(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-12
(54)【発明の名称】産物及び組成物
(51)【国際特許分類】
C12N 15/113 20100101AFI20220104BHJP
C12N 15/10 20060101ALI20220104BHJP
A61K 31/713 20060101ALI20220104BHJP
A61K 48/00 20060101ALI20220104BHJP
A61K 8/60 20060101ALI20220104BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20220104BHJP
A61K 47/69 20170101ALI20220104BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20220104BHJP
A61K 47/54 20170101ALI20220104BHJP
A61K 47/61 20170101ALI20220104BHJP
【FI】
C12N15/113 Z ZNA
C12N15/10 Z
A61K31/713
A61K48/00
A61K8/60
A61Q19/00
A61K47/69
A61P43/00 105
A61K47/54
A61K47/61
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021517420
(86)(22)【出願日】2019-09-27
(85)【翻訳文提出日】2021-04-08
(86)【国際出願番号】 IB2019058221
(87)【国際公開番号】W WO2020065602
(87)【国際公開日】2020-04-02
(32)【優先日】2018-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】509127310
【氏名又は名称】サーナオミクス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】サマルスキー,ドミトリー
【テーマコード(参考)】
4C076
4C083
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA95
4C076BB13
4C076BB16
4C076CC26
4C076DD66
4C076EE30
4C076EE41
4C076EE59
4C083AD601
4C083BB60
4C083CC01
4C083DD23
4C084AA13
4C084MA66
4C084NA14
4C084ZB21
4C086AA01
4C086AA02
4C086EA16
4C086MA66
4C086NA14
4C086ZB21
(57)【要約】
本発明は、(a)標的遺伝子から転写されたRNAの少なくとも第1の部分に少なくとも部分的に相補的である第1の核酸部分と、(b)標的遺伝子から転写されたRNAの少なくとも第2の部分に少なくとも部分的に相補的である第2の核酸部分であって、この標的遺伝子が、(a)で定義される標的遺伝子と同じであっても、又は異なっていてもよい、第2の核酸部分と、(c)(a)の第1の核酸部分に少なくとも部分的に相補的であり、それと第1の核酸二本鎖領域を形成する第3の核酸部分と、(d)(b)の第2の核酸部分に少なくとも部分的に相補的であり、それと第2の核酸二本鎖領域を形成する第4の核酸部分と、を含むマルチターゲティング核酸構築物を提供する。この構築物は、インビボ投与に続いて構築物が分解して、(a)及び(b)の標的遺伝子から転写されたRNAをそれぞれ標的とする少なくとも第1及び第2の別個の核酸標的化分子をもたらすように設計されている。典型的には、第1の核酸標的化分子は、(a)の標的遺伝子の発現を調節することができ、(a)の少なくとも第1の核酸部分を含むか、又はそれに由来する。典型的には、第2の核酸標的化分子は、(b)の該標的遺伝子の発現を調節することができ、(b)の第2の核酸部分を含むか、又はそれに由来する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
核酸構築物であって、少なくとも、
(a)標的遺伝子から転写されたRNAの少なくとも第1の部分に少なくとも部分的に相補的である第1の核酸部分、
(b)標的遺伝子から転写されたRNAの少なくも第2の部分に少なくとも部分的に相補的である第2の核酸部分であって、前記標的遺伝子が、(a)で定義される前記標的遺伝子と同じであるか、又は異なっていてもよい、第2の核酸部分、
(c)(a)の前記第1の核酸部分に少なくとも部分的に相補的であり、それと第1の核酸二本鎖領域を形成する第3の核酸部分、
(d)(b)の前記第2の核酸部分に少なくとも部分的に相補的であり、それと第2の核酸二本鎖領域を形成する第4の核酸部分、を含み、
前記構築物が、インビボ投与に続いて前記構築物が分解して、(a)及び(b)の前記標的遺伝子から転写された前記RNA部分をそれぞれ標的とする少なくとも第1及び第2の別個の核酸標的化分子をもたらすように設計されており、
それにより、(i)前記第1の核酸標的化分子が、(a)の前記標的遺伝子の発現を調節することができ、(a)の少なくとも前記第1の核酸部分を含むか、又はそれに由来し、(ii)前記第2の核酸標的化分子が、(b)の前記標的遺伝子の発現を調節することができ、(b)の前記第2の核酸部分を含むか、又はそれに由来する、核酸構築物。
【請求項2】
前記構築物が、前記第1及び第2の別個の核酸標的化分子がそれぞれ、独立したRNAi誘導サイレンシング複合体によって処理されるように分解するよう設計されている、請求項1に記載の構築物。
【請求項3】
インビボ投与に続いて前記構築物が切断されて、前記少なくとも第1及び第2の別個の核酸標的化分子をもたらすように不安定な機能性部をさらに含む、請求項1に記載の構築物。
【請求項4】
前記不安定な機能性部が、1つ以上の未修飾ヌクレオチドを含む、請求項3に記載の構築物。
【請求項5】
前記不安定な機能性部の前記1つ以上の未修飾ヌクレオチドが、前記構築物内の1つ以上の切断位置を表し、それにより、インビボ投与に続いて、前記構築物が、前記1つ以上の切断位置で切断されて、前記少なくとも第1及び第2の別個の核酸標的化分子をもたらす、請求項4に記載の構築物。
【請求項6】
前記切断位置は、切断に続いて、前記第1の別個の核酸標的化分子が、前記第1の核酸二本鎖領域を含むか、又はそれに由来し、前記第2の別個の核酸標的化分子が、前記第2の核酸二本鎖領域を含むか、又はそれに由来するように、前記構築物内にそれぞれ位置する、請求項5に記載の構築物。
【請求項7】
(a)の前記第1の核酸部分が、一次構造として(d)の前記第4の核酸部分に直接的又は間接的に連結されている、請求項1~6のいずれか一項に記載の構築物。
【請求項8】
二重標的化構築物であり、(b)の前記第2の核酸部分が、一次構造として(c)の前記第3の核酸部分に直接的又は間接的に連結されている、請求項1~7のいずれか一項に記載の構築物。
【請求項9】
1つ以上の標的遺伝子から転写されたRNAの追加の1~8個の部分にそれぞれ少なくとも部分的に相補的である1~8個の追加の核酸部分をさらに含み、前記標的遺伝子が、互いに同じであっても、若しくは異なってもよく、及び/又は(a)及び/若しくは(b)で定義される前記標的遺伝子と同じであっても、若しくは異なってもよく、前記1~8個の追加の核酸部分の各々が、それぞれ少なくとも部分的にそれと相補的であるそれぞれのパッセンジャー核酸部分とそれぞれ追加の二本鎖領域を形成する、請求項1~7のいずれか一項に記載の構築物。
【請求項10】
(b)の前記第2の核酸部分、及び前記1~8個の追加の核酸部分が、それぞれの一次構造として、選択されたパッセンジャー核酸部分に直接的又は間接的に連結されている、請求項9に記載の構築物。
【請求項11】
前記直接的又は間接的な連結が、(i)ヌクレオチド間ニック、(ii)ヌクレオチド間結合、又は(iii)1~10個のヌクレオチドの核酸リンカー部分のいずれかを表し、(i)の場合、(a)の前記第1の核酸部分と(b)の前記第2の核酸部分との間、又は(c)の前記第3の核酸部分と(d)の前記第4の核酸部分との間にある程度の相補性が存在する、請求項7、8又は10のいずれか一項に記載の構築物。
【請求項12】
以下の概略構造によって表され、
【化1】
式中、
G1が、(a)の前記第1の核酸部分を表し、
G2が、(b)の前記第2の核酸部分を表し、
P1が、(c)の前記第3の核酸部分を表し、
P2が、(d)の前記第4の核酸部分を表し、
Gが、1つ以上の標的遺伝子から転写されたRNAの追加の1~8個の部分にそれぞれ少なくとも部分的に相補的である前記1~8個の追加の核酸部分を表し、
Pが、前記1~8個の追加の核酸部分とそれぞれ少なくとも部分的に相補的であり、それと前記二本鎖領域を形成する前記パッセンジャー核酸部分を表し、
各G1、G2、P1、P2が各々、それぞれ、同じ数又は異なる数のヌクレオチドを含むことができ、
nが、0~8の間で選択された整数であり
ここで、少なくともG1をP2から、及び/又は少なくともG2をP1から分解することを少なくとも可能にする、1つ以上の隣接及び/又は非隣接切断位置が存在し、nが1~8の場合、少なくともG2を隣接するPから分解する、及び/又は少なくともP1を隣接するGから分解することを可能にする、1つ以上の隣接及び/又は非隣接切断位置もまた存在し、
x、y、zの各々が、(i)ヌクレオチド間ニック、(ii)ヌクレオチド間結合、又は(iii)1~10個のヌクレオチドの核酸リンカー部分のいずれかを表し、
nが0であり、x、y、zがそれぞれG1とP2との間の、及びP1とG2との間のヌクレオチド間ニックを表す場合、G1とG2、又はP1とP2のいずれかの間にある程度の相補性が存在する、請求項1~11のいずれか一項に記載の構築物。
【請求項13】
前記核酸リンカー部分が、一本鎖である、請求項11又は12に記載の構築物。
【請求項14】
典型的には(c)の前記第3の核酸部分、及び/又は(d)の前記第4の核酸部分、及び/又は請求項9、10若しくは12に定義されるような前記パッセンジャー核酸部分にコンジュゲートされた1つ以上のリガンドをさらに含む、請求項1~13のいずれか一項に記載の構築物。
