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特表2022-503693二重目的バルブ組立体を有するクロマトグラフィー・カラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-12
(54)【発明の名称】二重目的バルブ組立体を有するクロマトグラフィー・カラム
(51)【国際特許分類】
   G01N 30/56 20060101AFI20220104BHJP
   G01N 30/88 20060101ALI20220104BHJP
【FI】
G01N30/56 A
G01N30/88 E
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021513917
(86)(22)【出願日】2019-10-11
(85)【翻訳文提出日】2021-05-07
(86)【国際出願番号】 CA2019051453
(87)【国際公開番号】W WO2020073136
(87)【国際公開日】2020-04-16
(31)【優先権主張番号】62/744,212
(32)【優先日】2018-10-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521021270
【氏名又は名称】ポリアナリティク インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アブ - ロメー、アーマド
(72)【発明者】
【氏名】エビード、アメール
(57)【要約】
本発明は、二重目的バルブ組立体を用いてクロマトグラフィー・カラムを充填するための方法を開示する。二重目的バルブの主要な構成要素は、第1のアダプター212にある入口ポート224と、第1のアダプター212の空洞を通り抜け、底部端部で閉じられた中空ノズル320と、内部可動プラグ322とを含む。我々のデバイスの様々な構成要素は、移動相と分析種の分配がカラムの中央で妨げられず、それによって均一で均質な流体分配が可能となるように働く。この簡単であるが新奇の設計は、均一な流体分配、安定した充填ベッドを提供し、いかなる空隙容積も取り除き、細菌汚染/増殖を防ぐ。使いやすく、大きさを変えることができ、洗浄しやすく、コスト効率が高く、圧力などの充填条件を微調整できることが、この発明の主要な特徴である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のフィルターに隣接する第1のアダプターと、第2のフィルターに隣接する第2のアダプターと、前記第1のアダプターと前記第2のアダプターの間に配置されてベッド・スペースを画定する側壁とを有するクロマトグラフィー・カラムに用いるための二重目的バルブ組立体であって、
前記カラムの前記第1のアダプターに配置された入口ポート、及び前記カラムの前記第2のアダプターに配置された出口ポートと、
前記入口ポートに接続された中空ノズルであって、前記中空ノズルは内面及び外面を有し、前記中空ノズルは前記第1のアダプター及び隣接する第1のフィルターを通過し、前記中空ノズルは、前記第1のフィルターの上方の1つ又は複数の貫通穴の上側の組、及び前記第1のフィルターの下方の1つ又は複数の貫通穴の下側の組、並びに閉じた底部端部を有する、中空ノズルと、
前記ノズルの1つ又は複数の貫通穴の組が塞がれ、且つ前記ノズルの1つ又は複数の貫通穴の前記下側の組が開いて前記ベッド・スペースと流体連通している第1の上側の位置から、前記ノズルの1つ又は複数の貫通穴の前記上側の組が前記第1のフィルターを介して前記ベッド・スペースと流体連通し、且つ前記ノズルの1つ又は複数の貫通穴の前記下側の組が塞がれている第2の下側の位置へと動くことができる可動機構と、
前記第1のアダプターと前記ノズルとの間、前記ノズルと前記第1のフィルターとの間に配置された1つ又は複数のシール手段と
を有する二重目的バルブ組立体。
【請求項2】
前記可動機構が、前記中空ノズルの内側を往復運動するような大きさとされた可動プラグである、請求項1に記載の二重目的バルブ組立体。
【請求項3】
前記可動機構が、前記中空ノズルの外側を往復運動するような大きさとされた可動スリーブである、請求項1に記載の二重目的バルブ組立体。
【請求項4】
前記二重目的バルブ及び前記出口ポートに取り付けるホース接続スタイルの手段を有する二重目的バルブ組立体であって、前記ホース接続が、前記カラムをプロセス機器へ接続するのを容易にするために様々な様式に変えられてもよい、請求項1に記載の二重目的バルブ組立体。
【請求項5】
前記ノズルの1つ又は複数の貫通穴の前記上側の組が円形であり、且つ前記ノズルの1つ又は複数の貫通穴の前記下側の組より小さな直径を有している、請求項1に記載の二重目的バルブ組立体。
【請求項6】
前記可動機構は、工具を用いて、前記第1の上側の位置と前記第2の下側の位置との間で動かすことができる、請求項1に記載の二重目的バルブ組立体。
【請求項7】
限定するものではないが、前記ノズルの案内溝又は雌ねじと適合する前記可動機構の案内レール又は雄ねじといった、様々な異なる手段によって、前記可動機構は前記第1の位置と前記第2の位置との間で案内されることができる、請求項1に記載の二重目的バルブ組立体。
【請求項8】
前記シール手段がOリングである、請求項1に記載の二重目的バルブ組立体。
【請求項9】
第1のフィルターに隣接する第1のアダプターと、第2のフィルターに隣接する第2のアダプターと、前記第1のアダプターと前記第2のアダプターの間に配置されてベッド・スペースを画定する側壁とを有するクロマトグラフィー・カラムに用いるための二重目的バルブ組立体であって、
前記カラムの前記第1のアダプターに配置された入口ポート、及び前記カラムの前記第2のアダプターに配置された出口ポートと、
前記入口ポートに接続された中空ノズルであって、前記中空ノズルは内面及び外面を有し、前記中空ノズルは前記第1のアダプター及び隣接する第1のフィルターを通過し、前記中空ノズルは、前記第1のフィルターの上方の1つ又は複数の貫通穴の上側の組、前記第1のフィルターの下方の1つ又は複数の貫通穴の下側の組、並びに底部端部を有する、中空ノズルと、
それぞれ前記ノズルの前記内面又は前記外面に沿って軸方向に往復運動するような大きさとされた可動プラグ又はスリーブであって、前記可動プラグ又はスリーブは、前記ノズルの1つ又は複数の貫通穴の前記上側の組が塞がれ、且つ前記ノズルの1つ又は複数の貫通穴の前記下側の組が開いて前記ベッド・スペースと流体連通している第1の上側の位置と、前記ノズルの1つ又は複数の貫通穴の前記上側の組が前記第1のフィルターを介して前記ベッド・スペースと流体連通し、且つ前記ノズルの1つ又は複数の貫通穴の前記下側の組が塞がれている第2の下側の位置とから動くことができる、可動プラグ又はスリーブと、
前記第1のアダプターと前記ノズルとの間、前記ノズルと前記第1のフィルターとの間に配置された1つ又は複数のシール手段と
を有する二重目的バルブ組立体。
【請求項10】
前記可動プラグが、前記ノズルの内側を往復運動するような大きさとされている、請求項9に記載の二重目的バルブ組立体。
【請求項11】
前記可動スリーブが、前記ノズルの外側を往復運動するような大きさとされている、請求項9に記載の二重目的バルブ組立体。
【請求項12】
前記可動プラグが、前記ノズルの1つ又は複数の貫通穴の前記上側の組に対応する位置に1つ又は複数の貫通穴の組を有し、前記可動プラグが前記第2の下側の位置にあるとき、前記ノズルの1つ又は複数の貫通穴の前記組が、前記可動プラグの1つ又は複数の貫通穴の前記組と位置が合う、請求項9に記載の二重目的バルブ組立体。
【請求項13】
前記可動スリーブが1つ又は複数の貫通穴の前記組を有し、それにより、前記可動スリーブが前記上側の位置にあるとき、前記可動スリーブの1つ又は複数の前記貫通穴の組が前記第1のアダプターによって塞がれ、一方で前記ノズルの1つ又は複数の貫通穴/窓の組が開き、また前記可動スリーブが前記下側の位置にあるとき、前記可動スリーブの1つ又は複数の貫通穴の前記組が開いて、前記第1のフィルターを通して前記ベッドと流体連通し、且つ前記ノズルの1つ又は複数の貫通穴/窓の前記組が塞がれる、請求項9に記載の二重目的バルブ組立体。
【請求項14】
側壁と、
互いに対向して配置され、且つ前記側壁によって隔てられた、軸方向に離れた第1及び第2のアダプターと、
前記第1のアダプターに隣接した第1のフィルター、及び前記第2のアダプターに隣接した第2のフィルターであって、前記第1及び第2のフィルターは、粒状媒体のベッドを内部に含むための閉鎖ベッド・スペースを前記側壁とともに画定する、第1及び第2のフィルターと、
前記第1のアダプターに配置された入口ポートと、
前記第2のアダプターに配置され、分析種を捕集するように構成された出口ポートと、
前記入口ポートに接続された中空ノズルであって、前記中空ノズルは内面及び外面を有し、前記中空ノズルは前記第1のアダプター及び前記第1のフィルターを通過し、前記中空ノズルは、前記第1のフィルターの上方の1つ又は複数の貫通穴の上側の組、及び前記第1のフィルターの下方の1つ又は複数の貫通穴の下側の組、並びに閉じた底部端部を有する、中空ノズルと、
