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特表2022-503733口腔粘膜炎を治療するための方法および組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-12
(54)【発明の名称】口腔粘膜炎を治療するための方法および組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/7072 20060101AFI20220104BHJP
   A61P 1/02 20060101ALI20220104BHJP
   A61K 31/6615 20060101ALI20220104BHJP
   A61K 31/7068 20060101ALI20220104BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20220104BHJP
   A61K 47/02 20060101ALI20220104BHJP
   A61K 47/04 20060101ALI20220104BHJP
【FI】
A61K31/7072
A61P1/02
A61K31/6615
A61K31/7068
A61K45/00
A61K47/02
A61K47/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021515005
(86)(22)【出願日】2019-10-17
(85)【翻訳文提出日】2021-03-17
(86)【国際出願番号】 US2019056772
(87)【国際公開番号】W WO2020081839
(87)【国際公開日】2020-04-23
(31)【優先権主張番号】62/746,943
(32)【優先日】2018-10-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519327021
【氏名又は名称】レイクウッド アメディックス、インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ケイツ、スティーブン、エイ.
(72)【発明者】
【氏名】パーキンソン、スティーブン
(72)【発明者】
【氏名】オコナー、パトリック、シー.
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA06
4C076AA09
4C076AA11
4C076AA14
4C076AA16
4C076AA22
4C076BB22
4C076DD22Z
4C076DD23Z
4C076DD26Z
4C076DD37
4C076EE23
4C076EE32
4C076FF68
4C084AA19
4C084MA57
4C084NA05
4C084ZA671
4C084ZC751
4C086AA01
4C086AA02
4C086DA34
4C086DA37
4C086EA17
4C086MA01
4C086MA02
4C086MA04
4C086MA16
4C086MA22
4C086MA23
4C086MA27
4C086MA57
4C086NA10
4C086NA14
4C086ZA67
4C086ZC75
(57)【要約】
患者における口腔粘膜炎を治療するためのビスホスホシンを含む方法および医薬組成物が開示される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
口腔粘膜炎の治療を必要とする患者において口腔粘膜炎を治療する方法であって、有効量のビスホスホシンまたはその薬学的に許容される塩を前記患者に投与することを含み、前記ビスホスホシンがNu-2、Nu-3、Nu-4、Nu-5、およびNu-8からなる群より選択される、方法。
【請求項2】
前記投与が局所投与である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記局所投与が前記患者の口腔に適用される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記投与が、ゲル、軟膏、油、溶液、懸濁液、乳濁液または他の粘性組成物中の前記ビスホスホシンを使用して実施される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記投与が、含嗽液中の前記ビスホスホシンを使用して実施される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記患者が少なくとも1つのさらなる活性成分を投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記ビスホスホシンが薬学的に許容される担体と共に投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記投与が複数回投与レジメンとして実施される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記投与が1日1回以上実施される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記患者がヒトである、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
口腔粘膜炎の治療を必要とする患者において口腔粘膜炎を治療する方法であって、ビスホスホシン、またはその薬学的に許容される塩、および薬学的に許容される担体を含む有効量の医薬組成物を前記患者の口腔に局所投与することを含み、前記ビスホスホシンがNu-2、Nu-3、Nu-4、Nu-5、およびNu-8からなる群より選択される、方法。
【請求項12】
前記投与が、ゲル、軟膏、油、溶液、懸濁液、乳濁液または他の粘性組成物中の前記ビスホスホシンを使用して実施される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記投与が、含嗽液中の前記ビスホスホシンを使用して実施される、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記ビスホスホシンが約1%~約20%(重量/重量)の量で前記医薬組成物中に存在する、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記ビスホスホシンが約5%~約15%(重量/重量)の量で前記医薬組成物中に存在する、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記ビスホスホシンが約30%~約50%(重量/重量)の量で前記医薬組成物中に存在する、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
前記投与が複数回投与レジメンとして実施される、請求項11に記載の方法。
【請求項18】
前記投与が1日1回以上実施される、請求項11に記載の方法。
【請求項19】
前記患者がヒトである、請求項11に記載の方法。
【請求項20】
ビスホスホシン、またはその薬学的に許容される塩、および薬学的に許容される担体を含む、口腔粘膜炎を治療するための医薬組成物であって、前記ビスホスホシンがNu-2、Nu-3、Nu-4、Nu-5、およびNu-8からなる群より選択される、医薬組成物。
【請求項21】
前記ビスホスホシンが約1%~約20%(重量/重量)の量で前記医薬組成物中に存在する、請求項20に記載の医薬組成物。
【請求項22】
前記ビスホスホシンが約5%~約15%(重量/重量)の量で前記医薬組成物中に存在する、請求項21に記載の医薬組成物。
【請求項23】
前記ビスホスホシンが約30%~約50%(重量/重量)の量で前記医薬組成物中に存在する、請求項20に記載の医薬組成物。
【請求項24】
前記薬学的に許容される担体が希釈剤である、請求項20に記載の医薬組成物。
【請求項25】
前記希釈剤が、水、グリセロール、マンニトール、および生理食塩水から選択される、請求項24に記載の医薬組成物。
【請求項26】
前記生理食塩水がリン酸緩衝生理食塩水である、請求項25に記載の医薬組成物。
【請求項27】
前記希釈剤が、約1%~約10%(重量/重量)の量で前記医薬組成物中に存在する、請求項24に記載の医薬組成物。
【請求項28】
前記希釈剤が、約1%~約15%(重量/重量)の量で前記医薬組成物中に存在する、請求項24に記載の医薬組成物。
【請求項29】
前記希釈剤が、約1%~約20%(重量/重量)の量で前記医薬組成物中に存在する、請求項24に記載の医薬組成物。
【請求項30】
口腔粘膜炎の治療を必要とする患者において口腔粘膜炎を治療する方法であって、有効量の請求項20に記載の医薬組成物を前記患者の口腔に局所投与することを含む、方法。
【請求項31】
前記医薬組成物が約pH1.5~約pH4のpHを有する、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記医薬組成物が約pH3~約pH4のpHを有する、請求項30に記載の方法。
【請求項33】
口腔粘膜炎を治療するのに使用するための、Nu-2、Nu-3、Nu-4、Nu-5、およびNu-8からなる群より選択されるビスホスホシン、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項34】
口腔粘膜炎を治療するための薬剤を製造するための、ビスホスホシン、またはその薬学的に許容される塩の使用。
【請求項35】
口腔粘膜炎を治療するのに使用するための、Nu-2、Nu-3、Nu-4、Nu-5、およびNu-8からなる群より選択されるビスホスホシン、またはその薬学的に許容される塩、および薬学的に許容される担体を含む医薬組成物。
【請求項36】
口腔粘膜炎を治療するための薬剤を製造するための、Nu-2、Nu-3、Nu-4、Nu-5、およびNu-8からなる群より選択されるビスホスホシン、またはその薬学的に許容される塩、および薬学的に許容される担体を含む医薬組成物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年10月17日に出願された米国仮特許出願第62/746,943号の優先権を主張するものであり、これは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、一般に、患者における口腔粘膜炎の予防および治療のためのビスホスホシンの使用に関する。
【背景技術】
【0003】
口腔粘膜炎は、口内の炎症と潰瘍を特徴とする状態である。口腔粘膜炎は、癌の化学療法または放射線治療を受けている患者が経験する一般的な合併症である。口腔粘膜炎は、痛み、食べることができないことの結果としての栄養上の問題、および粘膜の開放創による感染リスクの上昇を含む、いくつかの問題を引き起こし得る。口腔粘膜炎はまた、癌患者の生活の質にも重大な影響を及ぼす可能性があり、特定の治療選択肢の有効性を制限し得る(すなわち、その後の化学療法の用量の低減を必要とする)。口腔粘膜炎は骨髄移植の重大な副作用でもある。
【0004】
臨床的には、粘膜炎は、(1)局所麻酔薬または非麻薬性鎮痛薬で緩和され得る、初期の有痛性粘膜紅斑;(2)偽膜形成を伴う有痛性潰瘍、痛みはしばしば非経口麻薬性鎮痛法を必要とするほどの強さである;および(3)抗腫瘍療法の停止後約2~4週間で起こる自然治癒、を含む3つの段階を経て進行する。
【0005】
口腔粘膜炎は一般に治療が難しく、現在のアプローチでは適切に管理されない。現在の推定では、米国だけで毎年50万人以上の患者が口腔粘膜炎に罹患することが示されている。患者がしばしば化学療法および/または放射線療法の複数のサイクルを受けることを考えると、米国では年間100万件を超える口腔粘膜炎が発生すると推定される。口腔粘膜炎の発生率は、腫瘍の種類、患者の年齢、および口腔の健康状態によって異なる。これらの様々な腫瘍型で使用される治療法は重要な因子であり、積極的化学療法プロトコルは口腔粘膜炎のより高い発生率に関連する。若い患者も口腔粘膜炎の発生率がより高く、これは、より迅速な上皮細胞の代謝回転、したがって細胞毒性薬に対する感受性に起因する可能性がある。
【0006】
口腔粘膜炎の治療および予防のための現在のアプローチは最適以下である。最も一般的なアプローチには、口腔衛生プロトコル、抗炎症薬、および凍結保護剤が含まれる。生物学的応答調節剤および理学療法(寒冷療法およびレーザー治療など)も使用され、結果は様々である。これらのアプローチはそれぞれ、限られた成功を収めている。例えば、アロプリノール含嗽液、経口スクラルファートスラリー、およびペントキシフィリンの使用は、予備試験で口腔粘膜炎の減少をもたらすと報告された。しかし、その後の無作為化対照試験では、これらの薬剤による治療の恩恵を実証することができなかった。さらに、抗菌性洗口液であるクロルヘキシジンは、口腔粘膜炎の治療および予防において広く使用されている。しかし、特に、クロルヘキシジンの効果は唾液中では有意に低下し、またこの化合物は、放射線療法を受けている患者の口腔にコロニー形成する傾向があるグラム陰性菌に対しても比較的効果がない。さらに、少なくとも1つの試験では、クロルヘキシジンの使用が有害であり、粘膜炎のより高い発生率をもたらす可能性があることが示された。さらに、いくつかの試験は、骨髄抑制化学療法または放射線療法を受けている患者でのバンコマイシンペーストならびにポリミキシンB、トブラマイシンおよびアンホテリシンBを含む抗生物質ロゼンジの使用が、口腔粘膜炎の減少およびα溶血連鎖球菌(alpha hemolytic streptococci)による敗血症の発生率の低下をもたらし得ることを示した。
【0007】
粘膜炎の現在の治療法は主に待機的であり、疼痛の制御と栄養の維持に重点を置く。しかし、最近のデータは、オピオイドでさえも粘膜炎の疼痛を制御するにはしばしば不十分であることを示している。現在、口腔粘膜炎の唯一承認されている治療はパリフェルミン(Kepivance(登録商標))であり、その適用は、造血幹細胞移植に先立つ前処置レジメンを受けている患者の粘膜炎に限定される。
【0008】
