド)、CeeNU(ロムスチン)、CEM、セリチニブ、Cerubidine(ダウノルビシン)、Cervarix(組換えHPV二価ワクチン)、CEV、クロラムブシル、クロラムブシル-プレドニゾン、CHOP、シスプラチン、クラドリビン、Clafen(シクロホスファミド)、クロファラビン、Clofarex(クロファラビン)、Clolar(クロファラビン)、CMF、コビメチニブ、Cometriq(カボザンチニブ)、塩酸コパンリシブ、COPDAC、COPP、COPP-ABV、Cosmegen(ダクチノマイシン)、Cotellic(コビメチニブ)、クリゾチニブ、CVP、シクロホスファミド、Cyfos(イホスファミド)、シタラビン、シタラビンリポソーム、Cytosar-U(シタラビン)、Cytoxan(シクロホスファミド)、Cytoxan(シトキサン)、ダブラフェニブ、ダカルバジン、Dacogen(デシタビン)、ダクチノマイシン、ダサチニブ、塩酸ダウノルビシン、塩酸ダウノルビシン及びシタラビンリポソーム、DaunoXome(ダウノルビシン脂質複合体)、Decadron(デキサメタゾン)、デシタビン、デフィブロチドナトリウム、Defitelio(デフィブロチドナトリウム)、デガレリックス、デニロイキンディフティトックス、DepoCyt(シタラビンリポソーム)、デキサメタゾン、Dexamethasone Intensol(デキサメタゾン)、Dexpak Taperpak(デキサメタゾン)、塩酸デクスラゾキサン、Docefrez(ドセタキセル)、ドセタキセル、Doxil(塩酸ドキソルビシンリポソーム)、塩酸ドキソルビシン、塩酸ドキソルビシンリポソーム、Dox-SL(塩酸ドキソルビシンリポソーム)、Droxia(ヒドロキシ尿素)、DTIC(ダカルバジン)、DTIC-Dome(ダカルバジン)、Efudex(フルオロウラシル-局所)、Eligard(リュープロリド)、Elitek(ラスブリカーゼ)、Ellence(エレンス(エピルビシン))、Eloxatin(オキサリプラチン)、Elspar(アスパラギナーゼ)、エルトロンボパグオラミン、Emcyt(エストラムスチン)、Emend(アプレピタント)、メシル酸エナシデニブ、エンザルタミド、塩酸エピルビシン、EPOCH、メシル酸エリブリン、Erivedge(ビスモデギブ)、塩酸エルロチニブ、Erwinaze(アスパラギナーゼ黒脚病菌)、Ethyol(アミホスチン)、Etopophos(エトポシドリン酸塩)、エトポシド、エトポシドリン酸塩、Eulexin(フルタミド)、Evacet(塩酸ドキソルビシンリポソーム)、エベロリムス、Evista(塩酸ラロキシフェン)、Evomela(塩酸メルファラン)、エキセメスタン、Fareston(トレミフェン)、Farydak(パノビノスタット)、Faslodex(フルベストラント)、FEC、Femara(レトロゾール)、フィルグラスチム、Firmagon(デガレリクス)、FloPred(プレドニゾロン)、Fludara(フルダラビン)、フルダラビンリン酸、Fluoroplex(フルオロウラシル)、フルオロウラシル、フルタミド、Folex(メトトレキサート)、Folex PFS(メトトレキサート)、FOLFIRI、FOLFIRINOX、FOLFOX、Folotyn(プララトレキサート)、FUDR(FUDR(フロクスウリジン))、FU-LV、フルベストラント、Gardasil(組換えHPV四価ワクチン)、Gardasil 9(組換えHPV非価ワクチン)、ゲフィチニブ、塩酸ゲムシタビン、ゲムシタビン-シスプラチン、ゲムシタビン-オキサリプラチン、Gemzar(ゲムシタビン)、Gilotrif(アファチニブジマレイン酸)、Gilotrif(アファチニブ)、Gleevec(イマチニブメシル酸)、Gliadel(カルムスチン)、グルカルピダーゼ、酢酸ゴセレリン、Halaven(エリブリンメシル酸)、Hemangeol(塩酸プロプラノロール)、Hexalen(アルトレタミン)、HPV二価ワクチン、組換え体、HPV非価性ワクチン、組換え体、HPV四価ワクチン、組換え体、Hycamtin(塩酸トポテカン)、Hycamtin(トポテカン)、Hydrea(ヒドロキシ尿素)、ヒドロキシ尿素、Hyper-CVAD、Ibrance(パルボシクリブ)、イブルチニブ、ICE、Iclusig(ポナチニブ)、Idamycin PFS(イダルビシン)、塩酸イダルビシン、イデラリシブ、Idhifa(エナシデニブ)、Ifex(イホスファミド)、イホスファミド、Ifosfamidum(イホスファミド)、イマチニブメシル酸、Imbruvica(イブルチニブ)、イミキモド、Imlygic(タリモジーンラハーパレプベック)、Inlyta(アキシチニブ)、Iressa(ゲフィチニブ)、塩酸イリノテカン、塩酸イリノテカンリポソーム、Istodax(ロミデプシン)、イクサベピロン、イキサゾミブクエン酸エステル、Ixempra(イクサベピロン)、Jakafi(ルキソリチニブリン酸)、Jakafi(ルキソリチニブ)、JEB、Jevtana(カバジタキセル)、Keoxifene(塩酸ラロキシフェン)、Kepivance(パリフェルミン)、Kisqali(リボシクリブ)、Kyprolis(カルフィルゾミブ)、酢酸ランレオチド、Lanvima(レンバチニブ)、ラパチニブジトシレート、レナリドミド、レンバチニブメシル酸、Lenvima(レンバチニブメシル酸)、レトロゾール、ロイコボリンカルシウム、Leukeran(クロラムブシル)、Leukine(サルグラモスチム)、リュープロリド酢酸、Leustatin(クラドリビン)、Levulan(アミノレブリン酸)、Linfolizin(クロラムブシル)、LipoDox(塩酸ドキソルビシンリポソーム)、ロムスチン、Lonsurf(トリフルリジン及びチピラシル)、Lupron(リュープロリド)、Lynparza(オラパリブ)、Lysodren(ミトタン)、Marqibo(硫酸ビンクリスチンリポソーム)、Marqibo Kit(ビンクリスチン脂質複合体)、Matulane(プロカルバジン)、塩酸メクロレタミン、Megace(メゲストロール)、酢酸メゲストロール、Mekinist(トラメチニブ)、メルファラン、塩酸メルファラン、メルカプトプリン、Mesnex(メスナ)、Metastron(ストロンチウム-89塩化物)、Methazolastone(テモゾロミド)、メトトレキサート、Methotrexate LPF(メトトレキサート)、メチルナルトレキソン臭化物、Mexate(メトトレキサート)、Mexate-AQ(メトトレキサート)、ミドスタウリン、マイトマイシンC、塩酸ミトキサントロン、Mitozytrex(マイトマイシンC)、MOPP、Mostarina(プレドニムスチン)、Mozobil(プレリキサホル)、Mustargen(メクロレタミン)、Mutamycin(マイトマイシン)、Myleran(ブスルファン)、Mylosar(アザシチジン)、Nanoparticle Paclitaxel(パクリタキセルアルブミン安定化ナノ粒子製剤)、Navelbine(ビノレルビン)、ネララビン、Neosar(シクロホスファミド)、マレイン酸ネラチニブ、Nerlynx(ネラチニブ)、塩酸ネツピタント及びパロノセトロン、Neulasta(フィルグラスチム)、Neulasta(ペグフィルグラスチム)、Neupogen(フィルグラスチム)、Nexavar(ソラフェニブ)、Nilandron(ニルタミド)、ニロチニブ、ニルタミド、Ninlaro(イキサゾミブ)、Nipent(ペントスタチン)、ニラパリブトシレート一水和物、Nolvadex(タモキシフェン)、Novantrone(ミトキサントロン)、Nplate(ロミプロスチム)、Odomzo(ソニデギブ)、OEPA、OFF、オラパリブ、オマセタキシンメペスクシネート、Oncaspar(ペグアスパルガーゼ)、Oncovin(ビンクリスチン)、塩酸オンダンセトロン、Onivyde(塩酸Irinotecan リポソーム)、Ontak(デニロイキンジフチトクス)、Onxol(パクリタキセル)、OPPA、Orapred(プレドニゾロン)、オシメルチニブ、オキサリプラチン、パクリタキセル、パクリタキセルアルブミン安定化ナノ粒子製剤、PAD、パルボシクリブ、パリフェルミン、塩酸パロノセトロン、塩酸パロノセトロン及びネツピタント、パミドロネート二ナトリウム、Panobinostat、Panretin(アリトレチノイン)、Paraplat(カルボプラチン)、塩酸パゾパニブ、PCV、PEB、Pediapred(プレドニゾロン)、ペグアスパラガーゼ、ペグフィルグラスチム、ペメトレキセド二ナトリウム、Platinol(シスプラチン)、PlatinolAQ(シスプラチン)、プレリキサホル、Pomalyst(ポマリドミド)、塩酸ポナチニブ、プララトレキサート、プレドニゾン、塩酸プロカルバジン、Proleukin(アルデスロイキン)、Promacta(エルトロンボパグオラミン)、塩酸プロプラノロール、Purinethol(メルカプトプリン)、Purixan(メルカプトプリン)、ラジウム223ジクロリド、塩酸ラロキシフェン、ラスブリカーゼ、R-CHOP、R-CVP、Reclast(ゾレドロン酸)、組換えヒトパピローマウイルス(HPV)二価ワクチン、組換えヒトパピローマウイルス(HPV)非価ワクチン、組換えヒトパピローマウイルス(HPV)4価ワクチン、レゴラフェニブ、レリストール(臭化メチルナルトレキソン)、R-EPOCH、Revlimid(レナ