前記ノズルの前記内面又は前記外面に沿って軸方向に往復運動するような大きさとされた可動機構であって、前記可動機構は、前記ノズルの1つ又は複数の貫通穴の前記上側の組が塞がれ、且つ前記ノズルの1つ又は複数の貫通穴の前記下側の組が開いて前記ベッド・スペースと流体連通している第1の上側の位置と、前記ノズルの1つ又は複数の貫通穴の前記上側の組が前記第1のフィルターを介して前記ベッド・スペースと流体連通し、且つ前記ノズルの1つ又は複数の貫通穴の前記下側の組が塞がれている第2の下側の位置とから動くことができる、可動機構と、
前記第1のアダプターと前記ノズルとの間、前記ノズルと前記第1のフィルターとの間に配置された1つ又は複数のシール手段と
を有するクロマトグラフィー・カラム。
【請求項15】
前記機構が、前記ノズルの1つ又は複数の貫通穴の前記上側の組に対応する位置に1つ又は複数の貫通穴の組を有し、前記可動機構が前記第2の下側の位置にあるとき、前記ノズルの1つ又は複数の貫通穴の前記組が、前記可動機構の1つ又は複数の貫通穴の前記組と位置が合う、請求項14に記載のクロマトグラフィー・カラム。
【請求項16】
前記可動機構が、前記ノズルの内側を往復運動するような大きさとされたプラグである、請求項15に記載のクロマトグラフィー・カラム。
【請求項17】
前記可動機構が、前記ノズルの外側を往復運動するような大きさとされたスリーブである、請求項15に記載のクロマトグラフィー・カラム。
【請求項18】
前記シール手段がOリングである、請求項14に記載のクロマトグラフィー・カラム。
【請求項19】
粒状のクロマトグラフィー樹脂で充填された、請求項1に記載の二重目的バルブ組立体を有する予充填クロマトグラフィー・カラム。
【請求項20】
多成分化学物質及び生物学的混合物から、化学物質、タンパク質、抗体、ペプチド、及び核酸から選ばれる1つ又は複数の成分を分離するための、請求項19に記載の予充填クロマトグラフィー・カラムの使用。
【請求項21】
多成分化学物質及び生物学的物質から、化学物質、タンパク質、抗体、ペプチド、及び核酸から選ばれる1つ又は複数の成分を分離するための、請求項1に記載の二重目的バルブ組立体を有するクロマトグラフィー・カラムの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は一般に、クロマトグラフィー・カラムに関し、より詳細には、二重目的(dual-purpose)バルブ組立体を用いてクロマトグラフィー・カラムを充填すること、並びにその使用及び製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
クロマトグラフィーは、多成分化学物質及び生物学的混合物から1つ又は複数の成分を分離するための確立した有益な技術であり、研究及び産業において広く使用され、化合物の調製、精製、及び分析において多くの用途が見出されている。クロマトグラフィーには様々な形態があり、カラム・クロマトグラフィーは、化学、製薬、及び生物学の業界においては、化学物質、タンパク質、抗体、ペプチド、及び核酸の調製、精製、及び特性分析のために特に重要である。
【0003】
カラム・クロマトグラフィーは、「充填媒体」又は「樹脂」の固定「充填ベッド」が剛性管内に入れられた、分離及び/又は精製技術に関する。充填媒体は、固体(「固定相」)の粒子又は液体固定相でコーティングされた固体担体材料の粒子の形態とすることができる。
【0004】
クロマトグラフィー・カラムの主な構成要素には、金属又はガラス又は剛性の高いプラスチック材料から作られることが多いカラム容器と、上下のキャップ(アダプター)と、一対の流れ分配器とが含まれ、流れ分配器は、典型的には、カラム容器の2つの端部に挿入されて、両流れ分配器の間の容器内に充填媒体が装填される空間又はチャンバを形成する。
【0005】
クロマトグラフィー・カラムの管状本体は、固定された下側キャップと動くことができる上側キャップとの間に充填媒体を取り囲んで鉛直方向に向けられることが多い。通常、樹脂粒子の粒状充填媒体は、懸濁されてスラリーを形成することが多く、次いで、これはカラムに送り込まれ、注入され、又は吸い込まれる。充填媒体は典型的には、開いたカラムの上端部を通じてカラムに導入されて、沈降、流れ充填(flow packing)、軸方向圧縮、又はこれらの組合せによって充填ベッドを形成する。
【0006】
カラムが充填媒体で満たされた後、カラムからすべての空気を取り除くために上側のキャップが定位置に固定されることが好ましい。分離される「分析種」化合物又は分子を含むキャリア液体「移動相/溶離液」は入口ポートを通って入る。入口ポートはカラムの頂部にあることが多く、分析種(analyte)は通常、スクリーン、メッシュ、又はフリットなど、多孔性の穴のあいた「フィルター」を通過する。フィルターは、樹脂が漏れて入口又は出口ポートを通らないようにし、液体移動相又は分析種だけが通過できるように、充填ベッドのための支持体として働く。分析種は、充填媒体のベッドの中を移動して、カラムの基部にあることが多い出口ポートを経て、第2のフィルター、スクリーン、メッシュ、又はフリットを通って取り出される。
【0007】
溶解した分析種が移動相とともにカラムを通過すると、分析種内の異なる化合物は、固定相と異なる様式で結びつくことができ、その結果、これらの化合物は移動相に対して吸着されて異なる速度でカラムの中を移動する。したがって、固定相とより強く結びつく化合物は、より弱く結びつく化合物よりもカラム内をゆっくりと移動し、カラムを通過して出るときに、この速度差によって化合物が互いから分離される。異なる結びつきを促進する固定相の特徴には、限定するものではないが、イオン電荷(イオン交換クロマトグラフィー)、疎水性(疎水性相互作用クロマトグラフィー及び逆相クロマトグラフィー)、及び多孔性(サイズ排除クロマトグラフィー)が含まれる。
【0008】
アフィニティー・クロマトグラフィーとして知られているさらに別のタイプのカラム・クロマトグラフィーでは、充填媒体は、溶解した分析種内の特定の分子立体構造を認識して1つ又は複数の所望の化合物又は分子に結合する抗原、抗体、又はリガンドなどの結合剤を含む。したがって、溶解した分析種が充填媒体の中を流れると、所望の化合物又は分子のみがカラムに留まる。続いて、分子認識を断絶する異なる移動相を充填媒体内に流すと、充填媒体に付着した結合剤から所望の化合物又は分子が分離される、又は充填媒体から結合剤が分離される。所望の化合物又は分子は、カラムからすすぎ出されて溶離流体中に捕集される。アフィニティー・クロマトグラフィーは、核酸の精製、無細胞抽出物からのタンパク質の精製、及び血液からの精製を含む様々な用途に使用することができる。
【0009】
クロマトグラフィー・カラムを用いるとき、混合物の分離を成功させるために重要となるカラムの物理的な姿勢及び樹脂ベッドの充填において多くの要因がある。典型的には、カラムの直径は、分析種の量に対応して選ばれ、カラムの長さは、分離の難しさ及び樹脂のタイプ、並びに樹脂自体又は装置の圧力限界に依存する。充填媒体又は樹脂は、分析種内の分子又は化合物と相互作用する官能基で選択される、又はサイズ排除クロマトグラフィーとしても知られているゲル排除クロマトグラフィー(GPC:gel exclusion chromatography/SEC:size exclusion chromatography)の場合には、分析される分析種のより小さな部分を保持することができる十分な大きさの細孔を有する官能基で選択される。
【0010】
うまく充填されていないベッドは、不規則な流れ及びバンド幅の拡大をもたらし、両方とも、悪い又は無効な分離を生じさせるので、カラム充填は重要なステップである。クロマトグラフィー・カラム・ベッドを充填する一般的な方法は2つある。1つは、乾燥した固体相充填媒体/樹脂がカラムに導入され、充填バッファーが媒体を水和するために高流速で使用される乾式充填法である。2番目の手法は、充填バッファーが乾燥媒体と混合されて樹脂スラリーを形成し、次いで、樹脂のタイプに適した特定の圧力でカラムに導入される湿式充填法である。これに続いて、充填ベッド内の均一な軸方向圧力を維持するために、軸方向圧縮のステップを行うことができる。
【0011】
媒体が一様に充填され、充填ベッドに空気溜まり又は不規則なところがないことが重要である。軸方向及び横方向両方に均質な充填は、分析種と充填媒体との接触を最大限にし、その結果、効果的な分離になる。異なるタイプの樹脂は異なる圧縮性を有する。したがって、密に充填されたベッドにするために、樹脂は、充填媒体に適する特定の圧力で充填されなければならず、その圧力は、充填を安定したままにするためにベッド全体にわたって一定にしなければならない。
【0012】
カラムに充填するとき、小さな空間又は空隙が、流れ分配器の外縁及びカラムの内壁を含む様々な場所に生じる可能性がある。この空隙空間は、移動相がそこに達しないとき、いわゆる「デッド・ゾーン」又は「デッド・スペース」を生成し、流体及び汚染物はカラム管内の媒体を通って流れずに、これらのゾーン又はスペースに入って、捕捉されて淀んでしまう可能性がある。さらに、このようなデッド・ゾーンは、カラムの充填後に、又はカラムを再使用するときに洗浄サイクルで洗浄することが難しいので、汚染及び細菌増殖されやすい。
【0013】
カラムが充填されると、分離される分析種がカラムに導入される。特に、クロマトグラフィー・カラムの断面が大きくなるにつれて、効果的な分離のためには分析種を均一に分配することが重要である。クロマトグラフ分離の効率は、充填ベッドの流体入口及び出口における液体分配捕集システムに依存する。溶離液/移動相が、充填媒体の頂部の表面全体にわたって均一に導入され、充填ベッドの断面全体にわたって同じ速度で充填材を通って流れ、充填ベッドの底部によって画定される平面において均一に取り除かれることが理想的である。
