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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-12
(54)【発明の名称】検出方法、検出装置及びシステム
(51)【国際特許分類】
   G01S 7/36 20060101AFI20220104BHJP
   G01S 13/931 20200101ALI20220104BHJP
【FI】
G01S7/36
G01S13/931
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021516932
(86)(22)【出願日】2019-09-27
(85)【翻訳文提出日】2021-04-27
(86)【国際出願番号】 CN2019108443
(87)【国際公開番号】W WO2020082985
(87)【国際公開日】2020-04-30
(31)【優先権主張番号】201811253407.X
(32)【優先日】2018-10-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】504161984
【氏名又は名称】ホアウェイ・テクノロジーズ・カンパニー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ガオ、ルタオ
(72)【発明者】
【氏名】マ、シャ
(72)【発明者】
【氏名】ソン、シダ
【テーマコード(参考)】
5J070
【Fターム(参考)】
5J070AB08
5J070AB18
5J070AB19
5J070AB21
5J070AB24
5J070AC01
5J070AC06
5J070AC11
5J070AF03
5J070AH31
5J070AH35
5J070AH40
5J070AK35
(57)【要約】
本願は、無線信号を用いて対象物体を検出する方法、検出装置、検出器、及びコンピュータ可読記憶媒体を提供する。検出方法は、第1の周波数帯域を決定する段階であって、第1の周波数帯域はN個の周波数帯域のうちの1つである、段階(701)と、第1の周波数帯域で無線信号を送信する段階(702)とを含み、無線信号が対象物体によって反射され、検出装置によって受信される反射信号を形成する(703)。N個の周波数帯域のうちのいずれか1つは、他のN-1個の周波数帯域のうちの少なくとも1つの周波数帯域と部分的に重なり、N個の周波数帯域のうちのいずれか2つの周波数帯域の最も低い周波数間の差の絶対値は、少なくとも第1の閾値(F)である、又は、N個の周波数帯域は、第1の周波数帯域と部分的に重なる少なくとも1つの第2の周波数帯域を有し、それぞれの第2の周波数帯域の最も低い周波数と第1の周波数帯域の最も低い周波数との間の差の絶対値は、少なくとも第1の閾値(F)である。この方法は、比較的低い周波数リソースのコストで比較的高い干渉防止性能を実現でき、より大量のレーダの通信をサポートできる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線信号を用いて対象物体を検出する方法であって、前記方法は検出装置に適用され、
第1の周波数ポイントを決定する段階であって、前記第1の周波数ポイントはN個の周波数ポイントのうちの1つである、段階と、
第1の周波数帯域で前記無線信号を送信する段階であって、前記第1の周波数ポイントは前記第1の周波数帯域における周波数ポイントであり、前記第1の周波数帯域はN個の周波数帯域のうちの1つである、段階と
を備え、
前記N個の周波数帯域のうちのいずれか1つは、他のN-1個の周波数帯域のうちの少なくとも1つの周波数帯域と部分的に重なり、前記N個の周波数帯域のうちのいずれか2つの最も低い周波数間の差の絶対値は、少なくとも第1の閾値Fである、又は
前記N個の周波数帯域は、前記第1の周波数帯域と部分的に重なる少なくとも1つの第2の周波数帯域を有し、それぞれの第2の周波数帯域の最も低い周波数と前記第1の周波数帯域の最も低い周波数との間の差の絶対値は、少なくとも第1の閾値Fであり、
Nは正の整数である、
方法。
【請求項2】
前記N個の周波数ポイントは予め定義されている、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記N個の周波数ポイントが周波数領域で等間隔に分配され、周波数領域における2つの隣接する周波数ポイント間の周波数の差の絶対値は前記第1の閾値Fである、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の周波数ポイントの周波数は、前記第1の周波数帯域の最も低い周波数、最も高い周波数、又は中心周波数である、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の周波数帯域の帯域幅は前記無線信号の周波数掃引帯域幅である、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の周波数帯域以外の前記N個の周波数帯域のうちのいずれか1つの最も低い周波数と前記第1の周波数帯域の前記最も低い周波数との間の差の絶対値は、前記第1の閾値Fの正の整数倍である、又は、
前記N個の周波数帯域は少なくとも1つの第3の周波数帯域を有し、それぞれの第3の周波数帯域の最も低い周波数と前記第1の周波数帯域の前記最も低い周波数との間の差の絶対値は、前記第1の閾値Fの正の整数倍ではない、
請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記無線信号の送信サイクルはTであり、
前記第1の周波数帯域で前記無線信号を送信する前記段階は、
現在の送信サイクルにおける前記第1の周波数帯域で前記無線信号を送信する段階
を有する、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記現在の送信サイクルの前の送信サイクルにおいて、前記無線信号を送信するために用いられる周波数帯域は第4の周波数帯域であり、前記第4の周波数帯域は前記N個の周波数帯域における前記第1の周波数帯域以外の周波数帯域である、又は、
前記現在の送信サイクルの次の送信サイクルにおいて、前記無線信号を送信するために用いられる周波数帯域は第4の周波数帯域であり、前記第4の周波数帯域は前記N個の周波数帯域の前記第1の周波数帯域以外の周波数帯域であり、
前記第4の周波数帯域の最も低い周波数と前記第1の周波数帯域の前記最も低い周波数との間の差の絶対値は、前記第1の閾値の正の整数倍である、
請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記第1の閾値Fは第1の時間長さT1における前記無線信号の周波数の変化範囲F1より大きい又はこれに等しく、前記第1の時間長さT1の値は、
T1=T2、
T1=M×T2、
T1=T2+T4、
T1=max(T2,T4)、
T1=T2+T3、
T1=M×T2+T3、
T1=T2+T3+T4、及び
T1=max(T2,T4)+T3
のうちの1つを満たし、
T2=2×dmax/cであり、dmaxは最大検出距離であり、T3は送信タイミング時点の誤差であり、T4=
【数1】
であり、
【数2】
は最大干渉許容距離であり、cは光速であり、Mは2より大きい又はこれに等しい整数である、
請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記第1の閾値Fは前記第1の時間長さT1における前記周波数の変化範囲F1より大きく、
F及びF1はF=F1+Δを満たし、Δは予め定義されている又は設定されている定数である、
請求項9に記載の方法。
【請求項11】
検出装置であって、
第1の周波数ポイントを決定するよう構成される決定ユニットであって、前記第1の周波数ポイントはN個の周波数ポイントのうちの1つである、決定ユニットと、
第1の周波数帯域で無線信号を送信するよう構成される送信ユニットであって、前記第1の周波数ポイントは前記第1の周波数帯域における周波数ポイントであり、前記第1の周波数帯域はN個の周波数帯域のうちの1つである、送信ユニットと
を備え、
前記N個の周波数帯域のうちのいずれか1つは、他のN-1個の周波数帯域のうちの少なくとも1つの周波数帯域と部分的に重なり、前記N個の周波数帯域のうちのいずれか2つの周波数帯域の最も低い周波数間の差の絶対値は、少なくとも第1の閾値Fである、又は
前記N個の周波数帯域は、前記第1の周波数帯域と部分的に重なる少なくとも1つの第2の周波数帯域を有し、それぞれの第2の周波数帯域の最も低い周波数と前記第1の周波数帯域の最も低い周波数との間の差の絶対値は、少なくとも第1の閾値Fであり、
Nは正の整数である、
装置。
【請求項12】
前記N個の周波数ポイントは予め定義されている、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記N個の周波数ポイントが周波数領域で等間隔に分配され、周波数領域における2つの隣接する周波数ポイント間の周波数の差の絶対値は前記第1の閾値Fである、請求項11又は12に記載の装置。
【請求項14】
前記第1の周波数ポイントの周波数は、前記第1の周波数帯域の最も低い周波数、最も高い周波数、又は中心周波数である、請求項11から13のいずれか一項に記載の装置。
【請求項15】
前記第1の周波数帯域の帯域幅は前記無線信号の周波数掃引帯域幅である、請求項11から14のいずれか一項に記載の装置。
【請求項16】
前記第1の周波数帯域以外の前記N個の周波数帯域のうちのいずれか1つの最も低い周波数と前記第1の周波数帯域の前記最も低い周波数との間の差の絶対値は、前記第1の閾値Fの正の整数倍である、又は、
前記N個の周波数帯域は少なくとも1つの第3の周波数帯域を有し、それぞれの第3の周波数帯域の最も低い周波数と前記第1の周波数帯域の前記最も低い周波数との間の差の絶対値は、前記第1の閾値Fの正の整数倍ではない、
請求項11から15のいずれか一項に記載の装置。
【請求項17】
前記無線信号の送信サイクルはTであり、
前記送信ユニットは、現在の送信サイクルにおける前記第1の周波数帯域で前記無線信号を送信するよう構成される、
請求項11から16のいずれか一項に記載の装置。
【請求項18】
前記現在の送信サイクルの前の送信サイクルにおいて、前記無線信号を送信するために用いられる周波数帯域は第4の周波数帯域であり、前記第4の周波数帯域は前記N個の周波数帯域における前記第1の周波数帯域以外の周波数帯域である、又は、
前記現在の送信サイクルの次の送信サイクルにおいて、前記無線信号を送信するために用いられる周波数帯域は第4の周波数帯域であり、前記第4の周波数帯域は前記N個の周波数帯域の前記第1の周波数帯域以外の周波数帯域であり、
前記第4の周波数帯域の最も低い周波数と前記第1の周波数帯域の前記最も低い周波数との間の差の絶対値は、前記第1の閾値の正の整数倍である、
請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記第1の閾値Fは第1の時間長さT1における前記無線信号の周波数の変化範囲F1より大きい又はこれに等しく、前記第1の時間長さT1の値は、
T1=T2、
T1=M×T2、
T1=T2+T4、
T1=max(T2,T4)、
T1=T2+T3、
T1=M×T2+T3、
T1=T2+T3+T4、及び
T1=max(T2,T4)+T3
のうちの1つを満たし、
T2=2×dmax/cであり、dmaxは最大検出距離であり、T3は送信タイミング時点の誤差であり、T4=
【数3】
であり、
【数4】
は最大干渉許容距離であり、cは光速であり、Mは2より大きい又はこれに等しい整数である、
請求項11から18のいずれか一項に記載の装置。
【請求項20】
前記第1の閾値Fは前記第1の時間長さT1における前記周波数の変化範囲F1より大きく、
F及びF1はF=F1+Δを満たし、Δは予め定義されている又は設定されている定数である、
請求項19に記載の装置。
【請求項21】
プロセッサと送信アンテナとを備える検出器であって、
前記プロセッサは、第1の周波数ポイントを決定するよう構成され、前記第1の周波数ポイントはN個の周波数ポイントのうちの1つであり、
前記送信アンテナは、第1の周波数帯域で無線信号を送信するよう構成され、前記第1の周波数ポイントは前記第1の周波数帯域における周波数ポイントであり、前記第1の周波数帯域はN個の周波数帯域のうちの1つであり、
前記N個の周波数帯域のうちのいずれか1つは、他のN-1個の周波数帯域のうちの少なくとも1つの周波数帯域と部分的に重なり、前記N個の周波数帯域のうちのいずれか2つの周波数帯域の最も低い周波数間の差の絶対値は、少なくとも第1の閾値Fである、又は
前記N個の周波数帯域は、前記第1の周波数帯域と部分的に重なる少なくとも1つの第2の周波数帯域を有し、それぞれの第2の周波数帯域の最も低い周波数と前記第1の周波数帯域の最も低い周波数との間の差の絶対値は、少なくとも第1の閾値Fであり、
Nは正の整数である、
検出器。
【請求項22】
コンピュータ可読記憶媒体であって、
命令を備え、前記命令がコンピュータ上で実行されるとき、前記コンピュータは請求項1から10のいずれか一項に記載の方法を実行可能である、
コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項23】
コンピュータ可読記録媒体に記録されているプログラムであって、
