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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-12
(54)【発明の名称】輸送装置
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/14 20060101AFI20220104BHJP
【FI】
A61M5/14 510
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021516752
(86)(22)【出願日】2019-10-18
(85)【翻訳文提出日】2021-05-21
(86)【国際出願番号】 CA2019051478
(87)【国際公開番号】W WO2020082168
(87)【国際公開日】2020-04-30
(31)【優先権主張番号】62/749,322
(32)【優先日】2018-10-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/754,355
(32)【優先日】2018-11-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519169580
【氏名又は名称】エービーケー バイオメディカル インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】特許業務法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】ホジソン,デイビッド マーク ダグラス
(72)【発明者】
【氏名】グレゴワール,マーク アンドレ
(72)【発明者】
【氏名】アトウェル,キャスリン マーガレット アン
(72)【発明者】
【氏名】ドノフリオ,ギャリー マイケル
(72)【発明者】
【氏名】エイブラハム,ロバート ジョセフ
(72)【発明者】
【氏名】ウィーンズ,エヴァン クリストファー
(72)【発明者】
【氏名】ケトルウェル,ブレナ キャサリン
【テーマコード(参考)】
4C066
【Fターム(参考)】
4C066AA07
4C066BB01
4C066CC01
4C066CC07
4C066CC08
4C066DD08
4C066JJ02
4C066JJ04
4C066JJ07
4C066JJ10
(57)【要約】
患者への微粒子の静脈内輸送のための輸送装置。前記輸送装置は、(i)注入媒体の第1の供給源、および(ii)注入媒体の第2の供給源に流体的に接続可能である。前記輸送装置は、前記注入媒体の第1の供給源に流体的に接続可能な第1の流体入口、流体出口、前記第1の流体入口を前記流体出口に流体的に接続する流体ミキサー、前記注入媒体の第2の供給源に流体的に接続可能な第2の流体入口、および前記第2の流体入口を前記流体ミキサーに流体的に接続する微粒子の供給源を含む。前記注入媒体の第2の供給源から前記輸送装置内に流体が流れ込むと、第2の注入媒体は、前記微粒子の供給源から前記流体ミキサーに微粒子を流体的に駆動し、そして、前記流体出口は、前記微粒子を含む注入媒体を患者に分配する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者への微粒子の静脈内輸送のための輸送装置であって、
前記輸送装置は、(i)注入媒体の第1の供給源、および(ii)注入媒体の第2の供給源、に流体的に接続可能であり、前記輸送装置は、
前記注入媒体の第1の供給源に流体的に接続可能な第1の流体入口、
流体出口、
前記第1の流体入口を前記流体出口に流体的に接続する流体ミキサー、
前記注入媒体の第2の供給源に流体的に接続可能な第2の流体入口、および
前記第2の流体入口を前記流体ミキサーに流体的に接続する微粒子の供給源、を含み、
前記注入媒体の第2の供給源から前記輸送装置内に流体が流れ込むと、
第2の注入媒体は、前記微粒子の供給源から前記流体ミキサーに微粒子を流体的に駆動し、そして、
前記流体出口は、前記微粒子を含む注入媒体を患者に分配する、
輸送装置。
【請求項2】
前記微粒子の供給源は、前記微粒子を保持する細長のハウジングを含み、
前記細長のハウジングは、一端で前記流体ミキサーに流体的に接続され、そして遠位端で前記注入媒体の第2の供給源に流体的に接続可能である、請求項1に記載の輸送装置。
【請求項3】
前記輸送装置は、前記細長のハウジングと前記第2の流体入口との間に流体的に配置されるチャンバーを画定する、請求項2に記載の輸送装置。
【請求項4】
前記チャンバーは、前記輸送装置が微粒子充填姿勢にある際に前記チャンバー内に位置する微粒子を前記細長のハウジング内に注ぎ込む円錐形部分を含む、請求項3に記載の輸送装置。
【請求項5】
前記流体ミキサーは、
第1の注入媒体のための導管であって、前記第1の流体入口を前記流体出口に流体的に接続する前記導管、および
前記導管内に配置されたディスペンサーであって、前記流体ミキサーを通過する前記注入媒体の流れの方向に向けて前記注入媒体に微粒子を添加するように構成された前記ディスペンサー、
を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の輸送装置。
【請求項6】
前記導管および前記ディスペンサーは同心円状のチューブであり、前記ディスペンサーは前記導管内に配置される、請求項5に記載の輸送装置。
【請求項7】
前記流体ミキサーは、前記輸送装置が輸送姿勢にある際、実質的に水平方向に前記第1の注入媒体を流すように構成される、請求項1~6のいずれか1項に記載の輸送装置。
【請求項8】
前記流体ミキサーは、前記輸送装置が輸送姿勢にある際、実質的に垂直方向に前記第1の注入媒体を流すように構成される、請求項1~6のいずれか1項に記載の輸送装置。
【請求項9】
