(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-12
(54)【発明の名称】殺菌塔
(51)【国際特許分類】
A61L 2/10 20060101AFI20220104BHJP
【FI】
A61L2/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021515015
(86)(22)【出願日】2019-03-22
(85)【翻訳文提出日】2021-03-17
(86)【国際出願番号】 EP2019057219
(87)【国際公開番号】W WO2020088803
(87)【国際公開日】2020-05-07
(32)【優先日】2018-10-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520306691
【氏名又は名称】ドルフィン ケア エイピーエス
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】テルケルセン、ヨルン
【テーマコード(参考)】
4C058
【Fターム(参考)】
4C058AA23
4C058BB06
4C058EE03
4C058KK02
4C058KK22
(57)【要約】
本発明は、動作中に電流を受け取るよう適合された殺菌塔に関し、この殺菌塔は、a)支持ハウスであって、交換可能な電流サプライ・ユニットを有するよう適合された、ハウスの内側に空間を有し、外周、並びに互いに対して反対側にある頂部及び底部を有する細長い形状を有する、支持ハウスと、b)微生物を照射するよう適合された複数の細長いUVC光源であって、各UCV光源は、ハウスの外側に、ハウスの外周から所望の距離で、ハウスに対して長手方向に固定、配設され、各UVC光源の過熱を排除するよう構成された好適な距離で配設される、複数の細長いUVC光源と、を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
動作時に電流を受け取るように適合された殺菌塔であって、
(a)内部に空間を有し、交換可能な電流サプライ・ユニットを有するように適合された支持ハウスであって、外周、並びに互いに反対側にある頂部及び底部を有する細長い形状の支持ハウスと、
(b)微生物を照射するように適合された複数の細長いUVC光源であって、各UCV光源は、前記ハウスの外周から所望の距離のところで前記ハウスの外側に且つ前記ハウスに対して長手方向に固定及び配置され、また各UVC光源は、各UVC光源の過熱を排除するように構成された好適な距離で配置されている、複数の細長いUVC光源と
を有する殺菌塔。
【請求項2】
前記交換可能な電流サプライ・ユニットは、前記ハウスの内側に配置されている、請求項1に記載の殺菌塔。
【請求項3】
前記支持ハウスは、十角形状などの多角形状である、請求項1に記載の殺菌塔。
【請求項4】
前記ハウスの前記底部に別のUVC光源を有し、前記別のUVC光源は、前記塔の底の下の床における微生物を照射するように適合されている、請求項1に記載の殺菌塔。
【請求項5】
各UVC光源は、250から260nmでUVC光を提供するように適合されている、請求項1から4までのいずれか一項に記載の殺菌塔。
【請求項6】
前記支持ハウスは耐UVC材料で作られる、請求項1から5までのいずれか一項に記載の殺菌塔。
【請求項7】
8から20個のUVCランプを有する、請求項1から6までのいずれか一項に記載の殺菌塔。
【請求項8】
前記塔を安定させるため及び前記塔を容易に搬送するために、前記底部に少なくとも4つのホイールを有する、請求項1から7までのいずれか一項に記載の殺菌塔。
【請求項9】
可搬式で独立型のデバイスである、請求項1から8までのいずれか一項に記載の殺菌塔。
【請求項10】
閉鎖された部屋の中で機能するのに適している、請求項1から9までのいずれか一項に記載の殺菌塔。
【請求項11】
前記電流サプライを冷却するための換気ユニットが、前記塔の前記ハウスの内側に位置付けられている、請求項1から10までのいずれか一項に記載の殺菌塔。
【請求項12】
UVC光源を有し且つ前記塔の前記電流サプライから電流を受け取るよう適合された少なくとも1つのサテライトユニットを有する、請求項1から11までのいずれか一項に記載の殺菌塔。
【請求項13】
前記塔を操作するための制御パネルを有する、請求項1から12までのいずれか一項に記載の殺菌塔。
【請求項14】
閉鎖された部屋から多耐性バクテリアなどの微生物を除去するための方法であって、請求項1から13までのいずれか一項に記載の殺菌塔を、殺菌する前記部屋内に配置するステップと、前記殺菌塔に電流を供給するステップとを含む、方法。