リドミド)、Rheumatrex(メトトレキサート)、リボシクリブ、R-ICE、塩酸ロラピタント、ロミデプシン、ロミプロスチム、Rubex(ドキソルビシン)、Rubidomycin(塩酸ダウノルビシン)、Rubraca(ルカパリブ)、ルカパリブカムシレート、ルキソリチニブリン酸、Rydapt(ミドスタウリン)、Sandostatin(オクトレオチド)、Sandostatin LAR Depot(オクトレオチド)、Sclerosol Intrapleural Aerosol(タルク)、Soltamox(タモキシフェン)、Somatuline Depot(酢酸ランレオチド)、ソニデギブ、ソラフェニブトシレート、Sprycel(ダサチニブ)、STANFORD V、Sterapred(プレドニゾン)、Sterapred DS(プレドニゾン)、Sterile Talc Powder(タルク)、Steritalc(タルク)、Sterecyst(プレドニムスチン)、Stivarga(レゴラフェニブ)、スニチニブリンゴ酸、Supprelin LA(ヒストレリン)、Sutent(スニチニブリンゴ酸)、Sutent(スニチニブ)、Synribo(オマセタキシンメペサクシネート)、Tabloid(チオグアニン)、TAC、Tafinlar(ダブラフェニブ)、Tagrisso(オシメルチニブ)、タルク、タリモジェンラヘルパレプベック、クエン酸タモキシフェン、Tarabine PFS(シタラビン)、Tarceva(エルロチニブ)、Targretin(ベキサロテン)、Tasigna(ダカルバジン)、Tasigna(ニロチニブ)、Taxol(パクリタキセル)、Taxotere(ドセタキセル)、Temodar(テモゾロミド)、テモゾロミド、テムシロリムス、Tepadina(チオテパ)、サリドマイド、Thalomid(サリドマイド)、TheraCys BCG(BCG)、チオグアニン、Thioplex(チオテパ)、チオテパ、TICE BCG(BCG)、チサゲンレクルユーセル、Tolak(フルオロウラシル-局所)、Toposar(エトポシド)、塩酸トポテカン、トレミフェン、Torisel(テムシロリムス)、Totect(塩酸デクスラゾキサン)、TPF、トラベクテジン、トラメチニブ、Treanda(塩酸ベンダムスチン)、Trelstar(トリプトレリン)、Trexall(メトトレキサート)、塩酸トリフルリジン及びチピラシル、Trisenox(三酸化ヒ素)、Tykerb(ラパチニブ)、三酢酸ウリジン、VAC、バルルビシン、Valstar(バルルビシン膀胱内)、Valstar(バルルビシン)、VAMP、バンデタニブ、Vantas(ヒストレリン)、Varubi(ロラピタント)、VeIP、Velban(ビンブラスチン)、Velcade(ボルテゾミブ)、Velsar(硫酸ビンブラスチン)、ベムラフェニブ、Venclexta(ベネトクラクス)、Vepesid(エトポシド)、Verzenio(アベマシクリブ)、Vesanoid(トレチノイン)、Viadur(酢酸ロイプロリド)、Vidaza(アザシチジン)、硫酸ビンブラスチン、Vincasar PFS(ビンクリスチン)、Vincrex(ビンクリスチン)、硫酸ビンクリスチン、硫酸ビンクリスチンリポソーム、ビノレルビン酒石酸、VIP、ビスモデギブ、Vistogard(ウリジントリアセテート)、Voraxaze(グルカルピダーゼ)、ボリノスタット、Votrient(パゾパニブ)、Vumon(テニポシド)、Vyxeos(塩酸ダウノルビシン及びシタラビンリポソーム)、W、Wellcovorin(ロイコボリンカルシウム)、Wellcovorin IV(ロイコボリン)、Xalkori(クリゾチニブ)、XELIRI、Xeloda(カペシタビン)、XELOX、Xofigo(ラジウム223ジクロリド)、Xtandi(エンザルタミド)、Yescarta(アキシカブタゲンシロロイセル)、Yondelis(トラベクテジン)、Zaltrap(Ziv-アフリベルセプト)、Zanosar(ストレプトゾシン)、Zarxio(フィルグラスチム)、Zejula(ニラパリブ)、Zelboraf(ベムラフェニブ)、Zinecard(塩酸デクスラゾキサン)、Ziv-アフリベルセプト、Zofran(塩酸オンダンセトロン)、Zoladex(ゴセレリン)、ゾレドロン酸、Zolinza(ボリノスタット)、Zometa(ゾレドロン酸)、Zortress(エベロリムス)、Zydelig(イデラリシブ)、Zykadia(セリチニブ)、Zytiga(酢酸アビラテロン)、ならびにZytiga(アビラテロン)から選択される。
【0352】
実施形態では、本明細書に開示されるキメラタンパク質(及び/または追加の薬剤)は、共有結合が組成物の活性を妨げないように、すなわち、組成物への任意の種類の分子の共有結合によって修飾した誘導体を含む。例えば、限定されないが、誘導体には、とりわけ、グリコシル化、脂質化、アセチル化、ペグ化、リン酸化、アミド化、既知の保護/遮断基による誘導体化、タンパク質分解切断、細胞性リガンドまたは他のタンパク質との結合などによって修飾されている組成物が含まれる。特定の化学的切断、アセチル化、ホルミル化、ツニカマイシンの代謝合成などを含むがこれらに限定されない既知の技術によって、多数の化学修飾のいずれかを実施することができる。さらに、誘導体は、1つ以上の非古典的アミノ酸を含むことができる。さらに他の実施形態では、本明細書に開示されるキメラタンパク質(及び/または追加の薬剤)は、例示的な実施形態において、毒素、化学療法剤、放射性同位元素、及びアポトーシスまたは細胞死を引き起こす薬剤を含む、細胞傷害性薬剤をさらに含む。かかる薬剤は、本明細書に開示される組成物に複合化され得る。
【0353】
したがって、本明細書に開示されるキメラタンパク質(及び/または追加の薬剤)は、翻訳後に修飾して、化学リンカーなどのエフェクター部分、例えば、蛍光色素、酵素、基質、生物発光物質、放射性物質、及び化学発光部分などの検出可能な部分、または例えば、ストレプトアビジン、アビジン、ビオチン、細胞毒素、細胞傷害性薬剤、及び放射性物質などの機能的部分を追加することができる。
【0354】
薬学的組成物
本発明の態様は、治療有効量の本明細書に開示されるキメラタンパク質を含む薬学的組成物を含む。
【0355】
本明細書に開示されるキメラタンパク質(及び/または追加の薬剤)は、十分に塩基性の官能基を保有することができ、それは、無機、有機、またはカルボキシル基と反応することができ、無機または有機塩基と反応して、薬学的に許容される塩を形成することができる。当該技術分野で周知であるように、薬学的に許容される酸付加塩は、薬学的に許容される酸から形成される。かかる塩には、例えば、Journal of Pharmaceutical Science,66,2-19(1977)、及びThe Handbook of Pharmaceutical Salts;Properties,Selection,and Use P.H.Stahl and C.G.Wermuth(eds.),Verlag,Zurich(Switzerland)2002に列挙される薬学的に許容される塩が含まれ、これらは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0356】
実施形態では、本明細書に開示される組成物は、薬学的に許容される塩の形態である。
【0357】
さらに、本明細書に開示される任意のキメラタンパク質(及び/または追加の薬剤)は、組成物、例えば、薬学的に許容される担体またはビヒクルを含む薬学的組成物の成分として対象に投与することができる。かかる薬学的組成物は、適切な投与のための形態を提供するために、任意で、好適な量の薬学的に許容される賦形剤を含むことができる。薬学的賦形剤は、水、及び例えばピーナッツ油、ダイズ油、鉱物油、ゴマ油といった石油、動物、植物、もしくは合成起源のものを含む油などの液体であり得る。薬学的賦形剤は、例えば、食塩水、アカシアゴム、ゼラチン、デンプンのり、タルク、ケラチン、コロイダルシリカ、尿素、及び類似物であり得る。加えて、助剤、安定剤、増粘剤、滑沢剤、及び着色剤を使用することができる。実施形態では、薬学的に許容される賦形剤は、対象に投与される場合に無菌である。水は、本明細書に開示される任意の薬剤が静脈内投与される場合に有用な賦形剤である。食塩水溶液ならびにデキストロース及びグリセロールの水溶液はまた、特に注入溶液のために液体賦形剤として用いられ得る。好適な薬学的賦形剤には、デンプン、グルコース、ラクトース、スクロース、ゼラチン、麦芽、コメ、小麦粉、チョーク、シリカゲル、ステアリン酸ナトリウム、モノステアリン酸グリセロール、タルク、塩化ナトリウム、乾燥脱脂乳、グリセロール、プロピレングリコール、水、エタノールなども含まれる。本明細書に開示される任意の薬剤は、必要に応じて、少量の湿潤もしくは乳化剤、またはpH緩衝剤を含むこともできる。
【0358】
実施形態では、本明細書に開示される組成物、例えば、薬学的組成物は、生理食塩水緩衝液(TBS、PBSなどを含むがこれらに限定されない)に再懸濁される。
【0359】
実施形態では、キメラタンパク質は、半減期を延長するか、さもなければ薬力学的及び薬物動態学的特性を改善するために、別の薬剤と複合化及び/または融合することができる。実施形態では、キメラタンパク質は、PEG、XTEN(例えば、rPEGとして)、ポリシアル酸(POLYXEN)、アルブミン(例えば、ヒト血清アルブミンまたはHAS)、エラスチン様タンパク質(ELP)、PAS、HAP、GLK、CTP、トランスフェリンなどのうちの1つ以上と融合または複合化され得る。実施形態では、個々のキメラタンパク質の各々は、BioDrugs(2015)29:215-239に記載される薬剤のうちの1つ以上と融合されており、その全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0360】
本発明は、薬学的組成物の様々な製剤において開示されるキメラタンパク質(及び/または追加の薬剤)を含む。本明細書に開示される任意のキメラタンパク質(及び/または追加の薬剤)は、溶液、懸濁液、乳剤、液滴、錠剤、丸薬、ペレット、カプセル、液体を含むカプセル、粉末、徐放性製剤、坐剤、乳濁液、エアロゾル、スプレー、懸濁液、または使用に好適な他の任意の形態をとることができる。タンパク質配列をコードするDNAまたはRNA構築物も使用することができる。実施形態では、組成物は、カプセルの形態である(例えば、米国特許第5,698,155号を参照されたい)。好適な薬学的添加剤の他の例は、Remington’s Pharmaceutical Sciences1447-1676(Alfonso R.Gennaro eds.,19th ed.1995)に記載されており、参照により本明細書に組み込まれる。