【0014】
使い捨てカラムは、使い捨てでないカラムでは必要となる取付け及び特性確認作業を低減するためのクロマトグラフィー媒体の事前組立により特徴付けられる。最低限、この事前組立には樹脂のベッドの形成(事前充填)が含まれる。さらに、前処理として、微生物的負荷の低減、滅菌、発熱物質除去などが含まれることがある。使い捨てカラムは単一回使用のカラムとして使用されてもよく、これは、ユーザーが繰返し使用の前に充填ベッドの特性確認(例えば試験、確認検査、など)を必要とする清浄化操作を実施しないことを意味する。したがって、単一回使用は、同じ条件で動作させることを意味することができる。
【0015】
使い捨てカラムは限定された時間での使用を意図されるので、コスト効率が高く製作が簡単であるが、再使用可能なカラムと同じ頑丈さと機能的完全性を保つ部品から作られることが重要である。充填の均質性、充填ベッドの安定性、いかなるデッド・ゾーンも存在しないこと、及び分析種の適正な分配などの要因が関連し、重要となる。さらに、再現性及び効率的なカラム充填プロセス/方法を有し、充填ベッドが、出荷及び操作時に安定で無菌のままであることが重要である。
【0016】
上記の望ましい要因に合致するように試みた多くのカラムが設計され製造された。下に実例を提供する。
【0017】
米国特許第10,188、964(B2)号(Repligen Corporation)には、プラスチック/熱可塑性又は合成材料(例えば、ポリプロピレン(PP:polypropylene)、ポリエチレン(PE:polyethylene)、ポリアミド、アセタール、又はガラス繊維プラスチックなどのガラス充填プラスチック)からのクロマトグラフィー・カラム管の製造が開示されている。2つの流れ分配器の少なくとも一方を緊密な締り嵌め又はプレス嵌めでカラム管内に固定すると、その結果、プレス嵌めされた流れ分配器の周りのデッド・ゾーンが少なく又はデッド・ゾーンがなく、無限に調整可能な充填媒体体積を有するクロマトグラフィー・カラムが得られる。
【0018】
この設計は、予め充填された使い捨てカラムを作るために使用される。しかしながら、これに対応する材料及び製造のコストは高い。また、カラムは、一端に固定されたアダプター/キャップを有する最終的なカラムの長さの倍の長さの長い管から始まる。次いで、カラムは樹脂スラリーで満たされ、上部アダプターが配置され、最終的なカラムの「ベッド高さ」に達するまで特殊な機器を用いて管の中に圧縮される。次いで、カラムの性能が試験され、必要ならば、アダプターがさらに圧縮されることがあるが、カラムを損傷させることなく圧縮前に戻すことはできない。試験結果が良ければ、カラムの壁を含む管の余分な長さは切断され、頂部アダプターは管に溶接される。
【0019】
米国特許第6,565,745号(Isco)には、新規な使い捨てクロマトグラフィー・カラムの調製が開示されている。これらの使い捨てカラムは、安価なプラスチックで製造され、容易に組み立てられるように設計されている。カラムの一端のキャップは成形された管の一部であり、カラムの本体は開放端を通じて所望の充填材で満たされ、次いで、開放端は簡単な直線運動で蓋をされ、ディテント及びカンチレバーによってキャップを閉じたままにしてスナップ力に対抗するように緊密な嵌合でシールされる。さらに、分析種を半径方向に分配するための一体チャネルは、成形されたキャップの一部である。
【0020】
この設計のカラムは、乾式充填法を用いた充填だけが可能であり、非常に時間がかかり、充填の再現性が低い。また、カンチレバー及びディテントを用いるスナップ嵌めキャップでは、スナップ・キャップの移動距離が予め決められており、圧縮距離の柔軟性が非常に低い。
【0021】
さらに、エンド・キャップは管の成形部分であるので、ハードウェアの製造は使い捨てカラムにとっては費用がかる。さらに、異なる樹脂は異なるベッド高さが必要となることが分かっており、このカラム設計では、同じ内径でもベッド高さが異なるカラムを作るのは非常に費用がかかる。また、分析種を半径方向に分配するための入口キャップの一体チャネルは、成形品(キャップと管)の一部であり、それは作るのに費用がかかる。
【0022】
さらに、フィルターは、充填ベッドによって定位置に保持されているだけで、フィルターと管本体との間にはシールがなく、樹脂が漏れる可能性がある。また、カラムが高流速で動作している場合、フィルターがずれる又は傾く可能性がある。
【0023】
上側のアダプター/キャップに配置されたバルブを用いてカラムを充填することができることは、組立中にカラムを充填することを可能にする。これは、予め充填された使い捨てカラム及び再使用可能なカラムの両方にとって重要な、無菌状態でのカラムの充填を含む多くの利点を提供する。さらに、これは、充填媒体/樹脂に適した所望の充填圧力で均質に充填されたベッドの形成を可能にする。さらに、カラムは、高価な装置を用いる必要なく、蠕動ポンプなどの普通の圧力ポンプを用いて充填することができる。
【0024】
米国特許第5,902,485号(Amersham Pharmacia Biotech)には、クロマトグラフィー・カラムに出入りする流体の流れを制御するのに適するアクセス・バルブが開示されている。このバルブは、好ましくはバレル内のスプール・バルブとして働くヘッドを有する中央の軸方向に動くことができるプローブによって代表される、相対的に動くことができるバルブ要素を有する。プローブの軸方向の動きは、プローブを通って延在する第1の導管、及びプローブの周りに画定された第2の導管の両方がカラム内部に通じている全開状態と、プローブのシール構成要素が第2の導管を閉じる部分開状態との間でバルブを調節する。また、プローブがさらに軸方向に動くと、両方の導管が閉じられる全閉位置になる。部分開位置は、クロマトグラフィー媒体をカラムに充填するために有用であり、一方、第3の位置はクロマトグラフィー媒体を抜き取るのに便利である。バルブが閉じているとき、第1の導管と第2の導管とは、カラムが動作している間にバルブ内部を洗浄することができるように、互いに連通する。
【0025】
このアクセス・バルブは性能的及び技術的利点を提供するが、複雑な設計であり、特に使い捨てカラムにとっては製作に費用がかかる。これは、多くの可動部分があり、したがって多くのシールがあり、経時的に漏れが生じる可能性がある。バルブは壁の頂部の下方にあり、したがって動くことができず、ベッド高さは、頂部バルブと底部バルブ内に制限される。さらに、カラムを充填してプローブを引っ込めた後、ベッドを不安定にする、又は細菌増殖を促進する可能性がある空隙領域がある。また、移動相入口は、流れを対称に分配するために、流れを中央オリフィスの周りを環状に送出するが、カラムの中央に流れが行かず、それは、分析種の均質でない分配をもたらす。
【0026】
米国特許第8,585、894(GE Healthcare)には、カラムに供給されるクロマトグラフィー媒体スラリーが通るノズル管を備えるノズル組立体が開示されている。本発明によれば、前記ノズル組立体は、第1の端部でピボット・アームに接続されたピボットをさらに備え、ノズル先端が少なくとも2つの異なるノズル先端係止位置に調節されるように、前記ピボットは少なくとも2つの異なる係止位置に枢動することができる。このノズルは、分析種をカラムの中に充填、抜取り、及び流すためにクロマトグラフィー・カラムとともに用いることができる。したがって、これは、カラムが抜き取られ再充填される再使用可能なカラム用に設計されている。カラムは、分析種のための別個の入口を有し、これはある角度に向けられ、それは、分析種の均質でない分配をもたらす可能性がある。さらに、可動の充填/抜取り中央先端では、カラムの中央は分析種が出入りすることができない。しかしながら、ノズル先端は、充填後に引っ込むと、空隙領域を生成する。また、可動ノズル先端が多くのOリングを含むことによって、バルブはシール不良を起こして漏れが生じやすくなる。さらに、別個の充填/抜取りノズル管は、充填後に逆流させることができないので洗浄することが難しい。
【0027】
米国特許出願公開第2008/0017579(A1)号(GE Healthcare)には、予め充填された使い捨てカラムに組み込まれたスラリー充填バルブを有するカラムが開示されている。この発明は、移動相用の第1のポート、及び充填ベッド全体に均質に流体を分配するための横方向流体分配チャネルを備えるカラムを開示した。第1のポートは、その間に通路を有する入口と出口とを備え、出口は、流体分配チャネルに対して非対称な配置を有する。
【0028】
この形態では、カラムにスラリーを導入するために、バルブとノズルとから構成された中央ポートがある。ノズルは、樹脂スラリーを送り出した後に引っ込まされ、それによって、カラムにデッド・スペースが残る。また、充填バルブは、逆流させることができないので、樹脂スラリーを送り出した後に洗浄することは難しく、潜在的に細菌汚染の環境になる。さらに、ある角度に向けられて、分析種をカラムの中央には導入しない異なるポートを経て、分析種はカラムに導入される。カラムの中央領域を占めるスラリー・バルブでは、分析種はカラムの中央に達せず、分析種の分配は効果的/均質ではなく、分配器の効率を下げる。さらに、複数のポートの存在は細菌汚染の可能性を高める。最後に、軸方向の圧縮は外部の機構によって行われ、それは高コストで、あるカラムと別のカラムとで再現可能な充填ができない。
