(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-12
(54)【発明の名称】ロータリーバルブ内燃エンジン
(51)【国際特許分類】
F01L 7/02 20060101AFI20220104BHJP
F02B 63/00 20060101ALI20220104BHJP
F02M 35/024 20060101ALI20220104BHJP
【FI】
F01L7/02 B
F02B63/00 C
F02M35/024 521Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021512237
(86)(22)【出願日】2019-09-04
(85)【翻訳文提出日】2021-04-09
(86)【国際出願番号】 EP2019073559
(87)【国際公開番号】W WO2020049032
(87)【国際公開日】2020-03-12
(32)【優先日】2018-09-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(32)【優先日】2018-09-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(32)【優先日】2018-09-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(32)【優先日】2018-09-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(32)【優先日】2018-09-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(32)【優先日】2018-09-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(32)【優先日】2019-01-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515036257
【氏名又は名称】アールシーブイ エンジンズ リミテッド
(71)【出願人】
【識別番号】000104065
【氏名又は名称】カーツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003085
【氏名又は名称】特許業務法人森特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ローズ キース
(72)【発明者】
【氏名】メイソン ブライアン
(57)【要約】
【解決手段】
火花点火ロータリーバルブ内燃エンジンは、ピストン及びシリンダーの燃焼端によって一部が画定される燃焼室と、シリンダーの燃焼端の外側部分に固定され、ボアを画定するバルブハウジングと、バルブハウジングのボア内でロータリーバルブ軸を中心として回転可能で、燃焼行程全体にわたって燃焼ガスにさらされる中空のバルブボディを有するロータリーバルブであって、バルブの回転中に、バルブハウジングにおいて吸気ポート及び排気ポートを介して燃焼室に対して連続的に流体連通を可能にするポートを、その壁部にさらに有するロータリーバルブと、を備える。吸気ポート及び排気ポートは、エンジンシリンダーの中心からの径方向の直線に対して、角度がオフセットしている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
手持型機械で使用するために構成されるロータリーバルブ内燃エンジンであって、
当該エンジンは、クランクシャフトに連結され、燃焼端を有するシリンダー内で往復運動可能なピストンと、
前記ピストン及び前記シリンダーの燃焼端によって一部が画定される燃焼室と、
前記シリンダーの燃焼端の外側部分に固定され、ボアを画定し、バルブハウジングのボア内でロータリーバルブがロータリーバルブ軸を中心として回転するバルブハウジングと、
前記燃焼室の一部を形成する内部容積を有する中空のバルブボディとを有しており、
前記中空のバルブボディの内部容積は燃焼行程全体にわたって燃焼ガスにさらされ、前記バルブの回転中に、前記バルブハウジングの吸気ポート及び排気ポートを介して前記燃焼室への及び燃焼室からの連続的な流体連通を可能にするポートを、その壁部にさらに有しており、
前記エンジンは、前記エンジンに入る空気/燃料の混合を制御するためのキャブレターと、排気ガス用の排気マフラーとを有し、ポート角度は、前記キャブレターの本体及び前記マフラーの本体が前記エンジンの反対側に位置し前記クランクシャフトの中心線に略平行になるようにされ、
前記エンジンが上死点にあるとき、前記バルブポートは作業者に向かって所定の角度に位置し、当該角度オフセットにより、前記エンジンの中心線に略平行である前記キャブレターのための取付フランジを実現するために必要とされる前記吸気ポートの径方向オフセットが小さくなり、
前記吸気ポートの中心線は、前記シリンダー軸からの径方向の直線から作業者の方に所定の角度だけオフセットし、当該角度オフセットにより、前記キャブレターのための前記取付フランジが前記エンジンの中心線にほぼ平行になることが可能となり、前記排気ポートの中心線が、前記シリンダー軸からの径方向の直線から所定の角度だけオフセットしており、当該角度オフセットにより、斜めの取付フランジを用いて、前記マフラーの本体が前記エンジンの中心線にほぼ平行になることが可能となる、ロータリーバルブ内燃エンジン。
【請求項2】
前記径方向オフセットは、前記排気ポートよりも前記吸気ポートの方が小さい、請求項1に記載のロータリーバルブ内燃エンジン。
【請求項3】
前記排気マフラーは、前記排気マフラーの本体が前記エンジンの中心線と実質的に位置合わせされるように、前記排気ポートの対応する取り付けと接合する斜めのフランジを有する、請求項1又は2に記載のロータリーバルブ内燃エンジン。
【請求項4】
エアガイドパネルは、吸入冷却空気を、前記シリンダーの周りを前記シリンダーの後面に向けて案内する、請求項1乃至3の何れか一項に記載のロータリーバルブ内燃エンジン。
【請求項5】
前記エンジンの後部における遮蔽板は、前記冷却空気を、冷却空気取入口に近道させるのではなく、カウルの後部から強制排出させる、請求項1乃至4の何れか一項に記載のロータリーバルブ内燃エンジン。
【請求項6】
前記エンジンは、湾曲した調整パイプを含むエアボックスを有し、該調整パイプは、前記エンジンの空気吸入口から前記エアボックスのろ過された空気の容積部内に通じる、請求項1乃至5の何れか一項に記載のロータリーバルブ内燃エンジン。
【請求項7】