生物学的過程としての粘膜炎の複雑さは引き続き定義される必要がある。この状態は、口腔粘膜細胞および組織、活性酸素種、炎症誘発性サイトカイン、アポトーシスのメディエータ、ならびに唾液および口腔微生物叢などの局所因子の連続的な相互作用を表すことが示唆されている。上皮の変性と崩壊は最終的に粘膜潰瘍を引き起こすが、放射線誘発性の粘膜毒性に関連する初期変化は、内皮および粘膜下組織の結合組織内で起こるようである。放射線照射から1週間以内の粘膜の電子顕微鏡評価は、内皮と結合組織の両方に対する損傷を示すが、上皮への損傷は示さない。そのような損傷は、フリーラジカルの形成によって媒介される可能性がある。粘膜炎の発症の全体的な機構は、放射線と化学療法の両方で類似しているようである。粘膜炎の直接的な細菌性病因を裏付けるデータはない。データでは、二次コロニー形成を示唆する、潰瘍性病変の細菌負荷が病変の発症に後続することが示唆されている。
【0009】
口腔粘膜炎などの口腔疾患を治療するのに有用な薬剤の局所適用は、独特の問題を提示する。例えば、唾液分泌および/または食物もしくは液体の摂取のために、薬剤が有効であるために口内で十分な粘膜付着および滞留時間を達成することはしばしば極めて困難である。ペプチドの局所適用は、ペプチドが唾液中に存在するタンパク質分解酵素に対して安定でなければならないため、より一層問題がある。薬物の局所口腔適用に関連する他の困難さには、歯の変色および患者のコンプライアンスが含まれる。良好な粘膜付着および口内での滞留時間を提供しつつ、同時に高レベルの患者のコンプライアンスを提供する口腔医薬組成物は、容易に入手可能ではない。口腔粘膜炎の現在の治療または予防の選択肢はどれも、決定的に有効であるとは見なされていない。
【0010】
口腔粘膜炎に関する上記の問題に対処するための戦略が利用可能であるが、そのような戦略は不便であり、重大な欠点を有する。したがって、口腔粘膜炎を予防および治療するためのより良い選択肢が依然として必要とされている。
【発明の概要】
【0011】
本開示は、上記で詳述した問題および必要性に対処する、口腔粘膜炎の治療を必要とする患者において口腔粘膜炎を治療する方法を提供する。いくつかの実施形態では、この方法は、有効量のビスホスホシン、またはその薬学的に許容される塩を患者に投与することを含む。いくつかの実施形態では、ビスホスホシンは、Nu-2、Nu-3、Nu-4、Nu-5、およびNu-8からなる群より選択される。
【0012】
いくつかの実施形態では、投与は局所投与である。いくつかの実施形態では、局所投与は患者の口腔に適用される。
【0013】
いくつかの実施形態では、投与は、ゲル、軟膏、油、溶液、懸濁液、乳濁液または他の粘性組成物中のビスホスホシンを使用して実施される。いくつかの実施形態では、投与は、含嗽液中のビスホスホシンを使用して実施される。いくつかの実施形態では、患者は、少なくとも1つのさらなる活性成分を投与される。いくつかの実施形態では、ビスホスホシンは、薬学的に許容される担体と共に投与される。
【0014】
いくつかの実施形態では、投与は、複数回投与レジメンとして実施される。いくつかの実施形態では、投与は、1日1回以上実施される。いくつかの実施形態では、患者はヒトである。
【0015】
本開示の別の態様は、口腔粘膜炎の治療を必要とする患者において口腔粘膜炎を治療する方法を提供する。いくつかの実施形態では、この方法は、ビスホスホシン、またはその薬学的に許容される塩、および薬学的に許容される担体を含む有効量の医薬組成物を患者の口腔に局所投与することを含む。いくつかの実施形態では、ビスホスホシンは、Nu-2、Nu-3、Nu-4、Nu-5、およびNu-8からなる群より選択される。
【0016】
いくつかの実施形態では、投与は、ゲル、軟膏、油、溶液、懸濁液、乳濁液または他の粘性組成物中のビスホスホシンを使用して実施される。いくつかの実施形態では、投与は、含嗽液中のビスホスホシンを使用して実施される。
【0017】
いくつかの実施形態では、ビスホスホシンは、約1%~約20%(重量/重量)の量で医薬組成物中に存在する。いくつかの実施形態では、ビスホスホシンは、約5%~約15%(重量/重量)の量で医薬組成物中に存在する。いくつかの実施形態では、ビスホスホシンは、約30%~約50%(重量/重量)の量で医薬組成物中に存在する。
【0018】
いくつかの実施形態では、投与は、複数回投与レジメンとして実施される。いくつかの実施形態では、投与は、1日1回以上実施される。いくつかの実施形態では、患者はヒトである。
【0019】
本開示の別の態様は、ビスホスホシン、またはその薬学的に許容される塩、および薬学的に許容される担体を含む、口腔粘膜炎を治療するための医薬組成物を提供する。いくつかの実施形態では、ビスホスホシンは、Nu-2、Nu-3、Nu-4、Nu-5、およびNu-8からなる群より選択される。
【0020】
いくつかの実施形態では、ビスホスホシンは、約1%~約20%(重量/重量)の量で医薬組成物中に存在する。いくつかの実施形態では、ビスホスホシンは、約5%~約15%(重量/重量)の量で医薬組成物中に存在する。いくつかの実施形態では、ビスホスホシンは、約30%~約50%(重量/重量)の量で医薬組成物中に存在する。
【0021】
いくつかの実施形態では、薬学的に許容される担体は希釈剤である。いくつかの実施形態では、希釈剤は、水、グリセロール、マンニトール、および生理食塩水から選択される。いくつかの実施形態では、生理食塩水はリン酸緩衝生理食塩水である。
【0022】
いくつかの実施形態では、希釈剤は、約1%~約10%(重量/重量)の量で医薬組成物中に存在する。いくつかの実施形態では、希釈剤は、約1%~約15%(重量/重量)の量で医薬組成物中に存在する。いくつかの実施形態では、希釈剤は、約1%~約20%(重量/重量)の量で医薬組成物中に存在する。
【0023】
本開示の別の態様は、口腔粘膜炎の治療を必要とする患者において口腔粘膜炎を治療する方法を提供する。いくつかの実施形態では、この方法は、有効量の本開示の医薬組成物を患者の口腔に局所投与することを含む。
【0024】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約pH1.5~約pH4のpHを有する。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約pH3~約pH4のpHを有する。
【0025】
本開示の別の態様は、口腔粘膜炎を治療するのに使用するための、Nu-2、Nu-3、Nu-4、Nu-5、およびNu-8からなる群より選択されるビスホスホシン、またはその薬学的に許容される塩を提供する。
【0026】
本開示の別の態様は、口腔粘膜炎を治療するための薬剤を製造するための、ビスホスホシン、またはその薬学的に許容される塩の使用を提供する。
【0027】
本開示の別の態様は、口腔粘膜炎を治療するのに使用するための、Nu-2、Nu-3、Nu-4、Nu-5、およびNu-8からなる群より選択されるビスホスホシン、またはその薬学的に許容される塩、および薬学的に許容される担体を含む医薬組成物を提供する。
【0028】
本開示の別の態様は、口腔粘膜炎を治療するための薬剤を製造するための、Nu-2、Nu-3、Nu-4、Nu-5、およびNu-8からなる群より選択されるビスホスホシン、またはその薬学的に許容される塩、および薬学的に許容される担体を含む医薬組成物の使用を提供する。
【0029】
本開示の実施形態による方法および/または医薬組成物の1つの利点は、本開示の化合物の活性の作用機序が、グラム陽性菌およびグラム陰性菌の両方を含む多くの異なる臨床的に関連する病原性細菌に対して有効であることである。本開示の実施形態による方法および/または医薬組成物の別の利点は、実施形態による本開示の化合物が、有効量の本開示の化合物で治療される患者に対して非毒性であることである。
【0030】
本開示の化合物を含む方法および/または医薬組成物の別の利点は、そのような化合物が比較的速効性であり、したがって、臨床または毎日の口腔衛生に有効な典型的期間、典型的には10秒から5分までの範囲の期間よりも長く粘膜潰瘍と接触する必要がないことであるが、より長い治療期間も使用され得る。
【0031】
本開示の実施形態による方法および/または医薬組成物のさらなる利点は、そのような方法および/または医薬組成物が、バイオフィルムによって引き起こされる感染症を治療するのに有用であることである。バイオフィルムによって引き起こされるそのような感染症は、カンジダ・グラブラータ(Candida glabrate)バイオフィルムによって引き起こされる口腔粘膜炎に記載されている。本開示の実施形態による医薬組成物の別の利点は、そのような医薬組成物が化学療法治療中または治療後に使用できることである。
【0032】
本開示のこれらおよび他の目的、利点、および特徴は、以下でさらに十分に説明されるように、本開示による化合物および医薬組成物ならびにそれらの使用の詳細を読むことで当業者に明らかになるであろう。
【0033】
本発明のいくつかの実施形態の教示は、添付の図面と併せて為される説明を参照することによってよりよく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1A図1Aは、動物の粘膜炎スコアゼロ(0)を示す。
図1B図1Bは、動物の粘膜炎スコア1を示す。
図1C図1Cは、動物の粘膜炎スコア2を示す。
図1D図1Dは、動物の粘膜炎スコア3を示す。
図1E図1Eは、動物の粘膜炎スコア4を示す。
図1F図1Fは、動物の粘膜炎スコア5を示す。
図2図2は、動物の1日あたりの平均体重変化率データを示す。
図3図3は、動物の1日平均粘膜炎スコアを示す。
図4図4は、試験全体について動物の粘膜スコアが3以上の日数の割合を示す。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下に記載される実施形態は、網羅的であること、または本発明を以下の詳細な説明に開示される明確な形態に限定することを意図するものではない。むしろ、これらの実施形態は、当業者が本開示の原理および実施を正しく評価し、理解し得るように選択され、説明される。
【0036】
本開示は、口腔粘膜炎の制御を必要とする患者において口腔粘膜炎を制御する方法を提供する。いくつかの実施形態では、有効量のビスホスホシン、またはその薬学的に許容される塩を患者に投与する。
【0037】
本明細書で使用される場合、「ビスホスホシン」という用語は、Nu-2、Nu-3、Nu-4、Nu-5、およびNu-8、またはそれらの薬学的に許容される塩を含む、抗菌活性を有する化合物のクラスを指す。すべてが、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、米国特許第6,627,215号;同第6,211,162号;同第7,868,162号;同第7,176,191号;同第8,435,960号;および同第6,211,349号;ならびに米国特許出願公開第2017-0191062号;同第2018-0258128号;同第2018-0353529号は、ビスホスホシンおよびビスホスホシンを製造し、使用する方法を開示する。「ビスホスホシン」および「本開示の化合物」という用語は、本明細書では互換的に使用される。
【0038】
Nu-2の化学名は、((2R,3R,4R,5R)-5-(2,4-ジオキソ-3,4-ジヒドロピリミジン-1(2H)-イル)-3-((ヒドロキシ(4-ヒドロキシブトキシ)ホスホリル)オキシ)-4-メトキシテトラヒドロフラン-2-イル)メチル(4-ヒドロキシブチル)リン酸水素である。Nu-2の分子式は、C183214である。Nu-2は、次の式:
【化1】

を有する。
【0039】
Nu-3の化学名は、(2R,3S)-2-((ブトキシ(ヒドロキシ)ホスホリル)オキシ)メチル)-5-(5-メチル-2,4-ジオキソ-3,4-ジヒドロピリミジン-1(2H)-イル)テトラヒドロフラン-2-イル)ブチルリン酸水素である。Nu-3の分子式は、C183211である。Nu-3は、次の式:
【化2】

を有する。
【0040】
Nu-4の化学名は、((2R,3S)-3-((ブトキシ(ヒドロキシ)ホスホリル)オキシ)テトラヒドロフラン-2-イル)メチルブチルリン酸水素である。Nu-4の分子式は、C1328である。Nu-4は、次の式:
【化3】

を有する。
【0041】
Nu-5の化学名は、ジブチル(オキシビス(エタン-2,1-ジイル))ビス(リン酸水素)である。Nu-5の分子式は、C1228である。Nu-5は、次の式:
【化4】

を有する。
【0042】
Nu-8の化学名は、((2R,3S,5R)-5-(4-アミノ-2-オキソピリミジン-1(2H)-イル)-3-((ブトキシオキシドホスホリル)オキシ)テトラヒドロフラン-2-イル)メチルブチルホスファートである。Nu-8の分子式は、C1729Na10である。Nu-8の分子量は543.11Daである。Nu-8は、次の式:
【化5】

を有する。
【0043】
本開示の化合物を、本明細書で例示される特定の化合物を参照して説明する。さらに、本開示の化合物は、任意の数の様々な異なる形態または誘導体で存在してもよく、すべて本開示の範囲内である。代替的な形態または誘導体には、例えば、薬学的に許容される塩、プロドラッグおよび活性代謝物、互変異性体、ならびにその水和物および溶媒和物を含む様々な結晶形態、多形または非晶質固体を含むがこれらに限定されない固体形態、ならびに他の形態が含まれる。
【0044】
異なる指定がない限り、本開示の化合物の規格には、そのような化合物の薬学的に許容される塩が含まれる。したがって、本開示の化合物は、薬学的に許容される塩の形態であり得るか、または薬学的に許容される塩として製剤化され得る。本開示の企図される薬学的に許容される塩形態には、モノ、ビス、トリス、テトラキスなどが含まれるが、これらに限定されない。本開示の薬学的に許容される塩は、そのような薬学的に許容される塩が投与される量および濃度で非毒性である。本開示のそのような薬学的に許容される塩の調製は、本開示の化合物がその生理学的効果を発揮するのを妨げることなく、本開示の化合物の物理的特性を改変することによって薬理学的使用を容易にすることができる。
【0045】
本明細書で使用される場合、塩ならびに担体、賦形剤、および希釈剤などの製剤成分に関して「薬学的に許容される」という用語は、患者に有害ではなく、他の成分、活性成分、塩または構成要素と適合性である塩および成分を指す。薬学的に許容されるとは、「獣医学的に許容される」を含み、したがってヒトおよび非ヒト哺乳動物の両方の用途を独立して含む。
【0046】
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される塩」という用語は、アルカリ金属塩を形成するため、および遊離酸または遊離塩基の付加塩を形成するために一般的に使用される塩を指す。そのような塩には、例えば、当業者に公知であるHandbook of Pharmaceutical Saltsに列挙されている薬学的に許容される塩が含まれる。塩の形成は、不安定なプロトンを有する1つ以上の位置で起こり得る。本開示の化合物の薬学的に許容される塩には、酸付加塩および塩基付加塩の両方が含まれる。
