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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-12
(54)【発明の名称】ピクロラムのハロゲン類似体の調製
(51)【国際特許分類】
   C07D 401/04 20060101AFI20220104BHJP
   C07D 213/84 20060101ALI20220104BHJP
【FI】
C07D401/04 CSP
C07D213/84 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2021515096
(86)(22)【出願日】2019-09-18
(85)【翻訳文提出日】2021-05-14
(86)【国際出願番号】 US2019051650
(87)【国際公開番号】W WO2020061146
(87)【国際公開日】2020-03-26
(31)【優先権主張番号】62/733,285
(32)【優先日】2018-09-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】501035309
【氏名又は名称】コルテバ アグリサイエンス エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100139310
【弁理士】
【氏名又は名称】吉光 真紀
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】デヴァラジ、ジャヤチャンドラン
(72)【発明者】
【氏名】ジャブタッゼ,ヌグザリ
(72)【発明者】
【氏名】アーバイン,ニコラス エム.
(72)【発明者】
【氏名】キスター,ジェレミー
(72)【発明者】
【氏名】リー,メリッサ
(72)【発明者】
【氏名】レング,ロナルド ビー.
(72)【発明者】
【氏名】リン,ロンロン [マンディ]
(72)【発明者】
【氏名】リング,ロン
(72)【発明者】
【氏名】ニヤズ,ヌーモハメド エム.
(72)【発明者】
【氏名】シュイトマン,アブラハム ディー.
(72)【発明者】
【氏名】シンケル,アーロン エー.
(72)【発明者】
【氏名】ツ,シユ
(72)【発明者】
【氏名】ウィテカー,グレゴリー ティー.
(72)【発明者】
【氏名】チャン,チュンミン
【テーマコード(参考)】
4C055
4C063
【Fターム(参考)】
4C055AA01
4C055BA03
4C055BA39
4C055BA57
4C055BA59
4C055CA03
4C055CA39
4C055DA27
4C055FA01
4C055FA08
4C055FA31
4C063AA01
4C063BB02
4C063CC12
4C063DD07
4C063EE03
(57)【要約】
ピクロラム酸、ピクロラムエステル又はピクロラムのニトリル類似体から、5-フルオロ-6-(ブロモ若しくはクロロ)ピクロラム類似体又はその誘導体を調製するための方法が提供される。本方法は、(1)ピクロラム酸、ピクロラムエステル又はピクロラムのニトリル類似体の4-アミノ置換基へフタロイル基を導入する化学プロセス工程、(2)ハロゲン交換フッ素化化学作用を使用して、ピリジン環の5,6位に2個のフッ素原子を付加する化学プロセス工程、(3)フタロイル基を除去し、エステル又はニトリル置換基を加水分解し、酸及び水による処理により6位に塩素又は臭素を付加する化学プロセス工程、及び最後に、(4)工程(3)で生成された5-フルオロ-6-(ブロモ又はクロロ)ピクロラム酸を、5-フルオロ-6-(ブロモ又はクロロ)ピクロラムエステルにエステル化する化学プロセス工程を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式:
【化1】

(式中、ZはCOOR又はCNであり、RはC~C12アルキル若しくはC~C12アリールアルキル又はHであり、各Y置換基は、H、F、Cl、Br、I、C~Cアルキル、C~Cアルコキシ、C~Cハロアルキル、C~Cハロアルコキシ又はニトロから独立して選択され、式中、nは1、2、3又は4である)の化合物。
【請求項2】
式II:
【化2】

(式中、XはCl又はBrであり、ZはCOOR又はCNであり、RはH、C~C12アルキル、C~C12アリールアルキル、C~C12アルキニル、CNで置換されたC~Cアルキル又はHである)
の化合物又はそのHBr塩のHClを調製するための方法であって、
a)式IIIの化合物を、式IIIaのハロゲン化フタロイル又は式IIIbの無水フタル酸
【化3】

(式中、各Y置換基は、H、F、Cl、Br、I、C~Cアルキル、C~Cアルコキシ、C~Cハロアルキル、C~Cハロアルコキシ又はニトロから独立して選択され、式中、nは1、2、3又は4であり、XはCl又はBrである)、及び任意選択的に塩基と合わせる工程と、
b)工程a)からの式IVの化合物
【化4】

を単離する工程と、
c)工程b)からの単離された前記式IVの化合物を、フッ素化化合物又は化合物のフッ素化混合物と合わせる工程と、
d)工程c)からの式Vの化合物
【化5】

を単離する工程と、
e)工程d)からの単離された前記式Vの化合物を、HCl又はHBr及び水と合わせる工程と、
f)工程e)からの前記式IIの化合物を単離する工程と
を含む、方法。
【請求項3】
工程a)が、前記式IIIの化合物を、前記式IIIaのハロゲン化フタロイル又は前記式IIIbの無水フタル酸、及び任意選択的に塩基と合わせる前に、式IIIをアルコールROH、及び酸又は酸生成化合物に接触させることにより、前記式IIIの化合物(式中、ZはCOORであり、RはH、C~C12アルキル又はC~C12アリールアルキルである)を調製することを更に含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
工程a)が、アセトニトリル(ACN)、トルエン、ジメチルホルムアミド(DMF)、プロピオニトリル、ベンゾニトリル、THF、2-メチル-THF、ジオキサン、シクロペンチルメチルエーテル(CPME)、モノエチレングリコールエーテル、ジエチレングリコールエーテル、モノプロピレングリコールエーテル、ジプロピレングリコールエーテル若しくはメチルイソブチルケトン(MIBK)、又はそれらの混合物から選択される溶媒を更に含み、好ましくは、前記溶媒が、ACN、トルエン、DMF、CPME又はMIBKであり、より好ましくはトルエンである、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
工程a)中の前記塩基が、トリアルキルアミン化合物、好ましくはトリエチルアミンである、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
工程a)の前記合わせることが、約25℃~約100℃、好ましくは約25℃~約70℃の温度で維持される、請求項2~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
工程c)中の前記フッ素化化合物又は前記化合物のフッ素化混合物が、フッ化カリウム、フッ化セシウム、フッ化テトラメチルアンモニウム若しくは塩化テトラメチルアンモニウム、又はそれらの混合物であり、好ましくはフッ化カリウムである、請求項2に記載の方法。
【請求項8】
工程c)が、非プロトン性溶媒、好ましくは、アセトニトリル(ACN)、プロピオニトリル(PCN)、ベンゾニトリル(BCN)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、スルホラン、ジメチルアセトアミド(DMA)、1,1-ジメチル-2-イミジゾリジノン(imidizolidinone)(DMI)、N,N’-ジメチルプロピレン尿素(DMPU)、N-メチルピロリジノン(NMP)、テトラヒドロフラン(THF)、2-メチル-THF、ジオキサン、モノエチレングリコールエーテル、ジエチレングリコールエーテル、モノプロピレングリコールエーテル若しくはジプロピレングリコールエーテル、又はそれらの混合物から選択される前記非プロトン性溶媒を更に含む、請求項2に記載の方法。
【請求項9】
工程c)の前記合わせることが、約15℃~約150℃、好ましくは約25℃~約110℃の温度で維持される、請求項2~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
工程e)の前記合わせることが、酢酸を更に含む、請求項2~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
工程b)が、濾過若しくは遠心分離により前記式IVの化合物を単離することを含み、且つ/又は工程d)が、濾過若しくは遠心分離により前記式Vの化合物を単離することを含み、且つ/又は工程f)が、濾過若しくは遠心分離により前記式IIの化合物を単離することを含む、請求項2~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記式IVの化合物が工程b)で単離されず、且つ工程a)からの前記合わせたものが工程c)に直接使用され、且つ/又は前記式Vの化合物が工程d)で単離されず、且つ工程c)からの前記合わせたものが工程e)に直接使用される、請求項2~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
式VI
【化6】

(式中、X=Cl又はBr、RはC~C12アルキル、C~C12アリールアルキル、C~C12アルキニル又はCNで置換されたC~Cアルキルである)の化合物を得るために、工程f)からの前記式IIの化合物を、アルコール及び酸、又はアルキル化剤及び塩基と合わせることにより前記式IIの化合物をエステル化することを更に含む、請求項2に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権
本出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、2018年9月19日に出願された米国特許出願第62/733,285号明細書に対する優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
除草剤のピコリン酸ファミリーのメンバーであるピクロラム(I;X、Y=Cl)は、放牧地、イネ科牧草地、森林地及び産業環境において、広葉雑草の非常に良好な制御を提供するオーキシン除草剤である(12th Edition of the Pesticide Manual,2000)。ピクロラムはまた、アミノピラリド(I、X=Cl、Y=H)として知られる別の有用なオーキシン除草剤の生産のための原材料としての役割も果たしている。
【化1】
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
ピクロラム又はその誘導体(エステル若しくはニトリル)からピクロラムの5,6-ジハロ類似体を調製するための方法が、本明細書に記載される。具体的には、式IIの5-フルオロ-6-(ブロモ若しくはクロロ)ピクロラム類似体又はその誘導体(エステル若しくはニトリル)が調製され得る。
【化2】

(式中、X=Cl又はBr、ZはCOOR又はCNであり、RはC~C12アルキル、C~C12アリールアルキル、C~C12アルキニル、CNで置換されたC~Cアルキル又はHである)。
【0004】
式IIの化合物は、国際公開第2012/103044A1号パンフレット及び国際公開第2012/103041A2号パンフレットに記載されているように、除草剤の合成に用いられる有用な中間体である。
【0005】
本方法は、まず、式IIIの化合物を、式IIIaのハロゲン化フタロイル又は式IIIbの無水フタル酸
【化3】

(式中、各Y置換基は、H、F、Cl、Br、I、C~Cアルキル、C~Cアルコキシ、C~Cハロアルキル、C~Cハロアルコキシ又はニトロから独立して選択され、式中、nは1、2、3又は4であり;XはCl又はBrである)、及び任意選択的に塩基と合わせることを含む。次に、式IVの化合物
【化4】

を第1の工程から単離し、単離した式IVの化合物をフッ素化化合物又は化合物のフッ素化混合物と合わせる。次に、式Vの化合物
【化5】

を単離してHCl又はHBr及び水と合わせる。最後に、式IIの化合物を単離する。
【0006】
本開示の別の態様は、記載された方法によって生成された新規化合物、すなわち、化合物:
【化6】