前記プログラムは、実行されるとき、コンピュータが請求項1から10のいずれか一項に記載の方法を実行することを可能にする、
プログラム。
【請求項24】
請求項11から20のいずれか一項に記載の装置、又は、請求項21に記載の検出器を備える、車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、無線通信の分野に関連し、特に、無線信号を用いることによって対象物体を検出するための方法及び装置に関連する。
【背景技術】
【0002】
社会が発展するにつれて、現代生活においてより多くの機械が自動化及びインテリジェンス化に向けて発展している。移動旅行に用いられる車両も例外ではない。スマート車両は、人々の日常生活に徐々に進出している。近年において、先進運転支援システム(Advanced Driving Assistant System,ADAS)が、スマート車両において重要な役割を果たす。システムは、車両に取り付けされた様々なセンサを用いて、周辺環境を感知し、データを収集し、静止している物体及び移動している物体を識別、検出、及び追跡し、ナビゲータのマップデータと組み合わせてシステムは系統的計算及び分析を実行し、その結果、運転手は、潜在的な危険を前もって認識することができる。これは、車両運転の快適性及び安全性を効率的に改善する。
【0003】
無人運転構造において、センシング層は、車載カメラ等の光学システムセンサと、車載ミリ波レーダ、車載レーザレーダ、又は車載超音波レーダ等のレーダシステムセンサとを含む。ミリ波レーダは、低コスト及び成熟技術なので、無人運転システムの主要センサになった最初のセンサである。現在、アダプティブクルーズコントロール(Adaptive Cruise Control,ACC)、自動緊急ブレーキ(Autonomous Emergency Braking,AEB)、レーンチェンジアシスト(Lane Change Assist,LCA)及びブラインドスポットモニタリング(Blind Spot Monitoring,BSD)含む10より多くの機能が、ADASのために開発されてきた。これらの機能は、車載ミリ波レーダと切り離すことができない。ミリ波は1mmから10mmまでの範囲の波長を有する電磁波であり、ミリ波に対応する周波数の範囲は30GHzから300GHzである。この周波数帯域において、ミリ波に関連している特徴は、車載分野によく適している。例えば、大きい帯域幅、豊富な周波数領域のリソース、及び低いアンテナのサイドローブは撮像又は疑似撮像を実装するのに役立ち、短い波長はレーダデバイスのサイズ及びアンテナの開口を減少させ、レーダデバイスの重量を減少させるのに役立ち、狭ビームは、同一のアンテナサイズに対して、ミリ波のビームがマイクロ波のビームより十分に狭いことを意味し、その結果、レーダ分解能が高く、ミリ波の貫通性が高く、レーザレーダ及び光学システムと比較して、ミリ波は煙、ほこり、及び霧を貫通する能力がよりあり、全天候で動作を実行することができる。
【0004】
車載レーダが広く用いられるにつれて、車載レーダが設置されている車両間の相互干渉が、より深刻になる。相互干渉は、車載レーダの検出確率を減少させる、又は、車載レーダの誤警報(ゴースト)確率を高める。したがって、相互干渉は、車両の運転の安全性又は快適性に明らかに影響を与える。この前提の下、車載レーダ間の干渉を減少させる方法は、至急解決される必要がある技術的な課題である。
【発明の概要】
【0005】
本明細書は、検出装置間の干渉を減少させるための検出方法、検出装置、及びシステムを説明する。
【0006】
1つの態様によれば、本願の実施形態は、無線信号を用いて対象物体を検出する方法を提供する。方法は検出装置、例えば、レーダ、に適用される。方法は、第1の周波数帯域を決定する段階であって、第1の周波数帯域はN個の周波数帯域のうちの1つである、段階と、第1の周波数帯域で無線信号を送信する段階とを含む。さらに、無線信号が対象物体によって反射されて反射信号を形成し、反射信号は検出装置によって受信される。検出装置は、無線信号及び反射信号を用いることによって、対象物体に関する情報を決定する。対象物体に関する情報は、位置情報、速度情報、及び角度情報のうちの少なくとも1つを含み得る。
【0007】
可能な設計において、N個の周波数帯域のうちのいずれか1つは、他のN-1個の周波数帯域のうちの少なくとも1つの周波数帯域と部分的に重なり、N個の周波数帯域のうちのいずれか2つの周波数帯域の最も低い周波数間の差の絶対値は、少なくとも第1の閾値Fである。この設計は、周波数領域における複数のレーダの周波数掃引帯域を完全に分離することに起因する周波数領域のリソースの浪費を回避でき、周波数リソースを効率的に用いることができ、比較的低い周波数リソースのコストで比較的高い干渉防止性能を実現でき、より大量のレーダの通信をサポートできる。
【0008】
さらに、任意選択で、第1の周波数帯域以外のN個の周波数帯域のうちのいずれか1つの最も低い周波数と第1の周波数帯域の最も低い周波数との間の差の絶対値は、第1の閾値Fの正の整数倍である。この設計は、同一の属性を有する、又は、同一のタイプの複数のレーダに特に適している。
【0009】
可能な設計において、N個の周波数帯域は、第1の周波数帯域と部分的に重なる少なくとも1つの第2の周波数帯域を有し、それぞれの第2の周波数帯域の最も低い周波数と第1の周波数帯域の最も低い周波数との間の差の絶対値は、少なくとも第1の閾値Fであり、第1の閾値Fは第1の周波数帯域に対応するパラメータである。
【0010】
さらに、任意選択で、N個の周波数帯域は少なくとも1つの第3の周波数帯域を有し、それぞれの第3の周波数帯域の最も低い周波数と第1の周波数帯域の最も低い周波数との間の差の絶対値は、第1の閾値Fの正の整数倍ではない。この設計において、1又は複数の他のタイプのレーダに対する周波数掃引帯域も提供され得、複数のタイプのレーダが存在するとき、周波数帯域がより総合的に設定され、互換性がより強い。
【0011】
可能な設計において、第1の周波数帯域の帯域幅は無線信号の周波数掃引帯域幅である。
【0012】
可能な設計において、無線信号の送信サイクルはTであり、第1の周波数帯域で無線信号を送信する段階は、現在の送信サイクルにおける第1の周波数帯域で無線信号を送信する段階を含む。
【0013】
可能な設計において、切り替えが干渉の回避中に実行され得る候補の周波数帯域を提供するために、N個の周波数帯域が用いられる。例えば、現在の送信サイクルの前の送信サイクルにおいて、無線信号を送信するために用いられる周波数帯域は第4の周波数帯域であり、第4の周波数帯域はN個の周波数帯域の第1の周波数帯域以外の周波数帯域である。代替的に、現在の送信期間の次の送信期間において、無線信号を送信するために用いられる周波数帯域は第4の周波数帯域であり、第4の周波数帯域はN個の周波数帯域の第1の周波数帯域以外の周波数帯域であり、第4の周波数帯域の最も低い周波数と第1の周波数帯域の最も低い周波数との間の差の絶対値は、第1の閾値の正の整数倍である。
【0014】
可能な設計において、第1の閾値Fは第1の時間長さT1における無線信号の周波数の変化範囲F1より大きい又はこれに等しく、第1の時間長さT1の値は、
T1=T2、
T1=M×T2、
T1=T2+T4、
T1=max(T2,T4)、
T1=T2+T3、
T1=M×T2+T3、
T1=T2+T3+T4、及び
T1=max(T2,T4)+T3
のうちの1つを満たし、
T2=2×dmax/cであり、dmaxは最大検出距離であり、T3は送信タイミング時点の誤差であり、T4=
【数1】
であり、
【数2】
は最大干渉許容距離であり、cは光速であり、Mは2より大きい又はこれに等しい整数である。
【0015】
可能な設計において、複数の任意の実装が存在する。具体的な実装は、検出装置の能力、例えば、正及び負の中間周波数と最大検出距離に起因する遅延とが区別され得るか否かに関連してもよく、比較的大きな干渉を引き起こす他の遅延、例えば、干渉最大許容距離、送信タイミング時点の誤差、及び同類のもの、に関連してもよい。実際の設計において、閾値が特定の状況に基づいて設定されてもよく、検出装置が閾値に基づいて取得された周波数帯域を用いるために予め定義されている若しくは設定されている閾値が存在してもよく、又は、前述の制約を満たす複数の周波数帯域が直接定義され、若しくは検出装置が用いるために設定される。これは本明細書で具体的に限定されない。
【0016】
可能な設計において、第1の閾値Fは第1の時間長さT1における周波数の変化範囲F1より大きく、F及びF1はF=F1+Δを満たし、Δは予め定義されている又は設定されている定数である。この設計方法は、幾つかの可能性がある誤差に起因する干渉を回避する。
【0017】
可能な設計において、無線信号の最初の送信時点が、第1の時点として決定される。ここで、第1の時点はP個の候補の最初の時点のうちの1つであり、Pは正の整数である。
【0018】
さらに、任意選択で、P個の候補の最初の時点が時間領域で等間隔に分配され、いずれか2つの候補の最初の時点間の時間間隔は第3の閾値の正の整数倍である。さらに、第3の閾値はT2であり、T2=2×dmax/cであり、dmaxは最大検出距離であり、cは光速である。
【0019】
この可能な設計において、複数の候補の最初の時点が時間領域で提供される。複数の候補の最初の時点を提供する原理は、時間領域/周波数領域のリソースを効率的に用いて、干渉を減少又は回避できることを前提としてより大量のレーダの通信をサポートするためにN個の周波数帯域を設定する原理と同類である。
【0020】
他の態様によれば、本願の実施形態は検出装置を提供する。ここで、装置は、第1の周波数帯域を決定するよう構成される決定ユニットであって、第1の周波数帯域はN個の周波数帯域のうちの1つである、決定ユニットと、第1の周波数帯域で無線信号を送信するよう構成される送信ユニットとを含む。さらに、無線信号が対象物体によって反射されて反射信号を形成し、反射信号は検出装置の受信ユニットによって受信される。決定ユニットは、無線信号及び反射信号を用いることによって、対象物体に関する情報を決定する。対象物体に関する情報は、位置情報、速度情報、及び角度情報のうちの少なくとも1つを含み得る。
【0021】
可能な設計において、N個の周波数帯域のうちのいずれか1つは、他のN-1個の周波数帯域のうちの少なくとも1つの周波数帯域と部分的に重なり、N個の周波数帯域のうちのいずれか2つの周波数帯域の最も低い周波数間の差の絶対値は、少なくとも第1の閾値Fである。
【0022】
可能な設計において、N個の周波数帯域は、第1の周波数帯域と部分的に重なる少なくとも1つの第2の周波数帯域を有し、それぞれの第2の周波数帯域の最も低い周波数と第1の周波数帯域の最も低い周波数との間の差の絶対値は、少なくとも第1の閾値Fであり、第1の閾値Fは第1の周波数帯域に対応するパラメータであり、Nは正の整数である。
【0023】
第3の態様によれば、本願の実施形態はプロセッサと送信アンテナとを含む検出器を提供する。ここで、プロセッサは、第1の周波数帯域を決定するよう構成され、第1の周波数帯域はN個の周波数帯域のうちの1つであり、送信アンテナは、第1の周波数帯域で無線信号を送信するよう構成される。さらに、無線信号が対象物体によって反射されて反射信号を形成し、反射信号は検出器の受信アンテナによって受信される。プロセッサは、無線信号及び反射信号を用いることによって、対象物体に関する情報を決定する。対象物体に関する情報は、位置情報、速度情報、及び角度情報のうちの少なくとも1つを含み得る。送信アンテナ及び受信アンテナは、独立して配置されてもよく、送受信機アンテナとして統合されて配置されてもよい。
【0024】
任意の設計において、N個の周波数帯域のうちのいずれか1つは、他のN-1個の周波数帯域のうちの少なくとも1つの周波数帯域と部分的に重なり、N個の周波数帯域のうちのいずれか2つの周波数帯域の最も低い周波数間の差の絶対値は、少なくとも第1の閾値Fである。
【0025】
任意の設計において、N個の周波数帯域は、第1の周波数帯域と部分的に重なる少なくとも1つの第2の周波数帯域を有し、それぞれの第2の周波数帯域の最も低い周波数と第1の周波数帯域の最も低い周波数との間の差の絶対値は、少なくとも第1の閾値Fであり、第1の閾値Fは第1の周波数帯域に対応するパラメータである。
【0026】
第4の態様によれば、本願は検出装置を提供する。ここで、検出装置はプロセッサとメモリとを含み、メモリはコンピュータプログラムを格納し、コンピュータプログラムを実行するとき、プロセッサは第1の態様及び第1の態様の可能な実装のうちのいずれか1つの方法を実装する。
【0027】
第5の態様によれば、本願はコンピュータプログラムを格納するコンピュータ記憶媒体を提供する。ここで、コンピュータプログラムはコンピュータ記憶媒体に格納され、コンピュータプログラムがプロセッサ(又は検出器、レーダ、検出装置、又は同様のもの)によって実行されるとき、プロセッサは第1の態様及び第1の態様の可能な実装のうちのいずれか1つの方法を実装する。
【0028】
第6の態様によれば、本願はコンピュータプログラム製品を提供する。ここで、コンピュータプログラム製品はコンピュータプログラムコードを含み、コンピュータプログラムコードが検出装置(検出器又はレーダ)の通信ユニット、処理ユニット、送受信機アンテナ、又はプロセッサによって実行されるとき、検出装置は第1の態様及び第1の態様の可能な実装のうちのいずれか1つの方法を実行する。