前記エンジンは、キャブレターと前記キャブレターの空気吸入口に固定される調整パイプとを有する、請求項6に記載のロータリーバルブ内燃エンジン。
【請求項8】
前記エアボックスは、隔壁により、ろ過されていない容積とろ過された容積とに分割され、前記隔壁は、空気が前記ろ過されていない容積から前記ろ過された容積へと通過するフィルターを収容し、前記調整パイプの空気吸入口は前記ろ過された容積に配置される、請求項6又は7に記載のロータリーバルブ内燃エンジン。
【請求項9】
前記調整パイプは、前記キャブレターから前記ろ過されていない容積そして前記隔壁を通り、前記ろ過された容積の中に通じている、請求項6に記載のロータリーバルブ内燃エンジン。
【請求項10】
前記調整パイプは、前記隔壁の前記フィルターを通る、請求項6に記載のロータリーバルブ内燃エンジン。
【請求項11】
前記調整パイプは、その長さに沿って蛇行した形を有する、請求項6に記載のロータリーバルブ内燃エンジン。
【請求項12】
請求項1乃至11の何れか一項に記載のエンジンを有する、手で保持される園芸用機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、それだけではないが特に、園芸用草刈機や生垣刈り込み機などの手で保持される機械のための、燃焼の吸気ガス及び排気ガスの制御がロータリーバルブによって行われる、ロータリーバルブ内燃エンジンに関する。
【0002】
ロータリーバルブ内燃エンジンは、クランクシャフトに連結され、燃焼端を有するシリンダー内で往復運動するピストンと、ピストン及びシリンダーの燃焼端によって一部が画定される燃焼室と、シリンダーの燃焼端の外側部分に固定され、ボアを画定し、バルブハウジングのボア内でロータリーバルがロータリーバルブ軸を中心として回転するバルブハウジングと、燃焼室の一部を形成する内部容積を有する中空のバルブボディとを有するロータリーバルブであって、中空のバルブボディの内部容積は燃焼行程全体にわたって燃焼ガスにさらされ、バルブの回転中に、バルブハウジングの吸気ポート及び排気ポートを介して燃焼室への及びからの連続的な流体連通を可能にするポートを、その壁部にさらに有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、作業者により手で保持され操作されるよう設計された園芸用機械で使用するのに適したそのようなエンジンを提供しようとするものである。「園芸用機械」との用語は、草刈機、生垣刈り込み機、刈払機、伐採のこぎり、裁断機、ブロアバキューム集塵機、ミスト機、及びチェーンソーなど、園芸、菜園、及び林業での使用のための手持型機械を含むものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明により提供されるロータリーバルブ内燃エンジンは、クランクシャフトに連結され、燃焼端を有するシリンダー内で往復運動するピストンと、ピストン及びシリンダーの燃焼端によって一部が画定される燃焼室と、シリンダーの燃焼端の外側部分に固定され、ボアを画定し、バルブハウジングのボア内でロータリーバルブがロータリーバルブ軸を中心として回転するバルブハウジングと、前記燃焼室の一部を形成する内部容積を有する中空のバルブボディとを有しており、中空のバルブボディの内部容積は燃焼行程全体にわたって燃焼ガスにさらされ、バルブの回転中に、バルブハウジングの吸気ポート及び排気ポートを介して燃焼室への及び燃焼室からの連続的な流体連通を可能にするポートを、その壁部にさらに有有しており、エンジンは、エンジンに入る燃料/気体の混合を制御するためのキャブレターと、排気ガス用の排気マフラーとを有おり、ポートレイアウトは、排気マフラー及びキャブレターがエンジンの反対側に位置するようにされており、ポート角度は、キャブレターの本体及びマフラーの本体がエンジンの中心線にほぼ平行になるようにされており、エンジンが上死点にあるとき、バルブポートはクランクシャフト軸から所定の角度に位置し、当該角度オフセットにより、エンジンの中心線に略平行であるキャブレターのための取付フランジを実現するために必要とされる吸気ポートの径方向オフセットが小さくなり、吸気ポートの中心線は、シリンダー軸からの径方向の直線から作業者の方に所定の角度だけオフセットし、当該角度オフセットにより、キャブレターのための取付フランジがエンジンの中心線にほぼ平行になることが可能となり、排気ポートの中心線が、シリンダー軸からの径方向の直線から所定の角度だけオフセットしており、当該角度オフセットにより、斜めの取付フランジを用いて、マフラーの本体がエンジンの中心線に略平行になることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0005】
以下、本発明の好適な実施形態について以下の図面を参照しながら例を挙げて説明する。
【
図1】
図1は、単気筒空冷火花点火ロータリーバルブ内燃エンジンの断面図である。
【
図2】
図2は、草刈機や生垣刈り込み機などの手で保持操作される園芸用機械で使用するためのエンジンの実施形態の、一部が断面の平面図である。
【
図3】
図3は、
図2に示されたエンジンの一部の側面図である。
【
図4】
図4は、空気/燃料吸入口の領域を示す、
図1のエンジンの一部の断面図である。
【
図5】
図5は、単気筒空冷火花点火ロータリーバルブ内燃エンジンの一部の断面図である。
【
図6】
図6は、ロータリーバルブボディの一部及びスパークプラグの拡大模式図である。
【
図7】
図7は、単気筒空冷ロータリーバルブ内燃エンジンの断面図である。
【
図8】
図8は、ロータリーバルブボディの一部及びドライブギヤの拡大模式図である。
【
図9】
図9は、ロータリーバルブ駆動部及びドリブンギヤの平面図である。
【
図10】
図10は、単気筒空冷ロータリーバルブ内燃エンジンの断面図である。
【
図11】
図11は、シリンダーハウジングとクランクケースの間の境界線を示す、エンジンの断面図である。
【
図12】
図12は、単気筒空冷ロータリーバルブ内燃エンジンの断面図である。
【
図13】
図13は、ロータリーバルブボディの一部及びドライブギヤの拡大模式図である。
【
図14】
図14は、ロータリーバルブ駆動部及びドリブンギヤの平面図である。
【
図15】
図15は、ロータリーバルブ及びドライブギヤの拡大断面図である。
【
図16】
図16a及び16bは、それぞれ、ウェーブスプリングの平面図及び側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
以下に、