【0029】
米国特許第8,377、296号(GE Healthcare)は、上の特許出願(米国特許出願公開第2008/0017579号)に記載された発明に対する改良を組み込んでいる。この改良は、樹脂バルブによって塞がれる領域を減らすためにチャネルを有するフィルター/フリット・ホルダー・ブラケットに関する。しかしながら、この改良はいくつかの欠点を有し、主に、樹脂粒子がまだ、ホルダー・ブラケットのチャネルに入ることができるという欠点がある。さらに、フィルター/フリットが、粒子がその上の領域に達することを防ぐ一方、粒子はまだフィルター/フリットの周りを通ることができる。また、この設計は、ホルダー・ブラケットのチャネルに多くの粒子を押し込め、したがってそれらを塞ぐので、カラムが上昇流で動作することを制限する。
【0030】
欧州特許第2081660号(GE Healthcare)には、ハウジングの側壁によって隔てられた、軸方向に離れた2つの対向するエンド・ユニットを備える軸方向流れクロマトグラフィー・カラムが開示されている。フィルターは各エンド・ユニットに隣接している。これらのフィルターは、粒状媒体のベッドを入れるための、囲まれたベッド・スペースを側壁とともに画定する。各エンド・ユニットは、ベッド・スペースに液体を加える、又はベッド・スペースから液体を取り出すために、囲まれたベッド・スペースと流体連通しているポートを備える。好ましい実施例では、2つのポートは、ベッド・スペースと同じ高さ又はベッド・スペースより高い高さにある。
【0031】
欧州特許第2081659号(GE Healthcare)には、横方向流体分配チャネルに隣接した、又は横方向流体分配チャネルを備えるエンド・ユニットのポートを備える軸方向流れクロマトグラフィー・カラムが開示されている。ポートは、入口と、通路を有する単一の出口とを備える。単一の出口は、流体分配チャネルと直接流体接続している。出口は、流体分配チャネルに対して非対称な配置を有し、第1のポートは、バルブ手段構造体と相互接続されないように配置される。
【0032】
米国特許第6,576,124号(Amersham Pharmacia Biotech)には、カラムの一端の中央入口から流入する流体を半径方向に分配するために、及び、その後、カラムの反対側の端部の中央出口から出力するために流体を半径方向に捕集するために使用されるエンド・セルから媒体が漏れることを防ぐ網を含むクロマトグラフィー・カラムが開示されている。網及び/又はベッド支持体は、カラム・エンド・プレートを通って突出する網保持手段、好ましくはスリーブに、及び/又は、周方向の網保持リングに一体的に接合される。保持手段は、バルブ・ブロックによって定位置に保持されるが、バルブ・ブロックに対して自由に回転することができる。
【0033】
米国特許第6,942、794号(Millipore Corp)には、充填ベッドに対する露出された分配器の表面の比が高く、最小の圧力降下で高速の流れに耐えることができるクロマトグラフィー・カラム用の流れ分配器が開示されている。カラムは、頂面及び底面と、流れ分配器を通って延在する入口、及びベッド支持体が固定された底面と、流れ分配器の外周でその底面に隣接して流れ分配器に固定されたベッド支持体と、入口の上に配置され、流れ分配器の底面の面積の1~30%にわたって延在する分配ディスクとを備える。
【0034】
カラム・クロマトグラフィーの分野での研究開発のすべて、及び多くの提案された発明/製品にもかかわらず、分析種を適用しながら、均質な樹脂充填及び均一な分配を可能にする、効果的であるが、簡単でコスト効率の高い充填方法に対する必要性がある。特に、充填カラムにおいては、主な課題としては、特定の圧力でベッドを充填し、粒子を圧縮された状態に保つこと、空隙空間のない均一なベッドを達成すること、及び充填ベッド全体にわたる分析種の均質な分配を得ることが含まれる。また、スラリー充填バルブを用いるカラムの場合、いかなる空隙容積も形成せず、分析種の分配を妨げない、洗浄が簡単で容易なバルブ設計が必要とされる。上記に加えて、予め充填された使い捨てカラムに対しては、バルブ、カラムのハードウェアの他の構成要素、及び充填方法は、再使用可能なカラムと同じ機能的完全性を提供する、実行可能で頑丈なカラムを生成しなければならない。
【0035】
参照されるすべての文書の内容は、あらゆる目的でその全体が参照によって本明細書に援用される。
【0036】
定義
「分析種」とは、天然又は合成起源の物質、化合物、又は化学物質、或いはそれらの反応生成物又は誘導体又は代謝物として定義されるものとする。疑念を回避するために、この用語はタンパク質、ペプチド、アミノ酸、及び核酸などの生物学的分子、並びに薬剤及び/又はプロドラッグなどの合成分子を包含するものとする。
【0037】
「移動相」/「溶離液」とは、クロマトグラフィー・カラムを通って流れ、カラムを通る分析種を運ぶキャリア液体である。
【0038】
「樹脂」/「充填媒体」とは、カラムに充填される粒子と定義する。
【0039】
「樹脂スラリー」とは、カラムに充填材を送り込む又は注入するときに樹脂が成す形態である。
【0040】
「充填ベッド」とは、クロマトグラフィー・カラム内の樹脂粒子の構成体であり、定位置に安定して保持するために、通常、樹脂粒子及び動作条件に適切な特定の圧力で圧縮されている。
【0041】
「充填バッファー」とは、充填ベッド・スペースに送り込まれ、吸い込まれ、又は注入されて充填ベッドを形成する樹脂スラリーを形成するために、樹脂と混合される液体である。
【0042】
「ベッド高さ」とは、充填ベッドがクロマトグラフィー・カラムに占める鉛直方向の距離であり、通常、上下の多孔性フィルター/フリットの間の距離として定義される。
【0043】
「分配チャネル」とは、断面ゾーンからクロマトグラフィー媒体の充填ベッド用のエンクロージャー又はベッド・スペースに流体を導入するときに通る構造体をいう。
【0044】
「デッド・ゾーン」/「デッド・スペース」とは、移動相が到達することができない溜まり容積であり、洗浄することが難しく、その結果、潜在的に細菌汚染/細菌増殖を生じさせる。
【0045】
「使い捨てカラム」は、使い捨てでないカラムでは必要となる取付け及び特性確認作業を低減するためのクロマトグラフィー媒体の前処理/事前組立によって特徴付けられる。最低限、この前処理には樹脂のベッドの形成が含まれる。さらなる前処理は、微生物的負荷の低減、滅菌、発熱物質除去などとすることができる。
【0046】
使い捨てカラムは単一回使用のカラムとして使用されてもよく、これは、ユーザーが繰返し使用する前に充填ベッドの特性確認(例えば試験、確認検査、など)を必要とする清浄化操作を実施しないことを意味する。単一回使用は、同じクロマトグラフィー条件での動作行為を含むことができる。使い捨てカラムの一実施例は、クロマトグラフィー媒体で予め充填されて供給される完成したカラムである。
【0047】
「フィルター」とは、充填ベッドの樹脂粒子よりも小さな細孔又はチャネルを有するメッシュ、網、フリット、又はその他などの構造体をいう。「フィルター」は、充填ベッドのための支持体として働き、樹脂粒子がカラムの上側ポート又は下側ポートを通って漏れることを防ぐ。
【0048】
「可動機構」とは、移動相、典型的には樹脂又は分析種の流れを妨げる手段をいう。この機構は、カラムを充填して動作させるために用いられるノズルの内側を軸方向に上下するような大きさのプラグを含む多くの形態をとることができる。この機構はまた、ノズルの内側又は外側を軸方向に上下するような大きさのスリーブとすることができる。プラグ又はスリーブは、ノズルの穴に対応する位置に穴を有してもよい。
【0049】
「シール手段」とは、液体又は樹脂が、隣接する部分の間の空間を通ってある領域を出ることを防ぐ方法をいう。シールは、ガスケット、Oリング、Xリング、又はその他を付け加えることによって達成することができる。シール手段はまた、部品を定位置に保持し、部品が動いたり、ずれたり、又は偏ったりすることを防ぐために支持体として働くこともできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0050】
【特許文献1】米国特許第10,188、964(B2)号
【特許文献2】米国特許第6,565,745号
【特許文献3】米国特許第5,902,485号
【特許文献4】米国特許第8,585、894
【特許文献5】米国特許出願公開第2008/0017579(A1)号
【特許文献6】米国特許第8,377、296号
【特許文献7】欧州特許第2081660号
【特許文献8】欧州特許第2081659号
【特許文献9】米国特許第6,576,124号
【特許文献10】米国特許第6,942、794号
【特許文献11】米国特許第6,524,484(B2)号
【発明の概要】
【0051】
本発明の態様によれば、二重目的バルブ組立体を有するクロマトグラフィー・カラムが提供される。
【0052】