【請求項15】
(a)の前記第1の核酸部分、及び/又は(b)の前記第2の核酸部分、及び/又は(c)の前記第3の核酸部分、及び/又は(d)の前記第4の核酸部分、及び/又は請求項9、10若しくは12で定義されるような前記1~8個の追加の核酸部分、及び/又は請求項9、10若しくは12で定義されるような前記パッセンジャー核酸部分が、それぞれ5’から3’までの方向性を有し、それによりその5’及び3’領域を画定し、前記1つ以上のリガンドが、(i)(c)の前記第3の核酸部分、及び/又は(ii)(d)の前記第4の核酸部分、及び/又は(iii)請求項9、10若しくは12で定義されるような前記パッセンジャー核酸部分のいずれかの前記3’領域でコンジュゲートする、請求項14に記載の構築物。
【請求項16】
(c)の前記第3の核酸部分、及び/又は(d)の前記第4の核酸部分、及び/又は請求項9、10若しくは12で定義されるような前記パッセンジャー核酸部分が、それぞれ5’から3’までの方向性を有し、それによりその5’及び3’領域を画定し、前記1つ以上のリガンドが、その5’及び3’領域の中間の1つ以上の領域でコンジュゲートする、請求項14に記載の構築物。
【請求項17】
前記1つ以上のリガンドが、細胞膜又は細胞表面上の特定の標的に結合する脂質、炭水化物、アプタマー、ビタミン及び/又はペプチドなどの任意の細胞指向部分である、請求項14~16のいずれか一項に記載の構築物。
【請求項18】
前記1つ以上のリガンドが、1つ以上の炭水化物を含む、請求項17に記載の構築物。
【請求項19】
前記1つ以上の炭水化物が、単糖、二糖、三糖、四糖、オリゴ糖又は多糖であり得る、請求項18に記載の構築物。
【請求項20】
前記1つ以上の炭水化物が、1つ以上のガラクトース部分、1つ以上のラクトース部分、1つ以上のN-アセチル-ガラクトサミン部分、及び/又は1つ以上のマンノース部分を含む、請求項19に記載の構築物。
【請求項21】
前記1つ以上の炭水化物が、1つ以上のN-アセチル-ガラクトサミン部分を含む、請求項20に記載の構築物。
【請求項22】
2つ又は3つのN-アセチル-ガラクトサミン部分を含む、請求項21に記載の構築物。
【請求項23】
前記1つ以上のリガンドが、直線構成又は分岐構成で結合する、請求項14~22のいずれか一項に記載の構築物。
【請求項24】
前記1つ以上のリガンドが、二分岐若しくは三分岐構成として、又は異なる位置での単一リガンドに基づく構成として結合される、請求項23に記載の構築物。
【請求項25】
(a)の前記第1の核酸部分、及び/又は(b)の前記第2の核酸部分、及び/又は(c)の前記第3の核酸部分、及び/又は(d)の前記第4の核酸部分が、それぞれ7~20ヌクレオチドの長さ、好ましくは、10~18ヌクレオチドの長さ、より好ましくは、約15ヌクレオチドの長さである、請求項1~24のいずれか一項に記載の構築物。
【請求項26】
前記核酸リンカー部分が、1~8ヌクレオチドの長さ、好ましくは、2~6ヌクレオチドの長さ、より好ましくは、約4ヌクレオチドの長さである、請求項11~13のいずれか一項に記載の構築物。
【請求項27】
1つ以上のホスホロチオエート又はホスホロジチオエートヌクレオチド間結合をさらに含む、請求項1~26のいずれか一項に記載の構築物。
【請求項28】
1~15個のホスホロチオエート又はホスホロジチオエートヌクレオチド間結合を含む、請求項27に記載の構築物。
【請求項29】
(a)の前記第1の核酸部分、及び/又は(b)の前記第2の核酸部分、及び/又は(c)の前記第3の核酸部分、及び/又は(d)の前記第4の核酸部分、及び/又は請求項9、10若しくは12で定義されるような前記1~8個の追加の核酸部分、及び/又は請求項9、10若しくは12で定義されるような前記パッセンジャー核酸部分の前記第1の核酸部分の前記5’及び/又は3’領域のうちの1つ以上で、1つ以上のホスホロチオエート又はホスホロジチオエートヌクレオチド間結合を含む、請求項27又は28に記載の構築物。
【請求項30】
請求項11~13で定義されるような前記核酸リンカー部分の少なくとも2つの隣接するヌクレオチド間に、ホスホロチオエート又はホスホロジチオエートヌクレオチド間結合を含む、請求項27~29のいずれか一項に記載の構築物。
【請求項31】
前記核酸リンカー部分に存在する各隣接するヌクレオチド間に、ホスホロチオエート又はホスホロジチオエートヌクレオチド間結合を含む、請求項30に記載の構築物。
【請求項32】
(a)の前記第1の核酸部分を、請求項11~13で定義されるような前記核酸リンカー部分に連結する、及び/又は
(b)の前記第2の核酸部分を、請求項11~13で定義されるような前記核酸リンカー部分に連結する、及び/又は
(c)の前記第3の核酸部分を、請求項11~13で定義されるような前記核酸リンカー部分に連結する、及び/又は
(d)の前記第4の核酸部分を、請求項11~13で定義されるような前記核酸リンカー部分に連結する、及び/又は
請求項9、10若しくは12で定義されるような前記1~8個の追加の核酸部分を、請求項11~13で定義されるような前記核酸リンカー部分に連結する、及び/又は
請求項9、10若しくは12で定義されるような前記パッセンジャー核酸部分を、請求項11~13で定義されるような前記核酸リンカー部分に連結する、ホスホロチオエート又はホスホロジチオエートヌクレオチド間結合を含む、請求項27~31のいずれか一項に記載の構築物。
【請求項33】
(a)の前記第1の核酸部分、及び/又は
(b)の前記第2の核酸部分、及び/又は
(c)の前記第3の核酸部分、及び/又は
(d)の前記第4の核酸部分、及び/又は
請求項9、10若しくは12で定義されるような前記1~8個の追加の核酸部分、及び/又は
請求項9、10若しくは12で定義されるような前記パッセンジャー核酸部分、及び/又は
請求項11~13で定義されるような前記拡散リンカー部分のうちの少なくとも1つの少なくとも1つのヌクレオチドが修飾されている、請求項1~32のいずれか一項に記載の構築物。
【請求項34】
以下のうちの1つの前記5’領域から始まる奇数番号のヌクレオチドのうちの1つ以上が修飾され、及び/又は以下のうちの1つの前記5’領域から始まる偶数番号のヌクレオチドのうちの1つ以上が修飾されており、前記偶数番号のヌクレオチドの前記修飾が、奇数番号のヌクレオチドの前記修飾とは異なる第2の修飾である:
(a)の前記第1の核酸部分、及び/又は
(b)の前記第2の核酸部分、及び/又は
(c)の前記第3の核酸部分、及び/又は
(d)の前記第4の核酸部分、及び/又は
請求項9、10若しくは12で定義されるような前記1~8個の追加の核酸部分、及び/又は
請求項9、10若しくは12で定義されるような前記パッセンジャー核酸部分、請求項33に記載の構築物。
【請求項35】
(c)の前記第3の核酸部分の前記3’領域から始まる前記奇数番号のヌクレオチドのうちの1つ以上が、(a)の前記第1の核酸部分の前記5’領域から始まる奇数番号のヌクレオチドの前記修飾とは異なる修飾によって修飾され、及び/又は
(d)の前記第4の核酸部分の前記3’領域から始まる前記奇数番号のヌクレオチドのうちの1つ以上が、(b)の前記第2の核酸部分の前記5’領域から始まる奇数番号のヌクレオチドの前記修飾とは異なる修飾によって修飾され、及び/又は
請求項9、10若しくは12で定義されるような前記パッセンジャー核酸部分の前記3’領域から始まる前記奇数番号のヌクレオチドのうちの1つ以上が、請求項9、10若しくは12で定義されるような前記1~8個の追加の核酸部分の前記5’領域から始まる奇数番号のヌクレオチドの前記修飾とは異なる修飾によって修飾され、及び/又は
請求項11~13で定義されるような核酸リンカー部分の前記ヌクレオチドのうちの1つ以上が、(i)(a)の前記第1の核酸部分の前記3’領域の隣接するヌクレオチドの前記修飾とは異なる、及び/又は(ii)(b)の前記第2の核酸部分の前記3’領域の隣接するヌクレオチドの前記修飾とは異なる、及び/又は請求項9、10若しくは12で定義されるような前記1~8個の追加の核酸部分の前記3’領域の隣接するヌクレオチドの前記修飾とは異なる、修飾によって修飾される、請求項33又は34に記載の構築物。
【請求項36】
(i)(c)の前記第3の核酸部分、及び/又は(ii)(d)の前記第4の核酸部分、及び/又は(iii)請求項9、10若しくは12で定義されるような前記パッセンジャー核酸部分の前記3’領域から始まる前記偶数番号のヌクレオチドのうちの1つ以上が、これらのそれぞれの部分の前記3’領域から始まる奇数番号のヌクレオチドの前記修飾とは異なる修飾によって修飾される、請求項33~35のいずれか一項に記載の構築物。
【請求項37】
(i)(a)の前記第1の核酸部分、及び/又は(ii)(b)の前記第2の核酸部分、及び/又は(iii)請求項9、10若しくは12で定義されるような前記1~8個の追加の核酸部分の前記修飾された偶数番号のヌクレオチドのうちの少なくとも1つ以上が、これらのそれぞれの部分の少なくとも1つ以上の異なって修飾された奇数番号のヌクレオチドに隣接する、請求項33~36のいずれか一項に記載の構築物。
【請求項38】
(i)(c)の前記第3の核酸部分、及び/又は(ii)(d)の前記第4の核酸部分、及び/又は(iii)請求項9、10若しくは12で定義されるような前記パッセンジャー核酸部分の前記修飾された偶数番号のヌクレオチドのうちの少なくとも1つ以上が、これらのそれぞれの部分の少なくとも1つ以上の異なって修飾された奇数番号のヌクレオチドに隣接する、請求項33~37のいずれか一項に記載の構築物。
【請求項39】
(i)(a)の前記第1の核酸部分、及び/又は(ii)(b)の前記第2の核酸部分、及び/又は(iii)請求項9、10若しくは12で定義されるような前記1~8個の追加の核酸部分の複数の隣接するヌクレオチドが、共通の修飾によって修飾される、請求項33~38のいずれか一項に記載の構築物。
【請求項40】
(i)(c)の前記第3の核酸部分、及び/又は(ii)(d)の前記第4の核酸部分、及び/又は(iii)請求項9、10若しくは12で定義されるような前記パッセンジャー核酸部分の複数の隣接するヌクレオチドが、共通の修飾によって修飾される、請求項33~39のいずれか一項に記載の構築物。
【請求項41】