前記微粒子の供給源と前記流体ミキサーとの間に流体的に位置する微粒子トラップを更に含む、請求項1~8のいずれか1項に記載の輸送装置。
【請求項10】
前記微粒子トラップは、前記微粒子の供給源を前記流体ミキサーに接続するチュービングにおいて、約90度の曲げまたはUターンを含む、請求項9に記載の輸送装置。
【請求項11】
前記第1の注入媒体の供給源は、前記第2の注入媒体の供給源とは異なり、任意で前記第1の注入媒体と前記第2の注入媒体とは同じである、請求項1~10のいずれか1項に記載の輸送装置。
【請求項12】
前記輸送装置は、前記微粒子の流路を画定し、
前記微粒子の流路は、前記微粒子の供給源、前記流体ミキサー、および前記流体出口、並びにそれらの間の全ての流体接続を含む、請求項1~11のいずれか1項に記載の輸送装置。
【請求項13】
前記微粒子の流路の直径が、前記微粒子の平均直径の少なくとも3倍である、請求項12に記載の輸送装置。
【請求項14】
前記微粒子の流路の断面は、前記微粒子の供給源から前記流体ミキサーまで実質的に一定である、請求項12または13に記載の輸送装置。
【請求項15】
前記微粒子は、約80%~約40%の充填効率で前記微粒子の供給源に充填されている、請求項1~14のいずれか1項に記載の輸送装置。
【請求項16】
前記微粒子は、前記注入媒体の比重よりも大きい比重を有する、請求項1~15のいずれか1項に記載の輸送装置。
【請求項17】
微粒子を患者に輸送する方法であって、前記方法は、
第1の注入媒体を流体ミキサーの第1のアームに流入させ、そして前記流体ミキサーの第2のアームから流出させること、
第2の注入媒体を流体ミキサーの第3のアームに独立して流入させること、を含み、ここで前記第2の注入媒体は、細長のハウジング内に充填された微粒子を前記第1の注入媒体へと流体的に駆動し、それによって、前記微粒子、前記第1の注入媒体、および前記第2の注入媒体の混合物を生じさせ、そして、
前記流体ミキサーの前記第2のアームから流出する前記混合物を患者に静脈内投与すること、
を含む、方法。
【請求項18】
前記第1の注入媒体の流量は、前記第2の注入媒体の流量の約2~約80倍である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記第1の注入媒体の流量は、前記第2の注入媒体の流量の約20~約40倍である、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記第1の注入媒体および前記第2の注入媒体の総流量が、投与の時点での局所血流量と実質的に同じである、請求項17~19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
注入媒体の総mL当たり約1mgの微粒子~約200mgの微粒子を前記患者に静脈内投与する、請求項17~20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
前記微粒子が、毎秒約1mg~毎秒約200mgの速度で投与される、請求項17~21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
患者への微粒子の静脈内輸送のための輸送装置であって、前記輸送装置は、移送媒体および置換媒体に流体的に接続可能であり、前記輸送装置は、
前記移送媒体に流体的に接続可能な第1の流体入口、
流体出口、
前記第1の流体入口を前記流体出口に流体的に接続する流体ミキサー、
前記流体ミキサーに流体的に接続された微粒子の供給源、および
前記置換媒体に流体的に接続可能な第2の流体入口を含み、前記流体ミキサーと流体的に接続している前記第2の流体入口は、前記置換媒体を利用して、前記微粒子を前記流体ミキサーに導入し、そして前記移送媒体を介して前記微粒子を前記流体出口から導出する、輸送装置。
【請求項24】
患者に静脈内輸送するための微粒子を充填するための装置であって、前記装置は移送媒体および置換媒体に流体的に接続可能であり、前記装置は、
前記移送媒体に流体的に接続可能な第1の流体入口、
流体出口、
前記第1の流体入口を前記流体出口に流体的に接続する流体ミキサー、
微粒子を保持するように構成されたレセプタクルであって、前記流体ミキサーに流体的に接続されている前記レセプタクル、および
前記置換媒体に流体的に接続可能であり、且つ前記レセプタクルに流体的に接続可能な第2の流体入口であって、前記レセプタクルにより前記流体ミキサーに流体的に接続されている前記第2の流体入口、
を含む、装置。
【請求項25】
前記レセプタクルは、第1の端部で前記第2の流体入口に流体的に接続され、そして第2の端部で前記流体ミキサーに流体的に接続されている、請求項24に記載の装置。
【請求項26】
前記レセプタクルに流体的に接続された充填流体入口を更に備える、請求項24または25に記載の装置。
【請求項27】
前記レセプタクルは、(a)前記充填流体入口と前記流体ミキサーとを流体的に接続するか、または(b)前記充填流体入口と充填流体注出口とを流体的に接続する、請求項26に記載の装置。
【請求項28】
前記レセプタクルと前記充填流体出口との間に流体的に配置されたフィルターを更に備える、請求項27に記載の装置。
【請求項29】
前記流体ミキサーは、T字型接合部である、請求項24~28のいずれか1項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年10月23日に出願された米国仮特許出願第62/749,322号、および2018年11月1日に出願された米国仮特許出願第62/754,355号の優先権の利益を主張し、これらは参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、微粒子を患者に輸送するための装置に関する。
【背景技術】
【0003】