図1を参照して、単気筒空冷エンジンについて説明する。エンジンは、シリンダー2を収容しているシリンダーハウジングを有する。ピストン1が、シリンダー2内での往復運動のため、クランクケース14内で回転するよう取り付けられたクランクシャフト3に、従来の方法で連結される。シリンダー2の上部は、燃焼室ハウジング内の燃焼室4により閉じている。燃焼室ハウジングは、吸入空気/燃料の混合体が燃焼室内に流れるための吸気ポート27と、排気ガスを燃焼室4から排出するための排気ポート28とを有し、ガスフローはロータリーバルブ5によって制御される。本実施形態では、バルブ5は、シリンダー2の軸と同軸の軸5aを中心として、燃焼室ハウジングにおけるバルブハウジング8内で回転可能である。他の実施形態では、バルブボディの回転軸は、シリンダー2の軸5aからオフセットしている。
【0007】
燃焼室4から離れた端部において、ロータリーバルブ5は、バルブハウジング8内でバルブ5を回転可能に支持する単列玉軸受7を保持する同軸のドライブシャフト6を有する。バルブドライブシャフト6は、駆動装置11のドライブギヤ10と噛合する同軸のドリブンギヤ9に固定され、該駆動装置11を介して、ドリブンギヤ9ひいてはロータリーバルブ5がクランクシャフト3に連結される。駆動装置11はドライブシャフト12を含み、該ドライブシャフト12は、シリンダーハウジングにおける導管すなわち管17の中に設置され、ドライブギヤ10に隣接する上側軸受18及びクランクシャフト3に隣接する下側軸受13の中で回転するよう取り付けられている。ドライブシャフト11はベベルギヤ15を保持し、該ベベルギヤ15は、クランクシャフト3と共に回転するようクランクシャフトに固定された対応するベベルギヤ16に噛合する。このため、エンジンが従来の4ストロークサイクルで動作するように、クランクシャフト3の回転ひいてはピストンの動きを、ロータリーバルブ5の回転に連動させる。この実現のため、ロータリーバルブ5がエンジン回転数の1/2で回転するように、ドリブンギヤ9の直径はドライブギヤ10の2倍である。ロータリーバルブ5は、バルブハウジング8におけるボア内で密接な滑り嵌めによりロータリーバルブ軸5aを中心として回転可能な、ほぼ円筒形のロータリーバルブボディ5を含み、該ロータリーバルブ5は、燃焼室の一部を形成する内部容積19を有する中空のバルブボディを有する。該バルブは、直径がシャフト6よりもわずかに大きいバルブボディ19自体を含むほぼ円筒形のボディ部を有し、該ボディ部が、玉軸受7の内輪が接するショルダー14を形成している。バルブボディ19は、燃焼室内まで延在し、その内部に燃焼室4の一部を形成し燃焼行程の全段階で燃焼ガスにさらされる容積20を有する。
【0008】
ロータリーバルブ5のシャフト6部分は、ショルダー14を設けるために、バルブボディ19よりもほんのわずかに直径が小さい。シャフトは、バルブボディ19から外部に熱を伝導するための良好な経路を設けるために、中実にされている。
【0009】
ロータリーバルブボディ19は、バルブの回転中に、バルブハウジングにおいて吸気ポート及び排気ポートを介して、バルブの内部容積及び燃焼室への及びからの連続的な流体の連通を可能にするポート21を有する。本実施形態では、ポート21は、燃焼室4に隣接するバルブボディの壁23の下側周辺端部22に形成された凹部の形をしており、該凹部は、バルブの側面にポート21を形成するように、バルブの壁のこの下側縁部から上方に延在する。
【0010】
点火は、バルブハウジング8に形成されバルブボア内へと延在するプラグボア25内に固定されたスパークプラグによって行われる。
【0011】
ここで
図2を参照すると、エンジンが作業者の片側及び/又は背中側に位置する状態で、作業者によって手で保持され操作される、草刈機や生垣刈り込み機などの園芸用機械用のエンジンの平面図が示されている。そのような機械では、排気ガス及び排気マフラーが作業者から離れて設置され、吸入口を通る空気/燃料の混合を制御するためのキャブレターが作業者の近くに設置されることが要件である。これは、排気ガスの熱のため、及び、作業者がキャブレターの調整を必要とすることがあるためである。エアボックスアセンブリ29を持つキャブレターが、吸気ポート27に取り付けられ、排気マフラー30が排気ポート28に接続される。理想的には、シリンダー2をダイカストで鋳造するために、キャブレターエアボックスアセンブリ29と排気マフラー30の両方がクランクシャフトの中心線とほぼ平行となり、吸気ポート及び排気ポートが曲線ではなく直線状とするべきである。直線状のポート及び排気マフラー/キャブレターエアボックスの位置により、製造が簡素化され、エンジンの外観がすっきりとし、一般的な園芸用機械内へのエンジンの搭載が容易になる。しかしながら、エンジンの正確なバルブタイミングバルブハウジングにおける吸気口及び排気口の位置によって決まるが、エンジンの正確なバルブタイミングを得るためには、吸気ポート及び排気ポートの両方を、シリンダー軸から伸びる半径と位置合わせされた理想的な角度から離れる角度にする必要がある。
【0012】
さらに、径方向ではないポート角度に起因する吸気ポートにおける流れのあらゆる規制が、排気ポートにおける同様の規制よりもエンジン出力に大きな影響を与えるため、吸気ポートが排気ポートよりも理想的な径方向角度に近くなるように、ポートの角度が付けられる。
【0013】
本実施形態では、上死点中央タイミング点はクランクシャフトの中心線から吸入側に10°だけ傾けられる、言い換えると、ピストンが上死点にあるとき、バルブポートの中心線は作業者に最も近いエンジンの側面に向かって10度を指す。これにより、バルブハウジング内の吸気ポートの開口を、作業者側に10度回った位置にすることができる。これにより、吸気ポート27を、排気ポートよりも理想的な径方向の角度に近づけることができる。そして、吸気ポート27は、シリンダー軸の放射軸からさらに11°傾けられ、その結果、キャブレターエアボックスアセンブリ29の取付フランジがエンジンの中心線とほぼ平行となる。
【0014】
排気ポート28の中心線は、放射軸からのオフセットが15°である。排気マフラーは、排気ポート28と接合する斜めのフランジ33を有し、排気マフラーの本体をエンジンの中心線31と実質的に位置合わせできるようになっている。
【0015】
排気マフラー13は、斜めの排気ポートと接合するように、2部材のシェル構造のマフラー及びフランジを有している。これには、排気ポートとマフラー本体の間で別個の管すなわちパイプを使用しないようにする利点がある。
【0016】
図2に示すように、シリンダーの吸入側は、シリンダーの後部の周りに冷却流をもたらすために、冷却空気をシリンダーの後部の周りに導く役割を果たす曲面パネル34を有する。
【0017】
図3に示されたエンジンの後部における遮蔽板35は、冷却空気流路の下面を形成し、冷却空気を、冷却空気取入口に近道させるのではなく、カウルの後部から強制排出させる。