【0029】
第7の態様によれば、本願はチップを提供する。ここで、チップは、前述の態様における機能、例えば、前述の方法におけるデータ及び/又は情報を生成又は処理する機能、を実装するために検出装置をサポートするよう構成されるプロセッサを含む。可能な設計において、チップはメモリをさらに含み、メモリは検出装置に必要であるプログラム命令及びデータを格納するよう構成される。
【0030】
第8の態様によれば、本願はチップを提供する。ここで、チップは処理モジュールと通信インタフェースとを含み、処理モジュールは外部と通信する通信インタフェースを制御するよう構成され、処理モジュールは第1の態様及び第1の態様の可能な実装のうちのいずれか1つの方法を実装するようさらに構成される。
【0031】
従来技術と比較して、本願で提供される解決手段は、限られたリソースで通信するために可能な限り多くの検出装置をサポートし得、検出装置間の干渉を回避又は減少し得る。
【図面の簡単な説明】
【0032】
以下では、添付図面を参照して、本願の実施形態をより詳細に説明する。
【0033】
図1】本願の実施形態による、可能な適用シナリオの概略図である。
【0034】
図2】レーダ装置の構造の概略図である。
【0035】
図3】送信信号、反射信号、及び中間周波数信号の可能な周波数変化の概略図である。
【0036】
図4A】可能性のある偽の中間周波数信号の概略図を提供する。
図4B】可能性のある偽の中間周波数信号の概略図を提供する。
【0037】
図5A】可能な解決手段の概略図である。
【0038】
図5B】可能性のある誤警報の結果の概略図である。
【0039】
図6A】他の可能な解決手段の概略図である。
【0040】
図6B】さらなる他の可能な解決手段の概略図である。
【0041】
図7】可能な検出方法の概略的フローチャートである。
【0042】
図8】レーダ信号の可能な時間と共に変化する送信周波数の概略図を提供する。
【0043】
図9】レーダ信号の時間と共に変化する送信/受信周波数の第1の概略図を提供する。
【0044】
図10】レーダ信号の時間と共に変化する送信/受信周波数の第2の概略図を提供する。
【0045】
図11】レーダ信号の時間と共に変化する送信/受信周波数の第3の概略図を提供する。
【0046】
図12】レーダ信号の時間と共に変化する送信/受信周波数の第4の概略図を提供する。
【0047】
図13A】レーダ信号の時間と共に変化する送信/受信周波数の第5の概略図を提供する。
【0048】
図13B】レーダ信号の時間と共に変化する送信/受信周波数の第6の概略図を提供する。
【0049】
図14】レーダ信号の時間と共に変化する送信/受信周波数の第7の概略図を提供する。
【0050】
図15】可能な検出方法の概略的フローチャートである。
【0051】
図16】検出装置の構造の可能な概略図を提供する。
【0052】
図17】他の検出装置の構造の可能な概略図である。
【0053】
図18】さらなる他の検出装置の構造の可能な概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0054】
本願の実施形態で説明されるネットワークアーキテクチャ及びサービスシナリオは、本願の実施形態における技術的な解決手段をより明確に説明することを意図しており、本願の実施形態で提供される技術的な解決手段に対して限定を構成しない。当業者であれば、ネットワークアーキテクチャの進化及び新しいサービスシナリオの出現と共に、本願の実施形態で提供される技術的な解決手段はまた、同様の技術的な課題に適用可能であることを認識し得る。
【0055】
本願の実施形態において、「複数の(a plurality of)」は、2又は2より多いことを指す。用語「及び/又は(and/or)」は、関連する物体を説明するための関連する関係を説明し、3つの関係が存在し得ることを表す。例えば、A及び/又はBは、以下の3つのケースを表し得る。Aのみが存在する、A及びBの両方が存在する、Bのみが存在する。記号「/」は、概して、関連する物体間の「又は(or)」の関係を示す。
【0056】
図1は、本願の実施形態による、可能な適用シナリオの概略図である。本願のシナリオにおける通信システムは、1又は複数のレーダ装置と、レーダ装置と相互作用する対象装置とを含む。レーダ装置は、1又は複数の無線インタフェース技術を用いることによって、お互いに通信し得る。本願は、主に車載レーダシステムに適用される。本願はまた、レーダ間の相互作用がシステムに存在するという条件で、他のレーダシステムに適用され得る。
【0057】
図1に示されるように、レーダが、自動車、無人航空機、軌道車、自転車、信号灯、速度測定装置、ネットワークデバイス(様々なシステムにおける基地局又は端末デバイス等)又は同様のものに取り付けられ得る。本願は、車両間のレーダシステム、車両と無人航空機等の他の装置との間のレーダシステム、又は、他の装置間のレーダシステムに適用可能である。レーダを取り付けるための位置及びレーダの機能は本願で限定されない。
【0058】
以下では、本願の実施形態で出現し得る用語を説明する。
【0059】
レーダ(Radar):レーダは、レーダデバイス、検出器、又は検出装置とも称される。レーダの動作原理は、信号(又は検出信号と称される)を送信し、対象物体によって反射される反射信号を受信して、対応する対象物体を検出することである。
【0060】
最初の周波数:送信サイクルの開始時に、レーダは最初の周波数でレーダ信号を送信し、送信周波数が最初の周波数に基づいて送信サイクルで変化する。
【0061】
利用可能な帯域幅:レーダ信号を送信できる周波数領域の範囲。通常、利用可能な帯域幅は、法律及び規則に適合する必要がある。
【0062】
周波数掃引帯域幅:レーダ信号の波形によって占有される帯域幅。ここで、「周波数掃引帯域幅(frequency sweep bandwidth)」が説明を容易にするために定義され、技術的には、レーダ信号の波形によって占有される帯域幅であることが留意されるべきである。さらに、レーダ信号の波形によって占有される周波数帯域は、周波数掃引帯域と称され得る。レーダ信号の送信サイクルは、周波数掃引時間とも称され、すなわち、完全な波形を送信するための時間である。
【0063】
周波数変調された連続波:その周波数が時間と共に変化する電磁波。
【0064】
線形の周波数変調された連続波:その周波数が時間と共に線形的に変化する電磁波。本明細書の線形変化は、通常、サイクルにおける線形変化を指す。具体的には、線形の周波数変調された連続波の波形は、通常、のこぎり波又は三角波であり、他の可能な波形、例えば、パルス波が存在し得る。
【0065】
雑音電力:レーダ受信機の雑音電力。具体的な意味について、本分野の従来技術が参照され得る。本願の実施形態で言及される「引き起こされる干渉(Caused interference)」は、通常、干渉信号の電力が雑音電力より大きい又はこれに等しいことを意味する。
【0066】
最大測距距離:最大測距距離は、最大検出距離とも称され、レーダ構成に関連しているパラメータ(工場設定パラメータ又は工場設定パラメータに関連しているもの)である。例えば、長距離のアダプティブクルーズコントロール(Adaptive Cruise Control,ACC)レーダの最大測距距離は250mであり、中間距離レーダの最大測距距離は70mから100mである。最大測距距離が250mである場合、具体的な適用シナリオは、レーダ距離分解能に対して高い要件を有していない。任意選択で、距離分解能は、周波数掃引帯域幅に関連している。
【0067】
干渉最大許容距離:干渉最大許容距離は、最大干渉許容距離とも称される。その現在のレーダまでの距離が干渉最大許容距離であるレーダによって送信される信号は、現在のレーダと干渉する。具体的に、他のレーダ信号が、特定の送信遅延の後に現在のレーダによって受信される。送信遅延の後、干渉信号の電力が少なくとも雑音電力である場合、干渉信号は現在のレーダに対する干渉を引き起こす。干渉信号の電力が雑音電力より小さい場合、干渉信号は現在のレーダに対する干渉を引き起こさず、干渉信号はノイズとして処理される。したがって、送信遅延の後、干渉信号の電力が雑音電力に等しい場合、干渉信号の送信端レーダと現在のレーダとの間の距離は、干渉最大許容距離と称される。それは、お互いから信号を受信するために複数のレーダによって必要とされる空間的伝播遅延に対応する距離としても理解され得る。干渉最大許容距離については、他の可能性が存在することが留意されるべきである。干渉最大許容距離は、レーンが直線を保持する(車両は、運転方向を変更することなく、レーンで直線を保持し得、ここでの直線は厳密な意味での直線ではなく、道路の特定の設計、例えば、直線がターン若しくはUターンが実行されるレーンに直接変更しない、又は、レーンの前方に障害物が存在しないのでレーンの方向が変更されない、を対象にしている)ときの最大距離であり得る。当業者であれば、前方の車両のレーダ信号が後方の車両のレーダ受信機によって受信されるときにのみ、干渉が後方の車両のレーダに対して引き起こされ得ることを認識し得る。2000メートルの距離での他のレーダの送信信号の電力が、送信遅延の後に送信信号が現在のレーダに到達するときに雑音電力とみなされると想定すると、2000mは最大干渉許容距離と称され得る。しかしながら、レーダが設置される道路の直線距離が2000メートルより短い、例えば、ターン又は他の変更が1000メートルで発生する、場合、1000メートルを超える車両は、現在のレーダに対する干渉を引き起こさない(言い換えれば、現在の直線の運転方向で1000mを超える車両が存在しない)。したがって、具体的な実装に基づいて、2つの距離の最大値が干渉最大許容距離として用いられてもよく、2つの距離のうちの1つが、最終的な実装に依存する具体的な適用又はシナリオに基づいて、干渉最大許容距離として定義されてもよい。
【0068】
信号送信の誤差:信号送信の誤差は、送信タイミング時点の誤差とも称される。複数のレーダが同時に信号を送信する必要があるとき、タイミング送信誤差が存在し得る。複数のレーダが同時に複数のレーダ信号を送信することが理解され得る。しかしながら、実際の通信シナリオ、環境、又はハードウェアデバイスにおける可能性のある違いに起因して、信号送信の誤差、例えば、グローバルポジショニングシステム(Global Positioning System,GPS)の精度に起因する誤差、と称される実際の送信時点での誤差が存在する。
【0069】
中間周波数(Intermediate Frequency,IF)信号:レーダ局所発振器信号及び受信対象反射信号が周波数混合器によって処理された後に取得される信号が、中間周波数信号である。具体的には、発振器によって生成される周波数変調された連続波信号の一部が局所発振器信号として用いられ、周波数変調された連続波信号の一部が送信信号にとして用いられ、送信アンテナを用いることによって送信される。「中間周波数信号(intermediate-frequency signal)」を取得するために、受信アンテナによって受信される送信信号の反射信号が局所発振器信号と混合される。対象物体の位置情報、速度情報、及び角度情報のうちの少なくとも1つが、中間周波数信号を用いることによって取得され得る。位置情報、速度情報、及び角度情報は、現在のレーダに対する相対位置、相対速度、及び相対角度情報であり得る。さらに、中間周波数信号の周波数は、中間周波数である。
【0070】
図2を参照して、以下では、車載ミリ波レーダ装置の参照構造を用いることによって、レーダ信号の処理プロセス及び送信プロセスを説明する。図2は、車載ミリ波レーダ装置の構造の例の概略図である。車載ミリ波レーダ装置は、通常、発振器、送信アンテナ、受信アンテナ、周波数混合器、及びプロセッサ等の装置を含む。図2におけるコントローラは、通常、車載ミリ波レーダ装置に含まれないが、車載ミリ波レーダ装置によって出力された信号の受信端を含む。例えば、コントローラは、車両に設定されてもよく、車両の運転を制御するよう構成される処理装置であってもよい。これは、本願の本実施形態において具体的に限定されない。発振器は、その周波数が時間と共に線形的に増加する信号を生成する。信号は、線形の周波数変調された連続波(Linear Frequency Modulated Continuous Wave,LFMCW)と称され得る。周波数変調された連続波の一部が方向性結合器を通じて局所発振器信号として周波数混合器に出力され、一部が送信アンテナを用いることによって送信され、車両の前方の物体によって反射された信号が受信アンテナを用いることによって受信され、中間周波数信号を取得するために信号が局所発振器信号と混合される。中間周波数信号は対象物体に関する情報を含み、対象物体に関する情報は、対象物体と車載レーダが設置される車両との間の相対的なパラメータ、例えば、対象物体と車両との間の相対的な距離、速度、又は角度のうちの少なくとも1つの情報、であり得る。中間周波数信号(例えば、ローパスフィルタを通過する中間周波数信号が増幅され、ここで、ローパスフィルタは図に示されていない)がプロセッサに送信され、プロセッサは中間周波数信号を処理して(例えば、信号に対して高速フーリエ変換又はスペクトル分析を実行し得る)対象物体に関する情報を取得し、最終的に、コントローラに情報を出力して車両を制御する。通常、レーダの構成に基づいて、最大測距距離に対応する中間周波数が最大中間周波数とみなされる。その周波数が中間周波数より高い信号が、ローパスフィルタによって除去される。