【請求項15】
前記電流は少なくとも5分間流される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
部屋内における請求項1から13までのいずれか一項に記載の殺菌塔の使用であって、微生物を前記部屋から除去するための使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、殺菌塔(disinfection tower)、及び殺菌塔を使用して微生物を除去するための方法に関する。さらに本発明は、バクテリアなどの微生物を除去するための殺菌塔の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
1877年に、英国科学者のDownes及びBluntは、微生物の増殖を防止する太陽光の能力を発見した。その後、微生物を不活性化する光の能力は、線量(強度×時間)及び照射波長、並びに特定のタイプの微生物の感応性に依拠することが示されている。
【0003】
それ以降、UVC光が、空気中の、例えば水などの液体中の、及び表面上のバクテリアを減少させ、又は死滅させることが知られている。
【0004】
UVC光の照射は、バクテリア、ウィルス、黴、及び他の病原体などの微生物を、核酸を破壊してそれらのDNA/RNAを乱すことによって、死滅させ、又は不活性化させる。UVC光は現在、有害な強い洗浄剤及び化学物質に取って代わることができ、病室、手術室、トイレなどの殺菌のために使用されている。UVC光の使用は、現在強い洗浄剤及び化学物質を12から18時間使用することと比較すると、15分から2時間である。
【発明の概要】
【0005】
本発明者は、部屋、詳細には病院又は類似の施設における患者の病室及び手術室の、より効果的な殺菌の必要性が存在することを認識している。閉鎖された部屋、特に病院の部屋から、微生物を効果的に減少させるか、又は完全に除去できる効果的なデバイスは、市場には存在しない。UVC光は複雑であり、隅部の周りに動くことができない。それは、UVC光が常に微生物に当たらなければならないことを意味する。加えて、大多数の微生物が、床レベルから約100cmまで存在し、その結果高い線量のUVC光がその領域に必要とされ、同時に微生物が壁の背後又は隅部の周りに隠れることができないようにすべきである。
【0006】
新しく進歩性を有する構造が、有毒化学物質の必要性、及びこのような化学物質を用いて人が作業する危険性がない、微生物の効果的な減少及び完全な除去を提供する。さらに本発明の殺菌塔は、このような部屋を数時間内、又はときとして1時間未満でも清潔にするのを可能にし、より効果的する。その結果、資源を節約することができる。
【0007】
別の困難は、電流サプライであった。なぜなら十分な数の微生物に到達するよう、同時に塔の高さが重要な場合に、UVCランプに電流を供給するためには、多くの配線を必要とするからである。本構成は、殺菌塔の内側のUVCランプに電流を供給するための全ての配線などを隠し、同時に人及び病院で働くスタッフによって動かせる、安定した塔を提供するのを可能にする。
【0008】
本発明は、動作中に電流を受け取るように適合された、殺菌塔に関し、
(a)支持ハウスであって、交換可能な電流サプライ・ユニットを有するよう適合された、ハウスの内側の空間を有し、外周、並びに互いに対して反対側にある頂部及び底部を有する細長い形状を有する、支持ハウスと、
(b)微生物を照射するよう適合された、複数の細長いUVC光源であって、各UCV光源は、ハウスの外側に、ハウスの外周から所望の距離で、ハウスに対して長手方向に固定、配設され、各UVC光源の過熱を排除するよう構成された好適な距離で配設された、複数の細長いUVC光源と
を有する。
【0009】
1つの実施例において、交換可能な電流サプライ・ユニットは、支持ハウスの内側に配設される。このような支持ハウスは、塔である限り任意の形状を有することができ、例えば支持ハウスは、円筒形又は十角形状などの多角形状である。さらに支持ハウスは、スチールなどの耐UVC材料、例えばステンレススチールで作られる。
【0010】
別の実施例において、本発明の殺菌塔は、ハウスの底部に別のUVC光源を有する。この別のUVC光源は、塔の底の下の床における微生物を照射するよう適合される。
【0011】
さらに別の実施例において、各UVC光源は、250から260nm、好ましくは254nmのUVC光を提供するよう適合される。好ましくは、UVC光源はUVCランプであり、通常殺菌塔は、8から20個のUVCランプ、好ましくは8から12個のUVCランプを有する。