以下の段落は、それらの中で論じられているものが先行技術であること、または当業者の知識の一部であることを認めるものではない。
【0004】
微粒子は、例えば、子宮平滑筋腫のような多血管性腫瘍、および血管奇形のような血管異常の治療における血管の選択的閉塞のために、インターベンショナルラジオロリス(画像診断医)によって使用される。このような微粒子は、患者の肝動脈に注入される。
【0005】
選択的内部照射療法(SIRT)は、原発性または転移性の肝悪性腫瘍の治療に使用され得る。SIRTでは、イットリウム90(90Y)放射性標識微粒子が患者の肝動脈に注入され、血管新生が増加するため、肝腫瘍に優先的に局在する。放射性イットリウム-90で標識された微粒子は崩壊し、そして周囲の組織に放射線を照射する。
【0006】
序文
以下の序文は、読み手に本明細書を紹介することを意図しているが、発明を定義するものではない。1つまたは複数の発明は、以下または本文書の他の部分に記載される装置要素または方法ステップの組合せまたは部分組合せに存在し得る。発明者は、そのような他の発明または他の複数の発明を単に特許請求の範囲にしないことによって、本明細書に開示された発明に対する権利を放棄または否認しない。
【0007】
微粒子は、静脈内水溶液のような注入媒体を用いて患者に静脈内注射される。しかしながら、微粒子が注入媒体よりも実質的に高い密度を有する場合(水溶液中のガラス微粒子など)、微粒子は互いに沈降し、微粒子を患者に注入することを困難にし得る。微粒子を低速かつ一定の割合で投与することは、特に困難であり得る。
【0008】
BTGは、注入媒体を沈殿した微粒子の底部を通って上方に流動させて、定容リザーバー内の微粒子の流動床を輸送装置内で生成することによって、TheraSphere(商標)イットリウム-90ガラス微粒子製品を用いてこの問題に対処しようと試みる。流動化された微粒子は、注入媒体と共に患者に運ばれる。このアプローチは、注入媒体(生理食塩水中のガラス微粒子など)よりも有意に高密度である微粒子を流動化するために、望ましくない高流量の注入媒体を必要とし得る。このアプローチは、微粒子の密度に関係なく、経時的に輸送される微粒子の濃度が一貫しない注入媒体を生じ得る。すなわち、微粒子の流動化は、注入媒体よりも有意に高密度である微粒子および微粒子の濃度が注入媒体(例えば、生理食塩水中の樹脂ベースの微粒子)に近接している微粒子に対して、一貫性のない濃度の投与を生じさせ得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従って、動作中に、低速および/または一定の割合で微粒子を患者に静脈内投与するために使用され得る輸送装置が依然として必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
一態様では、本開示は、第1の流体入口、第2の流体入口、流体ミキサー、微粒子の供給源、および流体出口を含む輸送装置を提供する。前記流体ミキサーは、前記微粒子の供給源に流体的に接続され、そして前記流体ミキサーは前記第1の流体入口を介して注入媒体の第1の供給源に流体的に接続可能である。前記微粒子の供給源は、前記第2の流体入口を介して注入媒体の第2の供給源に流体的に接続可能である。前記流体ミキサーは、注入媒体の輸送のために前記流体出口に流体的に接続される。
【0011】
別の態様では、本開示は、微粒子を患者に輸送する方法を提供する。本方法は、第1の注入媒体を流体ミキサーの第1のアームに流入させ、そして前記流体ミキサーの第2のアームから流出させること、および第2の注入媒体を前記流体ミキサーの第3のアームに流入させること、を含み、ここで前記第2の注入媒体は、細長のハウジング内に充填された微粒子を第1の注入媒体に流体的に駆動し、そして得られた前記微粒子、前記第1の注入媒体、および前記第2の注入媒体の混合物を患者に静脈内投与することを含む。前記第1の注入媒体の流れは、前記第2の注入媒体の流れとは独立したものである。
【0012】
本開示の実施形態は、以下、添付の図面を参照して単なる例示として説明される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、本開示による例示的な輸送装置の説明図である。
図2図2は、本開示による輸送装置で使用され得る例示的な流体ミキサーの断面図である。
図3図3は、加重方向に配置された、例示的輸送装置の一部の断面図である。
図4図4は、流体充填方向に配置された例示的輸送装置の一部の断面図である。
図5図5は、本開示による輸送装置の別の例の側面図である。
図6図6は、図5の輸送装置の一部の側面図であり、内部の詳細を示すために透明で図示された部分を有する。
図7図7は、チャンバーが輸送装置の残りの部分から切り離された図5の輸送装置の側面図である。
図8図8は、図4の輸送装置の流体ミキサーの一例の側面図である。
図9図9は、本開示による輸送装置の更に別の例の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
一般に、本開示は、第1の流体入口、第2の流体入口、流体ミキサー、微粒子の供給源、および流体出口を含む輸送装置を提供する。流体ミキサーは、微粒子の供給源に流体的に接続され、そして第1の流体入口を介して、移送媒体と称される注入媒体の第1の供給源に流体的に接続可能である。微粒子の供給源は、第2の流体入口を介して、置換媒体と称される注入媒体の第2の供給源に流体的に接続可能である。流体ミキサーは、静脈内カテーテルを介して患者等に移送媒体および置換媒体を輸送するために、流体出口に流体的に接続されている。
【0015】
動作中、置換媒体の供給源から輸送装置内に駆動される流体は、微粒子の供給源から流体ミキサー内に微粒子を流体的に駆動する。
【0016】
第1および第2の流体入口は、移送媒体の流れ、および流体ミキサーを通る置換媒体が、互いに独立していることを可能にする。
【0017】