【0071】
以下では、ミリ波レーダの測距原理を説明するための例として、のこぎり波を用いる。三角波の測距原理は、のこぎり波の測距原理と同類である。
【0072】
ミリ波レーダは、送信アンテナを用いることによって一連の信号を送信する。信号が障害物に遭遇するとき、信号が反射される。送信信号の形状は、反射信号の形状と同一である。図3は、送信信号、反射信号、及び中間周波数信号の可能な周波数変化の概略図である。図3に示されるように、送信信号及び受信信号が
【数3】
として表される。ここで、ω(t)及びω(t)はそれぞれ、送信信号x及びxの角速度であり、φ及びφはそれぞれ、送信信号x及びxの初期位相である。時間の観点から、送信信号と受信信号との間の遅延τが存在する。図3に示されるように、τと対象距離dとの間の関係は、以下のように表され得る。
【数4】
ここで、cは光速である。
【0073】
送信信号が周波数混合器で受信信号を乗じて、その後、中間周波数(IF)信号がローパスフィルタを通過した後に出力される。中間周波数信号の周波数(IF周波数)は、送信信号の周波数と受信信号の周波数との間の差に等しく、これは以下のように表される。
【数5】
【0074】
図3に示されるように、中間周波数は、送信信号の傾きsと遅延τとの積であり、これは以下のように表され得る。
【数6】
【0075】
したがって、対象物体から中間周波数信号までの距離dは、以下のように計算される。
【数7】
【0076】
送信信号の傾きは、
【数8】
であり、Fmaxはレーダ信号の周波数掃引帯域幅であり、のこぎり波について、Tmaxは送信サイクルである。三角波について、Tmaxは送信サイクルの半分である。Tmaxは波形に関連していることが理解され得る。
【0077】
送信信号と受信反射信号との間の周波数の差(すなわち、中間周波数)と、遅延との間に線形関係が存在することが前述の導出から分かり得る。物体が遠いほど、反射信号がより遅く受信され、反射信号と送信信号との間の周波数の差がより大きい。信号と障害物との間の距離が、中間周波数信号の周波数に基づいて決定され得る。実際の適用において、信号と対象物体との間の距離はまた、送信信号と受信信号との間の位相差を用いることによって計算され得る。言い換えれば、物体とレーダとの間の距離が、中間周波数又は位相を検出することによって取得され得る。対象物体に関する情報はまた、中間周波数の情報又は位相情報に含まれることが前述から分かり得る。ローパスフィルタは、その周波数が最大中間周波数より高い信号を除去し得る。したがって、これらの信号の干渉は、考慮される必要がない。最大中間周波数は、最大測距距離に対応する中間周波数、又は最大測距距離に起因する遅延における周波数の変化範囲である。
【0078】
送信信号の傾きが、送信周波数又は受信周波数が時間と共に変化する程度を反映することが留意されるべきである。送信信号の周波数が時間と共に減少する場合、傾きは負の値であり、送信信号の周波数が時間と共に増加する場合、傾きは正の値である。三角波については、立ち上がりエッジ及び立ち下がりエッジの傾きは、反数である。傾きの絶対値は、単位時間における周波数の変化範囲とも称され得る。本願の本実施形態における2つの表現方法の意味は、同一である。
【0079】
図4A及び図4Bは、可能性のある偽の中間周波数信号の概略図を提供する。図4A及び図4Bを例として用いることによって、レーダ1は、対象物体に信号を送信し、対象物体から信号を受信する。しかしながら、レーダ1が信号を送信することと、レーダ1が反射信号を受信することとの間の時間範囲において、レーダ1の受信アンテナは、送信信号又はレーダ2の反射信号(破線)を受信する。レーダ1の信号波形はレーダ2の信号波形と同一であり、レーダ1の周波数掃引帯域幅はレーダ2の周波数掃引帯域幅と同一である。レーダ1が信号を送信するが反射信号を受信しない時間範囲において、レーダ1は対応する周波数の破線信号を検出する。この場合において、レーダ1は「対象物体1」が存在するとみなす。レーダ1が反射信号を受信することを開始するとき、レーダ1は破線信号及び実線の反射信号を検出し、レーダ1は「対象物体1」及び「対象物体2」が存在するとみなす。この場合において、レーダ1は、受信した破線信号をレーダ1の前方に存在する物体の反射信号として誤ってみなす場合がある。この場合において、偽の中間周波数信号が、図4Aに示されるように生成される。高速フーリエ変換の後、2つのピーク値がスペクトル分析によって発見され得る。図4Bに示されるように、それぞれのピーク値が1つの対象物体に対応する。レーダ1は「対象物体1」がレーダ1の前方に存在すると誤ってみなすが、実際には「対象物体1」が存在せず、「ゴースト(ghost)」又は「誤警報(false alarm)」とも称される。誤警報が生成された後、自動運転車両は、車両の前方に物体が存在しないときに、減速する又は突然ブレーキをかけ、これは、運転の快適性及び安全性を減少させる。
【0080】
当業者によれば、ある瞬間で又はある期間で受信した信号が干渉信号であってもよく、対象物体の反射信号であってもよく、レーダの検出状態が関連する時間の変更状態及び送信/受信信号の周波数を用いることによって明確に反映され得ることを認識し得ることがここでは留意されるべきである。したがって、本願の後続の説明において、送信/受信信号の傾き(単位時間における周波数の変化範囲)を反映する曲線図が、レーダ間の相互干渉を示すために主に用いられる。
【0081】
前述の課題を解決するために、可能な解決手段において、波形の傾き及び期間等の異なるパラメータが、異なるレーダに対して設定され得る。図5Aは、可能な解決手段の概略図である。図5Aに示されるように、レーダ1の波形の傾き及び期間等のパラメータが、レーダ2のパラメータと一貫性がない。このように、たとえ、レーダ1がレーダ2の信号を受信しても、レーダ1及びレーダ2の波形は一貫性がないので、信号が周波数混合器を通過したとき、言い換えれば、レーダ1及びレーダ2の周波数が異なるとき、一定の周波数を有する中間周波数信号が生成されない。一定の周波数を有する中間周波数信号のみがスペクトル分析においてピーク信号として反映されるので、この方法は、ゴーストが発生する確率を減少させることができる。しかしながら、レーダ1がレーダ2から信号を受信する場合、干渉信号は、周波数混合器を通過した後の有効な受信した中間周波数の帯域幅に含まれ、これは、干渉信号の強度を増加させる。図5Bに示されるように、干渉信号のレベルが増加した後、最初の対象が干渉によって見えなくなる。図5Bは、可能性のある誤警報の結果の概略図である。結果は、車両の前方の障害物が検出されず、したがって、誤警報が生成される。これは、車両の運転の安全性、特に無人車両の安全性に対して深刻な影響をもたらす。
【0082】
図6Aは、他の可能な解決手段の概略図である。本解決手段に用いられる技術は、レーダ波形の周波数ホッピング技術である。レーダが、レーダの周波数掃引帯域において他のレーダから干渉を検出する場合、レーダは、複数のレーダ間の干渉を防ぐために、他の周波数掃引帯域にジャンプする。図6Aに示されるように、周波数ホッピング技術において、周波数ホッピングの間隔は、レーダの周波数掃引帯域幅より大きくてよい。この場合において、レーダの波形は、完全に周波数分割されており、重ならない。しかしながら、周波数ホッピングの間隔が設定されており、その結果、占有される周波数領域のリソースが多過ぎる。現在、車載レーダに割り当てられている周波数領域のリソースは、限られている。代替的に、周波数ホッピング技術がさらに用いられるが、図6Bに示されるように、レーダは、動作周波数帯域で他のレーダによって生成される干渉を検出した後、ランダム周波数ホッピングを実行する。図6Bは、さらなる他の可能な解決手段の概略図である。この場合において、干渉をある程度減少させることができる。しかしながら、周波数ホッピングが完全にランダム化される場合、周波数ホッピングの後の2つのレーダの波形が周波数領域で近過ぎる場合がある。結果として、ゴーストが発生し、又は干渉信号の強度が増加し、物体の検出漏れをもたらす。
【0083】
本願の本実施形態において、値が閾値と比較されるとき、差の絶対値が用いられ、正又は負の問題は考慮されないことが留意されるべきである。差は正と負を区別できる。例えば、正の中間周波数及び負の中間周波数を決定することに関与している差が、正と負との間で区別され得る。
【0084】
したがって、本願の実施形態は、検出方法を提供し、周波数分割方法でレーダ信号を送信することによって複数のレーダ間の相互干渉という課題を解決し、周波数領域のリソースの利用効率を高める。方法では、同一の周波数領域のリソースのおいて可能な限り多くのレーダ間で相互干渉が回避されてもよく、相互干渉が減少されてもよい。
[実施形態1]
【0085】
図7は、可能な検出方法の概略的フローチャートである。以下では、図7を参照して、本願の実施形態で提供される検出方法の例を説明する。方法は第1の装置に適用され得る。第1の装置は、第1のレーダ(又は第1の検出器若しくは第1の検出装置と称される)から独立している、又は、第1のレーダに統合されている装置であり得ることが留意されるべきである。例えば、第1の装置は、第1のレーダから独立している、又は第1のレーダに統合されているチップのグループであり得る。代替的に、第1の装置は、第1のレーダから独立している、又は第1のレーダに統合されているモジュール又は要素のグループであり得る。代替的に、第1の装置は、コンピュータ可読記憶装置に格納されているソフトウェアモジュールのグループであり得る。第1のレーダの信号送信サイクルはTである。
【0086】
段階701:第1の周波数帯域を決定する。ここで、第1の周波数帯域はN個の周波数帯域のうちの1つである。
【0087】
第1の周波数帯域の帯域幅は、第1のレーダによって送信される無線信号の周波数掃引帯域幅である。本願におけるレーダの周波数掃引帯域幅は、レーダによって送信される信号の周波数掃引帯域幅として理解される。
【0088】
さらに、任意選択で、第1の周波数帯域は、無線信号の最初の周波数掃引帯域(すなわち、第1の送信サイクル)であってもよく、任意の送信サイクルにおける周波数掃引帯域であってもよい。さらに、第1のレーダについては、任意の送信期間における最初の周波数掃引帯域及び周波数掃引帯域が、N個の周波数帯域のうちの1つである。
【0089】
具体的には、レーダが開始されるとき、周波数帯域が第1の送信期間の周波数掃引帯域としてN個の周波数帯域からランダムに選択されてもよく、周波数帯域が第1の送信期間の周波数掃引帯域としてN個の周波数帯域から予め設定されたルールに従って選択されてもよい。
【0090】
さらに、送信サイクルにおいて、N個の周波数帯域の1又は複数の周波数帯域で干渉信号が存在しないことをレーダが検出した場合、信号が、周波数掃引帯域として1又は複数の周波数帯域のうちの1つの周波数帯域を用いることによって、送信サイクルで又は次の送信サイクルで送信され得る。1又は複数の周波数帯域における1つの周波数帯域は、ランダムに決定されてもよく、予め設定されたルールに従って決定されてもよく、これは、本明細書では具体的に限定されない。
【0091】
任意の設計において、検出方法は、以下の段階を含み得る。段階700:第1の周波数を決定する。ここで、第1の周波数は、N個の周波数ポイントにおける第1の周波数ポイントの周波数である。「周波数ポイント(frequency point)」は、周波数領域におけるポイント又は位置である。さらに、無線信号の第1の周波数及び周波数掃引帯域幅は、第1の周波数帯域を定義する。さらに、任意選択で、第1の周波数は、第1の周波数帯域の最も低い周波数、最も高い周波数、又は中心周波数であり得、これは、本明細書で具体的に限定されない。前述の分析に基づいて、第1の周波数帯域が第1の周波数ポイント及び周波数掃引帯域幅を用いることによって定義され得ることがここでは留意されるべきである。この場合において、段階701における「第1の周波数帯域を決定する」ことは、「第1の周波数ポイントを決定する」こととして理解され得る。言い換えれば、本願の本実施形態で提供される検出方法は、段階700及び段階701のうちの少なくとも1つを含み得る。
【0092】
任意の設計において、N個の周波数帯域又はN個の周波数ポイントは、規格又はプロトコルに定められてもよく、法律又は規則に定められてもよい。代替的に、それは、予め合意又は予め定義され得る。無線信号が送信される前に、第1の装置は、N個の周波数帯域の第1の周波数帯域又はN個の周波数ポイントの第1の周波数ポイントを決定し、信号を送信し得る。
【0093】
段階702:第1の周波数帯域で無線信号を送信する。
【0094】
段階703:無線信号の反射信号を受信する。さらに、送信信号は、無線信号の、対象物体によって反射される反射信号である。検出装置は、送信信号及び反射信号に基づいて、対象物体に関する情報を決定する。対象物体に関する情報は、位置情報、速度情報、及び角度情報のうちの少なくとも1つを含み得る。詳細については、前述の説明を参照する。
【0095】
第1の任意の方法において、N個の周波数帯域のうちのいずれか1つは、他のN-1個の周波数帯域のうちの少なくとも1つの周波数帯域と部分的に重なり、N個の周波数帯域のうちのいずれか2つの周波数帯域の最も低い周波数間の差の絶対値は、少なくとも第1の閾値Fである。この設計は、周波数領域における複数のレーダの周波数掃引帯域を完全に分離することに起因する周波数領域のリソースの浪費を回避でき、周波数リソースを効率的に用いることができ、比較的低い周波数リソースのコストで比較的高い干渉防止性能を実現できる。