【0012】
別の実施例において、本発明の殺菌塔は、塔を安定させるため及び塔を容易に搬送するために、その底部に少なくとも4つのホイールを有する。通常、塔は可搬式(ポータブル)で独立型(スタンドアロン)のデバイスである。
【0013】
さらに別の実施例において、本発明の殺菌塔は、病院の部屋又は病室などの閉鎖された部屋、例えば手術室の内側で機能するために好適である。
【0014】
別の実施例において、電流サプライ・ユニットを冷却するための換気ユニットが、塔のハウスの内側、好ましくはハウスの頂部に位置される。
【0015】
さらに別の実施例において、本発明の殺菌塔は、UVC光源を有し、塔の電流サプライから電流を受け取るよう適合された、少なくとも1つのサテライトユニットを有する。
【0016】
別の実施例において、本発明の殺菌塔は、ハウスの頂部に隣接して配設された制御パネルなど、塔を操作するための制御パネルを有する。
【0017】
別の態様において、本発明は、多耐性バクテリア(multiresistant bacteria)などの微生物を、閉鎖された部屋、好ましくは手術室、病室、及び処置室から除去する方法に関し、殺菌されることになる部屋に本発明の殺菌塔を設置するステップ、及び殺菌塔に電流を供給するステップを有する。
【0018】
1つの実施例において、電流は15から240分間など、少なくとも5分間オンにされる。
【0019】
さらに別の態様において、本発明は、部屋から微生物を除去するため、本発明の殺菌塔を部屋で使用することに関する。
【0020】
本発明は、説明する解決策を伴うこれらの利点を提供する。
【0021】
本発明の別の目的及び利点は、以下の説明及び特許請求の範囲から明白となろう。
【0022】
(発明の説明)
広範な態様において、本発明は、動作中に電流を受け取るように適合された殺菌塔に関し、
(a)支持ハウスであって、交換可能な電流サプライ・ユニットを有するよう適合された、ハウスの内側の空間を有し、外周、並びに互いに対して反対側にある頂部及び底部を有する細長い形状を有する、支持ハウスと、
(b)微生物を照射するよう適合された、複数の細長いUVC光源であって、各UCV光源は、ハウスの外側に、ハウスの外周から所望の距離で、ハウスに対して長手方向に固定、配設され、各UVC光源の過熱を排除するよう構成された好適な距離で配設された、複数の細長いUVC光源と、
を有する。
【0023】
殺菌塔は、好ましくは金属などの、250から260nmの波長のUVC光に耐え得る材料、例えばスチールで構築される。殺菌塔は、人によって動かすことができ、殺菌のために部屋の中に適応する限り、原則的に任意の好適な高さ、幅、及び奥行を有することができる。塔は細長い形状を有するので、幅及び奥行よりも高く、直立できるよう適合される。通常、塔は細長く、全断面にわたり多角形状又は円筒形の断面を有し、正方形又は矩形であってもよい。詳細には、塔は、塔を支持し、交換可能な電流サプライ・ユニットを包含するよう構築された支持ハウスを有する。
【0024】
別の実施例において、交換可能な電流サプライ・ユニットは、支持ハウスの内側に配設される。このような支持ハウスは、塔である限り任意の形状を有することができ、例えば支持ハウスは、円筒形又は十角形状である。さらに、支持ハウスは、スチールなどの耐UVC材料、例えばステンレススチールで作られる。
【0025】
一般に、UVCランプなどの1つの細長いUVC光源では、部屋を殺菌するために十分なUVC光を提供できないので、複数の細長いUVC光源が使用される。細長いUVC光源は、UVC光源の過熱を避けるために十分離隔させなければならず、同時に効果的な微生物の減少、及び殺菌される特定の部屋の殺菌を提供するために、十分なUVC光源とすべきである。一般に、UVC光源はUVCランプであり、殺菌塔は一般に、8から20個のUVCランプ、好ましくは8から16個のUVCランプ、8から12個のUVC光源などで、例えば8から12個のUVCランプを有する。好ましくは、各UVC光源は、250から260nmのUVC光を提供するよう適合され、最適な殺菌は、254nmの波長において実現される。
【0026】
塔、及びさらにはUVCランプの寸法は、処理及び殺菌される部屋に依拠して変化させることができるが、細長いUVCランプの長さは、好ましくは少なくとも100cmで、塔はUVCランプを支持できるよう構築される。一般の病室のために、細長いUVCランプは、100から200cmで、通常は100から150cm、120から140cmなどである。本発明は、様々な長さのUVCランプを用いて試験しており、15分から約4時間など、十分な時間内に全ての微生物を死滅させるためには、少なくとも100cmが必要である。
