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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-12
(54)【発明の名称】アンテナ及び無線デバイス
(51)【国際特許分類】
   H01Q 11/08 20060101AFI20220104BHJP
   H01Q 1/24 20060101ALI20220104BHJP
【FI】
H01Q11/08
H01Q1/24 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021515014
(86)(22)【出願日】2018-10-12
(85)【翻訳文提出日】2021-04-09
(86)【国際出願番号】 CN2018110076
(87)【国際公開番号】W WO2020073321
(87)【国際公開日】2020-04-16
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】504161984
【氏名又は名称】ホアウェイ・テクノロジーズ・カンパニー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ルオ、シン
(72)【発明者】
【氏名】チェン、イ
(72)【発明者】
【氏名】ジャン、チュアナン
【テーマコード(参考)】
5J047
【Fターム(参考)】
5J047AA08
5J047AB12
5J047FD01
(57)【要約】
本願の実施形態は、アンテナ及び無線デバイスを提供し、アンテナ技術の分野に関する。アンテナは、第1のらせんアーム及び第2のらせんアームを含む。第1のらせんアームは、アンテナの軸の長手方向に沿って時計回りに巻きつけられており、第2のらせんアームは、アンテナの軸の長手方向に沿って反時計回りに巻きつけられている。第2のらせんアーム及び第1のらせんアームは、少なくとも1つの交点を形成し、第1のらせんアーム上に第1の給電点が配置され、第2のらせんアーム上に第2の給電点が配置され、第1の給電点及び第2の給電点は、アンテナの軸に対して対称な2点であり、少なくとも1つの交点のうちの任意の交点は、第3の給電点をさらに形成し、第1の給電点及び第2の給電点は、第1の給電ポートに接続され、第3の給電点は、第2の給電ポートに接続される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンテナであって、前記アンテナは、
第1のらせんアームであって、前記アンテナの軸の長手方向に沿って時計回りに巻きつけられている第1のらせんアームと、
第2のらせんアームであって、前記第2のらせんアームは、前記アンテナの前記軸の前記長手方向に沿って反時計回りに巻きつけられており、
前記第2のらせんアーム及び前記第1のらせんアームは、少なくとも1つの交点を形成し、前記第1のらせんアーム上に第1の給電点が配置され、前記第2のらせんアーム上に第2の給電点が配置され、前記第1の給電点及び前記第2の給電点は、前記アンテナの前記軸に対して対称な2点であり、前記少なくとも1つの交点のうちの任意の交点は第3の給電点を形成する、第2のらせんアームと、
第1の給電ポートであって、前記第1の給電点及び前記第2の給電点の両方に接続される第1の給電ポートと、
第2の給電ポートであって、前記第3の給電点に接続される第2の給電ポートと
を備えるアンテナ。
【請求項2】
前記第3の給電点は、前記少なくとも1つの交点であり、前記第1の給電点及び前記第2の給電点に最も近い交点である、請求項1に記載のアンテナ。
【請求項3】
前記第1のらせんアームの開始端は、前記第2のらせんアームの開始端と一致して、交点を形成し、前記第1のらせんアームの前記開始端と前記第2のらせんアームの前記開始端との前記交点は、前記第3の給電点である、請求項1又は2に記載のアンテナ。
【請求項4】