【0096】
さらに、任意選択で、第1の周波数帯域以外のN個の周波数帯域のうちのいずれか1つの最も低い周波数と第1の周波数帯域の最も低い周波数との間の差の絶対値は、第1の閾値Fの正の整数倍である。言い換えれば、N個の周波数ポイントのうちのいずれか2つの間の周波数の差の絶対値は、第1の閾値Fの正の整数倍である。言い換えれば、N個の周波数ポイントが周波数領域で等間隔に分配され、周波数領域における2つの隣接する周波数ポイント間の周波数の差の絶対値は第1の閾値Fである。2つの隣接する周波数ポイントは、周波数領域において、2つの周波数ポイント間でN個の周波数ポイントに配置される他の周波数ポイントが存在しないことを意味する。N個の周波数ポイントの2つの隣接する周波数ポイントに関する詳細については、本セクションを参照する。さらに、N個の周波数帯域の帯域幅は同一である。N個の周波数ポイントについて、周波数領域における2つの隣接する周波数ポイント間の周波数の差の絶対値が第1の周波数帯域の帯域幅より小さいことが留意されるべきである。そうでなければ、周波数領域における完全な周波数分割がさらに引き起こされ、低い周波数領域のリソースの利用をもたらす。
【0097】
この設計は、同一の属性を有する、又は、同一のタイプの複数のレーダに適している。任意選択で、複数のレーダは、以下のうちの少なくとも1つを満たす。送信信号が同一の周波数掃引帯域幅及び同一の送信サイクルと、単位時間における送信信号の周波数の同一の変化(本明細書では、「同一(same)」とは、正又は負と同じである、同一の変化を指す)と、同一の最大測距距離とを有し、複数のレーダが同一の属性を有する又は同一のタイプに属するとみなされ得る。言い換えれば、第1の閾値Fは複数のレーダに対応する閾値である、又は、複数のレーダに対応する1又は複数のパラメータ又は属性に基づいて決定される閾値であり、第1の閾値と1又は複数のパラメータ又は属性との間の直接的又は間接的な対応関係が存在することが理解され得る。1又は複数のパラメータ又は属性は、第1の周波数帯域の帯域幅、送信サイクル、送信周波数、単位時間における送信周波数の変化、及び同類のもののうちの1又は複数を含み得る。この設計方法は、統一された方法における同一の属性又はタイプでレーダを設定又は定義するために用いられ得る。実装が単純であり、誤差率が低い。例えば、全てのレーダが同一の属性を有する、又は、同一のタイプに属する場合、N個の周波数帯域又は周波数ポイントが一様に定義される。他の例について、レーダのタイプごとに、N個の周波数帯域又は周波数ポイントが別々に定義される。
【0098】
可能な設計において、N個の周波数帯域は、第1の周波数帯域と部分的に重なる少なくとも1つの第2の周波数帯域を有し、それぞれの第2の周波数帯域の最も低い周波数と第1の周波数帯域の最も低い周波数との間の差の絶対値は、少なくとも第1の閾値Fであり、第1の閾値Fは第1の周波数帯域に対応するパラメータである。本明細書で2つの周波数帯域が部分的に重なることは、2つの周波数帯域が周波数領域において重なり、且つ、完全に重ならず、1つの周波数帯域が他の周波数帯域を完全に含むことができないことを意味する。さらに、N個の周波数帯域にQ個の周波数帯域が存在し、Q個の周波数帯域のうちのいずれか2つの周波数帯域の最も低い周波数間の差の絶対値は第1の閾値Fの整数倍である。代替的に、N個の周波数ポイントにおけるQ個の周波数ポイントが周波数領域で等間隔に分配され、周波数領域におけるQ個の周波数ポイントの2つの隣接する周波数ポイント間の周波数の差の絶対値は、第1の閾値Fである。Q個の周波数帯域は、第1の周波数帯域と、第1の周波数帯域と部分的に重なる少なくとも1つの周波数帯域とを含む。本明細書で説明される対応関係は、第1の閾値と第1の周波数帯域に関連している任意のパラメータとの間の直接的又は間接的な対応関係であり得、第1の閾値Fと第1の周波数帯域との間の対応関係に限定されない。例えば、第1の閾値は、第1の周波数帯域で動作できるレーダに対応するパラメータであり、第1の周波数帯域の属性に対応するパラメータであってもよく、第1の周波数帯域で動作できるレーダのタイプに対応するパラメータであってもよく、同様のものであってもよい。これは本明細書で具体的に限定されない。この設計は、周波数領域における複数の周波数掃引帯域を完全に分離することに起因する周波数領域のリソースの浪費を回避するために、同一のタイプ又は同一の属性のレーダを対象としており、その結果、周波数リソースが効率的に用いられ得、比較的高い干渉防止性能が比較的低い周波数リソースのコストで実現され得る。加えて、1又は複数の他のタイプのレーダに対する周波数掃引帯域も提供され得る。同一のタイプ又は属性のレーダに対して定義される複数の周波数帯域を完全に周波数分割することができないことが留意されるべきである。
【0099】
この設計は、異なる属性又はタイプを有するレーダに適用する。例えば、レーダが、属性又はタイプに基づいて、複数のグループに分割される。このグループ化は、論理的な分割にすぎない。実質的なグループ化が存在しない場合があり、グループ化は異なるタイプのレーダを識別するためにのみ用いられる。1つのタイプのレーダのみが存在する場合、第1の任意の方法を参照する。複数のタイプのレーダが存在する場合、第2の任意の方法が導入される必要がある。第2の任意の方法における任意のタイプのレーダについて、第1の任意の方法の説明を参照する。
【0100】
さらに、任意選択で、N個の周波数帯域は少なくとも1つの第3の周波数帯域を有し、それぞれの第3の周波数帯域の最も低い周波数と第1の周波数帯域の最も低い周波数との間の差の絶対値は、第1の閾値Fの整数倍ではない。さらに、第3の周波数帯域の帯域幅は、第1の周波数帯域の帯域幅とは異なる。少なくとも1つの第2の周波数帯域は、Q個の周波数帯域のうちの少なくとも1つ、及び/又は、少なくとも1つの第3の周波数帯域のうちの少なくとも1つを含み得る。
【0101】
説明を容易にするために、本明細書では、その第1の周波数帯域が周波数掃引帯域として用いられ得るレーダが第1のタイプのレーダと称され、第3の周波数帯域が第2のタイプのレーダに用いられ得る。任意選択で、少なくとも1つの第4の周波数帯域がN個の周波数帯域にさらに存在し得、第4の周波数帯域が第3のタイプのレーダに用いられ得る。N個の周波数帯域に含まれるレーダのタイプの数は、本願の本実施形態に限定されない。しかしながら、それぞれのタイプのレーダに対する処理は、同一又は類似している。詳細については、第1のタイプのレーダの関連した内容を参照する。設計方法が複数の異なる属性又はタイプを有するレーダに適用可能であるので、設計方法の実装中、前述のレーダは、第1の送信サイクル又は特定の送信サイクルにおけるN個の周波数帯域の周波数掃引帯域を決定する。全てのN個の周波数帯域ではなく、同一のタイプのレーダに対するN個の周波数帯域の周波数帯域で決定されることが理解されるべきである。
【0102】
実施形態の説明を容易にするために、以下では、例を用いることによって任意の設計を説明し、これは、保護範囲を限定しない。この例において、N個の周波数帯域は、第1のタイプのレーダ及び第2のタイプのレーダに用いられる周波数帯域のみを含む。
【0103】
この例において、少なくとも1つの第3の周波数帯域がN個の周波数帯域に存在し、少なくとも1つの第3の周波数帯域が第2のタイプのレーダに用いられ得る。少なくとも1つの第3の周波数帯域におけるいずれか2つの周波数帯域の最も低い周波数間の差の絶対値は、第2の閾値F'の整数倍であり、F'はFに等しくない。第1の任意の方法における説明によれば、第1の閾値Fは第1のタイプのレーダに対応し、同一の原理に基づいて、第2の閾値F'は第2のタイプのレーダに対応する。具体的な説明及び分析について、前述の説明を参照する。この設計方法において、複数のタイプのレーダに適用される利用可能な周波数帯域又は利用可能な周波数ポイントが、様々なタイプのレーダの使用及び参照のために予め設定され又は定義され得、それぞれのタイプのレーダに対する利用可能な周波数帯域又は利用可能な周波数ポイントを別々に設定する又は定義する必要性が存在しない。例えば、複数の周波数帯域又は周波数は、様々なタイプのレーダが用いるための規格において一様に定義され得る。
【0104】
同一の帯域幅を有する周波数帯域について、周波数帯域の最も高い周波数間の大小関係が周波数帯域の最も低い周波数間の大小関係と同一であることがここでは留意されるべきである。説明を容易にするために、本願の本実施形態において、周波数帯域の最も低い周波数と第1の閾値Fとの間の関係が説明される。しかしながら、当業者であれば、最も高い周波数と第1の閾値Fとの間の関係も決定されることを認識し得る。
【0105】
任意の設計において、無線信号の送信サイクルはTであり、第1の周波数帯域で無線信号を送信する段階は、現在の送信サイクルにおける第1の周波数帯域で無線信号を送信する段階を含む。
【0106】
さらに、任意選択で、無線信号が、2又はそれより多くの連続した送信サイクルにおける第1の周波数帯域で送信される。例えば、干渉が現在の第1の周波数帯域において存在しない場合、例えば、干渉信号が検出されない場合、又は、検出された干渉信号が極めて弱くて実質的な干渉を構成しない場合、第1の装置は、干渉が検出されるまで、複数の後続の連続した送信サイクルにおいて送信信号に第1の周波数帯域を使用し続け得る。
【0107】
例えば、n番目のサイクルにおいて、干渉が第1の周波数帯域に存在することが検出される場合、第4の周波数帯域が(n+1)番目のサイクルで決定され、第4の周波数帯域は、N個の周波数帯域にあり、且つ、第1の周波数帯域とは異なる周波数帯域である。第4の周波数帯域の最も低い周波数と第1の周波数帯域の最も低い周波数との間の差の絶対値は、第1の閾値の正の整数倍である。
【0108】
他の例について、(n-1)番目のサイクルにおいて、干渉が第4の周波数帯域((n-1)番目のサイクルにおける周波数掃引帯域)に存在することが検出される場合、第1の周波数帯域がn番目のサイクルで決定され、第4の周波数帯域は、N個の周波数帯域にあり、且つ、第1の周波数帯域とは異なる周波数帯域である。第4の周波数帯域の最も低い周波数と第1の周波数帯域の最も低い周波数との間の差の絶対値は、第1の閾値の正の整数倍である。
【0109】
このように、干渉が検出された後、周波数掃引帯域が切り替えられることができ、検出効率を高める。
【0110】
任意の設計において、段階702は、第1の周波数を最初の周波数として用いることによって、第1の周波数帯域で無線信号を送信することをさらに含む。
【0111】
第1の実装において、第1の周波数は、第1の周波数帯域の最も低い周波数である。具体的には、現在の送信サイクルにおいて、無線信号の送信周波数は、時間と共に線形的に増加する。ここで言及される時間変化は、時間経過に伴うシフト(後方)である。例えば、無線信号の波形は、のこぎり波である。
【0112】
第2の実装において、第1の周波数は、第1の周波数帯域の最も高い周波数である。具体的には、現在の送信サイクルにおいて、無線信号の送信周波数は、時間と共に線形的に減少する。例えば、無線信号の波形は、のこぎり波である。
【0113】
第3の実装において、第1の周波数は、第1の周波数帯域の中心周波数である。
【0114】
前述の幾つかの実装において、のこぎり波の波形は、説明のための例として用いられる。本願の実施形態は、他の波形、例えば、三角波にさらに適用され得る。任意の波形又は無線信号のタイプについて、前述の送信サイクルは、完全な波形の送信サイクルである。
【0115】
本願の本実施形態において、N個の周波数ポイントがN個の周波数ホッピングの格子点(ラスター)であり得ることが留意されるべきである。言い換えれば、レーダが動作する開始周波数(又は送信サイクルにおける開始周波数)が、N個の周波数ホッピングの格子点からのみ選択され得る。異なるレーダは、異なるホッピング格子ポイントを最初の送信周波数として用いて、干渉を回避できる。N個の周波数ポイントの周波数は、レーダ信号を送信するために用いられる候補の最初の周波数である。言い換えれば、レーダが動作する最初の周波数は、N個の周波数ポイントからのみ選択され得る。
【0116】
同一の第1の閾値に対応する同一のタイプのレーダ及び第1の閾値が複数の方法で計算され得ることが本願の本実施形態の前述の説明から分かり得る。複数のタイプのレーダは、同一の計算方法を用いてもよく、異なる計算方法を用いてもよい。計算方法は、それぞれのタイプのレーダの属性又は具体的な適用シナリオに基づいて決定され得る。これは本明細書で具体的に限定されない。説明を容易にするために、図9から図14を参照して、以下では、第1のレーダに対応する第1の閾値を例として用いることによって、第1の閾値の可能な計算方法を記載する。本願の本実施形態において、第1の閾値は、第1の距離、第2の距離、及び第1の誤差のうちの少なくとも1つに関連している。第1の距離は第1のレーダの最大測距距離dmaxであり、第2の距離は干渉最大許容距離
【数9】
であり、第1の誤差は信号送信時点の誤差である。レーダ信号の速度は光速cである。したがって、距離dとレーダ信号の送信時間tとの間の線形関係、すなわち、t=d/cが存在する。線形関係は、以下の計算方法の参照として用いられる。
