(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-12
(54)【発明の名称】加工ツールにおいて機械部品を拘束/係止するためのデバイス
(51)【国際特許分類】
B23Q 3/06 20060101AFI20220104BHJP
【FI】
B23Q3/06 304F
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021512834
(86)(22)【出願日】2019-09-13
(85)【翻訳文提出日】2021-04-27
(86)【国際出願番号】 IB2019057739
(87)【国際公開番号】W WO2020053829
(87)【国際公開日】2020-03-19
(31)【優先権主張番号】102018000008602
(32)【優先日】2018-09-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518204969
【氏名又は名称】ハイドロブロック エス.アール.エル.
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】ザンニ,ダヴィデ
【テーマコード(参考)】
3C016
【Fターム(参考)】
3C016CA01
3C016CE01
3C016EA01
(57)【要約】
加工ツールに機械部品を拘束/係止するためのデバイス(1)は:液圧シリンダ(2)と;液圧シリンダ(2)から突出したヘッド部(10)を備え、主ライン(B1)に沿って摺動可能な、第1のピストン(9)と;主ライン(B1)を実質的に横断する摺動ライン(B2)に沿って可動となるように、ヘッド部(10)と接合された、少なくとも2つのセルフセンタリング係止要素(19)と;セルフセンタリング係止要素(19)を、格納位置及び引出し位置の間で動かすための移動手段(21、22)であって、第1のピストン(9)に作られた、液圧チャンバ(21)、開始位置及び到達位置の間で主ライン(B1)に沿って摺動可能で、セルフセンタリング係止要素(19)に接合された作動部(23)を備えた、第2のピストン(22)を備えた移動手段(21、22)と;を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加工ツールに機械部品を拘束/係止するためのデバイス(1)であって、
加工ツール(M)に固定可能な、少なくとも1つの液圧シリンダ(2)と、
少なくとも1つの第1のピストン(9)であって、前記液圧シリンダ(2)に挿入され、前記液圧シリンダ(2)から突出したヘッド部(10)を備え、前記ヘッド部(10)が、加工される機械部品(P)の空洞(C)の外側に位置されたホーム構成、及び前記ヘッド部(10)が前記空洞(C)の内側に位置された作業構成、の間における、加圧された液圧作動液の主ライン(B1)に沿った推力によって、前記液圧シリンダ(2)に対して摺動可能な、少なくとも1つの第1のピストン(9)と、
少なくとも2つのセルフセンタリング係止要素(19)であって、前記第1のピストン(9)が前記作業構成にあるときに、前記空洞(C)の内面(S)に当接するために、前記主ライン(B1)を実質的に横断する摺動ライン(B2)に沿って可動となるように、前記ヘッド部(10)と接合された、少なくとも2つのセルフセンタリング係止要素(19)と、
前記セルフセンタリング係止要素(19)を、格納位置及び引出し位置の間に動かすための移動手段(21、22)であって、
前記第1のピストン(9)に作られた、少なくとも1つの液圧チャンバ(21)、
少なくとも1つの第2のピストン(22)であって、前記液圧チャンバ(21)に挿入され、前記格納位置に相当する開始位置、及び前記格納位置に相当する到達位置、の間における加圧された前記液圧作動液の推力によって、前記主ライン(B1)に沿って前記第1のピストン(9)に対して摺動可能で、前記セルフセンタリング係止要素(19)に接合され、前記主ライン(B1)に沿った前記第2のピストン(22)の運動を、前記摺動ライン(B2)に沿った前記セルフセンタリング係止要素(19)の動きに変換するために好適な作動部(23)を備えた、少なくとも1つの第2のピストン(22)
を備えた、移動手段(21、22)と
を備えることを特徴とする、デバイス(1)。
【請求項2】
前記引出し位置を調整するための、調整手段(36)を備えることを特徴とする、請求項1に記載のデバイス(1)。
【請求項3】