(式中、X=Cl又はBr、ZはCOORであり、RはC~C12アルキル、C~C12アリールアルキル、C~C12アルキニル、CNで置換されたC~Cアルキル又はHである);及び
【化7】

(式中、ZはCOOR又はCNであり、RはH、C~C12アルキル又はC~C12アリールアルキルであり;各Y置換基は、H、F、Cl、Br、I、C~Cアルキル、C~Cアルコキシ、C~Cハロアルキル、C~Cハロアルコキシ又はニトロから独立して選択され、式中、nは1、2、3又は4である)である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
式IIIのピクロラムエステル又はニトリルから、式IIの5-フルオロ-6-(ブロモ若しくはクロロ)ピクロラム類似体又はその誘導体を調製するための方法が提供される。スキーム1に示されるように、本方法は、(1)塩化フタロイルなどの二酸ハロゲン化物又は無水フタル酸などの酸無水物との式IIIの化合物の反応により、フタロイルなどの環状イミド基を4-アミノ置換基へ導入する化学プロセス工程、(2)フッ素化化学作用の使用により、ピリジン環の5,6位に2個のフッ素原子を配置する化学プロセス工程、並びに(3)環状イミド基を除去し、エステル又はニトリル置換基を加水分解し、酸HX(式中、XはCl又はBrである)及び水による処理により、6位にハロゲン原子を導入する化学プロセス工程を含む。
【化8】

式中、XはCl又はBrであり、ZはCOOR又はCNであり、RはC~C12アルキルであり、RはC~C12アルキル、C~C12アリールアルキル、C~C12アルキニル又はCNで置換されたC~Cアルキルである。
【0008】
I.定義
式IVの化合物(式中、ZはCOR又はCNであり、RはC~C12アルキル又はC~C12アリールアルキルであり、各Y置換基は、H、F、Cl、Br、I、C~Cアルキル、C~Cアルコキシ、C~Cハロアルキル、C~Cハロアルコキシ又はニトロから独立して選択され、式中、nは1、2、3、4、5、6、7又は8である)は、以下の化学構造によって表すことができる。フタロイル構造は、全ての点で同一であると見なされるフタロイル構造の2つのバージョンのいずれかによって表すことができる。
【化9】
【0009】
本発明の一態様は、式IVの化合物である(式中、ZはCOR又はCNであり、RはC~C12アルキル又はC~C12アリールアルキルであり、各Y置換基は、H、F、Cl、Br、I、C~Cアルキル、C~Cアルコキシ、C~Cハロアルキル、C~Cハロアルコキシ又はニトロから独立して選択され、式中、nは1、2、3又は4である)。
【0010】
本発明の一態様は、式IVaの化合物である(式中、ZはCOR又はCNであり、RはC~C12アルキル又はC~C12アリールアルキルである)。
【0011】
本発明の一態様は、式IVbの化合物である(式中、ZはCOR又はCNであり、RはC~C12アルキル又はC~C12アリールアルキルであり、各Y置換基は、H、F、Cl、Br、I、C~Cアルキル、C~Cアルコキシ、C~Cハロアルキル、C~Cハロアルコキシ又はニトロから独立して選択され、式中、nは1又は2である)。
【0012】
本発明の一態様は、式IVcの化合物である(式中、ZはCOR又はCNであり、RはC~C12アルキル又はC~C12アリールアルキルであり、各Y置換基は、H、F、Cl、Br、I、C~Cアルキル、C~Cアルコキシ、C~Cハロアルキル、C~Cハロアルコキシ又はニトロから独立して選択され、式中、nは1、2、3、4、5又は6である)。
【0013】
本発明の一態様は、式IVdの化合物である(式中、ZはCOR又はCNであり、RはC~C12アルキル又はC~C12アリールアルキルであり、各Y置換基は、H、F、Cl、Br、I、C~Cアルキル、C~Cアルコキシ、C~Cハロアルキル、C~Cハロアルコキシ又はニトロから独立して選択され、式中、nは1、2、3、4、5、6、7又は8である)。
【0014】
本発明の一態様は、式IVeの化合物である(式中、ZはCOR又はCNであり、RはC~C12アルキル又はC~C12アリールアルキルである)。
【0015】
本発明の一態様は、式IVfの化合物である(式中、ZはCOR又はCNであり、RはC~C12アルキル又はC~C12アリールアルキルであり、各Y置換基は、H、F、Cl、Br、I、C~Cアルキル、C~Cアルコキシ、C~Cハロアルキル、C~Cハロアルコキシ又はニトロから独立して選択され、式中、nは1、2、3又は4であり、ここで、2つのY基は互いに結合し環を形成してもよい)。
【0016】
本発明の一態様は、式IVgの化合物である(式中、ZはCOR又はCNであり、RはC~C12アルキル又はC~C12アリールアルキルであり、各Y置換基は、H、F、Cl、Br、I、C~Cアルキル、C~Cアルコキシ、C~Cハロアルキル、C~Cハロアルコキシ又はニトロから独立して選択され、式中、nは1、2、3、4、5又は6である)。
【0017】
本発明の一態様は、式IVhの化合物である(式中、ZはCOR又はCNであり、RはC~C12アルキル又はC~C12アリールアルキルであり、各Y置換基は、H、F、Cl、Br、I、C~Cアルキル、C~Cアルコキシ、C~Cハロアルキル、C~Cハロアルコキシ又はニトロから独立して選択され、式中、nは1、2、3、4、5、6、7又は8である)。
【0018】
本明細書で使用される場合、「アリール」という用語、及びアリールオキシなどの派生語は、6~14個の炭素原子の一価の芳香族炭素環基を含む基を指す。アリール基は、単環又は複数の縮合環を含むことができる。いくつかの実施形態では、アリール基は、C~C10アリール基を含む。アリール基の例としては、フェニル、ビフェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、フェニルシクロプロピル及びインダニルが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、アリール基は、フェニル基、インダニル基又はナフチル基であり得る。「ヘテロアリール」という用語、及び「ヘテロアリールオキシ」などの派生語は、1個以上のヘテロ原子、すなわち、N、O又はSを含有する5員又は6員の芳香族環を指し;これらのヘテロ芳香族環は、他の芳香族系に融合していてもよい。いくつかの実施形態では、ヘテロアリール基は、ピリジル基、ピリミジル基又はトリアジニル基であり得る。アリール基又はヘテロアリール基は、置換されていなくても、又は1つ以上の化学部分で置換されていてもよい。好適な置換基の例としては、例えば、アミノ、ハロ、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、ホルミル、C~Cアルキル、C~Cアルケニル、C~Cアルキニル、C~Cアルコキシ、C~Cハロアルキル、C~Cハロアルコキシ、C~Cアシル、C~Cアルキルチオ、C~Cアルキルスルフィニル、C~Cアルキルスルホニル、C~C10アルコキシカルボニル、C~Cカルバモイル、ヒドロキシカルボニル、C~Cアルキルカルボニル、アミノカルボニル、C~Cアルキルアミノカルボニル、C~Cジアルキルアミノカルボニルが挙げられる。但し、置換基は立体適合性があり、且つ化学結合及び歪みエネルギーの規則が満たされていることを条件とする。好ましい置換基としては、ハロゲン、C~Cアルキル、C~Cアルコキシ、C~Cハロアルキル、C~Cハロアルコキシ及びニトロが挙げられる。
【0019】
本明細書で使用される場合、「アルキル」という用語は、直鎖アルキル基、分岐アルキル基又は環状アルキル基を指す。環状アルキル基には、シクロアルキル基又は脂環式基と称される基、例えば、シクロヘキシル又はシクロペンチルなども含まれ得る。
【0020】
本明細書で使用される場合、「C~C12アリールアルキル」という用語はまた、ベンジル基(すなわち、CHPh)を含む。
【0021】
II.フタルイミドIVの調製
式IIの化合物を調製するための方法の第1の工程はスキーム3に示されており、式IIIの化合物(式中、ZはCOR又はCNであり、RはC~C12アルキル又はC~C12アリールアルキルである)の、式IIIaのハロゲン化フタロイルなどの二酸ハロゲン化物又は式IIIbの無水フタル酸などの酸無水物(式中、XはCl又はBrであり、各Y置換基は、H、F、Cl、Br、I、C~Cアルキル、C~Cアルコキシ、C~Cハロアルキル、C~Cハロアルコキシ又はニトロから独立して選択され、式中、nは1、2、3又は4である)とのIIIの反応による、式IVの対応する環状イミドへの変換を含む。
【化10】
【0022】
IVを作製するためのプロセス工程は、アセトニトリル(ACN)、トルエン、ジメチルホルムアミド(DMF)、プロピオニトリル若しくはベンゾニトリルなどの極性非プロトン性溶媒、THF、2-メチル-THF、ジオキサン、シクロペンチルメチルエーテル(CPME)、モノエチレングリコールエーテル、ジエチレングリコールエーテル、モノプロピレングリコールエーテル若しくはジプロピレングリコールエーテルなどのエーテル、又はメチルイソブチルケトン(MIBK)などのケトン、及びそれらの混合物など(但しこれらに限定されない)の溶媒中で実施することができる。このプロセス工程を実施するための温度範囲は、約25℃~約100℃、約25℃~約90℃、約25℃~約80℃、約25℃~約70℃、約25℃~約60℃、又は約25℃~約55℃の範囲であってよく、反応を、約1時間~約72時間、約1時間~約48時間、約1時間~約24時間、約1時間~約12時間、約1時間~約6時間、約2時間~約24時間、約4時間~約24時間、約2時間~約12時間、又は約4時間~約12時間の範囲の期間にわたり実施してもよい。
【0023】
約1~約3、約1~約2.5、約1~約2、約1~約1.5、約1~約1.4、約1~約1.3、約1~約1.2、又は約1~約1.1モル当量のハロゲン化フタロイル又は無水フタル酸を、このプロセスにて使用することができる。ハロゲン化フタロイルを使用する場合、塩基を使用してプロセス中に遊離したHX酸を捕捉することができ、塩基は、トリアルキルアミンなどの塩基、例えば、限定されないが、トリメチルアミン、トリエチルアミン又はトリプロピルアミン、並びにピリジンなどの窒素含有複素環、及び2-ピコリン又は3-ピコリンなどのアルキル置換ピリジンから選択することができる。フタルイミドIVを、標準的な単離及び精製技術を用いることにより、プロセスから単離することができる。プロセス中に塩基を無水フタル酸と共に任意選択的に使用して、IVを作製することができる。
【0024】
一実施形態では、アシル化触媒、例えば、限定されないが、DMAP(4-(ジメチルアミノ)-ピリジン)又はN-メチルイミダゾールの使用が、IIIa又はIIIbからのIVの調製に用いられ得る。
【0025】
スキーム3に示す、式IIの化合物を調製するための方法における第1の工程の別の実施形態では、酸又は酸生成化合物の存在下で、式IIIのカルボン酸(式中、ZはCOHである)を、アルコールROH(式中、RはC~C12アルキル又はC~C12アリールアルキルである)に接触させ式IIIのエステル(式中、ZはCORである)を得る工程が、第1の工程に先行し得る。このようにして生成されたエステルを使用して、次に、本明細書に記載されているように式IVのフタルイミドを調製することができる。
【0026】
III.ジフルオロフタルイミドVの調製
式IIの化合物を調製するための方法の第2の工程は、式IVの化合物(式中、Z=COR又はCN、RはC~C12アルキル又はC~C12アリールアルキルであり、各Y置換基は、H、F、Cl、Br、I、C~Cアルキル、C~Cアルコキシ、C~Cハロアルキル、C~Cハロアルコキシ又はニトロから独立して選択され、式中、nは1、2、3又は4である)の、スキーム4に示される溶媒の存在下におけるフッ素化化合物又は化合物のフッ素化混合物によるIVの処理による、式Vの対応するジフルオロフタルイミドへの変換を含む。
【化11】
【0027】
本方法の第2の工程で使用するためのフッ素化化合物又は化合物のフッ素化混合物は、KF(フッ化カリウム)、CsF(フッ化セシウム)及びTMAF(フッ化テトラメチルアンモニウム)、並びにそれらの混合物、又は塩化テトラメチルアンモニウム(TMAC)とKF若しくはCsFとの混合物を含む群から選択することができる。
【0028】
式Vの化合物を調製するために式IVの基質に対して使用されるフッ素化化合物又は化合物のフッ素化混合物の量は、約2~約8モル当量のKF、約2~約8モル当量のCsF、又は約2~約6モル当量のTMAFの範囲であってよい。一実施形態では、化合物のフッ素化混合物は、約2~約10モル当量のKF又はCsF、及び約0.01~約2.0モル当量のTMACを含む。
【0029】
Vを調製するために、フッ素化化合物又は化合物のフッ素化混合物と共に使用するのに適し得る溶媒としては、アセトニトリル(ACN)、プロピオニトリル(PCN)、ベンゾニトリル(BCN)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、スルホラン、ジメチルアセトアミド(DMAC)、1,1-ジメチル-2-イミジゾリジノン(imidizolidinone)(DMI)、N,N’-ジメチルプロピレン尿素(DMP)、N-メチルピロリジノン(NMP)、テトラヒドロフラン(THF)、2-メチル-THF、ジオキサン、モノエチレングリコールエーテル、ジエチレングリコールエーテル、モノプロピレングリコールエーテル又はジプロピレングリコールエーテル、及びそれらの混合物などの極性非プロトン性溶媒が挙げられるが、これらに限定されない。
【0030】
一実施形態では、IVのフッ素化は、DMF溶媒中でKF又はCsFを用いて実施され得る。別の実施形態では、IVのフッ素化は、DMSO溶媒中でKF又はCsFを用いて実施され得る。別の実施形態では、IVのフッ素化は、DMF溶媒中でKF又はCsF、及びTMACを用いて実施され得る。別の実施形態では、IVのフッ素化は、DMSO溶媒中でKF又はCsF、及びTMACを用いて実施され得る。別の実施形態では、IVのフッ素化は、THF溶媒中でTMAFを用いて実施され得る。
【0031】
一般に、Vを調製するためのIVのフッ素化を、無水又はほぼ無水の条件下で実施することが好ましい。これらの無水又はほぼ無水の条件は、反応物及び溶媒を予め乾燥させておくことにより達成することができる。反応物及び/又は溶媒を乾燥させる1つの方法は、フッ素化反応の実施前に、溶媒の一部を蒸留により除去することによるものである。
【0032】
式Vの化合物を生成するためのフッ素化反応は、少なくとも約0℃、少なくとも約10℃、少なくとも約20℃、少なくとも約25℃、少なくとも約30℃、少なくとも約40℃、少なくとも約50℃、少なくとも約60℃、少なくとも約70℃、少なくとも約80℃、少なくとも約90℃又は少なくとも約100℃の温度で実施することができる。式Vの化合物を生成するためのフッ素化反応は、約0℃~約50℃、約10℃~約50℃、約25℃~約50℃、約15℃~約150℃、約25℃~約150℃、約35℃~約125℃、約45℃~約115℃、約55℃~約110℃、約65℃~約110℃、約75℃~約110℃、約85℃~約110℃、約90℃~約110℃、約50℃~約100℃、約60℃~約100℃、約70℃~約100℃、約25℃~約90℃、約25℃~約80℃、約25℃及び約110℃、約25℃~約70℃又は約25℃~約60℃の温度で実施することができる。
【0033】
フッ素化反応混合物からの式Vの化合物の単離は、濾過により不溶性塩を除去し、次に、得られた濾液に水を加えて所望の生成物を沈殿させることにより実施することができ、所望の生成物を、標準的な精製技術を用いることにより精製することができる。
【0034】
IV.4-アミノ-3-クロロ-6-(クロロ又はブロモ)-5-フルオロピコリン酸IIの調製
式IIの化合物を調製するための方法の次の工程は、式Vの化合物(式中、ZはCOR又はCNであり、RはC~C12アルキル又はC~C12アリールアルキルであり、各Y置換基は、H、F、Cl、Br、I、C~Cアルキル、C~Cアルコキシ、C~Cハロアルキル、C~Cハロアルコキシ又はニトロから独立して選択され、式中、nは1、2、3又は4である)の、式IIの化合物(式中、XはCl又はBrである)への変換を含む。この変換は、スキーム5に示されており、化合物Vをヒドロハライド酸HX(式中、XはCl又はBrである)及び水で処理し、式IIの化合物(式中、XはCl又はBrである)を得ることを含む。
【化12】