【0018】
ここで
図4を参照すると、空気/燃料吸入口の領域を示す、
図1のエンジンの一部の断面図が示されている。エンジンのアウターケーシング29の一部は、プレナムチャンバーとしても知られるエアボックス30を含み、該エアボックス30は、壁33により、外気が吸入路31を通過して侵入するろ過されていない空気の容積と、ろ過された空気の容積32とに分割される。
【0019】
隔壁33は、空気がろ過されていない側からろ過された空気側の容積32へと通過するフィルター34を収容する。吸入口の領域は、キャブレターに固定された調整パイプ35を有する。調整パイプ35は、キャブレター28の空気吸入口36から、エアボックス内のろ過されていない容積を通過する湾曲経路を経由し、隔壁を通り、ろ過された空気の容積32の中に通じている。1つの形態では、調整パイプ35は、フィルター自体を通過する。調整パイプ35の吸入口37は、ろ過された容積32に設置され、調整パイプ35内への、ひいてはエンジン内への空気の流れを改善するため外側に広げられている。湾曲経路は、調整パイプの長さを最大化し、エンジンの全体サイズを大きく変えることなくエンジンの効率を向上させる。
【0020】
単純な曲線で示されているが、当然のことながら、調整パイプは、より複雑な形状をしてもよく、蛇行した経路に沿っていてもよい。
【0021】
以下に、
図5を参照して、単気筒空冷エンジンについて説明する。エンジンは、シリンダー102を収容しているシリンダーハウジングを有する。ピストン101が、シリンダー102内で往復運動のため、クランクケース114内で回転するよう取り付けられたクランクシャフト103に、従来の方法で連結される。シリンダー102の上部は、燃焼室ハウジング内の燃焼室104により閉じている。燃焼室104への及びからの吸入空気/燃料の混合体及び排気ガスの流れは、ロータリーバルブ105によって制御される。本実施形態では、バルブ105は、シリンダー102の軸と同軸の軸105aを中心として、燃焼室ハウジングにおけるバルブハウジング108内で回転可能である。他の実施形態では、バルブボディの回転軸は、シリンダー102の軸105aからオフセットしている。
【0022】
燃焼室104から離れた端部において、ロータリーバルブ105は、バルブハウジング108内でバルブ105を回転可能に支持する単列玉軸受107を有する同軸のドライブシャフト106を有する。バルブドライブシャフト106は、駆動装置111のドライブギヤ110と噛合する同軸のドリブンギヤ109に固定され、該駆動装置111を介して、ドリブンギヤ109ひいてはロータリーバルブ105がクランクシャフト103に連結される。駆動装置111はドライブシャフト112を含み、該ドライブシャフト112は、シリンダーハウジングにおける導管すなわち管117の中に設置され、ドライブギヤ110に隣接する上側軸受118及びクランクシャフト103に隣接する下側軸受113の中で回転するよう取り付けられている。ドライブシャフト111はベベルギヤ115を保持し、該ベベルギヤ115は、クランクシャフト103と共に回転するようクランクシャフトに固定された対応するベベルギヤ116に噛合する。このため、エンジンが従来の4ストロークサイクルで動作するように、クランクシャフト103の回転ひいてはピストンの動きを、ロータリーバルブ105の回転に連動させる。この実現のため、ロータリーバルブ105がエンジン回転数の1/2で回転するように、ドリブンギヤ109の直径はドライブギヤ110の2倍である。
【0023】
また以下に、
図6を参照して、ロータリーバルブ105をさらに詳細に説明する。ロータリーバルブ105は、バルブハウジング108におけるボア内で密接な滑り嵌めによりロータリーバルブ軸105aを中心として回転可能な、ほぼ円筒形のロータリーバルブボディ105を含み、燃焼室の一部を形成する内部容積119を有する中空のバルブボディを有する。該バルブは、直径がシャフト106よりもわずかに大きいバルブボディ119自体を含むほぼ円筒形のボディ部を有し、該ボディ部が、玉軸受107の内輪が接するショルダー114を形成している。バルブボディ119は、燃焼室内まで延在し、その内部に燃焼室104の一部を形成し燃焼行程の全段階で燃焼ガスにさらされる容積120を有する。バルブボディ119は、密接な滑り嵌めによりバルブハウジング108におけるボア内で回転可能である。バルブ105及びバルブハウジング108はアルミニウム製である。
【0024】
ロータリーバルブ105のシャフト106部分は、ショルダー114を設けるために、バルブボディ119よりもほんのわずかに直径が小さい。シャフトは、バルブボディ119から外部に熱を伝達するための良好な経路を設けるために、中実にされている。
【0025】
ロータリーバルブボディ119は、バルブの回転中に、バルブハウジングにおいて吸気ポート及び排気ポートを介して、バルブの内部容積及び燃焼室への及びからの連続的な流体の連通を可能にするポート121を有する。本実施形態では、ポート121は、燃焼室104に隣接するバルブボディの壁123の下側周辺端部122に形成された凹部の形をしており、該凹部は、バルブの側面にポート121を形成するように、バルブの壁のこの下側縁部から上方に延在する。
【0026】
点火は、バルブハウジング108に形成されバルブボア内へと延在するプラグボア125内に固定されたスパークプラグによって行われる。バルブボディと交わるプラグボア125の軸は、バルブポートの中心線よりも軸方向に下方にある。このようにして、着火点は、入ってくる燃料混合物の主要部分に近づけられている。
【0027】
プラグボアは、プラグ124をプラグボア125内に固定するため十分に長いねじ山で形成されており、プラグを支持するねじ山の端部とプラグボア125の燃焼室への開口部との間のプラグボア125の残りの部分は、入ってくる燃料充填の流れを改善しスパークプラグから燃焼室104の主容積内への火炎面の通行を促進するために内腔が滑らかな、スパークプラグボア容積126を含む。
【0028】
プラグボア容積126は、スパークプラグそのものの本体と回転するバルブの間の隙間を確保する必要があるため、必然的に存在する。しかしながら、これにより、点火後の排気ガスの受け口が形成されて、次のサイクルのために入ってくるチャージ/空気の混合体を遅らせ、またチャージ/空気の最大可能量がスパークプラグに到達するのを妨げる傾向があるという点で、欠点となる。この欠点を取り除くために、スパークプラグボア容積126が燃焼室104の主容積と流体連通するように、スパークプラグボア容積126から燃焼室の主容積まで通じる通気孔127が設けられる。これにより、次のサイクルのために新鮮な燃料充填が次に投入される前に、容積126の通気が行われる。