本開示の文脈において「流体ミキサー」とは、移送媒体および置換媒体の両方が流体出口に流れている際に、移送媒体を置換媒体と混合する構成要素の任意の組み合わせを指すと理解されるべきである。微粒子の供給源に微粒子が充填されている場合、置換媒体は、少なくともいくつかの微粒子を運搬する。
【0018】
例えば、流体ミキサーは、クロマトグラフィーのT字型接合部のようなT字型接合部であり得、またはY字型接合部であり得る。一例において、流体ミキサーは、移送媒体のための導管を含んでもよく、ここで、該導管は、移送媒体の供給源を流体出口に流体的に接続する。流体ミキサーはまた、流体ミキサーを通過する移送媒体に微粒子を添加するために導管内に配置されたディスペンサーを含み得る。ディスペンサーは、微粒子を移送媒体の流れの方向に方向付ける。特定の実施例では、流体ミキサーは、2つの同心円状のチューブを含み得、(a)移送媒体の供給源から流体出口へと移送媒体を運ぶ外側のチューブ、および、(b)微粒子の供給源から移送媒体の流れの方向に微粒子を移送媒体へと運ぶ内側のチューブ、を有する。
【0019】
微粒子の供給源は、微粒子を保持または収容するチュービングのような細長のハウジングを含み得る。微粒子を保持する細長のハウジングは、一端で流体ミキサー流体的に接続され、そして遠位端で置換媒体の供給源に流体的に接続可能である。動作中、置換媒体の供給源から細長のハウジングの遠位端内に駆動される流体は、細長のハウジング内に位置する微粒子を細長のハウジングから流体ミキサー内に流体的に駆動する。
【0020】
いくつかの例では、流体ミキサー内のディスペンサーは、輸送装置が輸送方向に向けられた際に実質的に水平に配置される部分を有し得る。他の例では、流体ミキサー内のディスペンサーは、輸送装置が輸送方向に向けられた際に実質的に垂直に配置される部分を有し得る。
【0021】
例示的なディスペンサーにおいて、微粒子に対する流路の断面積は十分に大きく、そして十分に一定であるため、流体の流れは所定の操作流量および微粒子が輸送されことによっては実質的に制限されない。例えば、微粒子の流路の直径は、投与される微粒子の平均直径の少なくとも3倍であり得、および/または微粒子を含む細長のハウジングは、微粒子の注入のための流体ミキサーの開口部と同じ断面積を有し得る。断面積は、所与の流量に対して「十分に一定」であり、そして微粒子の流路の断面積は、置換媒体の流量と比較して、移送媒体および置換媒体の組み合わせの流量の増加を考慮するために、流体ミキサーの前では小さく、流体ミキサーの後では大きいことが理解されるべきである。
【0022】
流体ミキサーが導管内に配置された微粒子ディスペンサーを含む例示的なディスペンサーでは、導管の断面は、流体ミキサーを通る流体の流れ(操作流量で)を実質的に制限しないよう、ディスペンサーの断面に比べて十分に大きくてもよい。
【0023】
動作中、輸送装置は、移送媒体および置換媒体に流体的に接続される。移送媒体は、移送媒体の供給源から流体ミキサーを通って流れ、流体出口を通って輸送される。移送媒体は、例えばカテーテルを介して患者に静脈内投与され得る。置換媒体の供給源からの流れが存在しない場合、流体ミキサーは、実質的に微粒子を伴わずに移送媒体を輸送する。しかしながら、置換媒体の供給源が輸送装置に流入すると、微粒子は、微粒子の供給源から流体ミキサーを通過する移送媒体内に流体的に駆動され、そして移送媒体と置換媒体との混合物によって患者への輸送のために流体出口を通って運ばれる。
【0024】
移送媒体の所与の流量について、微粒子の患者への輸送量は置換媒体の流量によって少なくとも部分的に決定される。より高い流量は、単位時間当たりより多くの微粒子を流体ミキサーに押し込み、そして微粒子のより高い投与量をもたらす。より低い流量は、単位時間当たりの流体ミキサーへのより少ない微粒子の押し込みをもたらし、その結果、微粒子のより低い投与量をもたらす。
【0025】
第1および第2の注入媒体の流量は、共に選択され、そして組み合わされて、微粒子の所望の輸送量を提供し得るが、移送媒体の流れは置換媒体の流れとは独立したものである。
【0026】
移送媒体の流量は、置換媒体の流量の2~80倍、例えば、10~50倍または20~40倍であり得る。移送媒体と置換媒体との組み合わせの流量は、約0.5mL/sまでの流量のような、患者の血流の流量と実質的に同じ流量であり得る。微粒子は、細長のハウジング内で、約80%~約40%の充填効率であり得る。充填効率は、細長のハウジングの全容積に対する微粒子の容積を指す。輸送装置は、注入媒体の総mL、すなわち、第1および第2の注入媒体の合計容量、当たり約1mgから約200mgの微粒子、を提供し得る。微粒子は、移送媒体の比重より大きい比重を有し得る。一実施形態では、微粒子は、水に関して約3.3から約3.9の比重を有し得る。
【0027】
輸送装置はまた、細長のハウジングに流体的に接続され、そして細長のハウジングと置換媒体との間に流体的に配置されるチャンバーを画定することもできる。チャンバーは、輸送装置内の微粒子の少なくとも全てを保持するようにサイズ設定されており、そして微粒子を細長のハウジング内に充填するために使用され得る。チャンバーは、輸送装置が充填方向に向いた際、例えばチャンバーが細長のハウジングの実質的に上方に位置する方向にある際に、チャンバーから細長のハウジングに微粒子を注ぎ込む円錐形部分を含み得る。輸送装置が、細長のハウジングがチャンバーの実質的に上方に配置される方向といった流体充填方向に向いた場合、微粒子はチャンバー内に留まる。
【0028】