この変換は、6-クロロ又は6-ブロモ置換基のいずれかを得るためのHX酸による6-フルオロ置換基のハロゲン化物交換、カルボン酸へのZ置換基の加水分解、及び4-アミノ置換基を再生させるための加水分解によるフタロイル基の除去を含む。酢酸(HOAc)の共溶媒は、この変換の促進を助長するのに有用である。化合物IIのHX塩(式中、XはCl又はBrである)もまた、この反応中に形成され得る。
【0035】
この工程は2段階で実施することができ、第1段階は、6-フルオロ置換基のハロゲン化物交換を達成するために、より低い温度で、且つ/又は水なしで若しくは限られた量の水を用いて実施され、第2段階は、フタロイル基及びエステル(又はシアノ)置換基の加水分解を達成するために、より高い温度で、且つ/又はより多い水を用いて実施される。
【0036】
いくつかの実施例では、式Vの出発化合物に対してこの工程に含まれるモルベースの水の量は、化合物Vの1モルあたりの水の約1~約30、約1~約20、約1~約10、約1~約8、約1~約6、約1~約4、約2~約5、約2~約4又は約3~約4モル当量の範囲であり得る。
【0037】
他の実施例では、式Vの出発化合物に対してこの工程に含まれるモルベースの酸HCl又はHBrの量は、化合物Vの1モルあたりのHCl又はHBrの約50~約1、約40~約1、約30~約1、約20~約1、約10~約1、約8~約1、約6~約1、約3~約1、約2~約1又は約3~約2モル当量の範囲であり得る。
【0038】
更なる実施例では、式Vの化合物から式IIの化合物を生成するための反応は、約50℃~約150℃、約60℃~約140℃、約70℃~約130℃、約80℃~約120℃、約90℃~約120℃又は約100℃~約120℃の温度で実施され得る。
【0039】
式Vの化合物から式IIの生成物を生成するための反応の副生成物は、フタル酸又は置換フタル酸であり、これは、化合物Vのフタロイル基の加水分解切断により生じる。式IIの化合物を含有する反応混合物からフタル酸又は置換フタル酸を分離又は除去する方法には、有機溶媒、水性溶媒若しくは有機-水性溶媒による、又は特定のpHレベル若しくは範囲での水溶解度差による溶媒抽出が含まれ得るが、これらに限定されない。
【0040】
このプロセス工程の別の実施例では、化合物II(式中、XはCl又はBrである)のHBr又はHCl塩は、少量で形成され、式IIの単離された生成物中に存在し得る。この化合物(IIa)を、水又はメタノール-水などのアルコール-水混合物で粗生成物IIを溶媒抽出することにより、生成物IIから減少させるか又は除去することができる。
【0041】
V.4-アミノ-3-クロロ-6-(クロロ又はブロモ)-5-フルオロピコリン酸のエステルの調製
式IIの酸(式中、XはCl又はBrである)を、式VIのエステル(式中、XはCl又はBrであり、RはC~C12アルキル、C~C12アリールアルキル、C~C12アルキニル又はCNで置換されたC~Cアルキルである)に変換させることができる。酸IIからエステルVIを調製する方法には、
【化13】

アルコールによる酸IIの酸触媒エステル化、及び塩基性条件下でのハロゲン化アルキル又はハロゲン化ベンジルによる酸IIのアルキル化が含まれるが、これらに限定されない。
【0042】
VI.単離/精製
本明細書に記載のプロセスによる式IIの化合物の調製後、標準的な単離及び精製技術を用いることにより生成物を単離することができる。例えば、粗生成物を、本明細書に記載されているような標準的な方法を使用して単離することができ、単一の溶媒又は2種以上の溶媒の混合物を使用する結晶化又は再結晶化により精製することができる。また、粗生成物を単成分、2成分又は3成分溶媒の混合物で洗浄することにより、又は粗生成物をそれらの混合物中で撹拌することにより精製することができる。一実施形態では、粗生成物を水性アルコール溶媒混合物中で撹拌することにより精製することができ、これは、水性アルコールスラリー処理(aqueous alcohol slurry treatment)と表される場合もある。
【0043】
式IIの粗生成物はまた、この粗組成物を単一の溶媒に溶解させ溶液を形成し、次いで、第2の溶媒をその溶液に加え、式IIの生成物を2種の溶媒の混合物から晶出させることにより精製することもできる。
【0044】
以下の実施例は、本明細書に記載の方法及び組成物を説明するために示すものである。
【実施例
【0045】
実施例1a.メチル4-アミノ-3,5,6-トリクロロピコリネートの調製
【化14】