前記第1のらせんアームの前記開始端が前記アンテナの前記軸の前記長手方向に沿って時計回りに90度巻きつけられた後に取得される点は、前記第1の給電点であり、前記第2のらせんアームの前記開始端が前記アンテナの前記軸の前記長手方向に沿って反時計回りに90度巻きつけられた後に取得される点は、前記第2の給電点である、請求項3に記載のアンテナ。
【請求項5】
前記第1のらせんアームの開始端及び前記第2のらせんアームの開始端は、前記アンテナの前記軸に対して対称であり、前記第1の給電点は、前記第1のらせんアームの前記開始端であり、前記第2の給電点は、前記第2のらせんアームの前記開始端であり、前記第3の給電点は、前記第1のらせんアームの前記開始端及び前記第2のらせんアームの前記開始端に最も近い前記交点である、請求項1又は2に記載のアンテナ。
【請求項6】
支柱をさらに備え、前記支柱は、絶縁材料で作られており、前記支柱の軸は、前記アンテナの前記軸と一致し、前記第1のらせんアームは、前記アンテナの前記軸の前記長手方向に沿って前記支柱の側壁の周りに時計回りに巻きつけられており、前記第2のらせんアームは、前記アンテナの前記軸の前記長手方向に沿って前記支柱の前記側壁の周りに反時計回りに巻きつけられている、請求項1から5のいずれか一項に記載のアンテナ。
【請求項7】
無線デバイスであって、ベースバンドと、無線周波数モジュールと、ケーブルと、請求項1から6のいずれか一項に記載のアンテナとを備え、
前記無線周波数モジュールは、前記ケーブルを用いることにより、前記ベースバンド及び前記アンテナの両方に接続され、
前記ベースバンドは、デジタル信号を中間周波数アナログ信号に変換し、前記中間周波数アナログ信号を前記無線周波数モジュールに送信するように構成され、
前記無線周波数モジュールは、前記中間周波数アナログ信号を無線周波数信号に変換し、前記無線周波数信号を前記アンテナに送信するように構成され、
前記アンテナは、前記無線周波数信号を電磁波信号に変換し、前記電磁波信号を空中に放射するように構成される、無線デバイス。
【請求項8】
前記無線周波数モジュールが前記中間周波数アナログ信号を前記無線周波数信号に変換し、前記無線周波数信号を前記アンテナに送信することは、
前記中間周波数アナログ信号を前記無線周波数信号に変換することと、
前記無線周波数信号に対して増幅処理及びフィルタリング処理を連続的に処理して、処理された無線周波数信号を取得することと、
前記処理された無線周波数信号を前記アンテナに送信することと
を有し、
前記アンテナが前記無線周波数信号を前記電磁波信号に変換することは、
前記処理された無線周波数信号を前記電磁波信号に変換することを有する、請求項7に記載の無線デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、アンテナ技術の分野、特に、アンテナ及び無線デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
現代の通信技術の急速な発展に伴い、人々はより頻繁に無線ブロードバンド(WIreless-Fidelity、Wi-Fi(登録商標))を用いている。現在、Wi-Fiアクセスカバレッジは、空港、駅及び大きなスタジアムなどの公共の場所において提供されている。これらのエリアは、人口の密集及び大量の同時接続を考慮している。したがって、高利得及びナロービームを有する指向性アンテナは、特定のエリアに信号を集中させる必要がある。
【0003】
現在、アレイアンテナは一般に、高利得及びナロービームを実装するために用いられる。しかしながら、アレイアンテナは、比較的大きな空間を占め、したがって、工学的な設置が比較的難しい。
【0004】