細長のハウジングに微粒子を充填するために、輸送装置を流体充填方向に配置して、実質的に全ての微粒子を細長のハウジングの実質的に下方に位置するチャンバー内に落下させ得る。細長のハウジングが充填流体で充填されていない場合、輸送装置は置換媒体のような流体源に接続されてもよく、そして細長のハウジングはチャンバーに流体的に接続された底端から流体ミキサーに流体的に接続された上端まで充填され得る。一旦、細長のハウジングが充填流体で満たされると、輸送装置は充填方向に配置され得る。チャンバー内に配置された微粒子は、チャンバーの実質的に下方に配置され得る細長のハウジング内に注ぎ込まれる。充填された流体よりも密度が高い微粒子は、充填された流体に密度が近い微粒子よりも速く細長のハウジングに沈降して充填される。
【0029】
本開示の文脈において、「実質的に上方」および「実質的に下方」は、流体がどのように流れるかという文脈において理解されるべきである。例えば、細長のハウジングが45度の角度で傾斜され、チャンバーが細長のハウジングの真下にない場合、微粒子は細長のハウジングからチャンバー内に落ち得る。例えば、チャンバーが細長のハウジングの真上にないが、漏斗が微粒子を細長のハウジングに方向付けるのに十分に角度付けられている場合、微粒子はチャンバーから細長のハウジングの中に落ち得る。
【0030】
微粒子の供給源が細長のハウジングを含む場合、輸送装置は、流体ミキサーを細長のハウジングに流動的に接続する微粒子トラップを含み得る。充填方向では、微粒子は細長のハウジングに注ぎ込まれ、そして微粒子が流体ミキサーに入ることを微粒子トラップによって阻止される。トラップは、例えば、細長のハウジングを流体ミキサーに接続するチュービング内での約90度の曲げ、または、Uターンであり得る。
【0031】
輸送装置は、代替的に、細長のハウジングに流体的に接続されているが、細長のハウジングと置換媒体との間に流体的に配置されていないチャンバーを画定することができる。チャンバーは、細長のハウジング内に充填される微粒子の少なくとも全てを保持するようにサイズ決定される。チャンバーは、置換媒体から液体出口への流体流路の外側に流体的に配置され得る。細長のハウジングに微粒子を充填するために、チャンバー内の微粒子はチャンバーから、任意に流体ミキサーを介して、そして細長のハウジング内に輸送され得る。微粒子は、チャンバーからの充填流体を細長のハウジングを介して流し、そして充填流体出口から導出することによって輸送され得る。微粒子が輸送装置から移送されるのを防止または阻止するために、フィルターが細長のハウジングと充填流体出口との間に配置され得る。
【0032】
充填流体および微粒子は、例えば吸引シリンジを用いて充填流体出口を減圧することにより、チャンバーから引き出され得る。代替的に、充填流体および微粒子は、置換流体の供給源を減圧することにより、チャンバーから引き出され得る。
【0033】
充填流体および微粒子は、例えば、ガスまたは充填流体をチャンバーに注入してチャンバーに正の圧力を加え、そして微粒子を細長のハウジングに移しかえることによりチャンバーから押し出され得る。
【0034】
また本開示は、一般に、微粒子が充填され得る装置を提供する。このような装置は、第1の流体入口、第2の流体入口、流体ミキサー、微粒子を保持するように構成されたレセプタクル、および流体出口を含む。流体ミキサーは、レセプタクルに流体的に接続され、第1の流体入口を通して、移送媒体と称される注入媒体の第1の供給源に流体的に接続可能である。レセプタクルは、第2の流体入口を通して、置換媒体と称される注入媒体の第2の供給源に流体的に接続可能である。流体ミキサーは、流体出口に流体的に接続される。
【0035】
レセプタクルが微粒子を保持する場合、装置は輸送装置と称され、そしてレセプタクルは輸送装置の微粒子の供給源と称される。上述のように、レセプタクルは、微粒子を保持または含有するように構成された、チュービングのような細長のハウジングを含み得る。レセプタクル、例えば細長のハウジングは、第1の端部において置換媒体の供給源に流体的に接続可能であり得、そして第2の端部において流体ミキサーに流体的に接続可能であり得る。
【0036】
装置は、レセプタクルに流体的に接続された充填流体入口を更に含み得る。微粒子の供給は、充填流体入口を介してレセプタクルに流体的に接続可能であり得る。微粒子の供給は、チャンバー内に提供され得る。微粒子の供給は、装置とは別に提供され得る。装置は、充填流体出口を含み得、ここで、レセプタクルは充填入口と充填流体出口との間に流体的に配置される。例えば、レセプタクルの第1の端部は、充填流体出口に流体的に接続され得、そして、レセプタクルの第2の端部は、流体ミキサーを介して充填流体入口に流体的に接続され得る。別の例では、レセプタクルの第1の端部は充填流体入口に流体的に接続され得、レセプタクルの第2の端部は、流体出口と同じであり得る充填流体出口に流体的に接続され得る。
【0037】
装置は、レセプタクルと充填流体出口との間に流体的に配置されたフィルターを含み得る。フィルターは、レセプタクルに微粒子が微粒子の供給源から充填されている際に、微粒子が充填流体出口から流出するのを防止または阻止し得る。
【0038】
輸送装置は更に、細長のハウジングを介して流体出口に流体的に接続可能な洗浄媒体の供給源を含み得る。洗浄媒体は、例えば、微粒子の全てが患者に投与されていない場合、微粒子を細長のハウジングから洗浄するために使用され得る。洗浄媒体は、輸送装置に液体で呼び水を差すために使用され得る。
【0039】
本開示はまた、一般に、微粒子を患者に輸送する方法を提供する。この方法は、移送媒体と称される第1の注入媒体を流体ミキサーの第1のアームに流入させ、そして流体ミキサーの第2のアームから流出させ、そして置換媒体と称される第2の注入媒体を流体ミキサーの第3のアームに流入させ、ここで置換媒体は、細長のハウジング内に充填された微粒子を移送媒体へと流体的に駆動し、そして、得られた微粒子、移送媒体、および置換媒体の混合物を患者に静脈内投与することを含む。移送媒体の流れは、置換媒体の流れとは独立している。
【0040】