ピクロラム(100g、純度95%、414mmol、1.0当量)を、メタノール(800mL)中に懸濁させた。硫酸(26mL、487mmol、1.2当量)を、室温でゆっくりと加えた。反応混合物を、75℃(冷却器を備えた油浴)で2日間撹拌した。混合物を室温まで冷却した。水(200mL)を加えた。薄茶色の溶液を濃縮してメタノールを除去した。得られた残留物を、水(200mL)及びEtOAc(600mL)中に溶解させ、氷浴により冷却し、4NのNaOH及び飽和NaHCO溶液でpH=8に中和した。EtOAc層を分離し、水層をEtOAcで洗浄した。合わせた有機層を乾燥させ、濃縮し、化合物2(71g、収率67%)を淡黄色の固体として得た。HPLC純度:99.9%。融点125.8~126.1℃;H NMR(CDCl)δ 5.38(br s,2H),3.97(s,3H).
【0046】
実施例1b.イソ-プロピル4-アミノ-3,5,6-トリクロロピコリネートの調製
【化15】

ピクロラム(4.66g、95%、18.3mmol、1当量)を、イソプロピルアルコール(30mL)中に懸濁させた。濃硫酸(0.6g、6.1mmol、0.33当量)を、室温で加えた。次に、反応混合物を18時間加熱還流した。次に、反応物を室温に冷却した。23%のKCO水溶液(10mL)を、反応混合物にゆっくりと加え、混合物を30分間撹拌した。反応混合物をEtOAc(20mL)で抽出し、有機相を20mLの飽和ブライン水溶液で洗浄した。有機相を乾燥させ、溶媒を蒸発させ、残留固体を真空オーブン中で乾燥させてオフホワイトの固体(4.9g、94%;HPLC純度:96%)を得た。融点128.5~131.0℃;H-NMR(400MHz,CDCl):δ 5.35(br s,2H),5.29(七重項,J=6.4Hz,1H),1.39(d,J=6.4Hz,6H)ppm.
【0047】
実施例2a.フタルイミドIV(Z=COMe)の調製
【化16】

化合物III(Z=COMe;86g、337mmol)を、アセトニトリル(600mL)中に溶解させた。次に、トリエチルアミン(TEA、94mL、673mmol、2.0当量)を室温で加え、続いて、塩化フタロイル(65mL、404mmol、1.2当量)を滴加した。反応混合物を50℃で一晩撹拌した。水(100mL)を混合物に加えた。懸濁液を1時間撹拌し、濾紙を通して濾過した。固体を水、次いでヘキサンで洗浄し、乾燥させた。乾燥固体をトルエン(200mL)中に懸濁させ、得られた混合物を濃縮して、化合物IV(85.1g、収率66%)を淡黄色の固体として得た。HPLC純度:97.7%。融点185.3~185.9℃;H NMR(CDCl)δ8.02(m,2H),7.88(d,2H,m),4.02(s,3H).
【0048】
実施例2b.フタルイミドIV(Z=CN)の調製
【化17】

化合物III(Z=CN;64.06g、288.0mmol)を、アセトニトリル(960mL)中に懸濁させた。TEA(90.0mL、640.0mmol、2.2当量)及びDMAP(3.52g、28.8mmol、0.1当量)を室温で加え、続いて塩化フタロイル2(51.2mL、320mmol、1.1当量)をゆっくりと加え、加える間、反応物の内部温度を50℃未満に維持した。反応混合物を室温で4時間撹拌した。水(130mL)を反応物に加え、懸濁液を30分間撹拌して濾過した。回収した固体を水(4×150mL)、ヘキサン(2×100mL)で洗浄し、乾燥させ、化合物IV(Z=CN;97.0g、収率96%)を薄紫色の固体として得て、これを、ジクロロメタン(DCM)中に溶解させてシリカゲルパッドに通してHPLC純度:99.6%であるオフホワイトの固体を得た。融点233.7~234.8℃;H NMR(400mHz,DMSO-d):δ 8.14(2H,m),8.04(2H,m).
【0049】
実施例2c.フタルイミドIV(Z=COMe)の調製
【化18】

メカニカルスターラー及び冷却器を備えた3Lの三口フラスコにて、ピクロラム(105.25g、414.9mmol、純度95.2%、1.0当量)をMeOH(650mL)中に懸濁させた。混合物を室温で激しく撹拌した。塩化チオニル(0.90mL、12mmol、0.03当量)を滴加した。反応混合物を、75℃(外部温度)で18時間撹拌した。反応後、白色懸濁液は薄黄色の透明溶液に変化した。HPLC分析用に試料を採取した(メチルエステル96.7%、ピクロラム2.3%)。メタノールを、約150mL残して部分的に除去した後、500mLのトルエンを加え、乾燥するまで、社内真空下で40~55℃で共蒸発させた。H-NMR分析用に試料を採取したところ、MeOH又はトルエンは残存していなかった。次に、690mLのMeCNを加えて、混濁溶液を形成した。この溶液に、TEA(134mL、959.0mmol、2.3当量)及びDMAP(5.33g、43.6mmol、0.105当量)を加え、続いて塩化フタロイル(77mL、479.5mmol、純度90%、1.15当量)を滴加して、オレンジ色の反応混合物(発熱性)を得た。この工程では、添加速度を調節することにより、温度を55℃未満に制御した。添加完了後、反応混合物を更に2時間撹拌した。次に、水(200mL)を混合物に加えた。得られた懸濁液を、30分間撹拌して濾過した。漏斗上に回収した湿潤ケークを、水(2×200mL)、ヘキサン(200mL)で洗浄し、真空下で乾燥させ、IV(154.4g、2工程にわたる収率96%、HPLC純度:98%)をベージュ色の固体として得た。
【0050】
実施例2d.フタルイミドIV(Z=COiPr)の調製
【化19】

工程1:メカニカルスターラー、冷却器及び添加漏斗を備えた3Lの三口フラスコに、ピクロラム(100g、純度98.2%、414.1mmol、1当量)及びiPrOH(950mL)を装入した。SOCl(15.1mL、207mmol、0.5当量)を、室温で添加漏斗によりスラリーに滴加し、次に、反応混合物を24時間加熱還流した。反応混合物を室温まで冷却し、溶媒を乾燥するまで蒸発させ、次いで、MeCN(2×100mL)と共蒸発させて白色固体(117.5gの粗製物)を得た。HPLC:IV 93.6%、ピクロラム2.84%。
【0051】
工程2:メカニカルスターラー、温度計及び添加漏斗を備えた3Lの三口フラスコに、上述の単離した白色固体、MeCN(700mL)、TEA(150mL、1076.7mmol、2.6当量)及びDMAP(5.05g、41.4mmol、0.1当量)を装入した。塩化フタロイル(純度90%、73mL、455.51mmol、1.1当量)を、添加漏斗により滴加して、温度を55℃未満に維持した。反応混合物を室温で3時間撹拌した。水(250mL)を混合物に加えた。得られた懸濁液を、30分間撹拌して濾紙を通して濾過した。固体を、水(3×100mL)及びヘキサン(2×100mL)で洗浄し、乾燥させた。固体をトルエン(2×250mL)と共蒸発させ、乾燥させ、ヘキサン(2×200mL)で洗浄し、再度乾燥させて、化合物IV(151.5g、収率88%)を淡黄色の固体として得た。HPLC:純度98.8%。融点157.0~157.9℃;H-NMR(400MHz,CDCl):δ 8.00-8.04(m,2H),7.86-7.90(m,2H),5.33(七重項,J=6.4Hz,1H),1.42(d,J=6.4Hz,6H)ppm.
【0052】
実施例2e.フタルイミドIV(Z=COiPr)の調製
【化20】

マグネチックスターラー及び冷却器を備えた100mLのRBFにて、化合物III(8.1g、27.6mmol、1.0当量)をCHCN(33mL)中に懸濁させた。TEA(9.6mL、69.0mmol、2.5当量)及び無水フタル酸(4.9g、33.1mmol、1.2当量)を室温で加え、続いてDMAP(0.34g、2.76mmol、0.1当量)を加えた。黄色懸濁液を、80℃(油浴温度)で2時間撹拌した。80℃の油浴の5分後、黄色の透明溶液が観察された。追加の無水フタル酸(4.0g、27.0mmol、1当量)を、80℃で反応混合物に加えた。反応混合物を更に4.5時間、80℃で撹拌した(合計反応時間は6.5時間であった)。反応物を室温に冷却し、混合物に水(33mL)を加えた。懸濁液を30分間撹拌し、濾紙を通して濾過した。湿潤固体を水及びヘキサンで洗浄し、真空オーブン中で55℃で乾燥させ、3(9.8g、収率86%)を黄色の固体として得た。HPLC純度:99.2%。
【0053】
実施例2f.フタルイミドIV(Z=COiPr)の調製
【化21】

トルエン(11mL)中の化合物III(2.5g、8.82mmol、1.0当量)の懸濁液に、トリエチルアミン(2.96mL、21.2mmol、2.5当量)及び無水フタル酸(3.26g、22.0mmol、2.5当量)を加えた。得られた懸濁液を、90℃の油浴中で18時間撹拌した。透明黄色溶液を徐々に室温に冷却し、ベージュ色の濃厚スラリーを得た。飽和NaHCO溶液(5mL)を室温でゆっくりと加え、得られたスラリーを氷水浴中で1時間撹拌した。固体を真空濾過により回収後、水(2×5mL)で洗浄した。湿潤固体を、真空オーブン中で55℃で更に5時間乾燥させ、生成物IV(3.1g、収率86%;HPLC純度:99.5%)をオフホワイトの粉状の固体として得た。
【0054】
実施例2g.フタルイミドIV(Z=COiPr)の調製
【化22】