【0047】
いくつかの実施形態では、本開示の化合物の適切な薬学的に許容される酸付加塩は、無機酸または有機酸から調製され得る。そのような無機酸の例には、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硝酸、炭酸、硫酸、およびリン酸が含まれるが、これらに限定されない。適切な有機酸には、脂肪族、脂環式、芳香族、アリール脂肪族、複素環式、カルボン酸、およびスルホン酸のクラスの有機酸が含まれるが、これらに限定されず、その例は、いくつか挙げると、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、グルコン酸、マレイン酸、エンボン酸(パモ酸)、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、2-ヒドロキシエタンスルホン酸、パントテン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、スルファニル酸、メシル酸、シクロヘキシルアミノスルホン酸、ステアリン酸、アルゲン酸、β-ヒドロキシ酪酸、マロン酸、ガラクト酸、およびガラクツロン酸である。薬学的に許容される酸性/陰イオン塩にはまた、とりわけ、酢酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重炭酸塩、酒石酸水素塩、臭化物塩、エデト酸カルシウム、カンシル酸塩、炭酸塩、塩化物塩、クエン酸塩、二塩酸塩、エデト酸塩、エジシル酸塩、エストル酸塩、エシル酸塩、フマル酸塩、グリセプタート、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、グリコリルアルサニラート、ヘキシルレゾルシン酸塩、臭化水素酸塩、塩酸塩、ヒドロキシナフトエ酸塩、ヨウ化物塩、イセチオン酸塩、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、マンデル酸塩、メシル酸塩、メチル硫酸塩、ムチン酸塩、ナプシル酸塩、硝酸塩、パモ酸塩、パントテン酸塩、リン酸塩/二リン酸塩、ポリガラクツロン酸塩、サリチル酸塩、ステアリン酸塩、塩基性酢酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、硫酸水素塩、タンニン酸塩、酒石酸塩、テオクル酸塩、トシル酸塩、およびトリエチオダイド塩が含まれる。
【0048】
いくつかの実施形態では、本開示の化合物の適切な薬学的に許容される塩基付加塩には、アルミニウム、カルシウム、リチウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウムおよび亜鉛から作製される金属塩、またはN、N’-ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、N-メチルグルカミン、リシン、アルギニンおよびプロカインから作製される有機塩が含まれるが、これらに限定されない。これらの塩はすべて、本開示の化合物を適切な酸または塩基で処理することによって、本開示の化合物から従来の手段によって調製し得る。薬学的に許容される塩基性/陽イオン塩には、いくつか例を挙げると、ジエタノールアミン塩、アンモニウム塩、エタノールアミン塩、ピペラジン塩およびトリエタノールアミン塩も含まれる。いくつかの実施形態では、本開示の薬学的に許容される塩は、一価カチオンまたは二価カチオンを含む。
【0049】
いくつかの実施形態では、本開示の薬学的に許容される塩は、アンモニウム塩、カルシウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、およびコバルト塩からなる群より選択される。いくつかの実施形態では、アンモニウム塩は、アンモニウム((2R,3S,5R)-5-(4-アミノ-2-オキソピリミジン-1(2H)-イル)-3-((ブトキシオキシドホスホリル)オキシ)テトラヒドロフラン-2-イル)メチルブチルホスファートである。いくつかの実施形態では、カルシウム塩は、カルシウム((2R,3S,5R)-5-(4-アミノ-2-オキソピリミジン-1(2H)-イル)-3-((ブトキシオキシドホスホリル)オキシ)テトラヒドロフラン-2-イル)メチルブチルホスファートである。いくつかの実施形態では、ナトリウム塩は、ナトリウム((2R,3S,5R)-5-(4-アミノ-2-オキソピリミジン-1(2H)-イル)-3-((ブトキシオキシドホスホリル)オキシ)テトラヒドロフラン-2-イル)メチルブチルホスファートである。いくつかの実施形態では、カリウム塩は、カリウム((2R,3S,5R)-5-(4-アミノ-2-オキソピリミジン-1(2H)-イル)-3-((ブトキシオキシドホスホリル)オキシ)テトラヒドロフラン-2-イル)メチルブチルホスファートである。いくつかの実施形態では、マグネシウム塩は、マグネシウム((2R,3S,5R)-5-(4-アミノ-2-オキソピリミジン-1(2H)-イル)-3-((ブトキシオキシドホスホリル)オキシ)テトラヒドロフラン-2-イル)メチルブチルホスファートである。いくつかの実施形態では、コバルト塩は、コバルト((2R,3S,5R)-5-(4-アミノ-2-オキソピリミジン-1(2H)-イル)-3-((ブトキシオキシドホスホリル)オキシ)テトラヒドロフラン-2-イル)メチルブチルホスファートである。
【0050】
本開示の薬学的に許容される塩は、本開示が関係する技術分野で公知の標準的な技術によって調製することができる。例えば、本開示の化合物の遊離塩基形態は、適切な酸を含む水性または水性アルコール溶液などの適切な溶媒に溶解し、次いで、溶液を蒸発させることによって単離することができる。別の例では、塩は、有機溶媒中で遊離塩基と酸を反応させることによって調製することができる。特定の化合物が酸である場合、所望の薬学的に許容される塩は、例えば、遊離酸を適切な無機または有機塩基で処理することを含む、任意の適切な方法によって調製し得る。
【0051】
本開示の化合物に加えて、本開示はまた、プロドラッグ(例えば薬学的に許容されるプロドラッグ)、活性代謝誘導体(活性代謝物)、およびそれらの薬学的に許容される塩を含む。
【0052】
プロドラッグは、生理学的条件下で代謝されたとき、または加溶媒分解によって変換されたときに所望の活性化合物を生じる化合物またはその薬学的に許容される塩である。典型的には、プロドラッグは不活性であるかまたは活性化合物よりも活性が低いが、1つ以上の有利な取り扱い、投与、および/または代謝特性を提供し得る。いくつかのプロドラッグは、酵素的に活性化されて活性化合物を生成するか、または化合物がさらなる化学反応を受けて活性化合物を生成し得る。プロドラッグは、単一工程でプロドラッグ形態から活性形態に進み得るか、またはそのような形態が活性を有するかもしくは不活性であり得る1つ以上の中間形態を有し得る。
【0053】
プロドラッグは、概念的に、バイオ前駆体プロドラッグおよび担体プロドラッグを含む、2つの非排他的カテゴリーに分類することができる。一般に、バイオ前駆体プロドラッグは、不活性であるか、または1つ以上の保護基を含み、代謝もしくは加溶媒分解によって活性型に変換される対応する活性薬物化合物と比較して低い活性を有する化合物である。活性薬物形態および任意の放出された代謝産物の両方は、許容できるほど低い毒性を有するべきである。典型的には、活性薬物化合物の形成には、以下の種類のいずれかである代謝過程または反応が含まれる。
【0054】
酸化反応:酸化反応は、アルコール、カルボニルおよび酸官能基の酸化、脂肪族炭素のヒドロキシル化、脂環式炭素原子のヒドロキシル化、芳香族炭素原子の酸化、炭素-炭素二重結合の酸化、窒素含有官能基の酸化、ケイ素、リン、ヒ素および硫黄の酸化、酸化的N-脱アルキル化、酸化的O-およびS-脱アルキル化、酸化的脱アミノ化、ならびに他の酸化反応などの反応によって例示されるが、これらに限定されない。
【0055】
還元反応:還元反応は、カルボニル官能基の還元、アルコール官能基および炭素-炭素二重結合の還元、窒素含有官能基の還元、ならびに他の還元反応などの反応によって例示されるが、これらに限定されない。
【0056】
酸化状態を変化させない反応:酸化状態を変化させない反応は、エステルおよびエーテルの加水分解、炭素-窒素単結合の加水分解切断、非芳香族複素環の加水分解開裂、多重結合での水和および脱水、脱水反応、加水分解的脱ハロゲン化、ハロゲン化水素分子の除去、および他のそのような反応から生じる新しい原子結合などの反応によって例示されるが、これらに限定されない。
【0057】
担体プロドラッグは、例えば、作用部位(1つまたは複数)への取り込みおよび/または局所送達を改善する輸送部分を含む薬物化合物である。そのような担体プロドラッグについて望ましくは、薬物部分と輸送部分との間の結合は共有結合であり、プロドラッグは不活性であるかまたは薬物化合物よりも活性が低く、プロドラッグおよび任意の放出輸送部分は許容できるほど非毒性である。輸送部分が取り込みを増強することを意図するプロドラッグの場合、典型的には輸送部分の放出は迅速であるべきである。他の場合には、徐放を提供する部分、例えば特定のポリマーまたはシクロデキストリンなどの他の部分を利用することが望ましい。そのような担体プロドラッグは、経口投与される薬物にとってしばしば有利である。場合によっては、輸送部分は薬物の標的送達を提供する。例えば、薬物は、抗体または抗体断片にコンジュゲートされ得る。担体プロドラッグは、例えば、以下の特性の1つ以上を改善するために使用することができる:親油性の増加、薬理学的効果の持続時間の増加、部位特異性の増加、毒性および有害反応の減少、ならびに/または薬物製剤の改善(例えば安定性、水溶性、望ましくない官能的もしくは物理化学的特性の抑制)。例えば、親油性は、ヒドロキシル基を親油性カルボン酸でエステル化することによって、またはカルボン酸基をアルコール、例えば脂肪族アルコールでエステル化することによって増加させることができる。
【0058】
代謝物、例えば活性代謝物は、上記のようにプロドラッグ、例えばバイオ前駆体プロドラッグと重複する。したがって、そのような代謝物は、薬理学的に活性な化合物、または対象の体内での代謝過程から生じる誘導体である薬理学的に活性な化合物にさらに代謝される化合物である。これらのうち、活性代謝物は、そのような薬理学的に活性な誘導体化合物である。プロドラッグの場合、プロドラッグ化合物は一般に不活性であるか、または代謝産物よりも活性が低い。活性代謝物の場合、親化合物は、活性化合物または不活性プロドラッグのいずれかであり得る。例えば、いくつかの化合物では、1つ以上のアルコキシ基は、薬理学的活性を保持しながらヒドロキシル基に代謝され得、および/またはカルボキシル基は、例えばグルクロン酸抱合でエステル化され得る。場合によっては、複数の代謝物が存在する可能性があり、中間代謝物(1つまたは複数)がさらに代謝されて活性代謝物を提供する。例えば、場合によっては、代謝グルクロン酸抱合から生じる誘導体化合物は不活性または低活性であり得、さらに代謝されて活性代謝物を提供することができる。
【0059】
本開示の化合物の代謝物は、当技術分野で公知の日常的な技術を使用して同定され得、それらの活性は、Bertolini et al.;Wermuth、前出に記載されているような試験を使用して決定し得る。
【0060】
いくつかの化合物が互変異性を示し得ることは当業者に理解されている。そのような場合、本明細書で提供される式は、可能な互変異性形態のうちの1つのみを明確に表示する。したがって、本開示の化合物は、表示される化合物の任意の互変異性形態を表すことを意図しており、単に化合物の描画によって表示される特定の互変異性形態に限定されるものではないことが理解されるべきである。
【0061】
固体である薬剤の場合、化合物および塩は、異なる結晶または多形形態で存在し得るか、または共結晶として製剤化され得るか、または非晶質形態であり得るか、またはそれらの任意の組合せ(例えば部分的に結晶性、部分的に非晶質、もしくは多形の混合物)であり得、これらはすべて、本開示および特定の式の範囲内にあることが意図されていることが当業者には理解される。塩は酸/塩基付加によって形成されるが(すなわち、目的の化合物の遊離塩基または遊離酸は、それぞれ対応する付加塩基または付加酸と酸/塩基反応を形成し、イオン電荷相互作用をもたらす)、共結晶は、中性化合物間で形成される新しい化学種であり、同じ結晶構造内に化合物と追加の分子種をもたらす。
【0062】
場合によっては、本開示の化合物は、例えばアンモニウム、ジエチルアミン、エタノールアミン、エチレンジアミン、ジエタノールアミン、t-ブチルアミン、ピペラジン、メグルミンなどの塩基付加塩;例えば酢酸塩、アセチルサリチル酸塩、ベシル酸塩、カンシル酸塩、クエン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルタル酸塩、塩酸塩、マレイン酸塩、メシル酸塩、硝酸塩、シュウ酸塩、リン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、およびトシル酸塩などの酸付加塩;ならびに、例えばアラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシンまたはバリンなどのアミノ酸を含むがこれらに限定されない、酸または塩基と複合体を形成する。
【0063】
さらに、本開示の化合物は、水和または溶媒和形態、ならびに非水和または非溶媒和形態をカバーすることが意図されている。溶媒和物の他の例には、イソプロパノール、エタノール、メタノール、DMSO、酢酸エチル、酢酸またはエタノールアミンなどの適切な溶媒と組み合わせた本開示の化合物が含まれるが、これらに限定されない。
【0064】
いくつかの実施形態では、本開示の化合物はプロトン化された化合物である。本明細書で使用される場合、「プロトン化化合物」という用語は、プロトン(または正に帯電した水素イオン)を本開示の化合物のプロトン受容体部位に付加することによってプロトン化される本開示の化合物を指す。いくつかの実施形態では、プロトン受容体部位は、本開示の化合物のリン酸基、および本開示の化合物のリボースまたはブチル基のいずれか上の任意のさらなるプロトン受容体部位を含む。
【0065】