前記複数の隣接する共通に修飾されたヌクレオチドが、2~4個の隣接するヌクレオチド、好ましくは3又は4個の隣接するヌクレオチドである、請求項39又は40に記載の構築物。
【請求項42】
前記複数の隣接する共通に修飾されたヌクレオチドが、(i)(c)の前記第3の核酸部分、及び/又は(ii)(d)の前記第4の核酸部分、及び/又は(iii)請求項9、10若しくは12で定義されるような前記パッセンジャー核酸部分の前記5’領域に位置する、請求項41に記載の構築物。
【請求項43】
複数の隣接する共通に修飾されたヌクレオチドが、請求項11~13で定義されるような前記核酸リンカー部分に位置する、請求項33又は42に記載の構築物。
【請求項44】
(a)の前記第1の核酸部分の前記修飾ヌクレオチドのうちの1つ以上が、前記第1の二本鎖領域の(c)の前記第3の核酸部分の前記対応するヌクレオチド中に存在する共通の修飾を有さず、及び/又は(b)の前記第2の核酸部分の前記修飾ヌクレオチドのうちの1つ以上が、前記第2の二本鎖領域の(d)の前記第4の核酸部分の前記対応するヌクレオチド中に存在する共通の修飾を有さず、及び/又は請求項9、10若しくは12で定義されるような前記1~8個の追加の核酸部分の前記修飾ヌクレオチドのうちの1つ以上が、それぞれの二本鎖領域の前記対応するパッセンジャー核酸部分の前記対応するヌクレオチド中に存在する共通の修飾を有さない、請求項33~43のいずれか一項に記載の構築物。
【請求項45】
(a)の前記第1の核酸部分の前記修飾ヌクレオチドのうちの1つ以上が、(c)の前記第3の核酸部分の共通に修飾されたヌクレオチドに対して少なくとも1ヌクレオチドだけシフトされ、及び/又は(b)の前記第2の核酸部分の前記修飾ヌクレオチドのうちの1つ以上が、(d)の第4の核酸部分の共通に修飾されたヌクレオチドに対して少なくとも1ヌクレオチドだけシフトされ、及び/又は請求項9、10若しくは12で定義されるような前記1~8個の追加の核酸部分の前記修飾ヌクレオチドのうちの1つ以上が、請求項9、10若しくは12で定義されるような前記パッセンジャー核酸部分の共通に修飾されたヌクレオチドに対して少なくとも1ヌクレオチドだけシフトされている、請求項33~44のいずれか一項に記載の構築物。
【請求項46】
前記修飾及び/又は修飾(複数)が、各々、個々に、糖、骨格又は塩基修飾であり、3’末端デオキ-シチミン、2’-O-メチル、2’-デオキシ修飾、2’-アミノ修飾、2’-アルキル修飾、モルホリノ修飾、ホスホルアミデート修飾、ホスホロチオエート又はホスホロジチオエート基修飾、5’ホスフェート又は5’ホスフェート模倣修飾、及びコレステリル誘導体又はドデカン酸ビスデシルアミド基修飾からなる群から好適に選択される、請求項33~45のいずれか一項に記載の構築物。
【請求項47】
前記修飾が、ロックされたヌクレオチド、脱塩基ヌクレオチド、又はヌクレオチドを含む非天然塩基のいずれか1つである、請求項33~46のいずれか一項に記載の構築物。
【請求項48】
少なくとも1つの修飾が、リボース部分における2’-O-メチル修飾である、請求項33~47のいずれか一項に記載の構築物。
【請求項49】
少なくとも1つの修飾が、リボース部分における2’-F修飾である、請求項33~48のいずれか一項に記載の構築物。
【請求項50】
(i)(a)の前記第1の核酸部分、及び/又は(ii)(b)の前記第2の核酸部分、及び/又は(iii)請求項9、10若しくは12で定義されるような前記1~8個の追加の核酸部分の前記5’領域の前記第1のヌクレオチドから下流の位置2及び14のいずれかのヌクレオチドが、リボース部分における2’-O-メチル修飾を含有しない、請求項33~49のいずれか一項に記載の構築物。
【請求項51】
(i)(a)の前記第1の核酸部分、及び/又は(ii)(b)の前記第2の核酸部分、及び/又は(iii)請求項9、10若しくは12で定義されるような前記1~8個の追加の核酸部分の前記5’領域の前記第1のヌクレオチドから下流の位置11~13のいずれかの前記ヌクレオチドのいずれかの位置にそれぞれ相当する、(i)(c)の前記第3の核酸部分、及び又は(ii)(d)の前記第4の核酸部分、及び/又は(iii)請求項9、10若しくは12で定義されるような前記パッセンジャー核酸部分の前記ヌクレオチドが、リボース部分における2’-O-メチル修飾を含有しない、請求項33~50のいずれか一項に記載の構築物。
【請求項52】
(i)(a)の前記第1の核酸部分、及び/又は(ii)(b)の前記第2の核酸部分、及び/又は(iii)請求項9、10若しくは12で定義されるような前記1~8個の追加の核酸部分の最初のものから下流の位置2及び14のいずれかの前記ヌクレオチドが、リボース部分における2’-F修飾を含有する、請求項50又は51に記載の構築物。
【請求項53】
(i)(a)の前記第1の核酸部分、及び/又は(ii)(b)の前記第2の核酸部分、及び/又は(iii)請求項9、10若しくは12で定義されるような前記1~8個の追加の核酸部分の前記5’領域の前記第1のヌクレオチドから下流の位置11~13のいずれかの前記ヌクレオチドのいずれかの位置にそれぞれ相当する、(i)(c)の前記第3の核酸部分、及び又は(ii)(d)の前記第4の核酸部分、及び/又は(iii)請求項9、10若しくは12で定義されるような前記パッセンジャー核酸部分の前記ヌクレオチドが、リボース部分における2’-F修飾を含有する、請求項50~52のいずれか一項に記載の構築物。
【請求項54】
1つ以上の未修飾ヌクレオチドを含む、請求項1~53のいずれか一項に記載の構築物。
【請求項55】
前記1つ以上の未修飾ヌクレオチドが、請求項33~54のいずれか一項で定義される任意の修飾ヌクレオチドに置換しうる、請求項54に記載の構築物。
【請求項56】
前記1つ以上、好ましくは1つの未修飾ヌクレオチドが、(i)(c)の前記第3の核酸部分、及び又は(ii)(d)の前記第4の核酸部分、及び/又は(iii)請求項9、10若しくは12で定義されるような前記パッセンジャー核酸部分に隣接する、請求項11~13で定義されるような前記核酸リンカー部分の前記ヌクレオチドのいずれか、好ましくは、請求項11~13で定義されるような前記核酸リンカー部分の前記ヌクレオチドを表す、請求項54又は55に記載の構築物。
【請求項57】
前記未修飾ヌクレオチド、及び/又は
(i)(a)の前記第1の核酸部分、及び/又は(ii)(b)の前記第2の核酸部分、及び/又は(iii)請求項9、10若しくは12で定義されるような前記1~8個の追加の核酸部分の前記5’領域の前記第1のヌクレオチドから下流の位置2及び14のいずれかの前記ヌクレオチド、及び/又は
(i)(a)の前記第1の核酸部分、及び/又は(ii)(b)の前記第2の核酸部分、及び/又は(iii)請求項9、10若しくは12で定義されるような前記1~8個の追加の核酸部分の前記5’領域の前記第1のヌクレオチドから下流の位置11~13のいずれかの前記ヌクレオチドのいずれかの位置にそれぞれ相当する、(i)(c)の前記第3の核酸部分、及び又は(ii)(d)の前記第4の核酸部分、及び/又は(iii)請求項9、10若しくは12で定義されるような前記パッセンジャー核酸部分の前記ヌクレオチド以外の全てのヌクレオチドが、
リボース部分における2’-O-メチル修飾を含有する、請求項51~56のいずれか一項に記載のコンジュゲート。
【請求項58】
(i)(a)の前記第1の核酸部分、及び/又は(ii)(b)の前記第2の核酸部分、及び/又は(iii)請求項9、10若しくは12で定義されるような前記1~8個の追加の核酸部分の前記5’領域の少なくとも1つのビニルホスホネート修飾などの、少なくとも1つのビニルホスホネート修飾を含む、請求項1~57のいずれか一項に記載の構築物。
【請求項59】
(a)の前記第1の核酸部分、及び/又は
(b)の前記第2の核酸部分、及び/又は
(c)の前記第3の核酸部分、及び/又は
(d)の前記第4の核酸部分、及び/又は
請求項9、10若しくは12で定義されるような前記1~8個の追加の核酸部分、及び/又は
請求項9、10若しくは12で定義されるような前記パッセンジャー核酸部分のうちの1つ以上のヌクレオチドが、
逆方向ヌクレオチドであり、かつ前記ヌクレオチドの3’炭素及び前記隣接するヌクレオチドの前記3’炭素を介して前記隣接するヌクレオチドに結合し、並びに/又は逆方向ヌクレオチドであり、かつ前記ヌクレオチドの前記5’炭素及び前記隣接するヌクレオチドの前記5’炭素を介して前記隣接するヌクレオチドに結合する、請求項1~58のいずれか一項に記載の構築物。
【請求項60】
前記逆方向ヌクレオチドが、ホスホジエステル結合を通してリン酸基を介して前記隣接するヌクレオチドに結合するか、又は、ホスホロチオエート基を介して前記隣接するヌクレオチドに結合するか、又は、ホスホロジチオエート基を介して前記隣接するヌクレオチドに結合する、請求項59に記載の構築物。
【請求項61】
平滑末端にされる、請求項1~60のいずれか一項に記載の構築物。
【請求項62】
(a)の前記第1の核酸部分、及び/又は
(b)の前記第2の核酸部分、及び/又は
(c)の前記第3の核酸部分、及び/又は
(d)の前記第4の核酸部分、及び/又は
請求項9、10又は12で定義されるような前記1~8個の追加の核酸部分、及び/又は
請求項9、10又は12で定義されるような前記パッセンジャー核酸部分が、
オーバーハングを有する、請求項1~63のいずれか一項に記載のコンジュゲート。
【請求項63】
前記標的RNAが、mRNA、IncRNA、及び/又は他のRNA分子のうちの少なくとも1つから選択される、請求項1~62のいずれか一項に記載の構築物。
【請求項64】
請求項1~63のいずれか一項に記載の構築物と、生理学的に許容される賦形剤と、を含む組成物。
【請求項65】
疾患又は障害の治療に用いる、請求項1~63のいずれか一項に記載の構築物。
【請求項66】
疾患又は障害の治療の薬剤の製造における、請求項1~63のいずれか一項に記載の構築物の使用。
【請求項67】
治療が必要な個体への、請求項1~63のいずれか一項に記載の構築物の投与を含む、疾患又は障害を治療する方法。
【請求項68】
前記構築物が、個体に皮下又は静脈内投与される、請求項67に記載の方法。
【請求項69】