図6に示すように、通気孔127は、バルブハウジングにおいて容積126から燃焼室104内まで通じる穴を含む。代わりの構造では、通気孔は、バルブハウジング108に形成される流路又は溝によって形成されてもよい。
【0029】
図5及び6の実施形態が示すロータリーバルブ内燃エンジンは、クランクシャフトに連結され、燃焼端を有するシリンダー内で往復運動可能なピストンと、ピストン及びシリンダーの燃焼端によって一部が画定される燃焼室と、シリンダーの燃焼端の外側部分に固定され、ボアを画定し、バルブハウジングのボア内でロータリーバルブがロータリーバルブ軸を中心として回転するバルブハウジングと、前記燃焼室の一部を形成する内部容積を有する中空のバルブボディとを有しており、中空のバルブボディの内部容積は燃焼行程全体にわたって燃焼ガスにさらされ、バルブの回転中に、バルブハウジングの吸気ポート及び排気ポートを介して燃焼室への及びからの連続的な流体連通を可能にするポートを、その壁部にさらに有しおり、エンジンは火花点火エンジンであり、スパークプラグはバルブボディに隣接するバルブハウジングにおけるプラグボアにねじ込み式に取り付けられ、スパークプラグボア容積がプラグとバルブボディの間のプラグボア内に形成され、スパークプラグ容積内の燃焼ガスを主シリンダー容積内に逃がすために、バルブハウジングにおいてスパークプラグ容積と主シリンダー容積の間に、通気孔が設けられる。
【0030】
好適な形態では、通気孔は、バルブハウジングにおけるブリード穴又はバルブハウジングにおける流路又は溝を含む。
【0031】
以下に、
図7を参照して、単気筒空冷エンジンについて説明する。エンジンは、シリンダー202を収容しているシリンダーハウジングを有する。ピストン201が、シリンダー202内での往復運動のため、クランクケース214内で回転するよう取り付けられたクランクシャフト203に、従来の方法で連結される。シリンダー202の上部は、燃焼室ハウジング内の燃焼室204により閉じている。燃焼室204への及びからの吸入空気/燃料の混合体及び排気ガスの流れは、ロータリーバルブ205によって制御される。本実施形態では、バルブ205は、シリンダー202の軸と同軸の軸205aを中心として、燃焼室ハウジングにおけるバルブハウジング208内で回転可能である。他の実施形態では、バルブボディの回転軸は、シリンダー202の軸205aからオフセットしている。
【0032】
燃焼室204から離れた端部において、ロータリーバルブ205は、バルブハウジング208内でバルブ205を回転可能に支持する単列玉軸受207を保持する同軸のドライブシャフト206を有する。バルブドライブシャフト206は、駆動装置211のドライブギヤ210と噛合する同軸のドリブンギヤ209に固定され、該駆動装置211を介して、ドリブンギヤ209ひいてはロータリーバルブ205がクランクシャフト203に連結される。駆動装置211はドライブシャフト212を含み、該ドライブシャフト212は、シリンダーハウジングにおける導管すなわち管217の中に設置され、ドライブギヤ210に隣接する上側軸受218及びクランクシャフト203に隣接する下側軸受213の中で回転するよう取り付けられている。導管すなわち管217は、シリンダーハウジング内に鋳造で形成される。導管すなわち管217は、シリンダーハウジングと一体で形成され、それを鋳造法で形成してもよい。ドライブシャフト211はベベルギヤ215を保持し、該ベベルギヤ215は、クランクシャフト203と共に回転するようクランクシャフトに固定された対応するベベルギヤ216に噛合する。このため、エンジンが従来の4ストロークサイクルで動作するように、クランクシャフト203の回転ひいてはピストンの動きを、ロータリーバルブ205の回転に連動させる。この実現のため、ロータリーバルブ205がエンジン回転数の1/2で回転するように、ドリブンギヤ209の直径はドライブギヤ210の2倍である。
【0033】
また以下に、
図8を参照して、ロータリーバルブ205をさらに詳細に説明する。ロータリーバルブ205は、バルブハウジング208におけるボア内で密接な滑り嵌めによりロータリーバルブ軸205aを中心として回転可能な、ほぼ円筒形のロータリーバルブボディ205を含み、燃焼室の一部を形成する内部容積219を有する中空のバルブボディを有する。該バルブは、直径がシャフト206よりもわずかに大きいバルブボディ219自体を含むほぼ円筒形のボディ部を有し、該ボディ部が、玉軸受207の内輪228が接するショルダー214を形成している。バルブボディ219は、燃焼室内まで延在し、その内部に燃焼室204の一部を形成し燃焼行程の全段階で燃焼ガスにさらされる容積220を有する。バルブボディ219は、密接な滑り嵌めによりバルブハウジング208におけるボア内で回転可能である。バルブ205及びバルブハウジング208はアルミニウム製である。
【0034】
ロータリーバルブ205のシャフト206部分は、ショルダー214を設けるために、バルブボディ219よりもほんのわずかに直径が小さい。シャフトは、バルブボディ219から外部に熱を伝達するための良好な経路を設けるために、中実にされている。
【0035】
ロータリーバルブボディのポート221は、バルブの回転中に、バルブハウジングの吸気ポート及び排気ポートを介して、バルブの内部容積ひいては燃焼室への及びからの連続的な流体連通を可能にする。本実施形態では、ポート221は、燃焼室204に隣接するバルブボディの壁223の下側周辺端部222に形成された凹部の形をしており、該凹部は、バルブの側面にポート221を形成するように、バルブの壁のこの下側縁部から上方に延在する。
【0036】
さらに
図8及び
図9を参照して、ドリブンギヤ209とロータリーバルブ205の間の連結について説明する。ドリブンギヤ209は、皿ねじ230によりロータリーバルブ205に同軸状に固定される。ドリブンギヤ209は、シャフト206の外側端部を収容する同軸の凹部を有し、該凹部は、玉軸受207の内輪228と位置合わせされる環状リング231を有する。わずかな軸方向の浮きを与えるために、環状リング231と内輪228の間に小さい軸方向の隙間232が設けられ、この結果として、バルブ205が内輪228に挟持されないためわずかに径方向に動くことができ、ロータリーバルブが回転するバルブボアと軸受207の間のあらゆる小さい同軸オフセットが吸収される。
【0037】