【0117】
本願の本実施形態において、第1の閾値Fは第1の時間長さT1における無線信号の周波数の変化範囲F1より大きい又はこれに等しい。無線信号を送信する間、期間における周波数の変化範囲は、期間の開始時点での周波数値と期間の終了時点での周波数値との間の差の絶対値である。差の正及び負が考慮されず、正及び負は波形の変化に関連している。無線信号が線形の周波数変調された連続波であるとき、無線信号の送信周波数は、時間で線形的に変化する。したがって、単位時間における線形の周波数変調された連続波の周波数の変化は、送信サイクルで同一である。具体的には、第1の時間長さT1における無線信号の周波数の変化範囲F1は、送信信号の傾き及び時間長さT1の積であり、すなわち、
【数10】
である。ΔF/ΔTは単位時間における線形の周波数変調された連続波信号の周波数の変化範囲であり、波形の傾き又は送信信号の傾きとも称され得る(線形の周波数変調された連続波ついて、
【数11】

【数12】
に等しい)。さらに、第1の時間長さT1は、
T1=T2、
T1=T2+T3、
T1=T2+T4、
T1=T2+T3+T4、
T1=max(T2,T4)、
T1=max(T2,T4)+T3、
T1=M×T2、及び
T1=M×T2+T3
のうちの1つを満たす。
【0118】
T2は最大測距距離に対応する遅延であり、T2の値は2×dmax/cである。T3は送信タイミング時点の誤差である。T4は干渉最大許容距離に対応する遅延であり、T4の値は
【数13】
であり、Mは少なくとも1の正の数であり、例えば、M=2である。
【0119】
第1の実装において、第1の閾値Fは周波数の変化範囲F1に等しい。
【0120】
第2の実装において、第1の閾値Fは周波数の変化範囲F1より大きい。具体的には、第1の閾値Fは、レーダの周波数掃引帯域幅より大きくない。
【0121】
任意選択で、F及びF1はF=F1+Δを満たし、Δは予め定義されている又は設定されている定数である。
【0122】
当業者であれば、場合によっては、レーダ装置の不正確さが送信信号の周波数誤差を引き起こし得ることを認識し得る。例えば、80GHzの送信周波数に起因する誤差は、約4MHzである。他の場合において、レーダ信号のサイドローブ効果も、信号送信における誤差を引き起こし得る。さらに他の場合において、システム動作のロバスト性を保証するために、追加の定数が導入され得る。定数は、レーダの属性又はタイプに関連してもよく、予め定義又は予め設定されてもよい。これは本明細書で具体的に限定されない。特定の通信シナリオにおいて、他の可能性のある信号送信の誤差が存在し得る。この実装において、定数Δは、1又は複数の全ての可能性がある誤差によってもたらされる周波数変化の和である。定数を導入することによって、レーダ信号の検出がより正確になり得、システムがより安定して動作し得る。
【0123】
以下では、(前述の第1の任意の方法を参照して)N個の周波数帯域又は周波数ポイントが同一のタイプのレーダに用いられる例を用いることによって、前述の計算方法及び実装を詳細に説明するために、のこぎり波のレーダを例として用いる。N個の周波数ポイントが複数のタイプのレーダに用いられ得、それぞれのタイプのレーダは、対応する周波数帯域において信号を送信する原理と同一又は類似する原理を用いる。レーダの波形が本願において具体的に限定されないことが留意されるべきである。レーダの利用可能な帯域幅は、予め定義又は設定され、例えば、法律及び規則によって制限され得る。レーダの周波数掃引帯域幅は、1つの予め定義されている又は設定されているタイプであってよく、複数の予め定義されている又は設定されているタイプのうちの1つであってよく、レーダの性能に基づいて決定されてもよい。詳細については、図8を参照する。図8は、レーダ信号の可能な時間と共に変化する送信周波数の概略図である。
【0124】
図8は、レーダの利用可能な帯域幅が1GHzであり、周波数掃引帯域幅が300MHzであり、周波数ポイント1から周波数ポイント4がN個の周波数ポイントに属し、且つ、周波数領域で等間隔に分配されることを示す。間隔はそれぞれ第1の閾値Fである。周波数ポイントの数は第1の閾値F及び利用可能な帯域幅に関連しており、レーダ信号の周波数掃引帯域幅は利用可能な帯域幅の範囲を超えることができない。
【0125】
レーダが動作を開始するとき、周波数帯域が周波数掃引帯域としてN個の周波数帯域からランダムに選択され得ることがここでは留意されるべきである。以下の図に示されるように、レーダは周波数ポイントをランダムに選択し、周波数ポイントの周波数を最初の周波数として用いることによって周波数ポイント及び周波数掃引帯域幅により定義される周波数帯域でレーダ信号を送信する。観測時間の一定期間において、レーダは、受信信号に対してフィルタリング検出を実行する。干渉信号がN個の周波数帯域のそれぞれの周波数帯域で検出される場合、レーダ信号が送信される周波数掃引帯域は、変化しないまま保持される。代替的に、レーダがN個の周波数帯域の1又は複数の周波数帯域で干渉信号を検出しない場合、レーダは、次の送信サイクルで又は現在の送信サイクルで、1又は複数の周波数帯域のうちの1つの周波数帯域を周波数掃引帯域として決定する。代替的に、レーダが現在の送信サイクルにおいて周波数掃引帯域上の干渉信号を検出する場合、レーダは、N個の周波数帯域の現在の周波数掃引帯域以外の他の周波数帯域における周波数帯域を決定し、周波数帯域が次の送信サイクルの周波数掃引帯域として用いられる。さらに、車両がほとんど存在せず、N個の周波数帯域の複数の周波数帯域が複数の観測期間においてアイドル状態にある場合、N個の周波数帯域の大部分の周波数帯域が再びビジー状態になり、観測時間が短縮されるまで、観測時間が適切に延長される。観測時間は予め設定され得る。
【0126】
以下の様々な任意の設計において、F=F1が説明するための例として用いられる。F>F1の場合について、具体的な説明が前述の説明を参照して行われ得る。
【0127】
第1の任意の設計において、F1は第1の時間長さT1における無線信号の周波数の変化範囲であり、T1=T2である。T2は、最大測距距離dmaxに対応する遅延である。
【0128】
図9は、レーダ信号の時間と共に変化する送信/受信周波数の第1の概略図である。図9に示されるように、中間周波数は、線形関係で対象距離に正比例にある。それぞれのレーダは最大測距距離を有し、最大中間周波数に対応する。中間周波数が正の中間周波数及び負の中間周波数に分類され、周波数の差が正の値であるか負の値であるかを区別するために用いられることがここでは留意されるべきである。例えば、レーダ1の送信信号とレーダ1の反射信号又はレーダ2の送信信号との間の周波数の差の絶対値は同時刻で同一であるが、レーダ1の送信信号の周波数とレーダ2の送信周波数との間の差は負の値、すなわち、負の中間周波数である。レーダ1の送信信号の周波数とレーダ1の反射信号の周波数との間の差は正の値、すなわち、正の中間周波数である。
【0129】
第1の任意の設計において、隣接する周波数ポイント間の周波数領域の間隔はT2における周波数領域の変化範囲であり、すなわち、最大測距距離に対応する中間周波数である。この場合において、レーダ2の送信信号の周波数の変化曲線及び反射信号の周波数の変化曲線は、レーダ1の送信信号の周波数の変化曲線と反射信号の周波数の変化曲線との間に低下しない。言い換えれば、破線は2つの実線の間に低下しない。レーダが正の中間周波数と負の中間周波数とを区別する能力を有する場合、背景技術で言及されたゴーストの場合は発生しない。加えて、レーダのローパスフィルタは、中間周波数より高い周波数構成要素を除去する。レーダ2の送信信号が遅延を有し得ることを考慮すれば、特定の遅延の考慮については、以下の他の任意の設計における関連した説明を参照する。図9に示されるように、レーダ1がレーダ3の送信信号(鎖線)を受信する場合、送信信号が周波数混合器及びローパスフィルタを通過した後、レーダ3の干渉によって生成された中間周波数信号が除去され、レーダ1の信号対干渉プラス雑音比(signal to interference plus noise ratio,SINR)は影響を受けない。
【0130】
例えば、レーダの最大測距距離が200メートルである場合、レーダ信号の周波数掃引帯域幅は300MHzであり、レーダ信号のサイクルは14μsである。最大測距距離に対応する中間周波数IFが以下のように計算される。
【数14】
【0131】
この場合において、F1は28.6MHzに等しい。
【0132】
レーダが正の中間周波数と負の中間周波数とを区別できない場合、レーダ1について、同時刻で、レーダ1の送信信号とレーダ2の送信信号との間の周波数の差の絶対値が、レーダ1の送信信号とレーダ1の反射信号との間の周波数の差の絶対値と同一である。さらに、たとえ、T1がT2より大きくても、T1が十分に大きくない場合、図9に示されるように、レーダ2の反射信号の周波数の変化曲線は、レーダ2の送信信号の周波数の変化曲線とレーダ1の反射信号の周波数の変化曲線との間の領域に依然として含まれ、干渉を引き起こし、ゴースト現象を生成する。この場合において、第2の任意の設計が導入される必要がある。
【0133】
第2の任意の設計において、F1は第1の時間長さT1における無線信号の周波数の変化範囲であり、F1は第1の時間長さT1における無線信号の周波数の変化範囲T1=M×T2であり、T2は最大測距距離dmaxに対応する遅延であり、Mは1より大きい正の数である。例えば、M=2である。
【0134】
図10は、レーダ信号の時間と共に変化する送信/受信周波数の第2の概略図である。図10に示されるように、隣接する周波数ポイント間の周波数領域の間隔は、T2における2×周波数領域の変化範囲であり、言い換えれば、2×最大測距距離に対応する中間周波数である。この場合において、レーダ2の送信信号(鎖線)及び反射信号(図に示されていない)の周波数の変化曲線は、レーダ1の送信信号及び反射信号の周波数の変化曲線の間に低下せず、負の中間周波数を引き起こす領域(上部の2つの実線の間)に含まれない。たとえ、レーダが正の中間周波数と負の中間周波数とを区別する能力を有していなくても、背景技術で言及されたゴーストの場合は発生しない。
【0135】
第1の任意の設計における例に基づいて、第2の任意の設計において、F1はIFの2倍に等しく、すなわち、57.2MHzである。
【0136】
当業者であれば、お互いから特定の距離にある2つのレーダについて、たとえ、2つのレーダが同時に信号を送信することを開始しても、信号送信遅延は依然として距離に起因して存在することを認識し得る。この送信遅延に起因して、異なる周波数掃引帯域を有し、且つ、同時に信号を送信する2つのレーダにおいて、1つのレーダの送信信号は、遅延後に他のレーダと干渉する。図11に示されるように、図11は、レーダ信号の時間と共に変化する送信/受信周波数の第3の概略図である。レーダ2の送信信号の送信遅延が、距離に起因して生成される。結果として、送信遅延後の送信信号の周波数の変化曲線は、レーダ1の送信信号の周波数の変化曲線とレーダ1の反射信号の周波数の変化曲線との間の領域に含まれる。その結果として、レーダ2の送信信号は、レーダ1と干渉する。図11を参照する。この課題を解決するために、第1の閾値Fが決定されるとき、最大干渉許容距離に起因する遅延がさらに考慮される必要がある。
【0137】
具体的には、レーダ2(干渉レーダ)の送信信号が、特定の送信遅延の後にレーダ1によって受信される。送信信号の特定の送信遅延の後、送信信号の電力は雑音電力に等しい。この送信遅延に対応する距離は、最大干渉許容距離である。レーダ間の距離が最大干渉許容距離より大きいとき、レーダ2の送信信号の遅延の後、信号の電力が雑音電力より小さく、実際の干渉が引き起こされない(無視され得る)。加えて、レーダ2の反射信号が反射に起因して減衰される。たとえ、反射信号がレーダ1によって受信されても、反射信号の電力は受信した送信信号の電力より小さく、実際の干渉が引き起こされない。
【0138】
第1の任意の設計に基づいて、第3の任意の設計において、F1は第1の時間長さT1における無線信号の周波数の変化範囲であり、T1=T2+T4である。T2は最大測距距離dmaxに対応する遅延である。T4は干渉最大許容距離に対応する遅延である。詳細について、図12は、レーダ信号の時間と共に変化する送信/受信周波数の第4の概略図である。
【0139】
図12に示されるように、第1の任意の設計に基づいて、レーダ間の距離に起因する遅延に起因する干渉がさらに回避される。N個の周波数ポイントにおける隣接する周波数ポイント1と周波数ポイント2との間の周波数の差(N個の周波数ポイントが等間隔に分配されるときの周波数領域の間隔)は、T2に対応する周波数の範囲に基づいて、T4に対応する周波数の範囲をさらに増加させる。レーダが正の中間周波数と負の中間周波数とを区別できる場合において、前述の周波数差は、レーダ2が周波数ポイント2又は周波数の差の絶対値がより大きい位置でレーダ信号を送信するとき、対応する遅延後の送信信号及び反射信号がレーダ1と干渉しないことを保証できる。言い換えれば、レーダ2の反射信号の周波数の変化曲線は2つの実線の範囲に含まれず、レーダ1に対する干渉を回避する。さらに、距離分解能に対する要件が高くないシナリオにおいて、反射信号が大幅に減衰する場合、たとえ、レーダが正の中間周波数と負の中間周波数とを区別できなくても、反射信号はレーダ1に対する干渉を引き起こすことができない。