【0361】
必要に応じて、キメラタンパク質(及び/または追加の薬剤)を含む薬学的組成物は、可溶化剤を含むこともできる。また、薬剤は、当技術分野で既知である好適なビヒクルまたは送達デバイスを用いて送達することができる。本明細書に概説される併用療法は、単一の送達ビヒクルまたは送達デバイスで共送達することができる。投与用の組成物は、任意で、注入の部位における疼痛を緩和するために、例えば、リグノカインなどの局所麻酔薬を含むことができる。
【0362】
本発明のキメラタンパク質(及び/または追加の薬剤)を含む薬学的組成物は、単位剤形で好都合に提示することができ、薬学の分野で周知である方法のいずれかによって調製することができる。かかる方法は一般に、治療剤を1つ以上の副成分を構成する担体と会合させるステップを含む。典型的には、薬学的組成物は、治療剤を液体担体、細かく分割した固体担体、またはその両方と会合させることによって均一かつ密接に調製され、次に必要に応じて、生成物を所望の製剤の剤形に成形する(例えば、湿式または乾式造粒、粉末ブレンドなど、その後、当技術分野で既知である従来の方法を使用して錠剤化する)。
【0363】
実施形態では、本明細書に開示される任意のキメラタンパク質(及び/または追加の薬剤)は、本明細書に開示される投与様式に適合した薬学的組成物として、慣例の手順に従って製剤化される。
【0364】
投与、用量、及び治療レジメン
投与経路には、例えば、皮内、腫瘍内、筋肉内、腹腔内、静脈内、皮下、鼻腔内、硬膜外、経口、舌下、鼻腔内、脳内、膣内、経皮、直腸、吸入、または局所的、特に耳、鼻、目、もしくは皮膚に対するものを含む。
【0365】
例として、投与は血流中に本明細書に開示されるキメラタンパク質(及び/または追加の薬剤)の放出をもたらすか(経腸または非経口投与を介して)、または代替的にキメラタンパク質(及び/または追加の薬剤)は、活性疾患の部位に直接的に投与される。
【0366】
本明細書に開示される任意のキメラタンパク質(及び/または追加の薬剤)は、経口的に投与され得る。かかるキメラタンパク質(及び/または追加の薬剤)はまた、他の簡便な経路、例えば、静脈内注入またはボーラス注射、上皮または粘膜皮膚内層を介した吸収(例えば、口腔粘膜、直腸、及び腸粘膜など)によって投与することもでき、別の生物学的に活性な薬剤と一緒に投与することもできる。投与は、全身性または局所性であり得る。様々な送達系、例えば、リポソーム、微粒子、マイクロカプセル、カプセルなどへの封入化が既知であり、投与するために使用することができる。
【0367】
特定の実施形態では、治療が必要な領域に局所的に投与することが望ましい場合がある。実施形態では、例えば、がんの治療において、キメラタンパク質(及び/または追加の薬剤)は、腫瘍微小環境(例えば、腫瘍血管系を含む、腫瘍細胞を取り囲み及び/または供給する細胞、分子、細胞外マトリックス及び/または血管、腫瘍浸潤リンパ球、線維芽細網細胞、内皮前駆細胞(EPC)、がん関連線維芽細胞、周皮細胞、他の間質細胞、細胞外マトリックス(ECM)の成分、樹状細胞、抗原提示細胞、T細胞、制御性T細胞、マクロファージ、好中球、ならびに腫瘍の近位に位置する他の免疫細胞)またはリンパ節に投与される、及び/または腫瘍微小環境またはリンパ節を標的とする。実施形態では、例えば、がんの治療において、キメラタンパク質(及び/または追加の薬剤)は、腫瘍内に投与される。
【0368】
実施形態では、本発明のキメラタンパク質は、従来の免疫療法(例えば、OPDIVO、KEYTRUDA、YERVOY、及びTECENTRIQのうちの1つ以上による治療)で見られるよりも少ない副作用を提供する二重効果を可能とする。例えば、本発明のキメラタンパク質は、皮膚、胃腸管、腎臓、末梢及び中枢神経系、肝臓、リンパ節、目、膵臓、ならびに内分泌系を含む様々な組織及び器官に影響を与え、例えば、下垂体炎、大腸炎、肝炎、間質性肺炎、発疹、リウマチ性疾患など一般的に観察される免疫関連の有害事象を減少または予防する。さらに、現在の局所性投与、例えば腫瘍内投与は、従来の免疫療法(例えば、OPDIVO、KEYTRUDA、YERVOY、及びTECENTRIQのうちの1つ以上による治療)で使用されるような標準的な全身投与、例えば、IV注入で見られる有害事象を未然に防ぐ。
【0369】
非経口投与(例えば、静脈内、筋肉内、腹腔内、皮下、及び関節内注射ならびに注入)に好適な剤形には、例えば、溶液、懸濁液、分散液、乳濁液などが含まれる。それらはまた、使用直前に無菌の注入可能な培地に溶解または懸濁することができる、無菌の固体組成物(例えば、凍結乾燥組成物)の形態で製造され得る。それらは、例えば、当技術分野で既知である懸濁剤または分散剤を含み得る。
【0370】
本明細書に開示される任意のキメラタンパク質(及び/または追加の薬剤)の投与量、ならびに投薬スケジュールは、治療される疾患、対象の一般的な健康状態、及び投与する医師の裁量を含むがこれらに限定されない様々なパラメータに依存し得る。本明細書に開示される任意のキメラタンパク質は、追加の薬剤の投与の前(例えば、5分、15分、30分、45分、1時間、2時間、4時間、6時間、12時間、24時間、48時間、72時間、96時間、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、8週間、または12週間前)、それと同時、またはそれに続いて(例えば、5分、15分、30分、45分、1時間、2時間、4時間、6時間、12時間、24時間、48時間、72時間、96時間、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、8週間、または12週間後)、それを必要とする対象に投与することができる。
【0371】
実施形態では、キメラタンパク質及び追加の薬剤(複数可)は、1分間隔、10分間隔、30分間隔、1時間未満間隔、1時間間隔、1時間~2時間間隔、2時間~3時間間隔、3時間~4時間間隔、4時間~5時間間隔、5時間~6時間間隔、6時間~7時間間隔、7時間~8時間間隔、8時間~9時間間隔、9時間~10時間間隔、10時間~11時間間隔、11時間~12時間間隔、1日間隔、2日間隔、3日間隔、4日間隔、5日間隔、6日間隔、1週間間隔、2週間間隔、3週間間隔、または4週間間隔で投与される。
【0372】
実施形態では、本発明は、自然免疫応答を誘導するキメラタンパク質、及び適応免疫応答を誘導する別のキメラタンパク質の共投与に関する。かかる実施形態では、自然免疫応答を誘導するキメラタンパク質は、適応免疫応答を誘導するキメラタンパク質の投与の前、同時、またはそれに続いて投与され得る。例えば、キメラタンパク質は、1分間隔、10分間隔、30分間隔、1時間未満間隔、1時間間隔、1時間~2時間間隔、2時間~3時間間隔、3時間~4時間間隔、4時間~5時間間隔、5時間~6時間間隔、6時間~7時間間隔、7時間~8時間間隔、8時間~9時間間隔、9時間~10時間間隔、10時間~11時間間隔、11時間~12時間間隔、1日間隔、2日間隔、3日間隔、4日間隔、5日間隔、6日間隔、1週間間隔、2週間間隔、3週間間隔、または4週間間隔で投与され得る。例示的な実施形態では、自然免疫応答を誘導するキメラタンパク質及び適応免疫応答を誘導するキメラタンパク質は、1週間間隔で投与されるか、または隔週で投与される(すなわち、自然免疫応答を誘導するキメラタンパク質の投与は、適応免疫応答を誘導するキメラタンパク質の投与などが1週間後に続く)。
【0373】
本明細書に開示される任意のキメラタンパク質(及び/または追加の薬剤)の投与量は、状態の重症度、状態を治療するのかまたは予防するのか、治療する対象の年齢、体重、健康状態など、いくつかの要因に依存し得る。さらに、特定の対象に関する薬理ゲノミクス(治療上の薬物動態、薬力学、または有効性プロファイルに対する遺伝子型の影響)情報は、使用される投与量に影響し得る。さらに、正確な個々の投与量は、投与される薬剤の特定の組み合わせ、投与の期間、投与の経路、製剤の性質、排泄率、治療される特定の疾患、障害の重症度、及び障害の解剖学的位置を含む、様々な要因に応じて若干調整することができる。投与量のいくつかの変動が予想され得る。
【0374】
非経口注入による本明細書に開示される任意のキメラタンパク質(及び/または追加の薬剤)の投与について、投与量は、1日あたり約0.1mg~約250mg、1日あたり約1mg~約20mg、または1日あたり約3mg~約5mgであり得る。一般に、経口的または非経口的に投与される場合、本明細書に開示される任意の薬剤の投与量は、1日あたり約0.1mg~約1500mg、または1日あたり約0.5mg~約10mg、または1日あたり約0.5mg~約5mg、または1日あたり約200~約1,200mg(例えば、1日あたり約200mg、約300mg、約400mg、約500mg、約600mg、約700mg、約800mg、約900mg、約1,000mg、約1,100mg、約1,200mg)であり得る。
【0375】
実施形態では、本明細書に開示されるキメラタンパク質(及び/または追加の薬剤)の投与は、治療あたり約0.1mg~約1500mg、または治療あたり約0.5mg~約10mg、または治療あたり約0.5mg~約5mg、または治療あたり約200~約1,200mg(例えば、治療あたり約200mg、約300mg、約400mg、約500mg、約600mg、約700mg、約800mg、約900mg、約1,000mg、約1,100mg、約1,200mg)の投与量での非経口注入によるものである。
【0376】
実施形態では、キメラタンパク質(及び/または追加の薬剤)の好適な投与量は、対象の体重の約0.01mg/kg~約100mg/kgまたは対象の体重の約0.01mg/kg~約10mg/kg、例えば、約0.01mg/kg、約0.02mg/kg、約0.03mg/kg、約0.04mg/kg、約0.05mg/kg、約0.06mg/kg、約0.07mg/kg、約0.08mg/kg、約0.09mg/kg、約0.1mg/kg、約0.2mg/kg、約0.3mg/kg、約0.4mg/kg、約0.5mg/kg、約0.6mg/kg、約0.7mg/kg、約0.8mg/kg、約0.9mg/kg、約1mg/kg、約1.1mg/kg、約1.2mg/kg、約1.3mg/kg、約1.4mg/kg、約1.5mg/kg、約1.6mg/kg、約1.7mg/kg、約1.8mg/kg、1.9mg/kg、約2mg/kg、約3mg/kg、約4mg/kg、約5mg/kg、約6mg/kg、約7mg/kg、約8mg/kg、約9mg/kg、約10mg/kg体重の範囲であり、これらの間のすべての値及び範囲を含む。