エンジンのタイミングを決めるバルブギヤに対するロータリーバルブ205の正確な配置は、タイミングピン233により達成される。ドライブギヤ210は、エンジンが上死点にあるときを示すタイミングマーク234を有する。ロータリーバルブに連結されたドリブンギヤ209は、タイミングピン233の受け入れるタイミングホール235を有し、ドリブンギヤは、ドリブンギヤ209をロータリーバルブ205に固定してロータリーバルブをその上死点位置に保持するためにタイミングピンが挿通される、対応するタイミングホールを有する。そして、ドリブンギヤ209をロータリーバルブ205に正確なタイミングの位置で固定するように皿ねじ230が挿通され、ねじ230の皿頭が、所定位置への固定のためにタイミングピン230の端部に係合する。タイミングピン233を所定位置に固定するために、ねじ230の上に座金など他の手段を用いてもよい。
【0038】
ロータリーバルブはその周壁に切り取られたポート221を有するので、バルブの質量がその外周に均一には配置されておらず、このため、ロータリーバルブが実際に回転する際に力のバランスが崩れることが認識されている。エンジンのさらなる実施形態では、特に、ドリブンギヤ209に材料を追加する、又はドリブンギヤ209の適切な位置において材料を取り除くことにより、釣り合い錘、又は釣り合いをとる質量を弁機構に設ける。
【0039】
図7、8及び9の実施形態に示したロータリーバルブ内燃エンジンは、クランクシャフトに連結され、燃焼端を有するシリンダー内で往復運動するピストンと、ピストン及びシリンダーの燃焼端によって一部が画定される燃焼室と、シリンダーの燃焼端の外側部分に固定され、ボアを画定し、バルブハウジングのボア内でロータリーバルブがロータリーバルブ軸を中心として回転するバルブハウジングと、前記燃焼室の一部を形成する内部容積を有する中空のバルブボディとを有有しており、中空のバルブボディの内部容積は燃焼行程全体にわたって燃焼ガスにさらされ、バルブの回転中に、バルブハウジングの吸気ポート及び排気ポートを介して燃焼室への及び燃焼室からの連続的な流体連通を可能にするポートを、その壁部にさらに有してており、ロータリーバルブの本体の表面とバルブハウジングにおけるボアの接触面の間で封止機能が達成され、ロータリーバルブは、ギヤ駆動機構を介してクランクシャフトにより回転するようバルブハウジング内に取り付けられ、該駆動機構は、ベベル駆動装置を介してクランクシャフトに連結されたドライブギヤを含み、ドライブギヤは、ロータリーバルブ軸を中心として回転可能なドリブンギヤと噛合させられ、ロータリーバルブに対しては回転しないドリブンギヤは、位置決めピンによりロータリーバルブに対して正確なタイミング位置に設置され、位置決めピンを所定位置にロックする固定器具によりロータリーバルブに固定される。
【0040】
好ましくは、ドリブンギヤは、ロータリーバルブボディにおける質量バランスの崩れを釣り合わせるために、偏った質量を有する。
【0041】
以下に、
図10を参照して、単気筒空冷エンジンについて説明する。エンジンは、シリンダー302を収容しているシリンダーハウジングを有する。ピストン301が、シリンダー302内での往復運動のため、クランクケース314内で回転するよう取り付けられたクランクシャフト303に、従来の方法で連結される。シリンダー302の上部は、燃焼室ハウジング内の燃焼室304により閉じている。燃焼室304への及びからの吸入空気/燃料の混合体及び排気ガスの流れは、ロータリーバルブ305によって制御される。本実施形態では、バルブ305は、シリンダー302の軸と同軸の軸305aを中心として、燃焼室ハウジングにおけるバルブハウジング308内で回転可能である。他の実施形態では、バルブボディの回転軸は、シリンダー302の軸305aからオフセットしている。
【0042】
燃焼室304から離れた端部において、ロータリーバルブ305は、バルブハウジング308内でバルブ305を回転可能に支持する単列玉軸受307を保持する同軸のドライブシャフト306を有する。バルブドライブシャフト306は、駆動装置311のドライブギヤ310と噛合する同軸のドリブンギヤ309に固定され、該駆動装置311を介して、ドリブンギヤ309ひいてはロータリーバルブ305がクランクシャフト303に連結される。駆動装置311はドライブシャフト312を含み、該ドライブシャフト312は、シリンダーハウジングに一体で形成された導管すなわち管317の中に設置され、ドライブギヤ310に隣接する上側軸受318及びクランクシャフト303に隣接しシリンダーハウジングに取り付けられた下側軸受313の中で回転するよう取り付けられている。導管すなわち管317は、シリンダーハウジングに形成され、それを鋳造法で形成してもよい。ドライブシャフト312はベベルギヤ315を保持し、該ベベルギヤ315は、クランクシャフト303と共に回転するようクランクシャフトに固定された対応するベベルギヤ316に噛合する。このため、エンジンが従来の4ストロークサイクルで動作するように、クランクシャフト303の回転ひいてはピストンの動きを、ロータリーバルブ305の回転に連動させる。この実現のため、ロータリーバルブ305がエンジン回転数の1/2で回転するように、ドリブンギヤ309の直径はドライブギヤ310の2倍である。
【0043】
またここで、同一の参照符号により同一の部品が示された
図11を参照すると、駆動装置を保持しているシリンダーハウジングがクランクケースに取り付けられる際に、ベベルギヤ315がクランクケースに入って、クランクシャフト314に固定された対応ベベルギヤ316と噛合できるように、クランクケース314は、ベベルギヤ315の外径よりも直径がわずかに大きいボア336を有する。クランクケース314の上面は、シリンダーハウジングアセンブリをクランクケースまで下げた際にその下面と接合するように配置される。下側軸受313は、クランクケースボア336と同軸になるように、シリンダーハウジングに形成されたカウンターボア337に固定されるが、駆動装置311を含むシリンダーハウジングアセンブリが確実にクランクケース314の上面314aと正確に接合できるように、下側軸受313の外輪と軸受が置かれるボア337の端部の間にわずかな軸方向の隙間が設けられている。
【0044】
このようにして、ロータリーバルブ305及びドライブギヤ装置311の主要部を含むシリンダーハウジングのアセンブリが、クランクケース314と接合するためのサブアセンブリとして構成される。最終的な組み立てでは、クランクケース314によって保持されるピストンが、シリンダーハウジング302におけるピストンボア内に送り込まれ、同時に、ベベルギヤ315がクランクケースボア336を通じて送り込まれ、エンジンの組み立てが完成する。
【0045】