置換媒体の流量に対する移送媒体の相対流量は、患者に輸送される微粒子の濃度(例えば、mg/mL)を決定する。移送媒体および置換媒体の絶対流量(例えば、mL/秒)は、患者への微粒子の輸送量を決定する。この方法は、毎秒約1mgから毎秒約200mgの微粒子を患者に投与し得る。いくつかの例において、この方法は、毎秒約1mgの微粒子から毎秒約60mgの微粒子、または毎秒約1mgの微粒子から毎秒約30mgの微粒子を患者に投与し得る。特定の例において、この方法は、毎秒約10mgの微粒子から毎秒約20mgの微粒子を患者に投与し得る。
【0041】
本開示の著者は、主題が選択肢に言及しない限り、上記で議論した例示的な主題のいずれかおよび全てを組み合わせることを意図していることを理解されたい。
【0042】
本開示による輸送装置の一例を図1に示す。輸送装置(100)は、移送媒体の供給源(104)と称される注入媒体の第1の供給源および置換媒体の供給源(106)と称される注入媒体の第2の供給源と流体的に接続され、そして流体出口(108)に流体的に接続されている流体ミキサー(102)と共に示されている。輸送装置は、これらの流体接続が所定の位置にない状態で製造、販売、または配達され得ることが理解されるべきである。
【0043】
輸送装置(100)は、細長のハウジング(110)を形成するチュービングと共に示されている。細長のハウジング(110)は、図示された姿勢において、垂直部分(112)を含む。細長のハウジング(110)は、一端で流体ミキサー(102)に流体的に接続され、他端で置換媒体の供給源(106)に流体的に接続される。
【0044】
輸送装置(100)は、細長のハウジング(110)と置換媒体の供給源(106)との間に流体的に配置されたチャンバー(114)を画定する。チャンバー(114)と細長のハウジング(110)との間には、オプションのクリップ(116)が示されている。クリップ(116)は、チャンバー(114)と細長のハウジング(110)との間の流体および/または微粒子の流れを停止または減少させるために使用され得る。
【0045】
動作中、移送媒体の供給源(104)からの移送媒体は、流体ミキサー(102)を通って流体出口(108)から導出される。置換媒体の供給源(106)から輸送された置換媒体は、チャンバー(114)を介して細長のハウジング(110)内に移動し、そして細長のハウジング(110)内に位置する微粒子を流体ミキサー(102)内に押し込む。流体ミキサー(102)を通過する移送媒体は、微粒子および置換媒体を含む移送媒体を患者に輸送するために、流体出口(108)から微粒子を運搬する。流体出口(108)は、チュービングとして示されている。輸送中、チュービングは、任意の適切な機構を使用して患者に流体的に接続され得る。例えばチュービングは、患者に挿入される末梢静脈カテーテルに流体的に接続され得る。
【0046】
移送媒体の供給源および置換媒体の供給源からの流体輸送の比率は、少なくとも部分的に、微粒子の患者への輸送量を決定する。図示された輸送装置(100)において、移送媒体の供給源(104)および置換媒体の供給源(106)は、共に連結されたシリンジとして示され、2つのシリンジ内の2つのプランジャは、同じ直線的な変位を経験する。このようにして2つのシリンジを結合することにより、2つのシリンジの断面積の比率によって流体輸送の比率を設定することができる。第1のシリンジは20mLシリンジであり得、第2のシリンジは0.5mLシリンジであり得、2つのシリンジは、注入のために同じ直線的な変位を有する。このようなシリンジを共に連結することにより、40:1 v/vの置換媒体に対する移送媒体の流体輸送の比が得られる。
【0047】
移送媒体の供給源(104)および置換媒体の供給源(106)は、シリンジとして図1に示されているが、これら供給源は任意の流体注入装置あり得、同一であってもよいし、または異なるものであってもよい。これは、他の図に示されている装置にも適用される。例えば、移送媒体の供給源はペリスタルティックポンプに接続されたIVバッグであり得、そして置換媒体の供給源はシリンジであり得る。代替的に、または移送媒体の供給源および置換媒体の供給源の両方がシリンジであり得る。移送媒体の供給源および置換媒体の供給源は、同じ媒体の供給源であり得るが、別々に接続され、そして独立して輸送装置に流動可能である。例えば、輸送装置は、2つの異なるセットのチュービングを介して単一のIVバッグに流体的に接続され得る。第1のチュービングのセットは、流体を流体ミキサーに送り込むペリスタルティックポンプに接続され得、そして第2のチュービングのセットは、流体を微粒子の供給源に送り込むペリスタルティックポンプに接続され得る。
【0048】
移送媒体および置換媒体は、同一であってもよいし、または異なっていてもよい。例えば、移送媒体は生理食塩水であり得、一方置換媒体は脱イオン水であり得、あるいは移送媒体および置換媒体の両方が生理食塩水であり得る。
【0049】
また、輸送装置(100)は、オプションのTポート弁(118)を備えて示されている。Tポート弁(118)は、移送媒体のような流体を、入口(120)から第1のインジェクターにのみに引き込むこと、第2のインジェクターにのみに引き込むこと、または両方のインジェクターに同時に引き込むことを可能にする。
【0050】
流体ミキサー(102)は、一般に図2に示されており、ここで矢印は、移送媒体の供給源(図示せず)から流体出口(図示せず)への移送媒体の流れの方向を示す。流体ミキサーは、導管(122)と、導管内に配置されたディスペンサー(124)とを含む。ディスペンサー(124)は、流体ミキサーを通過する移送媒体に微粒子を添加し、そして移送媒体の流れの方向に微粒子を方向付ける。ディスペンサーは、導管と実質的に同心であり得、微粒子を流体の流れの中心に方向付ける。
【0051】