本開示の化合物上のプロトン化されるプロトン受容体部位の数が増加するにつれて、本開示の化合物をpH7の水に溶解したときに得られるpHが低下し、したがって、本開示の化合物のプロトン化の量は、本開示の化合物の添加後の水溶液のpHを測定することによって決定することができる。pHは、溶液の水素イオン濃度を示す。水素イオンの濃度が高い溶液は低いpHを有し、したがって酸性であり、一方水素イオンの濃度が低い溶液は高いpHを有し、したがって塩基性である。いくつかの実施形態では、本開示の化合物は、水(pH7)に溶解したとき、約pH7未満から約pH1までのpHを有する水溶液を形成するようにプロトン化される。本明細書で使用される場合、「約」という用語は、数値と共に使用される場合、指定される量(1つまたは複数)ならびに指定される量の20%、10%、5%、1%、0.5%および0.1%の変動を含むものとして解釈されるべきである。いくつかの実施形態では、本開示の化合物は、水に溶解したときに約pH6未満から約pH1のpHを有するプロトン化化合物である。いくつかの実施形態では、本開示の化合物は、水に溶解したときに約pH5から約pH1のpHを有するプロトン化化合物である。いくつかの実施形態では、本開示の化合物は、水に溶解したときに約pH4.5から約pH1のpHを有するプロトン化化合物である。いくつかの実施形態では、本開示の化合物は、水に溶解したときに約pH4から約pH1のpHを有するプロトン化化合物である。いくつかの実施形態では、本開示の化合物は、水に溶解したときに約pH3から約pH1のpHを有するプロトン化化合物である。いくつかの実施形態では、本開示の化合物は、水に溶解したときに約pH2から約pH1のpHを有するプロトン化化合物である。いくつかの実施形態では、本開示の化合物は、水に溶解したときに約pH3から約pH5のpHを有するプロトン化化合物である。いくつかの実施形態では、本開示の化合物は、水に溶解したときに約pH3から約pH4のpHを有するプロトン化化合物である。
【0066】
いくつかの実施形態では、プロトン化は、強酸の存在下で本開示の化合物をインキュベートすることによって達成できる。本開示の化合物は、化合物上の反応性部位にプロトンを付加することによってプロトン化することができるが、本開示の化合物の他の修飾が可能であり、本明細書で使用されるプロトン化化合物という用語に包含されることが意図されている。いくつかの実施形態では、本開示の化合物のプロトン化形態は、精製された化合物、部分的に精製された化合物または粗化合物を低pH(例えば酸性)環境に供することによって生成できる。いくつかの実施形態では、精製された化合物または粗化合物は、リン酸、硝酸、塩酸、および酢酸を含む酸でプロトン化することができる。
【0067】
当業者に公知の本開示のプロトン化化合物を調製するための他の手順も、同様に本開示の範囲内であることが企図される。いくつかの実施形態では、本開示の化合物がひとたびプロトン化されると、そのような化合物は、例えば過剰の酸などの任意の望ましくない成分から分離し得る。当業者は、H+陽イオン交換体(例えばH+‐SCX)の使用を含むがこれに限定されない、望ましくない成分から化合物を分離する多くの方法を知っているであろう。いくつかの実施形態では、本開示の化合物を、プロトン化後にクロマトグラフィに供し得る。いくつかの実施形態では、本開示の化合物を、プロトン化後にポリ(スチレン-ジビニルベンゼン)ベースの樹脂(例えばHamiltonのPRP-1または3およびPolymer LabのPLRP)に流す。
【0068】
いくつかの実施形態では、本開示のプロトン化化合物を直接使用することができる。いくつかの実施形態では、本開示のプロトン化化合物をさらに処理して、例えば沈殿、逆相クロマトグラフィ、透析濾過またはゲル濾過を介して、過剰の酸または塩を除去することができる。いくつかの実施形態では、本開示のプロトン化化合物は、凍結乾燥、溶媒蒸発などによって濃縮することができる。いくつかの実施形態では、水または生理食塩水に懸濁した場合、本開示の化合物は、一般に、プロトン化/酸性化のレベルに依存して約pH3から約pH5のpHを示し、これは、酸性化工程で使用される酸の量によって決定される。いくつかの実施形態では、本開示の化合物は、水素イオンで帯電した陽イオン交換カラムを通過させることによってプロトン化することができる。
【0069】
いくつかの実施形態では、本開示の化合物における2つのブチル基の利用は、本開示の化合物の、限定されることなくエキソヌクレアーゼ分解を含む、実質的なヌクレアーゼ分解を防止または制限する。いくつかの実施形態では、ブチル基は、本開示の化合物のリボースを保護するように配置される。酸分解率は、機能性分子の損失を評価するための分析HPLCを使用して、または他の適切な方法によって決定し得る。酸の分解は、一般に時間の関数として測定される。いくつかの実施形態では、本開示の化合物はまた、ヌクレアーゼ耐性であり、これは、そのような化合物がインビボ状況で活性(例えばpH安定性)を維持することを可能にする。ヌクレアーゼを含む状況における本開示の化合物の分解率は、例えば質量分析などの当業者に公知の方法によって決定し得る。ヌクレアーゼ分解は、一般に時間の関数として測定される。いくつかの実施形態では、酸またはヌクレアーゼ分解の程度または速度を決定する際に参照化合物を使用する。いくつかの実施形態では、本開示の化合物は、参照化合物よりも10%、20%、30%、40%、50%、70%、90%、100%、150%、200%、300%、500%または750%安定である。
【0070】
いくつかの実施形態による本開示の化合物は、任意の微生物に対して活性を有する抗菌剤として有用である。本明細書で使用される場合、「微生物」、「微生物の」などの用語は、細菌、真菌、原生動物、ウイルス、酵母などを指す。本明細書で使用される場合、「抗菌剤」という用語は、微生物を死滅させるかもしくは増殖を阻害する能力、または微生物感染の重症度を軽減する能力を有する本開示の化合物を指す。本開示の化合物が有効である細菌の非限定的なリストには、グラム陽性菌、グラム陰性菌、遅延発育型菌および抗酸菌、ならびに以下の属に含まれる任意の種が含まれるが、これらに限定されない:アエロコッカス属(Aerococcus)、リステリア属(Listeria)、ストレプトミセス属(Streptomyces)、クラミジア属(Chlamydia)、乳酸杆菌属(Lactobacillus)、ユーバクテリウム属(Eubacterium)、バークホルデリア属(Burkholderia)、ステノトロフォモナス属(Stentrophomonas)、アクロモバクター属(Achromobacter)、アラクニア属(Arachnid)、ミコバクテリウム属(Mycobacterium)、ペプトストレプトコッカス属(Peptostreptococcus)、ブドウ球菌属(Staphylococcus)、コリネバクテリウム属(Corynebacterium)、エリシペロスリックス属(Erysipelothrix)、デルマトフィルス属(Dermatophilus)、ロドコッカス属(Rhodococcus)、シュードモナス属(Pseudomonas)、連鎖球菌属(Streptococcus)、バチルス属(Bacillus)、ペプトコッカス属(Peptococcus)、肺炎球菌属(Pneumococcus)、ミクロコッカス属(Micrococcus)、ナイセリア属(Neisseria)、クレブシエラ属(Klebsiella)、クルチア属(Kurthia)、ノカルジア属(Nocardia)、セラチア属(Serratia)、ロチア属(Rothia)、エシェリキア属(Escherichia)、プロピオン酸菌属(Propionibacterium)、アクチノミセス属(Actinomyces)、ヘリコバクター属(Helicobacter)、エンテロコッカス属(Enterococcus)、赤痢菌属(Shigella)、ビブリオ属(Vibrio)、クロストリジウム属(Clostridium)、サルモネラ属(Salmonella)、エルジニア属(Yersinia)、およびヘモフィルス属(Haemophilus)。
【0071】
本開示の化合物が有効である真菌の非限定的なリストには、トリコフィトン属(Trichophyton)、エピデルモフィトン属(Epidermophyton)、ミクロスポルム属(Microsporum)、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)および他のカンジダ属(Candida)種、ピチロスポルム・オルビクラーレ(Pityrosporum orbiculare)、トリコフィトン・メンタグロフィテス(Trichophyton mentagrophytes)、トリコフィトン・ルブラム(Trichophyton rubrum)、エピデルモフィトン・フロッコスム(Epidermophyton floccosurn)、およびトリコフィトン・トンスランス(Trichophyton tonsurans)が含まれるが、これらに限定されない。本開示の化合物が有効であるウイルスの非限定的なリストには、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、単純ヘルペスウイルス(HSV)、サイトメガロウイルス(CMV)、B型肝炎ウイルス(HBV)、C型肝炎ウイルス(HCV)、およびインフルエンザウイルスが含まれるが、これらに限定されない。
【0072】
「治療」、「治療する」などの用語は、本明細書では、一般に所望の薬理学的および/または生理学的効果を得ることを意味するために使用される。効果は、疾患もしくはその症状を完全にもしくは部分的に予防するという点で予防的であり得、および/または疾患(もしくは感染)および/もしくは疾患(もしくは感染)に起因する有害作用の部分的もしくは完全な治癒という点で治療的であり得る。本明細書で使用される「治療」、「治療する」などの用語には、
(a)口腔粘膜炎の素因を有する可能性があるが、まだ口腔粘膜炎を有すると診断されていない患者において口腔粘膜炎の発症を予防すること;
(b)患者が口腔粘膜炎を発症するリスクを低減すること(例えば放射線もしくは化学療法治療後);
(c)口腔粘膜炎の進行もしくは伝播を阻害すること;または
(d)口腔粘膜炎の1つ以上の症状を緩和すること
も含まれるが、これらに限定されない。
【0073】
「治療」、「治療する」などの用語はまた、患者における口腔粘膜炎の症状を予防する、阻害する、または緩和することを含む。本開示はまた、口腔粘膜炎を有する患者もしくはこの疾患を発症する素因を有する患者を治療すること、またはこの疾患を有する患者における口腔粘膜炎の1つ以上の症状を改善することを対象とする。本明細書で使用される場合、口腔粘膜炎に関連する「症状」は、この疾患に関連する任意の臨床症状または検査所見を含み、対象が感じるまたは観察することができるものに限定されない。「治療」は、患者の口腔粘膜炎の決定または診断後の場合、患者の口腔粘膜炎の症状を緩和することを含み得ることも理解されよう。
【0074】
本明細書で使用される場合、「患者」という用語は、例えばヒト、他の霊長動物(例えばサル、チンパンジーなど)、コンパニオンアニマル(例えばイヌ、ネコ、ウマなど)、家畜(例えばヤギ、ヒツジ、ブタ、ウシなど)、実験動物(例えばマウス、ラットなど)、野生動物および動物園動物(例えばオオカミ、クマ、シカなど)などの任意の哺乳動物を含むがこれらに限定されない、本開示の化合物で治療される生物を指す。
【0075】
本開示の方法を実施する際には、有効量の本開示の化合物が、それを必要とする患者に投与される。本明細書で使用される場合、投与の文脈における「有効量」という用語は、患者に投与されたときに、疾患もしくは状態(すなわち適応症)の1つ以上の症状を予防、緩和もしくは改善する、および/または治療を受けている患者の生存を延長するのに十分である、本開示の化合物または医薬組成物の量を指す。そのような量は、治療される患者に有害事象を全くまたはほとんどもたらさないべきである。同様に、そのような量は、治療される患者に毒性作用を全くまたはほとんどもたらさないべきである。当技術分野に精通する者に理解されるように、本開示の化合物または医薬組成物の量は、本開示の化合物の活性(例えば標的に対する本開示の化合物のインビトロ活性、または動物有効性モデルにおけるインビボ活性)、動物モデルにおける薬物動態結果(例えば生物学的半減期またはバイオアベイラビリティ)、治療される患者の種類、患者の年齢、大きさ、体重および全般的な体調、患者に関連する障害、ならびに治療に使用される投薬レジメンを含むがこれらに限定されない、多くの因子に依存して異なる。
【0076】
本開示のいくつかの実施形態では、本開示の化合物を必要とする患者に送達される本開示の化合物の有効量は、患者の体重1キログラムあたりの本開示の化合物のマイクログラムを決定することによって定量化できる。いくつかの実施形態では、患者に投与される本開示の化合物の量は、患者の体重1キログラム(kg)あたり約0.1~約1000ミリグラム(mg)の本開示の化合物である。いくつかの実施形態では、患者に投与される本開示の化合物の量は、患者の体重1kgあたり約0.1~約500mgの本開示の化合物である。いくつかの実施形態では、患者に投与される本開示の化合物の量は、患者の体重1kgあたり約0.1~約300mgの本開示の化合物である。いくつかの実施形態では、患者に投与される本開示の化合物の量は、患者の体重1kgあたり約0.1~約200mgの本開示の化合物である。いくつかの実施形態では、患者に投与される本開示の化合物の量は、患者の体重1kgあたり約0.1~約100mgの本開示の化合物である。当業者に理解されるように、複数の用量を使用し得る。
【0077】
本開示はまた、口腔粘膜炎を治療するための医薬組成物を提供する。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、ビスホスホシンまたはその薬学的に許容される塩、および薬学的に許容される担体を含む。いくつかの実施形態では、ビスホスホシンは、Nu-2、Nu-3、Nu-4、Nu-5、およびNu-8からなる群より選択される。本明細書で使用される場合、「医薬組成物」という用語は、本開示の化合物またはその薬学的に許容される塩を含み、治療目的で患者に投与するのに適した医薬製剤を指す。「医薬組成物」および「製剤」という用語は、本明細書では互換的に使用される。