前記調整手段(36)は、オペレータによって変更された位置において前記第1のピストン(9)に接合され、かつ前記到達位置において前記第2のピストン(22)の接触面(38)と接触するために好適な、少なくとも1つの接触部材(37)を備え、前記主ライン(B1)に沿って前記第2のピストン(22)の摺動ストローク端部を画定することを特徴とする、請求項2に記載のデバイス(1)。
【請求項4】
前記接触部材(37)は、前記ヘッド部(10)の中にネジで締めることができる、ネジ山付きシャンクを備えることを特徴とする、請求項3に記載のデバイス(1)。
【請求項5】
前記第2のピストン(22)は、
前記液圧チャンバ(21)に挿入され、前記液圧作動液の推力を受け入れるのに好適な、少なくとも1つの第1の本体(26)と、
前記作動部(23)を備えた、少なくとも1つの第2の本体(27)と、
前記第1の本体(26)及び前記第2の本体(27)を接続し、前記第1の本体(26)及び前記第2の本体(27)間の距離を可動にする、少なくとも1つの弾性接続ユニット(31、32)と
を備えることを特徴とする、請求項1~4のうちいずれか一項に記載のデバイス(1)。
【請求項6】
前記第2のピストン(22)を、前記到達位置から前記開始位置へ戻す、弾性戻り手段(40)を備えることを特徴とする、請求項1~5のうちいずれか一項に記載のデバイス(1)。
【請求項7】
弾性戻り手段(40)は、前記ヘッド部(10)の表面と、接触面(38)との間に挟まれた、少なくとも1つの引離し螺旋バネ(41、42)を備えることを特徴とする、請求項3~6のうちいずれか一項に記載のデバイス(1)。
【請求項8】
弾性戻り手段(40)は、第1の本体(26)と、第2の本体(27)との間に挟まれた、少なくとも1つの圧縮螺旋バネ(43)を備えることを特徴とする、請求項5~7のうちいずれか一項に記載のデバイス(1)。
【請求項9】
弾性戻り手段(40)は、第1の本体(26)と、前記第1のピストン(9)との間に挟まれた、少なくとも1つの戻り螺旋バネ(44)を備えることを特徴とする、請求項5~8のうちいずれか一項に記載のデバイス(1)。
【請求項10】
前記液圧シリンダ(2)及び前記第1のピストン(9)の間に、
前記第1のピストン(9)を、前記ホーム構成から前記作業構成へシフトさせるために、加圧された前記液圧作動液を供給することができる、少なくとも1つの第1のチャンバ(13)と、
前記第1のピストン(9)を、前記作業構成から前記ホーム構成へシフトさせるために、加圧された前記液圧作動液を供給することができる、少なくとも1つの第2のチャンバ(14)と
が画定されることを特徴とする、請求項1~9のうちいずれか一項に記載のデバイス(1)。
【請求項11】
前記液圧シリンダ(2)と、前記第1のピストン(9)との間に挟まれ、前記第1のピストン(9)が前記主ライン(B1)の周りに回転するのを防止するために好適な、抗回転手段(46、47)を備えることを特徴とする、請求項1~10のうちいずれか一項に記載のデバイス(1)。
【請求項12】
抗回転手段(46、47)は、
前記液圧シリンダ(2)または前記第1のピストン(9)の、少なくともいずれか一方に作られ、実質的に前記主ライン(B1)に平行な直線に沿って延びた、少なくとも1つのチャネル(46)と、
前記液圧シリンダ(2)または前記第1のピストン(9)の、いずれか他方に取り付けられ、前記チャネル(46)に摺動可能に挿入された、少なくとも1つの係合要素(47)と
を備えることを特徴とする、請求項1~11のうちいずれか一項に記載のデバイス(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加工ツールにおいて機械部品を拘束/係止するためのデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
機械部品で実行される加工作業は、特に高精度が要求されるとき、ならびに使用工具(例えばダイヤモンド切断ディスクなど)が破損する危険がある場合、加工の変形及び/または欠陥を避けるために、ワークピース自体の安定した係止を必要とする。
【0003】
この関連で、未加工の機械部品を第1のステーションに拘束して、特定の回数の加工作業を実施し、次にワークピースは第1のステーションから取り外され、第2のステーションに拘束され、異なるポイントにおいて係止されて、最後にミッシング加工作業を受けることがよく知られている。
【0004】
2つのワークステーションを介する移動は必須であることが多い。なぜなら、第1のステーションにおいてワークピースがまだ未加工状態であるとき、ワークピースの係止ポイントに近接して機械加工を実施するのは不可能だからである。
【0005】