【0140】
第2の任意の設計に基づいて、第4の任意の設計において、F1は第1の時間長さT1における無線信号の周波数の変化範囲であり、T1=M×T2+T4であり、T2は最大測距距離dmaxに対応する遅延であり、Mは1より大きい正の数であり、例えばM=2である。
【0141】
具体的には、第2の任意の設計の説明を参照すると、N個の周波数ポイントにおける隣接する周波数ポイント1と周波数ポイント2との間の周波数の差(N個の周波数ポイントが等間隔に分配されるときの周波数領域の間隔)は、M×T2に対応する周波数の範囲に基づいて、T4に対応する周波数の範囲をさらに増加させる。このように、レーダ2の反射信号の周波数の変化曲線は、レーダ1の送信信号の周波数の変化曲線とレーダ1の反射信号の周波数の変化曲線との間に低下せず、負の中間周波数を引き起こす領域(図12における破線と実線との間の領域)に含まれない。レーダが正の中間周波数と負の中間周波数とを区別できない場合において、前述の周波数差は、レーダ2がレーダ信号を送信するとき、対応する遅延後の送信信号及び反射信号がレーダ1に対する干渉を引き起こさないことを保証できる。
【0142】
距離に起因する送信遅延が考慮されるとき、他の可能な設計が存在する。言い換えれば、T2及びT4において比較的大きい周波数領域の変化範囲を有する周波数の変化範囲が、F1を計算するために用いられる。
【0143】
第5の任意の設計において、F1は第1の時間長さT1における無線信号の周波数の変化範囲であり、T1=max(T2,T4)である。T2は最大測距距離dmaxに対応する遅延である。T4は干渉最大許容距離に対応する遅延である。
【0144】
この任意の設計において、レーダが正の中間周波数と負の中間周波数とを区別できるとき、異なる周波数掃引帯域で動作するレーダがお互いに干渉しないことが保証され得、誤警報を回避し、又は干渉信号の強度を改善する。加えて、お互いと干渉しないレーダの最大数が、限定された利用可能な帯域幅でサポートされ得、周波数帯域の利用を大幅に増加させる。さらに、距離分解能に対する要件が高くないシナリオにおいて、最大測距距離は十分に大きい。たとえ、レーダが正の中間周波数と負の中間周波数とを区別できなくても、レーダ2の送信信号及び反射信号は、レーダ1に対して干渉を引き起こさない場合がある。
【0145】
当業者であれば、同一のタイプのレーダは同一の送信サイクルを有し、それぞれの送信サイクルの開始時点が理想的な送信状態である時間領域に調整されることを認識し得る。具体的なシナリオにおいて、恐らく異なるレーダは実際には同時に送信を開始できない。言い換えれば、レーダ2の送信時点とレーダ1の送信時点との間に誤差が存在する。言い換えれば、レーダ2の信号がレーダ1の信号より遅く送信される。この誤差には多くの原因が存在する。例えば、送信タイミングに用いられるGPSの精度が異なり、したがって、タイミングが正確にできない。他の例について、レーダのタイミングの正確さが異なる。他の可能性のある送信タイミングの誤差が存在し得る。本願の本実施形態における送信タイミング時点の誤差T3は、1又は複数の全ての可能な送信タイミング時点の誤差を含み得る。
【0146】
図13Aは、レーダ信号の時間と共に変化する送信/受信周波数の第5の概略図である。この誤差が考慮されない場合、レーダ2の送信信号の周波数の変化曲線は、実装領域に含まれる。したがって、送信時点での誤差の存在に起因して、レーダ2の反射信号は、レーダ1と干渉する。図13Aは、第1の任意の設計に基づく例として説明される。当業者であれば、送信時点の誤差が前述の任意の設計のうちのいずれか1つにおいて考慮され得ることを認識し得る。
【0147】
第1の任意の設計に基づいて、第6の任意の設計において、F1は第1の時間長さT1における無線信号の周波数の変化範囲であり、T1=T2+T3である。T2は最大測距距離dmaxに対応する遅延である。T3は送信タイミング時点の誤差である。
【0148】
図13Bは、レーダ信号の時間と共に変化する送信/受信周波数の第6の概略図である。隣接する周波数1と周波数2との間の周波数領域の間隔がT2における周波数領域の変化範囲にあることに基づいて、T3における周波数領域の変化範囲がさらに追加される。レーダが正の中間周波数と負の中間周波数とを区別する能力を有する場合、レーダ2の反射信号の周波数の変化曲線(破線)は実線の範囲に含まれず、レーダ1に対する干渉を引き起こさない。
【0149】
当業者であれば、第6の任意の設計において、送信時点の誤差を考慮することが、第2の任意の設計から第5の任意の設計までのうちのいずれか1つに適用され得ることを認識し得る。第6の任意の設計における説明を参照すると、以下の任意の設計がさらに存在する。
【0150】
第2の任意の設計に基づいて、第7の任意の設計において、F1は第1の時間長さT1における無線信号の周波数の変化範囲であり、F1は第1の時間長さT1における無線信号の周波数の変化範囲T1=M×T2+T3である。T2は最大測距距離dmaxに対応する遅延である。T3は送信タイミング時点の誤差であり、Mは1より大きい正の数であり、例えば、M=2である。
【0151】
第3の任意の設計に基づいて、第8の任意の設計において、F1は第1の時間長さT1における無線信号の周波数の変化範囲であり、T1=T2+T4+T3である。T2は最大測距距離dmaxに対応する遅延である。T4は干渉最大許容距離に対応する遅延である。T3は送信タイミング時点の誤差である。詳細については、図14を参照する。
【0152】
図14は、レーダ信号の時間と共に変化する送信/受信周波数の第7の概略図である。隣接する周波数ポイント1と周波数ポイント2との間の周波数の差の絶対値は、最大測距距離、最大干渉許容距離、及び送信タイミング時点の誤差における周波数の変化範囲に起因する遅延を総合的に考慮することが図14から分かり得る。レーダ2が周波数2に対応する周波数帯域で信号を送信するとき、正の中間周波数と負の中間周波数とを区別する能力を有するレーダ1について、レーダ2の送信信号及び反射信号にかかわらず、周波数の変化曲線は、レーダ1の送信信号の周波数の変化曲線及び反射信号の周波数の変化曲線の中間にある領域に入らない。正の中間周波数と負の中間周波数とを区別する能力を有していないレーダ1について、レーダ2の送信信号が負の中間周波数を引き起こす領域(図14における2つの実線の間)に含まれない。加えて、最大干渉許容距離に起因する遅延が考慮され、レーダ2の反射信号が反射に起因して減衰された後、レーダ2の反射信号によってレーダ1に対して引き起こされる干渉が無視され得る。したがって、レーダ2の送信信号及び反射信号は、レーダに対する干渉を引き起こさない。
【0153】
例えば、レーダ1の利用可能な帯域幅が1GHzであり、最大測距距離が250mであり、周波数掃引時間(又はサイクルと称される)が14μsであり、周波数掃引帯域幅が200MHzである場合、最大測距距離に起因する遅延T2における周波数の変化範囲(中間周波数IFとも称される)は以下のようである。
【数15】
【0154】
干渉最大許容距離に起因する送信遅延T4が2μsであり、レーダ間の送信タイミング時点の誤差T3が0.5μsであると想定すると、Fの値は、
【数16】
である。
【0155】
したがって、第1の閾値FがF1に等しいとき、N個の周波数帯域におけるいずれか2つの周波数帯域の最も低い周波数間の差の絶対値は59.5の正の整数倍であり、その結果、約N=13の周波数帯域が1GHzの帯域幅でサポートされる。
【0156】
第4の任意の設計に基づいて、第9の任意の設計において、F1は第1の時間長さT1における無線信号の周波数の変化範囲であり、T1=M×T2+T4+T3であり、T2は最大測距距離dmaxに対応する遅延であり、Mは1より大きい正の数であり、例えば、M=2である。T3は送信タイミング時点の誤差である。
【0157】
第5の任意の設計に基づいて、第10の任意の設計において、F1は第1の時間長さT1における無線信号の周波数の変化範囲であり、T1=max(T2,T4)+T3である。T2は最大測距距離に対応する遅延である。T4は干渉最大許容距離に対応する遅延である。T3は送信タイミング時点の誤差である。
【0158】
前述の実施形態では、検出方法において周波数領域で処理するレーダ信号を説明する。以下では、時間領域において幾つかの可能な処理方法を説明する。
[実施形態2]
【0159】
図15は、検出装置に適用される可能な検出方法の概略的フローチャートである。本実施形態における方法は、以下の段階を含む。
【0160】
段階1501:無線信号の最初の送信時点を第1の時点として決定する。ここで、第1の時点はP個の候補の最初の時点のうちの1つである。
【0161】
段階1502:第1の時点を最初の送信時点として用いることによって無線信号を送信する。
【0162】
任意選択で、方法は、以下の段階をさらに含む。段階1503:送信信号の反射信号を受信する。
【0163】
本実施形態で提供される検出方法が別々に実装されてもよく、実施形態1で提供される検出方法と組み合わせて実装されてもよいことが留意されるべきである。
【0164】
同様に、P個の候補の最初の時点は、P個の「時間領域の格子点」と称され得る。時間領域の格子点を設定することによって、レーダが最初に信号を送信するとき、レーダは、P個の時間領域の格子点から最初の送信時点のみを選択し、レーダ間の相互干渉を減少させることができる。
【0165】
任意の設計において、P個の候補の最初の時点のうちのいずれか2つ間の時間間隔は、第3の閾値の正の整数倍である。
【0166】
さらに、任意選択で、第3の閾値は、無線信号の周波数掃引時間より小さい又はこれに等しい。
【0167】
さらに、任意選択で、P個の候補の最初の時点が全てのレーダに適用され、全てのレーダのタイプが同一若しくは異なり得、又は、P個の候補の最初の時点が同一のタイプのレーダにのみ適用される。
【0168】
P個の候補の最初の時点が同一のタイプ、例えば、第1のタイプ、のレーダにのみ適用される場合。他のタイプ、例えば、第2のタイプ、のレーダについては、対応する複数の候補の最初の時点が存在し得る。
【0169】
任意の設計において、P個の候補の最初の時点が時間領域で等間隔に分配され、間隔は第3の閾値である。第3の閾値はT2であり、T2=2×dmax/cであり、dmaxは最大検出距離である。
【0170】
さらに、任意選択で、第2のタイプのレーダについて、P'個の候補の最初の時点が存在し得る。
【0171】
P'個の候補の最初の時点のうちのいずれか2つの候補の最初の時点間の時間間隔は第4の閾値の正の整数倍であり、第4の閾値は第3の閾値とは異なる。任意選択で、第4の閾値は、第2のタイプのレーダの最大測距距離に対応する遅延であり得る。
【0172】
本実施形態で提供される検出方法が実施形態1で提供、される検出方法と組み合わせて実装されるとき、従来技術と比較して、より多くのレーダが通信用の同一の時間周波数リソース上でサポートされ得、レーダ間の相互干渉が効率的に減少又は回避され得ることが留意されるべきである。
【0173】
前述では、検出装置、例えば、レーダ、と検出装置との間の、又は、検出装置と対象物体との間の相互作用の観点から本願の実施形態で提供される解決手段を主に説明する。前述の機能を実装するために、検出装置及び対象物体等の装置が、機能を実行するための対応するハードウェア構造及び/又はソフトウェアモジュールを含むことが理解され得る。当業者であれば、本明細書で開示される実施形態で説明される例のユニット及びアルゴリズム段階を組み合わせて、本願がハードウェア又はハードウェア及びコンピュータソフトウェアの組み合わせによって実装され得ることを容易に認識するはずである。機能が、ハードウェアによって実行されるか、コンピュータソフトウェアによって駆動されるハードウェアによって実行されるかは、技術的な解決手段の特定の用途及び設計上の制約に依存する。当業者であれば、異なる方法を用いて、特定の用途ごとに説明された機能を実装し得るが、実装が本願の範囲を超えるものとみなされるべきではない。
【0174】
図16は、前述の実施形態における検出装置の構造の可能な概略図である。
【0175】
検出装置は、処理ユニット1601と、送信ユニット1602とを含む。実際の要件に基づいて、ネットワークデバイスは、受信ユニット1603をさらに含む。任意選択で、検出装置は、プログラム命令及び/又はデータを格納するよう構成される記憶ユニット1604をさらに含み得る。
【0176】
任意の設計において、処理ユニットは、第1の周波数帯域を決定するよう構成され、第1の周波数帯域はN個の周波数帯域のうちの1つであり、送信ユニットは、第1の周波数帯域で無線信号を送信するよう構成される。
【0177】
任意選択で、受信ユニットは、無線信号の反射信号を受信するよう構成される。
【0178】
第1の周波数帯域の帯域幅は、第1のレーダによって送信される無線信号の周波数掃引帯域幅である。本願におけるレーダの周波数掃引帯域幅は、レーダによって送信される信号の周波数掃引帯域幅として理解される。
【0179】
任意選択で、処理ユニットは第1の周波数をさらに決定し、第1の周波数はN個の周波数ポイントにおける第1の周波数ポイントの周波数である。周波数ポイントの説明については、方法の実施形態における説明が参照され得る。
【0180】