【0078】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、1つ以上の薬学的に許容される担体、賦形剤または希釈剤を含むがこれらに限定されない、本開示の化合物の改善された製剤を提供するための少なくとも1つの薬学的に許容される成分を含み得る。担体、賦形剤または希釈剤は、投与のために望ましい製剤の形態に応じて多種多様な形態をとり得る。
【0079】
本明細書で使用される場合、「担体」という用語は、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、ラクトース、グルコースもしくはスクロースなどの様々な糖、様々な種類のデンプン、セルロース誘導体、ゼラチン、脂質、リポソーム、ナノ粒子、例えば注射用水(WFI)の滅菌溶液、生理食塩水、デキストロース溶液、ハンクス液、リンガー液、植物油、鉱油、動物油、ポリエチレングリコール、流動パラフィンなどを含む溶媒としてのまたは懸濁液用の薬学的に許容される液体を含むが、これらに限定されない。
【0080】
本明細書で使用される場合、「賦形剤」という用語は、一般に、充填剤、結合剤、崩壊剤、流動促進剤、潤滑剤、錯化剤、可溶化剤、安定剤、防腐剤、および界面活性剤を含むがこれらに限定されず、これらは特定の経路による化合物の投与を容易にするために選択され得る。適切な賦形剤はまた、例えば、コロイド状二酸化ケイ素、シリカゲル、タルク、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、アルミノケイ酸ナトリウム、三ケイ酸マグネシウム、粉末セルロース、マクロ結晶セルロース、カルボキシメチルセルロース、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム、安息香酸ナトリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ステアリン酸、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、フマル酸ステアリルナトリウム、シロイド、ステアロウェットC、酸化マグネシウム、デンプン、デンプングリコール酸ナトリウム、モノステアリン酸グリセリル、ジベヘン酸グリセリル、パルミトステアリン酸グリセリル、水素化植物油、水素化綿実油、ヒマシ油、鉱油、ポリエチレングリコール(例えばPEG 4000~8000)、ポリオキシエチレングリコール、ポロキサマー、ポビドン、クロスポビドン、クロスカルメロースナトリウム、アルギン酸、カゼイン、メタクリル酸ジビニルベンゼンコポリマー、ドクサートナトリウム、シクロデキストリン(例えば2-ヒドロキシプロピル-デルタ-シクロデキストリン)、ポリソルベート(例えばポリソルベート80)、セトリミド、TPGS(d-α-トコフェリルポリエチレングリコール1000スクシナート)、ラウリル硫酸マグネシウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリエチレングリコールエーテル、ポリエチレングリコールのジ脂肪酸エステル、またはポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル(例えばポリオキシエチレンソルビタンエステルTween(登録商標))、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、例えばオレイン酸、ステアリン酸またはパルミチン酸などの脂肪酸からのソルビタン脂肪酸エステル、マンニトール、キシリトール、ソルビトール、マルトース、ラクトース、ラクトース一水和物または噴霧乾燥ラクトース、スクロース、フルクトース、リン酸カルシウム、リン酸水素カルシウム、リン酸三カルシウム、硫酸カルシウム、デキストラート、デキストラン、デキストリン、デキストロース、酢酸セルロース、マルトデキストリン、シメチコン、ポリデキストローズ、キトサン、ゼラチン、HPMC(ヒドロキシプロピルメチルセルロース)、HPC(ヒドロキシプロピルセルロース)、ヒドロキシエチルセルロースなどを含み得る。
【0081】
当業者に理解されるように、当技術分野で公知の任意の希釈剤を本開示に従って利用し得る。本開示のいくつかの実施形態では、希釈剤は水溶性である。本開示のいくつかの実施形態では、希釈剤は水不溶性である。本明細書で使用される場合、「希釈剤」という用語は、水、生理食塩水、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)、デキストロース、グリセロール、エタノール、緩衝酢酸ナトリウムまたは緩衝酢酸アンモニウム溶液など、およびそれらの組合せを含むが、これらに限定されない。
【0082】
いくつかの実施形態では、医薬組成物はヒト医薬組成物である。本明細書で使用される場合、「ヒト医薬組成物」という用語は、ヒトへの投与を目的とした医薬組成物を指す。
【0083】
いくつかの実施形態では、本開示の医薬組成物は、含嗽液の形態であるか、またはゲル様ビヒクルと混合されている。いくつかの実施形態では、含嗽液は、一般に、希釈剤、石鹸、香味料、および/または着色剤の水性混合物を含む。いくつかの実施形態では、含嗽液は他の抗菌剤と組み合わされる。いくつかの実施形態では、ゲル様ビヒクルは、一般に、水溶性ゲル化剤と保湿剤との混合物を含み、任意で甘味剤および防腐剤などの他の成分を含み得る。いくつかの実施形態では、含嗽液およびゲル様医薬組成物は、優れた粘膜付着特性および口内滞留時間を提供し、高い患者コンプライアンスに関連する好ましい湿潤性および風味特性を有する。
【0084】
いくつかの実施形態では、本開示の医薬組成物は、水、グリセロール、マンニトール、生理食塩水、およびリン酸緩衝生理食塩水からなる群より選択される希釈剤を含む。いくつかの実施形態では、希釈剤は水である。いくつかの実施形態では、水は、約65%~約97.5%(重量/重量)の量で医薬組成物中に存在する。
【0085】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、本開示の化合物が約1~約20%、例えば約1~約10%の範囲の濃度で溶解され、およびpHが一般に約1.25~約5の範囲、例えば1.5、2、3および4の値にある生理食塩水希釈剤をさらに含む。いくつかの実施形態では、pHは、有効量の10%HClの添加などによる、任意の薬学的に許容される手段によって調整し得る。
【0086】
いくつかの実施形態では、含嗽液医薬組成物は、脱臭、清涼および/または消毒効果のために使用される非滅菌水溶液である。いくつかの実施形態では、含嗽液医薬組成物は、防腐剤および半活性成分としてアルコールを含む。いくつかの実施形態では、アルコールの量は18~26%の範囲であり、いくつかの実施形態では、医薬組成物の残りは主に水で構成される。いくつかの実施形態では、含嗽液は、口腔粘膜炎を治療または予防するのに有効な量で存在する1つ以上のビスホスホシンを含む。
【0087】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるゲルおよび含嗽液医薬組成物は、バイオフィルムによって引き起こされる感染症を治療するために有用である。バイオフィルムは、単一の微生物が水和した表面に付着し、他の微生物との接着細胞マトリックスとして成長するときに形成される。いくつかの実施形態では、バイオフィルムは、分泌されたポリマーでそれら自身を取り囲む微生物細胞の密に詰まったコミュニティを形成する。いくつかの実施形態では、バイオフィルムは、治療が困難であることが広く知られており、口腔粘膜炎に関係している。したがって、本開示のいくつかの実施形態は、バイオフィルムによって引き起こされる感染症の治療を含む。
【0088】
本開示のいくつかの実施形態は、バイオフィルムによって引き起こされる口腔粘膜炎を治療または予防するための方法であって、それを必要とする患者の口腔に、ビスホスホシンまたはその薬学的に許容される塩、またはそれらの任意の組合せを含み、ならびに生理食塩水およびリン酸緩衝生理食塩水からなる群より選択される希釈剤に約1~約10%の範囲の濃度で、および一般に約1.25~約5の範囲のpHで溶解され、さらなる実施形態ではpH1.5~約pH4、または約pH3~約pH4の範囲を有する、有効量の含嗽液組成物を投与することを含む方法を含む。
【0089】
いくつかの実施形態では、ビスホスホシンおよび/または医薬組成物は、従来の抗菌剤を投与するために使用される手段を含むがこれらに限定されない、任意の適切な手段による患者への投与に適する。本開示のビスホスホシンおよび/または医薬組成物は、経口、静脈内(「IV」)注射または注入、皮下(「SC」)、筋肉内(「IM」)、皮内、経皮(transdermal)、経皮(percutaneously)、皮下、局所、および粘膜経路を含むがこれらに限定されない、当業者によって考慮される任意の適用可能な経路を使用して投与し得る。そのような剤形は、ビスホスホシンが標的細胞に到達することを可能にするべきである。他の因子は当技術分野で周知であり、毒性およびビスホスホシンがその効果を発揮するのを遅らせる剤形などの考慮事項が含まれる。技術および製剤は、一般に、Remington:The Science and Practice of Pharmacy,21st edition,Lippincott,Williams and Wilkins,Philadelphia,Pa.,2005に見出し得る。
【0090】
いくつかの実施形態では、本開示の化合物および/または医薬組成物は、局所投与に適合される。本明細書で使用される場合、「局所投与」という用語は、本開示の化合物が皮膚層または粘膜を通過するように、患者の皮膚表面または粘膜に本開示の化合物を投与することを指す。経皮投与および経粘膜投与もまた、局所投与という用語に包含される。本明細書で使用される場合、「経皮」という用語は、患者の少なくとも1つの皮膚層または粘膜を横切る本開示の化合物の通過を指す。本明細書で使用される場合、「経粘膜」は、患者の粘膜を横切る本開示の化合物の通過を指す。特に明示または黙示されない限り、「局所投与」、「経皮投与」、および「経粘膜投与」という用語は、本明細書では互換的に使用される。
【0091】
生物活性化合物を患者の微生物に送達するための様々な局所送達システムは、当技術分野で周知である。そのようなシステムは、当技術分野における適切な担体の選択による、ローション、クリーム、ゲル、油、軟膏、溶液、懸濁液、乳濁液などを含むが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、本開示の化合物は、多価アルコールを含むゲルの形態で投与される。いくつかの実施形態では、本開示の化合物は、含嗽液の形態で投与される。
【0092】
いくつかの実施形態では、適切な担体には、植物油または鉱油、白色ワセリン(例えば白色軟パラフィン)、分枝鎖脂肪または油、動物性脂肪、および高分子量アルコール(例えばC12より大きい)が含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、担体は、本開示の化合物が可溶性であるように選択される。いくつかの実施形態では、乳化剤、安定剤、保湿剤、および抗酸化剤、ならびに所望する場合は、色または芳香を与える薬剤も含まれ得る。いくつかの実施形態では、エタノールまたはプロパノールなどの有機溶媒または共溶媒は、本開示のビスホスホシンおよび/または医薬組成物において使用され得る。いくつかの実施形態では、溶媒の蒸発は、再感染を阻害するために処置された表面上に残留物を残す。いくつかの実施形態では、浸透されるバリアに適切な浸透剤が使用される。そのような浸透剤は、当技術分野で一般に公知であり、胆汁酸塩およびフシジン酸誘導体を含むが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、浸透を促進するために界面活性剤を使用し得る。いくつかの実施形態では、局所投与用のクリームは、鉱油、自己乳化蜜蝋、および水の混合物から製剤化され、その混合物中に、少量の溶媒(例えば油)に溶解された本開示の化合物が混合される。いくつかの実施形態では、使用される特定の局所送達システムは、微生物の位置に依存する。
【0093】
いくつかの実施形態では、他の材料もまた、本開示の局所医薬組成物に添加されて、さらなる保湿効果を与え、医薬組成物の粘稠度を改善し得る。そこのような化合物の例には、セチルエステルワックス、ステアリルアルコール、セチルアルコール、グリセリン、メチルパラベン、プロピルパラベン、クアテルニウム-15、保湿剤、揮発性メチルシロキサン流体、およびポリジオルガノシロキサンポリオキシアルキレンが含まれるが、これらに限定されない。例えば、米国特許第5,153,230号および第4,421,769号参照。いくつかの実施形態において医薬組成物がさらなる洗浄効果を有することが望ましい場合、ラウリル硫酸ナトリウムまたはカルボン酸の金属塩などの化学物質を添加し得る。
【0094】
いくつかの実施形態では、多種多様な非揮発性皮膚軟化剤が、本開示の医薬組成物において有用である。そのような非揮発性皮膚軟化剤の非限定的な例は、McCutcheon’sに列挙されている。いくつかの実施形態では、非揮発性皮膚軟化剤には、シリコーン、炭化水素、エステル、およびそれらの混合物が含まれる。いくつかの実施形態では、エステルには、アルコールおよびポリオール(すなわち2つ以上のヒドロキシル基を有するアルコール)でエステル化された一官能性および二官能性脂肪酸のエステルが含まれる。いくつかの実施形態では、長鎖脂肪酸の長鎖エステル(すなわちC10~40脂肪アルコールでエステル化されたC10~40脂肪酸)が本開示の医薬組成物において利用される。本開示の医薬組成物において有用なエステルの非限定的な例には、アジピン酸ジイソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、プロピオン酸ミリスチル、ジステアリン酸エチレングリコール、パルミチン酸2-エチルヘキシル、ネオペンタン酸イソデシル、C12~15安息香酸アルコール、マレイン酸ジ-2-エチルヘキシル、パルミチン酸セリル、ミリスチン酸ミリスチル、ステアリン酸ステアリル、ステアリン酸セチル、ベヘン酸ベヘニル、およびそれらの混合物からなる群より選択されるものが含まれるが、これらに限定されない。
【0095】