したがって第2のステーションは、第1のステーションで使用された、ワークピースの係止ポイントにおける加工作業を、互いから十分な距離がある異なるポイントにおいてワークピースを把持し、実施するよう意図される。
【0006】
今説明した作業の手順は、例えば航空部門及びセルフ車部門など、高性能の機械部品のため、及び後続の加工を必要とする、穴が設けられる部品ために、特に一般的である。これらの穴は、第1のステーションで加工され、後続の加工は第2のステーションで完了される。
【0007】
2つの異なるステーションで加工される必要がある機械部品の例として、ホースクランプが設けられた金属構造が挙げられる。詳細には、このホースクランプはリング要素から成り、このリング要素は、中心穴と、リング要素を広げてホース、バー、または別の部材の周りで締めるのを可能にする側部切断部と、から構成される。
【0008】
第1のステーションにおいて、機械部品は、リング要素の中央穴を穿設及び/または仕上げるために加工され、一方で第2のステーションにおいて、切断ディスクによって側部切断部が作られる。
【0009】
この目的のため、第2のステーションには、第1のステーションで加工された穴の内側に適用されたセンタリング要素が設けられる。センタリング要素は、リング要素がブロックされるのを可能にし、切断中に発生するリング要素の振動が、切断ディスクに損傷を与えるのを防止するか、またはクランプが分離されるときに、それ自体が閉じて工具を破損するのを防止する。
【0010】
しかしこの先行技術は、2つの異なるステーションを使用して単一片を加工することは、高いコスト及び長いリードタイムを伴い、部品を1つのステーションから取り外して、別のステーションに拘束するため、多くの不便な機械の停止を必要とすることを含む、いくつかの欠点を有する。
【0011】
この先行技術の別の欠点は、機械加工で達成できる精度が、2つのワークステーションの使用を必要とすることによって制限されることである。実際、第2のステーションにおいて、第2のワークピースを、加工ツールの基準システムに完全に整合されない位置に設置し、そのため不正確な加工を実施する危険を伴って拘束させなければならない。
【0012】
別の欠点は、第2のステーションが、第1のステーションに対して異なるポイントでワークピースを把持する必要があるため、同様にワークピースは追加の把持面を必要とし、それは専門かつ特に精確な加工を要し、実施される作業の合計数を増加させ、それによってかかる時間を増加させ、工具を摩耗させることである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の主な目的は、単一のワークステーション及び単一の拘束によって、ワークピースの機械加工を実行できる、加工ツールに機械部品を拘束/係止するためのデバイスを考案することである。
【0014】
例示の目的内で、本発明の目標の1つは、公知の拘束/係止デバイスと比較して加工コストを軽減するのを可能にすることである。
【0015】
本発明の別の目標は、機械部品の加工を実施するために要するコスト及び時間を軽減することである。
【0016】
本発明のさらなる目標は、機械加工で達成できる精度を向上させることである。
【0017】
本発明のさらに別の目標は、加工作業の数を低減させることであり、詳細には、ワークピースの把持面を作り出すために要する追加の作業を除外することである。
【0018】
本発明の別の目標は、使用が簡単、合理的、容易、効果的、かつ低コストの解決策で、先行技術の前述の欠点を克服できる、加工ツールに機械部品を拘束/係止するためのデバイスを考案することである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
前述の目標は、特許請求項1による、加工ツールに機械部品を拘束/係止するための、本デバイスによって実現される。
【0020】
本発明の他の特徴及び利点は、添付の図表における非限定の表示によって示された、加工ツールに機械部品を拘束/係止するためのデバイスの、好ましいが排他的ではない実施形態の説明から、より明確となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図2】本発明によるデバイスの、部分的に切り取った不等角投影図である。
【
図3】第1のピストンがホーム構成である、本発明によるデバイスの断面図である。
【
図4】第1のピストンが作業構成で、かつセルフセンタリング係止要素が格納位置にある、本発明によるデバイスの断面図である。
【
図5】第1のピストンが作業構成で、かつセルフセンタリング係止要素が引出し位置にある、本発明によるデバイスの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