【0027】
本発明の殺菌塔を、閉鎖された部屋に設置し、バクテリアを死滅させるのに十分な時間UVCランプをオンにして、次にUVC光で処置されていない塔の下の領域で殺菌するために動かすことができる。しかし、別の実施例において、本発明の殺菌塔は、ハウスの底部に別のUVC光源を有する。この別のUVC光源は、塔の下の床領域における微生物を照射するよう適合される。通常、1つのUVCランプが、塔の底部に設けられる。
【0028】
本発明の殺菌塔は、閉鎖された部屋の殺菌に特に有用である。通常、部屋の寸法は、微生物の十分な減少をもたらすための塔及びUVCランプの寸法と、相関する。本発明は、病院の部屋又は病院の患者のための病室など、特に多くの数の異なる微生物を伴う部屋のために好適である。別の好ましい使用は、手術室の殺菌のためのものである。理解され得るように、任意の閉鎖された部屋を本発明の塔を用いて殺菌することができ、これは、病院の部屋のような部屋を洗浄するための公知の方法と比べて、時間を短縮して行うことができる。
【0029】
本発明の塔を操作する十分な電流を提供するために必要な、電流サプライ・ユニットの多くの配線のために、動作中に加熱されたとき電流サプライ・ユニットを冷却するための換気ユニットが、塔のハウスの内側に位置される。このような換気ユニットは、支持ハウスの頂部又は底部などの任意で好適な箇所に位置させることができる。好ましくは、換気ユニットはハウスの頂部に位置され、それは動作中、電流サプライ・ユニットに最も効率的な冷却を提供することが判明している。
【0030】
本発明の殺菌塔は、塔を安定させるため及び塔を容易に搬送するため、その底部に、一般に少なくとも4つのホイールを有する。通常、4又は5個のホイールが、塔を安定させ続けるために十分である。
【0031】
好ましくは、塔は可搬式で独立型のデバイスであり、これは、塔を必要とされるときにいつでも殺菌するための場所に動かすことができ、電流を受け取るためにプラグインすることができる。塔を使用しないときには保管することができ、1人だけで搬送及び操作することができる。
【0032】
いくつかの部屋は、分割部屋、又は正方形若しくは矩形の形状ではない領域を有し得る。これは、微生物を完全且つ効率的に減少させるために、通常は1つのUVCランプであるUVC光源を有し、塔の電流サプライから電流を受け取るよう適合された、1つ又は複数のサテライトを、殺菌のメイン塔によって使用されない領域に設置することができる。この組み合わせた殺菌塔及びサテライトは、微生物を除去するための高い効率のデバイスを提供する。通常、サテライトは塔の形状を有し、殺菌塔と同じか類似の高さであるが、外周は小さい。通常サテライトは、サテライトを支持し、且つUVCランプを防護するために設けられた、金属グリッドを有する。
【0033】
人が本発明の塔、及び任意選択でサテライトを人が操作するために、UVC光の時間及び殺菌開始を設定するための、制御パネルが設けられる。それによって塔を操作する人は、UVC光がスイッチオンされる前に、殺菌される部屋から退出することができる。制御パネルは、塔の任意で好適な箇所に配設することができるが、通常は支持ハウスの頂部に隣接して配設される。
【0034】
別の態様において、本発明は、閉鎖された部屋から微生物を除去する方法に関し、本発明の殺菌塔を殺菌されることになる部屋に設置するステップ、及び殺菌塔に電流を供給するステップを有する。本発明の殺菌塔の、上記の実施例のうちの任意の1つは、個々、又は組み合わせるかのいずれかによる、本方法の実施例である。
【0035】
1つの実施例において、電流は15から240分間など、30から180分間など、45から150分間など、60から120分間など、少なくとも5分間オンにされる。別の実施例において、微生物がUVC光に対してあまり感応しない場合、電流は少なくとも120分間オンにされる。部屋の殺菌を必要とする、通常発生する抗性物質耐性微生物(ブドウ球菌、シュードモナス菌、腸内細菌、及び腸球菌)は、5から15分間のUVC光に対して非常に感応しやすい。数種のみ、すなわちマイコバクテリア、及びクロストリジウム・ディフィシルからの芽胞が、より長い曝露時間を必要とする。
【0036】
さらに別の実施例において、部屋は手術室である。通常は病院の手術室である。
【0037】
さらに別の態様において、本発明は、部屋から微生物を除去するための、本発明の殺菌塔の部屋での使用に関する。
【0038】