【0377】
別の実施形態では、送達は、小胞、特にリポソームであり得る(Langer,1990,Science249:1527-1533、Treat et al.,Liposomes in Therapy of Infectious Disease and Cancer,Lopez-Berestein and Fidler(eds.),Liss,New York,pp.353-365(1989)を参照されたい。
【0378】
本明細書に開示されるキメラタンパク質(及び/または追加の薬剤)は、制御放出または持続放出手段によって、または当業者に周知である送達デバイスによって投与することができる。例には、限定されないが、米国特許第3,845,770号、同第3,916,899号、同第3,536,809号、同第3,598,123号、同第4,008,719号、同第5,674,533号、同第5,059,595号、同第5,591,767号、同第5,120,548号、同第5,073,543号、同第5,639,476号、同第5,354,556号、及び同第5,733,556号に記載されているものが含まれ、これらの各々は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。かかる剤形は、様々な割合で所望の放出プロファイルを提供するために、例えば、ヒドロプロピルメチルセルロース、他のポリマーマトリックス、ゲル、透過性膜、浸透圧システム、多層コーティング、微小粒子、リポソーム、ミクロスフェア、またはこれらの組み合わせを使用して、1つ以上の活性成分を制御放出または持続放出を提供するために有用であり得る。活性成分の制御または持続放出は、pHの変化、温度の変化、適切な波長の光による刺激、酵素の濃度もしくは利用能、水の濃度もしくは利用能、または他の生理学的条件もしくは化合物を含むがこれらに限定されない様々な条件によって刺激することができる。
【0379】
別の実施形態では、高分子材料を使用することができる(Medical Applications of Controlled Release,Langer and Wise(eds.),CRC Pres.,Boca Raton,Florida(1974)、Controlled Drug Bioavailability,Drug Product Design and Performance,Smolen and Ball(eds.),Wiley,New York(1984)、Ranger and Peppas,1983,J.Macromol. Sci.Rev.Macromol. Chem.23:61を参照されたく、さらにLevy et al.,1985,Science228:190、During et al.,1989,Ann.Neurol.25:351、Howard et al.,1989,J.Neurosurg.71:105も参照されたい)。
【0380】
別の実施形態では、制御放出系は、治療される標的領域の近くに配置され得、したがって全身用量のほんの一画分を必要とし得る(例えば、Goodson,Medical Applications of Controlled Release,前述,vol.2,pp.115-138(1984)を参照されたい)。Langer,1990,Science249:1527-1533)による総説で議論されている他の制御放出系を使用することができる。
【0381】
本明細書に開示されるキメラタンパク質(及び/または追加の薬剤)の投与は独立して、1日1~4回、または1ヶ月に1~4回、または1年に1~6回、または2、3、4、もしくは5年に1回であり得る。投与は、1日または1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、1年、2年、3年の期間であり得、対象の生涯にわたる可能性もある。
【0382】
本明細書に開示される任意のキメラタンパク質(及び/または追加の薬剤)を利用する投与レジメンは、対象の型、種、年齢、体重、性別、医学的状態、治療される状態の重症度、投与の経路、対象の腎機能または肝機能、個人の薬理ゲノミクス構成、及び利用される本発明の特定の化合物など、様々な要因に応じて選択され得る。本明細書に開示される任意のキメラタンパク質(及び/または追加の薬剤)は、1日1回用量で投与され得るか、または総1日用量が、1日2回、3回、4回の分割用量で投与され得る。さらに、本明細書に開示される任意のキメラタンパク質(及び/または追加の薬剤)は、投与レジメン全体を通して断続的ではなく継続的に投与され得る。
【0383】
細胞及び核酸
本発明の別の態様は、本明細書に開示される態様または実施形態のいずれかのキメラタンパク質をコードする核酸を含む発現ベクターである。
【0384】
本明細書に開示される態様または実施形態のいずれかでは、キメラタンパク質は、組換え融合タンパク質、例えば、本明細書に開示される細胞外ドメインを有する単一のポリペプチドであり得る。例えば、実施形態では、キメラタンパク質は、原核細胞、真核細胞、または無細胞発現系において単一の単位として翻訳される。
【0385】
実施形態では、本発明のキメラタンパク質は、分泌可能及び完全な機能性単一ポリペプチド鎖として哺乳動物宿主細胞において生成可能である。
【0386】
構築物は、これら3つの断片(第1の膜貫通タンパク質の細胞外ドメイン、それに続くリンカー配列、それに続く第2の膜貫通タンパク質の細胞外ドメイン)をベクター(プラスミド、ウイルス、またはその他)にクローニングすることによって生成できる。したがって、実施形態では、本発明のキメラタンパク質は、そのように操作される。
【0387】
本発明の態様は、本明細書に開示されるようなキメラタンパク質をコードする核酸を含む発現ベクターを提供する。発現ベクターは、本明細書に開示されるキメラタンパク質をコードする核酸を含む。実施形態では、発現ベクターは、DNAまたはRNAを含む。実施形態では、発現ベクターは、哺乳動物発現ベクターである。
【0388】
原核生物及び真核生物の両方のベクターは、キメラタンパク質の発現に使用することができる。原核生物ベクターには、E.coli配列に基づく構築物が含まれる(例えば、Makrides,Microbiol Rev 1996,60:512-538を参照されたい)。E.coliでの発現のために使用することができる制御性領域の非限定的な例には、lac、trp、lpp、phoA、recA、tac、T3、T7、及びλPが含まれる。原核生物発現ベクターの非限定的な例には、λgt11などのλgtベクターシリーズ(Huynh et al.,“DNA Cloning Techniques,Vol.I:A Practical Approach,”1984,(D. Glover,ed.),pp.49-78,IRL Press,Oxford)、及びpETベクターシリーズ(Studier et al.,Methods Enzymol 1990,185:60-89)が含まれる。しかしながら、原核生物宿主-ベクター系は、哺乳類細胞の翻訳後プロセシングの多くを実行できない。したがって、真核生物宿主-ベクター系は、特に有用であり得る。様々な制御性領域は、哺乳動物宿主細胞におけるキメラタンパク質の発現に使用することができる。例えば、SV40初期及び後期プロモーター、サイトメガロウイルス(CMV)前初期プロモーター、及びラウス肉腫ウイルス末端反復配列(RSV-LTR)プロモーターを使用できる。哺乳動物細胞において有用であり得る誘導性プロモーターには、限定されないが、メタロチオネインII遺伝子、マウス乳癌ウイルス糖質コルチコイド応答性末端反復配列(MMTV-LTR)、β-インターフェロン遺伝子、及びhsp70遺伝子に関連するプロモーターが含まれる(例えば、Williams et al.,Cancer Res 1989,49:2735-42、及びTaylor et al.,Mol Cell Biol 1990,10:165-75を参照されたい)。熱ショックプロモーターまたはストレスプロモーターもまた、組換え宿主細胞におけるキメラタンパク質の発現を駆動するために有利であり得る。
【0389】
実施形態では、本発明の発現ベクターは、哺乳動物細胞において機能的である、発現制御領域またはその補体に作動可能に連結された、キメラタンパク質またはその補体をコードする核酸を含む。発現制御領域は、発現ベクターを用いて形質転換されたヒト細胞において遮断及び/または刺激媒介物が生成されるように、作動可能に連結された遮断及び/または刺激媒介物をコードする核酸の発現を駆動することができる。
【0390】
発現制御領域は、プロモーター及びエンハンサーなどの制御性ポリヌクレオチド(本明細書ではエレメントと称されることもある)であり、作動可能に連結された核酸の発現に影響を与える。本発明の発現ベクターの制御制御領域は、ヒト細胞において作動可能に連結されたコード化核酸を発現することができる。実施形態では、細胞は、腫瘍細胞である。別の実施形態では、細胞は、非腫瘍細胞である。実施形態では、発現制御領域は、作動可能に連結された核酸に制御可能な発現を付与する。シグナル(刺激と称されることもある)は、かかる発現制御領域に作動可能に連結された核酸の発現を増加または低減させることができる。シグナルに応答して発現を増加させるかかる発現制御領域は、誘導可能と称されることが多い。シグナルに応答して発現を低減させるかかる発現制御領域は、抑制可能と称されることが多い。通常、かかるエレメントによって付与される増加または低減の量は、存在するシグナルの量に比例し、シグナルの量が多いほど、発現の増加または低減が大きくなる。
【0391】