2Lのフラスコに、ピクロラム(101.8g、純度98.2%、0.414mol、1.0当量)及びIPA(918.3mL)を装入した。SOCl(15.6mL、純度97%、0.21mol、0.5当量)を加え、反応混合物を17時間加熱還流した。次に、IPA(750mL)を大気圧下で留去した。トルエン(600mL)を得られた溶液に加えた。蒸留を継続し、更に2時間後、IPA/トルエンの混合物(600mL)を81~110℃で留去した。
【0055】
撹拌した懸濁液にTEA(144.3mL、1.04mol、2.5当量)を加え、続いて、無水フタル酸(純度99%、153.3g、1.04mol、2.5当量)を少しずつ加えた。反応混合物を88~93℃で17時間加熱して、室温に冷却した。飽和NaHCO水溶液(400mL)を、温度を20℃未満で維持するように冷却しながら、0.5時間かけてゆっくりと加えた。飽和NaHCO水溶液の添加終了後、得られたスラリーを室温で2時間撹拌し、濾過し、水(3×100mL)で洗浄して60℃で24時間乾燥させ、生成物IV(144.0g、収率84.2%;HPLC純度:99.03%)を得た。
【0056】
実施例3a.ジフルオロフタルイミドV(Z=COMe)の調製
【化23】

窒素下の250mLの丸底フラスコ中の化合物IV(Z=COMe;5.00g、12.97mmol)に、無水THF(100mL)及びフッ化テトラメチルアンモニウム(TMAF;4.83g、51.87mmol、4当量;Aldrich)を一度に加えた。反応混合物を室温で5時間撹拌し、0℃まで冷却して水(400mL)で反応を停止させ、0℃で1時間撹拌した。存在する固体生成物を濾過により回収し、水(2×100mL)及びヘキサン(3×100mL)で洗浄し乾燥させ、化合物V(4.0g、収率87%)を淡黄色の固体として得た。HPLC純度:92.3%のV;融点180.2~182.6℃;H NMR(d-DMSO)δ8.12(d,2H),8.02(d,2H),3.94(s,3H)。F NMR(d-DMSO)δ-83.30,-133.05.更に、6.6%の3,5,6-三フッ化副生成物が含まれていた。
【0057】
実施例3b.ジフルオロフタルイミドV(Z=COMe)の調製
【化24】

DMSO(1.2L)中のCsF(82.7g、545mmol)の混合物を、社内真空下で90℃で留出させ、250mLのDMSOを除去した。Nで室温に冷却後、化合物IV(60.0g、156mmol)を3回に分けて加えた。混合物を25℃、N下で27時間激しく撹拌し、次に、氷水(3.6L)中へ注ぎ込み、1時間撹拌し、濾過して、濾過した固体を水(600mL)及びヘキサン(300mL)で洗浄し、乾燥させ、化合物V(55g、100%粗製)をオフホワイトの固体として得た。HPLC純度:93.6%(1.3%のモノフルオロ副生成物及び2.3%のトリフルオロ副生成物が含まれる)。オフホワイトの固体を、MeOH(150mL)中で30分間還流し、濾過して、V(51.1g、収率92.7%)を淡ベージュ色の固体として得た:HPLC純度:95.7%。更に、1.3%の6-モノフルオロ副生成物及び1.7%の3,5,6-トリフルオロ副生成物が含まれていた。
【0058】
淡ベージュ色の固体(化合物V、1.0g)の試料を、最小量の熱EtOAc(12.5mL)中に溶解させ、得られた溶液を25mLのメタノールで希釈した。得られた溶液を、撹拌しながら徐々に室温に冷却し、次に、氷/水浴中で冷却した。形成された混合物を濾過し、濾過した固体を5mLのMeOHで2回洗浄し、乾燥させて、化合物V(0.81g、回収率81%)をオフホワイトの微細結晶として得た。HPLC純度:98.1%。更に、6-モノフルオロ副生成物:0.8%及び3,5,6-トリフルオロ副生成物:0.9%が含まれていた。
【0059】
実施例3c.ジフルオロフタルイミドV(Z=COiPr)の調製
【化25】

固体のフッ化カリウム(12.7g、219mmol;Sigma Aldrich)を、窒素でパージしヘッドスペースに窒素スイープを維持した1Lのジャケット付きガラス反応器に加えた。反応器に直径1インチのトレイ型蒸留塔を取り付けた。次に、353.0gのジメチルスルホキシド(DMSO;Fischer Scientific)を反応器に加えた。混合物を350RPMの速度で撹拌した。およそ40mmHgの真空を印加し、反応器の内容物の温度をおよそ108℃に上昇させた。およそ100mLの物質を、蒸留塔で留出させて反応器から除去した。反応器の内容物の温度を75℃に低下させ、含水量は、カールフィッシャー分析により51ppmと測定された。次に、反応器に化合物IV(24.9g、60.2mmol)を装入し、温度を100℃に上昇させた。反応を100℃でおよそ7.5時間維持した。次に、反応器を75℃に冷却し、反応混合物をフリットフィルターに通して固体塩を除去した。濾過した塩を44gのDMSOで洗浄し、結晶化のために、濾液及び洗浄物を第2の容器に加えた。第2の容器を12℃に冷却し、内容物を250RPMで撹拌して、363gの水を、およそ2時間にわたり第2の容器に連続的に加えた。混合物が形成され、この混合物を12℃で更に1時間撹拌し、次に、存在する固体を濾過により回収し、約68gの水で洗浄して、真空オーブン中で60℃、25torrで一晩乾燥させた。得られた乾燥固体(21.5g、収率94%)より、93.7%の5,6-ジ-Fの所望の生成物(V)、融点:115.8~117.1℃;H NMR(400MHz,CDCl):δ8.00-8.06(2H,m),7.86-7.91(2H,m),5.32(1H,七重項,J=6.0Hz),1.42(6H,d,J=6.0Hz)を得た。19F NMR(376MHz,CDCl):-134.21(d),-82.76(d).更に、2.6%の3,5,6-トリフルオロ副生成物及び2.0%の6-モノフルオロ副生成物が含まれていた。
【0060】
実施例3d.ジフルオロフタルイミドV(Z=COiPr)の調製
【化26】

固体のフッ化カリウム(7.68g、132mmol;Sigma Aldrich)を、窒素でパージしヘッドスペースに窒素スイープを維持した1Lのジャケット付きガラス反応器に加えた。反応器に、7枚のトレイを含む直径1インチのトレイ型蒸留塔を取り付けた。次に、211.7gのジメチルホルムアミド(DMF;Fischer Scientific)、続いて41.6gのトルエン(Fischer Scientific)を反応器に加えた。溶液を275RPMの速度で撹拌した。およそ350mmHgの真空を印加し、反応器の内容物の温度をおよそ110℃に上昇させた。およそ75mLの物質を蒸留塔で留出させ、塔頂に物質を留出させる際に圧力を低下させることにより、反応器から除去した。次に、反応器の内容物の温度を45℃に低下させ、含水量は、カールフィッシャー分析により101ppmと測定された。次に、反応器に化合物IV(15.2g、36.7mmol)を装入し、温度を100℃に上昇させた。反応を100℃でおよそ33時間維持した。次に、反応器を40℃に冷却し、反応混合物をフリットフィルターに通して固体塩を除去した。濾過した塩を36.1gのDMFで洗浄し、結晶化のために、濾液及び洗浄物を第2の容器に加えた。第2の容器を10℃に冷却し、内容物を250RPMで撹拌して、170gの水をおよそ2時間にわたり連続的に加えた。混合物が形成され、この混合物を10℃で更に4時間撹拌し、次に、存在する固体を濾過により回収し、約44gの水で洗浄して、真空オーブン中で60℃(25torr)で一晩乾燥させた。得られた乾燥固体(12.0g、収率80%)より、82.6%の5,6-ジ-Fの所望の生成物(V)を得た。更に、1.1%の3,5,6-トリフルオロ副生成物及び16.6%の6-モノフルオロ副生成物が含まれていた。
【0061】
実施例3e.ジフルオロフタルイミドV(Z=COiPr)の調製
【化27】

固体のフッ化カリウム(11.15g、192mmol;Sigma Aldrich)を、窒素でパージしヘッドスペースに窒素スイープを維持した1Lのジャケット付きガラス反応器に加えた。反応器に、7枚のトレイを含む直径1インチのトレイ型蒸留塔を取り付けた。次に、207.2gのジメチルスルホキシド(DMSO;Fischer Scientific)、続いて固体の塩化テトラメチルアンモニウム(5.29g、48.3mmol;TMAC、Sigma Aldrich)を反応器に加えた。混合物を350RPMの速度で撹拌した。およそ100mmHgの真空を印加し、反応器の内容物の温度をおよそ100℃に上昇させた。およそ35mLの物質を、蒸留塔で留出させて反応器から除去した。次に、反応器の内容物の温度を45℃に低下させ、含水量は、カールフィッシャー分析により102ppmと測定された。次に、反応器に化合物IV(19.8g、47.9mmol)を装入し、反応混合物の温度を60℃に上昇させた。反応を、60℃でおよそ3.5時間維持し、次に70℃に上昇させた。その温度を70℃でおよそ8.5時間維持し、次に80℃に上昇させ、この温度を1時間維持した。次に、反応器を75℃に冷却し、反応混合物をフリットフィルターに通して固体塩を除去した。濾過した塩を50gのDMSOで洗浄し、結晶化のために、濾液及び洗浄物を第2の容器に加えた。第2の容器を21℃に冷却し、内容物を250RPMで撹拌して、267gの水をおよそ2時間にわたり連続的に加えた。混合物が形成され、この混合物を21℃で更に1時間撹拌し、次に、存在する固体を濾過により回収し、約66gの水で洗浄して、真空オーブン中で60℃(25torr)で一晩乾燥させた。得られた乾燥固体(15.5g、収率85%)より、97.5%の5,6-ジ-Fの所望の生成物(V)を得た。更に、1.7%の3,5,6-トリフルオロ副生成物及び1.9%の6-モノフルオロ副生成物が含まれていた。
【0062】
実施例3f.ジフルオロフタルイミドV(Z=COiPr)の調製
【化28】