ヘリカルアンテナは、小さいエリアを占有する高利得アンテナである。アレイ要素の数(すなわち、アレイサイズ)によって決まるアレイアンテナとは異なり、ヘリカルアンテナは、らせんの高さを利用して利得を向上させる。図1に示されるように、ヘリカルアンテナは、良好な電気伝導性を有する金属らせんワイヤ01と、円筒形絶縁材02とを含む。金属らせんワイヤ01は、らせん軸Nの周りに巻きつけられている。ヘリカルアンテナは、同軸ケーブル03を用いることにより給電され、同軸ケーブル03の芯線は、金属らせんワイヤ01の一端に接続され、同軸ケーブル03の外部導体は、グランドプレーン04に接続される。ヘリカルアンテナの放射方向は、金属らせんワイヤ01の円周(つまり、円筒形絶縁材02の断面の円周)に関連している。金属らせんワイヤ01の円周が1波長よりもはるかに短い場合、最も強い放射を有する方向は、らせん軸Nに対して垂直である、又は、金属らせんワイヤ01の円周が1波長の大きさのオーダである場合、最も強い放射は、らせん軸Nの方向に現れる。しかしながら、シングルアームヘリカルアンテナの偏波方向は円偏波であり、携帯電話のアンテナの偏波方向は直線偏波である。結果として、Wi-Fiデバイスは、円偏波アンテナを用いる場合、携帯電話の受信電力は、3dB分減少する。
【0005】
従来技術において、単一の直線偏波方向を有するダブルアームヘリカルアンテナがある。アンテナは2つの金属らせんアームを含む。第1の金属らせんアーム及び第2の金属らせんアームは、左旋らせん及び右旋らせんの形式で、それぞれ対称な位置から巻きつけられ、半回転毎に重なり合う。給電ポートは、らせんの下部の円の中心において配置され、マイクロストリップを用いることにより、左旋らせんアーム及び右旋らせんアームの両方の開始点に接続されている。2つの金属らせんアームの偏波方向は異なっており、第1の金属らせんアームの偏波方向は左旋円偏波であり、第2の金属らせんアームの偏波方向は右旋円偏波であり、左旋円偏波及び右旋円偏波は、直線偏波を形成するように重ね合わされる。
【0006】
しかしながら、ダブルアームヘリカルアンテナは、1つの直線偏波方向しか有していない。デバイスが、偏波ダイバーシティ又は偏波多重化を実装するために2つの直交直線偏波アンテナが必要とされる場合、2つのそのようなアンテナが必要とされており、一方のアンテナは、他方のアンテナに対して90度回転している。これは、間違いなくデバイスのコスト及び占有される空間を増やすことになる。
【発明の概要】
【0007】
本願の実施形態は、アンテナ及び無線デバイスを提供し、既存の直線偏波ヘリカルアンテナが1つの直線偏波方向しか有しておらず、2つの直線偏波方向を実装する必要がある場合に、比較的高コストで比較的大きな占有空間を生じるという課題を解決する。
【0008】
前述の目的を達成するために、以下の技術的解決手段が本願の実施形態において用いられる。
【0009】
第1態様によれば、本願は、アンテナを提供し、
第1のらせんアームであって、アンテナの軸の長手方向に沿って時計回りに巻きつけられている第1のらせんアームと、
第2のらせんアームであって、第2のらせんアームは、アンテナの軸の長手方向に沿って反時計回りに巻きつけられており、
第2のらせんアーム及び第1のらせんアームは、少なくとも1つの交点を形成し、第1のらせんアーム上に第1の給電点が配置され、第2のらせんアーム上に第2の給電点が配置され、第1の給電点及び第2の給電点は、アンテナの軸に対して対称な2点であり、少なくとも1つの交点のうちの任意の交点は、第3の給電点を形成する、第2のらせんアームと、
第1の給電ポートであって、第1の給電点及び第2の給電点の両方に接続される第1の給電ポートと、
第2の給電ポートであって、第3の給電点に接続される第2の給電ポートと
を含む。
【0010】
本願の実施形態において提供されるアンテナは、反対の巻き線方向を有する2つのらせんアームを用いており、アンテナ上に3つの給電点が配置される。第1の給電点及び第2の給電点は、第1の給電ポートに接続され、第3の給電点は、第2の給電ポートに接続される。したがって、ヘリカルアンテナは、異なる位置において給電されることができ、その結果、左旋円偏波及び右旋円偏波は2つの異なる開始方向を生成し、これにより、偏波ダイバーシティ又は偏波多重化の要件を満たすように、2つのタイプの直線偏波を合成する。本願の解決手段では、1つのアンテナを用いることにより、2つの異なる方向における直線偏波を実装でき、これにより、デバイスのコスト及び占有される空間を減らす。