本明細書で使用される用語「可搬式で独立型」は、病院で働く人などの使用者によって搬送でき、病人のための病室、手術室、建物のオフィスなど、任意の所望の場所に(電流サプライのために)プラグインできるデバイスを意味する。
【0039】
本発明を、本発明の空気殺菌ユニットの典型的な実施例を示す、添付の図面を参照して、より完全に説明する。
【0040】
これらの図面は、本発明の範囲を限定することはなく、当業者に本発明のより良好な理解を案内することのみを意図する。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【
図1】
図1は、動作中に電流を受け取るよう適合された、殺菌塔(10)の側面図である。示される殺菌塔(10)は支持ハウス(12)を有する円筒形(又はほぼ円筒形)であり、支持ハウス(12)は、交換可能な電流サプライ・ユニットを有するよう適合された、ハウスの内側の空間を有する(図示せず)。塔(10)及びハウス(12)は、外周(図示せず)と、互いに反対側にある頂部(14)及び底部(16)とを有する、細長い形状を有する。さらに、複数の細長いUVCランプ(18)が、ハウス(12)の外側に、ハウス(12)の外周から所望の距離で、ハウス(12)に対して長手方向に固定、配設される。さらに、各UVCランプ(18)は、各UVCランプの過熱を排除するよう構成された好適な距離で配設される。金属グリッド(20)は、塔及びハウスの外側に配置され、支持を提供し、特にUVCランプ(18)を防護する。本実施例において、制御パネル(22)は頂部(14)に配置され、殺菌塔(10)を開始及び停止させ、UVC光のタイミング及び線量を設定する。底部において、通常は4つのホイール(24、26)が配置され、塔を保管場所から殺菌されることになる部屋へ容易に移動させる。ここではサテライトユニット(28)も示され、これは、頂部(30)及び底部(32)を有する細長い形状、及び金属グリッド(36)によって防護されたUVCランプ(34)を有する。サテライト(28)には、底部(32)にプラットフォームが装備され、殺菌塔から分離して独立するのを可能にする。サテライト(28)は、使用中に塔から分離され、使用しないときは塔と共に保管できる。
【0042】
【
図2】
図2は、
図1の殺菌塔の上面図(40)であり、(十角形状の)ハウス(42)、制御パネル(44)、2つのサテライト(46、48)、及び4つのホイール(50、52、54、56)を示す。
【0043】
【
図3】
図3は、
図1の殺菌塔の底面図(60)であり、十角形状のハウス(62)、2つのサテライト(64、66)、及び4つのホイール(68、70、72、74)を示す。さらに、1つのUVCランプ(76)が底部に位置され、殺菌する床にUVC光を提供するよう適合される。
【0044】
【
図4】
図4は、
図1の塔のC-Cラインに沿った断面図である。殺菌塔(80)は、塔(80)の中央に配設された電流サプライ・ユニット(82)を有し、十角形状のマントル(84)は、電流ユニット(82)を有し且つ防護する。さらに示されるのは、2つのサテライト(86、88)、4つのホイール(90、92、94、96)、及びUVCランプ(98)である。
【0045】
【
図5】
図5は、電流サプライ・ユニットの正面図(100)及び側面図(102)であり、電流サプライ・ユニット(100、102)は、殺菌塔のハウスの内側に嵌合するように適合される。
【0046】
【
図6】
図6は、
図1の殺菌塔(110)を底部から見た斜視図であり、電流サプライ・ユニット(114)がハウス(112)の中に挿入されている。一旦ハウス(112)の中に挿入されると、電流サプライ・ユニット(114)は封止され、ネジなどの締付手段によってハウス(112)に固定される。
【発明を実施するための形態】
【0047】
本明細書で言及する出版物、特許出願、及び特許を含む、全ての参照は、各参照が、参照によって組み込まれるよう個々に且つ具体的に示され、本明細書にその全てが明記されるのと同じ程度で、本明細書によって参照として組み込まれる。
【0048】
全ての表題及び副題は、本明細書では利便性のみのために使用され、決して本発明を限定するよう解釈するべきではない。
【0049】
上述の要素の任意の組み合わせの、考えられる全ての変形は、本明細書で別途表わすか、又は文脈によって別途明確に否定しない限り、本発明によって包含される。
【0050】