チャンバー(114)は、図3に断面で示されている。チャンバー(114)は、円錐形部分(126)を含む。図示された姿勢では、円錐形部分(126)はチャンバーの底部に位置し、そして微粒子を細長のハウジング(110)内に注ぎ込む。図3はまた、細長のハウジング(110)、チャンバー(114)、および置換媒体の供給源(図示せず)が、金属取付け具(128および130)を介して少なくとも流体的に接続されていることを示す。チャンバー(114)はまた、2つの別々のハウジング(132および134)の接続から形成されるように示されている。輸送装置の製造中に、微粒子は2つのハウジングのうちの1つに添加され得、そしてハウジングの2つの部分が互いに接合されてチャンバー(114)が形成され得る。オプションのクリップ(116)は、移動中等の際に微粒子がチャンバー(114)から漏出するのを低減または防止するために閉じられ得る。
【0052】
輸送装置(100)およびチャンバー(114)は、図1および3に荷重方向で示されている。チャンバー(114)は、図4において流体充填方向で示されている。流体充填方向では、細長のハウジング(110)がチャンバー(114)の上方に位置し、そして微粒子がチャンバー(114)内に収集される。置換媒体は、チャンバー(114)を置換媒体の供給源に流体的に接続する取付け具(130)を介してチャンバー(114)に加えられ得る。加えられた置換媒体は、チャンバー(114)を満たした後、細長のハウジング(110)を満たし得る。微粒子の流動化を回避する流量で置換媒体を添加することにより、大量の微粒子を細長のハウジング(110)内に運び込むることなく、細長のハウジング(110)を充填することができる。
【0053】
チャンバー(114)および細長のハウジング(110)が流体で満たされると、輸送装置は、図1に示される装填姿勢に戻され得る。次いで、チャンバー(114)内に位置する微粒子は、チャンバー(114)の円錐形部分(126)によって、細長のハウジング(110)内に流し込まれる。
【0054】
ここで、本開示による輸送装置の別の実施例を示す図5から図8を参照する。図5に示された輸送装置の特徴の多くは、図1から図4を参照して上述されたものと類似しており、説明を不明瞭にすることを回避するために再度詳細に説明されない。図5を参照して同様の特徴が記載されている場合、400を加えた同様の参照番号が使用される。
【0055】
図5の輸送装置(500)は、移送媒体の供給源(504)および置換媒体の供給源(506)に流体的に接続され、そして流体出口(508)に流体的に接続された流体ミキサー(502)を備えて示されている。
【0056】
輸送装置(500)は、本実施例ではチュービングである細長のハウジング(510)を含む。細長のハウジング(510)は、第2の端部で流体ミキサー(502)に流体的に接続され、そして第1の端部で置換媒体の供給源(506)に流体的に接続される。
【0057】
図5に示す例では、流体ミキサー(502)は、T字型接合部(540)によって流体出口(508)に連結されている。T字型接合部(540)は、出口(508)からの微粒子の洗浄を容易にするために、洗浄流体に連結可能な逆止弁(542)を含む。
【0058】
本実施例のチャンバー(514)もまた、細長のハウジング(510)への微粒子の流れを制御するための流体制御弁(536)を介して、細長のハウジング(510)の第1の端部に流体的に接続される。従って、本実施例では、置換媒体の供給源(506)は、図1を参照して上述した最初の実施例のようにチャンバーに直接ではなく、細長のハウジング(510)に直接連結される。
【0059】
動作中、移送媒体の供給源(504)からの移送媒体は、流体ミキサー(502)を通って流れ、流体出口(508)から導出される。
【0060】
流体制御弁(536)は、チャンバー(514)から細長のハウジング(510)への微粒子および流体の流れを容易にするために開かれ得る。置換媒体の供給源(506)から導出された置換媒体は、細長のハウジング(510)内に移動し、そして微粒子を細長のハウジング(510)から流体ミキサー(502)内に押し込む。流体ミキサー(502)を通過する移送媒体は、微粒子および置換媒体を含む移送媒体を患者に輸送するために、流体出口(508)から微粒子を運搬する。
【0061】
チャンバー(514)および流体制御弁(536)が図6に示されている。チャンバー(514)は、微粒子を注ぎ込むための円錐形部分(526)、および、流体制御弁(536)が開の位置にある際に、微粒子と、チャンバー(514)内に配置されたキャリア流体とを、チュービング(538)を通して細長のハウジング(510)内に送り込む。流体制御弁(536)は、細長のハウジング(510)への微粒子の流れを減少または抑制するために閉じられ得る。チュービング(538)は、チャンバー(514)を流体制御弁(536)に流体的に接続する。
【0062】
図7を参照して、チャンバー(514)が輸送装置(500)の残りの部分から切り離されて示されている。チャンバー(514)は、チャンバー(514)に微粒子またはキャリア流体、あるいはその両方を充填する目的で、流体制御弁(536)から切り離される。チャンバー(514)は、チャンバー(514)を流体制御弁(536)から離れる方向に変位させること、すなわち、円錐形部分(526)から流体制御弁(536)へと延びるチュービング(538)を切り離すことによって、流体制御弁(536)から切り離される。チャンバー(514)は、チュービング(538)を流体制御弁(536)に再挿入することによって再び連結可能である。
【0063】
流体ミキサー(502)の側面図が図8に示されている。図8に示される矢印は、移送媒体の供給源(図示せず)から流体出口(図示せず)への移送媒体の流れの方向を示す。この例における流体ミキサー(502)は、T字型接合部であり、そして導管(522)および導管内に配置されたディスペンサー(524)を含む。使用時に、微粒子はディスペンサー(524)から流体ミキサー(502)を通過する移送媒体に流れ込む。ディスペンサー(524)は、微粒子を移送媒体の流れの方向に方向付ける。ディスペンサー(524)は、微粒子を流体の流れの中心に方向付けるために、導管と実質的に同心である。