【0011】
可能な実施例において、2つの直線偏波方向を有するアンテナが比較的大きい位相差を生成することを防止するために、第2のらせんアーム及び第1のらせんアームにより形成される交点から、第1の給電点及び第2の給電点に最も近い交点が第3の給電点として選択されてよい。このようにして、2つの直線偏波方向を有するアンテナにより生成される位相差を最小限に抑えることができる。
【0012】
可能な実施例において、第1のらせんアームの開始端は、第2のらせんアームの開始端と一致し、交点を形成する。この場合、第1のらせんアームの開始端及び第2のらせんアームの開始端の一致する交点は、第3の給電点として構成されてよい。
【0013】
可能な実施例において、第1のらせんアームの開始端がアンテナの軸の長手方向に沿って時計回りに90度巻きつけられた後に取得される点は第1の給電点として構成され、第2のらせんアームの開始端がアンテナの軸の長手方向に沿って反時計回りに90度巻きつけられた後に取得される点は第2の給電点として構成される。このようにして、2つのタイプの直線偏波の交差偏波分離を改善でき、その結果、2つのタイプの直線偏波がより純粋になる。
【0014】
可能な実施例において、第1のらせんアームの開始端は、第2のらせんアームの開始端と一致しておらず、第1のらせんアームの開始端及び第2のらせんアームの開始端は、アンテナの軸に対して対称な2点である。この場合、第1のらせんアームの開始端は第1の給電点として構成されてよく、第2のらせんアームの開始端は第2の給電点として構成されてよく、第3の給電点は、第1のらせんアームの開始端及び第2のらせんアームの開始端に最も近い交点であってよい。
【0015】
可能な実施例において、アンテナはさらに、絶縁材料で作られている支柱が設けられてよい。支柱の軸は、アンテナの軸と一致しており、第1のらせんアームは、アンテナの軸の長手方向に沿って支柱の側壁の周りに時計回りに巻きつけられており、第2のらせんアームは、アンテナの軸の長手方向に沿って支柱の側壁の周りに反時計回りに巻きつけられている。したがって、支柱は、第1のらせんアーム及び第2のらせんアームを実質的に支持でき、その結果、アンテナの構造全体は、より安定し、変形又は損傷を受ける可能性は低い。
【0016】
可能な実施例において、第1の給電ポートは、電力分配器を用いることにより、第1の給電点及び第2の給電点の両方に接続されてよい。電力分配器の入力端は、第1の給電ポートに接続され、電力分配器の1つの出力端は、第1の給電点に接続され、電力分配器の別の出力端は、第2の給電点に接続される。
【0017】
可能な実施例において、電力分配器は、同軸ケーブル、第1のマイクロストリップ及び第2のマイクロストリップを含んでよい。第1のマイクロストリップの一端は、同軸ケーブルの第1の端部に接続され、第1のマイクロストリップの他端は、第1の給電点に接続される。第2のマイクロストリップの一端は、同軸ケーブルの第1の端部に接続され、第2のマイクロストリップの他端は、第2の給電点に接続される。同軸ケーブルの第2の端部は、第1の給電ポートに接続される。
【0018】
可能な実施例において、第1のマイクロストリップの電気長、第2のマイクロストリップの電気長、第1のらせんアームの開始端から第1の給電点までの電気長、第2のらせんアームの開始端から第2の給電点までの電気長は互いに等しい。
【0019】
可能な実施例において、アンテナはグランドプレーンをさらに含む。第1のらせんアームの開始端及び第2のらせんアームの開始端は、グランドプレーンの近くに配置されている。同軸ケーブルは、内部導体及び外部導体を含み、外部導体は、内部導体の外側に配置され、かつ、内部導体から電気的に絶縁されており、内部導体は、第1のマイクロストリップ及び第2のマイクロストリップの両方に接続され、外部導体は、グランドプレーンに接続される。