インビボ投与に続いて、前記構築物が分解して、同じであるか、又は異なることができる標的遺伝子又は遺伝子(複数)から転写されたRNAの第1及び第2の部分をそれぞれ標的とする少なくとも第1及び第2の別個の核酸標的化分子をもたらし、前記第1の核酸標的化分子が、RNAの前記第1の部分の発現を調節し、前記第2の核酸標的化分子が、RNAの前記第2の部分の発現を調節する、請求項67又は68に記載の方法。
【請求項70】
化粧品としての、請求項1~63のいずれか一項に記載の構築物の使用。
【請求項71】
研究における遺伝子機能分析ツールとしての、請求項1~63のいずれか一項に記載の構築物の使用。
【請求項72】
請求項1~63のいずれか一項に記載の構築物を作製するプロセス。
【請求項73】
(i)各々:
(a)標的遺伝子から転写されたRNAの少なくとも第1の部分に少なくとも部分的に相補的である第1の核酸部分と、
(b)標的遺伝子から転写されたRNAの少なくも第2の部分に少なくとも部分的に相補的である第2の核酸部分であって、前記標的遺伝子が、(a)で定義される前記標的遺伝子と同じであるか、又は異なっていてもよい、第2の核酸部分と、
(c)(a)の前記第1の核酸部分に少なくとも部分的に相補的である第3の核酸部分と、
(d)(b)の前記第2の核酸部分に少なくとも部分的に相補的である第4の核酸部分と、を合成することと、
(ii)少なくとも(a)及び(b)の前記第1及び第2の核酸部分をインビトロで接触させて、(a)及び(b)の前記第1及び第2の核酸部分を含む第1の核酸二本鎖領域を形成することと、
(iii)少なくとも(c)及び(d)の前記第3及び第4の核酸部分をインビトロで接触させて、(c)及び(d)の前記第3及び第4の核酸部分を含む第2の核酸二本鎖領域を形成することと、
(iv)少なくとも前記第1及び第2の核酸二本鎖領域を含む核酸構築物をインビトロで形成することと、を含む、請求項72に記載のプロセス。
【請求項74】
少なくとも第1及び第2の核酸標的化分子を、前記構築物から生成することをさらに含み、前記第1の核酸標的化分子が、(a)の前記標的遺伝子の発現を調節することができ、(a)の少なくとも前記第1の核酸部分を含むか、又はそれに由来し、前記第2の核酸標的化分子が、(b)の前記標的遺伝子の発現を調節することができ、(b)の前記第2の核酸部分を含むか、又はそれに由来する、請求項73に記載のプロセス。
【請求項75】
前記少なくとも第1及び第2の核酸標的化分子が、インビボ投与に続いて生成される、請求項74に記載のプロセス。
【請求項76】
前記構築物中に存在する不安定な機能性部が、インビボ投与に続いて切断されて、前記少なくとも第1及び第2の別個の核酸標的化分子を生成する、請求項75に記載のプロセス。
【請求項77】
前記不安定な機能性部が、1つ以上の未修飾ヌクレオチドを含む、請求項76に記載のプロセス。
【請求項78】
前記不安定な機能性部の前記1つ以上の未修飾ヌクレオチドが、前記構築物内の1つ以上の切断位置を表し、それにより、インビボ投与に続いて、前記構築物が、前記1つ以上の切断位置で切断されて、前記少なくとも第1及び第2の別個の核酸標的化分子をもたらす、請求項77に記載のプロセス。
【請求項79】
前記切断位置は、切断に続いて、前記第1の別個の核酸標的化分子が、前記第1の核酸二本鎖領域を含むか、又はそれに由来し、前記第2の別個の核酸標的化分子が、前記第2の核酸二本鎖領域を含むか、又はそれに由来するように、前記構築物内にそれぞれ位置する、請求項78に記載のプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、真核生物における遺伝子発現のダウンレギュレーション又はアップレギュレーションであるナノテクノロジー及び/又は調節の技術分野にある。真核生物における遺伝子発現のこのような調節は、典型的にはナノ構造に組み立てられた、本発明による相補的オリゴヌクレオチドを用いる。より具体的には、本発明は、遺伝子機能を研究するために、疾患を治療するために、及び/又は化粧品並びに/若しくは農業が含まれるがこれらに限定されない他の用途のために、ナノ構造に組み立てられた相補的オリゴヌクレオチドを用いる真核生物における遺伝子発現の調節の技術分野にある。
【0002】
本発明は、オリゴヌクレオチドのナノ構造を形成するための構造的柔軟性及び遺伝子発現を調節するための、ここでは相補的オリゴヌクレオチド(本明細書では、「CON」と記載する)として組み合わされるアンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)とRNA干渉(RNAi)分子との能力を利用する。したがって、これは、2つの技術分野-ナノテクノロジー及びCON技術に属する成分及び知識を統合する。
【0003】
米国政府が資金援助する国家ナノテクノロジーイニシアティブ(National Nanotechnology Initiative)による現在の定義によると、「ナノテクノロジーとは、約1~100nmの寸法で、独自の現象が新しい用途を可能にするナノスケールでの物質の理解及び制御である」[http://nano.gov]。ナノテクノロジーは、有機化学、材料、半導体物理学、分子生物学、工学などの多様な科学からの研究に関与し、電子工学、IT、医学、エネルギー、及び日常生活に多くの用途を有する新しいナノ材料及び分子デバイスを作成するというビジョンを持っている。
【0004】
CON技術は、人工的に作成されたオリゴヌクレオチドベースの分子が、生物学的オリゴヌクレオチド標的との相補的な相互作用を通じて相互作用し、その特性を変化させる能力に関与する。その最も汎用されている用途では、CON分子は、タンパク質コーディング(すなわち、mRNA)分子又は非コーディング(例えば、miRNA、IncRNA)分子に細胞内結合して不活性化するように設計されており、通常、対応する遺伝子のサイレンシングをもたらす。サイレンシングの結果を解読することで、遺伝子の機能を理解できる可能性があり、したがって、機能ゲノミクスで用いうる。ヒトを含む動物におけるCON分子による悪性遺伝子のダウンレギュレーション又は欠損遺伝子のアップレギュレーションも、新しい治療薬の開発を可能にし得る。CON分子は、化粧品、生物学的生産、農業生物学、日常生活を含む、他の分野でも有用性を約束する。
【0005】
CON分子は、研究ツールとして幅広く多様な用途があり、小分子及び生物製剤に加えて、3番目の主要な治療法になりうることが見出されている。実際、RNAiベースの試薬は、真核生物の遺伝子機能を研究するために世界中の何千もの研究開発研究所で常用されており、遺伝子発現調節薬候補として臨床試験への道を模索する。ASOベースの技術は、特に治療薬として長い間探求されており、最初の潜在的に商業的に実行可能な薬剤(ミポメルセン(Mipomersen)、Isis Pharmaceuticals)が最近米国の市場に承認された。最初のRNAi薬であるパティシラン(Patisiran)は、2018年にFDAによって承認されている。
【0006】
これらの明白かつ印象的な成功にもかかわらず、CONテクノロジーにはまだ改善の余地がある。実際、従来のRNAi試薬は、以下の欠点の1つ以上を明らかにし得る:1)面倒な合成プロセス及び比較的高い製造コスト(例えば、RNAiの場合、2つのオリゴヌクレオチドの作製及びアニーリングを必要とするが、1つのみが活性薬剤として機能する);2)様々なエンドヌクレアーゼ及びエキソヌクレアーゼに対する感度が高く、したがって、いずれの生体液中においても低い安定性;3)最適とは言えないヒット率及び有効性(現在の改善されたアルゴリズムを用いても、個々の分子が効果的な標的ノックダウンを生じさせるという保証はない);4)非特異的活性及び副作用(RNAiの場合、パッセンジャー鎖、miRNA関連活性に由来し、及びRNAiとASOとの両方の場合、特定の化学物質及び配列に由来する);5)細胞培養、特にインビボでの送達の困難さ。
【0007】
本発明は、複数のオリゴヌクレオチドから構成され、標的との相補的相互作用を介して遺伝子発現を調節することができる特別に設計された自己組織化ナノ構造を含む、新規の組成物及び方法を提供する。本発明は、高い生産コスト、最適とは言えない有効性並びに特異性、生体液中並びに細胞内の分子の低い安定性、及び細胞培養及びインビボでの送達の困難さなどの相補的オリゴヌクレオチド技術(例えば、アンチセンス及びRNAi技術)に関連する欠点に対処及び改善することを提供する。
【0008】
したがって、本発明によれば、少なくとも以下の:
(a)標的遺伝子から転写されたRNAの少なくとも第1の部分に少なくとも部分的に相補的である第1の核酸部分と、
(b)標的遺伝子から転写されたRNAの少なくも第2の部分に少なくとも部分的に相補的である第2の核酸部分であって、この標的遺伝子は、(a)で定義される標的遺伝子と同じであるか、又は異なっていてもよい、第2の核酸部分と、
(c)(a)の第1の核酸部分に少なくとも部分的に相補的であり、それと第1の核酸二本鎖領域を形成する第3の核酸部分と、
(d)(b)の第2の核酸部分に少なくとも部分的に相補的であり、それと第2の核酸二本鎖領域を形成する第4の核酸部分と、を含む核酸構築物を提供し、
構築物は、インビボ投与に続いて構築物が分解して、(a)及び(b)の標的遺伝子から転写されたRNA部分をそれぞれ標的とする少なくとも第1及び第2の別個の核酸標的化分子をもたらすように設計されており、
それにより、(i)第1の核酸標的化分子は、(a)の標的遺伝子の発現を調節することができ、(a)の少なくとも第1の核酸部分を含むか、又はそれに由来し、(ii)第2の核酸標的化分子は、(b)の標的遺伝子の発現を調節することができ、(b)の第2の核酸部分を含むか、又はそれに由来する。
【0009】
第1の実施形態では、本発明による構築物は、第1及び第2の別個の核酸標的化分子がそれぞれ、独立したRNAi誘導サイレンシング複合体によって処理されるように分解するよう設計される。
【0010】
第2の実施形態では、本発明による構築物は、インビボ投与に続いて構築物が切断されて、少なくとも第1及び第2の別個の核酸標的化分子をもたらすように不安定な機能性部をさらに含む。典型的には、不安定な機能性部は、構築物内の1つ以上の切断位置を表すことができる1つ以上の未修飾ヌクレオチドを含み、それにより、インビボ投与に続いて、構築物は、1つ以上の切断位置で切断されて、少なくとも第1及び第2の別個の核酸標的化分子をもたらす。
【0011】