これらの図を詳細に参照すると、参照番号1は全体的に、加工ツールに機械部品を拘束/係止するためのデバイスを示す。
【0023】
デバイス1は、加工ツールMに、加工することになる機械部品Pを係止するよう意図され、機械部品Pは、少なくとも1つの空洞Cを有し、空洞Cには空洞の軸A1が設けられ、空洞Cは例えば溝、貫通穴、または他の座部から成る。
【0024】
空洞Cは、例えば円筒形など、実質的に軸対称形状を有し、空洞の軸A1は、空洞Cの外形の軸と合致する。
【0025】
図2~
図5に示される実施形態において、機械片Pは、ホースクランプFに適応されたワークピースから成り、空洞Cを確定する中央穴を有する。
【0026】
デバイス1は、少なくとも1つの液圧シリンダ2を備え、この液圧シリンダ2は、加工ツールMの、例えば作業面L、ベッドプレート、または加工ツールMの任意の他の部分に固定させることができる。
【0027】
液圧シリンダ2は中心軸A2を有し、この中心軸A2は、使用中に空洞の軸A1と実質的に合致して位置付けられるよう意図される。
【0028】
換言すると、機械部品Pは、空洞の軸A1と中心軸A2とが合致するよう、予め決められた位置で加工ツールMに取り付けられる。
【0029】
液圧シリンダ2は、例えば、通過開口部4が設けられた側方ライナ3と、通過開口部4の反対側で側方ライナ3を部分的に閉じる底部5と、底部5から側方ライナ3の内側で通過開口部4に向かって延びたピン要素6と、によって確定される。
【0030】
底部5は、第1のグループのネジ山付き接続部材7(ネジ)によって、側方ライナ3と関連付けられ、一方でピン要素6は、第2のグループのネジ山付き接続部材8によって、底部5と関連付けられる。
【0031】
しかし、底部5及びピン要素6が単一片で作られた、代替の実施形態を除外することはできない。
【0032】
図2~
図5に示される特定の実施形態において、中心軸A2は、実質的に垂直に配置され、機械片Pは液圧シリンダ2の上方に設置され、通過開口部4は液圧シリンダ2の頂部に設置され、底部5は液圧シリンダ2の基部に設置される。
【0033】
説明を簡略化するために、本明細書の残りの参照は、図に示されるデバイス1の配置に対して成すことにする。したがって、「上部の」、「下部の」、「上方の」、「下方の」、「上げる」、「下げる」などの言葉は、図に示されたものを参照して理解されたい。
【0034】
しかし、空洞Cと関連の空洞の軸A1とが、いかにして配置されるかに依拠して、中心軸A2を異なる向き(例えば水平方向または斜め)にして、加工ツールMにデバイス1を固定することができることは、容易に理解される。
【0035】
液圧シリンダ2は、加圧された液圧作動液を包含する。
【0036】
本明細書に関して、液圧作動液は、液圧回路においてエネルギーを伝えるためのキャリア媒体として使用される液体状態(したがって理想的には非圧縮性)にある、任意の液体を意味する。好ましくは、液圧作動液は従来の合成潤滑油から成るが、鉱油、植物油、水などであり得る代替の実施形態を除外することはできない。
【0037】
デバイス1は、少なくとも第1のピストン9を備える。第1のピストン9は、液圧シリンダ2に挿入され、かつ液圧シリンダ2から突出したヘッド部10を備える。
【0038】
第1のピストン9は、ヘッド部10が、加工される機械部品Pの空洞Cの外側に位置された、ホーム構成(
図2及び
図3)と、ヘッド部10が空洞Cの内側に位置された、作業構成(
図4及び
図5)との間で、主ラインB1に沿って、加圧された液圧作動液の推力によって、液圧シリンダ2に対して摺動する。
【0039】
より詳細には、第1のピストン9はステム部11から成り、このステム部11は、有利には通過開口部4を通過するステム部の1つの軸A3に沿って延びる。
【0040】
ステム部11は、ヘッド部10を確定する、液圧シリンダ2の外側部分と、作動ピストン部12、すなわち液圧シリンダ2の内壁で調整するために摺動する拡大部を伴う部分を確定する、液圧シリンダ2の内側部分と、を有し、2つの反対側のチャンバにステム部11を分割する。
【0041】
液圧シリンダ2と、第1のピストン9との間は、
-加圧された液圧作動液を供給することができ、第1のピストン9をホーム構成から作業構成へ移動させる、少なくとも第1のチャンバ13と、
-加圧された液圧作動液を供給することができ、第1のピストン9を作業構成からホーム構成へ移動させる、少なくとも第2のチャンバ14と
で、実際に画定される。
【0042】
換言すると、液圧シリンダ2及び第1のピストン9は、第1のピストン9の後への動き、及び液圧の抽出、の二重の作用動作を有する。