本開示の医薬組成物において有用なシリコーン皮膚軟化剤の例には、ポリアルキルシロキサン、環状ポリアルキルシロキサン、およびポリアルキルアリールシロキサンが含まれるが、これらに限定されない。適切な市販のポリアルキルシロキサンには、ジメチコーンとしても知られるポリジメチルシロキサンが含まれ、その非限定的な例には、General Electric Companyによって販売されるVicasil(商標)シリーズおよびDow Corning Corporationによって販売されるDow Corning(商標)200シリーズが含まれる。市販のポリアルキルシロキサンには、とりわけ、シクロメチコーン(Dow Corning(商標)244流体)、Dow Corning(商標)344流体、Dow Corning(商標)245流体、およびDow Corning(商標)345)が含まれる。適切な市販のトリメチルシロキシシリカートは、Dow Corning(商標)593流体としてジメチコーンとの混合物として販売されている。ヒドロキシル末端ジメチルシリコーンであるジメチコノールも、本開示の医薬組成物において有用である。適切な市販のジメチコノールは、典型的にはジメチコーンまたはシクロメチコーンとの混合物として販売されている(例えばDow Corning(商標)1401、1402、および1403流体)。適切な市販のポリアルキルアリールシロキサンには、SF1075メチルフェニル流体(General Electric Companyによって販売)および556化粧品グレードのフェニルトリメチコーン流体(Dow Coring Corporationによって販売)が含まれる。
【0096】
本開示の医薬組成物での使用に適する炭化水素には、約10~約30個の炭素原子を有する直鎖および分岐鎖炭化水素が含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、直鎖および分岐鎖炭化水素は、約12~約24個の炭素原子を有する。いくつかの実施形態では、直鎖および分岐鎖炭化水素は、約16~約22個の炭素原子を有する。そのような炭化水素材料の非限定的な例には、とりわけ、ドデカン、スクアラン、コレステロール、5水素化ポリイソブチレン、ドコサン(すなわちC22炭化水素)、ヘキサデカン、およびイソヘキサデカン(Presperse,South Plainsfield,N.J.によってPermethyl(商標)101Aとして販売されている市販の炭化水素)が含まれる。
【0097】
いくつかの実施形態では、本開示の局所医薬組成物は、プロピレングリコールを含む。いくつかの実施形態では、プロピレングリコールは界面活性剤として作用し、本開示の化合物の浸透、接触、および吸収を助ける。いくつかの実施形態では、プロピレングリコールは防腐剤として機能する。いくつかの実施形態では、本開示の医薬組成物は、例えばポリソルバートなどの非イオン性界面活性剤を含む。そのような界面活性剤は、表面張力をさらに低下させることによって、本開示の医薬組成物と粘膜とのより良好な表面接触を提供する。
【0098】
本開示の局所医薬組成物はまた、任意で、例えばエマルジョンおよびリポソーム分散液などの親油相と共に製剤化され得る。いくつかの実施形態では、リポソーム製剤は、本開示の化合物の循環時間を延長し、本開示の化合物の透過性を高め、および抗菌剤としての本開示の化合物の全体的な効力を改善し得る。いくつかの実施形態では、本開示の化合物は、脂質、カチオン性脂質またはアニオン性脂質と組み合わせてもよい。いくつかの実施形態では、本開示の化合物のpH安定化品質と併せて得られるエマルジョンまたはリポソーム懸濁液は、本開示の医薬組成物の活性のインビボ半減期を効果的に増加させることができる。本開示の医薬組成物と共に使用するのに適するアニオン性脂質の例には、カルジオリピン、ジミリストイル、ジパルミトイル、ジオレオイルホスファチジルコリン、ホスファチジルグリセロール、パルミトイルオレオイルホスファチジルコリン、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジン酸、リゾホスファチジン酸、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、およびコレステロールのアニオン形態が含まれるが、これらに限定されない。
【0099】
いくつかの実施形態では、本開示の化合物はリポソームに組み込まれる。いくつかの実施形態では、中性脂質、コレステロール、および/またはポリエチレングリコール(PEG)は、そのようなリポソームにおいて利用される。いくつかの実施形態では、リポソーム組成物は、部分的に水素化されたダイズホスファチジルコリン(PHSC)、コレステロール、メトキシ末端PEG(mPEG)、および/またはジステアロイルホスファチジルエタノールアミン(DSPE)からなる。リポソームは、当技術分野で公知の任意の適切な方法に従って調製することができる。
【0100】
いくつかの実施形態では、本開示のビスホスフィシンおよび/または医薬組成物は、経口投与に適合される。本明細書で使用される場合、「経口投与」という用語は、胃腸管への摂取のために本開示の化合物を患者の口に投与することを指す。いくつかの実施形態では、本開示の医薬組成物は、カプセル、錠剤、散剤、および懸濁液、溶液、エリキシル、シロップ、濃縮滴剤などの液体製剤を含むがこれらに限定されない、従来の経口剤形に製剤化することができる。いくつかの実施形態では、本開示の化合物は、固体賦形剤と組み合わせて、所望する場合は、適切な助剤を添加した後、任意で得られた混合物を粉砕し、および任意で顆粒の混合物を処理して、例えば錠剤、コーティング錠、ハードカプセル、ソフトカプセル、溶液(例えば水溶液、アルコールまたは油性溶液)などを得られ得る。いくつかの実施形態では、本開示の経口医薬組成物での使用に適する賦形剤には、ラクトース、グルコース、スクロース、マンニトール、またはソルビトールを含む糖などの充填剤;セルロース調製物、例えばトウモロコシデンプン、コムギデンプン、コメデンプン、ジャガイモデンプン、ゼラチン、トラガカントガム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC)、および/またはポリビニルピロリドン(PVPもしくはポビドン);ならびにヒマワリ油、オリーブ油、またはタラ肝油などの植物油および動物油を含む油性賦形剤が含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、本開示の経口医薬組成物はまた、例えば架橋ポリビニルピロリドン、寒天、もしくはアルギン酸、もしくはアルギン酸ナトリウムなどのそれらの塩などの崩壊剤;タルクもしくはステアリン酸マグネシウムなどの潤滑剤;グリセロールもしくはソルビトールなどの可塑剤;スクロース、フルクトース、ラクトース、もしくはアスパルテームなどの甘味剤;例えばペパーミント、冬緑油、もしくはサクランボ香料などの天然または人工香味剤;または染料もしくは顔料を含んでもよく、これらは、様々な用量または組合せの識別または特性評価に使用し得る。いくつかの実施形態では、本開示の経口医薬組成物はまた、適切なコーティングを有する糖衣錠コアを含み得る。いくつかの実施形態では、濃縮糖溶液を使用してもよく、これは、任意で、例えばアラビアゴム、タルク、ポリビニルピロリドン、カルボポールゲル、ポリエチレングリコール、二酸化チタン、ラッカー溶液、および適切な有機溶媒または溶媒混合物を含み得る。
【0101】
いくつかの実施形態では、経口的に使用することができる本開示のビスホスホシンおよび/または医薬組成物は、ゼラチンで作製されたプッシュフィット・カプセル(「ゲルキャップ」)、ならびにゼラチンとグリセロールまたはソルビトールなどの可塑剤とで作製された密封型ソフトカプセルを含むが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、プッシュフィット・カプセルは、ラクトースなどの充填剤、デンプンなどの結合剤、および/またはタルクもしくはステアリン酸マグネシウムなどの潤滑剤、および任意で安定剤と混合して本開示の化合物を含み得る。ソフトカプセルを含むいくつかの実施形態では、活性化合物は、脂肪油、流動パラフィン、液体ポリエチレングリコールなどの適切な液体に溶解または懸濁され得る。
【0102】
いくつかの実施形態では、本開示のビスホスホシンおよび/または医薬組成物は、非経口投与に適合される。本明細書で使用される場合、「非経口投与」という用語は、患者に注射または注入される本開示の化合物を指し、静脈内、筋肉内、動脈内、髄腔内、脳室内、嚢内、眼窩内、心臓内、皮内、腹腔内、経気管、皮下、表皮下、関節内、被膜下、クモ膜下、脊髄内、脳脊髄内、および胸骨内注射および注入を含むが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、非経口投与に適する本開示の医薬組成物は、例えば生理食塩水、ハンクス液またはリンガー液などの生理学的に適合性の緩衝液または溶液を含むがこれらに限定されない滅菌液体溶液中に製剤化され得る。いくつかの実施形態では、非経口投与に適する本開示の医薬組成物は、例えばグリセロール、プロピレングリコール、エタノール、液体ポリエチレングリコール、トリアセチン、植物油などの非水溶液中の分散液として調製され得る。いくつかの実施形態では、溶液はまた、例えばメチルパラベン、プロピルパラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサールなどの防腐剤を含み得る。さらに、非経口投与に適する本開示の医薬組成物は、例えば凍結乾燥形態を含む固体形態に製剤化され得、使用前に再溶解または懸濁され得る。いくつかの実施形態では、医薬組成物は針を介して投与される。
【0103】
本開示のいくつかの実施形態では、本開示の化合物および/または医薬組成物は、複数回投与レジメンとして投与される。本明細書で使用される場合、「複数回投与レジメン」という用語は、1日を超える治療期間を指す。本開示のいくつかの実施形態では、複数回投与レジメンは、最大約2日までの期間である。本開示のいくつかの実施形態では、複数回投与レジメンは、最大約3日までの期間である。本開示のいくつかの実施形態では、複数回投与レジメンは、最大約4日までの期間である。本開示のいくつかの実施形態では、複数回投与レジメンは、最大約5日までの期間である。本開示のいくつかの実施形態では、複数回投与レジメンは、最大約6日までの期間である。本開示のいくつかの実施形態では、複数回投与レジメンは、最大約7日までの期間である。本開示のいくつかの実施形態では、複数回投与レジメンは、最大約14日までの期間である。本開示のいくつかの実施形態では、複数回投与レジメンは、最大約1ヶ月までの期間である。本開示のいくつかの実施形態では、複数回投与レジメンは、最大約2ヶ月までの期間である。本開示のいくつかの実施形態では、複数回投与レジメンは、最大約3ヶ月までの期間である。本開示のいくつかの実施形態では、複数回投与レジメンは、最大約4ヶ月までの期間である。本開示のいくつかの実施形態では、複数回投与レジメンは、最大約5ヶ月までの期間である。本開示のいくつかの実施形態では、複数回投与レジメンは、最大約6ヶ月までの期間である。他の期間が本明細書で使用され得る。
【0104】
本開示のいくつかの実施形態では、本開示の化合物および/または医薬組成物は、慢性治療レジメンの一部として投与される。本明細書で使用される場合、「慢性治療レジメン」という用語は、患者の生涯の間の長期間にわたる本開示の化合物による治療を指す。いくつかの実施形態では、慢性治療は生涯にわたる治療である。
【0105】
本開示のいくつかの実施形態では、本開示の化合物および/または医薬組成物は、単回投与として投与される。本開示のいくつかの実施形態では、本開示の化合物は、単一単位用量として投与される。本明細書で使用される場合、「単位用量」という用語は、本開示の化合物の所定量である。本開示の化合物の量は、一般に、患者に投与される本開示の化合物の投与量、または例えばそのような投与量の半分または3分の1などのそのような投与量の都合のよい画分に等しい。本開示の方法によれば、「単回投与」および「単一単位用量」という用語は、本開示の化合物を単回適用として投与することができ、および複数回適用として投与することができる実施形態を含む。
【0106】
いくつかの実施形態では、本開示の化合物はまた、同じ疾患または状態を治療するための1つ以上のさらなる活性成分と組み合わせて使用され得る。本明細書で使用される場合、「活性成分」という用語は、治療的に活性な化合物、およびその任意のプロドラッグ、ならびに前記化合物および前記プロドラッグの薬学的に許容される塩、水和物、および溶媒和物を指す。いくつかの実施形態では、そのような組合せ使用は、異なる時点での本開示の化合物と1つ以上のさらなる活性成分の投与、または本開示の化合物と1つ以上のさらなる活性成分の同時投与を含む。いくつかの実施形態では、投与量は、本開示の化合物または組み合わせて使用される1つ以上のさらなる活性成分について、例えば本開示の化合物または単独で使用される1つ以上のさらなる活性成分と比較して投与される量の減少について、当業者に周知の方法によって変更され得る。いくつかの実施形態では、同時投与は、本開示の化合物と同じ剤形のさらなる活性成分の同時投与、本開示の化合物と別個の剤形のさらなる活性成分の同時投与、および本開示の化合物とさらなる活性成分の別個の投与を含む。与えられるさらなる活性成分の量は、本開示の化合物による治療法に基づいて当業者によって決定され得る。いくつかの実施形態では、本開示の化合物は、本明細書に記載のゲルまたは含嗽液医薬組成物に共製剤化され得るか、または他の活性成分と同時投与され得る。
【0107】
組合せでの使用は、1つ以上のさらなる活性成分または他の医療処置との使用を含み、1つ以上のさらなる活性成分または他の医療処置は、本開示の化合物もしくは医薬組成物とは異なる時間に(例えば数時間(例えば1、2、3、4~24時間など)以内などの短い時間内に、もしくはより長い時間(例えば1~2日、2~4日、4~7日、1~4週間など)内に)投与され得るか、または本開示の化合物もしくは医薬組成物と同時に投与され得ることが理解される。組合せでの使用はまた、1つ以上のさらなる活性成分または手術などの1回もしくはまれに投与される他の医療処置と、1つ以上のさらなる活性成分の投与または他の医療処置の完了の前または後の短い時間内またはより長い時間内に投与される本開示の化合物または医薬組成物との使用を含む。
【0108】