固体のフッ化カリウム(12.7g、219mmol;Sigma Aldrich)を、窒素でパージしヘッドスペースに窒素スイープを維持した1Lのジャケット付きガラス反応器に加えた。反応器に、7枚のトレイを含む直径1インチのトレイ型蒸留塔を取り付けた。次に、408.9gのジメチルスルホキシド(DMSO;Fischer Scientific)、続いてメタノール(SAChem)中の34.6g(110mmol)の35%塩化テトラメチルアンモニウム(TMAC)溶液を、反応器に加えた。混合物を350RPMの速度で撹拌した。およそ60mmHgの真空を印加し、反応器の内容物の温度をおよそ100℃に上昇させた。およそ115mLの物質を、蒸留塔で留出させて反応器から除去した。反応器の内容物の温度を70℃に低下させ、54gのDMSOをポットに更に加えてから蒸留を再開し、およそ35mLの追加の留出物を回収した。反応器の内容物の温度を75℃に低下させ、含水量は、カールフィッシャー分析により179ppmと測定された。次に、反応器に化合物IV(24.9g、60.2mmol)を装入し、温度を100℃に上昇させた。反応を100℃でおよそ2.25時間維持した。反応器を75℃に冷却し、反応混合物をフリットフィルターに通して固体塩を除去した。濾過した塩を116gのDMSOで洗浄し、結晶化のために、濾液及び洗浄物を第2の容器に加えた。第2の容器を14℃に冷却し、内容物を250RPMで撹拌して、283gの水をおよそ2時間にわたり連続的に加えた。混合物が形成され、この混合物を14℃で更に1時間撹拌し、次に、存在する固体を濾過により回収し、約64gの水で洗浄して、真空オーブン中で60℃(25torr)で一晩乾燥させた。得られた乾燥固体(22.5g、収率98%)より、98.3%の5,6-ジ-Fの所望の生成物(V)を得た。更に、3.8%の3,5,6-トリフルオロ副生成物及び0.5%の6-モノフルオロ副生成物が含まれていた。
【0063】
実施例3g.ジフルオロフタルイミドV(Z=COEt)の調製
【化29】

固体のフッ化カリウム(5.9g、102mmol;Sigma Aldrich)を、窒素でパージしヘッドスペースに窒素スイープを維持した1Lのジャケット付きガラス反応器に加えた。反応器に、7枚のトレイを含む直径1インチのトレイ型蒸留塔を取り付けた。次に、139.5gのジメチルホルムアミド(DMF;Fischer Scientific)、続いてメタノール(SAChem)中の15.8g(50.4mmol)の35%塩化テトラメチルアンモニウム(TMAC)溶液を、反応器に加えた。溶液を350RPMの速度で撹拌した。およそ90mmHgの真空を印加し、反応器の内容物の温度をおよそ90℃に上昇させた。およそ75mLの物質を、蒸留塔で留出させて反応器から除去した。反応器の内容物の温度を45℃に低下させ、含水量は、カールフィッシャー分析により105ppmと測定された。次に、反応器に化合物IV(10.05g、25.1mmol)を装入し、温度を100℃に上昇させた。反応を100℃でおよそ4時間維持した。反応器を50℃に冷却し、反応混合物をフリットフィルターに通して固体塩を除去した。濾過した塩を73gのDMFで洗浄し、結晶化のために、濾液及び洗浄物を第2の容器に加えた。第2の容器を2℃に冷却し、内容物を250RPMで撹拌し、混合物の温度を10℃未満に維持するために、172.3gの水をおよそ2時間にわたり反応混合物に連続的に加えた。混合物が形成され、この混合物を約10℃で更に1時間撹拌し、次に、存在する固体を濾過により回収し、約35gの水で洗浄して、真空オーブン中で60℃(25torr)で一晩乾燥させた。得られた乾燥固体(6.44g、収率70%)より、97.3%の5,6-ジ-Fの所望の生成物(V)を得た。融点:111.2~116.7℃;H NMR(400MHz,CDCl):δ8.00-8.04(2H,m),7.88-7.90(2H,m),4.47(2H,q,J=6.8Hz),1.43(3H,d,J=6.8Hz);19F NMR(376MHz,CDCl):-133.57(d),-82.54(d).更に、2.4%の3,5,6-トリフルオロ副生成物及び3.8%の6-モノフルオロ副生成物が含まれていた。
【0064】
実施例3h.ジフルオロフタルイミドV(Z=COcHexyl)の調製
【化30】

CsF(1.17g、7.70mmol)を、撹拌子及び蒸留装置を備えた50mLのRBFに加えた。次に、25mLのジメチルスルホキシド(DMSO)を加えた。フラスコを油浴に半分ほど沈めた。真空(およそ1mmHg)を、蒸留装置に接続した。およそ10mLのDMSOを留去した。蒸留装置を取り外し、系をN2バルーンで冷却した。油浴が25℃に達したとき、化合物1(1.0g、2.17mmol)をフラスコに一度に加え、フラスコをゴム栓及び窒素バルーンで蓋をした。反応混合物を、室温で24時間撹拌し、50mLの氷水中に注ぎ、30分間撹拌して生成物を回収した。湿潤ケークを、水(2×10mL)及びヘキサン(10mL)で洗浄し、真空オーブン中で55℃で乾燥させ、V(0.89g、収率95%、HPLC純度92.9%)を黄色の固体として得た。19F NMR(376MHz,DMSO-d6):δ-83.3(d,J=26.7Hz),-133.7(d,J=26.7Hz).更に、2.1%の3,5,6-トリフルオロ副生成物が含まれていた。
【0065】
実施例3i.ジフルオロフタルイミドV(Z=COCHPh)の調製
【化31】

CsF(1.15g、7.58mmol)を、撹拌子及び蒸留装置を備えた50mLのRBFに加えた。次に、25mLのジメチルスルホキシド(DMSO)を加えた。フラスコを油浴に半分ほど沈めた。真空(およそ1mmHg)を、蒸留装置に接続した。およそ10mLのDMSOを留去した。蒸留装置を取り外し、系を窒素バルーンで冷却した。化合物IV(1.0g、2.17mmol)を一度に加えた。反応混合物を、室温で24時間撹拌し、50mLの氷水中に注ぎ、30分間撹拌して生成物を回収した。湿潤ケークを、水(2×10mL)及びヘキサン(10mL)で洗浄し、真空オーブン中で55℃で乾燥させ、化合物V(0.86g,収率93%、HPLC純度88.4%)をベージュ色の固体として得た。H NMR(400MHz,DMSO-d6):δ8.10-8.18(2H,m),8.00-8.06(2H,m),7.45(2H,m),7.30-7.42(3H,m),5.42(2H,s).19F NMR(376MHz,DMSO-d6):δ-83.2(d,J=26.7Hz),-133.0(d,J=26.7Hz).更に、0.7%%の6-モノフルオロ副生成物及び7.6%の3,5,6-トリ-フルオロ副生成物が含まれていた。
【0066】
実施例4a.4-アミノ-3,6-ジクロロ-5-フルオロピコリン酸の調製
【化32】

密閉した450mLのフラスコにて、化合物V(Z=COMe;5.0g、14.2mmol)を、酢酸中のHCl溶液(2M、35.5mL、71mmol、5.0当量)中に懸濁させた。混合物を110℃(油浴)で一晩撹拌し、次に、5℃まで冷却した。HCl水溶液(12N、10mL)をフラスコにゆっくりと加え、フラスコを再度密閉し、110℃の油浴に一晩入れた。得られた混合物を5℃に冷却して濾過した。回収した固体を100mLの2N HCl水溶液中に懸濁させ、110℃で60分間撹拌して濾過した。濾過した固体をヘキサンで洗浄し、乾燥させ、化合物II(1.88g、収率51%)をオフホワイトの固体として得た。HPLC純度:97.1%。融点:211.0~212.7℃;H NMR(d-DMSO)δ 13.81(ブロードs,1H),7.21(ブロードs,2H)。19F NMR(d-DMSO)δ-137.05.
【0067】
実施例4b.4-アミノ-6-ブロモ-3-クロロ-5-フルオロピコリン酸の調製
【化33】

化合物Vの混合物(3.92g、11.11mmol)、水(2mL、111.0mmol、10当量)及びAcOH中の無水HBr(5.7M、78mL、444.6mmol、40当量)を、密閉した500mLのフラスコ中で18時間、110℃で加熱した。次に、反応混合物を0℃に冷却し、水(400mL)で反応を停止させた。得られた懸濁液を0℃で30分間撹拌し、濾過して、回収した固体を、水(2×100mL)及びヘキサン(3×100mL)で洗浄し、化合物II(2.08g、収率54%)をベージュ色の固体として得た。HPLC純度:96.5%。融点:211.3~212.5℃;H NMR(d-DMSO)δ13.72(ブロードs,1H),7.16(ブロードs,2H).19F NMR(d-DMSO)δ-130.28.
【0068】
実施例4c.4-アミノ-6-ブロモ-3-クロロ-5-フルオロピコリン酸の調製
【化34】

1LのHastelloy C276反応器にて、化合物V(50g、0.142mol、1.0mol当量)を水(8.93g、0.496mol、3.5mol当量)に懸濁させ、次に、酢酸(116.6g)中のHBr(57.45g、0.71mol、5mol当量)を加えた。反応器を撹拌しながら110℃に加熱し、110℃で8時間維持した。次に、反応器を60℃に冷却して濾過した。湿潤ケークを水(2×150mL)で洗浄し、乾燥させ、化合物II(42.6g、収率90%、純度90%)をオフホワイトの固体として得た。
【0069】
実施例4d.4-アミノ-6-ブロモ-3-クロロ-5-フルオロピコリン酸の調製
【化35】

1LのHastelloy C276反応器にて、化合物V(Z=CO-i-Pr;50g、0.13mol、1.0mol当量)を水(8.25g、0.46mol、3.5mol当量)に懸濁させ、次に、酢酸(107.6g)溶液中のHBr(53.0g、0.65mol、5mol当量)を加えた。反応器を撹拌しながら110℃に加熱し、110℃で8時間維持した。次に、反応器を60℃に冷却して濾過した。湿潤ケークを水(2×150mL)で洗浄し、乾燥させ、化合物II(39.3g、収率90%)をオフホワイトの固体として得た。HPLC純度は90%と測定された。
【0070】
実施例4e.4-アミノ-6-ブロモ-3-クロロ-5-フルオロピコリン酸の調製
【化36】