本発明の実施例によれば、クロマトグラフィー・カラムに用いるための二重目的バルブ組立体が提供され、前記カラムは、第1のフィルターに隣接する第1のアダプターと、第2のフィルターに隣接する第2のアダプターと、第1のアダプターと第2のアダプターとの間に配置されてベッド・スペースを画定する側壁とを有し、前記組立体は、前記カラムの第1のアダプターに配置された入口ポート、及び前記カラムの第2のアダプターに配置された出口ポートと、中空ノズルであって、入口ポートに接続され、内面及び外面を有し、第1のアダプターを通り抜け、第1のフィルターに隣接し、第1のフィルターの上方に1つ又は複数の貫通穴の上側の組、及び第1のフィルターの下方に1つ又は複数の貫通穴の下側の組を有し、閉じた底部端部を有する中空ノズルと、ノズルの1つ又は複数の貫通穴の組が塞がれ、ノズルの1つ又は複数の貫通穴の前記下側の組が開いてベッド・スペースと流体連通している第1の上側の位置から、ノズルの1つ又は複数の貫通穴の上側の組が第1のフィルターを介してベッド・スペースと流体連通しており、ノズルの1つ又は複数の貫通穴の下側の組が塞がれている第2の下側の位置に動くことができる可動機構と、第1のアダプターとノズルとの間、ノズルと第1のフィルターとの間に配置された1つ又は複数のシール手段とを備える。
【0053】
本発明の追加の実施例によれば、クロマトグラフィー・カラムに用いるための二重目的バルブ組立体が提供され、前記カラムは、第1のフィルターに隣接する第1のアダプターと、第2のフィルターに隣接する第2のアダプターと、第1のアダプターと第2のアダプターとの間に配置されてベッド・スペースを画定する側壁とを有し、前記組立体は、前記カラムの第1のアダプターに配置された入口ポート、及び前記カラムの第2のアダプターに配置された出口ポートと、中空ノズルであって、入口ポートに接続され、内面及び外面を有し、第1のアダプターを通り抜け、第1のフィルターに隣接し、第1のフィルターの上方に1つ又は複数の貫通穴の上側の組、及び第1のフィルターの下方に1つ又は複数の貫通穴の下側の組を有し、閉じた底部端部を有する中空ノズルと、それぞれが、ノズルの内面又は外面に沿って軸方向に往復運動するための大きさの可動プラグ又はスリーブであって、ノズルの1つ又は複数の貫通穴の上側の組が塞がれ、ノズルの1つ又は複数の貫通穴の前記下側の組が開いてベッド・スペースと流体連通している第1の上側の位置、及びノズルの1つ又は複数の貫通穴の上側の組が第1のフィルターを介してベッド・スペースと流体連通しており、ノズルの1つ又は複数の貫通穴の下側の組が塞がれている第2の下側の位置から動くことができる可動プラグ又はスリーブと、第1のアダプターとノズルとの間、ノズルと第1のフィルターとの間に配置された1つ又は複数のシール手段とを備える。
【0054】
本発明の追加の実施例によれば、側壁と、互いに対向して配置され、前記側壁によって隔てられた、軸方向に離れた第1及び第2のアダプターと、前記第1のアダプターに隣接した第1のフィルター、及び前記第2のアダプターに隣接した第2のフィルターであって、粒状媒体のベッドを内部に入れるための、囲まれたベッド・スペースを側壁とともに画定する第1及び第2のフィルターと、第1のアダプターに配置された入口ポートと、第2のアダプターに配置され、分析種を捕集するように構成された出口ポートと、中空ノズルであって、入口ポートに接続され、内面及び外面を有し、第1のアダプター及び第1のフィルターを通り抜け、第1のフィルターの上方に1つ又は複数の貫通穴の上側の組、及び第1のフィルターの下方に1つ又は複数の貫通穴の下側の組を有し、閉じた底部端部を有する中空ノズルと、ノズルの内面又は外面に沿って軸方向に往復運動するための大きさの可動機構であって、ノズルの1つ又は複数の貫通穴の上側の組が塞がれ、ノズルの1つ又は複数の貫通穴の下側の組が開いてベッド・スペースと流体連通している第1の上側の位置、及びノズルの1つ又は複数の貫通穴の上側の組が第1のフィルターを介してベッド・スペースと流体連通しており、ノズルの1つ又は複数の貫通穴の下側の組が塞がれている第2の下側の位置から動くことができる可動機構と、第1のアダプターとノズルとの間、ノズルと第1のフィルターとの間に配置された1つ又は複数のシール手段とを備えるクロマトグラフィー・カラムが提供される。
【0055】
本発明のさらなる実施例によれば、ノズルの1つ又は複数の貫通穴の上側の組に対応する位置に1つ又は複数の貫通穴の組を有する可動プラグが提供され、可動プラグが第2の下側の位置にあるとき、ノズルの1つ又は複数の貫通穴の組が、可動プラグの1つ又は複数の貫通穴の組と位置が合う。
【0056】
本発明のさらなる実施例によれば、可動スリーブが上側の位置にあるとき、可動スリーブの1つ又は複数の貫通穴の組が第1のアダプターによって塞がれ、一方、ノズルの1つ又は複数の貫通穴/窓の組が開いており、可動スリーブが下側の位置にあるとき、可動スリーブの1つ又は複数の貫通穴の組が開いて、第1のフィルターを通じてベッドと流体連通しており、ノズルの1つ又は複数の貫通穴/窓の組が塞がれるように、1つ又は複数の貫通穴の組を有する可動スリーブが提供される。
【0057】
本発明のさらなる実施例によれば、本明細書に記載の二重目的バルブ組立体を備えるクロマトグラフィー・カラムの使用が提供される。
【0058】
本発明のさらなる実施例によれば、本明細書に記載の二重目的バルブ組立体を備える予め充填されたクロマトグラフィー・カラムが提供される。
【0059】
本発明のさらに追加の実施例によれば、本明細書に記載の二重目的バルブ組立体を備えるクロマトグラフィー・カラムを充填する方法が提供される。
【0060】
本発明のさらに追加の実施例によれば、本明細書に記載の二重目的バルブ組立体を備えるクロマトグラフィー・カラムを製造する方法が提供される。
【0061】
次に提供される図面の簡単な説明の図面を参照して様々な実施例及び/又は態様が詳細に説明されることを考えると、本開示の前述及び追加の態様及び実施例は当業者にとっては明らかであろう。
【0062】
本開示の前述及び他の利点は、以下の詳細な説明を読み、図面を参照すれば明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0063】
図1】従来技術の米国特許出願公開第2008/0017579(A1)号で知られているようなクロマトグラフィー・カラムの長手方向断面を示す三次元概略図である。
図2A】本発明の実施例のクロマトグラフィー・カラムの三次元概略図である。
図2B】入口及び出口ポートの変形を有する本発明の実施例のクロマトグラフィー・カラムの三次元概略図である。
図2C】入口及び出口ポートの別の変形を有する本発明の実施例のクロマトグラフィー・カラムの三次元概略図である。
図3】本発明の実施例のクロマトグラフィー・カラムの長手方向断面図である。
図4】クロマトグラフィー・カラムに嵌めた本発明の実施例の二重目的バルブの長手方向断面図である。
図5】本発明の実施例の二重目的バルブの概略図である。
図6A】本発明の実施例の二重目的バルブ・ノズルの変形の長手方向断面図である。
図6B】本発明の実施例の二重目的バルブ・ノズルの変形の長手方向断面図である。
図6C】本発明の実施例の二重目的バルブ・ノズルの変形の長手方向断面図である。
図6D】本発明の実施例の二重目的バルブ・ノズルの変形の長手方向断面図である。
図7】本発明の実施例の二重目的バルブを有するクロマトグラフィー・カラムでの圧力-流速試験曲線である。
【発明を実施するための形態】
【0064】
本開示は、様々な修正及び代替の形態を受け入れることができるが、本明細書では、特定の実施例又は実施態様を図面に実例として示して詳細に説明する。しかしながら、本開示は、開示される特定の形態に限定することを意図したものではないことを理解すべきである。むしろ、本開示は、添付の請求項によって規定される本発明の精神と範囲の中にあるすべての修正物、均等物、代替物を包含するものである。
【0065】
図1は、従来技術(米国特許出願公開第2008/0017579(A1)号)によるカラムの概略断面図を示す。カラム101は管状ハウジング111を備え、管状ハウジング111は、テンション・ロッド114によって第1のエンド・ユニット112及び第2のエンド・ユニット113に固定され、したがってベッド・スペース109を画定する。ハウジング111及びエンド・ユニット112、113は、典型的にはステンレス鋼又はポリプロピレンなどの高強度プラスチック材料から構成される。ヘッド116を有するテンション・ロッド114は、エンド・ユニット112、113を側壁111に固定して、高い作動圧力に耐えることができる流体密封ベッド・スペース109を形成する。
【0066】
カラムは、バルブ手段120を通じてスラリーの形態の粒状媒体を充填することができ、バルブ手段120は中央孔121、及び内部に通路を有する長手方向部材122、並びにノズル124を含んでいる。図1では、ノズル124は引っ込められた位置に示されているが、カラムの充填を容易にするためにベッド・スペース109内の位置に移動される。しかしながら、カラムが充填物で充填された後、ノズルは閉位置に引っ込められ、それによって、カラムの頂部に空隙容積が生成される。空隙容積は、樹脂粒子が動き回って充填ベッドの均一性を乱すことがあるので、充填ベッド内に不安定性を生じさせるので充填ベッドにとって重大な問題である。これは、ベッドの空隙容積が分析種入口バルブに近いときは特に、分析種の流れに問題をもたらす。
【0067】
米国特許出願公開第2008/0017579(A1)号によれば、充填バルブ及びノズルにおける開放/閉鎖機能は、ベッド・スペース内に固定され(したがって引っ込めることができない)、その位置に応じてノズルを開放及び/又は閉鎖するノズルの内側又は外側にある可動要素又はスリーブに隣接して配置されたノズルを使用して達成される。この記述はあいまいであり、この出願にさらなる説明はない。