いくつかの実施形態では、本開示は、本開示の化合物または医薬組成物、および異なる投与経路または同じ投与経路によって送達される1つ以上のさらなる活性成分の送達を提供する。いくつかの実施形態では、任意の投与経路のための組合せでの使用は、本開示の化合物または医薬組成物、および同じ投与経路によって送達される1つ以上のさらなる活性成分を、2つの化合物が、投与されたときにそれらの治療活性を維持するように化学的に結合されている医薬組成物を含む任意の医薬組成物中で、一緒に送達することを含む。いくつかの実施形態では、1つ以上のさらなる活性成分は、本開示の化合物または医薬組成物と同時投与され得る。いくつかの実施形態では、同時投与による組合せでの使用は、共製剤もしくは化学的に結合された化合物の製剤の投与、または同じもしくは異なる経路によって投与される、互いに短い時間内(例えば1時間以内、2時間以内、3時間以内、最大24時間以内など)の別個の製剤中での2つ以上の化合物の投与を含む。いくつかの実施形態では、別個の製剤の同時投与は、1つの装置、例えば同じ吸入装置、同じ注射器などを介した送達による同時投与、または互いに短い時間内での別個の装置からの投与を含む。いくつかの実施形態では、本開示の化合物または医薬組成物と、同じ経路によって送達される1つ以上のさらなる活性成分との共製剤は、それらが、1つの製剤中に組み合わされた別個の化合物、または化合物が化学的に結合されているが、まだそれらの生物学的活性を維持するように修飾された化合物を含む1つの装置によって投与され得るように、材料を一緒に調製することを含む。いくつかの実施形態では、そのような化学的に結合された化合物は、インビボで実質的に維持される結合を有し得るか、または結合はインビボで分解して、2つの活性成分を分離し得る。
【0109】
本開示はまた、キットを提供する。いくつかの実施形態では、キットは、本開示による化合物、またはその薬学的に許容される塩、または本開示による医薬組成物を含む。本明細書で使用される場合、「キット」という用語は、本開示による化合物、またはその薬学的に許容される塩、または本開示による医薬組成物を収容する、例えばパッケージ、容器などの任意の製造物を指す。いくつかの実施形態では、本開示による化合物、またはその薬学的に許容される塩、または本開示による医薬組成物は、バイアル、ボトル、チューブ、フラスコまたはパッチに包装され、これは、箱、封筒、バッグなどの中にさらに包装され得る。いくつかの実施形態では、本開示による化合物、またはその薬学的に許容される塩、または本開示による医薬組成物は、患者への投与について米国食品医薬品局または米国内もしくは米国外の管轄区域もしくは領域の同様の規制機関によって承認されている。いくつかの実施形態では、キットは、使用説明書および/または本開示による化合物、もしくはその薬学的に許容される塩、もしくは本開示による医薬組成物が患者への投与について適切であるもしくは承認されていることの他の表示を含む。いくつかの実施形態では、本開示の化合物または組成物は、例えば単一単位用量の丸剤、カプセルなどのような単位用量または単一単位用量の形態で包装される。いくつかの実施形態では、キットはディスペンサを含む。
【0110】
本開示はまた、薬剤の製造のための、本開示の化合物、またはその薬学的に許容される塩の使用を提供する。本明細書で使用される場合、「薬剤」という用語は、本開示による医薬組成物を指す。いくつかの実施形態では、薬剤は、口腔粘膜炎を治療するためのものである。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、例えばパッケージ、容器などの任意の製造物中に収容される。
【0111】

本開示に関連する例を以下で説明する。ほとんどの場合、代替技術を使用することができる。例は、説明に役立つことを意図しており、特許請求の範囲に記載される本発明の範囲を限定または制限するものではない。
【0112】
例1
本開示の化合物は、当業者に公知の方法に従って合成される。すべてが、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、米国特許第6,627,215号;同第6,211,162号;同第7,868,162号;同第7,176,191号;同第8,435,960号;および同第6,211,349号;ならびに米国特許出願公開第2017-0191062号;同第2018-0258128号;および同第2018-0353529号に記載されている方法は、本開示の化合物を合成するのに非常に適している。
【0113】
例2
Nu-8は次の方法に従って合成される:
Nu-8の合成
【化6】
【0114】
工程1.アミンの保護(ビルディングブロックの鍵となる中間体)
シチジン2aを、メタノール中のヘキサメチルジシラザン(HMDS)、4-(ジメチルアミノ)ピリジン(DMAP)、トリフルオロメタンスルホン酸トリメチルシリル、および二炭酸ジ-tert-ブチル((BOC)O)に添加して、BOC保護された化合物Int-2を生成することによって2aの窒素原子を保護する。
【0115】
工程2.ホスフィチル化試薬の調製(ビルディングブロックの鍵となる中間体)
n-ブタノールを、N,N-ジイソピルエチルアミン(DIEA)の存在下で、テトラゾールを触媒として用いてTHF中のホスフィンアミド1と反応させる。粗生成物を、ヘキサン、次にヘキサン中の2%酢酸エチルで溶出する中性アルミナ上でクロマトグラフィにかける。純粋な画分を合わせ(TLCによる)、減圧下で蒸発させて残留物にする。
【0116】
工程3.鍵となる中間体のカップリング
BOC保護された種Int-2を、ジクロロメタン(DCM)/ジメチルホルムアミド(DMF)溶媒中の試薬2および触媒としてのテトラゾールでビスホスフィニル化して、3を生成する。反応混合物を濃縮して残留物にし、粗生成物を次の工程で直ちに酸化する。
【0117】
工程4および5.酸化およびアミノ脱保護
粗生成物3をデカンの存在下にtert-ブチルヒドロペルオキシド(TBTH)で酸化して、ビスホスホナート種4を生成する。トリフルオロ酢酸(TFA)の存在下にDCM中でBOC基の除去を行い、5を生成する。粗生成物を、酢酸エチルで溶出するシリカゲルのクロマトグラフィにかける。純粋な画分(TLCによる)を合わせ、減圧下で蒸発させて残留物にする。
【0118】
工程6.ホスホジエステルの脱保護
5をメタノール性水酸化アンモニウム(NHOH、MeOH)で加水分解して、粗(I)アンモニウム塩(6)を得る。
【0119】
工程7および8.精製
6の分取HPLCによる精製およびDowex 50WX8-200樹脂による遊離酸への変換を行う。水性溶出液の蒸発によって(I)を得、これを精製水で希釈して、その周囲pHで20%溶液を得る。
Nu-8ナトリウム塩の合成
【化7】
【0120】
化合物2の合成
THF(6L)中の化合物1(1.0kg、3.3222mol)の溶液に、DIEA(1.370mL、8.3055mol)およびテトラゾール(230g、3.3222mol)、続いてTHF中(6L)中のn-ブタノール(275mL、2.99mol)を0℃で12時間滴下する。反応混合物を室温で24時間撹拌する。反応の進行をTLCによってモニターし、反応の完了後、固体を濾別する。濾液を減圧下に40℃で蒸発させて粗化合物を得る。粗化合物を酢酸エチル(5L)に溶解する。有機層を水(3L)およびブライン(2L)で洗浄する。有機層を無水NaSOで乾燥し、濾過し、溶媒を減圧下で蒸発させて粗化合物を得る。粗化合物を塩基性アルミナ(Al)でのカラムクロマトグラフィによって精製し、化合物を石油エーテル中の0~2%のEtOAcで溶出して、化合物2(700g、76.92%)を淡黄色液体として得た。
【数1】
【0121】
化合物4の合成
ヘキサメチルジシラザン(638g、3.964mol)中の化合物3(300g、1.321mol)の溶液にDMAP(16.11g、0.132mol)を添加し、続いてTMSOTf(7.22g、0.039mol)を0℃で添加し、得られた反応混合物を室温で1時間撹拌する。出発物質の完了後、Boc無水物(1.4L、6.605mol)を0℃で1時間添加し、反応混合物を室温で16時間撹拌する。反応物にメタノール(3L)を添加し、続いてトリエチルアミン(1.5L)を0℃で1時間添加し、反応混合物を室温で20時間撹拌する。反応混合物を減圧下で濃縮して粗化合物を得る。粗化合物を酢酸エチル(3L)で希釈し、水(1.0L)およびブライン(1.0L)溶液で洗浄する;有機層を無水NaSOで乾燥し、濾過し、溶媒を減圧下で蒸発させて粗化合物を得る。粗化合物を、DCM中0~3%MeOHで溶出するシリカゲル(100-200メッシュ)化合物のカラムクロマトグラフィによって精製して、化合物4(180g、31.89%)をオフホワイト色固体として得る。
【数2】
【0122】
化合物6の合成
THF(1.0L)中の化合物4(180g、0.421mol)の撹拌溶液に、DIEA(348mL、2.105mol)およびテトラゾール(176g、2.526mol)を0℃で添加する。得られた反応混合物に、THF(800mL)中の化合物2(519g、1.896mol)の溶液を0℃で1時間滴下する。反応混合物を室温で16時間撹拌する。反応の完了後、デカン中のtert-ブチルペルオキシド(505mL、5M)を0℃で滴下し、反応混合物を室温で6時間撹拌する。反応をTLCによってモニターする。反応の完了後、反応混合物を40℃で濃縮し、酢酸エチル(3L)で希釈し、水(1L)およびブライン(1L)溶液で洗浄する。有機層を無水NaSOで乾燥し、濾過し、溶媒を減圧下で蒸発させて粗化合物(350g粗)を得る。粗化合物を、DCM中0~5%MeOHで溶出するシリカゲル(100~200メッシュ)カラムによるカラムクロマトグラフィによって精製する。収集したすべての純粋な画分を濃縮して、純粋な化合物6(220g、64.83%)を赤ワイン色の液体として得る。
【数3】
【0123】
化合物7の合成
DCM(4.4L)中の化合物6(220g、0.273mol)の溶液にTFA(210mL、2.732mol)を0℃で滴下する。反応混合物を室温で24時間撹拌する。反応をTLCによってモニターする。反応の完了後、溶媒を減圧下で蒸発させて粗化合物を得る。粗化合物をシリカゲル(230-400メッシュ)カラムクロマトグラフィによって精製する。化合物をDCM中0~10%MeOHで溶出する。収集したすべての純粋な画分を濃縮して、純粋な化合物7(170g、84.67%)を淡黄色液体として得る。
【数4】
【0124】
Nu-8の合成
MeOH(5.0L)中の化合物7(720g、1.1900mol)の撹拌溶液に、0℃でアンモニア水溶液(600mL)を添加する。反応混合物を室温で4時間撹拌する。反応をTLCによってモニターする。反応の完了後、減圧下でMeOHを蒸発させ、水層をDCM(1.5L)で洗浄する。水層をDowex-H樹脂に通す。水を減圧下で除去して、Nu-8(260g、43.84%)をオフホワイト色固体として得る。
【数5】
【0125】
Nu-8ナトリウム塩の合成
水(2.6L)中の化合物Nu-8(260g、0.478mol)の撹拌溶液に、1N NaOH(950mL)を0℃で滴下する。反応混合物を室温で2時間撹拌する。反応をTLCによってモニターする。反応の完了後、水層をDCM(1.5L)で洗浄する。水層を減圧下で蒸発させて、Nu-8ナトリウム塩(265g、93%)をオフホワイト色固体として得る。
【数6】
【0126】
例3
ハムスターにおける急性放射線によって誘発された口腔粘膜炎の治療のためのNu-8の試験
本試験の目的は、ハムスターの急性放射線によって誘発された口腔粘膜炎の治療におけるNu-8の有効性を試験することであった。
【0127】
試験実施場所
この試験は、Watertown,MAにあるBiomodelsのAAALAC施設で実施された。この試験の生存中の部分は、2019年8月13日から2019年9月11日まで行われた。この試験の承認(承認番号19-0611-1)をBiomodels IACUCから取得した。実験動物福祉局(Office of Laboratory Animal Welfare)(OLAW)の保証番号はA4591-01であった。
【0128】
動物
試験開始時の平均体重(±SD)が92.83±3.36gで、5~6週齢の正常な雄性シリアゴールデンハムスター(Charles River Laboratories)を使用した。動物を、耳パンチを使用して個別に番号付け、小さな群に収容した。試験開始前に動物を順化させた。この期間中、状態のよくない動物を除外するために、動物を毎日観察した。
【0129】
飼育施設
試験は、70±5°Fの温度および50±20%の相対湿度で、濾過された空気が供給される動物室で実施した。動物室を、1時間あたり最低でも12~15回の空気交換を維持するように設定した。動物室は、自動タイマーで12時間オンと12時間オフの明暗サイクル、薄明なしとした。Bed-O-Cobs(登録商標)寝床を使用した。寝床は少なくとも週に1回交換した。ケージ、蓋、ボトルなどは市販の洗剤で洗浄し、空気乾燥させた。市販の消毒剤を使用して、表面およびフードに導入された物質を消毒した。床は毎日掃除し、市販の洗剤で少なくとも週に2回モップ掛けした。壁とケージラックは、少なくとも月に1回、希薄な漂白剤溶液を用いてスポンジで拭いた。試験、用量、動物番号および処置群を特定するために必要な適切な情報が記載されたケージカードまたはラベルをすべてのケージに付けた。試験中、温度と相対湿度を記録し、記録を保持した。
【0130】
食餌
動物には、Purina Labdiet(登録商標)5053滅菌齧歯動物用飼料を与えた。食物と滅菌水は自由に摂取させた。
【0131】
動物の無作為化と割り当て
動物を、照射前に、無作為におよび前向きに、それぞれ8匹の動物からなる3つの群に分けた。各動物は、個々の番号に対応する耳パンチによって識別した。ケージカードを使用して、試験番号(LKW-01)、処置群番号および動物番号が記された各ケージまたはラベルを識別した。
【表1】
【0132】
処方:
1.毎日新鮮調製する。必要量の化合物を量り取り、生理食塩水に溶解する。溶液のpHを約3.5(pH範囲3~4)に下げるようにクエン酸で滴定する。
2.第1群の動物に投与するビヒクルも、クエン酸で約3.5のpH(pH範囲3~4)に滴定した。
【表2】
【0133】
粘膜炎の誘発
0日目に実施した単回の放射線(40Gy)を使用して粘膜炎を誘発した。放射線は、10cmの焦点距離で160キロボルトの電位(18.75ma)源を使用して生成し、3.0mmのAl濾過システムで硬化した。照射は、2~2.5Gy/分の速度で左頬袋粘膜を標的とした。照射の前に、動物をケタミン(160mg/kg)およびキシラジン(8mg/kg)の腹腔内注射で麻酔した。左頬袋を反転させ、固定し、鉛シールドを使用して単離した。
【0134】
粘膜炎スコアリング