本明細書の値の範囲についての記述は、本明細書で別途表さない限り、その範囲内に入る各別個の値を個々に言及する簡潔な方法としての役割を意図するだけである。各別個の値は、本明細書で個々に列挙するかのように、本明細書の中に組み込まれる。別途記述しない限り、本明細書で提供された全ての正確な値は、対応した大まかな値の代表値である(例えば、特定の要因又は測定値に対して提供された、全ての正確な例示的値を、適切な場合は「約」によって修飾された、対応した大まかな測定値としても考慮することができる。
【0051】
本明細書で説明した全ての方法は、本明細書で別途表わさない限り、又は別途文脈で明確に否定しない限り、任意の好適な順番で実施することができる。
【0052】
本発明を説明する文脈において使用される、用語「1つの(a、an)」及び「この(the)」、並びに類似の指示物は、本明細書で別途表わさない限り、又は文脈で明確に否定しない限り、単数形及び複数形の両方を挿入するものと解釈するべきである。したがって「1つの」及び「この」は、少なくとも1つ、又は1つ以上を意味する。
【0053】
本明細書で提供される任意及び全ての例、又は例示的言語(例えば「のような(such as)」の使用は、本発明をより良好に明らかにすることのみを意図し、別途表わさない限り、本発明の範囲に限定を提起するものではない。本明細書における言語は、同様に明確に記載されない限り、任意の要素が本発明を実施するために必須であることを示すとは、解釈すべきではない。
【0054】
説明を通して、「から選択された(selected from)」又は「から成るグループから選択された(selected from the group consisting of)」が使用されるとき、記載した用語の全ての可能な組み合わせ、並びに各個々の用語も意味する。
【0055】
本明細書の特許書類における列挙及び組み込みは、利便性のためのみに成され、このような特許書類の有効性、特許性、及び/又は執行可能性における任意の側面を反映しない。
【0056】
要素を言及する、「有している(comprising、having)」、「含んでいる(including)」、又は「包含している(containing)」などの用語を使用する、本発明の任意の態様又は実施例の、本明細書における説明は、別途記載しない限り、若しくは文脈で明確に否定しない限り、特定の要素「から成る(consists of)」若しくは「基本的に~から成る(consists essentially of)」、又は「実質的に有する(substantially comprises」など、本発明の類似の態様若しくは実施例を支持するために提供するよう意図される(例えば、特定の要素を有するように本明細書で説明された組成物は、別途記載されない限り、若しくは文脈で明確に否定されない限り、その要素から成る組成物も説明するものと理解すべきである)。
【0057】
前述の説明で開示された特徴は、別個、及び任意のそれらの組み合わせの両方で、その多様な形態で本発明で実現するための材料であってよい。
【0058】
(実験)
図1から
図6に示された殺菌塔は、各々が254nmのUVC光を提供する10個のUVCランプで構築され、各UVCランプは互いから55mm離して配設され、これら10個のUVCランプは、塔ハウスの外周に配置された。塔ハウスは、ホイールのサイズ、及び塔ハウスを閉鎖及び封止する頂部のサイズに依拠して、合計高さは約175cmである。各UVCランプは、約156cmの長さ及び約15mmの径を有する。各UVCランプは、145Wのランプワット、800mAのランプ電流、及び高周波数182Vのランプ電圧を有する。物理データは、UV出力253.7nm(100hr)54W、強度1mあたり410μW/cm
2及び定格平均寿命16000hrsである。
【0059】
十角形状のハウスは約30cmの径を有し、このハウジングは、デンマーク国のコペンハーゲン大学病院Rigshospitaletにおける使用では、各UVCランプに最大0.68Aの電流を提供する電流サプライ・ユニットを包含する。
【0060】
10個のUVCランプは細長く、殺菌される部屋の床に最も近い底部は、床の上約11cmである。塔の底には、さらに254nmのUVC光を提供する1つのUVCランプが装備され、このランプは床の上約7cmに位置される。
【0061】
この殺菌塔は、デンマーク国のコペンハーゲン大学病院Rigshospitaletの臨床微生物学部における、いくつかの部屋において試験された。
【0062】
デンマーク国の2つの病院における様々な部屋が、
図1から
図6に示された殺菌塔を用いて試験された。部屋は8m
2から100m
2まで様々であり、一般に8m
2の部屋はトイレ、100m