【0020】
第2態様によれば、本願は、無線デバイスをさらに提供し、ベースバンド、無線周波数モジュール、ケーブル及びアンテナを含む。無線周波数モジュールは、ケーブルを用いることにより、ベースバンド及びアンテナの両方に接続され、アンテナは、第1態様において開示されるアンテナである。ベースバンドは、デジタル信号を中間周波数アナログ信号に変換し、中間周波数アナログ信号を無線周波数モジュールに送信するように構成され、無線周波数モジュールは、中間周波数アナログ信号を無線周波数信号に変換し、無線周波数信号をアンテナに送信するように構成され、アンテナは、無線周波数信号を電磁波信号に変換し、電磁波信号を空中に放射するように構成される。
【0021】
第2態様の可能な実施例において、無線周波数モジュールが中間周波数アナログ信号を無線周波数信号に変換し、無線周波数信号をアンテナに送信することは、中間周波数アナログ信号を無線周波数信号に変換することと、無線周波数信号に対して増幅処理及びフィルタリング処理を連続的に処理して、処理された無線周波数信号を取得することと、処理された無線周波数信号をアンテナに送信することとを含む。アンテナが無線周波数信号を電磁波信号に変換することは、処理された無線周波数信号を電磁波信号に変換することを含む。
【0022】
本願の実施形態において提供される無線デバイスにおいて、無線デバイスのアンテナは、反対の巻き線方向の2つのらせんアームが設けられており、アンテナ上に3つの給電点が配置される。第1の給電点及び第2の給電点は、第1の給電ポートに接続され、第3の給電点は、第2の給電ポートに接続される。したがって、ヘリカルアンテナは、異なる位置において給電されることができ、その結果、左旋円偏波及び右旋円偏波は2つの異なる開始方向を生成し、これにより、偏波ダイバーシティ又は偏波多重化の要件を満たすように、2つのタイプの直線偏波を合成する。本願の解決手段では、1つのアンテナを用いることにより、2つの異なる直線偏波方向を実装でき、これにより、デバイスのコスト及び占有される空間を減らす。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】シングルアームヘリカルアンテナの概略構造図である。
【0024】
図2】本願の実施形態に係るアンテナの概略構造図である。
【0025】
図3】本願の実施形態に係るアンテナの別の実施例の概略構造図である。
【0026】
図4】本願の実施形態に係るアンテナがグランドプレーンに設けられた概略構造図である。
【0027】
図5】本願の実施形態に係る無線デバイスの接続関係の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本願の実施形態は、アンテナ及びマイクロ波伝送デバイスに関する。前述の実施形態における概念は、以下で簡単に説明される。
【0029】
アンテナ:アンテナは、伝送路において伝搬される誘導波を、制限のない媒体(大抵の場合、自由空間)において伝搬される電磁波に変換する、又は、逆の変換を実行するコンバータである。
【0030】
ヘリカルアンテナ:ヘリカルアンテナは、らせん形状のアンテナである。ヘリカルアンテナは、良好な電気伝導性を有する金属らせんワイヤを含み、一般に、同軸ケーブルを用いることにより給電される。同軸ケーブルの芯線は、らせんワイヤの一端に接続され、同軸ケーブルの外部導体は、接地された金属メッシュ(又は、面)に接続される。ヘリカルアンテナの放射方向は、らせんワイヤの円周に関連する。らせんワイヤの円周が1波長よりもはるかに短い場合、最も強い放射を有する方向は、らせん軸に対して垂直である、又は、らせんワイヤの円周が1波長の大きさのオーダである場合、最も強い放射は、らせん軸の方向に現れる。