実施形態では、本発明は、合図に応答して一過性で高レベルの発現をもたらすことが可能である誘導性プロモーターの使用を企図する。例えば、腫瘍細胞の近くにある場合、かかる発現制御配列を含むキメラタンパク質(及び/または追加の薬剤)の発現ベクターで形質転換された細胞は、形質転換された細胞を適切な合図に曝露することによって、高レベルの薬剤を一過性に生成するように誘導される。例示的な誘導性発現制御領域には、低分子化学化合物などの合図で刺激される誘導性プロモーターを含む領域が含まれる。他の例では、キメラタンパク質は、細胞による抗原認識に感受性のあるプロモーターの制御下で、キメラ抗原受容体含有細胞またはインビトロで増殖した腫瘍浸潤リンパ球で発現され、腫瘍抗原認識に応答して、キメラタンパク質の局所分泌を引き起こす。特定の例は、例えば、米国特許第5,989,910号、同第5,935,934号、同第6,015,709号、及び同第6,004,941号に見出すことができ、これらの各々は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0392】
発現制御領域及び遺伝子座制御領域には、天然のプロモーター及びエンハンサーエレメントなどの全長プロモーター配列、ならびに全長または非バリアント機能の全部もしくは一部を保持する、部分配列またはポリヌクレオチドバリアントが含まれる。本明細書で使用される場合、「機能的」及びその適格なバリアントという用語は、核酸配列、部分配列、または断片に関して使用される場合、その配列が天然核酸配列(例えば、非バリアントまたは非修飾配列)の1つ以上の機能を有することを意味する。
【0393】
本明細書で使用される場合、「作動可能に連結する」とは、それらが意図した様式で機能することを可能にするように記載された構成要素の物理的並置を指す。核酸と作動可能に連結する発現制御エレメントの例では、制御エレメントが核酸の発現を調節するような関係である。典型的には、転写を調節する発現制御領域は、転写される核酸の5’末端近く(すなわち、「上流」)に並置する。発現制御領域はまた、転写される配列の3’末端(すなわち、「下流」)または転写物内(例えば、イントロン内)に位置し得る。発現制御エレメントは、転写される配列から離れた距離に位置し得る(例えば、核酸から100~500、500~1000、2000~5000、またはそれ以上のヌクレオチド)。発現制御エレメントの特定の例はプロモーターであり、これは通常、転写される配列の5’に位置する。発現制御エレメントの別の例は、転写される配列の5’もしくは3’、または転写される配列内に位置し得るエンハンサーである。
【0394】
ヒト細胞で機能する発現系は当該技術分野で周知であり、これらにはウイルス系が含まれる。一般に、ヒト細胞で機能するプロモーターは、哺乳動物RNAポリメラーゼと結合し、コード配列のmRNAへの下流(3’)転写を開始することが可能である任意のDNA配列である。プロモーターは、通常、コード配列の5’末端の近位に配置される転写開始領域と、典型的に、転写開始部位の25~30塩基対上流に位置するTATAボックスを有する。TATAボックスは、RNAポリメラーゼIIに正確な部位でRNA合成を開始するように指示すると考えられている。プロモーターはまた、典型的に、TATAボックスの上流の100~200塩基対内に典型的に位置する上流プロモーターエレメント(エンハンサーエレメント)も含むであろう。上流のプロモーターエレメントは、転写が開始される比率を決定し、どちらの配向にも作用することができる。プロモーターとして特に使用されるのは、ウイルス遺伝子が多くの場合高度に発現され、広い宿主範囲を有するため、哺乳動物ウイルス遺伝子からのプロモーターである。例には、SV40初期プロモーター、マウス乳癌ウイルスLTRプロモーター、アデノウイルス主要後期プロモーター、単純ヘルペスウイルスプロモーター、CMVプロモーターなどが含まれる。
【0395】
典型的には、哺乳動物細胞によって認識される転写終結及びポリアデニル化配列は、翻訳終止コドンの3’に位置する制御性領域であり、したがって、プロモーターエレメントと一緒に、コード配列に隣接する。成熟mRNAの3’末端は、部位特異的な翻訳後切断及びポリアデニル化によって形成される。転写ターミネーター及びポリアデニル化シグナルの例には、SV40に由来するものが含まれる。イントロンはまた、発現構築物に含まれ得る。
【0396】
核酸を生細胞に導入するために使用可能な様々な技術が存在する。インビトロでの哺乳動物細胞への核酸の移入に好適な技術には、リポソームの使用、電気穿孔、微量注入、細胞融合、ポリマー系システム、DEAE-デキストラン、ウイルス形質導入、リン酸カルシウム沈降法などが含まれる。インビボでの遺伝子導入のために、リポソーム、キトサン及びゼラチンなどの天然ポリマー系送達ビヒクル、インビボでの形質導入にさらに好適であるウイルスベクターを含む多くの技術及び試薬も使用され得る。いくつかの状況では、腫瘍細胞表面膜タンパク質に特異的な抗体またはリガンドなどの標的化剤を提供することが望ましい。リポソームが用いられる場合、エンドサイトーシスと関連付けられた細胞表面膜タンパク質に結合するタンパク質は、例えば、特定の細胞型に向性のカプシドタンパク質またはその断片、循環中の内部化を受けるタンパク質の抗体、細胞内限局化を標的とし、細胞内半減期を強化するタンパク質を標的とするため、及び/またはそれらの取り込みを促進するために使用され得る。受容体を媒介したエンドサイトーシスの技術は、例えば、Wu et al.,J.Biol.Chem.262,4429-4432(1987)、及びWagner et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87,3410-3414(1990)に記載される。
【0397】
必要に応じて、例えば、組み込み配列などの遺伝子送達剤を利用することもできる。多数の組み込み配列が当技術分野で既知である(例えば、Nunes-Duby et al.,Nucleic Acids Res.26:391-406,1998、Sadwoski,J.Bacteriol.,165:341-357,1986、Bestor,Cell,122(3):322-325,2005、Plasterk et al.,TIG 15:326-332,1999、Kootstra et al.,Ann.Rev.Pharm.Toxicol.,43:413-439,2003を参照されたい)。これらには、リコンビナーゼ及びトランスポザーゼが含まれる。例には、Cre(Sternberg and Hamilton,J.Mol.Biol.,150:467-486,1981)、ラムダ(Nash,Nature,247,543-545,1974)、FIp(Broach,et al.,Cell,29:227-234,1982)、R(Matsuzaki,et al.,J.Bacteriology,172:610-618,1990)、cpC31(例えば、Groth et al.,J.Mol.Biol.335:667-678,2004を参照されたい)、スリーピングビューティ、マリナーファミリーのトランスポザーゼ(Plasterk et al.,前述)、ならびにレトロウイルスまたはレンチウイルスのLTR配列及びAAVのITR配列など、ウイルス組み込みを提供する成分を有するAAV、レトロウイルス、及びアンチウイルスなどのウイルスを組み込むための成分(Kootstra et al.,Ann.Rev.Pharm.Toxicol.,43:413-439,2003)が含まれる。さらに、直接的及び標的遺伝子組み込み戦略を使用して、CRISPR/CAS9、ジンクフィンガー、TALEN、及びメガヌクレアーゼ遺伝子編集技術を含むキメラ融合タンパク質をコードする核酸配列を挿入することができる。
【0398】
実施形態では、キメラタンパク質の発現のための発現ベクターは、ウイルスベクターである。遺伝子治療に有用な多くのウイルスベクターが既知である(例えば、Lundstrom,Trends Biotechnol.,21:1 17,122,2003を参照されたい。例示的なウイルスベクターには、アンチウイルス(LV)、レトロウイルス(RV)、アデノウイルス(AV)、アデノ随伴ウイルス(AAV)、及びαウイルスから選択されるものが含まれるが、他のウイルスベクターも使用され得る。インビボでの使用について、αウイルス及びアデノウイルスなど、宿主ゲノムに組み込まれないウイルスベクターが使用に好適である。αウイルスの例示的な種類には、シンドビスウイルス、ベネズエラ馬脳炎(VEE)ウイルス、及びセムリキ森林ウイルス(SFV)が含まれる。インビトロでの使用について、レトロウイルス、AAV、アンチウイルスなど、宿主ゲノムに組み込まれるウイルスベクターが好適である。実施形態では、本発明は、インビボで固形腫瘍を本発明のウイルスベクターと接触させることを含む、インビボでのヒト細胞を形質導入する方法を提供する。
【0399】
本発明の態様は、本明細書に開示される任意のキメラタンパク質をコードする発現ベクターを含む宿主細胞を含む。
【0400】