【0068】
ベッドを充填するために別々のバルブとノズルを使用する別の欠点は、充填が終わってノズルが引っ込められると、長手方向部材122は樹脂スラリーで満たされ、それは洗浄することが難しい。これは、長手方向部材122領域の内側での細菌の蓄積、及びカラムの汚染をもたらす可能性がある。
【0069】
フィルター104はそれぞれ、エンド・ユニット112、113の内面に配置され、側壁111とともに、ベッド・スペース109を画定し、またベッド・スペース109からの粒状媒体の漏れを防ぐように働く。分配チャネル106は第1のエンド・ユニット112の面を横方向に横切って配置され、フィルター104と流体連通している。この流体分配チャネルは液体の半径方向の分配を容易にする。分配チャネル106は第1のエンド・ユニットの面内に周方向の溝106aを含む。この溝は、第1のポート133の出口137から出る液体の周方向の分配をノズル124の周りに均一となるように配置される。
【0070】
出口137を出てベッド・スペース109に入る移動相は、分配チャネル106全体に一様に分配され、フィルター104を通過した後、粒状媒体のベッドを通って均一に溶離される。最後に移動相は第2のポート140を通ってカラムを出る。分配チャネル106に対する出口137の非対称な配置によって、エンド・ユニット112を製造する際の設計要件は簡単になり、したがって製造コストが低減される。
【0071】
しかしながら、分配チャネルの中央に移動相バルブ及びノズル122、124が存在していることは、カラムの中央への分析種の出入りを妨げる。この結果、カラムの中央における分析種の分配は悪くて不均質になる。分析種が軸方向に流れ落ちるにつれて中央の分配はさらに悪くなる。均一でない分配は、分析種が粒子の重要な部分と接触しないので、充填ベッドの分離効率を下げる。
【0072】
カラムは、上記のような「下降流」モード、又は移動相が上に向かってカラムを移動するような、移動相流れの方向が逆の「上昇流」モードのいずれかで動作させることができる。上昇流モードでは、移動相は第2のポート140を経てカラムに入り、粒状媒体のベッドを通って上方に移動し、第1のポート133を経てカラムを出て捕集される。
【0073】
図1に示すように、第2のポート140は、エンド・ユニット113を貫通して鉛直方向に延在してユニットの反対側の外面に出る通路142を備える。別の実施例(図示せず)では、第2のポート140はユニット113の側面を通って出る。この配置は、適切なコネクター又は中空部材(図示せず)によって、移動相/液体をカラムに適用する高さと同じ高さでの移動相/液体の捕集を可能にする。単一のエンド・ユニットの同じ高さでの移動相を適用し捕集することは、操作員のアクセスと取扱いの点で使用を簡単にし、システムへ空気が出入りする危険性を減らし、カラムを設置するのに必要な空間を減らす。
【0074】
図2Aは、本発明の実施例のクロマトグラフィー・カラム201の全体的な構成要素を概略的に示す。カラムは、限定するものではないが、半透明又は不透明であってもよい金属又は高強度/強化高分子材料から作られた円筒状の流体不透過性容器210を有する。容器210の開放頂部及び底部端部は、第1及び第2のエンド・ユニット/アダプター212、214により閉じられている。各アダプターは、円筒状の容器の端部に嵌まり込んで密封する流体不透過性エンド・プレート(図示せず)を有する。アダプター212及び214は、金属、ポリプレピレン又は強化プラスチック材料などの高強度エンジニアリング・プラスチック材料から作られることが好ましい。アダプターは、金属或いは高強度エンジニアリング・プラスチック材料又は強化プラスチック材料から作られた保持プレート216及び218(これを通ってテンション・ロッド220が固定される)によって裏打ちされている。これらのテンション・ロッドは、第1のアダプター212と第2のアダプター214を連結し、1MPa(10bar)を超える高い流体圧力に耐えるようにこの構造体を支える。
【0075】
各アダプター212及び214は、カラムの外部と、側壁210並びにアダプター212及び214により画定された充填ベッド・スペース(図示せず)との間の連通のための中央貫通開口を有する。第1のアダプターの開口を通って、流れをカラムに向けるように入口ポート224が挿入されている。第2のアダプターを通って、充填ベッド・スペースから出る流れを捕集するようにポートが挿入されている(図示せず)。本発明のこの実施例では、出口ポートは、カラムの頂部側に配置された別のポート228に流れを戻す戻り管226に接続されている。カラムは、下側基部232に接続されたスペーサ230の上に載っている。別の実施例(図示せず)では、車輪又はキャスターが下側基部232の下に付け加えられてもよい、又はスペーサ230と下側基部232を置き換えてもよい。車輪又はキャスターはカラムの移動を助けるために用いることができる。
【0076】
図2Bは、本発明のクロマトグラフィー・カラムの三次元概略図を示し、ここでは、二重目的バルブは、サニタリー・フィッティングを有して構成された入口ポート232を有する。出口ポート234もまた、サニタリー・フィッティング接続部を有する。この構成では、出口ポート234はカラムの底部にある。
【0077】
図2Cは、本発明のクロマトグラフィー・カラムの三次元概略図を示し、ここでは、出口ポート(図示せず)は、入口ポート232より低い高さにある別のポート238に流れを戻す戻り管236に接続されている。別の変形では、出口ポート238は、入口ポート232と同程度の高さ、又は入口ポート232より高い高さにある。
【0078】
本発明の実施例によるカラムの長手方向断面図が図3に示されている。カラム201は、支持リング216及び218、並びにテンション・ロッド220によって第1のアダプター212及び第2のアダプター214に固定されてベッド・スペース310を画定する管状ハウジング/容器210を備える。ハウジング210及びエンド・ユニット212、214は、限定するものではないが、典型的には金属、ポリプロピレンなどの高強度プラスチック材料、又は強化プラスチック材料から構成される。カラムが生物学的に活性な物質の分離のために使用される本発明のさらなる実施例では、材料は米国薬局方(USP:United States Pharmacopeia)<88>Class VIに従ってヒトに免疫応答を引き起こさないように生物学的に不活性である。
【0079】
典型的には多孔性又は織られたプラスチック又は金属材料のフィルター層312及び314は、アダプター212及び214の内面においてベッド・スペース310の範囲にわたって延在する。カラムが生物学的に活性な物質の分離のために使用される本発明のさらなる実施例では、材料は米国薬局方(USP)<88>Class VIに従ってヒトに免疫応答を引き起こさないように生物学的に不活性である。アダプター212及び214の内面は、フィルター層312及び314の後ろに、例えば円錐状に凹んでおり、それらの間に分配チャネルを画定する(図示せず)。
【0080】
入口ポート224は、第1のアダプター212及びフィルター312の中央開口を通って内向きに突出する中空ノズル320に接続されている。ノズル320は、中空の可動プラグ322によって入口ポートがベッド・スペース310に直接連通すること、すなわちフィルター312をバイパスすることを支配する。可動プラグ322の別の位置では、ノズルは、入口ポート224とフィルター312の上方の空間との間の連通を支配する。ノズル320及び可動プラグ322を有する入口ポート224は、分析種をクロマトグラフィー・カラムに通すことに加えて、カラムをスラリー樹脂で充填する二重の用途を有する二重目的バルブ316を備える。二重目的バルブは、金属、プラスチック、又は強化プラスチック材料から作ることができる。カラムが生物学的に活性な物質の分離のために使用される本発明のさらなる実施例では、材料は米国薬局方(USP)<88>Class VIに従ってヒトに免疫応答を引き起こさないように生物学的に不活性である。
【0081】
第2のフィルター層314の下で、出口ポート318は流れを捕集して、それが戻り管226を通ってポート228に流れるように向ける。
【0082】
典型的なカラムの動作において、粒子固定相の充填ベッドの材料が、第1のフィルター312と第2のフィルター314との間のベッド・スペース310を満たしている。
【0083】