【0043】
しかし、2つのチャンバ13、14のうち1つのみが提供され、液圧シリンダ2及び第1のピストン9が単一の作用動作を有する、代替の実施形態を考案することができることも、容易に理解される。
【0044】
加圧された液圧作動液を、第1のチャンバ13及び第2のチャンバ14に供給するために、液圧シリンダ2は、図示しないが内部ダクトを備え、それは、やはり図示しないがポンプ液圧回路に接続させることができる。
【0045】
ステム部の軸A3は、液圧シリンダ2の中心軸A2及び主ラインB1と合致し、第1のピストン9が沿って動く主ラインB1は、中心軸A2及びステム部A3の軸と平行である。
【0046】
好都合には、液圧シリンダ2の内側におけるステム部11の端部、すなわち作動ピストン部12に近接した部分は、底部キャップ15と関連付けられる。
【0047】
底部キャップ15は、好ましくはネジ山付き要素16(ネジ)のグループによってステム部11に接続されるが、他のタイプの接続も除外できない。
【0048】
底部キャップ15には、ピン要素6と連結する貫通穴17がある。
【0049】
ピン要素6及び貫通穴17の両方は、上記のように互いに合致した中心軸A2及びステム部の軸A3に沿って延びる。主ラインB1に沿って第1のピストン9が動く間、ピン要素6は、常に貫通穴17の中に少なくとも部分的に挿入され続ける。
【0050】
加えて、デバイス1は、少なくとも2つのセルフセンタリング係止要素18を備え、それらは、第1のピストン9が作業構成にあるときに、空洞Cの内面Sに当接するように、主ラインB1に対して実質的に横断する摺動ラインB2に沿って、ヘッド部10に可動に関連付けられる。
【0051】
セルフセンタリング係止要素18は、例えばそれぞれの摺動ラインB2に沿って延びた一連の細長いピンから成り、ヘッド部10を貫通して得られた、対応するハウジング座部19の中に、円滑に挿入される。
【0052】
図に示される特定の実施形態において、セルフセンタリング係止要素18は3つで、主ラインB1に直交する同じ面上で互いに120°離して据えられる。しかし、異なる数のセルフセンタリング係止要素18が設けられた別の解決策を、除外することはできない。
【0053】
デバイス1は、移動手段21、22も備える。移動手段21、22は、セルフセンタリング係止要素18がヘッド部10の内側で実質的に格納される格納位置と、セルフセンタリング係止要素18がヘッド部10から突出して空洞Cの内面Sに当接する引出し位置との間で、セルフセンタリング係止要素18を移動させるよう適合される。
【0054】
移動手段21、22は、
-第1のピストン9の内側に作られた、少なくとも1つの液圧チャンバ21と、
-液圧チャンバ21の内側に挿入された、少なくとも第2のピストン22と
を備える。
【0055】
有利には、液圧チャンバ21は、第1のピストン9の下部に画定され、ステム部11の内側壁及び底部キャップ15によって境界が定められる。
【0056】
底部キャップ15における貫通穴17の存在により、液圧作動液が第1のチャンバ13から液圧チャンバ21に流れること、及びその逆に流れることを可能にする。
【0057】
第2のピストン22は、セルフセンタリング係止要素18の格納位置に相当する開始位置と、セルフセンタリング係止要素18の引出し位置に相当する到達位置との間の、加圧された液圧作動液の推力によって、主ラインB1に沿って第1のピストン9に対して摺動する。
【0058】
第2のピストン22は作動部23も備え、この作動部23は、セルフセンタリング係止要素18と関連付けられ、かつ主ラインB1に沿った第2のピストン22の運動を、摺動ラインB2に沿ったセルフセンタリング係止要素18の運動に変換するよう適合される。
【0059】
例えば、作動部23は、セルフセンタリング係止要素18の傾斜した面24に対応して押込まれる、楔形状の端部から成る。それによって、主ラインB1からの運動を摺動ラインB2の運動に変換できる。
【0060】
楔形状の端部、及び対応した傾斜面において、ダブテール誘導部25が有用に得られ、それによってセルフセンタリング係止要素18が、摺動ラインB2の一方のラインまたは反対のラインのいずれかに、押込まれる。
【0061】
図に示される特定の実施形態において、第2のピストン22は、
-液圧チャンバ21に挿入され、かつ液圧作動液の推力を受け入れるよう適合された、少なくとも第1の本体26と、
-作動部23を備えた、少なくとも第2の本体27と、
-第1の本体26及び第2の本体27を接続し、第1の本体26及び第2の本体27の間の共通距離を可動にする、少なくとも1つの弾性接続ユニット31、32と
を備える。