発現ベクターは、本発明のキメラタンパク質を生成するために宿主細胞に導入され得る。細胞は、例えば、インビトロで培養され得るか、または遺伝子操作され得る。有用な哺乳動物宿主細胞には、ヒト、サル、及びげっ歯類に由来する細胞が含まれるが、これらに限定されない(例えば、Kriegler、“Gene Transfer and Expression:A Laboratory Manual,”1990,New York,Freeman & Co.を参照されたい)。これらには、SV40によって形質転換されたサル腎臓細胞株(例えば、COS-7、ATCC CRL 1651)、ヒト胎児腎臓株(例えば、293、293-EBNA、または浮遊培養での増殖のためにサブクローン化された293細胞、Graham et al.,J Gen Virol1977,36:59)、仔ハムスター腎臓細胞(例えば、BHK、ATCC CCL 10)、チャイニーズハムスター卵巣細胞-DHFR(例えば、CHO、Urlaub and Chasin,Proc Natl Acad Sci USA 1980,77:4216)、DG44 CHO細胞、CHO-K1細胞、マウスセルトリ細胞(Mather,Biol Reprod1980,23:243-251)、マウス線維芽細胞(例えば、NIH-3T3)、サル腎臓細胞(例えば、CV1 ATCC CCL 70)、アフリカミドリザル腎臓細胞(例えば、VERO-76、ATCC CRL-1587)、ヒト子宮頸癌細胞(例えば、HELA、ATCC CCL 2)、イヌ腎臓細胞(例えば、MDCK、ATCC CCL 34)、バッファローラット肝臓細胞(例えば、BRL 3A、ATCC CRL 1442)、ヒト肺細胞(例えば、W138、ATCC CCL 75)、ヒト肝臓細胞(例えば、Hep G2、HB 8065)、及びマウス乳腺腫瘍細胞(例えば、MMT 060562、ATCC CCL51)が含まれる。本明細書に開示されるキメラタンパク質を発現するための例示的ながん細胞型には、マウス線維芽細胞株、NIH3T3、マウスルイス肺癌細胞株、LLC、マウス肥満細胞腫細胞株、P815、マウスリンパ腫細胞株、EL4及びその卵白アルブミン形質移入体、E.G7、マウスメラノーマ細胞株、B16F10、マウス線維肉腫細胞株、MC57、ならびにヒト小細胞肺癌細胞株、SCLC#2及びSCLC#7が含まれる。
【0401】
宿主細胞は、健康なヒト、がん患者、及び感染性疾患を有する患者を含む正常または罹患した対象から、民間研究所の寄託、American Type Culture Collection(ATCC)などの公的な培養物収集、または商業的供給業元から得ることができる。
【0402】
インビトロ、エクスビボ、及び/またはインビボで、本発明のキメラタンパク質の生成に使用することができる細胞には、限定されないが、上皮細胞、内皮細胞、ケラチノサイト、線維芽細胞、筋肉細胞、肝細胞、Tリンパ球、キメラ抗原受容体発現T細胞、腫瘍浸潤リンパ球、Bリンパ球、単球、マクロファージ、好中球、好酸球、巨核球、顆粒球などの血液細胞、様々な幹または前駆細胞、特に造血幹または前駆細胞(例えば、骨髄から得られるもの)、臍帯血、末梢血、及び胎児肝臓が含まれる。細胞型の選択は、治療もしくは予防されている腫瘍または感染症の種類に依存し、当業者によって決定することができる。
【0403】
Fcを含む巨大分子(モノクローナル抗体など)の生成及び精製は、生成物間でわずかな修飾を伴い、標準化されたプロセスとなった。例えば、多くのFcを含む巨大分子は、ヒト胎児腎臓(HEK)細胞(またはそのバリアント)もしくはチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞(またはそのバリアント)によって、またはいくつかの事例では細菌または合成法によって生成される。生成後、HEKまたはCHO細胞によって分泌されるFcを含む巨大分子は、プロテインAカラムと結合することを介して精製され、それに続く様々な方法を使用して「洗練」される。一般的に言えば、精製されたFcを含む巨大分子は、液体の形態で一定期間保存され、長期間凍結されるか、またいくつかの事例では凍結乾燥される。実施形態では、本明細書で企図されるキメラタンパク質の生成は、従来のFcを含む巨大分子と比較して、固有の特徴を有し得る。特定の例では、キメラタンパク質は、特定のクロマトグラフィ樹脂を使用するか、またはプロテインAの捕捉に依存しないクロマトグラフィ法を使用して精製することができる。実施形態では、キメラタンパク質は、オリゴマー状態または複数のオリゴマー状態で精製され得、特定の方法を使用して特定のオリゴマー状態について濃縮され得る。理論に拘束されることなく、これらの方法には、特定の塩濃度、pH、及び添加剤組成を含む特定の緩衝液による処理が含まれ得る。他の例では、かかる方法は、あるオリゴマー状態を別のものよりも有利に処理すること含み得る。本明細書で得られたキメラタンパク質は、当技術分野で指定されている方法を使用してさらに「洗練」することができる。実施形態では、キメラタンパク質は、非常に安定性であり、広範囲のpH曝露(pH3~12)に耐えることが可能であり、多数の凍結/解凍ストレス(3回を超える凍結/解凍サイクル)に耐えることが可能であり、高温での長時間の培養(40℃で2週間を超える)に耐えることが可能である。実施形態では、キメラタンパク質は、かかるストレス条件下で、分解、脱アミド化などの証拠を伴わず、無傷のままであることが示されている。
【0404】
対象及び/または動物
実施形態では、対象及び/または動物は、哺乳動物、例えば、ヒト、マウス、ラット、モルモット、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ブタ、ウサギ、ヒツジ、またはサル、チンパンジー、もしくはヒヒなどの非ヒト霊長類である。実施形態では、対象及び/または動物は、例えば、ゼブラフィッシュなどの非哺乳動物である。実施形態では、対象及び/または動物は、蛍光標識された細胞(例えば、GFPを有する)を含み得る。実施形態では、対象及び/または動物は、蛍光細胞を含むトランスジェニック動物である。
【0405】
実施形態では、対象及び/または動物は、ヒトである。実施形態では、ヒトは、小児のヒトである。実施形態では、ヒトは、成人のヒトである。実施形態では、ヒトは、老齢期のヒトである。実施形態では、ヒトは、患者と称され得る。
【0406】
特定の実施形態では、ヒトは、約0ヶ月~約6ヶ月、約6~約12ヶ月、生後約6~約18ヶ月、生後約18~約36ヶ月、生後約1~約5歳、生後約5~約10歳、約10~約15歳、約15~20歳、約20~約25歳、約25~約30歳、約30~約35歳、約35~約40歳、約40~約45歳、約45~約50歳、約50~約55歳、約55~約60歳、約60~約65歳、約65~約70歳、約70~約75歳、約75~約80歳、約80~約85歳、約85~約90歳、約90~約95歳、または約95~約100歳の範囲の年齢を有する。
【0407】
実施形態では、対象は、非ヒト動物であり、したがって、本発明は獣医学的使用に対する。特定の実施形態では、非ヒト動物は、家庭用ペットである。別の特定の実施形態では、非ヒト動物は、家畜である。
【0408】
キット及び医薬品
本発明の態様は、本明細書に開示される任意の薬剤の投与を単純化することができるキットを提供する。
【0409】
本発明の例示的なキットは、単位剤形で本明細書に開示される任意のキメラタンパク質及び/または薬学的組成物を含む。実施形態では、単位剤形は、本明細書に開示される任意の薬剤、及び薬学的に許容される担体、希釈剤、賦形剤、またはビヒクルを含む、無菌であり得る予め充填されたシリンジなどの容器である。キットは、本明細書に開示される任意の薬剤の使用を指示するラベルまたは印刷された説明書をさらに含むことができる。キットは、開瞼器、局所麻酔剤、及び投与位置に対する洗浄剤をさらに含み得る。キットは、本明細書に開示される1つ以上の追加の薬剤をさらに含み得る。実施形態では、キットは、有効量の本発明の組成物及び有効量の別の組成物、例えば、本明細書に開示されるものなどを含む容器を含む。
【0410】
本発明の態様は、医薬品、例えば、がんの治療及び/または炎症性疾患の治療のための医薬品の製造における、本明細書に開示されるようなキメラタンパク質の使用を含む。
【0411】
本明細書に開示される任意の態様または実施形態は、本明細書に開示される任意の他の態様または実施形態と組み合わせることができる。
【0412】
本発明は、以下の実施例でさらに記載されるが、これらは、特許請求の範囲に記載される本発明の範囲を限定するものではない。
【実施例
【0413】
実施例1.例示的なTIM-3及びCD40L系キメラタンパク質の構築及び特徴付け
ネズミTIM-3及びCD40L系キメラタンパク質をコードする構築物を生成した。「mTIM-3-Fc-CD40L」構築物は、IgG1に由来するヒンジ-CH2-CH3 Fcドメインを介してCD40LのネズミECDに融合されたTIM-3のネズミ細胞外ドメイン(ECD)を含む。図3Aを参照されたい。
【0414】
構築物をチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞での発現のためにコドン最適化し、CHO細胞にトランスフェクトし、個々のクローンを高発現のために選択した。次いで、高発現クローンを、無血清培地中で、攪拌バイオリアクターでの小規模製造に使用し、関連するキメラ融合タンパク質をプロテインA結合樹脂カラムで精製した。図3B図3Dはそれぞれ、キメラタンパク質のクーマシーゲル、ウエスタンブロット、及びアフィニティクロマトグラフィからの溶出プロファイル特徴付けを示す。図3Dに示すサイズ排除クロマトグラフィ(SEC)分析は、オリゴマー形態の混合物が存在し得ることを示す。
【0415】
mTIM-3-Fc-CD40L構築物を293細胞で一過性に発現し、プロテインAアフィニティクロマトグラフィを使用して精製した。ウエスタンブロット分析を実施して、mTIM-3-Fc-CD40Lの3つの構成成分のすべてとそれらのそれぞれの結合パートナーとの検出及び結合を検証した(図4)。ウエスタンブロットは、非還元レーンにおける優性二量体バンドの存在を示し(図4、各ブロットにおけるレーン2)、これは還元剤β-メルカプトエタノールの存在下でグリコシル化単量体バンドに還元された(図4、各ブロットにおけるレーン3)。図4(各ブロットにおけるレーン4)に示すように、キメラタンパク質は、還元剤(β-メルカプトエタノール)及び脱グリコシル化剤の両方の存在下で、約75kDaの予測分子量でモノマーとして機能した。
【0416】
実施例2:ELISAを使用したmTIM-3-Fc-CD40Lキメラタンパク質の異なるドメインの結合親和性のさらなる特徴付け
機能的ELISA(酵素結合免疫吸着アッセイ)を実施して、mTIM-3-Fc-CD40Lキメラタンパク質の異なるドメインのそのそれぞれの結合パートナーとの結合親和性を実証した。図5Aに示すように、mTIM-3-Fc-CD40Lキメラタンパク質のFc部分の結合は、キメラタンパク質をプレートに結合したマウスIgG Fcγ抗体に捕捉し、HRP複合抗マウスFc(H+L)抗体を介して検出することによって特徴付けした。マウス総IgGを使用して標準曲線を生成した。キメラタンパク質の開始濃度は、20μg/mlであった。