図10及び11の実施形態に示すロータリーバルブ内燃エンジンは、クランクシャフトを収容しているクランクケースと、クランクシャフトに連結され、クランクケースに接続されたシリンダーハウジングにおいて、燃焼端を有するシリンダー内で往復運動可能なピストンと、ピストン及びシリンダーの燃焼端によって一部が画定される燃焼室と、シリンダーの燃焼端の外側部分にあり、ボアを画定するバルブハウジングと、バルブハウジングのボア内でロータリーバルブ軸を中心として回転可能で、燃焼室の一部を形成する内部容積を有する中空のバルブボディとを有するロータリーバルブであって、中空のバルブボディの内部容積は燃焼行程全体にわたって燃焼ガスにさらされ、バルブの回転中に、バルブハウジングにおいて吸気ポート及び排気ポートを介して燃焼室への及びからの連続的な流体連通を可能にするポートを、その壁部にさらに有するロータリーバルブと、を備えており、ロータリーバルブは、ギヤ駆動機構を介してクランクシャフトにより回転するよう、バルブハウジング内に固定された軸受に取り付けられ、該駆動機構は、ベベル駆動装置を介してクランクシャフトに連結されたドライブギヤを含み、ドライブギヤは、ロータリーバルブ軸を中心として回転可能なドリブンギヤと噛合させられ、ドリブンギヤは、ロータリーバルブと共に回転するよう固定され、ベベル駆動装置は、クランクシャフトに対しては回転しないベベルギヤに対して噛合する、シリンダーハウジングにおいて回転するドライブシャフトの一端部に固定されたベベルギヤを含み、ドライブシャフトは、ベベルギヤとは反対の端部にドライブギヤを保持し、シリンダーハウジングの接合面は、クランクケースの対応する面と接合するように適合させられ、クランクケースは、アセンブリ組み付け時にドライブシャフト上のベベルギヤがクランクケースに入ってクランクシャフト上のベベルギヤに係合する際に通る開口を有する。
【0046】
本実施形態では、ドライブシャフトは、シリンダーハウジングに形成された通路内に配置されてもよく、ドライブシャフトは、シリンダーハウジングに取り付けられた複数の軸受の中に回転可能に設置されてもよい。
【0047】
以下に、
図12を参照して、単気筒空冷エンジンについて説明する。エンジンは、シリンダー402を収容しているシリンダーハウジングを有する。ピストン401が、シリンダー402内での往復運動のため、クランクケース414内で回転するよう取り付けられたクランクシャフト403に、従来の方法で連結される。シリンダー402の上部は、燃焼室ハウジング内の燃焼室404により閉じている。燃焼室404への及びからの吸入空気/燃料の混合体及び排気ガスの流れは、ロータリーバルブ405によって制御される。本実施形態では、バルブ405は、シリンダー402の軸と同軸の軸405aを中心として、燃焼室ハウジングのバルブハウジング408内で回転可能である。他の実施形態では、バルブボディの回転軸は、シリンダー402の軸405aからオフセットしている。
【0048】
燃焼室404から離れた端部において、ロータリーバルブ405は、バルブハウジング408内でバルブ405を回転可能に支持する単列玉軸受407を保持する同軸のドライブシャフト406を有する。バルブドライブシャフト406は、駆動装置411のドライブギヤ410と噛合する同軸のドリブンギヤ409に固定され、該駆動装置411を介して、ドリブンギヤ409ひいてはロータリーバルブ405がクランクシャフト403に連結される。駆動装置411はドライブシャフト412を含み、該ドライブシャフト412は、シリンダーハウジングにおける導管すなわち管417の中に設置され、ドライブギヤ410に隣接する上側軸受418及びクランクシャフト403に隣接する下側軸受413の中で回転するよう取り付けられている。導管すなわち管417は、シリンダーハウジング内に鋳造で形成される。導管すなわち管417は、シリンダーハウジングと一体で形成され、それは鋳造の過程で形成してもよい。ドライブシャフト411はベベルギヤ415を保持し、該ベベルギヤ415は、クランクシャフト403と共に回転するようクランクシャフトに固定された対応するベベルギヤ416に噛合する。このため、エンジンが従来の4ストロークサイクルで動作するように、クランクシャフト403の回転ひいてはピストンの動きを、ロータリーバルブ405の回転に連動させる。この実現のため、ロータリーバルブ405がエンジン回転数の1/2で回転するように、ドリブンギヤ409の直径はドライブギヤ410の2倍である。
【0049】
また以下に、
図13を参照して、ロータリーバルブ405をさらに詳細に説明する。ロータリーバルブ405は、バルブハウジング408におけるボア内で密接な滑り嵌めされており、ロータリーバルブ軸405aを中心として回転可能な、ほぼ円筒形のロータリーバルブボディ405を含む。ロータリーバルブ405は、燃焼室の一部を形成する内部容積419を有する中空のバルブボディ416を有する。該バルブは、直径がシャフト406よりもわずかに大きいバルブボディ416自体を含むほぼ円筒形のボディ部を有し、該ボディ部が、玉軸受407の内輪428が接するショルダー414を形成している。バルブボディ416は、燃焼室まで延在し、その内部に燃焼室404の一部を形成し燃焼行程の全段階で燃焼ガスにさらされる容積420を有する。バルブボディ419は、密接な滑り嵌めによりバルブハウジング408におけるボア内で回転可能である。バルブ405及びバルブハウジング8はアルミニウム製である。
【0050】
ロータリーバルブ405のシャフト406部分は、、バルブボディ419よりもほんのわずかに直径が小さく、ショルダー414が形成される。シャフトは、バルブボディ416から外部に熱を伝導するための良好な経路を設けるために、中実にされている。
【0051】
ロータリーバルブボディのポート421は、バルブの回転中に、バルブハウジングの吸気ポート及び排気ポートを介して、バルブの内部容積ひいては燃焼室への及びからの連続的な流体連通を可能にする。本実施形態では、ポート421は、燃焼室44に隣接するバルブボディの壁423の下側周辺端部422に形成された凹部の形をしており、該凹部は、バルブの側面にポート421を形成するように、バルブの壁のこの下側縁部から上方に延在する。
【0052】
さらに
図13及び
図14を参照して、ドリブンギヤ409とロータリーバルブ405の間の連結について説明する。ドリブンギヤ409は、皿ねじ430によりロータリーバルブ405に同軸状に固定される。ドリブンギヤ409は、シャフト406の外側端部を収容する同軸の凹部を有し、該凹部は、玉軸受407の内輪428と位置合わせされる環状リブ431を有する。わずかな軸方向の浮きを与えるために、環状リング431と内輪428の間に小さい軸方向の隙間432が設けられ、この結果として、バルブ405が内輪428に挟持されないためわずかに径方向に動くことができ、ロータリーバルブが回転するバルブボアと軸受407の間のあらゆる小さい同軸オフセットが吸収される。