1LのHastelloy C276反応器にて、化合物V(Z=COMe、Y=H;50g、0.142mol、1.0mol当量)を、水(8.93g、0.496mol、3.5mol当量)と、酢酸(116.6g)中のHBr溶液(57.45g、0.71mol、5mol当量)との混合物中に懸濁させた。反応器を撹拌しながら110℃に加熱し、温度を8時間維持し、次に、60℃に冷却して濾過した。濾過した湿潤ケークを、50重量%のメタノール水溶液(150g)中で1時間、60℃で再スラリー化し、濾過した。湿潤ケークを乾燥させ、化合物II(33.72g、収率87.6%)をオフホワイトの固体として得た。単離した生成物のHPLC純度は、99.1%と測定された。
【0071】
実施例4f.4-アミノ-6-ブロモ-3-クロロ-5-フルオロピコリン酸の調製
【化37】

1LのHastelloy C276反応器にて、化合物V(Z=COiPr、Y=H;50g、0.13mol、1.0mol当量)を、水(8.25g、0.46mol、3.5mol当量)と、酢酸(107.6g)中のHBr溶液(53.0g、0.65mol、5mol当量)との混合物中に懸濁させた。反応器を撹拌しながら110℃に加熱し、温度を8時間維持し、次に、60℃に冷却して濾過した。濾過した湿潤ケークを、50重量%のメタノール水溶液(150g)で1時間、60℃で再スラリー化し、濾過した。湿潤ケークを乾燥させ、化合物II(31.42g、収率88.2%)をオフホワイトの固体として得た。単離した生成物のHPLC純度は、99.0%と測定された。
【0072】
実施例4g.4-アミノ-6-ブロモ-3-クロロ-5-フルオロピコリン酸の調製
【化38】

工程1:
マグネチックスターラーを備えたChemglass高圧容器(75mL)に、化合物V(5.0g、14.18mmol、1当量)及びAcOH中のHBr(5.7M、25mL、141.8mmol、10当量)を装入した。フラスコをPTFEキャップで密閉し、50℃で24時間加熱した。反応混合物を0℃まで冷却して、水(50mL)で反応を停止させた。懸濁液を室温で30分間撹拌し、濾過して、固体を水(2×30mL)で洗浄し、乾燥させた。
【0073】
工程2:
粗混合物に、40mLのHSO/HO(2:1 v/v)を加えた。混合物を110℃で24時間撹拌し、0℃に冷却し、水(200mL)で反応を停止させた。懸濁液を室温で30分間撹拌し、濾過した。固体を200mLの水に懸濁させ、110℃で1時間加熱し、熱懸濁液を濾過し、乾燥させて化合物II(2.67g、収率70%、2工程)を得た。HPLC純度:90.3%。
【0074】
実施例4h.4-アミノ-3,6-ジクロロ-5-フルオロピコリン酸の調製
【化39】

工程1:
密閉した75mLのガラスフラスコにて、化合物V(2.5g、7.1mmol、1.0当量)を、HAc中のHCl(2M、社内で新たに作製して乾燥HClをバブリングしたもの、17.5mL、35mmol、5.0当量)中に懸濁させた。混合物を90℃の油浴で19時間撹拌した。反応混合物を5℃まで冷却し、フラスコを慎重に開け60mLの氷水中に注ぎ、30分間撹拌して濾過した。白色固体は4.5g(湿潤)であり、更に精製することなく次の反応に使用した。
【0075】
工程2:
粗混合物に、20mLのHSO/HO(2:1 v/v)を加えた。混合物を110℃で24時間撹拌し、0℃に冷却し、水(100mL)で反応を停止させた。懸濁液を室温で30分間撹拌し、濾過した。固体を100mLの水に懸濁させ、110℃で1時間加熱し、熱懸濁液を濾過し、乾燥させて化合物II(1.10g、収率60%、2工程)を得た。HPLC純度:91.4%。
【0076】
実施例5a.ベンジル4-アミノ-6-ブロモ-3-クロロ-5-フルオロピコリネートの調製
【化40】

マグネチックスターラー、冷水冷却器、熱電対及び窒素パッドを備えた125mLの三口フラスコに、4-アミノ-6-ブロモ-3-クロロ-5-フルオロピコリン酸(5.0g、18.56mmol)及びジメチルスルホキシド(20mL)を装入した。混合物を撹拌し、KCO粉末(2.82g、20.41mmol、1.1当量)を10分間かけて少しずつ加えた(温度が20℃から22.5℃に上昇するにつれ、穏やかな発熱が観察された)。混合物を周囲温度で30分間撹拌した後、塩化ベンジル(2.59g、20.41mmol、1.1当量)を一度に加えた。得られた混合物を、周囲温度で15分間、40℃で5時間、50℃で2時間撹拌した。次に、反応混合物を周囲温度に冷却し、水(75mL)を加えて、得られた混合物を30分間撹拌した。存在する固体を濾過して、水(20mL)ですすぎ、吸引乾燥させ、真空オーブン中で50℃で一晩乾燥させて、ベンジルエステル6.5g(収率97%)を得た。H-NMR(500HMz/CDCl)δ 7.44(m,2H),7.35(m,3H),5.40(s,2H),4.98(s,br,2H).19F-NMR δ -129.16.
【0077】
実施例5b.ベンジル4-アミノ-6-ブロモ-3-クロロ-5-フルオロピコリネートの調製
【化41】

マグネチックスターラー、冷水冷却器、熱電対及び窒素パッドを備えた250mLの三口フラスコにて、4-アミノ-6-ブロモ-3-クロロ-5-フルオロピコリン酸(12.87g、純度82重量%(H NMRによる推定)、39.17mmol、18重量%(13.94mmol)のフタル酸を含有)の試料を、DMSO(100mL)中に溶解させた。KCO粉末(9.95g、72mmol)を10分間かけて少しずつ加えたところ、温度が20℃から25℃に上昇するにつれ、穏やかな発熱反応が生じた。混合物を、周囲温度で30分間撹拌し、次に、冷水浴により温度を25℃未満に維持しながら、臭化ベンジル(8.00g、46.8mmol)を10分間かけてゆっくりと加えた。得られた混合物を周囲温度で4時間撹拌し、次に、300mLの冷水中に注いだ。得られたスラリーを15分間撹拌し、濾過して100mLの水ですすいだ。吸引乾燥後、粗生成物をヘキサン(100mL)で洗浄し、真空中で45℃で一晩乾燥させて、ベンジルエステル13.40g(収率95%)を得た。
【0078】
実施例5c.ベンジル4-アミノ-6-ブロモ-3-クロロ-5-フルオロピコリネートの調製
【化42】

撹拌子、加熱マントル及び冷却器付きDean-Starkトラップを備えた三口フラスコに、4-アミノ-6-ブロモ-3-クロロ-5-フルオロピコリン酸(3.00g、11.13mmol)、ベンジルアルコール(11.48g、10当量)、トルエン及びp-トルエンスルホン酸一水和物(p-TSA、212mg、0.1当量)を加えた。混合物を80℃で加熱し、in situで生成された水を除去するために、ゆっくりと30mmHgの真空下に置いた。80℃で10時間加熱後、反応混合物を周囲温度に冷却した。シクロヘキサン(50mL)を滴加し、得られたスラリーを2時間撹拌して10℃に冷却し、濾過して、湿潤ケークをシクロヘキサン(10mL)ですすいだ。次に、湿潤ケークを水(20mL)で洗浄し、吸引乾燥させ、シクロヘキサン(5mL)ですすぎ、真空オーブン中で減圧下、45℃で乾燥させて、3.29g(収率82.3%)のベンジルエステルを得た。
【0079】
実施例5d.シアノメチル4-アミノ-6-ブロモ-3-クロロ-5-フルオロピコリネートの調製
【化43】

磁気撹拌子を備えた125mLの丸底フラスコに、4-アミノ-6-ブロモ-3-ブロモ-5-フルオロピコリン酸(2.0g、7.42mmol)及びアセトン(30mL)を装入した。ブロモアセトニトリル(1.034mL、14.84mmol)を加え、続いて、トリエチルアミン(4.14mL、29.7mmol)を滴加した。白色沈殿物が形成され、追加のアセトン(10mL)を加えた。25.5時間後、追加のトリエチルアミン(1.035mL、7.42mmol)、ブロモアセトニトリル(0.517mL、7.42mmol)及びアセトン(10mL)を加えた。反応混合物を更に22.5時間撹拌し、次に、減圧下で揮発物を除去した。粗物質をEtOAc中に再懸濁させ、水で洗浄した。層を分離し、有機層を乾燥させて(NaSO)、濾過し、減圧下で濃縮して、シアノメチル4-アミノ-6-ブロモ-3-クロロ-5-フルオロピコリネート(1.365g、4.42mmol)をオフホワイトの固体として、収率60%で得た。H NMR(600MHz,DMSO-d)δ 7.34(s,2H),5.27(s,2H).19F NMR(564MHz,DMSO-d):δ -127.73.
【0080】
本明細書に記載の特定の組成物及び方法は、特許請求の範囲のいくつかの態様の例示として意図されたものであり、それらによって特許請求の範囲の組成物及び方法の範囲が限定されることはなく、機能的に等価であるいかなる組成物及び方法も特許請求の範囲に含まれることを意図している。本明細書に示され記載されているものに加えて、組成物及び方法の種々の変更も、添付の特許請求の範囲に含まれることを意図している。更に、本明細書に開示の特定の代表的な組成物質及び方法の工程のみが具体的に記載されているが、組成物質及び方法の工程の他の組み合わせもまた、具体的に記載されていなくても、添付の特許請求の範囲に含まれることを意図している。したがって、工程、要素、成分又は構成要素の組み合わせは、本明細書に明示的に言及されている場合もあるが;たとえ明示的に言及されていなくても、工程、要素、成分及び構成要素の他の組み合わせも含まれる。本明細書で使用される場合、「含む(comprising)」という用語及びその変形は、「含む(including)」という用語及びその変形と同義的に使用され、オープンの非限定的な用語である。「含む(comprising)」及び「含む(including)」という用語は、様々な実施形態を説明するために本明細書で使用されているが、「実質的に~からなる(consisting essentially of)」及び「~からなる(consisting of)」という用語は、本発明のより具体的な実施形態を提供するために「含む(comprising)」及び「含む(including)」の代わりに使用することができ、また開示されている。
【手続補正書】
【提出日】2021-05-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式:
【化1】