上記の第2の実施形態によれば、切断位置は、切断に続いて、第1の別個の核酸標的化分子が、第1の核酸二本鎖領域を含むか、又はそれに由来し、第2の別個の核酸標的化分子が、第2の核酸二本鎖領域を含むか、又はそれに由来するように、構築物内にそれぞれ位置することができる。
【0012】
本発明による構築物の一次構造は、好適には、(a)の第1の核酸部分が一次構造として(d)の第4の核酸部分に直接的又は間接的に連結されるようなものである。本発明による、このような構築物が二重標的化構築物である場合、典型的には、(b)の第2の核酸部分は、一次構造として(c)の第3の核酸部分に直接的又は間接的に連結される。
【0013】
本発明による構築物は、二重標的化であり得る。あるいは、構築物は、1つ以上の標的遺伝子から転写されたRNAの2つ以上の部分を標的とすることができ、このような場合、構築物は、1つ以上の標的遺伝子から転写されたRNAの追加の1~8個の部分にそれぞれ少なくとも部分的に相補的である1~8個の追加の核酸部分をさらに含むことができ、この標的遺伝子は、互いに同じであっても、若しくは異なってもよく、並びに/又は(a)及び/若しくは(b)で前述したような標的遺伝子と同じであっても、若しくは異なってもよく、1~8個の追加の核酸部分の各々は、それぞれ少なくとも部分的にそれと相補的であるそれぞれのパッセンジャー核酸部分とそれぞれ追加の二本鎖領域を形成する。このような構築物において、(b)の第2の核酸部分、及び1~8個の追加の核酸部分は、それぞれの一次構造として選択されたパッセンジャー核酸部分に直接的又は間接的に連結されている。
【0014】
上記のように、本発明による構築物のそれぞれの位置の間には、直接的又は間接的な連結があり得る。このような直接的又は間接的な連結は、(i)ヌクレオチド間ニック、(ii)ヌクレオチド間結合、又は(iii)1~10個のヌクレオチドの核酸リンカー部分のいずれかを表し、(i)の場合、(a)の第1の核酸部分と(b)の第2の核酸部分との間、又は(c)の第3の核酸部分と(d)の第4の核酸部分との間にある程度の相補性が存在する。
【0015】
本発明による構築物は、以下の概略構造によって表すことができ、
【化1】
式中、
G1は、(a)の第1の核酸部分を表し、
G2は、(b)の第2の核酸部分を表し、
P1は、(c)の第3の核酸部分を表し、
P2は、(d)の第4の核酸部分を表し、
Gは、1つ以上の標的遺伝子から転写されたRNAの追加の1~8個の部分にそれぞれ少なくとも部分的に相補的である1~8個の追加の核酸部分を表し、
Pは、1~8個の追加の核酸部分とそれぞれ少なくとも部分的に相補的であり、それと二本鎖領域を形成するパッセンジャー核酸部分を表し、
各G1、G2、P1、P2は各々、それぞれ、同じ数又は異なる数のヌクレオチドを含むことができ、
nは、0~8の間で選択された整数であり
ここで、少なくともG1をP2から、及び/又は少なくともG2をP1から分解することを少なくとも可能にする、1つ以上の隣接及び/又は非隣接切断位置が存在し、nが1~8の場合、少なくともG2を隣接するPから分解する、及び/又は少なくともP1を隣接するGから分解することを可能にする、1つ以上の隣接及び/又は非隣接切断位置もまた存在し、
各x、y、zは、(i)ヌクレオチド間ニック、(ii)ヌクレオチド間結合、又は(iii)1~10個のヌクレオチドの核酸リンカー部分のいずれかを表し、
nが0であり、x、y、zがそれぞれG1とP2との間の、及びP1とG2との間のヌクレオチド間ニックを表す場合、G1とG2、又はP1とP2のいずれかの間にある程度の相補性が存在する。
【0016】
上記本発明による構築物中に存在することができる核酸リンカー部分は、典型的には一本鎖である。
【0017】
本発明による構築物は、好ましくは、典型的には(c)の第3の核酸部分、及び/又は(d)の第4の核酸部分、及び/又は上記パッセンジャー核酸部分にコンジュゲートされた1つ以上のリガンドをさらに含む。
【0018】
(a)の第1の核酸部分、及び/又は(b)の第2の核酸部分、及び/又は(c)の第3の核酸部分、及び/又は(d)の第4の核酸部分、及び/又は1~8個の追加の核酸部分及び/又はパッセンジャー核酸部分は、それぞれ5’から3’への方向性を有し、それによりその5’及び3’領域を画定し、1つ以上のリガンドは、(i)(c)の第3の核酸部分、及び/又は(ii)(d)の第4の核酸部分、及び/又は(iii)パッセンジャー核酸部分のいずれかの3’領域で、又はこれらの5’領域と3’領域の中間の1つ以上の領域でコンジュゲートする。
【0019】
1つ以上のリガンドは、細胞膜又は細胞表面上の特定の標的に結合する脂質、炭水化物、アプタマー、ビタミン及び/又はペプチドなどの任意の細胞指向部分であり、好ましくは、好適には単糖、二糖、三糖、四糖、オリゴ糖又は多糖であり得る1つ以上の炭水化物である。さらにより好ましくは、1つ以上の炭水化物は、1つ以上のガラクトース部分、1つ以上のラクトース部分、1つ以上のN-アセチル-ガラクトサミン部分、及び/又は1つ以上のマンノース部分を含む。
【0020】
特に好ましいのは、1つ以上の炭水化物が、1つ以上のN-アセチルガラクトサミン部分、特に2つ又は3つのN-アセチルガラクトサミン部分を含み、これらは、直線構成又は分岐構成で結合することができるものである。1つ以上のリガンドが、二分岐又は三分岐構成として結合する、分岐構成が望ましい場合がある。あるいは、リガンド構成は、異なる位置にある単一のリガンドに基づくことができる。
【0021】
本発明による構築物には、標的とされるRNA配列に対応する選択された長さの部分がありうる。例えば、(a)の第1の核酸部分、及び/又は(b)の第2の核酸部分、及び/又は(c)の第3の核酸部分、及び/又は(d)の第4の核酸部分は、それぞれ7~20ヌクレオチドの長さ、好ましくは、10~18ヌクレオチドの長さ、より好ましくは、約15ヌクレオチドの長さであり得る。典型的には、核酸リンカー部分が存在する場合、これは、1~8ヌクレオチドの長さ、好ましくは、2~6ヌクレオチドの長さ、より好ましくは、約4ヌクレオチドの長さであり得る。
【0022】
本発明による構築物は、好ましくは、1つ以上のホスホロチオエート又はホスホロジチオエートヌクレオチド間結合、例えば、1~15個のホスホロチオエート又はホスホロジチオエートヌクレオチド間結合をさらに含み得る。このような1つ以上のホスホロチオエート又はホスホロジチオエートヌクレオチド間結合は、典型的には、(a)の第1の核酸部分、及び/又は(b)の第2の核酸部分、及び/又は(c)の第3の核酸部分、及び/又は(d)の第4の核酸部分、及び/又は1~8個の追加の核酸部分、及び/又はパッセンジャー核酸部分の5’及び/又は3’領域のうちの1つ以上に存在する。
【0023】
本発明による構築物はまた、核酸リンカー部分の少なくとも2つの隣接するヌクレオチド間のホスホロチオエート又はホスホロジチオエートヌクレオチド間結合を含み得、より好ましくは、核酸リンカー部分中に存在する各隣接するヌクレオチド間のホスホロチオエート又はホスホロジチオエートヌクレオチド間結合を含み得る。
【0024】
本発明による構築物は、:
(a)の第1の核酸部分を核酸リンカー部分に連結する、及び/又は
(b)の第2の核酸部分を核酸リンカー部分に連結する、及び/又は
(c)の第3の核酸部分を核酸リンカー部分に連結する、及び/又は
(d)の第4の核酸部分を核酸リンカー部分に連結する、及び/又は
1~8個の追加の核酸リンカー部分を核酸リンカー部分に連結する、及び/又は
パッセンジャー核酸部分を核酸リンカー部分に連結する、ホスホロチオエート又はホスホロジチオエートヌクレオチド間結合を好適に含むことができる。
【0025】
典型的には、本発明による構築物は修飾されている。例えば、以下のうちの少なくとも1つの少なくとも1つのヌクレオチドが修飾される:
(a)の第1の核酸部分、及び/又は
(b)の第2の核酸部分、及び/又は
(c)の第3の核酸部分、及び/又は
(d)の第4の核酸部分、及び/又は
1~8個の追加の核酸リンカー部分、及び/又は
パッセンジャー核酸部分、及び/又は
核酸リンカー部分。
【0026】
典型的には、修飾は、以下のうちの1つの5’領域から始まる奇数番号のヌクレオチドのうちの1つ以上が修飾され、及び/又は以下のうちの1つの5’領域から始まる偶数番号のヌクレオチドのうちの1つ以上が修飾されるようなものであり得、典型的には、偶数番号のヌクレオチドの修飾は、奇数番号のヌクレオチドの修飾とは異なる第2の修飾である:
(a)の第1の核酸部分、及び/又は
(b)の第2の核酸部分、及び/又は
(c)の第3の核酸部分、及び/又は
(d)の第4の核酸部分、及び/又は
1~8個の追加の核酸リンカー部分、及び/又は
パッセンジャー核酸部分。
【0027】
なおさらに、修飾は、(c)の第3の核酸部分の3’領域から始まる奇数番号のヌクレオチドのうちの1つ以上が、(a)の第1の核酸部分の5’領域から始まる奇数番号のヌクレオチドの修飾とは異なる修飾によって修飾されるようなものであり得、並びに/又は
(d)の第4の核酸部分の3’領域から始まる奇数番号のヌクレオチドのうちの1つ以上が、(b)の第2の核酸部分の5’領域から始まる奇数番号のヌクレオチドの修飾とは異なる修飾によって修飾されるようなものであり得、並びに/又は
パッセンジャー核酸部分の3’領域から始まる奇数番号のヌクレオチドのうちの1つ以上が、1~8個の追加の核酸部分の5’領域から始まる奇数番号のヌクレオチドの修飾とは異なる修飾によって修飾されるようなものであり得、並びに/又は
核酸リンカー部分のヌクレオチドのうちの1つ以上が、(i)(a)の第1の核酸部分の3’領域の隣接するヌクレオチドの修飾とは異なる、及び/若しくは(ii)(b)の第2の核酸部分の3’領域の隣接するヌクレオチドの修飾とは異なる、及び/若しくは1~8個の追加の核酸部分の3’領域の隣接するヌクレオチドの修飾とは異なる、修飾によって修飾されるようなものであり得る。
【0028】
なおさらに、修飾は、(i)(c)の第3の核酸部分、及び/又は(ii)(d)の第4の核酸部分、及び/又は(iii)パッセンジャー核酸部分の3’領域から始まる偶数番号のヌクレオチドのうちの1つ以上が、これらのそれぞれの部分の3’領域から始まる奇数番号のヌクレオチドの修飾とは異なる修飾によって修飾されるようにすることができる。