【0031】
偏波方向:アンテナの偏波方向は、最大放射方向においてアンテナにより放射される電磁波の電界強度ベクトルの空間的向きとして定義され、アンテナにより放射される電磁波のベクトルの空間的方向を説明するパラメータである。電界と磁界との間には、一定の関係があるので、アンテナにより放射される電磁波の偏波方向は、電界ベクトルの空間的向きで表される。
【0032】
直線偏波:電界ベクトルの空間的向きが一定である偏波は、直線偏波と称される。
【0033】
円偏波:偏波の面と地球の法平面との間の含まれる角度が0から360度まで周期的に変化する場合、特に、電界のサイズが変化せず、方向が時間と共に変化し、電界ベクトルの最後尾の軌道が伝搬方向に対して垂直な面上に円として投影される場合、偏波は円偏波と称される。
【0034】
右旋円偏波:偏波の面が時間と共に回転し、電磁波の伝搬方向との右旋らせん関係を形成する場合、偏波は右旋円偏波と称される。
【0035】
左旋円偏波:偏波の面が時間と共に回転し、電磁波の伝搬方向との左旋らせん関係を形成する場合、偏波は左旋円偏波と称される。
【0036】
偏波ダイバーシティ:偏波ダイバーシティ中、同じ信号は、異なる偏波を用いることにより伝送され、信号伝送の信頼性を向上させる。
【0037】
偏波多重化:偏波多重化中、異なる信号は、異なる偏波を用いることにより伝送され、伝送容量を増やす。
【0038】
図2に示されるように、本願の実施形態は、アンテナを提供する。アンテナは、第1のらせんアーム1及び第2のらせんアーム2を含む。第1のらせんアーム1は、アンテナの軸Lの長手方向に沿って時計回りに巻きつけられており、第2のらせんアーム2は、アンテナの軸の長手方向に沿って反時計回りに巻きつけられている。第2のらせんアーム2及び第1のらせんアーム1は、複数の交点(3a、3b及び3c)を形成し、第1のらせんアーム1上に第1の給電点11が配置され、第2のらせんアーム2上に第2の給電点21が配置され、第1の給電点11及び第2の給電点21は、アンテナの軸に対して対称な2点であり、少なくとも1つの交点(3a、3b及び3c)のうちの1つの交点3aは、第3の給電点を形成する。第1の給電点11及び第2の給電点21は、第1の給電ポートAに接続され、第3の給電点は、第2の給電ポートBに接続される。
【0039】
本願の実施形態において提供されるアンテナは、反対の巻き線方向を有する2つのらせんアームを用いており、アンテナ上に3つの給電点が配置される。第1の給電点11及び第2の給電点21は、第1の給電ポートAに接続され、第3の給電点は、第2の給電ポートBに接続される。したがって、ヘリカルアンテナは、異なる位置において給電されることができ、その結果、左旋円偏波及び右旋円偏波は2つの異なる開始方向を生成し、これにより、偏波ダイバーシティ又は偏波多重化の要件を満たすように、2つのタイプの直線偏波を合成する。本願の解決手段では、1つのアンテナを用いることにより、2つの異なる方向における直線偏波を実施でき、これにより、デバイスのコスト及び占有される空間を減らす。
【0040】
具体的には、第3の給電点は、第2のらせんアーム2及び第1のらせんアーム1により形成される交点(3a、3b及び3c)のうちの任意の交点であってよい。2つの直線偏波方向を有するアンテナが比較的大きい位相差を生成することを防止するために、第2のらせんアーム2及び第1のらせんアーム1により形成される交点(3a、3b及び3c)から、第1の給電点11及び第2の給電点21に最も近い交点が第3の給電点として選択されてよい。このようにして、2つの直線偏波方向を有するアンテナにより生成される位相差を最小限に抑えることができる。例えば、図2を参照すると、交点3a、交点3b及び交点3cから、第1の給電点11及び第2の給電点21に最も近い交点3aが第3の給電点として選択されてよい。
【0041】