【0062】
第1の本体26は、弾性接続ユニット31、32の下方に位置され、弾性接続ユニット31、32は、同様に第2の本体27の下方に位置される。
【0063】
実際、第1の本体26は、第2の本体27に面した頂部と、推力ピストン部29、すなわち液圧チャンバ21の内壁において調整するために摺動する拡大部を伴う部分を画定する基部と、を有する。
【0064】
第1の本体26及び液圧チャンバ21は、単一の作用動作を有し、実際第1の本体26の下部面のみが、液圧作動液によって濡らされる。
【0065】
第2の本体27及び上述の弾性接続ユニット31、32は、上述のように、第1の本体26の頂部に配置され、推力ピストン部29によって液圧チャンバ21から分離された空圧チャンバ30の内側に収容される。
【0066】
空圧チャンバ30は、液圧作動液に接近せずに空気で充填された、第1のピストン9の座部を意味する。
【0067】
第2の本体27は、摺動によって空圧チャンバ30の中に挿入され、かつ第1の本体26に面した基部と、上述の作動部23を画定する頂部と、を有する。
【0068】
より詳細には、第2の本体27は、直径方向の小さい空隙を伴ってステム部11に挿入され、同様に、作動部23とセルフセンタリング係止要素18との間の連結ポイント(すなわちダブテール誘導部25)にも、小さい空隙が設けられる。
【0069】
上記の空隙は、空洞の軸A1及び中心軸A2が完全に整合されていない場合でも、望ましくない変形させる力を空洞Cに伝えることなく、セルフセンタリング係止要素18が空洞Cの形状に適合させることを可能にする。
【0070】
第1の本体26の頂部と、第2の本体27の基部との間は、弾性接続ユニット31、32である。
【0071】
弾性接続ユニット31、32は、例えば衝撃緩和の螺旋バネ31を備え、それは第1の本体26の頂部に対する端部制止部と、第2の本体27の基部に対する反対側の端部制止部とを有する。
【0072】
弾性接続ユニット31、32は、第1の本体26と第2の本体27との間が、所定の距離を越えて共に離れる動きを防止するために、第1の本体26と第2の本体27との間に設置された、抗分離ピン32も有用に備える。
【0073】
より詳細には、抗分離ピン32は、第1の本体26に(例えばネジによって)しっかりと固定され、第2の本体27に得られた溝33の中に挿入される。
【0074】
抗分離ピン32の、溝33の内側に位置された部分は、パッド34を有する。このパッド34は、例えばシーガーリングによって画定された、溝33の狭窄部35に対して静止する。
【0075】
狭窄部35は、パッド34が溝33から外れるのを実際に防止し、それによって、第1の本体26が、第2の本体27から所定の距離を越えて離れて動くのを防止する。
【0076】
実際、弾性接続ユニット31、32は、第1の本体26と第2の本体27との間に伝えられる力に対する衝撃吸収材として作用し、推力ピストン部29が作動ピストン部23に(したがってセルフセンタリング係止要素18に)伝える力を判断し、液圧作動液をセルフセンタリング係止要素18に直接排出することによる、液圧作動液の突然の圧力ピークを防止する。
【0077】
しかし、第1の本体26及び第2の本体27が、(例えばそれらが単一の一体構造であるために)共に係止され、弾性接続ユニット31、32が設けられない代替の実施形態も、除外することはできない。
【0078】
有利には、デバイス1は、セルフセンタリング係止要素18の引出し位置を調整するための、調整手段36を備える。
【0079】
実際、調整手段36は、セルフセンタリング係止要素18によって移動できる最大ストロークを設定することが可能であり、最大ストロークは、多くの事例において、加工される空洞Cの径に依拠して変化させなければならず、切断時にホースクランプFの過度の変形を避けるために、好都合に制限されなければならない。
【0080】
例えば調整手段36は、少なくとも1つの接触部材37を備え、この接触部材37は、オペレータによって変更され得る位置における第1のピストン9に関連付けられ、かつ到達位置において第2のピストン22の接触面38に接触するよう適合されて、主ラインに沿った第2のピストン22の摺動ストローク端部を画定する。
【0081】
接触部材37はネジ山付きシャンクを備え、主ラインB1に実質的に平行なラインに沿って、第1のピストン9のヘッド部10の中にネジで締めることができる。
【0082】
より正確には、ヘッド部10はヘッド部キャップ39を備え、このヘッド部キャップ39は、空圧チャンバ30の上部を閉鎖し、その上に接触部材37を、可能であれば締付ナット49によってネジで締めることができる。
【0083】