【0417】
図5Bに示すように、mTIM-3-Fc-CD40Lキメラタンパク質(2つの異なる合成から得られた)のCD40Lドメインの結合は、プレートに結合した組換えマウスCD40-Fcタンパク質に捕捉し、抗ネズミCD40L抗体及びHRP染色を介して検出することによって特徴付けした。組換えmCD40L-Fcタンパク質を使用して標準曲線を生成した。ELISAを、市販の抗ネズミCD40L抗体及び独自の抗マウスCD40L抗体を使用して行った。キメラタンパク質の開始濃度は、20μg/mlであった。図5Bに示すデータは、mTIM-3-Fc-CD40LのCD40Lドメインが、その結合パートナーと濃度依存的に、かつ高い親和性で効果的に相互作用したことを示す。
【0418】
実施例3:mTIM-3-Fc-CD40Lキメラタンパク質ガレクチン-9またはCD40の結合親和性
mTIM-3-Fc-CD40Lキメラタンパク質をOctetバイオレイヤー干渉センサに結合させ、様々な試験物質と接触させて結合親和性を検出した。
【0419】
図6Aに示すように、結合したmTIM-3-Fc-CD40Lキメラタンパク質を、ネズミガレクチン-9(mGal9、2つの異なる合成から得られた)またはヒトGal9(hGal9)のうちの1つを含む試験溶液と接触させて、キメラタンパク質のTIM-3部分の既知の結合パートナーであるGal9との結合を決定した。mTIM-3-Fc-CD40Lキメラタンパク質とGal9との間の会合期間は、図6Aの曲線の最初の部分を含み、約1500秒までであり、キメラタンパク質とGal9との間の解離は、その後の部分である。予想通り、mTIM-3-Fc-CD40Lキメラタンパク質は、ネズミGal9の1つの合成に容易かつ密接に結合し、興味深いことに、mTIM-3-Fc-CD40Lキメラタンパク質は、ネズミGal9の第2の合成に対してヒトGal9と同等の結合親和性を有した。これらの実験の要約データを図6Bに示す。
【0420】
図6Cに示すように、結合したmTIM-3-Fc-CD40Lキメラタンパク質(及び他の結合タンパク質)を、ネズミCD40(mCD40)またはヒトCD40(hCD40)を含む試験溶液と接触させて、キメラタンパク質のCD40L部分の既知の結合パートナー(CD40)との結合を決定した。mTIM-3-Fc-CD40L及びmCD40Lについて異なる合成を得た。mTIM-3-Fc-CD40Lキメラタンパク質とCD40との間の会合期間は、図6Cの曲線の最初の部分を含み、約500秒までであり、キメラタンパク質とCD40との間の解離は、その後の部分である。予想通り、mTIM-3-Fc-CD40Lキメラタンパク質は、CD40と容易にかつ密接に結合する。これらの実験の要約データを図6Dに示す。
【0421】
実施例4:CD40シグナル伝達アッセイにおけるmTIM-3-Fc-CD40Lキメラタンパク質の機能的活性
次に、CD40を過剰発現するように操作し、NF-κB誘導キナーゼ(NIK)レポーターを含む細胞においてNFκBシグナル伝達を活性化するmTIM3-Fc-CD40Lキメラタンパク質の能力を決定した。
【0422】
図7に示すように、mTIM3-Fc-CD40Lキメラタンパク質及びmCD40L-Fc融合タンパク質は、NIKレポーターによって産生される相対光単位(RLU)の増加によって検出されるように、CD40と結合し、NFκBシグナル伝達を活性化することが可能であった。予想通り、mTIM-3-Fc融合物及びマウスIgGは、CD40と結合せず、及びNFκBシグナル伝達を活性化しなかった。
【0423】
加えて、mTIM3-Fc-CD40Lキメラタンパク質は、スーパー抗原Staphylococcal enterotoxin Bとインキュベートした場合、またはAIM V培地で培養した場合に、末梢血単核細胞(PBMC)で独自のサイトカインシグネチャを誘導することができた。
【0424】
実施例5:mTIM-3-Fc-CD40Lキメラタンパク質の機能的なインビボでの抗腫瘍活性
腫瘍体積を標的にして減少させるためのmTIM-3-Fc-CD40Lキメラタンパク質のインビボでの能力を次に決定した。
【0425】
14匹のマウスにCT26腫瘍を接種し、mTIM-3-Fc-CD40L(n=7)またはビヒクル(n=7)で処理した。図8Aに示すように、いずれの群のマウスも有意な体重変化を有さず、mTIM-3-Fc-CD40Lキメラタンパク質が処理マウスに対して無毒であることを示唆した。
【0426】
処理開始後10日目で、mTIM-3-Fc-CD40Lキメラタンパク質で処理したマウスは、ビヒクルで処理したマウスと比較して腫瘍サイズが有意に減少した(p<0.0001)。個々のマウスについてのデータを図8Bに示す。データを図8Cに要約する。
【0427】
これらのデータは、TIM3-Fc-CD40Lが腫瘍への免疫浸潤を増加させ、CT26結腸癌モデルにおいてインビボで非常に効果的であることを示唆する。
【0428】
さらに、インビボでは、確立されたネズミMC38及びCT26腫瘍におけるTIM3-Fc-CD40Lの治療活性は、TIM3遮断抗体、CD40アゴニスト抗体単剤療法、または組み合わせ抗体療法のいずれよりも優れていた。重要なのは、腫瘍拒絶の薬力学的バイオマーカーが、血清IFNγ、IL-2、IL-4、IL-5、IL-6、及びIL-17Aの同調的な上昇によって同定されたことである。興味深いことに、ARCをPD1の抗体遮断と組み合わせた場合、治療活性(マウスにおける抗腫瘍またはSEBアッセイにおけるヒトサイトカイン分泌)が増強された。
【0429】
別のセットのインビボでの実験では、一方の側腹部にCT26(マウス結腸癌)細胞を注入したBALB/Cマウスに、ビヒクル(PBS)、150μgのTIM-3-Fc融合タンパク質、150μgのFc-CD40L融合タンパク質、150μgのTIM-3-Fc融合タンパク質、及び150μgのFc-CD40L融合タンパク質、または300μgのmTIM-3-Fc-CD40Lキメラタンパク質をIP投与した。これらの用量は、腫瘍接種後2日目及び4日目に繰り返した。腫瘍体積を定期的に測定し、生存する処置したマウスの数を決定した。
【0430】
図8Dは、上述した処理群のマウス間の腫瘍体積の平均的な変化を示すグラフであり、図8Eは、上述した4つの処理群のマウスについてのサバイバーシップを示すグラフである。図8Fは、図8D及び図8Eのグラフに関連するデータを含む表である。これらのデータは、TIM3-Fc-CD40Lキメラタンパク質が、片側融合タンパク質対照または両方の片側融合タンパク質対照のいずれかよりも良好な腫瘍成長制御、拒絶、及び生存をもたらすことを示す。
【0431】
さらに、生存曲線のMantel-Cox有意性分析は、組み合わせが、片側融合タンパク質の組み合わせ及びTIM3-Fc-CD40Lキメラタンパク質単独療法群と比較して統計的に有意であることを示す(p<0.0001)。
【0432】
これらの実験データは、同時に、免疫抑制シグナルを遮断し、免疫活性化シグナルを刺激する、新規キメラ融合タンパク質の実現可能性及び機能的活性を示す。これらの特性は、T細胞が同族腫瘍抗原に関与している場合に、構築物が同じ微小環境状況下でこれらの2つのシグナルを連結するため、独自に有利である。
【0433】
実施例6:TIM-3-Fc-CD40Lキメラタンパク質及び免疫チェックポイント分子に指向する抗体の特定の組み合わせの機能的なインビボでの抗腫瘍活性
腫瘍を効果的に標的にして治療するためのTIM-3-Fc-CD40Lキメラタンパク質及び抗CTLA-4抗体の組み合わせの治療活性を決定した。
【0434】
ここでは、一方の側腹部にCT26(マウス結腸癌)細胞を注入したBALB/Cマウスに、ビヒクル(PBS)、100μgの抗CTLA-4抗体(クローン9H10)、300μgのmTIM-3-Fc-CD40Lキメラタンパク質、または300μgのmTIM-3-Fc-CD40Lキメラタンパク質及び100μgの抗CTLA-4抗体の組み合わせをIP投与した。これらの用量は、腫瘍接種後3日目及び6日目に繰り返した。腫瘍体積を定期的に測定し、生存する処置したマウスの数を決定した。
【0435】
図9Aは、上述した処理群のマウス間の腫瘍体積の平均的な変化を示すグラフであり、図9Bは、上述した4つの処理群のマウスについてのサバイバーシップを示すグラフである。図9Cは、図9A及び図9Bのグラフに関連するデータを含む表である。TIM3-Fc-CD40L及び抗CTLA4の組み合わせは、腫瘍制御及び生存を向上させた。
【0436】
他のBALB/CマウスにCT26細胞をその背面側腹部に接種し、腫瘍が確立したら、9日目前後に、マウスをビヒクル、抗PD-1抗体(RMP1-14、100μg)、mTIM-3-Fc-CD40Lキメラタンパク質(300μg)、または300μgのmTIM-3-Fc-CD40Lキメラタンパク質及び100μgの抗PD-1抗体の組み合わせで処理した。これらの用量は、腫瘍接種後2日目及び4日目に繰り返した。腫瘍体積を定期的に測定し、生存する処置したマウスの数を決定した。原発性腫瘍を拒絶したマウスは、反対側の側腹部で二次腫瘍を再負荷し、原発性/二次腫瘍とマウスの致死性を継続して測定した。
【0437】
図10Aは、直前に述べたmTIM-3-Fc-CD40L/抗PD-1抗体実験における各マウスについての腫瘍体積の変化を示すグラフであり、図10Bは、上述の4つの処理群におけるマウスのサバイバーシップを示すグラフである。図10Cは、図10A及び図10Bのグラフに関連するデータを含む表である。データは、TIM3-Fc-OX40L及び抗PD-1抗体の組み合わせが腫瘍拒絶及び生存を向上させたことを示す。さらに、生存曲線のMantel-Cox有意性分析は、組み合わせが、抗PD-1抗体及びTIM3-Fc-OX40Lキメラタンパク質単独療法群の両方と比較して統計的に有意であることを示す(p<0.05)。
【0438】