【0064】
使用中、輸送装置(500)を変更しても、充填および流体輸送の両方について同じ姿勢を維持し得る。任意に、輸送装置(500)の姿勢は、チャンバー(514)内にトラップされた空気のようなガスの除去を容易にするように変更され得る。
【0065】
微粒子が充填され得る装置の一例は図5に示される輸送装置であるが、移送媒体の供給源(504)、置換媒体の供給源(506)、または微粒子を装置に供給するチャンバー(514)を除く。
【0066】
本開示による輸送装置の別の例を示す図9を参照する。図9に示された輸送装置の特徴の多くは、図1から図4を参照して上述された特徴と類似しており、説明を不明瞭にすることを回避するために再度詳細に説明されない。図9を参照して同様の特徴が記載されている場合、800を加えた同様の参照番号が使用される。
【0067】
図9の輸送装置(900)は、移送媒体の供給源(904)および置換媒体の供給源(906)に流体的に接続され、そして流体出口(908)に流体的に接続された流体ミキサー(902)を備えて示されている。輸送装置(900)は、本実施例ではチュービングである細長のハウジング(910)を含む。細長のハウジング(910)は、第2の端部で流体ミキサー(902)に流体的に接続され、そして第1の端部で置換媒体の供給源(906)に流体的に接続される。
【0068】
図9に示される例では、流体ミキサー(902)はT字型接合部を含む。移送媒体(904)および置換媒体(906)は、2つの分岐からT字型接合部に入り、そしてトランクを通ってT字型接合部を出て、流体出口(908)に流れる。図示されるように、流体ミキサー(902)のT字型接合部は、第2のT字型接合部に直接隣接している。移送媒体(904)は、第2のT字型接合部を通過した後、流体ミキサー(902)に入る。流体ミキサー(902)のT字型接合部と第2のT字型接合部とは、互いに直接隣接する必要はなく、例えば、代替的にある長さのチュービングにより分離され得る。
【0069】
動作中、移送媒体(904)は、流体ミキサー(902)を通り、そして流体出口(908)から出る。置換媒体(906)は細長のハウジング(910)内に移動し、そして微粒子を細長のハウジング(910)から流体ミキサー(902)内に押し込む。流体ミキサー(902)を通過する移送媒体は、微粒子および置換媒体を含む移送媒体を患者に輸送するために、流体出口(908)から微粒子を運搬する。
【0070】
図1に関し上述した実施例とは対照的に、本実施例のチャンバー(914)は、細長のハウジング(910)と置換媒体の供給源(906)との間に流体的に配置されていない。チャンバー(914)は、置換媒体の供給源(906)から液体出口(908)への流体流路の外側に位置する。本実施例では、チャンバー(914)は、流体ミキサー(902)を通して細長のハウジング(910)の第2の端部に流体的に接続される。
【0071】
図9に示される例示的な輸送装置は洗浄媒体の供給源(950)を更に含み、これは流体制御弁(952)を介して流体出口(908)と流体的に接続可能であり、(i)細長のハウジング(910)および(ii)移送媒体(904)と流体出口(908)とを接続するチュービング、の両方を介する。洗浄媒体の供給源(950)は任意であり、置換媒体の供給源(906)と移送媒体の供給源(904)とを流体的に接続する流体制御弁(952)もまた任意である。
【0072】
細長のハウジング(910)にチャンバー(914)からの微粒子を充填するために、充填流体出口(946)に減圧を供する吸引シリンジ(944)を用い、微粒子を含む充填流体がチャンバー(914)から細長のハウジング(910)へと吸引される。フィルター(948)は、充填中に微粒子が吸引シリンジ(944)内に吸引されるのを防止または抑制するために配置される。
【0073】
図9には示されていないが、流体の流れを輸送装置の所望の部分に方向付けるために、流体制御弁が含まれ得る。例えば輸送装置は、フィルター(948)と充填流体出口(946)との間に流体制御弁を含み得る。このような流体制御弁は、置換媒体が充填流体出口(946)から流出するのを低減または防止しするために、微粒子の患者への輸送中に閉じられ得る。別の実施形態では、輸送装置は、流体制御弁を移送媒体の供給源(904)とミキサー(902)との間に含み得る。このような流体制御弁は、微粒子がミキサー(902)と移送媒体の供給源(904)とを接続するチュービングに流入するのを低減または防止するために、細長のハウジング(910)への微粒子の充填中に閉じられ得る。
【0074】
微粒子が充填され得る装置の一例は図9に示される輸送装置であるが、移送媒体の供給源(904)、置換媒体の供給源(906)、微粒子を装置に供給するチャンバー(914)、吸引シリンジ(944)、または洗浄媒体の供給源(950)を除く。
【0075】
上記説明では、説明の目的で、実施例を完全に理解するために多数の詳細が記載されている。しかしながら、当業者には、これらの具体的な詳細は必要でないことが明らかであろう。従って、記載されたものは、記載された実施例の適用を単に例示するに過ぎず、上記の教示に照らして、多くの修正および変形が可能である。
【0076】
上述の説明は実施例を提供するので、当業者によって修飾および変形が特定の実施例に対して実行され得ることが理解されるであろう。従って、特許請求の範囲は、本明細書に記載された特定の実施例によって限定されるべきではなく、全体として明細書と一致する方法で解釈されるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【国際調査報告】