【0029】
なおさらに、修飾は、(i)(a)の第1の核酸部分、及び/又は(ii)(b)の第2の核酸部分、及び/又は(iii)1~8個の追加の核酸部分の修飾された偶数番号のヌクレオチドのうちの少なくとも1つ以上が、これらのそれぞれの部分の少なくとも1つ以上の異なって修飾された奇数番号のヌクレオチドに隣接するようにすることができる。
【0030】
なおさらに、修飾は、(i)(c)の第3の核酸部分、及び/又は(ii)(d)の第4の核酸部分、及び/又は(iii)パッセンジャー核酸部分の修飾された偶数番号のヌクレオチドのうちの少なくとも1つ以上が、これらのそれぞれの部分の少なくとも1つ以上の異なって修飾された奇数番号のヌクレオチドに隣接するようにすることができる。
【0031】
なおさらに、修飾は、(i)(a)の第1の核酸部分、及び/又は(ii)(b)の第2の核酸部分、及び/又は(iii)1~8個の追加の核酸部分の複数の隣接するヌクレオチドが、共通の修飾によって修飾されるようにすることができる。
【0032】
なおさらに、修飾は、(i)(c)の第3の核酸部分、及び/又は(ii)(d)の第4の核酸部分、及び/又は(iii)パッセンジャー核酸部分の複数の隣接するヌクレオチドが、2~4個の隣接するヌクレオチド、好ましくは3~4個の隣接するヌクレオチドであり得る共通の修飾によって修飾されるようにすることができる。典型的には、複数の隣接する共通して修飾されたヌクレオチドは、(i)(c)の第3の核酸部分、及び/若しくは(ii)(d)の第4の核酸部分、及び/若しくは(iii)パッセンジャー核酸部分の5’領域に位置し、並びに/又は核酸リンカー部分に位置することができる。
【0033】
なおさらに、修飾には、(a)の第1の核酸部分の修飾ヌクレオチドのうちの1つ以上が、第1の二本鎖領域の(c)の第3の核酸部分の対応するヌクレオチドに存在する共通の修飾がなく、及び/又は(b)の第2の核酸部分の修飾ヌクレオチドのうちの1つ以上が、第2の二本鎖領域の(d)の第4の核酸部分の対応するヌクレオチド中に存在する共通の修飾がなく、及び/又は1~8個の追加の核酸部分の修飾ヌクレオチドのうちの1つ以上が、それぞれの二本鎖領域の対応するパッセンジャー核酸部分の対応するヌクレオチド中に存在する共通の修飾がなくてよい。
【0034】
さらに、修飾は、(a)の第1の核酸部分の修飾ヌクレオチドのうちの1つ以上が、(c)の第3の核酸部分の共通に修飾されたヌクレオチドに対して少なくとも1ヌクレオチドだけシフトされ、及び/又は(b)の第2の核酸部分の修飾ヌクレオチドのうちの1つ以上が、(d)の第4の核酸部分の共通に修飾されたヌクレオチドに対して少なくとも1ヌクレオチドだけシフトされ、及び/又は1~8個の追加の核酸部分の修飾ヌクレオチドのうちの1つ以上が、パッセンジャー核酸部分の共通に修飾されたヌクレオチドに対して少なくとも1ヌクレオチドだけシフトされうる。
【0035】
典型的には、修飾及び/又は修飾(複数)は、各々、個別に、糖、骨格又は塩基修飾であり、3’末端デオキ-シチミン、2’-O-メチル、2’-デオキシ修飾、2’-アミノ修飾、2’-アルキル修飾、モルホリノ修飾、ホスホルアミデート修飾、ホスホロチオエート又はホスホロジチオエート基修飾、5’ホスフェート又は5’ホスフェート模倣修飾、及びコレステリル誘導体又はドデカン酸ビスデシルアミド基修飾からなる群から好適に選択される。修飾は、ロックされたヌクレオチド、脱塩基ヌクレオチド、又はヌクレオチドを含む非天然塩基のいずれかであり得る。
【0036】
好ましくは、少なくとも1つの修飾は、リボース部分における2’-O-メチル修飾である。
【0037】
好ましくは、少なくとも1つの修飾は、リボース部分における2’-F修飾である。
【0038】
なおさらに、修飾は、(i)(a)の第1の核酸部分、及び/又は(ii)(b)の第2の核酸部分、及び/又は(iii)1~8個の追加の核酸部分の5’領域の第1のヌクレオチドから下流の位置2及び14のいずれかのヌクレオチドが、リボース部分における2’-O-メチル修飾を含有しなくてよい。
【0039】
さらに、修飾は、(i)(a)の第1の核酸部分、及び/又は(ii)(b)の第2の核酸部分、及び/又は(iii)1~8個の追加の核酸部分の5’領域の第1のヌクレオチドから下流の位置11~13のいずれかのヌクレオチドのいずれかの位置にそれぞれ相当する、(i)(c)の第3の核酸部分、及び又は(ii)(d)の第4の核酸部分、及び/又は(iii)パッセンジャー核酸部分のヌクレオチドが、リボース部分における2’-O-メチル修飾を含有しなくてよい。
【0040】
なおさらに、修飾は、(i)(a)の第1の核酸部分、及び/又は(ii)(b)の第2の核酸部分、及び/又は(iii)1~8個の追加の核酸部分の最初のものから下流の位置2及び14のいずれかのヌクレオチドが、リボース部分における2’-F修飾を含有してよい。
【0041】
なおさらに、修飾は、(i)(a)の第1の核酸部分、及び/又は(ii)(b)の第2の核酸部分、及び/又は(iii)1~8個の追加の核酸部分の5’領域の第1のヌクレオチドから下流の位置11~13のいずれかのヌクレオチドのいずれかの位置にそれぞれ相当する、(i)(c)の第3の核酸部分、及び又は(ii)(d)の第4の核酸部分、及び/又は(iii)パッセンジャー核酸部分のヌクレオチドが、リボース部分における2’-F修飾を含有してよい。
【0042】
本発明による構築物は、好ましくは、1つ以上の未修飾ヌクレオチドを含む。これらの1つ以上の未修飾ヌクレオチドは、上記任意の修飾ヌクレオチドに置換しうる。好ましくは、1つ以上、好ましくは1つの未修飾ヌクレオチドは、上記のように核酸リンカー部分のヌクレオチドのいずれか、好ましくは(i)(c)の第3の核酸部分、及び又は(ii)(d)の第4の核酸部分、及び/又は(iii)パッセンジャー核酸部分に隣接する核酸リンカー部分のヌクレオチドを表す。
【0043】
メチル修飾は、天然に存在するヌクレオチド修飾を表すため、遺伝子調節分子における好ましい化学修飾であり得る。したがって、好ましくは、本発明によるコンジュゲートは、
未修飾ヌクレオチド、並びに/又は
(i)(a)の第1の核酸部分、及び/若しくは(ii)(b)の第2の核酸部分、及び/若しくは(iii)1~8個の追加の核酸部分の5’領域の第1のヌクレオチドから下流の位置2及び14のいずれかのヌクレオチド、並びに/又は
(i)(a)の第1の核酸部分、及び/若しくは(ii)(b)の第2の核酸部分、及び/若しくは(iii)1~8個の追加の核酸部分の5’領域の第1のヌクレオチドから下流の位置11~13のいずれかのヌクレオチドのいずれかの位置にそれぞれ相当する、(i)(c)の第3の核酸部分、及び若しくは(ii)(d)の第4の核酸部分、及び/若しくは(iii)パッセンジャー核酸部分のヌクレオチドが、
リボース部分における2’-O-メチル修飾を含有してよい。
【0044】
本発明による構築物はまた、(i)(a)の第1の核酸部分、及び/又は(ii)(b)の第2の核酸部分、及び/又は(iii)1~8個の追加の核酸部分の5’領域の少なくとも1つのビニルホスホネート修飾などの少なくとも1つのビニルホスホネート修飾を含み得る。
【0045】
さらに、本発明による構築物において、
(a)の第1の核酸部分、及び/又は
(b)の第2の核酸部分、及び/又は
(c)の第3の核酸部分、及び/又は
(d)の第4の核酸部分、及び/又は
1~8個の追加の核酸リンカー部分、及び/又は
パッセンジャー核酸部分のうちの1つ以上のヌクレオチドは、
逆方向ヌクレオチドであり、かつヌクレオチドの3’炭素及び隣接するヌクレオチドの3’炭素を介して隣接するヌクレオチドに結合し、並びに/又は逆方向ヌクレオチドであり、かつヌクレオチドの5’炭素及び隣接するヌクレオチドの5’炭素を介して隣接するヌクレオチドに結合する。
【0046】
典型的には、このような逆方向ヌクレオチドは、ホスホジエステル結合を通してリン酸基を介して隣接するヌクレオチドに結合するか、又は、ホスホロチオエート基を介して隣接するヌクレオチドに結合するか、又は、ホスホロジチオエート基を介して隣接するヌクレオチドに結合する。
【0047】
本発明による構築物は、平滑末端であってよい。あるいは、本発明によるコンジュゲートにおいて、
(a)の第1の核酸部分、及び/又は
(b)の第2の核酸部分、及び/又は
(c)の第3の核酸部分、及び/又は
(d)の第4の核酸部分、及び/又は
1~8個の追加の核酸リンカー部分、及び/又は
パッセンジャー核酸部分は、
オーバーハングを有する。
【0048】
本発明による構築物は、典型的には、mRNA、IncRNA、及び/又は他のRNA分子のうちの少なくとも1つから選択される標的RNAに指向する。
【0049】
本発明はまた、上記構築物、及び生理学的に許容される賦形剤を含む組成物を提供する。
【0050】
本発明はまた、疾患又は障害の治療に用いる、上記構築物を提供する。
【0051】
本発明はまた、疾患又は障害の治療の薬剤の製造における、上記構築物の使用を提供する。
【0052】
本発明はまた、治療が必要な個体への、上記構築物の投与を含む、疾患又は障害を治療する方法を提供する。好ましくは、このような方法において、構築物は、個体に皮下又は静脈内に投与される。さらに、このような方法では、インビボ投与に続いて、構築物が分解して、同じであるか、又は異なることができる標的遺伝子又は遺伝子(複数)から転写されたRNAの第1及び第2の部分をそれぞれ標的とする少なくとも第1及び第2の別個の核酸標的化分子をもたらし、ここで、第1の核酸標的化分子は、RNAの第1の部分の発現を調節し、第2の核酸標的化分子は、RNAの第2の部分の発現を調節する。
【0053】
本発明はまた、上記構築物の、化粧品としての使用を提供する。
【0054】
本発明はまた、上記構築物の、遺伝子機能分析ツールとしての使用を提供する。
【0055】
本発明はまた、上記構築物を作製するプロセスを提供する。このようなプロセスは通常、
(i)各々:
(a)標的遺伝子から転写されたRNAの少なくとも第1の部分に少なくとも部分的に相補的である第1の核酸部分と、
(b)標的遺伝子から転写されたRNAの少なくも第2の部分に少なくとも部分的に相補的である第2の核酸部分であって、この標的遺伝子が、(a)で定義される標的遺伝子と同じであるか、又は異なっていてもよい、第2の核酸部分と、