本願の実施形態において提供されるアンテナにおいて、第1のらせんアーム1の開始端は、第2のらせんアーム2の開始端と一致してよい、又は、一致しなくてよい。可能な実施例では、図2に示されるように、第1のらせんアーム1の開始端は、第2のらせんアーム2の開始端と一致し、交点3aを形成する。この場合、第1のらせんアーム1の開始端及び第2のらせんアーム2の開始端の一致する交点3aは、第3の給電点として構成されてよい。
【0042】
第1の給電点11及び第2の給電点21の位置について、2つのタイプの直線偏波をより純粋にし、重ね合わせの後に別の偏波方向が生成されることを防止するために、第1のらせんアーム1の開始端がアンテナの軸の長手方向に沿って時計回りに90度巻きつけられた後に取得される点は第1の給電点11として構成されてよく、第2のらせんアーム2の開始端がアンテナの軸の長手方向に沿って反時計回りに90度巻きつけられた後に取得される点は第2の給電点21として構成されてよい。このようにして、2つのタイプの直線偏波の交差偏波分離を改善でき、その結果、2つのタイプの直線偏波がより純粋になる。
【0043】
図2において示されるアンテナ上で2つのタイプの直線偏波を合成する原則の説明をしやすくするために、図2では、XYZ座標系が確立されてよい。図2に示されるように、第2の給電ポートBを通じて電流dが入力された場合、電流dは、交点3aにおいて2つに分割され、電流d1は第1のらせんアーム1に入り、電流d2は第2のらせんアーム2に入り、電流d1及び電流d2の流れ方向は反対である。この場合、第1のらせんアーム1は左旋円偏波を開始し、第2のらせんアーム2は右旋円偏波を開始し、左旋円偏波及び右旋円偏波の電流の開始方向は反対である。したがって、Y方向における直線偏波は、重ね合わせを通じて合成されてよい。図2に示されるように、第1の給電ポートAを通じて電流eが入力された場合、電力分配器の2つのマイクロストリップは、反対方向にある2つの電流e1及びe2を形成する。電流d1及び電流d2がそれぞれ第1の給電点11及び第2の給電点21に入った場合、電流d1及び電流d2の方向は同じである。この場合、第1のらせんアーム1は左旋円偏波を開始し、第2のらせんアーム2は右旋円偏波を開始し、左旋円偏波及び右旋円偏波の開始方向は同じである。したがって、X方向における直線偏波は、重ね合わせを通じて合成される。このようにして、互いに垂直である2つの直線偏波を形成できる。
【0044】
図3において示されるように、別の可能な実施例では、第1のらせんアーム1の開始端は、第2のらせんアーム2の開始端と一致しておらず、第1のらせんアーム1の開始端及び第2のらせんアーム2の開始端は、アンテナの軸に対して対称な2点である。この場合、第1のらせんアーム1の開始端は第1の給電点11として構成されてよく、第2のらせんアーム2の開始端は第2の給電点21として構成されてよく、第3の給電点は、第1のらせんアーム1の開始端及び第2のらせんアーム2の開始端に最も近い交点であってよい。
【0045】
オプションで、第1のらせんアーム1及び第2のらせんアーム2の材料が比較的硬い金属(例えば、銅線)である場合、支持体は配置されなくてよく、銅線は、らせん形状に直接曲げられてよい。この場合、銅線のらせん形状が維持されてよい。図4に示されるように、第1のらせんアーム1及び第2のらせんアーム2をしっかり固定するために、絶縁材料で作られている支柱5がさらに配置されてよい。支柱5の軸は、アンテナの軸と一致しており、第1のらせんアーム1は、アンテナの軸の長手方向に沿って支柱5の側壁の周りに時計回りに巻きつけられており、第2のらせんアーム2は、アンテナの軸の長手方向に沿って支柱5の側壁の周りに反時計回りに巻きつけられている。したがって、支柱5は、第1のらせんアーム1及び第2のらせんアーム2を実質的に支持でき、その結果、アンテナの構造全体は、より安定し、変形又は損傷を受ける可能性は低い。
【0046】