【0053】
操作時には、燃焼ガスにより生じた力が、バルブハウジングに対して軸方向にバルブボディを動かす傾向がある。軸受の内輪428に対するバルブボディ416の軸方向の動きにより生じる軸受407の内輪428に対するショルダー414のハンマリングを防ぐために、さもなければ燃焼サイクルごとに発生することになるため、ウェーブスプリング424の形状をした弾性要素が、ドリブンギヤ409を付勢することでバルブボディ416のショルダー414を上方に動かし、
図15に示すように、内輪428の下面に接触させる。これは、操作時には2つの構成部品間のハンマリング又はガタガタとした音の発生を防ぐため十分な力で、しかし構成部品の製造公差により起きるわずかなばらつきの結果としてバルブとバルブハウジングの間のわずかな位置のずれが実際には生じることになるが、この位置のずれを吸収するために必要なバルブボディのわずかな径方向の動きを妨害するほどは強くない力で、行われる。
【0054】
図16a及び16bに示すように、ウェーブスプリングは、ほぼ環状の板状部材からなる。環状の長さの全体にわたって、ウェーブスプリング424は、特に
図5b及び5cに示すように、ばね座金をラジアル平面から湾曲させる複数の波形を有する。本実施形態では、ウェーブスプリングは、ばね鋼製である。ばね要素は、必要とされる弾性的減衰効果を提供しエンジン内の過酷な環境条件に対処できるという目的を満たせば、他の材料、デザイン又は形状であってもよい。
【0055】
図17は、軸受の内輪428とドリブンギヤ409の間の所定位置にウェーブスプリング424を付けた、ロータリーバルブ405及びドリブンギヤ409の概略斜視図である。
図18は、単列玉軸受407を所定位置に付けた、ロータリーバルブ405及びドリブンギヤ409の同様の概略斜視図である。また
図19に示すように、軸受407の内輪428及び外輪429の間の空間は、その下側縁部において金属シール426により閉じている。
【0056】
実際には、ロータリーバルブボディ405とバルブハウジング408の間の境界面から、多少の燃焼ガスが漏れることが分かっている。これらの無駄になる燃焼ガスは、軸受407を通って玉425を通り越しドリブンギヤ及び波形ばね座金を収容する室内に抜け出て、カーボンが堆積する原因となり、バルブの性能及び耐久性に悪影響をおよぼす可能性があり、また、高い温度と高温ガスによる腐食作用により、ウェーブスプリングが時期尚早に破損する可能性がある。軸受407を超える燃焼ガスの漏れを防ぐ、又は少なくとも最小限に減らすために、シール426が、軸受の内輪428及び外輪429の間の隙間を埋める。シールは、過酷な環境条件に対処するため金属製である。さらに、シールは、弾性ばねが損傷又は破壊されないよう燃焼ガス漏れを制限する。
【0057】
ここで
図19を参照すると、改良点を描いたバルブ及び軸受の配列の拡大図が示されており、黒い矢印440で示すように、環状の金属シール426とバルブハウジングとの間の狭い環状の空間428から吸気ポート内まで、通気孔通路437が設けられている。これには、漏れた燃焼ガスが吸気ポート439に環流され、エンジン内で再利用されてエンジン排ガス性能を改善するという利点がある。
【0058】
ロータリーバルブはその周壁に切り取られたポート421を有するので、バルブの質量がその外周に均一には配置されておらず、このため、ロータリーバルブが実際に回転する際に力のバランスが崩れることが認識されている。エンジンのさらなる実施形態では、特に、ドリブンギヤ409に材料を追加する、又はドリブンギヤ409の適切な位置において材料を取り除くことにより、釣り合い錘すなわち釣り合いをとる質量を弁機構に設ける。実施形態では単気筒空冷エンジンについて説明したが、当然のことながら、本発明は多気筒及び/又は水冷エンジンにも同様に適用可能である。
【0059】
図12~19の実施形態が示すロータリーバルブ内燃エンジンは、クランクシャフトに連結され、燃焼端を有するシリンダー内で往復運動するピストンと、ピストン及びシリンダーの燃焼端によって一部が画定される燃焼室と、シリンダーの燃焼端の外側部分に固定され、ボアを画定し、バルブハウジングのボア内でロータリーバルブがロータリーバルブ軸を中心として回転するバルブハウジングと、前記燃焼室の一部を形成する内部容積を有する中空のバルブボディとを有しており、中空のバルブボディの内部容積は燃焼行程全体にわたって燃焼ガスにさらされ、バルブの回転中に、バルブハウジングの吸気ポート及び排気ポートを介して燃焼室への及びからの連続的な流体連通を可能にするポートを、その壁部にさらに有しており、ロータリーバルブの本体の表面とバルブハウジングにおけるボアの接触面の間で封止機能が実行され、ロータリーバルブは、ギヤ駆動機構を介してクランクシャフトにより回転するようバルブハウジング内に取り付けられ、該駆動機構は、ロータリーバルブ軸を中心として回転可能であり、ロータリーバルブに対しては回転しないドリブンギヤを含み、ドリブンギヤとバルブボディの間に単一の軸受を含む軸受が設けられ、軸受の内輪と外輪の間の空間は、軸受を通過する燃焼ガスを実質的に制限するためにシールにより閉じている。
【0060】
好ましくは、シールは単列玉軸受のバルブ側に位置し、これにより玉軸受を燃焼ガスから遮蔽し、シールは金属製であってもよい。
【0061】
さらなる発展例では、通気孔通路は、バルブボディとバルブハウジングの間の空間から吸気ポート内に燃焼ガスを戻すために、ドリルで開けた孔又はバルブボア面の溝の何れかで構成された通気孔を設けてもよい。
【0062】
実施形態としてのさらなる発展例では、ドリブンギヤとロータリーバルブが取り付けられる軸受の間に所定の軸方向の隙間が設けられ、ドリブンギヤは軸受の内輪に位置合わせされた環状リブを有し、該軸方向の隙間は環状リブと軸受の内輪の間に形成される。
【0063】
本実施形態では、シールは、好ましくはロータリーバルブと同軸で弾力性のある環状要素からなり、ウェーブスプリングであってもよい。
【0064】
本明細書で説明した様々な実施形態の特徴は、特に言及しない限り、それぞれを組み合わせることができると理解すべきである。
【0065】
特定の実施形態について本明細書で図示して説明してきたが、本発明の範囲を逸脱しない限り、図示し説明した特定の実施形態の代わりに、様々な代替の及び/又は同等の実施態様を用いてもよいことを、当業者なら理解するであろう。本出願は、本明細書に記載した特定の実施形態のあらゆる改変又は変形を包含するものである。したがって、本発明は、特許請求の範囲及びその同等物によってのみ限定されるものである。
【国際調査報告】