(c)(a)の第1の核酸部分に少なくとも部分的に相補的である第3の核酸部分と、
(d)(b)の第2の核酸部分に少なくとも部分的に相補的である第4の核酸部分と、を合成することと、
(ii)少なくとも(a)及び(b)の第1及び第2の核酸部分をインビトロで接触させて、(a)及び(b)の第1及び第2の核酸部分を含む第1の核酸二本鎖領域を形成することと、
(iii)少なくとも(c)及び(d)の第3及び第4の核酸部分をインビトロで接触させて、(c)及び(d)の第3及び第4の核酸部分を含む第2の核酸二本鎖領域を形成することと、
(iv)少なくとも第1及び第2の核酸二本鎖領域を含む核酸構築物をインビトロで形成することと、を含む。
【0056】
好ましくは、本発明によるプロセスは、少なくとも第1及び第2の核酸標的化分子を、構築物から生成することをさらに含み、第1の核酸標的化分子は、(a)の標的遺伝子の発現を調節することができ、(a)の少なくとも第1の核酸部分を含むか、又はそれに由来し、第2の核酸標的化分子は、(b)の標的遺伝子の発現を調節することができ、(b)の第2の核酸部分を含むか、又はそれに由来する。典型的には、少なくとも第1及び第2の核酸標的化分子は、インビボ投与に続いて生成される。
【0057】
好ましくは、本発明によるプロセスにおいて、構築物中に存在する不安定な機能性部は、インビボ投与に続いて切断されて、少なくとも第1及び第2の別個の核酸標的化分子を生成する。不安定な機能性部は、1つ以上の未修飾ヌクレオチドを含みことができ、それにより、好適には、不安定な機能性部の1つ以上の未修飾ヌクレオチドは、構築物内の1つ以上の切断位置を表すことができ、それにより、インビボ投与に続いて、構築物は、1つ以上の切断位置で切断されて、少なくとも第1及び第2の別個の核酸標的化分子をもたらす。
【0058】
好適には、本発明によるプロセスにおいて、切断位置は、切断に続いて、第1の別個の核酸標的化分子が、第1の核酸二本鎖領域を含むか、又はそれに由来し、第2の別個の核酸標的化分子が、第2の核酸二本鎖領域を含むか、又はそれに由来するように、構築物内にそれぞれ位置する。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【
図1】本発明による、(個別に合成された別個のオリゴヌクレオチド成分からの)マルチオリゴナノ構造単位組立品の基本概念、その用途及び作用機序の概略図である。(A)最初に、個々のオリゴヌクレオチドは、設計シーケンス及び化学に従って別々に合成される。(B)次いで、オリゴヌクレオチドは、事前に設計されたスキームに従って、ナノ構造の形成に有利な条件でインビトロで(試験官内で)混合される。(C)次いで、形成されたナノ構造は、細胞又は生物全体に導入され、生物学的環境(例えば、生体液及び/又は細胞内のヌクレアーゼ)に曝されると、それらは分解して、生物学的に活性な分子、例えば、標的遺伝子の発現を調節(アップレギュレート又はダウンレギュレート)することができるsiRNA又は/及びアンチセンスオリゴヌクレオチドを生じさせる。
【0060】
【
図2】2~4個のオリゴヌクレオチドから構成される比較的単純なオリゴヌクレオチドナノ構造の本発明による例を提供する。セグメント(1)は、標的化配列1に相補的である。セグメント(2)は、セグメント(1)に少なくとも部分的に相補的である。セグメント(3)は、標的化配列2に相補的であり、セグメント(4)は、セグメント(3)に少なくとも部分的に相補的である。星印(5)は、セグメント(1)と(4)及び/又は(2)と(3)の間の「不安定な」結合を表す。セグメント(1)、(2)、(3)、及び(4)が化学的に修飾されている場合(例えば、ヌクレアーゼに対する耐性を高めるために2’F、2’Ome、LNA修飾で)、星印(5)は、単に未修飾のRNA又はDNAヌクレオチドを表すことができる。それ以外の場合は、その他のリンカーであり得る。成分(6)は、任意の送達部分(例えば、GalNAc、コレステロールなど)を表す。
図2の上部パネルに示されているナノ構造は、インビトロで(試験管内で)合成及び組み立てられる。生物学的環境に導入(細胞外及び/又は細胞内生体液への曝露)されると、「不安定な」リンカー/ヌクレオチドが切断され、ナノ構造が分解して機能遺伝子発現調節剤(例えば、siRNA)になる。この特定の場合では、2つの別々の異なるsiRNAが生成される(
図2の下部)。
【0061】
【
図3】本発明によるマルチユニットオリゴヌクレオチドナノ構造の別の例を提供する。これは、セグメント(1)と(4)、及び(2)と(3)が、互いに物理的に(共有結合で)結合されていないことを除いて、
図2に示されている構造にいくらか似ている。したがって、ナノ構造は4つの異なるオリゴヌクレオチド成分で構成されている。セグメント(1)と(3)との間にも部分的相補性があり、この場合も星印(5)で強調表示されている。セグメント(1)、(2)、(3)、及び(4)が、ヌクレアーゼに対する安定度を高めるために、化学的に修飾された(例えば、2’F、2’’)Me、LNA修飾である場合、星印(5)は、「不安定な」位置を有するセグメント(例えば、未修飾のRNA又はDNAヌクレオチド)を表す。この特定の場合では、標的化/送達部分(6)(例えば、GalNAc、コレステロールなど)が、セグメント(2)及び(4)の異なる部分に(任意に)結合されている。
図3の上部パネルに示されているナノ構造は、インビトロで(試験管内で)合成及び組み立てられている。生物学的環境に導入(細胞外及び/又は細胞内生体液への曝露)されると、「不安定な」ヌクレオチドが切断され、ナノ構造が分解して機能遺伝子発現調節剤(例えば、siRNA)になる。この特定の場合では、2つの別々の異なるsiRNAが生成される(
図3の下部)。このようなsiRNAのパッセンジャー鎖は、従来のsiRNAのパッセンジャー鎖(18~21ヌクレオチド)よりもいくらか短くなる(8ヌクレオチドほど短くなり得る)。
【0062】
【
図4】本発明によるマルチユニットオリゴヌクレオチドナノ構造の別の例を提供する。これは、2倍の数の成分を用いることを除き、
図2に示されているナノ構造と概念的に似ている。この特定の場合では、生物学的環境に曝されると、ナノ構造は分解して、4つの異なるsiRNAになるであろう。
【0063】
【
図5A】は、本発明による、より複雑かつ洗練されたマルチユニットオリゴヌクレオチドナノ構造の例の概略図である。前の例のように、ナノ構造は、複数のオリゴヌクレオチド成分からインビトロで(試験官内で)組み立てられ、生物学的環境に曝される(例えば、動物、細胞に導入され、細胞外又は/及び細胞内の生体液に曝されるなど)と、複数の活性分子(この場合はsiRNA)をもたらすことを目的とする。この構造は複数の個々のオリゴヌクレオチドで構成されており、オリゴヌクレオチドの総数は2つ以上から様々である。本発明を視覚化するのに便利であるように、この特定のスキームでは、構造は4つのオリゴヌクレオチド(1)、(2)、(3)及び(4)から構成される。オリゴヌクレオチドの各々は、オリゴヌクレオチド(2)について、3つのセグメント:(5)によって例示される「標的化末端セグメント」又はTTS、(6)によって例示される「標的化内部セグメント」又はTIS、及び(7)によって例示される「アダプター末端セグメント」又はATSを含む。隣接するオリゴヌクレオチドは、あるオリゴヌクレオチドのTTSと別の隣接するオリゴヌクレオチドのATSとの間の相補的相互作用を介して互いに接続されている。このスキームでは、最後のオリゴヌクレオチド(4)のATSは、最初のオリゴヌクレオチド(1)のTTSと相補的な相互作用を形成し、これは、線と矢印(8)で概略的に示され、オリゴヌクレオチドの各々がビルディング成分と本質的に同等である、閉じた構造を形成する。全てのオリゴヌクレオチドのTTSは、5’末端で始まり、全てのオリゴヌクレオチドのATSは、3’末端で終わる。各オリゴヌクレオチドの長さは、20~50ヌクレオチド、TTSの長さ-5~24ヌクレオチド、TISの長さ-1~20ヌクレオチド、及びATSの長さ-5~24ヌクレオチドの長さまで変化し得る。個体及び各オリゴヌクレオチドのTTS及びTISは一緒に、標的化配列(例えば、mRNA、IncRNAなど)に少なくとも部分的に相補的な連続配列(太い線で強調表示)を含む。場合によっては、標的に相補的な配列が、ATSセグメントの一部又は全体に及ぶことがある。星印(9)で示されている「不安定な」連結部は、ビルディングブロックの各々のTISとATSとの接合部に組み込まれている。オリゴヌクレオチドがヌクレアーゼに対する安定性を高めるために化学的に修飾されている場合(例えば、2’F、2’Ome、LNAなどを使用して)、「不安定な」連結部は、単に非修飾ヌクレオチド(複数可)(RNA又は/及びDNA)であり得る。構築物は、同じ標的転写物(例えば、mRNA、IncRNAなど)内の異なる標的、又は異なる転写物(例えば、mRNA、IncRNAなど)内の異なる標的配化列を標的とし得る。この特定の場合では、任意の標的化/送達部分(10)(例えば、GalNAc、コレステロールなど)が、ビルディングオリゴヌクレオチドブロックの各々に結合される。
【0064】
【
図5B】は、
図5Aに表示されるナノ構築物の生物学的環境への曝露(例えば、動物、細胞に導入され、細胞外又は/及び細胞内の生体液に曝露される)の結果を表示する。「不安定な」連結部(
図5Aの星印(9))はヌクレアーゼによって攻撃され、ナノ構造の、この特定の場合には、4つの別々の異なるsiRNAへの分解をもたらす。最終的なsiRNAには、従来のsiRNA(18~21ヌクレオチド)よりも短いパッセンジャー鎖(8ヌクレオチドほど短い)が含まれ得る。
【
図8】実施例で用いられる、配列、及びそれから形成される構築物を提示する。
【
図9】切断部位がある場合とない場合の、TMPRSS6に対して向けられた本発明による構築物の用量反応曲線である。
【
図10】切断部位がある場合とない場合の、TMPRSS6に対して向けられた本発明による構築物の用量反応曲線である。
【
図11】切断部位がある場合とない場合の、TMPRSS6に対して向けられた本発明による構築物の用量反応曲線である。
【
図12】切断部位がある場合とない場合の、TMPRSS6に対して向けられた本発明による構築物の用量反応曲線である。
【