好ましくは、ヘッド部キャップ39は、図示しないが、ネジ山付き要素(ネジ)のグループによって、第1のピストン9に接合される。
【0084】
他方で、接触面38は、例えば第2のピストン22の上端部に取り付けられたプレートによって画定される。
【0085】
第1のピストン9がホーム構成にあるとき、第2のピストン22が移動できる最大ストローク、したがってセルフセンタリング係止要素18が移動できる最大ストロークを画定するよう、ネジ山付きシャンクをネジで締めるか、ネジを緩めることによって、接触部材37と接触面38の間の距離D(
図3)を調整することが可能である。
【0086】
デバイス1は、到達位置から開始位置への、第2のピストン22の弾性戻り手段40も備える。
【0087】
弾性戻り手段40は、ヘッド部10の表面と接触面38との間に挟まれた、少なくとも1つの引離し螺旋バネ41、42を備える。
【0088】
詳細には、引離し螺旋バネ41、42は、接触部材37の少なくとも一部の周りに配置され、ヘッド部キャップ39に対して制止する上端部と、プレートに対して制止する下端部とを有する。
【0089】
図に示される特定の実施形態において、引離し螺旋バネ41、42は、第1の引離し螺旋バネ41及び第2の引離し螺旋バネ42の2つであり、第1のバネは、第2のバネよりも小さい径を有する。
【0090】
しかし、異なる数、例えば1つだけ、または3つ以上の数の引離し螺旋バネ41、42が存在する、本発明の代替の実施形態が可能であることは、容易に理解される。
【0091】
有利には、弾性戻り手段40は、第1の本体26と第2の本体27との間に挟まれた、少なくとも1つの圧縮螺旋バネ43も備える。
【0092】
圧縮螺旋バネ43は、例えば衝撃緩和の螺旋バネ31と同一であり、したがってそれは第1の本体26から第2の本体27へ伝えられた力の衝撃緩和と、第2のピストン22が到達位置から開始位置へ戻るのを可能にすることと、の二重の目的を有する。
【0093】
有利には、弾性戻り手段40は、第1の本体26と第1のピストン9との間に挟まれた、少なくとも1つの戻り螺旋バネ44も備える。
【0094】
戻り螺旋バネ44は、例えば空圧チャンバ30の内側に位置されて第1のピストン9の内部肩部に対して制止する上端部と、推力ピストン部29に対して制止する下端部とを有する。
【0095】
引離し螺旋バネ41、42、圧縮螺旋バネ43、及び戻り螺旋バネ44は、それぞれのバネ力を加えるために、予め力を蓄えられる。
【0096】
戻り螺旋バネ44は、低い力(例えば3kg)を加える。
【0097】
引離し螺旋バネ41、42は、中間の力(例えば7kg)を加える。
【0098】
圧縮螺旋バネ43は、高い力(例えば10kg)を加える。
【0099】
有利には、デバイス1は抗回転手段46、47も備え、これら抗回転手段46、47は、液圧シリンダ2と第1のピストン9との間に挟まれ、第1のピストン9が主ラインB1の周りに回転するのを防止するよう適合される。
【0100】
抗回転手段46、47は、例えば、
-液圧シリンダ2または第1のピストン9の、少なくともいずれか一方に作られ、実質的に主ラインB1に平行な直線に沿って延びた、少なくとも1つのチャネル46と、
-液圧シリンダ2または第1のピストン9の、いずれか他方に取り付けられ、チャネル46に摺動可能に挿入された、少なくとも1つの係合要素47と
を備える。
【0101】
図に示される本発明の特定の実施形態によると、チャネル46は、有利にはピン要素6の外面に形成され、一方で、例えば球から成る係合要素47は、貫通穴17の内側に突出するよう、かつチャネル46に係合するように、底部キャップ15に取り付けられる。
【0102】
より詳細には、例示に示される本発明の特定の実施形態において、抗回転手段46、47は、中心軸A2の周りに120°離れた3つのチャネル46と、ステム部の軸A3の周りに同様に120°離れた貫通穴17の内側に取り付けられた、3つの係合要素47と、を備え、それによって第1のピストン9の始動中に、より大きい安定性及び精度を保証する。
【0103】
抗回転手段46、47の存在は、セルフセンタリング係止要素18及び関連の摺動ラインB2を、常に予め確立されたように方向付けるのを可能にし、それによって機械片Pの係止を、予め確立された位置に実行する。
【0104】
セルフセンタリング係止要素18と第2の本体27との間の連結も、第2の本体27が主ラインB1の周りを回転するのを防止する。
【0105】
しかし、第1の本体26は、主ラインB1の周りの回転を防止するシステムを有さないが、第1の本体26は、主ラインB1に沿って力及び運動を伝えるのみであるため、これはいかなる制限も構成しないことに、留意されたい。