図3に示されるように、第1の給電ポートAは、電力分配器4を用いることにより、第1の給電点11及び第2の給電点21の両方に接続されてよい。電力分配器4の入力端は、第1の給電ポートAに接続され、電力分配器4の1つの出力端は、第1の給電点11に接続され、電力分配器4の別の出力端は、第2の給電点21に接続される。
【0047】
具体的には、図3に示されるように、電力分配器4は、同軸ケーブル41、第1のマイクロストリップ42及び第2のマイクロストリップ43を含んでよい。第1のマイクロストリップ42の一端は、同軸ケーブル41の第1の端部に接続され、第1のマイクロストリップ42の他端は、第1の給電点11に接続される。第2のマイクロストリップ43の一端は、同軸ケーブル41の第1の端部に接続され、第2のマイクロストリップ43の他端は、第2の給電点21に接続される。同軸ケーブル41の第2の端部は、第1の給電ポートAに接続される。第1のマイクロストリップ42の電気長、第2のマイクロストリップ43の電気長、第1のらせんアーム1の開始端から第1の給電点11までの電気長、第2のらせんアーム2の開始端から第2の給電点21までの電気長は互いに等しくてよい。第1のマイクロストリップ42及び第2のマイクロストリップ43は、代替的に、ストリップラインと置き換えられてよいことを留意されたい。これは、本明細書において限定されるものではない。
【0048】
図4に示されるように、本願の実施形態において提供されるアンテナは、グランドプレーン6をさらに含む。第1のらせんアーム1の開始端及び第2のらせんアーム2の開始端は、グランドプレーン6の近くに配置されている。同軸ケーブルは、内部導体及び外部導体を含み、外部導体は、内部導体の外側に配置され、かつ、内部導体から電気的に絶縁されており、内部導体は、第1のマイクロストリップ及び第2のマイクロストリップの両方に接続され、外部導体は、グランドプレーン6に接続される。
【0049】
本願は、無線デバイスをさらに提供する。図5に示されるように、無線デバイスは、ベースバンド100、無線周波数モジュール200、ケーブル300及びアンテナ400を含む。無線周波数モジュール200は、ケーブル300を用いることにより、ベースバンド100及びアンテナ400の両方に接続され、アンテナ400は、本発明の実施形態により開示されるアンテナである。
【0050】
実施形態において、ベースバンド100は、デジタル信号を中間周波数アナログ信号に変換し、中間周波数アナログ信号を無線周波数モジュール200に送信するように構成され、
無線周波数モジュール200は、中間周波数アナログ信号を無線周波数信号に変換し、無線周波数信号をアンテナ400に送信するように構成され、
アンテナ400は、無線周波数信号を電磁波信号に変換し、電磁波信号を空中に放射するように構成される。
【0051】
可能な実施例において、無線周波数モジュール200が中間周波数アナログ信号を無線周波数信号に変換し、無線周波数信号をアンテナ400に送信することは、
中間周波数アナログ信号を無線周波数信号に変換することと、
無線周波数信号に対して増幅処理及びフィルタリング処理を連続的に処理して、処理された無線周波数信号を取得することと、
処理された無線周波数信号をアンテナ400に送信することと
を含む。
【0052】
アンテナ400が無線周波数信号を電磁波信号に変換することは、
処理された無線周波数信号を電磁波信号に変換することを含む。
【0053】
本願の実施形態において提供される無線デバイスは、マイクロ波、デバイス、基地局又はWi-Fiデバイスなどであってよいことを留意されたい。
【0054】
前述の説明は、本発明の特定の実施例に過ぎないが、本発明の保護範囲を制限することを意図したものではない。本発明において開示される技術的範囲内で、当業者が容易に考えつくあらゆる変形又は置換は、本発明の保護範囲に含まれるものとする。したがって、本発明の保護範囲は、特許請求の範囲の保護範囲に従うものとする。
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】