図4は、クロマトグラフィー・カラムに嵌められたときの本発明の実施例の二重目的バルブ316の長手方向断面図を示す。バルブは、第1のアダプター212の上にある入口ポート224と、第1のアダプター212の空洞を通過して底部端部で閉じられた中空ノズル320と、内部可動プラグ322とから構成される。ノズル320はその表面に、位置412及び414において軌道状に(又は他の様式で)配置された2組の貫通穴を有する。上側の穴412の組は、典型的には、下側の穴414の組より小さな直径を有するが、必ずしもそういうわけではない。各組の穴の数は、典型的には、1つの穴から複数の穴まで変わることがあり得る。上側の穴412はフィルター312の上方に配置されるが、穴414はフィルター312の下方に配置される。可動プラグ322は、軸方向全体にわたって中空の中央を有する。可動プラグを上側の位置に配置することができ、この位置では、可動プラグはノズル320の穴412を塞いで穴414を開け、したがって、入口ポート224と充填ベッド・スペース310との間の出入りを可能にする。可動プラグ322は1組の穴418だけを有する。可動プラグ322の下側の位置では、可動プラグはノズル320の穴414を塞ぐが、可動プラグの穴418は、ノズルの上側の穴412と位置が合い、したがって、入口ポート224とフィルター312の頂部の分配領域420との間の出入りを可能とする。可動プラグの別の実施例では、長さがより短くて、いかなる軌道状(他の)貫通穴も有しない。この可動プラグを上側の位置に配置することができ、この位置では、可動プラグはノズル320の穴412を塞いで穴414を開け、したがって、入口ポート224と充填ベッド・スペース310との間の出入りを可能にする。可動プラグ322の下側の位置では、可動プラグは上側の穴412より完全に下方にあり、したがってノズル320の穴414を塞ぐが、ノズルの上側の穴412は開いており、したがって、入口ポート224とフィルター312の頂部の分配領域420との間の出入りを可能とする。
【0084】
可動プラグは上下に移動することができる。この移動は、限定するものではないが、プラグの内に、限定するものではないが、六角キーなどの工具を挿入することを含む、当業者が知っている様々な手段によって達成することができる。この移動は、限定するものではないが、ノズル320の案内溝又は雌ねじと合う可動プラグ322の案内レール又は雄ねじなど、様々な手段によって制御することができる。
【0085】
ノズル320と第1のアダプター212との間の空間は、位置416において、第1のアダプターのシール手段によってシールされる。
【0086】
可動プラグ322が上側の位置にあるとき、ベッドは、二重目的バルブ316を通る樹脂スラリーを、穴414を通して送り出すことによって充填されて、ベッド・スペース310を満たすことができる。ベッドの充填が完了すると、可動プラグ322は下側の位置に動かされて穴414を塞いで穴412を開ける。
【0087】
従来技術(米国特許出願公開第2008/0017579(A1)号)では、スラリー充填バルブは、カラムを充填した後に引っ込められ、充填されたベッドの上部領域の中央に空隙容積を残す。本発明の設計全体はこの欠点を克服する。これは、ノズル320が定位置に固定され充填後に引っ込まないので達成され、二重目的バルブ316の周りの充填されたベッドは乱されず、いかなる空隙もできる可能性がない。
【0088】
次いで、移動相はポート228を通って「上向き」流れ方向に供給され得て、充填ベッド・スペース310を通り、続いて、第1のフィルター312、次いで穴412を通って中空可動プラグ322、ノズル320を通って上に移動し、ポート224を通って出る。これは、二重目的バルブ316内のすべての樹脂スラリーを逆流させる。我々の実験的評価から、30mLの上向き流れの後、バルブから樹脂スラリーが完全に追い出された。残留樹脂スラリーの逆流は、従来技術(米国特許出願公開第2008/0017579(A1)号)にはなかった本発明の多くの実施例の独特で新奇の特徴である。充填バルブ内の残留樹脂は細菌増殖を起こしやすいので、この特徴は非常に重要である。
【0089】
逆流後、移動相は入口ポート224を通って送り出され得て、ノズル320、中空の可動プラグ322を通り、次いで上側の穴412を通って分配チャネル420に出る。移動相は外向きに分配され、フィルター312を通って移動して充填ベッドの中で溶離する。移動相は、第2のアダプター214の第2のフィルター314を通過して、捕集のために出口ポート318を通って出る。
【0090】
本発明の実施例の二重目的バルブ設計では、第2のバルブによって、移動相及び分析種の分配は、先の従来技術(米国特許出願公開第2008/0017579(A1)号)の欠点であった中央で妨げられるということがなくなる。充填ベッドの中央への接近がベッドの出発点で妨げられると、ベッドの中央は分析種との接触が少なくなって、流体分配が不均一になる。
【0091】
上記は、クロマトグラフ分離が、カラム内を移動相が下向きに移動することによって行われる「下降流」クロマトグラフィーの実例を説明したが、当業者であれば、これに代えて、単に、移動相をカラムの中を上向きに送り出し、したがって流れの方向を逆にすることによる「上昇流」クロマトグラフィーによって分離を行ってもよいことは理解されよう。この後者のモードでは、移動相は、ポート228を、次いで戻り管226を通って流れ、ポート318でカラムに入り、樹脂粒子の充填ベッドを通って上向きに移動し、カラムの上側でポート224から捕集される。
【0092】
図5は、本発明の実施例の二重目的バルブの外側本体の概略図を示す。穴412は移動相流用であり、一方、穴414は樹脂スラリー充填用の流れ穴である。この図は、樹脂スラリー穴が可動プラグ322によって塞がれた移動位置にあるバルブを表している。
【0093】
本発明の二重目的バルブは、予め充填された使い捨てカラムで使用するように意図されているが、再使用可能なカラムにも適用可能である。本発明の一実施例は、二重目的バルブが、第1のアダプター及び第2のアダプターを含む2つの位置に設置されるカラム設計に関する。ノズルが可動プラグの位置によって制御される2つのモードを有するバルブ機能部は両方の位置で同一である。両方の二重目的バルブの穴414が塞がれ、穴412が開いている可動プラグの一方の位置は、カラムの中を移動相及び分析種を移動させるために用いられ、一方、両方の二重目的バルブの穴414が開いて穴412が塞がれている他方の位置はカラムの中身を抜き取るために用いることができる。カラムの中身を抜き取るために、第1及び第2のアダプターの二重目的バルブの可動プラグは、バルブがベッド・スペースへの直接アクセスを有する充填/抜取り位置に動かされる。次いで、さらなる移動相が、ベッド・スペースに送り出されて充填ベッドを乱して樹脂を樹脂スラリーの形態でベッド・スペースから押し出す。カラムの中身が抜き取られると、第2のアダプターの二重目的バルブの可動プラグは移動位置に切り替えられ、一方、第1のアダプターの二重目的バルブの可動プラグは充填位置に保たれている。次いで、樹脂スラリーをベッド・スペースに送り出すことができ、それによってカラムを再び充填することができる。再使用カラムのために二重目的バルブを使用することは、複数のカラムの抜取り/充填体制を可能にし、それは、分解組立時間を減らし、カラムを無菌状態に保つことを含む多くの利点を提供する。
【0094】
典型的には0.01~2000リットルの広い範囲のカラム容量が可能であることは理解されよう。使い捨てカラムとしてカラムを使用するときの好ましい容量は0.01~500リットルの範囲である。
【0095】
二重目的バルブの概念は再使用可能なカラムに適用され、ここでは、同じか又は異なるタイプの樹脂でカラムが充填、抜取り、再充填される(米国特許第6,524,484(B2)号及び米国特許第8,585,894(B1)号)。これらの設計では、バルブのハードウェアは複雑であり、製作に費用がかかる。製作コストはカラムを使用することによって正当化されるので、これは再使用可能なカラムにとっては問題ではない。しかし、限定された時間使用することが意図される使い捨てカラムに対しては、製作コストは効率的でなければならず、したがって単純な設計が必要となる。従来技術(米国特許出願公開第2008/0017579(A1)号)は、コスト削減のために二重目的バルブを2つのバルブで置き換えたが、分配の均一性、充填ベッドの安定性、空隙容積がないこと、及び細菌汚染/増殖の防止を含む重要な特徴は達成されなかった。本発明は、以前設計された2バルブのクロマトグラフィー・カラムの短所及び二重目的バルブの高い製作コストに対処する解決策である。
【0096】
本発明は、バルブの様々な構成要素、特にノズル320及び可動プラグ322の非常に精密な製作を必要とする。なぜならば、穴412及び414のシールは可動プラグ322によってなされるからである。さらに、可動プラグが底の位置(移動相が移動する位置)にあるとき、可動プラグ322の穴418は穴412と合わなければならない。さらに、ノズル320の外径は、分析種をよりよく分配するために最小限にしなければならない。同時に、ノズル320及び可動プラグ322の内径は、流れに対する表面積を増大させて高流速に適応させるために最大限にしなければならない。同時に、可動プラグの壁厚は、圧力に耐えて、穴及び雄ねじの製作に対応できなければならない。これらの寸法すべてを最適化することは、挑戦的で、高度なエンジニアリング及び製造を必要とした。小さな構成要素の現在の製作技術は、革新的であるが単純でコスト効率の高い設計を見つける際、助けとなった。
【0097】
本設計の1つの変形(図示せず)では、入口ポート及びノズルはアダプター自体の一部分であり、2組の穴、すなわち上側の穴及び下側の穴を有する。可動プラグは追加的な部品であり、ノズルに挿入され、充填のために上側の穴を塞ぐか、又は移動相及び分析種を移動させるために下側の穴を塞ぐかどちらかのために2つの異なる位置に配置することができる。
【0098】