【0106】
第1のピストン9及び第2のピストン22の両方は、上述のように、液圧作動液の影響によって可動である。したがって、デバイス1の様々な部品の中で液圧作動液と接触する部品には、
図3~
図5でのみ簡略化して示される、特別のガスケット48が設けられる。
【0107】
本発明の動作は以下のとおりである。
【0108】
機械部品Pを、第1のピストン9をホーム構成に配置し、かつ空洞の軸A1を中心軸A2と実質的に合致させて、加工ツールMに設置される。
【0109】
第1のピストン9は、次に空洞Cと整合されるが、下げられる。それによってヘッド部10は空洞Cの外側に設置される。
【0110】
この構成において、加工ツールMは、加工作業の第1の手順を機械部品Pに実施することができる。第1の手順は、例えば空洞Cの内面Sを研削することから成り得る。詳細には、機械部品Pが加工ツールMに到達する前に、鋳造、成形、または類似の技術によって得られ、したがって不規則な表面及び外形を有する。
【0111】
第1のピストン9がホーム構成に留まる限り、加工ツールMが実施できる、考えられる加工作業の別の例は、空洞Cを穿孔することである。
【0112】
これに関連し、機械部品Pを加工ツールMに装着するときに、空洞Cはまだ機械部品Pに存在せず、加工作業の第1の手順を実施する間に、穿孔、研磨、または他の機械加工のために使用され得ることを、理解されたい。
【0113】
加工作業における第1の手順の終わりにおいて、空洞Cは内面Sを完全に加工され、第1のピストン9はまだホーム構成にある(
図3)。
【0114】
加圧された液圧作動液を第1のチャンバ13の内側に供給した後で、作動ピストン部12は第1のピストン9の残りと共に上方に押込まれ、それによってヘッド部10を空洞Cの内側に挿入して、作業構成に到達する(
図4)。
【0115】
第1のピストン9を上げる間に、セルフセンタリング係止要素18は格納位置に残り、実際液圧作動液は、液圧チャンバ21へ移動を始める前、かつ第2のピストン22に作用する前に、第1のチャンバ13を完全に充填する。
【0116】
一旦作業構成に到達すると、液圧チャンバ21に入る液圧作動液は、第2のピストン22を、開始位置から到達位置へ押込む。
【0117】
第2のピストン22の上方の動きは、作動部23に、対応した摺動ラインB2に沿ってセルフセンタリング係止要素18をシフトさせ、格納位置から引出し位置まで動かし、そこで機械片Pの空洞Cは係止される(
図5)。
【0118】
この位置において、加工ツールMは機械部品Pに加工作業の第2の手順を実施でき、それは例えば、図示しないが、切断ディスクによってホースクランプFを切断することから成り得る。
【0119】
切断部は、例えば
図2に示される切断プレートTに作ることができる。
【0120】
セルフセンタリング係止要素18によってホースクランプFを係止することで、切断ディスクが、完全に静止された機械部品Pに、切断によって発生される振動が作業の正確な実行を損ねることなく、かつ切断ディスクを破損させることなく、切断作業を実施することを可能にする。
【0121】
一旦第2の加工手順が完了すると、デバイス1は、その当初の構成に戻る。
【0122】
この目的のため、第1のチャンバ13及び液圧チャンバ21の圧力を低下させるよう、第1のチャンバ13は、流体作動状態で出口に接続される。
【0123】
加圧流体が液圧チャンバ21の内側にない場合、弾性戻り手段40は、第2のピストン22を到達位置から開始位置へ押込み、同時にセルフセンタリング係止要素18を引出し位置から格納位置へ戻すよう定め、それによって空洞Cを解放する。
【0124】
このポイントにおいて、加圧された液圧作動液は第2のチャンバ14の中に供給され、それによって第1のピストン9を作業構成からホーム構成へ戻す。
【0125】
実際、説明した本発明は、意図した目標を実現することが判明した。
【0126】
これに関連して、上下させることができる第1のピストンを設ける特別の特徴によって、加工作業の第1の手順の間に空洞を自由にしておくこと、及び加工作業の第2の手順の間に、機械部品を空洞の内側に係止することが可能になることに、留意されたい。
【0127】
このように、機械部品を、同じ加工ツールで完全に加工することができ、先行技術の事例のように、第1のステーション及び第2のステーションで加工する必要はない。
【0128】
同じ主ラインに沿って、一方が他方の内側を動く第1のピストン及び第2のピストンを設けることの特別な特徴が、大幅に全体寸法を減少させた、拘束/係止デバイスの実現を可能にすることにも留意されたい。
【国際調査報告】