(式中、ZはCOOR又はCNであり、RはC~C12アルキル、C~C12アリールアルキル又はHであり、各Y置換基は、H、F、Cl、Br、I、C~Cアルキル、C~Cアルコキシ、C~Cハロアルキル、C~Cハロアルコキシ又はニトロから独立して選択され、式中、nは1、2、3又は4である)の化合物。
【請求項2】
式II:
【化2】
(式中、XはCl若しくはBrであり、ZはCOOR若しくはCNであり、RはH、C~C12アルキル、C~C12アリールアルキル、C~C12アルキニル若しくはCNで置換されたC~Cアルキルである)
の化合物又はそのHCl塩若しくはHBr塩を調製するための方法であって、
a)式IIIの化合物を、式IIIaのハロゲン化フタロイル又は式IIIbの無水フタル酸
【化3】

(式中、ZはCOOR又はCNであり、RはH、C ~C 12 アルキル、C ~C 12 アリールアルキル、C ~C 12 アルキニル、又はCNで置換されたC1~C アルキルであり、各Y置換基は、H、F、Cl、Br、I、C~Cアルキル、C~Cアルコキシ、C~Cハロアルキル、C~Cハロアルコキシ又はニトロから独立して選択され、式中、nは1、2、3又は4であり、はCl又はBrである)、及び任意選択的に塩基と合わせる工程と、
b)工程a)からの式IVの化合物
【化4】

(式中、ZはCOOR又はCNであり、RはH、C ~C 12 アルキル、C ~C 12 アリールアルキル、C ~C 12 アルキニル、又はCNで置換されたC ~C アルキルであり、各Y置換基は、H、F、Cl、Br、I、C ~C アルキル、C ~C アルコキシ、C ~C ハロアルキル、C ~C ハロアルコキシ又はニトロから独立して選択され、式中、nは1、2、3又は4である)を単離する工程と、
c)工程b)からの単離された式IVの化合物を、フッ素化化合物又は化合物のフッ素化混合物と合わせる工程と、
d)工程c)からの式Vの化合物
【化5】

式中、ZはCOOR又はCNであり、RはH、C ~C 12 アルキル、C ~C 12 アリールアルキル、C ~C 12 アルキニル、又はCNで置換されたC ~C アルキルであり、各Y置換基は、H、F、Cl、Br、I、C ~C アルキル、C ~C アルコキシ、C ~C ハロアルキル、C ~C ハロアルコキシ又はニトロから独立して選択され、式中、nは1、2、3又は4である)を単離する工程と、
e)工程d)からの単離された式Vの化合物を、HCl又はHBr及び水と合わせる工程と、
f)工程e)からの式IIの化合物を単離する工程と
を含む、方法。
【請求項3】
工程a’)が工程a)に先行し、ここで、工程a’)が、式IIIの化合物(式中、RはHである)をアルコールROH、及び酸又は酸生成化合物と接触させることにより、式IIIの化合物(式中、ZはCOORであり、RはC~C12アルキル又はC~C12アリールアルキルである)を調製することを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
工程a)が、アセトニトリル(ACN)、トルエン、ジメチルホルムアミド(DMF)、プロピオニトリル、ベンゾニトリル、THF、2-メチル-THF、ジオキサン、シクロペンチルメチルエーテル(CPME)、モノエチレングリコールエーテル、ジエチレングリコールエーテル、モノプロピレングリコールエーテル、ジプロピレングリコールエーテル若しくはメチルイソブチルケトン(MIBK)、又はそれらの混合物から選択される溶媒を更に含み、好ましくは、前記溶媒が、ACN、トルエン、DMF、CPME又はMIBKであり、より好ましくはトルエンである、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
工程a)中の塩基が、トリアルキルアミン化合物、好ましくはトリエチルアミンである、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
工程a)の前記合わせることが、約25℃~約100℃、好ましくは約25℃~約70℃の温度で維持される、請求項2~のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
工程c)中のフッ素化化合物又は化合物のフッ素化混合物が、フッ化カリウム、フッ化セシウム、フッ化テトラメチルアンモニウム、フッ化カリウム/塩化テトラメチルアンモニウム、フッ化セシウム/塩化テトラメチルアンモニウム、又はそれらの混合物であり、好ましくはフッ化カリウムである、請求項2に記載の方法。
【請求項8】
工程c)が、非プロトン性溶媒、好ましくは、アセトニトリル(ACN)、プロピオニトリル(PCN)、ベンゾニトリル(BCN)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、スルホラン、ジメチルアセトアミド(DMA)、1,1-ジメチル-2-イミジゾリジノン(imidizolidinone)(DMI)、N,N’-ジメチルプロピレン尿素(DMPU)、N-メチルピロリジノン(NMP)、テトラヒドロフラン(THF)、2-メチル-THF、ジオキサン、モノエチレングリコールエーテル、ジエチレングリコールエーテル、モノプロピレングリコールエーテル若しくはジプロピレングリコールエーテル、又はそれらの混合物から選択される非プロトン性溶媒を更に含む、請求項2に記載の方法。
【請求項9】
工程c)の前記合わせることが、約15℃~約150℃、好ましくは約25℃~約110℃の温度で維持される、請求項2~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
工程e)の前記合わせることが、酢酸を更に含む、請求項2~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
工程b)が、濾過若しくは遠心分離により式IVの化合物を単離することを含み、且つ/又は工程d)が、濾過若しくは遠心分離により式Vの化合物を単離することを含み、且つ/又は工程f)が、濾過若しくは遠心分離により式IIの化合物を単離することを含む、請求項2~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
式II:
【化6】

(式中、XはCl若しくはBrであり、ZはCOOR若しくはCNであり、RはH、C ~C 12 アルキル、C ~C 12 アリールアルキル、C ~C 12 アルキニル若しくはCNで置換されたC ~C アルキルである)
の化合物又はそのHCl塩若しくはHBr塩を調製するための方法であって、
a)式IIIの化合物を、式IIIaのハロゲン化フタロイル又は式IIIbの無水フタル酸
【化7】

(式中、ZはCOOR又はCNであり、RはH、C ~C 12 アルキル、C ~C 12 アリールアルキル、C ~C 12 アルキニル、又はCNで置換されたC ~C アルキルであり、各Y置換基は、H、F、Cl、Br、I、C ~C アルキル、C ~C アルコキシ、C ~C ハロアルキル、C ~C ハロアルコキシ又はニトロから独立して選択され、式中、nは1、2、3又は4であり、WはCl又はBrである)、及び任意選択的に塩基と合わせる工程と、
b)工程a)からの式IVの化合物
【化8】

(式中、ZはCOOR又はCNであり、RはH、C ~C 12 アルキル、C ~C 12 アリールアルキル、C ~C 12 アルキニル、又はCNで置換されたC ~C アルキルであり、各Y置換基は、H、F、Cl、Br、I、C ~C アルキル、C ~C アルコキシ、C ~C ハロアルキル、C ~C ハロアルコキシ又はニトロから独立して選択され、式中、nは1、2、3又は4である)を任意選択的に単離する工程と、
c)前工程からの式IVの化合物を、フッ素化化合物又は化合物のフッ素化混合物と合わせる工程と、
d)工程c)からの式Vの化合物
【化9】

(式中、ZはCOOR又はCNであり、RはH、C ~C 12 アルキル、C ~C 12 アリールアルキル、C ~C 12 アルキニル、又はCNで置換されたC ~C アルキルであり、各Y置換基は、H、F、Cl、Br、I、C ~C アルキル、C ~C アルコキシ、C ~C ハロアルキル、C ~C ハロアルコキシ又はニトロから独立して選択され、式中、nは1、2、3又は4である)を任意選択的に単離する工程と、
e)前工程からの式Vの化合物を、HCl又はHBr及び水と合わせる工程と、
f)工程e)からの式IIの化合物を単離する工程と
を含む、方法。
【請求項13】
式VI
【化10】

(式中、X=Cl又はBr、RはC~C12アルキル、C~C12アリールアルキル、C~C12アルキニル又はCNで置換されたC~Cアルキルである)の化合物を得るために、工程f)からの式II(式中、Z=COOH)の化合物を、アルコール及び酸、又はアルキル化剤及び塩基と合わせることにより式II(式中、Z=COOH)の化合物をエステル化することを更に含む、請求項2に記載の方法。
【請求項14】
式:
【化11】
(式中、X=Br、ZはCOORであり、RはH、C2~12アルキル、C~C12アリールアルキル、C~C12アルキニル、又はCNで置換されたC~Cアルキルである)の化合物。
【請求項15】
式:
【化12】
(式中、X=Br、ZはCOORであり、式中、RはH、Et、i-Pr又はCH-フェニルである)の化合物。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0005
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0005】
本方法は、まず、式IIIの化合物を、式IIIaのハロゲン化フタロイル又は式IIIbの無水フタル酸
【化3】

(式中、各Y置換基は、H、F、Cl、Br、I、C~Cアルキル、C~Cアルコキシ、C~Cハロアルキル、C~Cハロアルコキシ又はニトロから独立して選択され、式中、nは1、2、3又は4であり;はCl又はBrである)、及び任意選択的に塩基と合わせることを含む。次に、式IVの化合物
【化4】

を第1の工程から単離し、単離した式IVの化合物をフッ素化化合物又は化合物のフッ素化混合物と合わせる。次に、式Vの化合物
【化5】

を単離してHCl又はHBr及び水と合わせる。最後に、式IIの化合物を単離する。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
I.定義
式IVの化合物(式中、ZはCOR又はCNであり、RはC~C12アルキル又はC~C12アリールアルキルであり、各Y置換基は、H、F、Cl、Br、I、C~Cアルキル、C~Cアルコキシ、C~Cハロアルキル、C~Cハロアルコキシ又はニトロから独立して選択され、式中、nは1、2、3、4、5、6、7又は8である)は、以下の化学構造によって表すことができる。フタロイル構造は、全ての点で同一であると見なされるフタロイル構造の2つのバージョンのいずれかによって表すことができる。
【化9】
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0026
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0026】
III.ジフルオロフタルイミドVの調製
式IIの化合物を調製するための方法の第2の工程は、式IVの化合物(式中、Z=COR又はCN、RはC~C12アルキル又はC~C12アリールアルキルであり、各Y置換基は、H、F、Cl、Br、I、C~Cアルキル、C~Cアルコキシ、C~Cハロアルキル、C~Cハロアルコキシ又はニトロから独立して選択され、式中、nは1、2、3又は4である)の、スキーム4に示される溶媒の存在下におけるフッ素化化合物又は化合物のフッ素化混合物によるIVの処理による、式Vの対応するジフルオロフタルイミドへの変換を含む。
【化11】

【国際調査報告】