図6A及び図6Bは、本発明の実施例の二重目的バルブ設計610の別の変形を示す。二重目的バルブは、1組の穴618を有する可動スリーブ614に接続された入口ポート612を備える。可動スリーブの下には、多孔性フィルター620によって定位置に保持され、ベッド・スペース622に露出されたノズル616がある。ノズル616は、ベッド・スペース622への出入りを可能にする窓/穴を有する。可動スリーブ614と第1のアダプター624との間の領域は、位置626及び628でシール手段によってシールされている。充填位置では、入口ポート612及び可動スリーブ614は、図6Aに示されるように、較正治具630によって決められるより高い位置にあり、この位置では、ノズル616の窓/穴がスラリー樹脂の流れをベッド・スペース622に向ける。図6Bは移動位置にあるバルブを示し、この位置では、可動スリーブ614は、ノズル616の窓/穴を塞ぐ位置に下げられ、移動相/分析種の流れは、多孔性フィルター620の上方の第1のアダプター624の分配チャネル632と位置を合わされた穴618を通って可動スリーブ614を出る。この設計は、移動相/分析種入口が第2のバルブによって塞がれていないので均質な分析種分配を可能にする。また、同じバルブを使って充填と移動をするので、充填後、バルブ内を逆流させることができる。さらに、充填されると、ノズルは引っ込まされず、カラム内にいかなる空隙容積も形成されない。この設計の他の利点は、単純であること、及び生産のコスト効率が高いことを含む。二重目的バルブのこの変形は低圧用途によく適している。
【0099】
図6Cは、本発明の実施例の二重目的バルブ設計316の別の変形を示す。この実施例では、可動プラグ634はいかなる穴も有せず、図3及び図4に示された可動バルブよりも短い。ノズルの上側の穴の組の高さに合う可動プラグの穴の組を有する必要なしに、上側の位置では、ノズルの上側の穴は塞がれ、可動プラグの下側の位置では、ノズルの下側の穴は塞がれるが上側の穴は開いている。
【0100】
図6Dは、本発明の実施例の二重目的バルブ設計316のさらに別の変形を示す。この実施例では、バルブ638の入口は、プロセス機器へのカラムの接続を容易にするようにサニタリー・ホース接続スタイルである。二重目的バルブ及び出口ポートのホース接続スタイルは、プロセス機器へのカラムの接続を容易にするように様々な形式に変えてもよい。この実施例では、可動プラグ640はいかなる穴も有せず、図3及び図4に示された可動バルブよりも短い。ノズルの上側の穴の組の高さに合う可動プラグの穴の組を有する必要なしに、可動プラグの上側の位置では、ノズルの上側の穴は塞がれ、可動プラグの下側の位置では、ノズルの下側の穴は塞がれ、上側の穴は開いている。
【0101】
「実例1」
本設計の最重要点の1つは充填の再現性である。1つの充填実験において、1リットルのカラムが、スルホプロピル(S)強力陽イオン交換基で官能化された75μmのヒドロキシル基を有するメタアクリル酸ポリマー・ビーズの陽イオン交換クロマトグラフィー樹脂の充填媒体で充填された。カラムは、1,005mLの容積、80mmの直径、及び20cmのベッド高さを有していた。カラムが組み立てられ、脱イオン水で満たされた。二重目的バルブが、下側の穴を開き上側の穴を閉じる充填モードに設定された。二重目的バルブの入口ポートが蠕動ポンプに接続され、一方、カラム出口ポートは廃棄ラインに接続された。カラム内部の圧力を監視するために蠕動ポンプと入口ポートとの間に圧力計が取り付けられた。次いで、1M塩化ナトリウムの50%樹脂スラリーが、蠕動ポンプを用いて約600mL/分(720cm/時)の速度で送り出され、二重目的バルブを経てノズルの下側の穴を通って充填ベッド・スペース内に供給され、一方、排除された水は廃棄ラインを経てカラムを出た。圧力は充填プロセス全体で監視され、次いで、カラムが完全に充填されると、圧力計で圧力の急上昇が見られた。次いで、ポンプの流れが停止され、ポンプからの圧力が解放され、可動プラグを下げて下側の穴を塞ぎ、上側の穴を開けることによって二重目的バルブが移動モードに切り替えられた。次いで、0.5M塩化ナトリウムの移動相を5mL/分の流量で「上昇流」方向にカラムに移動させることによってカラム内を逆流させ、徐々に20mL/分まで増大させる。逆流のステップは、バルブからすべての残留樹脂を取り除いて細菌汚染/増殖を避けるために重要である。本二重目的バルブ設計の発明は、従来技術の使い捨てカラムにはなかった充填後のバルブ内の逆流を可能にする。約30mLの移動相を送り出した後には、出口ラインはいかなる残留樹脂粒子も完全に取り除かれた。次いで、カラムは、「下降流」に切り替えられ、2カラム容積で平衡化され、次いで、分析種が充填非対称性を評価するために注入される。
【0102】
3M塩化ナトリウム(充填ベッド容積の1%)がトレース物質として用いられ、83mL/分(100cm/時)の流量の0.5M塩化ナトリウムの移動相を用いてカラムから溶離させ、伝導率検出器によって監視された。この実験は、同じ設計の別の1Lカラムで並行して行われた。表1から分かるように、非対称性及び理論段相当高さ(HETP:Height Equivalent to a Theoretical Plate)の値に基づいて、複数の独立した充填実験で用いられた75μm陽イオン交換媒体で充填の優れた再現性が観察された。
【表1】
【0103】
「実例2」
図7は、最初の非対称性試験を実施した後の2つのカラムでなされた圧力-流速試験を示す。圧力-流速曲線は、このタイプの樹脂に対して予想される曲線形状に合っている。次いで、2つのカラムは再び、圧力-流速試験後に非対称性を調べるために別の3M塩化ナトリウム(充填ベッド容積の1%)分析種を注入された。圧力-流速試験後の非対称性及びHETP値は、圧力-流速試験前の値と非常に似通っており、ベッドが密で均一に充填されたことが確認された。
【0104】
カラムの中央において分析種が他のバルブによって妨害されない中央のノズルを通して充填し分析種を流し、カラムにいかなる空隙容積もできない二重目的バルブの設計のおかげで、非対称性の再現性及び非対称性が1.00に近いことによって、充填の効率、充填ベッドの均一性、及び分析種の効率的な分配が確認される。
【0105】
「実例3」
二重目的バルブが多くのタイプの樹脂を用いて試験されてうまく働くことが証明された。粒子サイズが65μmの疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC:hydrophobic interaction chromatography)樹脂において、1リットルのクロマトグラフィー・カラムが充填され、二重目的バルブを用いて動作させた。粒子サイズが75μmの陽イオン交換樹脂でも試験された。また、二重目的バルブは、粒子サイズが45μmで、サイズ排除クロマトグラフィーに対してヒドロキシル基を有するメタアクリル酸ポリマー・ベースのビーズに結合するプロテインAリガンドの樹脂を用いて試験された。すべての樹脂のタイプに対して非対称性及びHETPは合格し、充填は非常に再現性が高いことが判った。広範な粒子サイズと圧縮性を有し、様々な供給元によって製造される、陰イオン交換、サイズ排除、アフィニティー、混合モード、プロテインL、及び他の樹脂を含む他の樹脂をクロマトグラフィー・カラムに充填して、二重目的バルブを用いて動作させることができる。3L、6L、及びその他などのクロマトグラフィー・カラムの他のサイズもまた、二重目的バルブを用いて問題なく充填された。これによって、二重目的バルブは、広範なサイズに適応するようにスケールアップ又はスケールダウンすることができることが示された。
【0106】
本発明の様々な実施例には、限定するものではないが、数センチメートルから1メートルを超える範囲の様々なカラム内径が含まれる。各カラム内径に対して、ベッド高さは、数センチメートルから1メートルを超えるまで変えることができる。
【0107】
また、上記に加えて、カラム内径よりベッド高さがずっと低い連続クロマトグラフィーに対して、本カラム・ハードウェア及び二重目的バルブを使用することが可能である。
【0108】
論じたように、さらなる実施例としては、再使用可能なカラムに対して二重目的バルブを使用することであり、ここでは、別の二重目的バルブが第2のアダプターに取り付けられて、カラム全体を分解する必要なく、カラムの抜取り、洗浄、及び再充填を可能にする。
【0109】
したがって、人の技能要因には関係せずに、カラム全体にわたるより容易でより迅速な一貫した充填、カラム間で一貫した充填のための我々の目的は十分達成されて確認された。
【0110】
上で明らかにされた本発明の実施例は、カラム全体にわたって一貫した充填ベッドを達成するクロマトグラフィー・カラムを提供する。充填は迅速でカラム間で一貫している。これによって、カラム全体にわたって分析種の良好な分配が達成される。これは大きさを変えることができる設計(すなわち、より小さな、又はより大きな量に対して修正することができる)であり、0.3MPa(3bar)までの動作圧力で動作させることができ、より高い圧力(最高1MPa(10bar))を許容することができる。
【0111】
本開示の特定の実施態様及び用途が示され説明されてきたが、本開示が、本明細書で開示された正確な構造及び構成には限定されず、添付の特許請求の範囲で規定された本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく、前述の説明から様々な修正、変更、及び変形が明らかとなり得ることは理解されよう。
図1
図2A
図2B
図2C
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図6D
図7
【国際調査報告】