図13】切断部位がある場合とない場合の、TMPRSS6に対して向けられた本発明による構築物の用量反応曲線である。
【
図14】切断部位がある場合とない場合の、TMPRSS6に対して向けられた本発明による構築物の用量反応曲線である。
【
図15】切断部位がある場合とない場合の、TMPRSS6に対して向けられた本発明による構築物の用量反応曲線である。
【
図16】切断部位がある場合とない場合の、TMPRSS6に対して向けられた本発明による構築物の用量反応曲線である。
【
図17】切断部位がある場合とない場合の、TMPRSS6に対して向けられた本発明による構築物の用量反応曲線である。
【
図18】切断部位がある場合とない場合の、TMPRSS6に対して向けられた本発明による構築物の用量反応曲線である。
【
図19】切断部位がある場合とない場合の、TMPRSS6に対して向けられた本発明による構築物の用量反応曲線である。
【
図20】切断部位がある場合とない場合の、TMPRSS6に対して向けられた本発明による構築物の用量反応曲線である。
【
図21】切断部位がある場合とない場合の、TMPRSS6に対して向けられた本発明による構築物の用量反応曲線である。
【
図22】切断部位がある場合とない場合の、TMPRSS6に対して向けられた本発明による構築物の用量反応曲線である。
【
図23】切断部位がある場合とない場合の、TMPRSS6に対して向けられた本発明による構築物の用量反応曲線である。
【
図24】切断部位がある場合とない場合の、TMPRSS6に対して向けられた本発明による構築物の用量反応曲線である。
【
図25】切断部位がある場合とない場合の、TMPRSS6に対して向けられた本発明による構築物の用量反応曲線である。
【0065】
本明細書で用いられる用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的としており、本発明を限定することを意図するものではない。本明細書で用いられる用語「及び/又は」は、関連する項目のうちの1つ以上のありとあらゆる組み合わせを含む。本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」及び「the」は、文脈が明らかに他のことを示さない限り、複数形並びに単数形を含むことを意図する。本明細書で用いられる用語「含む(comprise)」及び/又は「含んでいる(comprising)」は、記載された特徴、工程、操作、要素及び/又は成分の存在を指定するが、1つ以上の他の特徴、工程、操作、要素、成分、及び/又はそれらの群の存在若しくは追加を妨げるものではない。
【0066】
別段の定義がない限り、本明細書で用いられる全ての用語(技術用語及び科学用語を含む)は、本発明が属する当業者によって一般に理解されるものと同じ意味である。一般的に用いられる辞書で定義される用語は、関連技術及び本開示の文脈におけるそれらの意味と一致する意味を有すると解釈されるべきであり、本明細書で明示的に定義されない限り、理想化された又は過度に形式的な意味で解釈されないであろう。
【0067】
本発明を説明する際に、多数の特徴、工程、操作、要素、及び/又は成分が開示されることが理解されるであろう。これらの各々には個々の利点があり、それぞれは、他の開示された特徴、工程、操作、要素、及び/又は成分のうちの1つ以上、又は場合によっては全てと共に用いうる。したがって、明確にするために、この説明は、個々の特徴、工程、操作、要素、及び/又は成分の全ての可能な組み合わせを不必要な方法で繰り返すことを差し控える。それでもなお、このような組み合わせは完全に本発明の範囲内にあることを理解して、本明細書を読むべきである。
【0068】
上述した特定の図、及び以下の特定の実施例及び関連する表並びに図は、説明を目的としたものであり、本発明の十分な理解を提供するために多数の特定の詳細が記載されている。しかしながら、本発明がこれらの特定の詳細なしで実施され得ることは当業者には明らかであり、したがって、本明細書に記載の特許請求の範囲は、このような特定の詳細に限定されない。したがって、本開示は、本発明の例示と見なされるべきであり、本発明を、実施例及び図によって示される特定の実施形態に限定することを意図するものではない。
【0069】
本発明による構築物の例示的な特徴は以下のとおりである:
1)主に相補的な(ワトソン-クリック)相互作用を介してナノ構造に結合されている、複数(2つ以上)のオリゴヌクレオチドを含有すること、
2)任意に、他の(例えば)共有結合を動員して、ナノ構造を構築し、及び/又は様々なリガンド(例えば、送達/標的化部分)を加えることができること、
3)本発明のオリゴヌクレオチド構築物が、主に、化学的に修飾されたヌクレオチド(例えば、2’F、2’OMe、LNO、PNA、MOE、BNA、PMO、ホスホロチオエート、ホスホジチオエートなど)を含み、ほとんど(しかし、それだけではない)、ヌクレアーゼに対する耐性を増加させること、
4)ナノ構造が、特定の生物学的環境への曝露(例えば、細胞外及び/又は細胞内生体液への曝露)の際にナノ構造が分解することを可能にする「不安定な」成分(例えば、化学リンカー、未修飾ヌクレオチドなど)を含有する可能性が高く(必ずしもそうではない)、特定の例が(限定されないが):a)非修飾ヌクレオチドを有する部位におけるヌクレアーゼによるオリゴ骨格の切断;b)pHの変化による化学結合の切断(例えば、エンドソームにおいて)であり得ること、
5)ナノ構造が、特定の生物学的環境に曝される際に分解して、活性成分(例えば、siRNA、アンチセンスオリゴヌクレオチド、小分子、ペプチドなど)を放出し、細胞/生物体における標的遺伝子の発現を調節(アップレギュレート又はダウンレギュレート)することが予想されること、
6)ナノ構造が、リンカーを介して(又は他の手段によって)粒子に結合した送達/標的化部分(例えば、GalNAc及び又は他の炭水化物、コレステロール、ペプチド、小分子など)を含有する可能性が高い(必ずしもそうではない)こと、
7)ナノ構造が、遺伝子発現を調節して遺伝子機能を研究したり、様々な疾患を治療したり、又は化粧品及び/若しくは農業を含むがこれらに限定されない他の用途に用いうること。
【0070】
したがって、本発明は、1つ以上の遺伝子に相補的な配列を有するオリゴヌクレオチドを含む相補的相互作用を介して自己組織化された複数のオリゴヌクレオチドを含むナノ構造を含む。本発明の1つの特定の実施形態では、ナノ構造は、生物学的環境(例えば、生物の内部及び/又は細胞の内部)において、より単純な構造(例えば、個々のオリゴヌクレオチド又は二本鎖)に分解することができる。本発明はまた、このようなナノ構造を含む組成物、及び遺伝子発現を調節して遺伝子機能を研究したり、様々な疾患を治療したり、又は化粧品及び/若しくは農業を含むがこれらに限定されない他の用途に用いるために当該組成物を用いる方法を含む。
【0071】
本発明の態様は、以下の非限定的な例によって実証される。
【実施例】
【0072】
表3及び4、並びに
図8は、以下の実施例で用いられる、配列、及びそれから形成される構築物を提示する。
【0073】
実施例1:Hep3B細胞での単回投与トランスフェクション
Hep3B細胞を、96ウェルプレートで各ウェルあたり15,000細胞の密度でインキュベートした。この研究で試験された化合物は、50nMの最終濃度であった。リポフェクタミン2000をウェルあたり0.5μLで使用してリバーストランスフェクションを行った。試験化合物に加えて、2つの対照((XD-10064)TTR指向性siRNA及び(XD-00033)aha-1指向性siRNA)も使用した。インキュベーション時間は、24時間であった。続いて、bDNAアッセイ(Quantigene 1.0/2.0)を使用して、mRNAを単離及び定量した。
【0074】
この実験から得られた結果の要約を、表1及び
図6に示す。
【表1】
【0075】
実施例2:初代肝細胞におけるGalNAcコンジュゲート化合物の単回投与直接インキュベーション
初代マウス肝細胞(ロット#MC830、ThermoFisher Scientific)を、96ウェルプレートで、ウェルあたり45,000細胞の密度でインキュベートした。この研究で試験された化合物は、500nMの最終濃度であった。試験化合物に加えて、2つの対照((XD-12171)TTR指向性siRNA及び(XD-00033)aha-1指向性siRNA)も使用した(Galnacは陰性対照として使用しなかった)。直接インキュベーショントランスフェクション(トランスフェクション脂質なし)法を使用した。インキュベーション時間は、72時間であった。続いて、bDNAアッセイ(Quantigene 1.0/2.0)を使用して、mRNAを単離及び定量した。
【0076】
この実験から得られた結果の要約を、表2及び
図7に示す。
【表2】
【0077】
実施例3:用量反応曲線
切断部位がある場合とない場合の、TMPRSS6に対して向けられた本発明による構築物の用量反応曲線を、
図9~25に示す。IC50/KDの結果を、表5にまとめる。
【0078】
これらの結果は、さらに初代マウス肝細胞、60,000細胞/ウェルにおけるGalNAcコンジュゲート化合物の直接インキュベーションによって得られた。使用した濃度は、72時間の直接インキュベーションにより、500、166.67、55.56、18.52及び6.17nMであった。
【0079】
実施例4:肝臓リソソーム抽出物で処理されたトリオは個々の成分に分解する
表4に記載されるような配列番号11+配列番号15+配列番号16、構築物XD-16860に基づく本発明によるトリプルターゲティングコンジュゲートを、肝臓リソソーム抽出物(Xenotech)中でインキュベートして、肝細胞への構築物の取り込み後に起こると予想される単一の二本鎖への切断を示した。
【0080】
インキュベーション条件は次のとおりであった:
A)1:3希釈されたライセート、インキュベーション時間30分、1時間、3時間
B)未希釈のライセート、インキュベーション時間30分、1時間、3時間
電気泳動条件は、次のとおりであった。
非変性20%アクリルアミドゲル、1×TBE緩衝液、GelRed染色。
【0081】
結果を
図26に示す。
【表3-1】
【表3-2】
【表4】
【表5】
【配列表】
【国際調査報告】