TIM-3-Fc-CD40Lキメラタンパク質を使用する上記のインビボ実験に加えて、抗CTLA-4抗体または抗PD-1抗体のいずれかを用いたキメラタンパク質の治療活性をさらにアッセイされ得る。特に、腫瘍拒絶を示す薬力学的バイオマーカーの変化は、血清中のサイトカイン上昇(インビボ)、もしくはスーパー抗原Staphylococcal enterotoxin Bと培養した免疫関連細胞のインビトロでの薬力学的バイオマーカーの変化(SEBアッセイ)によって決定されるか、またはAIM V培地で培養した場合に決定される。例示的な薬力学的バイオマーカーには、IFNγ、IL-2、IL-4、IL-5、IL-6、及びIL-17Aが含まれる。また、末梢リンパ球の数の変化(及びリンパ球の種類の比率)を経時的に測定及び定量化する。
【0439】
さらに、接種したマウスの別個の群は、マウスTIM-3-Fc-CD40Lキメラタンパク質を抗CTLA-4抗体または抗PD-1抗体のいずれかと共に投与してから6時間または24時間後に安楽死させ、それらの脾臓を切除し、解離して、活性化CD4+またはCD8+樹状細胞の集団についてフローサイトメトリで評価し(脾臓免疫細胞型の例として)、それぞれの処理から生じるT細胞活性化及び増殖の程度を決定する。
【0440】
実施例7:TIM-3-Fc-CD40Lキメラタンパク質及びインターフェロン遺伝子の刺激因子(STING)アゴニストの特定の組み合わせの機能的抗腫瘍活性
腫瘍を効果的に標的にして治療するためのTIM-3-Fc-CD40Lキメラタンパク質及びインターフェロン遺伝子の刺激因子(STING)アゴニストの組み合わせの治療活性を決定する。
【0441】
マウスに腫瘍(例えば、CT26腫瘍及びMC38腫瘍)を接種し、ビヒクル、STINGアゴニスト(例えば、DMXAA)、TIM-3-Fc-CD40Lキメラタンパク質、またはSTINGアゴニスト及びTIM-3-Fc-CD40Lキメラタンパク質(STINGアゴニスト及びキメラタンパク質を同時に提供するか、キメラタンパク質の前にSTINGアゴニスト提供するか、またはキメラタンパク質の後にSTINGアゴニストを提供する)で処理した。ここでは、DMXAAを腫瘍内(IT)に投与し、他の薬剤を腹腔内(IP)に投与した。
【0442】
TIM-3-Fc-CD40Lキメラタンパク質とSTINGアゴニストとの治療活性をさらにアッセイすることができる。例として、腫瘍サイズ(例えば、体積)の変化及び/または処理したマウスの生存の変化を決定する。
【0443】
腫瘍拒絶を示す薬力学的バイオマーカーの変化は、血清中のサイトカイン上昇(インビボ)、もしくはスーパー抗原Staphylococcal enterotoxin Bと培養した免疫関連細胞のインビトロでの薬力学的バイオマーカーの変化(SEBアッセイ)によって決定されるか、またはAIM V培地で培養した場合に決定される。例示的な薬力学的バイオマーカーには、IFNγ、IL-2、IL-4、IL-5、IL-6、及びIL-17Aが含まれる。また、末梢リンパ球の数の変化(及びリンパ球の種類の比率)を経時的に測定及び定量化する。
【0444】
さらに、接種したマウスの別個の群は、マウスTIM-3-Fc-CD40Lキメラタンパク質及びSTINGアゴニストを投与してから6時間または24時間後に安楽死させ、それらの脾臓を切除し、解離して、活性化CD4+またはCD8+樹状細胞の集団についてフローサイトメトリで評価し(脾臓免疫細胞型の例として)、それぞれの処理から生じるT細胞活性化及び増殖の程度を決定する。
【0445】
実施例8:TIM-3-Fc-OX40Lキメラタンパク質及び免疫チェックポイント分子に指向する抗体の特定の組み合わせの機能的なインビボでの抗腫瘍活性
ネズミTIM-3-Fc-OX40Lキメラタンパク質を構築し、mTIM-3-Fc-CD40Lキメラタンパク質について、実施例1~4に上述したように特徴付けした。
【0446】
腫瘍体積を標的にして減少させるためのmTIM-3-Fc-OX40Lキメラタンパク質及び抗PD-1抗体の組み合わせのインビボでの能力を決定した。
【0447】
マウスにネズミ結腸直腸腫瘍を接種し、ビヒクル:抗OX40(OX86)、抗PD-1(RMP1-14)、抗PD-1(29F.1A12)、抗TIM-3(RMT3-23)、抗TIM-3及び抗OX40、抗TIM-3、抗OX40、及び抗PD-1(RMP1-14)、抗TIM-3、抗OX40、抗PD-1(29F.1A12)、TIM-3-Fc-OX40L、TIM-3-Fc-OX40L及び抗PD-1(RMP1-14)、ならびにTIM-3-Fc-OX40L及び抗PD-1(29F.1A12)(図11)で処理した。特に、TIM-3-Fc-OX40Lと抗PD-1抗体のいずれかとの処理は、腫瘍体積の最も有意な改善を有した。
【0448】
ここでは、一方の側腹部にCT26(マウス結腸癌)細胞を注入したBALB/Cマウスに、ビヒクル(PBS)、100μgの抗CTLA-4抗体(クローン9H10)、300μgのmTIM-3-Fc-OX40Lキメラタンパク質、または300μgのmTIM-3-Fc-OX40Lキメラタンパク質及び100μgの抗CTLA-4抗体の組み合わせをIP投与した。これらの用量は、腫瘍接種後3日目及び6日目に繰り返した。腫瘍体積を定期的に測定し、生存する処置したマウスの数を決定した。
【0449】
図12Aは、上述した処理群のマウス間の腫瘍体積の平均的な変化を示すグラフであり、図12Bは、上述した4つの処理群のマウスについてのサバイバーシップを示すグラフである。図12Cは、図12A及び図12Bのグラフに関連するデータを含む表である。TIM3-Fc-OX40L及び抗CTLA4の組み合わせは、腫瘍制御及び生存を向上させた。
【0450】
実施例9:TIM-3-Fc-OX40Lキメラタンパク質及びインターフェロン遺伝子の刺激因子(STING)アゴニストの特定の組み合わせの機能的抗腫瘍活性
腫瘍を効果的に標的にして治療するためのTIM-3-Fc-OX40Lキメラタンパク質及びインターフェロン遺伝子の刺激因子(STING)アゴニストの組み合わせの治療活性を決定する。
【0451】
マウスに腫瘍(例えば、CT26腫瘍及びMC38腫瘍)を接種し、ビヒクル、STINGアゴニスト(例えば、DMXAA)、TIM-3-Fc-OX40Lキメラタンパク質、またはSTINGアゴニスト及びTIM-3-Fc-OX40Lキメラタンパク質(STINGアゴニスト及びキメラタンパク質を同時に提供するか、キメラタンパク質の前にSTINGアゴニスト提供するか、またはキメラタンパク質の後にSTINGアゴニストを提供する)で処理した。ここでは、DMXAAを腫瘍内(IT)に投与し、他の薬剤を腹腔内(IP)に投与した。
【0452】
TIM-3-Fc-OX40Lキメラタンパク質とSTINGアゴニストとの治療活性をさらにアッセイすることができる。例として、腫瘍サイズ(例えば、体積)の変化及び/または処理したマウスの生存の変化を決定する。
【0453】
腫瘍拒絶を示す薬力学的バイオマーカーの変化は、血清中のサイトカイン上昇(インビボ)、もしくはスーパー抗原Staphylococcal enterotoxin Bと培養した免疫関連細胞のインビトロでの薬力学的バイオマーカーの変化(SEBアッセイ)によって決定されるか、またはAIM V培地で培養した場合に決定される。例示的な薬力学的バイオマーカーには、IFNγ、IL-2、IL-4、IL-5、IL-6、及びIL-17Aが含まれる。また、末梢リンパ球の数の変化(及びリンパ球の種類の比率)を経時的に測定及び定量化する。
【0454】
さらに、接種したマウスの別個の群は、マウスTIM-3-Fc-OX40Lキメラタンパク質及びSTINGアゴニストを投与してから6時間または24時間後に安楽死させ、それらの脾臓を切除し、解離して、活性化CD4+またはCD8+樹状細胞の集団についてフローサイトメトリで評価し(脾臓免疫細胞型の例として)、それぞれの処理から生じるT細胞活性化及び増殖の程度を決定する。
【0455】
参照による組み込み
本明細書で参照されるすべての特許及び刊行物は、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0456】
詳細には、本発明に関連する追加の教示が、WO2018/157162、WO2018/157165、WO2018/157164、WO2018/157163、及びWO2017/059168のうちの1つ以上に見出され、そのそれぞれの内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0457】
本明細書で考察される刊行物は、本出願の出願日前のそれらの開示に対してのみ提供される。本明細書におけるいずれの内容も、本発明が先行発明によりそのような刊行物に先行する資格がないことを認めるものと解釈されるべきではない。
【0458】
本書で使用されるように、すべての表題は単純に組織化するのためのものであり、いかなる様式においても開示を制限することを意図したものではない。あらゆる個々のセクションの内容は、すべてのセクションに等しく適用可能であり得る。
【0459】
均等物
本発明は、その特定の実施形態に関連して開示したが、さらなる修正が可能であること、本出願は、一般に、本発明の原理に従って、本発明の任意の変型、使用、または適応を網羅するものであり、本発明が属する技術分野において知られているか、または慣行に含まれるような本開示からの逸脱、及び前述される本質的な特徴に適用され得るもの、ならびに添付の請求項の範囲に含まれるような本開示からの逸脱を含むことを理解されたい。
【0460】
当業者であれば、単なる日常的な実験を使用して、本明細書に詳細に記載される特定の実施形態の多数の均等物を認識するか、または確認することができるであろう。かかる均等物は、以下の特許請求の範囲内に包含されることが企図される。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図6C
図6D
図7
図8A
図8B
図8C
図8D
図8E
図8F
図9A
図9B
図9C
図10A
図10B
図10C
図11
図12A
図12B
図12C
【配列表】
2022503621000001.app
【国際調査報告】