6日目から開始してその後2日おきに(8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28日目)、各動物の写真を撮影し、粘膜炎のスコアを評価した。粘膜炎の評価のために、動物を吸入麻酔薬で麻酔し、左頬袋を反転させた。粘膜炎を、正常の場合の0から重度の潰瘍の場合の5にわたる検証済みの写真スケール(図1A~1F)との比較によって視覚的に採点した(臨床スコアリング)。説明のために、このスケールを以下のように定義する:
【表3】
【0135】
スコア1~2は、疾患の軽度の病期を表すと見なされ、スコア3~5は、中等度から重度の潰瘍性粘膜炎を示すと見なされる。視覚的な臨床スコアリングに続いて、標準化された技術を使用して各動物の粘膜の写真を撮影した。実験の終わりに、写真を無作為に番号付け、2人の独立した訓練された観察者が採点し、上記のスケールを使用して盲検方式で画像を等級付けた(盲検スコアリング)。各写真について、実際の盲検スコアは、2人の観察者のスコアの平均に基づいた。盲検化した写真の評価からのスコアのみを報告し、統計分析に使用した。粘膜炎の重症度スコアが4以上に達したハムスターには、ブプレノルフィン(0.5mg/kg)SCを1日2回48時間、またはスコアが4を下回るまで投与した。
【0136】
統計分析
盲検化した写真を使用して、マン-ホイットニー順位和検定と臨界値0.05のカイ二乗解析を使用して、処置群間の統計的差異を決定した。主に麻酔薬の投与の結果として、最大10%までの動物の死亡が発生し得ると予想された。ただし、28日目に生存していると予想される動物の数(処置群あたり6匹)は、統計的評価のために許容されると見なされた。
【0137】
各群のハムスターが重度の粘膜炎(スコア≧3)を有する日数の差を分析した。動物を採点した各日(評価日)に、各処置群における盲検粘膜炎スコアが3以上の動物の数をビヒクル対照群と比較した。差を毎日および累積ベースで分析した。処置の成功は、カイ二乗解析によって決定されるように、ビヒクル対照と比較して、薬物処置群においてこのスコアを有するハムスターの数が統計的に有意に少ないことによって決定した。
【0138】
処置群とビヒクル対照群における毎日の粘膜炎スコアの順位和の差を決定した。各評価日について、ノンパラメトリック順位和分析を使用して、ビヒクル対照群のスコアを処置群のスコアと比較した。処置の成功は、6日目から28日目までの2日以上の処置群におけるスコアの統計的に有意な減少によって決定した。
【0139】
粘膜炎の消散に対する試験物の効果を決定するために、治癒までの時間を処置群と対照群の間で比較した。消散は、潰瘍性病変がないこと(粘膜炎スコア<3)として定義した。
【0140】
試験計画
24匹の雄性シリアゴールデンハムスターをこの試験で使用した。0日目に2~2.5Gy/分の速度での左頬袋に対する40Gyの急性放射線量によって粘膜炎を誘発した。これは、動物を麻酔し、左頬袋を反転させ、動物の体の残りの部分を鉛シールドで保護することによって達成された。粘膜炎を、6日目から開始し、続けて28日目まで1日おきに臨床的に評価した。粘膜炎の重症度スコアが4以上に達したハムスターには、ブプレノルフィン0.5mg/kg SCを1日2回48時間、またはスコアが4を下回るまで投与した。
【0141】
表2に詳述するように、試験物またはビヒクルを1日目から28日目までTIDで、左頬袋に対する局所塗布によって投与した。0日目に、照射の1~2時間前に投与を行った。
【0142】
28日目に、すべての動物をCO吸入によって安楽死させ、USDAガイドラインに従って心拍を観測することによって死亡を確認した。ターミナルコレクションは実施しなかった。試験計画の詳細を表2に示す。
【表4】
【0143】
結果および考察
生存
試験中に予期せぬ動物の死亡が1例あった;第3群の動物No.22は、0日目の照射が不完全であったため犠死させた。
【0144】
体重の変化
すべての群の動物について、1日あたりの平均体重変化率データを図2に示す。動物は、試験期間を通して着実に体重が増加した。ビヒクル群と比較して、第3群の動物は、曲線下面積(AUC)分析とそれに続くホルム-シダックの多重比較事後検定による一元配置分散分析での評価を使用して決定した場合、統計的に有意に低い平均体重変化率(p<0.05)を示した。
【0145】
粘膜炎
毎日の平均粘膜炎スコアを図3に示す。ビヒクル群で観察された最大平均粘膜炎スコアは3.00±0.00であり、18日目に最初に観察された。1%Nu-8をTIDで投与された動物(第2群)は、18日目に2.88±0.13のピーク平均粘膜炎スコアを経験した。10%Nu-8をTIDで投与された動物(第3群)は、16日目と18日目に2.29±0.18のピーク平均粘膜炎スコアを経験した。Nu-8で処置された両方の群の動物によって疾患発症の多少の減少が示されたが、10%濃度で投与された動物(第3群)ではさらにそれが認められた。実際に、ビヒクルを投与された動物と比較して、10%Nu-8を投与された動物によって疾患の重症度の堅固な緩和が示された。
【0146】
潰瘍性粘膜炎の期間
対照群と処置群の間で観察された差の有意性を、カイ二乗解析を使用して群間で粘膜炎スコアが3以上と3未満の日数を比較することによって評価した。この解析の結果を、試験期間全体(28日目まで)について表3および図4に示す。試験の過程にわたって(表3、図4)、ビヒクル群における動物のスコアが3以上の日数の割合は52.08%であった。スコアが3以上の日数の割合は、ビヒクル対照群と比較して、10%Nu-8を投与された動物で統計的に差があった。
【表5】
【0147】
開放性潰瘍(スコア≧3)の提示によって定義される、臨床的に有意な粘膜炎のレベルを調べるために、動物が高いスコアを示した合計日数を計算し、各群についてスコアリングされた合計日数の割合として表した。観察された差の統計的有意性を、カイ二乗解析を使用して計算した。
【0148】
粘膜炎の重症度
マン‐ホイットニー順位和分析を使用して粘膜炎の重症度の分析を行い、各評価日に処置群の視覚的粘膜炎スコアをビヒクル対照群と比較した。この分析の結果を表4に示す。この分析では、粘膜炎スコアが意味を持つと見なされるまでに、一般に粘膜炎スコアの2日間の有意な減少が必要である。1%Nu-8を投与された動物(第2群)は、ビヒクル対照群と比較して、粘膜炎スコアの1日の有意な改善を示した。10%Nu-8を投与された動物(第3群)は、この評価方法を使用して複数の日数の有意な改善を示した。
【表6】
【0149】
毎日の粘膜炎スコアで観察された群の差の有意性を、マン‐ホイットニー順位和検定を使用して決定した。このノンパラメトリック統計は視覚的粘膜炎スコアリングスケールに適している。各計算のp値を示す。灰色の実線の陰影は、ビヒクル群と比較した粘膜炎スコアの減少(疾患の改善)を示し、対角線の陰影は、粘膜炎スコアの増加(疾患の悪化)を示す。
【0150】
日ごとの潰瘍性粘膜炎を有する動物の割合
各評価日の潰瘍性粘膜炎を有する各群の動物の割合を表5に示す。この評価は、処置のいずれの日が潰瘍性粘膜炎の経過に最大の影響を及ぼしたかを明らかにすることを目的とした。Nu-8処置は、この試験で使用した両方の用量濃度で、ビヒクル投与動物と比較して低い潰瘍形成率を示した日が多数あった(ビヒクルと比較してより低い潰瘍形成率は、疾患の重症度の改善と解釈することができる)。
【表7】
【0151】
開放性潰瘍(スコア≧3)の提示によって定義される、臨床的に有意な粘膜炎のレベルを調べるために、試験の各日に開放性潰瘍を示した各処置群の動物の割合を決定した。灰色の実線の陰影は、ビヒクル群と比較した粘膜炎スコアの減少(疾患の改善)を示し、対角線の陰影は、粘膜炎スコアの増加(疾患の悪化)を示す。
【0152】
結論
1.試験中に予期せぬ動物の死亡が1例あった
2.動物は、試験期間を通して着実に体重が増加した。ビヒクル群と比較して、第3群の動物は、曲線下面積(AUC)分析とそれに続くホルム-シダックの多重比較事後検定による一元配置分散分析での評価を使用して決定した場合、統計的に有意に低い平均体重変化率(p<0.05)を示した。
3.Nu-8で処置された両方の群の動物によって疾患発症の多少の減少が示されたが、10%濃度で投与された動物(第3群)ではさらにそれが認められた。実際に、ビヒクルを投与された動物と比較して、10%Nu-8を投与された動物によって疾患の重症度の堅固な緩和が示された。
4.ビヒクル群における動物のスコアが3以上の日数の割合は52.08%であった。スコアが3以上の日数の割合は、ビヒクル対照群と比較して、10%Nu-8を投与された動物で有意に低かった。
5,1%Nu-8を投与された動物(第2群)は、ビヒクル対照群と比較して、粘膜炎スコアの1日の有意な改善を示した。10%Nu-8を投与された動物(第3群)は、この評価方法を使用して複数の日数の有意な改善を示した。
6.この試験で使用した両方の用量濃度でNu-8処置を投与された動物が、ビヒクル投与動物と比較して低い潰瘍形成率を示した日が多数あった(ビヒクルと比較してより低い潰瘍形成率は、疾患の重症度の改善と解釈することができる)。
【0153】
例4
セルロースゲルの配合
以下の工程は、100g規模で遊離酸としてのNu-3の溶液を使用してセルロースゲルを調製するために使用される。
1.水の一部にNu-3を添加し、均一になるまで混合する。
2.塩化ナトリウムを添加し、均一になるまで混合する。
3.4%NaOHを使用してpHを1.5(許容範囲1.4~1.6)に調整する。
4.残りの水を添加し、均一になるまで混合する。
5.ヒドロキシエチルセルロース粉末(Natrosol 250 HHX PH、Ashland)を混合プロペラの渦に緩やかに添加する。
6.ポリマーゲルが透明になるまで混合を続ける(約45~60分)。
【0154】
例5
脂肪アルコール(FA)ゲルの配合
以下の手順は、100g規模の二ナトリウム塩としてのNu-3の溶液を使用してFAゲルを調製するために使用される。
1.水の一部にNu-3を添加し、均一になるまで混合する。
2.10%HClを使用してpHを1.5(許容範囲1.4~1.6)に調整する。
3.残りの水を添加し、均一になるまで混合する。
4.別の容器で、セトステアリルアルコール(Crodacol CS 50 NF、Croda)とセテアレス-20(Cetomacrogol 1000 NF、Croda)を組み合わせ、ホットプレート上で約60℃に加熱し、混合して脂肪アルコールと界面活性剤を溶融する。約60℃で保持する。
5.プロペラミキサーで混合しながら、ホットプレート上でAPI溶液を約60℃に加熱する。
6.プロペラミキサーで混合しながら、脂肪アルコール/界面活性剤混合物をAPI溶液に添加する。プロペラミキサーを取り除き、容器を熱源から取り出し、高せん断混合を開始する。
7.ゲルが冷えて濃厚になるので(約45~50℃)、高せん断混合を続ける。
8.ゲルが濃厚になりすぎてホモジナイザで混合できない場合は、高せん断混合を停止し、ゲルが35~40℃に達するまでプロペラミキサーで混合を続ける。
【0155】
例6
HPLCアッセイの設定およびオートクレーブ試験
表6のクロマトグラフィ条件を使用して、この例のNu-3製剤をアッセイする。
【表8】
【0156】
0.05~0.4mg/mLのNu-3溶液を使用して直線性を評価する。mg/mLに対するピーク面積の相関係数は0.9994の値を有する。0.2mg/mL標準液を繰り返し注入した場合の%相対標準偏差(RSD)は1.0%未満である。
【0157】
例7
評価のためのビヒクルゲル
評価のために3つのビヒクルゲルを調製する。Nu-3の存在をシミュレートするためにリン酸ナトリウムを使用し、ベンジルアルコールを抗菌防腐剤として使用する。それらの組成を表7に要約する。
【表9】
【0158】
ゲル2および3は、その優れた物理的特性により、5%w/wのNu-3を含む製剤のために選択される。Nu-3の最適な活性を確保するために、製剤のpHを1.5の目標値まで低下させる。
【0159】
例8
5%Nu-3セルロースゲル:製剤および安定性
このゲルの組成を表8に示す。
【表10】
【0160】
5%Nu-3セルロースゲルの初期結果と安定性の結果を表9に要約する。
【表11】
【0161】
保存時、セルロースNu-3ゲルの粘度は温度と共に有意に低下する。これは、ポリマー中のセルロースの加水分解に起因する可能性が高い。しかし、40℃で1ヶ月保存した後のアッセイおよびpHに有意な変化はない。
【0162】
例9
5%Nu-3 FAゲル:製剤および安定性
これらのゲルの組成を表10に示す。
【表12】
【0163】
配合中、FAゲル1は増粘しない。
【0164】
FAゲル2の場合、セトステアリルアルコールレベルは4.0から7.25%w/wに増加する。これにより、ビヒクルおよび5%Nu-3製剤のゲル粘度が増加する。Nu-3 FAゲル2の安定性データを表11に要約する。
【表13】
【0165】
FAゲル2のアッセイ、外観、およびpHは、25または40℃で1ヶ月後に有意な変化を示さない。保存時に粘度がわずかに増加するが、これは脂肪アルコールゲルでは珍しいことではない。それらの粘度は、1~3ヶ月の保存後に横ばいになる傾向がある。
高強度Nu-3 FAゲル:製剤および安定性
【0166】
これらのゲルの組成を表12に示し、安定性の結果を表13に示す。
【表14】

【表15】
【0167】
10~20%のNu-3を含むFAゲルのアッセイ、外観、およびpHは、25または40℃で1ヶ月後に有意な変化を示さない。保存時に粘度がわずかに増加するが、これは脂肪アルコールゲルでは珍しいことではない。それらの粘度は、1~3ヶ月の保存後に横ばいになる傾向がある。
【0168】
例10
口腔粘膜炎を有するヒト患者のNu-8治療
ヒト患者を、口腔粘膜炎を有すると同定する。有効量のNu-8を含む液体溶液の形態の医薬組成物を、患者の口腔に直接局所的に投与する。症状が緩和または改善されるまで患者を観測し、そのような投与が治療に必要または有用であると判断された場合、医薬組成物をさらに1回以上投与してよい。
【0169】
実施形態を上記で開示したが、本発明は開示された実施形態に限定されない。代わりに、本出願は、その一般的な原理を使用して本発明の任意の変形、使用、または適合を包含することを意図する。さらに、本出願は、本発明が関係し、添付の特許請求の範囲に含まれる、当技術分野における公知または慣行の範囲内にある本開示からの逸脱を包含することを意図する。
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図1F
図2
図3
図4
【国際調査報告】