2の部屋は患者の病室である。トイレにおいて、殺菌塔は一般に5分間作動して、全ての微生物を死滅させる。多くの患者のために好適な100m
2までの病室において、殺菌塔は、いくつかのバクテリア及び微生物のために15分間作動し、特別の多耐性微生物が存在する場合は、2時間作動する。一般的に、
図1から
図6の殺菌塔は5メートルの範囲に届く。これは、いくつかの事例において、塔から部屋の壁までが5mより長い広い部屋を網羅するために、移動させる必要があり得ることを意味する。
【0063】
通常の病室は15から50m
2であり、
図1から
図6に示された殺菌塔は、一度の作動で50m
2まで取り扱うことができる。通常の50m
2の部屋は、頂部(天井)まで2.5メートル以下であり、塔が部屋の中央に正しく設置されたとき、任意の隅部からタワーまで5メートル未満である。
【0064】
試験の結果は以下のとおりである。
【0065】
デンマーク国コペンハーゲン大学病院Rigshospitaletの臨床微生物学部によって(内部的に(in confidentiality))行なわれた2つの科学的研究は、(
図1から
図6に示されたような殺菌塔などの)ユニットから5メートル(16.4フィート)の距離で15分の照射後に、耐通性及び好気性バクテリアのlog5からlog6の減少が示された。
【0066】
第1の研究において、試験は、嚢胞性繊維症の患者のための4つの異なる外来クリニックにおける表面から採取した標本に焦点を当てた。標本は、部屋内において高UV-C照射に曝露した、30分前及び30分後に採取された。バクテリアの存在は、事実上排除された。
【0067】
第2の研究において、試験管内の試料が、UV-C照射源の5メートル以内に設置された。バクテリアの存在の99.999%は、15分の照射への曝露後に死滅した(試験したバクテリアは、エンテロコッカス・フェシウム(VRE)、エンテロコッカス・フェカリス、黄色ブドウ球菌、アシネトバクター・バウマニ、肺炎桿菌、及びステノトロホモナス・マルトフィリアを含む)。このレベルの排除は、部屋の殺菌の目的には十分である。
【0068】
(結果)
予想通り、栄養バクテリアはUVC光に対して芽胞よりも感応しやすい。UVCに曝露する時間が長いほど、栄養バクテリア及び芽胞の両方に対する影響が大きく、UVC源にバクテリアが近いほど、UVC光の影響は大きい。
【0069】
UVCに15分曝露した後の、栄養バクテリアに対するUVCの影響を、表1に示す。数字は、2つの実験の平均として与えられる。プレート上の、約108コロニー形成単位/cm2(CFU/cm2)の最高の開始濃度が、第1の列に示される。次の列は、UVCに15分曝露した後、UVC源から3メートル、4メートル、及び5メートルにおいて、プレート上に残ったバクテリアの数を示す。
【0070】
グラム陰性バクテリアは、3mにおいて約8log10減少し、4mにおいて6log10減少し、5mにおいて6log10減少した。バクテリアの開始濃度における10倍の減少は、5mにおいて7log10の減少をもたらした。
【0071】
グラム陽性バクテリアは、グラム陰性バクテリアよりもUVC光に対する影響は少なかった。その減少は、3mにおいて約6log10、及び5mにおいて約5log10であった。バクテリアの開始濃度の10倍の減少は、3mにおいて6log10の減少、及び5mにおいて5log10の減少をもたらした。バイコマイシン耐性エンテロコッカス・フェシウムは、他のグラム陽性バクテリアよりもUVCに対する影響は少ないようである。
【表1】
【0072】
90分の曝露後のセレウス菌に対するUVCの影響は、UVC源から2m、3m及び4mにおいて6log
10の減少であった(表2)。90分の曝露後の2、3、又は4mにおける、クロストリジウム・ディフィシル芽胞の減少は約1log
10である(表2)。
【表2】
【0073】
フィールド試験は、嚢胞性繊維症の患者のための外来クリニックにおいて、3つの部屋で実施された。曝露前後のインプリント間(in-between imprints)の、UVC曝露時間は30分であった。インプリントは、各部屋の5つの標準的な箇所から採取した。結果を表3に示す。試料は、部屋1から8回、部屋2から5回、及び部屋3から4回採取した。全ての数字は、CFU/imprint plate(20cm2)として与えられる。
【0074】
各部屋の結果は、
図3aから
図3cに示される。同じものがUVC前に取得された箇所における汚染でさえ、バクテリア数の明白な減少が確認された。椅子は最も汚染された箇所であり、ここでもバクテリアの明白な減少が見られた(nは試料数である)。
【表3-1】
【表3-2】
【国際調査報告】