この任意の設計において検出装置によって実行される検出方法の具体的な実装については、本願の前述の方法の実施形態1における図7から図14までの関連した部分で提供される説明を参照することが留意されるべきである。本願の本実施形態における検出装置及び方法の実施形態1に対応する検出方法は同一の概念に基づいており、検出装置によってもたらされる技術的な効果は前述のリソーススケジューリング方法によってもたらされる技術的な効果と同一である。処理ユニット1601、送信ユニット1602、及び受信ユニット1603の具体的な機能は本実施形態における検出装置に含まれ、処理ユニット1601、送信ユニット1602、及び受信ユニット1603に関与する任意の特徴、用語、及び実装の詳細は、図7から図14に対応する方法の実施形態における検出装置の機能に対応する。具体的な内容については、本願の図7から図14に対応する方法の実施形態における説明を参照する。ここでは詳細が再び説明されない。
【0181】
他の任意の設計において、処理ユニットは、無線信号の最初の送信時点を第1の時点として決定するよう構成され、第1の時点はP個の候補の最初の時点のうちの1つであり、送信ユニットは、第1の時点を最初の送信時点として用いることによって無線信号を送信するよう構成される。
【0182】
任意選択で、受信ユニットは、送信信号の反射信号を受信するようさらに構成される。
【0183】
任意の設計は、独立して実装されてもよく、以前の任意の設計と統合されてもよい。
【0184】
任意の設計において検出装置によって実行される検出方法の具体的な実装については、本願の前述の方法の実施形態2における図15の関連した部分で提供される説明を参照することが留意されるべきである。本願の本実施形態における検出装置及び方法の実施形態2に対応する検出方法は同一の概念に基づいており、検出装置によってもたらされる技術的な効果は検出方法によってもたらされる技術的な効果と同一である。処理ユニット1601、送信ユニット1602、及び受信ユニット1603の具体的な機能は本実施形態における検出装置に含まれ、処理ユニット1601、送信ユニット1602、及び受信ユニット1603に関与する任意の特徴、用語、及び実装の詳細は、図15に対応する方法の実施形態における検出装置の機能に対応する。具体的な内容については、本願の図15に対応する方法の実施形態における説明を参照する。ここでは詳細が再び説明されない。
【0185】
前述の実施形態において、検出装置の全て又は一部がソフトウェア、ハードウェア、ファームウェア、又はこれらの任意の組み合わせを用いることによって実装され得ることが留意されるべきである。
【0186】
任意の方法において、前述の実施形態の対応する構成要素が対応するハードウェアによって実装されてもよく、対応するソフトウェアを実行することにより対応するハードウェアによって実装されてもよい。例えば、受信ユニット1603は、前述の受信機能を実行する機能を有するハードウェア、例えば、送受信機機能を統合する送受信機又は受信機能のみを実装する受信機、であってもよく、対応するコンピュータプログラムを実行し、前述の機能を完了することができる汎用プロセッサ又は他のハードウェアデバイスであってもよく、対応する機能を実行するソフトウェアモジュール又は機能ユニットであってもよい。他の例については、処理ユニット1601は、プロセッサを実行する機能を有するハードウェア、例えば、特定の機能を有するプロセッサ又は汎用プロセッサ、であってよく、対応するコンピュータプログラムを実行し、前述の機能を完了することができる他のハードウェアデバイスであってもよく、対応する機能を実行するソフトウェアモジュール又は機能ユニットであってもよい。他の例については、送信ユニット1602は、前述の送信機能を有するハードウェア、例えば、受信機能及び送信機能を統合する送受信機又は送信機能のみを実装する送信機であってもよく、対応するコンピュータプログラムを実行し、前述の機能を完了することができる汎用プロセッサ又は他のハードウェアデバイスであってもよく、対応する機能を実行するソフトウェアモジュール又は機能ユニットであってもよい。他の例については、前述の記憶ユニットは、記憶機能を実装するハードウェア、ソフトウェア、又は機能ユニットであり得る。
【0187】
図17は、本願の実施形態による、他の検出装置の構造の可能な概略図である。検出装置は、プロセッサ1701と、送信機1702と、受信機1703とを含む。プロセッサ1701、送信機1702、及び受信機1703の機能は、それぞれ、図16に示される処理ユニット1601、送信ユニット1602、及び受信ユニット1603の具体的な機能に対応していてよい。ここでは詳細が再び説明されない。任意選択で、検出装置は、プログラム命令及び/又はデータを格納するよう構成されるメモリ1704をさらに含み得る。
【0188】
図2は、レーダ装置の構造の概略図である。前述の内容を参照して、他の任意の方法が提案される。図18は、さらなる他の検出装置の構造の可能な概略図である。図16から図18で提供される検出装置は実際の通信シナリオにおけるレーダ装置の一部又は全てであってもよく、対応する機能を実装するためにレーダ装置に統合されて又はレーダ装置の外部に設置されてもよい。構造及び構成は具体的には限定されない。
【0189】
この任意の方法において、検出装置は、送信アンテナと、受信アンテナと、プロセッサとを含む。さらに、検出装置は、周波数混合器及び/又は発振器をさらに含む。さらに、検出装置は、ローパスフィルタ、方向性結合器、及び/又は同様のものをさらに含み得る。送信アンテナ及び受信アンテナは無線通信を実行するために検出装置をサポートするよう構成され、送信アンテナは無線信号の送信をサポートし、受信アンテナは無線信号の受信及び/又は反射信号の受信をサポートし、最終的に検出機能を実装する。プロセッサは、幾つかの可能な決定機能及び/又は処理機能を実行する。さらに、送信アンテナ及び/又は受信アンテナの動作も制御される。具体的には、プロセッサは、送信される必要がある信号を送信するよう送信アンテナを制御し、受信アンテナを用いることによって受信される信号は、対応する処理のためにプロセッサに送信され得る。検出装置に含まれる構成要素は、図7から図15に関与する任意の実装を実行するよう構成され得る。任意選択で、検出装置は、プログラム命令及び/又はデータを格納するよう構成されるメモリをさらに含み得る。送信アンテナ及び受信アンテナは、独立して配置されてもよく、対応する送信/受信機能を実行する送信/受信アンテナとして統合されてもよい。
【0190】
任意の方法において検出装置によって実行される検出方法の具体的な実装については、本願の前述の方法の実施形態における図7から図15までの関連した部分で提供される説明を参照することが留意されるべきである。図7から図15に対応する検出装置及び検出方法は同一の概念に基づいており、検出装置によってもたらされる技術的な効果は前述の検出方法の技術的な効果と同一である。本実施形態における検出装置に含まれるそれぞれの最初の部分の具体的な機能と、それに関与する任意の特徴、用語、及び実装の詳細とが、図7から図15に対応する方法の実施形態における検出装置の機能に対応する。具体的な内容については、本願の図7から図15に対応する方法の実施形態における説明を参照する。ここでは詳細が再び説明されない。
【0191】
さらなる他の任意の方法において、検出装置がソフトウェアを用いることによって実装されるとき、検出装置の全て又は一部が、コンピュータプログラム製品の形態で実装され得る。コンピュータプログラム製品は、1又は複数のコンピュータ命令を含む。コンピュータプログラム命令がロードされてコンピュータ上で実行されるとき、本願の実施形態に従う手順又は機能が、全て又は部分的に実装される。コンピュータは、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、コンピュータネットワーク、又は他のプログラマグル装置であり得る。コンピュータ命令は、コンピュータ可読記憶媒体に格納されてもよく、コンピュータ可読記憶媒体から他のコンピュータ可読記憶媒体に送信されてもよい。例えば、コンピュータ命令は、有線方式(例えば、同軸ケーブル、光ファイバ、若しくはデジタル加入者回線(DSL))、又は無線方式(例えば、赤外線、電波、又はマイクロ波)で、ウェブサイト、コンピュータ、サーバ、又はデータセンタから、他のウェブサイト、コンピュータ、サーバ、又はデータセンタに送信され得る。コンピュータ可読記憶媒体は、コンピュータ、又は、1若しくは複数の使用可能な媒体を統合するサーバ若しくはデータセンタ等のデータ記憶デバイスによってアクセス可能な任意の使用可能な媒体であり得る。使用可能な媒体は、磁気媒体(例えば、フロッピーディスク、ハードディスク、又は磁気テープ)、光媒体(例えば、DVD)、半導体媒体(例えば、ソリッドステートドライブ、Solid State Disk(SSD))、又は同様のものであり得る。
【0192】
本願の本実施形態で提供される検出方法を実行するよう構成される検出装置に含まれるプロセッサが、中央処理装置(CPU)、汎用プロセッサ、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、他のプログラマグル論理デバイス、トランジスタ論理デバイス、ハードウェア構成要素、又はこれらの任意の組み合わせであり得ることが留意されるべきである。プロセッサは、本願で開示される内容を参照して説明される様々な例示的な論理ブロック、モジュール、及び回路を実装又は実行し得る。プロセッサは、コンピューティング機能を実装するプロセッサの組み合わせ、例えば、1若しくは複数のマイクロプロセッサの組み合わせ、又は、DSP及びマイクロプロセッサの組み合わせ、であり得る。
【0193】
本願の実施形態と組み合わせて説明される方法又はアルゴリズム段階は、ハードウェアによって実装されてもよく、ソフトウェア命令を実行することによりプロセッサによって実装されてもよい。ソフトウェア命令は、対応するソフトウェアモジュールによって形成され得る。ソフトウェアモジュールは、RAMメモリ、フラッシュメモリ、ROMメモリ、EPROMメモリ、EEPROMメモリ、レジスタ、ハードディスク、リムーバブル磁気ディスク、CD-ROM、又は、当該技術分野で既知の任意の他の形態の記憶媒体に配置され得る。例えば、記憶媒体がプロセッサに連結され、その結果、プロセッサは記憶媒体から情報を読み取ること又は記憶媒体に情報を書き込むことができる。確かに、記憶媒体はプロセッサの構成要素であり得る。プロセッサ及び記憶媒体はASICに配置され得る。加えて、ASICは検出装置に配置され得る。確かに、プロセッサ及び記憶媒体は、代替的に、個別部品として、検出装置に存在し得る。
【0194】
図16から図18は、単に、検出装置の簡略化された設計を示しているに過ぎないことが理解され得る。実際の適用において、検出することには、任意の数の送信機、受信機、プロセッサ、コントローラ、メモリ、及び存在し得る他の要素を含めてよい。
【0195】
本願の実施形態は、本願の前述の実施形態で言及される少なくとも1つの検出装置及び/又は少なくとも1つの対象物体を含む通信システムをさらに提供する。
【0196】
本願の実施形態は、通信システムをさらに提供する。通信システムは、少なくとも1つの検出装置、及び/又は少なくとも1つの中央処理装置、及び/又は、本願の前述の実施形態で言及される中央コントローラを含む。中央処理装置/中央制御装置は、少なくとも1つの検出装置の出力に基づいて、車両の移動、及び/又は他お検出装置の処理を制御するよう構成される。中央処理装置/中央制御装置は、車両又は他の可能な位置に配置されて、制御を実装し得る。
【0197】
明細書全体で言及される「実施形態」、「1つの実施形態」又は「本願の本実施形態」は、実施形態に関連している特定の機能、構造、又は特性が本願の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味しないことが理解されるべきである。したがって、明細書の至る所で出現する「実施形態において」、「1つの実施形態において」、又は「本願の本実施形態において」は、同一の実施形態を指さない。加えて、これらの特定の機能、構造、又は特性が、任意の適切な方法を用いることによって、1又は複数の実施形態において組み合わされ得る。
【0198】
前述の処理の確実なシーケンス番号が本願の様々な実施形態における実行シーケンスを意味しないことが理解されるべきである。処理の実行シーケンスは、機能及び処理の内部論理に従って決定されるべきであり、本願の実施形態の処理の実装に対するいかなる限定として解釈されるべきでない。
【0199】
本願の目的、技術的な解決手段、及び利点が、前述の具体的実施形態においてさらに詳細に説明される。前述の説明は、単に、本願の具体的な実施形態に過ぎず、本願の保護範囲を限定することを意図していないことが理解されるべきである。本願の技術的な解決手段に基づいて行われる任意の修正、均等な置換、又は改善が、本願の保護範囲に含まれるものとする。
【0200】
前述の説明は、単に、本願の具体的な実装に過ぎず、本願の保護範囲を限定することを意図していない。本願において開示される技術的範囲内で当業者によって容易に考え出される任意の変化又は置換は、本願の保護範囲に含まれるものとする。したがって、本願の保護範囲は、特許請求の範囲の保護範囲を対象にするものとする。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13A
図13B
図14
図15
図16
図17
図18
【国際調査報告】